JP2018006393A - 保持装置 - Google Patents

保持装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018006393A
JP2018006393A JP2016127230A JP2016127230A JP2018006393A JP 2018006393 A JP2018006393 A JP 2018006393A JP 2016127230 A JP2016127230 A JP 2016127230A JP 2016127230 A JP2016127230 A JP 2016127230A JP 2018006393 A JP2018006393 A JP 2018006393A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
bonding
holding device
titanium
aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016127230A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6667386B2 (ja
Inventor
晃文 土佐
Akibumi Tosa
晃文 土佐
若園 誠
Makoto Wakazono
誠 若園
正樹 辻
Masaki Tsuji
正樹 辻
龍之介 坂巻
Ryunosuke Sakamaki
龍之介 坂巻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2016127230A priority Critical patent/JP6667386B2/ja
Publication of JP2018006393A publication Critical patent/JP2018006393A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6667386B2 publication Critical patent/JP6667386B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)

Abstract

【課題】対象物を保持する保持装置において、ヒータへの入力電力を抑制すると共に、接合面で剥離が発生することを抑制する。【解決手段】保持装置は、セラミックスにより形成され、対象物を保持する第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有するセラミックス板と、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板とを備える。保持装置は、さらに、セラミックス板とベース板との間に配置され、チタンにより形成された板状のチタン板と、金属を含み、セラミックス板とチタン板とを接合する第1の接合層と、有機系接着剤を含み、チタン板とベース板とを接合する第2の接合層とを備える。【選択図】図2

Description

本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
例えば半導体製造装置において、ウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、例えば、セラミックスにより形成され、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有するセラミックス板と、金属により形成され、内部に冷媒流路が形成されたベース板とを備える。静電チャックは、内部電極を有しており、内部電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、セラミックス板の表面(以下、「吸着面」という)にウェハを吸着して保持する。
静電チャックに保持されたウェハの温度分布が不均一になると、ウェハに対する各処理(成膜、エッチング等)の精度が低下するため、静電チャックにはウェハの温度分布を均一にする性能が求められる。そのため、静電チャックの使用時には、セラミックス板内部のヒータによる加熱や、ベース板内部の冷媒流路に冷媒を供給することによる冷却によって、セラミックス板の吸着面の温度制御が行われる。
また、静電チャックは、使用時に、熱サイクルにさらされる。セラミックス板の形成材料であるセラミックスとベース板の形成材料である金属とは熱膨張率が互いに異なるため、静電チャックが熱サイクルにさらされると、セラミックス板とベース板との間に熱膨張差が生ずる。従来、セラミックス板とベース板とを、弾性変形能力が比較的高い有機系接着剤を含む接合層により接合することにより、セラミックス板とベース板との間の熱膨張差を緩和し、部材の割れや剥離等の発生を抑制する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、セラミックスと金属との複合材を用いてベース板を作製し、セラミックス板と複合材製のベース板とを、金属を含む接合層によって接合することにより、接合層の耐熱性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−287344号公報 特開2005−101108号公報
近年、半導体プロセスの多様化に伴い、静電チャックの吸着面を従来よりも高温(例えば260℃以上)にすることが要求されることがあり、そのような場合には、静電チャックはより高温の熱サイクルにさらされる。上述したセラミックス板とベース板とを有機系接着剤を含む接合層によって接合する従来の構成では、静電チャックがより高温の熱サイクルにさらされると、接合層に含まれる有機系接着剤が分解温度まで到達し、接合層と被接合部材との界面等で剥離が発生して、吸着面の温度分布の均一性が悪化し、静電チャックが使用できなくなるおそれがある。
また、セラミックス板と金属製のベース板とを接合する接合層の耐熱性を向上させるため、上述した従来の技術のように、有機系接着剤を含む接合層に代えて金属を含む接合層を用いることも考えられる。しかし、そのような構成では、金属を含む接合層は弾性変形能力が比較的低いことから、セラミックス板と金属製のベース板との間の熱膨張差を効果的に緩和することができず、部材の割れや剥離等が発生するおそれがある。また、そのような構成では、金属を含む接合層は熱伝導率が比較的高いことから、冷却媒体によるセラミックス板の冷却効果が高くなるため、静電チャックの吸着面を高温(例えば260℃以上)にしようとすると、ヒータへの入力電力を過度に大きくする必要がある。そのため、このような構成では、ヒータ電源容量が過度に大きくなる上に、ヒータの電流が過大となって断線が発生するおそれがある。
