JP2018048281A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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佳亮 金子
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Abstract

【課題】金属間摩擦係数を低減することができ、省燃費化が可能な潤滑油組成物を提供すること。【解決手段】潤滑油基油と、有機モリブデン系摩擦調整剤と、アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化されたアルカリ土類金属サリシレートと、ジアルキルリン酸及びジアルキルモノチオリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物の亜鉛塩と、を含有する、潤滑油組成物が開示される。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関する。
内燃機関、変速機等の機械装置には、その作用を円滑にするために潤滑油が用いられる。特に内燃機関用潤滑油(エンジン油)は内燃機関の高性能化、高出力化、運転条件の苛酷化等に伴い、高度な性能が要求されている。このような要求性能を満たすため、潤滑油基油に各種添加剤を配合した潤滑油組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1、2には、ジアルキルリン酸若しくはジアルキルモノチオリン酸の亜鉛塩、及びモリブデンジチオカルバメートを含有してなる潤滑油組成物が開示されている。特許文献3には、摩擦調整剤及び2種類の過塩基性金属塩を含有する潤滑油組成物が開示されている。
特開2004−083891号公報 特開2013−001885号公報 特開2011−140572号公報
しかし、本発明者の検討によれば、上記従来の潤滑油組成物の場合、摺動部における金属間摩擦係数を充分に低減できず、省燃費性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、金属間摩擦係数を低減することができ、省燃費化が可能な潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記[1]〜[5]に示す潤滑油組成物を提供する。
[1]潤滑油基油と、有機モリブデン系摩擦調整剤と、アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化されたアルカリ土類金属サリシレートと、ジアルキルリン酸及びジアルキルモノチオリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物の亜鉛塩と、を含有する、潤滑油組成物。
[2]アルカリ土類金属サリシレートが過塩基化されたカルシウムサリシレートを含む、[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量、リン化合物の亜鉛塩の含有量の含有量及びカルシウムサリシレートの含有量が下記式(1)及び(2)で表される条件を満たす、[2]に記載の潤滑油組成物。
0.3≦C(P)/C(Mo)≦5.0 (1)
0.8≦C(Ca)/C(Mo)≦8.0 (2)
[式中、C(Mo)は有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量を示し、C(P)はリン化合物の亜鉛塩の含有量を示し、C(Ca)はカルシウムサリシレートの含有量を示す。C(Mo)、C(P)及びC(Ca)はそれぞれ組成物全量基準のモリブデン、リン及びカルシウムの元素換算値(質量ppm)である。]
[4]有機モリブデン系摩擦調整剤がモリブデンジチオカーバメートを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の潤滑油組成物。
本発明によれば、金属間摩擦係数を低減することができ、省燃費化が可能な潤滑油組成物が提供される。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油一般に使用することができるが、自動車用変速機及び終減速機用ギヤ、さらには、二輪車用、四輪車用、発電用、コジェネレーション用等のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなどの内燃機関に特に好適に使用できる。また、船舶用、船外機用の各種エンジンに対しても有用である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油と、(B)有機モリブデン系摩擦調整剤と、(C)アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化されたアルカリ土類金属サリシレートと、(D)ジアルキルリン酸及びジアルキルモノチオリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物の亜鉛塩と、を含有する。
[(A)成分:潤滑油基油]
一実施形態の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油を含有する。潤滑油基油は、通常の潤滑油に使用される基油を使用することができる。具体的には、鉱油系基油、合成系基油、又は両者の混合物が挙げられる。
鉱油系基油としては、例えば、原油を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を単独又は2つ以上適宜組み合わせて精製したノルマルパラフィン、イソパラフィン等のパラフィン系、ナフテン系などの鉱油系基油が挙げられる。これらの鉱油系基油は1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
