JP2015207527A - 有機発光デバイスの機能層の形成方法及び有機発光デバイスの製造方法 - Google Patents

有機発光デバイスの機能層の形成方法及び有機発光デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下地基板の表面に沿った一方向に伸長する複数本の第1バンクと、第1バンクによって区画された各溝空間内に形成された複数の第2バンクとを有するバンク付基板に対して、各溝空間にウェット方式で機能層を形成するときに、画素領域間における機能層の膜厚にばらつきが生じるのを抑える。
【解決手段】ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116を形成する工程において、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222を備えるヘッド部220をX方向に走査しながら、第1ノズルヘッド221から各溝空間125にインクを吐出し、第2ノズルヘッド222がその溝空間125の上を通過しながらインクを吐出する。第1ノズルヘッド221は、各溝空間125の中で、第2バンク114の上に選択的にインクを塗布し、第2ノズルヘッド222は、各溝空間125の全体にインクを塗布する。
【選択図】図5

Description

本発明は、有機発光デバイスにおける機能層を形成する形成方法に関し、特に、バンクで区画された領域にインクを塗布することによって機能層を形成する方法に関する。
近年、発光型の表示装置として、基板上に複数の有機EL素子がマトリックス状に配置された有機EL装置が実用化されている。この有機EL装置は、各有機EL素子が自己発光するので視認性が高く、完全固体素子であるため耐衝撃性に優れる。
有機EL装置において、各有機EL素子は、陽極と陰極の一対の電極対の間に有機発光材料を含む発光層が配設された基本構造を有し、駆動時には、一対の電極対間に電圧を印加し、陽極から発光層に注入されるホールと、陰極から発光層に注入される電子との再結合に伴って発光する。フルカラー表示の有機EL装置においては、このような有機EL素子が、RGB各色のサブピクセルを形成し、隣り合うRGBのサブピクセルが合わさって一画素が形成されている。
有機EL装置において、一般に各有機EL素子の発光層と、隣接する有機EL素子の発光層とは、絶縁材料からなるバンクで仕切られている。また、陽極と発光層との間には、ホール注入層、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層といった有機層が必要に応じて介挿され、陰極と発光層との間にも、必要に応じて電子注入層、電子輸送層または電子注入兼輸送層が介挿されている。これらの有機層、ホール注入層、ホール輸送層、ホール注入兼輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子注入兼輸送層などは、総称して機能層といわれている。
このような有機EL装置を製造する際には、基板上に一方向に伸長するストライプ状のバンク(いわゆる「ラインバンク」)を形成して、ラインバンクで区画された溝空間に機能層を形成する工程がある。機能層の形成には、高分子材料や薄膜形成性の良い低分子を含む発光層形成用のインクを、インクジェット法等で溝空間に塗布するウェット方式が多く用いられている。このウェット方式によれば、大型のパネルにおいても有機層や発光層を比較的容易に形成することができる。
特許文献1に開示されている画像表示装置のように、基板上に、ラインバンク(第1バンク)に加えて、第1バンクと直交する方向に第1バンクよりも高さの低い第2バンクを形成して隣接する画素領域を区画しているものもある。
このように、基板上に、第1バンク及び第2バンクを形成したものに対して、機能層形成用のインクを、第1バンク間の溝空間全体に連続的に塗布することによって、溝空間が伸長する方向において比較的厚みむらの少ない機能層を形成することができる。
特開2007−234232号公報
しかしながら、上記のように第1バンクで区画された溝空間全体に連続的にインクを塗布して機能層を形成しても、画素間において機能層の膜厚にバラツキが生じることがある。このように画素領域の間で機能層の膜厚がばらつくと、画素間における発光特性が異なって、画質低下の原因となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、下地基板と、当該下地基板の表面に沿った一方向に伸長する平面視短冊状の複数本の第1バンクと、複数本の第1バンクによって区画された各溝空間内に一方向に間隔をあけて形成された複数の第2バンクとを有するバンク付基板に対して、各溝空間にウェット方式で有機発光デバイスの機能層を形成するときに、画素領域間における機能層の膜厚にばらつきが生じるのを抑えることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様にかかる機能層の形成方法は、下地基板と、当該下地基板の表面に沿った第1方向に伸長する複数本の第1バンクと、複数本の第1バンクによって区画された各溝空間内に第1方向に間隔をあけて形成された複数の第2バンクとを有するバンク付基板を準備し、各溝空間に有機発光デバイスの機能層を形成する形成方法であって、第1方向に沿って分布する複数のノズルで構成される第1ノズル群と第1方向に分布する複数のノズルで構成される第2ノズル群とが併設されたヘッド部を、下地基板の表面に沿い第1方向と交差する第2方向に走査しながら、第1ノズル群を用いて、バンク付基板の各溝空間の中、複数の第2バンクの上に選択的に機能層の材料を含む第1インクを塗布すると共に、第2ノズル群を用いて、バンク付基板の各溝空間の全体に、機能層の材料を含む第2インクを塗布し、各溝空間に塗布された第1インク及び第2インクを乾燥させることによって機能層を形成することとした。
