JP2018030901A - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2018030901A
JP2018030901A JP2016161671A JP2016161671A JP2018030901A JP 2018030901 A JP2018030901 A JP 2018030901A JP 2016161671 A JP2016161671 A JP 2016161671A JP 2016161671 A JP2016161671 A JP 2016161671A JP 2018030901 A JP2018030901 A JP 2018030901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
film
resin
polyester film
stretching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016161671A
Other languages
English (en)
Inventor
園田 和衛
Kazue Sonoda
和衛 園田
合田 亘
Wataru Goda
亘 合田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2016161671A priority Critical patent/JP2018030901A/ja
Publication of JP2018030901A publication Critical patent/JP2018030901A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】
本発明のポリエステルフィルムは、内部に制御された空洞を発生させることにより、優れた反射性能と光沢感を両立させたものである。
【解決手段】
空洞を含有するポリエステルフィルムであって、以下の式(1)(2)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
L1≧50 (1)
L3/L1≧0.04 (2)
L1:L(SCI)
L2:L(SCE)
L3:L(SCI)−L(SCE)
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた反射性・光沢感を有し、光源反射部材や装飾部材として好適に用いられるポリエステルフィルムに関するものである。
従来、空洞を含有するフィルムは、マトリクス樹脂に非相溶樹脂を分散させて延伸することにより、非相溶樹脂周辺に微細気泡(ボイド)を発生させることが一般的である。これらの微細気泡含有フィルムは、反射性と隠蔽性に優れ、紙と同じようなソフト感や柔軟性が得られると共に、低比重化を図れることから、ラベルやポスター、感熱記録紙、昇華感熱記録紙、ICカードなど各種の用途に広く用いられ、特に内照式電飾看板や液晶ディスプレイ用の反射板基材として欠かせないものとなっている(特許文献1〜2)。またこれらの微細気泡含有フィルムの欠点である折れ皺の改善やさらなる反射性向上のために、微細気泡を含有する層とそれを隔てる樹脂層を交互に積層することも提案されている(特許文献3〜5)。
特開平2−81678号公報 特開平10−286920号公報 特開2004−50479号公報 特開2002−137350号公報 特開2003−136619号公報
しかしながら、特許文献に示される微細気泡含有フィルムは以下の点が課題としてある。微細気泡含有フィルムの反射性は、微細気泡と樹脂の界面での散乱によって生じているため、微細気泡をいかに小さく、そして多く作ることに依存している。その一方で、特許文献に示される微細気泡含有フィルムは、フィルムを構成する樹脂に非相溶な樹脂を含有させた後延伸することで、非相溶樹脂を核として微細な気泡を含有せしめるものであるが、核となる非相溶樹脂を微分散化しすぎると微細気泡が発生しなくなるため、微細気泡の微小化には限度がある。また、微細気泡は拡散光が主体であるため光沢が一切なく、装飾用で用いるためには別の手段によって光沢を付与する必要がある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、優れた反射性能と光沢感を両立させたものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
空洞を含有するポリエステルフィルムであって、以下の式(1)(2)を満たしたポリエステルフィルム。
L1≧50 (1)
L3/L1≧0.04 (2)
L1:L(SCI)
L2:L(SCE)
L3:L(SCI)−L(SCE)
本発明のポリエステルフィルムは、軽量で反射性能と光沢感を併せ持ち、液晶ディスプレイなどのバックライトに使用できるほか、優れた光沢感から装飾用フィルムに使用することができる。
微細気泡を含有するフィルムの断面モデルである。 微細気泡を含有する多層フィルムの断面モデルである。 高アスペクト比の空洞を含有するフィルムの断面モデルである。 高アスペクト比の空洞を含有する多層フィルム(17層)の断面である。 高アスペクト比の空洞を含有する多層フィルム(401層)の断面である。 空洞のフェレ径示す模式図である。
以下に具体例を挙げつつ、本発明について詳細に説明する。
本発明はポリエステルフィルムに係るものである。
ここでいうポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものなどが例としてあげられるがこれらに限定されない。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、上述したポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを主成分とするポリエステルが好ましい。本発明において、主成分とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂組成物中60質量%以上であることをいう。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの共重合体や編生体、他のポリマーとのブレンドであっても良い。特に、ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと記載することがある)を主成分とするポリエステルであると、機械強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性などの観点から好ましい。このポリエステル中には各種添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、無機粒子及び有機粒子などを添加含有させてもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、空洞を含有するポリエステルフィルムであって、以下の式(1)(2)を満たす。
L1≧50 (1)
L3/L1≧0.04 (2)
L1:L(SCI)
L2:L(SCE)
L3:L(SCI)−L(SCE)
ここで求められるL1、L2は、コニカミノルタ製の分光測色計CM−3600AもしくはCM−3700Aにて測定される値である。L(SCI)はSCI方式で測定される正反射光込み(全反射光)の明度、L(SCE)はSCE方式で測定される正反射光を除外した明度を表し、L(SCI)−L(SCE)は正反射光の明度を表す。すなわち、(2)式の(L(SCI)−L(SCE))/L(SCI)は全反射光に占める正反射光の比率を表す。この値が0.04以上であると、光沢感を示す。さらに好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上である。この値が1に近づくほど鏡面体になり好ましいが、本発明の製造方法上、すべての反射光を正反射のみとすることは困難であり0.6が上限である。また、L(SCI)は50以上である必要がある。L(SCI)が50未満であると、反射性能および光沢感に劣ったものとなる。より好ましくはL(SCI)が80以上であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、A層とB層が厚み方向に交互に30層以上積層されていることが好ましい。計30層以上の積層フィルムである部分を少なくとも一部構造として有していればよく、例えば、最表層をなす層として上記各層には該当しない層があっても差し支えないものである。また、層数も多いほど反射率が向上することから200層以上であることが好ましいが、多すぎるとフィルム表面にフローマークが出現しやすいこと、また、各層が不安定化してきれいなフィルムが得られなくなることなどから1000層以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、A層とB層が厚み方向に交互に30層以上積層されてなる場合、少なくとも一方の層(例えばB層)が空洞を有することによりL(SCI)の値は上昇し、またフィルムを軽量化できるため好ましい。また、空洞を有する層と樹脂層とが交互に積層されていることにより、延伸時の応力集中が緩和される為に高倍率に延伸しても破れづらく、製膜安定性が向上する。
特に、B層に含まれる空洞の形状は、平均アスペクト比(平面方向/厚み方向)が15以上1000以下であることが好ましい。より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上である。高アスペクト比の空洞であると、L3の比率が大きくなり光沢感を有するようになる。平均アスペクト比は高いほど光沢感が高まり好ましいが、高くなりすぎると空洞の形状が維持できなくなり空洞がつぶれてしまうため好ましくない。そのため空洞の平均アスペクト比の上限は150以下がより好ましい。
ここで空洞の平均アスペクト比の導出は、フィルムをミクロトームにて切削して得られたフィルムのSEMもしくはTEM断面画像から行う。また、切削の仕方にて空洞の断面形状が変化しないように、サンプルはメチルメタクリレート(MMA)またはブチルメタクリレート(BMA)を主成分とするアクリル系樹脂、もしくはエポキシ樹脂で包埋した後に、液体窒素で凍結させて1μmのステップで断面形状を切り出していくことにより、きれいな断面形状を得ることができる。平面方向とは、厚み方向に対して70〜110°の傾きの範囲方向であれば特に方位は限定されない。平均アスペクト比は独立した空洞を少なくとも100個以上測定したときの平均値で表される。
本発明のポリエステルフィルムは、前記A層の空隙率2体積%未満であり、前記B層の空隙率が50〜90体積%であることが好ましい。B層に占める空隙率が高くなるほどA層とB層の反射効率が上がるため、L1を高くすることができる。A層の空隙率は1体積%未満であることがより好ましく、実質的に空隙を含有しないことがさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記A層の1層あたりの最大の厚みが、0.05μm以上2μm未満であることが好ましい。A層の厚みを薄くすればするほど、フィルム内に占めるB層の比率ひいては空洞の比率が高くなるためL1を高くすることができる。一方で、0.05μm未満とすると空洞の形状を維持するのが困難になるため好ましくない。
空洞を発生させる方法としては、B層樹脂中に高融点の非相溶樹脂を細かく分散させ、それを延伸することにより非相溶樹脂粒子の周囲に空洞が形成される。延伸は好ましくは二軸延伸である。従来の微細気泡を含有するフィルムもこのように作成される(図1)。しかしこのようにして作成した空洞は粒子を支点として発生しているため、空洞の形状は楕円形となりアスペクト比は低い。また、空洞の厚み方向の長さは粒子径に依存するため、各層厚みを薄くしていったとしても本質的に変わらない(図2)。
