JP2017212082A - 有機el表示素子及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】決壊や異物による欠陥部に対してセルリピアを施す際、補修材拡散による影響を最小限留めることができる、有機EL表示素子を提供する。【解決手段】行バンク本体25r11の側壁の両側から離間した状態で隔壁26、27が設けられている。これらの隔壁26、27は、補修材の流動による列方向の拡散を防止する拡散防止材であり、補修材のプールを形成する。【選択図】図5

Description

本開示は、有機EL表示パネルに関し、特に、バンクの改良に関する。
有機EL表示パネルのバンクとは、基板上又は基板の上方に行列状に配置された絶縁材料の隔壁のことであり、行方向に延伸する行バンク、列方向に延伸する列バンクの2種がある。複数の行バンク、複数の列バンクにより区画される凹空間はセルと呼ばれ、ここに有機機能層を形成することで有機EL表示素子が構成される。
以下、従来の有機EL表示パネルの製造方法の概要について説明する。従来の有機EL表示パネルの製造方法は、基板上にバンクを形成しておいて、バンクで区画されたセルに発光層などの有機機能層を形成する。この有機機能層の形成にはウェット方式が広く用いられる。ウェット方式とは、高分子材料や薄膜形成性の良い低分子を含むインクをインクジェットでセルに塗布することにより有機機能層を形成するという工法である。
ところで、従来技術では、ウェット方式によるインク塗布において、あるセルを対象として吐出されたインク液が、列バンクの垣根を越えて隣接するセルに漏れ出すことがある。このようなインク液の漏洩は、列バンクの形成不良や、列バンクに付着していた異物を原因として発生する。インク液の漏洩を避けるため、従来の有機EL表示パネルの製造工程では、行バンク、列バンクの形成後にバンクの欠陥部の有無を検査し、欠陥部が存在すれば、バンクに補修を施す。これにより、欠陥部の存在を原因としたインク混色から、欠陥部の周囲に位置するセルを救済する。
国際公開WO2010/013654号
ところで上記のバンク補修では、ペースト状の補修材が使用される。そのため、バンク補修がなされた箇所では、補修材の染み出しが発生する。この補修材の染み出しが、列バンクの側壁をつたって周囲に広がると、バンクの補修により救済されるべきセルやこれに隣接するセルが欠陥部になるという問題がある。
本開示の目的は、補修材の染み出しの広がりを抑制して、セルの欠陥化を減少させることができる有機EL表示素子を提供することである。
本開示の一態様に係る有機EL表示素子は、基板と、基板上又は基板の上方に並設された複数の列バンク及び複数の行バンクと、有機機能層とを有する有機EL表示素子であって、
前記有機機能層は、複数の行バンク及び複数の列バンクのうち隣接するもの同士で区画された凹空間に形成されており、
前記複数の列バンクの何れかには欠陥部分が存在しており、
前記欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間は、補修材からなる堰がその上面に積層された行バンクによって列方向の端部が規定されており、
前記堰は、前記行バンクに付随して設けられた拡散防止材により、補修材の流動による列方向の拡大が規制されているという態様のものである。
本開示の一態様に係る有機EL表示素子によれば、行バンクに付随して設けられた拡散防止部材により、補修材の染み出しの広がりが抑制されるので、セルの欠陥数を減少させることができる。
実施の形態1に係る表示パネル100を有する有機EL表示装置1の構成を示す模式ブロック図である。 表示パネル100の表示面側から見た概略構成を模式的に示す平面図である。 表示パネル100を図2のA−A'線で切断した一部拡大断面図である。 (a)は、有機EL表示パネルを平面視した際の、1つの行バンク(行バンク24r11)の形状を示す。(b)は、一点鎖線B−B‘の位置で行バンク24r11を切断した際の断面構造を示す。(c)は、一点鎖線C−C’の位置で行バンク24r11を切断した場合の断面構造を示す。図4(d)は、行バンク24r11を斜め上から俯瞰した場合の斜視図である。 (a)は、補修材P1が積層された状態の行バンク24r11を示す平面図、(b)は、補修材P1が積層された状態の行バンク24r11を、一点鎖線B−B‘の位置で切断した場合の側面図、(c)は、補修材P1が積層された行バンク24r11を、一点鎖線C−C’の位置で切断した場合の断面図、(d)は、補修材P1が積層された行バンク24r11を、斜め上から俯瞰した場合の斜視図である。 表示パネル100の製造過程を示す模式工程図である。 (a)〜(c)は、表示パネル100の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。 (a)〜(e)は、表示パネル100の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。 列バンクの欠陥部検出工程の詳細を示すフローチャートである。 バンク欠陥部の検出と、その補修に用いる補修装置の一例を示す概略構成図である。 (a)は、複数のセルの斜視図である。(b)は、ペースト性の補修材の積層がなされた状態の行バンク(行バンク24r21、行バンク24r31、行バンク24r22、行バンク24r32)を示す。(c)は、補修材の積層がなされた状態の複数セルを示す。 実施の形態2に係る有機EL表示パネルを平面視した際の平面図である。 (a)は、図12における複数の行バンクのうち1つ(行バンク34r11)を平面視した際の平面図である。(b)は、一点鎖線F−F‘の位置で切断した場合の断面図、(c)は、一点鎖線G−G’の位置で切断した場合の断面図、(d)は、行バンク34r11を斜め上から俯瞰した場合の斜視図である。 (a)は、補修材P1が積層された状態の行バンク34r11の平面図、(b)は、補修材P1が積層された行バンク34r11を一点鎖線F−F’の位置で切断した場合の断面図、(c)は一点鎖線G−G’の位置で切断した場合の断面図、(d)は、行バンク34r11の斜視図である。 上面突起部形成工程の詳細を示すフローチャートである。 (a)は、欠陥部の座標(Xi,Yi),欠陥部に近いセルであるCell(A(Xi),B(Yi))、当該Cell(A(Xi),B(Yi))を規定する行バンクの左端座標(ui,vi)がどのような位置関係にあるかを示す。(b)は、フローチャートで使用されているXn,Ynが、(ui,vi)を左端座標とする行バンクの縦幅、横幅を示すこと、突起部が、行バンクの短辺からXoffだけ隔てられた位置に存在することを示す図である。 (a)〜(c)は、ニードル213からの補修材吐出による突起部の形成過程を示す図である。 (a)は、複数のセルの斜視図である。(b)は、ペースト性の補修材の積層がなされた状態の行バンク(行バンク34r21、行バンク34r31、行バンク34r22、行バンク34r32)を示す。(c)は、補修材の積層がなされた状態の複数セルを示す。 (a)は、補修材が積層された状態の行バンク44を示す平面図、(b)は補修材が積層された状態の行バンク44を一点鎖線K−K’の位置で切断した場合の断面図、(c)は、補修材が積層された状態の行バンク44を示す平面図、(d)は補修材が積層された状態の行バンク44を一点鎖線J−J’の位置で切断した場合の断面図である。 (a)は、複数のセルの斜視図である。(b)は、ペースト性の補修材の積層がなされた状態の行バンク(行バンク44r21、行バンク44r31、行バンク44r22、行バンク44r32)を示す。(c)は、補修材の積層がなされた状態の複数セルを示す。
<本開示の一態様に到った経緯>
フラットディスプレイ基板の製造技術において、例えば、特許文献1には、列バンクを形成した後、インク塗布前に、列バンクにおける決壊箇所の周囲の一部を除去し、除去した箇所に溌インク性のポリマーからなる修正液を塗布して、列バンクにおける決壊箇所を修復する技術が開示されている。バンクが部分的に決壊している場合は、このような技術を用いて決壊部分の修復を行い、修復後にインクを塗布すれば、互いに異なるインクの混合を防止することができると考えられる。
