以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
まず、図1を参照して、実施形態に係るノイズ対策部品1について説明する。図1は、実施形態に係るノイズ対策部品1の等価回路を示す図である。
ノイズ対策部品1は、差動伝送線路に設けられ、差動伝送線路を伝搬するノイズを抑制する部品である。ノイズには、差動伝送線路の一対の伝送線路において逆方向にノイズが流れるディファレンシャルモード(ノーマルモード)ノイズと、一対の伝送線路において同方向にノイズが流れるコモンモードノイズとがある。ノイズ対策部品1では、コモンモードノイズを抑制する。
ノイズ対策部品1は、コモンモードチョークコイル10と、第1オートトランス11と、第2オートトランス12とを一体化した複合部品である。ノイズ対策部品1は、6個の外部電極13〜18を備えている。ノイズ対策部品1は、コモンモードチョークコイル10の一方側に第1オートトランス11が設けられ、コモンモードチョークコイル10の他方側に第2オートトランス12が設けられている。
コモンモードチョークコイル10は、差動伝送線路を伝搬するコモンモードノイズを除去するフィルタである。コモンモードチョークコイル10は、一対の第1コイル10aと第2コイル10bを有しており、この2個のコイル10a,10bが磁気結合されている。
なお、コモンモードチョークコイル10は、モード変換特性によりディファレンシャルモード成分(例えば、ディファレンシャルモード信号、ディファレンシャルモードノイズ)をコモンモード成分に変換する場合がある。例えば、コモンモードチョークコイル10が実装される位置によっては特定の周波数帯(例えば、高周波数帯)でモード変換する場合がある。そのため、コモンモードチョークコイル10にディファレンシャルモード信号(差動信号)が入力されると、コモンモードチョークコイル10が持つモード変換特性によりコモンモードノイズを増加させてしまうおそれがある。そこで、ノイズ対策部品1は、このモード変換によるコモンモードノイズを抑制するために、コモンモードチョークコイル10の両側にオートトランス11,12を設けている。
第1オートトランス11は、コイル11aを有しており、コイル11aの中間部に中間タップ11bが設けられている。コイル11aの一端部11cは、コモンモードチョークコイル10の第1コイル10aの一端部10cに電気的に接続されている。コイル11aの他端部11dは、コモンモードチョークコイル10の第2コイル10bの一端部10dに電気的に接続されている。このように、第1オートトランス11は、コモンモードチョークコイル10の第1コイル10aの一端部10cと第2コイル10bの一端部10d間に接続される。なお、第1オートトランス11は、一端部11cから他端部11dまでのコイル11a全体が一次コイルであり、中間タップ11bから他端部11dまでのコイル11aの一部が二次コイルである。
第2オートトランス12は、コイル12aを有しており、コイル12aの中間部に中間タップ12bが設けられている。コイル12aの一端部12cは、コモンモードチョークコイル10の第1コイル10aの他端部10eに電気的に接続されている。コイル12aの他端部12dは、コモンモードチョークコイル10の第2コイル10bの他端部10fに電気的に接続されている。このように、第2オートトランス12は、コモンモードチョークコイル10の第1コイル10aの他端部10eと第2コイル10bの他端部10f間に接続される。なお、第2オートトランス12は、一端部12cから他端部12dまでのコイル12a全体が一次コイルであり、中間タップ12bから他端部12dまでのコイル12aの一部が二次コイルである。
第1外部電極13には、コモンモードチョークコイル10の第1コイル10aの一端部10cが電気的に接続されている。また、第1外部電極13には、第1オートトランス11のコイル11aの一端部11cが電気的に接続されている。
第2外部電極14には、コモンモードチョークコイル10の第2コイル10bの一端部10dが電気的に接続されている。また、第2外部電極14には、第1オートトランス11のコイル11aの他端部11dが電気的に接続されている。
第3外部電極15には、コモンモードチョークコイル10の第1コイル10aの他端部10eが電気的に接続されている。また、第3外部電極15には、第2オートトランス12のコイル12aの一端部12cが電気的に接続されている。
第4外部電極16には、コモンモードチョークコイル10の第2コイル10bの他端部10fが電気的に接続されている。また、第4外部電極16には、第2オートトランス12のコイル12aの他端部12dが接続されている。
第5外部電極17には、第1オートトランス11の中間タップ11bが接続されている。第6外部電極18には、第2オートトランス12の中間タップ12bが接続されている。
第1外部電極13、第2外部電極14及び第5外部電極17がコモンモードチョークコイル10の一方側(第1オートトランス11側)の外部電極であり、第3外部電極15、第4外部電極16及び第6外部電極18がコモンモードチョークコイル10の他方側(第2オートトランス12側)の外部電極である。また、第1外部電極13及び第3外部電極15が差動伝送線路の一方(D+)の伝送線路に接続される外部電極であり、第2外部電極14及び第4外部電極16が差動伝送線路の他方(D−)の伝送線路に接続される外部電極であり、第5外部電極17及び第6外部電極18が、例えば、コンデンサを介してグランドに接続される外部電極である。
図2を参照して、差動伝送線路4を伝搬するコモンモードノイズを抑制するために、ノイズ対策部品1を実装した場合について説明する。図2は、実施形態に係るノイズ対策部品1を実装した場合の回路図である。
差動伝送線路4は、差動信号(ディファレンシャルモード信号)を伝送する線路である。差動伝送線路4は、例えば、イーサネット(登録商標)などのLANの伝送路として用いられる。差動伝送線路4は、一対の伝送線路4a,4bによって構成される。差動伝送線路4には、ノイズ対策部品1が設けられている。なお、差動伝送線路4には、ノイズ対策部品1の一方側(第1オートトランス11側)又は/及び他方側(第2オートトランス12側)に絶縁用のパルストランスが設けられてもよい。
