JP2017526794A - グラフト化トリグリセリドを使用した酸無水物硬化熱硬化性エポキシポリマーの強化 - Google Patents

グラフト化トリグリセリドを使用した酸無水物硬化熱硬化性エポキシポリマーの強化 Download PDF

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Abstract

エポキシ化トリグリセリドと4〜40個の炭素原子を含有する酸無水物とから調製されるグラフト化トリグリセリドが、エポキシ樹脂および酸無水物硬化剤と反応されて、エポキシ熱硬化性樹脂が得られる。グラフト化トリグリセリド上の脂肪性残基(fatty residues)の長さ、トリグリセリドあたりの脂肪性残基(fatty residues)数、エポキシ樹脂および酸無水物硬化剤のアイデンティティーを変動させることで、グラフト化トリグリセリドなしで調製されたエポキシ熱硬化性樹脂の特性と比較して、またはグラフト化トリグリセリドの代わりにエポキシ化トリグリセリドが使用されたエポキシ熱硬化性樹脂と比較して、優れた物理特性を示すエポキシ熱硬化性樹脂を調製することが可能である。したがって最小のガラス転移温度低下で、破壊靱性の顕著な改善を得ることができる。

Description

関連出願の相互参照データ
本出願は、その内容を参照によって本明細書に援用する、2014年9月12日に出願された、米国仮特許出願第62/049,884号明細書の優先権を主張する。
本発明は、エポキシ熱硬化ポリマー強化剤と、これらの強化剤を使用して製造される酸無水物硬化エポキシ樹脂とを対象とする。
エポキシ樹脂は、それらの望ましい性質、低重量および低コストのために、建築、工業、軍事、および商業的応用のための熱硬化ポリマーマトリックス複合材料製造で使用される。基本的なエポキシ樹脂組成物は、二価フェノールのジグリシジルエーテルであり、商業的観点から最も重要なのは、p,p’−ジヒドロキシジフェニルプロパンのジグリシジルエーテル(ビスフェノールA)である。このようなジグリシジルエーテルは、多種多様な硬化因子によって熱硬化組成物に変換され得て、または追加的な多価フェノールとの反応によってより高分子量のエポキシ樹脂に変換され得る。
しかし、エポキシ熱硬化性樹脂は、樹脂ネットワーク中の高度な化学架橋のために、本質的に脆く亀裂伝播耐性に劣る。エポキシ強化は、学界および産業界の双方において、長きにわたり難題であった。エポキシ樹脂を強化するための主要ストラテジーの1つは、エポキシネットワークへの(液体ゴムまたは熱可塑性物質などの)別の熱硬化性樹脂成分の組み込みを伴う。相分離形態は、いくつかの機序の1つまたは複数を通じて、エポキシ熱硬化性樹脂の強化に寄与し得る。エポキシ樹脂の強化に関わる懸念は、機械的強度、弾性率、および/または熱特性の1つまたは複数の可能な劣化である。堅い高分子構造のエポキシネットワーク中への共有結合組み込みは、エポキシネットワークの架橋密度の低下を通じて、熱硬化性樹脂エポキシマトリックスの靭性を改善してもよい一方で、ポリマーの所望のガラス転移温度および機械的強度を実質的に保つ。
最近、様々な再生可能なバイオベースの先端材料を使用して、エポキシネットワークを強化するために、相当数の研究が実施されている。植物油は再生可能であり、より持続可能な開発に顕著に寄与し得ることから、植物油の使用は大きな関心事である。エポキシ化大豆油(ESO)は、その中程度の粘度、そしてエポキシ樹脂との良好な混和性、容易な入手可能性、および相対的低コストのために、関心を集めている。
多価フェノールのポリグリシジルエーテルと、例えば、エポキシ化亜麻仁油などのエポキシ化脂肪酸エステルとの配合物が、米国特許第2,628,514号明細書に記載される。二価フェノールの液体ポリグリシジルエーテル、二価フェノールの固体ポリグリシジルエーテル、およびエポキシ化脂肪酸エステルの配合物から製造される粘着性組成物が、米国特許第2,682,515号明細書に記載される。
トリグリセリドは、大豆油、亜麻仁油などの油に見られる。一例として、大豆油は、様々な炭素鎖長の異なる種類の不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸を含有する、再生可能資源である。様々な官能基がある3つの不飽和脂肪酸は、グリセロール中心によって結合される。大豆油トリグリセリド中の主要な不飽和脂肪酸は、約7〜10%の三不飽和C18α−リノレン酸、51%の二不飽和C18リノール酸、および23%の一価不飽和C18オレイン酸を含んでなる、ポリ不飽和化合物である。平均して、トリグリセリドあたり、約4.6個の二重結合がある。
エポキシ化大豆油(ESO)は、官能化トリグリセリドの一種である。ESOは、複合材料(W.Thielemans et al.,Journal of Applied Polymer Science,2002,vol.83,pp 323−331 and J.Lu et al.,Polymer,2005,46:71−80)、潤滑剤、可塑剤、および熱安定剤(P.S.Lathi,Applied Catalysis B:Environmental,2007,vol.69,pp 207−212,P.G.Demertzis et al.,European Polymer Journal,1991,vol.27,iss.3,pp 231−235 and P.Liu et al.,Polymer Degradation and Stability,2007,vol.92,pp 503−508)として使用されている。ESOを使用して、エポキシ樹脂を強化することもまた公知である。例えば、S.J.Park et al.,Materials Science and Engineering A,2004,vol.374,pp 109−114,D.Ratna Journal of Adhesion Science and Technology,2000,vol.14,iss.1,pp 15−25 and H.Miyagawa et al.,Polymer Engineering and Science,2005,vol.45,iss.4,pp 487−495を参照されたい。
米国特許第6,121,398号明細書は、植物油に由来する、高弾性ポリマーおよび複合材料を開示する。この特許は、植物油などの天然原料から得られるトリグリセリドの様々なタイプおよび使用の徹底的な考察を含む。この特許はまた、重合性である官能化トリグリセリドと、高弾性ポリマーを製造するためのそれらの使用とを開示する。官能化トリグリセリドは、いくつかの異なる化学合成経路を通じて製造されてもよい。例えば、エポキシ化トリグリセリドが製造されて、それらの分子量および架橋密度を調節することで、弾性ゴムに変換されてもよい。結果として得られたゴムは、硬質複合材料中でゴム強化剤として使用され得る。その他の官能化トリグリセリドは、米国特許第6,825,242号明細書、米国特許出願公開第2003/0139489号明細書、および米国特許出願公開第2009/0275715号明細書に記載される。
米国特許第8,785,547号明細書は、4〜28個の炭素原子を含有する脂肪酸残基がグラフトされたアクリル化トリグリセリドを含んでなるグラフト化トリグリセリドと、グラフト化トリグリセリドを製造する方法と、このようなグラフト化トリグリセリドを使用して、ビニルエステルおよび不飽和ポリエステルおよびそれらの混合物から選択される材料を硬化する方法とを開示する。方法は、グラフト化トリグリセリドと、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、およびそれらの混合物から選択される材料とを混合して、混合物を形成するステップと、混合物を硬化して樹脂系を形成するステップとを含む。前述の方法によって得られる硬化生成物を含んでなる硬化樹脂系、そして硬化生成物および増量剤または補強材を含有する複合材料もまた、開示される。グラフト化トリグリセリドが使用されて、有害な空気汚染物質を減少させて、硬化性混合物のガラス転移温度の顕著な低下または粘度の顕著な増大なしに、強化樹脂および複合材料系が製造される。
米国特許第4,040,994号明細書(Unitech,1977)は、その内少なくとも2つがエポキシ化脂肪酸エステルである、3つ以上のエポキシ化合物を含有する、エポキシ系の酸無水物硬化を開示する。例示されるのは、DGEBAと、エポキシ化大豆または亜麻仁油、およびエポキシ化リンシーデートの1つまたは複数との反応である。エポキシ化リンシーデートは、ブチルアルコールと亜麻仁油エステルのエポキシ化反応生成物である。
米国特許第6,194,490号明細書は、エポキシ化天然油、グリシジルエステル、および酸無水物の反応生成物を開示する。表1は、ESO、DGEBA、およびMTHPAを含んでなる、実施例1を示す。
国際公開第1994/022954号パンフレットは、(A)(1)エポキシ化植物油、(2)二価フェノールのジグリシジルエーテル、および(3)二価フェノールの反応生成物;(B)不飽和脂肪酸;および(C)アルキルアセト酢酸の有機溶剤溶液から製造される、高固形分コーティング組成物を開示する。触媒は、ホスホニウム塩である。
D.Ratna and A.K.Banthia,“Epoxidized soybean oil toughened epoxy adhesive,”J.Adhesion Sci.Technol.14(1),15−25(2000)は、アミン硬化剤で硬化された、ESOとDGEBAとの反応生成物を開示する。ESO構成成分は、脂肪酸に由来する−OC(O)C515基を欠く。
R.Wang and T.P.Schuman,“Vegetable oil−derived epoxy monomers and polymer blends:A comparative study with review,”eXPRESS Polymer Letters,7(3),272−292(2013)は、DGEBAと、ESOに由来する脂肪酸との反応生成物を開示する。
架橋密度は、ポリマーの剛性の指標と見なされている。可撓性のポリマーが典型的に低い架橋密度を有する一方で、高弾性物質には高い架橋密度が必要であることが、認識されている。ビスフェノールAなどの剛性芳香族架橋試薬は、トリグリセリドによってより高弾性のポリマーを生成するために使用されており、時にスチレンを使用して剛性が高められる(Drzal Macromol.Mater.Engrg.289;629−635,(2004),Larock Biomolecules 6,797−806,(2005))。
米国特許第5,973,082号明細書は、エポキシ化植物油、DGEBA、および脂肪酸の反応を開示する。反応はその他の構成成分を含み、エポキシ化植物油は、脂肪酸と反応される前にDGEBAと反応された。
S.J.Park et al.,“Thermal and mechanical properties of tetrafunctional epoxy resin toughened with epoxidized soybean oil,”Materials Science and Engineering A 374,109−114(2004)は、ESOとエポキシ樹脂TGDDMとの反応生成物を開示する。
