JP2018021797A - 生体外血管内皮機能検査 - Google Patents

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Abstract

【課題】1回の採血のみで完了し、且つ、高い再現性を有する血管内皮機能の測定方法を用いた血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法を提供する。【解決手段】本発明は、血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法であって、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、前記誘導工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記被検化合物による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、を備える。【選択図】なし

Description

本発明は、血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するための方法、循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するための方法、及びそれらのキットに関する。
虚血性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症等の循環器疾患の原因となる動脈硬化、心不全、及び心房細動は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満等の生活習慣病を基盤として発症するが、これらの病態では早期から血管内皮機能の低下が認められる。また、深部静脈血栓症又は心房細動による心原性脳塞栓症等の血栓形成性疾患においては、血管内皮機能障害が血栓形成の重要な因子とされている。血管内皮機能は独立した心血管病予後予測因子として知られており(例えば、非特許文献1参照。)、循環器疾患発症リスクの評価や、循環器疾患二次予防のための疾病管理における効果判定指標として臨床的に血管内皮機能測定が行われている。
血管内皮機能の測定方法として、例えば、血流依存性血管拡張反応(Flow Mediated Dilation;FMD)による非侵襲的検査方法(例えば、非特許文献2参照。)や、EndoPATによる検査方法(例えば、非特許文献3参照。)等が挙げられる。
FMD検査法は、まず、カフで腕を締めた後の血流増大によるずり応力により、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)が血管内皮より放出され、血管は拡張する。FMD検査では血管がどれくらい拡張したかを、超音波を用いて計測する。
また、EndoPATによる検査法は、まず、両手の人差し指の指先に指先脈波を測定するための専用のプローベを装着し、安静状態を5分間測定した後、5分間駆血し、開放後の5分間測定する。駆血側の腕だけを測定分析対象とするのではなく、両手の指にプローベを装着し、両腕の血流量変化を同時に測定し、駆血しない側(対側)をコントロールとして使うため、交感神経系の変化からもたらされる駆血側腕の血流量変化をキャンセルすることができる。さらに、EndoPATによる検査法では、血管内皮機能(RHI)及び血管のしなやかさ(AI)の両方を観察することができる。
また、血管内皮機能障害は、血管内皮細胞表面を覆う血管内皮グリコカリックス層の障害によって引き起こされると考えられており(例えば、非特許文献4参照。)、アルブミン尿を呈する腎機能障害、重篤な糖尿病、又は高尿酸血症において血管内皮グリコカリックスの血中濃度が増加することが知られている(例えば、非特許文献5参照)。
Yeboah, J., et al., "Predictive Value of Brachial Flow-Mediated Dilation for Incident Cardiovascular Events in a Population-Based Study", Circulation, vol.120, no.6, p502-509, 2009. Celermajer, D. S., et al., "Non-invasive detection of endothelial dysfunction in children and adults at risk of atherosclerosis", Lancet, vol.340, No.8828, p1111-1115, 1992. Celermajer, D. S., et al., "Reliable Endothelial Function Testing", Circulation, vol.117, p2428-2430, 2008. Van den Berg, et al., "The Endothelial Glycocalyx Protects Against Myocardial Edema", Circulation Research, vol.92, p592-594, 2003. Ueda, A., et al., "Effect of glycocalyx on shear-dependent albumin uptake in endothelial cells", Am J Physiol Heart Circ Physiol vol.287, H2287-H2294, 2004.
非特許文献2に記載のFMD検査法は、再現性が低く、臨床の現場で手技が煩雑であるため、血管内皮機能の測定法として推奨されていない。
また、非特許文献3に記載のEndoPATによる検査法は、再現性が高く、臨床の現場でも導入されているが、測定に15分程度かかり、患者の拘束時間が長く、効率的でないという課題を有する。
さらに、血管内皮グリコカリックスの血中濃度と相関がみられる疾患は、上記に挙げたアルブミン尿を呈する腎機能障害、重篤な糖尿病、又は高尿酸血症に限定されているため、その他多くの循環器疾患と血管内皮グリコカリックスとの相関関係を評価可能な系が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、1回の採血のみで完了し、且つ、高い再現性を有する血管内皮機能の測定方法を用いた血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性の評価方法、及び循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果の評価方法を提供する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、血管内皮細胞表面上にグリコカリックス層を構築したインビトロ系を用いることにより、血管内皮機能を1回の採血のみで完了し、且つ、高い再現性で評価できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法であって、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、前記誘導工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記被検化合物による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、を備えることを特徴とする方法。
[2]血管内皮機能改善剤をスクリーニングするためのキットであって、血管内皮細胞と、 血管内皮障害リスク因子と、グリコカリックス検出試薬と、を備えることを特徴とするキット。
[3]血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するための方法であって、 血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、前記培養工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、血管内皮細胞に対する前記被検化合物の血管内皮機能障害性を評価する評価工程と、を備えることを特徴とする方法。
[4]血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するためのキットであって、血管内皮細胞と、グリコカリックス検出試薬と、を備えることを特徴とするキット。
[5]循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するための方法であって、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加し、培養する培養工程と、前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、前記誘導工程後の前記循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、を備えることを特徴とする方法。
[6]循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するためのキットであって、血管内皮細胞と、血管内皮障害リスク因子と、グリコカリックス検出試薬と、を備えることを特徴とするキット。
本発明によれば、1回の採血のみで完了し、且つ、高い再現性を有する血管内皮機能の測定方法を用いた血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性の評価方法、及び循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果の評価方法を提供することができる。
実施例1におけるHUVECを用いたインビトロ系でのグルコース濃度及び培養時間の違いによるグリコカリックス(CD138)の検出量の変化を示すグラフである。 実施例2におけるHUVECを用いたインビトロ系での各血管内皮障害リスク因子の培養時間の違いによるグリコカリックス(CD138)の検出量の変化を示すグラフである。 実施例3におけるHUVECを用いたインビトロ系での健常者、又は糖尿病患者の血清含有によるグリコカリックス(CD138)の検出量の違いを示すグラフである。 実施例4におけるHUVECを用いたインビトロ系でのグルコース濃度が0.05mM、5mM、又は15mMであって、血管内皮障害リスク因子としての過酸化水素刺激によるグリコカリックス(CD138)の検出量の違いを示すグラフである。 実施例5におけるHUVECを用いたインビトロ系でのグルコース濃度が15mMであって、リバーロキサバン添加、又は無添加条件下での、血管内皮障害リスク因子としての過酸化水素刺激によるグリコカリックス(CD138)の検出量の違いを示すグラフである。 実施例6におけるパッセージ3〜7(P3〜P7)のHUVECを用いたインビトロ系でのグルコース濃度が0.05mM、又は15mMであって、血管内皮障害リスク因子としての過酸化水素刺激によるグリコカリックス(CD138)の検出量の違いを示すグラフである。
<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>
一実施形態において、本発明は、血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法であって、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、前記誘導工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記被検化合物による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、を備える方法を提供する。
本実施形態のスクリーニング方法によれば、簡便且つ1回の採血のみで完了し、且つ、有効な血管内皮機能改善剤をスクリーニングすることができる。また、本実施形態のスクリーニング方法は、動物実験の代替法として活用でき、よりヒトの生体内に近いインビトロ条件下において、血管内皮機能に対する被検化合物の効果を評価することができる。
一般に、血管内皮機能障害は、血管内皮細胞表面を覆う内皮グリコカリックス層の障害によって引き起こされると考えられている。よって、本明細書において、「血管内皮機能の改善効果」とは、内皮グリコカリックス層の生成促進効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離抑制効果を意味する。
よって、本実施形態のスクリーニング方法によれば、血管内皮機能の改善効果、すなわち、内皮グリコカリックス層の生成促進効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離抑制効果を有する被検化合物を得ることができる。
