JP2018012853A - 厚鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
70mm以下の板厚では冷却速度を高めることにより厚鋼板の焼入れ性の不足を補うことができる。しかし、70mmを超える板厚では、1/2t部の冷却速度は板厚に依存して決まる。このため、厚鋼板の1/2t部の焼入れ性が低下し、必要な強度を得られない。したがって、厚鋼板の化学組成を最適化することにより所望の強度を確保しながら、良好なアレスト特性を得られる金属組織と、加熱および圧延条件を見出す必要がある。
良好なアレスト特性を確保するためには、結晶粒の微細化が望ましいことが一般的に知られる。しかし、板厚が70mmを超える場合には、厚鋼板の化学組成と製造条件を調整することだけでは、従来知見されている結晶粒径を得ることは難しい。したがって、厚鋼板の表層から板厚方向の内部に至るまでの金属組織を精緻に制御する必要がある。
船舶の建造時には溶接を用いるため溶接部の特性の確保が課題である。特に板厚が50mm以上の厚鋼板では、溶接時の入熱量が増加するため、溶接熱影響部の低温靱性の確保が困難になる。HAZ靱性の確保のためには、破壊起点となり易い金属組織の形成を抑制する必要がある。
海洋構造物に用いられる鋼材をベースに、強度を高める化学成分と靭性の影響を、板厚が100mmの厚鋼板を用いて検討した。Ni,Mo,V含有量と靭性の関係を調査した結果、Ni含有量によらず靭性の低下はみられなかったが、Mo,V含有量が増加すると靭性が著しく低下した。このことから、板厚が70mm超の厚鋼板に関しては、Niが強度および靭性の向上を図るために最適な元素であることが判明した。
板厚が70〜100mmまで大型コンテナ船用の厚鋼板(EH47)の強度規格を満足するために必要な炭素当量Ceqについて、各種の化学組成を有する厚鋼板を用いて圧延条件や焼戻し条件を変更して、炭素当量Ceqと、各1/2t部における強度との関係を調査した。その結果、板厚が70mmの場合には炭素当量Ceq.を0.40以上とすることにより、板厚が100mmの場合には炭素当量Ceq.を0.47以上とすることにより、1/2t部の強度を満足できることが判明した。また、炭素当量Ceq.を0.52超とすると、強度が高くなり過ぎ、靭性が低下することが判明した。
下記(1)式で示される炭素当量Ceq.が0.40〜0.52であり、
以下に規定する(a)〜(f)項を満足するとともに、
板厚が70mm超である、厚鋼板。
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・・(1)
該鋼片を、厚さ方向の中心部が1000℃超1150℃以下になるように、加熱し、
該鋼片の厚さ方向の中心部が1000℃超1150℃以下にある時に、該鋼片に累積圧下率15〜60%、および各パスの平均圧下率3.5%以上の再結晶域圧延を行った後、
放冷し、
前記1/2t部の温度がAr3以上950℃以下にある時に、累積圧下率40%以上、および各パスの平均圧下率5.0%以上の未再結晶域圧延を行い、
さらに、該未再結晶域圧延の最終パス開始温度を板表面の温度で(Ar3−20)〜(Ar3+30)℃として圧延を完了し、
次いで、加速冷却を開始し、板表面の温度で550℃以下まで加速冷却を行う、
1〜4項のいずれかに記載の厚鋼板の製造方法。
はじめに必須元素を説明する。
Cは、厚鋼板の強度を高める元素である。C含有量が0.04%未満では、この効果を得られない。一方、C含有量が0.12%を超えると、厚鋼板の強度の上昇により靭性、溶接性、HAZ靭性および継手CTOD特性がいずれも低下するとともに、アレスト特性が低下する。
Siは、脱酸元素であるとともに厚鋼板の強度に有効な元素である。Si含有量が0.05%未満では、これらの効果を得られない。一方、Si含有量が0.50%を超えると、溶接熱影響部が硬化することによりHAZ靭性および継手CTOD特性が低下する。
Mnは、厚鋼板の焼入れ性を高め、厚鋼板の強度および靭性を高める元素である。Mn含有量が1.30%未満では、これらの効果を得られない。一方、Mn含有量が2.20%を超えると、中心偏析が顕著となり、厚鋼板の1/2t部の靭性が顕著に低下するとともに、アレスト特性が低下する。