F.I.Altuna et.al.,“Thermal and Mechanical Properties of Anhydride−Cured Epoxy Resins with Different Contents of Biobased Epoxidized Soybean Oil,”J.Appl.Polym.Sci.,120,789−798(2011)は、酸無水物で硬化された、エポキシ化大豆油とDGEBAとの様々な配合物を試験している。最良のDGEBA組成物は、40重量%のエポキシ化大豆油を用いることが観察され、それは最適な特性のセットがある樹脂をもたらし;衝撃強度は約38%増大して、ガラス転移温度は約110℃であり、これはエポキシネットワークの架橋密度の低下によって引き起こされたかもしれない。
Miyagawa et al.,“Fracture Toughness and Impact Strength of Anhydride−Cured Biobased Epoxy,”Polymer Engineering & Sci.45(4),487−495(2005)は、ESOおよびエポキシ化亜麻仁油(「ELO」)がグラフトされた、無水物硬化エポキシネットワークの破壊挙動を評価した。彼らは、破壊靱性が、ELOの添加によって有意に変化しないが、30重量%のESOの添加によって有意に改善されることを発見した。
ガラス転移温度、粘度、およびその他の特性などの物質のその他の重要な特性に対する著しい有害効果を有することなく、靭性増大などの改善された物理特性を有する、新しいタイプのエポキシ熱硬化性樹脂に対する必要性が存在する。
第1の態様では、本発明は、(a)エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド;(b)エポキシ樹脂;および(c)酸無水物硬化剤の反応によって調製されるエポキシ熱硬化性樹脂であって、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂の重量比が、約1:99〜約99:1の範囲である、エポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第2の態様では、本発明は、酸無水物とエポキシ化トリグリセリドのモル比が約0.1:1〜約4:1である、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第3の態様では、本発明は、酸無水物とエポキシ化トリグリセリドのモル比が約1:1〜約3.5:1である、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第4の態様では、本発明は、酸無水物とエポキシ化トリグリセリドのモル比が約2:1〜約3:1である、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第5の態様では、本発明は、グラフト化トリグリセリドが約990g/モル〜約3280g/モルの分子量を有する、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第6の態様では、本発明は、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂の重量比が約1:99〜約30:70の範囲である、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第7の態様では、本発明は、トリグリセリドが、植物油、動物油、藻類油、およびそれらの混合物から選択される材料から得られる、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第8の態様では、本発明は、グラフト化トリグリセリドが、1つまたは複数のエポキシ基を含んでなる、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第9の態様では、本発明は、エポキシ樹脂が、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、およびグリシジルアミンエポキシ樹脂から選択される、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第10の態様では、本発明は、エポキシ樹脂が、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ樹脂モノマーまたはそれらのオリゴマーである、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第11の態様では、本発明は、酸無水物が、式、R1−C(O)−O−C(O)−R2の化合物から選択され、式中、R1およびR2が、それぞれ約1〜約19個の炭素原子を含有するアルキル基から独立して選択される、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第12の態様では、本発明は、酸無水物硬化剤が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリス(トリメリテート無水物)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、およびそれらの混合物から選択される、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第13の態様では、本発明は、酸無水物が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリス(トリメリテート無水物)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、およびそれらの混合物から選択される、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第14の態様では、本発明は、酸無水物が、分子あたり12〜32個の炭素原子を含有する、上記のエポキシ熱硬化性樹脂に関する。
第15の態様では、本発明は、上記のエポキシ熱硬化性樹脂を含んでなる、複合材料に関する。
第16の態様では、本発明は、増量剤および/または補強材を含んでなる、上記の複合材料に関する。
第17の態様では、本発明は、繊維、粘土、ケイ酸塩、増量剤、およびホイスカーから選択される1つまたは複数の材料を含んでなる、上記の複合材料に関する。
第18の態様では、本発明は、着色剤、色素、カーボンブラック、耐衝撃性改良剤、抗酸化剤、安定剤、燃焼抑制剤、再加熱助剤、結晶化助剤、酸素スカベンジャー、可塑剤、軟化剤、成核剤、発泡剤、および鋳型剥離剤から選択される1つまたは複数の添加剤を含んでなる、上記の複合材料に関する。
第19の態様では、本発明は、エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリドに関する。
第20の態様では、本発明は、エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリドと、無水物硬化剤との反応によって調製される、エポキシ熱硬化性樹脂に関する。
本発明のグラフト化トリグリセリドは、エポキシ化トリグリセリドと酸無水物または酸無水物混合物とを反応させることで、調製される。本発明のグラフト化トリグリセリドは、トリグリセリドの分子量を微細に調整するように、および/またはトリグリセリドとエポキシド樹脂との反応性を調節するように、修飾されたトリグリセリドを含んでもよい。
このような条件が、エポキシ化トリグリセリド上のエポキシ基と酸無水物基との反応を引き起こしさえすれば、任意の反応条件を使用して、グラフト化トリグリセリドが生成されてもよい。グラフト化トリグリセリドは、ワンバッチ合成を通じて調合されてもよく、その中では、エポキシ化トリグリセリドが酸無水物と反応される。酸無水物とエポキシ化トリグリセリドのモル比は、約0.1:1〜約4:1、または約1:1〜約3.5:1、または約2:1〜約3:1である。
エポキシ樹脂と混合されたグラフト化トリグリセリドは、酸無水物硬化剤と反応されて、強化エポキシド熱硬化性樹脂が生成する。グラフト化トリグリセリドおよびエポキシ樹脂の他に、エポキシ熱硬化性樹脂を形成するために使用される反応には、少なくとも1つの酸無水物硬化剤もまた関与する。
本発明によるエポキシ熱硬化性樹脂の調製は、(a)エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド;(b)エポキシ樹脂;および(c)酸無水物硬化剤の反応を伴い、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂の重量比は、約1:99〜約30:70の範囲である。このような条件が、エポキシ化トリグリセリド上のエポキシ基と、エポキシ樹脂上のエポキシ基と、酸無水物硬化剤との反応を引き起こしさえすれば、任意の反応条件を使用して、エポキシ熱硬化性樹脂が生成されてもよい。
エポキシ化大豆油および修飾ESOのFTIRスペクトルを示す。 20重量%の脂肪酸修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 20重量%の脂肪酸修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 20重量%の脂肪酸修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 10、15、20、および25重量%のESOおよび修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 10、15、20、および25重量%のESOおよび修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 10、15、20、および25重量%のESOおよび修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 10、15、20、および25重量%のESOおよび修飾ESOで強化された、ECA100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録を示す。 DMA温度記録を示す。(a)20重量%修飾ESO強化剤で強化されたMHHPA硬化熱硬化性サンプル、(b、c)20重量%修飾ESO強化剤と混合されて強化され、ECA100NC(b)およびMHHPA(c)で硬化された、15重量%EPON 1001F。 DMA温度記録を示す。(a)20重量%修飾ESO強化剤で強化されたMHHPA硬化熱硬化性サンプル、(b、c)20重量%修飾ESO強化剤と混合されて強化され、ECA100NC(b)およびMHHPA(c)で硬化された、15重量%EPON 1001F。 DMA温度記録を示す。(a)20重量%修飾ESO強化剤で強化されたMHHPA硬化熱硬化性サンプル、(b、c)20重量%修飾ESO強化剤と混合されて強化され、ECA100NC(b)およびMHHPA(c)で硬化された、15重量%EPON 1001F。 ECA100NCで硬化された、様々な重量百分率のESOおよび修飾ESOがある、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーの臨界ひずみエネルギー放出速度(G1c)および臨界応力拡大係数を示す(K1c)。 ECA100NCで硬化された、様々な重量百分率のESOおよび修飾ESOがある、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーの臨界ひずみエネルギー放出速度(G1c)および臨界応力拡大係数を示す(K1c)。 (a)MHHPAで硬化された、(bおよびc)15%EPON 1001Fが添加されてECA100NCおよびMHHPAで硬化された、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーのK1cおよびG1cを示す。 (a)MHHPAで硬化された、(bおよびc)15%EPON 1001Fが添加されてECA100NCおよびMHHPAで硬化された、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーのK1cおよびG1cを示す。 (a)MHHPAで硬化された、(bおよびc)15%EPON 1001Fが添加されてECA100NCおよびMHHPAで硬化された、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーのK1cおよびG1cを示す。 ECA100NCで硬化された、20重量%のESOおよび修飾ESOがある、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーのSEM画像を示す。 ECA100NCで硬化された、様々な重量百分率の修飾ESOがある、ニートおよび強化熱硬化性ポリマーのSEM画像を示す。 MHHPAで硬化された、ニートのまたは実施例9に記載されるESOがグラフトされた強化熱硬化性ポリマーについて、バイオラバーの重量%と対比したK1cのプロットを示す。 MHHPAで硬化された、ニートのまたは実施例9に記載されるESOがグラフトされた強化熱硬化性ポリマーについて、バイオラバーの重量%と対比したG1cのプロットを示す。
