全ての量、比率、及び%は、特に記載のない限り、重量である。組成物中のすべての成分の量は、合計100重量%である。発明の概要及び要約は参照することによりここに組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ明細書の文脈により別途記載のない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及びそこに含まれる任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、2.0〜4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0を個別に含むと同時に、範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、例えば、2.1〜3.5、2.3〜3.4、2.6〜3.7、及び3.8〜4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合を含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、かつそこに包含される任意の個別の要素及び部分集合を含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基」の開示には、その要素である個々のアルキル、部分集合であるアルキル及びアリール、並びに本明細書に包含される任意の他の個々の要素及び部分集合が含まれる。
「アルキル」とは、非環式、分岐状又は非分岐状、飽和一価炭化水素基を意味する。アルキル基の例として、Me、Et、Pr、1−メチルエチル、Bu、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに6個以上の炭素原子を有する他の分岐状飽和一価炭化水素基もまた挙げられる。アルキル基は少なくとも1個の炭素原子を有する。あるいは、アルキル基は1〜12個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜6個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子、あるいは1〜2個の炭素原子、あるいは1個の炭素原子を有してもよい。
「アラルキル」及び「アルカリール」はそれぞれ、側鎖及び/又は末端アリール基を有するアルキル基、又は側鎖アルキル基を有するアリール基を指す。例示的なアラルキル基には、ベンジル、トリル、キシリル、フェニルエチル、フェニルプロピル、及びフェニルブチルが挙げられる。アラルキル基は、少なくとも7個の炭素原子を有する。単環アラルキル基は7〜12個の炭素原子、あるいは7〜9個の炭素原子、あるいは7〜8個の炭素原子を有してもよい。多環アラルキル基は7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有してもよい。
「アルケニル」は、非環状、分枝状、又は非分枝状の不飽和の、二重結合を有する一価炭化水素基を意味する。アルケニル基は、Vi、アリル、プロペニル、及びヘキセニルを含む。アルケニル基は少なくとも2個の炭素原子を有する。あるいは、アルケニル基は、2〜12個の炭素原子、あるいは2〜10個の炭素原子、あるいは2〜6個の炭素原子、あるいは2〜4個の炭素原子、あるいは2個の炭素原子を有してもよい。
「アルキニル」は、非環状、分枝状、又は非分枝状の不飽和の、三重結合を有する一価炭化水素基を意味する。アルキニル基は、エチニル及びプロピニルを含む。アルキニル基は、少なくとも2個の炭素原子を有する。あるいは、アルキニル基は、2〜12個の炭素原子、あるいは2〜10個の炭素原子、あるいは2〜6個の炭素原子、あるいは2〜4個の炭素原子、あるいは2個の炭素原子を有してもよい。
「アリール」とは、環炭素原子から水素原子の除去により、アレーンから誘導された炭化水素基を意味する。アリールには、以下に限定されないが、Ph及びナフチルによって例示される。アリール基は、少なくとも5個の炭素原子を有する。単環式アリール基は5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは6個の炭素原子を有してもよい。多環アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。
「炭素環」及び「炭素環式」は、炭化水素環を指す。炭素環は、単環式でも多環式でもよく、例えば、2環式又は2個を超える環を有するものでもよい。2環式炭素環は、縮合環、橋かけ環又はスピロ多環式環でもよい。炭素環は、少なくとも3個の炭素原子を有する。単環炭素環は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有してもよい。多環式炭素環は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、及び、あるいは9〜10個の炭素原子を有してもよい。炭素環は、飽和(例えば、シクロペンタン又はシクロヘキサン)、部分不飽和(例えば、シクロペンテン又はシクロヘキセン)、又は完全不飽和(例えば、シクロペンタジエン又はシクロヘプタトリエン)であってもよい。
「シクロアルキル」は、炭素環を含む飽和炭化水素基を指す。シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシルによって例示される。シクロアルキル基は、少なくとも3個の炭素原子を有する。単環シクロアルキル基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有してもよい。多環シクロアルキル基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有してもよい。
「ハロゲン化炭化水素」とは、炭素原子に結合した1つ以上の水素原子がハロゲン原子に形式上(formally)置換された炭化水素を意味する。ハロゲン化炭化水素基は、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環状基、及びハロアルケニル基を含む。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF3)、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−へプタフルオロオクチル等のフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピル等の塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環基として、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基として、塩化アリルが挙げられる。
「ヘテロ原子」とは、IUPAC元素周期表(http://www.iupac.org/fileadmin/user_upload/news/IUPAC_Periodic_Table−1Jun12.pdf)の13〜17族の、炭素を除く任意の元素を意味する。「へテロ原子」としては、例えば、N、O、P、S、Br、Cl、F及びIが挙げられる。
「ヘテロ原子含有基」は、炭素原子を含む有機基を意味し、かつ少なくとも1個のヘテロ原子を含む。へテロ原子含有基は、例えば、アシル、アミド、アミン、カルボキシル、シアノ、エポキシ、ハイドロカーボンオキシ、イミノ、ケトン、ケトキシム、メルカプト、オキシム、及び/又はチオールの1つ以上を含む。例えば、ヘテロ原子含有基が1つ以上のハロゲン原子を含有するとき、ヘテロ原子含有基は、上記のようにハロゲン化炭化水素基であってもよい。あるいは、へテロ原子が酸素である時、ヘテロ原子含有基は、アルコキシ基又はアルキルアルコキシ基のようなハイドロカーボンオキシ基であってもよい。
「無機へテロ原子含有基」は少なくとも1個のヘテロ原子及び少なくとも1個の水素又は異なるヘテロ原子を含む基を意味する。ヘテロ原子含有基としては、例えば、1つ以上のアミン、ヒドロキシ、イミノ、ニトロ、オキソ、スルホニル、及び/又はチオールが挙げられる。
「ヘテロアルキル」基は、少なくとも1つのへテロ原子をも含む非環式、分枝状又は無分枝状、飽和一価の炭化水素基を意味する。「ヘテロアルキル」は、少なくとも1つの炭素原子が、N、O、P、又はS等のへテロ原子と置き換えられたハロアルキル基及びアルキル基を含み、例えば、へテロ原子がOのとき、ヘテロアルキル基は、アルコキシ基となる場合がある。
「複素環」及び「複素環式」は、それぞれ、環状の炭素原子及び1つ以上のへテロ原子からなる環式基を意味する。複素環中のヘテロ原子はN、O、P、S、又はこれらの組み合わせであってよい。複素環は、単環式であってもよく、あるいは縮合環、架橋環、又はスピロ多環式環であってもよい。単環式複素環は、環内に3〜9個の構成原子、あるいは4〜7個の構成原子、あるいは5〜6個の構成原子を有してもよい。多環式複素環は、7〜17個の構成原子、あるいは7〜14個の構成原子、あるいは9〜10個の構成原子を有してもよい。複素環は飽和又は部分不飽和であってよい。
「複素環式芳香族」は、環状の炭素原子及び1つ以上のへテロ原子からなる完全に不飽和な環含有基を意味する。単環式複素芳香族基は、5〜9個の構成原子、あるいは6〜7個の構成原子、あるいは5〜6個の構成原子を有し得る。多環式複素芳香族基は、10〜17個の構成原子、あるいは10〜14個の構成原子、あるいは12〜14個の構成原子を有し得る。複素環式芳香族は、ピリジル等のヘテロアリール基を含む。複素環式芳香族は、ヘテロアラルキル、すなわち、側鎖及び/又は末端ヘテロアリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するヘテロアリール基を含む。例示のヘテロアラルキル基は、メチルピリジルそしてジメチルピリジルを含む。
「〜を含まない」は、組成物がその成分を感知不可能な量でしか含有しない、又は、その成分を含まない同じ組成物と比較したときに実施例2における方法に従って測定される硬化時間を変化させるのに不十分な量でしか組成物がその成分を含有しないことを意味する。例えば、本明細書に記載の組成物は、スズ触媒を含まないものであり得る。「スズ触媒を含まない」は、組成物が、組成物中の成分の−OH及び−H部分との縮合反応を触媒できるスズ触媒を感知不可能な量でしか含有しない、又は、スズ触媒を含まない同じ組成物と比較したときに実施例2における方法に従って測定される硬化時間を変化させるのに不十分な量でしか組成物がスズ触媒を含有しないことを意味する。組成物は、チタン触媒を含まないものであり得る。「チタン触媒を含まない」は、組成物が、組成物中の成分の−OH及び−H部分との縮合反応を触媒できるチタン触媒を感知不可能な量でしか含有しない、又は、チタン触媒を含まない同じ組成物と比較したときに実施例2における方法に従って測定される硬化時間を変化させるのに不十分な量でしか組成物がチタン触媒を含有しないことを意味する。あるいは、本明細書に記載される組成物は、金属縮合反応触媒(すなわち、本明細書に記載される成分(A)以外)を含まない場合がある。「金属縮合反応触媒を含まない」とは、組成物が、縮合反応を触媒することができる、2013年5月1日付IUPAC周期表(http://www.iupac.org/fileadmin/user_upload/news/IUPAC_Periodic_Table−1May13.pdfで入手可能)の第4、13、14、又は15族金属の化合物(例えば、Al、Bi、Sn、Ti、及び/又はZrの化合物)を感知不可能な量でしか含有しない;又は、金属縮合反応触媒を含まない同じ組成物と比較したときに、実施例2における方法に従って測定される硬化時間を変化させるのに不十分な量でしか含有しないことを意味する。本定義の目的では、「感知不可能な量」は、例えば、ASTM D7151−05 Standard Test Method for Determination of Elements in Insulating Oils by Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry(ICP−AES)の方法により測定されてもよい。
「非官能性」は、成分(例えば、ポリオルガノシロキサン)が縮合反応に関与する加水分解基を有しないことを意味する。
本明細書において使用される略語は下記に定義される。略語「cP」は、センチポアズを意味する。「DP」とは、ポリマーの重合度を意味する。「FTIR」とは、フーリエ変換赤外分光分析を意味する。「GPC」とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを意味する。「Mn」とは、数平均分子量を意味する。Mnは、GPCを使用して測定することができる。「Mw」とは、重量平均分子量を意味する。「NMR」とは、核磁気共鳴を意味する。「Me」とは、メチルを意味する。「Et」とは、エチルを意味する。「Ph」とは、フェニルを意味する。「Pr」は、プロピルを意味し、かつiPr及びnPr等の様々な構造を含む「iPr」とは、イソプロピルを意味する。「nPr」とは、ノルマルプロピルを意味する。「Bu」は、ブチルを意味し、nBu、sec−butyl、tBu、及びiBuを含む様々な構造を含む。「iBu」とは、イソブチルを意味する。「nBu」とは、ノルマルブチルを意味する。「tBu」は、第三級ブチルを意味する。
一実施形態では、組成物は、
(A)触媒的に有効な量の、上記のZn前駆体と配位子との反応生成物、並びに
(B1)平均で、1分子当たり、1つ以上のヒドロキシ(−OH)部分を有するヒドロキシ官能性化合物、及び
(B2)平均で、1分子当たり、1つ以上のSi−R50部分を有するSi−R50官能性化合物を含み、ここで成分(A)は、成分(B1)のヒドロキシ部分と成分(B2)のSi−R50部分との縮合反応を触媒することができる。成分(B1)及び(B2)の−OH部分とSi−R50部分との縮合反応により、反応生成物が得られる。
この組成物は、場合により、1つ以上の追加成分を更に含み得る。1つ以上の追加成分は、成分(A)、(B1)及び(B2)とは異なる。好適な追加成分の例としては、(C)架橋剤、(D)乾燥剤;(E)増量剤、可塑剤、又はこれらの組み合わせ;(F)充填剤;(G)充填剤処理剤;(H)殺生物剤;(J)難燃剤;(K)表面改質剤;(L)鎖延長剤;(M)末端封鎖剤;(N)非反応性結合剤;(O)老化防止添加剤;(P)水放出剤;(Q)顔料;(R)レオロジー添加剤;(S)賦形剤(例えば、溶媒及び/又は希釈剤)(T)粘着付与剤;(U)腐食防止剤;及びこれらの組み合わせが挙げられる。
成分(A)は、触媒として有効な量のZn含有縮合反応触媒を含む。Zn含有縮合反応触媒は、Zn前駆体及び配位子の反応生成物を含む。理論に束縛されるものではないが、この反応生成物はZn−配位子錯体を含むと考えられる。Zn前駆体は、Zn前駆体と配位子との反応生成物とは異なる。Zn前駆体は、Znの化合物であってもよい。Zn前駆体は、一般式(i):Zn−Aaを有するZnの化合物であり、式中、下付き文字aは、1〜亜鉛の最大価数であり、各Aは、独立して、交換可能な置換基である。各Aは、例えば、一価の有機基又は一価の無機基であってもよく、下付き文字aは、1〜2の範囲の値を有する。あるいは、a=2である。Aの交換可能な置換基の例としては、一価の炭化水素基、アミノ基、シリルアミド基、カルボキシルエステル基、及びハイドロカーボンオキシ基が挙げられる。交換可能な置換基とは、Aの1つ以上の例で選択された基が反応して離れるか又は他の方法で配位子によって置き換えられることを意味する。
Aの一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;ビニル、アリール、プロペニル、及びヘキセニル等のアルケニル;飽和炭素環式基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル)、又はシクロペンタジエニル又はシクロオクタジエニル等の不飽和炭素環式基によって例示される炭素環式基;フェニル、トリル、キシリル、メシチル、及びナフチル等のアリール;並びに、ベンジル又は2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。
Aのアミノ基の例は、式−NA’2を有し、式中、A’は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の炭化水素基である。Aの一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;ビニル、アリル、プロペニル、及びヘキセニル等のアルケニル;飽和炭素環式基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル)、又はシクロペンタジエニル又はシクロオクタジエニル等の不飽和炭素環式基によって例示される炭素環式基;フェニル、トリル、キシリル、メシチル、及びナフチル等のアリール;並びに、ベンジル又は2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。あるいは、各A’は、水素原子又は1〜4個の炭素原子のアルキル基(例えば、メチル又はエチル)であってもよい。
