JP2018002652A - 慢性角化型湿疹改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、慢性角化型湿疹に対して優れた改善効果を奏する慢性角化型湿疹改善剤を提供することである。【解決手段】(A)尿素、(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(C)トコフェロール、レチノール、及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を組み合わせて使用することによって、慢性角化型湿疹の改善効果が格段に高まる。【選択図】なし

Description

本発明は、慢性角化型湿疹に対して優れた改善効果を奏する慢性角化型湿疹改善剤に関する。
健康な肌は、適切なターンオーバーにより肌表面が滑らかに保たれている。しかしながら、皮膚に、圧迫や摩擦等の機械的刺激が繰り返されると、当該皮膚部位に炎症が生じると共に、メラニン産生、角質層の肥厚化、乾燥が進み、黒ずみを生じることがある。このように角層の肥厚化及び乾燥を伴って黒ずみを生じている皮膚症状は、慢性角化型湿疹と呼ばれている。慢性角化型湿疹は、肘や膝等、日常生活において機械的刺激が繰り返される皮膚部位によく見られる症状である。慢性角化型湿疹において、肥厚化した角質は水分含有量が低下し、細菌感染の原因になり、更に黒ずんだ皮膚は見た目を悪化させ、生活者のQOLを低下させる要因にもなる。
従来、肘や膝の角質硬化部位を柔軟化させるには、尿素及びトレハロースを含有する乳化化粧料が有効であることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の乳化化粧料では、慢性角化型湿疹に対する改善効果は緩慢であり、慢性角化型湿疹に適用した場合では十分満足のいくものではなかった。また、従来、医療現場では角質硬化部位の除去のためにレーザー治療等が行われていたが、慢性角化型湿疹はターンオーバー機能が低下していることから、治療後に組織がうまく再生できず、却ってメラニン産生が促進されてしまうことが懸念されていた。
このような従来技術を背景として、慢性角化型湿疹を効果的に改善できる新たな製剤の開発が望まれている。
特開2007−269692号公報
本発明の目的は、慢性角化型湿疹に対して優れた改善効果を奏する慢性角化型湿疹改善剤を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、(A)尿素、(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(C)トコフェロール、レチノール、及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を組み合わせて使用することによって、これらの成分の相乗的作用によって、慢性角化型湿疹の改善効果が格段に高まることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.(A)尿素、
(B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに
(C)トコフェロール、レチノール、及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種
を含有する慢性角化型湿疹改善剤。
項2. 前記(C)成分として、トコフェロール及び/又はその誘導体を含有する、項1に記載の慢性角化型湿疹改善剤。
項3. 慢性角化型湿疹における角層の肥厚化及び黒ずみの双方の症状を改善するために使用される、項1又は2に記載の慢性角化型湿疹改善剤。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、慢性角化型湿疹における角質層の肥厚化、黒ずみ等の症状を効果的に改善し、健康な皮膚状態に導くことができる。更に、本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、レーザー治療のように角化した組織を強制的に除去するのではないため、治療後にメラニンの産生が促進され難い点でも優れている。
肘に慢性角化型湿疹が生じている被験者において、実施例5のクリーム剤の塗布前と塗布1カ月後の肘の状態を撮影した写真を示す。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、尿素(以下、(A)成分と表記することもある)、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、(B)成分と表記することもある)、並びにトコフェロール、レチノール、及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、(C)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の慢性角化型湿疹改善剤について詳述する。
(A)成分
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、尿素を含有する。尿素は、水素結合による水分保持作用と共に、タンパク質変性により不要な角質を除去する効果を併せ持つため、古くから角化症治療薬として知られている成分である。
本発明で使用される尿素については、その原料、製造方法、精製方法等は特に制限されず、化学合成により自ら製造したものであってもよく、また市販品を用いてもよい。尿素の市販品としては、例えば、高杉製薬株式会社、昭和化学株式会社、関東化学株式会社等で製造又は販売されている商品が挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤おける尿素の含有量については、特に制限されないが、例えば、5〜25重量%、好ましくは5〜22重量%、更に好ましくは10〜20重量%が挙げられる。
(B)成分