一般に、「グリコカリックス」とは、細胞高分子化合物の総称であり、糖タンパク質、又は糖鎖を含む。また、本明細書においては、「グリコカリックス」は、血管内皮細胞表面上に形成される「内皮グリコカリックス」を意味し、内皮グリコカリックス層は血漿層又は内皮表面層(endothelial surface layer:ESL)とも呼ばれる。
グリコカリックスは、血流の制御において重要な役割を果たし、血液の血球及び分子量の大きい溶質を遮断し、これらが内皮細胞膜に接触しない状態を確保することができる。したがって、グリコカリックスは、血管緊張の調節、血液及び組織間の流体及び溶質の交換、白血球遊走、止血の調節、さらには、凝固及び炎症の反応の調節に能動的に関与する。
また、内皮グリコカリックス層は血漿又は内皮に由来する可溶性分子が組み込まれたネットワークを形成している。この可溶性分子を含む層と、血流との間には動的平衡が存在し、内皮グリコカリックス層の組成及び厚さに継続的に影響する。また、細胞表面に固定されているグリコカリックスも、組織損傷、炎症、流体投与、虚血、遊離酸素ラジカル等を原因としたせん断により脱落し、損傷すると考えられている。
よって、グリコカリックスの減少は、血小板凝集、白血球粘着、毛細血管漏出及び組織浮腫を発生させる内皮透過性の増加につながる。
従って、内皮グリコカリックス層の生成を促進する、又は内皮グリコカリックス層の遊離を抑制することで、血管内皮機能は改善され、正常な血管内皮環境を保つことができる。
グリコカリックスは、主に糖タンパク質(プロテオグリカン)及びグリコサミノグリカンから構成される。
前記糖タンパク質(プロテオグリカン)としては、例えば、シンデカン−1(CD138)、シンデカン−2、シンデカン−3、シンデカン−4等のシンデカン;グリピカン1(GPC1)、グリピカン2(GPC2)、グリピカン3(GPC3)、グリピカン4(GPC4)、グリピカン5(GPC5)、グリピカン6(GPC6)等のグリピカン;ミメカン、ペルレカン、及びビグリカン等が挙げられ、これらに限定されない。
また、前記グリコサミノグリカンとしては、例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマンタン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、及びこれらの塩等が挙げられ、これらに限定されない。
また、血管内皮機能障害を引き起こす疾患としては、主に、生活習慣病及び該生活習慣病が基盤となり発症する循環器疾患が挙げられる。血管内皮機能障害を引き起こす疾患としてより具体的には、例えば、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、腎不全、高尿酸血症(痛風)、脂質異常症(高脂血症)、肥満症(メタボリックシンドローム)、虚血性心疾患(例えば、心筋梗塞、狭心症、虚血性心不全、虚血性心疾患の致死性不整脈)、心臓弁膜症、心不全、周期性心筋症、不整脈、脳梗塞、脳出血(脳卒中)、脳血管疾患、脂肪肝、アルコール性肝炎、慢性閉塞性肺疾患、原発性肺高血圧症、肺癌、大腸癌、腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓症血管炎、動脈硬化、大動脈解離等が挙げられ、これらに限定されない。よって、本実施形態のスクリーニング方法において、使用する血管内皮細胞の種類を適宜選択することによって、上記疾患のインビトロ系モデルを構築することができ、血管内皮機能改善剤、すなわち上記疾患に有効な治療薬をスクリーニングすることができる。
本実施形態のスクリーニング方法の各工程について、以下に詳細を説明する。
[準備工程]
まず、細胞培養用容器に血管内皮細胞を播種し、コンフルエントの状態となるように培養する。
なお、本明細書において、「コンフルエントの状態」とは、細胞同士が非常に接近し、密集した状態を意味する。コンフルエントの状態における細胞密度としては、使用する血管内皮細胞の種類及び大きさにもよるが、例えば、1.0×10cells/cm以上2.0×10cells/cm以下であればよい。
使用する細胞培養用容器は、血管内皮細胞を培養するために通常用いられるものであればよい。前記細胞培養用容器としては、例えば、任意の数のウェルが配置されたマルチウェルプレート、シャーレ等が挙げられる。ウェルの数としては、プレート1枚当たり、例えば、6、12、24、96、384、1,536個等が挙げられる。
播種する細胞数は、コンフルエントの状態となるように、培養時間、並びに使用する血管内皮細胞の種類及び増殖速度に応じて適宜調整すればよい。
(血管内皮細胞)
使用する血管内皮細胞としては、例えば、初代培養細胞、継代培養細胞、不死化培養細胞等が挙げられ、中でも、初代培養細胞、又は6回まで継代培養を行った継代培養細胞若しくは不死化培養細胞であることが好ましく、初代培養細胞であることがより好ましい。
一方、7回以上継代培養を繰り返し、増殖速度が低下した継代培養細胞、若しくは不死化培養細胞を用いる場合は、例えば、細胞老化モデルを構築することができる。
前記血管内皮細胞としては、例えば、大動脈血管内皮細胞(Aortic Endothelial Cell)、膀胱微小血管内皮細胞(Bladder Microvascular Endothelial Cell)、脳微小血管内皮細胞(Brain Microvascular Endothelial Cell)、心臓微小血管内皮細胞(Cardiac Microvascular Endothelial Cell)、冠動脈内皮細胞(Coronary Artery Endothelial Cell)、皮膚リンパ管内皮細胞(Dermal Lymphatic Endothelial Cell)、皮膚微小血管内皮細胞(Dermal Microvascular Endothelial Cell)、腸間膜血管内皮細胞(Intestinal Mesenteric Vascular Endothelial Cell )、腎臓内皮細胞(Kidney Endothelial Cell)、腎臓糸球体内皮細胞(Renal Glomerular Endothelial Cell)、肝臓類洞内皮細胞(Liver Sinusoidal Endothelial Cell)、肺微小血管内皮細胞(Lung Microvascular Endothelial Cell)、肺動脈内皮細胞(Pulmonary Artery Endothelial Cell)、肺静脈内皮細胞(Pulmonary Vein Endothelial Cell)、リンパ管内皮細胞(Lymphatic Endothelial Cell)、***微小血管内皮細胞(Mammary Microvascular Endothelial Cell)、卵巣微小血管内皮細胞(Ovarian Microvascular Endothelial Cell)、胎盤微小血管内皮細胞(Placental Microvascular Endothelial Cell)、前立腺微小血管内皮細胞(Prostate Microvascular Endothelial Cell)、子宮微小血管内皮細胞(Uterine Microvascular Endothelial Cell)、網膜微小血管内皮細胞(Retinal Microvascular Endothelial Cell)、小腸微小血管内皮細胞(Small Intestinal Microvascular Endothelial Cell)、脾臓内皮細胞(Spleen Endothelial Cell)、甲状腺微小血管内皮細胞(Thyroid Microvascular Endothelial Cell)、臍帯静脈内皮細胞(Umbilical Vein Endothelial Cell)、臍帯動脈内皮細胞(Umbilical Artery Endothelial Cell)、伏在静脈内皮細胞(Saphenous Vein Endothelial Cell)等が挙げられ、これらに限定されない。
また、血管内皮細胞は、幹細胞又は前駆細胞から分化誘導された細胞であってもよい。前記幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞、胚性生殖幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、間葉系幹細胞等が挙げられ、これらに限定されない。
なお、本明細書において、「前駆細胞」とは、前記幹細胞から特定の体細胞又は生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞を意味する。
また、使用する血管内皮細胞の由来となる動物としては、哺乳動物であることが好ましい。前記哺乳動物としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、マーモセット、サル等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、哺乳動物としては、ヒトであることが好ましい。
よって、使用する血管内皮細胞としては、例えば、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cell:HUVEC)、ヒト冠動脈内皮細胞(Human Coronary Artery Endothelial Cell:HCAEC)、ヒト大動脈内皮細胞(Human Aortic Endothelial Cell:HAoEC)、ヒト肺動脈内皮細胞(Human Pulmonary Artery Endothelial Cell:HPAEC)、ヒト肺微小血管内皮細胞(Human Pulmonary Microvascular Endothelial Cell:HPMEC)、ヒト伏在静脈内皮細胞(Human Saphenous Vein Endothelial Cell:HSaVEC)等の市販の初代培養細胞を用いればよい。
本実施形態のスクリーニング方法において、例えば、HUVECを用いた場合、ヒトにおける血管内皮機能を評価する汎用モデルを構築することができ、例えば、HCAEC又はHAoECを用いた場合、ヒトにおける動脈硬化モデルを構築することができ、例えば、HPAECを用いた場合、ヒトにおける肺高血圧モデルを構築することができ、例えば、HPMECを用いた場合、ヒトにおける血管新生モデルを構築することができ、例えば、HSaVECを用いた場合、深部静脈血栓症モデルを構築することができる。
よって、使用する血管内皮細胞の種類を適宜選択することによって、特定の疾患のインビトロ系モデルを構築することができ、血管内皮機能改善剤、すなわち特定の疾患に有効な治療薬をスクリーニングすることができる。
(細胞培養用培地)
使用する細胞培養用培地としては、血管内皮細胞の培養に適した組成であればよく、以下に例示するアミノ酸、ビタミン類、ミネラルを含有するものであればよい。
細胞培養用培地に含まれるアミノ酸としては、例えば、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン等が挙げられる。これらのアミノ酸を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。細胞培養用培地に含まれるアミノ酸の濃度は、特別な限定はなく、例えば1mg/mL以上1500mg/mL以下であればよい。
細胞培養用培地に含まれるビタミン類としては、例えば、D−ビオチン、フォリニック酸、DL−α−リポ酸、ニコチンアミド、D−パントテン酸、ピリドキシン、リボフラビンン、チアミン、シアノコバラミン(ビタミンB12)、アデニン、コリン、myo−イノシトール、プトレッシン、ピルビン酸、チミジン等が挙げられる。これらのビタミン類を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。細胞培養用培地に含まれるビタミン類の濃度は、特別な限定はなく、例えば0.5μg/mL以上150mg/mL以下であればよい。
細胞培養用培地に含まれるミネラルとしては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、ナトリウム、銅、鉄、セレン、マンガン、ケイ素、モリブデン、バナジウム、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。これらのミネラルを単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。細胞培養用培地に含まれるミネラルの濃度は、特別な限定はなく、例えば0.05μg/mL以上10000mg/mL以下であればよい。
