JP2018026755A - 画像読取装置、画像読取方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原稿の斜行による原稿画像の不良を効率的に補正する画像読取装置を提供する。【解決手段】画像読取装置200は、原稿トレイ30に載置される原稿の原稿画像をスキャナユニット209により読み取る。原稿は、原稿トレイ30から搬送経路を介してスキャナユニット209による読取位置へ搬送される。搬送経路上には原稿の搬送時の斜行を機械的に補正するレジストローラ対3が設けられる。画像読取装置200は、原稿画像に基づいて原稿の搬送時の斜行量を算出し、この斜行量に応じて原稿画像を画像処理することで該原稿画像の傾きを補正する。画像読取装置200は、斜行量が、第1の閾値よりも大きい場合に原稿の搬送を停止し、第1の閾値よりも小さく且つ第1の閾値より小さい第2の閾値よりも大きい場合に次の原稿の斜行を機械的に補正し且つ画像処理により原稿画像の傾きを補正する。【選択図】図1
Description
本発明は、原稿を搬送しながら該原稿の画像(原稿画像)を読み取る画像読取装置に関する。
複写機、ファクシミリ等の画像形成装置には、原稿画像を読み取るために画像読取装置が設けられるものがある。画像読取装置は、自動原稿給紙装置(以下、「ADF:Auto Document Feeder 」)を用いることで、連続して複数枚の原稿から原稿画像の読み取りが可能となる。ADFを用いる場合、原稿は、原稿トレイから給紙されて読取位置まで搬送ローラ対により搬送される。搬送ローラ対は、一対の搬送ローラで搬送経路を挟むように構成され、原稿を挟んで回転することで該原稿を搬送する。搬送ローラ対の挟持度合いの平行度のバラツキによって、搬送ローラ対で搬送される原稿が斜行することがある。原稿の斜行は、読み取った原稿画像が斜めになる原因になる。原稿画像が斜めになることで、読み取られた画像に原稿画像の欠けや、原稿の背景部分(搬送路)が多く含まれるといった画像不良が生じる。
このような画像不良に対して、読み取った原稿画像の原稿部分と背景部分との境界を抽出することで原稿の搬送方向に対する角度(斜行量)を検出し、斜行量に応じて画像処理により原稿画像の傾きを補正する画像読取装置がある。このような画像処理による原稿画像の傾きの補正は、補正可能な量に限界がある。例えば、1枚分の原稿画像をすべて読み取ることができないほど大きく斜行する原稿に対しては、このような原稿画像の傾きの補正ができない。そのために特許文献1に開示される画像読取装置は、斜行が大きく画像処理により原稿画像の傾きが補正できない場合に、原稿画像の読み取りを失敗したものとして読取処理を一旦終了する。読取処理動作の再開時には、原稿が読取位置に到達するまえに、機械的に原稿の斜行補正を行う。原稿の斜行量が突発的に大きくなる場合、特許文献1の画像読取装置の構成が有効である。
機械的な原稿の斜行補正は、搬送経路上に設けられるレジストローラ対に原稿の先端辺を突き当てることで行われる。機械的な斜行補正では、原稿のレジストローラ対への突き当て時の衝突音やレジストローラ対の駆動、停止による駆動音が発生する。そのために、画像処理による原稿画像の傾き補正と、機械的な斜行補正とが可能な画像読取装置は、静音のために画像処理による原稿画像の傾き補正を優先する。
原稿トレイ上への原稿の積載状態や、搬送ローラ対と原稿の幅(搬送方向に直交する方向の長さ)との関係から、原稿が一定の角度で斜行しやすくなることがある。このような場合、特許文献1の画像読取装置は、ユーザが原稿トレイに載置した複数枚の原稿の読み取りを終了する前に、画像処理による原稿画像の傾き補正量の限界を超えて斜行する原稿が表れた時点で読取処理を強制的に終了する。読取処理が強制的に終了することで、複数枚の原稿を正常に読み取ることができなくなるために、ユーザビリティが低下する。例えば、原稿トレイ上に積載された複数枚の原稿が斜行しやすい場合、画像読取装置は、画像処理により原稿画像の傾きの補正を行い、補正量の限界を超えた原稿画像を読み取ったときに原稿の読み取りを一旦終了する。画像読取装置は、ユーザが原稿を再セットした後に、機械的に原稿の斜行を補正する。そのためにユーザは原稿トレイに原稿をセットする動作を二回行う必要があり、使い勝手がよくない。
本発明は、上記の問題に鑑み、原稿の斜行による原稿画像の不良を効率的に補正する画像読取装置を提供することを主たる課題とする。
本発明の画像読取装置は、原稿が積載される原稿トレイと、前記原稿の画像を読み取る読取手段と、前記原稿トレイから前記読取手段による読取位置へ前記原稿を搬送する搬送手段と、前記原稿を搬送する経路に設けられ、前記原稿の搬送時の斜行を機械的に補正する斜行補正手段と、前記読取手段で読み取った原稿画像を画像処理することで、該原稿画像の傾きを補正する画像処理手段と、前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づいて前記原稿の搬送時の搬送方向に対する斜行量を取得する取得手段と、前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、所定の第1の閾値よりも大きい場合に前記搬送手段による前記原稿の搬送を停止し、前記第1の閾値よりも小さく且つ前記第1の閾値より小さい第2の閾値よりも大きい場合に次の原稿の斜行を前記斜行補正手段に補正させるとともに前記画像処理手段に前記原稿画像の傾きを補正させ、前記第2の閾値よりも小さい場合に前記画像処理手段に前記原稿画像の傾きを補正させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、斜行量に応じて適切に画像の傾きの補正制御を行うことで、原稿の斜行による原稿画像の不良を効率的に補正することができる。
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
(画像読取装置の全体構成)
図1は、本実施形態の画像読取装置の構成図である。画像読取装置200は、自動原稿給紙装置(ADF)100及び読取部300を備える。
図1は、本実施形態の画像読取装置の構成図である。画像読取装置200は、自動原稿給紙装置(ADF)100及び読取部300を備える。
ADF100は、原稿トレイ30、搬送経路、及び排紙トレイ31を備える。原稿トレイ30は、読取対象となる原稿が載置される。原稿トレイ30は、2個の原稿サイズセンサ16、17を備える。原稿サイズセンサ16は、原稿トレイ30に載置された原稿の幅方向の長さ(搬送方向に直交する方向の長さ)を検知する。原稿サイズセンサ17は、原稿トレイ30に載置された原稿の長さ方向の長さ(搬送方向の長さ)を検知する。
搬送経路は、原稿トレイ30に積載された原稿を1枚ずつ読取位置を経由して排紙トレイ31に排紙するための経路である。搬送経路には、原稿の搬送方向の上流側から順に、給紙ローラ1、分離ローラ2、レジストローラ対3、搬送ローラ対4、上流リードローラ対5、プラテンローラ6、下流リードローラ対7、及び排紙ローラ対8が設けられる。また搬送経路には、原稿の搬送方向の上流側から順に、原稿センサ11、分離センサ12、レジストセンサ13、リードセンサ14、及び排紙センサ15が設けられる。
給紙ローラ1は、原稿の搬送を行わないときに原稿トレイ30から離れた位置に支持されており、原稿の搬送時に原稿トレイ30側に落下して回転する。これにより給紙ローラ1は、原稿トレイ30に載置される原稿を搬送経路に給紙する。原稿トレイ30に複数枚の原稿が積載される場合、給紙ローラ1は、最上位の原稿から順に給紙する。原稿トレイ30上の原稿の有無は、原稿センサ11により検知される。給紙ローラ1の搬送経路を挟んで対向する位置には、分離パッド10が設けられる。分離パッド10及び分離ローラ2により、給紙ローラ1により給紙された原稿は、1枚ずつ分離されて搬送経路を搬送される。分離ローラ2は、原稿をレジストローラ対3に搬送する。分離センサ12は、給紙ローラ1により給紙された原稿の後端を検知する。
レジストローラ対3は、一対のローラで搬送経路を挟むように構成され、原稿を挟んで回転することで該原稿を搬送する。レジストローラ対3は、分離ローラ2により原稿が搬送されてきた時点では停止している。停止しているレジストローラ対3に原稿の先端側が突き当てられるために、原稿の先端側は、ループ状に撓み、先端辺の斜行が解消される。このようなレジストローラ対3により原稿の姿勢を変えることによる斜行の解消を「機械的な斜行補正」という。レジストローラ対3は、斜行補正を行った原稿を上流リードローラ対5に搬送する。レジストセンサ13は、レジストローラ対3の搬送方向上流側に設けられており、搬送される原稿の先端を検知する。なお、機械的な斜行補正を行わない場合、レジストローラ対3は、分離ローラ2により搬送される原稿を停止させることなく、そのまま上流リードローラ対5に搬送する。
上流リードローラ対5は、一対のローラで搬送経路を挟むように構成され、原稿を挟んで回転することで該原稿をプラテンローラ6へ搬送する。リードセンサ14は、上流リードローラ対5の搬送方向上流側に設けられており、搬送される原稿の先端を検知する。プラテンローラ6は、原稿の読取位置に配置されており、原稿のバタツキを抑えながら原稿を下流リードローラ対7へ搬送する。下流リードローラ対7は、一対のローラで搬送経路を挟むように構成され、原稿を挟んで回転することで該原稿を排紙ローラ対8へ搬送する。排紙ローラ対8は、一対のローラで搬送経路を挟むように構成され、原稿を挟んで回転することで該原稿を排紙トレイ31に排出する。排紙センサ15は、排紙ローラ対8の搬送方向上流側に設けられ、下流リードローラ対7から排紙センサ15へ搬送される原稿を検知する。
読取部300は、流し読みガラス201、原稿台202、ミラー205、206、レンズ207、光学式のスキャナユニット209、CCD(Charge Coupled Device)センサユニット210、及び基準白板219を備える。なお、読取素子としては、CCDに限らず、所謂CIS(Contact Image Sensor)でもよい。流し読みガラス201は、読取位置に、搬送経路を挟んでプラテンローラ6に対向して配置される。つまり、搬送経路のプラテンローラ6と流し読みガラス201とに挟まれた位置が原稿画像の読取位置になる。原稿台202は、ADF100を用いずに原稿画像を読み取る際に原稿が載置される。原稿は、読み取られる面が下向きになるように原稿台202に載置される。基準白板219は、流し読みガラス201と原稿台202との間に設けられ、シェーディングによる白レベルの基準データを作成する際に読み取られる。