説明の目的で、本発明の原理が、それらの様々な例示的な実施形態を参照して説明される。本発明の特定の実施形態が、本明細書に具体的に記載されるが、当業者は、同一原理が同様に当てはまり、その他の装置および方法で用いられ得ることを容易に認識するであろう。開示される本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、示されるいかなる特定の実施形態の詳細への適用にも限定されないものと理解される。本明細書で使用される用語は、説明を目的とし、制限ではない。さらに、本明細書に特定順序で提示される特定のステップを参照して、特定の方法が説明されるが、当業者によって理解されるであろうように、多くの場合、これらのステップは任意順で実施されてもよく、方法は、本明細書で開示されるステップの特定の段取りに限定されない。
本明細書の用法では、および添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上例外が明記されていない限り複数形への言及を含む。「a」(または「an」)、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で同義的に使用され得る。「含んでなる」、「含む」、および「有する」という用語が、同義的に使用され得ることにも留意すべきである。
本発明は、熱硬化ポリマー組成物およびこのような組成物を調製する方法に関する。熱硬化ポリマー組成物は、1つまたは複数のエポキシ樹脂と、1つまたは複数のグラフト化トリグリセリドと、1つまたは複数の酸無水物硬化剤との反応生成物を含有する。このような熱硬化ポリマー組成物は、反応混合物中にグラフト化トリグリセリドを含まない、または反応混合物中にグラフト化基を含有しないトリグリセリドを含む、類似熱硬化性樹脂の特性に優る特性を示してもよい。
本発明の一態様では、エポキシ熱硬化性樹脂は、(a)それ自身が、エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド;(b)エポキシ樹脂;および(c)酸無水物硬化剤の反応によって調製され、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂の重量比は、約1:99〜約30:70の範囲である。
グラフト化トリグリセリド
本発明のグラフト化トリグリセリドは、エポキシ化トリグリセリドと酸無水物または酸無水物混合物とを反応させることで、調製される。本発明のグラフト化トリグリセリドは、トリグリセリドの分子量を微細に調整するように、および/またはトリグリセリドとエポキシド樹脂との反応性を調節するように、修飾されたトリグリセリドを含んでもよい。
トリグリセリド
トリグリセリドは、グリセロールによって共に連結される、脂肪酸のトリエステルの組み合わせである。脂肪酸残基は、約4〜約30個の炭素原子、または約5〜約22個の炭素原子、または、約6〜約16個の炭素原子を含有する、直鎖カルボン酸から誘導される。トリグリセリドの一部である脂肪酸残基の少なくとも1つは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合形態の不飽和を含有する。グリセロールと結合する全ての脂肪性残基(fatty residues)が、炭素−炭素二重結合を有する必要はない。各トリグリセリドは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有しなくてはならず、最高約12個の炭素−炭素二重結合を含有してもよい。典型的に、炭素−炭素二重結合を有する脂肪酸残基は、残基あたり約1〜4個の炭素−炭素二重結合を含有するであろう。
本発明のトリグリセリドは、例えば、豚脂、ナタネ油、パーム油、牛脂、魚油、大豆油、キャノーラ油、ヒマワリ油、紅花油、米糠、コーンオイル、落花生油、綿実油、ヒマシ油、亜麻仁油、および菜種油などの植物および動物油原料に由来してもよい。これらのトリグリセリドは、不飽和基を含有するトリグリセリド中の二重結合、アリル炭素、エステル基、およびエステル基に対してα位にある炭素などの官能基化のためのいくつかの反応性部位を含む。本発明は、トリグリセリド上に重合性基を導入して、トリグリセリドの分子量を変化させるために、これらの反応性部位の1つまたは複数で、トリグリセリドに官能基を導入する。
エポキシ化トリグリセリド
トリグリセリドは、過酸化水素との反応などによる任意の従来の様式で、エポキシ化トリグリセリドに変換されてもよい。結果として生じるトリグリセリド上のエポキシ基は、エポキシ化トリグリセリドのさらなる修飾のための反応性部位として用いられ得る。トリグリセリド中のいくつかの二重結合を保持する、またはエポキシ化の程度を調節することが所望であれば、エポキシ基に変換されるトリグリセリド中の二重結合数は、適切な従来の様式のエポキシ化反応中に調節されてもよい。トリグリセリドのエポキシ化の程度はまた、その中に含有される不飽和基数に基づいて、出発トリグリセリドの選択によって影響を受けてもよい。
エポキシ化トリグリセリドの例示的な構造は、
である。
酸無水物
エポキシ化トリグリセリドは、酸無水物または酸無水物混合物と反応される。本発明の酸無水物は、2つのヒドロカルビル基を架橋する、少なくとも1つの−C(O)−O−C(O)−基を含有する炭化水素である。いくつかの実施形態では、酸無水物は、分子あたり2つ以上の−C(O)−O−C(O)−基を含んでなる。
本明細書の用法では、「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」という用語は、分子の残部に直接付着する炭素原子を有し、優勢に炭化水素的特性を有する基を指す。「基」および「部分」は、本明細書の用法では、同義であることが意図される。ヒドロカルビル基の例としては、(a)炭化水素基、すなわち、脂肪族置換基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、および芳香族−、脂肪族−、および脂環式−置換芳香族置換基、ならびに環が分子の別の部分を介して完成する環式置換基(例えば、2つの置換基が合わさって脂環式部分を形成する);(b)置換炭化水素置換基、すなわち、本開示の文脈で、置換基の優勢に炭化水素的特性を実質的に改変しない、非炭化水素基(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、アミノ、アルキルアミノ、およびスルホキシ)を含有する置換基;および(c)ヘテロ置換基、すなわち、本開示の文脈で優勢に炭化水素的特性を有する一方で、さもなければ炭素原子から構成される環または鎖内に、炭素原子以外の原子を含有する置換基が挙げられる。ヘテロ原子は、イオウ、酸素、および窒素を含んでもよく、ヘテロ置換基はピリジル、フリル、チエニル、およびイミダゾリルなどの置換基を包含する。
本発明の一実施形態では、ヒドロカルビル基は、脂肪族、脂環式、および芳香族−、脂肪族−、および脂環式−置換芳香族基、ならびに環が分子の別の部分を介して完成する環式置換基などの炭化水素基である。
一実施形態では、酸無水物は、式、R1−C(O)−O−C(O)−R2、(式中、R1およびR2は、それぞれ、約1〜約19個の炭素原子を含有するアルカンから独立して選択される)の化合物から選択される。このようなアルカンは、直鎖、または分枝鎖アルカンであってもよい。炭化水素鎖は、完全飽和であってもよく、またはそれは部分不飽和であってもよい。完全飽和炭化水素脂肪酸の酸無水物の例としては、n−ヘキサン酸無水物、n−オクタン酸無水物、n−デカン酸無水物、n−ドデカン酸無水物、ラウリン酸無水物、n−テトラデカン酸無水物、ミリスチン酸無水物、n−ヘキサデカン酸無水物、およびパルミチン酸無水物が挙げられる。
さらに、硬化剤として使用されてもよい酸無水物もまた使用して、エポキシ化トリグリセリドと反応させ、本発明のグラフト化トリグリセリドを得てもよい。このような酸無水物としては、例えば、脂肪酸無水物、脂環式酸無水物、および芳香族酸無水物が挙げられる。
脂肪酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、およびポリセバシン酸無水物が挙げられる。
脂環式酸無水物としては、例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物(MTHPA)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、メチルヒム酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラ−ヒドロフタル酸無水物、およびメチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物が挙げられる。
芳香族酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレン−グリコールビストリメリテート、およびグリセロールトリストリメリテートが挙げられる。
追加的な例示的酸無水物としては、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、クロレンド酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物、ジメチルグルタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸(DDSA)、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、無水マレイン酸、メチル−エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、ナド酸無水物、ナド酸メチル無水物(NMA)、および前述のいずれかの混合物が挙げられる。
酸無水物からのグラフト化トリグリセリド