本発明の好ましい形態である高アスペクト比の空洞を発生させる場合には、B層の樹脂の50重量%以上99重量%以下が延伸性の低い樹脂(C)であり、それに対し非相溶な樹脂(D)が1重量%以上50重量%以下含まれていることが好ましい。より好ましくは樹脂Cが65重量%以上95重量%以下である。このような構成をとることにより、溶融押出し後のフィルムは、樹脂Cが海、樹脂Dが島として存在する。このフィルムに二軸延伸を行うと、樹脂Cと樹脂Dの界面で界面剥離を生じた後、B層が二軸延伸に追従しないため、層が断絶したような構造となる(図3)。この時に生じた空洞の比率は図1の微細気泡と比べて大きく、フィルムに対して水平方向の部分が多いため正反射性が高い。さらに層間の断裂によって発生した空洞であるため空洞の厚みはB層厚みにほぼ依存する。これにより、層数によって層厚みを制御すればアスペクト比を高くすることが可能となり、究極的にはアミダ模様の多層構造を作成することができる(図4、図5)。また、層数を多くすると界面の干渉反射も発生し、真珠光沢のような外観を呈する。
一方で層数を増やし、1層あたりの厚みが2μm以下となってくると、延伸性が低い樹脂であっても空洞が発生しづらくなる。そのため、延伸面倍率を16倍〜39倍にすることにより空洞が伸展しやすくなることから好ましい。延伸面倍率は逐次二軸および同時二軸どちらにも限定されないが、一度に高倍率延伸を行うと破れやすいことから、多段延伸することが好ましい。
上記延伸性の低い樹脂(C)とは、A層ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度Tg(A)と樹脂Cのガラス転移温度Tg(C)が、下記式を満たしていることが好ましい。
Tg(C)−Tg(A)≧25 (3)
より好ましくは、Tg(C)−Tg(A)≧50が好ましい。このような構成にすると、延伸工程において、A層は延伸するがB層は延伸しないため、図3のような空洞がより発生しやすくなる。本発明においてはポリエチレンナフタレート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、変性ポリフェニレンエーテルなどのエンプラ樹脂、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリサルホンなどのスーパーエンプラ樹脂が挙げられる。コストや取扱い性から考えれば、これらの中でポリメチルペンテンが最も好ましい。
また、樹脂Cは、上記(3)式を満たしていない場合であっても、例えばガラス繊維を配合したPET樹脂(GF強化PET)、剛性粒子を高濃度に分散させた樹脂、キャストした時点で40%以上冷結晶化する樹脂(PBT、MXD6)や結晶核剤および結晶助長剤を多量に含有する樹脂も二軸延伸が困難であるため該当する。結晶核剤としては、タルク、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジド、ソルビトール系化合物、有機リン酸化合物といった群から好ましく選ぶことができる。
本発明のポリエステルフィルムは、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加してもよい。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。
A層に用いるポリエステルAと、B層に用いる樹脂Bをそれぞれ別々の押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。本発明においては、樹脂Aと樹脂Bが多交互に多層積層されていることが好ましく、多層フィードブロック、スクエアーミキサーもしくは多層口金などの複合装置を用いて積層される。フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、層数にもよるが理想的な空洞を得るために、長手方向に、好ましくは、3.5倍以上7.0倍以下、さらに好ましくは3.8倍以上6倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。延伸温度としてはA層樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+40℃が好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、長手方向の延伸倍率に対して80%以上120%以下である。幅方向の延伸速度および延伸温度は同様である。また、各延伸倍率は一挙に伸ばす必要はなく、長手方向延伸と幅方向延伸の後に、さらに長手方向延伸と幅方向延伸の再延伸を行っても良い。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は延伸温度以上B層の主成分樹脂の融点よりも―10℃以下で行う必要がある。ここで好ましい熱処理温度とは、二軸延伸後に行う熱処理温度の中で、最も高温となる温度を示す。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。
さらに、対象物との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。さらに、140〜200℃条件下でオフアニールすることも好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に、高輝度の反射効率を示すことから光源反射部材用フィルムとしても用いることができる。また、真珠光沢を有することから装飾板、贈答品などの包装用リボン、贈答品などのケースや室内壁のライニング等の装飾用フィルムに好適に適用することができる。
