JP2018053129A - 油中油型エマルションインク - Google Patents
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Abstract
【課題】インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善し、印刷物の画像濃度を高め、裏抜けを低減する油中油型エマルションインクを提供する。
【解決手段】SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、色材、塩基性分散剤、及び酸性分散剤を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、油中油型エマルションインクである。
【選択図】なし
【解決手段】SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、色材、塩基性分散剤、及び酸性分散剤を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、油中油型エマルションインクである。
【選択図】なし
Description
本発明は、油中油型エマルションインクに関する。
インクの種類としては、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって記録媒体上で乾燥するのに対して、油性インクは記録媒体への浸透が主となって乾燥する。
油性インクは、記録媒体として紙を用いた場合、紙の構成成分であるパルプの繊維間結合に対する影響が小さいために、印刷後の紙のカールやコックリングが発生し難く、また、紙への浸透が速いために見かけ上の乾燥性に優れる。さらに、油性インクは溶媒が揮発し難いため、インクジェットインクとして用いる場合に、ノズルにおける目詰まりが生じにくく、ヘッドクリーニングの頻度を少なくできるため、高速印刷への対応が可能であるという利点を有する。
油性インクは、溶剤等の各成分の種類によって、ノズルプレートに付着しやすくなる。ノズルプレートにインクが付着すると、ノズルの目詰まりが発生したり、インクだれが発生するため、問題になる。
特許文献1では、油性インクジェットインクにおいて、溶剤としてエステル系溶剤を用いることで貯蔵安定性を向上するとともに、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩を用いることでノズルプレート表面に対するインクのはじき性を向上させることが提案されている。
特許文献2では、油性インクジェットインク溶剤としてエステル系溶剤とともに高級アルコール系溶剤を用い、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩とともに顔料誘導体を用いることで、貯蔵安定性、ノズルプレート表面に対するインクのはじき性を向上するとともに、さらにノズルプレートの劣化を防止することが提案されている。
特許文献2では、油性インクジェットインク溶剤としてエステル系溶剤とともに高級アルコール系溶剤を用い、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩とともに顔料誘導体を用いることで、貯蔵安定性、ノズルプレート表面に対するインクのはじき性を向上するとともに、さらにノズルプレートの劣化を防止することが提案されている。
特許文献3では、油性インクジェットインクにおいて、単一相を形成する溶剤とともに、添加剤として、脂肪酸またはアルキルリン酸エステルと、アミン化合物とを含有することで、ノズルプレートに対するインクのはじき性、ノズルプレートの劣化の抑制とともに、高い印刷濃度で印刷可能であることが提案されている。
特許文献4では、水性インクでの用紙カールの問題と、油性インクでの裏抜けの問題を解決するために、油中水型エマルションインクが提案されている。この油中水型エマルションインクでは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを乳化剤として用いることで、優れた吐出性能と保存安定性を得ることができている。
また、油中油型エマルションとして、連続相及び分散相にともに油相を用いたものがある。連続相及び分散相にともに油成分を用いる場合では、両者の親和性が高くなって、エマルションの安定性が低下しやすいという問題がある。
特許文献5では、オクタン、デカン、ドデカン等の炭化水素のような非極性の油を含む連続相に、リン酸トリエチル、リン酸トリ−m−クレジル等の有機リン酸塩の液体を含む分散相を分散させて、油中油型エマルションを提供することが提案されている。
特許文献5では、オクタン、デカン、ドデカン等の炭化水素のような非極性の油を含む連続相に、リン酸トリエチル、リン酸トリ−m−クレジル等の有機リン酸塩の液体を含む分散相を分散させて、油中油型エマルションを提供することが提案されている。
特許文献1〜3では、溶剤はいずれも相溶性があるため、単一相からなる油性インクとなる。この場合、溶剤が用紙内部に浸透しやすく、溶剤とともに含量が用紙内部に浸透して、裏抜けが発生しやすく、画像濃度の点で改善の余地がある。
さらに、特許文献3では、添加剤の脂肪酸、アルキルリン酸エステル、アミン化合物を配合することで顔料分散性が低下することがあり、貯蔵安定性に問題がある。
さらに、特許文献3では、添加剤の脂肪酸、アルキルリン酸エステル、アミン化合物を配合することで顔料分散性が低下することがあり、貯蔵安定性に問題がある。
特許文献4の油中水型エマルションインクでは、油相中に液滴状の水相を安定して分散する点で、改善の余地がある。また、特許文献4では、ノズルプレートに対する濡れ性について検討されていない。
特許文献5では、安定で小粒径のエマルションが得られると開示されるものの、このエマルションをインクジェットインクとして用いることは開示されていない。そのため、このエマルションをインクとして用いる場合に、ノズルプレートに対する濡れ性は検討されていない。また、このエマルションをインクとして用いる場合に、画像濃度及び裏抜けについて検討されていない。
特許文献5では、分散相に、顔料−重合体の樹脂複合材料を配合しているため、分散相の溶剤である液体有機リン酸塩化合物に重合体が溶解すると高粘度となりやすい。そのため、このエマルションをインクジェットインクとして用いると、顔料が含まれる分散相が高粘性であるため、顔料がノズルプレートに付着しやすくなる問題がある。
特許文献5の実施例で用いている重合体は、ビスフェノールA由来のポリエステル共重合体であるTUFTONE NE−303(KAO社)であり、室温で固体状である。特許文献5の実施例では、NE−303の一部を添加剤(A)〜(D)に置き換えているが、これらの添加剤はいずれも室温で固体状である。
特許文献5では、分散相に、顔料−重合体の樹脂複合材料を配合しているため、分散相の溶剤である液体有機リン酸塩化合物に重合体が溶解すると高粘度となりやすい。そのため、このエマルションをインクジェットインクとして用いると、顔料が含まれる分散相が高粘性であるため、顔料がノズルプレートに付着しやすくなる問題がある。
特許文献5の実施例で用いている重合体は、ビスフェノールA由来のポリエステル共重合体であるTUFTONE NE−303(KAO社)であり、室温で固体状である。特許文献5の実施例では、NE−303の一部を添加剤(A)〜(D)に置き換えているが、これらの添加剤はいずれも室温で固体状である。
本発明の一目的としては、インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善し、印刷物の画像濃度を高め、裏抜けを低減する油中油型エマルションインクを提供することである。さらに、貯蔵安定性を改善することを一目的とする。
本発明は、以下の構成を要旨とする。
(1)SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、色材、塩基性分散剤、及び酸性分散剤を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、油中油型エマルションインク。
(2)前記酸性分散剤は、リン酸基、リン酸エステル基、及びカルボキシ基のうちから選択される1種以上を有する、(1)に記載の油中油型エマルションインク。
(3)前記酸性分散剤は、酸価が50mgKOH/g以上である、(1)または(2)に記載の油中油型エマルションインク。
(4)前記塩基性分散剤は、アミノ基を有する、(1)から(3)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(5)インク全体に対し、前記溶剤Aを50〜80質量%、前記溶剤Bを5〜20質量%含む、(1)から(4)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(6)前記酸性分散剤は、質量比で、前記色材1部に対し、0.2〜0.8部である、(1)から(5)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(1)SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、色材、塩基性分散剤、及び酸性分散剤を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、油中油型エマルションインク。
