JP2013057041A - スタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物及びスタッドレスタイヤ - Google Patents

スタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物及びスタッドレスタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】氷上性能を改善できるとともに、耐久性にも優れたスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物及びスタッドレスタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、熱伝導率が100W/m・K以上の石炭ピッチ系炭素繊維を1〜50質量部含有するスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、スタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物、及びこれを用いたスタッドレスタイヤに関する。
氷雪路面走行用としてスパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーンの装着が行われてきたが、粉塵問題などの環境問題が発生するため、これらに代わる氷雪路面走行用タイヤとしてスタッドレスタイヤが開発されている。スタッドレスタイヤは、一般路面と比較して、摩擦力が低い氷雪路面で使用されるため、材料面および設計面での工夫がなされている。
スタッドレスタイヤの氷上性能を向上する手法として、キャップトレッドの熱伝導率を高める方法が知られているが、氷上性能の更なる向上が求められている。また、スタッドレスタイヤには氷上性能の他に、耐久性(耐摩耗性、破壊強度、破断伸びなど)などの一般的なタイヤ性能も要求される。
特許文献1では、炭素繊維の前駆体短繊維をトレッドに使用し、氷雪上に優れたスタッドレスタイヤが開示されているが、ベーストレッドについては検討されていない。
特開2004−34743号公報
本発明は、前記課題を解決し、氷上性能を改善できるとともに、耐久性にも優れたスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物及びスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量部に対して、熱伝導率が100W/m・K以上の石炭ピッチ系炭素繊維を1〜50質量部含有するスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物
に関する。
また、前記石炭ピッチ系炭素繊維は、平均繊維径が1〜80μm、平均繊維長が200μm〜30mmであることが好ましい。
前記スタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物は、熱伝導率が0.2W/m・K以上であることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するスタッドレスタイヤに関する。
本発明によれば、特定の熱伝導率の石炭ピッチ系炭素繊維を特定量配合したゴム組成物であるので、該ゴム組成物をスタッドレスタイヤのベーストレッドに適用することにより、氷上性能を改善できるとともに、優れた耐久性も得られる。
本発明のスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、熱伝導率が100W/m・K以上の石炭ピッチ系炭素繊維を1〜50質量部含有する。
氷上性能を向上する手法として、炭素繊維を用いてキャップトレッドの熱伝導率を高め、氷の融解を防止することが知られているが、同時にtanδが上昇してしまう。そのため、タイヤ自体、特にキャップトレッドの発熱が高くなり、氷の融解を促進してしまうため、結果的に効果的に氷上性能を改善できない。また、キャップトレッドに配合された炭素繊維は、硬質なひっかき素材として機能させることも可能であるが、その点が破壊起点となり、耐摩耗性が悪化するため、結果的にタイヤの耐久性が低下するおそれもある。
これに対し、本発明では、ベーストレッドに用いるゴム組成物に、高熱伝導率の石炭ピッチ系炭素繊維を特定量配合することで、ベーストレッドの熱伝導率を高め、キャップトレッドで生じた摩擦熱をベーストレッドに逃すことができる。この結果、キャップトレッドの発熱を抑え、氷の融解を抑制でき、氷上性能を改善できる。また、該石炭ピッチ系炭素繊維が内部部材のベーストレッドに配合されているので、その石炭ピッチ系炭素繊維がトレッド表面に突出せず、その点が破壊起点となることもない。従って、耐摩耗性の悪化も防止され、耐久性にも優れたタイヤが得られる。
本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴムが挙げられる。なかでも、スタッドレスタイヤは低温特性が重要であり、低温時のゴム硬度の上昇を抑制できるという理由から、NR、BRが好ましく、NR及びBRの併用がより好ましい。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150Bなどの高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617などのシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。
NRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。10質量%未満であると、加工性が悪化する傾向がある。NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、低温特性が充分に得られないおそれがある。
BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。10質量%未満であると、充分な氷上性能が得られないおそれがある。BRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
NR及びBRの合計含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%でもよい。80質量%未満であると、氷上性能とドライ路面での操縦安定性能の改善効果が充分に得られないおそれがある。
本発明では、特定の熱伝導率の石炭ピッチ系炭素繊維が使用される。該石炭ピッチ系炭素繊維は熱伝導率向上剤として配合できる。
石炭ピッチ系炭素繊維の熱伝導率は、100W/m・K以上であり、好ましくは300W/m・K以上、より好ましくは500W/m・K以上である。100W/m・K未満であると、キャップトレッドの発熱をベーストレッドに充分に逃すことができず、氷上性能の改善効果が充分に得られない傾向がある。一方、石炭ピッチ系炭素繊維の熱伝導率の上限は、特に限定されないが、例えば、2000W/m・K以下であり、好ましくは700W/m・K以下である。
