JP2017500403A - ピッチ系炭素繊維を含むゴム組成物に基づくトレッドを含むタイヤ - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくともエラストマーマトリックス、補強用充填剤、ピッチ系炭素繊維に基づくゴム組成物を含むトレッドを含むタイヤに関し、zは、走行面と接触していることを意図したトレッド表面に垂直な方向であり、xおよびyはzと直交する2つの方向であり、xはタイヤの円周方向、yはタイヤが回転する軸に対して軸方向であり、Cx、CyおよびCzは、それぞれx、yおよびz方向において硬化状態のトレッドの25℃で測定された熱拡散率であり、該タイヤは、2超の熱拡散率比Cz/CxおよびCz/Cyを有する。こうしたタイヤは、タイヤ製造での硬化工程の生産性とタイヤの摩耗性能との改善された妥協点を有する。

Description

本発明の分野は、タイヤ、特にタイヤトレッドである。
特に所望されるタイヤの性能の1つは、摩耗である。実際に走行面と接するトレッドは、実質的に摩耗現象を受ける、タイヤの一部である。トレッドの耐摩耗性を改善するために、比較的微細な充填剤で補強したゴムに基づく材料を通常は使用する。こうした比較的微細な補強用充填剤は、ほとんどの場合小さなサイズの物体、即ちサブミクロンサイズの物体である。反対にミクロンオーダーの粗大な物体を使用すると、通常はトレッドの耐摩耗性を減少させる影響がある。
タイヤの製造では、タイヤのゴム状成分の架橋、特に加硫処理を可能にするタイヤの硬化工程を要する。この硬化工程はタイヤの性能を決定する要素である。特に、架橋度はゴム状成分の性質を決定することになる。タイヤを製造する生産性向上を探求するため、タイヤのゴム状成分の所望する架橋度に影響することなくこの硬化工程の時間を低減できることは有益である。この問題の1つの解決策は、タイヤのゴム状成分の組成物に例えば熱伝導性物体を導入して、タイヤの或るゴム状成分を熱伝導性にすることである。熱伝導性物体の中で、例えばカーボンナノチューブ、炭化ケイ素繊維および炭素繊維を挙げることができる。しかしながら炭素繊維は、特にミクロンオーダーで粗大な物体であるという欠点を有する。その結果、トレッド用ゴム組成物に炭素繊維を使用すると、非常に多くの場合にトレッドの耐摩耗性が大幅に削減される結果となる。
タイヤのトレッドにおいて特定の様式で配向した特定の炭素繊維を使用すると、トレッドの熱伝導性と耐摩耗性との改善された妥協点を提供することができ、さらに言えば、例えばタイヤのグリップ性などの他の性能が有意に損なわれることがないことを、本出願人である当社は発見した。
従って、本発明の第1の主題は、少なくとも以下に基づくゴム組成物:
・エラストマーマトリックス、
・補強用充填剤
・ピッチ系(ex-pitch)炭素繊維、
であって、可塑剤を含んでいてもよい前記ゴム組成物を含むトレッドを備えるタイヤであって、
zは、走行面と接触していることを意図したトレッド表面に垂直な方向であり、xおよびyはzと直交する2つの方向であり、xはタイヤの円周方向であり、yはタイヤの回転軸に対して軸方向であり、Cx、CyおよびCzは、それぞれx、yおよびz方向において硬化状態のトレッドの25℃で測定された熱拡散率であり、
2超の熱拡散率比Cz/CxおよびCz/Cyを有するタイヤである。
本発明の別の主題は、本発明によるタイヤの製造方法である。
本発明の別の主題は、本発明によるタイヤのトレッドと同じゴム組成物からなる層であって、この層は2超の熱拡散率比C’z’/C’x’およびC’z’/C’y’を有し、
・C’x’、C’y’およびC’z’はそれぞれx’、y’およびz’方向における硬化状態の層の25℃で測定された熱拡散率であって、
・x’、y’およびz’は互いに直交する方向で、z’は炭素繊維の優先的方向である。
本発明の別の主題は、本発明による層の製造方法である。
本発明の別の主題は、タイヤのトレッドまたはトレッド部分であって、このトレッドまたはトレッド部分は、本発明による層を並べることにより形成される。層はx’方向と垂直な層面に沿って取り付けられ、x’は方向y’およびz’により定義される各層(y’z’)の中央平面(midplane)と直交し、方向z’はタイヤの半径方向と一致する。
I−本発明の詳細な説明
本説明において、別途明示されない限り、示される全ての百分率(%)は、質量%である。略号「phr」は、ゴム組成物のエラストマーマトリックス100質量部に対する質量部を表わし、エラストマーマトリックスはゴム組成物中に存在するエラストマーの全てからなる。
さらに、表現「aとbの間」により示される値の任意の範囲は、「a」より多く「b」より少ない値の範囲(即ち、境界値aおよびbを除く)を表わし、一方、表現「aからbまで」により示される値の任意の範囲は、「a」から「b」までの値の範囲(即ち、厳密な境界値aおよびbを含む)を意味する。
「〜に基づく」組成物という表現は、本記載においては、使用する様々な成分の混合物および/またはインサイツ反応生成物を含む組成物を意味する。いくつかのこうしたベース成分(例えば、エラストマー、充填剤または、タイヤ製造を意図するゴム組成物に従来から使用される他の添加物)は、タイヤ製造を意図する組成物製造の様々な段階の間に、少なくとも部分的に、互いに反応するまたは反応を意図することができる。
方向zは、走行面と接することを意図するトレッド表面と垂直であり、xおよびyはzと直交する2つの方向で、xはタイヤの円周方向、yはタイヤが回転する軸に対して軸方向であると定義される。Cx、CyおよびCzはそれぞれx、yおよびz方向における硬化状態のトレッドの熱拡散率である。これらは規格ASTM E 1641により25℃にて測定する。
25℃で測定する熱拡散率比、Cz/CxおよびCz/Cyは、2超、好ましくは3超、より好ましくは4以上である。これらの値の比によって、トレッド表面と垂直方向にあるピッチ系炭素繊維の優先的配向によってもたらされる、トレッドのある種の熱的異方性が特徴付けられる。
エラストマーマトリックスは、そのマクロ構造またはそのミクロ構造のために互いに異なる、1種または2種以上のエラストマーからなってもよい。エラストマーマトリックスはジエンエラストマーを含むことが好ましい。
用語「ジエン」エラストマー(さもなければゴム)は、少なくとも部分的に(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)ジエンモノマー単位(共役または非共役の2つの炭素−炭素二重結合を有するモノマー)からなる1つ(または複数)のエラストマーを既知の方法で意味すると理解されたい。