(2)前記酸性分散剤は、リン酸基、リン酸エステル基、及びカルボキシ基のうちから選択される1種以上を有する、(1)に記載の油中油型エマルションインク。
(3)前記酸性分散剤は、酸価が50mgKOH/g以上である、(1)または(2)に記載の油中油型エマルションインク。
(4)前記塩基性分散剤は、アミノ基を有する、(1)から(3)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(5)インク全体に対し、前記溶剤Aを50〜80質量%、前記溶剤Bを5〜20質量%含む、(1)から(4)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(6)前記酸性分散剤は、質量比で、前記色材1部に対し、0.2〜0.8部である、(1)から(5)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(7)SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、塩基性分散剤を含む連続相と、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、酸性分散剤を含む分散相とを有し、連続相及び/または分散相の少なくとも一方に色材を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、油中油型エマルションインク。
(8)インクジェットインクである、(1)から(7)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
(8)インクジェットインクである、(1)から(7)のいずれかに記載の油中油型エマルションインク。
本発明によれば、インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善し、印刷物の画像濃度を高め、裏抜けを低減する油中油型エマルションインクを提供することができる。さらに、貯蔵安定性を改善することができる。
以下、本発明を一実施形態を用いて説明する。以下の説明における例示が本発明を限定することはない。
本実施形態による油中油型エマルションインク(以下、単に「インク」という場合がある)は、SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A(以下、単に溶剤Aと称することがある。)、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B(以下、単に溶剤Bと称することがある。)、色材、塩基性分散剤、及び酸性分散剤を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、ことを特徴とする。
これによれば、インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善し、印刷物の画像濃度を高め、裏抜けを低減することができる。さらに、インクの貯蔵安定性を改善することができる。
これによれば、インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善し、印刷物の画像濃度を高め、裏抜けを低減することができる。さらに、インクの貯蔵安定性を改善することができる。
本実施形態による油中油型エマルションインクでは、溶剤Aと溶剤Bとが互いに混和しないで、溶剤A及び溶剤Bの配合割合等によって、溶剤A及び溶剤Bのうち一方を連続相とし、他方を分散相とすることができる。好ましい形態では、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相とする。
本実施形態によれば、用紙にインクが塗布された後に、溶剤Aと溶剤Bが速やかに分離し、溶剤Aが用紙内部に浸透しやすく、溶剤Bが用紙表面に留まりやすくなる。そして、溶剤Bとともに色材が用紙表面に留まって、裏抜けを低減し、画像濃度を高めることができる。
さらに、本実施形態によれば、比較的高極性の溶剤Bとともに酸性分散剤を用いることで、インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善することができる。
本実施形態によれば、用紙にインクが塗布された後に、溶剤Aと溶剤Bが速やかに分離し、溶剤Aが用紙内部に浸透しやすく、溶剤Bが用紙表面に留まりやすくなる。そして、溶剤Bとともに色材が用紙表面に留まって、裏抜けを低減し、画像濃度を高めることができる。
さらに、本実施形態によれば、比較的高極性の溶剤Bとともに酸性分散剤を用いることで、インクのノズルプレートに対する濡れ性を改善することができる。
本実施形態では、油中油型エマルションにおいて油相界面を安定化するために、溶剤Aと溶剤Bの界面において、塩基性分散剤と酸性分散剤とがコンプレックスを形成し界面を安定化させることを見出したことで、エマルションの安定化を実現することができる。
本実施形態によるインクは、SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤Aと、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤Bとを含む。
有機溶剤A及び有機溶剤Bとしては、各種有機溶剤から上記SP値を満たすものを適宜選択して用いることができる。
有機溶剤A及び有機溶剤Bとしては、各種有機溶剤から上記SP値を満たすものを適宜選択して用いることができる。
本発明では、溶剤のSP値として、1967年にHansenが提唱した3次元溶解性パラメーターを用いる。
Hansenの溶解性パラメーターは、Hildebrandによって導入された溶解性パラメーターを分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間で表したものである。分散項は、分散力による効果、極性項は、双極子間力による効果、水素結合項は、水素結合力の効果を示す。より詳細には、POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(Editors.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,andE.A.GRULKE.)等に説明されている。
Hansenの溶解性パラメーターは、Hildebrandによって導入された溶解性パラメーターを分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間で表したものである。分散項は、分散力による効果、極性項は、双極子間力による効果、水素結合項は、水素結合力の効果を示す。より詳細には、POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(Editors.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,andE.A.GRULKE.)等に説明されている。
Hansenの溶解性パラメーターについては、下記に説明する通り、実験から求めることができる。
まず、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhが既知である溶剤に対して対象物(溶剤等)の溶解性(10mass%)を調査する。次いで、対象物が溶解する溶剤の範囲に相当する分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの範囲(最小値と最大値)を求め、その中間の値(3次元溶解性パラメーターの範囲の中心の値)をその対象物の3次元溶解性パラメーターとする。つまり、良溶媒が内側、貧溶媒が外側にくる最大の直方体を考えて、その直方体の中心を対象物の溶解性パラメーター(HSP値)と定める。
まず、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhが既知である溶剤に対して対象物(溶剤等)の溶解性(10mass%)を調査する。次いで、対象物が溶解する溶剤の範囲に相当する分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの範囲(最小値と最大値)を求め、その中間の値(3次元溶解性パラメーターの範囲の中心の値)をその対象物の3次元溶解性パラメーターとする。つまり、良溶媒が内側、貧溶媒が外側にくる最大の直方体を考えて、その直方体の中心を対象物の溶解性パラメーター(HSP値)と定める。
分散項δd=(δdmax−δdmin)/2
極性項δp=(δpmax−δpmin)/2
水素結合項δh=(δhmax−δhmin)/2
HSP2=δd2+δp2+δh2
極性項δp=(δpmax−δpmin)/2
水素結合項δh=(δhmax−δhmin)/2
HSP2=δd2+δp2+δh2
