JP2018023208A - インバータ装置 - Google Patents

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光英 東
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一樹 坂本
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【課題】脱調状態を適切に判断して再起動し、本来の機能を回復させる。【解決手段】永久磁石と巻線を有する電動機15と、巻線に電流を供給するインバータ回路16と、電動機15の永久磁石の位相に応じてインバータ回路16に駆動信号を出力する第1の制御手段19と、第1の制御手段19と異なった所定の信号を出力する第2の制御手段20と、第1の制御手段19と前記第2の制御手段20の出力を切り換える切換手段22と、再起動信号を出力する再起動手段23を有し、再起動手段23は切換手段22を少なくとも1回第2の制御手段20に切り換えた後、再起動信号を発し、電動機15を再起動することにより、脱調状態を適切に判断して本来の機能を回復することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、一般家庭として使用される電気洗濯機、エアコン、冷蔵庫などの家電製品や、事務所、業務用、交通手段など動力源として使用されるインバータ装置に関するものである。
従来、この種のインバータ装置は、永久磁石を用いた電動機の回転子の回転速度を推定し、第1の推定回転速度を出力する第1の速度推定手段、第1の推定回転速度が速度指令に追従するように電動機を制御するとともに、第1の速度推定手段と異なる推定方法を持つ第2の推定回転速度を出力する第2の速度推定手段を設けて脱調を検出する(例えば、特許文献1参照)。
また、電動機の起動時に、電流検出手段から入力される電流値の相関値と、前記電動機に印加する電圧指令値に基づいて入力有効電力を算出し、それが所定の閾値より小さい場合に軸ロック(すなわち脱調)を検知するものもあった(例えば、特許文献2参照)。
図11は、特許文献1に記載された第1の従来のインバータ装置を示すものである。図11に示すように、永久磁石を有する電動機1、PWMインバータ2、座標変換器3、4、電流制御部5、速度制御部6、磁束制御部7、第1速度推定部8、積分器9、第2速度推定部10、脱調判断部11を設け、第1速度推定部8は電動機1の回転子の回転速度を推定し、得られた第1推定回転速度ωeが速度指令ω*に追従するように電動機1を制御する。第2の速度推定部10は、第1の速度推定部8と異なる推定方式を用いて前記回転子の回転速度を推定するものとなっており、脱調判断部11は第2の速度推定部10が得る第2推定回転速度ω2eと、第1推定回転速度ωeまたは速度指令ω*との比較に基づいて脱調を検出する。
図12は、特許文献2に記載された第2の従来のインバータ装置を示すものである。図12に示すように、軸ロック検出部14は、入力有効電力演算部12と軸ロック判定部13とで構成される。入力有効電力演算部12は、電動機の起動時に、電動機電流値の相関値であるIdc、Iqc、および電動機に印加する電圧に対応する電圧指令値V*dc、V*qcを入力して演算し、入力有効電力値Piを出力する。軸ロック判定部13は、入力有効電力値Piと速度指令値ω1*を入力し、入力有効電力Piがω1*条件での閾値より小さい場合に電動機の軸ロックが発生していると判断し、電動機の駆動を停止させるものである。
特開2007−282389号公報 特開2013−146162号公報
しかしながら、前記従来の構成は、永久磁石を有する電動機の速度がかなり高い状態であって、巻線に発生する誘導起電力が十分に高く、また巻線の抵抗や誘導係数がある程度小さい仕様である場合での脱調検知を目的とした構成である。したがって、それらが満たされない条件においては、誤った判断、すなわち実際には脱調していない正常な運転であるにも係わらず脱調であるという判断がなされる場合、また逆に、実際は脱調の状態であ
るにも係わらず正常な状態と判断がなされる場合、に対応できる構成ではなかった。
すななわ、第1の従来のインバータ装置においては、例えば巻線の抵抗が大きく、かつ低速でトルクを要する運転中(力行)においては、電動機の回転によって発生する誘導起電力が小さく、一方、巻線抵抗による電圧降下については大となり、かつ、巻線抵抗のバラツキや温度による巻線抵抗の変化による変動も大となることから、第2の推定回転速度の信頼性としては低いものとなる。したがって、例えばδ軸成分の電圧からの判断が不可能となる。かつ、低速でトルクを要する運転中(力行)においては、電動機の回転によって発生する誘導起電力が小さく、一方、巻線抵抗による電圧降下については大となり、かつ、巻線抵抗のバラツキや温度による巻線抵抗の変化による変動も大となることから、第2の推定回転速度の信頼性としては低いものとなる。したがって、例えばδ軸成分の電圧からの判断が不可能となる。
また、第2の従来のインバータ装置においては、やはり巻線の抵抗が大きい仕様である場合には軸ロック検出の信頼性が低下するものとなり、起動直後の必要トルクが大である場合おいては、軸ロックの有無にかかわらず巻線の抵抗に消費される電力(銅損)が大となることから、入力有効電力演算部の出力差からの軸ロック有/無の判断が難しくなる。逆に、必要トルクが小である場合においても、軸ロックしていない状態での電動機への入力電力が小で済む状態であることから、それよりも小さい閾値で軸ロック状態との判断を行うことは困難となる。