これらジエンエラストマーは、「本質的に不飽和な」または「本質的に飽和な」の2つの種類に分類することができる。「本質的に不飽和な」という表現は、ジエン(共役ジエン)を起源とする単位を15%(モル%)超の含有率で有する、共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味すると通常は理解される。従って、ブチルゴム、またはジエン/α−オレフィンのEPDM型コポリマーは上述の定義には該当せず、「本質的に飽和な」ジエンエラストマー(わずかまたはごくわずかな含量のジエンを起源とする単位で、常に15%未満)と特に記載することができる。「本質的に不飽和な」ジエンエラストマーの種類の中で、「高度に不飽和な」ジエンエラストマーとは、50%超のジエン(共役ジエン)を起源とする単位の含有率を有するジエンエラストマーを特に意味すると理解される。
こうした定義が与えられた上で、本発明による組成物に使用できるジエンエラストマーが、より具体的には以下を意味するものと理解されるであろう:
(a)共役ジエンモノマーの任意のホモポリマー、特に、4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合により得られる任意のホモポリマー;
(b)1種もしくは複数種の共役ジエン同士の、または8〜20個の炭素原子を有する1種もしくは複数種のビニル芳香族化合物との、共重合により得られる任意のコポリマー;
(c)エチレンおよび3〜6個の炭素原子を有するα−オレフィンと、6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーとの共重合により得られる三元コポリマー、例えば、エチレンおよびプロピレンと、特に1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンなどの上で述べたタイプの非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマー;
(d)イソブテンのコポリマーおよびイソプレン(ブチルゴム)のコポリマー、ならびにこのタイプのコポリマーのハロゲン化版、特に塩素化または臭素化版。
任意のタイプのジエンエラストマーに適用されるものの、タイヤ技術の当業者なら、本発明は特に上記タイプ(a)または(b)の本質的に不飽和なジエンエラストマーを用いることが好ましいことを理解するであろう。
タイプ(b)のコポリマーの場合、こうしたコポリマーは20質量%〜99質量%のジエン単位、および1質量%〜80質量%のビニル芳香族単位を含む。
以下は特に共役ジエンとして適当である:1,3−ブタジエン;2−メチル−1,3−ブタジエン;例えば2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、または2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエンなどの2,3−ジ(C1〜C5アルキル)−1,3−ブタジエン;アリール−1,3−ブタジエン;1,3−ペンタジエンまたは2,4−ヘキサジエン。
例えば以下はビニル芳香族化合物として適当である:スチレン、オルト−、メタ−またはパラ−メチルスチレン、α−メチルスチレン、「ビニルトルエン」市販混合物、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
好ましくは、ジエンエラストマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選択される本質的に不飽和なエラストマーである。以下はジエンエラストマーとして非常に特別に適当である:ポリブタジエン(BR)、ブタジエンとスチレンとのコポリマー(SBR)、天然ゴム(NR)、もしくは好ましくは90%超のモル含量のシス−1,4−結合を有する合成ポリイソプレン(IR)、またはこれらの混合物。
補強用充填剤としては、補強用と呼ばれ、タイヤの製造に使用できるゴム組成物を補強する能力が知られる任意のタイプの充填剤、例えば、カーボンブラックなどの有機充填剤、既知の方法でカップリング剤が結びついているシリカなどの補強用無機充填剤、さもなければこれら2つのタイプの充填剤の混合物を使用してよい。
こうした補強用充填剤は通常、その平均サイズ(質量で)が1マイクロメートル未満、通常は500nm未満、最も普通には20〜200nm、特により好ましくは20〜150nmのナノ粒子からなる。
全てのカーボンブラックはカーボンブラックとして適当であり、特にタイヤまたはタイヤのトレッド(タイヤ−グレードブラック)において従来から使用されているブラックが適当である。後者の中でも、100、200もしくは300シリーズの補強用カーボンブラック、または500、600、700シリーズ(ASTMグレード)のブラック、例えばN115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683またはN772ブラックなどが、より具体的には挙げられよう。こうしたカーボンブラックは市販されているように孤立した状態で使用してもよく、または任意の他の形、例えばいくつかの使用されるゴム添加物の担体として使用してもよい。
「補強用無機充填剤」という表現は、本明細書では、その色や起源(天然または合成)が何であれ、任意の無機または鉱物質の充填剤を意味すると理解すべきであり、また「白色充填剤」「クリアな充填剤」またはカーボンブラックと対比して「非ブラック充填剤」とさえも称される。こうした無機充填剤は、介在するカップリング剤以外には手段がなくても、そのもの単独で、タイヤ製造を意図するゴム組成物を補強することができ、言い換えれば、補強の役割を従来のタイヤ−グレードカーボンブラックから取って代わることができる。こうした充填剤は通常、既知の方法で、その表面に水酸基(−OH)が存在することで特徴付けられる。
珪質タイプ、好ましくはシリカ(SiO2)の鉱物質の充填剤が、補強用無機充填剤として特に適当である。使用するシリカは、当業者に知られる任意の補強用シリカでよく、特に、BET表面積およびCTAB比表面積のいずれもが450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/g、特に60〜300m2/gを有する任意の沈降シリカまたはヒュームドシリカでもよい。高分散性沈降シリカ(「HDSs」)として、例えばDegussa社によるUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ、Rhodia社によるZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ、PPG社によるHi−Sil EZ150Gシリカ、Huber社によるZeopol 8715、8745および8755シリカ、または出願WO03/016387に記載の高比表面積を備えたシリカを挙げることができる。