エポキシ化トリグリセリドは、酸無水物または酸無水物混合物と反応されて、グラフト化トリグリセリドが生成する。このような条件が、エポキシ化トリグリセリド上のエポキシ基と少なくとも1つの酸無水物基との反応を引き起こしさえすれば、任意の反応条件を使用して、グラフト化トリグリセリドが生成されてもよい。グラフト化トリグリセリドは、ワンバッチ合成を通じて調合されてもよく、その中では、エポキシ化トリグリセリドが酸無水物と反応される。酸無水物とエポキシ化トリグリセリドのモル比は、約0.1:1〜約4:1、または約1:1〜約3.5:1、または約2:1〜約3:1であってもよい。
エポキシ化大豆油トリグリセリドとヘキサン酸無水物の例示的反応は、次のとおりである。
グラフト化トリグリセリドを調製するための反応は、エポキシ化トリグリセリドおよび酸無水物以外に追加的な成分を含んでもよい。例えば、反応は、1つまたは複数の触媒の存在下で実施されてもよい。このような触媒としては、例えば、三価の有機クロム錯体、フタル酸エステル、ヒドロキノン、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、および当業者に知られているその他の適切な触媒が挙げられる。さらに、反応は、不活性溶媒中で実施されてもよく、またはそれは、溶媒なしで実施されてもよい。使用されてもよい例示的な溶媒は、塩化メチレンである。
1モルのトリグリセリドと1モルの酸無水物との反応は、グラフト化トリグリセリドをもたらし、その中では、オキシラン環が、それぞれエステル結合を介してエポキシ化トリグリセリドに結合する2つの脂肪酸残基で置換される。したがって、例えば、エポキシ化トリグリセリドと酸無水物の1:3反応は、合計6つの脂肪酸残基がグラフトされたトリグリセリドをもたらすであろう。
エポキシ化トリグリセリドのジエステル誘導体は、無水溶媒中で酸無水物とエポキシ化トリグリセリドとを反応させることで、調製されてもよい。三フッ化エーテル酸ホウ素は、オキシラン環を同時に開裂して、酸無水物を活性化する触媒として使用されてもよい。反応は、求核性試薬として酸無水物、および触媒としてBF3−エーテラート(BF3−etharete)を使用して、エポキシ化トリグリセリドのジエステルの形成をもたらす、エポキシ化トリグリセリドのエポキシ環の単純な開環反応として特徴付けられてもよい。理論により拘束されることなく、反応は、以下の機序を有すると考えられる。
エポキシ化トリグリセリド中のエポキシ基と酸無水物基とのモル比は、異なる数の脂肪酸残基がある、グラフト化トリグリセリドを得るために変化させてもよい。
反応混合物は、本質的に完全な反応を確実にする温度に加熱される。例えば、反応は、約70℃〜約90℃の範囲の温度で、1〜6時間実施されてもよい。反応は、オーブン内の容器内、油浴または抵抗加熱マンテルによって加熱されるシュレンク装置内、または実験工場または生産工場の閉鎖型反応容器内で実施されてもよい。
反応の進行は、酸価滴定によってモニターされてもよい。一実施形態では、グラフト化トリグリセリドを製造するための反応は、反応生成物の酸価が、10などの特定の閾値を下回るまで実施される。本発明の一実施形態では、閾値は5である。グラフト化トリグリセリド中の残留酸は,時として硬化樹脂系に対する有害効果を有することもあると考えられ、したがってこのような場合は、グラフト化トリグリセリドが低い残留酸含有量を有することを確実にすることが望ましい。例えば、精製、中和などの当業者に知られている、反応をモニタリングするその他の適切な従来法もまた使用して、グラフト化トリグリセリド中の低い残留酸含有量を確実にしてもよい。
前述の反応は、2つのヒドロカルビル基を架橋する酸無水物結合を、エポキシ化トリグリセリドにグラフト化された2つのヒドロカルビル残基に変換する。本発明の別の実施形態では、酸無水物結合は、エポキシド基と反応させるとトリグリセリド上に環を形成する、環の一部である。例示的酸無水物化合物としては、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリス(トリメリテート無水物)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、およびそれらの混合物が挙げられる。
環式酸無水物残基がグラフトされたトリグリセリドによって形成されるエポキシド熱硬化性樹脂は、優れた特性を示すようである。酸無水物によるエポキシ化トリグリセリド上への脂肪酸残基のグラフトは、管理条件下で実施され、および/または酸無水物と、エポキシ化トリグリセリド上の残留反応性エポキシ基の10〜100%とを反応させ、またはエポキシ基の30〜80%とを反応させ、または50〜70%のエポキシ基とを反応させるのに適した量の反応物質を使用して、実施されてもよい。このようにして、グラフト化トリグリセリドのさらなるカスタマイゼーションのために、グラフト化トリグリセリド上に、いくらかの残留エポキシ基を保つことが可能である。次に残留エポキシ基が、エポキシド樹脂とのさらなる反応で使用されて、生成物が個別調整されてもよい。
トリグリセリド上の1つまたは複数の脂肪酸残基のグラフトは、様々なエポキシ熱硬化性樹脂の強化用のトリグリセリドを調整するために使用され得る、いくつかの重要な機能を果たす。第1に、脂肪酸残基が、トリグリセリドの分子量を増大させる。第2に、脂肪酸残基が、トリグリセリドの極性を低下させる。トリグリセリドの分子量および極性は、トリグリセリドが、本発明のエポキシ熱硬化性樹脂を製造するために使用されるエポキシド樹脂から、相分離するかどうかを決定するため、これらの双方の特性が重要であってもよい。グラフト化トリグリセリドのエポキシドポリマー相からの分離は、エポキシド熱硬化性樹脂の強化向上を提供してもよいために望ましい。このようにして、特定のエポキシ樹脂系で使用するために、適切な強化剤がこのスペクトルから選択され得るように、様々な分子量、サイズ、および相対活性を有する強化剤のスペクトルが調合されている。
最終的なエポキシ熱硬化性樹脂の所望の特性を示す組成物の調整は、反応物質の分子量および/または酸無水物とエポキシ化トリグリセリドとの反応比を調節することで、実施されてもよい。グラフト化トリグリセリドの適切な分子量は、主にエポキシ樹脂のアイデンティティー次第で、広い範囲にわたって変動してもよい。一態様では、硬化のための相溶系を形成するために、グラフト化トリグリセリドの分子量は、エポキシ樹脂の分子量が、実質的に一致するように調節され、例えば、グラフト化トリグリセリドの分子量は、硬化される樹脂の分子量のモルあたり約2000g/モル以内であり、より好ましくは、硬化される樹脂の分子量のモルあたり約1000g/モル以内、最も好ましくは、約500g/モル以内である。
グラフト化トリグリセリドに適する分子量は、典型的に約990〜約3280g/モルの範囲内、好ましくは約1200〜約2000g/モル、より好ましくは、約1300〜約1600g/モルの範囲内である。
本発明の一実施形態では、グラフト化トリグリセリドは、単一化合物であるが、典型的に、グラフト化トリグリセリドは、そのそれぞれがグラフト化トリグリセリド構造を有する、いくつかの異なる化合物の混合物であってもよい。このような混合物は、典型的に化合物の統計学的分布を含有して、例えば、天然物から得てもよい。例えば、2当量の酸無水物とトリグリセリドとの反応は、グラフト化トリグリセリドの混合物をもたらすことができ、混合物は、4つの脂肪酸残基があるトリグリセリド化合物を含有するが、2、6または8つの脂肪酸残基がある、より少量のグラフト化トリグリセリドもまた含有する。
エポキシ化トリグリセリドと脂肪酸との反応から得られるグラフト化トリグリセリドは、エポキシ化トリグリセリドと酸無水物との反応から得られるグラフト化トリグリセリドと異なり、前者の反応は、脂肪酸1モルあたりトリグリセリド上に1つの脂肪酸残基をグラフトするのに対し、後者の反応は、酸無水物1モルあたりトリグリセリド上に2つの脂肪性残基(fatty residues)をグラフトする。これは、エポキシ化トリグリセリドと酸無水物との反応が、単一オキシラン部位の上に、2つの脂肪性残基(fatty residues)をグラフトするためである。対照的に、エポキシ化トリグリセリドとモル過剰量の脂肪酸との反応は、各エポキシ部位上に単一脂肪酸残基のみをグラフトする。したがって、1モルのエポキシ化トリグリセリドと1モルの酸無水物から生じるグラフト化トリグリセリドの実験式は、1モルのエポキシ化トリグリセリドと2モルの脂肪酸から生じるグラフト化トリグリセリドの実験式と同一であるにもかかわらず、構造式は異なるであろう。特に、1モルのエポキシ化トリグリセリドと1モルの酸無水物とを反応させた場合、2つの残基は異なるエポキシ基に付着するであろう。1モルのエポキシ化トリグリセリドと2モルの脂肪酸とを反応させた場合、結果は、2つの異なるエポキシ基のそれぞれの上のグラフトである。したがって、1つの酸無水物分子と(4つのエポキシ基を含有する)エポキシ化トリグリセリド分子の1つのエポキシ基とを反応させた場合、3つのエポキシ基が残留する一方で、2つの脂肪酸分子と(4つのエポキシ基を含有する)エポキシ化トリグリセリド分子上の2つの異なるエポキシ基とを反応させた場合は、エポキシ化トリグリセリド分子上に2つのエポキシ基が残留するであろう。
代案としては、グラフト化トリグリセリドは、ヒドロキシル化トリグリセリド、またはヒドロキシル化およびエポキシ化トリグリセリドから調製されてもよい。ヒドロキシル化トリグリセリドとしては、ヒマシ油などの天然油、ならびに合成油が挙げられる。ヒドロキシルおよびエポキシド基の双方を含有するトリグリセリドは、他の箇所に記載されるように調製され得て、ヒマシ油などの天然ヒドロキシル化油、ベルノニア油などの天然エポキシ化油、または大豆油および亜麻仁油などのより一般的な植物油から調製され得る。
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂と混合されたグラフト化トリグリセリドは、酸無水物硬化剤と(with and)反応されて、強化エポキシド熱硬化性樹脂が生成する。エポキシ熱硬化性樹脂を製造するのに使用されてもよいエポキシ樹脂は、任意の市販のエポキシ樹脂であってもよい。エポキシ樹脂は、エポキシ、エポキシド、またはオキシランとして知られている、三員環を含有することで特徴付けられる。エポキシ樹脂は、典型的に、脂肪族、脂環式または芳香族骨格を含有する。適切なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、フェノールノボラックタイプのエポキシ、およびテトラブロモビスフェノールAベースのエポキシが挙げられるが、これに限定されるものではない。
エポキシ樹脂の一例は、構造、
を有する、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ樹脂(「DGEBA」、または「BADGE」)である。
エポキシ樹脂の別の例は、化学構造、
(式中、nは0〜25の値である)を有する、上述の分子のオリゴマーである。
上述の全ての樹脂は、当業者に知られている方法によって修飾されてもよく、本発明でなおも使用される。適切な修飾としては、酸、ヒドロキシルおよび/または酸無水物の数を低下させる、または可撓性、靭性を増大させる、または樹脂の架橋密度を増大させる、または引火性を低下させる修飾が挙げられるが、これに限定されるものではない。
硬化剤