ノイズ対策部品1を実装する場合、6個の外部電極13〜18が以下に示すように接続される。第1外部電極13は、一方の伝送線路4aの一方側(第1オートトランス11側)の線路4cの一端に電気的に接続される。第2外部電極14は、他方の伝送線路4bの一方側の線路4dの一端に電気的に接続される。この伝送線路4a,4bの一方側の線路4c,4dの他端は、例えば、コネクタ5に電気的に接続される。
第3外部電極15は、一方の伝送線路4aの他方側(第2オートトランス12側)の線路4eの一端に電気的に接続される。第4外部電極16は、他方の伝送線路4bの他方側の線路4fの一端に電気的に接続される。この伝送線路4a,4bの他方側の線路4e,4fの他端は、例えば、コネクタ6に電気的に接続される。なお、コネクタ5,6間に接続される差動伝送線路4以外の他の差動伝送線路などについては図示を省略する。
第5外部電極17には、第1コンデンサ7の一端7a(一方の電極)が電気的に接続される。第1コンデンサ7の他端7b(他方の電極)は、グランドに接続される。第6外部電極18には、第2コンデンサ8の一端8a(一方の電極)が接続される。第2コンデンサ8の他端8b(他方の電極)は、グランドに接続される。
このように6個の外部電極13〜17が接続されることにより、ノイズ対策部品1のコモンモードチョークコイル10の第1コイル10aが、一方の伝送線路4a上に設けられる。コモンモードチョークコイル10の第2コイル10bが、他方の伝送線路4b上に設けられる。第1オートトランス11が、一方の伝送線路4aと他方の伝送線路4bとの間の一方側に設けられる。第2オートトランス12が、一方の伝送線路4aと他方の伝送線路4bとの間の他方側に設けられる。第1オートトランス11の中間タップ11bが、第1コンデンサ7を介してグランドに接続される。第2オートトランス12の中間タップ12bが、第2コンデンサ8を介してグランドに接続される。
このように実装されたノイズ対策部品1の作用について説明する。コネクタ5の差動伝送線路4が接続されている端子に送信回路が接続され、コネクタ6の差動伝送線路4が接続されている端子に受信回路が接続され、ノイズ対策部品1の一方側(コネクタ5側)からディファレンシャルモード信号が入力された場合、ノイズ対策部品1では、コモンモードチョークコイル10でディファレンシャルモード信号をコモンモードノイズに変換する場合がある。この場合、ノイズ対策部品1では、モード変換されたコモンモードノイズを第2オートトランス12の中間タップ12bから第2コンデンサ8を介してグランドに流す。
一方、コネクタ6の差動伝送線路4が接続されている端子に送信回路が接続され、コネクタ5の差動伝送線路4が接続されている端子に受信回路が接続され、ノイズ対策部品1の他方側(コネクタ6側)からディファレンシャルモード信号が入力された場合、ノイズ対策部品1では、コモンモードチョークコイル10でディファレンシャルモード信号をコモンモードノイズに変換する場合がある。この場合、ノイズ対策部品1では、このモード変換されたコモンモードノイズを第1オートトランス11の中間タップ11bから第1コンデンサ7を介してグランドに流す。
また、コネクタ5側から差動伝送線路4にコモンモードノイズが侵入し、ノイズ対策部品1の一方側からコモンモードノイズが入った場合、ノイズ対策部品1では、コモンモードチョークコイル10でコモンモードノイズを除去する。さらに、ノイズ対策部品1では、第1オートトランス11の中間タップ11bから第1コンデンサ7を介してコモンモードノイズをグランドに流すと共に、第2オートトランス12の中間タップ12bから第2コンデンサ8を介してコモンモードノイズをグランドに流す。
一方、コネクタ6側から差動伝送線路4にコモンモードノイズが侵入し、ノイズ対策部品1の他方側からコモンモードノイズが入った場合、コネクタ5側からコモンモードノイズが侵入した場合と同様に、ノイズ対策部品1では、コモンモードチョークコイル10でコモンモードノイズを除去すると共に、2個のオートトランス11,12でコモンモードノイズをグランドに流す。
図3〜図5を参照して、ノイズ対策部品1の効果を説明する。ここでは、ノイズ対策部品として実施形態に係るノイズ対策部品1を用いた場合と比較部品を用いた場合で各特性を比較することで効果を説明する。比較部品は、1個のコモンモードチョークコイルと1個のオートトランスからなる複合部品であり、コモンモードチョークコイルの一方側にのみオートトランスが設けられている。この比較部品は、例えば、図1に示す等価回路において第2オートトランス12が無いノイズ対策部品である。
比較する特性は、モード変換特性Scd12、モード変換特性Scd21、透過特性Scc21である。Scd12は、ノイズ対策部品に入力されたディファレンシャルモード成分がコモンモード成分として出力されるモード変換特性であり、入力側がノイズ対策部品のポート2側(例えば、第2オートトランス12側)であり、出力側がノイズ対策部品のポート1側(例えば、第1オートトランス11側)である。Scd21は、ノイズ対策部品に入力されたディファレンシャルモード成分がコモンモード成分として出力されるモード変換特性であり、入力側がノイズ対策部品のポート1側であり、出力側がノイズ対策部品のポート2側である。Scc21は、ノイズ対策部品に入力されたコモンモード成分がコモンモード成分として出力される透過特性であり、入力側がノイズ対策部品のポート1側であり、出力側がノイズ対策部品のポート2側である。
Scd12、Scd21は、小さいほどコモンモード成分にモード変換され難い(コモンモードノイズが出力され難い)ことを示す。Scc21は、小さいほどコモンモード成分が透過し難い(コモンモードノイズが出力され難い)ことを示す。
