JP2018048685A - 遊星歯車装置及びそれを用いた車両用駆動装置 - Google Patents

遊星歯車装置及びそれを用いた車両用駆動装置 Download PDF

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功 平井
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Abstract

【課題】 遊星歯車PL、PRの側面に装着されるスラスト板38の外周面に到達した潤滑油を、遊星歯車PL、PRを回転支持する針状ころ軸受37内に導くことにより、針状ころ軸受37への潤滑油供給を改善し、針状ころ軸受37の長寿命化を図る。【解決手段】 スラスト板38の外周形状を、歯車支持軸33に設けられた針状ころ軸受37の外径軌道面37bよりも外径側に位置し、遊星歯車PL、PRの幅面とキャリヤフランジ34a、34bの幅面との間を摺接する大径部と、歯車支持軸33に設けられた針状ころ軸受37の外径軌道面37bよりも内径側に位置する小径部との組み合わせ形状にし、針状ころ軸受37の外径軌道面37bよりも内径側に位置するスラスト板38の小径部と針状ころ軸受37の外径軌道面37bとの間に、針状ころ軸受37の収容空間に連通する連通部38bを設けた。【選択図】 図11

Description

この発明は、車両用駆動装置の減速機に用いられる遊星歯車装置、特に、遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油供給を改善し、針状ころ軸受を長寿命化した遊星歯車装置に関するものである。
車両用等の各種の回転駆動装置の減速機等に使用されている遊星歯車装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1の遊星歯車装置は、図23に示すように、内歯車Rと、内歯車Rと同軸上に設けられた太陽歯車Sと、内歯車Rと太陽歯車Sに噛み合う公転歯車としての遊星歯車Pと、内歯車Rと同軸上に設けられた遊星キャリヤCとからなる。
また、特許文献2及び特許文献3には、二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、3要素2自由度の遊星歯車装置を同軸上に二つ組み合わせた歯車装置を備え、二つの駆動源から与えられるトルクの差を増幅して左右の駆動輪に与えることができる車両用駆動装置が開示されている。
本願の出願人は、特許文献2と特許文献3におけるトルク差を増幅する歯車装置よりも小型、軽量化を図った車両用駆動装置を、既に特許出願を行っている(特願2016−023529号)。
この本願の出願人が特許出願している車両用駆動装置(先願例1)は、図24及び図25に示す構成である。
先願例1の車両用駆動装置200における歯車装置300を構成する遊星歯車装置210L、210Rは、それぞれ内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、公転歯車としての複数の遊星歯車PL、PRとを有する。歯車装置300は、一方の遊星キャリヤCLと他方の太陽歯車SRとを結合する第1結合部材211と、一方の太陽歯車SLと他方の遊星キャリヤCRとを結合する第2結合部材212を有し、第1結合部材211と第2結合部材212が同軸上に配置されると共に、第1結合部材211および第2結合部材212のうち、第2結合部材212が中空軸、第1結合部材211が中空軸の第2結合部材212に挿通される軸を有し、2つの遊星歯車装置210L、210Rの間を通る軸が二重構造となる構成であって、遊星歯車装置210L、210Rの内歯車RL、RRと減速機の入力歯車213とを、内歯車RL、RRに設けた外歯車217に係合して連結する構造である。
この先願例1の車両駆動装置200は、左右輪を駆動する駆動モータ101L、101Rのトルク差を増幅して車輪に出力することができる。
即ち、駆動モータ101L、101Rの駆動力は、3軸2段減速機の減速ギヤ列で伝達され、2軸目に位置する2個の遊星歯車装置210L、210Rを同軸で結合した歯車装置300により、入力トルクの差が増幅され左右輪に出力される。
そして、車輪の回転速度に差が無い場合には、歯車装置300の2個の遊星歯車装置210L、210Rの内部(太陽歯車SL、SR、遊星歯車PL、PR)は相対回転せず、遊星歯車装置210L、210Rが一体となり回転する。車輪の回転速度に差が有る場合には、歯車装置300の2個の遊星歯車装置210L、210Rの内部が回転し、太陽歯車SL、SR、内歯車RL、RRは相対回転し、遊星歯車PL、PRが自転・公転する。
実用新案登録第2507561号公報 特開2015−21594号公報 特許第4907390号公報 特開2008−88993号公報 特開2000−337484号公報
ところで、遊星歯車装置210L、210Rは、図24及び図25に示すように、遊星歯車PL、PRの中心に位置する歯車支持軸218に針状ころ軸受220を介して、遊星歯車PL、PRが回転自在に支持されている。歯車支持軸218の両端は、遊星キャリヤCL、CRの一対のキャリヤフランジ221に挿通固定されている。
一対のキャリヤフランジ221と遊星歯車PL、PRの間には、遊星歯車PL、PRの回転を円滑化するために、図26及び図27に示すような、歯車支持軸218が内部を通る形のスラスト板222を装着している。
遊星歯車PL、PRを歯車支持軸218に対して回転自在に支持する針状ころ軸受220は、図27に示すように、歯車支持軸218の外径面によって構成される内輪軌道面220aと、遊星歯車PL、PRの内径面によって構成される外輪軌道面220bと、内輪軌道面220aと外輪軌道面220bとの間に収容された複数本の針状ころ220cと、複数本の針状ころ220cを等間隔に保持する保持器220dとからなる。
スラスト板222は、図26及び図27に示すように、中心に歯車支持軸218が通る貫通孔223を有するリング形状に形成され、スラスト板222の外径は、外輪軌道面220bを構成する遊星歯車PL、PRの内径面よりも大きく形成され、スラスト板222がキャリヤフランジ221の幅面と遊星歯車PL、PRの幅面との間で摺接している。
図27は、スラスト板222の一部を切り欠いて示しており、スラスト板222に隠れた針状ころ220c、保持器220d、外輪軌道面220bが見えるようにしている。
ところで、先願例1の車両用駆動装置200に使用される遊星歯車装置210L、210Rにおいては、歯車歯面や転がり軸受の潤滑のために、遊星歯車装置210L、210Rの歯車の一部や平行軸歯車減速機の歯車の一部が減速機下部に溜められた潤滑油に浸かるよう油面高さが設定され、油浴潤滑や歯車の回転による跳ね掛け潤滑が行われている。
ところが、先願例1の車両用駆動装置200のように、2個の遊星歯車装置210L、210Rを同軸で結合した歯車装置300においては、車両の停止時に内部の遊星歯車PL、PRの歯車支持軸218が潤滑油に浸かるように油面高さを設定していても、歯車装置300の内歯車RL、RRも中間歯車軸の大歯車として回転するため、回転する内歯車RL、RRが減速機ハウジングの下部に溜められた潤滑油を掻き分けてしまい、特に、車両の高速走行時は遊星歯車PL、PRの歯車支持軸218が
潤滑油に浸からない状態になる。
また、遊星歯車PL、PRとキャリヤフランジ221の間に位置するスラスト板222は、遊星歯車PL、PRを所定の軸方向範囲に保持するため、遊星歯車PL、PRとキャリヤフランジ221とのクリアランスが小さい。
