JP2018049177A - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、感放射線性酸発生剤、化合物及び化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体と[B]酸発生剤とを含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[B’]他の酸発生体、[C]酸拡散制御体、[A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい重合体(以下、「[D]重合体」ともいう)、及び/又は[E]溶媒を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
[A]重合体は、酸解離性基を含む構造単位(I)を有する重合体である。ここで「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。[A]重合体は、構造単位(I)以外に、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)をさらに有することが好ましく、構造単位(I)〜(II)以外のその他の構造単位を有してもよい。[A]重合体は、上記構造単位をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。当該感放射線性樹脂組成物により形成されるレジスト膜の露光部では、[B]酸発生剤等から放射線の照射に起因して生じる酸により構造単位(I)の酸解離性基が解離し、その結果、上記レジスト膜の露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じる。これにより、上記レジスト膜からレジストパターンを形成することが可能となる。
構造単位(I−1)は、下記式(2)で表される構造単位である。下記式(2)における−CR15R16R17で表される基が酸解離性基である。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の1価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の1価の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の1価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の1価の多環の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロデカン構造等の単環の脂環式飽和炭化水素構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の脂環式飽和炭化水素構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造等の単環の脂環式不飽和炭化水素構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環の脂環式不飽和炭化水素構造などが挙げられる。
構造単位(I−2)は、アセタール構造を含む構造単位である。構造単位(I−2)としては、例えば下記式(X)で表される基(以下、「基(X)」ともいう)を含む構造単位等が挙げられる。基(X)は、酸の作用により分解して、*−RwOH、RXRY=O及びRZOHを生じる。基(X)において−C(RX)(RY)(ORZ)が酸解離性基である。
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(II)をさらに有することで、現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、MEEF性能及び膜収縮抑制性をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト膜と基板との密着性をより向上させることができる。ここで、ラクトン構造とは、−O−C(O)−で表される基を含む1つの環(ラクトン環)を有する構造をいう。また、環状カーボネート構造とは、−O−C(O)−O−で表される基を含む1つの環(環状カーボネート環)を有する構造をいう。さらに、スルトン構造とは、−O−S(O)2−で表される基を含む1つの環(スルトン環)を有する構造をいう。構造単位(II)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(II)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、例えばヒドロキシ基を含む構造単位等が挙げられる。ヒドロキシ基としては、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。[A]重合体がフェノール性水酸基を含む構造単位を有すると、KrF露光、EUV露光、電子線露光等を行う場合の感度をより向上できる。
[A]重合体は、例えばラジカル重合開始剤等の存在下、各構造単位を与える単量体を適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの重合に使用される溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
GPCカラム:例えば東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、及び「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[B]酸発生剤は、−SO3 −と、第1炭素原子、第2炭素原子と、2個以上の電子求引性基(フッ素原子、フルオロアルキル基、−SO3 −及びスルホ基を除く。)とを含む1価のアニオン、及び1価の感放射線性オニウムカチオンを有する化合物(Z)からなる。化合物(Z)は、第1炭素原子に上記−SO3 −基及び第2炭素原子が結合し、第1炭素原子及び第2炭素原子の一方又は両方に合計2個以上の上記電子求引性基が結合している。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基;
i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基などが挙げられる。
メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環の脂環式炭化水素構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の脂環式炭化水素構造などが挙げられる。
アザシクロペンタン構造、アザシクロへキサン構造等のアザシクロアルカン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等のオキサシクロアルカン構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロへキサン構造等のチアシクロアルカン構造;
オキサゾリジン構造、1,4,2−ジオキサゾリジン構造、チアゾリジン構造、下記式(K)で表される構造などが挙げられる。