Pは、不純物元素であり、厚鋼板の機械的特性を低下させ、特に、低温靭性を低下させる。したがって、P含有量は0.020%以下である。P含有量は、なるべく低いほうが好ましく、0.015%以下であることが好ましい。
Sは、Mnと結合してMnSを形成する。MnSを複合析出させるため、S含有量は0.0010%以上とする。一方、Sが過剰に含まれると、粗大な単体MnSの析出につながり、靱性低下の要因となる。このため、S含有量は0.0100%以下である。S含有量は、MnS複合析出、HAZ靱性および継手CTOD特性を確保するため、0.0020%以上であることが好ましく、0.0050%以下であることがさらに好ましい。
Cuは、鋼に固溶して靭性を損なわずに強度を高めることができ、アレスト特性を改善する。Cu含有量が0.05%未満では、これらの効果を得られない。一方、Cu含有量が1.00%を超えると、厚鋼板の靭性の低下、および、析出物の増加によりアレスト特性が低下し、さらに、熱間での加工の際に表面に微小な割れが発生する。
Niは、鋼に固溶して靭性を損なわずに強度を高めることができ、アレスト特性を改善する。Ni含有量が0.05%未満では、これらの効果を得られない。一方、Niは高価な元素であり、過剰な添加は製造コストの上昇を招く。したがって、Ni含有量は0.05〜1.50%である。Ni含有量は、0.30%以上であることが好ましく、1.10%以下であることが好ましい。
Nbは、本発明に係る厚鋼板において重要な元素である。Nbは、微量の添加により、未再結晶オーステナイト域を拡大し、組織微細化による強度およびアレスト特性の改善に寄与する。さらに、Nbは、変態強化および析出強化にも寄与する。
Tiは、本発明に係る厚鋼板において重要な元素である。Tiは、Ti系酸化物を形成し、粒内フェライトの生成核として作用する。さらにTi系酸化物を形成後に残ったTiは、TiNを形成し、鋼片の加熱時にオーステナイト粒径が大きくなることを抑制する。オーステナイト粒径が大きくなると、変態後のベイナイトの粒径も大きくなる。
sol.Alは、不純物元素であり、Al含有量の増加により、Ti系酸化物の生成が抑制される。その結果、HAZ靭性および継手CTOD特性が低下する。そのため、sol.Al含有量は0.005%以下とする。
Oは、Ti系酸化物を生成するために必要な元素である。O含有量は、充分な介在物の面分散密度を得るため、0.0010%以上とする。一方、Oを過剰に含有すると、破壊の起点となり得る粗大な酸化物系介在物が形成され易くなる。そのため、O含有量は0.0050%以下とする。粗大な酸化物系介在物の形成を抑制する観点から、O含有量は、0.0030%以下であることが好ましい。
Nは、Tiと結合してTiNを形成し、オーステナイト粒の粗大化を抑制する。N含有量が0.0010%未満では、この効果を得られない。一方、N含有量が0.0100%を超えると、不純物として存在するため、靭性の低下を招き、その結果、アレスト特性を劣化させる。
Crは、厚鋼板の強度を高める元素であるため、必要に応じて含有してもよい。しかし、Cr含有量が0.50%を超えると、厚鋼板の強度の増加に伴う靭性の低下が顕著になる。したがって、Cr含有量は0.50%以下である。
Moは、厚鋼板の強度を高める元素であるため、必要に応じて含有してもよい。しかし、Mo含有量が0.35%を超えると、厚鋼板の強度の増加に伴う靭性の低下が顕著になるとともにアレスト特性が低下する。したがって、Mo含有量は0.35%以下である。
Vは、炭窒化物を形成し、厚鋼板を析出強化する作用を有するため、必要に応じて含有してもよい。しかし、V含有量が0.15%を超えると、析出強化に伴う靭性の低下が顕著になる。したがって、V含有量は0.15%以下である。
Bは、微量含有することにより焼入れ性を高める元素であり、必要に応じて含有してもよい。しかし、B含有量が0.0030%を超えると、効果が飽和するとともに、HAZ靭性を低下させる。したがって、B含有量は0.0030%以下である。
Caは、HAZ靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有してもよい。しかし、Ca含有量が0.010%を超えると、HAZ靭性および溶接性が低下する。したがって、Ca含有量は0.010%以下である。