グラフト化トリグリセリドおよびエポキシ樹脂の他に、エポキシ熱硬化性樹脂を形成するために使用される反応には、少なくとも1つの酸無水物硬化剤もまた関与する。エポキシのための適切な酸無水物硬化剤は、産業界で周知である。例示的硬化剤としては、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリス(トリメリテート無水物)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、およびそれらの混合物が挙げられる。
グラフト化トリグリセリドは、グラフト化トリグリセリド、樹脂、および硬化剤の組み合わせの約2〜約30重量%、または約5〜約20重量%、または約10〜約15重量%を構成する。グラフト化トリグリセリドの量は、樹脂のタイプ、酸無水物硬化剤のタイプと量、グラフト化トリグリセリドのタイプ、および硬化樹脂系の所望の特性などのいくつかの要素次第で変動してもよい。グラフト化トリグリセリドおよび樹脂の極性および分子量などの要素もまた、用いられるグラフト化トリグリセリドの量の選択において、役割を有してもよい。一般に、混合されると、樹脂および酸無水物硬化剤との優れた混和性を示す量であるが、また硬化中に十分に樹脂から相分離して所望の強化効果もまた提供する量のグラフト化トリグリセリドが用いられる。
下述の実験データは、熱硬化性樹脂を用いて製造される複合材料のガラス転移温度、粘度および/または破壊靱性などのエポキシ熱硬化性樹脂のその他の重要な特性を犠牲にすることなく、エポキシ樹脂とグラフト化トリグリセリドおよび酸無水物硬化剤とを反応させることで、顕著に改善され得る、エポキシ熱硬化性樹脂の選択された特性を示す。
熱硬化性樹脂
本発明によるエポキシ熱硬化性樹脂の調製は、(a)エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド;(b)エポキシ樹脂;および(c)酸無水物硬化剤の反応を伴い、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂の重量比は、約1:99〜約99:1の範囲である。
前述の範囲内の最適比率範囲は約1:99〜約99:1であり、大部分は、エポキシ熱硬化性樹脂の所望の特性に左右される。エポキシ熱硬化性樹脂が高い靭性を有する製品では、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂との重量比は、約5:95〜約30:70の範囲であってもよい。いくつかのエポキシ熱硬化性樹脂では、理想的な範囲は、10:90〜20:80であるようである。しかし、より大きな柔軟性を示すよりゴム状の製品では、グラフト化トリグリセリドとエポキシ樹脂との比率は、50:50〜80:20の範囲であってもよい。
エポキシ熱硬化性樹脂を調製する一方法は、次のとおりである。特定重量比(例えば、1:99、10:90、15:85、20:80、および30:70)のグラフト化トリグリセリドおよびエポキシ樹脂の配合物が、調合されてもよい。化学理論量の酸無水物硬化剤および触媒が添加され、配合物は均質化される。任意選択的に、エネルギーが配合物内に導入されて、配合物が均質化されてもよい。このようなエネルギーは、加熱、放射線、高エネルギー混合、またはそれらの任意の組み合わせを通じて導入されてもよい。ひとたび全ての構成成分が混合されたら、混合物は真空に脱気され、適切な鋳型に注入されて、数分間、または数時間、または数日間、高温で硬化され、エポキシ熱硬化性樹脂が製造される。任意選択的に、硬化エポキシ熱硬化性樹脂は、より高い温度で後硬化される。
動的機械的分析を使用して、熱硬化性ポリマーの硬度および緩衝特性が評価されてもよい。理論により拘束されることなく、可能な硬化機序は、次のとおりである。
別の実施形態では、エポキシド熱硬化性樹脂は、副段落(b)で同定されるエポキシ樹脂を使用せずに、調合されてもよい。この実施形態のエポキシド熱硬化性樹脂は、グラフト化トリグリセリドと酸無水物硬化剤とを反応させることで調製される。硬化剤は、グラフト化トリグリセリドを調製するのに使用される、酸無水物と同一であってもなくてもよい。
複合材料
別の態様では、本発明は、上に記載されるエポキシ熱硬化性樹脂を含んでなる、複合材料に関する。このような複合材料は、上に記載される硬化樹脂系から形成され、繊維、粘土、ケイ酸塩、増量剤、ホイスカーまたはその他の従来の増量剤または補強材などの添加剤を含有してもよい。このような複合材料用途で使用される典型的な繊維としては、E−ガラス、S−ガラス、Kevlar(登録商標)、炭素繊維、および超高分子量ポリエチレンが挙げられるが、これに限定されるものではない。従来の量で用いられてもよく、複合材料の形成中に工程に直接添加されてもよい、追加的な添加剤としては、着色剤、顔料、カーボンブラック、ガラス繊維や炭素繊維やアラミド繊維などの繊維、増量剤、耐衝撃性改良剤、抗酸化剤、安定剤、燃焼抑制剤、再加熱助剤、結晶化助剤、酸素スカベンジャー、可塑剤、軟化剤、成核剤、発泡剤、鋳型剥離剤、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の複合材料はまた、その中にナノ材料分散を含んでもよい。ナノ材料は、あらゆる補強材またはそれらの混合物であり、それはナノメートル尺度の少なくとも1つの寸法を有する。適切なナノ材料としては、例えば、層状結晶性粘土(アルミニウムケイ酸塩またはアルミニウムマグネシウムケイ酸塩のような天然または合成ケイ酸塩など)をはじめとするナノクレイ、ナノ繊維(セルロース系ナノ繊維など)、ナノホイスカー(セルロース系ナノホイスカーなど)、ナノチューブ(炭素または金属酸化物ナノチューブなど)、ナノプレートレット(炭素ナノプレートレットなど)、金属酸化物、金属硫化物、金属層状複水酸化物、またはそれらの混合物が挙げられる。
補強材は、有機親和性修飾化合物で処理されて、補強材と樹脂の間の物理的および化学的相互作用が促進されてもよい。有機親和性修飾化合物は、当該技術分野で一般に公知であり、例えば、アミン、カルボキシル化合物、アルコール、フェノール、シラン、有機親和性イオン、オニウムイオン(アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムなど)のような相互作用基が挙げられる。
補強材は、その中で複合材料が使用される用途に必要な複合材料のその他の特性を損なうことなく、補強材の所望の効果を与えるのに適する量で、ナノ複合材料中に存在してもよい。例えば、補強材を使用して、複合材料の破壊靱性が増大され、複合材料の弾性率が改変されおよび/または複合材料の導電率が改変されてもよい。当業者は、補強材の適当量を容易に判定し得る。
複合材料中の補強材の量は、複合材料の総重量を基準にして、約0.1〜約75重量%、または約0.2〜約30重量%、または約0.5〜約20重量%、または約1〜約10重量%であってもよい。粒子充填(非ナノ滑石、シリカなど)複合材料中の補強材の量は、複合材料の総重量を基準にして、約0.1〜約75重量%、または約0.2〜約30重量%、または約1〜約10重量%であってもよい。繊維強化複合材料中の補強材の量は、複合材料の総重量を基準にして、約5〜約90重量%、または約10〜約80重量%、または30〜約75重量%であってもよい。
以下の実施例は例証的であり、本発明を制限するものではない。技術分野で普通に遭遇されて当業者に明白である、多様な条件およびパラメータのその他の適切な修正および適応は、本開示の範囲内である。
実施例で使用された材料。
n−ヘキサン酸(C511COOH、「HEX」、99%)、n−オクタン酸(C715COOH、「OCT」、99%)、およびn−デカン酸(C919COOH、「DEC」、99%)をはじめとする全てのカルボン酸は、Sigma−Aldrich,USAから入手された。AMC−2触媒(Aerojet Chemicals,Rancho Cordova,CA)は、50%の三価有機クロム錯体と50%のフタル酸エステルの混合物である。Drapex 6.8(Galata Chemicals,Southbury,CT,USA)は、エポキシ化大豆油(「ESO」、CAS 8013−07−8)である。三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、ジメチルベンジルアミン、およびヘキサン酸無水物(97%)は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)から入手された。塩化ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムは、Fisher Scientificから入手された。EPON(商標)樹脂828(Miller Stephenson,Danbury,CT,USA;CAS 25068−38−6)は、希釈されていない透明二官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来液体エポキシ樹脂DGEBPAであり、重量は185〜192g/エポキシドである。EPON(商標)樹脂1001F(Miller Stephenson)は、液体エポキシ樹脂とビスフェノールAから誘導される低分子量固体エポキシ樹脂であり、重量は525〜550g/エポキシドである。メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(「MHHPA」、ANEW:165)およびECA 100NC酸無水物硬化剤(ANEW:168)は、Dixie chemical,Pasadena,Texas,USAから入手された。ECA 100NC酸無水物硬化剤は、>65%のMHHPA、>10%のヘキサヒドロフタル酸無水物(「HHPA」)、および<15%メチルテトラヒドロフタル酸無水物(「MTHPA」)の配合物である。全ての化学薬品は、受領された形態で使用された。
ESO、ヘキサン酸無水物、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、DGEBA、HHPA、MHHPA、MTHPA、およびジメチルベンジルアミン(「DMBA」)の化学構造は、下に示される。
実施例1−エポキシ当量の判定。
EPON 828、EPON 1001F、ESO、および調製されたグラフト化トリグリセリドの実験的エポキシ当量(「EEW」)値は、ASTM D1652−97法Bを使用して、エポキシ滴定によって判定された。理論的EEW値は、分子量に基づいて計算された。
EPON828およびEPON1001のEEW値は、それぞれ188.0(lit.185〜192)、および537.5(lit.525〜550)と測定された。
実施例2−脂肪酸を使用したグラフト化エポキシド大豆油の調製。
下の実施例で調製されて使用されたグラフト化トリグリセリドHEX−1*、HEX−2*、HEX−3*、OCT−1*、OCT−2*、OCT−3*、DEC−1*、DEC−2*、およびDEC−3*は、脂肪酸:n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、およびn−デカン酸をエポキシ化大豆油(「ESO」)骨格に、1:1、2:1、または3:1のモル濃度比でグラフトすることで調製された、グラフト化大豆油であった。全てのグラフト化大豆油は、様々なタイプと量の脂肪酸を用いて、同様の手順によって合成された。
グラフト化トリグリセリドのアイデンティティーは、三文字コードとそれに続く数値、そしてそれらが脂肪酸無水物でなく脂肪酸から調製された比較グラフト化トリグリセリドであることを示すための星印(*)によって、下の表に略記される。三文字コードは、上記の材料セクションに列挙される親カルボン酸に対応し、数値は、大豆油上にグラフト化された脂肪酸残基数にほぼ等しい、エポキシ化大豆油と反応されたカルボン酸当量の数値を表わす。例えば、「HEX−3*」は、ESOと3当量のn−ヘキサン酸とを反応させて、平均で3つの−O−C(O)−C511基を含有するグラフト化トリグリセリドをもたらすことで得られた、グラフト化トリグリセリドに相当する。