[製造方法(1)]
化合物(Z)は、例えば上記式(1−1)で表され、R1が水素原子である化合物(Z’−a)の場合、下記スキームに従い、簡便かつ収率よく合成することができる。
化合物(Z)は、例えば化合物(Z−3)の場合、下記スキームに従い、簡便かつ収率よく合成することができる。
[B’]他の酸発生体は、[B]酸発生剤以外の成分であって、露光により酸を発生する物質である。当該感放射線性樹脂組成物は、[B]酸発生剤に加えて[B’]他の酸発生体を含有することで、よりレジストパターンを形成し易くなる。特に、[B]酸発生剤を[B2]酸発生剤として用いる場合においては、当該感放射線性樹脂組成物が[B’]他の酸発生体を含有することで、主に[B’]酸発生剤から発生する酸により[A]重合体の酸解離性基を解離させて露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性の差異を生じさせ、その結果、レジストパターンを形成させることができる。当該感放射線性樹脂組成物における[B’]酸発生体の含有形態としては、低分子化合物の形態(以下、適宜「[B’]他の酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環の脂環式飽和炭化水素構造;
シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環の脂環式不飽和炭化水素構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の脂環式飽和炭化水素構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環の脂環式不飽和炭化水素構造などが挙げられる。
ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造等のイオウ原子含有複素環構造などが挙げられる。
ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等が挙げられる。
フラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造;
ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などが挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて、[C]酸拡散制御体を含有してもよい。特に、[B]酸発生剤を[B1]酸発生剤として用いる場合、[C]酸拡散制御体と併用するとよい。[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生剤、[B’]他の酸発生剤等から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、レジストとしての解像度がより向上する。さらに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。[C]酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」ともいう)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[D]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい重合体である。[D]重合体を含有する当該感放射線性樹脂組成物により形成されるレジスト膜は、膜中の[D]重合体の分布がその撥油性的特徴によりレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があるため、液浸露光時において酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[D]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
構造単位(Da)は、下記式(6a)で表される構造単位である。[D]重合体は、構造単位(Da)を有することでフッ素原子含有率を調整することができる。
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル等の直鎖部分フッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステル;
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル等の分岐鎖部分フッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステル;
パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル等の直鎖パーフルオロアルキル(メタ)アクリル酸エステル;
パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル等の分岐鎖パーフルオロアルキル(メタ)アクリル酸エステルなどのフッ素化鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、
パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル等の単環のフッ素化脂環式飽和炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル;
フルオロノルボルニル(メタ)アクリル酸エステル等の多環のフッ素化脂環式飽和炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルなどのフッ素化脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中で、フッ素化鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、直鎖部分フッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルがさらに好ましい。
構造単位(Db)は、下記式(6b)で表される構造単位である。[D]重合体は、構造単位(Db)を有することで、フッ素原子含有率を調整できると共に、アルカリ現像前後における撥水性及び親水性を変化させることができる。
[D]重合体は、構造単位(Da)及び(Db)以外にも、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(Dc)」ともいう)を有してもよい(但し、構造単位(Da)〜(Db)に該当するものを除く)。[D]重合体が構造単位(Dc)を有することで、得られるレジストパターンの形状がより良好になる。構造単位(Dc)としては、上述の[A]重合体における構造単位(I)として例示したものと同様の構造単位等が挙げられる。
