JP2018006076A - 透明導電性シート及びその製造方法 - Google Patents

透明導電性シート及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018006076A
JP2018006076A JP2016128969A JP2016128969A JP2018006076A JP 2018006076 A JP2018006076 A JP 2018006076A JP 2016128969 A JP2016128969 A JP 2016128969A JP 2016128969 A JP2016128969 A JP 2016128969A JP 2018006076 A JP2018006076 A JP 2018006076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent conductive
conductive film
transparent
hydrophobic resin
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016128969A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6716366B2 (ja
Inventor
智久 西本
Tomohisa Nishimoto
智久 西本
涼 野村
Ryo Nomura
涼 野村
土井 秀軽
Shukei Doi
秀軽 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Ltd
Original Assignee
Maxell Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maxell Holdings Ltd filed Critical Maxell Holdings Ltd
Priority to JP2016128969A priority Critical patent/JP6716366B2/ja
Priority to TW105127874A priority patent/TWI619785B/zh
Priority to CN201610773400.5A priority patent/CN107545949B/zh
Priority to KR1020160111974A priority patent/KR20180002470A/ko
Publication of JP2018006076A publication Critical patent/JP2018006076A/ja
Priority to KR1020180172894A priority patent/KR20190002411A/ko
Application granted granted Critical
Publication of JP6716366B2 publication Critical patent/JP6716366B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B5/00Non-insulated conductors or conductive bodies characterised by their form
    • H01B5/14Non-insulated conductors or conductive bodies characterised by their form comprising conductive layers or films on insulating-supports
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/28Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with organic material
    • C03C17/32Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with organic material with synthetic or natural resins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/24Electrically-conducting paints
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/06Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances
    • H01B1/12Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances organic substances
    • H01B1/124Intrinsically conductive polymers
    • H01B1/127Intrinsically conductive polymers comprising five-membered aromatic rings in the main chain, e.g. polypyrroles, polythiophenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/70Properties of coatings
    • C03C2217/76Hydrophobic and oleophobic coatings

Abstract

【課題】電気特性、光学特性、物理特性及び耐湿熱性に優れた透明導電性膜を有する透明導電性シートを提供する。
【解決手段】本発明の透明導電性シート10は、透明基材11と、透明基材11の主面に形成された透明導電性膜12とを備え、透明導電性膜12は、導電性高分子12bと、疎水性樹脂12aとを含み、疎水性樹脂12aは、複数の塊状体を形成し、導電性高分子12bは、前記塊状体の間に配置されて、三次元的に連結し、導電性高分子12bの一部が、透明導電性膜12の表面にまで達していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性シート及びその製造方法に関する。
近年、チオフェン系やアニリン系の高分子は優れた安定性及び導電性を有することから、有機導電性材料としてその活用が期待されている。その活用の一つとして、液晶ディスプレイ、透明タッチパネル等の各種デバイスに用いられる透明電極の形成に、導電性高分子を溶媒に分散させたコーティング組成物が用いられている。
特許文献1では、「導電性高分子と、樹脂と、溶媒とを含む透明導電性コーティング組成物であって、前記樹脂は、ポリフッ化ビニリデンを含み、前記溶媒は、プロトン性極性溶媒と、非プロトン性極性溶媒とを含み、前記コーティング組成物中における前記ポリフッ化ビニリデンの分散粒子径は、0.3μm以下であり、前記導電性高分子の含有量は、前記コーティング組成物に含まれる全固形成分の質量に対して3質量%以上45質量%以下であり、前記非プロトン性極性溶媒の含有量は、前記溶媒の全質量に対して25質量%以上50質量%以下」である透明導電性コーティング組成物が提案されている。