あるいは、一般式(i)のAに関して、シリルアミド基は、一般式−N(SiA”’3)2を有してもよく、ここで各A”’は、独立して、一価の炭化水素基である。各A”’の一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;ビニル、アリル、プロペニル、及びヘキセニル等のアルケニル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、及びナフチル等のアリール;ベンジル又は2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。あるいは、各A”’は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)であってもよい。あるいは、各A”’は、アルキル基であってもよく、あるいは各A”’は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル又はn−プロピル)、又はブチルであってもよい。
あるいは、一般式(i)の各Aは、カルボキシルエステル基であってもよい。Aに好適なカルボキシルエステル基の例としては、限定するものではないが、エチルヘキサン酸エステル(例えば、2−エチルヘキサン酸エステル)、ネオデカン酸エステル、オクタン酸エステル及びステアリン酸エステルが挙げられる。
Aの一価のハイドロカーボンオキシ基の例は、式−O−A’’を有してもよく、式中A’’は、一価の炭化水素基である。各A”の一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;ビニル、アリル、プロペニル、及びヘキセニル等のアルケニル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、及びナフチル等のアリール;ベンジル又は2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。あるいは、各A”は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)であってもよい。あるいは、各A”は、アルキル基であってもよく、あるいは各A”は、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル又はn−プロピル)、又はブチルであってもよい。
あるいは、各A”は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)であってもよい。あるいは、各Aは、エチル、ベンジル、メシチル、フェニル、−NEt2、シクロオクタジエン、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキサノエート、ネオデカノエート、オクタノエート、及びステアレート、から成る群から選択されてもよい。あるいは、各Aは、シリルアミド基、アルキル基、及びカルボキシルエステル基から独立して選択されてもよい。あるいは、各Aは、シリルアミド基であってもよい。あるいは、各Aは、カルボキシルエステル基であってもよい。
前駆体としての使用に対して適切なZnの有機化合物が市販されている。例えば、Zn−Et2等のジアルキル亜鉛化合物及びZn−Ph2等の亜鉛化合物のようなジアリール亜鉛化合物は、Sigma−Aldrich(St.Louis,Missouri,U.S.A.)(Aldrich)から市販されている。亜鉛(II)ビス(トリアルキルシリル)アミド、例えば、亜鉛ビス(ビス(トリメチルシリル)アミド)も、Aldrichから市販されている。亜鉛のジエステル(例えば、Zn(オクタノエート)2)は、City Chemicals LLC(West Haven,Connecticut,U.S.A.)から市販されている。2−エチルヘキサン酸亜鉛は、Strem Chemicals,Inc.(Newburyport,Massachusetts,U.S.A.)から市販されている。
配位子は、Znに配位した有機化合物である。有機化合物は、中性及び共役塩基形態を含む。理論に束縛されるものではないが、配位子は、上記一般式(i)のZn前駆体中の交換可能な置換基Aの1つ以上の例に置き換わって、成分(A)の反応生成物を形成すると考えられる。
一実施形態において、配位子は、一般式(ii):
のアミノ官能性部分を2つ以上、あるいはアミノ官能性部分を2〜3つ含むアミノ官能性有機化合物であり、式中、下付き文字xは1又は2であり、A
1及びA
2はそれぞれ独立して、上記の一価の炭化水素基及び一価のハロゲン化炭化水素基から選択される。一価の炭化水素基の例としては、本明細書で定義されるアルキル基が挙げられる。あるいは、xは1であってもよい。あるいは、xは2であってもよい。あるいは、A
1及びA
2は、それぞれ1〜6個の炭素原子;あるいは1〜4個の炭素原子;あるいは1〜2個の炭素原子のアルキル基であってもよい。
配位子は、トリアミノ官能性化合物であってもよい。例えば、配位子は、式(iii):
を有してもよく、式中、x、A
1及びA
2は上記のとおりであり、A
3は、水素原子及び1〜6個の炭素原子;あるいは1〜4個の炭素原子;あるいは1〜2個の炭素原子のアルキル基から選択される。一般式(iii)の配位子の例としては、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン又はN,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミンが挙げられる。
あるいは、配位子は、一般式(iv):
を有してもよく、式中、x、A
1及びA
2は上記のとおりであり、A
4は、環内に共有結合した少なくとも3個の炭素原子を有する炭素環式基であり、下付き文字yは少なくとも1であり、下付き文字zは少なくとも2であり、量(y+z)はA
4の価数を表し、炭素環式基は、式A
5の部分及び環内の炭素原子に共有結合した一般式(ii)
の部分を有し;各A
5は、独立して、水素原子又はヒドロキシ基である。A
4は、例えば、本明細書に定義するシクロアルキル基又はアリール基であってもよい。あるいは、A
4は、フェニル等のアリール基であってもよい。各A
5は、独立して、水素原子又はヒドロキシ基である。あるいは、1つのA
5はヒドロキシ基であり、残りのA
5のそれぞれは水素原子である。あるいは、下付き文字zは、2〜3であり;あるいは、下付き文字zは3である。一般式(iv)の配位子の例としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
成分(A)の調製への使用に好適な配位子の例としては、以下の表1に示す中性形態を有する各配位子が挙げられる。
表1に示される各種配位子は市販されている。例えば、配位子2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、及びN,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミンはそれぞれ、Aldrichから市販されている。
別の実施形態において、配位子は、上記の一般式(ii)のアミノ官能性部分を1つ以上含むアミノ官能性有機化合物である。あるいは、配位子は、一般式(ii)のアミノ官能性部分を1分子当たり1つ有してもよい。この実施形態において、配位子は、一般式(v):
を有してもよく、式中、下付き文字x、A
1、及びA
2は上記のとおりである。各A
6は、独立して、一価の有機基である。A
6は、一価のヘテロ原子含有基又は一価の炭化水素基であってもよい。一価のヘテロ原子含有基の例としては、一価のハロゲン化炭化水素基、式:
のアミノ基(式中、A
7は水素又はA
1であり、A
8は水素又はA
2であり、下付き文字aaは0〜2である);又は式
のヒドロキシル官能基(式中、下付き文字bbは0〜2である);又は式
のアミノ及びヒドロキシル官能基(式中、下付き文字ccは1又は2であり、下付き文字ddは1又は2であり、A
9は水素又はアルキルである)が挙げられる。あるいは、一価の炭化水素基の例としては、本明細書で定義されるアルキル基が挙げられる。あるいは、xは1であってもよい。あるいは、xは2であってもよい。あるいは、A
1及びA
2は、それぞれ1〜6個の炭素原子;あるいは1〜4個の炭素原子;あるいは1〜2個の炭素原子のアルキル基であってもよい。一般式(v)の配位子の例としては、下記の表1−Bの配位子L6、L7、L8、L9、L10、及びL11が挙げられる。
あるいは、A
6は式
のアミノ基であってもよく、下付き文字aaは0又は1であってもよく、A
7は水素又はアルキルであってもよく、A
8は水素又はアルキルであってもよい。あるいは、A
7は水素であってもよく、A
8はアルキルであってもよい。あるいは、A
7及びA
8はそれぞれ水素であってもよい。あるいは、A
7及びA
8はそれぞれ、メチル又はエチルのような、アルキルであってもよい。この式の配位子の例としては、下記の表1−Bの配位子L8、L9、及びL10が挙げられる。
あるいは、A
6は、式
のヒドロキシル官能基であってもよく、下付き文字bbは0又は1であってもよい。この式の配位子の例としては、下記の表1−Bの配位子L6及びL7が挙げられる。
あるいは、A
6は、式
のアミノ及びヒドロキシル官能基であってもよく、式中、下付き文字ccは1又は2であり、下付き文字ddは1又は2であり、A
9は水素又はアルキルである。あるいは、A
9はメチル等のアルキルであってもよい。この式の配位子の例としては、下記の表1−Bの配位子L11が挙げられる。
あるいは、配位子は一般式(vi):
を有してもよく、式中、A
10、A
11、A
12、A
13、A
14、A
15、及びA
16は、それぞれ独立して、水素及びアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル又はブチル)から選択される。あるいは、A
10、A
11、A
12、A
13、A
14、A
15、及びA
16はそれぞれ水素又はメチルである。あるいは、A
10、A
11、A
12、A
13、A
14、A
15、及びA
16はそれぞれ水素である。一般式(vi)の配位子の例としては、表1−Bの配位子L12が挙げられる。
成分(A)の調製への使用に好適な配位子の例としては、以下の表1−Bに示す中性形態を有する各配位子が挙げられる。
成分(A)は、上記のように配位子とZn前駆体とを反応させ、それによって触媒活性反応生成物を生成する工程を含む方法によって調製されてもよい。理論に束縛されるものではないが、この触媒活性反応生成物はZn−配位子錯体を含むと考えられる。方法は、所望により、Zn前駆体と配位子とを混合する前に、更にZn前駆体、若しくは配位子のいずれか、又は両方を溶媒中に溶解する工程を含んでもよい。適切な溶媒は、以下に成分を記述したものによって例示される。あるいは、配位子は、容器内の溶媒中に溶解されてもよく、溶媒は、その後、Zn前駆体を配位子とともに容器に加える前に除去されてもよい。配位子及びZn前駆体の量は、配位子のZn前駆体に対するモル比(配位子:金属比)が10:1〜1:1、あるいは1:1〜3:1、あるいは1:1〜2:1の範囲となり得るように選択される。Zn前駆体と配位子とを混合することは、これらをともに容器内で混合する、または容器を振盪する等の任意の都合の良い手段によって実行されてもよい。
Zn前駆体と配位子との反応は、Zn前駆体と配位子とが25℃の室温(RT)で一定期間、または加熱することによって反応するように上記のように準備できるようにする等の、任意の都合の良い手段によって行われてもよい。加熱は、加熱マントル、加熱コイル、又は上記容器をオーブンに入れる等の任意の簡便な手段により行われてよい。反応温度は、特定のZn前駆体と選択された配位子との反応性、及び配位子:金属比を含む様々な要因に依存するが、温度は、25℃〜200℃、あるいは25℃〜75℃の範囲であってもよい。反応時間は、選択された反応温度等の様々な要因に依存するが、反応時間は、1分〜48時間、あるいは45分〜60分の範囲であってもよい。配位子及びZn前駆体は、順次に混合及び加熱されてもよい。あるいは、配位子及びZn前駆体は、混合され、同時に加熱されてもよい。
成分(A)の触媒活性反応生成物を調製する方法は、反応後に溶媒を添加する工程を、所望により更に含んでもよい。適切な溶媒は、以下に成分(S)を記述したものによって例示される。あるいは、方法は、所望により、反応副生成物及び/又は溶媒が存在する場合(例えば、加熱の前又は加熱中に、Zn前駆体と配位子の混合を容易にするために使用される)溶媒を除去することを更に含む。副生成物としては、例えば、H−A(式中Aは、上記一般式(i)中で定義される)又は配位子がZn前駆体と反応するときにZn前駆体から有機基を反応させて取り出す結果もたらされる任意の化学種が挙げられる。副生成物は、加熱又は真空下によるストリッピング若しくは蒸留又はこれらの組み合わせ等の任意の都合の良い手段によって除去されてもよい。結果として得られる、単離されたZn配位子錯体は、成分(A)の触媒的に活性の反応生成物として使用される場合がある。
あるいは、反応副生成物は、触媒活性反応生成物を成分(A)として使用する前に除去されない。例えば、配位子及びZn前駆体は、上記したように溶媒の除去により、又は除去せずに反応する場合があり、結果として得られる触媒活性反応生成物(Zn−配位子錯体及び反応副生成物並びに場合により溶媒又は希釈剤を含む)は、成分(A)として使用されてもよい。理論に束縛されるものではないが、副生成物は、Zn−配位子錯体に加えて縮合反応触媒として、又はZn−配位子錯体のための共触媒若しくは活性剤として反応する場合があると考えられる。したがって、反応生成物は、縮合反応を触媒する場合がある。
組成物は1種の触媒を含んでいてもよい。あるいは、組成物は、成分(A)として上記の2種以上の触媒を含んでもよく、ここで2種以上の触媒は、配位子の選択、前駆体の選択、配位子:金属比、及び一般式(i)での基Aに対する定義等の少なくとも1つの特性について異なる。組成物はスズ触媒を含まなくてもよく、あるいは組成物はチタン触媒を含まなくてもよく、あるいは組成物はスズ触媒を含まずかつチタン触媒を含まなくてもよい。あるいは、組成物は、成分(A)以外の成分(B1)の加水分解性基の縮合反応を触媒することになる、いかなるZn化合物も含まない場合がある。あるいは、組成物は、成分(A)以外の金属縮合反応触媒を含まない場合がある。あるいは、組成物は、成分(A)以外の成分(B1)の加水分解性基の縮合反応を触媒することになる、いかなる成分も含まない場合がある。
成分(A)は、組成物内に触媒として有効な量存在する。正確な量は、成分(A)の反応性、成分(B1)の種類及び量、並びに存在する場合、任意の追加成分の種類及び量を含む、様々な要因に依存する。しかしながら、組成物中の成分(A)の量は、組成物中の全成分の総重量に基づいて、百万分の1(ppm)〜10%、あるいは10ppm〜5%、あるいは0.1%〜2%、あるいは1ppm〜1%の範囲であり得る。
成分(B1)は、ヒドロキシ官能性化合物である。成分(B1)は、1分子当たり1つ以上の−OH部分、あるいは2つ以上の−OH部分を有する。ヒドロキシ官能性化合物は、追加の官能基(すなわち、OH以外の1つ以上の官能基)、例えば、カルボキシル、アミノ、尿素、カルバメート、アミド、又はエポキシを含有してもよい。ヒドロキシ官能性化合物はジオールであってもよい。あるいは、ヒドロキシ官能性化合物は、平均で1分子当たり1個を超えるOH基、あるいは1分子当たり2個以上のOH基、あるいは1分子当たり10〜1000個のOH基を有するポリオールであってもよい。成分(B1)は、ポリジオルガノシロキサンのようなポリオルガノシロキサン、有機ポリマー、又はシリコーン−有機コポリマー(ポリマー主鎖及び/又は末端のSi原子及び/又は炭素原子に共有結合した式OHのヒドロキシ基を1個以上有する)から選択されてもよい。あるいは、(B1)は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノールのような一価アルコールであってもよい。あるいは、成分(B1)は、ポリオルガノシロキサン、又は有機ポリマーであってもよい。あるいは、成分(B1)は、ポリオルガノシロキサンであってもよい。成分(B1)中のヒドロキシ基は、ポリマー内の末端位、側鎖位又は末端位と側鎖位との両方に位置してもよい。成分(B1)は、直鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性構造を含み得る。あるいは、成分(B1)は、直鎖、分枝鎖、又は環状構造を含み得る。あるいは、成分(B1)は、直鎖又は分枝鎖構造を含み得る。あるいは、成分(B1)は、直鎖構造を含み得る。あるいは、成分(B1)は、直鎖構造及び樹脂状構造を含み得る。成分(B1)は、ホモポリマー又はコポリマー又はこれらの組み合わせを含み得る。
成分(B1)は、式(ii):
の基に含有されるヒドロキシ基を有してもよく、