上記態様に係る機能層の形成方法によれば、ヘッド部が第2方向に走査されるに伴って、バンク付基板の各溝空間上を、ヘッド部に併設された第1ノズル群及び第2ノズル群の一方が通過した後に、他方のノズル群が通過する。
そして、このヘッド部の走査中に、第1ノズル群を用いて、バンク付基板の各溝空間の中、複数の第2バンクの上に選択的に第1インクが塗布されると共に、第2ノズル群を用いて、バンク付基板の各溝空間の全体に、機能層の材料を含む第2インクが塗布される。
従って、各溝空間における第2バンクの上には、第1ノズル群と第2ノズル群とで2度にわたってインクが塗布されるので、インクの未濡れ発生を低減する効果が得られる。
これによって、各溝空間における第2バンク付近でインクの未濡れが発生する確率が下がるので、画素領域間における機能層の膜厚にばらつきが生じるのを抑えることができる。
また、上記形態の機能層の形成方法によれば、各溝空間に対する2回のインク塗布が1回のヘッド部の走査で実施されるので、特に作業が追加されることもなく、容易に実施することができる。
実施の形態に係る有機EL表示装置1の概略構成を示す模式ブロック図である。 表示パネル10におけるサブピクセル11a,11b,11cの配置形態を示す模式平面図である。 図2のA−A断面での構成を示す模式断面図である。 表示パネル10の製造工程を示す工程図である。 バンク付基板150の概略斜視図である。 インク塗布装置200の主要構成を示す図である。 (a),(b)は、溝空間に対して第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222からインク塗布を塗布する位置を示す平面図である。 (a),(b)は、第1ノズルヘッド221からのインク塗布の様子を示す断面模式図である。 (a)〜(c)は第2ノズルヘッド222からのインク塗布の様子を示す断面模式図である。 (a)〜(c)は、比較例及び実施の形態にかかるホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法によって溝空間にインク層が形成される様子を示す平面図である。 変形例にかかるインク塗布方法を示す図である。
[発明に到る経緯]
本発明者は、上記のように、下地基板と、当該下地基板の表面に沿った一方向に伸長する平面視短冊状の複数本の第1バンクと、複数本の第1バンクによって区画された各溝空間内に形成された複数の第2バンクとを有するバンク付基板に対して、各溝空間にインクの塗布を行うことによって有機発光デバイスの機能層を形成するときに、形成した機能層の膜厚が画素間でばらつく原因について、以下のように考察した。
第1バンク同士の間の溝空間全体にインクを塗布することによって、第2バンク上も覆うようにインク層が形成されるが、第2バンクは溝空間内に突出しているので、第2バンクの縁には段差が存在し、この段差部分はインクが塗れにくい。従って、溝空間にインクを塗布して形成されたインク層において、第2バンクの縁付近で未濡れ領域が発生することがある。
その場合、画素領域間におけるインク量が不均一となり、形成される機能層の膜厚が異なることになる。
特に、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層の材料を含むインクは、第2バンク上で弾かれやすいので、第2バンク付近で未濡れ領域が発生しやすい。
このように本発明者は、溝空間内の一部領域おいて塗布したインクが未濡れとなる領域が生じることが、機能層の膜厚が画素間でばらつく原因の1つであることを見出し、その未濡れをなくす方法を検討して、本発明に至った。
[発明の態様]
本発明の一態様にかかる機能層の形成方法は、下地基板と、当該下地基板の表面に沿った第1方向に伸長する複数本の第1バンクと、複数本の第1バンクによって区画された各溝空間内に第1方向に間隔をあけて形成された複数の第2バンクとを有するバンク付基板を準備し、各溝空間に有機発光デバイスの機能層を形成する形成方法であって、主に第1方向に沿って分布する複数のノズルで構成される第1ノズル群と主に第1方向に分布する複数のノズルで構成される第2ノズル群とが併設されたヘッド部を、下地基板の表面に沿い第1方向と交差する第2方向に走査しながら、第1ノズル群を用いて、バンク付基板の各溝空間の中、複数の第2バンクの上に選択的に機能層の材料を含む第1インクを塗布すると共に、第2ノズル群を用いて、バンク付基板の各溝空間の全体に、機能層の材料を含む第2インクを塗布し、各溝空間に塗布された第1インク及び第2インクを乾燥させることによって機能層を形成することとした。
この機能層の形成方法によれば、各溝空間における第2バンクの上には、第1ノズル群と第2ノズル群とで2度にわたってインクが塗布されるので、インクの未濡れ発生を低減する効果が得られる。これによって、各溝空間における第2バンク付近でインクの未濡れが発生する確率が下がるので、画素領域間における機能層の膜厚にばらつきが生じるのを抑えることができる。
また、各溝空間に対する2回のインク塗布が1回の走査で実施されるので、特に作業が追加されることもなく、容易に実施することができる。
上記態様の機能層の形成方法において、ヘッド部に、第1ノズル群を備えるノズルヘッドと、第2ノズル群を備えるノズルヘッドとを、第2方向に互いに間隔をあけて設けてもよい。