さらに、遊星歯車PL、PRを均一に保持するように、図26及び図27に示すように、スラスト板222は円形となっており、スラスト板222の外径は、外輪軌道面220bを構成する遊星歯車PL、PRの内径面よりも大きく形成され、スラスト板222によって針状ころ軸受220における外輪軌道面220bと内輪軌道面220aとの間の針状ころ220cの収容空間が塞がれている。
したがって、内歯車RL、RRと遊星キャリヤCL、CRが共に回転する遊星歯車装置210L、210Rの油浴潤滑や跳ね掛け潤滑では、遊星歯車PL、PRを支持する針状ころ軸受220の収容空間に潤滑油が供給され難く、潤滑不良により針状ころ軸受220が早期に破損する恐れがあった。
従来、遊星歯車装置において、遊星歯車の幅面に配置されるスラスト板に溝を設け、潤滑油をスラスト板の溝によって潤滑油を供給しようとする技術が特許文献4に開示されている。
特許文献4のようにスラスト板に溝を設けたとしても、内歯車RL、RRと遊星キャリヤCL、CRが共に回転する遊星歯車装置210L、210Rのような場合には、前記のように、特に、車両の高速走行時は回転する内歯車RL、RRが減速機ハウジングの下部に溜められた潤滑油を掻き分けてしまうので、スラスト板が潤滑油に浸からず、スラスト板に溝があっても、遊星歯車PL、PRを支持する針状ころ軸受220内に潤滑油が入っていかず、潤滑効果が得られない。また、薄いスラスト板に溝加工を行うことは、そもそも加工の難易度が高いという課題もある。
また、特許文献5には、スラスト板に油溜め穴を設け、遊星歯車の内周部の針状ころ軸受側からスラスト板に向けて流れてきた潤滑油をスラスト板の油留め穴に保持して、スラスト板と遊星歯車または遊星キャリヤとの摺動面の潤滑を向上させようとする技術が開示されている。
しかしながら、この特許文献5の技術では、スラスト板の外周面から飛散してきた潤滑油を針状ころ軸受の外輪軌道面と内輪軌道面との間の針状ころの収容空間に導くことはできない。特に、内歯車と遊星キャリヤが共に回転する車両用駆動装置の遊星歯車装置では、減速機ハウジングの下部の油溜まりから歯車の回転で掻き上げられて飛散した潤滑油は、減速機ハウジングの内壁に付着し、減速機ハウジングの内壁に設けたリブに沿って流れるため、この潤滑油がスラスト板の外周面に到達しても、特許文献5の技術では、潤滑油を針状ころ軸受の外輪軌道面と内輪軌道面との間の針状ころの収容空間に導くことはできない。
そこで、この発明は、減速機ハウジングの下部の油溜まりから歯車の回転で掻き上げられて飛散した潤滑油が、減速機ハウジングの内壁に付着し、減速機ハウジングの内壁に設けたリブに沿って流れた際に、この潤滑油を針状ころ軸受の外輪軌道面と内輪軌道面との間の針状ころの収容空間に導くことができるようにすることにより、遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油供給を改善し、針状ころ軸受を長寿命化しようとするものである。
前記の課題を解決するために、この発明は、内歯車と、内歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、内歯車と太陽歯車に噛み合う公転歯車としての複数の遊星歯車と、遊星歯車を針状ころ軸受を介して回転自在に支持する歯車支持軸と、遊星歯車の両側を挟み、歯車支持軸の両端が挿通固定されるキャリヤフランジを有する遊星キャリヤとを備え、遊星歯車の幅面とキャリヤフランジの幅面との間にスラスト板を設けた遊星歯車装置において、スラスト板の外周形状を、歯車支持軸に設けられた針状ころ軸受の外径軌道面よりも外径側に位置し、遊星歯車の幅面とキャリヤフランジの幅面との間を摺接する大径部と、歯車支持軸に設けられた針状ころ軸受の外径軌道面よりも内径側に位置する小径部との組み合わせ形状にし、針状ころ軸受の外径軌道面よりも内径側に位置するスラスト板の小径部と針状ころ軸受の外径軌道面との間に、針状ころ軸受の収容空間に連通する連通部を形成したことを特徴とする。
前記遊星歯車装置をハウジング内に収容し、遊星キャリヤの軸心に遊星キャリヤをハウジングに対して支持する中空軸部を設け、この中空軸部に、前記ハウジングの壁面を流れる潤滑油を前記スラスト板の外径部に供給する潤滑油通路を設けてもよい。
前記中空軸部の内径部に転がり軸受を介して太陽歯車を支持し、スラスト板の外径部に供給する潤滑油通路が太陽歯車を支持する転がり軸受を通過するように設けてもよい。
前記中空軸部と太陽歯車との間に、トルクを伝達するスプライン部を設け、このスプライン部に欠歯部を設け、この欠歯部がスラスト板の外径部に潤滑油を供給する潤滑油通路を構成するようにしてもよい。
前記中空軸部が対面するハウジングの壁面に、ハウジングの壁面を流れる潤滑油を集油し、中空軸部内に潤滑油を供給する油受け部材を設けるようにしてもよい。
前記中空軸部の内径面に段差部を設け、前記油受け部材に、段差部を超えて集油した潤滑油を軸方向の内部に導く導油管を設けるようにしてもよい。
車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、この発明に係る遊星歯車装置を同軸上に二つ組み合わせ、一方の遊星歯車装置の特定の要素と、他方の遊星歯車装置の特定の要素とを、第1結合部材と第2結合部材により相互に連結して二つの駆動源からのトルクを左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達する歯車装置を設け、前記遊星歯車装置の内歯車に減速装置としての外歯車が連結されている車両用駆動装置を構成することができる。
以上のように、この発明によれば、遊星歯車の幅面とキャリヤフランジの幅面との間に設けられたスラスト板の外径部に、遊星歯車を回転自在に支持する針状ころ軸受の収容空間に連通する連通部を形成したので、スラスト板の外径部に供給された潤滑油を連通部を介して針状ころ軸受の収容空間に導入できるので、遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油供給が改善され、針状ころ軸受を長寿命化することができる。
この発明の遊星歯車装置を組み込んだ車両用駆動装置の実施形態を示す横断平面図である。 図1の実施形態の歯車装置部分の拡大図である。 図1の実施形態に係る車両用駆動装置の歯車構成をスケルトン図で示した電気自動車の説明図である。 図1の実施形態に係る車両用駆動装置に組み込まれた歯車装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。 図1の実施形態における遊星キャリヤの中空軸部の内面に形成したスプライン部の拡大図である。 図1の実施形態の左側の遊星歯車装置における遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油の供給経路を示す部分拡大図である。 図1の実施形態の右側の遊星歯車装置における遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油の供給経路を示す部分拡大図である。 図1の実施形態の歯車の配置を示す図1のA−Aの断面図である。 図1の実施形態の遊星歯車の拡大側面図である。 この発明で使用するスラスト板の一例を示す斜視図である。 図10のスラスト板を遊星歯車の側面に装着した状態を示す拡大側面図である。 この発明で使用するスラスト板の他の例を示す斜視図である。 図12のスラスト板を遊星歯車の側面に装着した状態を示す拡大側面図である。 