なお、このような課題は、静電引力を利用してウェハを保持する静電チャックに限らず、セラミックス板とベース板とを備え、内部にヒータを有するセラミックス板の表面上に対象物を保持する保持装置に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される保持装置は、セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有するセラミックス板と、前記セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、を備え、前記セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、前記セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、チタンにより形成された板状のチタン板と、金属を含み、前記セラミックス板と前記チタン板とを接合する第1の接合層と、有機系接着剤を含み、前記チタン板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、を備える。本保持装置によれば、内部にヒータを有するセラミックス板と、内部に冷媒流路が形成されたベース板との間に、比較的熱伝導率の低いチタンにより形成されたチタン板が配置されているため、そのようなチタン板が配置されていない構成と比較して、ヒータと冷媒流路とに挟まれた部分の伝熱性を低下させる(すなわち、熱抵抗を高くする)ことができる。そのため、冷媒流路に供給される冷却媒体によるセラミックス板の冷却効果が抑制され、セラミックス板の第1の表面を高温(例えば260℃)にする場合であっても、ヒータへの入力電力を過度に大きくする必要がない。従って、本保持装置によれば、ヒータの電源容量が過度に大きくなることを抑制することができると共に、ヒータの電流が過大となって断線が発生することを回避することができる。また、本保持装置によれば、セラミックス板の第1の表面を高温(例えば260℃)にする場合であっても、第2の接合層の温度が過度に高くなることを回避することができる。そのため、第2の接合層の材料として、耐熱性は比較的低い一方、弾性変形能力が比較的高い有機系接着剤を用いることができる。従って、ベース板の形成材料として冷媒流路等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層によってチタン製のチタン板と金属製のベース板との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。また、本保持装置によれば、第1の接合層は比較的高温に晒されるが、チタンの熱膨張率はセラミックスの熱膨張率と比較的近いことから、セラミックス板とチタン板との熱膨張率の差は比較的小さいため、第1の接合層の材料として、弾性変形能力は比較的低い一方、耐熱性が比較的高い金属を用いることができる。そのため、本保持装置によれば、第1の接合層が分解温度に達することを防止することができ、セラミックス板とチタン板との間で剥離が発生することを抑制することができる。
(2)上記保持装置において、前記チタン板は、前記ベース板と電気的に接続されている構成としてもよい。本保持装置によれば、チタン板をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起用の電極としてのチタン板より上に位置する絶縁体はセラミックス板のみとなるため、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
(3)上記保持装置において、さらに、プラズマ励起電極用端子を備え、前記チタン板は、前記プラズマ励起電極用端子と電気的に接続されている構成としてもよい。本保持装置によれば、プラズマ励起電極用端子を利用して、チタン板をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起用の電極としてのチタン板より上に位置する絶縁体はセラミックス板のみとなるため、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
(4)上記保持装置において、前記第1の接合層に含まれる金属の主成分は、アルミニウムである構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層の耐熱性および接合信頼性の向上を実現することができる。
(5)上記保持装置において、前記第1の接合層は、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記セラミックス板と前記アルミニウム層とを接合する第1の接合機能層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記チタン板と前記アルミニウム層とを接合する第2の接合機能層と、を含む構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層が、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層を含むため、セラミックス板とチタン板との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができ、熱サイクルに対する信頼性をさらに向上させることができる。
(6)上記保持装置において、前記第1の接合層は、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成された複合板と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記セラミックス板と前記複合板とを接合する第1の接合機能層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記チタン板と前記複合板とを接合する第2の接合機能層と、を含む構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層が、アルミニウム等に比べて熱膨張率がセラミックスに近い複合材料により形成された複合板を含むため、熱膨張差によって第1の接合層で発生する応力を低減させることができ、その結果、延性の高い純度99%以上のアルミニウムを用いずとも、セラミックス板とチタン板との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができる。さらに、第2の接合層の温度が過度に高くなることを効果的に防止することができるため、第2の接合層の材料として有機系接着剤を用いることができ、ベース板の形成材料として冷媒流路等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層によってチタン板とベース板との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。また、本保持装置によれば、複合材料におけるアルミニウム合金とセラミックスとの体積比率を調整することにより、複合板の熱膨張率をセラミックス板やチタン板の熱膨張率に近付けることができ、熱膨張差により発生する応力による剥離の発生を抑制することができる。
(7)上記保持装置において、前記複合板の形成材料である前記複合材料は、アルミニウム合金と炭化ケイ素とを含む構成としてもよい。本保持装置によれば、複合板の熱膨張率をセラミックス板やチタン板の熱膨張率に容易に近付けることができる。
(8)上記保持装置において、前記セラミックス板は、各構成成分を酸化物換算した場合に、Alの含有率が90wt%以上である構成としてもよい。本保持装置によれば、セラミックス板の耐食性、耐摩耗性を向上させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態の変形例における静電チャック100の構成を示す説明図である。 第2実施形態における静電チャック100aのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第3実施形態における静電チャック100bのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 性能評価に用いられた実施例および比較例の静電チャック100の概略構成を示す説明図である。 性能評価の結果を示す説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図3以降についても同様である。