式中、各Dは、独立して、酸素原子、二価の有機基、二価のシリコーン有機基、又は二価の炭化水素基(ここで二価の炭化水素は何を意味するのか?)と二価のシロキサン基との組み合わせを表し;各Xは、独立して、式OHのヒドロキシ基を表し;各Rは、独立して、一価の炭化水素基を表し、下付き文字cは、0、1、2、又は3を表し、下付き文字aは、0、1、又は2を表し、下付き文字bは、0以上の値を有するが、但し平均で少なくとも1つのXが式中に存在するように、(a+c)の合計は少なくとも1である。あるいは、下付き文字bは、0〜18の範囲の値を有し得る(これは、18よりも大きくてもよい。ペーパーコーティングにおいて、ジシラノールガムが配合物に使用されてもよい)。
あるいは、各Dは、独立して、酸素原子及び二価の炭化水素基から選択されてもよい。あるいは、各Dは、酸素原子であってもよい。あるいは、各Dは、アルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はヘキシレン)、アリーレン基(例えば、フェニレン)、又はアルキルアリーレン基(例えば、
、又は
)
であってもよい。あるいは、Dの一例は酸素原子であってもよく、一方でDの異なる例は二価の炭化水素基である(二価の炭化水素基の炭素上にOH基を有してもよい)(更には、直鎖又は分枝状炭化水素の末端にOH基を有してもよい)。
あるいは、上記の式中の各Rは、独立して、1〜20個の炭素原子のアルキル基、6〜20個の炭素原子のアリール基、及び7〜20個の炭素原子のアラルキル基から選択されてもよい。
あるいは、下付き文字bは0であってもよい。
成分(B1)は、ベースポリマーの0.2モル%〜10モル%、あるいは0.5モル%〜5モル%、あるいは0.5モル%〜2.0モル%、あるいは0.5モル%〜1.5モル%、あるいは0.6モル%〜1.2モル%の範囲の量で、上記の式(ii)により説明される基を含んでもよい。
成分(B1)は、直鎖構造を伴うポリオルガノシロキサン、すなわち、ポリジオルガノシロキサンであってもよい。成分(B1)がポリジオルガノシロキサンである場合、成分(B1)は、ヒドロキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、ヒドロキシシリルヒドロカルビレン末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
成分(B1)は、式(I):
のポリジオルガノシロキサンを含んでもよく、
式中、各R
1は、独立して、ヒドロキシ基であり、各R
2は、独立して、一価の有機基であり、各R
3は、独立して、酸素原子又は二価の炭化水素基であり、各下付き文字dは、独立して、1、2又は3であり、下付き文字eは、25℃にて少なくとも100mPa・sの粘度及び/又は少なくとも87のDPを有するポリジオルガノシロキサンを与えるのに十分な値を有する整数である。DPは、ポリスチレン標準校正を使用して、GPCによって測定されてもよい。あるいは、下付き文字eは、1〜200,000の範囲の値を有してもよい。
R2に好適な有機基としては、限定するものではないが、炭化水素基及びハロゲン化炭化水素基のような一価の有機基が挙げられる。R2の一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、及びベンジル等のアリール;並びに、2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。R2の一価のハロゲン化炭化水素基の例としては、限定するものではないが、クロロメチル及びクロロプロピル基等の塩化アルキル基;フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル等のフッ素化アルキル基;2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩化シクロアルキル基;並びに2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基が挙げられる。R2の他の一価の有機基の例としては、限定するものではないが、酸素原子で置換された炭化水素基(例えば、グリシドキシアルキル)、及び窒素原子で置換された炭化水素基(例えば、アミノアルキル)、及びシアノ官能基(例えば、シアノエチル及びシアノプロピル)が挙げられる。あるいは、各R2は、メチル等のアルキル基であってもよい。
成分(B1)は、上記の式(I)において、各下付き文字dが1であり、R3がそれぞれ酸素原子である場合、α,ω−二官能性ポリジオルガノシロキサンを含んでもよい。例えば、成分(B1)は、式(II):R1R2 2SiO−(R2 2SiO)e’−SiR2 2R1を有してもよく、式中、R1及びR2は上記のとおりであり、下付き文字e’は、式(II)のポリジオルガノシロキサンに上記の粘度を与えるのに十分な値を有する整数である。あるいは、下付き文字e’は、1〜200,000、あるいは50〜1,000、あるいは200〜700の範囲の値を有してもよい。
あるいは、上記の式(II)において、各R2は、メチル等のアルキル基であってもよく、下付き文字e’はヒドロキシ官能性ポリジオルガノシロキサンが25℃にて少なくとも100mPa・sの粘度を有するような値を有してもよい。あるいは、下付き文字e’は、50〜700の範囲の値を有してもよい。代表的なヒドロキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンは、ヒドロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサンである。成分(B1)としての使用に好適なヒドロキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンは、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は、環式ポリジオルガノシロキサンの平衡化といった、当該技術分野において既知の方法により調製されてもよい。
あるいは、成分(B1)は、ヒドロキシ官能性有機ポリマーを含んでもよい。あるいは、有機ポリマーは、ポリマー主鎖中の少なくとも半分の原子が、末端ヒドロキシ基を有する炭素原子であるポリマーであってもよい。有機ポリマーは、例えば、炭化水素ポリマー、ポリエーテル、アクリレートポリマー、ポリオール、ポリウレタン及びポリ尿素から選択することができる。
成分(B1)は、有機ヒドロキシ官能性化合物であってもよい。有機ヒドロキシ官能性化合物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノールのような一価アルコール;ジプロピレングリコールのようなポリエーテルポリオール又はグリセロールプロポキシレートのようなポリ(テトラアルキレンエーテル)(tetraalkyene ether)グリコール;ポリエステルポリオール;ポリエステル−アミドポリオール;ポリアセタールポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリカプロラクトンポリオール;ポリブタジエンポリオール;ポリ(プロピレンオキシド)ポリオール;ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)コポリマー;ポリエーテルポリオール;及びポリスルフィドポリオールであってもよい。1分子当たり2個のOH基を有するヒドロキシ官能性化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロピレングリコール及び/又は1,3−プロピレングリコール)、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。1分子当たり3個のOH基を有するヒドロキシ官能性化合物の例としてはグリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロールプロポキシレート、トリグリセロール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
使用してもよいその他の有機ポリヒドロキシ化合物としては、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、ポリ(エチレンオキシ)グリコール全般、ポリ(プロピレンオキシ)グリコール全般、ジブチレングリコール、ポリ(ブチレンオキシ)グリコール、及びポリカプロラクトンが挙げられる。使用してもよいその他の高分子量のポリヒドロキシ材料は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン等のエポキシドの重合生成物である。特に一般的な高分子量ポリオールは、ポリテトラメチレングリコールである。市販のポリオールは、Desmophen(登録商標)R−221−75ポリオール(515g/mol炭素結合ヒドロキシ当量)(Bayer,Pittsburgh,PA)である。
有機ヒドロキシ官能性化合物は、平均で1分子当たり少なくとも1個の炭素結合ヒドロキシ基を有する。あるいは、有機ヒドロキシ官能性化合物の炭素結合ヒドロキシ基の当量は、80〜800、あるいは100〜600であってもよい。
あるいは、成分(B1)は、エラストマーであってよく、すなわち、0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。成分(B1)がエラストマーである場合、成分(B1)は、Tgに基づいて半結晶質及び非晶質ポリオレフィン(例えば、α−オレフィン)と区別することができ、一般に熱可塑性ポリマーと呼ばれる。
成分(B1)は、シリル化ポリ(α−オレフィン)、イソ−モノ−オレフィンとビニル芳香族モノマーのシリル化コポリマー、ジエンとビニル芳香族モノマーのシリル化コポリマー、オレフィンとジエンのシリル化コポリマー(例えば、所望によりハロゲン化され場合がある、ポリイソブチレンとイソプレンから調製されたシリル化ブチルゴム)、又はこれらの組み合わせ(シリル化コポリマー)、イソ−モノ−オレフィンのシリル化ホモポリマー、ビニル芳香族モノマーのシリル化ホモポリマー、ジエンのシリル化ホモポリマー(例えば、シリル化ポリブタジエン又はシリル化水素添加ポリブタジエン)、又はこれらの組み合わせ(シリル化ホモポリマー)、又はシリル化コポリマーとシリル化ホモポリマーとの組み合わせを含んでもよい。本出願の目的で、シリル化コポリマー及びシリル化ホモポリマーは、集合的に「シリル化ポリマー」と表される。シリル化ポリマーは、所望により1個以上のハロゲン基、特にシリル化ポリマーの原子に共有結合した臭素基を含有してもよい。
好適なモノ−イソ−オレフィンの例としては、限定するものではないが、イソアルキレン(例えば、イソブチレン、イソペンチレン、イソヘキシレン及びイソヘプチレン)、あるいはイソブチレンが挙げられる。好適なビニル芳香族モノマーの例としては、限定するものではないが、アルキルスチレン(例えば、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン及びパラ−メチルスチレン)、あるいはパラ−メチルスチレンが挙げられる。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びt−ブチル、あるいはメチルが挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、及びヘキセニル、あるいはビニルが挙げられる。このシリル化有機ポリマーは、20,000〜500,000、あるいは50,000〜200,000、あるいは20,000〜100,000、あるいは25,000〜50,000、あるいは28,000〜35,000の範囲のMnを有してもよく;ここで、Mnの値はグラム毎モル(g/mol)で示され、トリプル検出サイズ排除クロマトグラフィーにより測定し、ポリスチレン分子量標準に基づいて計算した。
適切なシリル化ポリ(α−オレフィン)の例は、当該技術分野において既知であり、市販されている。例としては、VESTOPLAST(登録商標)として流通している縮合反応硬化性シリル化ポリマーが挙げられ、これはDegussa AG Coatings&Colorants(Marl,Germany,Europe)から市販されている。
簡潔に述べると、シリル化コポリマーを調製する方法は、i)少なくとも50モル%の4〜7個の炭素原子を有するイソ−モノ−オレフィンの残部を含む繰り返し単位、及び最大でも50モル%のビニル芳香族モノマーの残部を含む繰り返し単位を有するオレフィンコポリマー;ii)少なくとも2個の加水分解基及び少なくとも1個のオレフィン性不飽和炭化水素又はハイドロカーボンオキシ基を有するシラン;及びiii)フリーラジカル発生剤を接触させる工程を含む。
あるいは、シリル化コポリマーは、既知の方法(例えば、イソシアネート官能性アルコキシシランと反応させる手法、Naの存在下で塩化アリルと反応させ、その後、ヒドロシリル化する手法)により、市販の水酸化ポリブタジエン(例えば、Cray Valley SA(Paris,France)から商品名Poly BD及びKrasolで市販されているもの)を転化する工程を含む方法により、調製され得る。
あるいは、適切なシリル改質炭化水素ポリマーの例としては、テレケリックポリマーの形態で市販されているシリル改質ポリイソブチレンが挙げられる。シリル改質ポリイソブチレンは、例えば、シリル置換アルキルアクリレート又はメタクリレートモノマー(例えば、ジアルコキシアルキルシリルプロピルメタクリレート又はトリアルコキシシリルプロピルメタクリレート)から誘導された硬化性シリル基を含有することができ、これは、リビングアニオン重合、原子移動ラジカル重合又は連鎖移動重合により調製されたポリイソブチレンと反応することができる。
あるいは、成分(B1)は、ポリエーテルを含んでもよい。ポリエーテルの1つの種類は、式(−CtH2t−O−)の繰り返しオキシアルキレン単位を含むポリオキシアルキレンポリマーであり、式中、下付き文字tは2〜4の範囲の値を有する整数である。ポリオキシアルキレンポリマーは、典型的には末端ヒドロキシ基を有する。あるいは、重合は、ヒドロシリル化型プロセスによって生じてもよい。大部分がオキシプロピレン単位から構成されるポリオキシアルキレンは、多くの封止剤用途に好適な特性を有し得る。
あるいは、有機ポリマーは、アクリレートポリマーであることができ、これはアクリレート及び/又はメタクリレートエステルモノマーの付加ポリマーであり、アクリレートポリマー中に少なくとも50モル%のモノマー繰り返し単位を含んでもよい。適切なアクリレートエステルモノマーの例は、n−ブチル、イソブチル、n−プロピル、エチル、メチル、n−ヘキシル、n−オクチル、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。適切なメタクリレートエステルモノマーの例は、n−ブチル、イソブチル、メチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、及びラウリルメタクリレートである。一部の用途では、アクリレートポリマーは、周囲温度よりも低いTgを有する場合があり;アクリレートポリマーはメタクリレートポリマーよりも低いTgのポリマーを形成する場合がある例示的なアクリレートポリマーは、ポリブチルアクリレートである。アクリレートポリマーは、スチレン、アクリロニトリル又はアクリルアミドのような他のモノマーをより少量含有する。アクリレートポリマーは、従来のラジカル重合又はリビングラジカル重合(例えば、原子移動ラジカル重合)、可逆的付加開裂連鎖移動重合、又はアニオン重合(例えば、リビングアニオン重合)といった様々な方法により調製することができる。硬化性シリル基は、例えば、シリル置換アルキルアクリレート又はメタクリレートモノマーから誘導することができる。加水分解性シリル基(例えば、ジアルコキシアルキルシリル又はトリアルコキシシリル基)は、例えば、ジアルコキシアルキルシリルプロピルメタクリレート又はトリアルコキシシリルプロピルメタクリレートから誘導することができる。アクリレートポリマーが、反応性末端基を形成する重合プロセス(例えば、原子移動ラジカル重合、連鎖移動重合又はリビングアニオン重合)により調製された場合、アクリレートポリマーは、シリル置換アルキルアクリレート又はメタクリレートモノマーと容易に反応して、末端加水分解性シリル基を形成し得る。
シラン改質ポリウレタン又はポリ尿素は、例えば、末端エチレン性不飽和基を有するポリウレタン又はポリ尿素を、加水分解性基とSi−H基とを含有するシリルモノマー(例えば、ジアルコキシアルキルケイ素水素化物又はトリアルコキシケイ素水素化物)と反応させることにより、調製し得る。
あるいは、成分(B1)は、シリコーン−有機ブロックコポリマー主鎖を有してもよく、これは少なくとも1個のポリオルガノシロキサン基のブロックと、少なくとも1個の有機ポリマー鎖のブロックとを含む。ポリオルガノシロキサン基は、式−(R4 fSiO(4−f)/2)−の基を含んでもよく、式中、各R4は、独立して、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有するハロゲン化炭化水素基(クロロメチル、ペルフルオロブチル、トリフルオロエチル、及びノナフルオロヘキシル等)、最大で18個の炭素原子を有するハイドロカーボンオキシ基等の有機基、又は別の有機基、例えば、(メタ)アクリル又はカルボキシルのような酸素原子含有基;アミノ官能性基、アミド官能基、及びシアノ官能基のような窒素原子含有基;メルカプト基のようなイオウ原子含有基であり;下付き文字fは平均で1〜3、あるいは1.8〜2.2の範囲の値を有する。