スキャナユニット209は、光源ランプ203及びミラー204を備える。光源ランプ203は、読取位置に搬送される原稿に流し読みガラス201越しに光を照射する。照射された光は原稿により反射される。原稿による反射光は、ミラー204、205、206で反射されてレンズ207によりCCDセンサユニット210の受光面に集光される。CCDセンサユニット210は、受光した反射光に基づいて、原稿画像を表す画像信号を生成する。スキャナユニット209は、図1の奥行き方向を1ラインとして光を照射する。そのために、図1の奥行き方向が主走査方向となる。原稿の搬送方向は、主走査方向に直交しており、副走査方向と同じ方向になる。
(制御系統)
図2は、このような構成の画像読取装置200の動作を制御する制御系統の構成図である。制御系統は、ADF100及び読取部300の動作を制御する制御ブロック20、及び画像読取装置200全体の動作を制御するコントローラ400を備える。制御ブロック20及びコントローラ400は、画像読取装置200に内蔵される。ADF100は、上記の構成の他に、制御ブロック20による動作が制御される、各ローラを駆動するためのモータ303、ソレノイド306、及びクラッチ307を備える。
図2は、このような構成の画像読取装置200の動作を制御する制御系統の構成図である。制御系統は、ADF100及び読取部300の動作を制御する制御ブロック20、及び画像読取装置200全体の動作を制御するコントローラ400を備える。制御ブロック20及びコントローラ400は、画像読取装置200に内蔵される。ADF100は、上記の構成の他に、制御ブロック20による動作が制御される、各ローラを駆動するためのモータ303、ソレノイド306、及びクラッチ307を備える。
制御ブロック20は、CPU(Central Processing Unit)321、ROM(Read Only Memory)322、及びRAM(Random Access Memory)323を備えるコンピュータシステムである。CPU321は、ROM322に格納されたコンピュータプログラムを読み込み、RAM323を作業領域に用いて実行することで、ADF100及び読取部300の動作を制御する。制御ブロック20は、間隔補正部324、光学系モータ326、画像処理部325、バックアップ部330、画像メモリ329、及びリーダセンサ327を備える。CPU321、ROM322、RAM323、間隔補正部324、光学系モータ326、画像処理部325、バックアップ部330、リーダセンサ327、及び上記の光源ランプ203は、バスを介して通信可能に接続される。画像処理部325は、画像メモリ329及び上記のCCDセンサユニット210に接続される。制御ブロック20のバスには、ADF100のモータ303、ソレノイド306、クラッチ307、原稿センサ11、分離センサ12、レジストセンサ13、リードセンサ14、排紙センサ15、及び原稿サイズセンサ16、17も接続される。CPU321は、これらの各センサの検知結果に応じてモータ303、ソレノイド306、及びクラッチ307の動作を制御することで、原稿の給紙及び搬送を制御する。
バックアップ部330は、画像読取処理に使用する作業用データの一部や画像読取装置200の機体毎の設定値等のバックアップを行う。間隔補正部324は連続して搬送される原稿同士の間隔の補正を行う。光学系モータ326は、光学系駆動モータを駆動する。CPU321は、光学系モータ326及び光源ランプ203を制御し、画像処理部325を介してCCDセンサユニット210を制御することで画像読取処理を実行する。CCDセンサユニット210は、CCDセンサ211及びCCD制御部212を備える。CCDセンサ211は、原稿による反射光を受光する受光素子である。CCD制御部212は、CPU321に制御され、CCDセンサ211が受光した反射光に応じた画像信号をデジタル信号に変換し、画像メモリ329に格納する。リーダセンサ327は、読取部300に対するADF100の開閉を検知する圧板開閉検知センサや、原稿台202に載置された原稿の長さを検知する圧板サイズ検知センサ等のセンサである。
CPU321は、ADF100による原稿の搬送のために搬送経路上に設けられる各種センサの検知結果をモニタし、検知結果に基づいて負荷であるモータ303、ソレノイド306、及びクラッチ307を駆動する。CPU321はADF100による原稿の搬送制御とCCDセンサユニット210による画像読取処理との同期を行うことで、原稿画像の読み取りを行う。
CCDセンサユニット210は、受光した反射光に応じて原稿画像を表すデジタルデータである画像信号を生成する。画像処理部325は、CCDセンサユニット210から画像信号を取得して、シェーディング処理、画像信号上のスジ画像等のゴミ画像の検知及び補正処理、及び原稿の傾き量の検出及び傾き補正処理等の各種画像処理を行う。画像メモリ329は画像処理の際の作業領域を提供する。画像処理部325により画像処理された画像信号は、順次、画像送信用クロック信号線を含むコントローラインターフェース画像通信線353を介してコントローラ400へ送信される。画像信号において原稿画像の先端の基準となる画先信号は、CPU321によりタイミングを調整して、コントローラインターフェース制御通信線352を介してコントローラ400へ送信される。
コントローラ400は、制御部401、画像制御部402、補正部403、画像メモリ404、及び操作部405を備える。制御部401、画像制御部402、補正部403、画像メモリ404、及び操作部405は、コントローラインターフェース画像通信線353を介して通信可能に接続される。操作部405はユーザインタフェースであり、各種指示がユーザにより入力可能となっている。また操作部405はディスプレイを備え、ユーザに対して情報の表示等を行うことができる。画像処理部325を経由してコントローラ400に送られてきた画像信号は、画像制御部402により変倍回転等画像制御をされた後、補正部403へ送信される。補正部403は画像信号に対して色味等の補正処理を行い、画像メモリ404に格納する。以上の処理が原稿画像を表す画像信号に対して行われて、原稿画像を表す画像データが生成される。
(原稿台202上の原稿の読取処理)
図3は、ADF100を用いずに原稿台202上の原稿を読み取る処理の説明図である。画像読取装置200は、スキャナユニット209を図3の矢印方向に移動させながら原稿台202上の原稿を読み取る。スキャナユニット209は、光学系モータ326により移動される。原稿台202上の原稿による反射光を受光したCCDセンサユニット210は、原稿画像を表す画像信号を出力する。
図3は、ADF100を用いずに原稿台202上の原稿を読み取る処理の説明図である。画像読取装置200は、スキャナユニット209を図3の矢印方向に移動させながら原稿台202上の原稿を読み取る。スキャナユニット209は、光学系モータ326により移動される。原稿台202上の原稿による反射光を受光したCCDセンサユニット210は、原稿画像を表す画像信号を出力する。
基準白板219は、シェーディングによる白レベルの基準データを作成するために用いられる。画像読取処理の開始直後に、スキャナユニット209は基準白板219の直下に移動する。これにより画像読取装置200は基準白板219を読み取り、シェーディングを行う。
(ADF100を用いた原稿の読取処理)
図4は、ADF100を用いた読取処理の説明図である。ADF100を用いた画像読取処理が操作部405により指示されると、スキャナユニット209は基準白板219の直下に移動する。画像読取装置200は、基準白板219の読取結果に応じてシェーディングを実行する。シェーディング後に、スキャナユニット209は、流し読みガラス201の直下に移動して、原稿が読取位置に搬送されるまで待機する。
図4は、ADF100を用いた読取処理の説明図である。ADF100を用いた画像読取処理が操作部405により指示されると、スキャナユニット209は基準白板219の直下に移動する。画像読取装置200は、基準白板219の読取結果に応じてシェーディングを実行する。シェーディング後に、スキャナユニット209は、流し読みガラス201の直下に移動して、原稿が読取位置に搬送されるまで待機する。
図4(a)は、画像読取処理の開始直後の状態を表す。原稿トレイ30には複数枚の原稿Sからなる原稿束が積載される。画像読取処理が開始されると、給紙ローラ1が原稿束上に落下して回転開始する。給紙ローラ1により原稿束の最上位の原稿Sが給紙される。給紙ローラ1、分離ローラ2、及び分離パッド10により、原稿束の最上位から原稿Sが1枚ずつ分離して給紙される。
図4(b)は、分離ローラ2によりレジストローラ対3まで搬送された原稿Sを表す。給紙ローラ1、分離ローラ2、及びレジストローラ対3は、同一のモータにより駆動される。レジストセンサ13が給紙ローラ1及び分離ローラ2により搬送される原稿Sの先端を検知すると、モータ303がレジストローラ対3の回転を停止させる。レジストローラ対3が停止することで、原稿Sがレジストローラ対3に突き当てられた状態で停止する。原稿Sは、停止しているレジストローラ対3によって先端側にループが形成され、機械的な斜行補正が行われる。斜行補正に必要なループ量が形成されたタイミングでモータが停止し、給紙ローラ1及び分離ローラ2へ駆動力を伝達するクラッチ307が遮断状態になる。なお、機械的な斜行補正を行わずに給紙ローラ1及び分離ローラ2が回転しているときにレジストローラ対3も回転することで、原稿Sをレジストローラ対3に突き当てることなく、搬送を継続することも可能である。原稿Sは、レジストローラ対3から搬送ローラ対4へ搬送される。
コントローラ400は、読取結果である画像信号の受け入れの準備が整うと、CPU321に対して画像読取要求を通知する。CPU321は、レジストローラ対3に原稿Sを突き当ててループを形成するか(機械的な斜行補正を行う)、突き当てずにループを形成しないまま搬送するか(機械的な斜行補正を行わない)で、画像読取要求を受信したときの動作が異なる。
機械的な斜行補正を行う場合、CPU321は、画像読取要求を受信することで、レジストローラ対3の下流に向けて原稿Sの搬送を再開する。CPU321は、搬送再開時にモータを回転させ、且つ分離ローラ2に駆動力を伝達するクラッチ307を遮断したままにしておく。これにより、分離ローラ2は回転せず、レジストローラ対3だけが回転して原稿Sを搬送するようになる。搬送ローラ対4、上流リードローラ対5、プラテンローラ6、及び下流リードローラ対7は同一のモータから駆動力が伝達される。レジストローラ対3が回転を再開して原稿Sの先端が搬送ローラ対4に到達するタイミングに合わせて、搬送ローラ対4も回転を開始する。