また、[D]重合体は、上述の構造単位以外にも、例えばアルカリ可溶性基を含む構造単位、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位、脂環式基を含む構造単位等の他の構造単位を有していてもよい。上記アルカリ可溶性基としては、例えばカルボキシ基、スルホンアミド基、スルホ基等が挙げられる。ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位としては、上述の[A]重合体における構造単位(II)で例示したものと同様の構造単位等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物に用いる[E]溶媒は、少なくとも[A]重合体及び[B]酸発生剤と、所望により含有される[B’]他の酸発生体、[C]酸拡散制御体、[D]重合体等の任意成分とを溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノンなどが挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
酢酸プロピレングリコール等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
[F]偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有する場合等に、より効率的にレジスト膜表面に[D]重合体を偏析させる効果を有する。当該感放射線性樹脂組成物が[F]偏在化促進剤を含有することで、[D]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、LWR性能等を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出の抑制や、高速スキャンによる液浸露光の高速化が可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制できる。[F]偏在化促進剤として用いることができる化合物としては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、上述の[A]〜[F]以外の成分にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
当該感放射線性樹脂組成物に用いる界面活性剤は、塗工性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の市販品としては、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、同F173(以上、DIC社製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社製)等が挙げられる。界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物に用いる脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
増感剤は、[B]酸発生剤、[B’]他の酸発生体等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体及び[B]酸発生剤と、必要に応じて含有される[B’]他の酸発生体、[C]酸拡散制御剤、[D]重合体、[E]溶媒等の任意成分とを所定の割合で混合し、好ましくは得られた混合物を例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製することができる。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。一方、上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。
当該レジストパターン形成方法は、基板の一方の面側に、当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工により得られるレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備える。
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を基板の一方の面側に塗工し、レジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウエハや、二酸化シリコン、アルミニウム等で被覆されたウエハなどの従来公知のものが挙げられる。また、上記基板上には、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を予め形成しておいてもよい。塗工方法としては、例えば回転塗工(スピンコーティング)、流延塗工、ロール塗工等が挙げられる。塗工した後に、必要に応じて、当該感放射線性樹脂組成物の[E]溶媒等の揮発成分を除去するため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PBの温度の下限としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましい。一方、上記温度の上限としては、140℃が好ましく、120℃がより好ましい。PBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。一方、上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。形成されるレジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。一方、上記平均厚みの上限としては、1,000nmが好ましく、500nmがより好ましい。
本工程では、レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)露光光を照射し、露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV及び電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV及び電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光、EUV及び電子線がさらに好ましい。
本工程では、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水、ルコール等のリンス液で洗浄した後に乾燥させることが一般的である。現像工程における現像方法は、アルカリ現像であっても、有機溶媒現像であってもよい。有機溶媒現像の場合、露光部がレジストパターンを形成するため、当該感放射線性樹脂組成物の優れた膜収縮抑制性を効果的に発揮することができる。
当該酸発生剤は、−SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、上記式(A)で表される2個以上の電子求引性基と、上記電子求引性基以外の有機基とを含む1価のアニオン、並びに1価の感放射線性オニウムカチオンを有し、第1炭素原子に上記−SO3 −及び第2炭素原子が結合し、第1炭素原子及び第2炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合している化合物からなる。当該酸発生剤は、感放射線性樹脂組成物のLWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、MEEF性能及び膜収縮抑制性を向上するため、感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。