[特性の評価方法]
1.フィルムの総厚み、各層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、幅方向のフィルム断面をミクロトーム(ライカ製:RM2265)で切り出した。このときの条件は、切り出しにダイヤモンドカッター、冷却に液体窒素を使用し、切り出しステップ間隔1μmで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)でそれぞれの層数に応じて1000〜5000倍の倍率で観察し、フィルムの総厚みおよびポリエステル各層の厚みを求めた。
2.L(SCI)、L(SCE)、L(SCI)−L(SCE)
サンプルを5cm×5cmで切り出し、次いでサンプル裏面をマジックインキ(名称)で黒く塗り、コニカミノルタ(株)製CM−3600Aを用いて、測定径φ8mmのターゲットマスク(CM−A106)条件下で、SCE方式およびSCI方式にてL値を測定し、n数3の平均値を求めた。なお、白色校正板はCM−A103、ゼロ校正ボックスはCM−A104を用いた。
3.B層の空隙率
1で得た断面写真またはその合成写真(倍率1000〜5000倍)を画像寸法測定器(キーエンス製:IM−6125)にて取り込んだ。A層に挟まれた部分をB層とし、このB層のすべての面積(S1)と、B層の空隙部分の面積(S2)を二値化で分離し、S2/S1×100をB層の空隙率とした。なお、全形状がはっきりとした空隙100個を平均したものとする。
4.空隙のアスペクト比
3と同様の方法で画像寸法を行った。各空隙について垂直フェレ径(厚み方向)、水平フェレ径(平面方向)を求め、水平フェレ径/垂直フェレ径をアスペクト比とする(図6)。なお、全形状がはっきりとした空隙100個を平均したものとする。
5.ガラス転移温度、融点
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。2ndRUNのDSC曲線より得られた吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。なお、積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の融点を測定することができる。本発明において、ポリエステルA層とポリエステルB層とを有するポリエステルフィルムの場合は、各層の融点を測定し、融点の高い層をポリエステルA層、低い方の層をポリエステルB層とした。
6.外観
外観について下記で評価した。
A:反射性能と光沢感に非常に優れる。
B:反射性能と光沢感に優れる。
C:反射性能は低いが 光沢感に優れる
D:反射性能に優れるが光沢感を有しない
7.製膜性
フィルムの製膜性について、下記の基準で評価した。
A:フィルム破れの発生がなく、安定した製膜が可能である。
B:フィルム破れが発生するが、製膜可能である。
C:フィルム破れが多く発生し、連続製膜が困難である。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
主原料として、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(以降PETとも呼ぶ)を用いた。また、副原料としてポリメチルペンテン(三井化学製:DX820。以降PMPとも呼ぶ)を70重量%、PET22重量%、分散剤として分子量4000のポリエチレングリコール(以降PEGとも呼ぶ)を3重量%添加した原料を用いた。それぞれ180℃の真空乾燥で脱水を行い、それぞれの押出機にて280℃に溶融加熱された原料は、各々の原料を交互に計17層積層するフィードブロックにて多層複合積層し、Tダイに導きシート状に押出して溶融シートとした。なお、この際、両表層が主原料となるように積層せしめた。該溶融シートを表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法で密着冷却こさせ未延伸フィルムを得た。
続いて、該未延伸フィルムを常法に従い98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に3.2倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。さらに、該延伸フィルムをテンターに導き125℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向に3.4倍延伸した。その後、テンター内で220℃の熱固定を行い均一に徐冷後巻き取り、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。かくして得られたフィルムの特性は、表1の通りであり、反射性能は高くないが光沢感に優れたフィルムが得られた。副原料に用いられたPMPは未延伸フィルムの時点で結晶化しているため二軸延伸にて延伸されず、空洞は図3に示すような形状であった。
(実施例2)
フィードブロックを変更して積層数を201層とし、延伸倍率を縦3.3倍、横3.54とした以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。層数が増大することで反射性能が大幅に増大した一方、光沢感の向上はあまり見られなかった。これは、空洞が発生しづらくなりB層の空隙率は低下したことに起因していると推測される。
(実施例3)
延伸倍率を縦4.0倍、横4.7とした以外は、実施例2と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。面倍率の向上により光沢感はわずかに向上した。
(実施例4)