あるいは、ヘッド部に、複数のノズルヘッドを第1方向に並べて設けて、各ノズルヘッドに設けられた一部のノズルで第1ノズル群を構成し、残りのノズルで第2ノズル群を構成してもよい。
ここで、ヘッド部において、第1ノズル群は第2ノズル群より走査方向前方に配置し、各溝空間に対して、第1ノズル群を用いて複数の第2バンクの上に選択的に第1インクを塗布した後に、第2ノズル群を用いて各溝空間の全体に第2インクを塗布することによって、高い未濡れ抑制効果を得ることができる。
また、各溝空間に第1インクを塗布するときに、互いに隣接する第2バンク上に塗布された第1インク同士が接触しないように塗布することが好ましい。
上記態様の機能層の形成方法において、以下のようにしてもよい。
各溝空間に第2インクを塗布するときに、塗布された第2インクが第1方向に連続するよう塗布する。
第1インク及び第2インクは、同じ組成にする。
第2バンクは、第1バンクよりも下地基板の表面からの高さを低くする。
第2バンクは、第1バンクよりも、第1インクに対する撥液性を小さくする。
これによって、第2バンクに対する第1インクの塗れ性を高め、第2バンク上への第1インクの濡れ性を高めることができる。
本発明の一態にかかる有機発光デバイスの製造方法は、下地基板上に機能層を形成することによって有機発光デバイスを製造する方法であって、機能層を形成する際に、上記形態の機能層の形成方法を用いる。
[実施の形態]
以下、実施の形態にかかる有機EL装置の機能層を製造する方法について説明する。
まず有機EL装置の全体的な構成及び製法について説明する。
1.有機EL表示装置1の構成
図1および図2を参照しながら、有機EL表示装置1の概略構成について説明する。
図1に示すように、有機EL表示装置1は表示パネル10と、これに接続された駆動・制御回路部20とを備えている。表示パネル10は、有機発光デバイスの一種であって、有機材料の電界発光現象を利用した有機ELパネルである。
図2に示すように、表示パネル10においては、複数のサブピクセル11a,11b,11cがX方向およびY方向に二次元配置されている。この表示パネル10では、一例として、サブピクセル11aは赤色光(R)を出射し、サブピクセル11bは緑色光(G)を出射し、サブピクセル11cは青色光(B)を出射する。そして、X方向に隣接する3つのサブピクセル11a,11b,11で1つのピクセル(画素)が構成されている。
図1に示すように、有機EL表示装置1における駆動・制御回路部20は、4つの駆動回路21〜24と1つの制御回路25とから構成されている。
なお、図2では3つのサブピクセル11a,11b,11cの組み合わせで1ピクセルを構成する例を示したが、ピクセル(画素部)の構成はこれに限定されず、4つ以上のサブピクセルの組み合わせで1つのピクセルを構成してもよい。
2.表示パネル10の構成
表示パネル10においては、図2に示すように、複数のサブピクセル11a〜11cが基板(不図示)上に2次元配置される。各サブピクセル11a〜11cは、図3に示すように、Y方向に延伸する複数の第1バンク115と、第1バンク115同士の間に、Y方向に間隔をあけて形成された複数の第2バンク114とによって区画された領域(サブピクセル領域)に存在する。なお、図5において符号12a,12b,12cは、サブピクセル11a,11b,11cに対応するサブピクセル領域を示している。
図3は、図2のA−A断面を示す模式断面図である。
表示パネル10は、基板100上にTFT層101が形成されてなるTFT基板110をベースとしている。TFT層101は、詳細な図示は省略しているが、ゲート、ソース、ドレインの3電極と、半導体層、パッシベーション膜などで構成されている。
TFT基板110の上には層間絶縁層102が積層されている。
この層間絶縁層102は、上面が略平坦に形成され、その上にサブピクセル11a〜11cが形成されている。
サブピクセル11a〜11cは、基本構成が同じであるので、以下では代表的にサブピクセル11aについて説明する。
サブピクセル11aは、層間絶縁層102の上に順に積層形成されたアノード103及びホール注入層104を有している。
アノード103は、層間絶縁層102に設けられたコンタクトホール(不図示)を介して、TFT層101の上部電極(ソースまたはドレインに接続された電極)に接続されている。
また、層間絶縁層102の上には、ホール注入層104のX方向両縁を覆うように、第1バンク115が形成されている。また図3には表れないが、層間絶縁層102上において、ホール注入層104のY方向両縁上を覆うように第2バンク114が形成されている(図8(a)参照)。
図3に示すように、第1バンク115同士の間には、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116、有機発光層117、電子輸送層118が積層形成されている。なお、これらホール輸送層又はホール注入兼輸送層116、有機発光層117、電子輸送層118は、Y方向に連続して形成され、サブピクセルの領域内だけでなく、第2バンク114の上にも形成されている。
そして、電子輸送層118の上及び第1バンク115の側面及び頂面の上を全体的に覆うように、カソード119および封止層120が順に形成されている。
封止層120は、有機発光層117などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を持つ。
封止層120の上には、樹脂層121を介して、ブラックマトリクス層122及びカラーフィルタ層123を有する基板124が貼り合せられている。
以上の構成を有する表示パネル10は、トップエミッション型であって、図3で矢印に示すようにZ方向に光を出射する。
