JP2018006643A - キャパシタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】静電容量が大きく且つ等価直列抵抗が小さいキャパシタを高い生産速度で製造できるキャパシタの製造方法を提供する。【解決手段】本発明のキャパシタ10の製造方法は、弁金属の多孔質体からなる陽極11の表面を酸化して誘電体層12を形成する工程と、誘電体層12に対向する位置に陰極13を形成する工程と、誘電体層12表面に導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層14を形成する工程と、を有し、前記導電性高分子分散液として、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有し、前記分散媒が、水より沸点が低い有機溶剤を75質量%以上含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含む固体電解質層を備えるキャパシタの製造方法に関する。
キャパシタにおいては、誘電体層と陰極との間に配置される電解質として、導電性高分子を含む固体電解質層を用いて、等価直列抵抗を小さくしたものが知られている。
導電性高分子を含む固体電解質層としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸を含む導電性高分子水分散液から形成したものを使用することがある(例えば、特許文献1)。
特開2014−67949号公報
近年、キャパシタの製造において、生産速度の向上が求められることがある。しかし、従来のキャパシタの製造方法では、生産速度の向上に限界があった。また、生産速度を向上させると、キャパシタの静電容量が小さくなったり、等価直列抵抗が大きくなったりすることがあった。
本発明は、静電容量が大きく且つ等価直列抵抗が小さいキャパシタを高い生産速度で製造できるキャパシタの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]弁金属の多孔質体からなる陽極の表面を酸化して誘電体層を形成する工程と、誘電体層に対向する位置に陰極を形成する工程と、誘電体層表面に導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層を形成する工程と、を有し、前記導電性高分子分散液として、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有し、前記分散媒が、水より沸点が低い有機溶剤を含有する、キャパシタの製造方法。
[2]前記分散媒における前記有機溶剤の含有割合が75質量%以上である、[1]に記載のキャパシタの製造方法。
[3]前記有機溶剤が、2−プロパノール及び2−ブタノンの少なくとも一方である、[1]又は[2]に記載のキャパシタの製造方法。
[4]前記導電性高分子分散液が、アミン化合物をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか一に記載のキャパシタの製造方法。
[5]前記アミン化合物が、トリブチルアミン、トリオクチルアミンの少なくとも一方である、[4]に記載のキャパシタの製造方法。
[6]前記アミン化合物が、前記ポリアニオンのアニオン基に配位又は結合している、[4]又は[5]に記載のキャパシタの製造方法。
[7]前記導電性高分子分散液は、前記導電性複合体を含む水分散液を凍結乾燥させ、得られた前記導電性複合体に、前記アミン化合物、前記有機溶剤を添加し、分散させて得る、[4]〜[6]のいずれか一に記載のキャパシタの製造方法。
[8]前記導電性高分子分散液が、エポキシ化合物をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか一に記載のキャパシタの製造方法。
[9]前記エポキシ化合物が、前記ポリアニオンのアニオン基に配位又は結合している、[8]に記載のキャパシタの製造方法。
[10]前記導電性高分子分散液は、前記導電性複合体を含む水分散液に前記エポキシ化合物を添加して、前記エポキシ化合物を含有する導電性複合体を析出させ、析出させた導電性複合体に前記有機溶剤を添加し、分散させて得る、[8]又は[9]に記載のキャパシタの製造方法。
[11]前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[10]のいずれか一に記載のキャパシタの製造方法。
[12]前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[11]のいずれか一に記載のキャパシタの製造方法。
本発明のキャパシタの製造方法によれば、静電容量が大きく且つ等価直列抵抗が小さいキャパシタを高い生産速度で製造できる。
本発明のキャパシタの一実施形態を示す断面図である。
本発明の製造方法で得られるキャパシタの一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のキャパシタ10は、弁金属の多孔質体からなる陽極11と、弁金属の酸化物からなる誘電体層12と、誘電体層12の表面に形成された固体電解質層14と、最も表側に設けられた陰極13とを具備する。
陽極11を構成する弁金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。これらのうち、アルミニウム、タンタル、ニオブが好適である。
陽極11の具体例としては、アルミニウム箔をエッチングして表面積を増加させた後、その表面を酸化処理したものや、タンタル粒子やニオブ粒子の焼結体表面を酸化処理してペレットにしたものが挙げられる。このように処理されたものは表面に凹凸が形成された多孔質体となる。
本実施形態における誘電体層12は、陽極11の表面が酸化されて形成された層であり、例えば、アジピン酸アンモニウム水溶液などの電解液中にて、金属体の陽極11の表面を陽極酸化することで形成されたものである。よって、図1に示すように、陽極11と同様に誘電体層12にも凹凸が形成されている。
本実施形態における陰極13としては、導電性ペーストから形成した導電層やアルミニウム箔など、導電物質製の金属層を使用することができる。
固体電解質層14は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する層である。