特開2016−3312号公報
しかし、特許文献1に記載のコーティング組成物を用いて透明導電性シートを製造する場合、透明導電性シートの硬度が十分でなく、製造過程で透明導電性シートが破損又は損傷する可能性があり、物理特性に問題があることが判明した。
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、特に物理特性に優れた透明導電性膜を有する透明導電性シート及びその製造方法を提供する。
本発明の一例によれば、透明導電性シートは、透明基材と、前記透明基材の主面に形成された透明導電性膜とを含む透明導電性シートであって、前記透明導電性膜は、導電性高分子と、疎水性樹脂とを含み、前記疎水性樹脂は、複数の塊状体を形成し、前記導電性高分子は、前記塊状体の間に配置されて、三次元的に連結し、前記導電性高分子の一部が、前記透明導電性膜の表面にまで達する構成を有する。
本発明によれば、物理特性に優れた透明導電性膜を有する透明導電性シートを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態による透明導電性シートの模式断面図である。 図2は、従来の透明導電性シートの模式断面図である。 図3は、実施例1の透明導電性シートの断面の電界放射形走査電子顕微鏡写真を示す図である。 図4は、実施例1の透明導電性シートの表面のAFM/電流同時測定によるAFM電流像を示す図である。 図5は、実施例1の透明導電性シートの断面のAFM/電流同時測定によるAFM電流像を示す図である。
(透明導電性シート)
本発明の一実施形態による透明導電性シートは、透明基材と、上記透明基材の主面に形成された透明導電性膜とを備え、上記透明導電性膜は、導電性高分子と、疎水性樹脂とを含み、上記疎水性樹脂は、複数の塊状体を形成し、上記導電性高分子は、上記塊状体の間に配置されて、三次元的に連結し、上記導電性高分子の一部が、上記透明導電性膜の表面にまで達している。
より具体的には、本発明の一実施形態による透明導電性シートは、透明基材と、上記透明基材の主面に形成された透明導電性膜とを備え、上記透明導電性膜は、導電性高分子と、疎水性樹脂とを含み、上記透明導電性膜の鉛筆硬度が、B以上であり、上記透明導電性膜の表面電気抵抗値が、50Ω/スクエア以上200Ω/スクエア以下であり、上記透明導電性シートの全光線透過率が、85%以上となる。
本発明の一実施形態による透明導電性シートの透明導電性膜においては、上記疎水性樹脂が複数の塊状体を形成し、上記導電性高分子が上記塊状体の間に配置されて三次元的に連結することにより、三次元的導電パスを形成し、三次元的導電パスを形成した導電性高分子の一部が上記透明導電性膜の表面にまで達しているため、電気特性、光学特性、物理特性及び耐湿熱性に優れている。
上記塊状体は、上記疎水性樹脂の単一粒子からなるか、又は、上記疎水性樹脂の単一粒子の集合体からなり、また、単一粒子からなる塊状体と、単一粒子の集合体からなる塊状体とが混在していてもよい。
また、上記疎水性樹脂は、上記透明導電性膜のバインダとして機能するため、上記透明導電性膜と上記透明基材との密着性を向上できる。特に、上記透明基材として樹脂フィルム等のフレキシブル基材を用いる場合に、上記透明導電性膜が疎水性樹脂を含むことは、上記透明導電性膜と上記透明基材との密着性や追従性の観点で好ましい。
上記導電性高分子とは、Conductive Polymers(CPs)と呼ばれる高分子であり、ドーパントによるドーピングによって、ポリラジカルカチオニック塩又はポリラジカルアニオニック塩が形成された状態で、それ自体が導電性を発揮し得る高分子をいう。具体的には、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール及びこれらの誘導体等のπ共役系導電性高分子が挙げられる。
本発明の一実施形態では、上記導電性高分子として、ポリチオフェン系化合物とドーパントとを含むものを用いることができる。上記導電性高分子としては、ポリチオフェン系化合物としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸とを含む混合物(PEDOT/PSSともいう。)を用いることができるが、これに限定されない。
上記PEDOT/PSSとしては、例えば、PEDOTとPSSとの組成比は、PEDOT100質量部に対しPSSは300質量部以下が好ましい。このような組み合わせのものとしては、例えば、ヘレウス社製のクレビオスシリーズで“PH1000”、“PH750”、“PH500”、“PHCV4”等が挙げられる。
続いて、上記PEDOT/PSSの形態を説明する。先ず、PEDOTの分子量は1000〜2500程度のオリゴマーであり、PSSの分子量は10000〜500000程度の高分子であり、これらからPEDOT/PSSの一次構造が形成される。次に、アニオニックのPSS鎖に対して、多数のカチオニックのPEDOT分子が吸着して塩となる二次構造を取る。更に、PSS鎖が相互に絡み合うことでゲル状に凝集した3次構造を形成し、水中に分散した場合、コロイド状態を形成する。また、導電性高分子であるPEDOT/PSSの形態は、透明導電性膜の形成時には疎水性樹脂の存在により、コロイド状態から一定の体積を保持しながら変形する。
上記導電性高分子の水分散液における平均粒子径は10nm〜500nm程度であることが好ましく、電気特性、光学特性、物理特性及び耐湿熱性を向上させる観点から、10nm〜100nmがより好ましい。
上記導電性高分子の平均粒子径は、次のようにして測定する。先ず、導電性高分子の水分散液を分取して凍結後、破断面を作製する。その後、FEI社製の電界放射形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、加速電圧:1.0kV、倍率:50000倍で観察して、二次電子像を得る。得られた二次電子像について画像処理を施し、個々の粒子の最大長軸径を算出する。その後、算出した最大長軸径の算術平均値を求めて、導電性高分子の平均粒子径とする。
上記導電性高分子の一部は、上記透明導電性膜の表面にまで達していることが必要であり、これにより、本発明の一実施形態による透明導電性シートの透明導電性膜の表面電気抵抗値を確実に低下させることができる。
ここで上記透明導電性膜の電気特性及び物理特性が向上する理由について、従来の透明導電性膜と比較して、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態による透明導電性シートの模式断面図である。図1において、本発明の一実施形態による透明導電性シート10は、透明基材11と、透明基材11の上に形成された透明導電性膜12とを備えている。また、透明導電性膜12は、バインダとして機能する疎水性樹脂12aと、導電性高分子12bとから形成されている。疎水性樹脂12aは、塊状体を形成し、導電性高分子12bは、塊状体を形成した疎水性樹脂12aの間に配置されている。また、上記塊状体は、上記疎水性樹脂の単一粒子からなるか、又は、上記疎水性樹脂の単一粒子の集合体からなると考えられる。また、上記塊状体は、単一粒子からなる塊状体と、単一粒子の集合体からなる塊状体とが混在していてもよい。