ところが、バンクには、決壊だけでなく、ほこりなどの微小な異物が付着することによって生じる欠陥部もある。ほこりなどの微小な異物はポリマー液をはじくから、うまくバンクの欠陥部を補修することができない。そこでセルリペアを実行する。図19(a)は、補修材が積層された状態の行バンク44を示す平面図、図19(b)は補修材が積層された状態の行バンク44を一点鎖線K−K’の位置で切断した場合の断面図である。セルリペアでは、図19(a)、図19(b)に示すように欠陥部の両側に位置するセルの列方向の端部を規定する行バンク44に補修材を積層することで堰を築く。このような補修材の積層で堰を形成することで、インク混色の範囲を一部のセルに留める。ここで、このような補修材の積層状態から相応の時間が経過すると、補修材は図19(c)、(d)のような状態になる。行バンク44の上面に積層された補修材はこの図19(d)に示すように列バンク41、42の側壁に引き付けられる。そして補修材の染み出しが、図19(c)に示すように列バンク41、42の側壁を伝って、列方向の上下に広がってゆく。この染み出しが広がる過程を示したのが、図20(a)~(c)である。図20(a)の2つのセル(C(2,1)、C(2,2))がセルリペアの対象である場合、図20(b)に示すように、これらのセルを囲む4つの行バンク44r21、44r31、44r22、44r32に補修材が積層される。これらの行バンクに積層された補修材の染み出しが、列バンクを伝って広がると、C(2,1)、C(2,2)の上下に位置する4つのセル(C(1,1)、C(1,2)、C(3,1)、C(3,2))にまで染み出しがおよび、結果、計6つのセルが欠陥部となる。個々のセルは、RGBフルカラー方式の画素におけるR成分のサブピクセル、G成分のサブピクセル、B成分のサブピクセルに対応する。補修材の染み出しが広がることで、6つのサブピクセルが欠陥部になり、これを原因としたダークスポットが発生する。このようなダークスポットの拡大を避けるには、補修材の使用時にあたって、その補修材の染み出しを防止する措置が必要になる。このような考察のもとに、特に高精細のEL表示装置において、セルリペアを容易に行うことができ、且つ、発光不良を抑えることのできるバンクの改良を検討した。そして、バンクの欠陥部自体を補修しなくても、列バンクの欠陥部の両側に位置する凹空間の行バンクに付随して拡散防止部材を設けることによって、異なるインク同士が混ざり合う領域が広がるのを抑えることができ、発光色不良の問題を解決できることを見出した。
<本開示の一態様>
本開示の一態様にかかる有機EL表示素子は、基板と、基板上又は基板の上方に並設された複数の列バンク及び複数の行バンクと、有機機能層とを有する有機EL表示素子であって、
前記有機機能層は、複数の行バンク及び複数の列バンクのうち隣接するもの同士で区画された凹空間に形成されており、
前記複数の列バンクの何れかには欠陥部分が存在しており、
前記欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間は、補修材からなる堰がその上面に積層された行バンクによって列方向の端部が規定されており、
前記堰は、前記行バンクに付随して設けられた拡散防止材により、補修材の流動による列方向の拡大が規制されているという態様のものである。
行バンクに積層された補修材の流動による列方向の広がりは、行バンクに付随して設けられた拡散防止材によって規制されるから、セルリペアにおいて、流動性を有した補修材が、行バンク上面からはみだすことはない。セルリペアの工程における補修材の拡散は、欠陥部の両側に位置する2つのセルに留まる。従って、行バンクに補修材を積層する方法でセルリペアを実行したとしても、その補修材の染み出しによる影響は、最低限に抑制される。
行バンク上に積層された堰で区画された凹空間の内部に、有機機能層を形成するインクが塗布されるから、製造された有機EL表示素子では、良好な表示性能が得られる。
ここで拡散防止材は、以下の具体的な態様にすることができる。具体的にいうと、前記拡散防止材は、前記行バンクの側壁の両側から離間した状態で並設された隔壁として構成することができる。この態様では、行バンクに積層された補修材の流動による列方向の広がりが、行バンクの両側の側壁から離間した状態で設けられた隔壁によって規制されるから、セルリペア時において、流動性を有した補修材が、行バンク上面からはみだすことはない。また、基板上の多くの行バンクに隔壁を設けておけば、正常かどうかが疑わしいセルの全てに対して自動的にリペアを行うという自動リペアの実現が可能となる。自動リペアでは、欠陥部バンクの所在を正確に把握する必要はないので、製造効率を高めることができる。
また行バンクの両側から、補修材による拡散を阻止するので、セルリピアに用いるべき補修材として、染み出しが拡散しないような補修材を選択する必要はない。これにより、セルリペアに使用することができる、補修材の材質の幅が広がる。
ここで隔壁の特徴としては、前記隔壁の高さは行バンクの高さよりも高いという態様で構成することができる。行バンクの側壁の両側から離間した状態で並設された隔壁は、行バンク本体よりも高いので、行バンク上に補修材を高く積み上げ、堰の高さを高くしたとしても、補修材の染み出しが、行バンクの周囲に拡散することはない。堰の高さを高くすることによるインク漏れの防止効果と、補修材染み出し拡散防止効果とを両立させることができる。ここで拡散防止部材の別の態様として、前記拡散防止材は、行バンクの上面から突出した親液性の突起部であり、前記行バンクの高さと、前記突起部の高さとの合計値は、前記列バンクの高さよりも低いという態様にすることができる。
突起部は行バンク上面の端部に置かれるので、補修材は親液性の突起部に引き寄せられながら行バンクの上面に積層されてゆく。これにより、補修材の流動による列方向への広がりが規制されるので、補修材の積層は、行バンク上で安定した姿勢を保つ。行バンク上面からの補修材のはみだしをなくすことができるので、補修材の染み出しを抑制することができる。拡散防止部材である突起部は、行バンクの上面に設けられ、セルに対応する有機機能層の発光領域に手が加えられることはないから、拡散防止部材の設置が画素の開口率低下を招くことはない。以上により、画素の開口率低下を招くことなく、インク塗布工程におけるインク混色を防ぐことができる。
突起部形成の対象は以下のものにすることができる。具体的にいうと、前記欠陥部の両側に位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクを除く、残りのバンクには、前記上面における突起部が存在しないという態様にすることができる。突起部形成の対象が、欠陥部の両側に位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクにのみ存在し、他の行バンクには存在しないから、突起部は、セルリペアの対象になった行バンクに形成すれば足りる。突起部形成の対象は、一部の行バンクに限られるから、製造コストの大きな増大をもたらすことはない。
突起部の材質としては以下のものを採用することができる。具体的にいうと、前記親液性の突起部は、前記行バンクと同じ材質で構成することができる。補修材として、行バンクの材質と同様のものを採用するから、補修材の吸い寄せ効果を高めることができる。行バンクに積層された補修材の列方向の広がりが規制され、補修材の染み出しの広がりがなくなるので、セルリペアを実行したとしても、欠陥部とされるセルの数を少なくすることができる。