まず、図3を参照して、モード変換特性Scd12の比較例について説明する。図3は、ノイズ対策部品のモード変換特性Scd12の比較例を示す図である。図3では、横軸が周波数(MHz)であり、縦軸がScd12(dB)である。図3では、実線G1で示すグラフが実施形態に係るノイズ対策部品1のScd12を示しており、破線G2で示すグラフが比較部品のScd12を示している。このグラフG1とグラフG2を比較すると、実施形態に係るノイズ対策部品1と比較部品とで図3に示す略全周波数帯で同程度の値となっている。したがって、このポート2側からポート1側の方向の場合、ノイズ対策部品1を用いても、比較部品を用いても、モード変換によるコモンモードノイズが抑制される。この場合、ノイズ対策部品1、比較部品共にポート1側にオートトランスがあるので、ポート2側から入力したディファレンシャルモード成分がコモンモードチョークコイルでコモンモードノイズに変換された場合でも、ポート1側のオートトランスでコモンモードノイズを抑制することができる。
次に、図4を参照し、モード変換特性Scd21の比較例について説明する。図4は、ノイズ対策部品のモード変換特性Scd21の比較例を示す図である。図4では、横軸が周波数(MHz)であり、縦軸がScs21(dB)である。図4では、実線G3で示すグラフが実施形態に係るノイズ対策部品1のScd21を示しており、破線G4で示すグラフが比較部品のScd21を示している。このグラフG3とグラフG4を比較すると、実施形態に係るノイズ対策部品1のほうが比較部品よりも小さい値となっている周波数帯(主に、10MHz以上の高周波数帯)がある。したがって、このポート1側からポート2側の方向の場合、ノイズ対策部品1を用いたほうが、モード変換によるコモンモードノイズの増加が抑制される。この場合、ノイズ対策部品1は、ポート2側にもオートトランスがあるので、ポート1側から入力したディファレンシャルモード成分がコモンモードチョークコイルでコモンモードノイズに変換された場合でも、ポート2側のオートトランスでコモンモードノイズを抑制することができる。一方、比較部品は、ポート2側にオートトランスがないので、ポート1側から入力したディファレンシャルモード成分がコモンモードチョークコイルでコモンモードノイズに変換された場合には、そのコモンモードノイズを抑制することができない。
次に、図5を参照して、透過特性Scc21の比較例について説明する。図5は、ノイズ対策部品の透過特性Scc21の比較例を示す図である。図5では、横軸が周波数(MHz)であり、縦軸がScc21(dB)である。図5では、実線G5で示すグラフが実施形態に係るノイズ対策部品1のScc21を示しており、破線G6で示すグラフが比較部品のScc21を示している。このグラフG5とグラフG6を比較すると、実施形態に係るノイズ対策部品1のほうが比較部品よりも図5に示す略全周波数帯で小さい値となっている。したがって、ノイズ対策部品1を用いたほうが、コモンモードノイズが除去される。この場合、ノイズ対策部品1は、比較部品よりもオートトランスが1個多いので、コモンモードノイズをより多く除去することができる。なお、この比較例はコモンモードノイズがノイズ対策部品のポート1側から入力した場合の透過特性であるが、コモンモードノイズがノイズ対策部品のポート2側から入力した場合も同様の透過特性が得られる。
2つのモード変換特性Scd12,Scd21の比較例からも判るように、実施形態に係るノイズ対策部品1を用いた場合、両側からのディファレンシャルモード成分の入力に対して、モード変換によるコモンモードノイズを抑制することができる。また、透過特性Scc21の比較例からも判るように、実施形態に係るノイズ対策部品1を用いた場合、侵入したコモンモードノイズをより多く除去することができる。
実施形態に係るノイズ対策部品1によれば、コモンモードチョークコイル10の何れの側からディファレンシャルモード成分から入力された場合でもモード変換によるコモンモードノイズを抑制することができる。また、実施形態に係るノイズ対策部品1によれば、コモンモードチョークコイル10に加えて2個のオートトランス11,12を備えているので、侵入したコモンモードノイズの抑制効果を向上させることができる。
実施形態に係るノイズ対策部品1によれば、コモンモードチョークコイル10の両側にオートトランス11,12が設けられた対称構造となっているので、部品の方向性を考慮せずに実装でき、実装性に優れている。また、実施形態に係るノイズ対策部品1によれば、1個のコモンモードチョークコイル10と2個のオートトランス11,12を一体化した複合部品として構成されているので、小型化することできる。
次に、図6及び図7を参照して、実施形態に係るノイズ対策部品1の第1実施例として巻線型で構成したノイズ対策部品2について説明する。図6は、第1実施例の巻線型のノイズ対策部品2の斜視図である。図7は、図6に示すノイズ対策部品2であり、(a)が底面図であり、(b)が側面図である。
ノイズ対策部品2は、コモンモードチョークコイル20と、第1オートトランス21と、第2オートトランス22とを一体化した巻線型の部品である。ノイズ対策部品2は、6個の第1〜第6外部電極23〜28を備えている。ノイズ対策部品2は、コモンモードチョークコイル20の軸方向の一方側に第1オートトランス21が配置され、コモンモードチョークコイル20の軸方向の他方側に第2オートトランス22が配置されている。
コモンモードチョークコイル20は、第1磁性コア40と、第1巻線41と、第2巻線42と、第1天板43とによって構成される。第1磁性コア40は、第1巻芯部44と、一対の第1鍔部45及び第2鍔部46とからなる。
第1オートトランス21は、第2磁性コア50と、第3巻線51と、第4巻線52と、第2天板53とによって構成される。第2磁性コア50は、第2巻芯部54と、一対の第1鍔部45及び第3鍔部56とからなる。第1鍔部45は、第1オートトランス21とコモンモードチョークコイル20とで共用される。
第2オートトランス22は、第3磁性コア60と、第5巻線61と、第6巻線62と、第3天板63とによって構成される。第3磁性コア60は、第3巻芯部64と、一対の第2鍔部46及び第4鍔部66とからなる。第2鍔部46は、第2オートトランス22とコモンモードチョークコイル20とで共用される。
第1〜第3磁性コア40,50,60は、磁性体で形成され、例えば、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライトなどのフェライトで形成される。第1磁性コア40は、第1巻芯部44の軸方向の両端に一対の第1鍔部45及び第2鍔部46が配設されている。第2磁性コア50は、第2巻芯部54の軸方向の両端に一対の第1鍔部45及び第3鍔部56が配設されている。第3磁性コア60は、第3巻芯部64の軸方向の両端に一対の第2鍔部46及び第4鍔部66が配設されている。
