JP2018025722A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ウインドシールド等(例えば、フロントガラス)を通して表示装置内(例えば、反射部材)に所定の角度で入射された外光の影響を十分に低減させて視認性を確保すること、また、ホットスポット(輝点)を防止すること、画像ボケを防止すること、更にコントラストを向上させる表示装置を提供する。【解決手段】 表示光を照射する光照射部と、前記光照射部から照射される前記表示光を前記透光性部材へ反射させる反射部材と、前記表示光或いは外光の入射光角度により直線透過率が変化する異方性光拡散層であって、マトリックス領域と複数の柱状構造体とを有する異方性光拡散層とを少なくとも備えた異方性光学フィルムと、を備え、前記異方性光学フィルムが前記反射部材の反射面側に設けられたことを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、移動体等に搭載可能であって、移動体等のウインドシールド等に表示画像を照射することにより、表示画像の虚像を視認可能にする表示装置に関する。
従来から、車両等の移動体の乗員に対して経路案内や障害物の警告等の運転情報を提供する情報提供手段として、様々な手段が用いられている。例えば、移動体に設置された液晶ディスプレイによる表示や、スピーカから出力する音声等である。そして、近年、このような情報提供手段の一つとして、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置が車両等に搭載されている。
ヘッドアップディスプレイ装置は、一般的に車両のインストルメントパネル内部に装置本体が配置される。そして、この装置本体内部の表示部上に表示される表示画像を表す表示光を、拡大系ミラー等の反射部材を含む光路を経由して、車両のウインドシールド(フロントガラス)、又はコンバイナと呼ばれる光学部材(ハーフミラー)等の照射エリアに向けて照射(投射、投影)し、運転者の視点位置から見て所定距離の位置に虚像を結像させる。
これにより、運転者は、通常の運転姿勢で前方を見る時に、ウインドシールドを通して見える前方の風景や自車の車体の一部分と共に、ヘッドアップディスプレイ装置によって照射(投射、投影)された表示画像を視認することができる。運転者が視認する表示画像は、ウインドシールドの面よりも前方の、例えば視点から数m程度の距離の位置に虚像として結像されるので、運転者は運転中に目の焦点調節を行うことなく前方の風景と共にヘッドアップディスプレイの表示画像を同時に認識できる。
車両用のヘッドアップディスプレイ装置に関連する従来技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1においては、外光が明るい条件下でも視認性のよいヘッドアップディスプレイ装置を提供するために、反射ミラー上に反射指向性を有する拡散層を積層した技術が開示されている。
特開2010−256867号公報
車両のヘッドアップディスプレイ装置は、一般的に、運転者の視点の位置から見える虚像が、車両のウインドシールド等(例えば、フロンドガラス)の前方に結像するように表示光の表示画像を照射(投射、投影)する。従って、車両を運転する運転者は、ウインドシールド等(例えば、フロントガラス)を通して前方を見る際に、前方の風景や自車の車体の一部分(例えば、ボンネット)等の対象物を重なった状態で、ヘッドアップディスプレイ装置の表示画像を虚像として視認することができる。
しかしながら、例えば、晴天時の昼間のように太陽からの強い外光が到来するような状況においては、ヘッドアップディスプレイ装置が表示する虚像の光量と比べて、外光の光量が大きくなるため、外光の影響を受けて虚像の表示を視認しにくい状態になる。そのため、例えば、特許文献1に開示されているように、反射ミラー上に反射指向性を有する拡散層を積層することで、外光の影響を抑えることが有効である場合もある。
しかし、ヘッドアップディスプレイ装置は照射(投射、投影)した虚像により表示を行うので、例えば、晴天時の昼間のように外光の強度が非常に大きい時であり、ウインドシールド等(例えば、フロントガラス)を通してヘッドアップディスプレイ装置内(例えば、反射ミラー)に所定の角度で外光が入射された場合には、仮に、反射ミラー上に反射指向性を有する拡散層を積層していたとしても、外光の影響が大きすぎるために十分な視認性を確保できないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外光の影響が大きい時であり、ウインドシールド等(例えば、フロントガラス)を通して表示装置内(例えば、反射ミラー)に所定の角度で入射された外光の影響を十分に低減させて視認性を確保すること、また、ホットスポット(輝点)を防止すること、画像ボケを防止すること、更にコントラストを向上させる表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、
表示光を照射する光照射部と、
前記光照射部から照射される前記表示光を前記透光性部材へ反射させる反射部材と、
前記表示光或いは外光の入射光角度により直線透過率が変化する異方性光拡散層であって、マトリックス領域と複数の柱状構造体とを有する異方性光拡散層とを少なくとも備えた異方性光学フィルムと、
を備え、
前記異方性光学フィルムが前記反射部材の反射面側に設けられたことを特徴とする。
本発明によれば、ウインドシールド等(例えば、フロントガラス)を通して表示装置内(例えば、反射部材)に所定の角度で入射された外光の影響を十分に低減させて視認性を確保することができる。
本実施の形態(第1の実施形態)による車両の側方から見た表示装置の車両への設置状態及び光路を示す概略構成図である。 本実施の形態によるピラー構造及びルーバー構造の柱状領域を有する異方性光学フィルム(異方性光拡散層)の構造と、これらの異方性光学フィルムに入射した透過光の様子の一例を示す模式図である。 本実施の形態による異方性光学フィルムの光拡散性の評価方法を示す説明図である。 本実施の形態による図2に示したピラー構造及びルーバー構造の異方性光学フィルム(異方性光拡散層)への入射光角度と直線透過率との関係を示すグラフである。 本実施の形態による拡散領域と非拡散領域を説明するためのグラフである。 本実施の形態による異方性光学フィルムにおけるピラー構造とルーバー構造を有する異方性光拡散層の構成例を示す模式図であり、(a)がルーバー構造、(b)がピラー構造である。 異方性光拡散層における散乱中心軸を説明するための3次元極座標表示である。 本実施の形態による光照射部から照射される表示光が異方性光学フィルム(異方性光拡散層)に入射或いは正反射される角度(光照射部と異方性光学フィルムとの配置関係)を説明する図である。 本実施の形態による図1において、外光が反射部材に設けられた異方性光フィルム(異方性光拡散層)によって透過される様子を説明する図である。 本実施の形態(第2の実施形態)において、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)に拡散部材を積層した構成を示す図である。 本実施の形態(第3の実施形態)において、拡散部材に偏光部材を積層した構成を示す図である。 本実施の形態(第4の実施形態)において、車両の側方から見た表示装置の車両への設置状態を示す概略構成図であって、ウインドシールドに異方性光学フィルム(異方性光拡散層)が設けられた構成を示す図である。 本実施の形態(第5の実施形態)において、車両の側方から見た表示装置の車両への設置状態を示す概略構成図であって、コンバイナが設けられた構成を示す図である。
以下に、実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
<<表示装置3の配置および虚像50と光路の説明>>
まず、本実施の形態に係る表示装置としてのヘッドアップディスプレイ装置3(以下、HUD装置と称する)について説明する。HUD装置3は、一般的な車両に搭載されて用いられる。図1は、車両の側方から見たHUD装置3の車両への設置状態および光路を示す概略構成図である。なお、以下の説明では、静止状態にある車両において重力に沿う方向を下方向とし、下方向とは反対の方向を上方向とする。
図1に示すように、HUD装置3は、光照射部31と、反射部材32と、異方性光拡散層100と、を主な構成として備えている。
<虚像50と光路L>
HUD装置3は、ウインドシールド40の投射エリア41上に光照射部31から照射される表示画像を表す表示光Lを、反射部材32、異方性光拡散層100を介して照射(投射、投影)させる。そして、運転者のアイポイント(視点)EPと投射エリア41とを結ぶ線の車両前方延長線上に、表示画像を結像させ、表示画像を虚像50として形成する。この結果、運転者のアイポイント(視点)EPからウインドシールド40を通じて車両前方の景色と虚像50とを運転者に同時に視認させるものである。
従って、運転者は視点をほとんど動かす必要がなく、目の焦点調節も不要であるため非常に良好な視認性が得られる。但し、朝、昼、夕方における太陽光等の外光が強い場合には、虚像50の光量が外光に比べて小さくなるため、視認性が極端に低下する可能性がある。
<ウインドシールド40>
ウインドシールド40(透光性部材)は、車両のフロント側のウインドシールド(フロントガラス)であり、例えば2枚のガラスとその中間に設けられる中間膜とから形成された合わせガラスが使用されている。ウインドシールド40は、車両上方から見た場合の左右方向、および車両側方から見た場合のウインドシールド40のラインに沿う方向にわずかな曲率を有しており、凹面鏡と同一の効果により、表示画像を拡大してより遠方に表示できるようになっている。ウインドシールド40は、車両前方から入射する光を透過する透光性を有するので、運転者は車両前方の景色と虚像50とを同時に視認することができる。
なお、図1では、表示光Lを照射(投射、投影)する投射エリア41をウインドシールド40とし、ウインドシールド40で反射した表示光Lを運転者が視認する例について説明するが、ウインドシールド40の代わりに透光性を有する透光性部材(例えば、コンバイナや異方性光学フィルム等)を用いる構成としてもよい。
<表示画像>
光照射部31から照射される表示画像としては、例えば、車両用ナビゲーションシステムにおける地図情報、地図上における自車の現在位置情報、あるいは目的地への案内情報等とすることができる。また、表示画像としては、車両走行時における車両情報としての、車速、エンジン回転数、エンジン冷却水温、およびバッテリ電圧等の情報としてもよい。
<HUD装置3の配置例>
図1に示すように、HUD装置3は、ウインドシールド40の下方向のインストルメントパネル内部(不図示)に収容されている。HUD装置3は、筐体30と、筐体30の一部に設けられた開口部33とを有し、この開口部33から、インストルメントパネルの外側に向けて表示画像を表す表示光Lを照射することができる。また、インストルメントパネルには、表示光Lをウインドシールド40に通すために、例えば、開口部33と同じ大きさの開口窓(不図示)が設けられている。なお、開口部33には、塵や埃がHUD装置3内へ侵入するのを防止するために、例えば、アクリル等からなる透光性カバー(防塵カバー)を設けてもよい。