固体電解質層14の厚さは一定である必要はなく、例えば、1μm以上100μm以下の範囲内にあればよい。
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子の中でも、導電性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記π共役系導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下の範囲であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値未満であると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがあり、また、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性が低くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
ポリアニオンが、π共役系導電性高分子に配位してドープすることによって導電性複合体を形成する。
ただし、本態様におけるポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープすることはなく、ドープに寄与しない余剰のアニオン基を有するようになっている。
固体電解質層14には、アミン化合物が含まれてもよい。固体電解質層14にアミン化合物が含まれると、固体電解質層14の導電性がより高くなり、キャパシタ10の等価直列抵抗がより小さくなる。
アミン化合物は、アミノ基を有する化合物であり、アミノ基が、ポリアニオンのアニオン基、特にドープに関与しない余剰のアニオン基と反応し、配位又は結合する。
アミン化合物がポリアニオンのアニオン基に反応すると、ポリアニオンの親水性が低下する。
アミン化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。また、アミン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物は、炭素数2以上12以下の直鎖、もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、炭素数7以上12以下のアラルキル基、炭素数2以上12以下のアルキレン基、炭素数6以上12以下のアリーレン基、炭素数7以上12以下のアラルキレン基、及び炭素数2以上12以下のオキシアルキレン基から選択される置換基を有していてもよい。
具体的な1級アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
具体的な2級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
具体的な3級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
具体的な4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウムの対となる陰イオンとしてはヒドロキシドイオンが挙げられる。
これらアミン化合物のうち、固体電解質層14の導電性がより高くなることから、3級アミンが好ましく、トリブチルアミン、トリオクチルアミンがより好ましい。
固体電解質層14には、エポキシ化合物が含まれてもよい。固体電解質層14にエポキシ化合物が含まれると、固体電解質層14の導電性がより高くなり、キャパシタ10の等価直列抵抗がより小さくなる。
エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、エポキシ基が、ポリアニオンのアニオン基、特にドープに関与しない余剰のアニオン基と反応し、配位又は結合する。
エポキシ化合物がポリアニオンのアニオン基に反応すると、ポリアニオンの親水性が低下する。
エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレンオキシドフェノールグリシジルエーテル、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、アジピン酸グリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
これらエポキシ化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
固体電解質層14には、電解液が含まれてもよい。電解液としては電気伝導度が高ければ特に限定されず、電解液用溶媒中に電解質を溶解させたものが挙げられる。
電解液用溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン(グリセロール)等のアルコール系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水等が挙げられる。
電解質としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、リン酸、炭酸、ケイ酸等の無機酸などをアニオン成分とし、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)、テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)などをカチオン成分とした電解質が挙げられる。
本実施形態のキャパシタ10は、例えば、誘電体層形成工程と陰極形成工程と固体電解質層形成工程とを有するキャパシタの製造方法により製造できる。
誘電体層形成工程は、弁金属の多孔質体からなる陽極11の表面を酸化して誘電体層12を形成する工程である。
誘電体層12を形成する方法としては、例えば、アジピン酸アンモニウム水溶液、ホウ酸アンモニウム水溶液、リン酸アンモニウム水溶液などの化成処理用電解液中にて、陽極11の表面を陽極酸化する方法が挙げられる。
陰極形成工程は、誘電体層12に対向する位置に陰極13を形成する工程である。
陰極13を形成する方法としては、例えば、カーボンペースト、銀ペースト等の導電性ペーストを用いて陰極13を形成する方法、アルミニウム箔等の金属箔を誘電体層12に対向配置させる方法などが挙げられる。
固体電解質層形成工程は、誘電体層12の表面に導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層14を形成する工程である。
