JP2018028633A - パルス光発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度の波長変換光を得る。
【解決手段】パルス幅が1ns以下のパルスレーザー光発生装置2と、水晶板の積層体6を組み合わせて用いる。水晶板は、損傷に強い反面、波長変換効率が低いという問題点を備えているところ、パルス幅が1ns以下にまで短くなると、エネルギーの時間的集中度が高まってレーザー光強度が上昇する。波長変換は非線形現象であり、入力するレーザー光強度が上昇すると変換効率が上昇する。上記組み合わせによると、「パルス幅の短時間化によって上昇したレーザー光強度×上昇した変換効率」の関係が得られ、高強度の波長変換光が得られる。
【選択図】図1

Description

本明細書では、パルスレーザー光を作りだし、作りだしたパルスレーザー光を波長変換したパルス状の波長変換光を出力するパルス光発生装置を開示する。
レーザー光発生装置が発生するレーザー光の波長と、必要とされる光の波長が相違している場合に、レーザー光発生装置が発生したレーザー光を波長変換素子に入力し、波長変換素子で波長変換した光を出力する技術が利用される。
レーザー光発生装置が出力するレーザー光の強度は非常に強力となっている。例えば、レーザー光の持続時間を短くしてパルス状とし、エネルギーの時間的集中度を高めてレーザー光強度を上昇させる技術が開発されている。
しかしながら波長変換素子に存在する問題によって、パルスレーザー光の強度を上昇させても必要とする波長の強度を上げられないという問題が顕在化しつつある。従来のレーザー光の強度では障害とならなかった問題が障害となるレーザー光の強度レベルに達しつつある。
現時点で最も普及している波長変換素子は、LiNbO(LNと略称する)である。LNは波長変換効率が高い。しかしながら、LNには、強い強度のレーザー光が入力すると、LNが損傷してしまうという問題が発生する。レーザー光をパルス化して強度を高めた結果、LNに入力するパルスレーザー光の強度が数百MW/cm以上に達すると、LNが損傷してしまう。そこで、より損傷に強いLiB(LBOと略称する)の利用が想定される。
本発明者らは、パルスレーザー光のピーク強度を上昇させる研究の最前線におり、他に先んじてピーク強度が50GW/cm以上にもなる高強度パルスレーザー光発生装置の開発に成功した。これほどの高強度になると、損傷に強いLBOでさえ損傷が免れない。
非特許文献1に記載されているように、水晶板に波長変換能力が存在することは既知であった。
Masakatsu OKADA, Kuniharu TAKIZAWA and Shogo IEIRI, SECOND HARMONIC GENERATION BY PERIODIC LAMINAR STRUCTURE OF NONLINEAR OPTICAL CRYSTAL, Vol. 18, No. 3, OPTICS COMMUNATIONS, August 1976
本明細書では、損傷に強いLBOでさえもが損傷してしまう強度が50GW/cm以上にもなる高強度パルスレーザー光に対してすら、損傷することなく波長変換できる技術を開示する。なお、損傷に強いLBOでさえもが損傷してしまうほど高強度領域で利用可能な波長変換素子が必要になるという問題意識は、他に先んじてピーク強度が50GW/cm以上にもなる高強度パルスレーザー光の発生に成功した本発明者らだからこそ認識できたものであり、課題の認識自体が斬新なものである。
強度が50GW/cm以上にもなる高強度パルスレーザー光によっても損傷することなく波長変換する材料を調査したところ、水晶板にたどり着いた。非特許文献1に開示されているように、水晶板に波長変換能力が存在することは既知であった。今回に新たに調査した結果、水晶板は破壊耐力が強く、50GW/cm程度で破壊することがなく、数百GW/cm程度までは破壊されないことを見出した。
しかしながら、水晶板による波長変換効率は非常に低いと認識されており、LNやLBOに代わる存在にはなりえないと認識されてきた。