HUD装置3は、車両のウインドシールド40の下方向に設けられる筐体30を有しており、この筐体30内に、光照射部31と、反射部材32と、異方性光拡散層100と、が設けられている。
<光照射部31>
光照射部31は、表示画像を表す表示光Lを照射する部材である。例えば、映像投射装置である。映像投射装置は、例えば、図示しないプロジェクターやバックライト付きの液晶ディスプレイから構成される。
バックライトは、光源として、例えば、LED光源が使用されている。バックライトは、液晶ディスプレイに対する光軸に沿うように光を照射するようになっている。液晶ディスプレイは、表示画像を表す表示光Lを照射する表示器としての機能を有する。
液晶ディスプレイは、バックライトから照射される光によって、表面に形成した表示画像を表示光Lとして、バックライトとは反対側となる反射部材32に向けて照射するようになっている。液晶ディスプレイの表示光Lを照射する面は、例えば、図1の上下方向(図1の車両前後方向に対して垂直方向)を向いており、また、表示光の光軸が車両の前後方向を向くように(照射方向が車両の前方側を向くように)配置されている。
なお、光照射部31は、液晶ディスプレイのみならず、反射型液晶パネルを使用したLCoS方式や、LEDから照射した光をマイクロミラーでスキャンして表示画像を生成するDLP方式や、レーザー光源から照射した光をスキャンして表示画像を生成するレーザー方式で構成してもよい。
<反射部材32>
反射部材32は、光照射部31からの表示画像を表す表示光Lを、開口部33を通して、ウインドシールド40の投射エリア41に反射させて光路を変更する部材である。
反射部材32は、例えば、樹脂(例えば、ポリカーボネート、ガラス、ポリエステル等)に金属(例えば、アルミニウム等)を蒸着させ反射面を形成させたものであり、表示光Lを単に反射する通常のミラーである。
また、反射部材32は、表示光Lを反射及び拡大する非球面ミラー(例えば、凹面鏡)であってもよい。反射部材32は、筐体30の所定位置に固定されたものであり、筐体30に対して着脱可能とされている。
なお、反射部材32の個数や種類は、上述した構成に制限されるものではなく、適宜設計された構成の反射部材32が用いられる。例えば、反射部材32を1つだけでなく、光照射部31からの表示光Lの光路を変更するための反射鏡と、反射鏡によって反射された表示光Lを拡大する凹面鏡との2つによって構成してもよい。
また、反射部材32を、2つの非球面ミラー(第1非球面ミラーと第2非球面ミラー)で構成してもよい。この場合、第1非球面ミラーが光照射部31からの表示光Lを第2非球面ミラーに向けて反射し、第2非球面ミラーが第1非球面ミラーからの反射光をウインドシールド40に向けて反射する。これらの第1非球面ミラー及び第2非球面ミラーは、光路変更作用、及び表示像の拡大作用を有する。
<異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100>
筐体30内には、反射部材32の反射面側に入射した表示光或いは外光に対して入射光角度により直線透過率が変化する、すなわち入射光角度依存性を有する異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100が設けられている。異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100については、以下に詳述する。なお、反射部材32と異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100とは、例えば、透明粘着層(不図示)を介して積層されていればよい。
<<<主な用語の定義>>>
ここで、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100に関して、主な用語の定義をしておく。
「異方性光学フィルム」とは、異方性光拡散層が単層(一層のみ)の場合、異方性光拡散層が2層以上積層されて構成された場合、異方性光拡散層が単層であり一方の面に他の層(例えば、粘着層)を設けられて構成された場合、異方性光拡散層が単層であり両方の面に他の層(例えば、粘着層)を設けて構成された場合等を含むことを意味する。従って、例えば、異方性光拡散層が単層の場合には、単層の異方性光拡散層が異方性光学フィルムであることを意味する。また、例えば、異方性光拡散層が単層であり両方の面に透明粘着層を設けた場合には、単層の異方性光拡散層と両方の面に設けられた透明粘着層を含めた構成が異方性光学フィルムであることを意味する。
「異方性光拡散層」は、光の拡散、透過及び拡散分布が、光の入射角度によって変化する入射光角度依存性を有する異方性及び指向性を有するものである(詳細は後述する)。従って、入射角依存性が無い指向性拡散フィルム、等方性拡散フィルム、特定方位に配向する拡散フィルムとは異なるものである。
「低屈折率領域」と「高屈折率領域」は、本発明に係る異方性光学フィルムを構成する材料の局所的な屈折率の高低差により形成される領域であって、他方に比べて屈折率が低いか高いかを示した相対的なものである。これらの領域は、異方性光学フィルムを形成する材料が硬化する際に形成される。
「散乱中心軸」とは、異方性光学フィルムへの入射光角度を変化させた際に光拡散性がその入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。「略対称性を有する」としたのは、散乱中心軸がフィルムの法線方向に対して傾きを有する場合には、光学特性(後述する「光学プロファイル」)が厳密には対称性を有しないためである。散乱中心軸は、異方性光学フィルムの断面の傾きを光学顕微鏡によって観察することや、異方性光学フィルムを介した光の投影形状を入射光角度を変化させて観察することにより確認することができる。
また、「直線透過率」とは、一般に、異方性光学フィルムに対して入射した光の直線透過性に関し、ある入射光角度から入射した際に、直線方向の透過光量と、入射した光の光量との比率であり、下記式で表される。
直線透過率(%)=(直線透過光量/入射光量)×100
また、本発明においては、「散乱」と「拡散」の両者を区別せずに使用しており、両者は同じ意味を示す。更に、「光重合」及び「光硬化」の意味を、光重合性化合物が光により重合反応することとし、両者を同義語で用いることとする。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
<<<異方性光学フィルムの構造と特性>>>
図2〜図5を参照しながら、本形態に係る異方性光学フィルムについて説明する前提として、従来技術に係る単層の異方性光学フィルム(本形態で言う「異方性光拡散層」が一層のみの場合の異方性光学フィルム)の構造と特性について説明する。
図2は、ピラー構造及びルーバー構造の柱状領域を有する単層の異方性光学フィルムの構造と、これらの異方性光学フィルムに入射した透過光の様子の一例を示す模式図である。図3は、異方性光学フィルムの光拡散性の評価方法を示す説明図である。図4は、図2に示したピラー構造及びルーバー構造の異方性光学フィルムへの入射光角度と直線透過率との関係を示すグラフである。図5は、拡散領域と非拡散領域を説明するためのグラフである。
<<異方性光学フィルムの基本的な構造>>
異方性光学フィルムとは、フィルムの膜厚方向に、フィルムのマトリックス領域とは屈折率の異なる領域が形成されたフィルムである。屈折率の異なる領域の形状は、特に制限されるものではないが、例えば、図2(a)に示すように、マトリックス領域11中に、短径と長径のアスペクト比の小さな柱状(例えば、棒状)に形成された屈折率の異なる柱状領域13が形成された異方性光学フィルム(ピラー構造の異方性光学フィルム)10や、図2(b)に示すように、マトリックス領域21中に、アスペクト比の大きな柱状(例えば、略板状)に形成された屈折率の異なる柱状領域23が形成された異方性光学フィルム(ルーバー構造の異方性光学フィルム)20等がある。
<<異方性光学フィルムの特性>>
上述した構造を有する異方性光学フィルムは、当該フィルムへの入射光角度により光拡散性が異なる光拡散フィルム、すなわち入射光角度依存性を有する光拡散フィルムである。この異方性光学フィルムに所定の入射光角度で入射した光は、屈折率の異なる領域の配向方向(例えば、ピラー構造における柱状領域13の延在方向(配向方向)やルーバー構造における柱状領域23の高さ方向(異方性光学フィルムの厚さ方向))と略平行である場合には拡散が優先され、当該方向に平行でない場合には透過が優先される。
ここで、図3及び4を参照しながら、異方性光学フィルムの光拡散性についてより具体的に説明する。ここでは、上述したピラー構造の異方性光学フィルム10と、ルーバー構造の異方性光学フィルム20の光拡散性を例に挙げて説明する。
光拡散性の評価方法は、以下のようにして行う。まず、図3に示すように、異方性光学フィルム10、20を、光源1と検出器2との間に配置する。本形態においては、光源1からの照射光Iが、異方性光学フィルム10、20の法線方向から入射する場合を入射光角度0°とした。また、異方性光学フィルム10、20は直線Vを中心として、任意に回転させることができるように配置され、光源1及び検出器2は固定されている。すなわち、この方法によれば、光源1と検出器2との間にサンプル(異方性光学フィルム10、20)を配置し、サンプル表面の直線Lを中心軸として角度を変化させながらサンプルを直進透過して検出器2に入る直線透過率を測定することができる。
異方性光学フィルム10、20を、それぞれ、図2のTD方向(異方性光学フィルムの幅方向の軸)を図3に示す回転中心の直線Lに選んだ場合における光拡散性を評価し、得られた光拡散性の評価結果を図4に示した。図4は、図3に示す方法を用いて測定した図2に示す異方性光学フィルム10、20が有する光拡散性(光散乱性)の入射光角度依存性を示すものである。図4の縦軸は、散乱の程度を示す指標である直線透過率(本形態では、所定の光量の平行光線を入射させたときに、入射方向と同じ方向に出射された平行光線の光量の割合、より具体的には、直線透過率=異方性光学フィルム10、20がある場合の検出器2の検出光量(入射した光の直線方向の透過光量)/異方性光学フィルム10、20がない場合の検出器2の検出光量(入射した光の光量))を示し、横軸は異方性光学フィルム10、20への入射光角度を示す。図4中の実線は、ピラー構造の異方性光学フィルム10の光拡散性を示し、破線は、ルーバー構造の異方性光学フィルム20の光拡散性を示している。なお、入射光角度の正負は、異方性光学フィルム10、20を回転させる方向が反対であることを示している。