ここで、石炭ピッチ系炭素繊維の熱伝導率は、JIS R1611−1997「ファインセラミックスのレーザフラッシュ法による、熱拡散率・比熱容量・熱伝導率試験方法」の熱伝導率試験方法に準じて測定される値である。
石炭ピッチ系炭素繊維は、ゴム中への分散、熱伝導向上の観点から、平均繊維径が1〜80μmであることが好ましい。平均繊維径の下限は、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。また、平均繊維径の上限は、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
また、石炭ピッチ系炭素繊維は、ゴム中への分散、熱伝導向上の観点から、平均繊維長が20μm〜60mmであることが好ましい。平均繊維長の下限は、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは200μm以上である。平均繊維長の上限は、より好ましくは30mm以下、更に好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。
なお、上記平均繊維径、平均繊維長は、例えば、電子顕微鏡で観察することにより測定できる。
石炭ピッチ系炭素繊維としては特に限定されないが、例えば、特開平7−331536号公報に記載の製法により得られるものが好適に用いられる。具体的には、ピッチ繊維を常法にしたがって不融化し、所望の温度で炭化及び/又は黒鉛化を行うことにより「原料となる炭素繊維」を得、次にその原料となる炭素繊維を予め黒鉛化処理されたパッキングコークスとともに黒鉛製のルツボの中に入れ黒鉛化処理することにより、石炭ピッチ系炭素繊維を製造できる。
なお、前記製法で使用されるピッチ繊維(紡糸ピッチ)としては、石炭系のコールタール、コールタールピッチ、石炭液化物などの炭素質原料(40%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上の光学的異方性組織を含むものが好適である)を用いて紡糸して得られるものが挙げられる。また、「原料となる炭素繊維」には、サイジング剤(エポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物など)を添着してもよい。
前記製法により、繊維軸方向の熱伝導率が100〜1500W/m・K、引張弾性率が85ton/mm以上、圧縮強度が35kg/mm以上であり、黒鉛結晶の積層厚みLcが30〜50nm、黒鉛結晶の層面方向の広がりLaとの比(La/Lc)が1.5倍以上であり、かつ繊維軸方向の断面のドメインサイズが500nm以下である石炭ピッチ系炭素繊維を製造でき、本発明で好適に使用できる。なお、引張弾性率、圧縮強度、Lc、La、ドメインサイズ、光学的異方性組織割合は、前記公報に記載の方法により測定できる。
前記製法による石炭ピッチ系炭素繊維は、分子の配向が一方向に規制された液晶(メソフェーズ)などを原料としているため、結晶化度が極めて高く、弾性率、熱伝導度が高い。
上記石炭ピッチ系炭素繊維は、多環芳香族分子骨格が層状に積み重なった構造を有するものが好ましい。石炭ピッチ系炭素繊維の市販品としては、三菱樹脂(株)製の「K6371T」、帝人(株)製のラヒーマR−A201、R−A301などが挙げられる。
前記石炭ピッチ系炭素繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。1質量部未満では、氷上性能の改善効果が充分に得られないおそれがある。また、石炭ピッチ系炭素繊維の含有量は、50質量部以下、好ましくは45質量部以下である。50質量部を超えると、石炭ピッチ系炭素繊維が破壊起点となり、耐久性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックを配合することにより、補強効果が得られ、本発明の効果が良好に得られる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は50m/g以上が好ましく、90m/g以上がより好ましい。50m/g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、氷上性能が低下するおそれがある。該NSAは、180m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。180m/gを超えると、分散させるのが困難となり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、50ml/100g以上が好ましく、110ml/100g以上がより好ましい。50ml/100g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、氷上性能が低下するおそれがある。また、カーボンブラックのDBPは、200ml/100g以下が好ましく、135ml/100g以下がより好ましい。200ml/100gを超えると、加工性が低下するおそれがある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは15質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。15質量部未満では、充分な耐久性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、分散性が悪化し、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
石炭ピッチ系炭素繊維及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。該合計含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、優れた氷上性能が得られ、耐久性、硬度も良好に得られる。
本発明のゴム組成物は、オイルを含有することが好ましい。これにより、良好な氷上性能が得られる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。なかでも、良好な氷上性能が得られるという点から、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、12質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、25質量部以上が更に好ましい。12質量部未満であると、充分な氷上性能が得られないおそれがある。該含有量は、80質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。80質量部を超えると、操縦安定性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、各種老化防止剤、ステアリン酸、亜鉛華、オイル、ワックス、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明のゴム組成物は、スタッドレスタイヤのベーストレッドとして用いられる。ベーストレッドとは、多層構造を有するトレッドの内層部であり、2層構造〔表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)〕からなるトレッドでは内面層である。