機械的な斜行補正を行わない場合、レジストセンサ13が原稿Sの先端を検知してもレジストローラ対3が回転を続ける。CPU321は、画像読取要求の受信の有無に関わらずレジストローラ対3の下流側に原稿Sを搬送する。CPU321は、原稿Sの先端が搬送ローラ対4に到達するタイミングに合わせて搬送ローラ対4を回転させる。
搬送ローラ対4は、レジストローラ対3から搬送された原稿Sを上流リードローラ対5に搬送する(図4(c)、図4(d))。原稿Sは上流リードローラ対5を通過して、プラテンローラ6近傍の読取位置まで搬送される。リードセンサ14は、読取位置に搬送される原稿Sの先端を検知する。CPU321は、リードセンサ14が原稿Sの先端を検知してからの原稿の移動距離を、上流リードローラ対5及びプラテンローラ6を駆動するモータのクロックをカウントすることで測定する。CPU321は、これによりリードセンサ14が原稿を検知してからの原稿の位置を計測し、計測結果により読取位置に原稿の先端が到達するタイミングを決定する。CPU321は、決定したタイミングを原稿画像の先端基準として、CCDセンサユニット210により原稿画像の読み取りを開始する。
画像読取の開始前に画像読取要求を受信した場合、CPU321は、CCDセンサユニット210で読み取った原稿画像の画像信号を画像処理部325により画像処理した後に、コントローラ400に送信する。機械的な斜行補正を行う場合、CPU321は、画像読取要求を受信してからレジストローラ対3が原稿Sの搬送を再開するために、画像読取の開始前に必ず画像読取要求を受信することになる。
機械的な斜行補正を行わない場合、CPU321は、画像読取要求の有無によらずにレジストローラ対3以降の原稿Sの搬送を継続して、原稿画像の読み取りを開始する。そのためにコントローラ400の処理状況によっては、CPU321は読取開始の時点で画像読取要求を受信していない可能性もある。画像読取要求を受信していない場合、CPU321は、CCDセンサユニット210で読み取った原稿画像の画像信号を、コントローラ400に送信せずに画像メモリ329に格納したままにする。CPU321は、コントローラ400から画像読取要求を受信した時点で、画像信号を画像メモリ329から画像処理部325を経由してコントローラ400へ送信する。詳細は後述するが、このとき画像信号は、画像処理により傾き補正が行われる。
搬送中の原稿Sの長さは、リードセンサ14が原稿Sを検知している時間(先端を検知してから後端を検知するまでの時間)により表される。図4(e)は、リードセンサ14が原稿Sの先端を検知している状態を表す。リードセンサ14が原稿Sを検知した後に、レジストセンサ13の検知結果が原稿Sの検知から非検知に変化する。レジストセンサ13の検知結果が非検知に変化する時点で、CPU321は、原稿センサ11の検知結果により原稿トレイ30上の次に読取対象となる原稿の有無を確認してコントローラ400に通知する。
原稿Sはレジストローラ対3を通過後に搬送ローラ対4を通過する(図4(f))。この時点では、原稿Sの先端は排紙センサ15の検知位置に到達していない。原稿Sの先端が排紙センサ15の検知位置に到達して排紙センサ15が原稿Sを検知することで、CPU321は、排紙ローラ対8を駆動する。この後、原稿Sの後端がリードセンサ14の検知位置を通過する(図4(g))。原稿Sがリードセンサ14の検知位置を通過するタイミングを基準として、原稿画像の読取終了のタイミングが決定される。CPU321は、リードセンサ14の検知結果が原稿Sを検知しなくなるタイミングを基準に、原稿画像の読取終了のタイミングを決定する。原稿Sの後端は、上流リードローラ対5、プラテンローラ6、下流リードローラ対7の順に通過する。排紙センサ15は、各センサの最後に原稿Sの後端を検知する(図4(h))。CPU321は、排紙センサ15の検知結果が原稿Sを検知している状態から非検知状態に変化すると、排紙センサ15から排紙トレイ31に原稿Sを排紙するための距離に相当する分だけ排紙ローラ対8を駆動する。これにより原稿Sは、排紙トレイ31に排出され、1枚の原稿Sの画像読取処理が終了する(図4(i))。
コントローラ400に読み取るべき原稿枚数が指定されている場合を除き、画像読取装置200は、原稿トレイ30に原稿Sがなくなるまで、原稿Sの給紙、搬送、画像読取、排出を繰り返すことになる。読み取る枚数が指定されている場合、画像読取装置200は、原稿トレイ30に載置された原稿Sの枚数が指定された枚数よりも少なければ、原稿トレイ30に載置された原稿Sをすべて読み取った後に、指定された枚数分の画像読取ができないことを報知する。画像読取装置200は、例えば操作部405のディスプレイに指定された枚数分の画像読取ができないことを表示する。図4(e)に示すように、レジストセンサ13が原稿Sの後端を検知した際に原稿センサ11が原稿無し状態を検知した場合、CPU321は、搬送中の原稿Sを最終原稿と判断する。CPU321は、最終原稿が排紙トレイ31に排出されるのを待ってから、すべてのモータを停止させる。最後に給紙ローラ1が元の位置に戻ることで画像読取処理が終了する。CPU321は、クラッチ307を接続した状態でモータを若干逆回転させてから所定量だけ正回転させることで、給紙ローラ1を元の位置に戻す。
原稿トレイ30から原稿Sがすべて給紙された後であり、原稿の読取が完了する前に原稿トレイ30に原稿Sが追加されることがある。この場合、分離センサ12が追加された原稿Sの先端を検知し、原稿センサ11が原稿有り状態を検知する。この場合、分離センサ12が追加された原稿Sの先端を検知してから所定時間後に、分離ローラ2を回転させるために分離ローラ2に接続されているクラッチ307が接続される。クラッチ307が接続されることで給紙ローラ1が回転して原稿トレイ30から追加された原稿Sが給紙される。なお、ADF100から原稿Sを給紙する際にレジストセンサ13、リードセンサ14、及び排紙センサ15の検知結果が所定時間以上変化しない場合、CPU321は、搬送経路上で原稿Sの紙詰まりが発生と判断する。
以上のように搬送経路を搬送される原稿Sに対して、スキャナユニット209は、搬送中の原稿Sの原稿画像を読取位置で読み取る。スキャナユニット209は、流し読みガラス201の位置に移動して、読取位置を通過する原稿Sから原稿画像を読み取る。読取位置を通過する原稿Sによる反射光を受光したCCDセンサユニット210は、原稿画像を表す画像信号をコントローラ400に入力する。なお、ADF100を用いて原稿画像を読み取る場合であっても、基準白板219を用いたシェーディングが行われる。画像読取処理の開始直後に、スキャナユニット209は基準白板219の直下に移動して基準白板219を読み取る。これによりシェーディングが行われる。
(画像処理による傾き補正)
上記した通り、レジストローラ対3を用いた機械的な斜行補正により原稿の斜行を補正することができる。機械的な斜行補正では、原稿の先端をレジストローラ対3に突き当てる際に衝突音が発生する。また、原稿の厚みによっては、レジストローラ対3に突き当てても適切なループが形成できずに斜行を解消できない可能性がある。そのために画像読取装置200は、機械的な斜行補正を行うことなく画像を読み取ることも可能な構成になっている。機械的な斜行補正を行わないために、画像読取装置200は、原稿が斜行したまま読取処理を行う。画像読取装置200は、制御ブロック20により画像処理を行うことで、読み取った原稿画像に対する傾き補正を行う。制御ブロック20は、原稿の斜行量を検知し、該斜行量に応じて画像処理を行うことで原稿画像の傾き補正を行う。
上記した通り、レジストローラ対3を用いた機械的な斜行補正により原稿の斜行を補正することができる。機械的な斜行補正では、原稿の先端をレジストローラ対3に突き当てる際に衝突音が発生する。また、原稿の厚みによっては、レジストローラ対3に突き当てても適切なループが形成できずに斜行を解消できない可能性がある。そのために画像読取装置200は、機械的な斜行補正を行うことなく画像を読み取ることも可能な構成になっている。機械的な斜行補正を行わないために、画像読取装置200は、原稿が斜行したまま読取処理を行う。画像読取装置200は、制御ブロック20により画像処理を行うことで、読み取った原稿画像に対する傾き補正を行う。制御ブロック20は、原稿の斜行量を検知し、該斜行量に応じて画像処理を行うことで原稿画像の傾き補正を行う。
図5は、CCDセンサユニット210による読取領域の説明図である。原稿がADF100の斜行の許容範囲の上限であっても原稿画像を読み取ることができるように、CCDセンサユニット210は、原稿が読取位置に搬送される直前に画像読取を開始する。画像読取のタイミングはリードセンサ14の検知結果を基準としている。つまりCCDセンサユニット210は、リードセンサ14の検知結果を基準に、原稿画像を原稿の先端より所定距離前の位置から読取開始する。これにより図5に示すように、斜行する原稿及び背景となるプラテンローラ6を含む画像が読み取られる。
画像処理部325は、このように読み取られた画像から、原稿部分と背景部分(プラテンローラ6)の画像の境界を抽出する。画像処理部325は、原稿部分と背景部分との境界を、CCDセンサユニット210が読み取った画像に生じる影画像により抽出する。図6は、影画像の説明図である。原稿の先端が読取位置であるプラテンローラ6に到達したときに、原稿はいずれのローラにも挟持されていない。そのために原稿とプラテンローラ6とに隙間が生じる。この隙間がCCDセンサユニット210により影画像として読み取られる。影画像は、図5の例では、原稿部分と背景部分との境界部に細い黒線として表れる。画像処理部325は、影画像が矩形になるように連続する位置を抽出して原稿画像の頂点を決定して、原稿画像の幅と斜行角を検出する。
CCDセンサユニット210で読み取られた画像を表す画像信号は、画像補正を行わずにそのまま画像メモリ329に格納される。画像処理部325は、画像メモリ329に格納された画像に対して傾き補正等の画像補正を行い、原稿画像部分のみを抜き出して、画像信号としてコントローラ400に送信する。
図7は、画像処理による傾き補正の説明図である。画像処理部325は、影画像により原稿画像の幅及び斜行角を検出し、これに基づいて画像信号のコントローラ400への送信順を制御する。図7(a)は、CCDセンサユニット210で読み取ったそのままの画像を表しており、1つの四角の領域が1画素を表す。原稿画像の端部(破線部)の影画像を検出した結果、画素単位での原稿画像の端部は斜線領域の内側になる。影画像の4頂点(原稿先端と原稿左端との交点、原稿先端と原稿右端との交点、原稿後端と原稿左端との交点、原稿後端と原稿右端との交点)で囲まれた矩形の領域が、原稿の有効な領域にある原稿画像となる。