合成系基油としては、ポリα−オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。これらのうち、ポリα−オレフィンを用いることが好ましい。これらの合成系基油は1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよく、上述の鉱油系基油と任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
潤滑油基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは20mm/s以下、より好ましくは10mm/s以下である。潤滑油基油の100℃動粘度が20mm/s以下であると、低温粘度特性がより向上し、充分な省燃費性が得られる傾向にある。また、潤滑油基油の100℃動粘度は、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは1.5mm/s以上である。潤滑油基油の100℃動粘度が1mm/s以上であると、潤滑部位での油膜形成が充分となるため、潤滑性がより向上し、潤滑油組成物の蒸発損失をより抑えられる傾向にある。
潤滑油基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは80mm/s以下、より好ましくは50mm/s以下、さらに好ましくは20mm/s以下である。潤滑油基油の40℃動粘度が80mm/s以下であると、低温粘度特性がより向上し、充分な省燃費性が得られる傾向にある。また、潤滑油基油の40℃動粘度は、好ましくは2mm/s以上、より好ましくは3mm/s以上、さらに好ましくは4mm/s以上である。潤滑油基油の40℃動粘度が2mm/s以上であると、潤滑部位での油膜形成が充分となるため、潤滑性がより向上し、潤滑油組成物の蒸発損失をより抑えられる傾向にある。
なお、本明細書において、100℃及び40℃動粘度は、ASTM D−445に規定される100℃及び40℃動粘度を意味する。
[(B)成分:有機モリブデン系摩擦調整剤]
一実施形態の潤滑油組成物は、(B)有機モリブデン系摩擦調整剤を含有する。(A)成分に(B)成分を適用することにより、金属間摩擦係数を低減することが可能となる。
有機モリブデン系摩擦調整剤としては、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジチオホスフェート等の硫黄含有有機モリブデン化合物、モリブデン化合物(例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等)と、硫黄含有有機化合物(例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等)又はその他の有機化合物との錯体、上記硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体などが挙げられる。これらのうち、有機モリブデン系摩擦調整剤は、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)を含むことが好ましい。
モリブデンジチオカーバメートとしては、具体的には、下記一般式(10)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2018048281
上記一般式(10)中、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜24、好ましくは炭素数4〜13のアルキル基、又は炭素数6〜24、好ましくは炭素数10〜15の(アルキル)アリール基等の炭化水素基を示す。またY、Y、Y及びYは、それぞれ独立に、硫黄原子又は酸素原子を示す。
アルキル基としてしては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。これらは1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基であってもよく、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
(アルキル)アリール基としては、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。アルキル基は、1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基であってもよく、直鎖状であっても分枝状であってもよい。これら(アルキル)アリール基には、アリール基に対してアルキル基の置換位置が異なる、全ての置換異性体が含まれる。
上記構造以外のモリブデンジチオカーバメートとしては、国際公報第98/26030号又は国際公報第99/31113号に開示されるチオ又はポリチオ−三核モリブデンにジチオカーバメート基が配位した構造を有するもの等が挙げられる。
有機モリブデン系摩擦調整剤としては、構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物を用いることができる。構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物としては、具体的には、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩等が挙げられる。