あるいは、各R4は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基であってもよく;下付き文字fは、0、1又は2であってもよい。R4に適切な基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロヘキシル、フェニル、トリル基、塩素若しくはフッ素で置換されたプロピル基(例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル)、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロヘキシル基が挙げられる。
ポリマー主鎖中の有機ブロックは、例えば、ポリスチレン及び/又は置換ポリスチレン、例えば、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(ビニルメチルスチレン)、ジエン、ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)及びポリ(p−トリメチルシリル−α−メチルスチレン)を含み得る。ポリマー主鎖中に組み込まれてもよい他の有機基としては、アセチレン末端オリゴフェニレン、ビニルベンジル末端芳香族ポリスルホンオリゴマー、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステル系モノマー、ポリアルキレン、ポリウレタン、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド、及び芳香族ポリアミドが挙げられる。
あるいは、成分(B1)のシロキサン有機ブロックコポリマー中の有機ポリマーブロックは、平均的な式(−CgH2g−O−)hで例示される繰り返しオキシアルキレン単位を含むポリオキシアルキレン系ブロックであってもよく、式中、下付き文字gは、2〜4の範囲の値の整数であり、下付き文字hは、少なくとも4の整数である。各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの数平均分子量(Mn)は、300〜10,000の範囲であってもよい。更に、オキシアルキレン単位は、ポリオキシアルキレンブロックを通して必ずしも同一でなくてもよいが、単位ごとに異なる可能性がある。ポリオキシアルキレンブロックは、例えば、オキシエチレン単位(−C2H4−O−)、オキシプロピレン単位(−C3H6−O−)又はオキシブチレン単位(−C4H8−O−)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。あるいは、ポリオキシアルキレンポリマーの主鎖は、本質的にオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位からなる。他のポリオキシアルキレンブロックは、例えば、構造:−[−R5−O−(−R6−O−)i−Pn−CR7 2−Pn−O−(−R6−O−)j−R5]−の単位を含んでもよく、式中Pnは、1,4−フェニレン基でり、各R5は、同一又は異なり、かつ2〜8個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、各R6は、同一又は異なり、かつエチレン基又はプロピレン基であり、各R7は、同一又は異なり、かつ水素原子又はメチル基であり、各下付き文字i及びjは、それぞれ3〜30の範囲の値を有する正の整数を表す。
あるいは、成分(B1)は、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンであってもよい。代表的なカルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式[III]を有してもよい。単位式[III]は:(R41 3SiO1/2)e(R42 2SiO2/2)f(R43SiO3/2)g(SiO4/2)hである。
単位式[III]において、各R41は、独立して、水素原子、一価の炭化水素基、例えば1〜8個の炭素原子のアルキル基若しくはアリール基;又はカルビノール基であり;各R42は、独立して、水素原子、一価の炭化水素基、例えば1〜8個の炭素原子のアルキル基若しくはアリール基、又はカルビノール基であり;各R43は、一価の炭化水素基、例えば1〜8個の炭素原子のアルキル基若しくはアリール基である。単位式[III]において、下付き文字e≧0、f≧0、g≧0、h≧0であり、量0≦(e+f+g+h)≦1である。あるいは、下付き文字e<0.5、f≧0、g>0、h<0.5、量(g+h)>0、及び量(e+f+g+h)=1である。
本明細書に記載されるとき、「カルビノール基」は、少なくとも1個の炭素結合ヒドロキシ(COH)基を含有する任意の基と定義される。したがって、カルビノール基は、例えば、以下のような1つを超えるCOH基を含有してもよい
炭素結合ヒドロキシ基の炭素は、下記のように、アルキル若しくはアリールのような炭化水素基中の炭素原子、又はクロロフェニル、ブロモフェニル、若しくはフルオロフェニルのようなハロゲン化炭化水素基中の炭素原子であってもよい。あるいは、カルビノール基は式R
44OHを有し、式中、R
44は、少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基又は少なくとも3個の炭素原子を有する二価のハイドロカーボンオキシ基である。基R
44は、−(CH
2)
x−、−CH
2CH(CH
3)−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2−、及び
−OCH(CH
3)(CH
2)
x−から選択されるアルキレン基によって例証され、式中、下付き文字xは1〜10である。少なくとも6個の炭素原子を含有するアリール含有カルビノール基は、式R
45OHを有する基によって例証され、式中、R
45は、−(CH
2)
yC
6H
4−、及び−CH
2CH(CH
3)(CH
2)
yC
6H
4−から選択されるアリーレン基(ここで下付き文字yは0〜10である)、並びに−(CH
2)
xC
6H
4(CH
2)
x−(ここで下付き文字xは上記の定義による)から選択されるアリーレン基である。
カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、カルビノール官能性シリコーン樹脂であってもよい。好適なカルビノール官能性シリコーン樹脂の例は、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((CH3)3SiO1/2)e
((R46)CH3SiO2/2)f(式中R46=−(CH2)3C6H4OH)
((C6H5)CH3SiO2/2)f及び
(C6H5SiO3/2)g、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((R47)(CH3)2SiO1/2)e(式中R47=−(CH2)3C6H4OH)及び
(C6H5SiO3/2)g、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((R47)(CH3)2SiO1/2)e(式中、R47=−(CH2)3C6H4OH)及び
(CH3SiO3/2)g、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((R48)(CH3)2SiO1/2)e(式中、R48=−(CH2)3OH)及び
(C6H5SiO3/2)g、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((R49)(CH3)2SiO1/2)e(式中、R49=−(CH2)3OH)
(CH3SiO3/2)g及び
(C6H5SiO3/2)g、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((CH3)3SiO1/2)e
((R50)CH3SiO2/2)f(式中、R50=−(CH2)3OH)
((C6H5)CH3SiO2/2)f及び
(C6H5SiO3/2)g、
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((CH3)3SiO1/2)e
((R51)(CH3)2SiO1/2)e(式中、R51=−(CH2)3OH)及び
(C6H5SiO3/2)g、並びに
以下の単位を有するカルビノール官能性シリコーン樹脂:
((R52)(CH3)2SiO1/2)e(式中、R52=−CH2CH(CH3)CH2OH)
((H)(CH3)2SiO1/2)e 及び
(C6H5SiO3/2)gであり、
ここで、下付き文字eは、樹脂中の合計値が0.2〜0.4であり、fは、樹脂中の合計値が0〜0.4であり、gは樹脂中の合計値が0.3〜0.8である。かかるカルビノール官能性ポリオルガノシロキサンの例は、国際公開第2008/088491号及び米国特許第7,452,956号明細書に開示されている。
あるいは、成分(B1)は、成分(B1)について上述したポリマーのうちの1つに加えて又はその代わりに、シリコーン樹脂を含んでもよい。好適なシリコーン樹脂は、MQ樹脂によって例示され、これは、次式のシロキサン単位:
R29 wR30 (3−w)SiO1/2及びSiO4/2を含み、式中、R29及びR30は、一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、及びベンジル等のアリール;及び、2−フェニルエチル等のアラルキル;ハロゲン化炭化水素基、例えば、クロロメチル及びクロロプロピル基等の塩化アルキル基;フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル等のフッ素化アルキル基;2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩化シクロアルキル基;及び2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基によって例証される一価炭化水素基;並びに他の一価の有機基、例えば、酸素原子で置換された炭化水素基(例えば、グリシドキシアルキル)、及び窒素原子で置換された炭化水素基(例えば、アミノアルキル)、並びにシアノ官能基(例えば、シアノエチル及びシアノプロピル)であり、下付き文字wのそれぞれの例は、0、1、又は2である。あるいは、各R29及び各R30は、アルキル基であってもよい。MQ樹脂は、M単位対Q単位のモル比(M:Q)が0.5:1〜1.5:1であってもよい。これらのモル比は、Si29NMR分光法により簡単に測定される。この技法は、シリコーン樹脂の全ヒドロキシ含有量に加えて、シリコーン樹脂及び最初のシリコーン樹脂中に存在したネオペンタマーSi(OSiMe3)4から誘導されたR29 3SiO1/2(「M」)単位及びSiO4/2(「Q」)単位の濃度を定量的に測定することができる。
MQシリコーン樹脂は、液体炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタンによって例示される)のような溶媒又は液体有機ケイ素化合物(低粘度環状及び直鎖ポリジオルガノシロキサン)に可溶性である。
シリコーン樹脂は、2.0%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下の、X”SiO3/2(式中、X”は、ヒドロキシ基を表す)によって表される終端単位を含有してもよい。シリコーン樹脂中に存在するシラノール基の濃度は、FTIRを使用して測定することができる。
MQシリコーン樹脂の所望の流動特性を達成するのに望ましいMnは、少なくとも部分的に、シリコーン樹脂のMn及びこの成分中に存在するR29により表される有機基の種類に依存する可能性がある。MQシリコーン樹脂のMnは、典型的には3,000超、より典型的には4500〜7500である。
MQシリコーン樹脂は、任意の好適な方法により調製することができる。この種類のシリコーン樹脂は、報告によると、対応するシランの共加水分解により、又は当該技術分野において既知のシリカヒドロゾルキャッピング法(silicahydrosolcappingmethods)により、調製されている。簡単に述べると、この方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルをトリメチルクロロシラン等の加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン又はそれらの組み合わせと反応させる工程と、M及びQ単位を含む生成物(MQ樹脂)を回収する工程を包含する。得られるMQ樹脂は、2〜5重量%のケイ素結合ヒドロキシ基を含有し得る。
MQシリコーン樹脂を調製するために使用される中間体は、式R29 3SiX’のトリオルガノシランであってもよく、式中、X’は、ハロゲン、アルコキシ又はヒドロキシのような加水分解性基、及び4個の加水分解性基(例えば、ハロゲン、アルコキシ又はヒドロキシ)を有するシラン、又はアルカリ金属ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)のいずれかを表す。
様々な好適なMQ樹脂が、例えばDow Corning Corporation(Midland,MI,U.S.A.)、Momentive Performance Materials(Albany,N.Y.,U.S.A.)、及びBluestar Silicones USA Corp.(East Brunswick,N.J.,U.S.A.)等の企業から市販されている。例えば、DOW CORNING(登録商標)MQ−1600固形樹脂、DOW CORNING(登録商標)MQ−1601固形樹脂、及びDOW CORNING(登録商標)1250界面活性剤、DOW CORNING(登録商標)7466樹脂、及びDOW CORNING(登録商標)7366樹脂(これらはすべてDow Corning Corporationから市販されている)が、本明細書に記述されている方法での使用に好適である。あるいは、これもDow Corning Corporationから市販されているDOW CORNING(登録商標)MQ−1640 Flake樹脂のようなM、T及びQ単位を含有する樹脂が使用され得る。このような樹脂は、有機溶媒の溶液として供給され得る。
あるいは、シリコーン樹脂は、シルセスキオキサン樹脂、すなわち、式(R31SiO3/2)のT単位を含有する樹脂を含んでもよい。各R31は、水素原子及び一価の有機基、例えば、一価の炭化水素基例えば、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、及びベンジル等のアリール;及び、2−フェニルエチル等のアラルキル;ハロゲン化炭化水素基、例えば、クロロメチル及びクロロプロピル基等の塩化アルキル基;フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル等のフッ素化アルキル基;2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩化シクロアルキル基;及び2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基に例示される一価の炭化水素基;並びに他の一価の有機基、例えば、酸素原子で置換された炭化水素基(例えば、グリシドキシアルキル)、及び窒素原子で置換された炭化水素基(例えば、アミノアルキル)、並びにシアノ官能基(例えば、シアノエチル及びシアノプロピル)から独立して選択されてもよい。本明細書での使用に好適なシルセスキオキサン樹脂は、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、15のDPを有するメチルメトキシシロキサンメチルシルセスキオキサン樹脂及び1200g/molの重量平均分子量(Mw)は、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)からDOW CORNING(登録商標)US−CF 2403 樹脂として市販されている。あるいは、シルセスキオキサン樹脂は、フェニルシルセスキオキサン単位、メチルシルセスキオキサン単位、又はこれらの組み合わせを有してもよい。このような樹脂は、当該技術分野において既知であり、これもまたDow Corning CorporationからDOW CORNING(登録商標)200 Flake樹脂として市販されている。あるいは、シリコーン樹脂は、式(R31 2SiO2/2)及び/又は(R31R32SiO2/2)のD単位並びに式(R31SiO3/2)及び/又は(R32SiO3/2)のT単位、すなわち、DT樹脂を含んでもよく、式中、R31は上記のとおりであり、R32は、上記の基X’のような加水分解性基である。DT樹脂は当該技術分野において既知であり、市販されており、例えば、メトキシ官能性DT樹脂としては、DOW CORNING(登録商標)3074及びDOW CORNING(登録商標)3037樹脂が挙げられ、シラノール官能性樹脂としては、DOW CORNING(登録商標)800 Series樹脂が挙げられ、これらもまたDow Corning Corporationから市販されている。他の好適な樹脂としては、メチル及びフェニル基を含有するDT樹脂が挙げられる。
