JP2018021895A - 未分化細胞を検出および回収する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料中に含まれる未分化細胞を、単一状態かつ形状情報を含めた形で検出し、かつ当該検出した未分化細胞を回収可能な方法を提供する。【解決手段】細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、未分化細胞を含む試料に当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させる工程の後、前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程、を少なくとも経ることで試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法、ならびに前記検出した未分化細胞を、別途備えたノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段により回収することで試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法。【選択図】図6
Description
本発明は、試料中に含まれる未分化細胞を検出し回収する方法に関する。
再生医療分野において、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの幹細胞から分化させることで組織を得ようとする場合、未分化の幹細胞はガン化のおそれがあるため、組織の基となる分化細胞を当該未分化の幹細胞を極力含まない状態で得る必要がある。
未分化細胞と分化細胞とを区別する方法として、従来より、蛍光顕微鏡を用いた方法(特許文献1)やフローサイトメーターを用いた方法(特許文献2)が知られている。しかしながら、蛍光顕微鏡を用いた方法は凝集した細胞に対する検出感度が悪いという問題があり、フローサイトメーターを用いた方法は細胞形状に関する情報が乏しいという問題があった。
本発明の課題は、試料中に含まれる未分化細胞を、単一状態かつ形状情報を含めた形で検出し、かつ当該検出した未分化細胞を回収可能な方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の第一の態様は、以下の(1)から(3)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料に、当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させた後、前記複合体を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
また本発明の第二の態様は、以下の(1)から(4)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し、当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程
(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
さらに本発明の第三の態様は、以下の(1)から(4)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料に、当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させた後、前記複合体を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
(4)細胞を検出する手段で検出した未分化細胞を、回収手段で回収する工程
また本発明の第四の態様は、以下の(1)から(5)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し、当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程
(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
(5)細胞を検出する手段で検出した未分化細胞を、回収手段で回収する工程
また本発明の第五の態様は、未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質が未分化細胞が有するタンパク質に対する標識抗体である、前記第一から第四の態様のいずれかの態様に記載の方法である。
(1)未分化細胞を含む試料に、当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させた後、前記複合体を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
また本発明の第二の態様は、以下の(1)から(4)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し、当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程
(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
さらに本発明の第三の態様は、以下の(1)から(4)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料に、当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させた後、前記複合体を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
(4)細胞を検出する手段で検出した未分化細胞を、回収手段で回収する工程