ここで、導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、分散媒とを含有する。導電性高分子分散液は、必要に応じて、上記アミン化合物、上記エポキシ化合物、後述する高導電化剤、添加剤を含有してもよい。
導電性高分子分散液に含まれる分散媒は、前記導電性複合体を分散させる液であり、気圧等が同一の条件下にて水より沸点が低い有機溶剤(以下、「低沸点有機溶剤」ということがある。)を、分散媒の主成分とすることが好ましい。具体的に、分散媒における有機溶剤の含有割合が75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。分散媒に含まれる低沸点有機溶剤が75質量%未満であると、固体電解質層14の形成速度が遅くなり、キャパシタ10の生産速度が低くなる。
低沸点有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。これら有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、2−ブタノン、アセトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
低沸点有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
具体的に、高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。前記高導電化剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら化合物の具体例は、例えば、特開2010−87401号公報に記載されている。ただし、高導電化剤は、前記π共役系導電性高分子、前記ポリアニオン、前記分散媒、前記アミン化合物、前記エポキシ化合物及び前記電解液以外の化合物である。
高導電化剤のなかでも、導電性向上の効果が高いことから、ヒドロキシ基を2つ有する直鎖状化合物であるグリコールが好ましく、ジエチレングリコールがより好ましい。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体の合計質量に対して1倍量以上1000倍量以下であることが好ましく、2倍量以上100倍量以下であることがより好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
添加剤としては、本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前記ポリアニオン、エポキシ化合物、高導電化剤及び前記分散媒以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、通常、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲内である。
導電性高分子分散液は、アミン化合物を含む場合には、導電性複合体を含む水分散液を凍結乾燥させ、得られた導電性複合体の乾燥物にアミン化合物及び有機溶剤を添加し、分散させることにより得ることができる。
導電性高分子分散液は、エポキシ化合物を含む場合には、導電性複合体を含む水分散液にエポキシ化合物を添加して、エポキシ化合物を含有する導電性複合体を析出させ、得られた析出物に有機溶剤を添加し、分散させることにより得ることができる。
分散の際には、ホモジナイザー等の各種攪拌装置を用いることができる。
導電性複合体を含む水分散液の調製方法としては、ポリアニオン及び水の存在下、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを酸化重合する方法が挙げられる。添加剤を添加する場合、その添加タイミングに特に制限はなく、前駆体モノマー重合の前に添加してもよいし、後で添加してもよいし、最中に添加してもよい。
導電性高分子分散液の塗布方法としては、例えば、浸漬(すなわち、ディップコーティング)、コンマコーティング、リバースコーティング、リップコーティング、マイクログラビアコーティング等を適用することができる。これらの中でも、誘電体層12と陰極13との間に容易に固体電解質層14を形成できる点では、浸漬が好ましい。
乾燥方法としては、室温乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥など公知の手法が挙げられる。
本発明のキャパシタの製造方法では、固体電解質層14の形成の際に、低沸点有機溶剤を分散媒とした導電性高分子分散液を用いるため、乾燥速度が速く、固体電解質層14の形成速度を速くできる。これにより、キャパシタ10の生産速度を速くできる。
低沸点有機溶剤を用いる製造方法では、防爆設備及び溶剤回収設備が必要になる。しかし、防爆設備及び溶剤回収設備を用いて、低沸点有機溶剤を含む導電性高分子分散液から固体電解質層14を形成することは、生産速度向上に対して有効な手段であり、キャパシタ10の生産速度が重視される場合には意味がある。
また、本発明者が調べた結果、低沸点有機溶剤を主成分とした分散媒を含む導電性高分子分散液を固体電解質層14の形成に用いると、固体電解質層14の静電容量が大きく、等価直列抵抗が小さくなる傾向にあることがわかった。
なお、本発明のキャパシタ及びその製造方法は上記実施形態例に限定されない。
例えば、本発明のキャパシタは、誘電体層と陰極との間に、必要に応じて、セパレータを設けてもよい。誘電体層と陰極との間にセパレータが設けられたキャパシタとしては、巻回型キャパシタが挙げられる。
セパレータとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンなどからなるシート(不織布を含む)、ガラス繊維の不織布などが挙げられる。
セパレータの密度は、0.1g/cm以上1.0g/cm以下の範囲であることが好ましく、0.2g/cm以上0.8g/cm以下の範囲であることがより好ましい。
セパレータを設ける場合には、セパレータにカーボンペーストあるいは銀ペーストを含浸させて陰極を形成する方法を適用することもできる。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
3,4−エチレンジオキシチオフェン14.2gと、製造例1で得たポリスチレンスルホン酸36.7gとを2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。