当該酸発生剤は、−SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、上記式(A)で表される2個以上の電子求引性基と、上記電子求引性基以外の有機基とを含む1価のアニオン、並びに1価の感放射線性オニウムカチオンを有し、第1炭素原子に上記−SO3 −及び第2炭素原子が結合し、第1炭素原子及び第2炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合している。当該化合物は、上述の性質を有するので、感放射線性樹脂組成物の酸発生剤として好適に用いることができる。
[第1の製造方法]
当該化合物の第1の製造方法は、−SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、上記式(A)で表される2個以上の電子求引性基と、上記電子求引性基以外の有機基とを含む1価のアニオン、並びに1価の感放射線性オニウムカチオンを有し、第1炭素原子に上記−SO3 −及び第2炭素原子が結合し、第1炭素原子及び第2炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合している化合物の製造方法であって、エチレン性炭素−炭素二重結合を構成する一対の炭素原子と、この一対の炭素原子の一方又は両方に結合する上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基とを有する不飽和化合物の上記二重結合に、亜硫酸塩を付加反応させる工程を備えることを特徴とする。当該製造方法によれば、当該化合物を容易かつ確実に製造できる。
当該化合物の第1の製造方法は、−SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、上記式(A)で表される2個以上の電子求引性基と、上記電子求引性基以外の有機基とを含む1価のアニオン、並びに1価の感放射線性オニウムカチオンを有し、第1炭素原子に上記−SO3 −及び第2炭素原子が結合し、第1炭素原子及び第2炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合している化合物の製造方法であって、ハロゲン原子と、第3炭素原子と、第4炭素原子と、2個以上の上記電子求引性基と、上記有機基とを有し、第3炭素原子に上記ハロゲン原子及び第4炭素原子が結合し、第3炭素原子及び第4炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合しているハロゲン化合物の第3炭素原子及びハロゲン原子に、亜ジチオン酸塩を置換反応させる工程を備えることを特徴とする。当該製造方法によれば、当該化合物を容易かつ確実に製造できる。
実施例で用いる重合体のMw及びMnは、東ソー社製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、及びG4000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
日本電子社の「JNM−ECX400」を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
[実施例1](化合物(Z−1)の合成)
300mLの丸底フラスコに、下記式(z−1)で表されるアルデヒド化合物3g(15.4mmol)、マロノニトリル1.02g(15.4mmol)、イミダゾール0.1g(1.54mmol)、及び塩化メチレン200mLを加え、窒素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。攪拌後の反応液に水100mLを加え、有機層を抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後の反応液から溶媒を留去することで、化合物(z’−1)を3.73g(収率100%)得た。
下記式(z−12)で表されるハロゲン化合物4.26g(14.8mmol)、亜ジチオン酸ナトリウム3.60g(20.7mmol)、炭酸水素ナトリウム1.99g(23.7mmol)、アセトニトリル20mL、及び水20mLを200mLのナスフラスコに入れ、70℃で5時間加熱撹拌してスルフィン化を実施した。次に、反応液を室温まで冷却した後、スルフィン体は単離せずに、タングステン酸(IV)ナトリウムを触媒量添加し、その後、水浴しながら30%過酸化水素水を2.86g(25.2mmol)滴下した。この反応液を7時間撹拌した後、アセトニトリルで抽出し、溶媒を留去することにより、スルホン酸ナトリウム体(z’−12)を2.15g(収率55%)得た。
前駆体を適宜選択し、実施例1又は12と同様の処方を選択することで、下記式(Z−2)〜(Z−11)又は(Z−13)〜(Z−14)で表される化合物を合成した。
各実施例及び比較例における各重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
化合物(M−1)9.38g(50モル%)及び化合物(M−8)10.62g(50モル%)を2−ブタノン40gに溶解させ、得られた溶液にさらにアゾビスイソブチロニトリル0.785g(全モノマーに対して5モル%)を溶解させることで単量体溶液を調製した。次に、2−ブタノン20gを入れた200mL三口フラスコを窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に加熱し、そこに調製した上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、この反応液をさらに80℃で3時間加熱することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液を室温まで冷却し、その後、メタノール300g中に投入して析出した固体を濾別した。濾別した固体をメタノール60mLで2回洗浄し、さらに濾別した後、減圧下、50℃で15時間乾燥させることで重合体(A−1)を得た(収量15.8g、収率78.9%)。重合体(A−1)のMwは6,100であり、Mw/Mnは1.41であった。13C−NMR分析の結果、重合体(A−1)における化合物(M−1)及び化合物(M−8)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ49.8モル%及び50.2モル%であった。
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行うことによって、重合体(A−2)〜(A−7)を合成した。