延伸倍率を縦4.0倍、横4.7とした後に、再度縦方向に1.1倍、横方向に1.1倍延伸した以外は、実施例2と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。面倍率の向上により光沢感は大幅に向上し、真珠光沢のような外観を呈した。
(実施例5)
再縦延伸倍率倍、横方向に1.1倍延伸した以外は、実施例2と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。面倍率の向上により光沢感は大幅に向上し、真珠光沢のような外観を呈した。
(実施例6)
副原料2としてイソフタル酸が10mol%共重合されたポリシクロヘキサンテレフタレート(以降PCT/Iとも呼ぶ)を使用した。3台目の押出機を導入してフィードブロックで多層に積層されたフィルムの両表層にくるように積層した。このときの(A+B)/Cの吐出比は5とした。それ以外は実施例5と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを製膜し、巻き取るときに両表層のPCT/I層を剥ぎ取って厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。性能は実施例5とほぼ同じであるが、両表層に支持層が積層されていることにより破れは大幅に低減した。
(実施例7)
副原料としてPMPを80重量%、シクロポリオレフィン(三井化学製:ゼオノアR1020R。以降COPとも呼ぶ)を20重量%添加した原料を用いた以外は実施例5と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。B層に分散する粒子の径が大幅に小さくなったことにより、空洞はより平面方向に配列し光沢感はさらに向上した。
(実施例8)
副原料として液晶ポリマー(上野製薬製:2030G。以降LCPとも呼ぶ)を70重量%、PETを30重量%添加した原料を用いた以外は実施例5と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。LCPは樹脂Cに属するため、延伸によって生じた空洞は図2と同様であった。一方、B層の空隙率は実施例5よりも低く、光沢感は低下した。
(実施例9)
副原料としてポリカーボネート(出光興産製:タフロンRLC1500。以降PCとも呼ぶ)を70重量%、PMPを30重量%添加した原料を用いた以外は実施例3と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。延伸温度がPCのガラス転移温度よりもかなり低いためにB層が延伸に追従せず、延伸によって生じた空洞は図2と同様であった。一方で、延伸倍率B層の空隙率は実施例3よりも低く、光沢感はやや低下した。
(比較例1)
副原料としてPETを89重量%、PMPを10重量%、PEGを1重量%添加した原料を用いた以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。空洞のアスペクト比が小さいためにフィルムに光沢感がまったく見られなかった。
(比較例2)
副原料としてイソフタル酸12mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/I12)を50重量%、硫酸バリウム粒子50重量%を添加した原料を用いた。また、縦倍率は3.3倍、横倍率は3.3倍、熱処理温度を180℃とした以外は実施例4と同様に行った。B層にほとんど空洞は発生せず、光沢感はまったく見られなかった。
(比較例3)
延伸倍率を縦4.0倍、横4.7とした以外は、比較例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。面倍率を向上してもアスペクト比の向上はわずかであり、光沢感はほとんど変わらなかった。
(比較例4)
延伸倍率を縦3.0倍、横3.1とした以外は、実施例2と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。面倍率が低いために空洞のアスペクト比が低く、光沢感はほとんど見られなかった。
1 A層
2 B層
3 空洞
4 非相溶樹脂
5 樹脂C
6 水平フェレ径
7 垂直フェレ径
微細気泡を含有するフィルムの断面モデルである。 微細気泡を含有する多層フィルムの断面モデルである。 高アスペクト比の空洞を含有するフィルムの断面モデルである。 高アスペクト比の空洞を含有する多層フィルム(17層)の断面である。 空洞のフェレ径示す模式図である。

Claims (6)

  1. 空洞を含有するポリエステルフィルムであって、以下の式(1)(2)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
    L1≧50 (1)
    L3/L1≧0.04 (2)
    L1:L(SCI)
    L2:L(SCE)
    L3:L(SCI)−L(SCE)
  2. A層とB層が厚み方向に交互に30層以上積層されてなり、少なくともB層が空洞を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記A層の空隙率2体積%未満であり、前記B層の空隙率が50〜90体積%であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記A層の1層あたりの最大の厚みが、0.05μm以上2μm未満であることを特徴とする請求項2または3に記載の微細気泡含有フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた光源反射部材用フィルム。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた装飾用フィルム。
