以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板搬送装置および基板搬送方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、例えばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、例えばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
次に、処理ユニット16の概略構成について図2を参照して説明する。図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
<基板搬送装置13の構成>
次に、本実施形態に係る基板搬送装置13(「第1搬送装置」の一例に相当)の構成について図3Aおよび図3Bを参照して説明する。図3Aは、基板搬送装置13の構成を示す斜視図である。図3Bは、基板搬送装置13の動作例を示す平面模式図である。
図3Aに示すように、本実施形態に係る基板搬送装置13は、基台131と、保持部132と、複数(ここでは、4つ)の検出部133_1〜133_4と、支持部材134とを備える。
基台131は、Y軸方向に沿った移動およびZ軸まわりの旋回が可能である。保持部132、検出部133_1〜133_4および支持部材134は、基台131に設けられる。
保持部132は、複数のウェハWを多段に保持可能に設けられる。具体的には、保持部132は、複数(ここでは、5つ)のフォーク132a_1〜132a_5と、これらフォーク132a_1〜132a_5を基台131に対し、X軸方向に沿って進退させる移動機構132bとを備える。
フォーク132a_1〜132a_5は、Z軸方向に多段に配置される。保持部132は、かかるフォーク132a_1〜132a_5のそれぞれにウェハWを保持して、一括搬送(ここでは、1度に5枚搬送)することが可能である。なお、以下では、フォーク132a_1〜132a_5を総称する場合、単に「フォーク132a」と記載する。
フォーク132aは、ウェハWの径よりも横幅が小さい二股形状を有する。また、フォーク132aは、複数の支持部132cを有する。支持部132cは、載置されるウェハWを下方から摩擦力によって保持する部材である。支持部132cの詳細については、図3C以降を用いた説明で後述する。
検出部133_1〜133_4は、保持部132に保持されたウェハWの外縁を、それぞれ異なる位置で検出する。各検出部133_1〜133_4は、投光部133aと受光部133bとをそれぞれ備える。
投光部133aおよび受光部133bは、保持部132がX軸正方向へ後退した位置(以下、「ホームポジション」と言う)において、保持部132によって保持されたウェハWを上下から挟む位置に配置される。投光部133aは、保持部132の下方に配置され、基台131に取り付けられる。また、受光部133bは、保持部132の上方に配置され、後述する支持部材134を介して基台131に取り付けられる。
受光部133bは、複数の受光素子が直線状に配列されたセンサ群である。受光部133bとしては、例えばリニアイメージセンサを用いることができる。なお、本実施形態では、受光部133bがリニアイメージセンサであるものとする。
各受光部133bは、例えば、保持部132がホームポジションにあり、かかる保持部132にウェハWが正常に載置されている場合の、ウェハWの中心から放射状に延びる方向に受光素子の配列方向が沿うように配置される。ここで、ウェハWが正常に載置されているとは、ウェハWを正常に受け渡すことが可能な位置である「基準位置」にウェハWがズレなく保持されている状態を指す。
支持部材134は、受光部133bが保持部132の上方に配置されるように、受光部133bを支持する。なお、図3Aに示す例は、支持部材134の形状を限定するものではない。
一方、各投光部133aは、図示略の光源とレンズとを備える。光源は、拡散光を照射する。レンズは、光源の上方に配置され、光源から照射された拡散光を屈折させることにより、対となる受光部133bへ向けて平行光を照射する。
そして、投光部133aから受光部133bへ向けて照射された平行光は、保持部132に保持されたウェハWによって部分的に遮られ、受光部133bでは、投光部133aからの平行光を受光する受光素子と、受光しない受光素子とで受光量に差が生じる。検出部133_1〜133_4は、かかる受光量の差に基づいてウェハWの外縁を検出し、検出結果を制御部18へ出力する。
かかるウェハWの外縁の検出は、例えば図3Bに示すように、基板搬送装置13が、フォーク132aをキャリアCへ進入させてウェハWを取り出し、フォーク132aをホームポジションまで後退させた後に行われる(図中の矢印301,302参照)。かかる検出の結果を受けた制御部18は、基準位置RPおよびその中心位置CPからのウェハWのズレ量を算出し、例えば算出したズレ量に応じて保持部132の位置を補正させることが可能である。
なお、図1では図示を略していたが、図3Bに示すように、搬入出ステーション2には、キャリアCに収容されたウェハWを検出する基板検出機構80が、各キャリアCに対応してそれぞれ設けられている。