化合物(M−15)45.24g(50モル%)、化合物(M−1)54.76g(50モル%)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4.58g(全モノマーに対して5モル%)、及びt−ドデシルメルカプタン1.14gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解させた後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して凝固精製した後、得られた固体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加え、さらにメタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた固体をアセトン150gに溶解させた後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した固体をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−8)を得た(収量63.8g、収率72.3%)。重合体(A−8)のMwは6,400であり、Mw/Mnは1.72であった。13C−NMR分析の結果、重合体(A−8)におけるp−ヒドロキシスチレン単位及び化合物(M−1)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ48.8モル%及び51.2モル%であった。
化合物(M−16)5.16g(20モル%)、化合物(M−17)11.46g(40モル%)、及び化合物(M−18)13.38gを2−ブタノン20gに溶解させ、得られた溶液にさらにアゾビスイソブチロニトリル1.16g(全モノマーに対して5モル%)を溶解させることで単量体溶液を調製した。次に、2−ブタノン10gを入れた100mL三口フラスコを窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に加熱し、そこに上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後の反応液をさらに80℃で3時間加熱することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液を室温まで冷却した。反応液を分液漏斗に移液した後、45gのn−ヘキサンで上記反応液を均一に希釈し、その後、180gのメタノールを投入して混合した。次いで、この混合液に9gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。次いで、混合液から下層を回収し、回収した下層の溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、固形分である重合体(D−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率72.0%)。重合体(D−1)のMwは7,300であり、Mw/Mnは2.00であった。13C−NMR分析の結果、重合体(D−1)における化合物(M−16)、化合物(M−17)、及び化合物(M−18)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ20.1モル%、38.9モル%、及び41.0モル%であった。
実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B’]他の酸発生剤、[C]酸拡散制御剤及び[E]溶媒を以下に示す。
各構造式を以下に示す。
各名称及び構造式を以下に示す。
C−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
C−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
C−3:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
E−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
E−2:シクロヘキサノン
F−1:γ−ブチロラクトン
[実施例15](感放射線性樹脂組成物(J−1)の調製)
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B1]酸発生剤としての(Z−1)7.9質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−1)1.6質量部、[D]重合体としての(D−1)3質量部、[E]溶媒としての(E−1)2,240質量部及び(E−2)960質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例15と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、化合物(Z−1)〜(Z−14)は[B1]酸発生剤として用いた。
12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの反射防止膜を形成した。この反射防止膜上に、上述の通り調製した各感放射線性樹脂組成物を上記スピンコーターを使用して塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、感放射線性樹脂組成物を塗布した上記ウエハを23℃で30秒間冷却することで平均厚さ90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、上記レジスト膜に90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて上記レジスト膜をアルカリ現像し、現像後に水で洗浄し、さらに乾燥させることでポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量とした。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記走査型電子顕微鏡を用い、レジストパターンをパターン上部から観察し、その線幅を任意のポイントで計50点測定した。この測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど良いことを示す。LWR性能は、4.0nm以下の場合は「良好」と、4.0nmを超える場合は「良好でない」と評価できる。
上記最適露光量において解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定結果を解像性(nm)とした。解像性は、その値が小さいほど良いことを示す。解像性は、34nm以下の場合は「良好」と、34nmを超える場合は「良好でない」と評価できる。
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの高さ方向の中間での線幅Lbと、レジストパターンの上部での線幅Laとを測定し、Lbに対するLaの比を断面形状の矩形性とした。断面形状の矩形性は、0.9≦La/Lb≦1.1である場合に「良好」と、上記範囲外である場合に「良好でない」と評価できる。
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定結果を焦点深度(nm)とした。焦点深度は、値が大きいほど良いことを示す。焦点深度は、60nm以上の場合は「良好」と、60nmを超える場合は「良好でない」と評価できる。