実際に、水晶板を単純に厚くしても波長変換効率が低く、LNやLBOに代わる存在にはなり得ない。非特許文献1では、波長変換効率を上げるために、水晶板を積層する技術を開示している。この技術では、隣接する水晶板の結晶軸方向が反転する関係で、複数枚の水晶板を積層する。この技術によると波長変換効率が上昇する。そうした工夫をしても、水晶板による波長変換効率はなおも低く、水晶板によって波長変換する技術は実用化に至らなかった。LNやLBOに代わる存在にはなりえないと認識されてきた。非特許文献1の技術は、発表後40年が経過した今も実用化されていない。
本発明者らは、非特許文献1の技術を見直し、波長変換効率が低い理由を考察した。考察の結果、波長変換効率は、結晶自身が持つ物性の他に、波長変換結晶に入力する光強度にも依存することを確認した。波長変換現象は非線形現象であるために、波長変換結晶に入力する光強度が波長変換効率に影響するのである。
波長変換光の強度=波長変換前のレーザー光強度×波長変換効率の関係にある。
非特許文献1の技術が研究されていた当時に入手可能なレーザー光は10MW程度であった(パルス幅が10nsであり、パルスエネルギーが100mJ程度であった)。これを面積1mmに集光した場合の強度は1GW/cm程度である。すなわち、当時に入手可能なレーザー光の最大強度は1GW/cm程度であった。その後に、レーザー光の集光面積を小面積化して単位面積当たりのエネルギー密度を高める技術開発が進み、またパルスレーザー光のパルス幅を短くして単位時間当たりのエネルギー密度を高める技術開発が進み、発明者らは50GW/cm以上の高強度パルスレーザー光の発生に成功した。明らかに、前者は低強度であり、後者は高強度である。
非特許文献1の技術が研究された当時に入手可能な波長変換光の強度は次式であった。
「従来の波長変換光強度=波長変換前の光強度(低強度)×波長変換効率(at 低強度)」
それに対して本技術で入手可能な波長変換光の強度は次式となる。
「本技術による波長変換光強度=波長変換前の光強度(高強度)×波長変換効率(at 高強度)」
波長変換効率(at 低強度)と波長変換効率(at 高強度)を比較すると、前者と後者ではオーダーが相違し、後者が格段に高いことが判明した。
本研究によって、波長変換前のパルスレーザー光強度が50GW/cmまたはそれ以上の高強度になると、水晶板による波長変換効率が大幅に上昇し、従来の光強度レベルにおけるLNやLBOの波長変換効率に近づき、十分に実用に供し得る変換効率レベルにまで上昇することを見出した。水晶板が持っている破壊耐力が強いという特性が生かされ、強度が50GW/cm以上にも達する高強度パルスレーザー光によっても損傷することなく、十分に高い強度の波長変換光を得ることが可能となることを確認した。
本明細書で開示するパルス光発生装置は、パルスレーザー光発生装置と、そのパルスレーザー光発生装置が発生したパルスレーザー光を入力して波長変換したパルス光を出力する波長変換素子を備えている。パルスレーザー光発生装置で発生するパルスレーザー光は高強度であり、波長変換素子に入力するパルスレーザー光の強度は50GW/cm以上にもなる。波長変換素子は、隣接する水晶板の結晶軸方向が反転する関係で、複数枚の水晶板を積層したものであることを特徴とする。
パルスレーザー光の1パルスあたりのエネルギーが2mJ以上であり、パルス幅が10ps〜1nsであると、波長変換素子に入力するパルスレーザー光の強度が50GW/cm以上となる。損傷に強い水晶といえども、400GW/cm以上となると損傷する可能性がある。本明細書に記載の技術は、波長変換素子に入力するパルスレーザー光の強度が50〜400GW/cmの場合に極めて有効である。
水晶板の方位に関しては、非特許文献1のように、水晶結晶のx軸を含む面同士が接触し、隣接する水晶板のx軸方向が逆向きとなる関係で積層してもよい。これに代えて、水晶結晶のx軸に直交する面同士が接触し、隣接する水晶板のx軸方向が逆向きとなる関係で積層してもよい。後者の方が、波長変換光の強度が上昇する。