製造方法としては、基板上方に複数の行バンク及び複数の列バンクを形成し、複数の行バンク及び複数の列バンクで区画された凹空間のそれぞれに、有機機能層を形成することによって有機EL表示素子を製造する方法であって、複数の列バンク及び複数の行バンクを形成すると共に、各行バンクの側壁の両側から離間した状態で並設された複数の隔壁を形成し、前記基板上方に形成された列バンクにおける欠陥部分を検出し、行バンクであって、欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間の列方向端部を規定するものの上面に、補修材を積層し、複数の列バンク及び補修材が積層された複数の行バンクにより区画される凹空間のそれぞれに、インクジェットノズルから吐出されたインクを塗布することで前記有機機能層を形成することができる。列バンク、行バンクを形成する際、行バンクに沿って、行バンク側壁の両側から離間した状態で隔壁を形成するので、既存の有機EL表示素子の製造工程を大きく変更する必要はない。これにより、補修材の列方向の染み出しの広がりを効率的に防止できるような有機EL表示パネルの早期実用化を図ることができる。
ここで隔壁形成工程の特徴としては、前記隔壁の高さは、行バンクの高さよりも高くすることができる。行バンク側壁の両側から離間した状態で並設された隔壁は、行バンク本体よりも高いので、行バンク上に補修材を高く積み上げ、堰の高さを高くしたとしても、補修材の染み出しが、行バンクの周囲に拡散することはない。堰の高さを高くすることによるインク漏れの防止効果と、補修材染み出し拡散防止効果とを両立させることができる。
上記の製造方法の態様では、行バンクの形成時に併せて、隔壁を形成するから、工程増加による処理効率低下が懸念される。そのような処理効率の低下を招かない製造方法として、 基板上方にバンクを形成し、当該バンクで区画された凹空間のそれぞれに、有機機能層を形成することによって有機EL表示素子を製造する方法であって、前記基板上方に形成された列バンクにおける欠陥部分を検出し、行バンクであって、欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間の列方向端部を規定するものを検出して、検出された行バンクの上面の端部に、親液性の突起部を形成し、突起部が形成された行バンクの上面の端部に補修材を積層することで堰を形成し、複数の列バンク及び補修材が積層された複数の行バンクにより区画される凹空間のそれぞれに、インクジェットノズルから吐出されたインクを塗布することで前記有機機能層を形成することができる。欠陥部の両側に位置するセルを検出して、補修材を積層すべき行バンクを特定した後に、補修材積層の前処理として、行バンク上面への突起部形成を行うので、拡散防止材の設置を短期間に完遂することができる。
突起部形成の対象は以下のものにすることができる。具体的にいうと、 前記欠陥部の両側に位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクを除く、残りのバンクには、前記上面における突起部を設けない態様にすることができる。突起部形成の対象が、欠陥部の両側に位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクにのみに限られるから、製造コストの大きな増大をもたらすことはない。
突起部形成時に使用すべき素材として、以下のものを採用することができる。具体的にいうと、前記親液性の突起部は、前記欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクを検出した際、当該行バンクと同じ材質の素材を、前記行バンクの上面に吐出することで形成することができる。補修材として、行バンクの材質と同様のものを採用するから、補修材の吸い寄せ効果を高めることができる。行バンクに積層された補修材の列方向の広がりが規制され、補修材の染み出しの広がりがなくなるので、セルリペアを実行したとしても、欠陥部とされるセルの数を少なくすることができる。
<実施の形態1>
[有機EL表示装置の全体構成]
図1は、実施形態1に係る表示パネル100を有する有機EL表示装置1の構成を示す模式ブロック図である。
図1に示すように、有機EL表示装置1は、表示パネル100と、これに接続された駆動制御部101とを有している。表示パネル100は、有機材料の電界発光現象を利用したパネルであり、図2に示すように、複数の発光素子(有機EL表示素子)10が基板上にマトリクス状に配列されている。駆動制御部101は、4つの駆動回路102〜105と制御回路106とから構成されている。
なお、表示パネル100に対する駆動制御部101の配置などは、これに限られない。
[有機EL表示パネルの構成]
図2は、表示パネル100の表示面側から見た概略構成を模式的に示す平面図である。図3は、表示パネル100を図2のA−A'線で切断した一部拡大断面図である。表示パネル100は、いわゆるトップエミッション型であって、Z方向側が表示面となっている。
表示パネル100の構成について、図2,3を参照しながら説明する。
図3に示すように、表示パネル100は、その主な構成として、下地基板11、画素電極12、ホール注入層13、列バンク14、有機発光層15、電子輸送層16、共通電極17、封止層18を備える。
ホール注入層13、有機発光層15、電子輸送層16が、機能層に相当し、画素電極12と共通電極17によって、機能層が挟まれた構造となっている。そして、赤(R),緑(G),青(B)の何れかの発光色に対応する有機発光層15を有する発光素子10R,10G,10Bをサブピクセルとし、図2に示すように、サブピクセルがマトリクス状に配設されている。なお、図2においては、電子輸送層16、共通電極17、封止層18を取り除いた状態を示している。
[下地基板]
下地基板11は、基板本体部11a、TFT(薄膜トランジスタ)層11b、層間絶縁層11cを有する。
基板本体部11aは、表示パネル100の基材となる部分であり、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル樹脂、アルミナ等の絶縁性材料のいずれかで形成することができる。
TFT層11bは、基板本体部11aの表面にサブピクセル毎に設けられており、各々には薄膜トランジスタ素子を含む画素回路が形成されている。
層間絶縁層11cは、TFT層11b上に形成されている。層間絶縁層11cは、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の有機絶縁材料、SiO(酸化シリコン)やSiN(窒化シリコン)等の無機絶縁材料からなり、TFT層11bと画素電極12との間の電気的絶縁性を確保すると共に、TFT層11bの上面に段差が存在してもそれを平坦化して、画素電極12を形成する下地面への影響を抑える機能を持つ。
[画素電極]
画素電極12は、下地基板11上に、サブピクセル毎に個別に設けられた画素電極であり、例えば、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)等の光反射性導電材料からなる。本実施形態において、画素電極12は、陽極である。
なお、画素電極12の表面にさらに公知の透明導電膜を設けてもよい。透明導電膜の材料としては、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)を用いることができる。透明導電膜は、画素電極12とホール注入層13の間に介在し、各層間の接合性を良好にする。
[ホール注入層]
ホール注入層13は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。上記の内、酸化金属からなるホール注入層13は、ホールを安定的に、またはホールの生成を補助して、有機発光層15に対しホールを注入および輸送する機能を有する。
[バンク]
列バンク14c1、14c2、14c3、14c4は、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなり、ホール注入層13の表面において、Y方向に伸長する平面視にて短冊形状をなし、複数のものが並列に設けられている。