上記最適露光量において、5種類のマスクサイズ(38.0nmLine/80nmPitch、39.0nmLine/80nmPitch、40.0nmLine/80nmPitch、41.0nmLine/80nmPitch、及び42.0nmLine/80nmPitch)で解像されるレジストパターンの線幅を測定した。横軸をマスクサイズ、縦軸を各マスクサイズで形成された線幅として得られた測定値をプロットし、最小二乗法により算出した近似直線の傾きを求め、この傾きをMEEF性能とした。MEEF性能は、その値が小さいほど良いことを示す。MEEF性能は、4.0以下の場合を「良好」、4.0を超える場合を「良好でない」と評価できる。
12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの反射防止膜を形成した。この反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上述の通り調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、PBを行った上記シリコンウエハを23℃で30秒間冷却し、平均厚さ90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJで全面露光を行った後に膜厚測定を実施してPEB前の膜厚Aを求めた。続いて、全面露光後のレジスト膜に90℃で60秒間のPEBを実施した後に、再度膜厚測定を実施し、PEB後の膜厚Bを求めた。測定結果をから100×(A−B)/A(%)を求め、これを膜収縮抑制性(%)とした。膜収縮抑制性は、その値が小さいほど膜収縮抑制性に優れるため良いことを示す。膜収縮抑制性は、14%以下の場合を「良好」、14%を超える場合を「良好でない」と評価できる。
[実施例37](感放射線性樹脂組成物(J−23)の調製)
[A]重合体としての(A−8)100質量部、酸発生剤としての(Z−1)20質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−1)3.2質量部、[D]重合体としての(D−1)3質量部、並びに[E]溶媒としての(E−1)4,280質量部及び(E−2)1,830質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−23)を調製した。
下記表4に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例37と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
8インチのシリコンウエハ表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、表4に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、上記シリコンウエハを23℃で30秒間冷却し、平均厚さ50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。照射後、上記レジスト膜に120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いて上記レジスト膜を23℃で30秒間現像し、その後、水で洗浄し、さらに乾燥させることでポジ型のレジストパターンを形成した。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
Claims (15)
- 酸解離性基を含む構造単位を有する重合体と、
感放射線性酸発生剤と
を含有し、
上記感放射線性酸発生剤が、−SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、2個以上の電子求引性基(フッ素原子、フルオロアルキル基、−SO3 −及びスルホ基を除く。)とを含む1価のアニオン、及び1価の感放射線性オニウムカチオンを有する第1化合物であり、
上記第1炭素原子に上記−SO3 −及び上記第2炭素原子が結合し、上記第1炭素原子及び上記第2炭素原子の一方又は両方に合計2個以上の上記電子求引性基が結合している感放射線性樹脂組成物。 - 上記第1炭素原子及び上記第2炭素原子の一方又は両方に、上記電子求引性基以外の有機基がさらに結合している請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)におけるR1、R2及びR3のうちの少なくとも1つが、酸素原子及び硫黄原子のうちの少なくとも一方を含む1価の有機基、又は水素原子である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)におけるR1、R2及びR3が水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を基板の一方の面側に塗工する工程と、
上記塗工工程により得られるレジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
を備えるレジストパターン形成方法。 - −SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、2個以上の下記式(A)で表される電子求引性基と、この電子求引性基以外の有機基とを含む1価のアニオン、並びに1価の感放射線性オニウムカチオンを有し、上記第1炭素原子に上記−SO3 −及び上記第2炭素原子が結合し、上記第1炭素原子及び上記第2炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合している化合物の製造方法であって、
エチレン性炭素−炭素二重結合を構成する一対の炭素原子と、この一対の炭素原子の一方又は両方に結合する上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基とを有する不飽和化合物の上記二重結合に、亜硫酸塩を付加反応させる工程
を備えることを特徴とする化合物の製造方法。
- −SO3 −と、第1炭素原子と、第2炭素原子と、2個以上の下記式(A)で表される電子求引性基と、この電子求引性基以外の有機基とを含む1価のアニオン、並びに1価の感放射線性オニウムカチオンを有し、上記第1炭素原子に上記−SO3 −及び上記第2炭素原子が結合し、上記第1炭素原子及び上記第2炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合している化合物の製造方法であって、
ハロゲン原子と、第3炭素原子と、第4炭素原子と、2個以上の上記電子求引性基と、上記有機基とを有し、上記第3炭素原子に上記ハロゲン原子及び上記第4炭素原子が結合し、上記第3炭素原子及び上記第4炭素原子の一方又は両方に上記有機基及び合計2個以上の上記電子求引性基が結合しているハロゲン化合物の上記第3炭素原子及びハロゲン原子に、亜ジチオン酸塩を置換反応させる工程
を備えることを特徴とする化合物の製造方法。
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