有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量(後述のC(Mo)に対応)は、特に制限されないが、組成物全量を基準として、モリブデン元素換算で10〜2000質量ppmであることが好ましい。有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量は、組成物全量を基準として、モリブデン元素換算でより好ましくは100質量ppm以上、さらに好ましくは400質量ppm以上である。有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量が組成物全量を基準として、モリブデン元素換算で10質量ppm未満であると、その添加による金属間摩擦係数を低減させる効果が不充分となる傾向にあり、潤滑油組成物の省燃費性および熱・酸化安定性が不充分となる傾向にある。また、有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量は、組成物全量を基準として、モリブデン元素換算でより好ましくは1200質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下である。有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量が組成物全量を基準として、モリブデン元素換算で2000質量ppmを超えると、含有量に見合うだけの摩擦低減効果が得にくく、灰分や硫黄分を増加させ、また、貯蔵安定性に劣る傾向にある。なお、組成物全量基準の有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量のモリブデン元素換算値は、例えば、有機モリブデン系摩擦調整剤に含まれるモリブデンの含有量を予めICP元素分析法等によって分析し、その分析値と有機モリブデン系摩擦調整剤の組成物基準の仕込み量から算出することができる。
[(C)成分:アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化されたアルカリ土類金属サリシレート]
一実施形態の潤滑油組成物は、(C)アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化されたアルカリ土類金属サリシレート(以下、単に「過塩基性ホウ酸金属サリシレート」という場合がある。)を含有する。(B)成分と(C)成分とを組み合わせることによって、金属間摩擦係数をより低減することが可能となる。
過塩基性ホウ酸金属サリシレートは、アルカリ土類金属サリシレートと、アルカリ土類金属水酸化物又は酸化物、並びにホウ酸又は無水ホウ酸とを反応させることによって得ることができる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、カルシウムであることが好ましい。過塩基性ホウ酸金属サリシレートは、過塩基化されたカルシウムサリシレートを含むことが好ましい。
過塩基性ホウ酸金属サリシレートの塩基価は、特に制限されないが、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、さらに好ましくは150mgKOH/g以上である。また、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは400mgKOH/g以下、さらに好ましくは300mgKOH/g以下である。なお、本明細書において、塩基価はJIS K 2501 5.2.3により測定された値を意味する。
過塩基性ホウ酸金属サリシレートの製造方法は、特に制限されないが、例えば、アルカリ土類金属サリシレートと、アルカリ土類金属水酸化物又は酸化物、並びにホウ酸又は無水ホウ酸とを水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール及びベンゼン、トルエン、キシレン等の希釈溶剤の存在下で20〜200℃で2〜8時間反応させ、次いで、100〜200℃に加熱して水、アルコール、及び希釈溶剤を除去することによって得ることができる。反応条件は、原料、反応物の量に応じて適宜選択することができる。なお、製造方法の詳細については、例えば、特開昭60−116688号公報、特開昭61−204298号公報等に記載されている。
過塩基性ホウ酸金属サリシレートの含有量は、特に制限されないが、組成物全量を基準として、0.01〜30質量%であることが好ましい。過塩基性ホウ酸金属サリシレートの含有量は、より好ましくは0.05質量%以上である。また、より好ましくは5質量%以下である。過塩基性ホウ酸金属サリシレートの含有量が0.01質量%未満であると、省燃費効果が短期間しか持続しない傾向にある。
過塩基性ホウ酸金属サリシレートが過塩基化されたカルシウムサリシレートを含む場合、その含有量(後述のC(Ca)に対応)は、特に制限されないが、組成物全量を基準として、カルシウム元素換算で10〜5000質量ppmであることが好ましい。過塩基化されたカルシウムサリシレートの含有量は、組成物全量を基準として、カルシウム元素換算でより好ましくは100質量ppm以上、さらに好ましくは500質量ppm以上である。また、より好ましくは4000質量ppm以下、さらに好ましくは3000質量ppm以下である。過塩基化されたカルシウムサリシレートの含有量が組成物全量を基準として、カルシウム元素換算で10質量ppm未満であると、その添加による金属間摩擦係数が不充分となる傾向にあり、潤滑油組成物の省燃費性、熱・酸化安定性および清浄性が不充分となる傾向にある。なお、組成物全量基準における過塩基化されたカルシウムサリシレートの含有量のカルシウム元素換算値は、例えば、過塩基化されたカルシウムサリシレートに含まれるカルシウムの含有量を予めICP元素分析法等によって分析し、その分析値と過塩基化されたカルシウムサリシレートの組成物基準の仕込み量から算出することができる。
[(D)成分:ジアルキルリン酸及びジアルキルモノチオリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物の亜鉛塩]
一実施形態の潤滑油組成物は、(D)ジアルキルリン酸及びジアルキルモノチオリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物の亜鉛塩(以下、単に「リン化合物の亜鉛塩」という場合がある。)を含有する。(B)成分、(C)成分及び(D)成分を組み合わせることによって、金属間摩擦係数をより一層低減することが可能となる。
ジアルキルリン酸の亜鉛塩(ZDP)としては、具体的には、下記一般式(20)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2018048281