この発明で使用するスラスト板の他の例を示す斜視図である。 図14のスラスト板を遊星歯車の側面に装着した状態を示す拡大側面図である。 図10のスラスト板を使用した遊星歯車装置の潤滑油の供給経路を示す図2のB−B線の断面図である。 この発明の遊星歯車装置を組み込んだ車両用駆動装置の他の実施形態を示す横断平面図である。 図17の実施形態の歯車装置部分の拡大図である。 図17の実施形態の左側の遊星歯車装置における遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油の供給経路を示す部分拡大図である。 図17の実施形態の右側の遊星歯車装置における遊星歯車を支持する針状ころ軸受への潤滑油の供給経路を示す部分拡大図である。 図17の実施形態において遊星歯車装置に使用する油受け部材を左側に取り付けた場合の斜視図である。 図17の実施形態において遊星歯車装置に使用する油受け部材を右側に取り付けた場合の斜視図である。 従来の遊星歯車装置の断面図である。 先願例1の車両用駆動装置を示す横断平面図である。 図24に示す先願例1の車両用駆動装置の歯車装置部分の拡大図である。 先願例1の車両用駆動装置において使用するスラスト板の斜視部である。 図26のスラスト板を遊星歯車の側面に装着した状態を示す拡大側面図である。
以下、この発明の実施の形態を、独立した二つの駆動源からの駆動トルクを左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達することができるトルク差増幅機構として、車両駆動装置の平行軸歯車減速機に組み込まれる遊星歯車装置を例にして説明する。
図3に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ60と、後輪としての駆動輪61L、61Rと、前輪62L、62Rと、2モータ式の車両用駆動装置1、バッテリ63、インバータ64等を備える。図3では、車両用駆動装置1の歯車構成をスケルトン図で示している。
図1及び図3に示す車両用駆動装置1は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源としての電動モータ2L、2Rと、左右の駆動輪61L、61Rと二つの電動モータ2L、2Rとの間に設けられる左右2基の減速機3L、3Rとを備える。
2モータ式の車両用駆動装置1の駆動トルクは、等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して左右の駆動輪61L、61Rに伝達される。
なお、2モータ式の車両用駆動装置1の搭載形態としては、図3に示す後輪駆動方式の他、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。四輪駆動方式においては、車両用駆動装置1は前輪又は後輪の双方に搭載してもよく、又はそのいずれか一方に搭載して、もう一方は例えばエンジンにより駆動する歯車装置など他の駆動装置であってもよい。
2モータ式の車両用駆動装置1における左右の電動モータ2L、2Rは、同一の最大出力を有する同一出力特性の電動モータが用いられ、図1に示すように、モータハウジング4L、4R内に収容されている。
モータハウジング4L、4Rは、図1に示すように、円筒形のモータハウジング本体4aL、4aRと、このモータハウジング本体4aL、4aRの外側面を閉塞する外側壁4bL、4bRと、モータハウジング本体4aL、4aRの内側面に設けられた内側壁4cL、4cRとからなる。モータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRには、モータ軸5aを引き出す開口部が設けられている。
電動モータ2L、2Rは、図1に示すように、モータハウジング本体4aL、4aRの内周面にステータ6を設け、このステータ6の内周に隙間を隔ててロータ5を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。なお、電動モータ2L、2Rは、アキシャルギャップタイプのものを使用してもよい。
ロータ5は、モータ軸5aを中心部に有し、そのモータ軸5aはモータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRの開口部からそれぞれ減速機3L、3R側に引き出されている。モータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRの開口部とモータ軸5aとの間にはシール部材7が設けられている。
モータ軸5aは、モータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRと外側壁4bL、4bRとに転がり軸受8a、8bによって回転自在に支持されている(図1)。
左右並列に設けられた2基の減速機3L、3Rを収容する減速機ハウジング9は、アウトボード側(車体外側)の端面が、電動モータ2L、2Rのモータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRに複数のボルト(図示省略)によって固定されている(図1)。
減速機ハウジング9には、図1に示すように、中央に仕切り壁11が設けられている。減速機ハウジング9は、この仕切り壁11によって左右に2分割され、2基の減速機3L、3Rを収容する左右の収容室が並列に設けられている。
減速機3L、3Rは、図1に示すように、概ね左右対称形に設けられ、モータ軸5aからトルクが伝達され入力歯車12aを有する入力歯車軸12L、12Rと、この入力歯車12aに噛み合う入力側大径歯車13aと出力歯車14aに噛み合う出力側小径歯車13bを有する中間歯車軸13L、13Rと、出力歯車14aを有し、等速ジョイント65a、65b(図3)、中間シャフト65c(図3)を介して駆動輪61L、61R(図3)にトルクを伝達する出力歯車軸14L、14Rとを備える平行軸歯車減速機である。左右2基の減速機3L、3Rの各入力歯車軸12L、12R、中間歯車軸13L、13R、出力歯車軸14L、14Rは、それぞれ同軸上に配置されている。
減速機3L、3Rの入力歯車軸12L、12Rの両端は、減速機ハウジング9の仕切り壁11の左右両面に形成した軸受嵌合穴16aとモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRに形成した軸受嵌合穴16bに転がり軸受17a、17bを介して回転自在に支持されている。図1では、転がり軸受17a、17bは同一のものとしているが、異なるサイズのものを組み合わせてもよい。
入力歯車軸12L、12Rは中空構造であり、この中空の入力歯車軸12L、12Rに、モータ軸5aの端部が挿入されている。入力歯車軸12L、12Rとモータ軸5aとは、スプライン(セレーションも含む、以下同じ)結合されている。
中間歯車軸13L、13Rは、少なくとも一組以上配置されており、図1に示す実施形態では、一対の中間歯車軸13L、13Rを有する。
中間歯車軸13L、13Rは、外周面に入力歯車12aに噛み合う入力側大径歯車13aと出力歯車14aに噛み合う出力側小径歯車13bを有する段付きの歯車軸を構成している。この中間歯車軸13L、13Rの両端は、減速機ハウジング9の仕切り壁11の両面に形成した軸受嵌合穴19aとモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRの軸受嵌合穴19bとに転がり軸受20a、20bを介して支持されている。図1では、転がり軸受20a、20bは異なるサイズのものとしているが、同一サイズのものを組み合わせてもよい。