基板検出機構80は、水平方向に光を照射する投光部81aと、投光部81aによって照射された光を受光する受光部81bとを備え、キャリアCの搬入出口と基板搬送装置13との間にY軸に沿った光軸axOを形成可能に設けられる。また、基板検出機構80は、かかる光軸axOをX軸およびZ軸に沿って移動させることも可能である。
基板検出機構80は、かかる光軸axOを例えばキャリアCへ進入させ、光軸axOをウェハWに遮らせることによって、キャリアC内におけるウェハWの収容状態を光学的に検出する。基板検出機構80の詳細については、図4A以降を用いた説明で後述する。
<保持部132の構成、および、保持部132によるウェハWの保持方法>
次に、本実施形態に係る保持部132の構成、および、保持部132によるウェハWの保持方法について、図3C〜図3Gを参照してより詳細に説明する。図3Cは、保持部132の構成を示す平面図である。また、図3Dは、図3Cに示すA−A’線略断面図である。
また、図3E〜図3Gは、保持部132によるウェハWの保持方法を示す模式図(その1)〜(その3)である。
図3Cに示すように、本実施形態に係る保持部132は、フォーク132aと、複数(ここでは、3つ)の支持部132cと、複数(ここでは、4つ)のズレ止めピン132dとを備える。なお、ここでは移動機構132bについては省略している。
フォーク132aは、保持部132の基部にあたる部材であり、セラミックス等により形成され、既に述べたように二股形状を有する。支持部132cは、ウェハWが載置されることでかかるウェハWを下方から摩擦力により保持する部材である。支持部132cは、例えばフォーク132aの二股の一方と、他方と、二股の基部とにそれぞれ設けられる。
また、支持部132cはそれぞれ、固定式である固定パッド132caと、昇降式である昇降パッド132cbとを備える。固定パッド132caおよび昇降パッド132cbは、平面視で略円状の形状を有する。固定パッド132caはそれぞれ、対になる昇降パッド132cbよりもフォーク132aの先端側に設けられる。なお、固定パッド132caおよび昇降パッド132cbの素材としては、少なくともウェハWとの接触面に例えばゴム等を用いることができる。
また、昇降パッド132cbは、前述の基準位置RPの中心位置CPから仮想的に描かれる同心円CCの円周上に等間隔で設けられる。すなわち、図3Cに示す例では、3つの昇降パッド132cbは、同心円CCの円周上の120°等分配された位置に設けられている。なお、固定パッド132caも、同心円CCとは異なる同一円の円周上に配置されていてよい。
ズレ止めピン132dは、搬送中の遠心力等によってウェハWが許容量以上ズレたり落下したりしてしまうことを防止するための部材であって、ウェハWのズレを規定の許容内に規制する位置に配置される。したがって、ズレ止めピン132dは、基準位置RPにあるウェハWの周縁部との間に、ズレを許容する所定の隙間が空く位置に配置され、フォーク132aからZ軸正方向に突出させて設けられる。
支持部132cおよびズレ止めピン132dについてさらに詳細に説明する。図3Dに示すように、固定パッド132caは、フォーク132aからの突出部分が高さaを有するように設けられる。
これに対し、昇降パッド132cbは、フォーク132aからの突出部分が、高さaよりも低い高さb’から、高さaよりも高い高さbの間で昇降可能となるように設けられる(図中の矢印303参照)。かかる昇降パッド132cbは、昇降機構150が昇降させる。なお、高さbの高さ位置は「第1位置」の一例に、高さb’の高さ位置は「第2位置」の一例に、それぞれ相当する。
昇降機構150は、例えば昇降パッド132cb下方のフォーク132a内部に設けられ、例えばエア圧を利用することによって昇降パッド132cbを昇降させる。
かかるエア圧を利用する場合、図3Dに示すようにフォーク132a内部にはエア供給管153が設けられる。エア供給管153は、バルブ152に接続され、エア供給源151からのエアをバルブ152の作動により、昇降機構150の有する内部空間へ給排する。
昇降機構150は、かかるエア供給管153からのエアの給排による内圧の変化に応じて昇降パッド132cbを昇降させる。すなわち、昇降機構150は、エア供給管153からエアが供給されて内部空間の内圧が上がることにより昇降パッド132cbを上昇させ、エア供給管153からエアが排出されて内部空間の内圧が下がることにより昇降パッド132cbを下降させる。これら動作は、制御部18によって制御される。
なお、ここで説明したエア圧を利用する例はあくまで一例であって、昇降機構150の構造を限定するものではなく、例えばアクチュエータ等を利用するものであってもよい。
ズレ止めピン132dは、フォーク132aからの突出部分が、昇降パッド132cbの高さbよりも高い高さcを有するように設けられる。
ここで、本実施形態の比較例として、従来のウェハWの保持方法の一例について説明しておく。従来では、例えばフォークに多段の支持部が複数設けられ、ウェハWはかかる複数の支持部の異なる段の間で傾斜させて保持されていた。
また、処理後のウェハWが処理前のウェハWの悪影響を受けて例えばパーティクルの転移により再汚染されてしまうのを避けるため、処理前のウェハWと処理後のウェハWとで傾斜させる方向を変え、ウェハWが処理前後で支持部の同一部位に触れないようにしていた。