グラフト化トリグリセリドOCT−3*は、ワンバッチ合成によって調製された。28.71gのESO(30mmol)、13.11gのオクタン酸(90mmol)、418.20mgのAMC−2(1重量%)、および41.82mgのヒドロキノン(0.1重量%)が、還流凝縮器、磁気撹拌機、および温度計を装着した、500mL三つ口丸底フラスコ内に装填された。フラスコは密封され、混合物は、連続撹拌しながら70℃で1時間、そして90℃でさらに3時間加熱された。得られた生成物は、ESOの粘度よりも高粘度の淡緑色液体であった。
比較目的のための酸無水物硬化剤の存在下における脂肪酸によるエポキシ化トリグリセリドの修飾は、下で示されるような反応によって実施されてもよい。
その他のグラフト化トリグリセリドは、必要に応じてモル濃度比を調節して、同様に調製された。
脂環式酸無水物もまた,ESO上に酸無水物をグラフトするのに使用されたのと同一方法を使用して、ESO上にグラフト化された。残基の分子量は、様々であった。凝縮器を装着した、乾燥三つ口250mL丸底フラスコ内に、100mlの塩化メチレン中の12.5gのESO(50mmolのエポキシ基)および2.1gのメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)(12.5mmol、4:1モル当量)が入れられた。三フッ化エーテル酸ホウ素(0.125g、0.88mmol)が添加され、混合物は、乾燥窒素雰囲気下で3時間還流された。ESO中のエポキシ基とメチルヘキサヒドロフタル酸無水物とのモル比は、MHPA−2では4:2、MHPA−3では4:3であった。反応混合物が室温に冷却した後、生成物は、100mlの5%NaHCO3溶液と、それに続く100mlの鹹水で、それぞれ3回洗浄することで精製された。塩化メチレン層は、無水硫酸マグネシウムによって一晩乾燥された。溶媒は、回転蒸発によって除去された。
実施例3−酸無水物を使用したグラフト化エポキシド大豆油の調製
下の実施例で調製されて使用されたグラフト化トリグリセリドは、脂肪酸無水物からの脂肪酸残基をESO骨格にグラフトすることで調製された、グラフト化大豆油であった。
グラフト化トリグリセリドのアイデンティティーは、「HEX」と、それに続く数値によって下の表に略記される。しかし、上述の脂肪酸の使用によるグラフト化ESOの調製品とは異なり、星印の不在は、これらが脂肪酸無水物から調製された、本発明による組成物であることを示す。星印のない三文字コード(例えば、「HEX」)は、親ヘキサン酸無水物に対応し、数値は、エポキシ化大豆油と反応された酸無水物当量数を表わす。例えば、「HEX−3」は、ESOと3当量のヘキサン酸無水物とを反応させて、平均で6つの−O−C(O)−C511基を含有するグラフト化トリグリセリドをもたらすことで得られた、グラフト化トリグリセリドに相当する。
3つのグラフト化トリグリセリドは、モル濃度比1:1、1:2、および1:3のエポキシ化大豆油トリグリセリドとヘキサン酸無水物との反応によって調製された。一例として、グラフト化トリグリセリドHEX−1は、ワンバッチ合成によって調製された。12.5gESO(12.5gESO(50mmolのエポキシ基)、2.678gのヘキサン酸無水物(12.5mmol)、および100mlの塩化メチレンは、還流凝縮器、磁気撹拌機、および温度計を装着した、三つ口250mL丸底フラスコに装填された。三フッ化エーテル酸ホウ素(0.125g、0.88mmol)が添加され、混合物は、乾燥窒素雰囲気下で3時間還流された。反応混合物が室温に冷却した後、生成物は、100mlの5%NaHCO3溶液と、それに続く100mlの鹹水で、それぞれ3回洗浄することで精製された。塩化メチレン層は、無水硫酸マグネシウム上で一晩乾燥されて、溶媒は、回転蒸発によって除去された。
その他のグラフト化トリグリセリドは、必要に応じてモル濃度比を調節して、同様に調製された。
脂環式酸無水物もまた,ESO上に酸無水物をグラフトするのに使用されたのと同一方法を使用して、ESO上にグラフト化された。残基の分子量は、様々であった。凝縮器を装着した、乾燥三つ口250mL丸底フラスコ内に、100mlの塩化メチレン中の12.5gのESO(50mmolのエポキシ基)および2.1gのメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)(12.5mmol、4:1モル当量)を入れた。三フッ化エーテル酸ホウ素(0.125g、0.88mmol)が添加され、混合物は、乾燥窒素雰囲気下で3時間還流された。ESO中のエポキシ基とメチルヘキサヒドロフタル酸無水物とのモル比は、MHPA−2では4:2、MHPA−3では4:3であった。反応混合物が室温に冷却した後、生成物は、100mlの5%NaHCO3溶液と、それに続く100mlの鹹水で、それぞれ3回洗浄することで精製された。塩化メチレン層は、無水硫酸マグネシウムによって一晩乾燥された。溶媒は、回転蒸発によって除去された。
実施例4−グラフト化トリグリセリドの特性決定
Mid−IRを使用して、650〜4000cm-1の範囲内で、32スキャンおよび室温で8cm-1の分解能で、吸光度モードのThermo Nicolet Nexus 870 FT−IR分光計上で、重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を用いて、グラフト化トリグリセリドの官能基が同定された。
エポキシ開環の程度は、mid IRスペクトルからの842および823cm-1におけるエポキシピークの強度比から判定された。エポキシピークは、HEX−1HEX−2、およびHEX−3の場合、純粋なESOと比較して強度がより低いようである。これは、構造中のエステル官能基の増大に起因してもよい。HEX−3の場合、ESOの3つのエポキシ基は、開環反応によって、ヘキサン酸無水物のジエステル誘導体に変換された。この観察は、1461:1375でのピーク強度比の増大と一貫性があり、ヘキサン酸無水物のジエステル誘導体の形成を裏付ける。
グラフト化トリグリセリドのFTIRスペクトルは、1740cm-1でトリグリセリドカルボニル伸縮振動の、1461cm-1でCH2屈曲振動の、1375cm-1でCH3対称性曲げ振動のピークを示し、1240、1158、および1100cm-1で、エステル中のC−O基の伸縮振動に起因するピークを示した。
エポキシ滴定は、以下のASTM D 1652−97法Bによって実施され、ESOのエポキシ当量(「EEW」)が評価され、グラフト化トリグリセリドHEX−1、HEX−2、およびHEX−3が調製された。一例として、溶液は、0.4gのHEX−1、10mLの塩化メチレン、10mLのテトラエチルアンモニウム臭化物溶液(0.25g/mL)、および8滴の氷酢酸中の0.1%クリスタルバイオレット指示薬溶液を使用して調製された。溶液は、過塩素酸(0.1N)で滴定された。溶液は、青色から緑色へ急激な変色を示し、消費された過塩素酸試薬の容積が、EEWの計算のために記録された。複数回の滴定が実施された。ESOおよび3つの調製グラフト化トリグリセリドの実験的および理論的EEW は、下の表1に示される。EEWの値およびグラフト化ESOの分子量は、ESO中のエポキシ基の数と共に増大する傾向がある。
ESOの粘度およびグラフト化トリグリセリドの粘度は、室温で40mm平板配置のTA AR2000ex Rheometer(TA Instruments,New Castle,DE,USA)を使用して測定された。サンプルは、0.01〜1000s-1の範囲の剪断速度で試験されて、各10進毎に10回の測定が記録された。剪断応力は、各剪断速度で、2秒毎に記録された。1000s-1の剪断速度における3回の測定の平均値が、粘度値として報告され、これらの粘度値は下の表1に報告される。ESOの修飾は、粘度を有意に変化させない。グラフト化ESO(表1)の粘度に有意な変化はなく、これは、さらなる加工のためのこれらの物質の利点の1つである。
実施例5−エポキシ熱硬化性樹脂の調製。
11個の比較組成物が調製された。比較組成物は、脂肪酸がグラフトされたESOを含んでなるエポキシ熱硬化性樹脂と、対照エポキシ熱硬化性樹脂であった。脂肪酸グラフト化ESO(HEX−1*、HEX−2*、HEX−3*、OCT−1*、OCT−2*、OCT−3*、DEC−1*、DEC−2*、およびDEC−3*)およびDGEBA配合物は、25:75の重量比で調製されて、THINKY遊星形ミキサーを使用して1800rpmで4分間混合された。次に混合物は、1800rpmで2分間脱気された。酸無水物硬化剤ECA 100NCまたはMHHPAの化学理論量(0.9モル濃度当量)、および2重量%の触媒ジメチルベンジルアミン触媒が混合物に添加されて、同様の混合条件下で混合された。全構成成分が混合された後、混合物は真空オーブン内で5分間脱気され、混合物は、140mm×14mm×6mm(または40mm×10mm×5mm)のゴム鋳型に注入されて、90℃で9時間硬化され、200℃で9時間後硬化された。
酸無水物がグラフトされたESOを含んでなるエポキシ熱硬化性樹脂である、本発明による組成物が調製され、いくつかの対照エポキシ熱硬化性樹脂もまた、比較目的で調製された。いくつかの異なる重量比(10:90、15:85、20:80、および25:75)の1つで、グラフト化ESO(HEX−1、HEX−2、およびHEX−3)およびDGEBA配合物が調製され、THINKY遊星形ミキサーを使用して1800rpmで4分間混合された。次に混合物は、1800rpmで2分間脱気された。酸無水物硬化剤ECA 100NCまたはMHHPAの化学理論量(0.9モル濃度当量)、および2重量%の触媒ジメチルベンジルアミン触媒が混合物に添加されて、同様の混合条件下で混合された。全構成成分が混合された後、混合物は真空オーブン内で5分間脱気され、混合物は、140mm×14mm×6mm(または40mm×10mm×5mm)のゴム鋳型に注入されて、90℃で9時間硬化され、200℃で9時間後硬化された。
得られた熱硬化性樹脂の特性に対するエポキシドの分子量の影響は、65重量部のDGEBAと15重量部のEPON 1001Fとを混和して、得られた配合物を80℃で6時間加熱し、この配合物を上述されるのと同様にして、20重量部のグラフト化トリグリセリドおよび硬化剤で処理することで確認された。
下の表中で、熱硬化性樹脂は、それらの組成に基づいて命名される。例えば、「15%HEX−2−DGEBA−EC」は、4つのヘキサン脂肪酸残基がグラフトされた15部のESOと、85部のDGEBAとの混合物から調製され、化学理論量のECA 100NCで硬化された、熱硬化性樹脂サンプルに相当する。
DGEBAおよび修飾ESO(MHPA−1、MHPA−2、およびMHPA−3)の配合物は、異なる重量比(10:90、15:85、および20:80)を使用して,上記と同様にして、化学理論量(0.9モル比(mole ration))の酸無水物硬化剤(MHHPA)、および2重量部のジメチルベンジルアミン触媒を用いて調製された。MHHPAは、エポキシ化ESOと共に使用された反応物質と同じ硬化剤であった。混合、脱気、硬化(curring)、および後硬化工程もまた、上述したように実施された。
実施例6−熱硬化性樹脂特性