同軸上に配置された中間歯車軸13L、13Rには、この中間歯車軸13L、13Rと同軸上に、二つの電動モータ2L、2Rから与えられるトルクの差を左右の駆動輪61L、61Rに増幅して分配する歯車装置30が組み込まれている。
歯車装置30は、同軸に配された左右1対の中間歯車軸13L、13Rと同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車装置39L、39Rからなる。
車両用駆動装置1における歯車装置30を構成する遊星歯車装置39L、39Rは、それぞれ内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、公転歯車としての複数の遊星歯車PL、PRとを有する。歯車装置30は、一方の遊星キャリヤCLと他方の太陽歯車SRとを結合する第1結合部材31と、一方の太陽歯車SLと他方の遊星キャリヤCRとを結合する第2結合部材32を有し、第1結合部材31と第2結合部材32が同軸上に配置されると共に、第1結合部材31および第2結合部材32のうち、第2結合部材32が中空軸、第1結合部材31が中空軸に挿通される軸を有し、2つの遊星歯車装置39L、39Rの間を通る軸が二重構造となる構成であって、遊星歯車装置39L、39Rの内歯車RL、RRと減速機3L、3Rの入力歯車12aとを、内歯車RL、RRに連結した入力側大径歯車13aに係合して連結する構造である。
この車両用駆動装置1は、左右輪を駆動する電動モータ2L、2Rのトルク差を増幅して車輪に出力することができる。
即ち、電動モータ2L、2Rの駆動力は、3軸2段減速機の減速ギヤ列で伝達され、2軸目に位置する2個の遊星歯車装置39L、39Rを同軸で結合した歯車装置30により、入力トルクの差が増幅され左右輪に出力される。
そして、車輪の回転速度に差が無い場合には、歯車装置30の2個の遊星歯車装置39L、39Rの内部(太陽歯車SL、SR、遊星歯車PL、PR)は相対回転せず、遊星歯車装置39L、39Rが一体となり回転する。車輪の回転速度に差が有る場合には、歯車装置30の2個の遊星歯車装置39L、39Rの内部が回転し、太陽歯車SL、SR、内歯車RL、RRは相対回転し、遊星歯車PL、PRが自転・公転する。
図1及び図2に示す実施形態の2モータ式の車両用駆動装置1の歯車構成は、図3に示すスケルトン図の通りである。
図3に示すように、左右の電動モータ2L及び電動モータ2Rは、車両に搭載されたバッテリ63からインバータ64を介して与えられた電力により動作する。そして、電動モータ2L、2Rは、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。
電動モータ2L、2Rのモータ軸5aのトルクは、減速機3L、3Rの入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと中間歯車軸13L、13Rの入力側大径歯車13aとの歯数比で増大されて歯車装置30の内歯車RL、RRに伝達される。
そして、歯車装置30を介して中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bが出力歯車軸14L、14Rの大径の出力歯車14aに噛み合って出力側小径歯車13bと出力歯車14aとの歯数比で電動モータ2L、2Rのモータ軸5aのトルクがさらに増大されて、駆動輪61L、61Rに出力される。
歯車装置30は、3要素2自由度の同一の遊星歯車装置39L、39Rが同軸上の中間歯車軸13L、13Rに二つ組み合わされて構成され、遊星歯車装置39L、39Rとして、シングルピニオン遊星歯車装置を採用している。
遊星歯車装置39L、39Rは、同軸上に設けられた太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと、これら太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとの間に位置する複数の遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRを回転可能に支持し太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRとから構成される。ここで、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRは外周にギヤ歯を有する外歯歯車であり、内歯車RL、RRは内周にギヤ歯を有する内歯歯車である。遊星歯車PL、PRは太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとに噛み合っている。
遊星歯車装置39L、39Rでは、遊星キャリヤCL、CRを固定した場合に太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとが逆方向に回転するため、図4に示す速度線図に表すと内歯車RL、RR及び太陽歯車SL、SRが遊星キャリヤCL、CRに対して反対側に配置される。
この歯車装置30は、前記のように、太陽歯車SL、遊星キャリヤCL、遊星歯車PL及び内歯車RLを有する第1の遊星歯車装置39Lと、同じく太陽歯車SR、遊星キャリヤCR、遊星歯車PR及び内歯車RRを有する第2の遊星歯車装置39Rとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1の遊星歯車装置39Lの遊星キャリヤCLと第2の遊星歯車装置39Rの太陽歯車SRとが結合されて第1結合部材31を形成し、第1の遊星歯車装置の太陽歯車SLと第2の遊星歯車装置の遊星キャリヤCRとが結合されて第2結合部材32を形成している。
第1の遊星歯車装置39Lの内歯車RLに電動モータ2Lで発生したトルクTM1は、入力歯車軸12Lの入力歯車12aと入力側大径歯車13aとが噛み合って中間歯車軸13Lに伝達され、中間歯車軸13Lに伝達されたトルクが、第1の遊星歯車機構を介して中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13bに伝達され、中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13bと出力歯車軸14Lの出力歯車14aとが噛み合って出力歯車軸14Lから駆動輪61Lに駆動トルクTLが出力される。
第2の遊星歯車装置39Rの内歯車RRに電動モータ2Rで発生したトルクTM2は、入力歯車軸12Rの入力歯車12aと入力側外歯車13aとが噛み合って中間歯車軸13Rに伝達され、中間歯車軸13Rに伝達されたトルクが、第2の遊星歯車装置39Rを介して中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13bに伝達され、中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13bと出力歯車軸14Rの出力歯車14aとが噛み合って出力歯車軸14Rから駆動輪61Rに駆動トルクTRが出力される。
電動モータ2L、2Rからの出力は、二つの遊星歯車装置39L、39Rのそれぞれの内歯車RL、RRに与えられ、第1結合部材31、第2結合部材32からの出力が駆動輪61L、61Rに与えられる。
第2結合部材32は、中空軸で構成されており、その内部に第1結合部材31が挿通され、第1結合部材31と第2結合部材32を構成する軸は二重構造になっている。