また、導電性高分子12bは、透明導電性膜12の中で三次元的に連結することにより、三次元的導電パスを形成し、三次元的導電パスを形成した導電性高分子の一部が、透明導電性膜12の表面にまで達している。ここで、三次元的導電パスを形成することとは、導電性高分子が三次元方向に導通している状態をいう。上記三次元的導電パスを形成した導電性高分子は、透明導電性膜12の中において、完全に一体化されていてもよいし、三次元的導電パスを形成した導電性高分子が複数の集合を形成して連結して相互に電気的に接続していてもよい。即ち、透明導電性膜12の中で、導電性高分子12bが導電パス、即ち、導電性ネットワークを形成していればよい。これにより、透明導電性シート10の導電性を向上できると考えられる。
導電性高分子12bが、透明導電性膜12の中で三次元的に連結し、上記導電性高分子の一部が、透明導電性膜12の表面にまで達していることは、透明導電性膜12の表面及び断面について、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用いて、AFM/電流同時測定を行い、導電部を可視化することにより確認できる。
透明導電性膜12の表面には、導電性高分子と疎水性樹脂とが一定の比率で存在する。透明導電性膜12の表面近傍にも疎水性樹脂12aが存在し、強度的に弱い導電性高分子12bを補うことで、透明導電性膜12の表面硬度が向上できると考えられる。一方、表面の導電性高分子12bは、三次元的導電パスを形成する導電性高分子と、三次元的導電パスを形成しない導電性高分子とに二分されることが分かっている。三次元的導電パスを形成する導電性高分子は、疎水性樹脂12aに保護されているため、例え、表面摩擦を加えたとしても、透明導電性膜として機能する。また、透明導電性膜12の内部には、疎水性樹脂12aの塊状体が充填され、導電性高分子12bが疎水性樹脂12aの塊状体の間に散在する状態となる。このため、立体的構造として疎水性樹脂12aの塊状体同士がお互いに化学的相互作用と物理的相互作用とを与えながら、整然と配列するため、透明導電性膜12の内部硬度も向上すると考えられる。
一方、図2は、疎水性樹脂に代えて親水性樹脂を用いた従来の透明導電性シートの模式断面図である。図2において、従来の透明導電性シート20は、透明基材21と、透明基材21の上に形成された透明導電性膜22とを備えている。また、透明導電性膜22は、親水性樹脂22aと、導電性高分子22bとから形成されている。導電性高分子と、疎水性樹脂と、溶媒とを含む透明導電性膜形成用塗布液において、溶媒が水の場合、疎水性樹脂は溶媒中でエマルジョン型の形態となるが、親水性樹脂22aはエマルジョン型の形態はとらず溶媒中に溶解する。また、親水性樹脂22aは、ほぼランダムに透明導電性膜22の中に分散し、導電性高分子22bは、親水性樹脂22aの間に配置されていると考えられる。
また、導電性高分子22bは、透明導電性膜22の中でほぼ孤立しており、導電性高分子22bは、透明導電性膜22の中で三次元的導電パスを形成していないか、又はその形成が不十分であると考えられる。このため、導電性高分子22bが導電パスとして十分には機能せず、透明導電性シート20の導電性が向上できないと考えられる。即ち、親水性樹脂を用いた従来の透明導電性シートにおいて、導電パスを形成するためには、導電性高分子の含有率を上げるか、透明導電性膜の膜厚を増加させる必要があり、その場合の欠点として光学特性の悪化が考えられる。
更に、透明導電性膜22の内部には、親水性樹脂22aと導電性高分子22bとがランダムに絡み合って存在すると考えられるため、透明導電性膜22の外部応力に対する抵抗力が低下し、透明導電性膜22の硬度が低下すると考えられる。
上記疎水性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、フッ化ビニリデン−アクリル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等の樹脂が使用できる。本発明で疎水性樹脂とは、上記導電性高分子と比較して、水に対する溶解度が小さい樹脂を意味し、特に、好ましくは、樹脂骨格中に疎水性基を有する樹脂である。
また、上記疎水性樹脂の使用形態としては、エマルジョン型が使用できる。特に、PVDFエマルジョン、フッ化ビニリデン−アクリル共重合体エマルジョン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエステルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン等が好ましい。また、上記エマルジョンにおける樹脂粒子の平均粒子径は、10〜300nmであることが好ましく、その平均粒子径は既知の粒度分布計で測定することができる。
また、上記導電性高分子と上記疎水性樹脂との体積比は、1:99〜70:30とすることができる。上記導電性高分子と上記疎水性樹脂との体積比が上記範囲内であれば、透明導電性膜の立体的構造の形成において、導電性高分子と疎水性樹脂とが整然と配列するため、上記透明導電性膜の電気特性、光学特性、物理特性及び耐湿熱性を向上できる。特に、透明電極の形成において、より好ましい体積比は10:90〜35:65である。
上記透明導電性シートの透明導電性膜の鉛筆硬度は、B以上であることが好ましく、HB以上であることがより好ましい。鉛筆硬度が高いほど良好な物理特性を示す。
上記透明導電性シートの透明導電性膜の表面電気抵抗値は、50Ω/スクエア以上10000Ω/スクエア以下であることが好ましい。更に、上記透明導電性膜をタッチパネル用電極として用いる場合には、上記透明導電性膜の表面抵抗値は、50Ω/スクエア以上200Ω/スクエア以下が好ましい。表面電気抵抗値が小さいほど良好な電気特性を示す。
上記透明導電性シートの全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率が高いほど良好な光学特性を示す。上記全光線透過率は、分光光度計、例えば、日本分光社製の“V−570”により測定可能である。
上記透明導電性膜の膜厚は、用途に応じて適宜設定されるものであるが、通常、0.01〜10μm程度である。膜厚が薄すぎても厚すぎても、均一な透明導電性膜を形成することが困難となる。上記導電性高分子の割合にもよるが、膜厚が薄いと、表面電気抵抗値が増加する傾向にあり、膜厚が厚すぎると、全光線透過率が低下する傾向にある。本実施形態では、150〜300nmが好ましい。
上記透明基材としては、例えば、プラスチック、ゴム、ガラス、セラミックス等の種々のものが使用できる。
(透明導電性シートの製造方法)
本発明の一実施形態による透明導電性シートの製造方法は、導電性高分子と、疎水性樹脂と、溶媒とを含む透明導電性膜形成用塗布液を作製する工程と、上記透明導電性膜形成用塗布液を透明基材の上に塗布して加熱することにより、上記透明基材の上に透明導電性膜を形成する工程とを備える。
本発明の一実施形態による透明導電性シートの製造方法によれば、電気特性、光学特性、物理特性及び耐湿熱性に優れた透明導電性膜を備えた透明導電性シートを製造できる。