全ての硬化エポキシサンプルは、標準サイズおよび形状に紙やすりで磨かれた。硬化サンプルのガラス転移温度(Tg)および室温貯蔵弾性率をはじめとする熱機械的特性は、単一カンチレバー配置のTA Instruments Q800 Dynamic Mechanical Analysis(「DMA」)装置を使用して測定された。DMAは、主に、熱硬化性ポリマーの硬度および緩衝特性を調べるために使用された。38mm×9mm×4.5mmのおおよその寸法の熱硬化性樹脂サンプルは、室温から220℃への2℃/分の勾配速度、ならびに1Hzの周波数および15μmの振幅で検査された。Tgは、損失弾性率曲線の最大値における温度として付与された。熱硬化性樹脂サンプルの臨界ひずみエネルギー放出速度(G1c)および臨界応力拡大係数(K1c)などの破壊靱性特性は、ASTM5045−99に従って、INSTRON 8872 Servohydraulic Fatigue Testing System(Norwood,MA,USA)を使用して測定された。CTサンプルは、16mm×13mm×5.5mmの寸法に加工され、ダイヤモンド鋸によって、各サンプル中に8.2mm長さの切欠きが刻み込まれた。このようなサンプルが、周囲環境(64%相対湿度)において、1mm/分の一定クロスヘッド速度および1mmの引張延長の終了基準で、INSTRON 8872を使用して試験される前に、室温で鋭利なブレードを用いて手動で切り目を付けて、切欠きの基部に予亀裂が作成された。
SEM測定では、硬化エポキシサンプルの破断面は、Cressingtonスパッターコーターを使用して、40mAで30秒間にわたり7〜9nmの予測厚で白金で被覆された。画像はFEI XL30 ESEMおよびZeiss Supra 50VP SEMで撮影された。破壊靱性は、51mm×13mm×6mmサンプル上で、単一端切欠き曲げ手順を用いるASTM D5045−99(2007)e1を使用して測定された。
比較エポキシ樹脂では、いかなる装填レベルでも顕微鏡的相分離は観察されなかった。20重量%の脂肪酸グラフト化ESOで強化された、ECA 100NC硬化熱硬化性サンプルのDMA温度記録は、図2に示される。ニートのおよび脂肪酸グラフト化ESO強化剤による強化熱硬化性ポリマーの室温貯蔵弾性率およびガラス転移温度は、表2に報告される。
様々な量のグラフト化ESOがある無水物硬化DGEBAのDMA分析は、下の表3に報告される。グラフト化大豆油で硬化された無水物硬化熱硬化性エポキシポリマー系の貯蔵弾性率、損失弾性率、および機械的損失係数などの動的機械的特性は、0℃〜200℃で測定された。サンプルの貯蔵弾性率および損失弾性率の変化は図3に示され(are display)、表3に要約される。
図3は、硬化熱硬化性エポキシ系の損失弾性率と温度との関係性を例証する。全てのサンプルの曲線は、狭いピークを示した。より多数のヘキサン酸残基があるグラフト化ESOの損失弾性率ピークは、より低い温度におけるピークを示し、グラフト化ESO鎖によってもたらされるより大きな可撓性に起因する、より低いガラス転移温度が示唆された。
ECA 100NCで硬化されたエポキシ熱硬化性樹脂の全てのサンプルでは、貯蔵弾性率値はより低い温度で一定した。しかし100℃前後で急激な低下が観察され、より高い温度における弾性率平坦域がそれに続いた。サンプルの貯蔵弾性率値は、1.75GPa〜2.00GPaの範囲の室温で得られた。これらの値は、高性能用途で使用される材料の値と同様であった。一般に、配合サンプルの貯蔵弾性率値は、ニートエポキシ系よりも低い。この貯蔵弾性率の変化は、あまり硬くないESOおよびESOジエステル強化剤の組み込みに起因してもよい。興味深いことに、10%HEX−3−90%DGEBA−ECと称されるエポキシ樹脂の場合、貯蔵弾性率の値は2.32GPaであり、それはECA 100NCで硬化されたニートDGEBAよりも高い。
純粋なDGEBAの温度およびグラフト化ESOの様々な重量部(10、15、20および25部)に対する、動的機械的損失係数(Tanδ)もまた、表3に示される。損失正接ピークは、構造内の重合鎖の分子運動に関連する。重合鎖の運動性が低いほど、ピークTanδの値は低い。ECA 100NCで硬化されたニートDGEBAが、143.5℃のガラス転移温度を示した一方で、10、15、20または25重量部のHEX−1を含んでなるエポキシ熱硬化性樹脂では、ガラス転移温度は、それぞれ135℃、129℃、129℃、または126℃であった。同様の傾向が、HEX−2またはHEX−3を用いて形成された、エポキシ熱硬化性樹脂で観察された。DGEBA中へのグラフト化ESOの組み込みは、硬化ネットワーク系のより低い架橋密度のために、より低いガラス転移温度をもたらす。より大量のグラフト化ESOがある酸無水物硬化エポキシ系では、ガラス転移温度はより低い。さらに、ESO上により大量のグラフト化脂肪酸がある酸無水物硬化エポキシ系では、ガラス転移温度がより低い。例えば、10重量部のHEX−1、HEX−2、およびHEX−3を含んでなり、ECA 100NCで硬化されたエポキシ樹脂は、それぞれ135℃、131℃および123℃の降順の順序でガラス転移温度を示した。グラフト化ESOのより高い分子量はまた、HEX−1シリーズのエポキシ熱硬化性樹脂との比較で、HEX−2およびHEX−3系エポキシ熱硬化性樹脂のより低いガラス転移温度を提供する役割を果たしたかもしれない。さらに、DGEBA硬化系への未グラフト化ESOの組み込みもまた、系内の未グラフト化ESOが多いほど、より低いガラス転移温度をもたらした。
ECA 100NCで硬化された上記エポキシ熱硬化性樹脂の特性は、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)で硬化されたエポキシ熱硬化性樹脂と比較された。MHHPAで硬化された熱硬化性樹脂は、20重量部のグラフト化ESOと、80重量部のDGEBAとを反応させることで調製される。結果は図4に示され、下の表4に要約される。データの分析は、ECA 100NCで硬化されたエポキシ熱硬化性樹脂についても、同様の傾向を示す。MHHPAで硬化されたニートDGEBAから調製されたエポキシ熱硬化性樹脂が、147℃のガラス転移温度を示した一方で、20重量部のHEX−1、HEX−2およびHEX−3を含んでなるエポキシ熱硬化性樹脂は、それぞれ128℃、125℃、および119℃のより低いガラス転移温度を示した。
さらに、15重量部のEPON 1001Fおよび85重量部のDGEBAがあるエポキシ配合物系が調製されて、より高分子量のエポキシ系に対する強化剤の効果が確認された。85重量部DGEBAおよび15重量部EPON 1001Fを含んでなる高分子量エポキシ系に、強化剤(20重量部のESO、HEX−1、HEX−2、およびHEX−3)が組み込まれ、ECA 100NCまたはMHHPAのどちらかで硬化された。図4および表4を参照されたい。これらのサンプルもまた、同一傾向に従い、MHHPAまたはECA 100NCで硬化された、85重量部DGEBAおよび15重量部のEPON 1001Fを含有する高分子量エポキシ系のガラス転移温度は、それぞれ147.4℃および147.4℃であった。これは、グラフト化ESO上の脂肪酸残基数の増大に起因する、ガラス転移温度の低下と同様である。さらに、20重量部の強化剤と80重量部のDGEBA/EPON 100F配合物とを含んでなるエポキシ熱硬化性樹脂が、調べられた。
エポキシド樹脂とメチルヘキサヒドロフタル酸無水物で修飾されたESOとを反応させて調製されたエポキシ熱硬化性樹脂では、顕微鏡的相分離が観察された。動的機械的分析値は、下の表5に報告される。これらのエポキシ熱硬化性樹脂のガラス転移温度は、ヘキサン酸無水物修飾ESOを含んでなるエポキシ熱硬化性樹脂のガラス転移温度よりも高い。
実施例7−破壊特性
破壊靱性試験を実施して、DGEBA無水物硬化系中のグラフト化ESOの強化効果が測定された。図5および表6は、様々な量のESOおよびグラフト化ESOを含んでなる、DGEBAエポキシ熱硬化性樹脂の破壊靱性を示す。臨界応力拡大係数(K1c)および臨界ひずみエネルギー放出速度(G1c)は、グラフト化ESOの重量部を増大させることで、明確に改善された。破壊靱性(K1c)および破壊エネルギー(G1c)の値は、グラフト化ESOの重量部の関数のようである。一般に、グラフト化ESOがある大多数のサンプルでは、K1cおよびG1cの値がニートエポキシ樹脂よりも高い。グラフト化ESOの組み込みは、20重量部の最適含有量まで、K1cおよびG1cの値を増大させる。しかし、K1cおよびG1cの値のそれ以上の増大は、観察されなかった。試験された全てのサンプル中で、20重量部のHEX−2があるサンプルは、ECA 100NCで硬化されたニートDGEBAと比較して、K1Cの218%の増大およびG1Cの564%の増大で、最良の強化効果を示す。しかし、この改善の利点は、ガラス転移温度の20℃の低下によって抑制された。
20重量部のHEXがあるDGEBAエポキシ熱硬化性樹脂が調製されて、MHHPA硬化剤の効果が評価された。ニートDGEBAと20%の未グラフト化ESOとから得られるMHHPA硬化熱硬化性樹脂よりも有意に高い、K1c(1.255±0.308MPa m1/2)およびG1c(0.760±0.376KJ/m2)値によって示されるように、HEX−2サンプルの靭性特性は改善された。図6および表7を参照されたい。剪断局所化は、応力集中部分の機能を果たすグラフト化ESO粒子の存在のために向上されて、臨界応力拡大係数および臨界ひずみエネルギー放出速度の増大をもたらした。
PearsonおよびYeeらは、エポキシ系の強化機序を制御する2つの主要因が、ゴム粒子の空洞化と、剪断帯の発生であることを報告している。R.A.Pearson,A.F.Lee,“Toughening mechanism in thermoplastic−modified epoxies:1.Modification using poly(phenylene oxide),”Polymer,vol.34,iss.17,pp 3658−3670,1993;およびR.A.Pearson,A.F.Lee,“Toughening mechanism in thermoplastic−modified epoxies:Part 3 The effect of cross−linking density,”J.Mater.Sci.,vol.24,pp 2571−2580,1989。これらの機序の効率は、ゴム粒度に左右される。さらに、より高分子量のエポキシに対する強化剤の効果を確認するために、15重量部のEPON 1001Fおよび85重量部のDGEBAを使用して、エポキシ配合系が調製された。強化剤(20重量%のESO、HEX−1、HEX−2またはHEX−3)は、調製されたDGEBA/1001Fの高分子エポキシ系に組み込まれ、ECA 100NCまたはMHHPAで硬化された。破壊靱性が測定され、K1cおよびG1cが評価された。図6および表7を参照されたい。EPON1001F配合系は、純粋なDGEBAと比較してより高い分子量を有したが、20重量部のHEX−2、15重量部のEPON 1001F、および65重量部のDGEBA(1.210±0.122MPa m1/2)を含んでなる系のK1c値は、20重量部のHEX−2、および80重量部のDGEBA(1.412±0.176MPa m1/2)を含んでなる系のK1c値より低いことが分かった。これは、EPON 1001F系中にあるより高いヒドロキシル基に起因してもよく、それはグラフト化ESO上の残留エポキシ基と反応してネットワーク鎖の一部になってもよく、それは強化効果を低下させるであろう。