本記述において、BET比表面積は、「The Journal of the American Chemical Society」Vol. 60, page 309, February 1938に記載のBrunauer−Emmett−Teller法を使用するガス吸着による既知の方法、より具体的には、1996年12月のフランスの規格NF ISO 9277(多点(5点)体積法、ガス:窒素、脱ガス:160℃で1時間、相対圧p/po範囲:0.05〜0.17)により決定する。CTAB比表面積は、1987年11月のフランスの規格NF T 45−007(方法B)により決定する、表面層の面積である。
補強用無機充填剤が提供される物理状態は、それが粉末、ミクロパール、顆粒さもなければビーズの形態であれ、重要ではない。もちろん「補強用無機充填剤」という表現は、様々な補強用無機充填剤の混合物、特に上述した高分散性シリカを意味するとも理解される。
当業者は、別の性質の補強用充填剤、特にカーボンブラックなどの有機充填剤を、本節で述べた補強用無機充填剤と等価な充填剤として使用することができることを理解するであろう。この場合、この補強用充填剤が、シリカなどの無機層で覆われている、さもなければ表面に官能部位、特に水酸基の部位を含み、充填剤とエラストマーとの間の結合を確立するためにカップリング剤を使用する必要があることが前提である。例として、例えば特許文書WO96/37547およびWO99/28380に記載のタイヤ−グレードカーボンブラックを挙げることができる。
補強用充填剤には、カーボンブラック、無機充填剤、またはこれらの混合物を含むことができ、無機充填剤はシリカであることが好ましい。
本発明の1つの特別な実施形態によれば、無機充填剤、好ましくはシリカは、ゴム組成物の補強用充填剤の50質量%超を表わす。その場合、補強用無機充填剤が支配的であると言われる。
シリカなどの支配的な補強用無機充填剤と結びつけられる時、カーボンブラックは好ましくは20phr未満、より好ましくは10phr未満(例えば0.5〜20phr、特に2〜10phr)の含量で使用される。示した範囲で、補強用無機充填剤により提供される典型的な性能をさらに損なうことなく、カーボンブラックの着色特性(黒色顔料着色剤)および紫外線安定化特性の利益が得られる。
当業者であれば、ゴム組成物の目標とする用途に応じて、かつ、ゴム組成物中の可塑剤の量に応じて、ゴム組成物の加工性を達成できるようにするためにゴム組成物中の補強用充填剤全体の含量をどう調整するか知っている。その結果、可塑剤の含量範囲に対して、当業者は補強用充填剤の含量を適合させる。
補強用充填剤全体の含量は、好ましくは30〜180phr、より好ましくは40〜160phrである。30phr未満では、この組成物を含むタイヤのゴム状成分の粘着力または耐摩耗性の十分なレベルを提供するには、ゴム組成物の補強が不十分である恐れがある。180phrを超えると、ヒステリシスおよびそれによる回転抵抗の増加というリスクがある。さらにより好ましくは、補強用充填剤全体の含量は少なくとも50phrかつ最大で160phrである。有利には、特に乗用自動車タイヤのトレッドを意図する組成物では、補強用充填剤全体の含量は80〜140phrにわたる範囲内で変わる。補強用充填剤全体の含量のこうした範囲のいずれか1つは、本発明の実施形態のいずれか1つに適用される。
補強用無機充填剤をジエンエラストマーに結合するために、公知の方法で、少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)を使用する。これは、無機充填剤(その粒子の表面)とジエンエラストマーとの間の化学的および/または物理的性質の十分な結合部を提供する意図である。特に、少なくとも二官能性のオルガノシランまたはポリオルガノシロキサンが使用される。
特に、その特有の構造によって「対称の」または「非対称の」と称され、例えば出願WO03/002648(または米国特許出願公開第2005/016651号)およびWO03/002649(または米国特許出願公開第2005/016650号)に記載の、シランポリスルフィドが使用される。
以下の定義に限定されることはないが、一般式(V)に相当するシランポリスルフィドが特に適当である:
Z−A−Sx−A−Z (V)
[式中:
・Xは2〜8(好ましくは2〜5)の整数であり;
・符号Aは、同一でも異なってもよいが、二価の炭化水素ラジカル(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、より具体的にはC1〜C10、とりわけC1〜C4アルキレン、特にプロピレン)を表わし;
・符号Zは、同一でも異なってもよいが、以下の3つの式のうちの1つに相当する:
Figure 2017500403
[式中:
・ラジカルR1は、置換されていても置換されていなくてもよく、かつ互いに同一でも異なってもよく、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキルまたはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、とりわけC1〜C4アルキル基、より具体的にはメチルおよび/またはエチル)を表わし;
・ラジカルR2は、置換されていても置換されていなくてもよく、かつ互いに同一でも異なってもよく、C1〜C18アルコキシまたはC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1〜C8アルコキシおよびC5〜C8シクロアルコキシから選択される基、さらにより好ましくはC1〜C4アルコキシから選択される基、特にメトキシおよびエトキシ)を表わす]]
上記式(I)に相当するアルコキシシランポリスルフィドの混合物の場合、特に標準的に市販されている混合物であり、表示の「x」の平均値は好ましくは2〜5の間、より好ましくは約4の分数である。しかし本発明は、例えばアルコキシシランジスルフィド(x=2)でも有利に実施できる。
シランポリスルフィドの例として、より具体的には、ビス((C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)、例えばビス(3−トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを挙げることができる。これらの化合物の中で、式[(C25O)3Si(CH2322であり、TESPTと略されるビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または、式[(C25O)3Si(CH23S]2であり、TESPDと略されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが、特に使用される。
アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤の例として、二官能性POSs(ポリオルガノシロキサン)、さもなければ、特許出願WO02/30939(または米国特許第6774255号)、WO02/31041(または米国特許出願公開第2004/051210号)に記載のヒドロキシシランポリスルフィド、さもなければ、例えば特許出願WO2006/125532、WO2006/125533およびWO2006/125534に記載の、アゾジカルボニル官能基を有している、シランもしくはPOSsを挙げることができる。
カップリング剤の含量は20phr未満が有利であり、一般にそれを極力少なく使用することが望ましいと理解すべきである。典型的には、カップリング剤の含量は、無機充填剤の量に対して0.5質量%〜15質量%に相当する。その含量は、好ましくは0.5〜15phr、より好ましくは3〜13phrの範囲内である。この含量は、組成物中で使用する無機充填剤の含量に応じて、当業者により容易に調整される。
本発明の一実施形態によれば、ゴム組成物は可塑剤を含む。可塑剤は1種または複数種の可塑剤を意味すると理解すべきである。可塑剤は、液体可塑剤、樹脂またはこれらの混合物であってもよい。
「樹脂」という用語は、本出願において、当業者に既知の定義により、油などの液体可塑化化合物とは対照的に、室温(23℃)において固体である化合物に当てられる。
炭化水素樹脂は当業者によく知られたポリマーで、本質的に炭素と水素に基づくが、他の種類の元素を含んでもよく、ポリマーマトリックスでの可塑剤または粘着性付与剤として特に使用することができる。炭化水素樹脂は使用する含量において、真の希釈剤として作用するためにそれが意図するポリマー組成物と生来混和性がある(即ち共存可能)。炭化水素樹脂は、例えばR.Mildenberg、M.ZanderおよびG.Collin著の「Hydrocarbon Resins」という表題の書籍(New York, VCH, 1997, ISBN3-527-28617-9)に記載されており、第5章が、とりわけタイヤゴム分野における炭化水素樹脂の用途に当てられている(5.5「Rubber Tires and Mechanical Goods」)。炭化水素樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族でもよく、脂肪族/芳香族型、すなわち脂肪族および/または芳香族モノマーに基づくものでもよい。炭化水素樹脂は天然または合成であってもよく、石油系または非石油系(石油系なら、石油樹脂という名前でも知られる)であってもよい。炭化水素樹脂のTgは好ましくは0℃超であり、特に20℃超(ほとんどの場合30℃〜95℃)である。
既知の方法で、こうした炭化水素樹脂は、加熱により軟化し従って成形できるという意味で、熱可塑性樹脂とも表現することができる。炭化水素樹脂は軟化点によっても定義できる。炭化水素樹脂の軟化点は、Tg値より通常は約40〜60℃高い。軟化点は規格ISO 4625(「環球」法)により測定される。マクロ構造(Mw、MnおよびPDI)は、以下に示すサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定する。
念のため言えば、SEC分析は例えば、多孔質ゲルで満たされたカラムを通過する高分子の大きさによって、溶液中の高分子を分離することにある。分子はその流体力学的容積によって分離され、最も容積の大きいものが最初に溶出される。分析する試料は、単純に事前に適当な溶媒であるテトラヒドロフランに1g/リットルの濃度で溶解させる。次に溶液を0.45μm孔のフィルターでろ過し、続いて装置に注入する。使用する装置は例えば以下の条件による「Waters alliance」クロマトグラフィー系統(line)である:
・溶出溶媒:テトラヒドロフラン
・温度:35℃
・濃度:1g/リットル
・流速:1ml/分
・注入量:100μl
・ポリスチレン標準物質によるムーア較正(Moore calibration)
・「Waters」カラム直列3本セット(「Styragel HR4E」、「Styragel HR1」および「Styragel HR0.5」)
・示差屈折計(例えば「WATERS 2410」)による検出、これは操作用ソフトウエア(例えば「Waters Millenium」)を装備してもよい。
ムーア較正は、低PDI(1.2未満)を備え、モル質量が既知で、分析すべき質量範囲を包含する一連の市販ポリスチレン標準物質を用いて実施する。質量平均モル質量(Mw)、数平均モル質量(Mn)、さらに多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を、記録データ(モル質量の質量分布曲線)から導き出す。
本出願で示されるモル質量の全ての値は、従ってポリスチレン標準物質により作られる較正曲線に関連する。
本発明の好ましい一実施形態によれば、炭化水素樹脂は以下の特徴の少なくともいずれか1つ、より好ましくは全てを有する:
・25℃超(特に30℃〜100℃)、より好ましくは30℃超(特に30℃〜95℃)のTg:
・50℃超(特に50℃〜150℃)の軟化点;
・400〜2000g/モル、好ましくは500〜1500g/モルの数平均モル質量;
・3未満、好ましくは2未満の多分散性指数(PDI)(念のため:PDI=Mw/Mn、Mwは質量平均モル質量)。
これら炭化水素樹脂の例として、シクロペンタジエン(CPDと略す)ホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPDと略す)ホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、テルペンホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、C9留分ホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、α−メチルスチレンホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選択されるものを挙げることができる。上記コポリマー樹脂の中で、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、(D)CPD/C9留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選択されるものを特に挙げることができる。
ここで用語「テルペン」は、既知の通り、α−ピネンモノマー、β−ピネンモノマーおよびリモネンモノマーを兼ねている。リモネンモノマーを使用することが好ましく、この化合物は、既知の通り、以下の3種の可能な異性体の形で存在する:L−リモネン(左旋性鏡像異性体)、D−リモネン(右旋性鏡像異性体)、さもなければジペンテン(右旋性と左旋性鏡像異性体のラセミ体)。適当なビニル芳香族モノマーとしては、例えば:スチレン、α−メチルスチレン、オルト−、メタ−またはパラ−メチルスチレン、ビニル−トルエン、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、またはC9留分(またはより一般的にC8〜C10留分)由来のビニル芳香族モノマーがある。