3.表示パネル10の構成材料
基板100:
基板100は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用い形成されている。
プラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、あるいは、これらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。また、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることもできる。
層間絶縁層102:
表示パネル10の製造工程において、エッチング処理、ベーク処理等が施されることがあるので、層間絶縁層102は、それらの処理に対して耐久性を有する材料で形成することが望ましい。層間絶縁層102は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂などの有機化合物で形成される。
アノード103:
表示パネル10はトップエミッション型なので、アノード103の表面は高い反射性を有することが好ましい。アノード103は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料で構成される。
アノード103は、金属材料からなる単層構造だけではなく、金属層と透明導電層との積層体とすることもできる。透明導電層の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。
ホール注入層104:
ホール注入層104は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる。
第2バンク114:
第2バンク114は、感光性の有機材料で形成する。有機材料の具体例としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂などが挙げられる。
ただし、第2バンク114の材料は、有機材料に限られず、SiO2(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)などの無機絶縁材料で形成してもよい。
第1バンク115:
第1バンク115の材料は、第2バンク114の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1バンク115は、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116や有機発光層117等をウェット法で形成するインクに対する撥液性を有することが好ましい。従って、第1バンク115の材料としては、フッ素系の樹脂を用いることが好ましい。
第1バンク115の構造は、一層構造だけでなく、二層以上の多層構造を採用することもでき、多層構造の場合には、層毎に上記材料を組み合わせて用いることができる。
ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116:
ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物を用いて形成することができる。
有機発光層117:
有機発光層117の材料としては、リパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等が挙げられる。
電子輸送層118:
電子輸送層118は、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などで形成される。
カソード119:
表示パネル10はトップエミッション型なので、カソード119は光透過性の材料で形成する。具体的な材料は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などである。
封止層120:
封止層120も、光透過性の材料で形成される。
封止層120の材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などである。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料で形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
樹脂層121:
樹脂層121は、透明樹脂材料、例えば、エポキシ系樹脂材料から形成される。ただし、これ以外にシリコーン系樹脂などを用いることもできる。
ブラックマトリクス層122:
ブラックマトリクス層122は、光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料で形成されている。紫外線硬化樹脂としては、アクリル系の紫外線硬化樹脂材料が挙げられる。
カラーフィルタ層123:
カラーフィルタ層123は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の波長域の可視光を選択的に透過する材料、例えば公知のアクリル樹脂をベースにした材料で形成される。
基板124:
基板124は、上記基板100と同様に、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用いることができる。
4.表示パネル10の製造方法
表示パネル10の製造方法について、図4の工程図に基づいて説明する。
表示パネル10の製造においては、先ず、TFT基板を準備する(ステップS1)。このTFT基板は、基板100の上面にTFT層101を形成したものであり、公知の技術で作製される。