<透明導電性膜形成用塗布液>
上記導電性高分子としては、前述のポリチオフェン系化合物としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸とを含む混合物(PEDOT/PSS)を用いることができるが、これらに限定されない。通常、上記導電性高分子は、導電性高分子の水分散液の形態で供給される。
上記透明導電性膜形成用塗布液における上記導電性高分子の含有量は、上記透明導電性膜形成用塗布液に含まれる全固形成分の質量に対して0.7質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。上記導電性高分子の含有量が、上記透明導電性膜形成用塗布液に含まれる全固形成分の質量に対して0.7質量%を下回ると透明導電性膜の導電性が低下し、70.0質量%を超えると透明導電性膜の物理特性や耐湿熱性が低下する傾向にある。
上記疎水性樹脂は、前述の透明導電性シートで説明した疎水性樹脂と同じ樹脂が使用できるが、その使用形態は、疎水性樹脂水系エマルジョンとして用いることが好ましい。上記導電性高分子は通常、導電性高分子水分散液として用いるため、上記疎水性樹脂水系エマルジョンを用いることにより、上記導電性高分子水分散液との混合性が向上する。
また、上記疎水性樹脂は、元々非水溶性樹脂であるため、疎水性樹脂水系エマルジョンとして用いることにより、上記透明導電性膜形成用塗布液を作製した際に、疎水性樹脂と導電性高分子とが分離して、疎水性樹脂が複数の塊状体を形成し、導電性高分子を上記疎水性樹脂の塊状体の間に配置させることができる。
上記疎水性樹脂の含有量は、上記透明導電性膜形成用塗布液に含まれる全固形成分の質量に対して30.0質量%以上99.3質量%以下が好ましく、より好ましくは65.0質量%以上95.0質量%以下である。上記疎水性樹脂の含有量が少なすぎると、十分な硬度を有する透明導電性膜が得られにくい傾向にあり、上記疎水性樹脂の含有量が多すぎると、透明導電性膜が白濁化し、光学特性が悪化する傾向にある。
上記溶媒は、プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒とを含んでいることが好ましい。プロトン性溶媒は、塗布液の状態において導電性高分子を均一に分散する効果を持つとともに、疎水性樹脂を均一に分散、もしくは溶解する効果がある。また、非プロトン性溶媒は、基材に塗布液を塗布した後、溶媒を乾燥により除去して導電性膜を形成する乾燥工程において、導電性高分子を配向、結晶化させ、導電性ネットワークを形成する効果がある。また、プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒とを併用することにより、塗布液の作製から導電性膜の形成までを通して、それぞれの溶媒は導電性高分子と疎水性樹脂とに対して効果的に作用するため、比較的低い乾燥温度で透明性に優れた透明導電性膜を得ることができる。
上記プロトン性極性溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸等が挙げられ、上記非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記非プロトン性極性溶媒の含有量は、上記溶媒の全質量に対して1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。上記非プロトン性極性溶媒の含有量が、上記溶媒の全質量に対して1.0質量%を下回ると、導電性高分子の配向、結晶化が起こりにくいため、透明導電性膜の電気特性が低下する傾向にあり、50.0質量%を超えると、導電性高分子や疎水性樹脂の凝集が発生しやすくなるため、透明導電性膜の光学特性が低下する傾向にある。
上記溶媒の含有量は特に限定されないが、上記透明導電性膜形成用塗布液の全質量に対して、50.0質量%以上99.5質量%以下とすればよい。また、上記溶媒には、無極性溶媒を含んでいてもよい。
上記透明導電性膜形成用塗布液は、上記導電性高分子、上記疎水性樹脂、上記溶媒を混合することにより製造できる。また、上記透明導電性膜形成用塗布液は、更に分散機を用いて分散処理することが好ましい。上記分散機を用いて分散処理することにより、確実に疎水性樹脂が複数の塊状体を形成し、導電性高分子が上記塊状体の間に配置して三次元的に連結して三次元的導電パスを形成し、三次元的導電パスを形成する導電性高分子の一部を上記透明導電性膜の表面にまで到達させることができる。
上記分散機としては、ボールミル、サンドミル、ピコミル、ペイントコンディショナー等のメディアを介在させたメディア分散機、及び超音波分散機、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、ディスパー、ジェットミル等のメディアレス分散機が使用できる。特に好ましいのは、高圧ホモジナイザーである。
更に、上記透明導電性膜形成用塗布液は、レベリング剤を含んでいることが好ましい。これにより、確実に疎水性樹脂が複数の塊状体を形成し、導電性高分子が上記塊状体の間に配置して三次元的に連結して三次元的導電パスを形成し、三次元的導電パスを形成する導電性高分子の一部を上記透明導電性膜の表面にまで到達させることができる。
上記レベリング剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物が挙げられる。具体的には、ビックケミー社製のBYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570;デグサ社製のTEGO−RAD2100、TEGO−RAD2200N、TEGO−RAD2250、TEGO−RAD2300、TEGO−RAD2500、TEGO−RAD2600、TEGO−RAD2700;共栄社化学社製のグラノール100、グラノール115、グラノール400、グラノール410、グラノール435、グラノール440、グラノール450、B−1484、ポリフローATF−2、KL−600、UCR−L72、UCR−L93等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して使用してもよい。これらの中でも、ビックケミー社製のBYK−337やBYK−377がより好ましい。上記レベリング剤の含有量は、上記透明導電性膜形成用塗布液の全質量に対して0.01〜5.0質量%程度とすればよい。
<透明導電性膜の形成>
上記透明導電性膜形成用塗布液を透明基材の上に塗布する方法としては、例えば、バーコート法、リバース法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、ディッピング法、スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法等の塗布方法を用いることができる。
上記塗布後の加熱は、上記透明導電性膜形成用塗布液の溶媒成分が蒸発する条件であればよく、100〜150℃で1〜60分間行うことが好ましい。溶媒が透明導電性膜に残っていると強度が劣る傾向にある。加熱方法としては、例えば、熱風乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥等により行うことができる。また、必要に応じて、塗膜にUV光やEB光を照射して塗膜を硬化させたりして、透明導電性膜を形成してもよい。