第1結合部材31は、その一端(図中右端)が太陽歯車SRの回転軸であり、他端(図中左端)が太陽歯車SLを貫通して設けられ、遊星キャリヤCLにスプライン結合(セレーション結合を含む)にて接続されている。また、中空軸である第2結合部材32は、一端(図中左端)が太陽歯車SLの回転軸となっており、他端(図中右端)は遊星キャリヤCRと接続されている。この第1結合部材31と第2結合部材32によって、二つの遊星歯車装置39L、39Rが結合されている。
歯車装置30は、二つの同一のシングルピニオン形式の遊星歯車装置39L、39Rを組み合わせて構成されるため、図4に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に左側の遊星歯車装置39Lの速度線図を示し、下側に右側の遊星歯車装置39Rの速度線図を示す。本来は、図1の実施形態では、各電動モータ2L、2Rから出力されたトルクTM1及びTM2は、各入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと噛み合う入力側大径歯車13aを介して各内歯車RL、RRに入力されるため減速比が掛かり、また、歯車装置30から取り出された駆動トルクTL、TRは、出力歯車14aと噛み合う出力側小径歯車13bを介し左右の駆動輪61L、61Rへ伝達されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、図4に示す速度線図及び各計算式の説明においては、減速比を省略し、各内歯車RL、RRに入力されるトルクをTM1及びTM2のまま、歯車装置30から取り出された駆動トルクはTL、TRのままとする。
歯車装置30を構成する二つの遊星歯車装置39L、39Rは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、図4に示す速度線図においては内歯車RLと遊星キャリヤCLとの距離及び内歯車RRと遊星キャリヤCRとの距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車SLと遊星キャリヤCLとの距離及び太陽歯車SRと遊星キャリヤCRとの距離も等しく、これをbとする。遊星キャリヤCL、CRから内歯車RL、RRまでの長さと遊星キャリヤCL、CRから太陽歯車SL、SRまでの長さの比は、内歯車RL、RRの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車SL、SRの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。よって、a=(1/Zr)、b=(1/Zs)と表すことができる。
Rの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(1)式が算出される。なお、図4において、矢印方向がモーメントMの正方向である。
a・TR+(a+b)・TL−(b+2a)・TM1=0 …(1)
Lの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(2)式が算出される。
−a・TL−(a+b)・TR+(b+2a)・TM2=0 …(2)
(1)式と(2)式の和より、下記(3)式が得られる。
−b・(TR−TL)+(2a+b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((2a+b)/b)・(TM2−TM1) …(3)
(3)式の(2a+b)/bがトルク差増幅率αとなる。a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(Zr+2Zs)/Zrとなり、下記のトルク差増幅率αが得られる。
α=(Zr+2Zs)/Zr
この発明では、電動モータ2L、2Rからの入力は、内歯車RL、RRとなり、駆動輪61L、61Rへの出力は太陽歯車SRと遊星キャリヤCL、太陽歯車SLと遊星キャリヤCRとなる。
そして、二つの電動モータ2L、2Rで異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=(TM2−TM1))を与えると、歯車装置30において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。すなわち、入力トルク差ΔTINが小さくても、歯車装置30において上記したトルク差増幅率α(=(Zr+2Zs)/Zr)で入力トルク差ΔTINを増幅することができ、左駆動輪61Lと右駆動輪61Rとに伝達される駆動トルクTL、TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1)=TR−TL)を与えることができる。
図1及び図2に示す実施形態では、内歯車RL、RRに連結する入力側大径歯車13aは、内歯車RL、RRと一体に形成しているが、別体に形成してもよい。
出力歯車軸14L、14Rは、図1に示すように、中空構造であり、この中空の出力歯車軸14L、14Rのアウトボード側の端部内周面に、等速ジョイント65aの外輪部材の軸部が挿入され、等速ジョイント65aの外輪部材の軸部と中空の出力歯車軸14L、14Rのアウトボード側の端部内周面とがスプライン結合(セレーション結合を含む)されている。
次に、出力歯車軸14L、14Rに結合された等速ジョイント65aは、中間シャフト65c、等速ジョイント65aを介して駆動輪61L、61Rに接続される(図3参照)。
出力歯車軸14L、14Rのアウトボード側の端部とモータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRに形成した開口部との間には、シール部材55を設け、減速機3L、3Rに封入された潤滑油の漏洩を防止するとともに、外部から減速機3L、3Rの内部への埃や泥水の侵入を防止している。
出力歯車軸14L、14Rは、大径の出力歯車14aを有し、減速機ハウジング9の仕切り壁11の両面に形成した軸受嵌合穴53aとモータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRに形成した軸受嵌合穴53bに転がり軸受54a、54bによって支持されている。そして、軸受嵌合穴53a、53bは、転がり軸受54a、54bの外輪が当接する段付き形状になっている。図1及び図2では、転がり軸受54a、54bは同一のものとしているが、異なるサイズのものを組み合わせて使用してもよい。
遊星歯車装置39L、39Rの遊星歯車PL、PRは、図2に示すように、針状ころ軸受37を介して歯車支持軸33に回転自在に支持されている。歯車支持軸33の両端は、遊星キャリヤCL、CRの一対のキャリヤフランジ34a、34bに挿通固定されている。
歯車支持軸33の外周面は、遊星歯車PL、PRを回転自在に支持する針状ころ軸受37の内輪軌道面になるため、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)のずぶ焼入れ・焼戻し、または浸炭鋼(SCM420)の浸炭焼入れ・焼戻し等の、鋼を熱処理し表面硬さを58HRC以上とし、表面を内輪軌道面に適した粗さに研削して仕上げている。
次に、遊星キャリヤCL、CRのアウトボード側のキャリヤフランジ34aは、アウトボード側に延びる中空軸部35を備えており、中空軸部35のアウトボード側の端部が、モータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRに形成した軸受嵌合穴19bに転がり軸受20bを介して支持されている。