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置されたセラミックス板10と、チタン板60と、ベース板20とを備える。セラミックス板10とチタン板60とは、セラミックス板10の下面とチタン板60の上面とが上記配列方向に対向するように配置されている。また、チタン板60とベース板20とは、チタン板60の下面とベース板20の上面とが上記配列方向に対向するように配置されている。静電チャック100は、さらに、セラミックス板10の下面とチタン板60の上面との間に配置された第1の接合層110と、チタン板60の下面とベース板20の上面との間に配置された第2の接合層120とを備える。
セラミックス板10は、例えば円形平面の板状部材であり、セラミックスにより形成されている。セラミックス板10の直径は、例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、セラミックス板10の厚さは、例えば2mm〜10mm程度である。
セラミックス板10の形成材料としては、種々のセラミックスが用いられ得るが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性の観点から、例えば、アルミナ(Al)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。本実施形態では、セラミックス板10は、アルミナを主成分とするセラミックスが用いられており、各構成成分を酸化物換算した場合にアルミナの含有率が90wt%以上である。
セラミックス板10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された一対の内部電極40が設けられている。一対の内部電極40に電源(図示せず)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWがセラミックス板10の上面(以下、「吸着面S1」という)に吸着固定される。セラミックス板10の吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当する。
また、セラミックス板10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された抵抗発熱体で構成されたヒータ50が設けられている。ヒータ50に電源(図示せず)から電圧が印加されると、ヒータ50が発熱することによってセラミックス板10が温められ、セラミックス板10の吸着面S1に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。
ベース板20は、例えばセラミックス板10と径が同じ、またはセラミックス板10より径が大きい円形平面の板状部材であり、金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース板20の直径は、例えば220mm〜550mm程度(通常は220mm〜350mm程度)であり、ベース板20の厚さは、例えば20mm〜40mm程度である。
ベース板20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が供給されると、ベース板20が冷却される。ヒータ50によるセラミックス板10の加熱と併せてベース板20の冷却が行われると、第1の接合層110、チタン板60、第2の接合層120を介したセラミックス板10とベース板20との間の伝熱により、セラミックス板10の吸着面S1に保持されたウェハWの温度が一定に維持される。さらに、プラズマ処理中にプラズマからの入熱が生じた際には、ヒータ50に加える電力を調整することでウェハWの温度制御が実現される。
チタン板60は、例えばセラミックス板10と略同径の円形平面の板状部材であり、チタン(例えば、JIS 2種のチタン)により形成されている。チタンは、金属の中では、アルミナ等のセラミックスと熱膨張率の差が小さく、かつ、熱伝導率が低い。チタン板60は、ウェハW等の対象物を保持する吸着面S1を有するセラミックス板10とは別に設けられる部材であり、静電チャック100におけるヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を制御する、より具体的には、該部分の伝熱性を低下させる(すなわち、熱抵抗を高くする)ための部材である。チタン板60の直径は、例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、チタン板60の厚さは、例えば5mm〜20mm程度である。
第2の接合層120は、有機系接着剤を含んでおり、チタン板60とベース板20とを接合している。第2の接合層120に含まれる有機系接着剤として、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の種々の有機系接着剤が用いられ得るが、比較的耐熱性が高く、かつ、柔らかいシリコーン系樹脂を主成分とする有機系接着剤が用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、第2の接合層120に含まれる接着成分(有機系接着剤)における含有割合(重量割合)の最も多い成分である。第2の接合層120には、接着成分の他に、粉末成分(例えばアルミナやシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等)や添加剤(カップリング剤等)が含まれていてもよい。第2の接合層120の厚さは、例えば0.1mm〜1mm程度である。
第1の接合層110は、金属により形成されており、セラミックス板10とチタン板60とを接合している。第1の接合層110の形成材料である金属としては、種々の金属が用いられ得るが、例えば、アルミニウムを主成分とする金属が用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。第1の接合層110の厚さは、例えば0.5mm〜5mm程度である。また、プラズマ励起時の放電防止のため、第1の接合層110の外周面は、図示しない絶縁性のコーティング材(例えば、セラミックス溶射膜)により覆われていることが好ましい。
図2に示すように、チタン板60は、導電性端子部材90を介して、金属製のベース板20と電気的に接続されている。具体的には、第2の接合層120とベース板20とには、それぞれ、Z方向に貫通する貫通孔122,22が形成されており、これらの貫通孔は互いに連通している。これらの互いに連通する貫通孔122,22内に、例えば、先端にスプリングコネクタが設けられた導電性端子部材90が挿入されている。導電性端子部材90の先端(上端)は、チタン板60に接触しており、導電性端子部材90の他の部分は、ベース板20の貫通孔22の内周面に接触した状態で固定されている。このような構成により、チタン板60とベース板20とが電気的に接続される。なお、ベース板20は図示しないグランドに接続されているため、チタン板60も、導電性端子部材90およびベース板20を介してグランドに接続されることとなる。
A−2.静電チャック100の製造方法:
次に、第1実施形態における静電チャック100の製造方法の一例を説明する。はじめに、セラミックス板10とベース板20とチタン板60とを準備する。セラミックス板10とベース板20とチタン板60とは、公知の製造方法によって製造可能であるため、ここでは製造方法の詳細な説明を省略するが、セラミックス板10は、例えば以下の方法により作製される。すなわち、アルミナ原料とブチラール樹脂と可塑剤と溶媒とからなるスラリーをキャスティングし、乾燥させてシート化したものを複数作製する。内部電極40やヒータ50やその他の配線として、タングステンまたはモリブデンと樹脂と溶剤とからなる金属ペーストを用いて、スクリーン印刷でシート表面に所定のパターンを形成する。さらにシートの上下層の配線を繋ぐ為に、シートに穴をあけ、穴の内部に金属ペーストを充填させたシートを用意する。それらのシートを積層することによって配線を内蔵した成型体を作製し、脱脂後、焼成を行うことによってセラミックス板10を作製する。