組成物に添加されるシリコーン樹脂の量は、組成物の最終用途に応じ変動する可能性がある。例えば、組成物の反応生成物がゲルである場合、シリコーン樹脂はほとんど又は全く添加されない可能性もある。しかしながら、組成物中のシリコーン樹脂の量は、組成物の全成分の重量に基づいて0%〜90%、あるいは0.1%〜50%の範囲であってもよい。
成分(B1)の量は、組成物の反応生成物の最終用途、成分(B1)に選択されるヒドロキシ官能性化合物の種類、並びに、存在する場合には、存在する任意の追加成分の種類及び量といった様々な因子に応じて異なる可能性がある。しかしながら、成分(B1)の量は、組成物の0.01%〜99%、あるいは10%〜95%、あるいは10%〜65%の範囲であってもよい。
成分(B1)は、1つの単一OH官能性化合物、又は以下の特性のうちの少なくとも1つが異なる2つ以上のーOH官能性化合物を含む組み合わせであり得る:平均分子量、加水分解性置換基、シロキサン単位、配列、及び粘度。
成分(B2)はSi−R50官能性化合物、すなわち平均で、1分子当たり、1つ以上のケイ素結合R50部分を有する化合物であり、ここでR50は水素原子又はハイドロカーボンオキシ基であってもよい。ハイドロカーボンオキシ基は、上記のように、式−O−A”を有してもよい。あるいは、成分(B2)は、2つ以上のケイ素結合R50部分を有してもよい。一実施形態において、各R50は水素原子であってもよい。あるいは、各R50は、ハイドロカーボンオキシ基であってもよい。成分(B2)は、シラン及び/又は高分子有機ケイ素化合物を含んでもよい。成分(B2)の有機ケイ素化合物は、ポリジオルガノシロキサンのようなポリオルガノシロキサン、有機ポリマー、又はシリコーン−有機コポリマー(ポリマー主鎖及び/又は末端のSi原子と共有結合したR50部分を1つ以上有する)から選択されてもよい。あるいは、成分(B2)は、ポリオルガノシロキサン、又は有機ポリマーであってもよい。あるいは、成分(B2)は、ポリオルガノシロキサンであってもよい。成分(B2)中のR50部分は、ポリマー内の末端位、側鎖位又は末端位と側鎖位との両方に位置してもよい。成分(B2)は、直鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性構造を含み得る。あるいは、成分(B2)は、直鎖、分枝鎖、又は環状構造を含み得る。あるいは、成分(B2)は、直鎖又は分枝鎖構造を含み得る。あるいは、成分(B2)は、直鎖構造を含み得る。あるいは、成分(B2)は、直鎖構造及び樹脂状構造を含み得る。成分(B2)は、ホモポリマー若又はコポリマー又はこれらの組み合わせを含み得る。
成分(B2)は式R51 eSiR50 fのシランを含んでもよく、式中、下付き文字eは0、1、2、又は3であり、下付き記号fは1、2、3又は4であるが、但し(e+f)の和は4である。各R50は、水素原子又はハイドロカーボンオキシ基である。R50に好適なハイドロカーボンオキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシのようなアルコキシ;あるいはCH2=CH(O)のようなアルケニルオキシが挙げられる。各R51は、独立して、ハロゲン原子又は一価の有機基である。R51に好適なハロゲン原子の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素;あるいは塩素が挙げられる。R51に好適な一価の有機基としては、限定するものではないが、一価の炭化水素及び一価のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、Me、Et、Pr、Bu、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;Ph、トリル、キシリル、及びナフチル等のアリール;並びに、ベンジル、1−フェニルエチル及び2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。一価のハロゲン化炭化水素基の例としては、限定するものではないが、クロロメチル及びクロロプロピル基等の塩化アルキル基;フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル等のフッ素化アルキル基;2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩化シクロアルキル基;並びに2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基が挙げられる。その他の一価の有機基の例としては、限定するものではないが、酸素原子で置換された炭化水素基、例えば、グリシドキシアルキル、及びアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシ);並びに窒素原子で置換された炭化水素基(例えば、アミノアルキル)、及びシアノ官能基(例えば、シアノエチル及びシアノプロピル)が挙げられる。成分(B2)に好適なSi−H官能性シランの例としては、トリクロロシラン(HSiCl3)、Me2HSiCl、又はMeHSi(OMe)2が挙げられる。成分(B2)に好適なアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、及び成分(C)の架橋剤として下に列挙されているアルコキシシランが挙げられる。
成分(B2)は、式(ii):
の基に含有されるR
50部分を有してもよく、
式中、各Dは、独立して、酸素原子、二価の有機基、二価のシリコーン有機基、又は二価の炭化水素基と二価のシロキサン基との組み合わせを表し、各Xは、独立して、水素原子又はハイドロカーボンオキシ基を表し、各Rは、独立して、一価の炭化水素基を表し、下付き文字cは、0、1、2、又は3を表し、下付き文字aは、0、1、又は2を表し、下付き文字bは、0以上の値を有するが、但し平均で少なくとも1つのXが式中に存在するように、(a+c)の合計は少なくとも1である。あるいは、下付き文字bは、0〜4,000、あるいは0〜18の範囲の値を有し得る。あるいは、各Xは水素原子でもよい。あるいは、各Xは、アルコキシ基であってもよい。
あるいは、各Dは、独立して、酸素原子及び二価の炭化水素基から選択されてもよい。あるいは、各Dは、酸素原子であってもよい。あるいは、各Dは、二価の炭化水素基、例えば、アルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン又はヘキシレン);アリーレン基(例えば、フェニレン)、又はアルキルアリーレン基(例えば、
、又は
)
であってもよい。あるいは、Dの一例は酸素原子であってもよく、一方でDの異なる例は二価の炭化水素基である
あるいは、上記の式中の各Rは、独立して、1〜20個の炭素原子のアルキル基、6〜20個の炭素原子のアリール基、及び7〜20個の炭素原子のアラルキル基から選択されてもよい。
あるいは、下付き文字bは0であってもよい。
成分(B2)は、ベースポリマーの0.2モル%〜10モル%、あるいは0.5モル%〜5モル%、あるいは0.5モル%〜2.0モル%、あるいは0.5モル%〜1.5モル%、あるいは0.6モル%〜1.2モル%の範囲の量で上記の式(ii)により説明されている基を含み得る。
成分(B2)は、直鎖構造を伴うポリオルガノシロキサン、すなわち、ポリジオルガノシロキサンを有し得る。成分(B2)がポリジオルガノシロキサンである場合、成分(B2)は、ヒドリド末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、ヒドリドシリルヒドロカルビレン末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
成分(B2)は、単位式(I):
(R50 dR2 (3−d)SiR3 1/2)2(R2 2SiO2/2)e(R50R2SiO2/2)fのポリジオルガノシロキサンを含んでもよく、
式中、各R50は上記のとおりであり、各R2は、独立して、一価の有機基であり、各R3は、独立して、酸素原子又は二価の炭化水素基であり、各下付き文字dは、独立して、0、1、2、又は3であり、eは≧0であり、f≧0であり、量(e+f)は、25℃にて少なくとも100mPa・sの粘度及び/又は少なくとも87のDPを有するポリジオルガノシロキサンを与えるのに十分な値を有する整数である。DPは、ポリスチレン標準校正を使用して、GPCによって測定されてもよい。あるいは、下付き文字eは、1〜200,000の範囲の値を有してもよい。
R2に好適な有機基としては、限定するものではないが、炭化水素基及びハロゲン化炭化水素基のような一価の有機基が挙げられる。R2の一価の炭化水素基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル等のアルキル;シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、及びベンジル等のアリール;並びに、2−フェニルエチル等のアラルキルが挙げられる。R2の一価のハロゲン化炭化水素基の例としては、限定するものではないが、クロロメチル及びクロロプロピル基等の塩化アルキル基;フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル等のフッ素化アルキル基;2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩化シクロアルキル基;並びに2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基が挙げられる。R2の他の一価の有機基の例としては、限定するものではないが、酸素原子で置換された炭化水素基(例えば、グリシドキシアルキル)、及び窒素原子で置換された炭化水素基(例えば、アミノアルキル)、及びシアノ官能基(例えば、シアノエチル及びシアノプロピル)が挙げられる。あるいは、各R2は、メチル等のアルキル基であってもよい。
成分(B2)は、上記の式(I)において、各下付き文字dが1であり、下付き文字fが0であり、各R3が酸素原子である場合、α,ω−ヒドリド−ポリジオルガノシロキサンを含んでもよい。例えば、成分(B2)は式(II):HR2 2SiO−(R2 2SiO)e’−SiR2 2Hを有してもよく、式中、R2上記のとおりであり、下付き文字e’は、式(II)のポリジオルガノシロキサンに上記の粘度を与えるのに十分な値を有する整数である。あるいは、下付き文字e’は、1〜200,000、あるいは50〜1,000、あるいは200〜700の範囲の値を有してもよい。
あるいは、上記の式(II)において、各R2は、メチル等のアルキル基であってもよく、下付き文字e’はSi−H官能性ポリジオルガノシロキサンが25℃にて少なくとも100mPa・sの粘度を有するような値を有してもよい。あるいは、下付き文字e’は、50〜700の範囲の値を有してもよい。代表的なSi−H末端封鎖ポリジオルガノシロキサンは、ヒドリド末端封鎖ポリジメチルシロキサンである。成分(B2)としての使用に好適なヒドリド末端封鎖ポリジオルガノシロキサンは、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は、環式ポリジオルガノシロキサンの平衡化といった、当該技術分野において既知の方法により調製されてもよい。
成分(B2)の量は、組成物の反応生成物の最終用途、成分(B2)に選択されるSi−R50官能性化合物の種類、並びに、存在する場合には、存在する任意の追加成分の種類及び量といった様々な因子に応じて異なる可能性がある。しかしながら、成分(B2)の量は、組成物の0.01%〜99%、あるいは0.1%〜10%、あるいは1%〜5%、あるいは1%〜2%、あるいは10%〜95%、あるいは10%〜65%の範囲であってもよい。
成分(B2)は、1つの単一Si−R50官能性化合物、又は以下の特性のうちの少なくとも1つが異なる2つ以上のSi−R50官能性化合物を含む組み合わせであり得る:平均分子量、加水分解性置換基、シロキサン単位、配列、及び粘度。
組成物は、所望により、追加成分、すなわち、成分(A)、(B1)及び(B2)に加えて、成分(A)、(B1)及び(B2)とは異なる追加成分を1つ以上更に含んでもよい。追加成分は、存在する場合、組成物の使用方法及び/又は組成物の硬化生成物の最終用途のような因子に基づいて選択され得る。追加成分は:(C)架橋剤;(D)乾燥剤;(E)増量剤、可塑剤、又はこれらの組み合わせ;(F)(f1)補強充填剤、(f2)増量充填剤、(f3)伝導性充填剤(例えば、電気伝導性、熱伝導性、又はその両方)のような充填剤;(G)充填剤処理剤;(H)(h1)殺真菌剤、(h2)除草剤、(h3)殺虫剤、(h4)抗菌剤のような殺生物剤;(J)難燃剤;(K)(k1)接着促進剤又は(k2)離型剤のような表面改質剤;(L)鎖延長剤;(M)末端封鎖剤;(N)非反応性結合剤;(O)老化防止添加剤;(P)水放出剤;(Q)顔料;(R)レオロジー添加剤;(S)賦形剤;(T)粘着付与剤;(U)腐食防止剤;及びこれらの組み合わせが挙げられる。追加成分は、互いに異なる。いくつかの実施形態では、追加成分(C)〜(U)の少なくとも1つ、あるいはそれぞれ、及びこれらの組み合わせは、成分(B1)及び(B2)の縮合反応を完全には妨げない。
成分(C)は、例えば組成物の縮合反応により調製される反応生成物の架橋密度を増大するために、組成物に添加され得る架橋剤である。一般に、成分(C)は、組成物の反応生成物において所望される架橋度に依存して変動する可能性がある官能基により、並びに、反応生成物が縮合反応の副生成物に起因する重量喪失を著しく示すことのないように、選択される。一般に、成分(C)の選択は、組成物が、水分不透過性パッケージにおいて、数ヶ月にわたる保存中に有用であるべく十分な反応性を保つように、行われる。一般的に、成分(C)は、成分(C)の加水分解置換基が、成分(B1)のヒドロキシ基と反応性であるように選択される。例えば、成分(C)の加水分解性基は、水素原子、ハロゲン原子;アミド基、アシルオキシ基、ハイドロカーボンオキシ基、アミノ基、アミノオキシ基、メルカプト基、オキシモ基、ケトキシモ基、又はアルコキシシリルヒドロカルビレン基、又はこれらの組み合わせであってもよい。成分(C)の正確な量は、選択される成分(B1)のヒドロキシ官能性化合物及び架橋剤(C)の種類、成分(B1)のヒドロキシ基の反応性及び架橋剤(C)の反応性、並び反応生成物に所望される架橋密度といった因子に依存して変動する可能性がある。しかしながら、架橋剤の量は、成分(B1)の100重量部に基づいて0.5〜100重量部の範囲であってもよい。
成分(C)は、加水分解性基を有するシラン架橋剤、又はその部分若しくは完全加水分解生成物を含み得る。成分(C)は、成分(B1)のヒドロキシ基と反応性である置換基を、1分子当たり、平均して2個を超えて有する。成分(C)に好適なシラン架橋剤の例は、一般式(III)R8 kSi(R9)(4−k)を有してもよく、式中、各R8は、独立して、アルキル基等の一価の炭化水素基であり;各R9は加水分解性置換基であって、上で成分(B1)に関して記載したXと同じであってもよい。あるいは、各R9は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アセトアミド基、アセトキシ等のアシルオキシ基、アルコキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基、ヒドロキシ基、オキシモ基、ケトキシモ基、又はメチルアセトアミド基から選択されてもよく;下付き文字kのそれぞれの例は、0、1、2、又は3であってもよい。成分(C)について、下付き文字kは、2より大きい平均値を有する。あるいは、下付き文字kは、3〜4の範囲の値を有し得る。あるいは、各R9は、独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、アセトキシ、アミド、又はオキシムから選択されてもよい。あるいは、成分(C)は、アシルオキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシモシラン、及びオキシモシランから選択されてもよい。
成分(C)は、アルコキシシラン、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン等のジアルコキシシラン;アルキルトリアルコキシシラン等のトリアルコキシシラン;テトラアルコキシシラン;又は、その部分若しくは完全加水分解生成物、又はこれらの別の組み合わせを含んでもよい。好適なトリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせ、あるいは、メチルトリメトキシシランが挙げられる。好適なテトラアルコキシシランの例としては、テトラエトキシシランが挙げられる。硬化性シリコーン組成物中で使用されるアルコキシシランの量は、成分(B1)100重量部当たり0.5〜15重量部の範囲であってもよい。