Mgは、HAZ靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有してもよい。しかし、Mg含有量が0.0050%を超えると、HAZ靭性および溶接性が低下する。したがって、Mg含有量は0.0050%以下である。
REMは、HAZ靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有してもよい。しかし、REM含有量が0.0050%を超えると、HAZ靭性および溶接性が低下する。そのため、REM含有量は0.0050%以下である。
鋼板の炭素当量Ceq.は、式(1):Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5により求められる。炭素当量Ceq.が0.40%未満であると、1/2t部まで焼きが入らず、降伏強度460MPa以上の高強度を得られないとともに、靭性が低下することもある。一方、炭素当量Ceq.が0.52%を超えると、必要な強度を容易に得ることができるが、靭性、溶接性およびアレスト特性が低下するとともに、製造コストが増加する。したがって、炭素Ceq.は0.40〜0.52%とする。
本発明に係る厚鋼板は、以上の化学組成を有し、残部はFeおよび不純物である。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや、製造工程において含まれるものが例示される。
以下に示す(2−1)〜(2−6)項の規定を全て満足することにより、高強度および良好なアレスト特性および継手CTOD特性を得られる。
厚鋼板の表層5mm以内のL断面に形成される組織の短軸と長軸の比であるアスペクト比の平均が1.5以上である。このアスペクト比を1.5以上にすることは、本発明に係る厚鋼板が良好なアレスト特性を有するために最も重要な因子の一つである。
本発明では、厚鋼板に良好な強度を付与するために、フェライトとベイナイトの組織分率を調整する。本発明に係る厚鋼板は、基本的にフェライトおよびベイナイトの複合組織からなる。本発明に係る厚鋼板の製造にあたっては、焼戻しを行う場合があるが、ベイナイトと焼戻しベイナイト、マルテンサイトと焼戻しマルテンサイトを区別せずに扱ってよい。
1/4t部,1/2t部の平均フェライト粒径は,それぞれ、10μm以下,12μm以下である。フェライト粒径がこれを超えると、有効結晶粒径が顕著に微細化されず、良好なアレスト特性を得られない。フェライト粒径は微細化するほどアレスト特性が良好になるものの、70mmを超える板厚の厚鋼板では、フェライト粒径の微細化を達成するには低温で圧下率を高くした圧延を行わなければならず、圧延装置への負担が高まり、製造が困難になる。
1/4t部,1/2t部の有効結晶粒径の平均値は、それぞれ22.0μm以下,32.0μm以下である。有効結晶粒径は良好なアレスト特性を得るのに最も重要な因子であり、微細化するほどアレスト特性が良好になる。そのため、1/4t部,1/2t部の有効結晶粒径が22.0μm,32.0μmを超えると、良好なアレスト特性を得られない。
本発明に係る厚鋼板では、介在物中のMnS量を規定する手法として、任意の切断面における複合介在物の断面積に占めるMnSの面積率を測定する。
複合介在物の径が0.5μm未満であると、周囲から吸収できるMn量が少なく、粒内フェライトの生成に必要なMn欠乏層の形成が困難になる。一方、複合介在物の径が5μmより大きいと、複合介在物自体が破壊の起点になる。このため、径が0.5〜5.0μmの複合介在物を対象とする。
本発明に係る板厚が70mmを超える厚鋼板は、良好なアレスト特性を有する。板厚の上限は特に設けないが、本発明によれば、板厚が120mmまでは良好なアレスト特性および継手CTOD特性を得られる。
(4−1)降伏強さ:460MPa以上、引張強さ:570〜720MPa
本発明に係る厚鋼板は、YP47級に関する。このため、本発明に係る厚鋼板の降伏強さは460MPa以上であり、引張強さは570〜720MPaである。