画像処理部325は、コントローラ400に画像信号を送信する際に、1ページの先頭を示す副走査基準信号であるVsync信号を送信し、さらに主走査方向の先頭を示す信号であるHsync信号を送信する。その後、画像処理部325は、原稿左端側から1ライン分の画像信号を順番に1画素ずつ読み出して送信する。先頭の1ライン分の画像信号の送信が完了すると、画像処理部325は、再びHsync信号を送信した後に、次の1ライン分の画像信号を送信する。
図7(a)中の領域(1−1)、(1−2)、(1−3)、…のそれぞれがコントローラ400に送信される1画素分の画像信号である。領域(m−n)(m、nは整数)は、先端からm番目のラインにある、左端からn番目の画像信号を示す。なお図7(a)では、画像処理部325は、領域(1−1)の画像信号を送信した後、領域(1−1)の右隣が影もしくは既に送信済みであるために、領域(1−1)の真下にある領域(1−2)の画像信号をコントローラ400に送信する。画像処理部325は、領域(1−2)の次に、右隣が影でもなく、既に送信済みでもないために、そのまま領域(1−3)の画像信号を送信する。
コントローラ400は、送られてきた画像信号をそのままライン毎に順番に並べることで、原稿画像を再現する。図7(b)は、再現した原稿画像の例示図である。このように画像処理部325は、画像メモリ329に格納された原稿画像のコントローラ400への送信順序を制御することで、原稿画像の傾きを補正する。つまり原稿画像は、画像メモリ329に格納された画像信号が斜行量に応じた順で1画素ずつ読み出されて並び替えられることで、傾きが補正される。
(傾き正の限界)
画像読取装置200は、リードセンサ14が原稿の先端の中央部(搬送方向に対して直交する方向(主走査方向)の中央部)を検知したタイミングに応じて、画像読取処理の開始タイミングを決定する。図8は、原稿が斜行するときの画像読取処理の開始タイミングの説明図である。
画像読取装置200は、リードセンサ14が原稿の先端の中央部(搬送方向に対して直交する方向(主走査方向)の中央部)を検知したタイミングに応じて、画像読取処理の開始タイミングを決定する。図8は、原稿が斜行するときの画像読取処理の開始タイミングの説明図である。
図8(a)に示すように原稿が斜行する場合、原稿先端の主走査方向の中央部よりも原稿先端の左右のいずれかの端部が先に読取位置に到達する。そのために画像読取装置200は、読取位置に原稿先端の主走査方向の中央部が到達するであろうタイミングよりも十分前倒ししたタイミングを画像読取処理の開始タイミングとする。原稿の後端についても同様であり、画像読取装置200は、リードセンサ14で原稿の後端を検知したタイミングから十分時間が経過するまで画像読取処理を継続する。これにより画像読取装置200は、斜行した原稿の後端よりも後方部分の画像を読み取る。
原稿の斜行角(斜行量)が大きい場合、原稿画像をすべて読み取ることができないことがある。図8(b)は斜行量が大きい場合を表す。斜行量が大きい場合、画像読取の開始タイミングよりも前に原稿先端の左右いずれかの端部が読取位置に到達するために、図8(b)の点線で囲んだ丸の領域の原稿画像が読み取られない。
ただし、あまりにも大きく斜行して搬送される原稿は紙詰まりを起こす可能性が高い。特に、原稿は、プラテンローラ6と流し読みガラス201との隙間を通過してから下流リードローラ対7への搬送経路で先端が引っ掛かって紙詰まりを起こすことが多い。そのために画像読取装置200は、原稿の斜行の程度が大きすぎると検知した場合に、排紙センサ15が原稿を検知する前に紙詰まりが発生したと判断する。これは、原稿が搬送経路のどこかで紙詰まりを起こしてダメージを受ける前に、搬送を止める方がよいからである。
図9、図10は、原稿の斜行発生のメカニズムの説明図である。
原稿は、主走査方向の幅が搬送経路上のローラの幅に対して狭い場合に斜行しやすくなる。図9(a)に示すようにローラは中心に金属の心棒があり、その一部が、周りにゴムが巻かれて構成される。レジストローラ対3、搬送ローラ対4、上流リードローラ対5、下流リードローラ対7、及び排紙ローラ対8は、このような構成のローラが搬送経路を挟んで、対になって構成される。心棒の全体の周りにゴムが巻かれて構成されるローラを用いる場合、ゴムの周長にムラが発生する部分で原稿に皺が生じる。そのためにゴムは、心棒の一部に巻かれる。図9(a)の例ではゴムは心棒の3箇所に設けられる。ローラ対がこのように構成されるために、図9(b)に示すように、ゴムとゴムとの間の隙間で原稿の皺を吸収することができる。
このような構成のローラ対は、幅が短い原稿の場合に、原稿の一部しか挟持しない。図10の例では、原稿が1対のゴムにより挟持されて搬送される。この場合、ゴムの周長のムラによって回転方向の搬送力にバラツキが生じ、原稿が斜行しやすくなる。ローラに用いられるゴムは、使用に伴う摩擦により、特に心棒の中央部に設けられるゴムの直径にムラが生じ易い。図10の例では、心棒の中央部に設けられるゴムの右側が太く、左側が細くなっている。このような状態では、右側の方の搬送力が強くなり、原稿が左側に斜行しやすくなる。このように原稿が斜行しやすくなった状態では、画像処理による傾き補正だけではなく、原稿が読取位置に到達する前に機械的な斜行補正を行うことが有効である。
(画像読取処理)
上記の通り、機械的な斜行補正では原稿とレジストローラ対3との衝突音が発生するために、画像処理による傾き補正により衝突音を削減することが望ましい。原稿が大きく斜行する場合、すぐに搬送を停止して原稿へのダメージを抑制することが望ましい。原稿の種類やローラの状態等の要因により原稿が斜行しやすい場合、機械的な斜行補正を行うことが望ましい。
上記の通り、機械的な斜行補正では原稿とレジストローラ対3との衝突音が発生するために、画像処理による傾き補正により衝突音を削減することが望ましい。原稿が大きく斜行する場合、すぐに搬送を停止して原稿へのダメージを抑制することが望ましい。原稿の種類やローラの状態等の要因により原稿が斜行しやすい場合、機械的な斜行補正を行うことが望ましい。
そのために画像読取装置200は、機械的な斜行補正と画像処理による傾き補正とを切り替えながら画像読取処理を実行する。図11、図12、図13は、これらの斜行補正の切り替え処理を含む画像読取処理を表すフローチャートである。
CPU321は、操作部405から原稿画像の読取処理の開始指示を取得することで(S1101:Y)、画像読取処理を開始する。CPU321は、まず、1枚目の原稿の給紙前に、斜行補正方法Stypeを画像処理による傾き補正に設定する(S1102)。斜行補正方法Stypeを設定したCPU321は、給紙ローラ1、分離ローラ2を回転駆動して原稿トレイ30から原稿を1枚ずつ給紙させる(S1103)。CPU321は、給紙後にレジストセンサ13が原稿を検知するまで待機する(S1104)。レジストセンサ13が原稿を検知しないまま所定時間が経過した場合(S1104:N、S1105:Y)、CPU321は、紙詰まり等により原稿が正常に給紙できていないと判定する。この場合、CPU321は、原稿の搬送を停止し(S1106)、紙詰まりの発生をコントローラ400に通知して処理を終了する(S1107)。
給紙が正常に行われてレジストセンサ13が原稿を検知した場合(S1104:Y)、CPU321は、斜行補正方法Stypeに画像処理による傾き補正のみが設定されているか否かを判断する(S1108)。画像処理による傾き補正のみの設定ではない場合(S1108:N)の処理については後述する。画像処理による傾き補正が設定されている場合(S1108:Y)、CPU321は、画像信号の送信状態を表す画像送信状態Tstsを送信不可とする(S1109)。その後、CPU321は、給紙された原稿にレジストローラ対3で機械的な斜行補正を行うことなく、搬送ローラ対4まで搬送する(S1110)。CPU321は、リードセンサ14が原稿を検知するまで待機する(S1111)。リードセンサ14が原稿を検知しないまま所定時間が経過した場合(S1111:N、S1112:Y)、CPU321は紙詰まり等により原稿が正常に給紙できていないと判定する。この場合、CPU321は、原稿の搬送を停止し(S1106)、紙詰まりの発生をコントローラ400に通知して処理を終了する(S1107)。
CPU321は、リードセンサ14が原稿を検知した場合(S1111:Y)、検知したタイミングで、上流リードローラ対5及びプラテンローラ6を駆動するモータ303のクロックの計数を開始する。CPU321は、計数したクロック数に基づいて原稿の先端が読取位置に到達したか否かを判断する(S1113)。原稿が読取位置に到達するタイミングでCPU321は原稿画像の読み取りを開始する。ここで原稿が読取位置に到達するタイミングは、原稿の先端が読取位置に到達した時点ではなく、図8(a)に示すように原稿先端が到達する予定の位置より前倒しして、例えば10[mm]分だけ前倒ししたタイミングである。
原稿の先端が読取位置から搬送方向に10[mm]上流側に到達する前に(S1113:N)、CPU321は、コントローラ400から原稿の画像読取要求を受信しているか否かを判断する(S1114)。画像読取要求を受信している場合(S1114:Y)、CPU321は、画像送信状態Tstsを送信可能にする(S1115)。
原稿の先端が読取位置から搬送方向に10[mm]上流側に到達すると(S1113:Y)、CPU321は、CCDセンサユニット210による原稿画像の読み取りを開始する(S1116)。CCDセンサユニット210は、読み取った原稿画像を表す画像信号を随時画像メモリ329に格納する。なお、画像読取要求を受信する前に原稿画像を読み取る場合、読み取った原稿画像を表す画像信号は、画像メモリ329に一旦格納された後に、後述の画像送信チェックに応じてコントローラ400に送信される。
CCDセンサユニット210が原稿から原稿画像を搬送方向に20[mm]読み取った時点で(S1117:Y)、CPU321は、原稿の斜行量を検知する(S1118)。なお、本実施形態では補正が可能な斜行量が主走査方向に対して±3[°]であり、主走査方向の最大長さを297[mm]とする。