あるいは、成分(C)は、アセトキシシラン等のアシルオキシシラン、例えば、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。あるいは、成分(C)は、アルコキシ基とアセトキシ基の両方を含有するシラン、例えば、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、及びこれらの組み合わせであってもよい。あるいは、成分(C)は、アミノ官能性アルコキシシランを含んでもよい。あるいは、成分(C)は、オキシモシラン及び/又はケトキシモシランを含んでもよい。あるいは、成分(C)は、高分子であってもよい。例えば、成分(C)は、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン)、1,4−ビス[トリメトキシシリル(エチル)]ベンゼン、及びビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドといった、ジシランを含み得る。
成分(C)は、1つの単一の架橋剤、又は、以下の特性のうちの少なくとも1つにおいて異なる2つ以上の架橋剤を含む組み合わせであり得る:加水分解性置換基、及びケイ素に結合した他の有機基、並びに、高分子架橋剤が使用される場合には、シロキサン単位、構造、分子量及び配列。成分(C)に好適な架橋剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている架橋剤によって例示される。
成分(D)は、乾燥剤である。乾燥剤は、様々な供給源由来の水を捕捉する。例えば、乾燥剤は、水及びアルコールといった、縮合反応の副生成物を捕捉し得る。乾燥剤は、物理的乾燥剤及び/又は化学的乾燥剤であってもよい。物理的乾燥剤の例は、吸着剤である。成分(D)に好適な吸着剤は、無機粒子であってもよい。吸着剤の例としては、沸石(例えば、菱沸石、モルデン沸石及び方沸石);分子篩(例えば、アルカリ金属のアルミノケイ酸塩、シリカゲル、シリカマグネシアゲル、活性炭、活性アルミナ、酸化カルシウム)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
あるいは、乾燥剤は、化学的手段により水を捕捉し得る。(成分(C)に加えて)組成物に添加された一定量のシラン架橋剤は、化学的乾燥剤としても機能し得る。理論に束縛されるものではないが、化学的乾燥剤は、組成物の複数の構成部分を一緒に混合した後に、この組成物を水に触れさせないようにするために、多成分型組成物の乾燥部分に添加され得る。例えば、乾燥剤として好適なアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。成分(D)に好適な乾燥剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている乾燥剤によって例示される。
成分(D)の量は、選択される具体的な乾燥剤に依存する。しかしながら、成分(D)が化学的乾燥剤である場合、その量は、0部〜5部、あるいは0.1部〜0.5部の範囲であり得る。成分(D)は、1つの化学的乾燥剤であり得る。あるいは、成分(D)は、2種以上の異なる化学的乾燥剤を含んでもよい。
成分(E)は、増量剤及び/又は可塑剤である。非官能性ポリオルガノシロキサンを含む増量剤を、組成物に使用することができる。例えば、非官能性ポリオルガノシロキサンは、式R22 2SiO2/2の二官能性単位及び式R23 3SiD’−の末端単位を有してもよく、式中、各R22及び各R23は、独立して、一価の有機基、例えば、一価の炭化水素基であり;D’は、酸素原子、又は末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結する二価基(例えば、成分(B1)について上述した基D)であり、あるいは、D’は酸素原子である。非官能性ポリオルガノシロキサンは当該技術分野において既知であり、市販されている。好適な非官能性ポリオルガノシロキサンの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。このようなポリジメチルシロキサンとしては、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されているDOW CORNING(登録商標)200 Fluidが挙げられ、50mm2/s〜100,000mm2/s(50cSt〜100,000cSt)、あるいは50mm2/s〜50,000mm2/s(50cSt〜50,000cSt)、あるいは12,500〜60,000mm2/s(12,500〜60,000cSt)の範囲の粘度を有し得る。
有機可塑剤は、上述の非官能性ポリオルガノシロキサン増量剤に加えて、又はその代わりに、使用され得る。有機可塑剤は、当技術分野において既知であり、市販されている。有機可塑剤は、フタレート、カルボキシレート、カルボン酸エステル、アジペート、又はこれらの組み合わせを含み得る。有機可塑剤は、ビス(2−エチルヘキシル)テレフタレート;ビス(2−エチルヘキシル)−1,4−ベンゼンジカルボキシレート;2−エチルヘキシルメチル−1,4−ベンゼンジカルボキシレート;分枝鎖及び直鎖の1,2シクロヘキサンジカルボン酸ジノニルエステル;ビス(2−プロピルへプチル)フタレート;ジイソノニルアジペート;及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。有機可塑剤が存在する場合、有機可塑剤の量は、組成物中の全成分の総重量に基づいて、5〜150重量部の範囲であり得る。
成分(E)について上述したポリオルガノシロキサン増量剤及び有機可塑剤は、それぞれ単独で、又はこれらを2つ以上組み合わせて、のいずれかで使用され得る。低分子量有機可塑剤と高分子量ポリマー可塑剤を組み合わせて使用し得る。成分(E)に好適な可塑剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている可塑剤によって例示される。組成物中で使用される成分(E)の正確な量は、組成物及びその硬化生成物の所望される最終用途といった様々な因子に依存する可能性がある。しかしながら、成分(E)の量は、組成物中の全成分の総重量に基づいて0.1重量%〜10重量%の範囲であり得る。
成分(F)は、充填剤である。充填剤は、補強充填剤、増量充填剤、伝導性充填剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。例えば、組成物は、場合により、成分(f1)補強充填剤を更に含んでもよく、これは、存在する場合には、組成物の0.1〜95重量%、あるいは1〜60重量%の範囲の量で添加されてもよい。成分(f1)の正確な量は、組成物の反応生成物の形態、及び、他の充填剤が添加されるかどうか、といった様々な因子によって異なる。好適な補強充填剤の例としては、補強シリカ充填剤(例えば、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、シリカキセロゲル及び沈殿シリカ)が挙げられる。ヒュームドシリカは当技術分野において既知であり、市販されている。
組成物は、場合により、成分(f2)増量充填剤を、組成物の0.1〜95重量%、あるいは1〜60重量%、あるいは1〜20重量%の範囲の量で更に含んでもよい。増量充填剤の例としては、破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム(例えば、軽質炭酸カルシウム)、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、白亜、二酸化チタン、ジルコニア、砂、カーボンブラック、グラファイト、又はこれらの組み合わせが挙げられる。増量充填剤は、当該技術分野において既知であり、市販されている。
組成物は、場合により、成分(f3)伝導性充填剤を更に含んでもよい。伝導性充填剤は、熱伝導性、電気伝導性、又はその両方であってもよい。伝導性充填剤は、当該技術分野において既知であり、例としては、金属粒子(例えば、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、及びこれらの組み合わせ);非伝導性基材上にコーティングされたこのような金属;金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛及びこれらの組み合わせ)、溶融性充填剤(例えば、はんだ)、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、炭素繊維、ダイヤモンド、グラファイト、水酸化マグネシウム、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
あるいは、他の充填剤が組成物に添加されてもよく、その種類及び量は、組成物の硬化生成物の最終用途等の因子によって異なる。このような他の充填剤の例としては、磁気粒子(例えば、フェライト)、及び誘電性粒子(例えば、溶融ガラス微小球、チタニア、及び炭酸カルシウム)が挙げられる。成分(F)に好適な充填剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている充填剤によって例示される。
組成物は、任意に、成分(G)処理剤を更に含み得る。成分(G)の量は、選択される処理剤の種類、処理される粒子の種類及び量、粒子が組成物への添加前に処理されるかどうか、又は粒子がその場で処理されるかどうか、といった因子に応じて変動する可能性がある。しかしながら、成分(G)は、組成物の0.01〜20重量%、あるいは0.1〜15重量%、あるいは0.5〜5重量%の範囲の量で使用され得る。粒子、例えば、充填剤、物理的乾燥剤、特定の難燃剤、特定の顔料、及び/又は、特定の水放出剤は、存在する場合には、場合により、成分(G)で表面処理され得る。微粒子は、組成物に添加される前に、又はその場にて、成分(G)で処理されてもよい。成分(G)は、アルコキシシラン、アルコキシ官能性オリゴシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ジメチルシロキサン若しくはメチルフェニルシロキサンのようなヒドロキシ官能性オリゴシロキサン、又は脂肪酸を含んでもよい。脂肪酸の例としては、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩が挙げられる。
成分(G)として使用できる一部の代表的な有機ケイ素充填剤処理剤としては、シリカ充填剤を処理するために通常使用される組成物、例えば、オルガノクロロシラン、オルガノシロキサン、ヘキサアルキルジシラザン等のオルガノジシラザン、及びオルガノアルコキシシラン、例えば、C6H13Si(OCH3)3、C8H17Si(OC2H5)3、C10H21Si(OCH3)3、C12H25Si(OCH3)3、C14H29Si(OC2H5)3、及びC6H5CH2CH2Si(OCH3)3が挙げられる。使用できるその他の処理剤としては、アルキルチオール、脂肪酸、チタン酸塩、チタン酸塩カップリング剤、ジルコン酸塩カップリング剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
あるいは、成分(G)は、式:R13 pSi(OR14)(4−p)を有するアルコキシシランを含んでもよく、式中、下付き文字pは1〜3の範囲の値を有してもよく、あるいは下付き文字pは3である。各R13は、独立して、1〜50個の炭素原子、あるいは8〜30個の炭素原子、あるいは8〜18個の炭素原子の一価の炭化水素基等の、一価の有機基である。R13の例としては、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシル等のアルキル基;並びにベンジル及びフェニルエチル等の芳香族基が挙げられる。R13は、飽和でも不飽和でもよく、かつ分枝状でも非分枝状でもよい。あるいは、R13は、飽和及び非分枝状であってもよい。
各R14は、独立して、1〜4個の炭素原子、あるいは1〜2個の炭素原子の飽和炭化水素基である。成分(G)は、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせにより例示される。
また、アルコキシ官能性オリゴシロキサンは、処理剤としても使用され得る。例えば、好適なアルコキシ官能性オリゴシロキサンとしては、式(R15O)qSi(OSiR16 2R17)(4−q)のものが挙げられる。式中、下付き文字qは1、2、又は3であり、あるいは下付き文字qは3である。各R15は、アルキル基であり得る。各R16は、1〜10個の炭素原子の不飽和一価炭化水素基であり得る。各R17は、少なくとも10個の炭素原子を有する不飽和一価炭化水素基であり得る。
金属充填剤等の特定の粒子は、アルキルチオール(例えば、オクタデシルメルカプタン)、脂肪酸(例えば、オレイン酸及びステアリン酸)、及びこれらの組み合わせで処理されてもよい。
その他の処理剤としては、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。好適なアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンとして、以下が挙げられるがこれらに限定的されない:
式中、下付き文字rは、最大1,500の値を有する。
成分(G)に好適な処理剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている処理剤によって例示される。
成分(H)は、殺生物剤である。成分(H)の量は、選択される殺生物剤の種類及び所望される効果といった因子に応じて変動する可能性がある。しかしながら、成分(H)の量は、組成物中の全成分の重量に基づいて0重量%超〜5重量%の範囲であり得る。成分(H)は、(h1)殺真菌剤、(h2)除草剤、(h3)殺虫剤、(h4)抗菌剤、又はこれらの組み合わせにより、例示される。好適な殺生物剤の例は、当該技術分野において既知であり、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に開示されている。
成分(J)は難燃剤である。適する難燃剤としては、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム水和物、及びケイ酸塩(例えば、ウォラストナイト)、白金及び白金化合物が挙げられることができる。あるいは、難燃剤は、ハロゲン系難燃剤から選択されてもよい。あるいは、難燃剤は、リン系難燃剤から選択されてもよい。成分(J)に好適な難燃剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている難燃剤によって例示される。
難燃剤の量は、選択される難燃剤、及び溶媒が存在するかどうかといった因子に応じて変動する可能性がある。しかしながら、組成物中の難燃剤の量は、組成物の全成分の総重量に基づいて0重量%超〜10重量%の範囲であり得る。
成分(K)は表面改質剤である。好適な表面改質剤は、(k1)接着促進剤又は(k2)離型剤により、例示される。成分(k1)に好適な接着促進剤は、遷移金属キレート、ハイドロカルボノオキシシラン、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせ、アミノ官能性シラン、又はこれらの組み合わせを含み得る。接着促進剤は、当該技術分野において既知であり、式R24 tR25 uSi(OR26)4−(t+u)を有するシランを含んでもよく、式中、各R24は、独立して、少なくとも3個の炭素原子を有する一価の有機基であり;R25は、接着促進基(例えば、アミノ、エポキシ、メルカプト、又はアクリレート基)を有するSiC結合置換基を少なくとも1個含有し;下付き文字tは、0〜2の範囲の値を有し;下付き文字uは、1又は2のいずれかであり;(t+u)の合計は3以下である。各R26は、独立して、飽和炭化水素基である。R26の飽和炭化水素基は、例えば、1〜4個の炭素原子、あるいは1〜2個の炭素原子のアルキル基であってもよい。R26は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルにより例示される。あるいは、接着促進剤は、上記シランの部分縮合体を含み得る。あるいは、接着促進剤は、上記シランの部分縮合体を含み得る。あるいは、接着促進剤は、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせを含み得る。成分(K)に好適な表面改質剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている表面改質剤によって例示される。
成分(K)の正確な量は、成分(K)として選択される表面改質剤の種類、並びに組成物及びその反応生成物の最終用途といった、様々な要因に応じて異なる。しかしながら、成分(K)は、存在する場合、組成物の重量に基づいて0.01〜50重量部、あるいは0.01〜10重量部、あるいは0.01〜5重量部の範囲の量で組成物に添加され得る。成分(K)は、1種の接着促進剤であってもよい。あるいは、成分(K)は、以下の特性のうちの少なくとも1つが異なる2種以上の異なる表面改質剤を含んでもよい:構造、粘度、平均分子量、ポリマー単位、及び配列。