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及び/又はそれらの塩を含有する。これらの成分は、その炭素骨格がステロイドに類似しており、免疫反応を鈍化させ、炎症反応を弱める作用を有することが知られている成分である。
グリチルリチン酸は、抗炎症作用や抗アレルギー作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
グリチルリチン酸の誘導体の種類については、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、具体的には、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル等が挙げられる。これらのグリチルリチン酸の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリチルリチン酸及びその誘導体の塩としては、薬理学上許容されるものである限り特に制限されないが、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、二カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらのグリチルリチン酸及びその誘導体の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリチルレチン酸は、抗炎症作用や抗アレルギー作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
グリチルレチン酸の誘導体の種類については、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、具体的には、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド等が挙げられる。これらのグリチルレチン酸の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリチルレチン酸及びその誘導体の塩としては、薬理学上許容されるものである限り特に制限されないが、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらのグリチルレチン酸及びその誘導体の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤において、(B)成分として、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩、グリチルリチン酸の誘導体、グリチルリチン酸の誘導体の塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の塩、グリチルレチン酸の誘導体、及びグリチルレチン酸の誘導体の塩の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの(B)成分の中でも、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはグリチルリチン酸、その誘導体、及び/又はそれらの塩、更に好ましくはグリチルリチン酸及び/又はその塩、より一層好ましくはグリチルリチン酸二カリウム又はグリチルリチン酸モノアンモニウム、特に好ましくはグリチルリチン酸モノアンモニウムが挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤における(B)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.1〜3重量%であり、好ましくは0.2〜2重量%であり、より好ましくは0.3〜1重量%が挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤において、(A)成分と(B)成分の比率については、特に制限されず、前述する(A)成分と(B)成分の含有量の範囲内で適宜設定すればよいが、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が総量で0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは1.5〜10重量部が挙げられる。
(C)成分
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、更に、トコフェロール、レチノール、及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。以下、(C)成分の内、トコフェロール及び/又はその誘導体を(C-1)成分と表記することがあり、また、レチノール及び/又はその誘導体を(C-2)成分と表記することがある。
(C-1)成分の内、トコフェロールは、ビタミンEとしても知られている公知の成分である。本発明で使用されるトコフェロールは、d体又はdl体のいずれであってもよく、またα、β、γ、δの構造のいずれであってもよい。本発明で使用されるトコフェロールとして、具体的には、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、l−α−トコフェロール、l−β−トコフェロール、l−γ−トコフェロール、l−δ−トコフェロール、それらの混合物であるdl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール等が挙げられる。
(C-1)成分の内、トコフェロールの誘導体とは、トコフェロールと同じ骨格を有し、トコフェロールに置換基を付加することによって得られる成分である。
本発明で使用されるトコフェロールの誘導体は、トコフェロールと同様に、d体又はdl体のいずれであってもよく、またα、β、γ、δの構造のいずれであってもよい。