また本発明の第四の態様は、以下の(1)から(5)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法である。
(1)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し、当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程
(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
(5)細胞を検出する手段で検出した未分化細胞を、回収手段で回収する工程
また本発明の第五の態様は、未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質が未分化細胞が有するタンパク質に対する標識抗体である、前記第一から第四の態様のいずれかの態様に記載の方法である。
また本発明の第六の態様は、未分化細胞が有するタンパク質に対する標識抗体が抗Nanog標識抗体である、前記第五の態様に記載の方法である。
また本発明の第七の態様は、未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質が未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識レクチンである、前記第一から第四の態様のいずれかの態様に記載の方法である。
また本発明の第八の態様は、前記(2)の工程を誘電泳動力を利用して行なう、前記第一から第七の態様のいずれかの態様に記載の方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において未分化細胞とは、分化細胞の一段階前の細胞のことをいい、一例として、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの幹細胞があげられる。また血小板の一段階前の細胞である巨核球も、本発明における未分化細胞に含まれる。iPS細胞などの幹細胞のサイズは約10から20μmであり、巨核球のサイズは約20から100μmである。
本発明において未分化細胞が有するタンパク質は、未分化細胞の表面もしくは細胞内で発現し、かつ分化細胞では発現しないタンパク質または糖タンパク質のことをいい、対象となる未分化細胞/分化細胞に応じ適宜選択すればよい。例として、未分化細胞が胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの幹細胞である場合の、未分化細胞が有するタンパク質の好ましい一態様として、Nanogがあげられる。
本発明の方法で用いる、未分化細胞が有するタンパク質を認識するタンパク質は未分化細胞が有するタンパク質を認識する機能を有している限り、その態様に限定はなく、一例として未分化細胞が有するタンパク質に対する抗体や未分化細胞が有するタンパク質を認識するレクチンがあげられる。具体的には、未分化細胞が有するタンパク質に対する抗体である、抗Nanog抗体、抗Oct4抗体、抗TRA−1 60抗体、抗TRA−1 80抗体、抗SSEA4抗体や、未分化細胞が有するタンパク質を認識するレクチンである、BC2LCNなどがあげられる。
本発明の一態様は、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて未分化細胞を検出する方法である。具体的には、前記未分化細胞を前記基板に設けた保持部に保持させた後、細胞を検出する手段により前記保持部に保持された未分化細胞を検出する。保持部に保持された未分化細胞の特異的検出は、前述した未分化細胞が有するタンパク質の有無に基づき行なう。
未分化細胞が有するタンパク質の有無に基づく未分化細胞の検出方法としては、当該タンパク質を特異的に標識可能な色素(化学発光色素や蛍光色素など)を添加する方法も考えられるが、汎用性の点から当該タンパク質を認識する標識タンパク質(例えば、未分化細胞が有するタンパク質に対する標識抗体や未分化細胞が有するタンパク質を認識可能な標識レクチン)を用いる方法が一般的である。前記標識タンパク質中の標識物質は、抗原抗体反応を利用した測定の分野で通常用いられる物質の中から適宜選択すればよく、一例として、フルオレセイン等の蛍光物質や、アルカリホスファターゼ等の酵素、放射性物質があげられる。前記標識タンパク質におけるタンパク質と標識物質との結合態様に限定はなく、前記タンパク質が標識物質と化学結合などにより直接結合された態様であってもよく、前記タンパク質が標識物質が結合された前記タンパク質に対する抗体(前記タンパク質が抗体の場合は標識二次抗体に相当)によって間接的に結合された態様であってもよい。なお前記標識タンパク質を添加するタイミングも特に限定はなく、未分化細胞を含む試料を基板に導入する前に添加してもよいし、未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させた後に添加してもよい。
本発明で用いる、基板に設けた保持部の形状に特に限定はなく、界面張力などで細胞を含む液体を維持できれば平面の保持部であってもよいが、側壁を設けた保持部とすると細胞を含む液体を基板内に安定に保持できる点で好ましい。
本発明において、保持部の開口部のサイズは10μmから20μmが好ましく、更に好ましくは10μmから15μmであり、保持部の深さは10μmから40μmが好ましい。
また未分化細胞を含む液体を基板に導入し、当該細胞を保持部に保持させる方法にも特に限定はなく、単に保持部に細胞を含む液体を導入するだけでもよいし、未分化細胞を含む液体を導入した後、遠心力を利用して保持部へ強制的に当該細胞を導入させてもよい。中でも未分化細胞を含む液体を導入した後、誘電泳動力を利用して保持部へ細胞を導入させると、未分化細胞を保持部へ効率的に保持できる点で好ましい。