溶解性試験に供する溶剤は、溶解性パラメーター(HSP値)がなるべく異なる3次元空間上に位置するものを選択することが好ましい。
溶剤Aとしては、SP値が17.0MPa1/2以下であることが好ましく、より好ましくは16.8MPa1/2以下であり、さらに好ましくは16.5MPa1/2以下である。
これによって、油中油型エマルションにおいて溶剤Aと溶剤Bの混和を抑えて、エマルション形態が崩れることを防ぐことができる。
溶剤AのSP値の下限値は特に制限されないが、13MPa1/2以上であればよく、13.5MPa1/2以上であってよい。
これによって、油中油型エマルションにおいて溶剤Aと溶剤Bの混和を抑えて、エマルション形態が崩れることを防ぐことができる。
溶剤AのSP値の下限値は特に制限されないが、13MPa1/2以上であればよく、13.5MPa1/2以上であってよい。
溶剤Bとしては、SP値が20.0MPa1/2以上であることが好ましく、より好ましくは21.0MPa1/2以上であり、さらに好ましくは22.0MPa1/2以上である。
これによって、油中油型エマルションにおいて溶剤Aと溶剤Bの混和を抑えて、エマルション形態が崩れることを防ぐことができる。また、ノズルプレートに対する濡れ性を改善することができる。
溶剤BのSP値の上限値は特に制限されないが、40MPa1/2以下であればよく、35MPa1/2以下であってよい。
これによって、油中油型エマルションにおいて溶剤Aと溶剤Bの混和を抑えて、エマルション形態が崩れることを防ぐことができる。また、ノズルプレートに対する濡れ性を改善することができる。
溶剤BのSP値の上限値は特に制限されないが、40MPa1/2以下であればよく、35MPa1/2以下であってよい。
溶剤Aと溶剤BのSP値の差(絶対値)は、3.0MPa1/2以上であることが好ましく、より好ましくは4.0MPa1/2以上であり、さらに好ましくは5.0MPa1/2以上である。
これによって、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相とする場合に、溶剤A中に液滴状態の溶剤Bを安定して分散させることができる。
これによって、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相とする場合に、溶剤A中に液滴状態の溶剤Bを安定して分散させることができる。
SP値17.0MPa1/2以下を満たす溶剤Aとしては、例えば、
デカン(13.5)、パルミチン酸イロプロピル(15.3)、ステアリン酸ジブチル(15.3)、オレイン酸メチル(15.5)、ドデカン(16.0)、トリエチレングリコールモノオレイルエーテル(16.0)、ヘキサデカン(16.4)等を好ましく用いることができる。カッコ内はSP値、単位は「MPa1/2」である。
デカン(13.5)、パルミチン酸イロプロピル(15.3)、ステアリン酸ジブチル(15.3)、オレイン酸メチル(15.5)、ドデカン(16.0)、トリエチレングリコールモノオレイルエーテル(16.0)、ヘキサデカン(16.4)等を好ましく用いることができる。カッコ内はSP値、単位は「MPa1/2」である。
溶剤Aは、インクの浸透乾燥を促進するため、粘度が10mPa・s以下である非極性溶剤を用いることが好ましい。
また、溶剤Aの表面張力は、10〜40mN/mであることが好ましい。
また、溶剤Aの表面張力は、10〜40mN/mであることが好ましい。
SP値20.0MPa1/2以上を満たす溶剤Bとしては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(20.5)、デカノール(20.5)、ジアセトンアルコール(20.9)、乳酸エチル(21.7)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(21.9)、リン酸トリエチル(22.3)、エチレングリコールモノブチルエーテル(22.3)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.3)、リン酸トリクレシル(23.1)、エチレングリコールモノエチルエーテル(23.5)、ベンジルアルコール(23.7)、エチレングリコールモノメチルエーテル(24.8)、ヘキシレングリコール(25.2)、プロピレンカルボネート(27.2)、リン酸トリメチル(25.4)、トリエチレングリコール(27.4)、ジエチレングリコール(29.9)、プロピレングリコール(30.3)を好ましく用いることができる。カッコ内はSP値、単位は「MPa1/2」である。
溶剤Bは、乳化安定性の観点から、粘度が3〜50mPa・sである高極性溶剤を用いることが好ましい。
また、溶剤Bの表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましい。
また、溶剤Bの表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましい。
上記した溶剤A及び溶剤Bは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、溶剤A及び溶剤BがそれぞれSP値の範囲を満たす限り、溶剤Aと溶剤Bとの組み合わせは制限されない。
簡欠吐出性の観点から、最終的なインクの有機溶剤の蒸留初留点は、以下の範囲であることが好ましい。最終的なインクの有機溶剤の蒸留初留点は、溶剤A及び溶剤Bを混合した混合溶剤の蒸留初留点である。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
最終的な有機溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。さらに、有機溶剤の蒸留初留点は、250℃以上、さらには300℃以上であることが好ましい。
最終的な有機溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。さらに、有機溶剤の蒸留初留点は、250℃以上、さらには300℃以上であることが好ましい。
溶剤Aは、インク全体に対し、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上である。一方、溶剤Aは、インク全体に対し、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは80質量%以下である。
溶剤Bは、インク全体に対し、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。一方、溶剤Bは、インク全体に対し30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
溶剤Aと溶剤Bが上記範囲を満たすことで、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相として、油中油型エマルションの形態を安定にすることができる。また、インク中の固形分の分散性を安定にすることができる。より好ましい形態では、インク全体に対し、溶剤Aを50〜80質量%、溶剤Bを5〜20質量%で含む。
溶剤Bは、インク全体に対し、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。一方、溶剤Bは、インク全体に対し30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
溶剤Aと溶剤Bが上記範囲を満たすことで、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相として、油中油型エマルションの形態を安定にすることができる。また、インク中の固形分の分散性を安定にすることができる。より好ましい形態では、インク全体に対し、溶剤Aを50〜80質量%、溶剤Bを5〜20質量%で含む。
溶剤Aと溶剤Bの合計量に対し、溶剤Aは、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
一方、溶剤Aと溶剤Bの合計量に対し、溶剤Aは、95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは90質量%以下である。
溶剤Aと溶剤Bとの配合割合が上記範囲を満たすことで、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相として、油中油型エマルションの形態を安定にすることができる。
一方、溶剤Aと溶剤Bの合計量に対し、溶剤Aは、95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは90質量%以下である。
溶剤Aと溶剤Bとの配合割合が上記範囲を満たすことで、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相として、油中油型エマルションの形態を安定にすることができる。