図4に示すように、異方性光学フィルム10、20は、入射光角度によって直線透過率が変化する光拡散性の入射光角度依存性を有するものである。ここで、図4のように光拡散性の入射光角度依存性を示す曲線を以下、「光学プロファイル」と称する。光学プロファイルは、光拡散性を直接的に表現しているものではないが、直線透過率が低下することで逆に拡散透過率が増加(増大)していると解釈すれば、概ね光拡散性を示しているといえる。言い換えると、直線透過率が低下するほど入射した光の拡散透過率が増加することになる。通常の等方的な光拡散フィルムでは、0°付近をピークとする山型の光学プロファイルを示すが、異方性光学フィルム10、20では、柱状領域13、23の中心軸(厚み)方向、すなわち、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する場合の直線透過率と比較して、−20°〜+20°の入射光角度で一旦直線透過率が最小値になり、その入射光角度(の絶対値)が大きくなるにつれて直線透過率が大きくなり、−60°〜−30°または+30°〜+60°の入射光角度で直線透過率が最大値となる谷型の光学プロファイルを示す。このように、異方性光学フィルム10、20は、入射光が散乱中心軸方向に近い−20°〜+20°の入射光角度範囲では強く拡散されるが、入射光角度の絶対値がそれよりも大きい入射光角度範囲では、拡散が弱まり直線透過率が高まるという性質を有する。
ここで、図4に示されるように、所定の角度範囲で入射した光(表示光或いは外光)に対して拡散性が増加(増大)し直線透過率が最小値を示す性質(光学プロファイル)、すなわち所定の角度範囲では、光の拡散が優先される性質(光学プロファイル)を有しており、更に、図4に示されるように、所定の角度範囲以外の角度で入射した光(表示光或いは外光)に対して拡散性が減少し直線透過率が最大値を示す性質(光学プロファイル)、すなわち所定の角度範囲以外では、光の透過が優先される性質(光学プロファイル)を有しているような性質を「異方性」と称する。すなわち、光の入射光角度に依存して光の拡散及び透過が変化することを意味している。光の拡散が優先される前記所定の角度範囲とは、上述したように、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する場合の直線透過率と比較して、例えば、−20°〜+20°の入射光角度の範囲をいう。さらに、光の透過が優先される前記所定の角度範囲以外とは、上述したように、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する場合の直線透過率と比較して、例えば、−60°〜−30°または+30°〜+60°の入射光角度の範囲をいう。
また、光の拡散分布が、拡散角度により異なる性質を「指向性」と称するが、本発明の場合、光の拡散分布が、拡散角度により異なるだけでなく、光の入射光角度によって変化する入射光角度依存性をさらに有した拡散分布を示す。つまり、光の拡散、透過及び拡散分布が、光の入射角度によって変化する入射光角度依存性を有する異方性及び指向性を有するものである。
また、以下、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度の角度範囲を拡散領域(この拡散領域の幅を「拡散幅」)と称し、それ以外の入射光角度範囲を非拡散領域(透過領域)と称する。
ここで、図5を参照しながら、ルーバー構造の異方性光学フィルム20を例に挙げて拡散領域と非拡散領域について説明する。図5は、図4のルーバー構造の異方性光学フィルム20の光学プロファイルを示したものであるが、図5に示すように、最大直線透過率(図5の例では、直線透過率が約78%)と最小直線透過率(図5の例では、直線透過率が約6%)との中間値の直線透過率(図5の例では、直線透過率が約42%)に対する2つの入射光角度の間(図5に示す光学プロファイル上の2つの黒点の位置の2つの入射光角度の内側)の入射光角度範囲が拡散領域となり、それ以外(図5に示す光学プロファイル上の2つの黒点の位置の2つの入射光角度の外側)の入射光角度範囲が非拡散領域となる。
ピラー構造の異方性光学フィルム10では、図2(a)の透過光の様子を見ればわかるように、透過光は略円形状となっており、MD方向とTD方向とで略同一の光拡散性を示している。すなわち、ピラー構造の異方性光学フィルム10では、拡散は方位的に見れば等方性を有する。また、図4の実線で示すように、入射光角度を変えても光拡散性(特に、非拡散領域と拡散領域との境界付近における光学プロファイル)の変化が比較的緩やかであるため、輝度の急激な変化による違和感を生じないという効果がある。しかしながら、異方性光学フィルム10では、図4の破線で示されたルーバー構造の異方性光学フィルム20の光学プロファイルと比較すれば理解できるように、非拡散領域における直線透過率が低いため、表示特性(輝度やコントラスト等)がやや低下してしまうという問題もある。また、ピラー構造の異方性光学フィルム10は、ルーバー構造の異方性光学フィルム20と比較して、拡散領域の幅も狭い、という問題もある。尚、ピラー構造とすることで、方位角による拡散の指向性はないが、拡散の分布に対しては指向性を有する特性となる。
他方、ルーバー構造の異方性光学フィルム20では、図2(a)の透過光の様子を見ればわかるように、透過光は、略針状となっており、MD方向とTD方向とで光拡散性が大きく異なる。すなわち、ルーバー構造の異方性光学フィルム20では、拡散は方位角によって大きく拡散特性が異なる指向性を有する。具体的には、図2に示す例では、MD方向ではピラー構造の場合よりも拡散が広がっているが、TD方向ではピラー構造の場合よりも拡散が狭まっている。また、図4の破線で示すように、入射光角度を変えると、(本形態の場合、TD方向において)光拡散性(特に、非拡散領域と拡散領域との境界付近における光学プロファイル)の変化が極めて急峻であるため、異方性光学フィルム20を表示装置に適用した場合、輝度の急激な変化となって現れ、違和感を生じさせるおそれがあった。加えて、ルーバー構造の異方性光学フィルムは光の干渉(虹)が生じやすい、という問題もある。しかしながら、異方性光学フィルム20では、非拡散領域における直線透過率が高く、表示特性を向上させることができるという効果がある。特に、優先される拡散の方位(図2ではMD方向)の視野角を広げたい方向と一致させることで、意図する特定方向に視野角を広げることが可能となる。
<<<本形態に係る異方性光学フィルムの構成>>>
図6を参照しながら、本形態に係る異方性光学フィルム100の構成について説明する。図6は、本形態に係る異方性光学フィルム100における異方性光拡散層110及び120の構成の一例を示す図である。なお、以下においては、異方性光学フィルム100とした場合、単に、異方性光拡散層110及び120を有する異方性光拡散層を示す場合がある。
<<全体構成>>
図6に示すように、異方性光学フィルム100は、入射光角度により直線透過率が変化する2つの異方性光拡散層110又は120を有する異方性光学フィルムである。
異方性光拡散層110は、マトリックス領域111と、マトリックス領域111とは屈折率が異なる複数の柱状構造体113(柱状領域)とを有する。異方性光拡散層120は、マトリックス領域121と、マトリックス領域121とは屈折率が異なる複数の柱状構造体123(柱状領域)とを有する。ここで、単に、柱状領域と表現する場合には、柱状領域には、ピラー領域及びルーバー領域とを含む。また、単に柱状構造体と表現する場合には、柱状構造体には、ピラー構造及びルーバー構造とを含む。
以下、このような、異方性光拡散層110又は異方性光拡散層120を有する異方性光学フィルム100について詳述する。
<<異方性光拡散層110>>
異方性光拡散層110は、上述したルーバー構造(異方性光学フィルム20と同様の構成)を有しており、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。また、異方性光拡散層110は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなり、図6Aに示すように、マトリックス領域111と、当該マトリックス領域111とは屈折率の異なる複数の柱状構造体113(柱状領域)を有している。この柱状構造体113の配向方向(延在方向)Pは、散乱中心軸と平行になるように形成されており、異方性光拡散層110が所望の直線透過率及び拡散性を有するように適宜定められている。なお、散乱中心軸と柱状領域の配向方向とが平行であるとは、屈折率の法則(Snellの法則)を満たすものであればよく、厳密に平行である必要はない。Snellの法則は、屈折率nの媒質から屈折率nの媒質の界面に対して光が入射する場合、その入射光角度θと屈折角θとの間に、nsinθ=nsinθの関係が成立するものである。例えば、n=1(空気)、n=1.51(異方性光学フィルム)とすると、入射光角度が30°の場合、柱状領域の配向方向(屈折角)は約19°となるが、このように入射光角度と屈折角が異なっていてもSnellの法則を満たしていれば、本形態においては平行の概念に包含される。
なお、異方性光拡散層110としては、柱状構造体113の配向方向がフィルムの膜厚方向(法線方向)と一致しないものであってもよい。この場合、異方性光拡散層110においては、入射光が法線方向から所定角度傾いた方向(すなわち、柱状構造体113の配向方向)に近い入射光角度範囲(拡散領域)では強く拡散されるが、それ以上の入射光角度範囲(非拡散領域)では拡散が弱まり直線透過率が高まるという性質を有する。
<柱状構造体113>
本形態に係る柱状構造体113は、マトリックス領域111中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状構造体113は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。従って、同一の異方性光拡散層110における複数の柱状構造体113は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域111の屈折率は、柱状構造体113の屈折率と異なっていればよいが、屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域111の屈折率が柱状構造体113の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域111は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域111の屈折率が柱状構造体113の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域111は高屈折率領域となる。ここで、マトリックス領域111と柱状構造体113の界面における屈折率は漸増的に変化するものであることが好ましい。漸増的に変化させることで、入射光角度を変えた場合の拡散性の変化が極めて急峻となりギラツキを生じやすくなる問題が発生し難くなる。マトリックス領域111と柱状構造体113を光照射に伴う相分離によって形成することで、マトリックス領域111と柱状構造体113の界面の屈折率を漸増的に変化させることができる。
柱状構造体113の配向方向に垂直な断面形状は、図6Aに示すように、短径SAと長径LAを有する。短径SAと長径LAは異方性光拡散層110を光学顕微鏡で観察することによって確認することができる(詳細は後述する)。柱状構造体113の断面形状は、後述するアスペクト比の範囲(2以上)を満足するものが好適であるが、特に制限されるものではない。例えば、図6Aでは、柱状構造体113の断面形状を楕円形状に示しているが、柱状構造体113の断面形状は、特に限定されるものではない。