第1〜第3巻芯部44,54,64は、例えば、円柱形状、角柱形状である。第1巻芯部44と第2巻芯部54と第3巻芯部64とは、略同軸上に配置される。第2巻芯部54は、第1鍔部45を挟んで、第1巻芯部44の軸方向の一方側に配置される。第3巻芯部64は、第2鍔部46を挟んで、第1巻芯部44の軸方向の他方側に配置される。
第1〜第4鍔部45,46,56,66は、同じ形状であり、例えば、直方体状である。第1〜第4鍔部45,46,56,66は、平行に配置される。第1鍔部45と第2鍔部46とは対向して配置され、第1鍔部45と第2鍔部46の対向する側面間に第1巻芯部44が設けられている。第1鍔部45と第3鍔部56とは対向して配置され、第1鍔部45と第3鍔部56の対向する側面間に第2巻芯部54が設けられている。第2鍔部46と第4鍔部66とは対向して配置され、第2鍔部46と第4鍔部66の対向する側面間に第3巻芯部64が設けられている。
第1〜第6巻線41,42,51,52,61,62は、例えば、銅線を絶縁膜で被覆してなるワイヤ(電線)が巻回されたものである。なお、図6、7では、第1巻線41、第3巻線51及び第5巻線61を白塗りで描いており、第2巻線42、第4巻線52及び第6巻線62を黒塗りで描いている。図6、7では見易くするために巻線41,42,51,52,61,62の各巻き数を実際よりも減らして、間隔を空けて描いているが、実際には巻線41,42,51,52,61,62は間隔を空けずに密に巻回されている。
第1巻線41は、第1巻芯部44の軸方向の一方側(例えば、第1鍔部45)から他方側(例えば、第2鍔部46)に巻回されている。この第1巻線41が、コモンモードチョークコイル20の第1コイルである。第1巻線41の一端部41aは、第1外部電極23上まで引き出されている。第1巻線41の他端部41bは、第3外部電極25上まで引き出されている。
第2巻線42は、第1巻芯部44の軸方向の一方側から他方側に巻回されている。この第2巻線42が、コモンモードチョークコイル20の第2コイルである。第2巻線42の一端部42aは、第2外部電極24上まで引き出されている。第2巻線42の他端部42bは、第4外部電極26上まで引き出されている。
一方側(例えば、第1鍔部45側)から他方側(例えば、第2鍔部46側)に巻回されている第1巻線41と一方側から他方側に巻回されている第2巻線42とは、巻回方向が同じである。第1巻線41と第2巻線42とは、巻き数が同じである。第1巻線41と第2巻線42とは、第1巻芯部44に平行に巻回されている。
第3巻線51は、第2巻芯部54の軸方向の一方側(例えば、第1鍔部45側)から他方側(例えば、第3鍔部56側)に巻回されている。第3巻線51の一端部51aは、第1外部電極23上まで引き出されている。第3巻線51の他端部51bは、第5外部電極27上まで引き出されている。
第4巻線52は、第2巻芯部54の軸方向の一方側から他方側に巻回されている。第4巻線52の一端部52aは、第2外部電極24上まで引き出されている。第4巻線52の他端部52bは、第5外部電極27上まで引き出されている。第5外部電極27で電気的に接続される第3巻線51及び第4巻線52が、第1オートトランス21の一次コイルである。第4巻線52が、第1オートトランス21の二次コイルである。
一方側(例えば、第1鍔部45側)から他方側(例えば、第3鍔部56側)に巻回されている第3巻線51と一方側から他方側に巻回されている第4巻線52とは、巻回方向が逆方向である。第3巻線51と第4巻線52とは、巻き数が同じであると好ましい。第3巻線51と第4巻線52とは、第2巻芯部54にクロス(交差)させて巻回されている。なお、第3巻線51と第4巻線52とが第3鍔部56の第5外部電極27で折り返されているとしてみた場合、一方側から他方側に巻回されている第3巻線51と他方側から一方側に巻回されている第4巻線52とは巻回方向が同じ方向となる。
第5巻線61は、第3巻芯部64の軸方向の一方側(例えば、第2鍔部46側)から他方側(例えば、第4鍔部66側)に巻回されている。第5巻線61の一端部61aは、第3電極25上まで引き出されている。第5巻線61の他端部61bは、第6外部電極28上まで引き出されている。
第6巻線62は、第3巻芯部64の軸方向の一方側から他方側に巻回されている。第6巻線62の一端部62aは、第4外部電極26上まで引き出されている。第6巻線62の他端部62bは、第6外部電極28上まで引き出されている。第6外部電極28で電気的に接続される第5巻線61及び第6巻線62が、第2オートトランス22の一次コイルである。第6巻線62が、第2オートトランス22の二次コイルである。
一方側(例えば、第2鍔部46側)から他方側(例えば、第4鍔部66側)に巻回されている第5巻線61と一方側から他方側に巻回されている第6巻線62とは、巻回方向が逆方向である。第5巻線61と第6巻線62とは、巻き数が同じであると好ましい。第5巻線61と第6巻線62とは、第3巻芯部64にクロス(交差)させて巻回されている。なお、第5巻線61と第6巻線62とが第4鍔部66の第6外部電極28で折り返されているとしてみた場合、一方側から他方側に巻回されている第5巻線61と他方側から一方側に巻回されている第6巻線62とは巻回方向が同じ方向となる。
なお、第1巻線41と第3巻線51と第5巻線61とは、同じワイヤ(1本のワイヤ)によって構成されてもよいし、あるいは、異なるワイヤ(3本のワイヤ)でそれぞれ構成されてもよい。第2巻線42と第4巻線52と第6巻線62とは、同じワイヤによって構成されてもよいし、あるいは、異なるワイヤでそれぞれ構成されてもよい。また、第1〜第6巻線41,42,51,52,61,62全てが、同じワイヤによって構成されてもよい。
第1〜第3天板43,53,63は、磁性体で形成された磁性板であり、例えば、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライトなどのフェライトで形成されている。第1〜第3天板43,53,63は、矩形の板状である。第1天板43は、第1鍔部45の頂面(上端面)と第2鍔部46の頂面間に架けられ、この各頂面に接合されている。第2天板53は、第1鍔部45の頂面と第3鍔部56の頂面間に架けられ、この各頂面に接合されている。第3天板63は、第2鍔部46の頂面と第4鍔部66の頂面間に架けられ、この各頂面に接合されている。
