JP2018031446A - 樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法 - Google Patents

樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂製のベルト本体部から心線が露出せず、また、局所的な屈曲による心線の疲労損傷の虞がない樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法を提供すること。【解決手段】ベルト本体部2を備え、ベルト本体部2内に、心線4が埋設され、心線4の、ベルト本体部2の走行面側の全長に亘って接し、心線4と走行面との間に、支持シート材3が設けられている樹脂製ベルトであり、該樹脂製ベルトは、樹脂材料からなる支持シート材3を下金型上に配置し、支持シート材3の上面に接触させて支持シート材3に沿って心線4を配置し、下金型及び上金型を用いて、樹脂材料により心線4を埋設し、心線4と走行面との間に支持シート材3が設けられているベルト本体部を成型することにより製造される。【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法に関し、より詳しくは、樹脂製のベルト本体部から心線が露出せず、また、局所的な屈曲による心線の疲労損傷のおそれがない樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法に関する。
動力伝達や搬送等の用に供する工業用の樹脂製ベルトは、ウレタンゴム等の軟質樹脂材料からなるベルト本体部と、このベルト本体部の長手方向に沿ってベルト本体部内に埋設された心線(抗張体)とを有して構成されている(特許文献1)。この心線には、スチールやステンレス等の金属材料の細線を撚り合わせた撚り線や、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維材料を撚り合わせた撚り線が使用される。
このような樹脂製ベルトの製造には、まず、図9に示すように、間隔をおいて配置した一対のローラ状の下金型101、102に亘って、心線供給装置103から供給された心線104を螺旋状に巻回させる。このとき、下金型101、102に設けられた微小な突起部により、心線104の高さ方向(下金型101、102に対する接離方向)の位置決めを行う。
次に、図10に示すように、複数本の回転ローラ105、105、105に架け渡された上金型となるスチールベルト106と、一方の下金型101との間に形成される間隙に、ノズル107から樹脂材料を注入しつつ、下金型101、102を回転させる。スチールベルト106は、一方の下金型101の回転に追従して、各回転ローラ105、105、105に亘って送られる。このような樹脂材料の注入及び下金型101、102の回転により、心線104が長手方向に沿って埋設されたベルト本体部108が成型される。
特開2012−215248号公報
上述のような樹脂製ベルトには、図11に示すように、心線104の高さ方向の位置決めのために下金型101、102に設けられた突起部に対応して、ノーズ溝109が形成されている(特許文献1)。このノーズ溝109の底部には、心線104が露出している。このノーズ溝109は、歯付ベルトの場合には、歯底面111に形成される。
ベルト本体部108の成型時には、心線104と下金型101、102の突起部とは、互いに接触していなければならない。これは、PLD(Pitch Line Differential:ピッチ面と歯底面との距離。以下同じ。)の寸法精度の確保、すなわち、この樹脂製ベルトのピッチ面上に心線104の中心線を位置させるためである。心線104と下金型101、102の突起部とが接触した部分には、ベルト本体部108を成型する樹脂材料が入らない。このように樹脂材料が入らなかった部分が、ノーズ溝109の底部であり、心線104の露出部となる。
このような心線104の露出部は、心線104の損傷を防止するために、極力小さな面積に抑える必要がある。すなわち、心線104の露出部が形成されるのはベルト本体部108の走行面であり、プーリが接触する面であるから、心線104とプーリとが直接接触することを防止する必要がある。そのため、心線104の高さ方向の位置決めのための下金型101、102の突起部は、なるべく微小なものとする必要がある。
そして、このようなノーズ溝109においては、ベルト本体部108の厚みが局所的に薄くなっていることから、樹脂製ベルトの湾曲や、樹脂製ベルトとプーリとの噛合状態の悪化による急激な張力変動や、樹脂製ベルトの搬送時における衝撃や振動等により、図12に示すように、局所的な屈曲が発生するおそれがある。このような局所的な屈曲の繰り返しは、心線104に疲労損傷を生じさせ、ひいてはベルト破断を招来するおそれがある。
そこで、本発明は、樹脂製のベルト本体部から心線が露出せず、また、局所的な屈曲による心線の疲労損傷のおそれがない樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
上記課題は以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
ベルト本体部を備え、
前記ベルト本体部内に、心線が埋設され、
前記心線の、ベルト本体部の走行面側の全長に亘って接し、該心線と前記走行面との間に、支持シート材が設けられていることを特徴とする樹脂製ベルト。
(請求項2)