インクには、溶剤A及び溶剤B以外のその他の溶剤として、SP値が17.0MPa1/2超過20.0MPa1/2未満の溶剤を含まないことが好ましい。この範囲のSP値の溶剤がインクに含まれると、溶剤Aまたは溶剤Bと親和性を有して、油中油型エマルションの形態を安定に維持することが難しくなる。その他の溶剤は、インク全体に対し5質量%以下に制限されることが好ましい。
本実施形態によるインクは、色材を含む。色材としては、顔料、染料、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料の平均粒子径としては、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下である。これによって、分散相中での顔料の分散性を良好に保つことができ、また、最終的な着色樹脂粒子の粒子サイズを適正にすることができる。
ここで、着色樹脂粒子の平均粒子径は、動的散乱方式による体積基準の平均粒子径であり、例えば、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB−500」等を用いて測定することができる。以下同じである。
ここで、着色樹脂粒子の平均粒子径は、動的散乱方式による体積基準の平均粒子径であり、例えば、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB−500」等を用いて測定することができる。以下同じである。
染料としては、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができ、例えば、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料、金属錯塩染料、造塩染料等を挙げることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
色材の含有量としては、インク全体に対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%であり、一層好ましくは2〜10質量%である。これによって、インクの呈色を適正にするとともに、インクの安定性を維持することができる。
油中油型エマルションインクにおいて、色材は、連続相及び分散相の少なくとも一方に含まれていればよい。
溶剤Aが連続相となり、溶剤Bが分散相となる系においては、顔料は、溶剤Aよりも溶剤Bに親和性が高いことが好ましい。また、染料は、溶剤Aよりも溶剤Bに溶解性が高いことが好ましい。これによって、油中油型エマルションにおいて、分散相を構成する溶剤B中に顔料または染料が分散ないし溶解するようになる。そうすると、分散相の溶剤Bとともに顔料または染料が用紙表面に留まりやすくなり、画像濃度を高めることができる。
一方、顔料または染料は、連続相を構成する溶剤Aのみに含まれてもよいし、連続相を構成する溶剤Aと分散相を構成する溶剤Bの両方に含まれてもよい。
溶剤Aが連続相となり、溶剤Bが分散相となる系においては、顔料は、溶剤Aよりも溶剤Bに親和性が高いことが好ましい。また、染料は、溶剤Aよりも溶剤Bに溶解性が高いことが好ましい。これによって、油中油型エマルションにおいて、分散相を構成する溶剤B中に顔料または染料が分散ないし溶解するようになる。そうすると、分散相の溶剤Bとともに顔料または染料が用紙表面に留まりやすくなり、画像濃度を高めることができる。
一方、顔料または染料は、連続相を構成する溶剤Aのみに含まれてもよいし、連続相を構成する溶剤Aと分散相を構成する溶剤Bの両方に含まれてもよい。
色材に顔料を用いる場合では、インク中で顔料を安定して分散させるために、本実施形態の酸性分散剤及び塩基性分散剤以外のその他の顔料分散剤をさらに含ませてもよい。顔料が分散相に含まれる場合は分散相にその他の顔料分散剤を含ませ、顔料が連続相に含まれる場合は連続相に顔料分散剤を含ませればよい。
その他の顔料分散剤としては、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤及びノニオン性分散剤のいずれを用いてもよく、エマルションのその他成分に応じて適宜選択すればよい。また、顔料分散剤は、また、高分子量化合物及び低分子量化合物(界面活性剤)のいずれを用いてもよい。
その他の顔料分散剤の配合量は、適宜設定できるが、顔料分散性の観点から、質量比で、顔料1部に対し0.05〜2.0部程度であることが好ましい。
その他の顔料分散剤の配合量は、適宜設定できるが、顔料分散性の観点から、質量比で、顔料1部に対し0.05〜2.0部程度であることが好ましい。
本実施形態によるインクは、塩基性分散剤を含む。塩基性分散剤は、塩基性基を有する分散剤である。
塩基性分散剤は、溶剤Aと溶剤Bとを乳化し、安定して油中油型エマルションを提供するために配合される。また、インクに塩基性分散剤が配合されることで、酸性分散剤との相互作用によって、エマルションの油相界面を強化することができる。
塩基性分散剤は、溶剤Aと溶剤Bとを乳化し、安定して油中油型エマルションを提供するために配合される。また、インクに塩基性分散剤が配合されることで、酸性分散剤との相互作用によって、エマルションの油相界面を強化することができる。
塩基性分散剤は、有機溶剤Bへの溶解度よりも有機溶剤Aへの溶解度が高いことが好ましい。
好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、より好ましくは0.5g/100g以下である。また、好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以上であり、より好ましくは5g/100g以上である。さらに好ましくは、インクの配合割合において、溶剤Aに塩基性分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Bに塩基性分散剤が実質的に溶解しないように、塩基性分散剤が選択される。
好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、より好ましくは0.5g/100g以下である。また、好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以上であり、より好ましくは5g/100g以上である。さらに好ましくは、インクの配合割合において、溶剤Aに塩基性分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Bに塩基性分散剤が実質的に溶解しないように、塩基性分散剤が選択される。
塩基性分散剤の塩基性基としては、例えばアミノ基、アミド基、ピリジル基等を挙げることができ、中でもアミノ基であることが好ましい。また、塩基性分散剤の塩基性基としては、ウレタン結合等を有する窒素含有の官能基を挙げることができる。また、ウレタン結合等の窒素含有の構成単位が塩基性分散剤に導入されていてもよい。
塩基性分散剤の重量平均分子量としては、1000以上であることが好ましく、より好ましくは3000以上であり、さらに好ましくは5000以上である。これによって、エマルションにおいて油相界面の強度を高め、インクの乳化安定性を十分に得ることができる。
一方、塩基性分散剤の重量平均分子量としては、100000以下であることが好ましく、より好ましくは50000以下である。これによって、インク粘度の上昇を抑制することが可能となり、インクジェット印刷に適した粘度のインクを提供することができる。
ここで、重量平均分子量は、GPC法により、標準ポリスチレン換算により求めることができる。以下同じである。
一方、塩基性分散剤の重量平均分子量としては、100000以下であることが好ましく、より好ましくは50000以下である。これによって、インク粘度の上昇を抑制することが可能となり、インクジェット印刷に適した粘度のインクを提供することができる。
ここで、重量平均分子量は、GPC法により、標準ポリスチレン換算により求めることができる。以下同じである。
塩基性分散剤としては、例えば、変性ポリウレタン、塩基性基含有ポリ(メタ)アクリレート、塩基性基含有ポリエステル、ポリエステルアミン塩等を挙げることができる。これらは、単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。また、塩基性分散剤としては、炭素数12以上のアルキル基を有する単位を含む第1ブロックと、アミノ基を有する単位を含む第2ブロックとを有するアミン変性(メタ)アクリルブロックポリマーを用いることができる。
塩基性分散剤として、市販されているものとしては、例えば、
日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、
ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK116、2096、2163」(いずれも商品名)、
花王株式会社製「アセタミン24、86(アルキルアミン塩系)」(いずれも商品名)、
楠本化成株式会社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名)、
クローダジャパン株式会社製「Hypermer KD11」等を挙げることができる。
日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、
ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK116、2096、2163」(いずれも商品名)、
花王株式会社製「アセタミン24、86(アルキルアミン塩系)」(いずれも商品名)、
楠本化成株式会社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名)、
クローダジャパン株式会社製「Hypermer KD11」等を挙げることができる。
塩基性分散剤は、塩基価を持つことが好ましい。塩基性分散剤の塩基価は、好ましくは1mgKOH/g以上であり、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、一層好ましくは15mgKOH/g以上である。これによって、エマルションにおいて油相界面の強度を高め、インクの乳化安定性を十分に得ることができる。
ここで、塩基価は、不揮発分1gに含まれる全塩基性成分を中和するのに必要な塩酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
ここで、塩基価は、不揮発分1gに含まれる全塩基性成分を中和するのに必要な塩酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
塩基性分散剤の含有量としては、適宜設定できるが、インク全体に対し0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%であり、さらに1〜10質量%であってもよい。
塩基性分散剤の配合量は、適宜設定できるが、分散安定性の観点から、質量比で、分散相1部に対し0.05〜2.0部程度であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましく、0.2〜0.6部であることがさらに好ましい。
塩基性分散剤の配合量は、適宜設定できるが、分散安定性の観点から、質量比で、分散相1部に対し0.05〜2.0部程度であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましく、0.2〜0.6部であることがさらに好ましい。
本実施形態によるインクは、酸性分散剤を含む。酸性分散剤は、酸性基を有する分散剤である。
酸性分散剤は、有機溶剤Aへの溶解度よりも有機溶剤Bへの溶解度が高く、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
酸性分散剤は、有機溶剤Aへの溶解度よりも有機溶剤Bへの溶解度が高く、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
酸性分散剤は、油中油型エマルションの形態を安定させることができる。
すなわち、連続相中で分散相の形状を安定させて分散させることができる。この状態で、インクが用紙に塗布されると、記録媒体上で、連続相から分散相が離脱して、連続相が用紙内部に浸透する一方で、分散相が色材とともに用紙表面に留まって、裏抜けを防止して、画像濃度を高めることができる。
また、比較的高極性の溶剤Bとともに酸性分散剤が配合されることで、ノズルプレートに対する濡れ性を改善することができる。
すなわち、連続相中で分散相の形状を安定させて分散させることができる。この状態で、インクが用紙に塗布されると、記録媒体上で、連続相から分散相が離脱して、連続相が用紙内部に浸透する一方で、分散相が色材とともに用紙表面に留まって、裏抜けを防止して、画像濃度を高めることができる。
また、比較的高極性の溶剤Bとともに酸性分散剤が配合されることで、ノズルプレートに対する濡れ性を改善することができる。
酸性分散剤は、有機溶剤Aへの溶解度よりも有機溶剤Bへの溶解度が高いことが好ましい。
好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が23℃で1g/100g以上であり、より好ましくは2g/100g以上である。また、好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、より好ましくは1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下である。さらに好ましくは、インクの配合割合において、溶剤Bに酸性分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Aに酸性分散剤が実質的に溶解しないように、酸性分散剤が選択される。
好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が23℃で1g/100g以上であり、より好ましくは2g/100g以上である。また、好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、より好ましくは1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下である。さらに好ましくは、インクの配合割合において、溶剤Bに酸性分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Aに酸性分散剤が実質的に溶解しないように、酸性分散剤が選択される。
酸性化合物の融点としては、23℃で液体状を維持するために、23℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下である。
酸性分散剤の重量平均分子量としては、1000以上であることが好ましく、より好ましくは1500以上であり、さらに好ましくは2000以上である。これによって、エマルションにおいて油相界面の強度を高め、インクの乳化安定性を十分に得ることができる。
一方、酸性分散剤の重量平均分子量としては、10000以下であることが好ましく、より好ましくは5000以下である。これによって、分散相の粘度の上昇を抑えエマルション粒子サイズが小さく安定な乳化物を得ることができる。
一方、酸性分散剤の重量平均分子量としては、10000以下であることが好ましく、より好ましくは5000以下である。これによって、分散相の粘度の上昇を抑えエマルション粒子サイズが小さく安定な乳化物を得ることができる。
酸性分散剤のハンセン溶解度パラメーター(HSP値)は、22〜27MPa/cm3であることが好ましい。また、酸性分散剤は、分散項δdが13〜20、極性項δpが5〜12、水素結合項δhが10〜20であることが好ましい。この範囲とすることで、各成分との相互作用によって、油中油型エマルションの安定性を高めることができる。
酸性分散剤の酸性基としては、リン酸基、カルボキシ基、リン酸エステル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、硝酸エステル基、亜リン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等を挙げることができる。これらは、1分子中に1種、または2種以上組み合わせて含まれてもよい。酸性基は、酸性分散剤1分子中に2個以上有することが好ましい。
酸性分散剤の樹脂骨格は、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を、単独で、または併用して用いることができる。また、これらの樹脂を構成するモノマーまたはオリゴマーの共重合体を用いてもよい。
酸性基としては、ポリマーを構成するモノマーに由来して、各構成単位の主鎖または側鎖に酸性基が結合して導入されていてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体等を挙げることができる。この場合、カルボキシ基がアクリル酸の割合に応じて導入される。また、(メタ)アクリル酸エステルとアシッド・ホスホキシ・(メタ)アクリレートの共重合体等を挙げることができる。この場合、リン酸基が導入される。
また、酸性基としては、オリゴマーまたはポリマーをリン酸エステル化して導入されていてもよい。この場合、水酸基の位置及び割合に応じてリン酸基が導入される。オリゴマーまたはポリマーの両末端に水酸基を有する場合、オリゴマーまたはポリマーの両末端にリン酸基が導入されて、合計2個のリン酸基を有する。
また、酸性基としては、オリゴマーまたはポリマーをリン酸エステル化して導入されていてもよい。この場合、水酸基の位置及び割合に応じてリン酸基が導入される。オリゴマーまたはポリマーの両末端に水酸基を有する場合、オリゴマーまたはポリマーの両末端にリン酸基が導入されて、合計2個のリン酸基を有する。
酸性分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンリン酸エステル等のポリオキシアルキルのリン酸エステル、ポリエーテルポリエステルリン酸エステル等のリン酸エステル化合物;アルキルポリホスホン酸;カルボキシ基含有(メタ)アクリルポリマー等を挙げることができる。これらは、単独で、または複数種を併用してもよい。