鎖延長剤は、二官能性シラン及び二官能性シロキサンを含んでよく、これらは、架橋が生成する前にポリオルガノシロキサン鎖の長さを延長する。鎖延長剤は、硬化生成物の伸長弾性率を減少させるために使用することができる。鎖延長剤と架橋剤は、成分(B1)中のヒドロキシ基との反応において競合する。顕著な鎖延長を得るためには、二官能性シランは、これと共に使用される三官能性架橋剤よりもかなり高い反応性を有する。好適な鎖延長剤としては、ジアミドシラン(例えば、ジアルキルジアセトアミドシラン又はアルケニルアルキルジアセトアミドシラン、特にメチルビニルジ(N−メチルアセトアミド)シラン又はジメチルジ(N−メチルアセトアミド)シラン)、ジアセトキシシラン(例えば、ジアルキルジアセトキシシラン又はアルキルアルケニルジアセトキシシラン)、ジアミノシラン(例えば、ジアルキルジアミノシラン又はアルキルアルケニルジアミノシラン)、ジアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン)、並びに、α−アミノアルキルジアルコキシアルキルシラン、2〜25の重合度を有し、1分子当たり、平均して少なくとも2個の加水分解性基(例えば、アセトアミド又はアセトキシ又はアミノ又はアルコキシ又はアミド又はケトキシモ置換基)を有するポリジアルキルシロキサン、並びに、ジケトキシミノシラン(例えば、ジアルキルジケトキシミノシラン及びアルキルアルケニルジケトキシミノシラン)が挙げられる。成分(L)は、1つの鎖延長剤であり得る。あるいは、成分(L)は、以下の特性のうちの少なくとも1つが異なる2種以上の異なる鎖延長剤を含んでもよい:構造、粘度、平均分子量、ポリマー単位、及び配列。
成分(M)は、末端封鎖剤であり、これはM単位、すなわち、式R29 3SiO1/2のシロキサン単位を含み、式中、各R29は、独立して、成分(B1)と反応性ではない一価の有機基、例えば一価の炭化水素基を表す。成分(M)は、一方の末端をトリオルガノシリル基(例えば、(CH3)3SiO−)により、もう一方の末端をヒドロキシ基により末端封鎖されたポリオルガノシロキサンを含み得る。成分(M)は、ポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)であり得る。ヒドロキシ末端基とトリオルガノシリル末端基の両方を有するポリジオルガノシロキサンは、全ての末端基の50%超、あるいは75%超をヒドロキシ基として有し得る。ポリジメチルシロキサン中のトリオルガノシリル基の量は、組成物の縮合反応により調製される反応生成物の弾性率を制御するために使用することができる。理論に束縛されるものではないが、トリオルガノシリル末端基の濃度が高いほど、特定の硬化生成物における弾性率が低くなり得ると考えられている。成分(M)は、1種の末端封鎖剤であってもよい。あるいは、成分(M)は、以下の特性のうちの少なくとも1つが異なる2種以上の異なる末端封鎖剤を含んでもよい:構造、粘度、平均分子量、ポリマー単位、及び配列。
成分(N)は、非反応性のエラストマー有機ポリマーであり、すなわち、成分(B1)と反応しないエラストマー有機ポリマーである。成分(N)は成分(B1)と相溶性であり、すなわち、成分(N)は成分(B1)と二相系を形成しない。成分(N)の気体及び水分の透過性は低くてもよい。成分(N)は、30,000〜75,000の範囲のMnを有し得る。あるいは、成分(N)は、高分子量の非反応性エラストマー有機ポリマーと低分子量の非反応性エラストマー有機ポリマーとのブレンドであり得る。この場合、高分子量ポリマーは100,000〜600,000の範囲のMnを有してもよく、低分子量ポリマーは900〜10,000、あるいは900〜3,000の範囲のMnを有してもよい。Mnの範囲の下端の値は、成分(N)が成分(B1)及び組成物の他の成分と相溶性を有するように、選択され得る。
成分(N)は、ポリイソブチレンを含み得る。ポリイソブチレンは当該技術分野において既知であり、市販されている。あるいは、成分(N)は、ブチルゴムを含み得る。あるいは、成分(N)は、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)ブロックコポリマー、又はこれらの組み合わせを含み得る。非反応性結合剤の例は当該技術分野において既知であり、市販されている。PCT国際公開第2013/009836号に記載を見ることができる。
成分(N)の量は、組成物の重量に基づいて0部〜50部、あるいは10部〜40部、あるいは5部〜35部の範囲であり得る。成分(N)は、1つの非反応性エラストマー有機ポリマーであり得る。あるいは、成分(N)は、以下の特性のうちの少なくとも1つが異なる2種以上の非反応性エラストマー有機ポリマーを含んでもよい:構造、粘度、平均分子量、ポリマー単位、及び配列。あるいは、成分(N)は、成分(B1)が有機ポリマー主鎖を有するベースポリマーを含む場合に、組成物に添加され得る。
成分(O)は、老化防止添加剤である。老化防止添加剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、熱安定剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。適する酸化防止剤は、当技術分野において既知であり、市販されている。成分(O)に好適な老化防止剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている老化防止剤によって例示される。
成分(O)の量は、選択される特定の老化防止添加剤及び所望される老化防止効果といった様々な要因に応じて異なる。しかしながら、成分(O)の量は、組成物の重量に基づいて0〜5重量%、あるいは0.1〜4重量%、あるいは0.5〜3重量%の範囲であり得る。成分(O)は、1種の老化防止添加剤であってもよい。あるいは、成分(O)は、2種以上の異なる老化防止添加剤を含んでもよい。
成分(P)は、適用温度範囲にわたって水を放出する水放出剤である。成分(P)は、組成物と部分的又は完全に反応するのに十分な量の水を成分(P)が含有するように、並びに、使用温度(すなわち、組成物が使用される温度)に十分な時間にわたって曝露されたときに成分(P)が十分な量の水を放出するように、選択される。しかしながら、成分(P)は、組成物の製造工程の間及び組成物を貯蔵する間に過度の水が放出されないように水を十分に捕捉する。例えば、成分(P)は、組成物が使用される適用プロセスの間又はその後に、十分な水が組成物の縮合反応に利用可能であるように、組成物の混練中に水を十分に捕捉する。この「制御放出」特性はまた、過度の水が適用プロセス中にあまりにも急速に放出されないようにするという効果をもたらし得るが、それは、これが組成物の縮合反応により形成される反応組成物中に発泡又は空隙を生成し得るからである。沈降炭酸カルシウムは、適用温度が80℃〜120℃、あるいは90℃〜110℃、あるいは90℃〜100℃の範囲である場合に、成分(P)として使用され得る。しかしながら、組成物が連続(例えば、二軸)混練装置で調製される場合、成分は、適用温度よりも20℃〜30℃高い温度で短時間混練される場合がある。それゆえに、成分(P)は、混練中に含水量の全てを放出せず、しかしながら、適用温度範囲に十分な時間にわたって曝露されたときに成分(P)が組成物の縮合反応に十分な量の水を放出することが確実となるように選択される。
好適な水放出剤の例は、金属塩水和物、水和分子篩、及びSolvayから商品名WINNOFIL(登録商標)SPMで入手可能な軽質炭酸カルシウムにより、例示される。選択される水放出剤は、組成物のために選択される他の成分、触媒の種類及び量、並びに混練、包装及び適用中のプロセス条件といった、様々な因子に応じて異なる可能性がある。二軸混練装置において、滞留時間は、数分未満、典型的には1〜2分未満であり得る。成分は急速に加熱されるが、それは、容器における及び軸に沿った表面積/容積比が高く、成分をせん断することにより熱が生成するからである。どれだけの量の水が成分(P)から得られるかは、水結合能力、温度、曝露時間(持続時間)、及び混練装置の中を通過する組成物を剥離するために使用される真空のレベルに応じて異なる。理論に束縛されるものではないが、120℃の二軸混練温度では、組成物が90℃にて適用された場合、室温で1〜2週間にわたる縮合反応により組成物を反応させるのに十分な水が沈降CaCO3上に残ると考えられる。
水放出剤は、例えば、ベースポリマーの水透過性が低い場合(例えば、ベースポリマーが有機ポリマー主鎖を有する場合)に、添加することができ、並びに/又は、組成物中の成分(P)の量は、成分(A)、(B1)及び(B2)の選択、及び、任意の追加の成分が存在するかどうかといった様々な因子に応じて異なるが、成分(P)の量は、組成物の重量に基づいて5〜30部の範囲であり得る。
理論に束縛されるものではないが、組成物を適用温度に加熱すると、熱は水を遊離させることになり、水は、成分(B1)のヒドロキシ基と反応して組成物を反応させることになると考えられる。組成物中に残されるアルコール及び/又は水等の副生成物は、乾燥剤により捕捉され得、これにより、縮合反応(平衡反応である)は完了に向かって進行する。
成分(Q)は、顔料である。本出願の目的で、用語「顔料」は、本明細書に記載の組成物の反応生成物に色を付与するのに使用される任意の成分を包含するものとする。顔料の量は、選択される顔料の種類及び反応生成物の所望される色合いといった様々な因子に応じて異なる。例えば、組成物は、組成物中の全成分の重量に基づいて、0〜20重量%、あるいは0.001重量%〜5重量%の顔料を含み得る。成分(Q)に好適な顔料の例は、市販されており、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている顔料によって例示される。
組成物は、場合により、組成物のレオロジーを改質するために、組成物の重量に基づいて最大で5重量%、あるいは1〜2重量%の成分(R)レオロジー添加剤を更に含み得る。レオロジー添加剤は、当技術分野において既知であり、市販されている。レオロジー添加剤の例としては、ポリアミド、硬化ヒマシ油誘導体、金属石鹸、微結晶ワックス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。成分(R)に好適なレオロジー添加剤の例は、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されているレオロジー添加剤によって例示される。
成分(R)の量は、選択される特定のレオロジー添加剤及び組成物の他の成分の選択といった様々な要因に応じて異なる。しかしながら、成分(R)の量は、組成物の重量に基づいて0部〜20部、あるいは1部〜15部、あるいは1部〜5部の範囲であってもよい。成分(R)は、1種のレオロジー添加剤であってもよい。あるいは、成分(R)は、2種以上の異なるレオロジー添加剤を含んでもよい。
賦形剤(例えば、溶媒及び/又は希釈剤)が組成物に使用されてもよい。賦形剤は、組成物の流動及びシリコーン樹脂のような特定の成分の導入を容易にする場合がある。本明細書で使用される賦形剤は、組成物の成分の流動化を補佐するがこれらの成分のいずれとも本質的に反応しないものである。賦形剤は、組成物中の成分の溶解性及び揮発性に基づいて選択されてもよい。「溶解性」は、賦形剤が組成物の成分を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。「揮発性」は、賦形剤の蒸気圧を指す。賦形剤の揮発性が高すぎる(高すぎる蒸気圧を有する)場合、適用温度にて組成物中に気泡が生じる場合があり、この気泡は、破裂を生じるか、又は別の方法で硬化生成物の特性を弱めるか若しくは特性に悪影響を与える恐れがある。しかしながら、賦形剤が十分に揮発性でない(蒸気圧が低すぎる)場合には、賦形剤は、組成物の反応生成物において可塑剤のままとなるか、又は反応生成物が物理特性を発現する時間が所望されるよりも長くなる恐れがある。
好適な賦形剤としては、好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン、例えば0.5〜1.5平方ミリメートル毎秒(mm2/s(0.5〜1.5センチストークス(cSt))のDow Corning(登録商標)200 Fluids及びDOW CORNING(登録商標)OS FLUIDS(これらは、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されている)が挙げられる。
あるいは、賦形剤は有機溶媒であってもよい。有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン等のケトン;ベンゼン、トルエン、又はキシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、又はエチレングリコールn−ブチルエーテル等のグリコールエーテル、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン又は塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン;ホワイトスピリット;ミネラルスピリット;ナフサ;n−メチルピロリドン;又はこれらの組み合わせであってもよい。
賦形剤の量は、選択される賦形剤の種類並びに組成物のために選択される他の成分の量及び種類といった様々な因子に応じて異なり得る。しかしながら、賦形剤の量は、組成物の1〜99重量%、あるいは2〜50重量%の範囲であってもよい。
組成物は、場合により、成分(T)粘着付与剤を更に含み得る。粘着付与剤は、脂肪族炭化水素樹脂、例えば、6〜20個の炭素原子を有する水素添加ポリオレフィン、水素添加テルペン樹脂、ロジンエステル、水素添加ロジングリセロールエステル、又はこれらの組み合わせを含み得る。粘着付与剤は、市販されており、例えば、PCT国際公開第2013/009836号に記載されている。
組成物は、所望により、成分(U)、腐食防止剤を更に含む。適切な腐食防止剤の例としては、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、並びに市販の腐食防止剤(R.T.Vanderbilt(Norwalk,Connecticut,U.S.A.)からの2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導体(CUVAN(登録商標)826)及びアルキルチアジアゾール(CUVAN(登録商標)484)等)が挙げられる。存在する場合、成分(U)の量は、組成物の重量に基づいて0.05%〜0.5%の範囲であってもよい。
本明細書記載の特定成分は1つを超える機能を有し得るため、上述の組成物の成分を選択する際、成分の種類に重複があり得る。例えば、特定のアルコキシシランは充填剤処理剤としても接着促進剤としても有用であり得、特定の脂肪酸エステルは可塑剤としても有用であり得、充填剤処理剤としても有用であり得、カーボンブラックは顔料、難燃剤、及び/又は充填剤として有用であり得、非反応性ポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)は増量剤としても溶媒としても有用であり得る。
上記の組成物は、例えば、混合等の任意の好都合な手段によって全成分を組み合わせることにより、1成分型組成物として調製され得る。例えば、1成分型組成物は、場合により、ヒドロキシ官能性化合物(B1)及びSi−H官能性化合物(B2)と増量剤(E)とを組み合わせ(例えば、プレミックス)、得られた増量されたべースポリマーを充填剤(F)の全て又は一部と混合し、これを架橋剤(C)及び成分(A)を含むプレミックスと混合することにより、製造され得る。(O)老化防止添加剤及び(Q)顔料といった他の添加剤は、任意の所望される段階にて混合物に添加され得る。最終混合工程は実質的に無水の条件下で行うことができ、生成した組成物は一般に使用準備が整うまで実質的無水条件下で、例えば、密封容器で保管される。
あるいは、組成物は、架橋剤が存在する場合、多成分型(例えば、2成分型)組成物として調製され得る。この例では、触媒及び架橋剤は別個の構成部分として保管され、これらの構成部分は、組成物の使用直前に組み合わされる。例えば、2成分型硬化性組成物は、混合のような任意の便利な手段により(B1)及び(B2)を含む成分を組み合わせて第1(硬化剤)部分を形成することによって、調製され得る。第2(ベース)部分は、混合のような任意の便利な手段により(A)及び(B1)を含む成分を組み合わせることによって、調製され得る。これらの成分は、1成分型又は多成分型組成物のどちらが選択されるかといった様々な因子に応じて、周囲条件又は無水条件下で周囲温度又は高温にて組み合わせられ得る。ベース部分と硬化剤部分は、使用直前に、混合のような任意の便利な手段により、組み合わせることができる。ベース部分と硬化剤部分は、相対的に1:1〜10:1の範囲のベース:硬化剤量で組み合わせることができる。