上記成分を含む細胞培養用培地としては、例えば、最小基本培地(minimal essential medium:MEM)、イーグル最小基本培地(Eagle’s MEM)、改変イーグルダルベッコ最小基本培地(Modified Eagle’s MEM)、改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium:DMEM)、RPMI−1640培地、ハムF12培地(Ham’s F12 Medium)、ウエイマウス培地、M199培地、IMEM培地、RITC80−7培地、RITC57−1培地、イスエフ培地、HB101培地、MCDB107培地、改変MCDB131培地等が挙げられる。
使用する細胞培養用培地は、さらに、以下に例示する血清、成長因子、ホルモン、抗生物質等のその他の添加物を含有していてもよい。
細胞培養用培地に含まれる血清としては、例えば、ウシ胎児血清(Fetal bovine serum(FBS);Fetal calf serum(FCS))等が挙げられる。細胞培養用培地に含まれる血清の濃度は、例えば2質量%以上10質量%以下であればよい。
細胞培養用培地に含まれる成長因子としては、例えば、血管内皮成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)、内皮細胞成長因子(Endothelial cell growth factor:ECGF)、内皮細胞増殖因子(Endothelial cell growth supplement:ECGS)、内皮細胞由来成長因子(Endothelial cell−derived growth factor:ECDGF)、上皮成長因子(Epidermal growth factor:EGF)、酸性繊維芽細胞成長因子(acidic fibroblast growth factor:aFGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor:bFGF)、インスリン様成長因子−1(Insulin―like growth factor−1:IGF−1)、マクロファージ由来成長因子(Macrophage−derived growth factor:MDGF)、血小板由来成長因子(Platelet−derived growth factor:PDGF)、腫瘍血管新生因子(Tumor angiogenesis factor:TAF)等が挙げられる。これらの成長因子を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。細胞培養用培地に含まれる成長因子の濃度は、特別な限定はなく、例えば1ng/mL以上10μg/mL以下であればよい。
細胞培養用培地に含まれるホルモンとしては、例えば、インシュリン、グルカゴン、トリヨードチロニン、副腎皮質ホルモン等が挙げられる。これらのホルモンを単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。細胞培養用培地に含まれるホルモンの濃度は、特別な限定はなく、例えば1ng/mL以上10μg/mL以下であればよい。
細胞培養用培地に含まれる抗生物質としては、例えば、ゲンタマイシン、アンフォテリシン、アンピシリン、ミノマイシン、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタシン、タイロシン、オーレオマイシン等、通常の動物細胞の培養に用いられるものが挙げられる。これらの抗生物質を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。細胞培養用培地に含まれる抗生物質の濃度は、特別な限定はなく、例えば0.1μg/mL以上100μg/mL以下であればよい。
(培養条件)
培養条件としては、通常の血管内皮細胞を培養する条件であればよい。培養温度は、例えば25℃以上40℃以下であればよく、例えば30℃以上39℃以下であればよく、例えば35℃以上39℃以下であればよい。
また、必要に応じて培養環境を著しく変化させなければ還流等の流体力学的な付加を加えてもよい。
また、培養環境は、例えば、約5%のCO条件下であってもよい。
また、培養時間としては、細胞がコンフルエントの状態になるように、細胞の種類及び細胞数に応じて、適宜設定すればよい。培養時間は、例えば12時間以上24時間以下であればよい。
[培養工程]
次いで、準備工程後の血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する。
被検化合物としては、血管内皮機能改善効果を有する、すなわち、上述の[準備工程]において例示された疾患に対する治療効果を有すると推定されるものであればよく、特別な限定はない。また、被検化合物は、予め細胞培養用培地に混合し、培地交換の際に被検化合物含有細胞培養用培地を添加すればよい。また、被検化合物の有効量を推定するために、細胞培養用培地中の被検化合物の濃度をふったものを用意して、用いてもよい。
被検化合物を添加したサンプル、及び被検化合物を添加していないサンプルを準備し、続く誘導工程を経て、評価工程において比較することで、血管内皮機能の改善効果を評価することができる。
使用する細胞培養用培地としては、上述の[準備工程]において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、使用する細胞培養培地は、成長因子を実質的に含まないものであることが好ましい。
なお、本明細書において、「成長因子を実質的に含まない」とは、上述の[準備工程]において例示された成長因子を全く含まない、又は、前記成長因子を単独で用いた場合において、成長因子として細胞を成長させる効果を有さない程度の量を含む状態を意味する。
また、培養条件としては、通常の血管内皮細胞を培養する条件であればよい。培養温度は、例えば25℃以上40℃以下であればよく、例えば30℃以上39℃以下であればよく、例えば35℃以上39℃以下であればよい。
また、必要に応じて培養環境を著しく変化させなければ還流等の流体力学的な付加を加えてもよい。
また、培養環境は、例えば、約5%のCO条件下であってもよい。
また、培養方法は、例えば、水平振盪培養、静置培養等が挙げられ、中でも、水平振盪培養であることが好ましい。振盪速度については、例えば、ヒトの生理的な毛細血管から細動脈までの流れずり応力とされる2.5dynes/cm以上5dynes/cm以下となるように調整すればよい。
また、培養時間としては、被検化合物が血管内皮細胞に作用し、血管内皮機能改善効果(内皮グリコカリックス層の生成促進効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離抑制効果)を奏するのに有効な時間であればよく、例えば30分以上2時間以下であればよく、例えば、1時間程度であればよい。
[誘導工程]
次いで、培養工程後の血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し培養することで、グリコカリックスの遊離を誘導する。
上述のとおり、血管内皮機能障害を引き起こす疾患としては、主に、生活習慣病及び該生活習慣病が基盤となり発症する循環器疾患であり、血管内皮障害リスク因子を培養工程後の血管内皮細胞に添加することで、血管内皮機能障害、すなわち、グリコカリックスの生成抑制、又はグリコカリックスの遊離促進を引き起こすことができる。
(血管内皮障害リスク因子)
使用する血管内皮障害リスク因子としては、所望の疾患モデルを構築可能なものであればよい。
例えば糖尿病モデルを構築する場合は、Nε−カルボキシメチルリシン、Nε−カルボキシエチルリシン、アルグピリミジン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、GA−ピリジン、グルコスパン等の終末糖化産物;インスリン;血中濃度換算で500mg/dL以上の高濃度の糖類等が挙げられ、これらに限定されない。
前記糖類としては、例えば、デンプン、グリコーゲン等の多糖類;ラフィノース、スタキオース等の少糖類;スクロース、マルトース等の二糖類;六炭糖、五炭糖等の単糖類等が挙げられる。前記六炭糖としては、例えば、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース等のアルドヘキソース;プリコース、フルクトース、ソルボース、タガロース等のケトヘキトース;フコース、フクロース、ラムノース等のデオキシ糖等が挙げられる。
例えば、脂質異常症のうち、高LDLコレステロール血症モデルを構築する場合は、血中濃度換算で140mg/dL以上の酸化LDL(low density lipoprotein)コレステロール;バクセン酸、エライジン酸等のトランス脂肪酸等が挙げられ、これらに限定されない。
例えば、脂質異常症のうち、低HDLコレステロール血症モデルを構築する場合は、プロブコール、サイアザイド、β−blocker等が挙げられ、これらに限定されない。
例えば、脂質異常症のうち、高トリグリセライド(中性脂肪)血症モデルを構築する場合は、血中濃度換算で150mg/dL以上の遊離脂肪酸等が挙げられる。前記遊離脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
例えば、酸化ストレス亢進モデルを構築する場合は、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素等の活性酸素;一酸化窒素、二酸化窒素、オゾン、過酸化脂質等が挙げられ、これらに限定されない。
例えば、心不全モデルを構築する場合は、イソプロテレノール、メタプロテレノール、 トリメトキノール、フェノテロール、プロカテロール、サルブタモール、ホルモテロール、サルメテロール、インダカテロール等のβ2刺激薬;カテコラミン、エンドセリン等が挙げられ、これらに限定されない。
例えば、肥満モデルを構築する場合は、血中濃度換算で500mg/dL以上の高濃度の糖類;遊離脂肪酸;アンジオテンシン(angiotensin)II、アンジオテンシンIII、アンジオテンシンIV等が挙げられ、これらに限定されない。前記糖類としては、上述の糖尿病モデルについて例示されたものと同様のものが挙げられる。前記遊離脂肪酸としては、上述の肥満モデルについて例示されたものと同様のものが挙げられる。
例えば、高尿酸血症モデルを構築する場合は、血中濃度換算で7mg/dL以上の高濃度の尿酸等が挙げられる。
例えば、炎症モデルを構築する場合は、インターロイキン−6(Interleukin−6;IL−6)、IL−18、腫瘍壊死因子−α(Tumor Necrosis Factor−α;TNF−α)、リポ多糖(Lipopolysaccharide;LPS)等が挙げられ、これらに限定されない。
例えば、肺高血圧モデルを構築する場合は、エンドセリン等が挙げられ、これらに限定されない。
例えば、血栓形成モデルを構築する場合は、トロンボキサA2(TXA2)、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター−1(PAI−1)、等が挙げられ、これらに限定されない。さらに、培養方法として、静置培養又は低速振盪培養を用いることで、血栓形成を促進することができる。
例えば、多量飲酒モデルを構築する場合は、血中濃度換算で0.4質量%以上のエタノール等が挙げられる。
これらの血管内皮障害リスク因子を単独で含んでいてもよく、異なる疾患モデルを構築可能なこれらの血管内皮障害リスク因子を複数組み合わせて含んでいてもよい。また、これらの血管内皮障害リスク因子を1種類含んでいてもよく、同じ疾患モデルを構築可能なこれらの血管内皮障害リスク因子を複数種類組み合わせて含んでいてもよい。
また、細胞培養用培地に含まれる血管内皮障害リスク因子の濃度は、所望の疾患モデルを構築することができるように、適宜調整すればよい。
(培養条件)
また、血管内皮障害リスク因子の添加後の培養条件としては、通常の血管内皮細胞を培養する条件であればよい。培養温度は、例えば25℃以上40℃以下であればよく、例えば30℃以上39℃以下であればよく、例えば35℃以上39℃以下であればよい。
また、必要に応じて培養環境を著しく変化させなければ還流等の流体力学的な付加を加えてもよい。
また、培養環境は、例えば、約5%のCO条件下であってもよい。
また、培養方法は、例えば、水平振盪培養、静置培養等が挙げられる。
また、培養時間としては、血管内皮障害リスク因子が血管内皮細胞に作用し、所望の疾患モデルを構築し、それに対する被検化合物の作用を確認するのに有効な時間であればよく、例えば5分以上1時間以下であればよく、例えば、15分以上30分以下であればよい。
[評価工程]
次いで、誘導工程後の被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、被検化合物による血管内皮機能の改善効果を評価する。
グリコカリックス濃度の測定方法としては、当該技術分野において用いられる公知の方法であればよく、例えば、グリコカリックスに特異的に結合する抗体を用いた方法等が挙げられる。