前記ベルト本体部は、前記走行面に位置する複数の歯部を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂製ベルト。
(請求項3)
前記支持シート材は、格子網目状のシート材であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂製ベルト。
(請求項4)
前記支持シート材は、前記心線に接する面に前記ベルト本体部の長手方向に沿う溝部を有し、
前記心線は、前記支持シート材の前記溝部に係合することによって前記ベルト本体部の幅方向の位置決めをされていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂製ベルト。
(請求項5)
前記支持シート材は、熱硬化性ウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリアミド、ポリエステル、又はこれらの何れかを組み合わせたポリマー材料からなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の樹脂製ベルト。
(請求項6)
前記支持シート材は、厚みが0.008mm〜2.00mmであり、網目をなす格子の目開き寸法が0.3mm以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の樹脂製ベルト。
(請求項7)
前記心線は、スチール、ステンレス、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、PBO繊維、又はこれらの何れかの組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の樹脂製ベルト。
(請求項8)
樹脂材料からなる支持シート材を下金型上に配置し、
前記支持シート材の上面に接触させて該支持シート材に沿って心線を配置し、
前記下金型及び上金型を用いて、樹脂材料により前記心線を埋設し、該心線と走行面との間に支持シート材が設けられているベルト本体部を成型することを特徴とする樹脂製ベルトの製造方法。
(請求項9)
前記走行面に位置して、複数の歯部を前記ベルト本体部と一体的に成型することを特徴とする請求項8記載の樹脂製ベルトの製造方法。
(請求項10)
前記支持シート材として、格子網目状のシート材を用いることを特徴とする請求項8又は9記載の樹脂製ベルトの製造方法。
(請求項11)
前記支持シート材として、前記心線が接する面に前記ベルト本体部の長手方向に沿う溝部を有するものを用い、
前記心線を、前記支持シート材の前記溝部に係合させることによって前記ベルト本体部の幅方向の位置決めをすることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
(請求項12)
前記支持シート材として、熱硬化性ウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリアミド、ポリエステル、又はこれらの何れかを組み合わせたポリマー材料からなるものを用いることを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
(請求項13)
前記支持シート材として、厚みが0.008mm〜2.00mmであり、網目をなす格子の目開き寸法が0.3mm以上であるものを用いることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
(請求項14)
前記心線として、スチール、ステンレス、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、PBO繊維、又はこれらの何れかの組み合わせからなるものを用いることを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
本発明によれば、樹脂製のベルト本体部から心線が露出せず、また、局所的な屈曲による心線の疲労損傷のおそれがない樹脂製ベルト及び樹脂製ベルトの製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の樹脂製ベルトを一部切欠して示す斜視図 (a)は本発明の第1の実施形態の樹脂製ベルトの構成を説明する横断面図、(b)は同上の縦断面図、(c)は第1の実施形態の支持シート材の平面図 図2(c)の変形例を示す平面図 第1の実施形態の樹脂製ベルトの製造方法を説明する図 第1の実施形態の樹脂製ベルトの製造方法を説明する図 本発明の第1実施形態の樹脂製ベルトが湾曲された状態を説明する側面図 (a)は本発明の第2実施形態の支持シート材を示す拡大断面図及び拡大平面図、(b)は(a)の変形例を示す拡大断面図及び拡大平面図 (a)は本発明の第3実施形態の樹脂製ベルトの構成を説明する横断面図、(b)は同上の縦断面図 従来の樹脂製ベルトの製造方法を説明する図 従来の樹脂製ベルトの製造方法を説明する図 (a)は従来の樹脂製ベルトの構成を説明する横断面図、(b)は同上の縦断面図 従来の樹脂製ベルトが屈曲した状態を説明する側面図
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態の樹脂製ベルトを一部切欠して示す斜視図である。