トコフェロールの誘導体の種類については、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、例えば、トコフェロールと有機酸とのエステル等が挙げられる。トコフェロールと有機酸とのエステルとして、具体的には、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル、トコフェロールコハク酸エステル、トコフェロールリノレン酸エステル等が挙げられる。これらのトコフェロールの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの(C-1)成分は、その原料、製造方法、精製方法等は特に制限されず、動物等から自ら単離及び精製したものを用いてもよく、或いは市販品を用いてもよい。(C-1)成分の市販品としては、例えば、理研ビタミン株式会社、エーザイ株式会社、エーザイフード・ケミカル株式会社、DSMニュートリションジャパン株式会社、タマ生化学株式会社、岡見化学株式会社等で製造又は販売されている商品が挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤において、(C-1)成分として、トコフェロール及びトコフェロールの誘導体の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの(C-1)成分の中でも、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはトコフェロールの誘導体、更に好ましくはトコフェロール酢酸エステルが挙げられる。
(C-2)成分の内、レチノールは、ビタミンAの1種であり、ビタミンAアルコールとも称されることがある成分である。
(C-2)成分の内、レチノールの誘導体とは、レチノールと同じ骨格を有し、レチノールに置換基を付加することによって得られる成分である。レチノール誘導体の種類については、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、例えば、レチノールと脂肪酸とのエステル、レチノールと酢酸とのエステル(即ち、レチノール酢酸エステル)、レチノールの酸化物、及び当該酸化物のエステル等が挙げられる。
レチノールと脂肪酸とのエステルとしては、具体的には、レチノールと、炭素数1〜30、好ましくは2〜18の脂肪酸とのエステルが挙げられる。レチノールと脂肪酸とのエステルとして、より具体的には、レチノール酢酸エステル、レチノールプロピオン酸エステル、レチノール酪酸エステル、レチノールオクチル酸エステル、レチノールラウリル酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、レチノールステアリン酸エステル、レチノールミリスチン酸エステル、レチノールオレイン酸エステル、レチノールリノレン酸エステル、レチノールリノール酸エステル等が挙げられる。これらのレチノールと脂肪酸とのエステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レチノールの酸化物としては、具体的には、レチノイン酸(「トレチノイン」と称することもある)、レチナール等が挙げられる。これらのレチノールの酸化物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レチノールの酸化物のエステルとしては、具体的には、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、レチノイン酸トコフェロール(トコフェロールは、α、β、γ、又はδのいずれであってもよい)等が挙げられる。これらのレチノールの酸化物のエステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの(C-2)成分は、その原料、製造方法、精製方法等は特に制限されず、動物等から自ら単離及び精製したものを用いてもよく、或いは市販品を用いてもよい。(E)成分の市販品としては、例えば、理研ビタミン株式会社、DSMニュートリションジャパン株式会社、小華薬品株式会社、BASFジャパン株式会社等で製造又は販売されている商品が挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤において、(C-2)成分として、レチノール及びレチノールの誘導体の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明において、(C-2)成分として使用されるレチノール及び/又はその誘導体は、植物油等の油中に溶解させた状態のものであってもよい。このようにレチノール及び/又はその誘導体を油中に溶解させたものは、「ビタミンA油」として知られている。ビタミンA油は、例えば日本薬局方に記載の方法に従って製造することができる。ビタミンA油としては、通常、レチノール及び/又はその誘導体の含有量が10万〜200万I.U./g、好ましくは50万〜170万I.U./g、更に好ましくは50万〜100万I.U./gのものを使用できる。なお、本明細書において、レチノール及び/又はその誘導体の含有量の単位「I.U.」は、国際単位を示す。
これらの(C-2)成分の中でも、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはレチノールの誘導体、更に好ましくはレチノールと脂肪酸とのエステル、特に好ましくはレチノールパルミチン酸エステルが挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤において、(C)成分として、トコフェロール、トコフェロールの誘導体(以上、(C-1成分))、レチノール、及びレチノールの誘導体(以上、(C-2成分))の中から、1種を選択して使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、(C)成分として、少なくとも(C-1)成分を含んでいることが好ましく、(C-1)成分と(C-2)成分の双方を含んでいることが更に好ましい。より具体的には、(C)成分として、少なくともトコフェロールの誘導体を含んでいることが好適であり、更にトコフェロールの誘導体とレチノールの誘導体の双方を含んでいることが更に好適である。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤における(C)成分の含有量については、特に制限されず、使用する(C)成分の種類に応じて、本発明の効果が奏される範囲で適宜設定すればよい。