実施例8−破断面分析
強化エポキシ系の破断形態が、SEMによって調べられた。SEM画像を使用して、エポキシネットワークに対する、グラフト化ESOの使用効果を理解するのを助けた。20重量部のESOの場合、サンプルの脆性は、亀裂伝播に対する弱い耐性を示す異なる平面中の亀裂がある、滑らかなガラス状の破断面の存在から観察され得た。図面7および8を参照されたい。
データは、ESOが、完全に反応してエポキシ系内に入り、ネットワークの一部になったことを提案する。サンプルは透明かつ透過性であり、ニートESOの最高20重量部の投入量であってさえも、巨視的な相分離は観察されなかった。しかし、グラフト化ESOの10重量部の投入量であってさえも、不透明かつ濁ったサンプルが観察された。
グラフト化ESO/DGEBAエポキシ熱硬化性樹脂系は、純粋なESO/DGEBAエポキシ樹脂系と比較して、二相熱硬化性樹脂の調製のための明らかな利点を有する。グラフト化ESO強化エポキシ(20%HEX−1、HEX−2、およびHEX−3)のSEM画像は、サブミクロンサイズの均等に分散する粒子を示した。これらの分散粒子は、剪断降伏を通じた機械的エネルギー散逸の中心としての重要な役割を果たし、最大の衝撃強度値を提供した。
ニートESO/DGEBAエポキシ熱硬化性樹脂系は相分離を示さなかったので、このような系はより低い衝撃強度を有した。グラフト化ESO/DGEBAエポキシ熱硬化性樹脂系の全てのその他の組成物は、ニートDGEBAエポキシ熱硬化性樹脂系よりもさらに良い能力を示した。境界面の酸無水物硬化分子は、DGEBA樹脂のエポキシ基およびグラフト化ESOの未反応エポキシ基の双方と反応すると予測され、硬質マトリックスとゴム状ドメインの間に化学結合を形成すると予測され、それはまた、グラフト化ESOベースのエポキシ系の強化における役割を有してもよい。
実施例9.破壊靱性
本実施例で使用されるエポキシ化大豆油(ESO)は、Drapex(登録商標)6.8の商品名の下に、LouisianaのGalata Chemicalsによって供給された。この材料は、さらに精製することなく使用された。三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、ジメチルベンジルアミン、塩化ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムは、Fisher Scientificから入手され、受領された形態で使用された。ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA、EPON 828、Miller Stephenson、EEW 188g/当量)、およびメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)硬化剤は、Dixie Chemical,Pasadena Texasから入手された。
ESOは、最初に、MHHPA(以下「MHHPA−1」と称される)モルに対するESO中のエポキシ基のモル濃度比(molar ration)が4:1である、MHHPAで修飾された。100mlの塩化メチレン中の12.5gのESO(50mmolのエポキシ基)および2.1gのMHHPA(12.5mmol)が、凝縮器を装着した、乾燥三つ口250mL丸底フラスコに添加された。次に三フッ化エーテル酸ホウ素(0.125g、0.95mmol)が添加され、混合物は、乾燥窒素雰囲気下で3時間還流された。モルMHHPAに対するESO中のエポキシ基モルのモル比もまた、4:2(以下「MHHPA−2」と称される)および4:3(以下「MHHPA−3」と称される)に変化させた。次に、反応混合物は室温に冷却され、反応生成物は、100mlの5%NaHCO3溶液と、それに続く100mlの鹹水での洗浄の各3回の洗浄によって精製された。塩化メチレン層は、無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥された。溶媒は、回転蒸発を用いて除去された。修飾ESOが得られた。
DGEBAは、表8に示されるように、3つの異なる重量比、すなわち、10、15、および20%で、3つの異なる修飾ESO(MHHPA−1、MHHPA−2、およびMHHPA−3)と混和された。具体的には、DGEBAおよび様々な修飾ESOが、THINKY遊星形ミキサーを使用して1800rpmで4分間混合され、引き続く脱気ステップは1800rpmで2分間実施された。さらに、MHHPAベースの化学理論量(0.9mol)の酸無水物硬化剤と2%の触媒(ジメチルベンジルアミン)とが引き続いて添加されて、同様の混合条件下でDGEBAおよびESOと混合された。次に各混合物は、真空内で5分間脱気されて、ゴム鋳型に注入され、90℃で9時間硬化され、200℃でさらに9時間後硬化された。2”×0.5”×0.25”のサンプル上で、単一端切欠き曲げ手順を使用する、ASTM#D5045−99(2007)の手順に続いて、破壊靱性が測定された。硬化樹脂の臨界応力拡大係数(K1c)および臨界ひずみエネルギー放出速度(G1c)は、一般に、組成物中の修飾ESOの重量百分率(表8)を増大させることで高められた。
1cおよびG1cの値は、組成物中のバイオラバーの重量百分率と相関する(図9〜10)。修飾ESOがある硬化樹脂のK1cおよびG1cの値は、ニートエポキシ樹脂よりも高いことが観察された。修飾ESOの組み込みは、20重量%のバイオラバーの最適含有量まで、K1cおよびG1cの値を増大させた。20重量%のMHHPA−1がある硬化樹脂は、最大の強化効果を示した。しかし、この改善はまたTg値の5℃の低下によっても得られ得て、それは、20%の未変更ESOを含有する、MHHPA−1硬化ニートDGEBAおよびMHHPA−1硬化DGEBAよりもはるかに高い、0.985±0.112MPa m1/2のK1cおよび0.502±0.114KJ/m2のG1cを提供した。
しかし、本発明の構造および機能の詳細と共に、本発明の数多くの特性および利点が前述の説明に記載されているのにもかかわらず、本開示は例示のみを目的とし、特に、その中で添付の特許請求の範囲が表される用語の広い一般的な意味によって示される最大限までの本発明の原理内で、部分の形状、サイズ、および配置に関して、細部に変更が加えられてもよいものと理解される。

Claims (20)

  1. (a)エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド;
    (b)エポキシ樹脂;および
    (c)酸無水物硬化剤
    の反応によって調製されるエポキシ熱硬化性樹脂であって、前記グラフト化トリグリセリドと前記エポキシ樹脂の重量比が、約1:99〜約99:1の範囲である、エポキシ熱硬化性樹脂。
  2. 前記酸無水物と前記エポキシ化トリグリセリドのモル比が、約0.1:1〜約4:1である、請求項1に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  3. 前記酸無水物と前記エポキシ化トリグリセリドのモル比が、約1:1〜約3.5:1である、請求項1に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  4. 前記酸無水物と前記エポキシ化トリグリセリドのモル比が、約2:1〜約3:1である、請求項1に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  5. 前記グラフト化トリグリセリドが、約990g/モル〜約3280g/モルの分子量を有する、請求項1に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  6. 前記グラフト化トリグリセリドと前記エポキシ樹脂の重量比が、約1:99〜約30:70の範囲である、請求項1に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  7. 前記トリグリセリドが、植物油、動物油、藻類油、およびその混合物から選択される材料から得られる、請求項1に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  8. 前記グラフト化トリグリセリドが、1つまたは複数のエポキシ基を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  9. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、およびグリシジルアミンエポキシ樹脂から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  10. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ樹脂モノマーまたはそれらのオリゴマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  11. 前記酸無水物が、R1−C(O)−O−C(O)−R2からなる群から選択され、式中、R1およびR2がそれぞれ、約1〜約19個の炭素原子を含有するアルカンから独立して選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  12. 前記酸無水物硬化剤が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリス(トリメリテート無水物)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、およびそれらの混合物から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  13. 前記酸無水物が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリス(トリメリテート無水物)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、およびそれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  14. 前記酸無水物が、分子あたり12〜32個の炭素原子を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のエポキシ熱硬化性樹脂を含んでなる、複合材料。
  16. 増量剤および/または補強材を含んでなる、請求項15に記載の複合材料。
  17. 繊維、粘土、ケイ酸塩、増量剤、およびホイスカーから選択される1つまたは複数の材料を含んでなる、請求項15に記載の複合材料。
  18. 着色剤、色素、カーボンブラック、耐衝撃性改良剤、抗酸化剤、安定剤、燃焼抑制剤、再加熱助剤、結晶化助剤、酸素スカベンジャー、可塑剤、軟化剤、成核剤、発泡剤、および鋳型剥離剤から選択される1つまたは複数の添加剤を含んでなる、請求項15に記載の複合材料。
  19. エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド。
  20. エポキシ化トリグリセリドと、分子あたり約4〜約40個の炭素原子を含有する酸無水物との反応によって調製される、グラフト化トリグリセリド;および酸無水物硬化剤の反応によって調製される、エポキシ熱硬化性樹脂。
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