グリコカリックスに特異的に結合する抗体を用いた方法として、より具体的には、例えば、ELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)法(好ましくは、サンドイッチELISA法)、CLEIA(Chemiluminescent Enzyme Immuno Assay)法(化学発光酵素免疫測定法)、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫染色法等が挙げられる。グリコカリックスに特異的に結合する抗体としては、検出したグリコカリックスの種類に応じて、適宜選択して用いればよい。
また、ELISA法を用いてグリコカリックス濃度を測定する場合において、グリコカリックスがシンデカン−1であるとき、例えば、Human Syndecan―1/CD138 ELISA Kit(CellSciences社製)等の従来のELISAキットを用いて測定すればよい。
グリコカリックスがヒアルロン酸であるとき、例えば、ELISA Kit for Human Hyaluronic Acid(HA)(カタログ番号:USCN−E90182Hu、Cloud−Clone社製)等の従来のELISAキットを用いて測定すればよい。
グリコカリックスがグリピカン−1であるとき、例えば、ELISA Kit for Glypican1(GPC1)(カタログ番号:USCN−E91032Hu、Cloud−Clone社製)等の従来のELISAキットを用いて測定すればよい。
グリコカリックスに特異的に結合する抗体を用いた方法を用いてグリコカリックス濃度を測定する方法について、詳細な手順を以下に示す。
まず、誘導工程後の被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液と、グリコカリックスに特異的に結合する抗体とを接触させて、培養液中の抗原(遊離のグリコカリックス)と前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体とによる抗原抗体反応(以下、「1次抗原抗体反応」と称する場合がある。)を行う。この抗原抗体反応は、4℃以上37℃以下にて行うことが好ましい。反応時間については、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体の抗体価及び培養液中の抗原(遊離のグリコカリックス)の量によって、適宜調整することができる。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体は、例えば、緩衝液等を用いて溶解又は希釈して用いればよい。使用する緩衝液としては、当該分野において公知のものから適宜選択でき、例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、クエン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液等が挙げられる。緩衝液は、必要に応じて、NaCl、界面活性剤(例えば、Tween 20、Triton X−100等)及び防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム等)のうち少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。緩衝液の具体例としては、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline;PBS)、PBS−T(PBS−Tween 20)、トリス緩衝生理食塩水(Tris Buffered Saline;TBS)、又はTBS−T(TBS−Tween 20)等が挙げられる。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体がマイクロタイタープレート、チューブ、スライドグラス又はチップ等の支持体に固定されている場合、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体が固定されている支持体に、培養液を滴下し、接触させればよい。また、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体がビーズ、粒子等の支持体に固定されている場合、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体が固定されている支持体を緩衝液等に懸濁し、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体が固定されている支持体を含む溶液と、培養液とを混合して接触させればよい。使用する緩衝液としては、上述において例示したものと同様のものが挙げられる。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に標識物質が結合したものを用いる場合、1次抗原抗体反応を検出してもよい。
また、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体がマイクロタイタープレート、チューブ、スライドグラス又はチップ等の支持体に固定されている場合、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に結合した際に、センサー等により1次抗原抗体反応を検出してもよい。
検出感度及び反応特異性の観点から、2次抗体を用いて、グリコカリックスを検出及び定量することが好ましい。2次抗体を用いた場合の検出方法について、以下に詳細に説明する。
まず、1次抗原抗体反応後、培養液を取り除き、洗浄する。この洗浄は、例えば、緩衝液等を用いて行えばよい。使用する緩衝液としては、上述において例示したものと同様のものが挙げられる。
次いで、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体と、2次抗体を接触させ、グリコカリックス、又は前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体と、2次抗体(前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に標識物質が結合したもの、又は前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に対する抗体に標識物質が結合したもの)と、による抗原抗体反応(以下、「2次抗原抗体反応」と称する場合がある。)を行う。2次抗原抗体反応についても、4℃以上37℃以下にて行うことが好ましい。反応時間については、使用する2次抗体の抗体価によって、適宜調整することができる。
使用する2次抗体としては、後述の<<血管内皮機能改善剤をスクリーニングするためのキット>>の<グリコカリックス検出試薬>の(2次抗体)において例示したものと同様のものが挙げられる。
また、使用する2次抗体は、例えば、緩衝液等を用いて溶解又は希釈して用いればよい。使用する緩衝液としては、上述において例示したものと同様のものが挙げられる。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体がマイクロタイタープレート、チューブ、スライドグラス又はチップ等の支持体に固定されている場合、2次抗体を含む溶液を滴下し、接触させればよい。また、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体がビーズ、粒子等の支持体に固定されている場合、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体が固定されている支持体を含む溶液と、2次抗体を含む溶液とを混合して接触させればよい。
また、2次抗原抗体反応後に、1次抗原抗体反応後と同様に洗浄を行ってもよい。また、2次抗体の標識物質が酵素である場合、酵素基質と接触させる工程、反応停止液を添加して反応を停止させる工程等をさらに備えていてもよい。
次いで、2次抗体を検出することにより、グリコカリックスを検出することができる。さらに、2次抗体を検出することにより、培養液中に含まれるグリコカリックスを定量することができる。検出方法としては、標識物質の種類により、当業者が適宜選択することができる。例えば、標識物質が蛍光物質である2次抗体を検出する場合、蛍光スキャナー又は2光子励起スキャナー等により検出することができる。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体がマイクロタイタープレート、チューブ、スライドグラス又はチップ等の支持体に固定されている場合、検出機構やサンプル分注機構等の解析に必要な周辺装置と組み合わせることによって、全自動あるいは半自動の培養液中のグリコカリックスの検出システムとして提供することができる。この検出システムによれば、培養液中に含まれるグリコカリックスを全自動あるいは半自動で簡便に検出することができる。さらに、培養液中に含まれるグリコカリックスを定量することができる。
本実施形態の評価工程において、得られたグリコカリックス濃度から、被検化合物の添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度が、被検化合物の無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度と比較して低かった場合に、前記被検化合物は血管内皮機能の改善効果を有し、血管内皮機能改善剤として有用であると評価することができる。
一方、被検化合物の添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度が、被検化合物の無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度と比較して同程度、又は高かった場合に、前記被検化合物は血管内皮機能の改善効果を有さないと評価することができる。
<<血管内皮機能改善剤をスクリーニングするためのキット>>
一実施形態において、本発明は、血管内皮細胞と、血管内皮障害リスク因子と、グリコカリックス検出試薬と、を備えるキットを提供する。
本実施形態のキットによれば、簡便且つ1回の採血のみで完了し、有効な血管内皮機能改善剤をスクリーニングすることができる。また、本実施形態のキットによれば、動物実験の代替法として活用でき、よりヒトの生体内に近いインビトロ条件下において、血管内皮機能に対する被検化合物の効果を評価することができる。
<血管内皮細胞>
本実施形態のキットが備える血管内皮細胞としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]の(血管内皮細胞)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える血管内皮細胞は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルを構築できるものであればよい。
<血管内皮障害リスク因子>
本実施形態のキットが備える血管内皮障害リスク因子としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[誘導工程]の(血管内皮障害リスク因子)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える血管内皮障害リスク因子は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルを構築できるものであればよい。
<グリコカリックス検出試薬>
(グリコカリックスに特異的に結合する抗体)
本実施形態のキットが備えるグリコカリックス検出試薬としては、特別な限定はなく、例えば、グリコカリックスに特異的に結合する抗体等であればよい。
本実施形態のキットが備えるグリコカリックスに特異的に結合する抗体は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルでのグリコカリックス濃度を測定できるものであればよい。
本実施形態におけるグリコカリックスに特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよく、さらに抗体の機能的断片であってもよい。中でも、特異性が高く、定量性が優れていることから、グリコカリックスに特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、抗体には、免疫グロブリンのすべてのクラスおよびサブクラスが含まれる。