具体的には、(C)成分として、(C-1)成分を使用する場合であれば、本発明の慢性角化型湿疹改善剤における(C-1)成分の含有量として、例えば、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%が挙げられる。
また、(C)成分として、(C-2)成分を使用する場合であれば、本発明の慢性角化型湿疹改善剤における(C-2)成分の含有量として、例えば、本発明の慢性角化型湿疹改善剤100g当たり、(C-2)成分が、0.1万〜1000万I.U.、好ましくは1万〜500万I.U.、より好ましくは10万〜300万I.U.、更に好ましくは10万〜150万I.U.、特に好ましくは25万〜100万I.U.が挙げられる。
また、(C-2)成分としてビタミンA油を使用する場合、本発明の慢性角化型湿疹改善剤におけるビタミンA油の含有量については、ビタミンA油中の(C-2)成分の含有量に応じて、本発明の慢性角化型湿疹改善剤中で(C-2)成分が前述する含有量を充足するように設定すればよい。具体的には、100万I.U./gのレチノール及び/又はその誘導体を含有するビタミンA油を用いる場合であれば、本発明の慢性角化型湿疹改善剤におけるビタミンA油の含有量については、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは0.1〜1.5重量%、特に好ましくは0.25〜1重量%に設定すればよい。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤において、(A)成分と(C)成分の比率については、特に制限されず、使用する(C)成分の種類に応じて、前述する(A)成分と(C)成分の含有量の範囲内で適宜設定すればよい。
例えば、(C-1)成分を使用する場合であれば、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、(A)成分100重量部当たり、(C-1)成分が総量で0.5〜30重量部、好ましくは2.5〜30重量部、更に好ましくは2.5〜20重量部が挙げられる。
また、例えば(C-2)成分を使用する場合であれば、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、(A)成分1g当たり、(C-2)成分が総量で0.5万〜30万I.U.、好ましくは0.5万〜15万I.U.、更に好ましくは1.25万〜10万I.U.が挙げられる。
(D)成分
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、前記(A)〜(C)成分に加えて、必要に応じて、γ−オリザノール(以下、(D)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。このように(D)成分を含有させることにより、より一層効果的に、慢性角化型湿疹の改善効果を向上させることが可能になる。
γ−オリザノールとは、フェルラ酸とトリテルペンアルコールとのエステル、又はフェルラ酸とステロールとのエステルである。本発明では、(D)成分として、フェルラ酸とトリテルペンアルコールとのエステル又はフェルラ酸とステロールとのエステルのいずれか一方を単独で使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。本発明で使用される(D)成分の好適な例として、フェルラ酸シクロアルテニル(C40584)を含むもの、更に好ましくはフェルラ酸シクロアルテニルを95重量%以上含むもの、特に好ましくはフェルラ酸シクロアルテニル98重量%以上含むものが挙げられる。
γ−オリザノールのCAS登録番号は、「11042−64−1」で表される。本発明で使用されるγ−オリザノールには、オリザノールA(CAS登録番号[21238−33−5])及びオリザノールC(CAS登録番号[469−36−3])等が含まれ得る。
本発明で使用されるγ−オリザノールについては、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されず、例えば、米糠等から自ら単離及び精製したもの等が挙げられる。
また、γ−オリザノールは、例えば、オリザ油化株式会社、築野食品工業株式会社、和光純薬工業株式会社、理研ビタミン株式会社、岡安商店株式会社等により製造又は販売されており、本発明の慢性角化型湿疹改善剤では、γ−オリザノールとして、これらの市販品を使用することもできる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤に(D)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.5〜2重量%、特に好ましくは0.75〜1.5重量%が挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤に(D)成分を含有させる場合、(A)成分と(D)成分の比率については、特に制限されず、前述する(A)成分と(D)成分の含有量の範囲内で適宜設定すればよいが、慢性角化型湿疹の改善効果をより一層向上させるという観点から、(A)成分100重量部当たり、(D)成分が総量で0.5〜50重量部、好ましくは2.5〜20重量部、更に好ましくは3.5〜15重量部が挙げられる。