<導電パターンの形成工程>
本発明の一実施形態による透明導電性シートの製造方法は、上記透明導電性膜上の導電パターンを形成する位置にレジスト膜を形成する工程と、導電性を失活させる不活性剤を用いて、上記レジスト膜をマスクとして、上記透明導電性膜の露出部の導電性を失活させる工程とを更に備えることができる。これにより、簡単且つ安価に高精度の導電パターンを透明基材の上に形成できる。
上記レジスト膜は、例えば、レジスト剤を上記透明導電性膜上にスクリーン印刷することにより形成できる。上記レジスト剤は特に限定されず、適宜選択できる。
上記不活性剤としては、上記導電性高分子を失活できるものであればよく、例えば、酸化性化合物、塩基性化合物が挙げられる。
上記酸化性化合物としては、例えば、過酸化水素系化合物、過塩素酸系化合物、次亜塩素酸系化合物、過酢酸系化合物、メタクロロ安息香酸系化合物、亜硫酸系化合物等が挙げられる。
また、上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルピリジン、水酸化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を述べる。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に指摘がない場合、下記において、「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
<透明導電性膜形成用塗布液の調製>
先ず、以下の成分を添加、混合して透明導電性膜形成用混合液を調製した。
(1)導電性高分子水分散液(ヘレウス社製、商品名“クレビオスPH1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.2質量%、PEDOT−PSSの平均粒子径:70nm):40.00部
(2)疎水性樹脂エマルジョン(アルケマ社製のPVDFエマルジョン、固形分濃度:24質量%、溶媒:水):6.00部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):12.70部
(4)プロトン性極性溶媒(エチルアルコール):33.20部
(5)プロトン性極性溶媒(イオン交換水):8.10部
次に、上記透明導電性膜形成用混合液を、高圧ホモジナイザーを用いて80MPaの圧力で分散処理して透明導電性膜形成用塗布液を作製した。
<透明導電性シートの形成>
次に、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、商品名“コスモシャインA4300”、全光線透過率:92.3%)を基板として用い、その基板の一方の主面の全面に上記透明導電性膜形成用塗布液をバーコート法により塗布し、その後120℃で2分間加熱した。これにより、一方の主面に透明導電性膜が形成された実施例1の透明導電性シートを作製した。上記透明導電性膜の膜厚は、290nmであった。
<透明導電性膜の表面及び断面の観察>
作製した透明導電性シートの透明導電性膜の断面構造の観察を次にようにして行った。先ず、作製した透明導電性シートの透明導電性膜の上にエポキシ樹脂を塗布して包埋して、そのエポキシ樹脂面を機械研磨法にて整面した。その後、日本電子社製の断面試料作製装置“SM−09010”(商品名)を用いてイオンポリッシングにより断面を作製し、フラットミリング処理して断面観察用試料を得た。その断面観察用試料を日立製作所製の電界放射形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、加速電圧:2.0kV、倍率:100000倍で観察して、二次・反射電子混成像を得た。その観察像を図3に示す。
図3から、透明導電性シート30において、PETフィルム31の上には、透明導電性膜32が形成され、透明導電性膜32の上には、エポキシ樹脂層33が形成され、疎水性樹脂32aは、複数の層状の連続膜を形成し、導電性高分子32bは、複数の層状の膜を形成し、導電性高分子32bの膜が疎水性樹脂32aの連続膜の間に配置されていることが確認できる。また、図3から、疎水性樹脂32aの連続膜の厚さは、約20〜100nmであった。
<透明導電性膜の表面及び断面で三次元的導電パスを形成する導電性高分子の可視化>
上記透明導電性シートの透明導電性膜の加工面の周囲に導電性材料として銀ペーストを塗布した後、透明導電性シートの表面と断面に対してAFM/電流同時測定を行い、三次元的導電パスを形成する導電性高分子(導電性ネットワーク)の可視化を行った。
具体的には、日立ハイテクサイエンス社製の原子間力顕微鏡“Nano NaviII/E−Sweep”を用い、SIS(サンプルインテリジェンススキャン)モードで電流同時測定を行った。表面分析においては、探針は表面AuコートSi34製のもの(バネ定数0.1N/m)を使用し、スキャン面積を1μm2、印加電圧を0.3Vとし、アンプはナノアンプを使用した。また、断面分析においては、探針はPtコートSi製のもの(バネ定数3N/m)を使用し、スキャン面積は2μm2、印加電圧を0.7Vとし、アンプはピコアンプを使用した。
図4に透明導電性膜の表面のAFM/電流同時測定によるAFM電流像を示す。図4から、透明導電性膜の表面には、非導電部41と、点状の導電部42とが確認できる。非導電部41は、PVDFから形成され、導電部42は、三次元的導電パスを形成する導電性高分子の一部が透明導電性膜の表面にまで達した状態を示している。但し、表面に存在するすべての導電性高分子が三次元的導電パスを形成している訳ではないと考えられる。
また、図5に透明導電性膜の断面のAFM/電流同時測定によるAFM電流像を示す。図5から、透明導電性膜40は、非導電部41と導電部42とから形成され、導電部42が、三次元的導電パスを形成する導電性高分子により、透明導電性膜40の内部に導電性ネットワークを形成していることが確認できる。
図3〜図5から、上記透明導電性膜において、疎水性樹脂は複数の塊状体を形成し、上記導電性高分子は上記塊状体の間に配置されて三次元的に連結して三次元的導電パスを形成し、三次元的導電パスを形成する導電性高分子の一部が、上記透明導電性膜の表面にまで達していることが分かる。
(実施例2)
以下の成分を添加、混合して透明導電性膜形成用混合液を調製し、その透明導電性膜形成用混合液を実施例1と同様にして高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して透明導電性膜形成用塗布液を作製し、その透明導電性膜形成用塗布液を用い、透明導電性膜の膜厚を180nmとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の透明導電性シートを作製した。
(1)導電性高分子水分散液(ヘレウス社製、商品名“クレビオスPH1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.2質量%、PEDOT−PSSの平均粒子径:70nm):60.00部