なお、電動機の巻線抵抗については、古くから使用されていた銅線を、近年はアルミ線に替えていくことも多くなったことから、抵抗値が増大する傾向も良く見られるようになり、上記課題の程度は大きくなる傾向もあった。
さらに、電動機に発光素子、受光素子、ホール素子などを設けて、適宜、永久磁石の速度および位置に関する信号を利用するインバータ装置も存在するが、離散的な速度および位置情報を補間する推定を行うものに関しては脱調となったことの検出が遅れたり困難となることもあるため、そのようなインバータ装置に対しても同様の課題が存在するものであった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、巻線抵抗が大きく、速度が低い条件においても、脱調状態を適切に判断し、脱調状態と検知した場合には、早期に再起動を行ってインバータ装置本来の機能を回復させることにより、電気エナジー、時間の損失を抑えたインバータ装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のインバータ装置は、永久磁石と巻線を有する電動機と、前記巻線に電流を供給するインバータ回路と、前記電動機の永久磁石の位相に応じて前記インバータ回路に駆動信号を出力する第1の制御手段と、前記第1の制御手段と異なった所定の信号を出力する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段の出力を切り換える切換手段と、再起動信号を出力する再起動手段を有し、前記再起動手段は前記切換手段を少なくとも1回前記第2の制御手段に切り換えた後、再起動信号を発し、前記電動機を再起動するものである。
これによって、電動機の巻線の抵抗値が大きい仕様、低速で誘導起電力が低い条件などにおいても、検知の誤判断が少なく、脱調状態においては再起動手段による適切な再起動が行われ、電気エナジー、および時間の無駄を抑えることができる。
本発明のインバータ装置は、適切な脱調状態の検知により、電気エナジー、および時間の無駄を抑える面で優れた性能を上げることができる。
本発明の実施の形態1におけるインバータ装置のブロック図 本発明の第1の実施の形態におけるインバータ装置のインバータ回路と電流検知手段の回路図 本発明の第1の実施の形態における電動機と負荷の構成図 本発明の第1の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図 本発明の第2の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図 本発明の第2の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図 本発明の第3の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図 本発明の第3の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図 本発明の第4の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図 本発明の第4の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図 第1の従来のインバータ装置のブロック図 第2の従来のインバータ装置のブロック図
第1の発明は、永久磁石と巻線を有する電動機と、前記巻線に電流を供給するインバータ回路と、前記電動機の永久磁石の位相に応じて前記インバータ回路に駆動信号を出力する第1の制御手段と、前記第1の制御手段と異なった所定の信号を出力する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段の出力を切り換える切換手段と、再起動信号を出力する再起動手段を有し、前記再起動手段は前記切換手段を少なくとも1回前記第2の制御手段に切り換えた後、再起動信号を発し、前記電動機を再起動することにより、電動機の巻線の抵抗値が大きい仕様、低速で誘導起電力が低い条件などにおいても、検知の誤判断が少なく、脱調状態においては再起動手段による適切な再起動が行われ、時間、エナジーの無駄を抑えることができる。
第2の発明は、特に第1の発明の構成の前記第2の制御手段を、前記巻線に供給する電圧をほぼ零とするように前記インバータ回路に駆動信号を出力し、前記再起動手段は、前記巻線の電流が閾値より小である場合に再起動信号を発することにより、脱調状態においては再起動手段による適切な再起動が行われる。
第3の発明は、特に第1の発明の構成の前記第2の制御手段を、前記巻線に供給する電流をほぼ零とするように前記インバータ回路に駆動信号を出力し、前記再起動手段は、前記巻線に発生する電圧が閾値より小である場合に、再起動信号を発することにより、特に巻線抵抗の値に影響を受けない脱調か否かの判断が可能となり、脱調状態においては再起動手段による適切な再起動が行われる。
第4の発明は、特に第1の発明の構成の前記第1の制御手段を、前記電動機の速度を検知する速度検知手段と、指令速度を出力する速度指令手段と、前記指令速度と前記速度検知手段の出力の差を受けて電流指令値を出力する速度誤差増幅器を有しする構成とし、前記第2の制御手段は、前記速度検知手段の出力に対する反応が第1の制御手段と異なる電流指令値を出力し、前記インバータ回路は、前記切換手段の電流指令値にほぼ比例したトルクが前記電動機から発せられるよう電流を前記電動機に供給する構成とすることにより、脱調状態において第1の制御手段による運転が速度検知手段の出力と指令速度の差が小さい状態に保たれる場合であっても、切換手段が第2の制御手段を選択した状態での速度検知手段の出力が脱調していない状態での値と異なることから判断可能となる。