本明細書中において、「特異的に結合」とは、抗体が標的タンパク質(抗原)にのみ結合することを意味し、例えば試験管内におけるアッセイ、好ましくは精製した野生型抗原を用いたプラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore、GE−Healthcare Uppsala, Sweden等)における抗体の抗原のエピトープへの結合等により定量することができる。結合の親和性は、ka(抗体−抗原複合体からの抗体結合に関する速度定数)、kD(解離定数)、及びKD(kD/ka)によって規定することができる。抗体が抗原に特異的に結合している場合の結合親和性(KD)は、10−8mol/L以下であることが好ましく、10−9M〜10−13mol/Lであることがより好ましい。
本実施形態において、「ポリクローナル抗体」とは、異なるエピトープに対する異なる抗体を含む抗体調製物を意味する。すなわち、本実施形態の抗体がポリクローナル抗体である場合、O結合型GlcNAc化したセリン40残基を含み、且つ、異なるアミノ酸配列からなるエピトープに対し、特異的に結合する異なる抗体を含み得る。
また、「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体(抗体断片を含む)を意味する。
また、ポリクローナル抗体とは対照的に、モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を認識するものを意味する。すなわち、本実施形態の抗体がモノクローナル抗体である場合、自然環境の成分から単離された抗体である。
本実施形態において、抗体の「機能的断片」とは、抗体の一部分(部分断片)であって、標的タンパク質を特異的に認識するものを意味する。具体的には、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、sc(Fv)2、ダイアボディー、多特異性抗体、およびこれらの重合体等が挙げられる。
また、本実施形態のグリコカリックスに特異的に結合する抗体は標識物質が結合していてもよい。
前記抗体の標識物質としては、例えば、安定同位体、放射性同位体、蛍光物質、酵素、磁性体等が挙げられる。中でも、前記抗体の標識物質としては、検出が容易且つ高感度であることから、蛍光物質又は酵素であることが好ましい。上記標識物質を備えることで、培養液中に含まれる遊離のグリコカリックスを簡便且つ高感度に検出及び定量することができる。
安定同位体としては、例えば13C、15N、H、17O、18Oが挙げられ、これらに限定されない。
放射性同位体としては、例えばH、14C、13N、32P、33P、35Sが挙げられ、これらに限定されない。
蛍光物質としては、例えばシアニン色素(例えばCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、その他公知の蛍光色素(例えば、GFP、FITC(Fluorescein)、TAMRA等)等が挙げられ、これらに限定されない。
酵素としては、例えばアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ(HRP)等が挙げられる。標識物質が酵素である場合、酵素基質を使用することが好ましい。酵素基質としては、アルカリホスファターゼの場合、p−ニトロフェニルリン酸(p−nitropheny phosphase;pNPP)、4−メチルウンベリフェリルリン酸(4−MUP)等を用いることができ、酵素がペルオキシダーゼの場合、3,3’−diaminobenzidine(DAB)、3,3’,5,5’−tetramethylbenzidine(TMB)、o−phenylenediamine(OPD)、2,2−アジノ−ジ−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン(ADHP)等を用いることができる。
磁性体としては、例えばガドリニウム、Gd−DTPA、Gd−DTPA−BMA、Gd−HP−DO3A、ヨード、鉄、酸化鉄、クロム、マンガン、又はその錯体、或いはキレート錯体等が挙げられ、これらに限定されない。
(抗体の製造方法)
本実施形態のグリコカリックスに特異的に結合する抗体がポリクローナル抗体である場合、抗原(例えば、シンデカン−1、ヒアルロン酸等のグリコカリックス、該グリコカリックスの断片、又はこれらを発現する細胞等)で免疫動物を免疫し、その抗血清から、従来の手段(例えば、塩析、遠心分離、透析、カラムクロマトグラフィー等)によって、精製して取得することができる。
また、本実施形態のグリコカリックスに特異的に結合する抗体がモノクローナル抗体である場合は、ハイブリドーマ法や組換えDNA法によって作製することができる。
ハイブリドーマ法としては、例えば、コーラーおよびミルスタインの方法(例えば、Kohler & Milstein, Nature, 256:495(1975)参照)等が挙げられる。この方法における細胞融合工程に使用される抗体産生細胞としては、例えば抗原(例えば、シンデカン−1、ヒアルロン酸等のグリコカリックス、該グリコカリックスの断片、又はこれらを発現する細胞等)で免疫された動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル、ヤギ等)の脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球等が挙げられる。また、免疫されていない動物から予め単離された上記の細胞またはリンパ球などに対して、抗原を培地中で作用させることによって得られた抗体産生細胞も使用することができる。ミエローマ細胞としては、公知の種々の細胞株を使用することができる。抗体産生細胞及びミエローマ細胞は、それらが融合可能であれば、異なる動物種起源のものでもよいが、同一の動物種起源のものであることが好ましい。ハイブリドーマを得る方法としては、例えば、抗原で免疫されたマウスから得られた脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞との間の細胞融合により産生され、その後のスクリーニングにより、標的蛋白質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る方法等が挙げられる。ハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体を得る方法としては、例えば標的蛋白質に対するモノクローナル抗体は、ハイブリドーマを培養することにより、また、ハイブリドーマを投与した哺乳動物の腹水から、取得する方法等が挙げられる。
組換えDNA法としては、例えば上記本実施形態の抗体又は抗体の機能的断片をコードするDNAをハイブリドーマやB細胞等からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主細胞(例えば哺乳類細胞株、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞等)に導入し、本実施形態の抗体を組換え抗体として産生させる手法等が挙げられる(例えば、P.J.Delves,Antibody Production:Essential Techniques,1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean Monoclonal Antibodies,2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS、Vandamme A.M.et al.,Eur.J.Biochem.192:767−775(1990)参照)。
本実施形態の抗体をコードするDNAの発現においては、重鎖又は軽鎖をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換してもよく、重鎖及び軽鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換してもよい(例えば、国際特許出願第94/11523号参照)。本実施形態の抗体は、上記宿主細胞を培養し、宿主細胞内又は培養液から分離及び精製し、実質的に純粋で均一な形態で取得することができる。抗体の分離及び精製は、通常のポリペプチドの精製で使用されている方法を使用することができる。トランスジェニック動物作製技術を用いた方法では、例えば、抗体遺伝子が組み込まれたトランスジェニック動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタ等)を作製し、そのトランスジェニック動物のミルクから、抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得する方法等が挙げられる。
本実施形態の抗体は、グリコカリックスに特異的に結合できるものであれば、アミノ酸配列変異体であってもかわない。
アミノ酸配列変異体は、抗体鎖をコードするDNAへの変異導入によって、またはペプチド合成によって作製することができる。抗体のアミノ酸配列が改変される部位は、改変される前の抗体と同等の活性を有する限り、抗体の重鎖または軽鎖の定常領域であってもよく、また、可変領域(フレームワーク領域及びCDR)であってもよい。また、CDRのアミノ酸を改変して、抗原へのアフィニティーが高められた抗体をスクリーニングする手法等を用いてもよい(例えば、PNAS,102:8466−8471(2005)、Protein Engineering,Design&Selection,21:485−493(2008)、国際公開第2002/051870号、J.Biol.Chem.,280:24880−24887(2005)、Protein Engineering,Design&Selection,21:345−351(2008)参照)。
改変されるアミノ酸数は、好ましくは、10アミノ酸以内、より好ましくは5アミノ酸以内、最も好ましくは3アミノ酸以内(例えば、2アミノ酸以内、1アミノ酸)である。アミノ酸の改変は、好ましくは、保存的な置換である。
本明細書中において「保存的な置換」とは、化学的に同様な側鎖を有する他のアミノ酸残基で置換することを意味する。化学的に同様なアミノ酸側鎖を有するアミノ酸残基のグループは、本発明の属する技術分野でよく知られている。例えば、酸性アミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸)、塩基性アミノ酸(リシン・アルギニン・ヒスチジン)、中性アミノ酸においては、炭化水素鎖を持つアミノ酸(グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン・プロリン)、ヒドロキシ基を持つアミノ酸(セリン・スレオニン)、硫黄を含むアミノ酸(システイン・メチオニン)、アミド基を持つアミノ酸(アスパラギン・グルタミン)、イミノ基を持つアミノ酸(プロリン)、芳香族基を持つアミノ酸(フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン)等で分類することができる。アミノ酸配列変異体は、抗原への結合活性が対照抗体(例えば、後述の実施例に記載のO−GlcNAc(RL2)抗体等)よりも高いことが好ましい。
本実施形態の抗体(上述の抗体の機能的断片、アミノ酸配列変異体等も含む)の抗原への結合活性は、例えば、ELISA法、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、免疫染色法等により評価することができる。
(2次抗体)
本実施形態のグリコカリックス検出試薬は、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に加えて、さらに、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に標識物質が結合したもの、又は前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に対する抗体に標識物質が結合したものを2次抗体として備えていてもよい。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に標識物質が結合したものを2次抗体として備える場合、サンドイッチELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)法や抗原測定系による化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)等を用いて、特定のグリコカリックスを検出及び定量することができる。
また、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に対する抗体に標識物質が結合したものを2次抗体として備える場合、抗体測定系によるELISA法、間接蛍光抗体法、抗体測定系によるCLEIA法等を用いて、特定のグリコカリックスを検出及び定量することができる。