次に、セラミックス板10とチタン板60との間に、金属ろう材(例えば、アルミニウム合金であるAl−Si−Mg)の箔(例えば、厚さ1〜3mm程度)を挟み、真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱する。これにより、セラミックス板10とチタン板60とが第1の接合層110によって接合(ろう付け)された積層体が作製される。なお、作製されたセラミックス板10とチタン板60との積層体の側面や上下の平面を研磨してもよい。
次に、ベース板20の上面に、ペースト状接着剤を塗布する。ペースト状接着剤は、接着成分(例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等)と粉末成分(例えばアルミナやシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等)とを混合して作製したペースト状の接着剤である。ペースト状接着剤は、カップリング剤等の添加剤を含んでいてもよい。
次に、ベース板20に塗布されたペースト状接着剤の表面に、セラミックス板10とチタン板60とが第1の接合層110によって接合された積層体を配置し、ペースト状接着剤を硬化させる硬化処理を行うことにより、ベース板20と上記積層体とを接合する第2の接合層120を形成する。硬化処理の内容は、使用する接着剤の種類に応じて異なり、熱硬化型の接着剤であれば硬化処理として熱を付与する処理が行われ、水分硬化型の接着剤であれば硬化処理として水分を付与する処理が行われる。
その後、導電性端子部材90を貫通孔122,22内に挿入して固定することにより、チタン板60とベース板20とを電気的に接続する。以上の工程により、静電チャック100の製造が完了する。
A−3.第1実施形態の効果:
以上説明したように、第1実施形態の静電チャック100は、セラミックスにより形成され、吸着面S1を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータ50を有するセラミックス板10と、セラミックス板10の吸着面S1とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路21が形成されたベース板20とを備え、セラミックス板10の吸着面S1上にウェハW等の対象物を保持する保持装置である。第1実施形態の静電チャック100は、さらに、セラミックス板10とベース板20との間に配置され、チタンにより形成された板状のチタン板60と、金属を含み、セラミックス板10とチタン板60とを接合する第1の接合層110と、有機系接着剤を含み、チタン板60とベース板20とを接合する第2の接合層120とを備える。
このように、第1実施形態の静電チャック100では、内部にヒータ50を有するセラミックス板10と、内部に冷媒流路21が形成されたベース板20との間に、チタン板60が配置されている。チタンは、金属の中では、アルミナと熱膨張率の差が小さく、かつ、熱伝導率が低い。そのため、第1実施形態の静電チャック100では、そのようなチタン板60が配置されていない構成と比較して、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を低下させる(すなわち、熱抵抗を高くする)ことができる。そのため、冷媒流路21に供給される冷却媒体によるセラミックス板10の冷却効果が抑制され、セラミックス板10の吸着面S1を高温(例えば260℃)にする場合であっても、ヒータ50への入力電力を過度に大きくする必要がない。従って、第1実施形態の静電チャック100では、ヒータ50の電源容量が過度に大きくなることを抑制することができると共に、ヒータ50の電流が過大となって断線が発生することを回避することができる。
また、第1実施形態の静電チャック100では、上述したように、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を低下させることができるため、セラミックス板10の吸着面S1を高温(例えば260℃)にする場合であっても、第2の接合層120の温度が過度に高くなることを回避することができる。そのため、第2の接合層120の材料として、耐熱性は比較的低い一方、弾性変形能力が比較的高い有機系接着剤を用いることができる。従って、ベース板20の形成材料として冷媒流路21等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層120によってチタン板60とベース板20との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。
また、第1実施形態の静電チャック100では、第1の接合層110は比較的高温に晒されるが、セラミックス板10とチタン板60との熱膨張率の差は小さいため、第1の接合層110の材料として、弾性変形能力は比較的低い一方、耐熱性が比較的高い金属を用いることができる。そのため、第1の接合層110が分解温度に達することを防止することができ、セラミックス板10とチタン板60との間で剥離が発生することを抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、セラミックス板10とチタン板60とを接合する第1の接合層110に含まれる金属の主成分は、アルミニウムである。そのため、第1の接合層110の耐熱性および接合信頼性の向上を実現することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、セラミックス板10は、各構成成分を酸化物換算した場合に、アルミナの含有率が90wt%以上である。そのため、セラミックス板10の耐食性、耐摩耗性を向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、導電体であるチタン板60がベース板20と電気的に接続されている。そのため、チタン板60をプラズマ励起用の電極として使用することができる。一般に、プラズマ励起の安定化のためには、プラズマ励起用の電極より上に位置する絶縁体の厚さをできるだけ薄くすることが好ましい。本実施形態の静電チャック100では、チタン板60をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起用の電極としてのチタン板60より上に位置する絶縁体はセラミックス板10のみであり、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
A−4.第1実施形態の変形例:
図3は、第1実施形態の変形例における静電チャック100の構成を示す説明図である。以下では、第1実施形態の変形例における静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態における静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図3に示す変形例の静電チャック100は、チタン板60をプラズマ励起用の電極として機能させるための構成が、上述した第1実施形態の静電チャック100と異なっている。すなわち、図3に示す変形例の静電チャック100では、チタン板60が、ベース板20ではなく、プラズマ励起電極用端子として機能する導電性端子部材92と電気的に接続されている。より具体的には、第2の接合層120とベース板20とのそれぞれに形成された貫通孔122,22内に、例えば、先端にスプリングコネクタが設けられた導電性端子部材92が挿入されている。導電性端子部材92の先端(上端)は、チタン板60に接触している。また、ベース板20に形成された貫通孔22には、筒状の絶縁部材24が嵌挿されており、導電性端子部材92は、筒状の絶縁部材24の内周面に接触した状態で固定されている。このような構成により、チタン板60が、プラズマ励起電極用端子として機能する導電性端子部材92と電気的に接続される。図3に示す変形例の静電チャック100でも、上述した第1実施形態の静電チャック100と同様に、チタン板60をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における静電チャック100aのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態における静電チャック100aの構成の内、上述した第1実施形態における静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。なお、チタン板60をプラズマ励起用の電極として機能させるための構成については、第1実施形態またはその変形例と同様であるため、図4ではその図示を省略している。図5以降においても同様である。