第5の発明は、特に第1または第4の発明の構成の前記第1の制御手段を、指令速度を出力する速度指令手段を有し、前記速度指令手段は前記再起動手段から再起動信号を受け、前記指令速度をほぼ零に低下する構成とすることにより、再度の脱調を起こす可能性の低い状態で前記電動機を再起動させることができる。
第6の発明は、特に第1の発明の構成に加え、前記第1の制御手段は第1の速度指令値を出力する第1の速度指令手段を有し、前記第2の制御手段は第2の速度指令値を出力する第2の速度指令手段を有し、前記再起動手段は、前記切換手段による切換後の前記速度検知手段の出力を受けて再起動信号を発する構成とすることにより、第1の速度指令値から第2の速度指令値に前記切換手段による切換動作が行われた後の各種物理量の応答の違いから、適切な脱調状態にあるか否かの判断が可能となり、脱調状態においては再起動手段からの再起動信号発生により前記電動機を再起動することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図を示すものである。図1において、電動機15、インバータ回路16、座標変換器17、18、第1の制御手段19、第2の制御手段20、速度・位置検知手段21、切換手段22、再起動手段23、電流検知手段24を設けている。第1の制御手段19は、速度指令手段25、引き算器26、27、28、速度誤差増幅器29、直軸電流指令手段30、電流誤差増幅器31を有している。第2の制御手段20は、零出力器33、34を有している。
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるインバータ装置のインバータ回路16と電流検知手段24の回路図を示すものである。図2において、インバータ回路16は、直流電源36、オンオフ回路37、IGBT38、39、40、41、42、43、ダイオード45、46、47、48、49、50を有している。電流検知手段24は、シャント抵抗51、52、53、アンプ54を有しており、低電位側のIGBT41、42、43のオン期間中のシャント抵抗51、52、53に発生する電圧をアンプ54が増幅し、用いる電流(正/負)の範囲で、0〜5Vの範囲内に変換して出力することにより、3相の電流Iu、Iv、Iwの値に応じたアナログ電圧信号が得られるものとなっている。
なお、電流検知手段の構成は、このような構成以外にも、シャント抵抗1本のみでタイミングを考慮したサンプリングによって、3相に分離する構成、DCCTと呼ばれる直流分からの電流検知の検知が可能なものを用いても良く、また3相の全てに設けずに、1相あるいは2相の電流のみを直接検知し、キルヒホッフの法則その他を用いるものなどであってもかまわない。
図3は、本発明の第1の実施の形態における電動機15、およびそれに接続される部分の構成図を示すものである。図3において、電動機15は、固定子57と回転子58を有しており、固定子57には集中巻した三相の巻線60、61、62を設けており、回転子58は、永久磁石63、64、65、66を鉄心67の表面に接着して設けている。だし、巻線60、61、62は分布巻としてもよく、また永久磁石63、64、65、66についても、鉄芯67の内部に埋め込んで設ける埋込磁石型と呼ばれる構成としてもよく、極数やスロット数についても、限定されるものではない。
回転子58の中心には、軸70によってカップリング71が接続され、さらに軸72を経て慣性モーメントを有する負荷73が回転自在に設けられている。カップリング71は、一次部材75、二次部材76が噛み合った状態となっており、回転方向に若干のバック
ラッシュ、すなわち遊び(ガタツキ)を有した結合がなされている。
以上の構成において、第1の実施の形態におけるインバータ装置は、インバータ回路16から巻線60、61、62に電流が供給され、電流検知手段24が各相の電流Iu、Iv、Iwを検知する。第1の制御手段19からの駆動信号が、切換手段22、座標変換器17を経由して、インバータ回路16に到達するとともに、座標変換器18で直軸成分Iγと横軸成分Iδに分離し、速度・位置検知手段21はIγ、Iδ、Vγ、Vδから固定子57に対する回転子58の電気角の瞬時値を検知する。γ軸とδ軸は、それぞれ電動機15の実際のd軸(直軸)とq軸(横軸)を制御側で推定した座標軸である。
本実施の形態においては、座標変換器17は数式1を用いて、Vγ、Vδと推定位相θから、Vu、Vv、Vwに変換し、座標変換器18は数式2を用いて、Iu、Iv、Iwと推定位相θから、Iγ、Iδに変換する。
Figure 2018023208
Figure 2018023208
Figure 2018023208
このように、回転子58に同期して回転する直交座標に電圧と電流を変換する制御は、一般にベクトル制御と呼ばれるものであり、三角関数についてはcos以外にも様々な表記が可能であり、制御に用いるマイクロコンピュータのプログラムの都合などで適宜選択すれば良いものであり、数式1、数式2にこだわるものでもない。