より具体的には、(D)CPDホモポリマー樹脂、(D)CPD/スチレンコポリマー樹脂、ポリリモネン樹脂、リモネン/スチレンコポリマー樹脂、リモネン/D(CPD)コポリマー樹脂、C5留分/スチレンコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選択される樹脂を挙げることができる。
上記全ての樹脂は当業者にはよく知られており、市販されている。例えば、DRT社から「Dercolyte」という名称でポリモネン樹脂が、Neville Chemical 社から「Super Nevtac」という名称で、Kolon社から「Hikorez」という名称で、もしくはExxon Mobil社から「Escorez」という名称でC5留分/スチレン樹脂もしくはC5留分/C9留分樹脂が、さもなければStruktol社から「40 MS」もしくは「40 NS」という名称(芳香族および/または脂肪族樹脂の混合物)で、販売されている。
ジエンエラストマーに対して可塑性を与える性質が知られる任意の液体可塑剤、特に油、を使用することができる。室温(23℃)において、こうした可塑剤またはこうした油は、多かれ少なかれ粘性であり、液体(念のため言えば、最後には容器の形状をとる能力を有した物質)である。これは、特に室温で生来固体であって、可塑性を与える炭化水素樹脂とは対照的である。
液体ジエンポリマー、ポリオレフィン油、ナフタレン油、パラフィン油、DAE油、MES(中度抽出溶媒和物(Medium Extracted Solvate))油、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物(Treated Distillate Aromatic Extract))油、RAE(残留芳香族抽出物(Residual Aromatic Extract))油、TRAE(処理残留芳香族抽出物(Treated Residual Aromatic Extract))油およびSRAE(安全残留芳香族抽出物(Safety Residual Aromatic Extract))油、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤、スルホネート可塑剤およびこれら化合物の混合物からなる群から選択される液体可塑剤は、特に適する。より好ましい実施形態によれば、液体可塑剤は、MES油、TDAE油、ナフタレン油、植物油およびこれらの混合物からなる群から選択される。
ゴム組成物中における、可塑剤すなわち液体可塑剤もしくは樹脂または混合物の含量は、ゴム組成物に導入される補強用充填剤およびピッチ系炭素繊維の量に応じて大きく変わる可能性があるが、例えばエラストマーマトリックスの粘度に応じても、また未硬化および硬化状態でのゴム組成物の剛性の所望レベルによっても大きく変わり得る。可塑剤の量は、選択する希釈比によって決まる。希釈比とは、可塑剤の質量と、可塑剤およびエラストマーマトリックスの質量の合計との比を意味すると理解される。
本発明の一実施形態によれば、ゴム組成物中の可塑剤の量は、希釈比が0.35超を達成するように調整される。希釈比は好ましくは0.35〜0.60、より好ましくは0.35〜0.55である。トレッド表面と垂直な方向にピッチ系炭素繊維を優先的に配向させることによってもたらされるタイヤトレッドの異方性が原因で、本発明によるタイヤトレッドは、x,y,z方向に異なる剛性を有する。これら剛性の間の妥協点を達成するために、希釈比によってこれら剛性を調整することが可能になる。この妥協点の最適化によって、今度はタイヤの動き方を最適化することが可能になる。
ピッチ系炭素繊維は、例えば石炭系または石油系ピッチなどのピッチに由来し、以下の方法によって調製することができる:第1の工程において、溶融紡糸の第1工程によりピッチを繊維状前駆体に変換し、こうした繊維状前駆体を通常は次に酸化性雰囲気下での熱処理(100〜400℃)により熱安定化し、続いて、不活性の炭素化雰囲気下(1000〜1600℃)さらに黒鉛化雰囲気下(2500〜3000℃)でより高温の処理を受ける。ピッチ系炭素繊維の製造方法は、例えば、定期刊行物「Nippon Steel Technical Report, No. 59, October 1993, page 65」、または参考図書「Cabon Fibers」; 1998; 3rd edition; Donnet, J.-B., Wang, T. K., Rebouillat, S., Peng, J. C. M.など、広範に記載されている。
ピッチ系炭素繊維は、通常少なくとも1ミクロンの繊維径により特徴付けられる物体である。その直径は1μm〜50μm、好ましくは3μm〜20μm、より好ましくは5μm〜15μmで変わり得る。ピッチ系炭素繊維のこうした優先的な直径の範囲は、本発明のいずれか1つの実施形態に適用される。
ピッチ系炭素繊維は広範に変わる長さを有しうる。ピッチ系炭素繊維の長さの選択は、通常は供給者により提供される製品に制限される。様々な原料を配合ツールに導入できなければならないため、ピッチ系炭素繊維の長さが、ゴム組成物の様々な原料を混合する配合装置の寸法に制限されるということも、当業者は知っている。例えば、本発明の実施形態に関係なく、100ミクロン〜数ミリメートル、例えば50μm〜30mm、または50μm〜3mmの範囲の数量平均長さを有するピッチ系炭素繊維が適当である。好ましくは50μm〜500μm、より好ましくは50μm〜250μmで変わる長さを有する炭素繊維が使用される。ピッチ系炭素繊維のこうした優先的長さの範囲が、本発明のいずれか1つの実施形態に適用される。通常はチョップトファイバーまたはミルドファイバーが使用される。
ピッチ系炭素繊維の平均長さは、II.1.3節に記載の、より具体的には小節ii)に記載の第2の操作から始まる方法によって決定する。
ピッチ系炭素繊維をゴム組成物の他の原料と配合する間、機械的動作はピッチ系炭素繊維を、元の長さ即ち配合する前に有していた長さより短い長さに切断することになる。ゴム組成物中のピッチ系炭素繊維の数量平均長さは、50μm〜250μmの範囲でよい。
記載の複数の実施形態に適用できる、本発明の一実施形態によれば、ゴム組成物中におけるピッチ系炭素繊維の体積分率は、1〜15%にわたる範囲内で変わる。好ましくは、この体積分率は3〜12%にわたる範囲で変わる。ピッチ系炭素繊維の体積分率は、ピッチ系炭素繊維の体積とゴム組成物の全成分の体積との比であると定義され、全成分の体積はゴム組成物の各成分の体積を加算して計算されると解釈される。1%未満では、タイヤの硬化時間を著しく低減できるようにするにはゴム組成物の伝導性が不十分であると見られる。15%超だと、タイヤの摩耗性能が悪影響を受け、またトレッドを構成するゴム組成物の剛性が過剰に高いためにタイヤのグリップ性にも悪影響を受ける。3〜12%の優先的な範囲によって、タイヤの熱伝導性と摩耗との妥協点をさらに最適化することができる。