本発明に係る厚鋼板は、−10℃におけるKca値が6000N/mm1.5以上の優れたアレスト特性を有する鋼材に関する。Kca値は、温度勾配型のESSO試験を実施して評価する。
本発明に係る厚鋼板の1/2t部における、Vノッチ付シャルピー衝撃試験による破面遷移温度vTrsは、−40℃以下である。
本発明に係る厚鋼板の継手CTOD試験における限界亀裂進展長さδcは、試験温度−10℃で0.4mm以上である。
(5−1)製鋼および連続鋳造工程
本発明に係る厚鋼板は、RH真空脱ガス装置でのTi添加前の酸素ポテンシャルOXPが10〜60ppmに制御されて鋳造された鋼片を素材として、製造される。
鋼片の加熱温度は、厚さ方向の中心部の温度を基準として1000℃超1150℃以下とする。
鋼片の厚さ方向の中心部が1000℃超1150℃以下である温度域において累積圧下率で15%以上60%以下とし、各パスの平均圧下率を3.5%以上として再結晶域圧延を行う。
再結晶域圧延後、鋼板を放冷する。水冷により未再結晶域まで冷却すると、表面は冷却されるものの1/2t部の冷却が進まず、表面と1/2t部の温度差が大きくなる。このような状態で未再結晶域圧延を行うと、表面の結晶粒径は小さくなるのに対し、1/2t部の結晶粒径が粗大化する。このため、表面と1/2t部の温度差を小さくし、1/2t部の結晶粒も小さくできるように、放冷する。
1/2t部の温度がAr3以上950℃以下で累積圧下率40%以上、各パスの平均圧下率を5.0%以上の未再結晶域圧延を行う。
さらに、未再結晶域圧延の最終パス開始温度を板表面で(Ar3−20℃)〜(Ar3+30℃)として圧延を完了する。
次いで、加速冷却を開始し、板表面の温度で550℃以下まで加速冷却を行う。
焼戻し温度は350℃以上650℃以下である。焼戻し温度が350℃未満であると、焼戻しの効果が不十分になるとともに、350℃以上での焼戻しにより得られる効果と同等の効果を得るためには、長時間の熱処理が必要になり、工業的でない。
(a)介在物(MnS面積率、MnS周長率、個数密度)
(b)金属組織(アスペクト比、フェライト分率、フェライト粒径、有効結晶粒径)
(c)降伏強さおよび引張強さ
(d)母材靭性
(e)アレスト特性
(f)継手CTOD特性
を測定した。
介在物分析用の試験片は、試料No.1〜36の厚鋼板の1/4t部より採取した。
試料No.1〜36の厚鋼板の1/4t,1/2t部よりサンプルを切り出し、ナイタール腐食した組織を光学顕微鏡の500倍で撮影し、フェライトの面積率および結晶粒径と表層5mm以内のアスペクト比を測定して求めた。また,有効結晶粒径はコロイダルシリカで仕上げたサンプルを1mm×2mmの領域を2μmステップでEBSD測定し、15°傾角を粒界として測定して求めた。
試料No.1〜36の厚鋼板1/4t,1/2t部よりJIS5号引張試験片を切り出し、引張試験を行うことにより、板厚の1/4t部,1/2t部それぞれにおける降伏強さおよび引張強さを測定して求めた。降伏強さ:460MPa以上、引張強さ:570〜720MPaを合格とした。
試料No.1〜36の厚鋼板の表面,1/4t部,1/2t部それぞれから試験片を切り出し、Vノッチ付シャルピー衝撃試験を行って破面遷移温度vTrsを求めた。破面遷移温度vTrsが−40℃以下を合格とした。
試料No.1〜36の厚鋼板から試験片を切り出し、負荷応力を3条件として温度勾配型のESSO試験を実施し、負荷応力と脆性亀裂長さから求まるKca値を脆性亀裂が停止した位置の温度でグラフを描画し、対数近似から−10℃におけるKca値を算出することによりKca値を求めた。−10℃におけるKca値:6000N/mm1.5以上を合格とした。
作成した厚鋼板からCTOD試験用の試験片をn=3で採取後、開先加工を施し、サブマージアーク溶接(SAW)により入熱5.0kJ/mmで多層溶接を行って溶接継手を作成した。作成した溶接継手のHAZ部にノッチ加工を施し試験温度−10℃でBS7448規格準拠にてCTOD試験を行った。試験結果の良否はCTOD試験結果にて判定し、
◎:3本共にゲージオーバー(取り付けたクリップゲージが限界まで開ききること)
○:3本の内1本もしくは2本がゲージオーバーで、残りが0.4mm以上
×:3本の内1つでも0.4mm未満