速度・位置検知手段21は、推定位置(推定位相)θは推定速度ωを時間積分したものとなり、推定座標γδが電動機15のdq座標と等しくなる状態を常に保つため、数式3を用いて計算した位相誤差Δθが零となる方向に、推定速度ωを加減するものとなっている。なお、ここでRaは巻線抵抗、Lは誘導係数、またpは時間微分を示すものである。
誘導係数に関しては、本実施の形態においては電動機15を回転子58の表面に永久磁石63、64、65、66を設けた構成としていることから、ほぼ単一の値であるが、回
転子58が埋込永久磁石型である場合には、q軸インダクタンスLqを用いるなどが有効となる。
なお、直軸電流指令手段30については、回転子58の表面に永久磁石63、64、65、66を設けた構成とした場合には専ら零を出力するものとしてもよく、実際のIγ値が十分に零に近い値に収まっている場合には、Iγが掛かる項を適宜省くといったことも可能となり、その場合には制御に用いるマイクロコンピュータなどを能力が低い、低価格のものとすることも可能となる。
なお、数式3は逆正接関数を用いて記述しているが、分母をX軸、分子をY軸に取った4象限に対応した角度となる、0〜2π、または−π〜+πが出力される関数を用いてもよく、大きな角度ずれがあった場合にも、意図どおりの制御がなされ早期にΔθを零に収束させることができるものとなる。
このような、速度・位置検知手段21の動作によって、電動機15の永久磁石63、64、65、66の位相(位置)に応じた電流が、インバータ回路16から巻線60、61、62に供給されるものとなり、トルクにほぼ比例する指令値となる横軸電流指令値Iδrが速度誤差増幅器29から出力される。その結果、速度・位置検知手段21から出力される速度信号ωsは、速度指令手段25の出力ωrとほぼ等しくなるように速度制御がなされた状態となり、高効率な運転が行われるものとなる。
一方、第2の制御手段20からは、第1の制御手段19と異なった共に零となる値が出力されるため、切換手段22によって第1の制御手段19から第2の制御手段20に切り替わった段階で、座標変換器17の入力VγとVδは共に零となり、インバータ回路16にはUc、Vc、Wcも全て零となる。従って、第2の制御手段20は、巻線60、61、62に供給する電圧をほぼ零とするようにインバータ回路16に駆動信号(Vγ=0、Vδ=0)を出力する。
ここで、IGBT41、42、43が継続的にオンとなる結果、電動機15の入力電圧としては零V、すなわち短絡状態と同等の状態となり、電動機15は短絡ブレーキが掛かった状態となる。
なお、インバータ回路16を3相変調としながら、IGBT38、39、40、41、42、43が所定の三角波のキャリア周波数(例えば15.625kHz)のPWMでオンオフした場合でも、電動機15の入力は零となり、デッドタイム分の補償などをオンオフ回路37内で適正に行われるように構成すれば、全く同等の短絡状態となる。
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図を示すものである。図4において、(ア)は切換手段22の切換信号Sの波形で第1の制御手段19を選択する状態がS1、第2の制御手段20を選択する状態がS2である。(イ)は電動機15の線間の入力電圧の内UV間の電圧Vuvを示しており、他の線間電圧は煩雑となるため省略している。(ウ)は、電動機の入力電流の内U相の線電流Iuを示しており、他の線電流は煩雑となるため省略している。
t1の直前までの期間は、切換信号SがS1となっている状態であって、第1の制御手段19によって力行運転が行われており、線間電圧Vuvと線電流Iuは共にほぼ正弦波でほぼ一定の値となっている。
t1〜t2の期間は、切換信号SがS2となっている状態であって、第2の制御手段20によって短絡ブレーキの状態となるため、線間電圧Vuvはほぼ零となる。t1〜t2
の期間の線電流Iuについては電動機15が脱調状態にある時と、正常に運転されている場合とで大きく異なるものとなり、(ウ)にて脱調状態を実線で示すようにほぼ零となり、正常時は破線で示すように振幅を持つ正弦波に近い波形となる。
これは、正常時には実際に電動機15が回転しており、負荷73の慣性モーメントが運動エナジーも有しているため、t1〜t2の期間にはその運動エナジーによって電動機15が回転され誘導起電力による電流が流れるためである。これに対して、脱調時には負荷73の回転はほぼ零であって、運動エナジーもほぼ零であることから、t1〜t2の期間の電流値はほぼ零となる。
よって、t1〜t2の期間での線電流(巻線電流)Iuに対して、再起動手段23において所定の閾値との比較を行い、巻線の電流が閾値より小である場合に、脱調状態と判断して再起動信号Fを発するものとなる。
本実施の形態においては、再起動手段23からは切換手段22以外に、速度誤差増幅器29と電流誤差増幅器31にも信号を入れており、S2の期間については、引き算器26、27、28の出力値にかかわらず、速度誤差増幅器29における速度誤差、また電流誤差増幅器31における電流誤差をすべて強制的に零に固定する。これにより、速度誤差増幅器29と電流誤差増幅器31がPI制御(比例成分と積分器成分を用いたフィートバック制御)を実現するために内蔵している積分器の値が、S2となる期間には固定されたものとし、不要な値がこれらの積分器に積み上げられることを防ぐものとしている。
なお、本実施の形態においては、線電流Iu、Iv、Iwでの検知としているが、例えば座標変換器18によってγδ座標に変換した出力Iγ、Iδから、その二乗和を計算するなどして電流ベクトルの大きさを求め、その値に対する閾値との比較を行うことにより、巻線の電流が閾値よりも小であることを検知するようにしてもかまわない。