水晶板の厚みは波長変換前の波長に対応し、波長変換前の波長が長ければ厚くし、波長変換前の波長が短ければ薄くする必要がある。また波長変換素子を直列に配置し、1段目の波長変換素子に波長変換前の光(便宜上、一次光という)を入力すると、1段目の波長変換素子からは、波長変換後の光(便宜上、二次光という)と波長変換前の光が出力され、それが2段目の波長変換素子に入力される。2段目の波長変換素子からは、二次光を波長変換した光または二次光と一次光を波長変換した光(便宜上、三次光という)と二次光と一次光が出力される。
二次光に変換する1段目の波長変換素子では水晶板の厚みを厚くし、三次光に変換する2段目の波長変換素子では水晶板の厚みを薄くする必要がある。
第1膜厚の水晶板群の積層体と第2膜厚の水晶板群の積層体が積層されており、第1膜厚が第2膜厚より厚く、第1膜厚側にパルスレーザー光が入力し、第2膜厚側からパルス光が出力される波長変換素子を用いると、三次のパルス光を出力する装置が得られる。
なお、第1膜厚の積層体と第2膜厚の積層体に加えて、第3膜厚の水晶板群の積層体、第4膜厚の水晶板群の積層体等をさらに積層してもよい。積層する段数には特に制約がない。
水晶板は透明であり、積層作業の際に意図した結晶軸の関係を破ってしまうミスが生じる可能性がある。各々の水晶板を略長方形とし(すなわち、面内で180回転させれば見分けがつかなくなるが、それ以外の回転角であれば見分けが付けられる形状とする。円形のように面内で回転させると回転したことが認識できない形状でもなく、略正方形のように面内で90°回転させると見分けがつかなくなる形状でもない。)、x軸、y軸、z軸を揃えた姿勢において同じ位置にマーキングを施しておくと、ミスが生じにくい。このマーキングがあれば、隣接する水晶板のマーキング位置が異なっているとともに、一枚おきに揃っているという規則に従って積層していくと、意図した結晶軸の関係を得ることができる。
ここでいう略長方形には、長方形の一つの頂点の近傍を切り欠いた形状、長方形を形成する4辺のうちの1辺を傾斜させた形状、あるいは、4辺のうちの一辺が非対称な曲線で形成されている形状等が含まれる。
ここでいうマーキングは、水晶板の表裏と回転角が判明する目印をいい、水晶板に施した加工または印刷による痕跡、あるいは水晶板の形状による目印等をいう。例えば、x軸に直交する面に沿ってカットした水晶板のx軸が手前に向かって延び、y軸が上方に延び、z軸が左方に向かって延びる姿勢においた際の左上方の頂角を切り欠いた場合、その切欠きを左上方におけば、その姿勢が再現される。水晶板の表裏が反転してx軸が奥側を向けば、切欠きは左下方または右上方に位置し、左上方には位置しない。切欠きが左下方に位置すれば、x方向とy方向が反転し、z方向は反転していないことが判明する。なお、水晶板を洗浄することがある。マーキングは、洗浄しても消去されないものであることが好ましい。
本明細書に記載の技術によると、高強度化しているパルスレーザー光発生装置の利点を生かして波長変換することが可能となる。高強度の波長変換光を実現することができる。
パルス状の波長変換光を発生するパルス光発生装置の全体構成を示す図。 波長変換前の波長と、それを2倍波に変換する水晶板の1枚当たりの厚みの関係を示す図。 水晶板の枚数と波長変換後の光のエネルギーの関係を示す図。 波長変換前の光のエネルギーと、波長変換後の光のエネルギーの関係を示す図。 波長変換前の光の強度と、波長変換効率の関係を示す図。 水晶板を積層した波長変換素子の実施例1を示す図。 水晶板を積層した波長変換素子の実施例2を示す図。 水晶板を積層した波長変換素子の実施例3を示す図。 水晶板を積層した状態に保つ構造の実施例1を示す図。 水晶板を積層した状態に保つ構造の実施例2を示す図。 水晶板を積層した状態に保つ構造の実施例3を示す図。 水晶板の積層面を平面視したときの形状例を示す。
以下に説明する実施例の特徴を先に列記する。
(特徴1)各水晶板は、x軸に直交する面が広く、y軸に直交する面とz軸に直交する面が水晶板の側面を構成している。
(特徴2)各水晶板は、y軸とz軸を含む面が広い。
(特徴3)隣接する水晶板を比較すると、x軸とy軸の方向が逆向きであり、z軸の方向が揃っている。
(特徴4)隣接する水晶板を比較すると、x軸とz軸の方向が逆向きであり、y軸の方向が揃っている。
(特徴5)各水晶板は長方形であり、4隅のうちの1頂点が切欠かれている。
(特徴6)水晶板の1枚当たりの枚数は、2倍波(周波数が2倍の光)に変換する効率が高い厚みに調整されている。