JP2016161671A 2016-08-22 2016-08-22 ポリエステルフィルム Pending JP2018030901A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016161671A JP2018030901A (ja) 2016-08-22 2016-08-22 ポリエステルフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016161671A JP2018030901A (ja) 2016-08-22 2016-08-22 ポリエステルフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018030901A true JP2018030901A (ja) 2018-03-01

Family

ID=61304605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016161671A Pending JP2018030901A (ja) 2016-08-22 2016-08-22 ポリエステルフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018030901A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019208139A1 (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日東電工株式会社 光学積層体、カバーガラス付光学積層体、およびこれらの製造方法、ならびにカバーガラス付画像表示装置
JP2019191464A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日東電工株式会社 樹脂シートおよびその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019208139A1 (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日東電工株式会社 光学積層体、カバーガラス付光学積層体、およびこれらの製造方法、ならびにカバーガラス付画像表示装置
JP2019191465A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日東電工株式会社 光学積層体、カバーガラス付光学積層体、およびこれらの製造方法、ならびにカバーガラス付画像表示装置
JP2019191464A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日東電工株式会社 樹脂シートおよびその製造方法
WO2019208138A1 (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日東電工株式会社 樹脂シートおよびその製造方法
CN112005143A (zh) * 2018-04-27 2020-11-27 日东电工株式会社 光学层叠体、带保护玻璃的光学层叠体及它们的制造方法以及带保护玻璃的图像显示装置
TWI803617B (zh) * 2018-04-27 2023-06-01 日商日東電工股份有限公司 樹脂片材及其製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6627218B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JPWO2004108408A1 (ja) 積層フィルムおよび二軸配向ポリエステルフィルム
WO2005026241A1 (ja) ポリエステルフィルム
JP2018030901A (ja) ポリエステルフィルム
CN107615109B (zh) 白色反射膜
JP2002363322A (ja) 白色ポリエステルフィルム
JP3180490B2 (ja) 白色ポリエステルフィルム及びそれを基材とする感熱記録用受容シート
JP2006187910A (ja) 二軸配向積層フィルム
JP2005281396A (ja) 空洞含有ポリエステル系樹脂フィルムまたはシート
JP4001307B2 (ja) 微細気泡含有積層ポリエステルフィルムおよびビデオプリンター用受像紙
JP4061444B2 (ja) 微細気泡含有積層ポリエステルフィルムおよびビデオプリンター用受像紙
JPH05138781A (ja) 空洞含有ポリエステル系フイルム
JP2005059331A (ja) 二軸延伸多層積層フィルム、装飾用糸および装飾用粉末
JP6586886B2 (ja) 白色フィルム
WO2018025663A1 (ja) 成形用白色ポリエステルフィルム及びそれを用いた白色樹脂成形体
KR101671817B1 (ko) 저광택 백색 폴리에스테르 필름 및 이의 제조방법과 이를 이용한 반사 시트
CN113646670B (zh) 双轴取向的聚酯反射膜及其制造方法
JP6701790B2 (ja) ポリエステルフィルム
JPH09239883A (ja) 微細気泡含有積層ポリエステルフイルム及び当該フイルムから成るカラープリンター用受像紙
JP4286937B2 (ja) 微細気泡含有積層ポリエステルフィルムおよびラミネート金属缶
JP3180492B2 (ja) 白色ポリエステルフィルム及びそれを用いてなる感熱記録用受容シート
JP2001096700A (ja) 積層白色ポリエステルフィルム
JPH11291432A (ja) 白色積層ポリエステルフィルム
JP2012210759A (ja) 白色積層ポリエステルフィルム
JP2017027035A (ja) エッジライト型バックライト用白色反射フィルム及び液晶ディスプレイ用バックライト

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160913