(製造例3)
製造例2で得た1.2質量%のPEDOT−PSS水分散液1000gを凍結乾燥して、12gの凍結乾燥体を得た。
(製造例4)
2−プロパノール1000gに、製造例3で得た3.0gの凍結乾燥体と、2.65gのトリオクチルアミンを添加した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、導電性高分子分散液を得た。この導電性高分子分散液を等量のイオン交換水で希釈した。希釈した導電性高分子分散液の25℃におけるpHを、pH計(株式会社堀場製作所製、D−54)を用いて測定したところ、5.96であった。
(製造例5)
2−プロパノール1000gに、製造例3で得た3.0gの凍結乾燥体と、1.40gのトリブチルアミンを添加した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、導電性高分子分散液を得た。この導電性高分子分散液を等量のイオン交換水で希釈した。希釈した導電性高分子分散液の25℃におけるpHを、pH計(株式会社堀場製作所製、D−54)を用いて測定したところ、5.15であった。
(製造例6)
2−プロパノール100g、2−ブタノン900gを混合した混合溶媒に、製造例3で得た3.0gの凍結乾燥体と、2.65gのトリオクチルアミンを添加した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、導電性高分子分散液を得た。
(製造例7)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gにメタノール300g及びエポキシ化合物(共栄社化学株式会社製エポライトM−1230、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル)25gを添加し、60℃で4時間加熱攪拌した。このとき、エポキシ化合物がPSSのスルホン酸基に反応するため、スルホン酸基が消失し、PEDOT−PSSの水分散性が低下してPEDOT−PSSが析出した。これにより形成した析出物を濾過により回収した。該析出物1.575gを315gの2−ブタノンに添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散して導電性高分子分散液を得た。
(製造例8)
製造例2で得た1.2質量%のPEDOT−PSS水分散液250gに750mlのイオン交換水を添加して、濃度0.3質量%のPEDOT−PSS水分散液を得た。
(製造例9)
エッチドアルミニウム箔(陽極箔)に陽極リード端子を接続した後、アジピン酸アンモニウム10質量%水溶液中で70Vの電圧を印加し、化成(酸化処理)して、アルミニウム箔の両面に誘電体層を形成して陽極箔を得た。
次に、陽極箔の両面に、陰極リード端子を溶接させた対向アルミニウム陰極箔を、セルロース製のセパレータを介して積層し、これを円筒状に巻き取ってキャパシタ用素子を得た。
(実施例1)
製造例4で得た導電性高分子分散液100gを、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して実施例1の導電性高分子分散液を得た。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、125℃の熱風乾燥機により30分間乾燥する工程を3回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(実施例2)
乾燥温度を80℃、乾燥時間を15分間に変更したほかは、実施例1と同様にキャパシタを得た。
(実施例3)
製造例5で得た導電性高分子分散液100gを、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して実施例3の導電性高分子分散液を得た。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、80℃の熱風乾燥機により15分間乾燥する工程を3回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(実施例4)
製造例6で得た導電性高分子分散液100gを、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して実施例4の導電性高分子分散液を得た。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、80℃の熱風乾燥機により15分間乾燥する工程を3回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(実施例5)
製造例7で得た導電性高分子分散液100gを、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して実施例5の導電性高分子分散液を得た。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、80℃の熱風乾燥機により15分間乾燥する工程を3回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(比較例1)
製造例8で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、トリオクチルアミン1.2gを添加し、室温で攪拌した後、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して、比較例1の導電性高分子分散液を得た。なお、この導電性高分子分散液は、水に不溶な凝集物が少量形成されていることが目視で確認されたので、メンブレンフィルターを用いて濾過した後、下記のキャパシタの製造に供した。濾過後の導電性高分子分散液の25℃におけるpHを、pH計(株式会社堀場製作所製、D−54)を用いて測定したところ、6.06であった。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、125℃の熱風乾燥機により30分間乾燥する工程を2回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(比較例2)
乾燥温度を80℃、乾燥時間を15分間に変更したほかは、比較例1と同様にキャパシタを得た。