(特徴7)水晶板には周波数が異なる2色の光(周波数がω1,ω2)が入力する。水晶板の1枚当たりの枚数は、ω1+ω2の周波数の光に変換する効率が高い厚みに調整されている。
(特徴8)波長変換前の光と波長変換後の光に対する反射率が相違する鏡を利用して、波長変換前の光と波長変換後の光に分離する。
図1は、パルス状の波長変換光を発生するパルス光発生装置の全体構成を示している。参照番号2は、いわゆるマイクロチップレーザー光発生装置であり、パルス状のレーザー光10を発生させる。マイクロチップレーザー光発生装置2は、半導体レーザー装置2aと、反射膜2bと、発光結晶2cと、受動Qスイッチ2dと、反射鏡2eを備えている。反射膜2bは、発光結晶2cの端面に形成されており、反射膜2bと反射鏡2eが共振光学系を形成する。半導体レーザー装置2aが発生したパルス状の励起用レーザー光が発光結晶2cに入力し、発光結晶2cを励起する。励起された発光結晶2cはレーザー光を発生する。発光結晶2cと受動Qスイッチ2dは、共振光学系2b,2eの内部に配置されており、発光結晶2cから出力されるレーザー光の強度が高められる。レーザー光の強度が所定値に達すると受動Qスイッチ2dの透過率が上昇し、共振系を構成する反射鏡2eからパルスレーザー光10が放出される。マイクロチップレーザー光発生装置2では、共振長が著しく短く、パルスレーザー光10の1パルスの持続時間(パルス幅という)は極めて短い。パルス幅は10ps〜1nsである。尚、それに限定されるものではないが、発光結晶(レーザー媒質)には、Nd:YAGあるいはNd:YVOが使用でき、受動Qスイッチには、Cr:YAGを利用することができる。
図1では、半導体レーザー装置2aと発光結晶2c、発光結晶2cと受動Qスイッチ2d、受動Qスイッチ2dと反射鏡2eの各々が直接に接するように図示されているが、相互間に間隔をあけてもよい。また、半導体レーザー装置2aと発光結晶2cの間にファイバを配置し、ファイバによって励起用レーザー光を発光結晶2cに導入してもよい。
参照番号4は集光レンズであり、パルスレーザー光10を波長変換素子6の入射面に集光する。パルスレーザー光10はガウシアンビームに近く、Mの値は1に近い。すなわち、集光レンズ4で集光することで得られる最少ビームウエストは非常に小さい。パルスレーザー光10のパルス幅が短く、最少ビームウエストが小さくなるように集光できるために、波長変換素子6の入射面におけるパルスレーザー光の単位面積当たりの強度は50GW/cmにも達する。
50GW/cmにも達する高強度の光をLNまたはLBOに入力すると、LNとLBOは損傷してしまう。本実施例では、水晶板で波長変換素子6を形成している。水晶板は損傷に強く、50GW/cmにも達する高強度のパルスレーザー光を入力しても損傷しない。波長変換素子6からは波長変換後のパルス光12が出力される。なお、波長変換素子6からは波長変換前のパルスレーザー光10も出力される。参照番号8は、波長変換前のパルスレーザー光10は透過し、波長変換光12は反射するミラーであり、波長変換光12と波長変換前のパルスレーザー光10を分離する。
図2は、波長変換前の光の波長(横軸)と、その光を半波長(周波数は2倍)の光に変換する水晶板の厚み(縦軸)の関係を示している。例えば、21μmの水晶板は、波長1064nmの光を波長532nmの光に変換する。
図3は、水晶板の枚数(横軸)と、波長変換後のパルス光のエネルギー(縦軸、パルスあたりのエネルギー、以下同じ。)の関係を示す。入力したパルスレーザー光のエネルギーは、2.3mJとした。枚数が多いほど波長変換後の光のエネルギーは増大する。後記するように、波長変換効率は低く、枚数を増やしても1%程度にとどまる。その範囲では水晶板の枚数を増やすほど変換後の光のエネルギーが増大する。本実施例では、12枚の水晶板を積層して波長変換素子6とした。
図4は、波長変換素子6に入力したパルスレーザー光のエネルギー(横軸)と、波長変換したパルス光のエネルギー(縦軸)の関係を示す。