遊星キャリヤCL、CRのうち、左側の遊星キャリヤCLのインボード側(車両の内側)のキャリヤフランジ34bは、インボード側に延びる中空軸部36を有し、この中空軸部36の外径面が、減速機ハウジング9の仕切り壁11に形成した軸受嵌合穴19aに転がり軸受20aを介して支持されている。
また、遊星キャリヤCL、CRのうち、右側の遊星キャリヤCRのインボード側(車両の内側)のキャリヤフランジ34bには、インボード側に延びる中空の第2結合部材32が一体に形成され、中空の第2結合部材32のキャリヤフランジ34b側に大径部32aが形成され、この大径部32aが減速機ハウジング9の仕切り壁11に形成した軸受嵌合穴19aに転がり軸受20aを介して支持されている。
インボード側のキャリヤフランジ34bと転がり軸受20aとの間には、カラー40を配置している。
図1及び図2に示す実施形態では、前記出力側小径歯車13bが、アウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35の外周面に一体に形成されているが、それぞれ別部材としてスプライン結合(セレーション結合を含む)としてもよい。
内歯車RL、RRは、遊星キャリヤCL、CRに対して左右2個の転がり軸受39a、39bによって支持されている。
車両用駆動装置1の歯車装置30を構成する2つの遊星歯車装置39L、39Rを連結している第1結合部材31および第2結合部材32は、減速機ハウジング9の仕切り壁11を貫通して組み込まれている。
この第1結合部材31と第2結合部材32は、同軸上に配置されると共に、一方の結合部材(図1及び図2の実施形態では第2結合部材32)が中空軸、他方の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)が中空軸に挿通される軸からなる二重構造になっている。
図1及び図2に示す実施形態では、中空軸で構成される第2結合部材32は、右側端部が、遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bと一体に形成されている。第2結合部材32の左側端部は、遊星キャリヤCLのアウトボード側キャリヤフランジ34aのインボード側の端面との間に、潤滑油の流入隙間72を介して対面している。
第1結合部材31は、左側端部が、遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35にスプライン部73により連結されている。
この第1結合部材31の左側端部と遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35とを連結するスプライン部73には、図5に示すようにスプライン歯73aの一部が除去された欠歯部73bが設けられている。
この欠歯部73bは、図6に太線矢印で示すように、左側の遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35内に流入した潤滑油の潤滑油通路を構成している。
中空軸で構成される第2結合部材32に挿通される第1結合部材31は、図2に示すように、右側端部に大径部74を有し、この大径部74の外周面に、右側の遊星歯車装置39Rの遊星歯車PRと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が右側の遊星歯車装置39Rの太陽歯車SRを構成している。
上記のように、2つの遊星歯車装置39L、39Rの第1結合部材31を、遊星キャリヤCLに対しスプライン部73によって連結することにより、2つの遊星歯車装置39L、39Rを左右に分割することが可能となり、2つの遊星歯車装置39L、39Rを減速機ハウジング9に他の減速歯車軸と一緒に左右から組込むことができる。
第2結合部材32の遊星キャリヤCL側の端部は、その外周面に、左側の遊星歯車装置39Lの遊星歯車PLと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が左側の遊星歯車装置の太陽歯車SLを構成している。
2つの遊星歯車装置39L、39Rを連結する二重構造の軸の内径側の第1結合部材31は、遊星歯車装置39Lの端部が、遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35にスプライン部73によって結合され、遊星歯車装置39R側の端部が、遊星キャリヤCRのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35に転がり軸受49によって支持されている。この転がり軸受49は、開放型の深溝玉軸受によって構成することができる。
転がり軸受49として開放型の深溝玉軸受を使用することにより、図7に太線矢印で示すように、右側の遊星キャリヤCRのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35内に流入した潤滑油が、転がり軸受49を通って、キャリヤフランジ34aと遊星歯車PRの間に挿入したスラスト板38の外周に供給される。
ところで、入力歯車軸12L、12R、中間歯車軸13L、13R、出力歯車軸14L、14Rは、減速機ハウジング9に収容されており、図8は、右側の入力歯車軸12R、中間歯車軸13R、出力歯車軸14Rを示しているが、左側の入力歯車軸12L、中間歯車軸13L、出力歯車軸14Lも配置は同じである。即ち、図8に示すように、歯車装置30を組み込んだ中間歯車軸13L、13Rが最も低位置になるように配置され、減速機ハウジング9の下部に油溜まり75が設けられている。減速機ハウジング9の下部の油溜まり75の油面高さHは、車両の停止時に中間歯車軸13L、13Rに組み込んだ遊星歯車PL、PRの歯車支持軸33が潤滑油に浸かるように設定され、油浴潤滑や歯車の回転による跳ね掛け潤滑が行われるようになっている。
2個の遊星歯車装置39L、39Rを同軸で結合した歯車装置30においては、図8に示すように、車両の停止時に内部の遊星歯車PL、PRの歯車支持軸33が潤滑油に浸かるように、減速機ハウジング9の下部の油溜まり75の油面高さHを設定していても、歯車装置30の内歯車RL、RRも中間歯車軸13L、13Rの大径歯車として回転するため、回転する内歯車RL、RRが減速機ハウジング9の下部に溜められた潤滑油を掻き分けてしまい、特に、車両の高速走行時は遊星歯車PL、PRの歯車支持軸33が潤滑油に浸からない状態になる。
減速機ハウジング9の下部の油溜まり75から歯車の回転で掻き上げられ飛散した潤滑油は、減速機ハウジング9の内壁に付着し、内壁に設けられたリブ(図示省略)に沿って流れ落ち、図6及び図7に太線矢印で示すように、遊星歯車装置39L、39Rの遊星キャリヤCL、CRのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35を支持する転がり軸受20bを通って、中空軸部35内に潤滑油が流入する。
左側の遊星歯車装置39Lの遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35の内部に流入した潤滑油は、図6の太線矢印で示すように、第1結合部材31の左側端部と遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35との間のスプライン部73の欠歯部73b(図5)を通って、第2結合部材32の左側端部と遊星キャリヤCLのキャリヤフランジ34aのインボード側の端面との間に設けた流入隙間72からキャリヤフランジ34aと遊星歯車PLの間に挿入したスラスト板38の外周に供給される。