ゴム組成物中のピッチ系炭素繊維の量は、その体積分率により決定され、そのためゴム組成物の他の成分の量、特にゴム組成物中の可塑剤の量に依存する。可塑剤の量によって、ゴム組成物の剛性およびその加工性を調整することができるので、ピッチ系炭素繊維の量は、ゴム組成物中でのピッチ系炭素繊維の目標とする体積分率によって、ならびにゴム組成物の目標とする剛性および粘度によって調整される。0.35〜0.60の範囲の希釈比に対して、炭素繊維の量は、ゴム組成物中でのピッチ系炭素繊維の目標とする体積分率、特に1〜15%を範囲とする体積分率、に依存して4〜160phrで変わる可能性がある。例えば、0.35の希釈比に対して、ゴム組成物中でのピッチ系炭素繊維の量は4〜100phrで変わる可能性がある。例えば、希釈比0.60に対して、ゴム組成物中でのピッチ系炭素繊維の量は、7〜160phrで変わる可能性がある。
本発明によるゴム組成物はまた、タイヤなどの仕上がったゴム物体の外部コンパウンドを形成する意図で、エラストマー組成物に慣習的に使用される普通の添加物の全てまたはいくつか、特にトレッドにおいては、顔料、オゾン防止ワックスなどの保護剤、化学的オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、抗疲労剤、架橋系、加硫促進剤もしくは加硫遅延剤、または加硫活性化剤を含んでもよい。本発明に記載の実施形態にかかわらず、架橋系は好ましくは硫黄に基づくが、硫黄供与体、過酸化物、ビスマレイミドまたはこれらの混合物に基づいてもよい。
ゴム組成物の成分配合は、当業者に周知の2つの連続する準備段階を使用して、適切なミキサーに従来の方法で実施してよい:最高温度が130℃〜200℃以下の高温で、熱機械的作業または混練する第1の段階(「非生産的」段階)、続いて、典型的には110℃未満、例えば40℃〜100℃の低温以下で、機械的作業の第2の段階(「生産的」段階)で、この間仕上げ段階である架橋系が組み入れられる。
本発明によるタイヤトレッドは、以下の工程を含む方法によって調製してもよい:
・コンパウンドを形成するために、エラストマーマトリックス、補強用充填剤、ピッチ系炭素繊維、および適切であれば可塑剤を混合する工程;
・z’がカレンダー処理の方向であって、互いに直交する2つの方向y’およびz’により規定される中央平面(y’z’)を有する層を形成するために、ピッチ系炭素繊維をカレンダー処理の方向に配向させるように、コンパウンドをカレンダー処理する工程;
・方向z’に垂直な切断面に沿って、同一の部分に層を切断する工程;
・部分を2つ1組で、中央平面(y’z’)に直交する方向x’に垂直な各々の面に沿って、並べることにより組み立てる工程。
層は多かれ少なかれ均一な組成物の領域であり、その厚みは面積に比べて薄いことを意味すると理解される。通常、層は2つの直交する方向y’およびz’により規定される中央平面(y’z’)を有する。方向x’は中央平面(y’z’)と直交する方向であると規定される。
タイヤは通常半径方向に外側から内に向かって、トレッド、クラウン補強、およびカーカス補強を含むが、タイヤを組み立てる間、ピッチ系炭素繊維がタイヤの回転軸に対して好ましくは半径方向に配向するように、トレッドはタイヤのクラウン補強の外側に半径方向に置くことができる。
本発明を実施する特定の条件に応じて、カレンダー処理工程の間、ピッチ系炭素繊維の配向がカレンダー処理の方向を得るように、層の厚みを調節する。ピッチ系炭素繊維の層中での配向は、典型的には加硫系の均質化後に、コンパウンドをカレンダーに数回、常に同じ方向に通過させることにより実施することができる。
あるいは、本発明によるタイヤトレッドは、切断および組み立て工程を、例えば米国特許第6,666,247号に記載されている層のジグザグ折り畳み法と置き換えることにより、上で記載した方法により調製することができる。
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明によるタイヤトレッドは、本発明の実施形態のいずれか1つにより記載のゴム組成物のみからなる。
本発明の別の主題である層は、本発明によるタイヤトレッドとして、同一のゴム組成物からなるという不可欠な特徴を有する。本発明による層はまた、熱拡散率比C’z’/C’x’およびC’z’/C’y’が2超を有する不可欠な特徴を有し、
・C’x’、C’y’およびC’z’は、硬化状態での25℃で測定した、それぞれx’、y’およびz’方向の層の熱拡散率であり、
・x’、y’およびz’は互いに直交する方向であり、z’は炭素繊維の優先的方向である。
本発明による層の実施形態にかかわらず、熱拡散率比C’z’/C’x’およびC’z’/C’y’は、これも25℃で測定され、好ましくは3超、より好ましくは4以上である。こうした優先的な比は、本発明の実施形態のいずれか1つにより規定される組成物からなる層に適用される。
本発明の1つの特別な実施形態によれば、y’およびz’は層の中央平面を規定し、x’は中央平面(y’z’)に直交する方向である。この実施形態を図1にて例証する。
この特別な実施形態によれば、本発明による層は、タイヤトレッドの要素として使用される。この場合、トレッドまたはトレッドの一部は、方向x’に垂直な層面に沿って組み立てられた本発明による層を並べることによって形成される。ここで、x’は方向y’およびz’により規定される各層(y’z’)の中央平面と直交する方向であり、方向z’はタイヤの半径方向と一致する。本発明のこの特別な実施形態によれば、x’は好ましくはタイヤの円周方向と一致する。
層は以下の工程を含む方法により調製することができる:
・エラストマーマトリックス、補強用充填剤、ピッチ系炭素繊維、および適切な場合可塑剤を、コンパウンドを形成するために混合する工程、
・ピッチ系炭素繊維がカレンダー処理の方向に配向するように層を形成するためにコンパウンドをカレンダー処理し、z’がカレンダー処理の方向と一致するようにする工程。
本発明の上述の特徴、および他の特徴についても、非限定的説明として与えられる本発明のいくつかの例示的実施形態の以下の記述を読めばより良く理解されるであろう。
II.本発明の例示的実施形態
II.1−使用した測定および試験:
II.1.1 摩耗試験:
各タイヤの耐摩耗性を、多数の湾曲部を有し、表面仕上げがミクロ粗さを特徴とする、摩耗用の苛酷なサーキットを、平均速度77km/時で、トレッドの溝に位置する摩耗コントロールに摩耗が達するまで走行させた後、残存ゴムの高さの関数である相対摩耗指数によって決定した。各例に対して、研究用トレッドの残存ゴムの高さを、対照トレッドの残存ゴムの高さと比較することにより、この相対摩耗指数を得た。ここで、対照トレッドは、定義により100の摩耗指数を有するものとする。