また未分化細胞を含む液体を基板に導入し、当該細胞を保持部に保持させる方法にも特に限定はなく、単に保持部に細胞を含む液体を導入するだけでもよいし、未分化細胞を含む液体を導入した後、遠心力を利用して保持部へ強制的に当該細胞を導入させてもよい。中でも未分化細胞を含む液体を導入した後、誘電泳動力を利用して保持部へ細胞を導入させると、未分化細胞を保持部へ効率的に保持できる点で好ましい。
前述した未分化細胞を検出するための装置にノズルによる吸引吐出により当該未分化細胞を回収する回収手段をさらに備えることで、試料中に含まれる未分化細胞を回収することができる。具体的には前記装置で検出した未分化細胞を前記回収手段で回収すればよい。
本発明は、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、(1a)未分化細胞を含む試料に当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させる工程、(2a)前記複合体を含む試料を基板に導入する工程、(3a)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程、または(1b)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程、(2b)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程、(3b)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程の後、(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程、を少なくとも経ることで試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法であり、試料中に含まれる未分化細胞を、単一状態かつ形状情報を含めた形で検出することができる。
また本発明は、ノズルによる吸引吐出により保持部に保持された細胞を回収する回収手段をさらに備えることで、前記検出した未分化細胞を回収することができる。これにより単一状態かつ形状情報を含めた形で検出した未分化細胞を選択的に回収することができる。
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の方法を実施可能な装置を構成する基板の一例を図1に示す。また図1に示した基板の正面図を図2に示す。
図1に示す基板100は、
貫通孔11aを有した平板状の遮光部材11と、貫通孔12aを有した平板状の絶縁体12と、導入口13a、排出口13bおよび貫通部13cを有した平板状のスペーサ13とからなる細胞導入保持手段10と、
細胞導入保持手段10を上下方向に密着して挟むよう設けた電極21・22と、
電極21・22同士を接続する導線30と、
電極21・22に信号を印加する信号発生器40と、
を備えている。遮光部材11が有する貫通孔11aと絶縁体12が有する貫通孔12aとは互いに同一の寸法および形状であり、かつそれぞれの貫通孔の位置が一致するよう遮光部材11および絶縁体12を設けている。貫通孔11a、貫通孔12aおよび遮光部材11の下部に密着して設けた電極基板21により保持部50が構成され、導入口13aから細胞を含む液体を導入すると、貫通部13cを通じて保持部50へ細胞200が導入される。電極22はスペーサ13上部に密着して設けており、導入口13aから導入した、細胞200を含む液体の飛散や蒸発を防止している。なお保持部50に保持した細胞200の回収を容易にするため、電極22はスペーサ13から取り外し可能な構造となっている。
貫通孔11aを有した平板状の遮光部材11と、貫通孔12aを有した平板状の絶縁体12と、導入口13a、排出口13bおよび貫通部13cを有した平板状のスペーサ13とからなる細胞導入保持手段10と、
細胞導入保持手段10を上下方向に密着して挟むよう設けた電極21・22と、
電極21・22同士を接続する導線30と、
電極21・22に信号を印加する信号発生器40と、
を備えている。遮光部材11が有する貫通孔11aと絶縁体12が有する貫通孔12aとは互いに同一の寸法および形状であり、かつそれぞれの貫通孔の位置が一致するよう遮光部材11および絶縁体12を設けている。貫通孔11a、貫通孔12aおよび遮光部材11の下部に密着して設けた電極基板21により保持部50が構成され、導入口13aから細胞を含む液体を導入すると、貫通部13cを通じて保持部50へ細胞200が導入される。電極22はスペーサ13上部に密着して設けており、導入口13aから導入した、細胞200を含む液体の飛散や蒸発を防止している。なお保持部50に保持した細胞200の回収を容易にするため、電極22はスペーサ13から取り外し可能な構造となっている。
次に、図1に示す基板を備えた装置を用いた、未分化細胞の検出および回収方法の一例を図3を用いて説明する。
(1−1)未分化細胞を標識する工程(図示せず)
未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を含む溶液を試料に添加することで、試料中に含まれる未分化細胞と前記標識タンパク質との複合体を形成させる。標識タンパク質は、前記未分化細胞が有するタンパク質を認識するタンパク質に標識物質を結合させたものである。一例として、未分化細胞が有するタンパク質としてNanogを用いる場合は、抗Nanog抗体に標識物質を直接または前述した標識二次抗体を用いて間接的に結合させたものを標識タンパク質として用いればよい。また未分化細胞が有するタンパク質を認識するレクチンであるBC2LCNに、標識物質を直接または前述した標識抗体を用いて間接的に結合させたものを標識タンパク質として用いてもよい。前記標識物質は後述の検出部および計測部で検出可能な蛍光や発光を生成可能な物質であれば特に限定はない。