第2実施形態における静電チャック100aでは、第1の接合層110aが、第1の接合機能層111と、アルミニウム層113と、第2の接合機能層112とから構成されている。アルミニウム層113は、純度99%以上のアルミニウムで形成されている。第1の接合機能層111は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成されており、セラミックス板10とアルミニウム層113とを接合する。第2の接合機能層112は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成されており、チタン板60とアルミニウム層113とを接合する。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。第2実施形態における静電チャック100aのその他の構成は、第1実施形態における静電チャック100の構成と同様である。
第2実施形態の静電チャック100aの製造方法は、上述した第1実施形態の静電チャック100の製造方法と以下の点が異なる。第1実施形態では、セラミックス板10とチタン板60との間に金属ろう材(例えば、アルミニウム合金であるAl−Si−Mg)の箔のみを配置して加熱するものとしているが、第2実施形態では、セラミックス板10とチタン板60との間に、純度99%以上のアルミニウム板(例えば、厚さ0.2〜3mm程度)の上下を、同様の金属ろう材箔(例えば、厚さ0.03〜0.5mm程度)で挟んだものを配置し、同様に真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱する。これにより、セラミックス板10とチタン板60とが、第1の接合機能層111とアルミニウム層113と第2の接合機能層112とから構成された第1の接合層110aによって接合(ろう付け)された積層体が作製される。なお、アルミニウム層113の純度を高く保つため、接合時の加熱時間を短くして、金属ろう材箔からの元素の拡散を抑えることが好ましい。その後は、第1実施形態と同様に、該積層体に第2の接合層120によってベース板20が接合され、静電チャック100aの製造が完了する。
以上説明した第2実施形態の静電チャック100aは、上述した第1実施形態の静電チャック100が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、第2実施形態の静電チャック100aでは、セラミックス板10とチタン板60とを接合する第1の接合層110aが、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、セラミックス板10とアルミニウム層113とを接合する第1の接合機能層111と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、チタン板60とアルミニウム層113とを接合する第2の接合機能層112とを含む。このように、第2実施形態の静電チャック100aでは、第1の接合層110aが、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113を含むため、セラミックス板10とチタン板60との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができ、熱サイクルに対する信頼性をさらに向上させることができる。
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態における静電チャック100bのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第3実施形態における静電チャック100bの構成の内、上述した第1実施形態における静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
第3実施形態における静電チャック100bでは、第1の接合層110bが、複合板115と、第1の接合機能層111と、第2の接合機能層112とから構成されている。複合板115は、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成されている。この複合材料は、多孔質セラミックスに溶融金属を加圧浸透させ、その後に冷却することにより作製されたものである。複合板115の形成材料としては、種々の複合材料が用いられ得るが、例えば、多孔質炭化ケイ素(SiC)にアルミニウム合金を浸透させた複合材料が用いられることが好ましい。複合板115の形成材料である複合材料のセラミックスと金属との体積比を調整することにより、複合板115の熱膨張率を、セラミックス板10およびチタン板60の熱膨張率に近付けることができる。
第1の接合機能層111は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、セラミックス板10と複合板115とを接合する。第2の接合機能層112は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、チタン板60と複合板115とを接合する。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。第3実施形態における静電チャック100bのその他の構成は、第1実施形態における静電チャック100の構成と同様である。
第3実施形態の静電チャック100bの製造方法は、上述した第1実施形態の静電チャック100の製造方法と以下の点が異なる。第1実施形態では、セラミックス板10とチタン板60との間に金属ろう材(例えば、アルミニウム合金であるAl−Si−Mg)の箔のみを配置して加熱するものとしているが、第3実施形態では、セラミックス板10とチタン板60との間に、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料で形成された板状部材(例えば、厚さ1〜5mm程度)の上下を、同様の金属ろう材箔(例えば、厚さ0.03〜0.5mm程度)で挟んだものを配置し、同様に真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱する。これにより、セラミックス板10とチタン板60とが、第1の接合機能層111と複合板115と第2の接合機能層112とから構成された第1の接合層110bによって接合(ろう付け)された積層体が作製される。その後は、第1実施形態と同様に、該積層体に第2の接合層120によってベース板20が接合され、静電チャック100bの製造が完了する。