各列バンク14c1、14c2、14c3、14c4の断面は、図3に示されるように台形であって、列バンク14同士の間には、列バンク14c1、14c2、14c3、14c4によって区画された溝空間20(20R,20G,20B)が形成され、各溝空間20の底部には、複数の画素電極12がY方向に列設され、その上に機能層としてのホール注入層13、有機発光層15、電子輸送層16が形成されている。
列バンク14c1、14c2、14c3、14c4は、X方向に隣接する発光素子10どうしを区画すると共に、有機発光層15をウェット法で形成するときに、塗布されたインクがあふれ出ないようにする構造物としても機能する。尚、図2に示した列バンクの参照符号のうち、アルファベットcに続く1から4までの数値は、列バンクの列位置を示す。図2における列バンク14c1、14c2、14c3、14c4は、その列位置が異なるのみでその構造・材質は同一である。
行バンク24r11〜24r31、24r12〜24r32、24r13〜24r33は、列バンク14c1、14c2、14c3、14c4よりも高さが低く、各溝空間20においてY方向に隣接する画素電極12と画素電極12との間に形成され、Y方向に隣接する発光素子10どうしを区画する。
複数の各溝空間20において、形成されている複数の行バンク24r11、24r12、24r13のY方向の位置は同じである。各行バンク24r11、24r21、24r31はX方向に伸長し、列バンク14c1、14c2、14c3、14c4の下を通り隣の行バンク24r12、24r22、24r32につながってX方向に伸長する短冊状となっている。尚、行バンクの参照符号のうち、アルファベットrに続く11から44までの数値は、行バンクの行列位置を示す。図2における行バンク24r11〜24r41、24r12〜24r42、24r13〜24r413、24r14〜24r44は、その行列位置が異なるのみでその構造・材質は同一である。図2におけるセルC(1,1)〜セルC(3,1)、セルC(1,2)〜セルC(3,2)は、列バンク14c1、14c2、14c3と、行バンク24r11〜24r31、24r12〜24r32とで区画される複数のセルを示す。
[有機発光層]
有機発光層15は、キャリア(正孔と電子)が再結合して発光する部位であって、R,G,Bのいずれかの色に対応する有機材料を含む。
この有機発光層15は、上記のバンク14によって区画されたY方向に伸長する溝状の凹空間(図3(a)の溝空間20R,20G,20B参照)に形成されている。
なお、図3(a)に示す溝空間20Rは赤色の発光層が形成されて赤色の発光素子10Rが形成される溝空間であり、溝空間20G、溝空間20Bは緑色、青色の発光層が形成されて、緑色、青色の発光素子10G、10Bが形成される溝空間である。
従って、互いに色の異なる有機発光層15が、列バンク14を挟んで配置されていることになる。
有機発光層15の材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等が挙げられる。
[電子輸送層]
電子輸送層16は、共通電極17から注入された電子を有機発光層15へ輸送する機能を有し、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などで形成されている。
[共通電極]
共通電極17は、例えば、ITO、IZO等の導電性を有する光透過性材料で形成され全てのサブピクセルに亘って設けられている。
本実施形態において、共通電極17は陰極である。
[封止層18]
封止層18は、ホール注入層13、有機発光層15、電子輸送層16、共通電極17を水分及び酸素から保護するために設けられている。
なお、図示はしないが、封止層18の上に、ブラックマトリクス、カラーフィルター等が形成されていてもよい。
[行バンクの構成]
図2に示した複数の行バンクのうち1つを抜き出して説明する。図4(a)は、有機EL表示パネルを平面視した際の、1つの行バンク(行バンク24r11)の形状を示す。図4(b)は、図4(a)の一点鎖線B−B‘位置で行バンク24r11を切断した際の側面構造を示す。図4(c)は、図4(a)の一点鎖線C−C’の位置で行バンク24r11を切断した場合の断面構造を示す。図4(d)は、行バンク24r11を斜め上から俯瞰した場合の斜視図である。図4(a)〜(d)に示すように、行バンク24r11は、本体25r11と、本体25r11の側壁の両側から離間した状態で並設された一対の隔壁26r11、27r11とからなる。
行バンク側壁の両側から離間した状態で並設された隔壁26r11、27r11は、その行バンク本体25r11よりも高く、列バンク14c1、列バンク14c2、14c3の高さの50%〜100%の範囲に設定されている。隔壁26r11、隔壁27r11を、列バンク14c1、列バンク14c2と同じ高さにすれば、行バンク本体25r11に積層された補修材は、行バンク本体25r11、隔壁26r11、隔壁27r11で囲まれる空間に安定的に蓄積されることになる。しかし、行バンク本体25r11上に積層された際、補修材は、表面張力によりしばしの間、安定的な形状を保つので必ずしも、列バンク14c1、列バンク14c2と同じ高さにする必要はない。列バンク14c1、14c2の高さに対して、60%程度の高さがあれば、補修材の安定的な蓄積が可能になると考えられる。
尚、隔壁26r11、隔壁27r11は、行バンク本体25r11と同じ高さにしてもよい。隔壁26r11、隔壁27r11を同じ高さにすれば、一回のフォトリソグラフィーで、行バンク本体25r11、隔壁26r11、隔壁27r11を形成することができるからである。一方、隔壁26r11、隔壁27r11が、列バンク14c1、14c2、14c3の高さを超えることはあってはならない。列バンク14c1の高さを超えると、対向電極16の形成に支障が生じるからである。
隔壁26r11、隔壁27r11の形状について述べる。隔壁26r11、隔壁27r11は、図4(a)~(d)に示すように相応の厚みをもった板体であり、行バンク本体25r11に沿って行方向に延伸する。隔壁26r11、隔壁27r11を板体としたのは、行バンク本体25r11と併せて、隔壁26r11、隔壁27r11を形成するという形成効率を重視したためである。しかしこれは一例であり、隔壁26r11、隔壁27r11は角柱であってもよい。またその断面形状は、長方形、台形であってもよい。隔壁26r11、隔壁27r11の断面形状を台形とすれば、行バンク本体25r11と、隔壁26r11、隔壁27r11とがなす空間に、多くの補修材を安定的に蓄積することができる。
隔壁26r11、隔壁27r11の厚さについて述べる。隔壁26r11、隔壁27r11は、フォトリソグラフィーで形成可能な最小の厚みを有していれば足りる。隔壁26r11、隔壁27r11は補修材の積層が完了するまでに使用される一時的なものであり、充分な強度を有している必要はないからである。行バンク本体25r11との間隔について述べる。行バンク本体25r11と、隔壁26r11、隔壁27r11との間隔は、行バンク24r11全体の約5%の広さで足りる。行バンク本体25r11と、隔壁26r11、隔壁27r11とにこの程度の隙間があれば、行バンク本体25r11上に積層された補修材が流れ込むだけのスペースを確保することができるからである。
隔壁26r11、隔壁27r11の設置場所について述べる。隔壁26r11、隔壁27r11は、行バンク本体25r11のうち、列バンク14c1、列バンク14c2と接する場所、つまり、行バンク本体25r11の端部には必ず設ける必要がある。補修材は、列バンク14c1、列バンク14c2に引き寄せられた後、列方向に広がるので、当該吸い寄せが発生する行バンク本体25r11の両端部において、補修材の染み出しを堰き止める必要があるからである。図4では、行バンク本体25r11の全周にわたって、隔壁26r11、隔壁27r11を設けたが、部分的に、隔壁26r11、隔壁27r11が存在しない箇所があってもよい。例えば、行バンク本体25r11の行方向の中央部付近は、隔壁が存在しない空白部分にしてもよい。