本実施形態の樹脂製ベルト1は、図1に示すように、歯付無端ベルトとして構成され、ウレタンゴム等の軟質樹脂材料からなる円環状のベルト本体部2を有して構成される。ベルト本体部2の内周面は、プーリと接する走行面2aとなっている。走行面2aには、複数の歯部5が等間隔にベルト本体部2に一体的に形成されている。隣接する2つの歯部5,5同士に間は、歯底面6となっている。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態の樹脂製ベルトの構成を説明する横断面図、図2(b)は、同上の縦断面図であり、図2(c)は、支持シート材の平面図である。
ベルト本体部2には、図1及び図2(a)、(b)に示すように、長手方向(図1及び図2中矢印R方向)に沿って、支持シート材3及び心線4が設けられている。ベルト本体部2は、外周面から走行面2aの複数の歯部5までが、心線4及び支持シート材3を介して一体化されている。
心線4は、その中心線をこの樹脂製ベルト1のピッチ面P上に位置させて配置されている。すなわち、この樹脂製ベルト1においては、PLDの寸法精度が確保されている。ピッチ面Pとは、樹脂製ベルト1が曲げられたときに縦断面内で伸縮のない面である。この樹脂製ベルト1の耐久性の維持のためには、ピッチ面P上に心線4を配置することが必要である。心線4は、中心線をピッチ面P上に位置させ、ベルト本体部2のほぼ全幅に亘って均等に並列的に配置されている。
心線4は、スチールやステンレス等の金属材料の細線や、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、PBO繊維等の繊維材料の細線を用いることができる。
また、心線4は、上記金属材料の細線や繊維材料の細線の何れかを組み合わせた材料を撚り合わせた撚り線等を用いることもできる。
支持シート材3は、心線4と歯底面6(走行面2a)との間に位置して、歯底面6(走行面2a)に沿って配置されている。この支持シート材3は、ベルト本体部2のほぼ全幅に亘って配置されている。
支持シート材3は、図2(c)に示すように、格子網目状のシート材である。支持シート材3は、格子網目の格子方向(桟部の方向)が、ベルト本体部2の長手方向に対する平行方向及び垂直方向となされて配置されている。
支持シート材3は、熱硬化性ウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリアミド、ポリエステル、又はこれらの何れかを組み合わせたポリマー材料により形成されている。
この支持シート材3は、図2(a)、(b)に示すように、心線4に接して配置されている。支持シート材3が心線4に接しているのは、後述するように、この樹脂製ベルト1の製造工程において、心線4の高さ位置(ベルト本体部2の厚み方向の位置)を支持シート材3を介して成型金型により規定し、PLDの寸法精度を維持するためである。
支持シート材3の厚みは、樹脂製ベルト1の仕様に応じて適宜決定することができる。支持シート材3の厚みは、耐久性及び曲げ易さの観点から、例えば、0.008mm〜2.00mm程度が好ましい。ただし、支持シート材3は、歯底部6に沿って配置され、心線4に接しているので、支持シート材3の厚み及び心線4の半径の合計がPLD寸法に一致している必要がある。
支持シート材3の網目をなす格子の目開き寸法は、0.3mm以上であることが好ましい。これは、ベルト本体部2を成型する樹脂材料を十分に通過させるためである。
図3は、図2(c)の変形例を示す平面図である。
支持シート材3は、図3に示すように、格子網目の格子方向(桟部の方向)が図3中矢印Rで示すベルト本体部2の長手方向(周方向)に対して45°傾斜した方向となるように配置してもよい。
図4及び図5は、第1の実施形態に示す樹脂製ベルトの製造方法を説明する図である。
この樹脂製ベルト1を製造するには、図4に示すように、間隔をおいて配置した一対のローラ状の下金型101、102を用いる。これら各下金型101、102の外周面には、製造される樹脂製ベルト1の走行面2aの形状に対応する成型部が凹設されている。
この実施形態においては、下金型101、102の外周面に歯部5を形成するための複数の溝状の成型部(図示せず)が凹設されている。この下金型101、102により、円環状のベルト本体部2の内周面に複数の歯部5が突設された歯付無端ベルトが製造される。各歯部5は、略台形柱形状に構成されており、プーリの歯が接触する面をインボリュート曲面とすることが好ましい。
樹脂製ベルト1を製造するには、まず、図4に示すように、一対の下金型101、102に亘って、支持シート材3を巻回させる。支持シート材3は、下金型101、102の最外周面(歯底面6を成型する面)に接して巻回され、高さ方向(下金型101、102に対する接離方向)の位置決めをされる。
次に、一対の下金型101、102に亘って、支持シート材3の上から、心線供給装置103から供給された心線4を螺旋状に複数回巻回させる。このとき、心線4は、支持シート材3の表面に接し、この支持シート材3を介して、下金型101、102により高さ位置を規定される。下金型101、102により心線4の高さ位置が規定されることにより、PLDの寸法精度が確保される。すなわち、心線4の中心線は、製造される樹脂製ベルト1のピッチ面P上に位置される。
この実施形態における下金型101、102には、従来技術と異なり、心線4の高さ位置を樹脂製ベルト1のピッチ面Pに一致させるための突起部は存在しない。下金型101、102と心線4との間に支持シート3を介在させるので、この支持シート3の厚さを従来技術における突起部の高さに等しくしておくことにより、心線4の高さ位置を樹脂製ベルト1のピッチ面Pに一致させることができる。