多価アルコール
本発明の慢性角化型湿疹改善剤には、保湿性の向上等のために、必要に応じて多価アルコールが含まれていてもよい。
多価アルコールとしては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤に、多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは2〜20重量%が挙げられる。
界面活性剤
また、本発明の外用組成物は、(C)成分、及び必要に応じて添加される(D)成分を可溶化又は乳化させて所望の製剤形態にするために、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを使用してもよいが、好ましくはノニオン性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、具体的には、POE(10〜50モル)フィトステロールエーテル、POE(10〜50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10〜50モル)2−オクチルドデシルエーテル、POE(10〜50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)オレイルエーテル、POE(2〜50モル)セチルエーテル、POE(5〜50モル)ベヘニルエーテル、POE(5〜30モル)ポリオキシプロピレン(5〜30モル)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)ポリオキシプロピレン(2〜30モル)セチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど)、POE(20〜60モル)ソルビタンモノオレエート、POE(20〜60モル)ソルビタンモノステアレート、POE(10〜60モル)ソルビタンモノイソステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、POE(10〜80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20〜100モル)・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジリシノレイン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(5〜100)、グリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリン等)、水素添加大豆リン脂質、水素添加ラノリンアルコール等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤に、界面活性剤を含有させる場合、その含有量については、製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜15重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、前述する成分の他に、必要に応じて、他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等)、局所麻酔剤(プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ水、ハッカ油等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン等)等が挙げられる。
また、本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、所望の製剤形態にするために、必要に応じて、前述する成分の他に、基材や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)等の水性基剤;油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油等)、鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル等)、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノリン等)、脂肪酸エステル(パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル等)、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等)、コレステロール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等)等の油性基剤;防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8−シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、粘稠剤(カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、湿潤剤(dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D−ソルビトール液、マクロゴール等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、DL−アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
慢性角化型湿疹改善剤の製造方法
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、(A)〜(C)成分、及び必要に応じて(D)成分及びその他の成分を、その製剤形態に応じた手法で、所望量混合することにより調製される。
製剤形態・用途