図4においては、t2以降は再び切換手段22の切換信号SはS1となり、第1の制御手段19が選択された状態に戻るものとなっており、正常時にはこのような動作が以降t3、t4、…と周期的に繰り返させるものとなる。
しかし、脱調状態である場合には、切換手段22が少なくとも1回第2の制御手段20に切り換えた(t1〜t2、t3〜t4)の期間において、脱調状態であることが判断できた時点の後で、再起動手段23からの再起動信号Fによる再起動が行われるものとなり、その際に本実施の形態においては、速度指令手段25は指令速度ωrをほぼ零に低下するものとしている。
なお、再起動手段23による電動機15の起動の際、初期段階では電動機15の実速度がほぼ零となっているため、速度・位置検知手段21による速度ωと位置θの推定が不可能となる期間が存在する。このため、強制同期と呼ばれる期間を設けるなどして、誘導起電力の大きさが速度・位置検知手段21での速度と位置(位相)の推定が可能な速度まで加速することが有効であるが、これについては発明者らが出願した特開2014−113293号などに記載したものを用いることができる。
以上説明した動作によって、脱調状態であって実際の電動機15の速度がほぼ零となっている状態と合致した状態から再起動が行われ、良好な運転の回復が可能となる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図を示すものである。図5においても、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ番号を付し
ている。第1の実施の形態と異なる構成要素として、第1の制御手段78、第2の制御手段79、切換手段80、再起動手段83があり、本実施の形態においては、第2の制御手段79は、巻線60、61、62に供給する電流Iu、Iv、Iwをほぼ零とするように、切換手段80、引き算器27、28、電流誤差増幅器31、座標変換器17を介してインバータ回路16に駆動信号を出力するものとなっている。
なお、第1の制御手段78についても、切換手段80、引き算器27、28、電流誤差増幅器31、座標変換器17を介してインバータ回路16に駆動信号を出力し、電動機15を運転するものとなっている。
再起動手段83は、巻線60、61、62に発生する電圧が閾値より小である場合に、再起動信号Fを発する。
図6は、本発明の第2の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図である。図6において、(ア)は切換手段80の切換信号Sの波形で第1の制御手段78を選択する状態がS1、第2の制御手段79を選択する状態がS2である。(イ)は電動機15の線間の入力電圧の内UV間の電圧Vuvを示しており、他の線間電圧は煩雑となるため省略している。(ウ)は、電動機の入力電流の内U相の線電流Iuを示しており、他の線電流は煩雑となるため省略している。
t1の直前までの期間は、切換信号SがS1となっている状態であって、第1の制御手段78によって力行運転が行われており、線間電圧Vuvと線電流Iuは共にほぼ正弦波でほぼ一定の値となっている。
t1〜t2の期間は、切換信号SがS2となっている状態であって、第2の制御手段79によって(ウ)に示されるように、Iu、Iv、Iwが全て零の状態、すなわち開放状態に近いものとなり、一方(イ)に示される線間電圧Vuvについては、実際の電動機15の速度に比例した振幅を持つ誘導起電力が発生するものとなる。t1〜t2の期間の線間電圧Vuvについては電動機15が脱調状態にある時と、正常に運転されている場合とで大きく異なるものとなり、(イ)にて脱調状態を実線で示すようにほぼ零となり、正常時は破線で示すように振幅を持つ正弦波に近い波形となる。
これは、第1の実施の形態と同様、正常時には実際に電動機15が回転しており、負荷73の慣性モーメントが運動エナジーも有しているため、t1〜t2の期間にはその運動エナジーによって電動機15が回転され誘導起電力が発生するためである。これに対して、脱調時には負荷73の回転はほぼ零であって、運動エナジーもほぼ零であることから、t1〜t2の期間の電圧値はほぼ零となる。
よって、t1〜t2の期間での電圧Vuvに対して、再起動手段83において所定の閾値との比較を行い、巻線の電流が閾値より小である場合に、脱調状態と判断して再起動信号Fを発するものとなる。
本実施の形態においては、巻線60、61、62に流れる電流値が零となるように第2の制御手段79による動作が行われることから、巻線60、61、62の抵抗を大とした仕様、例えば細いアルミ線を多数巻き込んだ構成のものであっても、電流値が零である故に影響無いものとすることができ、巻線抵抗のバラツキや温度上昇による変化などがあっても、確実な脱調検知が可能となるという利点がある。
従って、センサレスと呼ばれる速度・位置検知手段21をホール素子や発光素子、受光素子などの回転センサを用いずに構成する際には有効なものとなるが、それに限定される
ものではない。本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様、切換手段80によって第2の制御手段79が選択されている期間には、速度・位置検知手段21とは無関係な動作となることから、例えば速度・位置検知手段としてホールIC、磁気ピックアップ、発光素子、受光素子などを用いて回転子58の位置と位置、あるいは速度のみを直接検知する速度・位置検知手段とした場合においても、それらが故障した場合の脱調検知(異常検知)として有効に機能するものとなる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の第3の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図を示すものである。図7においても、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ番号を付している。