未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を含む溶液を試料に添加することで、試料中に含まれる未分化細胞と前記標識タンパク質との複合体を形成させる。標識タンパク質は、前記未分化細胞が有するタンパク質を認識するタンパク質に標識物質を結合させたものである。一例として、未分化細胞が有するタンパク質としてNanogを用いる場合は、抗Nanog抗体に標識物質を直接または前述した標識二次抗体を用いて間接的に結合させたものを標識タンパク質として用いればよい。また未分化細胞が有するタンパク質を認識するレクチンであるBC2LCNに、標識物質を直接または前述した標識抗体を用いて間接的に結合させたものを標識タンパク質として用いてもよい。前記標識物質は後述の検出部および計測部で検出可能な蛍光や発光を生成可能な物質であれば特に限定はない。
(1−2)保持部へ細胞を導入する工程
図1に示す基板100に設けた導入口13aから、分化細胞220(試料中に含まれている場合)および標識タンパク質300と結合した未分化細胞210を含む試料を導入し、誘電泳動力600を利用してこれら細胞を保持部50へ導入させる。具体的には、信号発生器40から電極21・22へ交流電圧を印加することで誘電泳動力60を発生させ、保持部50へ未分化細胞210および分化細胞220を導入する。図1に示す基板100に導入する細胞を含む液体は、誘電泳動力で細胞が移動できるよう懸濁された液であればよく、例えば、マンニトール、グルコース、スクロース等の糖類を含んだ水溶液や、当該水溶液に塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の電解質、および/またはBSA(ウシ血清アルブミン)等のタンパク質をさらに含んだ水溶液に、細胞を含んだ試料を懸濁させた液体があげられる。特に細胞を含む液体として、マンニトールを含む水溶液に細胞を含んだ試料を懸濁させた液体を用いると、細胞へのダメージが少なくなる点で好ましい。添加するマンニトールの濃度は等張液となる濃度とすればよく、具体的には250mMから350mMの間とするとよい。
図1に示す基板100に設けた導入口13aから、分化細胞220(試料中に含まれている場合)および標識タンパク質300と結合した未分化細胞210を含む試料を導入し、誘電泳動力600を利用してこれら細胞を保持部50へ導入させる。具体的には、信号発生器40から電極21・22へ交流電圧を印加することで誘電泳動力60を発生させ、保持部50へ未分化細胞210および分化細胞220を導入する。図1に示す基板100に導入する細胞を含む液体は、誘電泳動力で細胞が移動できるよう懸濁された液であればよく、例えば、マンニトール、グルコース、スクロース等の糖類を含んだ水溶液や、当該水溶液に塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の電解質、および/またはBSA(ウシ血清アルブミン)等のタンパク質をさらに含んだ水溶液に、細胞を含んだ試料を懸濁させた液体があげられる。特に細胞を含む液体として、マンニトールを含む水溶液に細胞を含んだ試料を懸濁させた液体を用いると、細胞へのダメージが少なくなる点で好ましい。添加するマンニトールの濃度は等張液となる濃度とすればよく、具体的には250mMから350mMの間とするとよい。
信号発生器40から電極21・22へ印加する交流電圧は、保持部50に保持された細胞の充放電が周期的に繰り返される波形を有した交流電圧とすると好ましく、周波数を100kHzから3MHzまでの間とし、電界強度を1×105から5×105V/mまでの間とすると特に好ましい(WO2011/149032号および特開2012−013549号公報参照)。
(1−3)未分化細胞210を検出する工程
導入口13aから洗浄液を導入して残存試料を排出した後、基板を移動させる手段(図示せず)で基板をXY軸方向に移動させながら、検出部400および計測部により、未分化細胞210に結合した標識タンパク質由来の蛍光または発光および位置情報を取得し、未分化細胞210の位置を検出する。
導入口13aから洗浄液を導入して残存試料を排出した後、基板を移動させる手段(図示せず)で基板をXY軸方向に移動させながら、検出部400および計測部により、未分化細胞210に結合した標識タンパク質由来の蛍光または発光および位置情報を取得し、未分化細胞210の位置を検出する。
(1−4)目的細胞210を回収する工程
検出部400および計測部により検出した未分化細胞210を回収するために、電極22をスペーサ13から取り外した後、ノズル500で吸引することで、基板100から未分化細胞210を回収する。電極22を取り外す際は、スペーサ13を剥がさないよう取り外す必要がある。もしスペーサ13が絶縁体12から剥がれると、装置内に保持されている溶液が系外に流れてしまい、未分化細胞210が破壊されるからである。
検出部400および計測部により検出した未分化細胞210を回収するために、電極22をスペーサ13から取り外した後、ノズル500で吸引することで、基板100から未分化細胞210を回収する。電極22を取り外す際は、スペーサ13を剥がさないよう取り外す必要がある。もしスペーサ13が絶縁体12から剥がれると、装置内に保持されている溶液が系外に流れてしまい、未分化細胞210が破壊されるからである。
未分化細胞210の吸引は、基板を移動させる手段およびノズルを移動させる手段(ともに図示せず)を用いて前記(1−3)の工程で検出した未分化細胞210が保持されている保持部へノズル500の中心を移動させ、ノズル500により液を吸引することで目的細胞210を回収する。なおノズル500による未分化細胞210の吸引位置を、未分化細胞210を保持した保持部50の中心から水平方向に一定距離ずらした位置とすると、未分化細胞210の吸引を容易に行なえるため好ましい。具体的には未分化細胞210の吸引位置を、保持部50の中心から水平方向に保持部50の直径の0.1倍から2倍の長さ分(ただし隣接する保持部50間の距離の2分の1以下)ずらし、かつ保持部50の高さから垂直方向に保持部50の高さの0.01倍から2倍の高さ分高い位置とすると好ましい。