(実施例6)
製造例4で得た導電性高分子分散液100gに、ジエチレングリコール5.0gをさらに添加し、室温で攪拌した後、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して、ジエチレングリコールを含む実施例6の導電性高分子分散液を得た。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、80℃の熱風乾燥機により15分間乾燥する工程を3回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(実施例7)
ジエチレングリコール5.0gをグリセロール5.0gに変更した以外は実施例6と同様にしてキャパシタを得た。
(比較例3)
製造例8で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、トリオクチルアミン1.2g及びジエチレングリコール5.0gをさらに添加し、室温で攪拌した後、高圧分散機を用いて圧力100MPaの圧力で分散処理を施して、ジエチレングリコールを含む比較例3の導電性高分子分散液を得た。なお、この導電性高分子分散液は、水に不溶な凝集物が少量形成されていることが目視で確認されたので、メンブレンフィルターを用いて濾過した後、下記のキャパシタの製造に供した。
製造例9で得たキャパシタ用素子を前記導電性高分子分散液に減圧下で浸漬した後、80℃の熱風乾燥機により15分間乾燥する工程を2回繰り返して、誘電体層表面上に導電性複合体を含む固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層を形成させたキャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止して、キャパシタを得た。
(比較例4)
ジエチレングリコール5.0gをグリセロール5.0gに変更した以外は比較例3と同様にしてキャパシタを得た。
<評価>
得られた各例のキャパシタについて、LCRメータZM2376((株)エヌエフ回路設計ブロック製)を用いて、120Hzでの静電容量、及び100kHzでの等価直列抵抗を測定した。120Hzでの静電容量、及び100kHzでの等価直列抵抗の測定結果を表1に示す。
Figure 2018006643
導電性高分子分散液の分散媒を2−プロパノールとした実施例1では、固体電解質層形成の際に充分な乾燥時間が得られ、得られたキャパシタの静電容量が大きく、等価直列抵抗が小さかった。
導電性高分子分散液の分散媒を、2−プロパノールとした実施例2,3、2−プロパノールと2−ブタノンの混合溶剤とした実施例4、2−ブタノンとした実施例5においては、固体電解質層形成の際、水より沸点が低い乾燥温度でも短時間で充分な乾燥が得られた。すなわち、乾燥速度が速く、キャパシタの生産速度が速かった。しかも、得られたキャパシタは充分な静電容量を有しつつ、等価直列抵抗が小さかった。PEDOT−PSS水分散液にジエチレングリコールを添加した実施例6、PEDOT−PSS水分散液にグリセロールを添加した実施例7では、キャパシタの等価直列抵抗がより小さい傾向にあった。
導電性高分子分散液の分散媒を水とした比較例1では、固体電解質層形成の際に充分な乾燥が得られているが、得られたキャパシタの静電容量が小さく、等価直列抵抗が大きかった。
比較例2,3,4では、固体電解質層形成の際、充分な乾燥が得られず、分散媒である水が残存し、キャパシタの生産速度向上に至らなかった。しかも、得られたキャパシタの等価直列抵抗が大きかった。
10 キャパシタ
11 陽極
12 誘電体層
13 陰極
14 固体電解質層

Claims (12)

  1. 弁金属の多孔質体からなる陽極の表面を酸化して誘電体層を形成する工程と、
    誘電体層に対向する位置に陰極を形成する工程と、
    誘電体層表面に導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層を形成する工程と、を有し、
    前記導電性高分子分散液として、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有し、前記分散媒が、水より沸点が低い有機溶剤を含有する、キャパシタの製造方法。
  2. 前記分散媒における前記有機溶剤の含有割合が75質量%以上である、請求項1に記載のキャパシタの製造方法。
  3. 前記有機溶剤が、2−プロパノール、2−ブタノンの一方又は両方である、請求項1又は2に記載のキャパシタの製造方法。
  4. 前記導電性高分子分散液が、アミン化合物をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャパシタの製造方法。
  5. 前記アミン化合物が、トリブチルアミン、トリオクチルアミンの少なくとも一方である、請求項4に記載のキャパシタの製造方法。
  6. 前記アミン化合物が、前記ポリアニオンのアニオン基に配位又は結合している、請求項4又は5に記載のキャパシタの製造方法。
  7. 前記導電性高分子分散液は、前記導電性複合体を含む水分散液を凍結乾燥させ、得られた前記導電性複合体に、前記アミン化合物、前記有機溶剤を添加し、分散させて得る、請求項4〜6のいずれか一項に記載のキャパシタの製造方法。
  8. 前記導電性高分子分散液が、エポキシ化合物をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャパシタの製造方法。
  9. 前記エポキシ化合物が、前記ポリアニオンのアニオン基に配位又は結合している、請求項8に記載のキャパシタの製造方法。
  10. 前記導電性高分子分散液は、前記導電性複合体を含む水分散液に前記エポキシ化合物を添加して、前記エポキシ化合物を含有する導電性複合体を析出させ、析出させた導電性複合体に前記有機溶剤を添加し、分散させて得る、請求項8又は9に記載のキャパシタの製造方法。
  11. 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のキャパシタの製造方法。
  12. 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャパシタの製造方法。
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