行バンク本体25r11、隔壁26r11、隔壁27r11を含む行バンク24r11の幅について述べる。行バンク24r1は、図2の平面図に示すように、コンタクトホール2r11のちょうど真上に存在して、その一部が、画素電極12に重複している。そのため、隔壁26r11、隔壁27r11の幅を広くしたり、行バンク本体25r11から隔壁26r11、隔壁27r11までの間隔を広くすると、行バンク24r11と、セルの下部に存在する画素電極12との重複部分の面積が大きくなる。かかる重複部分の面積が大きくなると、セルに対応するサブピクセルの画素開口率が小さくなる。よって隔壁26r11、27r11を含む行バンク24r11の横幅は、一般的な行バンクの幅(10μm)の100〜130%の範囲にすることが望ましい。
図5(a)は、補修材P1が積層された状態の行バンク24r11を示す平面図、図5(b)は、補修材P1が積層された状態の行バンク24r11を、図5(a)の一点鎖線B−B‘の位置で切断した場合の断面図、図5(c)は、補修材P1が積層された行バンク24r11を、図5(a)の一点鎖線C−C’の位置で切断した場合の断面図、図5(d)は、補修材P1が積層された行バンク24r11を、斜め上から俯瞰した場合の斜視図である。これらの図に示すように、補修材P1は、行バンク本体25r11と、隔壁26r11及び隔壁27r11とがなす溝部に入り込む形で行バンク本体25r11上に蓄積されるので、補修材P1の染み出しが周囲に広がることはない。尚、隔壁26r11及び隔壁27r11により囲まれる空間が補修材P1で満たされると、補修材P1がセルに流れ込むこともあるが、その流入量は極めて少なくなる。以上、行バンク24r11について説明したが、行バンク24r11以外の行バンク(図2の行バンク24r21〜24r31、24r12〜24r32、24r31〜r33)も同様の構成となる。
[表示パネルの製造方法]
図6は、表示パネル100の製造過程を示す模式工程図である。
図7、図8は、表示パネル100の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。
表示パネル100の製造方法について、図6、図7、図8を参照しながら説明する。
まず、基板本体部11a上にTFT層11bを形成する(図6のステップS1)。
続いて、TFT層11bの上に、絶縁性に優れる有機材料を用いてフォトレジスト法で層間絶縁層11cを形成して下地基板11を作製する(ステップS2)。層間絶縁層11cの厚みは例えば約4μmである。なお、図3の断面図および図6の工程図には現れないが、層間絶縁層11cを形成するときに、コンタクトホール2(図2参照)を形成する。
次に、下地基板11上に、真空蒸着法またはスパッタ法によって、厚み400[nm]程度の金属材料からなる画素電極12を、サブピクセル毎に形成する(ステップS3)。
続いて、スパッタ法などで酸化タングステンを、下地基板11および画素電極12上に一様に成膜することによって、ホール注入層13を形成する(ステップS4)。
次に、図2の行バンク24r11〜24r31、24r12〜24r32、24r31〜r33と列バンク14c1〜14c4を以下のようにフォトリソグラフィー法で形成する(ステップS5)。
まず行バンク24を形成するためのバンク材料(感光性を有するフォトレジスト材料)を、ホール注入層13上に一様に塗布する。その後、塗布されたバンク材料像に、行バンク24r11、24r12、24r13のパターンに合わせた開口を有するフォトマスクを重ね合わせて、UV照射して露光し、未硬化の余分なバンク材料を現像液で除去することで、図7(a)の行バンク24r11、24r12、24r13、24r14の原型を形成する。
本実施形態の行バンク24r11は、行バンク本体25r11の側壁の両側から離間した状態で、隔壁26r11、27r11が並設しているという構成なので、図6のステップS5においては、2つのレイヤに分けて行バンクの形成を行う。ここでの2つのレイヤとは、隔壁26r11、27r11のうち、行バンク本体25r11から突き出た部分からなる第1レイヤ、行バンク本体25r11と、隔壁26r11、27r11の残りの部分とからなる第2レイヤである。第1レイヤに合わせた開口を有するフォトマスクを用いて、UV照射、露光、現像液の除去といった上記の一連の工程を実行する。その結果、図7(b)に示すように、隔壁26r11、26r12、26r13、26r14、及び、隔壁27r11、27r12、27r13、27r14の一部分が形成される。次に、第2レイヤ形成のためのフォトマスクを用いて、上記のUV照射から露光、現像液除去までの工程を行う。これにより、図7(c)に示すように、隔壁26r11、26r12、26r13、26r14、及び、隔壁27r11、27r12、27r13、27r14の残り部分と、行バンク本体25r11、25r12、25r13、25r14とが形成される。
次に、列バンク14を形成するためのバンク材料(ネガ型感光性樹脂組成物)を、行バンク24r11、24r12、24r13を形成した基板上に一様に塗布する。そのバンク材料層上に、形成しようとする列バンク14c1、14c2、14c3のパターンに合わせた開口を有するマスクを重ねて、マスクの上から露光する。その後、余分なバンク材料をアルカリ現像液で洗い出すことによって、バンク材料をパターニングして、列バンクのパターンを形成する。このような工程を経て、図8(a)に示すような未焼成列バンク14c1、c2、c3が形成される。そして隣接する列バンク14c1、c2、c3同士の間に、溝空間20a1、a2が形成される。
次に、このパターン形成された未焼成列バンク14c1、14c2、14c3における欠陥部の発生を調べて(ステップS6)、欠陥部があればその補修を行う。
この補修は、列バンク14c1、14c2、14c3の欠陥部の両側に位置するセルの列方向端部を規定する行バンクに補修材を積層することで堰を形成し、乾燥することでなされる(図6のステップS7)。図8(b)は、列バンク14c1〜c3間の溝空間20a1、a2に補修材が塗布され、未焼成の堰5a1、5a2が形成された状態を示している。
その後、未焼成の列バンク14c1、14c2、14c3と、未焼成堰5a1とを、同時に加熱焼成することによって、列バンク14c1、14c2、14c3、行バンク24及び堰5a1,5a2が出来上がり、セルリペアが完了する(ステップS8)。この同時焼成は、例えば、未焼成の列バンク14c1、14c2、14c3及び堰5a1、5a2を、150℃〜210℃の温度で60分間加熱することによって行う。図8(c)は、この焼成によって、列バンク14c1、14c2、14c3、行バンク24が形成されると共に堰5a1、5a2が形成された状態、すなわち、列バンク14c1、14c2、14c3が補修されて形成された状態を示している。
このように製造された列バンク14c1、14c2、14c3において、さらに、次の工程で塗布するインクに対する列バンク14c1、14c2、14c3の接触角を調節してもよい。あるいは、列バンク14c1、14c2、14c3の表面に撥水性を付与するために、所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理したり、プラズマ処理を施してもよい。
続いて、列バンク14c1、14c2、14c3同士の間の溝空間20a1、a2に、図8(c)に示すように、発光層形成用のインクを塗布する。このインクは、有機発光層15を構成する有機材料と溶媒を混合したものであり、インクジェット法を用いて塗布される。
そして、図8(d)に示すように、塗布されたインク層15a1,15a2に含まれる溶媒を蒸発させて乾燥し、必要に応じて加熱焼成する。これによって、図8(e)に示すように、各溝空間20a1、a2内に有機発光層15a1,a2が形成される(ステップS9)。