II.1.2 熱拡散率:
熱拡散率は、規格ASTM E 1641によって、25℃にて決定した。
層CAまたはCBの熱拡散率は、コントロールとみなす層CTに対するベースの100と比較して表現する。その値が100より高いほど、想定する方向でのスラブの伝導性が大きい。
z’の方向が層の表面と垂直方向であり、カレンダー処理の方向に相当することを知った上で、層の熱的異方性を比C’z’/C’x’およびC’z’/C’y’により表現する。
II.1.3 顕微鏡解析:
ゴム組成物中の炭素繊維の数量平均長さを、以下に記載する方法により決定する。寸法は、以下にいくつかの工程で記載する手順に従って測定する。ゴム組成物の成分を配合した後、かつ加硫の後に、ゴム組成物により形成された物体をコンパウンドと称する。
II.1.3.i)
第1の工程は、以下の手順に従って進めることにより、コンパウンドから炭素繊維を抽出することにある:
・コンパウンドを小片に切断し、次に、油、樹脂、ワックス、酸化防止剤他などの添加剤を極力除去するために、アセトン抽出を行う。
・クラッキングにより有機物質:ポリマー、硫黄ネットワーク、加速剤、残留可塑剤他、を除去するために、コンパウンドを次に不活性雰囲気下(N2)550℃にて熱分解する。
・次に得られる残渣には、炭素繊維、カーボンブラックおよび、コンパウンドに最初から存在する(シリカなど)または熱分解中に形成されることがある鉱物質の生成物が含まれる。
II.1.3.ii)
第2の工程は、以下の手順に従って進めることにより、試料を走査型電子顕微鏡(SEM)に配置する準備をすることにある:
・第1の工程の最後に、炭素繊維を含む燃焼残渣が回収される。繊維同士を分離するために、こうした残渣を乳鉢と乳棒を使用してごくわずかに加圧する。
・こうして炭素繊維を、カーボン接着テープを備える試料ホルダーに回収する。抽出した繊維に、カーボン接着テープを有するアルミニウム試料ホルダーを直接貼ることも可能である。
・次に、顕微鏡の鏡筒に損傷を与えるかもしれない浮遊繊維を除去するために、試料に乾燥空気を吹き付ける。
II.1.3.iii)
第3の工程は、炭素繊維の寸法を決定することにある:
・FEI Quanta 400顕微鏡上の走査型電子顕微鏡(FEG−SEM)により、低真空モードにて試料を観察する。トポグラフィーコントラストで観察を行う。全ての寸法範囲を走査するために、1mm、または2mmでさえも、500μmおよび250μmの視野幅で動作する。
・いったん観察をしたら、AnalySIS画像処理ソフトウエアによって長さ測定を実施する。試料のビットマップ観察を行う:試料ホルダーで約5mm2をカバーするために、500μmの観察視野とともに隣接視野を作り出す。ビットマップ画像をAnalySIS画像処理ソフトウエアを活用して再現する。コンパウンドから抽出した繊維のデータ特性(平均長さ、最短長さ、最長長さ、標準偏差、数の分布)を得るために、全ての結果を編集する。各試料に対して、少なくとも50の物体を測定する。
II.2−ゴム組成物の調製:
組成物T、AおよびBの配合(phr)を表1に記載する。
組成物AおよびBはいずれも炭素繊維を体積分率で10%含む。組成物AがPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維を含み、組成物Bがピッチ系炭素繊維を含む点が異なる。組成物Tは、炭素繊維を含まない点で、組成物AおよびBと異なる。
組成物A、BおよびTの希釈比は同じ(0.4)である。
組成物は、以下の手順に従って組成物の成分を熱的に混練することにより調製する:
これらの組成物を以下の方法で製造する:エラストマー、補強用充填剤、カップリング剤、可塑剤、炭素繊維および様々な他の原料を、加硫系は含めずに、初期容器温度が約80℃の密閉型ミキサー(最終充填率:約70体積%)、に導入する。次に熱機械的作業(非生産的段階)を1工程で実施する。これは、最大「降下」温度が約160℃に達するまで、約5〜6分間続く。こうして得られたコンパウンドを回収し、冷却し、次に全てのものを適切な時間(例えば5〜12分)混合する(生産的段階)ことにより、硫黄およびスルフェンアミド促進剤を、23℃にてミキサー(ホモフィニッシャー)で組み入れる。加硫系(硫黄およびスルフェンアミド)のこの均質化操作は、コンパウンドをロールの間に12回通過させることにあり、各回導入の方向を変える(コンパウンドをロールから回収し、それを折り畳み、通過させる方向を変えてロール間に再導入する)。
組成物AおよびBの場合は、加硫系の均質化の後、炭素繊維を(コンパウンドのシート内で)カレンダー処理の方向に配向させる目的で、コンパウンド導入の方向を変えることなく、さらに12回通過させることを実施する。
次に、それぞれが組成物T、AおよびBからなる層CT、CA、CBを試験片の形状に切断し、その後加硫する。層CAおよびCBから試験片を調製する場合、厚み寸法が2.5mmの試験片への層の寸法取りは、コンパウンドをカレンダー処理に通過させることにより、層の厚みを徐々に減少させることにより実施する。この際、ホモフィニッシャーでの炭素繊維の配向時に課された方向を保持する。
以下を決定するために、加硫された層を特徴付ける:
・層z’の表面に垂直な方向、互いにおよびz’に直交するx’およびy’方向に沿うそれぞれの熱拡散率、
・およびその熱的異方性
タイヤトレッドを形成するために、組成物A、BおよびTをそれぞれ層CA、CBおよびCTとして使用する。炭素繊維をタイヤの回転軸に対して半径方向に好ましくは配向させるために、層をタイヤのクラウン補強の外側で半径方向に配置する。切断および組み立て工程を使用する上記方法に従って、トレッドを製造する。
II.3−結果
結果を表2および表3に示す。
層CAおよびCBに対するゴム組成物中の炭素繊維の数量平均長さは、それぞれ172μmおよび100μmである。
熱拡散率および異方性:
層CAおよびCBの、比C’z’/C’x’およびC’z’/C’y’は、その熱的異方性およびカレンダー処理の方向での炭素繊維の優先的な配向をも示す。層CTではC’z’/C’x’およびC’z’/C’y’の値が1に等しいので、層CTが等方性であることが明確に確認される。
層CBは、層CAに比較して最善の熱拡散率と最高の熱的異方性の両方を有する材料を構成している。
摩耗:
層CAを使用して、非常に大きな塊形状の材料片のひき剥がれが非常に早期に観察され、摩耗試験は数量化不可能となった。この非常に早期でかつ大幅な劣化により、タイヤトレッドに使用する層CAはほとんど耐摩耗性を有しないことが証明される。他方、本発明による層CBを含むトレッドは、ある程度の耐摩耗性(指数で80)を有し、層CTを含むトレッドに対して確かにわずかに減少している。