しかしながら、従来では、ウェハWの周縁部が支持部へ接触してしまうため、例えばウェハWの周縁部へ膜等が形成されていた場合、膜が削れるなどしてウェハWの周縁部からパーティクルが生じるおそれがあった。
そこで、本実施形態では、まず図3Eに示すように、「処理前」のウェハWを保持するに際しては、昇降パッド132cbを高さaより低い高さ(例えば、高さb’)まで下降させて(図中の矢印304参照)、固定パッド132caのみによってウェハWを保持することとした(図中の閉曲線に囲まれた部分参照)。
また、本実施形態では、図3Fに示すように、「処理後」のウェハWを保持するに際しては、昇降パッド132cbを高さaより高い高さ(例えば、高さb)まで上昇させて(図中の矢印305参照)、昇降パッド132cbのみによってウェハWを保持することとした(図中の閉曲線に囲まれた部分参照)。
これにより、ウェハWは、処理前後で支持部132cの異なる部位によって保持されるので、処理後のウェハWが処理前のウェハWの悪影響を受けて例えばパーティクルの転移により再汚染されてしまうのを防ぐことができる。
また、仮にウェハWが基準位置RPからズレたとしても、そのズレ量が許容内であればウェハWの周縁部はズレ止めピン132dへ接触する可能性が低いので、ウェハWの周縁部からのパーティクルの発生を抑えることができる。
なお、仮にウェハWがズレ止めピン132dへ接触したとしても、図3Gに示すように、ウェハWはズレ止めピン132dに対し、「処理後」は「処理前」の高さaよりも高い高さbにて、すなわち異なる高さにて接触することとなる。
したがって、例えば「処理前」のウェハWに付着していたパーティクルが、ズレ止めピン132dを介して転移し、「処理後」のウェハWに付着して再汚染するのを防ぐことができる。
また、「処理前」のウェハWからズレ止めピン132dへ転移したパーティクルが仮に落下しても、高さaより高い高さbで保持される「処理後」のウェハWへは重力作用により影響を及ぼしにくいので、やはり「処理後」のウェハWを再汚染するのを防ぐことができる。
<昇降パッド132cbの昇降状態を検出する場合>
ところで、昇降パッド132cbは、制御部18により制御される昇降機構150の動作に基づいて昇降される点については既に述べたが、処理前後で確実にウェハWを支持部132cの異なる部位によって保持するためには、実際の昇降パッド132cbが制御部18の制御に基づく所望の昇降状態にあるか否かを検出することが好ましい。
そこで、本実施形態では、前述の基板検出機構80(図3B参照)によって、実際の昇降パッド132cbの昇降状態を検出し、所望の昇降状態にある場合に、支持部132cによりウェハWを保持し、搬送することとした。
これにより、例えば昇降機構150に不具合が生じて昇降パッド132cbが所望の昇降状態にない場合に、処理前後でウェハWを支持部132cの例えば同一部位で保持してしまい、処理後のウェハWに対し処理前のウェハWの悪影響を及ぼしてしまうのを防ぐことができる。
かかる基板検出機構80を用いて昇降パッド132cbの昇降状態を検出する場合について、図4A〜図4Fを参照してより詳細に説明する。図4Aは、基板検出機構80の構成を示す斜視図である。
また、図4Bは、キャリアC内のウェハWの収容状態を検出する場合の説明図である。また、図4C〜図4Fは、昇降パッド132cbの昇降状態を検出する場合の説明図(その1)〜(その4)である。
図4Aに示すように、基板検出機構80は、光学センサ81と、支持アーム82,83と、支持シャフト84と、回動機構85と、昇降機構86とを備える。光学センサ81は、前述の投光部81aと、受光部81bとを備える。
支持アーム82は、先端部において投光部81aを支持し、基端部において支持シャフト84に支持される。支持アーム83は、先端部において受光部81bを支持し、基端部において支持シャフト84に支持される。
支持シャフト84は、投光部81aおよび受光部81bによりY軸に沿った光軸axOが形成可能となるように、支持アーム82,83を平行に支持する。また、支持シャフト84は、回動機構85に対し、水平軸axHまわりに回動可能に設けられており、回動することによって光学センサ81を水平軸axHまわりに回動させる(図中の矢印401参照)。
回動機構85は、内部に例えばモータ等によって構成される図示略の駆動部を有し、かかる駆動部によって支持シャフト84を水平軸axHまわりに回動させる。
昇降機構86は、例えばキャリアCの搬入出口よりもY軸負方向側で、ウェハWの搬入出を規制しない位置に設けられ、回動機構85を支持する。また、昇降機構86は、内部に例えばモータ等によって構成される図示略の駆動部を有し、かかる駆動部によって回動機構85を鉛直軸axV沿いに昇降させる。回動機構85の昇降によって、光学センサ81が鉛直軸axV沿いに昇降する(図中の矢印402参照)。なお、回動機構85および昇降機構86の動作の組み合わせによる光学センサ81の位置制御は、制御部18によって行われる。
そして、図4Bに示すように、キャリアC内のウェハWの収容状態を検出する場合、制御部18は、光学センサ81(投光部81aおよび受光部81b)がキャリアC内へ進入し、かつ、光軸axOによるスキャンが可能となるように、光学センサ81の位置制御を行う(図中の矢印401,402参照)。