成分の混合に使用される装置は、特に限定されない。適切な混合装置の例は、選択される各成分の種類及び量に応じて選択されてもよい。例えば、反応によりガム又はゲルを形成することになる組成物等の比較的低粘度の組成物には、撹拌バッチケトルが使用されてもよい。あるいは、例えば、より粘稠な組成物及び、粒子を比較的多量に含有する組成物には、二軸押出成形機のような押出成形機といった連続混練装置が使用され得る。本明細書に記載の組成物の調製に使用し得る代表的な方法としては、例えば、米国特許出願公開第2009/0291238号及び同第2008/0300358号に開示されているものが挙げられる。
上述のように製造されるこれらの組成物は、水分への曝露から組成物を保護する容器での保管時に安定であり得るが、これらの組成物は、大気の水分に曝露されると縮合反応を介して反応し得る。あるいは、低浸透性組成物が配合された場合、組成物は、水放出剤から水分が放出された際に硬化して、硬化生成物を生じ得る。
上記のように調製された組成物及びこれらの反応生成物は、様々な用途を有する。上記の成分は、成分(A)、(B1)及び(B2)を含む様々な種類の組成物を調製するために、使用され得る。組成物は、組成物の種類並びに組成物及び/又は組成物の反応生成物の所望される最終用途に応じて、上記の追加成分のうちの1つ以上を更に含み得る。例えば、上記の成分及び方法は、例えば、ベースポリマーが1分子当たり平均で1〜2個の加水分解性基を有する場合に、ベースポリマーの粘度を増加させるために、及び/又は、ガムを形成するために、鎖延長プロセスに使用され得る。あるいは、上記の成分及び方法は、例えば、ベースポリマーが1分子当たり平均で2個以上の加水分解性基を有する場合に、及び/又は、架橋剤が組成物中に存在する場合に、硬化性組成物を配合するために使用することができる。本明細書に記載の組成物は、水分に曝露することにより縮合反応によって、反応し得る。例えば、組成物は、大気水分に曝露されると、縮合反応によって反応し得る。あるいは、組成物は、水放出剤が存在する場合に、水放出剤から放出される水分と反応する。本明細書に記載される各組成物は、反応して反応生成物を形成する。反応生成物は、ガム、ゲル、ゴム、又は樹脂から選択される形態を有してもよい。
実施例
これらの実施例は、本発明のいくつかの実施態様を説明することを意図しており、本請求項に記載された本発明の範囲を限定するかのように解釈してはならない。参考例は、従来技術であるとの記載がない限り、従来技術とみなされるべきではない。以下の実施例では、下記の成分を使用した。
金属前駆体は、次のように略した:上記のように、Zn−1はZn(2−エチレンヘキサノエート)2(Gelestより購入)、Zn−2はジエチル亜鉛(10重量%ヘキサン溶液、Strem Chemicalより購入)、Zn−3は亜鉛ビス(ビストリメチルシリル)アミド)(Sigma−Aldrichより購入)であった。配位子は、次のように略した:上記のように、(L1)はN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、(L2)はN,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミン、(L3)はトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであった。比較の目的で、(L4)はジエチル1,3−ジアセトンジカルボキシレート(Sigma−Aldrichより購入)であった。Gelestから市販されている90mm2/s〜120mm2/s(90cSt〜120cSt)の粘度及び4200の数平均分子量Mwを有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(DMS−S21)、及びポリメチルヒドリドシロキサン(HMS−992)を、触媒活性の評価に使用した。比較の目的で、市販のスズ触媒を使用した。Bu2Sn(OAc)2はジブチルスズジアセテートであった。
実施例1において、Zn−1、Zn−2、及びZn−3の0.2M溶液を、それぞれの亜鉛前駆体から、ヘキサンとTHFの混合溶媒(体積比1:1)を用いて調製した。配位子(L1)、(L2)、(L3)、及び(L4)の0.2M溶液も、ヘキサンとTHFの混合溶媒(体積比1:1)を用いて調製した。各5mLの亜鉛前駆体溶液(Zn−1、Zn−2又はZn−3)に、5mLの各配位子溶液(L1、L2、L3、又はL4)を、25℃の室温(RT)で撹拌しながらゆっくりと加えた。室温で30分間撹拌した後、各溶液を50℃で2時間加熱した。得られた反応生成物は、実施例2で触媒活性を試験した0.1M亜鉛触媒溶液であった。
実施例2において、DMS−S21(3g、又は1.43mmolのSi−OH)及びHMS−992(0.085g又は1.36mmolのSi−H)並びに0.24g(又は0.30mL)の亜鉛触媒溶液(0.03mmol)を、20mLバイアル瓶に入れた。得られた溶液を、磁気棒で撹拌し、120℃で加熱した。各溶液の粘度は水素ガス発生と共に増大し、最終的に各溶液は硬化した。溶液が非常に粘稠になり、磁気棒の撹拌が停止するまでの時間を記録し、触媒の活性を識別するために使用した。結果を下の表に示す。比較の目的で、各Zn前駆体、各配位子、及び市販のスズ触媒(ジブチルスズジアセテート、0.05M、0.48g)も、この方法で評価した。表2は、実施例1で使用した金属前駆体及び配位子並びに実施例2で得られた硬化時間を示す。
実施例は、試験した組み合わせの全てが、配位子のみ又は亜鉛前駆体のみよりも速い硬化時間を生じた(触媒活性を示した)ことを示す。試験した亜鉛前駆体と配位子との組み合わせの全てもまた、同一条件下でジブチルスズアセテートと同等又はそれよりも速い硬化時間を有した。更に、試料1〜3、5〜7及び9〜11(表2)をそれぞれ比較例4、8、及び12と比較すると、アミノ官能性配位子の使用は、同一条件下で試験したアミノ官能性ではない配位子の使用と比べて、より速い硬化時間という利益を生じたことがわかる。
実施例3において、Zn−1(5.21g、14.8mmol)を、ドライボックス内で10mLのトルエンに溶解した。L3(3.922g又は14.8mmol)を、10mLのトルエンに溶解し、ドライボックス内で、室温で磁気棒による500rpmの撹拌下、Zn−1溶液にゆっくりと添加した。溶液を室温で30分間撹拌し、次いで、60℃で2時間加熱した。得られた溶液を真空排気して、溶媒を除去した。トルエン(37mL)を添加して反応生成物を溶解し、0.4M溶液の濃度にした。
実施例4において、10%のZn−2ヘキサン溶液(6.751g又は5.46mmol)を、ドライボックス内で10mLのトルエンに希釈した。L3(1.45g又は5.46mmol)を10mLのトルエンに溶解し、Zn−2溶液にゆっくりと添加し、これをドライボックス内で500rpmにて撹拌した。配位子溶液の添加中に、エタンガスが発生した。溶液を室温で30分間撹拌し、次いで、60℃で2時間加熱した。得られた溶液を真空排気して、溶媒を除去した。トルエン(13.65mL)を添加して反応生成物を溶解し、0.4M溶液の濃度にした。
実施例5において、実施例3及び4で調製した反応生成物を、触媒活性について評価した。DMS−S21(6g、2.86mmolのSi−OHに相当)及びHMS−992(0.3g、4.6mmolのSi−Hに相当)及び0.12gの実施例3又は4からの亜鉛触媒溶液(約0.05mmol)を組み合わせ、よく混合した。得られた溶液の試料(0.5mL)をアルミニウム皿上に塗り広げ、厚さ0.25mmのフィルムを形成した。試料をオーブン内で高温で加熱した。異なる時間及び温度で硬化を評価した。結果を下の表3に示す。
実施例6において、26.4gのシラノール末端ポリマー(Dow Corning Syl−Off 2794)、0.5gのポリメチルヒドリドシロキサン(Dow Corning 7048)、0.9gのメチルジメチルアミノエトキシシロキサン(Dow Corning 2−7131)、125.8gのヘプタン及び94.7gのトルエンを混合して溶液を生成することによって、比較試料31を調製した。1.35gの量のジブチルスズジアセテートを溶液に加え、混合した。得られたペーパーコーティング組成物を、コロナ処理したLoparex PCKグレード紙に、10番ロッドを用いてコーティングした。コーティングされた紙を、オーブン内で110℃(230°F)で30秒間加熱した。紙をオーブンから取り出してすぐに、紙の小片を、即時抽出可能なシリコーン及びラブオフ時のシリコーン保持について特性評価した。オーブンで硬化した紙を周囲温度で7日間放置した後で抽出可能なシリコーンを測定することによって、後硬化も評価した。結果は、即時抽出可能なシリコーン、ラブオフ保持及び後硬化は、それぞれ、8.5%、97.8%及び4.1%であることを示した。抽出可能なシリコーンを測定するため、コーティングを上記のように調製した後、コーティングされた紙の1枚を溶媒に浸漬し、X線により、どれだけのコーティングが残っているかを調べた。
試料32は、9gの0.4M Zn−1/L3触媒(上記)を溶液に添加して混合したことを除いて、比較試料31に関する上記記載のとおりに溶液を生成することによって調製した。得られたペーパーコーティング組成物を、比較試料31に関する上記記載のとおり、紙にコーティングし、加熱及び試験した。結果は、即時抽出可能なシリコーン、ラブオフ保持及び後硬化は、それぞれ、100%、24.7%及び3.4%であることを示した。
試料33は、9gの0.4M Zn−2/L3触媒を添加及び混合したことを除いて、比較試料31に関する上記記載のとおりに溶液を生成することによって調製した。得られたペーパーコーティング組成物を、比較試料31に関する上記記載のとおり、紙にコーティングし、加熱及び試験した。結果は、即時抽出可能なシリコーン、ラブオフ保持及び後硬化は、それぞれ、22%、98.8%及び5.2%であることを示した。
比較試料34は、比較試料31に関する上記記載のとおりに調製した。得られたペーパーコーティング組成物を、UPMホワイトグラシン紙に、10番ロッドを用いてコーティングした。コーティングされた紙を、オーブン内で177℃(350°F)で15秒間加熱した。結果は、即時抽出可能なシリコーン、ラブオフ保持及び後硬化は、それぞれ、11.0%、91.1%及び2.9%であることを示した。
試料35は、9gの0.4M Zn−1/L3触媒を添加したことを除いて、比較試料31に関する上記記載のとおりに調製した。得られたペーパーコーティング組成物を、比較試料34の場合と同じ手順を用いて、紙にコーティングし、加熱及び評価した。結果は、即時抽出可能なシリコーン、ラブオフ保持及び後硬化は、それぞれ、8.1%、98.7%及び4.2%であることを示した。
試料36は、9gの0.4M Zn−2/L3触媒を添加したことを除いて、比較試料31に関する上記記載のとおりに調製した。得られたペーパーコーティング組成物を、比較試料34の場合と同じ手順を用いて、紙にコーティングし、加熱及び評価した。結果は、即時抽出可能なシリコーン、ラブオフ保持及び後硬化は、それぞれ、26.8%、87.9%及び4.5%であることを示した。
実施例7において、触媒の活性を、有機ヒドロキシ官能性化合物を用いて評価した。試料は、5gのグリセロールプロポキシレート(MW=1500、Sigma Aldrichから購入、0.72gのポリメチルヒドリドシロキサン(HMS−992、Gelestより)、及び触媒を混合することによって調製した。得られた組成物を、20mLバイアル瓶に、磁気撹拌棒と共に入れた。混合した溶液を、撹拌しながら120℃に加熱した。
試料37において、触媒は、0.08gのZn−1/L3であった。反応中に気泡が発生し、泡が発生して3分間でバイアル瓶全体を満たした。
試料38において、触媒は、0.04gのZn−2/L3であった。反応中に気泡が発生し、泡が発生して5分間でバイアル瓶全体を満たした。
実施例8において、触媒を市販のエマルションに添加し、触媒活性を評価した。XIAMETER(登録商標)MEM−0075エマルションは、ポリメチルヒドリドシロキサンの水中エマルションであり、XIAMETER(登録商標)MEM−1785は、シラノール末端ポリジメチルシロキサンの水中エマルションであった。上記の2種類のエマルション材料のフィルム内での架橋を触媒するために亜鉛化合物を使用した。下記の表5に示す5点評価を使用して、フィルムの架橋度を識別した。
0.1gのMEM−0075、5gのMEM−1785及び触媒を混合することによって試料を調製した。比較試料40は、0.12gの前駆体Zn−1[これは0.1MのZn(2−EHA)2であった]を含有した。試料を、電磁攪拌棒を用いて600rpmで5分間混合した。得られた混合溶液(1mL)をアルミニウム皿(直径6.4cm(2.5インチ))上に塗り広げ、フード内に周囲条件下で3日間置いて水及び溶媒を蒸発させた。得られたシリコーン溶液を含有するアルミニウム皿を150℃で5分間加熱した。表5の採点尺度に従って、シロキサンフィルムの表面をスパチュラで引っ掻き、室温で乾燥したフィルムについては1点、150℃で5分間加熱後のフィルムについては2点を与えた。試料41〜46は、下記の表6に示すように、異なる触媒を用いて同様に調製した。
実施例9において、上で調製したZn触媒のZn−1C及びZn−2Cをバイアル瓶内でトルエン中0.025Mに希釈した。一定量の触媒溶液(0.24g又は0.48g)を0.136gのメチルトリメトキシシラン及び2.1gのSi−OH末端ポリジメチルシロキサン(DMS−S21、粘度90〜120mm2/s(90〜120cSt))と各バイアル内で混合した。得られたバイアルを、80度に傾け、恒湿炉内に入れ、30℃で50%の相対湿度に曝露した。
恒湿炉内に24時間及び48時間置いた後、バイアル瓶を恒湿炉から取り出し、視覚粘度を観察し記録した。48時間視覚粘度測定は、試料を、種々の粘度参照基準が入ったバイアルと並べて視覚的に比較して決定した。測定は、試料が最初に水分に暴露されてから48時間後に実行した。各試料の視覚粘度測定値は、最も近かった参照基準バイアルに基づいて割り当てた。参照基準は、異なる粘度のDOW CORNING(登録商標)200流体(「200 Fluid」)であり、これは、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されている。対応する視覚粘度の説明及び基準を、下記の表7に示す。0又は1の値は、試料が48時間以内に縮合反応を呈しないことを示した。2〜5の値は、縮合反応が次第に発生していることを示した。再現実験は、視覚粘度測定を行った操作者及び再現実験が異なる時間に行われたかどうか等の様々な要因に起因する正常変動を受けた。
試験した亜鉛触媒によって触媒された縮合の結果を下記の表8に示す。ジブチルスズジラウレートを、トルエン中0.025Mの濃度で、対照として使用した。
これらの実施例は、成分(A)に関して上に記載され、かつ本明細書に記載のように試験された触媒が縮合反応を触媒できることを示す。本明細書に記載の組成物は、上記されたようにスズ触媒を含まないものであってもよい。理論に束縛されるものではないが、本明細書に成分(A)として記載される触媒は、一部の縮合反応硬化性組成物で、スズ触媒を含有する同じ組成物と比較して、代替的な、匹敵する、又はより良好に硬化する性能を提供する場合があると考えられる。
実施例6は、成分(A)の上記触媒は、特に試料32、33、35、及び36の試験条件下で、ペーパーコーティングに有用となり得ることを示す。本発明は、驚くべきことに、ペーパーコーティング組成物からイソプロパノールを除去することで、性能が改善されることを見出した。本明細書に記載の成分(A)は、アルコール溶媒を含まない、あるいは、イソプロパノールを含まない、ペーパーコーティング組成物に使用されてもよい。
実施例10において、Zn−1及びZn−2の0.2M溶液を、それぞれの亜鉛前駆体から、ヘキサンとTHFとの混合溶媒(体積比1:1)を用いて調製した。上の表1−Bに示す配位子(L6)、(L7)、(L8)、(L9)、(L10)、(L11)、及び(L12)の0.2M溶液も、ヘキサンとTHFとの混合溶媒(体積比1:1)を用いて調製した。各5mLの亜鉛前駆体溶液(Zn−1又はZn−2)に、5mLの各配位子溶液(L6)、(L7)、(L8)、(L9)、(L10)、(L11)、又は(L12)を、25℃の室温(RT)で撹拌しながらゆっくりと加えた。室温で30分間撹拌した後、各溶液を50℃で2時間加熱した。得られた反応生成物は、実施例11で触媒活性を試験した0.1M亜鉛触媒溶液であった。
実施例11において、DMS−S21(3g、又は1.43mmolのSi−OH)及びHMS−992(0.085g又は1.36mmolのSi−H)並びに0.24g(又は0.30mL)の亜鉛触媒溶液(0.03mmol)を、20mLバイアル瓶に入れた。得られた溶液を、磁気棒で撹拌し、120℃で加熱した。各溶液の粘度は水素ガス発生と共に増大し、最終的に各溶液は硬化した。溶液が粘稠になり、磁気棒の撹拌が停止するまでの時間を記録し、触媒の活性を識別するために使用した。結果を下の表に示す。比較の目的で、各Zn前駆体、各配位子、及び市販のスズ触媒(ジブチルスズジアセテート、0.05M、0.48g)も、この方法で評価した。表9は、実施例10で使用した金属前駆体及び配位子並びに実施例11で得られた硬化時間を示す。