図5は、図4の横軸を波長変換前のパルスレーザー光の単位面積あたりの強度に変換し、図4の縦軸を波長変換効率に変換したものである。明らかに、パルスレーザー光の強度が上昇するほど、変換効率が上昇することが分かる。なお段落0013に記載した従来の波長変換前のパルスレーザー光強度(1GW/cm)における変換効率は、0.0001%程度であり、図5に図示すると原点に位置することになる。
波長変換後のパルス光の強度は、波長変換前の光強度×波長変換効率に比例する。波長変換前のパルスレーザー光強度が上昇すれば、第1項のみならず第2項も上昇する。これによって、波長変換前のパルスレーザー光強度が50GW/cmにも達すると、波長変換効率が低い水晶といえども、必要とされる強度の波長変換光を得ることが可能となる。例えば、1064nmのレーザー光を532nmの緑色光に変換して、緑色光を利用する医療器具に提供することが可能となる。また、半導体加工装置が利用する193nmの光に変換することもできる。
図6は、波長変換素子6の詳細を示し、12枚の水晶板6a〜6lを積層したものであることが分かる。図6の左下の図は、左から奇数番の水晶板の姿勢を示し、右下の図は、左から偶数番の水晶板の姿勢を示している。各水晶板は略長方形をしており、水晶結晶のx軸に直交する面(すなわちy軸とz軸を含む面)が広く、その面同士を接触させて積層する。左下の図に示すように、各水晶板には、x軸が手前を向き、y軸が上方を向き、z軸が左方を向く姿勢においたときに、左上に位置する頂角に切欠きAが形成されている。長方形の一隅に三角形状の切欠きAに示す欠損を設けたものである。本明細書では、これも略長方形という。この水晶板の切欠きAが左下に位置するようにおくと、右下の図に示すように、x軸が奥側を向き、y軸が下方を向き、z軸が左方を向く。奇数番の水晶板については切欠きAが左上に位置し、偶数番の水晶板については切欠きAが左下に位置する姿勢で積層すると、隣接する水晶板同士の間で、x軸とy軸については反転し、z軸については揃う関係が得られる。奇数番の水晶板同士、あるいは、偶数番の水晶板同士の間では、x軸、y軸、z軸の全部の方向が揃っている。
なお、図6では、切欠きAのサイズが実際よりも拡大して表示している。切欠きAは、マーキングの機能を発揮する範囲で、小型化すればよい。
本明細書でいう略長方形状は、図6に限定されない。図12(a)に示すように、長方形を構成する4辺のうちの1辺が傾斜していてもよいし、図12(b)に示すように、長方形を構成する4辺のうちの1辺が左右非対称の曲線となっていてもよい。
隣接する水晶板同士の間で、x軸が反転する関係で積層すると、図3に示したように、積層する水晶板の枚数を増加させると波長変換効率が上昇する。一枚の水晶板の厚みを、波長変換前の光の周波数ω1に対して図2の関係にある厚みとすると、水晶板によって波長変換現象が得られ、周波数2×ω1の光が得られる。波長変換素子6からは、波長変換後の光(周波数2×ω1)と波長変換前の光(周波数ω1)が出力される。
水晶は、波長変換前の光強度が強力でも損傷しない。LNやLBOだと損傷してしまう50W/cm以上の強度が入力しても損傷しない。水晶板を利用すると、400GW/cm程度の光強度まで入力することができる。
図7は、実施例2の波長変換素子6を例示している。この波長変換素子に、周波数ω1の光と周波数ω2の光を入力すると、周波数がω1+ω2の光が得られる。単位水晶板の厚みを調整することよって、ω1,ω2の光をω1+ω2の光に変換する現象が得られる関係を得ることができる。
図8は、実施例3の波長変換素子6を例示している。左側(波長変換前の光が入力する側)は図6の積層体で形成されている。右側(波長変換後の光を出力する側)は図7の積層体で形成されている。両積層体は積層されて一体化されている。
左側の積層体に周波数がω1の光が入力すると、図6で説明したようにω1と2×ω1の光が得られ、それが右側の積層体に入力される。右側の積層体では、図7で説明したように、ω1,2×ω1の光をω1+2×ω1=3×ω1の光に変換する現象が得られる。図8の波長変換素子からは、ω1(波長変換前の光),2×ω1(左側の積層体で波長変換され、右側の積層体で波長変換されない光)と3×ω1(右側の積層体で波長変換された光)の光が出力される。