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、経皮適用できる剤型である限り、その製剤形態については、特に制限されず、液状、固形状、半固形状(ゲル状、軟膏状、ペースト状)等のいずれであってもよい。
また、本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、皮膚に適用されるものである限り、皮膚外用医薬品、化粧料、皮膚洗浄料等のいずれの製剤形態であってもよい。本発明の慢性角化型湿疹改善剤の製剤形態として、具体的には、クリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ゲル剤、油剤、液剤、ローション剤、リニメント剤、エアゾール剤、貼付剤、パック剤等の皮膚外用医薬品;軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、ゲル等の化粧料;ボディーシャンプー、ヘアシャンプー、リンス等の皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは皮膚外用医薬品、更に好ましくはクリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ローション剤が挙げられる。
本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、慢性角化型湿疹を呈している皮膚部位に適用し、慢性角化型湿疹を改善するために使用される。慢性角化型湿疹は、肘、膝等の身体部位において多く認められ、各層の肥厚化及び黒ずみを伴う皮膚症状である。本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、慢性角化型湿疹における角層の肥厚化及び黒ずみの双方の症状を改善することができる。また、本発明の慢性角化型湿疹改善剤は、慢性角化型湿疹の予防を目的として、慢性角化型湿疹を呈していない肘、膝等の身体部位に適用することもできる。
また、本発明の慢性角化型湿疹改善剤の用量については、製剤形態、症状の程度等に応じて適宜設定すればよい。本発明の慢性角化型湿疹改善剤の用量の一例として、1回当たり、皮膚1cm2当たり、前記(A)成分の適用量換算で0.1〜3mg程度となる量で、1日1〜数回程度の頻度が挙げられるが、かかる範囲に限定されるものではない。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考試験例1:チロシナーゼ活性阻害率の評価
1.評価方法
表1に示す条件に従い、50mM リン酸バッファー(pH6.5)に、5mM L−DOPA(dihydroxy−L−phenylalanine)水溶液を加えた。次いで、各成分(L−アスコルビン酸、グリチルリチン酸モノアンモニウム、γ−オリザノール(フェルラ酸シクロアルテニル(C40584)含有量:99.4重量%)、ビタミンA油(レチノールパルミチン酸エステル100万I.U./g)又はトコフェロール酢酸エステル)のDMSO(dimethyl sulfoxide)溶液を加え撹拌した後、チロシナーゼ水溶液(チロシナーゼ含有量:3.91 unit)を加えることで酵素反応を開始した(反応温度:37℃)。酵素反応開始から15分後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(475nm)を測定した。各成分について段階希釈により複数濃度のチロシナーゼ活性阻害率を測定し、50%阻害濃度(IC50、w/v%)を算出した。なお、チロシナーゼ活性阻害率(%)は、以下の式により算出した。
2.評価結果
得られた結果を表2に示す。この結果、L−アスコルビン酸及びグリチルリチン酸モノアンモニウムはより低濃度でチロシナーゼ活性を阻害できることが確認された。また、γ−オリザノール、トコフェロール酢酸エステル及びビタミンA油については、一定のチロシナーゼ活性阻害効果を有していたが、L−アスコルビン酸及びグリチルリチン酸モノアンモニウムに比べると低い結果であった。
試験例1:メラニン生成及び明度に及ぼす影響の評価
1.評価方法
<試験試料の作製>
表3に示す組成のクリーム剤(水中油型乳化状のクリーム剤)を調製した(実施例1〜5、比較例1〜3、及び参考例1〜2)。具体的には、水性成分と油性成分をそれぞれ混合し、必要に応じて加熱し、溶解させ、それらを撹拌した後に冷却を行うことでクリーム剤を得た。なお、ビタミンA油には1g当たりレチノールパルミチン酸エステルを100万I.U.含有するものを使用し、また、γ−オリザノールにはフェルラ酸シクロアルテニル(C40584)を99.4重量%含有するものを使用した。得られた各クリーム剤を試験試料として使用して以下の試験を行った。
<試験方法>
「保湿・美白・抗シワ・抗酸化評価・実験法マニュアル」(フレグランスジャーナル社、2012年2月発行)に収載の「再構築表皮モデルを用いたメラニン産生抑制剤評価法」の試験方法に従って試験を行った。
メラニン細胞含有培養皮膚モデルとして、MEL−300キット(MEL−300−A、倉敷紡績株式会社)を用いた。試験期間中、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2)にて、EPI−100LLMM長期維持培地(倉敷紡績株式会社)を用いて維持、培養を行った。
メラニン細胞を6穴プレートに移し予備培養を行った後、試験試料を適用した。試験試料の適用は角層側から行った。2週間継続培養後、メラニン細胞の吸光度及び色調に基づき、メラニン定量及び明度測定を行った。更に、試験試料の適用による細胞傷害性の有無を確認するため、アラマーブルー法を用いて細胞生存率を評価し、「メラニン産生量」と「明度」の補正を行った。
・メラニン産生量の測定