次に、有機発光層15および列バンク14の上に、電子輸送層16を構成する材料を真空蒸着法で成膜して、電子輸送層16を形成する(ステップS10)。
そして、ITO、IZO等の材料を、スパッタ法等で成膜して、共通電極17を形成する(ステップS11)。そして、共通電極17の表面に、SiN、SiON等の光透過性材料をスパッタ法あるいはCVD法等で成膜して、封止層18を形成する(ステップS12)。
[補修方法]
次に、セルリペアによるバンク補修について説明する。セルリペアでは、列バンク14c1〜14c3における欠陥部を検出する必要がある。そのような欠陥部検出は、例えば、下地基板11上に形成した列バンク14c1〜14c3の表面画像を撮影し、その表面画像のパターンを検査することでなされる。かかるパターン検査で、列バンクの欠陥部が発見されれば、これらの欠陥部に対してセルリペアを実行する。以下、欠陥部検出について説明する。
図9は、列バンクの欠陥部検出工程の詳細を示すフローチャートである。本フローチャートは、変数iを制御変数としたループ構造を規定する。変数iは、画像認識により発見された複数の欠陥部のそれぞれを指示する変数である。当該ループ構造の継続要件は、変数iが列バンクの最大数以下であるとの要件をみたすことであり(S35でYes)、当該要件を満たす場合、変数iをインクリメントして(S36)、S32に戻る。当該ループ構造の終了条件は、変数iが、列バンクの最大数を上回ることである。変数iが、列バンクの最大数を上回る場合(S35でNo)、本フローチャートの処理を終了する。以下、ループ構造の対象となる処理は以下の通りである。まずi番目の列バンクについて、欠陥部の有無を調べる(S32)。欠陥部が存在する場合(S33でYes)、欠陥部中央の座標(Xi,Yi)を検出し格納する(S34)。欠陥部が存在しない場合(S33でNo)、かかる座標格納は行わない。
次に、セルリペアで用いられる補修装置について説明する。
図10は、バンク補修に用いられる補修装置の一例を示す概略構成図である。この補修装置200においては、ベース201上に、上記の下地基板11を載置するテーブル202と、撮像素子211及びディスペンサ212が取り付けられたヘッド部210とを有している。そして、テーブル202は、コントローラ230の指示に基づいてY方向に移動でき、ヘッド部210は、コントローラ230の指示によって、X方向及びZ方向に移動できるようになっている。
従って、ヘッド部210に取り付けられている撮像素子211及びディスペンサ212は、コントローラ230の指示によって、テーブル202上に載置された下地基板11の上方で、下地基板11に対して、X方向、Y方向、Z方向に相対移動することができる。補修装置200が備えるディスペンサ212は、ニードル式のディスペンサであって、その先端部分に補修材を収納するタンク(図示せず)が取り付けられ、当該タンク内を貫通するようにニードル213が上下に移動することによって、ニードル213に付着させた補修材をマイクロリットル単位で塗布できるようになっている。このディスペンサ212におけるニードル213の駆動は、コントローラ230からの制御信号に基づいてなされる。
堰形成のための補修材として、補修装置200は、光や熱を加えることによって硬化する樹脂の組成物を用いる。そのような硬化性の樹脂としては、例えば、(メタ)アクロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基などのエチレン性の二重結合を有する硬化性の樹脂が挙げられる。また、樹脂に対して架橋する架橋剤、例えば、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物を添加してもよい。この樹脂構造の中に、フッ素が導入されているフッ化ポリマーを用いてもよい。補修材の樹脂にフッ素が導入されることによって、形成される堰5に溌インク性を付与することができる。あるいは、樹脂に各種溌インク剤を添加してもよい。撥インク剤の添加量は0.01〜10wt%とする。撥インク剤の添加量をこの範囲にすることで、樹脂組成物の貯蔵安定性が良好で、且つ形成される堰5の撥インク性も良好となる。上記補修材を構成する樹脂の組成物に、必要に応じて、溶剤、光重合開始剤を適宜添加してもよい。溶剤は、樹脂に対する溶解性を有するもので、沸点が150〜250℃程度の溶剤を1種類以上用いても良い。光重合開始剤としては、市販の各種光重合開始剤を用いることができる。
続いて、図11(a)〜(c)を参照しながら、セルリペアの工程について説明する。図11(a)、(b)は、斜め上から俯瞰した場合の、列バンク14c1〜14c3、行バンク24r21〜24r31、行バンク24r22〜24r32の配置を示す。図中のセルC(1,1)〜セルC(4,1)、セルC(1,2)〜セルC(4,2)は、図中の行バンク、列バンクにより区画された複数セルの配列を示す。本図では、列バンク14c2に欠陥部Defが存在するので、この列バンク14c2を介して隣り合うセルC(2,1)、セルC(2,2)がセルリペアの対象となり、セルC(2,1)、セルC(2,2)を区画する4つの行バンク(行バンク24r21、行バンク24r31、行バンク24r22、行バンク24r32)に対してペースト性の補修材の積層がなされる。図11(b)は、ペースト性の補修材の積層がなされた状態の行バンク(行バンク24r21、行バンク24r31、行バンク24r22、行バンク24r32)を示す。ペースト性の補修材の積層により、行バンク24r21、行バンク24r31、行バンク24r22、行バンク24r32が高くなったので、複数のセルは、図11(c)に示すものとなる。つまり、補修材の染み出しはセルC(1、1)、C(1、2)、C(3、1)、C(3、2)に及ばず、セルC(2、1)、C(2、2)の範囲に留まる。
以上説明したように、本開示の実施の形態1によれば、行バンクの形成に合わせて、行バンク本体の上面に補修材を溜め込むための隔壁を形成するから、補修材の染みだしを意識することなく、後段のセルリペアにおけるバンク補修を実行することができる。こうすることで、有機EL表示パネルの発光不良の発生を抑制しつつ、ウェット方式による有機EL表示パネルの製造効率向上を図ることができる。
<実施の形態2>
実施の形態1に係る有機EL表示素子は、複数の行バンクのそれぞれに、拡散防止部材である隔壁を設ける構成であった。しかし隔壁の形成は、UV照射から露光、現像液除去までの工程を繰り返し行う必要があり、製造工程の負担が大きい。これに対して実施の形態2では、そのような製造工程の負担を軽減する改良を提案する。具体的にいうと実施の形態2では、補修材の列方向の拡散を防止する拡散防止部材の設置場所を、一部のセルの行バンクに制限する構成を開示する。
図12は、実施の形態2に係る有機EL表示パネルを平面視した際の平面図である。本図における行バンク34r11、34r12、34r21、34r22は、拡散防止部材である突起部が設けられた行バンクである。つまり、実施の形態1に係る有機EL表示素子では、全ての行バンクに、拡散防止部材である隔壁が設けられていたのに対し、実施の形態2に係る有機EL表示素子では、拡散防止部材付与の対象が、一部の行バンク(セルC(1,1)、セルC(1,2)の列方向端部を規定する行バンク)に限定されている。
[行バンクの構成]
図12に示した複数の行バンクの1つを抜き出して、その詳細な構成を説明する。図13(a)は、図12における複数の行バンクのうち1つ(行バンク34r11)を平面視した際の平面図である。図13(b)は、一点鎖線F−F‘の位置で切断した場合の断面図、図13(c)は、一点鎖線G−G’の位置で切断した場合の断面図、図13(d)は、行バンク34r11を斜め上から俯瞰した場合の斜視図である。かかる行バンク34r11と、実施の形態1の行バンク24r11との違いは、拡散防止部材が設けられている場所である。