前グリコカリックスに特異的に結合する抗体に対する抗体に標識物質が結合したものとしては、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体の由来動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル、ヤギ等)に対する抗体であることが好ましい。例えば、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体の由来がマウスである場合、抗マウス抗体であることが好ましい。また、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体に対する抗体に標識物質が結合したものには、免疫グロブリンのすべてのクラス及びサブクラスが含まれる。
標識物質としては、上述の(グリコカリックスに特異的に結合する抗体)において、例示されたものと同様のものが挙げられる。
(支持体)
本実施形態のグリコカリックス検出試薬において、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体は支持体上に固定化された状態であってもよい。
支持体の形態としては、当該分野において公知のものから適宜選択でき、例えば、マイクロタイタープレート、チューブ、キャピラリチューブ、ビーズ、粒子、濾紙、フィルター、膜、ディスク、スティック、ストリップ、スライドグラス、チップ等が挙げられる。
支持体の材料としては、当該分野において公知のものをいずれも使用でき、例えば、ガラス、樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン、ポリビニルブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、レーヨン等)、セルロース及びその誘導体(例えば、ニトロセルロース等)等が挙げられる。
支持体への前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体の固定方法は、例えば、物理的吸着、共有結合又は非共有結合(例えば、イオン結合、静電結合、疎水性相互作用等)等が挙げられる。
支持体は非特異的吸着を防止するためにブロッキング処理されていることが好ましい。ブロッキング剤は、当該分野において公知のものをいずれも使用でき、例えば、検出対象の哺乳動物以外の哺乳動物の血清アルブミン(例えば、対象がヒトである場合、例えばウシ血清アルブミン(BSA))、脱脂粉乳、カゼイン等が挙げられる。
前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体が固定され、ブロッキング処理された支持体の表面は、水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、或いはヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースのようなセルロースエステル等)、又は非還元多糖類(例えば、スクロース、トレハロース、ラフィノース等)等でコーディングされていてもよい。このようなコーディングにより、支持体上の前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体を含む固相は非常に安定化し、長期間の保存に適する。
(その他)
本実施形態のグリコカリックス検出試薬は、必要に応じて、さらに反応停止液を備えていてもよい。反応停止液としては、例えば、硫酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態のグリコカリックス検出試薬は、さらに、緩衝液を備えていてもよい。緩衝液としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[評価工程]に例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態のグリコカリックス検出試薬において、前記グリコカリックスに特異的に結合する抗体、及び2次抗体は、乾燥状態であってもよく、上述の緩衝液に溶解した上であってもよい。中でも、これらの抗体は、保存安定性から、乾燥状態であることが好ましい。
本実施形態のグリコカリックス検出試薬は、さらに、標準曲線(検量線)作成用の標準溶液、標準溶液希釈剤(例えば、上述の緩衝液等)を備えていてもよい。
本実施形態のグリコカリックス検出試薬は、さらに、洗浄液(例えば、上述の緩衝液等)や、インキュベーションの間に支持体をシールするシーリング材(例えば、支持体がプレートである場合、プレートシール等)を備えていてもよい。
<その他構成>
(細胞培養用培地)
本実施形態のキットは、さらに細胞培養用培地を備えていてもよい。本実施形態のキットが備える細胞培養用培地としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]の(細胞培養用培地)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える細胞培養用培地は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルを構築できるものであればよい。
(検出装置)
本実施形態のキットは、さらに、検出装置を備えていてもよい。検出装置としては、当該分野において公知のものから適宜選択でき、例えば、マイクロプレートリーダー、蛍光スキャナー、2光子励起スキャナー等が挙げられる。
<<血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するための方法>>
一実施形態において、本発明は、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するための方法であって、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、前記培養工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、血管内皮細胞に対する前記被検化合物の血管内皮機能障害性を評価する評価工程と、を備える方法を提供する。
本実施形態の評価方法によれば、1回の採血のみで完了し、簡便に被検化合物の血管内皮機能障害性を評価することができる。また、本実施形態の評価方法によれば、動物実験の代替法として活用でき、よりヒトの生体内に近いインビトロ条件下において、被検化合物の細胞毒性(特に、血管内皮機能障害性)を評価することができる。
本明細書において、「血管内皮機能障害性」とは、内皮グリコカリックス層の生成抑制効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離促進効果を意味する。
よって、本実施形態の評価方法によれば、血管内皮機能障害性、すなわち、内皮グリコカリックス層の生成抑制効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離促進効果を有する被検化合物を判別することができる。
本実施形態の評価方法の各工程について、以下に詳細を説明する。
[準備工程]
上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]と同様の方法を用いて、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養する。
[培養工程]
次いで、準備工程後の血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する。
被検化合物としては、血管内皮細胞に対する細胞毒性(特に、血管内皮機能障害性)を評価したいものであればよく、特別な限定はない。また、被検化合物は、予め細胞培養用培地に混合し、培地交換の際に被検化合物含有細胞培養用培地を添加すればよい。また、被検化合物の有効量を推定するために、細胞培養用培地中の被検化合物の濃度をふったものを用意して、用いてもよい。
被検化合物を添加したサンプル、及び被検化合物を添加していないサンプルを準備し、続く評価工程において比較することで、血管内皮機能障害性を評価することができる。
使用する細胞培養用培地としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、使用する細胞培養培地は、成長因子を実質的に含まないものであることが好ましい。
また、培養条件としては、通常の血管内皮細胞を培養する条件であればよい。培養温度は、例えば25℃以上40℃以下であればよく、例えば30℃以上39℃以下であればよく、例えば35℃以上39℃以下であればよい。
また、必要に応じて培養環境を著しく変化させなければ還流等の流体力学的な付加を加えてもよい。
また、培養環境は、例えば、約5%のCO条件下であってもよい。
また、培養方法は、例えば、水平振盪培養、静置培養等が挙げられ、中でも、水平振盪培養であることが好ましい。振盪速度については、例えば、ヒトの生理的な毛細血管から細動脈までの流れずり応力とされる2.5dynes/cm以上5dynes/cm以下となるように調整すればよい。
また、培養時間としては、被検化合物が血管内皮細胞に作用し、血管内皮機能障害性、(内皮グリコカリックス層の生成抑制効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離促進効果)を奏するのに有効な時間であればよく、例えば5分以上1時間以下であればよく、例えば、15分以上30分以下であればよい。
[評価工程]
次いで、培養工程後の被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価する。
グリコカリックス濃度の測定方法としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[評価工程]において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態の評価工程において、得られたグリコカリックス濃度から、被検化合物の添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度が、被検化合物の無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度と比較して同程度、又は低かった場合に、前記被検化合物は血管内皮機能障害性を有さず、各種疾患の候補薬剤として有用であると評価することができる。
一方、被検化合物の添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度が、被検化合物の無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度と比較して高かった場合に、前記被検化合物は血管内皮機能障害性、すなわち細胞毒性を有すると評価することができる。
<<血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するためのキット>>
一実施形態において、本発明は、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するためのキットであって、血管内皮細胞と、グリコカリックス検出試薬と、を備えるキットを提供する。
本実施形態のキットによれば、1回の採血のみで完了し、簡便に被検化合物の血管内皮機能障害性を評価することができる。また、本実施形態のキットによれば、動物実験の代替法として活用でき、よりヒトの生体内に近いインビトロ条件下において、被検化合物の細胞毒性(特に、血管内皮機能障害性)を評価することができる。
<血管内皮細胞>
本実施形態のキットが備える血管内皮細胞としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]の(血管内皮細胞)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える血管内皮細胞は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の血管内皮細胞による内皮グリコカリックス層を構築できるものであればよい。
<グリコカリックス検出試薬>
本実施形態のキットが備えるグリコカリックス検出試薬としては、上述の<<血管内皮機能改善剤をスクリーニングするためのキット>>の<グリコカリックス検出試薬>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
<その他構成>
(細胞培養用培地)