本実施の形態において、第1の実施の形態と異なる構成要素は、第1の制御手段85と第2の制御手段86を有している。第1の制御手段85は、電動機15の速度を検知する速度検知手段87、指令速度ωrを出力する速度指令手段88を有しており、第2の制御手段86は、速度検知手段87の出力に対する反応が第1の制御手段85と異なる電流指令値を出力する横軸電流設定手段93を有し、インバータ回路16は、切換手段91の電流指令値Iδrにほぼ比例したトルクが電動機15から発せられるよう電流を電動機15に供給するものとなっている。
本実施の形態においては、速度検知手段87の入力をVγ、Iγ、Iδとし、数式4を用いて、推定座標γδを実際の電動機15のdq座標との誤差をεγで検出し、それを零とする方向に推定速度ωを加減するフィードバック制御を行うことによって実現するものとしている。
Figure 2018023208
なお、Iγについては零に設定している場合で、かつその指令値に近い値に制御がなされている場合については、省略することができるケースもあり、また時間微分(d/dt)を示すpについても、必要がなければ省略することも可能となる。
速度検知手段87は、推定速度を積分器94に出力し、これを時間積分することによって位置推定信号θを座標変換器18に出力する速度・位置検知手段95を構成しており、これは第1の実施の形態と同様に推定位相θを出力する動作を行うものとなる。
速度誤差増幅器29は、第1の実施の形態と同様、引き算器26の出力となる指令速度ωrと速度検知手段87の出力の差を受けて電流指令値Iδrを出力するものとなっている。
再起動手段90は、切換手段91をS1とS2で切り換えるのに加え、第1の実施の形態と同様に、速度誤差増幅器29にも信号を出力しており、S2となる期間においては、速度誤差を強制的に零に固定することにより、内部の積分器の積み上がりを防止するものとなっている。
なお、本実施の形態においては、直軸電流指令手段30は常に零を指令し、切換手段91と関係なく、引き算器27に出力するものとなっている。
横軸電流設定手段93は、速度誤差増幅器29の出力信号を受け、その値に0.5Aを加算した電流指令値を出力するものであり、S2期間においては、S2に切り替わる直前の電流指令値に0.5Aを加えた固定値が電流指令値Iδrとして出力されるものとなる。
また、再起動手段90からの再起動信号Fが速度指令手段88に入った場合には、指令速度ωrは、ほぼ零に低下するものとなっている。
以上の構成において、動作の説明を行う。図8は、本発明の第3の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図である。図8において、(ア)は切換手段91の切換信号Sの波形で第1の制御手段85を選択する状態がS1、第2の制御手段86を選択する状態がS2である。(イ)は切換手段91から引き算器28に出力される横軸の電流指令値Iδr、(ウ)は、速度指令手段88の出力である速度指令値ωrを一点鎖線で示し、速度検知手段87の出力ωsの波形を示している。さらに、ωsに関しては、実線で脱調状態、破線で正常時を示すものとなっている。
t1の直前までの期間は、切換信号SがS1となっている状態であって、第1の制御手段85によって速度制御が有効となる通常の運転が行われており、速度検知手段87の出力ωsは、ほぼ速度指令値ωrにほぼ等しい値、すなわち速度誤差が零に近い値に制御された状態となっている。
t1〜t2の期間は、切換信号SがS2となっている状態であって、第2の制御手段86によって(イ)に示されるように、t1時点でのIδr値に対して、0.5Aを加算した値に固定されたものとなる。ただし、必ずしもこのように加算した値をIδrとしなければならないというものではなく、逆にt1時点でのIδr値から所定値を減算した値としても良く、またt1時点のIδrとは無関係な固定値とするなどしても良い。
t1時点でのIδr値からの加算や減算を行う際、負荷73の変動が多い場合などで必要なトルクが変動し、Iδr値に高周波成分の振動が伴う場合もあり、そのような場合には、適度な周波数特性を有するLPF(ローパスフィルタ)を通し、不要な高周波成分を除去して得た値をt1時点でのIδr値とすると有効に機能する場合も多い。
いずれにおいても、速度誤差増幅器29を含む速度制御のループが、第2の制御手段86が選択される期間には機能しない状態となることから、ωsは速度指令値ωrに追従する要素がなくなり、発散に転じるものとなる。
図8は、高速側すなわちωsがωrを超え、さらに増加していく状態となる例を示しているが、逆に低速側に発散するケースもあり得る。高速側に発散していく場合については、数式5による脱調の検知が可能となった時点で、別途脱調の検知を行う要素を、再起動手段90に設けることも可能であり、例えば毎分100回転以上であれば、数式5によるεδが所定値よりも低いことで実際の電動機15の速度がほぼ零である脱調状態を検知し、再起動信号Fを出力することは可能である。
Figure 2018023208