次に、図5に示すように、複数本の回転ローラ105、105、105に架け渡された上金型となるスチールベルト106と、一方の下金型101との間に形成される間隙に、ノズル107から樹脂材料を注入しつつ、下金型101、102を回転させる。スチールベルト106は、一方の下金型101の回転に追従して、各回転ローラ105、105、105に亘って送られる。このとき、ノズル107から注入された樹脂材料は、心線4同士の間を経て、支持シート材3の格子の目開き内にも注入される。また、この樹脂材料は、支持シート材3の格子の目開きを通過して、下金型101、102の外周面の歯部5を形成するための成型部内にも注入される。樹脂材料の注入及び下金型101、102の回転により、心線4及び支持シート材3を樹脂材料で被覆し、心線4及び支持シート材3が長手方向に沿って埋設されて一体化されたベルト本体部2が成型される。
前述したように、下金型101、102に突起部が存在しないことにより、従来技術と異なり、成型されたベルト本体部2には、図2(a)、(b)に示すように、ノーズ溝は形成されない。このベルト本体部2においては、支持シート材3の高さ位置を決めるための下金型101、102と支持シート材3との接触部分に対応して、シート材露出部7が形成される。このシート材露出部7においては、支持シート材3の表面が外方に露出している。このシート材露出部7は、歯底面6のほぼ全面に形成される。
すなわち、支持シート材3と下金型101、102とは、支持シート材3の高さ位置決めのために互いに接触していなければならず、この接触部にはベルト本体部2を成型する樹脂材料が入らない。そのため、この接触部には、支持シート材3の表面が外方に露出したシート材露出部7が形成される。心線4は、この支持シート材3よりもベルト本体部2の内方側に埋設されるため、外方に露出することはない。
このようにして、ベルト本体部2の長手方向に沿って心線4及び支持シート材3が埋設され、ノーズ溝を有さない樹脂製ベルト1を製造することができる。この樹脂製ベルト1においては、支持シート材3が心線4に接した状態が維持され、この状態でPLDの寸法精度が維持されている。
図6は、本発明の第1の実施形態の樹脂製ベルトが湾曲された状態を説明する側面図である。
この樹脂製ベルト1においては、従来技術と異なり、ノーズ溝のような局所的な肉薄部が存在しない。そのため、図6に示すように、樹脂製ベルト1を湾曲させることや、樹脂製ベルト1とプーリとの噛合状態の悪化による急激な張力変動や、樹脂製ベルト1の搬送時における衝撃や振動等によっても、局所的な屈曲が発生することがなく、心線4の疲労損傷の虞がない。
また、支持シート材3は、図2(c)、図3に示すように、格子状の目開きがあるため、格子状の隙間に樹脂が含浸することによって、含浸した樹脂が硬化すると板状態となり、心線だけのベルトの場合に比べて、板状態になった樹脂が、心線の補強機能としての役割を果たすことが可能となる。
〔第2の実施形態〕
図7(a)は、本発明の第2の実施形態の支持シート材の拡大断面図及び拡大平面図であり、図7(b)は、図7(a)の変形例を示す拡大断面図及び拡大平面図である。
第2の実施形態の樹脂製ベルトは、支持シート材3以外の構成及び製造方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第2の実施形態の樹脂製ベルトでは、図7(a)に示すように、支持シート材3の心線4側の面(ここでは外周面)に、図7(a)中矢印Rで示す長手方向(周方向)に沿う溝部8が設けられている。
この溝部8は、支持シート材3の格子の各目開き3a及び各桟部3bを横切って形成されている。
また、溝部8は、図7(b)に示すように、支持シート材3の格子の各桟部3b上に桟部3bに沿って形成してもよい。この場合においても、溝部8は、図7(b)中矢印Rで示す長手方向(周方向)に沿って設けられている。
この溝部8には、樹脂製ベルトの製造工程において、心線4が係合する。心線4は、高さ方向(支持シート材3の厚み方向)のみならず、溝部8に係合することにより、ベルト本体部2の幅方向についても位置決めされる。溝部8に係合した心線4は、ベルト本体部2をなす樹脂材料の注入時にも、樹脂材料の圧力や樹脂材料の流れによって幅方向の位置ずれを生ずることがない。
すなわち、この実施形態においては、高さ方向のみならず、ベルト本体部2の幅方向についても、心線4の位置を正確に所望の位置に維持させることができ、所望の特性を有する樹脂製ベルトを構成することができる。
〔第3の実施形態〕
図8(a)は、本発明の第3の実施形態の樹脂製ベルトの構成を説明する横断面図であり、図8(b)は、同上の縦断面図である。
第3の実施形態の樹脂製ベルト1は、Vガイド9以外の構成及び製造方法は、第1及び第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第3の実施形態の樹脂製ベルト1は、図8(a)、(b)に示すように、Vガイド9を設けて構成されている。このVガイド9は、ベルト本体部2の内周側に、歯部5よりも突出して列状に配列された突起である。これらVガイド9は、各歯部5に対応して、各歯部5の中央部に突設されている。各Vガイド9は、略四角錐台形状に構成されている。
各Vガイド9は、プーリの歯を縦断して形成されたV溝に噛合することにより、プーリ上における樹脂製ベルト1の幅方向の遷移を防止することができる。
なお、この第3の実施形態において、支持シート材3については、第1及び第2の実施形態における各支持シート材3の何れを用いてもよい。