本実施形態のキットは、さらに細胞培養用培地を備えていてもよい。本実施形態のキットが備える細胞培養用培地としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]の(細胞培養用培地)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える細胞培養用培地は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の血管内皮細胞による内皮グリコカリックス層を構築できるものであればよい。
(検出装置)
本実施形態のキットは、さらに、検出装置を備えていてもよい。検出装置としては、当該分野において公知のものから適宜選択でき、例えば、マイクロプレートリーダー、蛍光スキャナー、2光子励起スキャナー等が挙げられる。
<<循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するための方法>>
一実施形態において、本発明は、循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するための方法であって、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加し、培養する培養工程と、前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、前記誘導工程後の前記循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、を備える方法を提供する。
本実施形態の評価方法によれば、1回の採血のみで完了し、簡便に循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価することができる。
一般に、「疾病管理」とは、費用対効果に着目し、費用をコントロールしながら質の高い医療を提供するアウトカムマネジメントの手法の1つであり、主に、慢性疾患のコントロールに活用され、総合的に管理する方法である。疾病管理は、退院前教育、食事療法の指導、生活習慣の指導、服薬指導、カウンセリング、退院後の電話及び訪問、退院後のリハビリテーション等を含む。中でも、本実施形態の評価方法における疾病管理は、食事療法の指導、生活習慣の指導、服薬指導、リハビリテーションを示し、それらの疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価することができる。
また、本実施形態の評価方法が適用される循環器疾患としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態の評価方法の各工程について、以下に詳細を説明する。
[準備工程]
上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]と同様の方法を用いて、血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養する。
[培養工程]
次いで、準備工程後の血管内皮細胞を、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加し、培養する。
循環器疾患を有する被検体の疾病管理前の血清は、疾病管理前に採取した血液試料から調製し、使用するまで冷凍保存しておけばよい。また、循環器疾患を有する被検体の疾病管理後の血清は、疾病管理後に採取した血液試料から調製すればよい。また、疾病管理後の血液試料を採取するタイミングとしては、疾病の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、疾病管理開始から、1ヶ月以上12ヶ月以下の期間であればよく、定期健診の際に血液試料を採取すればよい。また、継続的に血液試料を採取し、調整した血清を用いた評価を行うことで、疾病管理後の血管内皮機能の改善効果の経時的な変化を評価することができる。
また、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清は、予め細胞培養用培地に混合し、培地交換の際に血清含有細胞培養用培地を添加すればよい。細胞培養用培地における血清の含有量は、例えば5質量%以上20質量%以下であればよく、例えば10質量%程度であればよい。
循環器疾患を有する被検体の疾病管理前の血清を添加したサンプル、及び循環器疾患を有する被検体の疾病管理後の血清を添加したサンプルを準備し、続く誘導工程を経て、評価工程において比較することで、疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価することができる。
使用する細胞培養用培地としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、使用する細胞培養培地は、成長因子を実質的に含まないものであることが好ましい。
また、培養条件としては、通常の血管内皮細胞を培養する条件であればよい。培養温度は、例えば25℃以上40℃以下であればよく、例えば30℃以上39℃以下であればよく、例えば35℃以上39℃以下であればよい。
また、必要に応じて培養環境を著しく変化させなければ還流等の流体力学的な付加を加えてもよい。
また、培養環境は、例えば、約5%のCO条件下であってもよい。
また、培養方法は、例えば、水平振盪培養、静置培養等が挙げられ、中でも、水平振盪培養であることが好ましい。振盪速度については、例えば、ヒトの生理的な毛細血管から細動脈までの流れずり応力とされる2.5dynes/cm以上5dynes/cm以下となるように調整すればよい。
また、培養時間としては、被検化合物が血管内皮細胞に作用し、血管内皮機能改善効果(内皮グリコカリックス層の生成促進効果、又は内皮グリコカリックス層の遊離抑制効果)を奏するのに有効な時間であればよく、例えば30分以上2時間以下であればよく、例えば、1時間程度であればよい。
[誘導工程]
次いで、培養工程後の血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し培養することで、グリコカリックスの遊離を誘導する。
血管内皮障害リスク因子としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[誘導工程]の(血管内皮障害リスク因子)において例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、誘導工程における培養条件としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[誘導工程]の(培養条件)において例示されたものと同様のものが挙げられる。
[評価工程]
次いで、誘導工程後の循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価する。
グリコカリックス濃度の測定方法としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[評価工程]において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態の評価工程において、得られたグリコカリックス濃度から、循環器疾患を有する被検体の疾病管理後の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度が、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度と比較して低かった場合に、前記疾病管理は血管内皮機能の改善効果を有し、当該疾病管理(例えば、食事療法の指導、生活習慣の指導、服薬指導、リハビリテーション)が循環器疾患に有効であると評価することができる。
一方、循環器疾患を有する被検体の疾病管理後の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度が、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度と比較して同程度、又は高かった場合に、前記疾病管理は血管内皮機能の改善効果を有さないと評価することができる。
<<循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するためのキット>>
一実施形態において、本発明は、循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するためのキットであって、血管内皮細胞と、血管内皮障害リスク因子と、グリコカリックス検出試薬と、を備えるキットを提供する。
本実施形態のキットによれば、1回の採血のみで完了し、簡便に循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価することができる。
<血管内皮細胞>
本実施形態のキットが備える血管内皮細胞としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]の(血管内皮細胞)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える血管内皮細胞は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルを構築できるものであればよい。
<血管内皮障害リスク因子>
本実施形態のキットが備える血管内皮細胞としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[誘導工程]の(血管内皮障害リスク因子)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える血管内皮障害リスク因子は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルを構築できるものであればよい。
<グリコカリックス検出試薬>
本実施形態のキットが備えるグリコカリックス検出試薬としては、上述の<<血管内皮機能改善剤をスクリーニングするためのキット>>の<グリコカリックス検出試薬>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
<その他構成>
(細胞培養用培地)
本実施形態のキットは、さらに細胞培養用培地を備えていてもよい。本実施形態のキットが備える細胞培養用培地としては、上述の<<血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法>>の[準備工程]の(細胞培養用培地)に例示されたものと同様のものが挙げられる。本実施形態のキットが備える細胞培養用培地は1種類であってもよく、2種類以上であってもよく、所望の疾患のインビトロ系モデルを構築できるものであればよい。
(検出装置)
本実施形態のキットは、さらに、検出装置を備えていてもよい。検出装置としては、当該分野において公知のものから適宜選択でき、例えば、マイクロプレートリーダー、蛍光スキャナー、2光子励起スキャナー等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]グルコース添加によるグリコカリックスの遊離試験
(1)準備工程
ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cells;HUVEC)を用いて、試験を行った。96ウェルプレートにHUVECを1×10細胞/mLとなるように播種した。次いで、血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor;VEGF)含有改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium:DMEM)を用いて、COインキュベーターにて37℃で一晩静置培養した。次いで、100%コンフルエントとなったことを確認し、試験に用いた。
(2)誘導工程
血管内皮障害リスク因子として、グルコースを用いて、試験を行った。次いで、(1)で準備した細胞の培地をVEGF不含のDMEMに交換し、グルコース濃度が0.05mM、5mM、15mM、及び30mMとなるようにそれぞれ添加し、グリコカリックスの遊離を誘導した。次いで、COインキュベーターにて37℃で培養した。
(3)評価工程
次いで、グルコースの添加から20分後、2時間後、6時間後、12時間後、24時間後において、培養上清を採取し、4℃、1,500rpm、5分で遠心し、上清を採取した。次いで、グリコカリックスの一つであるCD138を検出した。具体的には、Human Syndecan−1 ELISA Kit(CD138)(アブカム社製)を用いて、サンドイッチELISA法により検出を行った。まず、抗Syndecan−1モノクローナル抗体がコーティングされた96ウェルプレートに上清、又は既知の濃度のSyndecan−1を含む標準試薬を滴下し、室温で60分間インキュベーションした。このとき、上清、又は標準試薬には、ビオチン化抗Syndecan−1モノクローナル抗体を混合し、用いた。次いで、Wash Bufferを用いて洗浄後、ビオチン化抗Syndecan−1モノクローナル抗体に特異的に結合するストレプトアビジン結合HRPを滴下し、室温で30分間インキュベートした。次いで、Wash Bufferを用いて洗浄後、TMB基質溶液を滴下し、室温及び遮光条件下で12分間インキュベートし、反応停止液を滴下した。次いで、マイクロプレートリーダーを用いて、染色されたSyndecan−1(CD138)を検出した。結果を図1に示す。