(2)疎水性樹脂エマルジョン(ダイセルファインケム社製のアクリル樹脂エマルジョン、商品名“AST499”固形分濃度:41.7質量%、溶媒:水):3.00部
(3)レベリング剤(ビックケミージャパン社製、商品名“BYK−337”、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン15質量%とジプロピレングリコールモノメチルエーテル85質量%との混合液):0.20部
(4)非プロトン性極性溶媒(エチレングリコール):10.00部
(5)プロトン性極性溶媒(n−プロピルアルコール):20.00部
(6)プロトン性極性溶媒(イオン交換水):6.80部
作製した透明導電性シートの透明導電性膜の断面の観察を実施例1と同様にして行ったところ、図3と同様の観察像を得て、その観察像から疎水性樹脂の連続膜の厚さは、約30〜150nmであった。また、上記透明導電性膜の表面及び断面で三次元的導電パスを形成する導電性高分子の可視化を実施例1と同様にして行ったところ、図4及び図5と同様のAFM電流像を得た。
(実施例3)
高圧ホモジナイザーを用いた分散処理をせずに透明導電性膜形成用混合液をそのまま透明導電性膜形成用塗布液として用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の透明導電性シートを作製した。
作製した透明導電性シートの透明導電性膜の断面の観察を実施例1と同様にして行ったところ、図3と同様の観察像を得て、その観察像から疎水性樹脂の連続膜の厚さは、約40〜200nmであった。また、上記透明導電性膜の表面及び断面の三次元的導電パスを形成する導電性高分子の可視化を実施例1と同様にして行ったところ、図4及び図5と同様のAFM電流像を得た。
(実施例4)
レベリング剤(ビックケミージャパン社製、商品名“BYK−337”)を0.20部添加し、プロトン性極性溶媒(イオン交換水)の添加量を7.90部に変更し、高圧ホモジナイザーを用いた分散処理をしなかった以外は、実施例1と同様にして透明導電性膜形成用塗布液を作製し、この透明導電性膜形成用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4の透明導電性シートを作製した。
作製した透明導電性シートの透明導電性膜の断面の観察を実施例1と同様にして行ったところ、図3と同様の観察像を得て、その観察像から疎水性樹脂の連続膜の厚さは、約30〜175nmであった。また、上記透明導電性膜の表面及び断面の三次元的導電パスを形成する導電性高分子の可視化を実施例1と同様にして行ったところ、図4及び図5と同様のAFM電流像を得た。
(比較例1)
以下の成分を添加、混合して透明導電性膜形成用混合液を調製し、その透明導電性膜形成用混合液を実施例1と同様にして高圧ホモジナイザーを用いて分散処理し、透明導電性膜形成用塗布液を作製し、その透明導電性膜形成用塗布液を用い、透明導電性膜の膜厚を389nmとした以外は、実施例1と同様にして比較例1の透明導電性シートを作製した。
(1)導電性高分子水分散液(ヘレウス社製、商品名“クレビオスPH1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.2質量%、PEDOT−PSSの平均粒子径:70nm):39.20部
(2)親水性樹脂(クラレ社製のポリビニルアルコール、商品名“PVA−217”):1.41部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):12.70部
(4)プロトン性極性溶媒(エチルアルコール):33.20部
(5)プロトン性極性溶媒(イオン交換水):13.49部
作製した透明導電性シートの透明導電性膜の断面の観察を実施例1と同様にして行ったところ、図3とは異なり、透明導電性膜の断面構造は均一な単層構造であることを確認した。また、上記透明導電性膜の表面及び断面の三次元的導電パスを形成する導電性高分子の可視化を実施例1と同様にして行ったところ、図4及び図5とは異なり、導電性高分子による導電性ネットワークの形成が不十分であることが分かった。
(比較例2)
<透明導電性膜形成用塗布液の調製>
先ず、以下の成分を添加、混合して透明導電性膜形成用塗布液を調製した。本比較例2では、高圧ホモジナイザーを用いた分散処理は行わなかった。
(1)導電性高分子水分散液(ヘレウス社製、商品名“PH−500”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.0質量%、PEDOT−PSSの平均粒子径:120nm):2.5部
(2)疎水性樹脂エマルジョン(アルケマ社製のPVDFエマルジョン、固形分濃度:20質量%、溶媒:水):2.4部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):3.9部
(4)プロトン性極性溶媒(エチルアルコール):1.2部
<透明導電性シートの形成>
次に、厚さ0.7mmの10cm角の無アルカリガラス(全光線透過率:91.2%)を基板として用い、基板の一方の主面に上記透明導電性膜形成用塗布液をスピンコーティング法により回転速度800rpmで、30秒間塗布し、その後100℃で5分間加熱した。これにより、一方の主面に透明導電膜性膜が形成された比較例2の透明導電性シートを作製した。上記透明導電性膜の膜厚は、500nmであった。
次に、上記で得られた実施例1〜4及び比較例1〜2の透明導電性シートについて、下記に示す各評価を行った。
<電気特性>
透明導電性シートの電気特性は、下記のように透明導電性シートの透明導電性膜の表面電気抵抗値を測定することで評価した。
透明導電性シートの透明導電性膜の表面電気抵抗値は、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。
<光学特性>
透明導電性シートの光学特性は、下記のように透明導電性シートの全光線透過率を測定することで評価した。
透明導電性シートの全光線透過率は、日本電色工業社製のヘイズメータ"NDH2000"を用いて測定した。
<物理特性>
透明導電性シートの物理特性は、下記のように透明導電性シートの透明導電性膜の鉛筆硬度を測定することで評価した。
透明導電性シートの透明導電性膜の鉛筆硬度は、日本工業規格(JIS)K5400に規定された鉛筆硬度の測定方法に基づき、新東科学社製の表面性試験機“HEIDON−14DR”を用いて測定した。
<耐湿熱性>
透明導電性シートの耐湿熱性は、下記のように透明導電性シートの保存試験を行うことで評価した。
先ず、透明導電性シートの透明導電性膜の初期の表面電気抵抗値を前述の電気特性の評価と同様にして測定した。次に、透明導電性シートを恒温恒湿槽に入れて65℃、相対湿度90%で500時間保存した。続いて、保存後の透明導電性シートの透明導電性膜の表面電気抵抗値を上記と同様にして測定した。最後に、下記式(1)により表面電気抵抗値の変化度を算出した。
表面電気抵抗値の変化度=保存後の表面電気抵抗値/初期の表面電気抵抗値 (1)
上記測定の結果、表面電気抵抗値の変化度が1.2以下の場合、耐湿熱性は良好と判断し、表面抵抗値の変化度が1.2を上回った場合、耐湿熱性は不良と判断した。