なお、図4Bに示すように、キャリアCは、YZ平面沿いのX軸正方向側の端面が搬入出口として開口された箱体であり、XZ平面沿いの内壁にはウェハWの周縁部を支持する1対の支持部Spが多段に設けられている。ウェハWは、これら支持部Spに支持されることにより、水平姿勢でキャリアCに収容された状態となる。
したがって、制御部18は、かかるキャリアC内における例えば各支持部Spの高さ位置を基準としながら前述の光学センサ81の位置制御を行い、光軸axOが遮光される遮光結果に基づいてキャリアC内のウェハWの収容状態を検出する。
ウェハWの収容状態には、キャリアC内の各段のウェハWの有無や、キャリアCの側面から見たウェハWの見かけ上の厚み等が含まれる。例えば、ウェハWが支持部Spに対し、水平姿勢でなく斜めに支持されている場合等には、上記した見かけ上の厚みが厚くなるので、制御部18はこの見かけ上の厚みの検出データに基づいてウェハWの収容姿勢を判定することができる。なお、図4Bは、キャリアCにおけるウェハWの収容枚数を限定するものではない。
また、図4Cに示すように、昇降パッド132cbの昇降状態を検出する場合、制御部18は、光学センサ81(投光部81aおよび受光部81b)を保持部132側であるX軸正方向側へ回動させ、昇降パッド132cbにつき光軸axOによるスキャンが可能となるように、光学センサ81の位置制御を行う(図中の矢印401,402参照)。
なお、このとき、制御部18は、光学センサ81の位置制御とともに、保持部132の例えばZ軸方向およびX軸方向の動作制御を組み合わせてもよい(図中の矢印403,404参照)。無論、さらにY軸方向の動作制御を組み合わせてもよい。
かかる位置制御および動作制御の組み合わせにより、制御部18は、図4Dに示すように、昇降パッド132cb_1〜132cb_3のそれぞれにつき、個別に光軸axOをオーバーラップさせることによって昇降状態を検出する。
なお、個別に光軸axOをオーバーラップさせるにあたり、昇降パッド132cb_1,132cb_2のように例えばX軸について同一位置にある場合には、前述の基台131(図3A参照)のZ軸まわりの旋回動作を組み合わせてもよい。
具体的には、図4Eに示すように、フォーク132aの中心軸が光軸axOに対し斜行するように基台131をZ軸まわりに旋回させたうえで、フォーク132aを例えば前進させることによって(図中の矢印405参照)、昇降パッド132cb_1,132cb_2のそれぞれにつき、個別に光軸axOをオーバーラップさせることが可能となる。
なお、図4Eは、破線の閉曲線に囲まれた部分に示すように、昇降パッド132cb_1につき光軸axOをオーバーラップさせた例を示している。
このような光学センサ81の位置制御および保持部132の動作制御の組み合わせによって、制御部18は、昇降パッド132cbの厚み方向につき光軸axOによりスキャンし、昇降パッド132cbの昇降状態を検出する。
具体的に、図4Fに示すように、昇降パッド132cbが高さbまで正常に上昇しているかを検出するものとする。
かかる場合、例えばフォーク132aが光透過性の低いものであれば、制御部18は、光学センサ81の検出結果に基づき、フォーク132aの厚み寸法に対し高さbを加えた長さdの遮光部分を検出すれば、昇降パッド132cbが正常に上昇していると判定する。また、遮光部分が長さdに満たなければ、昇降パッド132cbが正常に上昇していないと判定する。
また、例えばフォーク132aが光透過性の高いものであれば、制御部18は、光学センサ81の検出結果に基づき、昇降機構150の厚み寸法に対し高さbを加えた長さd’の遮光部分を検出すれば、昇降パッド132cbが正常に上昇していると判定する。また、遮光部分が長さd’に満たなければ、昇降パッド132cbが正常に上昇していないと判定する。
なお、他の例として、例えば、少なくとも固定パッド132caの高さa(図3D等参照)よりも高い位置まで昇降パッド132cbが上昇していることが検出できれば、昇降パッド132cbが正常に上昇していると見なしてもよい。すなわち、基板検出機構80が、少なくとも昇降パッド132cbの外面を検出可能であれば、昇降パッド132cbの昇降状態を確認することができる。
また、これまでは昇降パッド132cbが正常に上昇しているかを検出する場合について説明したが、無論、昇降パッド132cbが正常に下降しているかといった、所望の昇降状態の検出についても同様の手法を用いることができる。
そして、制御部18は、昇降パッド132cbが所望の昇降状態にあれば、基板搬送装置13により、ウェハWをキャリアCと受渡部14との間で搬送させる。また、昇降パッド132cbが所望の昇降状態になければ、例えば基板搬送装置13によるウェハWの搬送を中止させる。
このように、基板検出機構80によって実際の昇降パッド132cbの昇降状態を検出し、所望の昇降状態にある場合に、支持部132cによりウェハWを保持し、搬送することによって、処理前後でウェハWを支持部132cの異なる部位で確実に保持することができる。すなわち、処理後のウェハWに対し処理前のウェハWの悪影響を及ぼしてしまうのを防ぐことができる。