メラニン細胞をチューブに移し、PBS(−)を用いて洗浄した。更に、5%トリクロロ酢酸、エタノール/ジエチルエーテル溶液、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を添加して、メラニン細胞に含まれるメラニンを加温溶解(100℃、10分間)した。マイクロプレートリーダーを用いて405nmの吸光度を測定した。合成メラニン(シグマアルドリッチジャパン株式会社)を用いて作成した検量線に基づき、測定値から「メラニン産生量」を算出した。次いで、比較例1のメラニン産生量を「100」とした場合の相対値を「メラニン産生率」(%)として算出した(小数点第1位を四捨五入した)。
・明度の測定
メラニン細胞の明度(L値)を、底部側から分光測色計(CR−13(コニカミノルタホールディング株式会社)にて測定した。測定を5回行い、その平均値を求めた。次いで、比較例1の明度を「100」とした場合の相対値を「明度改善率」(%)として算出した(小数点第1位を四捨五入した)。
・アラマーブルー法を用いた細胞生存率評価
10%アラマーブルー試薬を含むEPI−100LLMM長期維持培地を24穴プレートに分注した。MEL−300をこのプレートへ移し、2時間培養した。培養上清の蛍光強度(Ex./Em.=544nm/590nm)を測定した。細胞生存率は、比較例1の蛍光強度を「100」とした場合のIndex(%)として算出した。結果はいずれも99〜105%であった。この細胞生存率に基づいて、「メラニン産生量」と「明度」の値を補正した。
2.評価結果
得られた結果を表3に示す。尿素のみを含む比較例2は、メラニン産生量及び明度において、コントロール(比較例3)と大きな差は見られなかった。また、チロシナーゼ活性阻害効果を有するグリチルリチン酸モノアンモニウムを尿素との組合せた比較例1については、メラニン産生量及び明度において十分な効果を奏さなかった。一方、尿素とグリチルリチン酸モノアンモニウムと共に、ビタミンA油を含む実施例1では、メラニン産生量を抑制し、かつ明度を向上させることができていた。また、尿素、グリチルリチン酸モノアンモニウム、及びトコフェロール酢酸エステルを含む実施例2では、メラニン産生量が著しく低下しており、かつ明度の顕著な向上も認められた。更に、尿素、グリチルリチン酸モノアンモニウム、並びにビタミンA油及び/又はトコフェロール酢酸エステルに加えて、γ−オリザノールを含む実施例3〜5では、メラニン産生量が格段顕著に低下しており、更に明度の著しい向上が認められた。
試験例3:慢性角化型湿疹の改善効果の評価
1.評価方法
表4に示す組成のクリーム剤(水中油型乳化状のクリーム剤)を、前記試験例1と同様の方法で調製した(実施例2、4、5、比較例1、2、4〜7)。なお、ビタミンA油には1g当たりレチノールパルミチン酸エステルを100万I.U.含有するものを使用し、また、γ−オリザノールにはフェルラ酸シクロアルテニル(C40584)を99.4重量%含有するものを使用した。
各クリーム剤を用いて、肘に慢性角化型湿疹が生じており、肘の角層の肥厚化及び黒ずみが気になる被験者9名に対して臨床評価を行った。被験者1名当たり1つのクリーム剤を1日1回、1回当たり、約1.5mg/皮膚1cm2で1ヵ月間、肘に塗布した。1ヵ月後に、慢性角化型湿疹の改善満足度について、「肘の角層の肥厚化及び黒ずみが改善した」を「10」、「肘の角層の肥厚化及び黒ずみが改善しなかった」を「1」とするVAS法(Visual Analogue Scale)によって評価した。また、比較例1のVAS法による評点を「100」とした場合の相対値を「改善率」(%)として算出した(小数点第1位を四捨五入した)。
2.評価結果
得られた結果を表4に示す。また、実施例5の塗布前と塗布1カ月後の肘の状態を撮影した写真を図1に示す。尿素を単独で含有する比較例2では、角層の肥厚化及び黒ずみを十分に改善できず、慢性角化型湿疹の改善効果は満足できるものではなかった。また、尿素とグリチルリチン酸モノアンモニウムを組み合わせた比較例1、尿素とビタミンA油を組み合わせた比較例5、及び尿素とトコフェロール酢酸エステルを組み合わせた比較例6でも、尿素単独の比較例1と同程度の効果しか認められなかった。更に、グリチルリチン酸モノアンモニウムとトコフェロール酢酸エステルを組み合わせた比較例4、並びにグリチルリチン酸モノアンモニウムとビタミンA油を組み合わせた比較例7では、尿素単独の比較例2に比べて、慢性角化型湿疹の改善効果は劣っていた。これに対して、尿素、グリチルリチン酸モノアンモニウム、及びトコフェロール酢酸エステルを含む実施例2では、優れた慢性角化型湿疹の改善効果が認められた。更に、これらの成分に加えて、ビタミンA油及び/又はγ−オリザノールを含む実施例4及び5では、慢性角化型湿疹の改善効果が顕著に優れており、とりわけ、実施例5では、慢性角化型湿疹の改善効果が格段顕著に高まっていた。
製剤例
表5〜7に示す慢性角化型湿疹改善剤を調製した。表5に示す慢性角化型湿疹改善剤はクリーム剤(水中油型乳液状クリーム剤)、表6に示す慢性角化型湿疹改善剤は液剤、表5に示す慢性角化型湿疹改善剤はゲル剤である。得られた各慢性角化型湿疹改善剤を前記試験例2と同様の方法で慢性角化型湿疹の改善効果を評価したところ、優れた慢性角化型湿疹の改善効果が認められた。

Claims (3)

  1. (A)尿素、
    (B)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、
    (C)トコフェロール、レチノール、及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種、
    を含有する慢性角化型湿疹改善剤。
  2. 前記(C)成分として、トコフェロール及び/又はその誘導体を含有する、請求項1に記載の慢性角化型湿疹改善剤。
  3. 慢性角化型湿疹における角層の肥厚化及び黒ずみの双方の症状を改善するために使用される、請求項1又は2に記載の慢性角化型湿疹改善剤。
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