数式5は、正常時においてはほぼ電動機15の誘導起電力(ω・Ke)に相当する値となるが、数式5に関しても、無くても問題の無い項を省くなどの加工を行って用いてもか
まわない。
正常時についても、速度制御が発散していくという点では同様の状態ではあるが、Iδrがt1〜t2の期間で0.5A増加したため発生する速度増加の速度、すなわち加速度は、トルク増を慣性モーメントで除した値となり、負荷73が例えば洗濯機のドラム、あるいは脱水槽のような慣性モーメントが大となる場合には、小さい値に抑えられ、250msの期間での速度上昇は、毎分数回転程度の低い値に収まるものとなり、通常運転での支障がない設計とすることが可能となる。よって、(ウ)に示すωthの閾値と比較することにより、脱調時と正常時の区別ができるものとなる。再起動手段90による脱調時の再起動に関しては、第1の実施の形態と同様である。
(実施の形態4)
図9は、本発明の第4の実施の形態におけるインバータ装置のブロック図を示すものである。図9においては、第3の実施の形態と同等の構成要素については、同じ番号を付している
本実施の形態で、第3の実施の形態と異なる構成要素としては、第1の制御手段98、第2の制御手段99、切換手段100を有しており、第1の制御手段98は第1の速度指令値ωr1を出力する第1の速度指令手段102を有し、第2の制御手段99は第2の速度指令値ωr2を出力する第2の速度指令手段103を有している。再起動手段104は、切換手段100による切換後の電動機15の速度を検知する速度検知手段87の出力を受けて再起動信号Fを発するものとなっている。
以上の構成において、動作の説明を行う。図10は、本発明の第4の実施の形態におけるインバータ装置の動作波形図である。図10において、(ア)は切換手段100の切換信号Sの波形で第1の制御手段98を選択する状態がS1、第2の制御手段99を選択する状態がS2である。(イ)は切換手段100から引き算器26に出力される速度指令値ωr、(ウ)は、第1の速度指令手段102の出力ωr1と第2の速度指令手段103の出力ωr2〜細破線で示すとともに、切換手段100の出力となる速度指令値ωrを実線(脱調時)と破線(正常時)で示したものとなっている。なお、太い一点鎖線は閾値を示している。
t1の直前までの期間は、切換信号SがS1となっている状態であって、第1の制御手段98によって通常運転の速度制御が行われており、速度検知手段87の出力ωsは、ほぼ速度指令値ωr1にほぼ等しい値、すなわち速度誤差が零に近い値に制御された状態となっている。
t1〜t2の期間は、切換信号SがS2となっている状態であって、(イ)に示されるように、第2の制御手段99によって毎分100回転高いωr2が、切換手段100を経て、引き算器26に入力され、速度制御の指令値ωrがωr2に切り換えられた状態となる。
本実施の形態においては、S2の期間においても、速度制御は有効であるため、発散に転じることはないが、ωr2>ωr1であるため、加速する指令となる。
脱調時においては、実際の電動機15はほぼ速度が零の状態であり、ωsは実際の速度と関係なくωrに近い値となっている状態であるため、速度指令値が上昇した場合には慣性モーメントと無関係に動くものとなり、ωrに追従する場合については慣性モーメントが大なるアプリケーションであっても、短時間に追従するものとなる。一方、正常時については第3の実施の形態と同様、電動機15および負荷73が実際に回転していることから慣性モーメントの影響を受けたωsの応答となる。
したがって、慣性モーメントが大きい負荷73を接続したアプリケーションでは、(ウ)の太破線で示したように200msでは速度上昇は小さく、通常運転での支障がない設計とすることが可能となる。よって、(ウ)に示すωr1とωr2の間にωsに対する閾値ωthをと比較することにより、脱調時と正常時の区別ができるものとなる。
なお、この時にωsの代わりにIδ値もしくはその指令値Iδrについて、脱調時と正常時との違いから閾値との比較で脱調時と正常時との判別が可能である場合には、そのような構成も可能である。再起動手段104は、脱調時の場合に速度指令値ωr1を零に低下させるように速度指令手段102に信号を与えるという点は、第3の実施の形態と同様である。
以上のように、各実施の形態のインバータ装置は、適切に脱調状態の検知を行うことができる。
インバータ装置における脱調状態では、実際の電動機の回転はほぼ零(停止)が続いた場合、インバータ装置は本来なすべき仕事ができない状態であることから、時間、電気エナジーの無駄が発生するなど、様々な不具合を生ずるものとなり、場合によっては振動、騒音をまき散らすという問題も発生する。さらに、推定速度が指令速度に追従していき、速度誤差が零に近づくタイプの脱調状態も存在する。
まず、電動機のパラメータとなる誘導係数値について、電動機の実際の値よりも、速度・位置推定手段内に設定した値が小の関係にある場合には、推定速度が指令速度に追従しやすい傾向があり、正常な運転時と同様の速度制御が成立する要素が存在する。
またバックラッシュがある場合には、やはり推定速度が指令速度に追従しやすい傾向が大きいものとなる。なお、バックラッシュについては、意図的に設けられる場合もあるが、電動機15と負荷73が直接1本の軸で接続されていない構成において意図せずに発生することもある。