<<異方性光拡散層120>>
異方性光拡散層120は、ピラー構造(異方性光学フィルム10と同様の構成)を有しており、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。また、図6Bに示すように、異方性光拡散層120は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなり、マトリックス領域121と、当該マトリックス領域121とは屈折率の異なる複数の柱状構造体123を有している。複数の柱状構造体123並びにマトリックス領域121は、不規則な分布や形状を有するが、異方性光拡散層120の全面にわたって形成されることで、得られる光学特性(例えば、直線透過率等)は略同じとなる。複数の柱状構造体123並びにマトリックス領域121が不規則な分布や形状を有するため、本形態に係る異方性光拡散層120は、光の干渉(虹)が発生することが少ない。
<柱状構造体123>
本形態に係る柱状構造体123は、マトリックス領域121中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状構造体123は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。従って、同一の異方性光拡散層120における複数の柱状構造体123は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域121の屈折率は、柱状領域の屈折率と異なっていればよいが、屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域121の屈折率が柱状領域の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域121は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域121の屈折率が柱状領域の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域121は高屈折率領域となる。
柱状構造体123の配向方向に垂直な断面形状は、図6Bに示すように、短径SAと長径LAを有する。柱状構造体123の断面形状は、後述するアスペクト比の範囲(2未満)を満足することが好適である。例えば、図6Bでは、柱状構造体123の断面形状を円形状に示しているが、柱状構造体123の断面形状は、円形状に限定されるものではなく、楕円形状、多角形状、不定形状、これらの入り混じっているもの等、特に限定されるものではない。
<<柱状構造体の形状>>
<柱状構造体113及び柱状構造体123のアスペクト比>
複数の柱状構造体113は、短径SAの平均値(平均短径)と長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)が2以上であることが好ましく、2以上50未満であることがより好ましく、2以上10以下であることが更に好ましく、2以上5以下であることが特に好ましい。
複数の柱状構造体123は、短径SAの平均値(平均短径)と平均長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)が2未満であることが好ましい。また、柱状領域123の平均短径SAと平均長径LAのアスペクト比が、1.5未満であることが好ましく、1.2未満であることがより好ましい。
本形態に係る異方性光学フィルム100は、複数の柱状構造体113及び複数の柱状構造体123の平均短径と平均長径のアスペクト比を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
<柱状構造体113及び柱状構造体123の平均短径及び平均長径>
また、複数の柱状構造体113の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、複数の柱状構造体113の短径SAの平均値(平均短径)は5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。これら複数の柱状構造体113の平均短径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
更に、複数の柱状構造体113の長径LAの平均値(平均長径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、複数の柱状構造体113の長径LAの長さの平均値(平均長径)は100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。これら複数の柱状構造体113の平均長径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
また、複数の柱状構造体123の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、複数の柱状構造体123の短径SAの平均値(平均短径)は5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。これら複数の柱状構造体123の平均短径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
更に、複数の柱状構造体123の長径LAの平均値(平均長径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、複数の柱状構造体123の長径LAの平均値(平均長径)は8.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。これら複数の柱状構造体123の平均長径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
本形態に係る異方性光学フィルム100は、複数の柱状構造体113及び複数の柱状構造体123の平均短径及び平均長径を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
なお、本形態における複数の柱状構造体113及び複数の柱状構造体123の、短径SAの平均値(平均短径)及び長径LAの平均値(平均長径)は、異方性光拡散層120の表面を顕微鏡で観察し、任意に選択した100個の柱状構造体113及び柱状構造体123の短径SA、長径LAを計測し、これらの平均値を求めればよい。また、柱状構造体のアスペクト比としては、上記で求めた長径LAの平均値(平均長径)を短径SAの平均値(平均短径)で除した値を用いる。
<柱状構造体113及び123が形成される領域の厚み>
複数の柱状構造体113及び123の厚さTは、10μm〜200μmであるのが好ましく、20μm以上100μm未満であることがより好ましく、20μm以上50μm未満であることが更に好ましい。厚さTが200μmを超える場合、材料費がよりかかるだけでなく、UV照射にかかる費用も増すため、コストがかかるだけなく、厚さT方向での拡散性増加により、画像ボケやコントラスト低下が起こりやすくなる。また、厚さTが10μm未満の場合、光の拡散性及び集光性を十分なものとすることが難しい場合がある。本発明では、厚さTを該規定範囲内とすることにより、コストの問題を少なくし、光の拡散性及び集光性に優れ、かつ、厚さT方向での光拡散性低下により、画像ボケが発生し難くなり、コントラストも向上させることができる。
<<異方性光学フィルム100の性質>>
上述したように、異方性光学フィルム100は、異方性光拡散層110又は120を有する。より具体的には、異方性光拡散層110は、ルーバー構造(好適にはアスペクト比が2以上の柱状領域を有する領域)を有する。異方性光拡散層120は、ピラー構造(好適にはアスペクト比が2未満の柱状領域を有する領域)を有する。以下、このような異方性光学フィルム100の性質に関して説明する。
<直線透過率>
ここで、直線透過率が最大となる入射光角度で異方性光学フィルム100(異方性光拡散層110及び120)に入射した光の直線透過率を「最大直線透過率」と定義すると、異方性光学フィルム100(異方性光拡散層110及び120)は、最大直線透過率が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好ましく、90%未満であることが尚更に好ましい。
なお、直線透過率が最小となる入射光角度で異方性光拡散層110又は120に入射した光の直線透過率を「最小直線透過率」と定義することができる。なお、最小直線透過率は、10%以下であることが好ましい。
異方性光学フィルム100の最大直線透過率を上記範囲とすることにより、適度な異方性とすることができるため、異方性光学フィルム100の適用範囲を広くすることができる。例えば、表示装置に異方性光学フィルム100を使用する場合、異方性が強すぎると、MD方向への光の拡散・集光性に極めて優れるものの、TD方向への光の拡散・集光性が不十分となりやすい問題がある。本形態に係る異方性光学フィルム100は、上記の最大直線透過率を有することで、MD方向への優れた光の拡散・集光性を維持した上で、TD方向への光の拡散・集光性を十分に備えるものである。
ここで、直線透過光量及び直線透過率は、図3に示す方法によって測定することができる。すなわち、図3に示す回転軸Vと、図6A及び図6Bに示すC−C軸を一致させるようにして、入射光角度毎に直線透過光量及び直線透過率を測定する(法線方向を0°とする)。得られたデータより光学プロファイルが得られ、この光学プロファイルから最大直線透過率及び最小直線透過率を求めることができる。
また、異方性光学フィルム100(異方性光拡散層110及び120)における最大直線透過率及び最小直線透過率は、製造時の設計パラメータによって調整することができる。パラメータの例としては、塗膜の組成、塗膜の膜厚、構造形成時に与える塗膜への温度等が挙げられる。塗膜の組成は構成成分を適宜選択し調合することで、最大直線透過率及び最小直線透過率は変化する。設計パラメータでは、膜厚が厚いほど最大直線透過率及び最小直線透過率は低くなりやすく、薄いほど高くなりやすい。温度が高いほど最大直線透過率及び最小直線透過率は低くなりやすく、低いほど高くなりやすい。これらのパラメータの組み合わせにより、最大直線透過率及び最小直線透過率のそれぞれを適宜調節することが可能である。
<拡散幅>