多層構造のトレッドは、シート状にしたものを、所定の形状に張り合わせる方法や、2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層以上に形成する方法により作製できる。
本発明のゴム組成物(加硫後)は、熱伝導率が0.2W/m・K以上であることが好ましく、0.4〜5W/m・Kであることがより好ましい。上記範囲内であると、優れた氷上性能が得られる。
なお、ゴム組成物(加硫後)の熱伝導率は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
本発明のスタッドレスタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でスタッドレスタイヤのベーストレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
NR:RSS#3
SBR:住友化学工業(株)製のSBR1502
BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック(N339):三菱化学(株)製のN339(NSA:96m/g、DBP:124ml/100g)
カーボンブラック(N220):キャボットジャパン(株)製のN220(NSA:111m/g、DBP:115ml/100g)
石炭ピッチ系炭素繊維(K6371T):三菱樹脂(株)製のK6371T(チョップドファイバー、平均繊維径:11μm、平均繊維長:6.3mm、熱伝導率:140W/m・K)
PAN系炭素繊維(TORAYCA MLD−30):東レ社製のTORAYCA MLD−30(熱伝導率:10W/m・K、平均繊維径:7μm、平均繊維長:30μm)
石炭ピッチ系炭素繊維(ラヒーマR−A301):帝人社製のラヒーマR−A301(熱伝導率:600W/m・K、平均繊維径:8μm、平均繊維長:200μm)
オイル1:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(アロマオイル)
オイル2:出光興産(株)製のPS−32(パラフィン系プロセスオイル)
亜鉛華1:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
亜鉛華2:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸1:日油(株)製のつばき
ステアリン酸2:日油(株)製の桐
老化防止剤1:住友化学(株)製のアンチゲン3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス1:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
ワックス2:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:住友化学(株)製のソクシールCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:住友化学(株)製のソクシールD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤3:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
表1〜2に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をベーストレッド形状に成形して、他のタイヤ部材とはりあわせ、150℃、25kgfの条件下で35分間加硫することにより、試験用スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15、DSXパターン)を作製した。
得られた加硫ゴム組成物及び試験用スタッドレスタイヤについて下記の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
(熱伝導率)
熱伝導率測定機(京都電子工業社製QTM−D3)を用いて、測定温度25℃、測定時間60秒の条件で、加硫ゴム組成物の試験片(縦100mm×横50mm×厚さ10mm、サンプルは均質、測定面は平滑)の熱伝導率(W/m・K)を測定した。数値が大きいほど熱伝導率が高いことを示す。
(Hs)
JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準じて、スプリング式タイプAにて硬度(JIS−A)を測定した。硬度の値が大きいほど硬度が高いことを示す。
(氷上性能)
試験用スタッドレスタイヤを国産2000ccのFR車に装着させ、下記条件で氷雪上において実車性能を評価した。
試験場所は、住友ゴム工業株式会社の北海道名寄テストコースで行い、気温は−1〜−6℃であった。
氷上性能(氷上制動停止距離):時速30km/hでロックブレーキを踏み停止させるまでに要した停止距離を測定した。そして、氷上性能指数は、比較例1、5をリファレンスとして、下記式から算出した。指数が大きいほど、氷上性能が優れることを示す。
(氷上性能指数)=(比較例1、5の停止距離)/(各配合の停止距離)×100
(耐久性)
試験用タイヤのベーストレッドから採取したゴム試験片をJIS K6251に準じて引張試験を行い、破断伸びを測定した。測定結果を、比較例1、5を100とした指数で示した。指数が大きいほどゴム強度が強く、タイヤ耐久性が良好であることを示す。
Figure 2013057041
Figure 2013057041
熱伝導率が100W/m・K以上の石炭ピッチ系炭素繊維(K6371T、ラヒーマR−A301)を特定量用いた実施例では、氷上性能が改善され、硬度、耐久性も良好に得られた。また、これら実施例で用いたゴム組成物の熱伝導率は比較的高かった。
一方、熱伝導率が低い炭素繊維(TORAYCA MLD−30、10W/m・K)を用いた場合、氷上性能は改善されなかった。また、石炭ピッチ系炭素繊維を多量に配合した比較例6、7では耐久性が低下した。

Claims (4)

  1. ゴム成分100質量部に対して、熱伝導率が100W/m・K以上の石炭ピッチ系炭素繊維を1〜50質量部含有するスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物。
  2. 前記石炭ピッチ系炭素繊維は、平均繊維径が1〜80μm、平均繊維長が200μm〜30mmである請求項1記載のスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物。
  3. 熱伝導率が0.2W/m・K以上である請求項1又は2記載のスタッドレスタイヤ用ベーストレッドゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するスタッドレスタイヤ。
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