図14は、原稿の斜行量検知の説明図である。図14では、原稿画像を搬送方向に20[mm]読み取った結果を表す。図中斜線部分が原稿を読み取った画像である。リードセンサ14は主走査方向の中心位置(図14の左右方向の中心位置)に配置される。CPU321は、リードセンサ14で検知した原稿の先端が読取位置に到達する10[mm]前から画像の読み取りを開始する。CPU321は、リードセンサ14で検知した原稿の先端が読取位置に到達してから、10[mm]搬送される間に読み取った原稿画像を用いて、原稿の斜行量を検知する。そのために、原稿の斜行量の検知用に搬送方向に20[mm]分読み取られた原稿画像において、リードセンサ14で検知された原稿の先端が、読取位置に到達したタイミングで画像の中央に配置されるようになる。原稿の主走査方向の最大値が297[mm]、想定される最大の傾きが3[°]であるために、搬送方向に「tan(3°)×297[mm]=15.57[mm]」以上の長さの画像を読み取れば、原稿の斜行量を検知することが可能である。なお、原稿画像を搬送方向に20[mm]分読み取っても原稿の先端部の左端及び右端が検出できない場合、斜行量が±3[°]を超えることになる。この場合、本実施形態における斜行補正の限界を超えているために、補正ができない。
検知した斜行量が±3[°]を超えた場合、或いは斜行量が検知不能の場合(S1119:Y)、CPU321は、原稿の搬送を停止し(S1106)、紙詰まりの発生をコントローラ400に通知して処理を終了する(S1107)。つまり画像読取装置200は、±3[°]の斜行量を第1の閾値として、これを超えて斜行する原稿については搬送を停止する。
検知した斜行量が±3[°]を超えていない場合(S1119:N)、CPU321は、斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の両方が設定されているか否かを判断する(S1120)。斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正と画像処理による傾き補正の一方のみが設定されている場合(S1120:N)、CPU321は、検知した斜行量が±2[°]を超えているか否かを判断する(S1121)。斜行量が±2[°]を超えた場合(S1121:Y)、CPU321は、斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の両方を設定する(S1122)。斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の両方を設定することで、以降に給送される原稿に対して機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正が行われる。つまり画像読取装置200は、±2[°]の斜行量を第2の閾値として、検知した斜行量が第1の閾値と第2の閾値との間の値である場合、以降の原稿に対して機械的な斜行補正を行い、読み取った原稿画像に対して画像処理による傾き補正を行う。斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の両方が設定されている場合(S1120:Y)、斜行量によらず、斜行補正方法Stypeはそのままである。
斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の両方が設定されている場合、レジストローラ対3で機械的な斜行補正が行われる。その後、S1118の処理で検知される斜行量が±3[°]未満である場合、画像処理による傾き補正が行われる。そのために、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正のいずれであっても、S1119の処理で斜行量が±3[°]を超えていれば原稿の搬送が停止される。
斜行補正方法Stypeの判断後にCPU321は、図12のフローチャートによる処理を実行する。CPU321は、レジストセンサ13の検知結果が、原稿が有る状態から原稿が無い状態に変化したか否かにより、原稿の後端がレジストセンサ13の検知位置に到達したか否かを検知する(S1130)。原稿の後端がレジストセンサ13の検知位置に到達するまでの間、CPU321は、所定時間経過するまで画像送信チェックを繰り返し実行する(S1130:N、S1131:N、S1132)。画像送信チェックの詳細は後述する。所定時間経過しても原稿の後端がレジストセンサ13の検知位置に到達しない場合(S1130:N、S1131:Y)、CPU321は、紙詰まり等により原稿が正常に給紙できていないと判定する。この場合、CPU321は、原稿の搬送を停止し(S1133)、紙詰まりの発生をコントローラ400に通知して処理を終了する(S1134)。
原稿の後端がレジストセンサ13の検知位置に到達した場合(S1130:Y)、CPU321は、リードセンサ14の検知結果が、原稿が有る状態から原稿が無い状態に変化したか否かを判断する。これによりCPU321は、原稿の後端がリードセンサ14の検知位置に到達したか否かを判断する(S1135)。原稿の後端がリードセンサ14の検知位置に到達するまでの間、CPU321は、所定時間経過するまで後述の画像送信チェックを繰り返し実行する(S1135:N、S1136:N、S1137)。所定時間経過しても原稿の後端がリードセンサ14の検知位置に到達しない場合(S1135:N、S1136:Y)、CPU321は、原稿の搬送を停止し(S1133)、紙詰まりの発生をコントローラ400に通知して処理を終了する(S1134)。
原稿の後端がリードセンサ14の検知位置に到達した場合(S1135:Y)、CPU321は、原稿の搬送方向の長さを算出する(S1138)。CPU321は、S1111の処理でリードセンサ14が原稿の先端を検知したタイミングから、S1135の処理でリードセンサ14が原稿の後端を検知したタイミングまでのモータの駆動クロックをカウントする。CPU321は、このカウント数と、搬送モータの1駆動クロック辺りの原稿の搬送距離とにより、原稿の搬送方向(副走査方向)の長さを算出する。
CPU321は、読取位置から搬送方向に10[mm]下流側に原稿の後端が到達すると予測されるタイミングまで、CCDセンサユニット210による画像読取を継続する(S1139)。原稿画像を10[mm]余分に読み取ることで、図8(a)の後端側(図では右側)にあるように、リードセンサ14の位置基準で原稿の後端を検知した後の原稿の後端側の画像を斜行補正に用いることができる。CPU321は、画像読取を継続する間、画像送信チェックを繰り返し実行する(S1139:N、S1140)。
原稿の後端が読取位置から搬送方向に10[mm]下流側に到達すると(S1139:Y)、CPU321は、排紙センサ15が原稿の後端を検知するまで待機する(S1141)。CPU321は、原稿の後端が排紙センサ15の検知位置に到達するまでの所定時間が経過するまで、後述の画像送信チェックを繰り返し実行する(S1141:N、S1142:N、S1143)。所定時間経過しても原稿の後端が排紙センサ15の検知位置に到達しない場合(S1141:N、S1142:Y)、CPU321は、原稿の搬送を停止し(S1133)、紙詰まりの発生をコントローラ400に通知して処理を終了する(S1134)。
原稿の後端が排紙センサ15の検知位置を通過した時点で(S1141:Y)、CPU321は、原稿が排紙トレイ31へ排出されるまでの所定時間待機する(S1144)。CPU321は、この待機時間の間も画像送信チェックS1145を実行する(S1144:N、S1145)。所定時間が経過して原稿が排紙トレイ31に排出された時点で(S1144:Y)、CPU321は、コントローラ400に排出完了を通知する(S1146)。
CPU321は、排出完了の通知後に、画像送信状態Tstsにより、コントローラ400への画像信号の送信が終了しているか否かを判断する(S1147)。画像信号の送信が終了していない場合(S1147:N)、CPU321は、送信の終了まで待機する。画像メモリ329は、記憶容量が少なく、画像信号の送信が終了しなければ次の原稿の原稿画像を表す画像信号が格納できない。そのためにCPU321は待機する。なお、本実施形態の画像メモリ329の記憶容量は、原稿トレイ30に積載可能な最大サイズ(例えばA3サイズ)の原稿1面分の画像信号を格納可能なだけの大きさである。そのためにコントローラ400への画像信号の送信が完了する前に次の原稿の読み取りが開始できない。しかしながら画像メモリ329の記憶容量が原稿2面分以上用意されていれば、空き容量が1面分以上残っている場合に次の原稿の読み取りを開始することができる。
画像信号の送信が終了した場合(S1147:Y)、CPU321は、原稿センサ11により原稿トレイ30に原稿が残っているか否かを判断する(S1148)。原稿トレイ30に原稿が残っている場合(S1148:Y)、CPU321は、S1103以降の処理を繰り返し行う。原稿トレイ30に原稿が残っていない場合(S1148:N)、CPU321は、原稿画像の読取処理を終了する。
上記のS1108の処理で、設定されている傾き補正が画像処理による傾き補正のみではない場合(S1108:N)、即ち斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の両方が設定されている場合の処理について説明する。図13は、このような場合の処理を表すフローチャートである。
CPU321は、原稿を、先端がレジストローラ対3に到達するまでの距離+αだけ搬送する(S1150)。このαは原稿を所定量撓ませるに必要な搬送量である。このとき、レジストローラ対3は停止している。そのために原稿は、先端がレジストローラ対3に突き当てられた状態でαだけ搬送される。その結果、原稿に所定量の撓みが形成される。所定量の撓みが形成された時点で、CPU321は、分離ローラ2の回転を停止して原稿の搬送を停止する(S1152)。これにより原稿への機械的な斜行補正が行われる。この状態のままCPU321は、コントローラ400からの画像読取要求の受信を待機する(S1153:N)。画像読取要求を受信した場合(S1153:Y)、CPU321は、レジストローラ対3及び分離ローラ2を回転駆動して原稿の搬送を再開して(S1154)、S1110以降の処理を行う。以上の処理により、原稿先端が読取位置に到達する前に原稿の斜行が抑制される。
図12のS1132、S1137、S1140、S1143、S1145の画像送信チェック処理について説明する。図15は、画像送信チェック処理を表すフローチャートである。画像送信チェック処理により、画像メモリ329に格納された画像信号がコントローラ400へ送信される。CPU321は、原稿画像の読み取り開始前に画像送信状態Tstsを画像送信可能に設定した場合(図11のS1115)、画像送信チェック処理により、画像メモリ329から画像信号を読み出してコントローラ400に送信する。この際、画像処理部325が画像処理による傾き補正を行う。