図1から、30mMという高グルコース濃度において、20分という短時間で遊離したグリコカリックスを検出できることが明らかとなった。
[実施例2]異なる血管内皮障害リスク因子の添加によるグリコカリックスの遊離比較試験
(1)準備工程
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、HUVECを培養し、100%コンフルエントとなったことを確認し、試験に用いた。
(2)誘導工程
次いで、血管内皮障害リスク因子として、濃度をふったグルコースの代わりに、50mM及び100mMグルコース、50mM及び100mM過酸化水素(H)、0.5%エタノール、100μM酸化LDLを用いた以外は、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、グリコカリックスの遊離を誘導した。
(3)評価工程
次いで、各血管内皮障害リスク因子の添加から0分後、10分後、20分後、30分後において、培養上清を採取し、実施例1の(3)と同様の方法を用いて、サンドイッチELISA法によりグリコカリックスの一つであるCD138を検出した。結果を図2に示す。
(4)結果
図2から、いずれの血管内皮障害リスク因子においても、添加から20分後にグリコカリックスの遊離がピークを迎えることが明らかとなった。
[実施例3]糖尿病患者血清を用いたグリコカリックス形成能評価試験
(1)準備工程
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、HUVECを培養し、100%コンフルエントとなったことを確認し、試験に用いた。
(2)培養工程
準備工程後のHUVECから培地を捨てて、健常者2名、又は糖尿病患者3名由来の血清を10%含むVEGF不含のDMEMに交換し、1時間培養した。また、コントロールとして、血清及びVEGF不含のDMEMに交換したサンプルも準備し、1時間培養した。培養方法としては、静置培養又は振盪培養にて行った。振盪培養では、ヒトの生理的な毛細血管から細動脈までの流れずり応力とされる2.5〜5dynes/cmに相当する振盪にて行った。
(3)誘導工程
次いで、血管内皮障害リスク因子として、濃度をふったグルコースの代わりに、50mM過酸化水素(H)を用いた以外は、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、グリコカリックスの遊離を誘導した。
(4)評価工程
次いで、添加から20分後において、培養上清を採取し、実施例1の(3)と同様の方法を用いて、サンドイッチELISA法によりグリコカリックスの一つであるCD138を検出した。また、健常者2名、又は糖尿病患者3名由来の血清に含まれるCD138についても検出した。結果を図3に示す。図3において、「Control1」及び「Control2」が健常者2名の血清を用いたサンプルであり、「Patient1」、「Patient2」、及び「Patient3」が糖尿病患者3名の血清を用いたサンプルである。
(5)結果
図3から、健常者2名の血清を用いたサンプルでは、糖尿病患者3名の血清を用いたサンプルと比較して、血清中濃度に対する静置培養及び振盪培養後のグリコカリックスの濃度が有意に上昇することが明らかとなった。この結果から、健常者2名のほうが糖尿病患者3名よりもグリコカリックスの形成能が高いこと示唆された。
また、図3から、いずれのサンプルにおいても、静置培養よりも振盪培養のほうがグリコカリックスの濃度が高くなることが明らかとなった。
[実施例4]D−グルコースを用いたグリコカリックス形成能評価試験
(1)準備工程
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、HUVECを培養し、100%コンフルエントとなったことを確認し、試験に用いた。
(2)培養工程
準備工程後のHUVECから培地を捨てて、0.05mM、5mM、又は15mMの各濃度のD−グルコース及びウシ胎児血清を10%含むVEGF含有のECMに交換し、1時間震蘯培養した。
(3)誘導工程
次いで、血管内皮障害リスク因子として、濃度をふったグルコースの代わりに、50mM、又は100mMの過酸化水素を用いて、グリコカリックスの遊離を誘導した。
(4)評価工程
次いで、添加から20分後において、培養上清を採取し、実施例1の(3)と同様の方法を用いて、サンドイッチELISA法によりグリコカリックスの一つであるCD138を検出した。結果を図4に示す。
(5)結果
図4から、0.05mMのグルコースを用いたサンプルと比較して、5mM、又は15mMのグルコース存在下で震蘯培養を行ったサンプルにおいて、グリコカリックスの濃度が有意に上昇することが明らかとなった。この結果から、グリコカリックス形成過程において5mM及び15mMグルコース存在下での震蘯培養は0.05mMグルコース存在下と比較し、グリコカリックス産生能が高いことが示唆された。
[実施例5]経口抗凝固薬リバーロキサバン(FXa阻害薬)を用いた血管内皮機能障害軽減効果評価試験
(1)準備工程
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、HUVECを培養し、100%コンフルエントとなったことを確認し、試験に用いた。
(2)培養工程
準備工程後のHUVECから培地を捨てて、15mMのD−グルコース、又は0.1μg/mL、1μg/mL、若しくは10μg/mLの各濃度のリバーロキサバンを含むVEGF不含のECMに交換し、1時間震蘯培養した。リバーロキサバンは、第Xa因子の働きを阻害することによって、血液凝固能を低下させる薬物である。
(3)誘導工程
次いで、血管内皮障害リスク因子として、濃度をふったグルコースの代わりに、0mM(過酸化水素無添加)、50mM、又は100mM過酸化水素を用いて、グリコカリックスの遊離を誘導した。
(4)評価工程
次いで、添加から20分後において、培養上清を採取し、実施例1の(3)と同様の方法を用いて、サンドイッチELISA法によりグリコカリックスの一つであるCD138を検出した。結果を図5に示す。図5において、「Rivaroxaban(−)」とは、リバーロキサバンを含有せず、15mMのD−グルコースを用いて、培養工程を行ったサンプルを示す。
(5)結果
図5から、リバーロキサバンを含む培地で培養することにより、グリコカリックスの遊離が抑制されることが明らかとなった。この結果から、リバーロキサバンには何らかのグリコカリックス保護作用があることが示唆された。
[実施例6]各パッセージのHUVECを用いた過酸化水素刺激によるグリコカリックス(CD138)の産生能評価試験
(1)準備工程
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、細胞の***回数が異なるHUVEC(パッセージ3〜7)を培養し、100%コンフルエントとなったことを確認し、試験に用いた。HUVECは初代培養を用い、1回の継代で1:3〜4となるように細胞数を調整したうえで播種し、パッセージ3〜7の各パッセージになるまで繰り返し培養増殖させた細胞を使用した。また、次の継代は90〜95%コンフルエントの時点で行った。
(2)培養工程
準備工程後のHUVECから培地を捨てて、0.05mM、又は15mMのD−グルコースと10%FBSとを含むVEGF含有のECMに交換し、1時間震蘯培養した。
(3)誘導工程
次いで、血管内皮障害リスク因子として、50mM、又は100mM過酸化水素を用いて、グリコカリックスの遊離を誘導した。
(4)評価工程
次いで、添加から20分後において、培養上清を採取し、実施例1の(3)と同様の方法を用いて、サンドイッチELISA法によりグリコカリックスの一つであるCD138を検出した。結果を図6に示す。図6において、横軸の「PN(Nは1以上の任意の整数)」とは、N回の継代培養細胞を用いたサンプルを示す。
(5)結果
図6から、パッセージ3〜6においては十分なグリコカリックス濃度が得られたが、パッセージ7においては、同条件におけるグリコカリックス濃度は低下しており、細胞老化によるグリコカリックス産生低下が明らかとなった。この結果から、グリコカリックス産生及び遊離の評価においては、パッセージ6までのHUVECを使用すべきであることが示唆された。
本発明によれば、1回の採血のみで完了し、且つ、高い再現性を有する血管内皮機能の測定方法を用いた血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法、血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性の評価方法、及び循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果の評価方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 血管内皮機能改善剤のスクリーニング方法であって、
    血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、
    前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、
    前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、
    前記誘導工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記被検化合物による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 血管内皮機能改善剤をスクリーニングするためのキットであって、
    血管内皮細胞と、
    血管内皮障害リスク因子と、
    グリコカリックス検出試薬と、
    を備えることを特徴とするキット。
  3. 血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するための方法であって、
    血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、
    前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、被検化合物の添加、又は無添加条件にて培養する培養工程と、
    前記培養工程後の前記被検化合物の添加、又は無添加条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、血管内皮細胞に対する前記被検化合物の血管内皮機能障害性を評価する評価工程と、
    を備えることを特徴とする方法。
  4. 血管内皮細胞に対する被検化合物の血管内皮機能障害性を評価するためのキットであって、
    血管内皮細胞と、
    グリコカリックス検出試薬と、
    を備えることを特徴とするキット。
  5. 循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するための方法であって、
    血管内皮細胞をコンフルエントの状態となるように培養し、準備する準備工程と、
    前記準備工程後の前記血管内皮細胞を、循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加し、培養する培養工程と、
    前記培養工程後の前記血管内皮細胞に血管内皮障害リスク因子を添加し、グリコカリックスの遊離を誘導する誘導工程と、
    前記誘導工程後の前記循環器疾患を有する被検体の疾病管理前、又は疾病管理後の血清を添加した条件での培養液中に含まれるグリコカリックス濃度を測定し、前記疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価する評価工程と、
    を備えることを特徴とする方法。
  6. 循環器疾患を有する被検体における疾病管理による血管内皮機能の改善効果を評価するためのキットであって、
    血管内皮細胞と、
    血管内皮障害リスク因子と、
    グリコカリックス検出試薬と、
    を備えることを特徴とするキット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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