上記方法により、異方性光学フィルム100の最大直線透過率と最小直線透過率を求め、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率を求める。この中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度を読み取る。光学プロファイルにおいては、法線方向を0°とし、入射光角度をマイナス方向及びプラス方向で示している。従って、入射光角度及び交点に対応する入射光角度はマイナスの値を有する場合がある。2つの交点の値がプラスの入射光角度値と、マイナスの入射光角度値を有するものであれば、マイナスの入射光角度値の絶対値とプラスの入射光角度値の和が入射光の拡散領域の角度範囲である、拡散幅となる。2つの交点の値が両方ともプラスである場合、より大きい値からより小さい値を引いた差が入射光角度の角度範囲である拡散幅となる。2つの交点の値が両方ともマイナスである場合、それぞれの絶対値をとり、より大きい値からより小さい値を引いた差が入射光角度の角度範囲である拡散幅となる。
異方性光学フィルム100においては、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度の角度範囲である拡散領域の幅(拡散幅)が、MD方向において、10°以上70°未満であることが好適であり、30°以上50°未満であることがより好適である。また、TD方向において、5°以上50°未満であることが好適であり、20°以上30°未満であることが更に好適である。該規定範囲外である場合、すなわち拡散幅が広くなりすぎる場合には、集光性が弱まってしまい、拡散幅が狭くなりすぎる場合には、拡散性が弱まることで表示性や視認性が低下してしまう。すなわち本発明は、拡散幅が該規定の範囲内であることにより、拡散性及び集光性のバランスが取れ、更に輝度の急激な変化の抑制効果を高めることが可能となるのである。
<散乱中心軸>
次に、図7を参照しながら、異方性光拡散層における散乱中心軸Pについて説明する。図7は、異方性光学フィルム100(異方性光拡散層)における散乱中心軸Pを説明するための3次元極座標表示である。
異方性光拡散層は、少なくとも1つの散乱中心軸を有するが、この散乱中心軸は、上述したように、異方性光拡散層への入射光角度を変化させた際に光拡散性がその入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。なお、このときの入射光角度は、異方性光拡散層の光学プロファイルを測定し、この光学プロファイルにおける最小値に挟まれた略中央部(拡散領域の中央部)となる。
また、上記散乱中心軸は、図7に示すような3次元極座標表示によれば、異方性光拡散層110、120の表面をxy平面とし、法線をz軸とすると、極角θと方位角φとによって表現することができる。つまり、図7中のPxyが、上記異方性光拡散層の表面に投影した散乱中心軸の長さ方向ということができる。
ここで、異方性光拡散層110は、柱状領域113を有し、異方性光拡散層120は、柱状領域123を有する。異方性光拡散層(異方性光拡散層110又は120)の法線(図7に示すz軸)と、柱状領域113(柱状領域123)とのなす極角θ(−90°<θ<90°)を本形態における散乱中心軸角度と定義すると、柱状領域113の散乱中心軸角度と、柱状領域123の散乱中心軸角度との差の絶対値が、0°以上30°以下であることが好ましい。散乱中心軸角度の差の絶対値を上記範囲とすることで、本発明の効果をより高めることが可能となる。この効果をより効果的に実現するためには、柱状領域113の散乱中心軸角度と柱状領域123の散乱中心軸角度との差の絶対値が0°以上20°以下であることがより好ましく、10°以上20°以下であることが更に好ましい。なお、柱状領域113及び柱状領域123の散乱中心軸角度は、これらを製造する際に、シート状の光重合性化合物を含む組成物に照射する光線の方向を変えることで、所望の角度に調整することができる。
また、上記散乱中心軸角度(極角)の差の絶対値が上記範囲を満たすことに加えて、柱状領域113の散乱中心軸の方位角と柱状領域123の散乱中心軸の方位角との差の絶対値が0°以上20°以下であることが好ましい。これにより、異方性光学フィルム100の非拡散領域における直線透過率を低下させることなく、拡散領域の幅を更に拡大することが可能となる。
ここで、異方性光拡散層110、120の各々は、単一層中に、傾きの異なる柱状領域群(同一の傾きを有する柱状領域の集合)を複数有していてもよい。この散乱中心軸角度の差の絶対値の下限は5°であることがより好ましい。一方、散乱中心軸角度の差の絶対値の上限は、20°であることがより好ましく、15°であることが更に好ましい。
また、柱状領域113及び柱状領域123の散乱中心軸Pの極角θ(すなわち、散乱中心軸角度)が±0〜60°であることが好ましく、±0〜30°であることがより好ましい。散乱中心軸角度が+60°より大きく−60°未満では、コントラストや輝度を十分に向上させることができない。
<屈折率>
異方性光拡散層110、120は、光重合性化合物を含む組成物を硬化したものであるが、この組成物としては、次のような組み合わせが使用可能である。
(1)単独の光重合性化合物を使用するもの
(2)複数の光重合性化合物を混合使用するもの
(3)単独又は複数の光重合性化合物と、光重合性を有しない高分子化合物とを混合して使用するもの
上記いずれの組み合わせにおいても、光照射により異方性光拡散層110、120中に、屈折率の異なるミクロンオーダーの微細な構造が形成されると推察されており、これにより、本形態に示される特異な異方性光拡散特性が発現されるものと思われる。従って、上記(1)では、光重合の前後における屈折率変化が大きい方が好ましく、また、(2)、(3)では屈折率の異なる複数の材料を組み合わせることが好ましい。なお、ここでの屈折率変化や屈折率の差とは、具体的には、0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上の変化や差を示すものである。
図8は、HUD装置3内に設けられた光照射部31から照射される表示光Lが上述した異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100に入射或いは入射した表示光Lが正反射される角度、すなわち、光照射部31と異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100との配置関係を説明する図である。
異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。例えば、図8で示すP)で入射する場合の直線透過率と比較して、−20°〜20°の入射光角度で一旦直線透過率が最小値になる。つまり、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、入射光が散乱中心軸方向に近い−20°〜20°の入射光角度範囲では強く拡散される(光の拡散が優先される)。
一方、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。例えば、図8で示すP)で入射する場合の直線透過率と比較して、−60〜−30°、または、+30°〜+60°の入射光角度で直線透過率が最大値となる。つまり、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、−20〜+20°以上の入射光角度範囲では拡散が弱まり直線透過率が高まる(光の透過が優先される)。
このような異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100の性質を踏まえ、HUD装置3内に設けられる光照射部31と異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100との配置関係を規定する必要がある。
図8に示すように、散乱中心軸方向P(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する入射光角度を基準として、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100の直線透過率が最小となる入射光角度(図4参照)と、光照射部31から照射される表示光Lが異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100に入射される入射光角度との差が−20〜20°の範囲内であること。或いは、散乱中心軸方向P(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する入射光角度を基準として、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100の直線透過率が最小となる入射光角度(図4参照)と、光照射部31から照射される表示光Lが異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100に入射された入射光に対して反射される正反射光角度との差が−20°〜+20°の範囲内であることが必要である。
つまり、図8で示すように入射光角度側を+、正反射光角度側を−とすると、散乱中心軸方向P(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する入射光角度を基準として、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100の直線透過率が最小となる入射光角度と、光照射部31から照射される表示光Lの異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100に入射される入射光角度又は正反射光角度との差が、−20°〜+20°の範囲内であることが必要である。
このように、上記関係に基づいてHUD装置3内の光照射部31と異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100とを配置することにより、表示光Lについては、散乱中心軸方向Pに近い、例えば、−20°〜+20°の入射光角度範囲で入射された表示光Lが強く拡散され、かつ、その拡散光は入射光角度範囲に対応した所定の範囲(例えば、−20°〜+20°)だけ拡散される。これにより、画像ボケが発生し難くなり、コントラストを向上させることができる。他方、外光が、上記±20°以外から入射された場合には、外光は、入射してきた方向を維持しながら異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を透過し、反射部材32で正反射されることになるので、光照射部31から離れる方向へ導かれ、光照射部31の前面に入射されにくくなる。これにより、外光の影響を十分に低減させることができる。その結果、外光の影響を十分に低減させて、コントラストを高めることで、十分な視認性を確保することができる。なお以降では、全て、図8の入射光角度、正反射光角度及び正負の符号に基づくものとする。
図9は、HUD装置3内の反射部材32に設けられた異方性光拡散層100によって太陽光等の外光Mが透過される様子を説明する図である。
異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、上述したように、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する場合の直線透過率と比較して、−20°〜+20°の入射光角度で一旦直線透過率が最小値になり、その入射光角度(の絶対値)が大きくなるにつれて直線透過率が大きくなり、−60°〜−30°または+30°〜+60°の入射光角度で直線透過率が最大値となる谷型の光学プロファイルを示す。