画像送信チェック処理では、まず、CPU321は、画像送信状態Tstsにより画像信号を送信中であるか否かを判断する(S1301)。画像信号の送信中ではない場合(S1301:N)、CPU321は、画像送信状態Tstsが画像送信可能状態であるか否かを確認する(S1302)。S1115の処理に示すようにCPU321が画像読取前にコントローラ400から画像読取要求を受信した場合、画像送信状態Tstsは画像送信可能状態に設定されている。
画像送信状態Tstsが画像送信可能状態に設定されている場合(S1302:Y)、CPU321は、画像処理部325により画像処理による傾き補正を行いながら、画像信号を画像メモリ329からコントローラ400に送信する(S1304)。CPU321は、画像信号の送信を開始すると画像送信状態Tstsを画像送信中に設定して画像送信チェック処理を終了する(S1305)。
画像送信状態Tstsが画像送信可能状態に設定されていない場合(S1302:N)、CPU321は、コントローラ400から画像読取要求が送信されているか否かを確認する(S1303)。画像読取要求を受信した場合(S1303:Y)、CPU321は、画像信号をコントローラ400への送信を開始して、S1304以降の処理を行う。この際、画像処理部325は画像処理による傾き補正を行う。画像読取要求を受信していない場合(S1303:N)、CPU321は、画像信号をコントローラ400へ送信することなく、画像送信チェック処理を終了する。
S1301の処理において画像信号が送信中である場合(S1301:Y)、CPU321は、送信した画像信号のデータサイズを確認する。コントローラ400から送信された画像読取要求には、送信を要求する画像信号のデータサイズが設定されている。CPU321は、画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信したか否かを判断する(S1306)。画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信した場合(S1306:Y)、CPU321は、コントローラ400へ画像信号の送信を終了し、画像送信状態Tstsを画像送信終了に設定する(S1307、S1308)。画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信していない場合(S1306:N)、CPU321は、画像送信チェック処理を終了する。
画像送信チェック処理は、S1132、S1137、S1140、S1143、S1145で行われる。CPU321は、これらの各処理及びS1147の処理により画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信すればよい。そのために、S1306の処理で画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信していなくても問題は無い。
画像送信チェック処理は、S1132、S1137、S1140、S1143、S1145で行われる。CPU321は、これらの各処理及びS1147の処理により画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信すればよい。そのために、S1306の処理で画像読取要求に設定されたデータサイズ分だけ画像信号を送信していなくても問題は無い。
以上のような構成の画像読取装置200は、原稿の斜行量に応じて機械的な斜行補正を実行するか否かを判断することとなる。原稿の斜行量が補正可能な限界値(第1の閾値)を超えた場合、画像読取装置は、原稿画像の読取処理を中止して、原稿の搬送を停止する。斜行量が補正可能な限界値より若干小さな値である場合(第1の閾値と第2の閾値の間)、画像読取装置は、限界値を超える可能性があると判断して、以降の原稿の搬送時に機械的な斜行補正を行い、斜行量が限界値に到達しにくいようにすることができる。これにより画像読取装置は、効率的な斜行補正を実現し、斜行量が大きいときでも画像読取処理を中止する可能性を低減して、ユーザビリティを向上することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態と同様の構成の画像読取装置を用いて、以下のような処理により原稿画像を読み取ってもよい。この実施形態においてもCPU321は、CCDセンサユニット210で読み取った画像に応じて原稿の斜行量を検知する。CPU321は、原稿の斜行量が第1の閾値を超える場合に原稿の搬送を停止する。CPU321は、原稿の斜行量が、第1の閾値より小さい第2の閾値を超える場合に機械的な斜行補正と画像処理による傾き補正とを併用する。CPU321は、第2の閾値よりも小さい第3の閾値を超える斜行量の原稿が所定枚数連続する場合に、機械的な斜行補正を併用するように斜行補正の設定を切り替える。
図16は、第2実施形態の画像読取処理を表すフローチャートである。原稿の給紙から原稿の斜行量を検知するまでの処理(S1601〜S1618)は、第1実施家形態のS1101〜S1118の処理(図11参照)と同様の処理であるため、説明を省略する。斜行量が±3[°]を超えた場合、或いは斜行量が検知できない場合の処理(S1619)は、第1実施形態のS1119の処理と同様であるため、説明を省略する。斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正が設定されている場合(S1620:Y)以降の処理は、第1実施形態の図12の処理と同様であるため、説明を省略する。
S1618の処理で検知した原稿の斜行量が±2[°]以上の場合(S1621:Y)、第1実施形態のS1122の処理と同様に、斜行補正方法Stypeを設定する(S1622)。
原稿の斜行量が±2[°]未満の場合(S1621:N)、CPU321は、斜行量が±1.5[°]を超えたか否かを判断する(S1622)。斜行量が±1.5[°]を超えた場合(S1623:Y)、CPU321は、斜行傾向カウンタCskを1増やす(S1624)。斜行量が±1.5[°]未満の場合(S1623:N)、CPU321は、斜行傾向カウンタCskを「0」にリセットする(S1625)。
原稿の斜行量が±2[°]未満の場合(S1621:N)、CPU321は、斜行量が±1.5[°]を超えたか否かを判断する(S1622)。斜行量が±1.5[°]を超えた場合(S1623:Y)、CPU321は、斜行傾向カウンタCskを1増やす(S1624)。斜行量が±1.5[°]未満の場合(S1623:N)、CPU321は、斜行傾向カウンタCskを「0」にリセットする(S1625)。
1増加した斜行傾向カウンタCskが「5」以上である場合(S1626:Y)、CPU321は、斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正を設定する(S1622)。これは、原稿が斜行した状態が続いているために、少しの外乱で斜行量が±3[°]を超えることを未然に防止するための処理である。つまり画像読取装置200は、±1.5[°]の斜行量を第3の閾値として、検知した斜行量が所定の回数連続して第2の閾値と第3の閾値との間の値である場合、以降の処理において、機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正を行う。なお、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正に設定されている場合、機械的な斜行補正を行った上で読み取った画像に基づいて斜行量を検知している。そのためにその後の原稿の斜行量の絶対値が小さくても、斜行補正方法Stypeが画像処理による傾き補正のみに設定されることはない。
携行カウンタCskが「5」未満である場合(S1626:N)、或いは斜行傾向カウンタCskを「0」にリセットした後に、CPU321は、図12に示す処理を行うことになる。
以上のような第2実施形態の画像読取装置200は、原稿の斜行量を検知してその結果から機械的な斜行補正を行うか否かを判断する。原稿の斜行量が所定の枚数連続して第3の閾値(ここでは±1.5[°])以上の場合に、突発的な斜行が加わることで補正限界を超えていきなり原稿読取を停止する、ことを防止するために、以降の原稿に対して予め画像読取前に機械的な斜行補正を行う。これにより斜行量が限界に到達しにくいようにすることができる。
[第3実施形態]
第1実施形態と同様の構成の画像読取装置を用いて、以下のような処理により原稿画像を読み取ってもよい。この実施形態では、斜行補正方法Stypeの種類が、機械的な斜行補正と、画像処理による傾き補正とであり、機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の併用は設定されない。この実施形態においてもCPU321は、CCDセンサユニット210で読み取った画像に応じて原稿の斜行量を検知する。CPU321は、原稿の斜行量が第1の閾値を超える場合に原稿の搬送を停止する。CPU321は、原稿の斜行量が、第1の閾値より小さい第2の閾値を超える場合に機械的な斜行補正のみを行う。
図17は、第3実施形態の画像読取処理を表すフローチャートである。原稿の給紙からリードセンサ14が原稿を検知するまでの処理(S1901〜S1912)は、第1実施家形態のS1101〜S1112の処理(図11参照)と同様の処理であるため、説明を省略する。
CPU321は、リードセンサ14が原稿を検知した場合に(S1911:Y)、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されているか否かを判断する(S1913)。斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されていない場合(S1913:N)、斜行補正方法Stypeは、画像処理による傾き補正に設定されている。この場合、CPU321は、第1実施形態のS1113(図11参照)以降の処理と同様の処理を行う(S1914以降の処理)。なお、CPU321は、斜行量が±2[°]を超えた場合に(1922:Y)、第1実施形態とは異なり、斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正を設定する(S1923)。
斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されている場合(S1913:Y)、CPU321は、原稿が読取位置に到達するまで、コントローラ400から画像読取要求が送信されているか否かを確認する(S1925)。コントローラ400から画像読取要求を受信した場合(S1925:Y)、CPU321は、読み取った原稿画像をコントローラ400へ送信可能とする(S1926)。