以上説明した第3実施形態の静電チャック100bは、上述した第1実施形態の静電チャック100が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、第3実施形態の静電チャック100bでは、セラミックス板10とチタン板60とを接合する第1の接合層110bが、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成された複合板115と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、セラミックス板10と複合板115とを接合する第1の接合機能層111と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、チタン板60と複合板115とを接合する第2の接合機能層112とを含む。このように、第3実施形態の静電チャック100bでは、第1の接合層110bが、アルミニウム等に比べて熱膨張率がセラミックスに近い複合材料により形成された複合板115を含むため、第1の接合層110bで発生する熱膨張差による応力を低減させることができ、その結果、延性の高い純度99%以上のアルミニウムを用いずとも、セラミックス板10とチタン板60との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができる。さらに、第2の接合層120の温度が過度に高くなることを効果的に防止することができるため、第2の接合層120の材料として有機系接着剤を用いることができ、ベース板20の形成材料として冷媒流路21等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層120によってチタン板60とベース板20との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。
また、第3実施形態の静電チャック100bでは、複合材料におけるアルミニウム合金とセラミックスとの体積比率を調整することにより、複合板115の熱膨張率をセラミックス板10やチタン板60の熱膨張率に近付けることができ、熱膨張差により発生する応力による剥離の発生を抑制することができる。特に、複合板115の形成材料として炭化ケイ素とアルミニウム合金とを含む複合材料が用いられると、複合板115の熱膨張率をセラミックス板10やチタン板60の熱膨張率に容易に近付けることができるため、好ましい。
D.性能評価:
静電チャック100を対象に、以下に説明する性能評価を行った。図6は、性能評価に用いられた実施例および比較例の静電チャック100の概略構成を示す説明図である。また、図7は、性能評価の結果を示す説明図である。
性能評価では、実施例1〜6の静電チャック100および比較例1の静電チャック100Xが用いられた。図6および図7に示すように、実施例1〜3の静電チャック100は、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成に該当するものである。すなわち、実施例1〜3の静電チャック100は、アルミナにより形成されたセラミックス板10と、アルミニウム合金により形成された第1の接合層110と、チタンにより形成されたチタン板60と、シリコーン系樹脂を主成分とする有機系接着剤を含む第2の接合層120と、アルミニウム合金により形成されたベース板20とを備える。実施例1と実施例2とは、チタン板60の厚さのみが異なっている。具体的には、実施例1では、チタン板60の厚さが10mmであり、実施例2では、チタン板60の厚さが15mmである。また、実施例1と実施例3とは、第1の接合層110の厚さのみが異なっている。具体的には、実施例1では、第1の接合層110の厚さが1mmであり、実施例3では、第1の接合層110の厚さが3mmである。なお、実施例1〜3におけるその他の部材の厚さ同一である。具体的には、セラミックス板10の厚さは4.5mmであり(ヒータ50より下の部分の厚さt1(図1参照)は3mmであり)、第2の接合層120の厚さは0.3mmである。なお、他の実施例4〜6におけるセラミックス板10、チタン板60、第2の接合層120の厚さは、実施例1における各部材の厚さと同一である。
また、実施例4の静電チャック100(100a)は、上述した第2実施形態の静電チャック100aの構成に該当するものである。すなわち、実施例4の静電チャック100は、実施例1の静電チャック100から、第1の接合層110の構成を、アルミニウム合金により形成された第1および第2の接合機能層111,112と、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113とを含む構成に変更したものである。なお、実施例4では、第1の接合層110の厚さは3mmであり、その内のアルミニウム層113の厚さは2.5mmである。
また、実施例5,6の静電チャック100(100b)は、上述した第3実施形態の静電チャック100bの構成に該当するものである。すなわち、実施例5,6の静電チャック100は、実施例1の静電チャック100から、第1の接合層110の構成を、アルミニウム合金により形成された第1および第2の接合機能層111,112と、炭化ケイ素とアルミニウム合金との複合材料により形成された複合板115とを含む構成に変更したものである。実施例5と実施例6とは、第1の接合層110の厚さのみが異なっている。具体的には、実施例5では、第1の接合層110の厚さが3mmであり、実施例6では、第1の接合層110の厚さが5mmである。
また、比較例1の静電チャック100Xは、アルミナにより形成されたセラミックス板10と、アルミニウム合金により形成されたベース板20とが、シリコーン系樹脂を主成分とする有機系接着剤を含む第2の接合層120によって接合された構成である。すなわち、比較例1の静電チャック100Xは、チタン板60や第1の接合層110を備えていない。比較例1において、セラミックス板10の厚さは4.5mmであり(ヒータ50より下の部分の厚さt1は3mmであり)、第2の接合層120の厚さは0.3mmである。
図7に示すように、性能評価では、静電チャック100が熱サイクルにさらされたときのセラミックス板10の吸着面S1の温度分布(各位置における温度の差)の変化について、評価を行った。熱サイクル環境を作るため、実施例または比較例の静電チャック100を評価用チャンバーに設置し、ベース板20の冷媒流路21に90℃の冷却媒体を供給しつつ、ヒータ50のオン・オフを交互に繰り返した。具体的には、放射温度計を用いてセラミックス板10の吸着面S1における複数点の温度を測定し、各点での温度測定値の内の最高値(以下、「最高点温度Tmax」という)が260℃まで上昇するとヒータ50をオフ状態にし、吸着面S1の最高点温度Tmaxが120℃まで低下するとヒータ50をオン状態にする制御を繰り返した。熱サイクルを行う前の初期状態時と、熱サイクルをN回繰り返した時点とで、セラミックス板10の吸着面S1の各点での温度測定値の内の最高値(最高点温度Tmax)と最低値(以下、「最低点温度Tmin」という)との差である温度差ΔTを算出した。そして、熱サイクルをN回繰り返した時点での温度差ΔT(以下、「サイクル後温度差ΔTN」という)と、初期状態時における温度差ΔT(以下、「初期温度差ΔT0」という)との差(ΔTN−ΔT0)を、N回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(N)として算出した。なお、本性能評価では、N=100回および3000回について評価を行った。
図7に示すように、比較例1の静電チャック100では、装置上限の15kWの電力をヒータ50に印加しても、吸着面S1の温度は240℃までしか上昇しなかった。これは、比較例1では、チタン板60が設けられていないため、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性が高く(すなわち、熱抵抗が低く)、冷媒流路21に供給される冷却媒体によるセラミックス板10の冷却効果が過大となったためであると考えられる。比較例1の静電チャック100において、吸着面S1の温度を260℃とするためには、ヒータ50の電源出力を増大させる必要がある。