このように、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、入射光が散乱中心軸方向に近い−20°〜+20°の入射光角度範囲では強く拡散されるが(光の拡散が優先)、それ以上の入射光角度範囲では拡散が弱まり直線透過率が高まる(光の透過が優先)という性質を有する。
まず、図9に示すように、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100の散乱中心軸方向に対する光照射部31から照射される表示光Lの入射光角度を、例えば、約10°とする。
この場合、光照射部31から照射される表示光Lが、散乱中心軸方向に近い−20°〜+20°の入射光角度範囲である。当該範囲内では、拡散性が高い範囲であることから光の拡散が優先される。このため、表示光Lは、強く拡散され、かつ、その拡散光は入射光角度範囲に対応した所定の範囲(例えば、−20°〜+20°)に拡散される。その結果、拡散された表示光Lは、ウインドシールド40上の所定の範囲だけに照射(投射、投影)される。これにより、拡散性及び集光性のバランスが取れることから、表示画像がボケることなく明瞭(コントラストを向上させて)にウインドシールド40上に照射(投射、投影)することができる。
次に、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100の散乱中心軸方向に対するウインドシールド40を通して入射される太陽光等の外光Mの入射光角度を、例えば、約50°とする。
この場合、外光Mが、散乱中心軸方向から離れた−60°〜−30°または+30°〜+60°の入射光角度範囲である。当該範囲内では、拡散性が弱まり、直線透過率が大きく(最大)となり、光の透過が優先される。このため、外光Mは、入射してきた方向を維持しながら異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を透過する。その結果、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を透過した外光Mは、反射部材32で正反射されることになる。このため、外光Mは、光照射部31から離れる方向へ導かれ、光照射部31の前面に入射されにくくなる。これにより、外光の影響を十分に低減させることができる。
このように、指向性と異方性とを兼ね備えた入射光角度依存性を有する異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を使用することで、外光の影響を十分に低減させつつ、コントラストを高めることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態のHUD装置3について、図10を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、拡散部材60を異方性光拡散層100上(表示光或いは外光の入射側)に設けたことである。なお、第1の実施形態と同一構成及び同一構造部分は、同一符号を付して説明をする。
上述したように、HUD装置3の筐体30内には光照射部31が設けられている。光照射部31が表示する虚像の光量と比べて外光の光量が大きくなるとき、外光の影響を受けて虚像の表示を視認しにくい状態になることがある。このため、光照射部31からの光量(輝度)を大きく(強く)すると、光照射部31からの表示光Lの光量が反射部材32によって反射され、異方性光拡散層100によって光を過度に拡散(散乱)させてしまい、ホットスポット(輝点)を生じさせる原因となる。ウインドシールド40上にホットスポット(輝点)が生じるとギラツキとなって現れ、眩しくなり、視認性が低下する原因となる。
そこで、第2の実施形態のように、拡散部材60を異方性光拡散層100上に設けることで、異方性光拡散層100で拡散された表示光Lが、拡散部材60によってさらに拡散されることで拡散性が拡大し、ホットスポット(輝点)を生じさせる原因を抑制することができる。
拡散部材60は、拡散フィルムや拡散板、拡散層等であり、外光が入射された場合に一定の角度の拡散性を有するものであればよく、特にその形状や構成は限定されない。
なお、拡散部材60と異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100との間、或いは、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100と反射部材32の間は、それぞれ、例えば、透明粘着層(不図示)を介して積層されていればよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態のHUD装置3について、図11を用いて説明する。第3の実施形態は、第2の実施形態に対して、偏光部材70を拡散部材60上に設けたことである。なお、第1、第2の実施形態と同一構成及び同一構造部分は、同一符号を付して説明をする。
上述したように、例えば、晴天時の昼間のように太陽からの強い外光が到来するような状況においては、HUD装置3が表示する虚像の光量と比べて外光の光量が大きくなるため、外光の影響を受けて虚像の表示を視認しにくい状態になることがある。つまり、ウインドシールド40の外側から入射して来る外光Mが反射部材32で反射されて光照射部31まで達してしまい、表示画像が相対的に薄くなくなってしまう結果、虚像50が見えにくくなる現象(いわゆるウオッシュアウト)を起こすという問題がある。
そこで、第3の実施形態のように、偏光部材70を拡散部材60上に設けることで、ウインドシールド40を通して入射された太陽光等の外光の光量については、原則的には50%の光量が、偏光部材70で吸収されて約半分に低減するので、光照射部31の前面に入射される外光の光量も約半分となり、外光による表示画像の視認低下を抑制することができる。
また、第3の実施形態では、偏光部材70に加えて、拡散部材60と異方性光拡散層100が設けられている。拡散部材60が設けられていることによって偏光部材70を通過した外光が、拡散部材60によって拡散されるため、光照射部31の前面に入射される外光の光量をさらに低減することができる。
さらに、異方性光拡散層100が設けられていることによって、拡散部材60によって拡散された外光が、異方性光拡散層100への入射光角度に応じて光照射部31の前面に外光を届けなくすることが可能となる。この結果、入射される外光の光量をさら低減することができ、外光による表示画像の視認低下を更に抑制することができる。
偏光部材70は、偏光板や偏光フィルム等である。また、太陽光等の外光に含まれる特定方向の偏光光を反射する偏光子であり、例えば、ワイヤグリッド偏光子により構成することができる。なお、偏光部材70は、これに限られず、太陽光等の外光を特定方向に偏光させ、特定方向に偏光させた光以外は吸収(遮断)するものであればよい。また、特にその形状や構成は限定されない。
なお、偏光部材70は、拡散部材60と同時に使用する必要は必ずしもなく、例えば、異方性光拡散層100と偏光部材70との組み合わせだけにしてもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態のHUD装置3について、図12を用いて説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態に対して、異方性光拡散層400をウインドシールド40の下部に設けたことである。なお、第1〜第3の実施形態と同一構成及び同一構造部分は、同一符号を付して説明をする。また、異方性光拡散層400は、上述した異方性光拡散層100と同様のものとして説明する。
上述したように、HUD装置3の筐体30内には光照射部31が設けられている。光照射部31からの表示光Lがウインドシールド40に照射されるとき、光照射部31からの表示光Lは、ウインドシールド40の内面(運転者側)で反射された反射光(虚像光)を受けて運転者の肉眼により認識される場合と、ウインドシールド40の外面まで進入して反射された反射光の両方(2重虚像光)を受けて認識される場合とが生じることがある。従って、このような場合には、表示画像の視認性を低下させる要因となっていた。
そこで、第4の実施形態のように、上述した異方性光拡散層400をウインドシールド40の下部に設けることによって、光照射部31からの表示光Lがウインドシールド40に照射されると、表示光Lは、異方性光拡散層400によって拡散されることになる。また、異方性光拡散層400によって拡散性及び集光性のバランスを取ることが可能となるため、2重虚像光を防止することができると共にコントラストを向上させることもできる。さらに、特定の方向から太陽光等の強い外光が入射することにより、表示画像が視認できなくなることを抑制することもできる。
また、反射部材32の反射面側に異方性光拡散層100を設け、ウインドシールド40の下部に異方性光拡散層400を設ける構成とした。これにより、光照射部31からの表示光Lについては、入射光角度に応じて拡散性及び集光性のバランスを更にとることが可能となるため、2重虚像光を防止しつつ、画像ボケが発生し難くなり、かつ、コントラストを向上させることができる。他方、外光については、入射光角度に応じて異方性光拡散層400によって拡散され、拡散された拡散光が入射光角度に応じて異方性光拡散層100によって更に拡散されるので、外光Mは、光照射部31から離れる方向へ導かれ、光照射部31の前面に入射されにくくなる。これにより、外光の影響を十分に低減させることができる。
なお、異方性光拡散層400は、ウインドシールド40の一部の領域に設けてもよいし、又は、ウインドシールド40の全体に設けてもよい。また、異方性光拡散層400は、異方性光拡散層100と同時に使用する必要は必ずしもなく、異方性光拡散層400だけの構成としてもよい。また、異方性光拡散層400は、公知の異方性光拡散層を利用可能である。
(第5の実施形態)
第5の実施形態のHUD装置3について、図13を用いて説明する。第5の実施形態は、第1の実施形態に対して光照射部31から照射される表示光Lを、投射エリア41をウインドシールド40ではなく、コンバイナ34にしたものである。なお、第1〜第4の実施形態と同一構成及び同一構造部分は、同一符号を付して説明をする。
HUD装置3は、図示しないインストルメントパネル(不図示)の内部に収容されている。HUD装置3は、筐体30と、筐体30の一部に設けられた開口部33とを有し、この開口部33から、インストメントルパネルの外側に向けて表示光Lを照射することができる。