図8の右側の積層体を構成する単位水晶板の厚みを、図6に示した2倍波に変換するものとし、2×ω1の光を4×ω1の光に変換する現象が優越的に得られるようにすることもできる。この場合は、ω1(波長変換前の光),2×ω1(左側の積層体で波長変換され、右側の積層体で波長変換されない光)と4×ω1(右側の積層体で波長変換された光)の光が出力される。
積層体を連続させる段数には特に特制がなく、高次の光に変換することもできる。1064nmのレーザー光を、532nmの緑色光に変換することもできれば、266nmあるいは177nmの紫外光に変換することもできる。
図9は、複数枚の水晶板を積層した状態に維持する治具の一例を示し、図示の明瞭化のために、ボルトのナットの組み合わせのうちの3組の図示を省略している。水晶板同士の間を圧力によって接触させておく(optical contact)方法であってもよい。
図10のように、筒状の容器14に積層体6を収容してもよい。
あるいは図11に示すように、積層体6の側面に露出する水晶板同士の境界線に沿って接着剤を塗布して硬化させてもよい。水晶板同士の接触面には侵入せず、境界線を覆った状態で固化する接着剤が存在し、それを利用して図11の積層体6を実現することができる。
なお図6から図11では、切欠きAの図示を省略している。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の
変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
例えば水晶板の各々の表面を活性化した後に低温接合して分子レベルで一体化してもよい。あるいは、隣接する水晶板同士を、x軸とz軸が反転し、y軸が揃う関係で積層してもよい。変換効率の点からは、隣接する水晶板同士のx軸が反転する関係が重要であり、y軸とz軸の関係は変換効率に大きな影響を与えない。また図1の構成では集光レンズ4を利用するが、パルスレーザー光発生装置2と波長変換素子6を積層することができる。パルスレーザー光発生装置2内における励起光照射装置によって、波長変換素子6に入力するパルスレーザー光のビーム径を細く絞ることが可能であり、集光レンズ4を省略することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:パルスレーザー光発生装置
4:集光レンズ
6:波長変換素子
8:波長変換前の光を透過し、波長変換後の光を反射する鏡
10:波長変換前のパルスレーザー光
12:波長変換後のパルス光
14:容器

Claims (5)

  1. パルスレーザー光発生装置と、そのパルスレーザー光発生装置が発生したパルスレーザー光を入力して波長変換したパルス光を出力する波長変換素子を備えており、
    前記波長変換素子に入力するパルスレーザー光の強度が50GW/cm以上であり、
    前記波長変換素子は、隣接する水晶板の結晶軸方向が反転する関係で、複数枚の水晶板を積層したものであることを特徴とするパルス光装置。
  2. 前記パルスレーザー光の1パルスあたりのエネルギーが2mJ以上であり、パルス幅が10ps〜1nsであり、前記波長変換素子に入力するパルスレーザー光の強度が50〜400GW/cmであることを特徴とする請求項1に記載のパルス光発生装置。
  3. 前記水晶板のx軸に直交する面同士が対向し、隣接する水晶板のx軸方向が逆向きの関係で積層したことを特徴とする請求項1または2に記載のパルス光装置。
  4. 第1膜厚の水晶板群の積層と第2膜厚の水晶板群の積層が積層されており、
    第1膜厚が第2膜厚より厚く、
    第1膜厚側に前記パルスレーザー光が入力し、第2膜厚側から前記パルス光が出力される請求項1〜3のいずれかの1項に記載のパルス光発生装置。
  5. 各々水晶板は略長方形であり、x軸、y軸、z軸を揃えた姿勢において同じ位置にマーキングが施されており、隣接する水晶板のマーキング位置が異なっているとともに一枚おきに揃っているという規則に従って積層したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの1項に記載のパルス光発生装置。
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