上記評価の結果を表1に示す。
表1から、本発明の実施例1〜4の透明導電性シートは、透明導電性膜の表面電気抵抗値が全て180Ω/スクエアを下回って電気特性が良好であり、全光線透過率が全て85%以上となって光学特性が良好であり、また耐湿熱性も全て良好との評価を得ることができ、更に物理特性である鉛筆硬度も全てB以上を得たことが分かる。特に、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理した透明導電性膜形成用塗布液を用いた実施例1及び2は、分散処理していない透明導電性膜形成用塗布液を用いた実施例3及び4に比べて電気特性がより向上することが分かる。また、いずれも高圧ホモジナイザーを用いて分散処理を行わなかった実施例3及び4では、透明導電性膜形成用塗布液にレベリング剤を添加した実施例4は、レベリング剤を添加しなかった実施例3に比べて電気特性が向上した。
一方、親水性樹脂を用いた比較例1では光学特性及び耐湿熱性が劣り、鉛筆硬度も5B以下となり物理特性も劣ることが分かる。また、特許文献1の実施例3に相当する比較例2では、電気特性及び鉛筆硬度が劣ることが分かる。
続いて、上記で得られた透明導電性シートについて、下記とおりパターニング適性の評価を行った。
<レジスト膜の形成>
先ず、透明導電性シートの透明導電性膜側の主面の中央部の5cm角の面積にスクリーン印刷法によりレジスト剤(ヘレウス社製、商品名“Clvious SET S”)を印刷し、その後100℃で5分間加熱した。これにより、透明導電性膜上にレジスト膜を形成した。
<導電性の低下>
次に、透明導電性膜上にレジスト膜が形成された透明導電性シートを、塩素系不活性剤(ヘレウス社製、商品名“Clvious Etch”)を10%水溶液に調製した溶液に20分間浸漬した後、蒸留水で洗浄し、100℃で5分間加熱した。これにより、透明導電性膜の露出部の導電性を低下させた。
<レジスト膜の剥離>
次に、上記透明導電性シートをトルエンに3分間浸漬し、レジスト膜を剥離した後、蒸留水で洗浄し、100℃で5分間乾燥した。
次に、得られた透明導電性シートの電気特性を評価した。評価方法については以下に説明する。
<電気特性>
先ず、透明導電性シートの導電パターン形成面において、導電パターンが形成されている導電部の表面電気抵抗値を、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定計“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。また、透明導電性シートの導電パターン形成面において、導電パターンが形成されていない非導電部の表面電気抵抗値を、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定計“Hiresta−UP”(MCP−HT450型)とURSプローブを用いて測定した。ここでは、導電部と非導電部の表面電気抵抗値の差が、1×106Ω/スクエア以上である場合は、良好な電気的コントラストが得られていると評価する。
その結果、実施例1〜4の透明導電性シートでは、良好な電気的コントラストが得られたことが分かり、比較例1及び2の透明導電性シートでは、良好な電気的コントラストが得られなかったことが分かった。
10、20、30 透明導電性シート
11、21 透明基材
31 PETフィルム
12、22、32、40 透明導電性膜
12a、22a、32a 疎水性樹脂
12b、22b、32b 導電性高分子
33 エポキシ樹脂層
41 非導電部
42 導電部

Claims (8)

  1. 透明基材と、前記透明基材の主面に形成された透明導電性膜とを含む透明導電性シートであって、
    前記透明導電性膜は、導電性高分子と、疎水性樹脂とを含み、
    前記疎水性樹脂は、複数の塊状体を形成し、
    前記導電性高分子は、前記塊状体の間に配置されて、三次元的に連結し、
    前記導電性高分子の一部が、前記透明導電性膜の表面にまで達していることを特徴とする透明導電性シート。
  2. 透明基材と、前記透明基材の主面に形成された透明導電性膜とを含む透明導電性シートであって、
    前記透明導電性膜は、導電性高分子と、疎水性樹脂とを含み、
    前記透明導電性膜の鉛筆硬度が、B以上であり、
    前記透明導電性膜の表面電気抵抗値が、50Ω/スクエア以上200Ω/スクエア以下であり、
    前記透明導電性シートの全光線透過率が、85%以上であることを特徴とする透明導電性シート。
  3. 前記導電性高分子は、ポリチオフェン系化合物とポリスチレンスルホン酸とを含む請求項1又は2に記載の透明導電性シート。
  4. 前記透明導電性膜における前記導電性高分子と前記疎水性樹脂との体積比が、1:99〜70:30である請求項1又は2に記載の透明導電性シート。
  5. 前記透明基材は、プラスチック、ゴム、ガラス又はセラミックスからなる請求項1又は2に記載の透明導電性シート。
  6. 請求項1又は2に記載の透明導電性シートの製造方法であって、
    導電性高分子と、疎水性樹脂と、溶媒とを含む透明導電性膜形成用塗布液を作製する工程と、
    前記透明導電性膜形成用塗布液を透明基材の上に塗布して加熱することにより、前記透明基材の上に透明導電性膜を形成する工程とを含むことを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
  7. 前記導電性高分子と、前記疎水性樹脂と、前記溶媒とを含む透明導電性膜形成用塗布液を作製した後、前記透明導電性膜形成用塗布液を、分散機を用いて分散処理する工程を更に含む請求項6に記載の透明導電性シートの製造方法。
  8. 前記透明導電性膜形成用塗布液が、レベリング剤を更に含む請求項6に記載の透明導電性シートの製造方法。
JP2016128969A 2016-06-29 2016-06-29 透明導電性シート及びその製造方法 Active JP6716366B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016128969A JP6716366B2 (ja) 2016-06-29 2016-06-29 透明導電性シート及びその製造方法
TW105127874A TWI619785B (zh) 2016-06-29 2016-08-30 透明導電性薄片及其之製造方法
CN201610773400.5A CN107545949B (zh) 2016-06-29 2016-08-30 透明导电性片及其制造方法
KR1020160111974A KR20180002470A (ko) 2016-06-29 2016-08-31 투명 도전성 시트 및 그의 제조 방법
KR1020180172894A KR20190002411A (ko) 2016-06-29 2018-12-28 투명 도전성 시트 및 그의 제조 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016128969A JP6716366B2 (ja) 2016-06-29 2016-06-29 透明導電性シート及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018006076A true JP2018006076A (ja) 2018-01-11