なお、かかる基板検出機構80によって昇降パッド132cbの昇降状態を検出するタイミングは、基板搬送装置13がキャリアCへアクセスするたびに実行されてもよいし、ウェハWが規定の処理枚数処理されるごとに実行されてもよい。また、キャリアCが入れ替えられるたびに実行されてもよいし、日次の先頭のキャリアCについてのみ実行されてもよい。また、規定の時間や日数が経過するたびに実行されてもよい。
<キャリアC〜受渡部14間のウェハWの搬送手順>
次に、制御部18が基板搬送装置13や基板検出機構80等を制御して、ウェハWをキャリアCと受渡部14との間で搬送する搬送処理の処理手順について図5を参照して説明する。図5は、キャリアC〜受渡部14間のウェハWの搬送処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、ウェハWを搬送するごとに昇降パッド132cbの昇降状態が検出されるものとする。
図5に示すように、まず、制御部18は、基板処理の処理シーケンスが予め規定されたレシピ情報等に基づき、次なるキャリアCと受渡部14との間の搬送が、処理後のウェハWを搬送する場合か否かを判定する(ステップS101)。
ここで、処理後のウェハWを搬送する場合であるならば(ステップS101,Yes)、制御部18は、昇降パッド132cbを上昇させる(ステップS102)。一方、処理後のウェハWを搬送する場合でない(処理前のウェハWを搬送する場合である)ならば(ステップS101,No)、昇降パッド132cbを下降させる(ステップS103)。
つづいて、制御部18は、基板検出機構80により、昇降パッド132cbの昇降状態を検出する(ステップS104)。そして、制御部18は、検出結果に基づき、昇降パッド132cbの昇降状態が正常であるか否かを判定する(ステップS105)。
ここで、昇降パッド132cbの昇降状態が正常であるならば(ステップS105,Yes)、制御部18は、キャリアCと受渡部14との間でウェハWを搬送する(ステップS106)。一方、昇降パッド132cbの昇降状態が正常でないならば(ステップS105,No)、制御部18は、キャリアCと受渡部14との間でのウェハWの搬送を中止する(ステップS107)。
そして、制御部18は、すべてのウェハWの搬送完了であるか否かを判定し(ステップS108)、搬送完了でなければ(ステップS108,No)、ステップS101からの処理を繰り返し、搬送完了であれば(ステップS108,Yes)、処理を終了する。
<支持部132cの配置形態の変形例>
ところで、これまでは、3つの昇降パッド132cbが、基準位置RPの中心位置CPから仮想的に描かれる同心円CCの円周上の等間隔位置に、言い換えれば、同心円CCの円周上の120°等分配された位置に設けられている場合を例に挙げた(図3C参照)。
かかる配置形態により、少なくとも処理後のウェハWにつき、基準位置RPに対し均等な力配分でウェハWを保持することが可能となり、ウェハWをズレなく正確に搬送するのに資することができる。しかしながら、支持部132cの配置形態はこれに限られない。
次に、かかる支持部132cの配置形態の変形例について図6A〜図6Cを参照して説明する。図6A〜図6Cは、支持部132cの配置形態の変形例を示す平面図(その1)〜(その3)である。
支持部132cの配置形態は、例えば図6Aに示すように、昇降パッド132cbではなく、固定パッド132caが、中心位置CPから仮想的に描かれる同心円CCの円周上の等間隔位置に設けられていてもよい。かかる場合、少なくとも処理前のウェハWにつき、前述の基準位置RPに対し均等な力配分でウェハWを保持することが可能となる。
また、例えば図6Bに示すように、固定パッド132caが昇降パッド132cbに対し、フォーク132aの基端側にあってもよい。また、かかる固定パッド132caおよび昇降パッド132cbの配置関係が、すべての支持部132cで同じでなくともよい。また、同じく図6Bに示すように、例えばすべての昇降パッド132cb(または固定パッド132ca)が、同心円CCの円周上になくともよい。
すなわち、昇降パッド132cbまたは固定パッド132caは、必ずしも中心位置CPに対して均等に配置される必要はなく、例えばフォーク132aの内部構造等の制約等に応じて適宜配置することができる。
また、支持部132cの数は3つに限定されず、例えば図6Cに示すように、支持部132cが3つ以上である4つであってもよい。支持部132cの数を多くすることによって、支持部132cとウェハWの裏面との間に作用する摩擦力を強化することができるので、ウェハWをズレなく正確に搬送するのに資することができる。
また、これまでは、固定パッド132caおよび昇降パッド132cbがそれぞれ複数個設けられる場合を例に挙げたが、ウェハWを下方から摩擦力により保持可能であれば、それぞれ1つずつであってもよい。この場合、例えば、固定パッド132caおよび昇降パッド132cbは、ウェハWの直径より小さい二重リング状となるように同心配置される。
<基板搬送装置17の構成>
次に、本実施形態に係る基板搬送装置17(「第2搬送装置」の一例に相当)の構成について図7Aを参照して説明する。図7Aは、基板搬送装置17の構成を示す平面図である。