CPU321は、原稿が読取位置に到達すると(S1924:Y)、到達したタイミングでCCDセンサユニット210による原稿画像の読取処理を開始する(S1924:Y、S1927)。第1実施形態では原稿が読取位置に到達する10[mm]手前から画像読取を行うが、本実施形態では斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されている場合に、画像の読取開始位置を遅らせる。これは、読み取った画像に対して画像処理による傾き補正を一切行わないために、補正のための画像信号を画像メモリ329に格納する必要が無いからである。
CPU321は、読み取った原稿画像から斜行量の検知を行うことなく、次の原稿の斜行補正方法Stypeを機械的な斜行補正に設定する(S1928)。なお、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されて読み取られた原稿画像は、コントローラ400への画像信号送信の際に、斜行量の検知も斜行補正も必要ない。そのために原稿の読み取り終了についてもリードセンサ14で検知した原稿の長さの分だけ原稿画像の読み取りを行った時点で終了する。
以上のような処理は、原稿の斜行補正を機械的な斜行補正のみで行ったときの処理を表す。この場合、原稿画像の読み取りを必要最低限にして、画像メモリ329の記憶領域を有効に使用することができる。また、例えば冊子からちぎられた伝票等、先端が直線状になっていない原稿に対してでも、第1、第2実施形態の画像読取装置200では画像処理による傾き補正を必ず行っている。これに対して本実施形態では、読み取った原稿画像を一切用いずに斜行補正を行うことができ、適切な斜行補正を実現している。なお、斜行補正を機械的な斜行補正のみに切り替える条件として、第2実施形態で説明したように、原稿の斜行量が有る程度大きい場合が連続したとき、にしてもよいことは言うまでも無い。つまり第3実施形態の画像読取装置は、第1、第2実施形態の画像読取装置と同様に動作し、且つ機械的な斜行補正が指示される場合に、斜行量にかかわらず機械的な斜行補正のみを行う。
[第4実施形態]
第1実施形態と同様の構成の画像読取装置を用いて、以下のような処理により原稿画像を読み取ってもよい。この実施形態では、斜行補正方法Stypeの種類が、機械的な斜行補正と、画像処理による傾き補正とであり、機械的な斜行補正及び画像処理による傾き補正の併用は設定されない。また、原稿の搬送速度の制御が上記の第1〜第3実施形態とは異なる。
本実施形態では、斜行補正方法Stypeに画像処理による傾き補正が設定されている場合に、原稿の先端がレジストローラ対3に到達して以降は一定速度を維持して原稿を搬送する。斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正が設定されている場合、原稿の搬送をレジストローラ対3で一旦停止して機械的な斜行補正を行う。機械的な斜行補正後にレジストローラ対3を回転させて上流リードローラ対5に原稿の先端が到達する前までの間において、原稿は通常の画像読取時の搬送速度よりも速く搬送される。搬送速度は、上流リードローラ対5に原稿の先端が到達する前までに通常の画像読取時の搬送速度に戻される。レジストローラ対3から上流リードローラ対5までの間のどの位置まで原稿の搬送速度を速くするかは、先行する原稿との距離に基づいて決定される。
図18〜図20は、第4実施形態の画像読取処理を表すフローチャートである。第1〜第3実施形態では、原稿を1枚ずつ読み取り、コントローラ400への画像信号の送信が終了してから、原稿センサ11の検知結果に基づいて次の原稿の給紙を開始する。本実施形態では、先行する原稿の読取処理が終了する前に次の原稿の給紙が開始される。
図18は、原稿から原稿画像を読み取る際の全体処理を表す。
CPU321は、操作部405から原稿画像の読取処理の開始指示を取得することで(S2201:Y)、画像読取処理を開始する。CPU321は、原稿センサ11の検知結果に基づいて、原稿トレイ30上に原稿が載置されているか否かを判断する(S2202)。原稿トレイ30上に原稿が載置されていない場合(S2202:N)、CPU321は、原稿台202上に原稿が載置されていると判断して、原稿台202上の原稿から原稿画像を読み取る(S2206)。原稿台202上の原稿から原稿画像を読み取ったCPU321は、原稿画像の読取処理を終了する。
原稿トレイ30上に原稿が載置されている場合(S2202:Y)、CPU321は、斜行補正方法Stypeを画像処理による傾き補正に設定する(S2203)。斜行補正方法Stypeを設定したCPU321は、搬送経路上の各ローラの駆動を制御して、原稿トレイ30から原稿を1枚給紙して読取位置に搬送し、原稿画像の読み取りを行う(S2204)。本実施形態では複数枚の原稿の読取処理を同時に制御することから、CPU321がそれぞれの原稿に対する処理において待ちが発生した場合に、処理対象を他の原稿に切り替えるマルチタスク処理を行う。本実施形態では、並行して処理可能な原稿の枚数は4枚である。CPU321は、原稿が排紙トレイ31に排出され、且つコントローラ400に該原稿の画像信号を送信完了した時点で、該原稿を処理すべき対象から消去する。CPU321は、原稿センサ11の検知結果に基づいて、原稿トレイ30上の原稿がすべて無くなったか否かを判断する(S2205)。原稿トレイ30上の原稿がすべて無くなった場合(S2205:Y)、CPU321は、一連の原稿画像の読取処理を終了する。
図19、図20、図21は、S2204の処理による1枚毎の原稿の読取処理を表すフローチャートである。CPU321は、斜行補正方法Stypeを画像処理による傾き補正に設定した後にこの処理を実行する。
原稿の給紙から斜行補正方法Stypeによるまでの処理(S2301〜S2306)は、第3実施形態のS1903〜S1908の処理(図17参照)と同様の処理である。斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されている場合(S2306:N)、CPU321は、図20にあるように、第1実施形態の図13のS1150〜S1154と処理と同様のS2360〜S2364の処理を行う。
本実施形態では、S2364の処理で原稿の搬送を再開したときに、原稿が読取処理時の搬送速度よりも速い速度で搬送される。そのために、搬送速度を維持したままでは画像読取ができない。CPU321は、原稿の搬送速度を読み取りが可能な速度まで減速するために、減速を開始するまでの距離を算出する(S2365)。
機械的な斜行補正は、原稿の先端を停止しているレジストローラ対3に突き当てて原稿を撓ませ、レジストローラ対3を再び回転させることで行われる。そのために機械的な斜行補正では、原稿の搬送速度を画像読取時の搬送速度と同じにすると、レジストローラ対3で原稿の搬送を止める必要の無い画像処理による傾き補正に比べて原稿の読取間隔が広がる傾向にある。図22は、原稿の搬送方向の距離と時間との関係を示す図である。図中の斜線で囲まれた部分が原稿の領域である。斜行補正方法Stypeは、1枚目及び2枚目に対して画像処理による傾き補正が設定され、3枚目に対して機械的な斜行補正が設定されている。
1枚目の給紙を行うときに、1枚目の原稿の先端は給紙ローラ1の位置にあり、後端はそれよりも後方にある。図示するように、原稿の先端がレジストローラ対3に到達したときに、後端は給紙ローラ1の位置に到達しておらず、原稿トレイ30上にある。図22は、原稿の先端或いは後端の距離と時間との関係から、原稿の搬送速度の変化が分かるようになっている。1枚目の原稿は、先端が給紙ローラ1から移動を始めたときの搬送速度が低く、加速が完了すると、それ以降の搬送速度が一定になる。これは、斜行補正方法Stypeが画像処理による傾き補正であり、レジストローラ対3で原稿の搬送を停止する必要がないためである。2枚目の原稿も1枚目の原稿と同じ挙動を示す。2枚目の原稿は、1枚目の原稿との給紙開始時の間隔を維持したまま読取位置に到達し、原稿の後端が排紙位置に到達したときも同じ間隔を維持する。
3枚目の原稿は、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されている。そのために3枚目の原稿は、先端がレジストローラ対3に到達したときに搬送が一旦停止されて斜行補正される。レジストローラ対3で停止された後、3枚目の原稿は、搬送が再開され、加速完了後に読取速度と同じ速度で搬送される。そのために3枚目の原稿は、給紙時点では2枚目の原稿との間隔が1枚目と2枚目との間隔と同じであるが、レジストローラ対3を通過した時点で2枚目との間隔が広がる。3枚目の原稿は、その搬送速度のまま排出されることから、排紙完了の時点で2枚目との間隔が広がる。
そこで、機械的な斜行補正後の原稿の搬送再開時の搬送速度を、読取時の搬送速度よりも速くする。図23は、この場合の原稿の搬送方向の距離と時間との関係を示す図である。図23では、原稿の搬送位置を示す斜めの線は、距離と位置との関係を示し、搬送速度が大きくなる程、傾きが大きくなる。これにより3枚目の原稿は、搬送中に点線で囲んだ四辺形の範囲内にあるときに2枚目の原稿より速く搬送することで、先行する2枚目の原稿との間隔を縮めることができる。そして、原稿の先端が読取位置に到達した時点で、原稿画像が読み取られることから、原稿の読取間隔を斜行補正方法Stypeが画像処理による傾き補正に設定されているときに近づけることが可能となる。機械的な斜行補正後の原稿は、画像処理による傾き補正時の原稿と同じタイミングで読み取り位置に搬送される。
そのためにCPU321は、原稿の搬送再開時点での先行する原稿との間の距離を取得する。先行する原稿の位置は、レジストセンサ13或いはリードセンサ14で原稿後端を検知したタイミングと、搬送ローラ対4或いは上流リードローラ対5を回転させるモータのクロックのカウント値とに基づいて算出される。CPU321は、原稿の搬送再開時の搬送速度と先行する原稿の搬送速度との速度差と、先行する原稿との距離と、搬送速度の変速時に発生する距離変化分との関係から、原稿の搬送再開時の搬送速度で搬送可能な距離を算出する。ただし、上流リードローラ対5から排紙ローラ対8までの各ローラを駆動するモータが共通であることから、3枚目の原稿が2枚目の原稿より速い搬送速度で追いかけることができるのは、原稿の先端が上流リードローラ対5に到達するまでである。レジストローラ対3で停止した時間が短くて先行する原稿との距離が少なければ、上流リードローラ対5に到達する以前に原稿の搬送速度を原稿の読み取り速度に減速すればよい。これにより、原稿の搬送再開時の搬送速度で搬送可能な距離の上限は、レジストローラ対3から上流リードローラ対5までの距離となる。なお、先行する原稿の位置にもよるが、先行する原稿の読み取り中に上流リードローラ対5が速く回転すると、先行する原稿の読み取り速度も上がってしまう。そのために、上流リードローラ対5は原稿の読み取り速度のままにする必要がある。