いずれにしても、バックラッシュが動く際、微小な往復運動(交番)となり、往復のいずれにおいても、その向きは巻線に供給される電流との位相差を小とし、巻線の鎖交磁束を増す向きとなる特性となるが、この時巻線に発生する誘導起電力は、巻線の鎖交磁束の増加を打ち消す極性となって、バックラッシュを動かすのに必要なトルクが微小な場合には、巻線の電流ベクトルからほぼ90度進んだ位相となる。
このような誘導起電力を受けた場合の速度・位置推定手段の反応としては、推定速度<指令速度となるIδ>0では推定速度を上昇させる向き、また、推定速度>指令速度となるIδ<0では推定速度を低下させる向きとなる。このことから、いずれの場合でも速度誤差の絶対値を小さくする向き、すなわち指令速度に推定速度を近づける向きとなり、あたかも速度制御が成り立っているかのように、指令速度に推定速度が追従する状態が発生することがあるものとなる。
なお、バックラッシュが存在する構成においては、脱調状態となった場合、バックラッシュ部分が動くことによる騒音や振動も発生しやすい傾向も見られ、できる限り短時間で脱調状態を検知することは、騒音や振動の低減の面からも有効となる。
また、電動機から負荷への動力の伝達経路の弾性要素と、負荷の慣性要素による機構的な共振周波数(***振周波数とも言える)が存在する場合にも、推定速度かその周波数付近に収束するという現象も発生するものとなる。弾性要素としては、例えば電動機と負荷
の両者にプーリを設けてその間にベルトを張って動力伝達を行う構成とする場合などにおいては、ベルトの弾性がそれに相当するものとなり、電動機側の慣性モーメントとの機構的な共振があれば、上記の共振周波数(***振周波数)となる。
本発明では、このような脱調状態を的確に検知し、再起動手段から再起動信号を出力して、電動機を再度起動し直すことで、インバータ装置としての仕事ができる正常な運転状態に戻して作用を行い、インバータ装置としての正常な動作を早期に回復することができるものとなる。
したがって、脱調状態が継続する場合に生ずる電気エナジー、時間などの無駄を抑え、省エナジーと時間短縮を実現したうえ、騒音や振動の発生も最小限に抑えることができるものとなる。
また、センサレスでの正常時(脱調でない時)の運転は良好でありながら、脱調状態となった場合にその検知が困難であることで、仕方なく位置センサや速度センサを設ける構成とする場合には、本発明による脱調検知の性能の向上により、それらのセンサを不要としたり、あるいは数を減らしたりすることが可能となり、コストの低減、省資源、軽量化、センサ部品の故障の確率の低減などの効果が得られるものとなる。
以上のように、本発明にかかるインバータ装置は、適切な脱調状態の検知により、電気エナジー、および時間の無駄を抑える面で優れた性能を上げる動力源として使用される各種のインバータ装置に適用できる。
15 電動機
16 インバータ回路
19、78、85、98 第1の制御手段
20、79、86、99 第2の制御手段
22、80、91、100 切換手段
23、83、90、104 再起動手段
87 速度検知手段
25、88 速度指令手段
29 速度誤差増幅器
63、64、65、66 永久磁石
60、61、62 巻線
102 第1の速度指令手段
103 第2の速度制御手段

Claims (6)

  1. 永久磁石と巻線を有する電動機と、前記巻線に電流を供給するインバータ回路と、前記電動機の永久磁石の位相に応じて前記インバータ回路に駆動信号を出力する第1の制御手段と、前記第1の制御手段と異なった所定の信号を出力する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段の出力を切り換える切換手段と、再起動信号を出力する再起動手段を有し、前記再起動手段は前記切換手段を少なくとも1回前記第2の制御手段に切り換えた後、再起動信号を発し、前記電動機を再起動するインバータ装置。
  2. 前記第2の制御手段は、前記巻線に供給する電圧をほぼ零とするように前記インバータ回路に駆動信号を出力し、前記再起動手段は、前記巻線の電流が閾値より小である場合に、再起動信号を発する請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記第2の制御手段は、前記巻線に供給する電流をほぼ零とするように前記インバータ回路に駆動信号を出力し、前記再起動手段は、前記巻線に発生する電圧が閾値より小である場合に、再起動信号を発する請求項1に記載のインバータ装置。
  4. 前記第1の制御手段は、前記電動機の速度を検知する速度検知手段と、指令速度を出力する速度指令手段と、前記指令速度と前記速度検知手段の出力の差を受けて電流指令値を出力する速度誤差増幅器を有し、前記第2の制御手段は、前記速度検知手段の出力に対する反応が第1の制御手段と異なる電流指令値を出力し、前記インバータ回路は、前記切換手段の電流指令値にほぼ比例したトルクが前記電動機から発せられるよう電流を前記電動機に供給する請求項1に記載のインバータ装置。
  5. 前記第1の制御手段は、指令速度を出力する速度指令手段を有し、前記速度指令手段は前記再起動手段から再起動信号を受け、前記指令速度をほぼ零に低下する請求項1または4に記載のインバータ装置。
  6. 前記電動機の速度を検知する速度検知手段を有し、前記第1の制御手段は第1の速度指令値を出力する第1の速度指令手段を有し、前記第2の制御手段は第2の速度指令値を出力する第2の速度指令手段を有し、前記再起動手段は、前記切換手段による切換後の前記速度検知手段の出力を受けて再起動信号を発する請求項1に記載のインバータ装置。
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