また、比較例1の静電チャック100では、100回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(100)が10℃より大きかったため、不合格と判定された。比較例1の静電チャック100Xでは、吸着面S1の温度が240℃までしか上昇しなかったにもかかわらず、第2の接合層120の温度が210℃まで達したため、第2の接合層120に含まれる有機系接着剤が分解されて第2の接合層120の接合面で剥離が発生し、該剥離箇所において局所的に冷却媒体による冷却効果が低下し、温度差変化量Ctが大きくなったものと考えられる。なお、比較例1の静電チャック100では、100回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(100)が大きかったため、N=3000回の評価については実施しなかった。
これに対し、実施例1〜6の静電チャック100では、8〜9kWの電力をヒータ50に印加することにより、吸着面S1の温度を260℃まで上昇させることができた。これは、実施例1〜6では、チタン板60が設けられているため、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性が低く(すなわち、熱抵抗が高く)、冷媒流路21に供給される冷却媒体によるセラミックス板10の冷却効果が抑制されたためであると考えられる。
また、実施例1〜6の静電チャック100では、100回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(100)が3℃未満であり、かつ、3000回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(3000)も5℃未満であったため、合格と判定された。実施例1〜6の静電チャック100では、吸着面S1の温度を260℃にしても、第2の接合層120の温度が164℃以下に抑えられているため、第2の接合層120に含まれる有機系接着剤の分解による剥離の発生を抑制することができたものと考えられる。なお、実施例4〜6の静電チャック100では、3000回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(3000)が3℃未満であり、熱サイクルに対する耐性が極めて高いことが確認された。
以上説明した性能評価により、静電チャック100を、セラミックスにより形成されたセラミックス板10と、金属により形成されたベース板20と、チタンにより形成されたチタン板60と、金属を含み、セラミックス板10とチタン板60とを接合する第1の接合層110と、有機系接着剤を含み、チタン板60とベース板20とを接合する第2の接合層120とを備えるように構成すれば、吸着面S1を高温(例えば260℃)にする場合であっても、ヒータ50への入力電力を抑制することができると共に、第1の接合層110や第2の接合層120の接合面で剥離が発生することを抑制することができることが確認された。
E.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで例示であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、チタン板60がベース板20または導電性端子部材92と電気的に接続されることによりプラズマ励起用の電極として機能するとしているが、必ずしもこのような電気的接続がなされる必要は無い。また、上記実施形態では、セラミックス板10の内部に一対の内部電極40が設けられた双極方式が採用されているが、セラミックス板10の内部に1つの内部電極40が設けられた単極方式が採用されてもよい。
また、上記実施形態における静電チャック100を構成する各部材の形成材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。また、上記実施形態における静電チャック100の製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。
本発明は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック100に限らず、セラミックス板とベース板とを備え、セラミックス板の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、真空チャックやヒータ等)にも適用可能である。
10:セラミックス板 20:ベース板 21:冷媒流路 22:貫通孔 24:絶縁部材 40:内部電極 50:ヒータ 60:チタン板 90:導電性端子部材 92:導電性端子部材 100:静電チャック 110:第1の接合層 111:第1の接合機能層 112:第2の接合機能層 113:アルミニウム層 115:複合板 120:第2の接合層 122:貫通孔

Claims (8)

  1. セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有するセラミックス板と、
    前記セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、
    を備え、前記セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、
    前記セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、チタンにより形成された板状のチタン板と、
    金属を含み、前記セラミックス板と前記チタン板とを接合する第1の接合層と、
    有機系接着剤を含み、前記チタン板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、
    を備えることを特徴とする、保持装置。
  2. 請求項1に記載の保持装置において、
    前記チタン板は、前記ベース板と電気的に接続されていることを特徴とする、保持装置。
  3. 請求項1に記載の保持装置において、さらに、
    プラズマ励起電極用端子を備え、
    前記チタン板は、前記プラズマ励起電極用端子と電気的に接続されていることを特徴とする、保持装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記第1の接合層に含まれる金属の主成分は、アルミニウムであることを特徴とする、保持装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記第1の接合層は、
    純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記セラミックス板と前記アルミニウム層とを接合する第1の接合機能層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記チタン板と前記アルミニウム層とを接合する第2の接合機能層と、
    を含むことを特徴とする、保持装置。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記第1の接合層は、
    アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成された複合板と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記セラミックス板と前記複合板とを接合する第1の接合機能層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記チタン板と前記複合板とを接合する第2の接合機能層と、
    を含むことを特徴とする、保持装置。