第1天板43と第2天板53とは、第1鍔部45の頂面において所定の間隔をあけて配置される。したがって、第1天板43と第2天板53との間には、隙間47がある。第1天板43と第3天板63とは、第2鍔部46の頂面において所定の間隔をあけて配置される。したがって、第1天板43と第3天板63との間には、隙間48がある。
第1〜第6外部電極23,24,25,26,27,28は、例えば、金属メッキ、金属ペーストの焼き付けにより形成されている。第1〜第6外部電極23,24,25,26,27,28は、例えば、矩形状である。
第1外部電極23は、第1鍔部45の底面(下端面)における幅方向(第1〜第3巻芯部44,54,64の軸方向に直交する方向)の一方側の端部に設けられる。第2外部電極24は、第1鍔部45の底面における幅方向の他方側の端部に設けられる。第3外部電極25は、第2鍔部46の底面における幅方向の一方側の端部に設けられる。第4外部電極26は、第2鍔部46の底面における幅方向の他方側の端部に設けられる。第5外部電極27は、第3鍔部56の底面における幅方向の中央部に設けられる。第6外部電極28は、第4鍔部66の底面における幅方向の中央部に設けられる。
第1外部電極23には、第1巻線41の一端部41aが電気的に接続されている。また、第1外部電極23には、第3巻線51の一端部51aが電気的に接続されている。したがって、第1外部電極23において、コモンモードチョークコイル20の第1巻線41の一端部41aと第1オートトランス21の第3巻線51の一端部51aとが電気的に接続される。
第2外部電極24には、第2巻線42の一端部42aが電気的に接続されている。また、第2外部電極24には、第4巻線52の一端部52aが電気的に接続されている。したがって、第2外部電極24において、コモンモードチョークコイル20の第2巻線42の一端部42aと第1オートトランス21の第4巻線52の一端部52aとが電気的に接続される。
第3外部電極25には、第1巻線41の他端部41bが電気的に接続されている。また、第3外部電極25には、第5巻線61の一端部61aが電気的に接続されている。したがって、第3外部電極25において、コモンモードチョークコイル20の第1巻線41の他端部41bと第2オートトランス22の第5巻線61の一端部61aとが電気的に接続される。
第4外部電極26には、第2巻線42の他端部42bが電気的に接続されている。また、第4外部電極26には、第6巻線62の一端部62aが電気的に接続されている。したがって、第4外部電極26において、コモンモードチョークコイル20の第2巻線42の他端部42bと第2オートトランス22の第6巻線62の一端部62aとが電気的に接続される。
第5外部電極27には、第3巻線51の他端部51bが電気的に接続されている。また、第5外部電極27には、第4巻線52の他端部52bが電気的に接続されている。したがって、第5外部電極27において、第1オートトランス21の第3巻線51の他端部51bと第4巻線52の他端部52bとが電気的に接続される。この第3巻線51の他端部51bと第4巻線52の他端部52bとの接続点が、第1オートトランス21の中間タップとなる。
第6外部電極28には、第5巻線61の他端部61bが電気的に接続されている。また、第6外部電極28には、第6巻線62の他端部62bが電気的に接続されている。したがって、第6外部電極28において、第2オートトランス22の第5巻線61の他端部61bと第6巻線62の他端部62bとが電気的に接続される。この第5巻線61の他端部61bと第6巻線62の他端部62bとの接続点が、第2オートトランス22の中間タップとなる。
一例としてこのような構造とすることで、巻線型のノイズ対策部品2を構成することができる。巻線型の場合、ノイズ対策部品2の高周波特性が優れ、高周波数帯のコモンモードノイズの抑制効果を向上させることができる。
ノイズ対策部品2は、3本の巻線41,51,61及び3本の巻線42,52,62がそれぞれ同じワイヤ(一方のワイヤ)で構成された場合、製造し易くなり、生産性を向上させることができる。また、ノイズ対策部品2は、第1天板43と第2天板53間及び第1天板43と第3天板63間に隙間46,47を設けているので、コモンモードチョークコイル20と各オートトランス21,22との間の磁気結合を抑制することができる。また、ノイズ対策部品2は、第1オートトランス21において第3巻線51と第4巻線52とを同じ巻き数とし、第2オートトランス22において第5巻線61と第6巻線62とを同じ巻き数とした場合、インピーダンスを抑えることができるので、各オートトランス20,21でコモンモードノイズをグランドに落とし易くなり、コモンモードノイズの抑制効果を向上させることができる。
次に、図8〜図12を参照して、実施形態に係るノイズ対策部品1の第2実施例として積層型(薄膜型)で構成したノイズ対策部品3について説明する。図8は、第2実施例の積層型のノイズ対策部品3の斜視図である。図9は、図8に示すノイズ対策部品3のコモンモードチョークコイル30の分解斜視図である。図10は、図8に示すノイズ対策部品3の第1オートトランス31の分解斜視図である。図11は、図8に示すノイズ対策部品3の第2オートトランス32の分解斜視図である。図12は、図8に示すノイズ対策部品3の分解斜視図である。図9、10、11の各右図及び図12は、内部のコイルパターンも示す透視図としている。
ノイズ対策部品3は、コモンモードチョークコイル30と第1オートトランス31と第2オートトランス32とを一体化した積層型(薄膜型)の部品である。ノイズ対策部品3は、6個の第1〜第6外部電極33〜38を備えている。ノイズ対策部品3は、第1オートトランス31が上下方向(積層方向)においてコモンモードチョークコイル30の上側に配置され、第2オートトランス32がコモンモードチョークコイル30の下側に配置されることにより、積層体39が形成されている。積層体39は、直方体形状である。ノイズ対策部品3は、積層体39の側面39aに第1外部電極33、第2外部電極34及び第5外部電極37が設けられ、側面39aに対向する側面39bに第3外部電極35、第4外部電極36及び第6外部電極38が設けられる。