図1に示す基板を備えた装置を用いた、未分化細胞の検出および回収方法の別の例を図4を用いて説明する。
(2−1)保持部へ細胞を導入する工程
図1に示す基板100に設けた導入口13aから未分化細胞210および分化細胞220(試料中に含まれている場合)を含む試料を導入し、誘電泳動力60を利用してこれら細胞を保持部50へ導入させる。導入方法および条件は前記(1−2)と同様な方法および条件で行なえばよい。
図1に示す基板100に設けた導入口13aから未分化細胞210および分化細胞220(試料中に含まれている場合)を含む試料を導入し、誘電泳動力60を利用してこれら細胞を保持部50へ導入させる。導入方法および条件は前記(1−2)と同様な方法および条件で行なえばよい。
(2−2)標識タンパク質300を導入する工程
導入口13aから洗浄液を導入して残存試料を排出した後、導入口13aから標識タンパク質300を含む試薬を導入して、未分化細胞210と標識タンパク質300との複合体を形成させる。標識タンパク質は前記(1−1)と同様のタンパク質を用いればよい。
導入口13aから洗浄液を導入して残存試料を排出した後、導入口13aから標識タンパク質300を含む試薬を導入して、未分化細胞210と標識タンパク質300との複合体を形成させる。標識タンパク質は前記(1−1)と同様のタンパク質を用いればよい。
(2−3)未分化細胞210を検出する工程
導入口13aから洗浄液を導入して残存標識抗体を排出した後、前記(1−3)と同様な方法で、検出部400および計測部により、未分化細胞210の位置を検出する。
導入口13aから洗浄液を導入して残存標識抗体を排出した後、前記(1−3)と同様な方法で、検出部400および計測部により、未分化細胞210の位置を検出する。
(2−4)目的細胞210を回収する工程
前記(1−4)と同様な方法で、検出部400および計測部により検出した未分化細胞210を、ノズル500で吸引することにより、回収する。
前記(1−4)と同様な方法で、検出部400および計測部により検出した未分化細胞210を、ノズル500で吸引することにより、回収する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本例に限定されるものではない。
実施例1
以下に示す方法により、未分化細胞の検出を試みた。
(1)マウスES細胞(理研バイオリソースセンターから購入)を未分化維持培地(表1に記載の成分を添加したGlasgow’s MEM培地)で2日培養することで未分化細胞培養液を調製し、前記ES細胞を分化培地(表2に記載の成分を添加したαMEM培地)で3.5日間培養することで分化細胞培養液を調製した。
以下に示す方法により、未分化細胞の検出を試みた。
(1)マウスES細胞(理研バイオリソースセンターから購入)を未分化維持培地(表1に記載の成分を添加したGlasgow’s MEM培地)で2日培養することで未分化細胞培養液を調製し、前記ES細胞を分化培地(表2に記載の成分を添加したαMEM培地)で3.5日間培養することで分化細胞培養液を調製した。
(2)(1)で調製した培養液を以下のいずれかに記載の条件で混合した。
(a)未分化細胞培養液のみ
(b)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを1:1で混合
(c)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを3:7で混合
(d)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを1:9で混合
(e)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを1:99で混合
(f)分化細胞培養液のみ
(3)(2)で調製した混合液を遠心分離して細胞を回収後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド溶液に室温で30分間浸することで、前記細胞を固定した。
(4)5%(v/v)FBS(ウシ胎仔血清)と0.75%(w/v)サポニンとを含むPBS(りん酸緩衝生理食塩水)(Buffer A)で2回洗浄後、ウサギ由来抗マウスNanog抗体(セルシグナリングテクノロジー社製)を含むBuffer Aに室温で60分間浸すことで、未分化細胞と当該未分化細胞が有するタンパク質(Nanog)に対する抗体との複合体を形成させた。
(5)Buffer Aで2回洗浄後、標識二次抗体であるAlexa Fluor488で標識したヤギ由来抗ウサギIgG抗体(ライフテクノロジーズ社製)と核染色試薬であるDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)とを含むBufferAに室温で90分間浸した。
(6)300mMマンニトール溶液で2回洗浄後、300mMマンニトール溶液に懸濁し、細胞懸濁液を調製した。
(7)ピペットを用いて(6)で調製した細胞懸濁液800μLを図1に示す基板100に導入し、信号発生器40で電圧20Vpp、周波数1MHzの交流電圧を電極21・22に10分間印加することで基板100が有する保持部50に細胞を保持させた。
(8)保持部50に保持された細胞に結合した標識抗体由来の蛍光を、蛍光顕微鏡(U−RFL−T/IX71、オリンパス製)を用いてCMOSカメラで撮影することで観察し、DAPI陽性かつ抗Nanog抗体陽性細胞を未分化細胞と判断し、DAPI陽性かつ抗Nanog抗体陰性細胞を分化細胞と判断した。
(a)未分化細胞培養液のみ
(b)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを1:1で混合
(c)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを3:7で混合