の3水準の判定基準を設定し、○以上を合格とした。
Claims (6)
- 化学組成が、質量%で、
C :0.04〜0.12%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.30〜2.20%、
P :0.020%以下、
S :0.0010〜0.0100%、
Cu:0.05〜1.00%、
Ni:0.05〜1.50%、
Nb:0.005〜0.050%、
Ti:0.005〜0.050%、
sol.Al:0.005%以下、
O :0.0010〜0.0050%、
N:0.0010〜0.0100%、
Cr:0〜0.50%、
Mo:0〜0.35%、
V :0〜0.15%、
B :0〜0.0030%、
Ca:0〜0.010%、
Mg:0〜0.0050%、
REM:0〜0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不純物であり、
下記(1)式で示される炭素当量Ceq.が0.40〜0.52であり、
以下に規定する(a)〜(f)を満足するとともに、
板厚が70mm超である、厚鋼板。
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・・(1)
(a)表層5mm以内の組織は圧延方向に伸長した組織であり、該組織の平均アスペクト比が1.5以上である。
(b)内部の金属組織はフェライトとベイナイトの複合組織であり、板厚の1/4の深さ位置である1/4t部のフェライト分率:面積率で5.0〜35%、板厚の1/2の深さ位置である1/2t部のフェライト組織分率:面積率で3.0〜40%、各板厚位置でベイナイトおよびフェライト以外の組織:面積率で5%未満(0%を含む)のパーライト、マルテンサイトまたはMA(島状マルテンサイト)の1種以上を含む。
(c)前記1/4t部の平均フェライト粒径:10μm以下、前記1/2t部の平均フェライト粒径:12μm以下である。
(d)前記1/4t部の有効結晶粒径:22.0μm以下、前記1/2t部の有効結晶粒径:32.0μm以下である。
(e)鋼中に含まれるTi酸化物の周囲にMnSを複合する複合介在物であり、任意の断面で現出させた複合介在物の断面積に占めるMnSの割合:面積率で10%以上90%未満、介在物の周長に占めるMnSの割合:10%以上である。
(f)0.5〜5.0μmの前記複合介在物の面分散密度:10〜100個/mm2である。 - さらに、質量%で、
Cr:0.05〜0.50%、
Mo:0.05〜0.35%、および
V:0.005〜0.15%
の1種以上を含有する、請求項1に記載の厚鋼板。 - さらに、質量%で、
B:0.0003〜0.0030%
を含有する、請求項1または2に記載の厚鋼板。 - さらに、質量%で、
Ca:0.0005〜0.010%、
Mg:0.0005〜0.0050%、および
REM:0.0005〜0.0050%
の1種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。 - RH真空脱ガス装置でのTi添加前溶鋼内の酸素ポテンシャルOXPが10〜60ppmに制御されて鋳造された鋼片を用い、
該鋼片を、厚さ方向の中心部が1000℃超1150℃以下になるように、加熱し、
該鋼片の厚さ方向の中心部が1000℃超1150℃以下にある時に、該鋼片に累積圧下率15〜60%、および各パスの平均圧下率3.5%以上の再結晶域圧延を行った後、
放冷し、
前記1/2t部の温度がAr3以上950℃以下にある時に、累積圧下率40%以上、および各パスの平均圧下率5.0%以上の未再結晶域圧延を行い、
さらに、該未再結晶域圧延の最終パス開始温度を板表面の温度で(Ar3−20)〜(Ar3+30)℃として圧延を完了し、
次いで、加速冷却を開始し、板表面の温度で550℃以下まで加速冷却を行う、
請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板の製造方法。 - 前記加速冷却の終了後、350℃〜650℃の温度で焼戻し処理する、請求項5に記載の厚鋼板の製造方法。
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