酸性分散剤は、酸価を持つことが好ましい。酸性分散剤の酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上であり、より好ましくは50mgKOH/g以上であり、一層好ましくは60mgKOH/g以上である。
ここで、酸価は、不揮発分1g中の全酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
ここで、酸価は、不揮発分1g中の全酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
中でも、酸価が50mgKOH/g以上であるリン酸基、ホスホン酸基、リン酸エステル基及びカルボキシ基の1種以上を有する液体有機化合物であることが好ましく、リン酸基、カルボキシ基が特に好ましい。また、酸性分散剤の両末端にリン酸基を有するものが一層好ましい。
市販されているもののなかから、酸性分散剤として用いることができるものとしては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製「DISPERBYK102、110、111」(いずれも商品名)、巴工業社製「TEGODispers655」、EFKA社製「Efka6230」、「Efka5220」、東亞合成株式会社製「ARUFON UC3510」等を挙げることができる。
「DISPERBYK111」は、エチレングリコールとポリカプロラクトンのブロック共重合体のリン酸エステル化合物であり、共重合体の両末端にリン酸基を有する。
「ARUFON UC3510」は、カルボキシ基含有アクリルポリマーである。
「DISPERBYK111」は、エチレングリコールとポリカプロラクトンのブロック共重合体のリン酸エステル化合物であり、共重合体の両末端にリン酸基を有する。
「ARUFON UC3510」は、カルボキシ基含有アクリルポリマーである。
酸性分散剤の含有量は、インク全体に対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%であり、1〜10質量%であってもよい。これによって、溶剤Aに親和性のある塩基性分散剤に対して、溶剤Bに親和性のある酸性分散剤が相互作用して、油中油型エマルションの形態を安定に維持することができる。また、溶剤B中に顔料を安定して分散させることができる。
酸性分散剤は、質量比で、色材1部に対し、0.05〜2.0部であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましく、0.2〜0.8部であることがさらに好ましく、0.2〜0.6部であってもよい。
酸性分散剤は、質量比で、色材1部に対し、0.05〜2.0部であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましく、0.2〜0.8部であることがさらに好ましく、0.2〜0.6部であってもよい。
エマルションの油相界面において、安定なコンプレックスを形成させるために、塩基性分散剤はアミノ基を有するとともに、酸性分散剤は、リン酸基、リン酸エステル基、及びカルボキシ基から選択される1種以上の基を有することが好ましい。
インクには、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を添加することができる。その他の成分としては、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を挙げることができる。
また、インクには、顔料誘導体を添加することができる。顔料誘導体としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の顔料の骨格に、カルボキシ基、スルホン酸基、アミノ基、ニトロ基、酸アミド基、カルボニル基、カルバモイル基、フタルイミド基、スルホニル基等の官能基を付加したもの、及びその塩等を好ましく使用することができる。
また、インクには、顔料誘導体を添加することができる。顔料誘導体としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の顔料の骨格に、カルボキシ基、スルホン酸基、アミノ基、ニトロ基、酸アミド基、カルボニル基、カルバモイル基、フタルイミド基、スルホニル基等の官能基を付加したもの、及びその塩等を好ましく使用することができる。
以下、本実施形態による油中油型エマルションインクの製造方法の一例について説明する。なお、本実施形態による油中油型エマルションインクは、以下の製造方法で製造されたものに限定されない。
インクの製造方法の一例としては、溶剤A、溶剤B、酸性分散剤、塩基性分散剤、色材を含む成分を一括または分割して混合し、攪拌ないし分散することで、エマルションインクを得る方法がある。本実施形態では、各成分が適正な物性を有するため、全成分を一括して混合しても、溶剤A中に液滴状の溶剤Bが分散した油中油型エマルション、または溶剤B中に液滴状の溶剤Aが分散した油中油型エマルションを提供することができる。
好ましい形態では、インク全体に対し、溶剤Aが50〜80質量%、溶剤Bが5〜20質量%となるように配合し、溶剤A中に液滴状の溶剤Bが分散した油中油型エマルションを調整することができる。
分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、超音波、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の一般的な湿式分散機を用いることができる。
好ましい形態では、インク全体に対し、溶剤Aが50〜80質量%、溶剤Bが5〜20質量%となるように配合し、溶剤A中に液滴状の溶剤Bが分散した油中油型エマルションを調整することができる。
分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、超音波、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の一般的な湿式分散機を用いることができる。
インクの製造方法の他の例としては、溶剤A及び塩基性分散剤を含む連続相を調製し、溶剤B及び酸性分散剤を含む分散相を調製し、連続相及び分散相の少なくとも一方に色材を含ませておき、連続相を適宜攪拌しながら連続相に分散相を添加し、適宜分散することで、油中油型エマルションを得る方法がある。
上記した方法で油中油型エマルションを調製した後に、得られたエマルションをそのままインクとして用いることも可能であり、また、必要に応じて、得られたエマルションに、各種添加剤を後から含ませてもよい。また、得られたエマルションに連続相となる溶剤Aをさらに添加して希釈して、インクを調整してもよい。
本発明の他の実施形態としては、SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、及び塩基性分散剤を含む連続相と、SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、及び酸性分散剤を含む分散相とを有し、連続相及び/または分散相の少なくとも一方に色材を含み、前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、油中油型エマルションインクである。
本実施形態において、各成分の詳細については、上記した通りである。
本実施形態では、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相とし、分散相の粘度が10〜100mPa・s、好ましくは10〜25mPa・sであることで、ノズルプレートに対する濡れ性をより改善することができる。
本実施形態では、溶剤Aを連続相とし、溶剤Bを分散相とし、分散相の粘度が10〜100mPa・s、好ましくは10〜25mPa・sであることで、ノズルプレートに対する濡れ性をより改善することができる。
連続相の粘度としては、インク全体の粘度に応じて適宜調整可能であり、2〜15mPa・sである。
本実施形態による油中油型エマルションインクは、インクジェットインクとして好ましく用いることができる。
インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、一層好ましい。
インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、一層好ましい。
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
本実施形態において、記録媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm〜数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、インクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。特に説明のない限り、「%」は「質量%」を示す。
<インク調整>
表1及び表2に、実施例及び比較例のインク処方及び評価結果を示す。各表において、分散剤に揮発分が含まれる場合は、分散剤の全体量とともに不揮発分量をカッコ内に併せて示す。