一方、右側の遊星歯車装置39Rの遊星キャリヤCRのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35の内部に流入した潤滑油は、図7の太線矢印で示すように、キャリヤフランジ34aの中空軸部35に対して第1結合部材31の右側端部を支持する転がり軸受49の内部を通って、キャリヤフランジ34aと遊星歯車PRの間に挿入したスラスト板38の外周に供給される。
一対のキャリヤフランジ34a、34bと遊星歯車PL、PRの間には、図2に示すように、遊星歯車PL、PRの回転を円滑化するために、歯車支持軸33が内部を通る形のスラスト板38を装着している。
遊星歯車PL、PRを歯車支持軸33に対して回転自在に支持する針状ころ軸受37は、図9に示すように、歯車支持軸33の外径面によって構成される内輪軌道面37aと、遊星歯車PL、PRの内径面によって構成される外輪軌道面37bと、内輪軌道面37aと外輪軌道面37bとの間に収容された複数本の針状ころ37cと、複数本の針状ころ37cを等間隔に保持する保持器37dとからなる。
この発明では、スラスト板38として、例えば、図10及び図11、図12及び図13、図14及び図15にそれぞれ示す形状のものを使用している。
図10及び図11に示すスラスト板38は、中心に歯車支持軸33が通る貫通孔38aを有し、その外周形状が概ね4角形をしている。この4角形のスラスト板38は、対角線方向の長さが、針状ころ軸受37の外輪軌道面37bを構成する遊星歯車PL、PRの内径面よりも長く形成されており、4角形のスラスト板38の角部が遊星歯車PL、PRの幅面に摺接するようにしている。そして、4角形のスラスト板38の各辺の長さは、針状ころ軸受37の外輪軌道面37bを構成する遊星歯車PL、PRの内径面よりも短く形成されており、4角形のスラスト板38の外周の各辺の中央部に、針状ころ軸受37の収容空間に連通する連通部38bが形成されている。
この4角形のスラスト板38の外周面の外接円径は、遊星歯車PL、PRの内径面によって構成される外輪軌道面37bの径よりも大きい。4角形のスラスト板38の外周面の内接円径は、針状ころ軸受37の保持器37dの外周寸法より小さく、針状ころ37cのP.C.D.近傍まで小さくし、十分な大きさの連通部38bが形成されるようにしている。
図12及び図13に示すスラスト板38は、図10及び図11に示すスラスト板38と同様に、外周形状を概ね4角形とし、各辺の中央部を内側に湾曲させて、図10及び図11に示すスラスト板38よりも4角形のスラスト板38の外周面の内接円径をさらに小さくして、針状ころ軸受37の収容空間に連通する連通部38bを広くした実施形態であり、連通部38bが広いだけ針状ころ軸受37の収容空間にスラスト板38の外周から潤滑油が侵入しやすくなる。
図14及び図15に示すスラスト板38は、外周形状が凸部38cと凹部38dを波形形状に設けた花弁のような形状をしており、凸部38cの外接円を針状ころ軸受37の外輪軌道面37bよりも大きくし、凹部38dの内接円を針状ころ軸受37の外輪軌道面37bよりも小さくして、凹部38dの底部分に針状ころ軸受37の収容空間に連通する連通部38bを形成した実施形態である。
図16は、右側の遊星歯車装置39Rにおいて、キャリヤフランジ34aの中空軸部35に対して第1結合部材31の右側端部を支持する転がり軸受49の内部を通って、キャリヤフランジ34aと遊星歯車PRの間に挿入したスラスト板38の外周に供給された潤滑油が、スラスト板38の外周の連通部38bから針状ころ軸受37の収容空間に入る様子を矢印で示している。
スラスト板38の外周の連通部38bから針状ころ軸受37の収容空間に入った潤滑油は、針状ころ軸受37の軸受内を潤滑した後、遠心力によってスラスト板38の外周の連通部38bから流出し、外部の歯車の歯面を潤滑する。
この発明に係るスラスト板38は、外周部に針状ころ軸受37の収容空間に連通する連通部38bを設けているので、スラスト板38の外周に供給された潤滑油を、連通部38bを介して針状ころ軸受37の内輪軌道面37aと外輪軌道面37bとの間の針状ころ37cの収容空間に導くことができ、遊星歯車PL、PRを支持する針状ころ軸受37への潤滑油供給が改善され、針状ころ軸受37の長寿命化が図れる。
スラスト板38の材質は鋼製であり、摩耗を抑制するため肌焼鋼に浸炭熱処理が施され、表面硬さを650〜800Hvとしている。あるいは、スラスト板38の材質を、自己潤滑性と耐熱性、耐油性のある樹脂(ポリイミド、)とすることも可能である。
また、スラスト板38の外周面の角部は、面取りなどを施してエッジ応力を下げておくことが望ましい。
次に、図17〜図20に示すこの発明の第2の実施形態は、減速機ハウジング9の内壁、リブに沿って流れる潤滑油を、より多く受け止めて、遊星キャリヤCL、CRのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35の内径部に供給できるようにしたものであり、前述の第1の実施形態にさらに次のような構造を付加している。
この第2の実施形態では、中間歯車軸13L、13Rのアウトボード側の端部を支持する、モータハウジング4L、4Rの内側壁4cL、4cRの軸受嵌合穴19bに切欠き部19cを設け、図19及び図20に太線矢印で示すように、減速機ハウジング9の内壁、リブに沿って流れる潤滑油を、切欠き部19cから中間歯車軸13L、13Rのアウトボード側の中空軸部35の側面に流れ込み易くしている。
そして、中間歯車軸13L、13Rのアウトボード側の中空軸部35の開口が対向する内側壁4cL、4cRに、内側壁4cL、4cRに沿って流れ込んだ潤滑油を受ける油受け部材76を取付けている。
油受け部材76は、図21及び図22に示すように、内側壁4cL、4cRにねじ固定され、上面に漏斗形状の受け部76aを有する受け板76bと、受け部76aの底部に連通し、受け部76aに流れ込んで集油された潤滑油を、中間歯車軸13L、13Rの中空軸部35の軸方向の内部に導く導油管76cとからなる。
図17及び図18に示す第2の実施形態では、中間歯車軸13L、13Rのアウトボード側の中空軸部35に流れ込んだ潤滑油を内部の遊星歯車PL、PR側に流れ易くするために、中空軸部35の内部に奥側の径が大きくなるように段差部を設けているので、この段差部を超えて潤滑油が供給されるように、導油管76cの長さが段差部を超える長さに設定している。
なお、左側の中間歯車軸13Lの中空軸部35においては、内径部にカラー77を嵌めることによって段差部を形成している。
第2の実施形態における遊星歯車PL、PRを支持する針状ころ軸受37への潤滑油供給は、図19及び図20に示すように行われる。