(d)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを1:9で混合
(e)未分化細胞培養液と分化細胞培養液とを1:99で混合
(f)分化細胞培養液のみ
(3)(2)で調製した混合液を遠心分離して細胞を回収後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド溶液に室温で30分間浸することで、前記細胞を固定した。
(4)5%(v/v)FBS(ウシ胎仔血清)と0.75%(w/v)サポニンとを含むPBS(りん酸緩衝生理食塩水)(Buffer A)で2回洗浄後、ウサギ由来抗マウスNanog抗体(セルシグナリングテクノロジー社製)を含むBuffer Aに室温で60分間浸すことで、未分化細胞と当該未分化細胞が有するタンパク質(Nanog)に対する抗体との複合体を形成させた。
(5)Buffer Aで2回洗浄後、標識二次抗体であるAlexa Fluor488で標識したヤギ由来抗ウサギIgG抗体(ライフテクノロジーズ社製)と核染色試薬であるDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)とを含むBufferAに室温で90分間浸した。
(6)300mMマンニトール溶液で2回洗浄後、300mMマンニトール溶液に懸濁し、細胞懸濁液を調製した。
(7)ピペットを用いて(6)で調製した細胞懸濁液800μLを図1に示す基板100に導入し、信号発生器40で電圧20Vpp、周波数1MHzの交流電圧を電極21・22に10分間印加することで基板100が有する保持部50に細胞を保持させた。
(8)保持部50に保持された細胞に結合した標識抗体由来の蛍光を、蛍光顕微鏡(U−RFL−T/IX71、オリンパス製)を用いてCMOSカメラで撮影することで観察し、DAPI陽性かつ抗Nanog抗体陽性細胞を未分化細胞と判断し、DAPI陽性かつ抗Nanog抗体陰性細胞を分化細胞と判断した。
未分化細胞のDAPI(A)および抗Nanog抗体(B)染色像を図5に示す。また前記基準で未分化細胞または分化細胞と判断した細胞数から、下記式で算出した未分化細胞混入率[%]を、前記(a)から(f)の条件で調製した培養液に対して算出した結果を図6に示す。
未分化細胞混入率[%]=100×未分化細胞数÷(未分化細胞数+分化細胞数)
培養液中に含まれる未分化細胞の割合が多いほど、前記式で算出した未分化細胞混入率[%]が上昇していることから、本発明の方法により、試料中に含まれる未分化細胞の割合を把握することができる。
培養液中に含まれる未分化細胞の割合が多いほど、前記式で算出した未分化細胞混入率[%]が上昇していることから、本発明の方法により、試料中に含まれる未分化細胞の割合を把握することができる。
実施例2
以下に示す方法により、未分化iPS細胞の検出を試みた。
(1)以下に示す方法により、未分化iPS細胞を調製した。
(1−1)ヒトiPS細胞201B7株(iPSアカデミアジャパンより購入)をiMatrix(タカラバイオ社製)でコートしたシャーレに播種し、StemFitAK02N培地(タカラバイオ社製)を用いて5%CO2雰囲気下、37℃で培養した。
(1−2)7日間培養したiPS細胞をPBS(りん酸緩衝生理食塩水)で洗浄後、TrypLE select(Thermo Fisher社製)とVersene Solution(Thermo Fisher社製)との混合液で前記細胞を剥離した。
(1−3)剥離した細胞を回収し、PBSで洗浄した後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド溶液に室温で40分間浸することで、前記細胞を固定した。固定後、Buffer Aに置換した。
(2)分化細胞として、未分化マーカーを発現していない細胞である巨核球芽細胞株K562細胞を使用し、以下に示す方法により調製した。
(2−1)K562細胞(医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンクより購入)を、GIT培地(日本製薬製)を用いて5%CO2雰囲気下、37℃で培養した。
(2−2)培養した細胞を回収し、PBSで洗浄した後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド溶液に室温で40分間浸することで、前記細胞を固定した。固定後、Buffer Aに置換した。
(3)(1)および(2)で調製した細胞培養液を以下のいずれかに記載の条件で混合した。
(i)iPS細胞数とK562細胞数とを15:85で混合した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率15%[理論値])
(ii)K562細胞の培養懸濁液(未分化iPS細胞の混入率0%[理論値])
(iii)(i)の懸濁液と(ii)の懸濁液とを1:9の割合で混合し、総細胞数を50万細胞に調製した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率1.5%[理論値])
(iv)(iii)の懸濁液と(ii)の懸濁液とを1:9で混合し、総細胞数を50万細胞に調製した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率0.15%[理論値])
(v)(iv)の懸濁液と(ii)の懸濁液とを1:9で混合し、総細胞数を50万細胞に調製した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率0.015%[理論値])
(4)(3)で調製した懸濁液のうち、(ii)から(v)の懸濁液を遠心した後、上清を除去し細胞ペレットを調製した。
(5)650μLのBuffer Aに13μLのBC2LCN−FITC(和光純薬工業社製)と1.3μLのDAPIとを混合し、染色液Aを作製した。
(6)(4)で調製した各細胞ペレットを100μLの染色液Aで懸濁し、室温で60分間反応させた。