上記一般式(20)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数3〜18、好ましくは炭素数3〜12、より好ましくは炭素数3〜8のアルキル基を示す。
アルキル基としてしては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
ジアルキルモノチオリン酸の亜鉛塩(ZDMP)としては、下記一般式(30)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2018048281
上記一般式(30)中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数3〜18、好ましくは炭素数3〜12、より好ましくは炭素数3〜8のアルキル基を示す。またX、X、X及びXは、硫黄原子又は酸素原子を示す。ただし、X及びX、並びにX及びXのうち、1個が酸素原子であり、1個が硫黄原子である。
アルキル基としてしては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
リン化合物の亜鉛塩の含有量(後述のC(P)に対応)は、特に制限されないが、組成物全量を基準として、リン元素換算で50〜5000質量ppmであることが好ましい。リン化合物の亜鉛塩の含有量は、組成物全量を基準として、リン元素換算でより好ましくは100質量ppm以上、さらに好ましくは200質量ppm以上である。リン化合物の亜鉛塩が組成物全量を基準として、リン元素換算で50質量ppm未満であると、耐摩耗性が不充分となる傾向にある。また、リン化合物の亜鉛塩の含有量は、組成物全量を基準として、リン元素換算でより好ましくは2000質量ppm以下、さらに好ましくは1500質量ppm以下である。リン化合物の亜鉛塩の含有量が組成物全量を基準として、リン元素換算で5000質量ppmを超えると、内燃機関用に使用する場合、リンによる排ガス後処理装置への悪影響が懸念される。なお、組成物全量基準のリン化合物の亜鉛塩の含有量のリン元素換算値は、例えば、リン化合物の亜鉛塩に含まれるリンの含有量を予めICP元素分析法等によって分析し、その分析値とリン化合物の亜鉛塩の組成物基準の仕込み量から算出することができる。
一実施形態の潤滑油組成物は、過塩基性ホウ酸金属サリシレートが過塩基化されたカルシウムサリシレートを含む場合、有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量、リン化合物の亜鉛塩の含有量の含有量及びカルシウムサリシレートの含有量が下記式(1)及び(2)で表される条件を満たすことが好ましい。
0.3≦C(P)/C(Mo)≦5.0 (1)
0.8≦C(Ca)/C(Mo)≦8.0 (2)
[式中、C(Mo)は有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量を示し、C(P)はリン化合物の亜鉛塩の含有量を示し、C(Ca)はカルシウムサリシレートの含有量を示す。C(Mo)、C(P)及びC(Ca)はそれぞれ組成物全量基準のモリブデン、リン及びカルシウムの元素換算値(質量ppm)である。]
C(P)/C(Mo)が0.3〜5.0であり、かつC(Ca)/C(Mo)が0.8〜8.0であると、有機モリブデン系摩擦調整剤の添加による金属間摩擦係数を低減する効果がより優れる傾向にある。C(P)/C(Mo)は、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.65以上である。また、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.5以下である。C(Ca)/C(Mo)は、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.1以上である。また、より好ましくは6.5以下、さらに好ましくは5.5以下である。
一実施形態の潤滑油組成物は、その目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤をさらに含有していてもよい。任意の添加剤としては、無灰分散剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、極圧剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤等を挙げることができる。
無灰分散剤としては、例えば、ポリオレフィンから誘導されるアルケニル基又はアルキル基を有するコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアミン、マンニッヒ塩基等の含窒素化合物、これら含窒素化合物をホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物で変性させたホウ素変性コハク酸イミド等のホウ素変性含窒素化合物(ホウ素系無灰分散剤)などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤などが挙げられる。フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が挙げられる。アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、オレフィンコポリマー系粘度指数向上剤、スチレン−ジエン共重合体系粘度指数向上剤等が挙げられる。これらの粘度指数向上剤は、非分散型及び分散型のいずれであってもよいが、非分散型であることがより好ましい。粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果が高く、粘度−温度特性及び低温粘度特性に優れる観点から、好ましくはポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、より好ましくは非分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤である。