前述した各実施形態では、歯部5を有する歯付ベルトについて説明したが、本発明に係る樹脂製ベルトはこれに限定されず、歯部5を設けずに平ベルトやVベルトとして構成してもよい。前述した樹脂製ベルト製造方法は、歯付ベルトを製造するものであるが、平ベルトやVベルトを製造する場合も同様の製造工程により製造することができる。平ベルトの場合には、シート材露出部7は、ベルト本体部2の走行面2aの略全面に亘って形成される。
また、前述した各実施形態では、端部を有さない無端ベルトについて説明したが、本発明に係る樹脂製ベルトはこれに限定されず、端部を有する有端ベルトとして構成してもよい。前述した樹脂製ベルトの製造方法は、無端ベルトを製造するものであるが、有端ベルトを製造する場合も同様の製造工程により製造することができる。
1:樹脂製ベルト
2:ベルト本体部
2a:走行面
3:支持シート材
3a:目開き
3b:桟部
4:心線
5:歯部
6:歯底面
7:シート材露出部
8:溝部
9:Vガイド
101、102:下金型
103:心線供給装置
105:回転ローラ
106:スチールベルト
107:ノズル

Claims (14)

  1. ベルト本体部を備え、
    前記ベルト本体部内に、心線が埋設され、
    前記心線の、ベルト本体部の走行面側の全長に亘って接し、該心線と前記走行面との間に、支持シート材が設けられていることを特徴とする樹脂製ベルト。
  2. 前記ベルト本体部は、前記走行面に位置する複数の歯部を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂製ベルト。
  3. 前記支持シート材は、格子網目状のシート材であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂製ベルト。
  4. 前記支持シート材は、前記心線に接する面に前記ベルト本体部の長手方向に沿う溝部を有し、
    前記心線は、前記支持シート材の前記溝部に係合することによって前記ベルト本体部の幅方向の位置決めをされていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂製ベルト。
  5. 前記支持シート材は、熱硬化性ウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリアミド、ポリエステル、又はこれらの何れかを組み合わせたポリマー材料からなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の樹脂製ベルト。
  6. 前記支持シート材は、厚みが0.008mm〜2.00mmであり、網目をなす格子の目開き寸法が0.3mm以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の樹脂製ベルト。
  7. 前記心線は、スチール、ステンレス、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、PBO繊維、又はこれらの何れかの組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の樹脂製ベルト。
  8. 樹脂材料からなる支持シート材を下金型上に配置し、
    前記支持シート材の上面に接触させて該支持シート材に沿って心線を配置し、
    前記下金型及び上金型を用いて、樹脂材料により前記心線を埋設し、該心線と走行面との間に支持シート材が設けられているベルト本体部を成型することを特徴とする樹脂製ベルトの製造方法。
  9. 前記走行面に位置して、複数の歯部を前記ベルト本体部と一体的に成型することを特徴とする請求項8記載の樹脂製ベルトの製造方法。
  10. 前記支持シート材として、格子網目状のシート材を用いることを特徴とする請求項8又は9記載の樹脂製ベルトの製造方法。
  11. 前記支持シート材として、前記心線が接する面に前記ベルト本体部の長手方向に沿う溝部を有するものを用い、
    前記心線を、前記支持シート材の前記溝部に係合させることによって前記ベルト本体部の幅方向の位置決めをすることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
  12. 前記支持シート材として、熱硬化性ウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリアミド、ポリエステル、又はこれらの何れかを組み合わせたポリマー材料からなるものを用いることを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
  13. 前記支持シート材として、厚みが0.008mm〜2.00mmであり、網目をなす格子の目開き寸法が0.3mm以上であるものを用いることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
  14. 前記心線として、スチール、ステンレス、アラミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、PBO繊維、又はこれらの何れかの組み合わせからなるものを用いることを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載の樹脂製ベルトの製造方法。
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