図7Aに示すように、本実施形態に係る基板搬送装置17は、基台171と、複数(ここでは、2つ)の保持部172_1,172_2と、複数(ここでは、4つ)の検出部173_1〜173_4と、支持部材174とを備える。
基台171は、X軸方向に沿った移動およびZ軸まわりの旋回が可能である。保持部172_1,172_2、検出部173_1〜173_4および支持部材174は、基台171に設けられる。
保持部172_1,172_2は、それぞれウェハWを1枚ずつ保持可能に設けられ、Z軸方向に2段に配置される。また、保持部172_1,172_2は、それぞれ図示略の移動機構を備え、かかる移動機構によって、図7Aに示す例ではX軸方向に沿ってそれぞれ独立に進退可能に設けられている。
したがって、例えば、保持部172_1によって処理前のウェハWを保持して受渡部14から取り出すとともに、保持部172_2によって処理後のウェハWを保持して受渡部14へ戻すといった動作を行うことが可能である。
なお、保持部172_1,172_2は略同様の構成であるため、図7Aでは、保持部172_2の各部材については符号を一部省略している。また、以下では、保持部172_1,172_2を総称する場合、単に「保持部172」と記載する。
保持部172は、フォーク172aを備える。フォーク172aは、内径がウェハWの径よりも大きい弧状形状を有する。また、フォーク172aには、複数(ここでは、4つ)の支持部172cが設けられる。支持部172cは、弧状のフォーク172aの内周に配置され、ウェハWの周縁部を下方から保持する。
また、支持部172cはそれぞれ、吸着口172dを有する。吸着口172dはそれぞれ、例えばフォーク172aの内部に形成された配管172eへ接続される。本実施形態では、配管172eは、図示略の真空ポンプに接続されている。
すなわち、支持部172cは、載置されるウェハWを吸着によって保持する部材である。このように吸着によってウェハWを保持することによって、ウェハWの周縁部の水平位置を位置決めすることができる。また、例えば摩擦力によってウェハWを保持する基板搬送装置13に比して、ズレなく正確にウェハWを搬送することができる。本実施形態では、真空ポンプによってウェハWを吸着したが、静電チャックを用いてウェハWを吸着してもよい。
検出部173_1〜173_4は、保持部172に保持されたウェハWの外縁を、それぞれ異なる位置で検出する。なお、検出部173_1〜173_4は、既に説明した基板搬送装置13の検出部133_1〜133_4に対応し、これらと同様の構成であるため、ここでの詳細な説明を省略する。支持部材174も、基板搬送装置13の支持部材134に対応するため、同様に説明を省略する。図7A中に示す基準位置RPおよびその中心位置CPについても同様である。
<基板搬送装置17を用いて基板搬送装置13の不具合を推定する場合>
ところで、一般に装置には、構成要素となる各機械部品に経年劣化等による不具合が生じる場合がある。基板処理システム1を例に取っても、例えば基板搬送装置13や基板搬送装置17、処理ユニット16の基板保持機構30等、ウェハWを処理する各種機能を実現するために様々な形で駆動機構が設けられた構成要素が存在する。
駆動機構の経年劣化としては、例えば可動部分や可動部分に接する部分の変形や磨耗、ベルトの伸び、被保持物に接する支持部の変形や摩耗、汚染等が考えられるが、これらに起因する不具合の発生を予防する観点からは、経年劣化を含む不具合の予兆を把握しておくことが好ましい。
そこで、本実施形態では、特に基板搬送装置13につき、受渡部14を介した基板搬送装置17との間のウェハWの受渡しにおいて、基板搬送装置17によって検出されるウェハWのズレ量に基づいて基板搬送装置13に内在する不具合を推定することとした。
これは、上述のように基板搬送装置13では、搬送中のウェハWを摩擦力によって保持しているので、不具合の予兆、例えば支持部132cの各パッド132ca,132cbの摩耗や汚染等は、基板搬送装置17において検出されるウェハWの基準位置RPからのズレ量として現れやすいためである。
なお、基板搬送装置17では、上述のようにウェハWを吸着によって保持することで基板搬送装置13に比して精度よくウェハWの水平位置を位置決めできるため、基板搬送装置17側を基準にズレ量を検出することが好適である。
以下、かかる基板搬送装置17を用いて基板搬送装置13の不具合を推定する場合について、図7B〜図7Dを参照して具体的に説明する。図7B〜図7Dは、基板搬送装置17を用いて基板搬送装置13の不具合を推定する場合の説明図(その1)〜(その3)である。
まず、搬送部12において、基板搬送装置13によりキャリアCから複数(本実施形態では、5枚)のウェハWが取り出され、図7Bに示すように、受渡部14へ一括搬送される(ステップS1)。なお、受渡部14では、一括搬送されたウェハWが多段に保持される。
そして、搬送部15において、基板搬送装置17が受渡部14へアクセスし、ウェハWを1枚ずつ取り出して、各処理ユニット16へ搬送する。このとき、制御部18は、基板搬送装置17が受渡部14からウェハWを1枚取り出すたび、検出部173_1〜173_4によりウェハWの位置を検出させる(ステップS2)。