図13に示すように、筐体30の上方或いはインストメントルパネル上には、少し傾斜した状態で起立した薄板形状のコンバイナ34が設置されている。コンバイナ34は光学素子であり、光の反射、透過および合成の機能を有している。すなわち、コンバイナ34は右側の面に入射した光を反射してアイポイント(視点)EPに導き、左側の面に入射した光を透過してアイポイント(視点)EPに導く。従って、ウインドシールド40が外側から入射してコンバイナ34を透過した光と、HUD装置3から照射されコンバイナ34で反射した光とが合成されてアイポイント(視点)EPに結像される。なお、コンバイナ34は、筐体30の上方或いはインストメントルパネルの一部の領域に設けてもよいし、又は、筐体30の上方或いはインストメントルパネルの全体に設けてもよい。
HUD装置3内には、光照射部31が設けられている。光照射部31は、表示画像を表す表示光Lを照射する部材であり、例えば、図示しないバックライト付きの液晶ディスプレイから構成される。この液晶ディスプレイの表示画像はバックライトにより照射され、右側に向かって照射(投射、投影)される。この投影光は、反射部材32の表面で反射され、開口部33の外側に配置されているコンバイナ34の表面に向かう。
従って、液晶ディスプレイの表示画像に対応する照射光(投射光)は、液晶ディスプレイ、異方性光拡散層100、反射部材32、異方性光拡散層100、コンバイナ34を順に経由する光路を通ってアイポイント(視点)EPに結像される。実際には、コンバイナ34及び反射部材32が反射した像が結像されるので、運転者がアイポイントで見る画像は、コンバイナ34及びウインドシールド40よりも前方に虚像50として見ることが可能となる。
ここで、ウインドシールド40は、車種等によって形状や傾きが異なるため、車両ごとに最適な光の偏光方向は異なる。例えば、小型車両のウインドシールドは、大型車両のウインドシールドよりもインストメントルパネルに対しての傾斜角度が大きい。また、小型車両のように、インストルメントパネル内のスペースが比較的小さい車両においては、インストルメントパネル内にHUD装置3を搭載すると、ステアリングの車両前方側に設けられて各種車両情報を表示する表示部(コンビネーションメータ)が、車両の後方側(インストルメントパネルの運転者側と反対側の方向)に追いやられることになる。そうすると、表示部(コンビネーションメータ)への車外の光の映り込み、あるいは表示部(コンビネーションメータ)からウインドシールド40、或いはサイドウインドウ等への映り込みが生じやすくなってしまう。このため、小型車両の場合には、コンバイナを用いた方がより好ましい。
なお、上述した実施の形態は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。
例えば、図10で示した反射部材32、異方性光拡散層100、拡散部材60と、図12で示したウインドシールド40の下部に設けた異方性光拡散層400とを組み合せてもよい。また、図10で示した反射部材32、異方性光拡散層100、拡散部材60と、図13で示したコンバイナ34とを組み合せてもよい。さらに、図11で示した反射部材32、異方性光拡散層100、拡散部材60、偏光部材70と、図12で示したウインドシールド40の下部に設けた異方性光拡散層400とを組み合せてもよい。さらにまた、図11で示した反射部材32、異方性光拡散層100、拡散部材60、偏光部材70と、図13で示したコンバイナ34とを組み合せてもよい。
また、図1では、反射部材32の反射面側に異方性光拡散層100を1枚設けた例を示したが、これに限らず、例えば、反射部材32の反射面側に異方性光拡散層100を2枚(以上)積層する構成としてもよい。上述したように、異方性光拡散層100は、散乱中心軸方向に近い−20°〜+20°入射光角度範囲で入射された表示光Lが強く拡散され、かつ、その拡散光は入射光角度範囲に対応した所定の範囲(例えば、−20°〜+20°)だけ拡散される。この性質を有する異方性光拡散層100を、例えば、2枚積層することにより、拡散された表示光Lが、ウインドシールド40上の所定の範囲だけに照射(投射、投影)されることになる。これにより、入射光角度に応じて拡散性及び集光性のバランスを更にとることが可能となるため、ホットスポット(輝点)を抑制する拡散を行いつつ、画像ボケが発生し難くなり、かつ、コントラストを向上させることができる。さらに、外光の影響を更に低減させることができる。
また、HUD装置3を自動車に適用する際に、ウインドシールド40と、HUD装置3内に設けられる光照射部31と反射部材32と、の配置関係が固定される。配置関係が固定されるということは、ウインドシールド40を通して反射部材32に入射される外光M或いは表示光Lの入射光角度が変わらないということである。
このような状況下で、入射光角度依存性を有する異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を使用することに意義がある。すなわち、指向性と異方性とを兼ね備えた異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を使用することで、光照射部31から照射された表示画像を表す表示光Lについては、散乱中心軸方向に近い−20°〜+20°の入射光角度範囲で入射された表示光Lが強く拡散され、かつ、その拡散光は入射光角度範囲に対応した所定の範囲(例えば、−20°〜+20°)だけ拡散される。つまり、入射光角度に応じて拡散性及び集光性のバランスが取れるため、画像ボケが発生し難くなり、コントラストを向上させることができる。他方、外光Mについては、入射光角度に応じて入射してきた方向を維持しながら異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を透過し、反射部材32で正反射されることになるので、外光Mは、光照射部31から離れる方向へ導かれ、光照射部31の前面に入射されにくくなる。これにより、外光の影響を十分に低減させることができる。
また、本実施の形態では、異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100は、ルーバー構造の異方性光学フィルム(異方性光拡散層)110(20)と、ピラー構造の異方性光学フィルム(異方性光拡散層)120(10)と、があることについて説明した。上述したように、HUD装置3を自動車に搭載する際に、ウインドシールド40上での虚像50の表示位置は、ウインドシールド40とHUD装置3との配置関係、つまり、ウインドシールド40と、HUD装置3内に設けられる光照射部31と反射部材32と、の配置関係により固定される。このため、運転者のアイポイント(視点)EPの高さ位置のバラツキに対しては対応することが困難である場合がある。なお、運転者のアイポイント(視点)EPの高さ位置のバラツキは、例えば、車両を複数の利用者で使用する場合、運転する利用者の身長の高低によって生じるバラツキが考えられる。
ここで、ルーバー構造の異方性光学フィルム(異方性光拡散層)110(20)は、図2(a)の透過光の様子を見れば理解できるように、透過光は、略針状となっており、MD方向とTD方向とで光拡散性が大きく異なる。すなわち、ルーバー構造の異方性光学フィルム20では、拡散は異方性を有する。具体的には、図2に示す例では、MD方向ではピラー構造の場合よりも拡散が広がっているが、TD方向ではピラー構造の場合よりも拡散が狭まっている。
この性質を利用し、例えば、車両の前後方向とMD方向(図6の柱状領域113の短径SA側)とを一致させ、車両の車幅方向とTD方向(図6の柱状領域113の長径LA側)とを一致させるようにして、図1の反射部材32の反射面側に、ルーバー構造の異方性光学フィルム(異方性光拡散層)110(20)を設ける。
このようにすれば、ウインドシールド40上に略針状の透過光の範囲で虚像50が表示されることになるため、乗員は表示画像を視認する際に視線移動を極力少なくすることが可能であり、運転時の負担をより少なくすることが可能となる。すなわち、運転者のアイポイント(視点)EPの高さ位置のバラツキに対しても対応することができる。
また、本実施の形態では、HUD装置3がウインドシールド40の下方向のインストルメントパネル内部に収容されているものとして説明したが、インストルメントパネル内部の収容部が、インストルメントパネルを構成するパネル部材内に形成されており、この収容部に光照射部31や反射部材32等が配置されている場合には、インストルメントパネルを構成するパネル部材内で形成された収容部を、本実施形態の筐体30としてもよい。なお、この場合には、インストルメントパネル部材内に設けられた開口窓に本実施形態の異方性光学フィルム(異方性光拡散層)100を配置することになる。
また、本実施の形態では、HUD装置3を自動車に適用して説明したが、これに限られることなく、例えば、航空機、電車、工事用車両、遊技装置(例えば、パチンコやスロット等の表示)、ゲーム装置、医療装置等において利用可能性がある。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
<<異方性光学フィルムの製造>>
本発明の異方性光学フィルムは、以下に示す既存の方法(例えば、特開2006−119241)により製造した。
<ピラー構造>
厚さ75μm、76×26mmサイズのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300)の縁部全周に、ディスペンサーを使い硬化性樹脂で高さ0.2mmの隔壁を形成した。この中に下記の紫外線硬化樹脂組成物を滴下し、別のPETフィルムでカバーした。
・2−(パーフルオロオクチル)−エチルアクリレート 50重量部(フッ素含有率61%、共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートFA−108)
・1,9−ノナンジオールジアクリレート 50重量部(フッ素不含、共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレート1.9ND−A)
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 4重量部(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:Darocure1173)
この両面をPETフィルムで挟まれた0.2mmの厚さの液膜に対して、UVスポット光源(浜松ホトニクス社製、商品名:L2859−01)の落射用照射ユニットから垂直に、照射強度30mW/cmの平行光線である紫外線を1分間照射して、図2(a)又は図6(b)に示すような棒状の微小な領域を多数有する異方性光拡散層を得た。
<ルーバー構造>
上記ピラー構造と同じPETフィルムに挟まれた状態の紫外線硬化組成物に、上記UVスポット光源の落射用照射ユニットから出射される平行光線の紫外線を透過光線のアスペクト比が25となる指向性拡散要素を介して変換した線状光線の紫外線を、上記ピラー構造と同じ照射強度にて垂直に照射し、図2(b)又は図6(a)に示すような屈折率の異なる略板状の領域を有する異方性光拡散層を得た。
ここで、以下に説明する実施例に用いた異方性光拡散層は、上述したピラー構造とルーバー構造の2種類であり、それぞれ、図4に示す直線透過率を有する光学特性を示す。また、いずれの散乱中心軸は法線に対して約0°であり、拡散幅は散乱中心軸を基準に約−20°〜+20°である。