本発明によるタイヤは、PAN系炭素繊維(ex-PAN carbon fibres)を含み本発明に従わないタイヤよりも、熱伝導性/摩耗のより優れた妥協点を提供することが観察される。さらに、本発明によるタイヤは、炭素繊維を含まない対照タイヤに比較して、熱伝導性/摩耗の改善された妥協点を有する。この妥協点の改善はまた、タイヤ生産での硬化工程の生産性とタイヤの摩耗性能の妥協点の改善をも可能にする。
Figure 2017500403
Figure 2017500403
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Claims (24)

  1. 少なくとも以下に基づくゴム組成物:
    ・エラストマーマトリックス、
    ・補強用充填剤、
    ・ピッチ系炭素繊維、
    であって、可塑剤を含んでいてもよい前記ゴム組成物を含むトレッドを備えるタイヤであって、
    zは、走行面と接触していることを意図したトレッド表面に垂直な方向であり、xおよびyはzに直交する2つの方向であり、xはタイヤの円周方向であり、yはタイヤの回転軸に対して軸方向であり、Cx、CyおよびCzは、それぞれx、yおよびz方向において硬化状態のトレッドの25℃で測定された熱拡散率であり、
    2超の熱拡散率比Cz/CxおよびCz/Cyを有するタイヤ。
  2. 前記エラストマーマトリックスがジエンエラストマーを含む、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ゴム組成物が可塑剤を含む、請求項1および2のいずれか1項に記載のタイヤ。
  4. 可塑剤の質量と、可塑剤およびエラストマーマトリックスの質量の合計との比が0.35超である、請求項3に記載のタイヤ。
  5. 可塑剤の質量と、可塑剤およびエラストマーマトリックスの質量の合計との比が0.35〜0.60、好ましくは0.35〜0.55である、請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記ピッチ系炭素繊維のゴム組成物中における体積分率が1〜15%にわたる範囲内で変わる、請求項1から5までのいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記ピッチ系炭素繊維のゴム組成物中における体積分率が3〜12%にわたる範囲内で変わる、請求項6に記載のタイヤ。
  8. 前記補強用充填剤がカーボンブラックを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載のタイヤ。
  9. 前記補強用充填剤が無機充填剤を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載のタイヤ。
  10. 前記無機充填剤がシリカである、請求項9に記載のタイヤ。
  11. 前記無機充填剤が補強用充填剤の50質量%超である、請求項9および10のいずれか1項に記載のタイヤ。
  12. 前記組成物がカップリング剤を含む、請求項9から11までのいずれか1項に記載のタイヤ。
  13. 前記カーボンブラックの含量が20phr未満、好ましくは10phr未満、より好ましくは2〜10phrである、請求項11および12のいずれか1項に記載のタイヤ。
  14. 前記ジエンエラストマーが、本質的に不飽和であり、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2から13までのいずれか1項に記載のタイヤ。
  15. 前記ジエンエラストマーが、SBR、ポリブタジエン、合成ポリイソプレン、天然ゴムまたはこれらの混合物である、請求項14に記載のタイヤ。
  16. 前記熱拡散率比Cz/CxおよびCz/Cyが3超である、請求項1から15までのいずれか1項に記載のタイヤ。
  17. 前記熱拡散率比Cz/CxおよびCz/Cyが4以上である、請求項16に記載のタイヤ。
  18. 請求項1から17までのいずれか1項に記載のタイヤを調製する方法であって、以下の工程:
    ・エラストマーマトリックス、補強用充填剤、ピッチ系炭素繊維、および適切であれば可塑剤を混合して、コンパウンドを形成する工程;
    ・コンパウンドをカレンダー処理して、互いに直交する2つの方向y’およびz’により規定される中央平面(y’z’)を有する層を形成する工程であり、z’がカレンダー処理の方向であり、ピッチ系炭素繊維をカレンダー処理の方向に配向させる工程;
    ・方向z’に垂直な切断面に沿って、同一の各部分に層を切断する工程;
    ・前記各部分を2つ1組で、中央平面(y’z’)に直交する方向x’に垂直な各面に沿って、並べることにより組み立てる工程
    を含む方法。
  19. 請求項1から17までのいずれか1項に記載のタイヤを調製する方法であって、以下の工程:
    ・エラストマーマトリックス、補強用充填剤、ピッチ系炭素繊維、および適切であれば可塑剤を混合して、コンパウンドを形成する工程;
    ・コンパウンドをカレンダー処理して、互いに直交する2つの方向y’およびz’により規定される中央平面(y’z’)を有する層を形成する工程であり、z’がカレンダー処理の方向であり、ピッチ系炭素繊維をカレンダー処理の方向に配向させる工程;
    ・層をジグザグに折り畳む工程
    を含む方法。
  20. 請求項1から17までのいずれか1項に規定されるゴム組成物からなる層であって、前記層が、2超の熱拡散率比C’z’/C’x’およびC’z’/C’y’を有し、
    ・C’x’、C’y’およびC’z’は、硬化状態での25℃で測定した、それぞれx’、y’およびz’方向の熱拡散率であり、
    ・x’、y’およびz’は互いに直交する方向であり、z’が炭素繊維の優先的方向である、層。
  21. y’およびz’が層の中央平面を規定し、x’が中央平面(y’z’)に直交する方向である、請求項20に記載の層。
  22. 請求項21により定義され、方向x’に垂直な面に沿って組み立てられた層を並べることにより形成され、方向z’はタイヤの半径方向と一致する、タイヤのトレッドまたはトレッドの一部。
  23. x’がタイヤの円周方向と一致する、請求項22に記載の、タイヤのトレッドまたはトレッドの一部。
  24. 請求項21に記載の層を調製する方法であって、以下の工程:
    ・エラストマーマトリックス、補強用充填剤、ピッチ系炭素繊維、および適切な場合可塑剤を混合して、コンパウンドを形成する工程、
    ・コンパウンドをカレンダー処理して、ピッチ系炭素繊維がカレンダー処理の方向に配向するように層を形成する工程であり、z’がカレンダー処理の方向と一致する工程
    を含む方法。
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