具体的にいうと、実施の形態1の拡散防止部材は隔壁であり、行バンク本体側壁の両側から離間した状態で並設されていた(図4(a)の隔壁26r11、27r11)のに対し、実施の形態2の拡散防止部材は、突起部36r11、突起部37r11であり、行バンク本体35r11の上面の端部に設けられている点が異なる。突起部36r11、突起部37r11は、親ペースト液性(親液性)の材質で構成される。そのような親液性材質の素材としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等がある。このような材質の素材の一例として行バンク本体25r11の材質を使用することができる。また、親液性の材質として列バンク14c1の材質を使用してもよい。
突起部36r11、37r11の設置場所について述べる。突起部36r11、37r11は、行バンク本体35r11の長尺方向の両端部に設けられている。行バンク本体35r11に補修材が積層された際、補修材は、列バンク14c1、列バンク14c2に引き寄せられた後、列方向に広がる。こうして補修材が引き寄せられる際、補修材は、行バンク本体25r11の両端部を必ず通過するから、この行バンク本体35r11の両端に、突起部36r11、37r11を設けることにしている。尚、補修材が必ず通過する位置として、行バンク本体35r11の中間付近を選んでもよい。また行バンク本体35r11において一定間隔を置いて複数の突起部36r11、37r11を配置してもよい。一定間隔を置いて突起部を設ける際、突起部の個数nは、n=行バンクの長さ÷(突起部の径+インクの着弾点ピッチ)−1に設定することが望ましい。
列バンク14c1、列バンク14c2から突起部36r11、37r11までの間隔は、突起部36r11、37r11の高さに応じて大きく定めることが望ましい。突起部36r11、37r11の素材が流れ落ちたとしても、列バンク14c1、列バンク14c2に到達しないような配慮が求められるからである。具体的にいうと、補修装置200のニードル213が発するインクの着弾点ピッチ(20μm)の整数倍にすることが望ましい。
突起部36r11、37r11の形状について述べる。突起部36r11、37r11の形状については、山なりの形状であればどのようなものでもよい。突起部36r11、37r11は、行バンク本体35r11に補修材が積層され、焼成されるまで使用される一時的なものであり、ノズル213からの数回のインク吐出で形成できるという形成の便宜を優先すべきだからである。
突起部36r11、37r11の高さについて述べる。突起部36r11、37r11は、行バンク本体35r11と、突起部36r11又は突起部37r11との合計の高さが、列バンク14c1、列バンク14c2の高さ(約1μm)の50〜80%になるように定めることが望ましい。突起部36r11、37r11を高くすると、多くの補修材を吸い寄せ得る反面、補修材積層が完了するまでに、突起自体が倒壊してしまう可能性も増すからである。また突起部36r11、37r11の径は、突起部36r11、37r11の高さに応じて漸増するように定めることが望ましい。その際、突起部の径は、ニードル213が発するインク着弾点のスポット径の整数倍にすることが望ましい。
図14(a)は補修材P1が積層された状態の行バンク34r11の平面図、図14(b)は、補修材P1が積層された行バンク34r11を、図14(a)の一点鎖線F−F’の位置で切断した場合の断面図、図14(c)は、図14(a)の一点鎖線G−G’の位置で切断した場合の断面図、図14(d)は補修材P1が積層された状態の行バンク34r11を示す斜視図である。図14(b)、(c)に示すように補修材P1は、親液性の突起部36r11、37r11に吸い付けられる形で、山なりの形状をなし、行バンク本体35r11上に留まる。突起部36r11、37r11に吸い寄せられることで、行バンク本体35r11からこぼれ落ちる補修材P1の量は少なくなるから、補修材P1の染み出しを小さくことができる。
以上、行バンク34r11について説明したが、残りの行バンク(行バンク34r21.34r12、34r22)の構成も同様である。続いて、実施の形態2に係る有機EL表示素子の製造方法の詳細について説明する。
[製造方法]
実施の形態1に係る製造方法と、実施の形態2に係る製造方法との違いは、拡散防止部材の形成時期である。実施の形態1における拡散防止部材は隔壁だったので、バンク形成工程において、拡散防止部材を形成していたのに対し、実施の形態2における拡散防止部材は突起部なのでバンク形成後のセルリペアの工程で作成されるという違いである。
そこで実施の形態2では、列バンクの欠陥部検出を実行した後(図6のS6)、行バンクに対する補修材塗布の実行(図6のS7)に先立ち、前処理を実行する。そして、行バンク本体上面の突起部を、この前処理で形成する。以下、この前処理である上面突起部形成について説明する。
図15は、上面突起部形成工程の詳細を示すフローチャートである。本フローチャートは、変数iを制御変数としたループ構造を規定する。変数iは、画像認識により発見された複数の欠陥部のそれぞれを指示する変数である。当該ループ構造の継続要件は、変数iが欠陥部の最大数以下であるとの要件をみたすことであり(S50でYes)、当該要件を満たす場合、変数iをインクリメントして(S51)、S41に戻る。
当該ループ構造の終了条件は、変数iが、欠陥部の最大数を上回ることである(S50でNo)。変数iが、欠陥部の最大数を上回る場合、本フローチャートの処理を終了する。ループ構造の対象となる処理について説明する。尚、本フローチャートの説明にあたっては、図16(a)、(b)の参考図を引用する。図16(a)は、フローチャートで使用されている欠陥部の座標(Xi,Yi),欠陥部に近いセルであるCell(A(Xi),B(Yi))、当該Cell(A(Xi),B(Yi))を規定する行バンクの左端座標(ui,vi)がどのような位置関係にあるかを示す。図16(b)は、フローチャートで使用されているXn,Ynが、(ui,vi)を左端座標とする行バンクの縦幅、横幅を示すこと、突起部が、行バンクの短辺から−Xoffだけ隔てられた位置に存在することを示す。以下、図15におけるステップS41〜S49の処理について説明する。
第1に、欠陥部座標(Xi,Yi)に近いセルの列位置A(Xi),行位置B(Yi)を特定し(S41)、行列位置(A(Xi),B(Yi))に存在する行バンクの左端座標を算出して、これを基準座標(ui,vi)とする(S42)。続いて、(ui+Xoff,Vi+(Yn)/2)と、(ui+Xn−Xoff,vi+(Yn)/2)とに、親ペースト性の突起部を形成する(S43)。
第2に、行列位置(A(Xi)-1,B(Yi))に存在する行バンクの左端座標を算出して、これを基準座標(ui,vi)とする(S44)。こうして、基準座標が算出されれば、(ui+Xoff,vi+(Yn)/2)と、(ui+Xn−Xoff,Vi+(Yn)/2)とに、親ペースト性の突起部を形成する(S43)。
第3に、行列位置(A(Xi),B(Yi)-1)に存在する行バンクの左端座標を算出して、これを基準座標(ui,vi)とする(S46)。こうして、基準座標が算出されれば、(ui+Xoff,vi+(Yn)/2)と、(ui+Xn−Xoff,vi+(Yn)/2)とに、親ペースト性の突起部を形成する(S47)。
第4に、行列位置(A(Xi)-1,B(Yi)-1)に存在する行バンクの左端座標を算出して、これを基準座標(ui,vi)とする(S48)。こうして、基準座標が算出されれば、(ui+Xoff,vi+(Yn)/2)と、(ui+Xn−Xoff,vi+(Yn)/2)とに、親ペースト性の突起部を形成する(S49)。
以上の処理を繰り返すことにより、欠陥部を介して隣り合う2つのセルにおいて、互いに対向する行バンクの端部に突起を形成する。