そして、図7Cに示すように、制御部18は、検出部173_1〜173_4の検出結果に基づき、基準位置RPおよびその中心位置CPからのウェハWのズレ量を算出する(ステップS3)。そして、制御部18により算出されたズレ量は、時系列に記憶部19へ記憶される(ステップS4)。
そして、図7Dに示すように、制御部18は、記憶部19に記憶されたズレ量の時系列データに基づき、時間軸に対応する例えばある「動作回数」においてズレ量が所定の閾値を超えたならば、基板搬送装置13に不具合があると推定し(ステップS5)、例えば処理を中止する。なお、所定の閾値を超えた場合に限らず、過去の傾向からこのまま処理を継続すればかかる閾値を超えるであろうと判断される場合に、不具合があるという推定を働かせてもよい。過去の傾向は、例えば、過去に不具合があると推定されたごとのズレ量の時系列データを蓄積データとして記憶しておき、かかる蓄積データから制御部18が例えば統計的分析等を行うことによって判定することができる。
なお、ズレ量の時系列データは、例えば受渡部14においてウェハWを1枚ずつ保持している各段にそれぞれ紐付けられて記憶部19へ記憶されることが好ましい。これにより、制御部18は、受渡部14の各段、すなわちこれに対応する保持部132の各段であるフォーク132a_1〜132a_5ごとのズレ量の時系列データを把握できるので、不具合箇所(例えばフォーク132a_1〜132a_5のうちのいずれか)を特定しやすくすることができる。また、ズレ量の時系列データは、基板搬送装置13のフォーク132a_1〜132a_5が受渡部14の各段のどこに搬送したかを記憶しておいて、基板搬送装置17が受渡部14からウェハWを取り出すときに、記憶されていた情報(受渡部14のどこに搬送したか)に紐付けられてもよい。
また、制御部18は、前述の所定の閾値を段階的に設けることとしたうえで、ズレ量が例えば警告レベルの閾値を超えたならば、オペレータに対して清掃等のメンテナンス作業を促す旨を報知するようにしてもよい。
<受渡部14を介した基板搬送装置13〜基板搬送装置17間のウェハWの搬送手順>
次に、制御部18が基板搬送装置13や基板搬送装置17等を制御して、ウェハWを受渡部14を介して搬送する搬送処理の処理手順について図8を参照して説明する。図8は、受渡部14を介した基板搬送装置13〜基板搬送装置17間のウェハWの搬送処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、制御部18は、基板処理の処理シーケンスが予め規定されたレシピ情報等に基づき、基板搬送装置13(第1搬送装置)にキャリアCから受渡部14へウェハWを一括搬送させる(ステップS201)。
つづいて、制御部18の制御により、基板搬送装置17(第2搬送装置)が受渡部14から処理前のウェハWを1枚ずつ取り出す(ステップS202)。そして、制御部18は、取り出したウェハWにつき、検出部173_1〜173_4にウェハ位置を検出させる(ステップS203)。
つづいて、制御部18は、検出部173_1〜173_4の検出結果に基づき、受渡部14から取り出したウェハWの基準位置RPからのズレ量を算出する(ステップS204)。そして、制御部18は、算出したズレ量を時系列に記憶部19へ記憶させる(ステップS205)。
つづいて、制御部18は、ズレ量の時系列データに基づいてズレ量の変化が許容内であるか否か、すなわち前述の所定の閾値を超えていないか否かを判定する(ステップS206)。
ここで、ズレ量の変化が許容内であるならば(ステップS206,Yes)、制御部18は、基板搬送装置17に処理ユニット16との間でウェハWを搬送させる(ステップS207)。また、処理ユニット16で処理された処理後のウェハWは、制御部18の制御により、基板搬送装置17が受渡部14へ戻す(ステップS208)。
そして、制御部18は、受渡部14に処理前のウェハWがまだあるか否かを判定し(ステップS209)、まだあるならば(ステップS209,Yes)、ステップS202からの処理を繰り返す。
一方、受渡部14に処理前のウェハWがないならば(ステップS209,No)、制御部18は、基板搬送装置13に受渡部14からキャリアCへウェハWを一括搬送させ(ステップS210)、処理を終了する。
また、ステップS206でズレ量の変化が許容内でないならば(ステップS206,No)、制御部18は、処理を中止させて(ステップS211)、処理を終了する。
なお、図8では図示していないが、制御部18は、ズレ量の変化につき、フォーク132a_1〜132a_5間で部分的に、例えば1本のフォークのみが他のフォークとは異なるズレ量の変化を示すならば、かかるフォークに何らかの不具合がある(あるいは生じつつある)ことを推定することができる。
また、制御部18は、フォーク132a_1〜132a_5が全体で同様のズレ量の変化を示すならば、フォーク132a_1〜132a_5以外で何らかの不具合がある(あるいは生じつつある)ことを推定することができる。
すなわち、制御部18は、保持部132のフォーク132a_1〜132a_5間のズレ量の差異に基づき、フォーク132a_1〜132a_5のいずれかに不具合があるか、または、フォーク132a_1〜132a_5以外に不具合があるかを判定する。これにより、基板搬送装置13の不具合箇所を、少なくともフォークとフォーク以外とで切り分けることができる。