表1及び表2に、実施例及び比較例のインク処方及び評価結果を示す。各表において、分散剤に揮発分が含まれる場合は、分散剤の全体量とともに不揮発分量をカッコ内に併せて示す。
各表に示す配合量にしたがって、各成分を混合し、インクを調整した。
各表に示す配合量にしたがって、顔料、塩基性分散剤、及び溶剤Aを含む混合物に、ジルコニアビーズ(直径0.5mm)を入れて、ロッキングミル(株式会社セイワ技研製)により、60Hzで180分間分散した。分散後ジルコニアビーズを除去し、得られた分散体に、溶剤B、及び酸性分散剤を添加し、この混合物を冷却し、攪拌しながら、超音波ホモジナイザー(SONIC&MATERIALS、INC.製、VC750)を用いて10分間超音波を照射した。このようにして、油中油型エマルションインクを得た。
比較例3〜6では、溶剤Bの代わりに比較溶剤を用いた。
比較例9では、塩基性分散剤の代わりにノニオン分散剤を用いた。
各表に示す配合量にしたがって、顔料、塩基性分散剤、及び溶剤Aを含む混合物に、ジルコニアビーズ(直径0.5mm)を入れて、ロッキングミル(株式会社セイワ技研製)により、60Hzで180分間分散した。分散後ジルコニアビーズを除去し、得られた分散体に、溶剤B、及び酸性分散剤を添加し、この混合物を冷却し、攪拌しながら、超音波ホモジナイザー(SONIC&MATERIALS、INC.製、VC750)を用いて10分間超音波を照射した。このようにして、油中油型エマルションインクを得た。
比較例3〜6では、溶剤Bの代わりに比較溶剤を用いた。
比較例9では、塩基性分散剤の代わりにノニオン分散剤を用いた。
実施例及び比較例で用いた溶剤の詳細を表3に示す。
溶剤のSP値は、上記したHansenの溶解性パラメーターにしたがって、「POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(EDITORS.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,AND E.A.GRULKE)VII/675、TABLE9.」を参照して求めた。
各溶剤は、いずれも東京化成工業株式会社から入手した。
溶剤のSP値は、上記したHansenの溶解性パラメーターにしたがって、「POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(EDITORS.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,AND E.A.GRULKE)VII/675、TABLE9.」を参照して求めた。
各溶剤は、いずれも東京化成工業株式会社から入手した。
実施例及び比較例で用いた分散剤の詳細を表4に示す。
分散剤の酸価及び塩基価は、JIS K 2501にしたがって測定して求めた。
分散剤の酸価及び塩基価は、JIS K 2501にしたがって測定して求めた。
分散剤の詳細は、以下の通りである。
塩基性分散剤:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」、不揮発分50%。
塩基性分散剤:クローダジャパン株式会社製「Hypermer KD11」、不揮発分40%。
酸性分散剤「BYK111」:2個のリン酸基を有する液体有機化合物(共重合体の両末端にリン酸基を有するリン酸エステル化合物)、ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPER BYK111」、不揮発分95.0%。
酸性分散剤「UC3510」:東亞合成株式会社製「UC3510」、不揮発分≧98%。
ポリグリセリン脂肪酸エステル:日光ケミカルズ株式会社製「NIKKOL Decaglyn2−ISV」、不揮発分100%。
塩基性分散剤:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」、不揮発分50%。
塩基性分散剤:クローダジャパン株式会社製「Hypermer KD11」、不揮発分40%。
酸性分散剤「BYK111」:2個のリン酸基を有する液体有機化合物(共重合体の両末端にリン酸基を有するリン酸エステル化合物)、ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPER BYK111」、不揮発分95.0%。
酸性分散剤「UC3510」:東亞合成株式会社製「UC3510」、不揮発分≧98%。
ポリグリセリン脂肪酸エステル:日光ケミカルズ株式会社製「NIKKOL Decaglyn2−ISV」、不揮発分100%。
実施例及び比較例で用いた顔料「カーボンブラック」は、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製「MOGUL L」である。
各種塩基性分散剤及び各種ノニオン分散剤は、実施例及び比較例のインクの配合割合で、各種溶剤Aに溶解し、各種溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
各種酸性分散剤は、実施例及び比較例のインクの配合割合で、各種溶剤Bに溶解し、各種溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
顔料は、実施例及び比較例のインクの配合割合で、各種溶剤Aよりも各種溶剤Bに濡れやすく、溶剤B中に分散した。
各種酸性分散剤は、実施例及び比較例のインクの配合割合で、各種溶剤Bに溶解し、各種溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
顔料は、実施例及び比較例のインクの配合割合で、各種溶剤Aよりも各種溶剤Bに濡れやすく、溶剤B中に分散した。
<評価>
上記した各インクを用いて、以下の各評価を行った。結果を各表に併せて示す。
上記した各インクを用いて、以下の各評価を行った。結果を各表に併せて示す。
(ノズルプレートに対する濡れ性)
各インクを30mlのガラス容器に入れ、インクジェットプリンター「オルフィスEX9050」(商品名:理想科学工業株式会社製)に使用されるノズルプレート(長さ5mm、幅5mm)の片端をピンセットでつまみ、もう1方の片端2cmをインクに浸漬させ、5秒間保持した。その後、ノズルプレートを素早く引き上げ、ノズルプレート上に残ったインク膜がインク滴になるまでの時間tを測定した。同じ操作を10回繰り返し時間tを測定した。時間tの平均値を算出し、撥インク時間とし、下記基準で評価した。なお、使用したノズルプレートは、ポリイミドフィルムを基材とし、その表面をフッ素加工したものであった。
各インクを30mlのガラス容器に入れ、インクジェットプリンター「オルフィスEX9050」(商品名:理想科学工業株式会社製)に使用されるノズルプレート(長さ5mm、幅5mm)の片端をピンセットでつまみ、もう1方の片端2cmをインクに浸漬させ、5秒間保持した。その後、ノズルプレートを素早く引き上げ、ノズルプレート上に残ったインク膜がインク滴になるまでの時間tを測定した。同じ操作を10回繰り返し時間tを測定した。時間tの平均値を算出し、撥インク時間とし、下記基準で評価した。なお、使用したノズルプレートは、ポリイミドフィルムを基材とし、その表面をフッ素加工したものであった。
AA:撥インク時間が1秒以内である。
A:撥インク時間が1秒以上、3秒未満である。
B:撥インク時間が3秒以上、6秒未満である。
C:撥インク時間が6秒以上である。
A:撥インク時間が1秒以上、3秒未満である。
B:撥インク時間が3秒以上、6秒未満である。
C:撥インク時間が6秒以上である。
(インク貯蔵安定性)
各インクを密閉容器に入れ、70℃の環境下で1ヶ月間放置した。放置前のインク粘度と、放置後のインク粘度とを測定し、粘度変化率を以下の式から求めた。この粘度変化率を以下の基準で評価した。
インク粘度は、23℃においてせん断応力を0Paから10Paまで60秒かけて上げたときの、せん断応力が10Paにおける粘度であり、レオメーターARG2(ティ−・エイ・インスツルメント社製)を用いて、コーン角度2°、直径40mmで測定した。
1ヶ月放置前後のインク粘度から、次式により粘度変化率を求め、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
粘度変化率=[(1ヶ月後の粘度×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
A:粘度変化率が±5%以内である。
B:粘度変化率が±10%未満である。
C:粘度変化率が±10%以上である。
実施例のインクの放置前のインク粘度は、8〜10mPa/sであった。
各インクを密閉容器に入れ、70℃の環境下で1ヶ月間放置した。放置前のインク粘度と、放置後のインク粘度とを測定し、粘度変化率を以下の式から求めた。この粘度変化率を以下の基準で評価した。
インク粘度は、23℃においてせん断応力を0Paから10Paまで60秒かけて上げたときの、せん断応力が10Paにおける粘度であり、レオメーターARG2(ティ−・エイ・インスツルメント社製)を用いて、コーン角度2°、直径40mmで測定した。