まず、左側の遊星歯車装置39Lでは、図19に太線矢印で示すように、減速機ハウジング9の内壁、リブに沿って流れる潤滑油は、軸受嵌合穴19bに設けた切欠き部19cからモータハウジング4Lの内側壁4cLに取付けた油受け部材76の受け部76aに流入する。油受け部材76の受け部76aに流入して集油された潤滑油は、導油管76cを通って、キャリヤフランジ34aの中空軸部35の内部に導かれ、その後、第1結合部材31の左側端部と遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35との間のスプライン部73の欠歯部73b(図5)を通って、第2結合部材32の左側端部と遊星キャリヤCLのキャリヤフランジ34aのインボード側の端面との間に設けた流入隙間72からキャリヤフランジ34aと遊星歯車PLの間に挿入したスラスト板38の外周に供給され、スラスト板38の外周の連通部38b(図16)を通って、針状ころ軸受37の収容空間に供給される。スラスト板38の外周の連通部38bから針状ころ軸受37の収容空間に入った潤滑油は、針状ころ軸受37の軸受内を潤滑した後、遠心力によってスラスト板38の外周の連通部38bから流出し、外部の歯車の歯面を潤滑する。
他方の右側の遊星歯車装置39Rでは、図20に太線矢印で示すように、減速機ハウジング9の内壁、リブに沿って流れる潤滑油は、軸受嵌合穴19bに設けた切欠き部19cから内側壁4cRに取付けた油受け部材76の受け部76aに流入する。油受け部材76の受け部76aに流入した潤滑油は、導油管76cを通って、キャリヤフランジ34aの中空軸部35の内部に導かれ、その後、第1結合部材31の右側端部を支持する転がり軸受49内を通り、キャリヤフランジ34aと遊星歯車PRの間に挿入したスラスト板38の外周に供給され、スラスト板38の外周の連通部38b(図16)を通って、針状ころ軸受37の収容空間に供給される。スラスト板38の外周の連通部38bから針状ころ軸受37の収容空間に入った潤滑油は、針状ころ軸受37の軸受内を潤滑した後、遠心力によってスラスト板38の外周の連通部38bから流出し、外部の歯車の歯面を潤滑する。
以上の実施形態では、二つの駆動源として電動モータ2L、2Rを用い、同一の最大出力を有する同一出力特性の電動モータである場合を例示したが、二つの駆動源はこれに限られない。
また、以上の実施形態では、トルク差増幅機構を構成する歯車装置30は平行軸歯車減速機の中間歯車軸13L、13Rに位置するが、中間歯車軸13L、13R(大歯車を構成する入力側大径歯車13aと小歯車を構成する出力側小径歯車13bが同軸にある軸)は複数あってもよく、そのうちの1軸にトルク差増幅機構である歯車装置30を組み込むことができる。
なお、車両用駆動装置1が搭載される車両は、電気自動車やハイブリッド電気自動車に限られず、例えば、第1の電動モータ2L及び第2の電動モータ2Rを駆動源とした燃料電池自動車であってもよい。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得る。
1 :車両用駆動装置
2L、2L :電動モータ
3L、3R :減速機
4L、4R :モータハウジング
4aL、4aR :モータハウジング本体
4bL、4bR :外側壁
4cL、4cR :内側壁
5 :ロータ
5a :モータ軸
6 :ステータ
7 :シール部材
8a、8b :転がり軸受
9 :減速機ハウジング
11 :仕切り壁
12L、12R :入力歯車軸
12a :入力歯車
13L、13R :中間歯車軸
13a :入力側大径歯車
13b :出力側小径歯車
14L、14R :出力歯車軸
14a :出力歯車
16a、16b :軸受嵌合穴
17a、17b :転がり軸受
19a、19b :軸受嵌合穴
19c :切欠き部
20a、20b :転がり軸受
30 :歯車装置
31 :第1結合部材
32 :第2結合部材
32a :大径部
33 :歯車支持軸
34a、34b :キャリヤフランジ
35、36 :中空軸部
37 :針状ころ軸受
37a :内輪軌道面
37b :外輪軌道面
37d :保持器
38 :スラスト板
38a :貫通孔
38b :連通部
38c :凸部
38d :凹部
39L、39R :遊星歯車装置
39a、39b :転がり軸受
40 :カラー
49 :転がり軸受
53a、53b :軸受嵌合穴
54a、54b :転がり軸受
55 :シール部材
60 :シャーシ
61L、61R :駆動輪
62L、62R :前輪
63 :バッテリ
64 :インバータ
65a、65b :等速ジョイント
65c :中間シャフト
72 :流入隙間
73 :スプライン部
73a :スプライン歯
73b :欠歯部
74 :大径部
75 :油溜まり
76 :油受け部材
76a :受け部
76b :受け板
76c :導油管
77 :カラー
AM :電気自動車
L、CR :遊星キャリヤ
H :油面高さ
M :モーメント
L、PR :遊星歯車
L、RR :内歯車
L、SR :太陽歯車

Claims (7)

  1. 内歯車と、内歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、内歯車と太陽歯車に噛み合う公転歯車としての複数の遊星歯車と、遊星歯車を針状ころ軸受を介して回転自在に支持する歯車支持軸と、遊星歯車の両側を挟み、歯車支持軸の両端が挿通固定されるキャリヤフランジを有する遊星キャリヤとを備え、遊星歯車の幅面とキャリヤフランジの幅面との間にスラスト板を設けた遊星歯車装置において、スラスト板の外周形状を、歯車支持軸に設けられた針状ころ軸受の外径軌道面よりも外径側に位置し、遊星歯車の幅面とキャリヤフランジの幅面との間を摺接する大径部と、歯車支持軸に設けられた針状ころ軸受の外径軌道面よりも内径側に位置する小径部との組み合わせ形状にし、針状ころ軸受の外径軌道面よりも内径側に位置するスラスト板の小径部と針状ころ軸受の外径軌道面との間に、針状ころ軸受の収容空間に連通する連通部を形成したことを特徴とする遊星歯車装置。
  2. 前記遊星歯車装置をハウジング内に収容し、遊星キャリヤの軸心に遊星キャリヤをハウジングに対して支持する中空軸部を設け、この中空軸部に、前記ハウジングの壁面を流れる潤滑油を前記スラスト板の外径部に供給する潤滑油通路を設けたことを特徴とする請求項1記載の遊星歯車装置。
  3. 前記中空軸部の内径部に転がり軸受を介して太陽歯車を支持し、スラスト板の外径部に供給する潤滑油通路が太陽歯車を支持する転がり軸受を通過するように設けられている請求項2記載の遊星歯車装置。
  4. 前記中空軸部と太陽歯車との間に、トルクを伝達するスプライン部を設け、このスプライン部に欠歯部を設け、この欠歯部がスラスト板の外径部に潤滑油を供給する潤滑油通路を構成する請求項2記載の遊星歯車装置。
  5. 前記中空軸部が対面するハウジングの壁面に、ハウジングの壁面を流れる潤滑油を集油し、中空軸部内に潤滑油を供給する油受け部材を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の遊星歯車装置。
  6. 前記中空軸部の内径面に段差部を設け、前記油受け部材に、段差部を超えて集油した潤滑油を軸方向の内部に導く導油管を設けたことを特徴とする請求項5に記載の遊星歯車装置。
  7. 車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、請求項1〜6のいずれかに記載の遊星歯車装置を同軸上に二つ組み合わせ、一方の遊星歯車装置の特定の要素と、他方の遊星歯車装置の特定の要素とを、第1結合部材と第2結合部材により相互に連結して二つの駆動源からの動力を左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達する歯車装置を設け、前記遊星歯車装置の内歯車に減速装置としての外歯車が連結されていることを特徴とする車両用駆動装置。
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