  7. 請求項6に記載の保持装置において、
    前記複合板の形成材料である前記複合材料は、アルミニウム合金と炭化ケイ素とを含むことを特徴とする、保持装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記セラミックス板は、各構成成分を酸化物換算した場合に、Alの含有率が90wt%以上であることを特徴とする、保持装置。
JP2016127230A 2016-06-28 2016-06-28 保持装置 Active JP6667386B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016127230A JP6667386B2 (ja) 2016-06-28 2016-06-28 保持装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016127230A JP6667386B2 (ja) 2016-06-28 2016-06-28 保持装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018006393A true JP2018006393A (ja) 2018-01-11
JP6667386B2 JP6667386B2 (ja) 2020-03-18

Family

ID=60949489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016127230A Active JP6667386B2 (ja) 2016-06-28 2016-06-28 保持装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6667386B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022119239A (ja) * 2021-02-04 2022-08-17 日本碍子株式会社 半導体製造装置用部材及びその製法
US12033837B2 (en) 2023-08-24 2024-07-09 Applied Materials, Inc. Electrostatic chuck assembly for cryogenic applications

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005057231A (ja) * 2003-07-24 2005-03-03 Kyocera Corp ウェハ保持部材及びその製造方法
JP2015035448A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 日本特殊陶業株式会社 静電チャック
US20160035610A1 (en) * 2014-07-30 2016-02-04 Myoung Soo Park Electrostatic chuck assemblies having recessed support surfaces, semiconductor fabricating apparatuses having the same, and plasma treatment methods using the same
WO2016080262A1 (ja) * 2014-11-20 2016-05-26 住友大阪セメント株式会社 静電チャック装置
JP2017063011A (ja) * 2015-09-25 2017-03-30 東京エレクトロン株式会社 載置台及びプラズマ処理装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005057231A (ja) * 2003-07-24 2005-03-03 Kyocera Corp ウェハ保持部材及びその製造方法
JP2015035448A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 日本特殊陶業株式会社 静電チャック
US20160035610A1 (en) * 2014-07-30 2016-02-04 Myoung Soo Park Electrostatic chuck assemblies having recessed support surfaces, semiconductor fabricating apparatuses having the same, and plasma treatment methods using the same
WO2016080262A1 (ja) * 2014-11-20 2016-05-26 住友大阪セメント株式会社 静電チャック装置
JP2017063011A (ja) * 2015-09-25 2017-03-30 東京エレクトロン株式会社 載置台及びプラズマ処理装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022119239A (ja) * 2021-02-04 2022-08-17 日本碍子株式会社 半導体製造装置用部材及びその製法
JP7414751B2 (ja) 2021-02-04 2024-01-16 日本碍子株式会社 半導体製造装置用部材及びその製法
US12033837B2 (en) 2023-08-24 2024-07-09 Applied Materials, Inc. Electrostatic chuck assembly for cryogenic applications

Also Published As

Publication number Publication date
JP6667386B2 (ja) 2020-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6786439B2 (ja) 保持装置および保持装置の製造方法
JP5117146B2 (ja) 加熱装置
JP5018244B2 (ja) 静電チャック
JP5107186B2 (ja) 加熱装置
JP6006972B2 (ja) 静電チャック
US7763831B2 (en) Heating device
JP6428456B2 (ja) 静電チャック装置
JP6196095B2 (ja) 静電チャック
JP6325424B2 (ja) 静電チャック
JP2014209615A (ja) 静電チャック
JP6319023B2 (ja) 静電チャック装置
JP6905399B2 (ja) 基板固定装置
JP4331983B2 (ja) ウェハ支持部材およびその製造方法
JP6317183B2 (ja) 半導体製造装置用部品
JP4548928B2 (ja) 電極内蔵体及びこれを用いたウエハ支持部材
JP6580999B2 (ja) 保持装置
JP2006186351A (ja) 半導体製造装置
JP2017126641A (ja) 保持装置
JP6667386B2 (ja) 保持装置
JP2004071647A (ja) 複合ヒータ
JP2019161134A (ja) 保持装置の製造方法および保持装置
JP6994863B2 (ja) セラミックス部材の製造方法
JP2020004809A (ja) 保持装置
JP6695204B2 (ja) 保持装置
JP2019127426A (ja) セラミックス部材の製造方法およびセラミックス部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200225

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6667386

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250