コモンモードチョークコイル30は、図9に示すように、第1非磁性層(第1絶縁層)70と、一対の第1コイルパターン71及び第2コイルパターン72と、一対の第1磁性層73及び第2磁性層74とによって構成される。
第1オートトランス31は、図10に示すように、第2非磁性層(第2絶縁層)80と、一対の第3コイルパターン81及び第4コイルパターン82と、一対の第3磁性層83及び第4磁性層84とによって構成される。
第2オートトランス32は、図11に示すように、第3非磁性層(第3絶縁層)90と、一対の第5コイルパターン91及び第6コイルパターン92と、一対の第5磁性層93及び第6磁性層94とによって構成される。
第1〜第3非磁性層70,80,90は、非磁性の絶縁材料で形成され、例えば、ポリイミドで形成される。第1〜第3非磁性層70,80,90は、矩形の薄板状である。
第1〜第6コイルパターン71,72,81,82,91,92は、導体が螺旋状(スパイラル状)に巻回された導体パターンである。第1〜第6コイルパターン71,72,81,82,91,92は、例えば、内周端(巻き始め端)から外周端(巻き終わり端)にかけて時計周りに巻回される。第1〜第6コイルパターン71,72,81,82,91,92は、略同軸上に配置される。なお、図9〜12では、第1コイルパターン71、第3コイルパターン81及び第5コイルパターン91を白塗りで描いており、第2コイルパターン72、第4コイルパターン82及び第6コイルパターン92をドットパターン塗りで描いている。図9〜12では、見易くするために各コイルパターン71,72,81,82,91,92の巻き数を実際よりも減らして描いている。
第1コイルパターン71は、第1非磁性層70の一方の面(例えば、上面)に設けられる。この第1コイルパターン71が、コモンモードチョークコイル30の第1コイルである。第1コイルパターン71の一端部(内周端)には、ビアホール71aを介して引出パターン71bが接続されている。ビアホール71aは、第1磁性層73の内部の所定箇所まで厚み方向に貫通するビアホールである。引出パターン71bは、ビアホール71aから第1磁性層73の一端面(積層体39の側面39a)における左右方向(積層方向に直交する方向)の一方側(第1外部電極33が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。第1コイルパターン71の他端部(外周端)には、引出パターン71cが繋がっている。引出パターン71cは、第1非磁性層70の一方の面の端部(引出パターン71bの引き出し側とは反対側の端部、積層体39の側面39b)における左右方向の一方側(第3外部電極35が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。
第2コイルパターン72は、第1非磁性層70の他方の面(例えば、下面)に設けられる。第2コイルパターン72は、第1非磁性層70を挟んで第1コイルパターン71と対向する。この第2コイルパターン72が、コモンモードチョークコイル30の第2コイルである。第2コイルパターン72の一端部(内周端)には、ビアホール72aを介して引出パターン72bが接続されている。ビアホール72aは、第2磁性層74の内部の所定の箇所まで厚み方向に貫通するビアホールである。引出パターン72bは、ビアホール72aから第2磁性層74の一端面(積層体39の側面39a)における左右方向の他方側(第2外部電極34が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。第2コイルパターン72の他端部(外周端)には、引出パターン72cが繋がっている。引出パターン72cは、第1非磁性層70の他方の面の端部(引出パターン72bの引き出し側とは反対側の端部、積層体39の側面39b)における左右方向の他方側(第4外部電極36が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。
第1コイルパターン71と第2コイルパターン72とは、巻回方向が同じである。第1コイルパターン71と第2コイルパターン72とは、巻き数が同じである。
第3コイルパターン81は、第2非磁性層80の一方の面に設けられる。第3コイルパターン81の一端部(内周端)には、ビアホール81aを介して引出パターン81bが接続されている。ビアホール81aは、第3磁性層83の内部の所定の箇所まで厚み方向に貫通するビアホールである。引出パターン81bは、ビアホール81aから第3磁性層83の一端面(積層体39の側面39a)における左右方向の一方側(第1外部電極33が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。第3コイルパターン81の他端部(外周端)には、引出パターン81cが繋がっている。引出パターン81cは、第2非磁性層80の一方の面の端部(引出パターン81bの引き出し側と同じ側の端部、積層体39の側面39a)における左右方向の中間部(第5外部電極37が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。
第4コイルパターン82は、第2非磁性層80の他方の面に設けられる。第4コイルパターン82は、第2非磁性層80を挟んで第3コイルパターン81と対向する。第4コイルパターン82の一端部(内周端)には、ビアホール82aを介して引出パターン82bが接続されている。ビアホール82aは、第4磁性層84の内部の所定箇所まで厚み方向に貫通するビアホールである。引出パターン82bは、ビアホール82aから第4磁性層84の一端面(積層体39の側面39a)における左右方向の中間部(第5外部電極37が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。第4コイルパターン82の他端部(外周端)には、引出パターン82cが繋がっている。引出パターン82cは、第2非磁性層80の他方の面の端部(引出パターン82bの引き出し側と同じ側の端部、積層体39の側面39a)における左右方向の他方側(第2外部電極34が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。