図17(a)~(c)を参照して、ニードル213からの補修材吐出による突起部の形成過程を説明する。まずはじめに、図17(a)に示すように、一対の突起部のうち一方のもの(突起部36r11)を形成する。次いで、図17(b)に示すように、一対の突起部のうち、他方のもの(突起部37r11)を形成する。前処理により、一対の突起部を形成した後、図17(c)に示すように、行バンク本体35r11の上面に、補修材P1を積層する。このようにして、行バンク本体35r11上に積み上げられた補修材は、一対の突起部36r11、37r11に引き寄せられるから、補修材は、列バンク14c1、14c2、14c3の隔壁に引き寄せられることなく、行バンク34r11上に留まる。
図18を参照しながら、突起部を用いたセルリペアの過程の一例を説明する。図18(a)は、複数の行バンク34r21、34r31、34r22、34r32と、複数の列バンク14c1、14c2、14c3とにより区画された複数のセルを示す。
かかる複数セルに対するセルリペアの結果を図18(b)に示す。図18(b)の行バンク34r21、行バンク34r31、行バンク34r22、行バンク34r32は、列バンクの欠陥部を介して、隣接する2つセル(セルC(2,1)、セルC(2,2))を区画する行バンクである。これらの行バンク34r21、行バンク34r31、行バンク34r22、行バンク34r32には、その上面に突起部が設けられているので、これらの行バンクに積層された補修材は、列方向に拡散することなく、行バンク34r21、行バンク34r31、行バンク34r22、行バンク34r32の上面に留まる。図18(c)は、図18(b)のC(1,1)、C(1,2)、C(2,1)、C(2,2)、C(3、1)、C(3、2)を平面視した図である。突起部に引き付けられることで補修材は行バンク上に安定的に留まるから、補修材の染み出しはセルC(1、1)、C(1、2)、C(3、1)、C(3、2)に及ばず、セルC(2、1)、C(2、2)の範囲に留まる。
以上説明したように、本開示の実施の形態2によれば、補修工程のパターン認識で列バンクの欠陥部を発見した際、その欠陥部の両隣に位置するセルのセルリピアの前処理として、突起部形成を行うため、拡散防止部材追加に伴う工数増大が最低限なものになる。これにより、ウェット方式による有機EL表示パネルの製造効率向上、及び、有機EL表示パネルの品位向上の両立を図ることができる。
<変形例>
実施の形態1、2において行バンク及び列バンクは、画素電極12、又は、画素電極12並びにホール注入層13を介して、TFT基板11上に設けたが、TFT基板11の上に直接、行バンク及び列バンクを設けてもよい。また、TFT基板11の上方に、行バンク及び列バンクを設ける場合、画素電極12、ホール注入層13以外の層を、介在させてもよい。
また、上記実施の形態では、トップエミッション型有機ELパネルを例にとって説明したが、ボトムエミッション型有機ELパネルにおいても適用可能である。
本発明は、例えば、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ等に用いられる有機EL表示装置に利用可能である。
1 有機EL表示装置
2 コンタクトホール
5a 堰
10R,10G,10B 発光素子
11 下地基板
11a 基板本体部
11b TFT層
11c 層間絶縁層
12 画素電極
13 ホール注入層
14c1〜14c3 列バンク
15 有機発光層
16 電子輸送層
17 共通電極
18 封止層
20R,20G,20B 溝空間
24r11〜24r13 行バンク
25r11 行バンク本体
26r11 隔壁
27r11 隔壁
34r11〜34r13 行バンク
35r11 行バンク本体
36r,37r 突起部
44r 行バンク
100 表示パネル
101 駆動制御部
102〜105 駆動回路
106 制御回路
200 補修装置
201 ベース
202 テーブル
210 ヘッド部
211 撮像素子
212 ディスペンサ
213 ニードル
230 コントローラ

Claims (11)

  1. 基板と、基板上又は基板の上方に並設された複数の列バンク及び複数の行バンクと、有機機能層とを有する有機EL表示素子であって、
    前記有機機能層は、複数の行バンク及び複数の列バンクのうち隣接するもの同士で区画された凹空間に形成されており、
    前記複数の列バンクの何れかには欠陥部分が存在しており、
    前記欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間は、補修材からなる堰がその上面に積層された行バンクによって列方向の端部が規定されており、
    前記堰は、前記行バンクに付随して設けられた拡散防止材により、補修材の流動による列方向の拡大が規制されている、有機EL表示素子。
  2. 前記拡散防止材は、
    前記行バンクの側壁の両側から離間した状態で並設された隔壁である
    請求項1記載の有機EL表示素子。
  3. 前記隔壁の高さは行バンクの高さよりも高い、請求項2記載の有機EL表示素子。
  4. 前記拡散防止材は、行バンクの上面から突出した親液性の突起部であり、
    前記行バンクの高さと、前記突起部の高さとの合計値は、前記列バンクの高さよりも低い
    請求項1記載の有機EL表示素子。
  5. 前記欠陥部の両側に位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクを除く、残りのバンクには、前記上面における突起部が存在しない
    請求項4記載の有機EL表示素子。
  6. 前記親液性の突起部は、前記行バンクと同じ材質で構成される
    請求項4記載の有機EL表示素子。
  7. 基板上又は基板上方に複数の行バンク及び複数の列バンクを形成し、複数の行バンク及び複数の列バンクで区画された凹空間のそれぞれに、有機機能層を形成することによって有機EL表示素子を製造する方法であって、
    複数の列バンク及び複数の行バンクを形成すると共に、各行バンクの側壁の両側から離間した状態で並設された複数の隔壁を形成し、
    前記基板上方に形成された列バンクにおける欠陥部分を検出し、
    行バンクであって、欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間の列方向端部を規定するものの上面に、補修材を積層し、
    複数の列バンク及び補修材が積層された複数の行バンクにより区画される凹空間のそれぞれに、インクジェットノズルから吐出されたインクを塗布することで前記有機機能層を形成する、有機EL表示素子の製造方法。
  8. 前記隔壁の高さは、行バンクの高さよりも高くする、請求項7記載の有機EL表示素子。
  9. 基板上又は基板上方にバンクを形成し、当該バンクで区画された凹空間のそれぞれに、有機機能層を形成することによって有機EL表示素子を製造する方法であって、
    前記基板上方に形成された列バンクにおける欠陥部分を検出し、
    行バンクであって、欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間の列方向端部を規定するものを検出して、検出された行バンクの上面の端部に、親液性の突起部を形成し、
    突起部が形成された行バンクの上面の端部に補修材を積層することで堰を形成し、
    複数の列バンク及び補修材が積層された複数の行バンクにより区画される凹空間のそれぞれに、インクジェットノズルから吐出されたインクを塗布することで前記有機機能層を形成する
    有機EL表示素子の製造方法。
  10. 前記欠陥部の両側に位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクを除く、残りのバンクには、前記上面における突起部を設けない
    請求項9記載の有機EL表示素子の製造方法。
  11. 前記親液性の突起部は、前記欠陥部分の行方向の両側のそれぞれに位置する凹空間の列方向端部を規定する行バンクを検出した際、当該行バンクと同じ材質の素材を、前記行バンクの上面に吐出することで形成される
    請求項9記載の有機EL表示素子の製造方法。
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