(7)各反応後の液に、Buffer Aを1mL入れ、遠心し上清を除去することで洗浄後、Buffer Aを5mLずつ入れることで、約50万細胞/5mLの懸濁液を作製した。
(8)ピペットを用いて(7)で調製した細胞懸濁液800μLを図1に示す基板100に導入し、5分間静置することで基板100が有する保持部50に細胞を保持させた。
(9)保持部50に保持された細胞に結合したBC2LCN−FITCおよびDAPI由来の蛍光を、蛍光顕微鏡(IX83、オリンパス製)を用いてCMOSカメラで撮影することで観察し、DAPI陽性かつBC2LCN陽性細胞を未分化細胞と判断し、DAPI陽性かつBC2LCN陰性細胞を分化細胞と判断した。
以下に示す方法により、未分化iPS細胞の検出を試みた。
(1)以下に示す方法により、未分化iPS細胞を調製した。
(1−1)ヒトiPS細胞201B7株(iPSアカデミアジャパンより購入)をiMatrix(タカラバイオ社製)でコートしたシャーレに播種し、StemFitAK02N培地(タカラバイオ社製)を用いて5%CO2雰囲気下、37℃で培養した。
(1−2)7日間培養したiPS細胞をPBS(りん酸緩衝生理食塩水)で洗浄後、TrypLE select(Thermo Fisher社製)とVersene Solution(Thermo Fisher社製)との混合液で前記細胞を剥離した。
(1−3)剥離した細胞を回収し、PBSで洗浄した後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド溶液に室温で40分間浸することで、前記細胞を固定した。固定後、Buffer Aに置換した。
(2)分化細胞として、未分化マーカーを発現していない細胞である巨核球芽細胞株K562細胞を使用し、以下に示す方法により調製した。
(2−1)K562細胞(医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンクより購入)を、GIT培地(日本製薬製)を用いて5%CO2雰囲気下、37℃で培養した。
(2−2)培養した細胞を回収し、PBSで洗浄した後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド溶液に室温で40分間浸することで、前記細胞を固定した。固定後、Buffer Aに置換した。
(3)(1)および(2)で調製した細胞培養液を以下のいずれかに記載の条件で混合した。
(i)iPS細胞数とK562細胞数とを15:85で混合した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率15%[理論値])
(ii)K562細胞の培養懸濁液(未分化iPS細胞の混入率0%[理論値])
(iii)(i)の懸濁液と(ii)の懸濁液とを1:9の割合で混合し、総細胞数を50万細胞に調製した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率1.5%[理論値])
(iv)(iii)の懸濁液と(ii)の懸濁液とを1:9で混合し、総細胞数を50万細胞に調製した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率0.15%[理論値])
(v)(iv)の懸濁液と(ii)の懸濁液とを1:9で混合し、総細胞数を50万細胞に調製した細胞懸濁液(未分化iPS細胞の混入率0.015%[理論値])
(4)(3)で調製した懸濁液のうち、(ii)から(v)の懸濁液を遠心した後、上清を除去し細胞ペレットを調製した。
(5)650μLのBuffer Aに13μLのBC2LCN−FITC(和光純薬工業社製)と1.3μLのDAPIとを混合し、染色液Aを作製した。
(6)(4)で調製した各細胞ペレットを100μLの染色液Aで懸濁し、室温で60分間反応させた。
(7)各反応後の液に、Buffer Aを1mL入れ、遠心し上清を除去することで洗浄後、Buffer Aを5mLずつ入れることで、約50万細胞/5mLの懸濁液を作製した。
(8)ピペットを用いて(7)で調製した細胞懸濁液800μLを図1に示す基板100に導入し、5分間静置することで基板100が有する保持部50に細胞を保持させた。
(9)保持部50に保持された細胞に結合したBC2LCN−FITCおよびDAPI由来の蛍光を、蛍光顕微鏡(IX83、オリンパス製)を用いてCMOSカメラで撮影することで観察し、DAPI陽性かつBC2LCN陽性細胞を未分化細胞と判断し、DAPI陽性かつBC2LCN陰性細胞を分化細胞と判断した。
未分化細胞のDAPI(A)およびBC2LCN(B)染色像を図7に示す。また前記基準で未分化細胞または分化細胞と判断した細胞数から、下記式で算出した未分化細胞混入率[%]を、前記(ii)から(v)の懸濁液に対して算出した結果と理論値の比較結果を表3および図8に示す。
未分化細胞混入率[%]=100×未分化細胞数÷(未分化細胞数+分化細胞数)
実測値が理論値と相関していることから、本発明の方法により、試料中に含まれる未分化細胞の割合を把握することができる。
100:基板
10:細胞導入保持手段
11:遮光部材
12:絶縁体
11a、12a:貫通孔
13:スペーサ
13a:導入口
13b:排出口
13c:貫通部
21・22:電極基板
30:導線
40:信号発生器
50:保持部
60:誘電泳動力
200:細胞
210:未分化細胞
220:分化細胞
300:標識タンパク質
400:検出部
500:ノズル
10:細胞導入保持手段
11:遮光部材
12:絶縁体
11a、12a:貫通孔
13:スペーサ
13a:導入口
13b:排出口
13c:貫通部
21・22:電極基板
30:導線
40:信号発生器
50:保持部
60:誘電泳動力
200:細胞
210:未分化細胞
220:分化細胞
300:標識タンパク質
400:検出部
500:ノズル
Claims (8)