第3コイルパターン81と第4コイルパターン82とは、巻回方向が同じである。第3コイルパターン81と第4コイルパターン82とは、巻き数が同数であると好ましい。第5外部電極37で電気的に接続される第3コイルパターン81及び第4コイルパターン82が、第1オートトランス31の一次コイルである。第4コイルパターン82が、第1オートトランス31の二次コイルである。
第5コイルパターン91は、第3非磁性層90の一方の面に設けられる。第5コイルパターン91の一端部(内周端)には、ビアホール91aを介して引出パターン91bが接続されている。ビアホール91aは、第5磁性層93の内部の所定箇所まで厚み方向に貫通するビアホールである。引出パターン91bは、ビアホール91aから第5磁性層93の他端面(積層体39の側面39b)における左右方向の一方側(第3外部電極35が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。第5コイルパターン91の他端部(外周端)には、引出パターン91cが繋がっている。引出パターン91cは、第3非磁性層90の一方の面の端部(引出パターン91bの引き出し側と同じ側の端部、積層体39の側面39b)における左右方向の中間部(第6外部電極38が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。
第6コイルパターン92は、第3非磁性層90の他方の面に設けられる。第6コイルパターン92は、第3非磁性層90を挟んで第5コイルパターン91と対向する。第6コイルパターン92の一端部(内周端)には、ビアホール92aを介して引出パターン92bが接続されている。ビアホール92aは、第6磁性層94の内部の所定の箇所まで厚み方向に貫通するビアホールである。引出パターン92bは、ビアホール92aから第6磁性層94の他端面(積層体39の側面39b)における左右方向の中間部(第6外部電極38が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。第6コイルパターン92の他端部(外周端)には、引出パターン92cが繋がっている。引出パターン92cは、第3非磁性層90の他方の面の端部(引出パターン92bの引き出し側と同じ側の端部、積層体39の側面39b)における左右方向の他方側(第4外部電極36が配置される箇所)まで引き出される導体パターンである。
第5コイルパターン91と第6コイルパターン92とは、巻回方向が同じである。第5コイルパターン91と第6コイルパターン92とは、巻き数が同じであると好ましい。第6外部電極38で電気的に接続される第5コイルパターン91及び第6コイルパターン92が、第2オートトランス32の一次コイルである。第6コイルパターン92が、第2オートトランス32の二次コイルである。
第1〜第6磁性層73,74,83,84,93,94は、磁性体で形成された磁性基板であり、例えば、フェライトで形成される。第1〜第6磁性層73,74,83,84,93,94は、矩形の薄板状である。
一対の第1磁性層73と第2磁性層74とは、一対の第1コイルパターン71及び第2コイルパターン72を挟んで対向する。第1磁性層73は、積層方向において第1コイルパターン71の上側に配置される。第2磁性層74は、積層方向において第2コイルパターン72の下側に配置される。
一対の第3磁性層83と第4磁性層84とは、一対の第3コイルパターン81及び第4コイルパターン82を挟んで対向する。第3磁性層83は、積層方向において第3コイルパターン81の上側に配置される。第4磁性層84は、積層方向において第4コイルパターン82の下側に配置される。この第1オートトランス31の第4磁性層84は、積層方向においてコモンモードチョークコイル30の第1磁性層73の上側に配置される。
一対の第5磁性層93と第6磁性層94とは、一対の第5コイルパターン91及び第6コイルパターン92を挟んで対向する。第5磁性層93は、積層方向において第5コイルパターン91の上側に配置される。この第2オートトランス32の第5磁性層93は、積層方向においてコモンモードチョークコイル30の第2磁性層74の下側に配置される。第6磁性層94は、積層方向において第6コイルパターン92の下側に配置される。
このように構成することで、積層体39には、下から順に、第6磁性層94、第6コイルパターン92、第3非磁性層90、第5コイルパターン91、第5磁性層93、第2磁性層74、第2コイルパターン72、第1非磁性層70、第1コイルパターン71、第1磁性層73、第4磁性層84、第4コイルパターン82、第2非磁性層80、第3コイルパターン81、第3磁性層83が積層されている。
第1外部電極33は、積層体39の側面39aの左右方向の一方側に設けられる。第2外部電極34は、積層体39の側面39aの左右方向の他方側に設けられる。第3外部電極35は、積層体39の側面39bの左右方向の一方側に設けられ、第1外部電極33と対向する。第4外部電極36は、積層体39の側面39bの左右方向の他方側に設けられ、第2外部電極34と対向する。第5外部電極37は、積層体39の側面39aの中央部(第1外部電極33と第2外部電極34との間)に設けられる。第6外部電極38は、積層体39の側面39bの中央部(第3外部電極35と第4外部電極36との間)に設けられ、第5外部電極37と対向する。
第1〜第6外部電極33〜38は、積層体39の側面39a,39bの上端から下端まで設けられる。さらに、第1〜第6外部電極33〜38は、積層体39の側面39a,39bの上端から積層体39の上面39cの一部まで設けられると共に、積層体39の側面39a,39bの下端から積層体39の下面39dの一部まで設けられる。したがって、第1〜第6外部電極33〜38の断面形状は、略コ字状である。