そして、制御部18は、不具合箇所がフォークである場合、例えばその時系列データから原因が各パッド132ca,132cbの汚染であると推定して、各パッド132ca,132cbのクリーニング時期をオペレータに対し報知することができる。さらに、制御部18は、例えば過去のクリーニング回数等を加味した結果によっては原因が各パッド132ca,132cbの摩耗であると推定して、各パッド132ca,132cbの交換時期をオペレータに対し報知することができる。
また、制御部18は、不具合箇所がフォーク以外である場合、例えば原因が駆動機構の劣化であると推定し、一例として駆動機構を構成する直動ガイドのグリスアップ時期や、プーリーベルトの交換時期等をオペレータに対し報知することができる。
また、これまでは、基板搬送装置17の検出部173_1〜173_4の検出結果に基づいて基板搬送装置13の不具合を推定する場合について説明したが、基板搬送装置13自体の検出部133_1〜133_4を用いて基板搬送装置13の不具合を推定してもよい。
具体的には、この場合、制御部18は、キャリアCから受渡部14への搬送前後のズレ量、および、受渡部14からキャリアCへの搬送前後のズレ量をそれぞれ検出部133_1〜133_4の検出結果に基づいて算出し、記憶部19へ時系列データとして記憶させる。そして、制御部18は、基板搬送装置17の検出部173_1〜173_4を用いた場合と同様に、時系列データに基づいてズレ量の変化が許容内であるか否かを判定し、その判定結果から例えば各パッド132ca,132cbのクリーニング時期や交換時期等をオペレータに対し報知することができる。
上述してきたように、実施形態に係る基板搬送装置13は、固定パッド132ca(「第1支持部」の一例に相当)および昇降パッド132cb(「第2支持部」の一例に相当)と、昇降機構150とを備える。
固定パッド132caおよび昇降パッド132cbは、ウェハW(「基板」の一例に相当)の下方からウェハWを支持する。
昇降機構150は、固定式である固定パッド132caの高さaよりも高い高さb(「第1位置」の一例に相当)と固定パッド132caの高さaよりも低い高さb’(「第2位置」の一例に相当)との間で昇降パッド132cbを昇降させる。
したがって、基板搬送装置13によれば、ウェハWの周縁部からの発塵を抑制するとともに、処理後のウェハWに対し処理前のウェハWの悪影響を及ぼしてしまうのを防ぐことができる。
<その他の実施形態>
その他の実施形態について図9を参照して説明する。図9は、その他の実施形態に係る基板搬送装置13の構成を示す斜視図である。図9に示すように、その他の実施形態として基板搬送装置13は、例えば基台131に設けられるカメラ135を備えることができる。
かかるカメラ135により、保持部132のフォーク132aが基台131に進退し、ウェハWをキャリアCまたは受渡部14に搬入出する間や、キャリアC〜受渡部14間を搬送中の間、常時撮像することによって、不具合が生じた場合の原因究明等を効率化することができる。
カメラ135は、その撮像範囲に、例えばフォーク132aの進退方向(図中の矢印901参照)や、フォーク132a同士の間等が含まれるように設けられることが好ましい。また、図9では1台のカメラ135を図示しているが、複数台のカメラ135が設けられてもよい。
また、昇降パッド132cbの昇降状態を検出するのに、かかるカメラ135の撮像画像を用いてもよい。また、基板搬送装置13に限らず、基板搬送装置17ほか、経年劣化等により生じる不具合がシステム全体に影響を及ぼしやすい各装置や各機構に、カメラ135が設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、固定パッド132caおよび昇降パッド132cbの形状が平面視で略円状であるものとしたが、形状を限定するものではない。また、固定パッド132caおよび昇降パッド132cbは、それぞれ1つずつで1組でなくともよく、互いの個数が異なっていてもよい。
また、上述した実施形態では、基板検出機構80の投光部81aおよび受光部81bの配置関係や、検出部133_1〜133_4の投光部133aおよび受光部133bの配置関係について説明したが、配置関係を限定するものではない。例えば、投光部81aおよび受光部81bの配置位置は逆でもよい。同じく投光部133aおよび受光部133bの配置位置は逆でもよい。
また、これらは透過型に限らず、反射型として構成されてもよい。反射型の場合、投光部81aおよび受光部81bの両方、投光部133aおよび受光部133bの両方が、同じ側に配置されてよい。
また、上述した実施形態では、昇降パッド132cbの昇降状態の検出を、キャリアCに対応して設けられた基板検出機構80を用いて行ったが、使用する検出機器や、検出する場所を限定するものではない。たとえば、受渡部14に検出機構を設けて、そこで昇降パッド132cbの昇降状態の検出を行ってもよい。この場合、検出機構は光学センサでなくてもよく、具体的には、距離センサ、近接センサ等でもよい。また、吸引機構を設けた検出部を昇降パッド132cbに接近させ、吸引機構の圧力変動でも昇降状態の検出を行うことができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。