また、以下に説明する実施例に用いた拡散部材は、等方性拡散フィルムと指向性拡散フィルムを準備した。等方性拡散フィルムは、きもと社製ライトアップUK4(ヘイズ約46%)を用い、指向性拡散フィルムは、オプティカルソリューションズ社製LSD(指向性を示す拡散の半値角が約5°)を用いた。
さらに、以下に説明する実施例に偏光部材を用いる場合には、プラスチック製の偏光板を用い、ウインドシールド上に異方性光拡散層を用いる場合には、上述したルーバー構造の異方性光拡散層を用いた。
<評価装置>
以下に説明する実施例の評価に用いたHUD装置としては、LCDプロジェクター方式を用いて、本実施形態の異方性光拡散層を有する反射部材に対し、LCDプロジェクターから照射される表示光の入射光角は、異方性光拡散層の平面法線から約+15°の位置として配置した。そして、表示光は、異方性光拡散層の正反射光角となる約−15°を中心として反射され、ウインドシールドである透明ガラス板に表示を行った。
(実施例1)
反射部材にピラー構造の異方性光拡散層を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例1の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(実施例2)
反射部材にルーバー構造の異方性光拡散層を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例2の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(実施例3)
反射部材にルーバー構造の異方性光拡散層を設け、ルーバー構造の異方性光拡散層上に等方性拡散フィルム<きもと社製ライトアップUK4(ヘイズ約46%)>を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例3の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(実施例4)
反射部材にルーバー構造の異方性光拡散層を設け、さらに、ルーバー構造の異方性光拡散層上に指向性拡散フィルム<オプティカルソリューションズ社製LSD(指向性を示す拡散の半値角が約5°)>を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例4の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(実施例5)
反射部材にピラー構造の異方性光拡散層を設け、ピラー構造の異方性光拡散層上に等方性拡散フィルム<きもと社製ライトアップUK4(ヘイズ約46%)>を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例5の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(実施例6)
反射部材にピラー構造の異方性光拡散層を設け、ピラー構造の異方性光拡散層上に等方性拡散フィルム<きもと社製ライトアップUK4(ヘイズ約46%)>を設け、さらに、等方性拡散フィルム上に偏光板を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例6の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(実施例7)
反射部材にピラー構造の異方性光拡散層を設け、ピラー構造の異方性光拡散層上に等方性拡散フィルム<きもと社製ライトアップUK4(ヘイズ約46%)>を設け、さらに、等方性拡散フィルム上に偏光板を設けた。また、ウインドシールド下面にルーバー構造の異方性光拡散層を設けた上で、上述した評価装置で評価を行った。なお、実施例7の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(比較例1)
反射部材に対して、上述した評価装置で評価を行った。なお、比較例1の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(比較例2)
反射部材に等方性拡散フィルム<きもと社製ライトアップUK4(ヘイズ約46%)>を設け、上述した評価装置で評価を行った。なお、比較例2の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(比較例3)
反射部材に指向性拡散フィルム<オプティカルソリューションズ社製LSD(指向性を示す拡散の半値角が約5°)>を設け、上述した評価装置で評価を行った。なお、比較例3の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
(比較例4)
反射部材に指向性拡散フィルム<オプティカルソリューションズ社製LSD(指向性を示す拡散の半値角が約5°)>を設け、さらに、指向性拡散フィルム上に偏光板を設けて、上述した評価装置で評価を行った。なお、比較例4の評価条件を表1に示し、表1に示した評価条件による光学特性等(ホットスポット、輝度、コントラスト、視野角)を評価した結果を表2に示した。
Figure 2018025722
Figure 2018025722
<<評価方法>>
上記の実施例及び比較例の異方性光学フィルムに関し、以下のようにして評価を行った。
LCDプロジェクターのバックライト光源に起因するホットスポットの有無、輝度(明所および暗所)、コントラスト(暗所)、視野角(アイポイント)について、視認性の観点(評価項目)から目視評価にて行った。具体的には、10人の視認者の得点(各項目5点満点)の平均で評価を行った。
<評価項目の得点基準>
表2における各評価項目の得点基準は以下の通りである。
「ホットスポット」
1(強く有り)〜5(なし)
「輝度(明所および暗所)」
1(暗い)〜5(明るい)
「コントラスト(暗所)」
1(低い)〜5(高い)
「視野角(アイポイント)」
(狭い)〜5(広い)
<<評価結果>>
実施例は全ての評価項目において総合(合計点)が13点以上と高いレベルの特性をバランス良く有していた。一方で、比較例はいずれも総合(合計点)が10点に満たない非常に悪い結果であった。
より詳細には、表2に示すとおり、実施例の異方性光学フィルムは、ホットスポット、輝度(明所および暗所)、コントラスト(暗所)、視野角(アイポイント)の全ての評価項目において高いレベルの特性をバランス良く有していた。実施例1では輝度とコントラストが高いレベルで優れており、実施例2では、輝度と視野角が高いレベルで優れていた。また、実施例3と実施例4では、輝度を確保しつつホットスポットを低減できている点が優れていた。さらに、実施例5では、輝度を確保しつつホットスポットを低減できている点が優れており、実施例6では、コントラストを向上させつつ、ホットスポットについて最高点がついている点で優れていた。特に、実施例7では、ホットスポット、コントラスト、視野角について最高点がついており、非常に高いレベルの特性を有していた。一方で、比較例は特定の項目(例えば、輝度)においては実施例よりも優れている評価を有するものもあったが、実施例のようにホットスポット、輝度(明所および暗所)、コントラスト(暗所)、視野角(アイポイント)の全ての評価項目において高いレベルを有しているものは無かった。
従って、実施例の異方性光学フィルムを、例えば、HUD装置に用いた場合に、優れた表示特性(輝度やコントラスト等)を持ちながら、外光の影響を十分に低減させて視認性を確保することができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態又は各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
3 HUD装置
30 筐体
31 光照射部
32 反射部材
33 開口部
34 コンバイナ(透光性部材)
40 ウインドシールド(透光性部材)
41 投射エリア
50 虚像
60 拡散部材
70 偏光部材
EP アイポイント(視点)
100 異方性光学フィルム(異方性光拡散層)
400 異方性光学フィルム(異方性光拡散層)
L 表示光
M 外光(太陽光)
P 散乱中心軸

Claims (8)

  1. 表示画像を表す表示光を透光性部材に向かって照射し、前記表示画像を虚像として視認可能に表示する表示装置であって、
    前記表示光を照射する光照射部と、
    前記光照射部から照射される前記表示光を前記透光性部材へ反射させる反射部材と、
    前記表示光或いは外光の入射光角度により直線透過率が変化する異方性光拡散層であって、マトリックス領域と複数の柱状構造体とを有する異方性光拡散層とを少なくとも備えた異方性光学フィルムと、
    を備え、
    前記異方性光学フィルムが前記反射部材の反射面側に設けられた表示装置。
  2. 前記異方性光学フィルムの前記表示光或いは外光が入射される側に、拡散部材が設けられた請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記異方性光拡散層に対して入射した光の直線方向の透過光量/入射した光の光量である直線透過率が最大となる入射光角度における直線透過率である最大直線透過率が20%以上90%未満であり、
    前記直線透過率が最小となる入射角における直線透過率である最小直線透過率が10%以下であり、
    前記異方性光拡散層は、前記直線透過率が低下するほど入射した光の拡散透過率が増加する請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記異方性光拡散層は、1つの散乱中心軸を有し、
    前記異方性光拡散層は、所定の角度範囲で入射した前記表示光或いは外光に対して拡散性が増加し直線透過率が最小値を示すと共に、前記所定の角度範囲以外の角度で入射した前記表示光或いは外光に対して拡散性が減少し直線透過率が最大値を示し、
    前記所定の角度範囲は、前記散乱中心軸方向で入射する入射光角度を基準として−20°〜+20°であり、
    前記所定の角度範囲以外の角度範囲は、前記散乱中心軸方向で入射する入射光角度を基準として−30°〜−60°または+30°〜+60°である、請求項1に記載の表示装置。
  5. 前記異方性光拡散層の前記直線透過率が最小となる入射光角度と、前記表示光が前記異方性光拡散層へ入射される入射光角度或いは入射光角度に対する正反射光角度との差が、−20°〜+20°の範囲内である請求項1に記載の表示装置。
  6. 前記複数の柱状構造体は、前記異方性光拡散層の一方の表面から他方の表面にかけて配向して構成され、平均短径と平均長径とのアスペクト比が2未満である請求項1に記載の表示装置。
  7. 前記複数の柱状構造体は、前記異方性光拡散層の一方の表面から他方の表面にかけて配向して構成され、平均短径と平均長径とのアスペクト比が2以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  8. 前記表示光が照射される前記透光性部材に異方性光学フィルムが設けられた請求項1に記載の表示装置。

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