第1外部電極33には、第1コイルパターン71の一端部にビアホール71aを介して接続される引出パターン71bが電気的に接続されている。また、第1外部電極33には、第3コイルパターン81の一端部にビアホール81aを介して接続される引出パターン81bが電気的に接続されている。したがって、第1外部電極33において、コモンモードチョークコイル30の第1コイルパターン71の一端部と第1オートトランス31の第3コイルパターン81の一端部とが電気的に接続される。
第2外部電極34には、第2コイルパターン72の一端部にビアホール72aを介して接続される引出パターン72bが電気的に接続されている。また、第2外部電極34には、第4コイルパターン82の他端部に繋がる引出パターン82cが電気的に接続されている。したがって、第2外部電極34において、コモンモードチョークコイル30の第2コイルパターン72の一端部と第1オートトランス31の第4コイルパターン82の他端部とが電気的に接続される。
第3外部電極35には、第1コイルパターン71の他端部に繋がる引出パターン71cが電気的に接続されている。また、第3外部電極35には、第5コイルパターン91の一端部にビアホール91aを介して接続される引出パターン91bが電気的に接続されている。したがって、第3外部電極35において、コモンモードチョークコイル30の第1コイルパターン71の他端部と第2オートトランス32の第5コイルパターン91の一端部とが電気的に接続される。
第4外部電極36には、第2コイルパターン72の他端部に繋がる引出パターン72cが電気的に接続されている。また、第4外部電極36には、第6コイルパターン92の他端部に繋がる引出パターン92cが電気的に接続されている。したがって、第4外部電極36において、コモンモードチョークコイル30の第2コイルパターン72の他端部と第2オートトランス32の第6コイルパターン92の他端部とが電気的に接続される。
第5外部電極37には、第3コイルパターン81の他端部に繋がる引出パターン81cが電気的に接続されている。また、第5外部電極37には、第4コイルパターン82の一端部にビアホール82aを介して接続される引出パターン82bが電気的に接続されている。したがって、第5外部電極37において、第1オートトランス31の第3コイルパターン81の他端部と第4コイルパターン82の一端部とが電気的に接続される。この第3コイルパターン81の他端部と第4コイルパターン82の一端部との接続点が、第1オートトランス31の中間タップとなる。
第6外部電極38には、第5コイルパターン91の他端部に繋がる引出パターン91cが電気的に接続されている。また、第6外部電極38には、第6コイルパターン92の一端部にビアホール92aを介して接続される引出パターン92bが電気的に接続されている。したがって、第6外部電極38において、第2オートトランス32の第5コイルパターン91の他端部と第6コイルパターン92の一端部とが電気的に接続される。この第5コイルパターン91の他端部と第6コイルパターン92の一端部との接続点が、第2オートトランス32の中間タップとなる。
一例としてこのような構造とするで、積層型(薄膜型)のノイズ対策部品3を構成することができる。積層型の場合、ノイズ対策部品3を小型化することができる。特に、コモンモードチョークコイル30の上下にオートトランス31,32を積み重ねる構造としているので、ノイズ対策部品3をより小型化することができる。
ノイズ対策部品3は、コモンモードチョークコイル30と各オートトランス31,32とが接する部分にコモンモードチョークコイル30用の第1磁性層73、第2磁性層74と各オートトランス31、32用の第4磁性層84、第5磁性層93とを別々に設けているので、コモンモードチョークコイル30と各オートトランス31,32との間の磁気結合を抑制することができる。また、ノイズ対策部品3は、第1オートトランス31において第3コイルパターン81と第4コイルパターン82とを同じ巻き数とし、第2オートトランス32において第5コイルパターン91と第6コイルパターン92とを同じ巻き数とした場合、インピーダンスを抑えることができるので、各オートトランス30,31でコモンモードノイズをグランドに落とし易くなり、コモンモードノイズの抑制効果を向上させることがきる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では1個のコモンモードチョークコイル10と2個のオートトランス11,12を一体化した複合部品として構成したノイズ対策部品1に適用したが、ノイズ対策モジュールに適用してもよい。このノイズ対策モジュールは、例えば、1個のコモンモードチョークコイルと2個のオートトランスの3個の部品を備えており、この3個の部品が基板に実装されて図1の等価回路で示すように結線された状態でパッケージに内蔵されたモジュールである。更に2個のコンデンサを備えるノイズ対策モジュールに適用してもよい。このノイズ対策モジュールは、例えば、2個のコンデンサも同じ基板に実装されて図2に示す回路図のように各コンデンサの一端(一方の電極)と各オートトランスの中間タップとがそれぞれ接続された状態でパッケージに内蔵されたモジュールである。
上記第1実施例では第1〜第3天板43,53,63を別々の部材で構成し、隙間47,48を設けたノイズ対策部品2としたが、第1〜第3天板を一体とした1個の磁性板を設けたノイズ対策部品としてもよい。
上記第2実施例ではコモンモードチョークコイル30の上下に第1オートトランス31、第2オートトランス32を積み重ねたノイズ対策部品3としたが、積層型(薄膜型)の他の形態のノイズ対策部品を構成してもよく、例えば、コモンモードチョークコイル30の左右に第1オートトランス31、第2オートトランス32を配置したノイズ対策部品としてもよい。
上記第2実施例ではコモンモードチョークコイル30と各オートトランス31,32とが接する部分にコモンモードチョークコイル30用の第1磁性層73、第2磁性層74と各オートトランス31、32用の第4磁性層84、第5磁性層93とを別々に設けたノイズ対策部品3としたが、コモンモードチョークコイル30と各オートトランス31,32とが接する部分にコモンモードチョークコイル30と各オートトランス31,32で共用の磁性層を設けたノイズ対策部品としてもよい。この場合、第1磁性層73と第4磁性層84とが共用の磁性層となり、第2磁性層74と第5磁性層93とが共用の磁性層となる。