図19のS2306の処理において斜行補正方法Stypeに画像処理による傾き補正が設定されている場合(S2306:Y)、CPU321は、画像送信状態Tstsを画像送信不可に設定する(S2307)。図20の処理後、或いは画像送信状態Tstsを設定したCPU321は、原稿の搬送速度の減速制御を行う(S2308)。
図24は、搬送速度の減速制御を表すフローチャートである。この制御は、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されているときに有効になる(S2801:Y)。CPU321は、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されていれば、S2365(図20参照)の処理で算出した搬送距離だけ原稿を搬送して、搬送速度の減速を開始する(S2802:Y、S2803)。なお、斜行補正方法Stypeが画像処理による傾き補正に設定されている場合(S2801:N)、原稿の先端がレジストローラ対3を通過してから画像読取が終了するまで、原稿の搬送速度が一定である。そのためにCPU321は、減速制御を行う必要がない。
S2365の処理で算出した搬送距離だけ搬送された時点で原稿の搬送速度を減速するために、算出した搬送距離がレジストローラ対3から搬送ローラ対4までの距離より長ければ、原稿は減速されることなく先端が搬送ローラ対4に到達する(S2309:Y)。S2365の処理で算出した搬送距離に応じて、原稿の搬送速度の減速開始位置はレジストローラ対3から上流リードローラ対5までの間のいずれかの位置になる。図19のフローチャートでは、S2308、S2310、S2324のいずれかの処理で原稿の搬送速度の減速処理が行われる。
なお、原稿の先頭がリードセンサ14の検知位置に到達し(S2311:Y)、斜行補正方法Stypeが画像処理による傾き補正に設定されている場合(S2313:N)、原稿の搬送速度の減速制御を行う必要はない。この場合、原稿の搬送速度が読取速度と同じであるために、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正の場合(S2313:Y)のS2324の処理と同様に、原稿の搬送速度の減速制御が行われない。
搬送速度の減速処理後、CPU321は、斜行補正方法Stypeに画像処理による傾き補正が設定されている場合に(S2313:N、S2314〜S2323)、第3実施形態のS1913〜S1923と同様の処理を行う。また、斜行補正方法Stypeに機械的な斜行補正が設定されている場合(S2313:Y〜S2329)、CPU321は、S2324の処理により原稿の搬送速度の減速制御を行う。他の処理は第3実施形態のS1924〜S1929(図17参照)と同様の処理になる。それ以降の処理(S2340〜S2357:Y)についても、原稿1枚の搬送シーケンスであることが違うためにS1948に相当する処理が不要になるものの、それ以前のS1930〜S1947の処理と同様になる。
これにより、原稿の斜行補正方法が機械的な斜行補正に切り替わった後でも、原稿の搬送を一旦停止してから再開するにも拘わらず、単位時間当たりの原稿の読取枚数を、画像処理による傾き補正時と同等にすることが可能となる。
本実施形態では、斜行補正方法Stypeが機械的な斜行補正に設定されてい場合に、レジストローラ対3からの搬送再開時(S2364)に原稿搬送速度を原稿読取速度よりも速くする。そのために斜行補正方法Stypeが画像処理による傾き補正から機械的な斜行補正に切り替わった後でも、単位時間当たりの原稿の読み取り枚数を維持するために、原稿の搬送速度を読取速度よりも速くする距離を決定している。レジストローラ対3からの搬送再開時の原稿の搬送速度を読取速度と同じにすることで、その後の原稿の搬送速度の変速が不要にして、搬送速度の変速に伴う音の発生を低減することも可能である。また、原稿の搬送速度が読取速度より速いことから、搬送速度を読取速度に減速するまでの距離を延ばすことで、変速に伴う音が発生するが、単位時間当たりの原稿の読み取り枚数を増やすことも可能である。
このように画像読取装置200は、原稿の斜行量が原稿の搬送を停止する程度では無くとも十分に大きな傾きであると判断された時点で、以降の原稿の読取処理において予め画像読取前の原稿の機械的な斜行補正を行う。これにより斜行量が大き場合であっても、原稿の搬送の停止を抑制することが可能となる。
以上のような各実施形態の画像読取装置200は、画像処理による傾き補正機能を備える場合であっても、斜行量が大きくなったときに機械的な斜行補正を実行することで、斜行量の限度を超えて原稿の搬送を止めることを抑制することが可能となる。そのためにユーザビリティが向上する。
Claims (11)
- 原稿が積載される原稿トレイと、
前記原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記原稿トレイから前記読取手段による読取位置へ前記原稿を搬送する搬送手段と、
前記原稿を搬送する経路に設けられ、前記原稿の搬送時の斜行を機械的に補正する斜行補正手段と、
前記読取手段で読み取った原稿画像を画像処理することで、該原稿画像の傾きを補正する画像処理手段と、
前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づいて前記原稿の搬送時の搬送方向に対する斜行量を取得する取得手段と、
前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、所定の第1の閾値よりも大きい場合に前記搬送手段による前記原稿の搬送を停止し、前記第1の閾値よりも小さく且つ前記第1の閾値より小さい第2の閾値よりも大きい場合に次の原稿の斜行を前記斜行補正手段に補正させるとともに前記画像処理手段に前記原稿画像の傾きを補正させ、前記第2の閾値よりも小さい場合に前記画像処理手段に前記原稿画像の傾きを補正させる制御手段と、を備えることを特徴とする、
画像読取装置。 - 前記画像処理手段は、前記取得手段で取得した前記斜行量に応じて前記原稿画像の傾きを補正することを特徴とする、
請求項1記載の画像読取装置。 - 前記読取手段で読み取った前記原稿画像を格納する格納手段を備えており、
前記画像処理手段は、前記格納手段に格納された前記原稿画像を、前記斜行量に応じた順に1画素ずつ読み出して並び替えることで、傾きを補正することを特徴とする、
請求項2記載の画像読取装置。 - 前記取得手段は、前記原稿画像に含まれる原稿部分と原稿の搬送路の画像である背景部分との境界を抽出し、この境界に基づいて前記斜行量を算出することを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項記載の画像読取装置。 - 前記取得手段は、前記原稿部分と前記背景部分との境界に生じる影画像に基づいて前記斜行量を算出することを特徴とする、
請求項4記載の画像読取装置。 - 前記制御手段は、前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、前記第2の閾値よりも小さく且つ前記第2の閾値より小さい第3の閾値よりも大きい場合に次の原稿の斜行を前記斜行補正手段に補正させるとともに前記画像処理手段に前記原稿画像の傾きを補正させることを特徴とする、
請求項1〜5のいずれか1項記載の画像読取装置。 - 前記制御手段は、前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、所定の回数連続して前記第2の閾値よりも小さく且つ前記第2の閾値よりも小さい第3の閾値よりも大きい場合に次の原稿の斜行を前記斜行補正手段に補正させるとともに前記画像処理手段に前記原稿画像の傾きを補正させることを特徴とする、
請求項6記載の画像読取装置。 - 前記制御手段は、前記斜行補正手段による斜行の補正が指示される場合に、前記斜行量にかかわらず、前記斜行補正手段に前記原稿の斜行を補正させることを特徴とする、
請求項1〜7のいずれか1項記載の画像読取装置。 - 前記斜行補正手段は、前記原稿の搬送を一旦停止させて該原稿の斜行を補正し、
前記制御手段は、前記搬送手段に、前記斜行補正手段による補正後の原稿を、前記斜行補正手段による補正を行わない場合と同じタイミングとなるように搬送速度を制御させて、前記読取位置まで搬送させることを特徴とする、
請求項1〜8のいずれか1項記載の画像読取装置。 - 前記制御手段は、前記搬送手段に、所定の距離だけ前記搬送速度を前記斜行補正手段による補正を行わない場合の搬送速度よりも速くさせることを特徴とする、
請求項9記載の画像読取装置。 - 原稿が積載される原稿トレイと、
前記原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記原稿トレイから前記読取手段による読取位置へ前記原稿を搬送する搬送手段と、
前記原稿を搬送する経路に設けられ、前記原稿の搬送時の斜行を機械的に補正する斜行補正手段と、を備える画像読取装置により実行される方法であって、
前記読取手段で読み取った原稿画像に基づいて前記原稿の搬送時の搬送方向に対する斜行量を取得し、
前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、所定の第1の閾値よりも大きい場合に、前記搬送手段による前記原稿の搬送を停止し、
前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、前記第1の閾値よりも小さく且つ前記第1の閾値より小さい第2の閾値よりも大きい場合に、次の原稿の斜行を前記斜行補正手段に補正させるとともに、前記読取手段で読み取った前記原稿画像を画像処理することで、該原稿画像の傾きを補正し、
前記斜行補正手段による斜行の補正を行わずに前記読取手段で読み取った前記原稿画像に基づく前記斜行量が、前記第2の閾値よりも小さい場合に、前記読取手段で読み取った原稿画像を画像処理することで、該原稿画像の傾きを補正することを特徴とする、
画像読取方法。
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