JP6716366B2 JP6716366B2 (ja) 2020-07-01

Family

ID=60949423

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016128969A Active JP6716366B2 (ja) 2016-06-29 2016-06-29 透明導電性シート及びその製造方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP6716366B2 (ja)
KR (2) KR20180002470A (ja)
CN (1) CN107545949B (ja)
TW (1) TWI619785B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020111647A (ja) * 2019-01-09 2020-07-27 信越ポリマー株式会社 導電性高分子水系分散液、導電性高分子複合体の製造方法、導電性高分子含有液の製造方法、及び導電性フィルムの製造方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019150638A1 (ja) * 2018-02-05 2019-08-08 マクセルホールディングス株式会社 透明導電性膜及びその製造方法
JP7395244B2 (ja) * 2018-06-12 2023-12-11 日東電工株式会社 ハードコートフィルムおよび透明導電性フィルム

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006040989A1 (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Toray Industries, Inc. 導電性フィルム
AU2009282691A1 (en) * 2008-08-21 2010-02-25 Tpk Holding Co., Ltd. Enhanced surfaces, coatings, and related methods
CN102952423B (zh) * 2011-08-17 2017-05-10 长濑化成株式会社 有机导电膜
US20140065400A1 (en) * 2012-08-29 2014-03-06 Eastman Chemical Company Electrically conductive polymer compositions and films
KR101564587B1 (ko) * 2013-09-13 2015-11-02 영남대학교 산학협력단 Pedot/pss 및 불소화된 고분자 함유 조성물 및 이를 이용한 투명전극 필름
JP2015187979A (ja) * 2014-03-13 2015-10-29 ナガセケムテックス株式会社 透明導電膜の修復・再生方法及び透明導電積層体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020111647A (ja) * 2019-01-09 2020-07-27 信越ポリマー株式会社 導電性高分子水系分散液、導電性高分子複合体の製造方法、導電性高分子含有液の製造方法、及び導電性フィルムの製造方法
JP7190357B2 (ja) 2019-01-09 2022-12-15 信越ポリマー株式会社 導電性高分子複合体の製造方法、導電性高分子含有液の製造方法、及び導電性フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN107545949A (zh) 2018-01-05
JP6716366B2 (ja) 2020-07-01
KR20190002411A (ko) 2019-01-08
KR20180002470A (ko) 2018-01-08
TWI619785B (zh) 2018-04-01
CN107545949B (zh) 2020-08-21
TW201800509A (zh) 2018-01-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI499647B (zh) 透明導電性油墨及透明導電圖型之形成方法
KR101759180B1 (ko) 그라핀 시트 및 흑연을 함유하는 중합체 조성물
US9117568B2 (en) Polymer compositions containing carbonaceous fillers
JP2014526117A (ja) 透明導電性積層電極及びその製法
JP6417621B2 (ja) インク用組成物及び透明電極
KR102026594B1 (ko) 전도성 물질에 관한 혼합물, 방법 및 조성물
JP5473148B2 (ja) 導電性が改善された透明導電性フィルム及びその製造方法
TWI682405B (zh) 導電性銀糊劑
US20110133134A1 (en) Crosslinkable and Crosslinked Compositions of Olefin Polymers and Graphene Sheets
US20120277360A1 (en) Graphene Compositions
KR20130133766A (ko) 전도성 투명 필름용 신규 조성물
KR20150085523A (ko) 그래핀 소재와 전도성 중합체를 포함한 막 형성용 조성물
CN106661354A (zh) 用于制备导电透明层的包含银纳米线及结晶纤维素的纤维的组合物
JP6716366B2 (ja) 透明導電性シート及びその製造方法
JP6690528B2 (ja) 導電性膜
KR20130104867A (ko) 고유연성을 가지는 산화 그라핀/은 나노와이어 하이브리드를 기반으로 하는 투명전도성 필름
JP6325364B2 (ja) 透明導電性コーティング組成物、透明導電性シート及びその製造方法、並びに透明導電パターン形成方法
TWI713705B (zh) 金屬奈米線油墨、透明導電基板及透明防帶電用基板
JP6371769B2 (ja) 透明電極およびその製造方法
TWI608643B (zh) 導電性透明電極及其製造方法
TW201840752A (zh) 可撓性基板用銀糊、電子元件及其製造方法
JP6491910B2 (ja) 透明導電性シート及びその製造方法
US10723902B2 (en) Conductive ink
JP6746276B2 (ja) 透明導電性シート及びその製造方法
CN111830618A (zh) 层积体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200420

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6716366

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250