1ヶ月放置前後のインク粘度から、次式により粘度変化率を求め、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
粘度変化率=[(1ヶ月後の粘度×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
A:粘度変化率が±5%以内である。
B:粘度変化率が±10%未満である。
C:粘度変化率が±10%以上である。
実施例のインクの放置前のインク粘度は、8〜10mPa/sであった。
(画像濃度、画像裏抜け)
各インクをインクジェットプリンター「オルフィスEX9050」に装填し、普通紙(理想用紙マルチ、理想科学工業株式会社製)に、解像度300dpi×300dpiで1画素当たり、30plのベタ画像を印刷した。印刷後一日経過後に、印刷物表面の画像濃度(表OD値)と、印刷物裏面の画像濃度(裏OD値)とを測定した。表OD値及び裏OD値から、画像濃度及び裏抜けを以下の基準で評価した。
各インクをインクジェットプリンター「オルフィスEX9050」に装填し、普通紙(理想用紙マルチ、理想科学工業株式会社製)に、解像度300dpi×300dpiで1画素当たり、30plのベタ画像を印刷した。印刷後一日経過後に、印刷物表面の画像濃度(表OD値)と、印刷物裏面の画像濃度(裏OD値)とを測定した。表OD値及び裏OD値から、画像濃度及び裏抜けを以下の基準で評価した。
「画像濃度」
AA:表OD値が1.10以上である。
A:表OD値が1.05以上、1.10未満である。
B:表OD値が1.00以上、1.05未満である。
C:表OD値が1.00未満である。
「裏抜け」
AA:裏OD値が0.10未満である。
A:裏OD値が0.10以上、0.20未満である。
B:裏OD値が0.20以上、0.30未満である。
C:裏OD値が0.30以上である。
AA:表OD値が1.10以上である。
A:表OD値が1.05以上、1.10未満である。
B:表OD値が1.00以上、1.05未満である。
C:表OD値が1.00未満である。
「裏抜け」
AA:裏OD値が0.10未満である。
A:裏OD値が0.10以上、0.20未満である。
B:裏OD値が0.20以上、0.30未満である。
C:裏OD値が0.30以上である。
上記各表に示す通り、各実施例のインクは、いずれの評価も良好であった。
実施例1〜6は、各種溶剤Bを用いており、溶剤Bの種類によらずに、良好な結果が得られた。
実施例7及び8は、それぞれ実施例1に対し塩基性分散剤及び酸性分散剤が異なるものの、良好な結果が得られた。
実施例9では、実施例1に対し溶剤Aが異なるものの、良好な結果が得られた。
実施例1〜6は、各種溶剤Bを用いており、溶剤Bの種類によらずに、良好な結果が得られた。
実施例7及び8は、それぞれ実施例1に対し塩基性分散剤及び酸性分散剤が異なるものの、良好な結果が得られた。
実施例9では、実施例1に対し溶剤Aが異なるものの、良好な結果が得られた。
比較例1及び2は、酸性分散剤を用いないものであり、各評価が悪かった。
比較例3〜6では、SP値が20.0mPa1/2以上の溶剤Bを含まないものであり、インク貯蔵安定性、画像濃度、裏抜けの評価が悪かった。
比較例3〜6では、比較溶剤が溶剤Aと相溶性を示すため、油中油型エマルション形態を確保しにくく、色材が溶剤とともに用紙内部に浸透し、裏抜けが発生した。
比較例3〜6では、SP値が20.0mPa1/2以上の溶剤Bを含まないものであり、インク貯蔵安定性、画像濃度、裏抜けの評価が悪かった。
比較例3〜6では、比較溶剤が溶剤Aと相溶性を示すため、油中油型エマルション形態を確保しにくく、色材が溶剤とともに用紙内部に浸透し、裏抜けが発生した。
比較例7及び8は、SP値が17.0mPa1/2以下の溶剤Aのみを含むものであり、ノズルプレートに対する濡れ性が低下した。また、貯蔵安定性、画像濃度及び裏抜けも不十分な結果であった。これは、酸性分散剤を用いた比較例8でも同様の結果であった。
比較例9は、実施例1に対し、塩基性分散剤に代えてノニオン分散剤を用いたものであり、各評価が悪かった。塩基性分散剤を用いないことで、油中油型エマルションの安定性が低下し、分散相による効果が発揮されにくくなったと考えられる。
比較例9は、実施例1に対し、塩基性分散剤に代えてノニオン分散剤を用いたものであり、各評価が悪かった。塩基性分散剤を用いないことで、油中油型エマルションの安定性が低下し、分散相による効果が発揮されにくくなったと考えられる。
Claims (8)
- SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、
SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、
色材、塩基性分散剤、及び酸性分散剤を含み、
前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、
前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、
前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、
油中油型エマルションインク。 - 前記酸性分散剤は、リン酸基、リン酸エステル基、及びカルボキシ基のうちから選択される1種以上を有する、請求項1に記載の油中油型エマルションインク。
- 前記酸性分散剤は、酸価が50mgKOH/g以上である、請求項1または2に記載の油中油型エマルションインク。
- 前記塩基性分散剤は、アミノ基を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の油中油型エマルションインク。
- インク全体に対し、前記溶剤Aを50〜80質量%、前記溶剤Bを5〜20質量%含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の油中油型エマルションインク。
- 前記酸性分散剤は、質量比で、前記色材1部に対し、0.2〜0.8部である、請求項1から5のいずれか1項に記載の油中油型エマルションインク。
- SP値17.0MPa1/2以下の有機溶剤A、塩基性分散剤を含む連続相と、
SP値20.0MPa1/2以上の有機溶剤B、酸性分散剤を含む分散相とを有し、
連続相及び/または分散相の少なくとも一方に色材を含み、
前記塩基性分散剤は、前記有機溶剤Bへの溶解度よりも前記有機溶剤Aへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、前記有機溶剤Aへの溶解度よりも前記有機溶剤Bへの溶解度が高く、前記酸性分散剤は、23℃で液体状であり、重量平均分子量が1000以上である、
油中油型エマルションインク。 - インクジェットインクである、請求項1から7のいずれか1項に記載の油中油型エマルションインク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016191472A JP2018053129A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | 油中油型エマルションインク |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016191472A JP2018053129A (ja) | 2016-09-29 | 2016-09-29 | 油中油型エマルションインク |
Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020122072A (ja) * | 2019-01-30 | 2020-08-13 | 理想科学工業株式会社 | 油性インクジェットインク及び分散剤の製造方法 |
WO2022054387A1 (ja) * | 2020-09-11 | 2022-03-17 | 富士フイルム株式会社 | インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 |
-
2016
- 2016-09-29 JP JP2016191472A patent/JP2018053129A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020122072A (ja) * | 2019-01-30 | 2020-08-13 | 理想科学工業株式会社 | 油性インクジェットインク及び分散剤の製造方法 |
JP7178919B2 (ja) | 2019-01-30 | 2022-11-28 | 理想科学工業株式会社 | 油性インクジェットインク及び分散剤の製造方法 |
US11542402B2 (en) | 2019-01-30 | 2023-01-03 | Riso Kagaku Corporation | Oil-based inkjet ink, method for producing oil-based inkjet ink and method for producing dispersant |
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