- 以下の(1)から(3)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法。
(1)未分化細胞を含む試料に、当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させた後、前記複合体を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程 - 以下の(1)から(4)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を検出する方法。
(1)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し、当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程
(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程 - 以下の(1)から(4)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法。
(1)未分化細胞を含む試料に、当該未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を添加することで当該標識タンパク質と試料中に含まれる未分化細胞との複合体を形成させた後、前記複合体を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記複合体を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
(4)細胞を検出する手段で検出した未分化細胞を、回収手段で回収する工程 - 以下の(1)から(5)に示す工程を含む、細胞を保持可能な保持部を設けた基板と前記保持部に保持された細胞の中から目的とする細胞を検出する手段とノズルによる吸引吐出により当該目的とする細胞を回収する回収手段とを備えた装置を用いて、試料中に含まれる未分化細胞を回収する方法。
(1)未分化細胞を含む試料を基板に導入する工程
(2)前記未分化細胞を基板に設けた保持部に保持させる工程
(3)前記未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質を基板に導入し、当該標識タンパク質と保持部に保持された未分化細胞との複合体を形成させる工程
(4)前記複合体中の標識に基づき、細胞を検出する手段で未分化細胞を検出する工程
(5)細胞を検出する手段で検出した未分化細胞を、回収手段で回収する工程 - 未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質が未分化細胞が有するタンパク質に対する標識抗体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 未分化細胞が有するタンパク質に対する標識抗体が抗Nanog標識抗体である、請求項5に記載の方法。
- 未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識タンパク質が未分化細胞が有するタンパク質を認識する標識レクチンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記(2)の工程を誘電泳動力を利用して行なう、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016144592 | 2016-07-22 | ||
JP2016144592 | 2016-07-22 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018021895A true JP2018021895A (ja) | 2018-02-08 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017088412A Pending JP2018021895A (ja) | 2016-07-22 | 2017-04-27 | 未分化細胞を検出および回収する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012013550A (ja) * | 2010-06-30 | 2012-01-19 | Tosoh Corp | 粒子固定用構造体、粒子解析装置、及び解析方法 |
WO2013128914A1 (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-06 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 細胞の分化判定、細胞の分離、並びに誘導性多能性幹細胞及び分化細胞の製造のための方法 |
WO2015031586A1 (en) * | 2013-08-29 | 2015-03-05 | Apocell, Inc. | Method and apparatus for isolation, capture and molecular analysis of target particles |
-
2017
- 2017-04-27 JP JP2017088412A patent/JP2018021895A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Title |
---|
最上聡文ほか: "誘電泳動を利用した血中希少がん細胞の検出・解析システムの開発", 東ソー研究・技術報告, vol. 58, JPN6019028708, 2014, pages 3 - 12, ISSN: 0004380355 * |
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