流動点降下剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましくは重量平均分子量が1万〜30万、より好ましくは重量平均分子量が5万〜20万のポリ(メタ)アクリレートである。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜100000mm/s以下のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコールとのエステル等が挙げられる。
極圧剤としては、例えば、亜リン酸エステル(ホスファイト)、リン酸エステル、並びに、これらのアミン塩、及び誘導体等のリン系極圧剤、ジチオカーバメート、ジサルファイド、ポリサルファイド、硫化オレフィン、硫化油脂等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、ベンゾトリアゾール又はその誘導体等が挙げられる。
任意の添加剤を用いる場合、その含有量は、組成物全量基準で0.01〜20質量%であってよい。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1、2及び比較例1〜9)
表1に示すように、実施例1、2及び比較例1〜9の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。得られた潤滑油組成物について、金属摩擦係数を測定し、その結果を表1に併記した。
表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
(基油)
A−1:合成基油(ポリα−オレフィン)[40℃動粘度:5.0mm/s、100℃動粘度:2.0mm/s]
(添加剤)
B−1:モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)[モリブデン含有量:10.1質量%]
C−1:過塩基性ホウ酸カルシウムサリシレート[全塩基価:190mgKOH/g、カルシウム含有量:6.8質量%]
C−2:過塩基性炭酸カルシウムサリシレート[全塩基価:180mgKOH/g、カルシウム含有量:6.3質量%]
C−3:過塩基性ホウ酸カルシウムスルホネート[全塩基価:195mgKOH/g、カルシウム含有量:8.4質量%]
C−4:過塩基性炭酸カルシウムスルホネート[全塩基価:325mgKOH/g、カルシウム含有量:12.8質量%]
D−1:ジアルキルリン酸亜鉛塩(ZDP、一般式(20)で表され、R21〜R24が炭素数8のオクチル基である化合物)[リン含有量:4.4質量%、硫黄含有量:0質量%、亜鉛含有量:4.3質量%]
D−2:ジアルキルモノチオリン酸亜鉛塩(ZDMP、一般式(30)で表され、R31〜R34が炭素数8のオクチル基であり、X及びX、並びにX及びXのうち、1個が酸素原子であり、1個が硫黄原子である化合物)[リン含有量:4.2質量%、硫黄含有量:3.7質量%、亜鉛含有量:4.5質量%]
D−3:ジアルキルジチオリン酸亜鉛塩(ZDDP)[リン含有量:8.0質量%、硫黄含有量:14.2質量%、亜鉛含有量:9.0質量%]
モリブデン含有量、カルシウム含有量、リン含有量、硫黄含有量及び亜鉛含有量は、ICP元素分析法によって求めた。
ブロックオンリング試験機を用いて、金属間摩擦係数を評価した。試験条件を以下に示す。本試験においては、金属摩擦係数が小さいほど、摩擦特性に優れていることを意味する。
試験片:FALEX社製テストブロック(H60)、FALEX社製テストリング(S−10)
荷重:500N
すべり速度:1.05m/s
油温:100℃
Figure 2018048281
表1に示すとおり、実施例と比較例との対比から、本発明の潤滑油組成物が、金属間摩擦係数を低減できることが確認された。また、過塩基性ホウ酸カルシウムサリシレートを用いた実施例1、2及び比較例2と、過塩基性ホウ酸カルシウムスルホネートを用いた比較例4〜6とを対比すると、後者は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛塩との組み合わせにおいて、金属間摩擦係数が低くなるのに対して、前者は、ジアルキルリン酸亜鉛塩又はジアルキルモノチオリン酸亜鉛塩との組み合わせにおいて、金属間摩擦係数が低くなることが判明した。

Claims (4)

  1. 潤滑油基油と、
    有機モリブデン系摩擦調整剤と、
    アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化されたアルカリ土類金属サリシレートと、
    ジアルキルリン酸及びジアルキルモノチオリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物の亜鉛塩と、
    を含有する、潤滑油組成物。
  2. 前記アルカリ土類金属サリシレートが過塩基化されたカルシウムサリシレートを含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量、前記リン化合物の亜鉛塩の含有量の含有量及び前記カルシウムサリシレートの含有量が下記式(1)及び(2)で表される条件を満たす、請求項2に記載の潤滑油組成物。
    0.3≦C(P)/C(Mo)≦5.0 (1)
    0.8≦C(Ca)/C(Mo)≦8.0 (2)
    [式中、C(Mo)は前記有機モリブデン系摩擦調整剤の含有量を示し、C(P)は前記リン化合物の亜鉛塩の含有量を示し、C(Ca)は前記カルシウムサリシレートの含有量を示す。C(Mo)、C(P)及びC(Ca)はそれぞれ組成物全量基準のモリブデン、リン及びカルシウムの元素換算値(質量ppm)である。]
  4. 前記有機モリブデン系摩擦調整剤がモリブデンジチオカーバメートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
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