次に、TFT基板上に有機材料を塗布して層間絶縁層102を形成する(ステップS2)。
このようにTFT基板上に層間絶縁層102が形成したものを下地基板として、その層間絶縁層102上に、アノード103およびホール注入層104を順に積層形成する(ステップS3、S4)。アノード103の形成は、例えば、スパッタリング法若しくは真空蒸着法を用いて金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法でパターニングすることによってなされる。
ホール注入層104の形成は、例えば、スパッタリング法を用いて酸化金属(例えば、酸化タングステン)からなる膜を形成した後、フォトグラフィ法およびエッチング法を用いてパターニングすることでなされる。
次に、以下のように第2バンク114を形成する(ステップS5)。
第2バンク114を形成するためのバンク材料(感光性を有するフォトレジスト材料)を、ホール注入層104上に一様に塗布する。その後、塗布されたバンク材料に対して、パターニングされたマスクを用いて感光を行う。そして、未硬化の余分なバンク材料を現像液で除去することによって第2バンク114バンクパターンを形成する。
次に、第1バンク115を以下のように形成する(ステップS6)。
第1バンク115を形成するためのバンク材料(ネガ型感光性樹脂組成物を)を、ホール注入層1上の第2バンク114の上に一様に塗布する。塗布したバンク材料層上に、形成しようとする第1バンク115のパターンに合わせた開口を有するマスクを重ねて、マスクの上から露光する。
その後、余分なバンク材料をアルカリ現像液で洗い出すことによって、バンク材料をパターニングして、第1バンク115のバンクパターンを形成する。
形成した第2バンク114及び第1バンク115に対して、UV(紫外線)照射処理およびベーク処理を行う(ステップS7)。UV照射処理は、例えば150〜200秒間行う。ベーク処理は、例えば150〜230℃の温度で10〜20分間行う。
図5は、基板100、層間絶縁層102を備える下地基板上に第2バンク114,第1バンク115が形成されたバンク付基板150の概略斜視図である。
このバンク付基板150において、上面側には、複数の第1バンク115によって区画された溝空間125がY方向に複数本形成され、さらに各溝空間125が第2バンク114によって区画されて複数のサブピクセル領域12(12a,12b、12c)が形成されている。
次に、隣り合う第1バンク115で規定された溝空間125に、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116を形成する(ステップS8)。ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成は、印刷法(塗布法)を用い、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の構成用材料を含むインクを隣り合う第1バンク115間の溝空間に塗布した後、焼成することでなされる。
この工程については、後で詳述するが、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116は、隣り合う2条の第1バンク115で規定される溝空間に露出する第2バンク114の上にも形成する。
同様に、隣り合う第1バンク115で規定された溝空間125に、有機発光層117および電子輸送層118を順に積層形成する(ステップS9,S10)。有機発光層117および電子輸送層118の形成についても、上記同様に、各構成材料を含むインクを塗布した後、焼成することでなされる。
次に、電子輸送層118および第1バンク115の頂面部を被覆するように、カソード119および封止層120を順に積層形成する(ステップS11,S12)。カソード119および封止層120は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
その後、基板124にカラーフィルタ層123およびブラックマトリクス層122が形成されたカラーフィルタ基板を貼り合わせることによって、表示パネル10が完成する(ステップS13)。
形成される第1バンク115、第2バンク114、サブピクセル領域12の寸法を以下に例示する。
第1バンク115の高さ(層間絶縁層102上面からの高さ)は1μm、幅は30μm。
第2バンク114の高さ(層間絶縁層102上面からの高さ)は0.5μm、幅は15〜20μm。
サブピクセル11の長さ(Y方向長さ)は300μm、幅(X方向幅)は50μm。
5.ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116を形成する工程
まず、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116を形成する工程(ステップS8)において使用するインク塗布装置200について説明する。
(インク塗布装置200の構成)
図6は、インク塗布装置の主要構成を示す図である。
当図に示すように、インク塗布装置200は、塗布対象物であるバンク付基板150を載置する作業テーブル210、インクを吐出する複数のノズルを有するヘッド部220を備える。
作業テーブル210は、いわゆるガントリー式の作業テーブルであって、吐出対象物が載置される基台211と、基台211の上方に配置された長尺状の移動架台212とを備える。
図6では、吐出対象物としてバンク付基板150が載置されている。
移動架台212は、基台211の長手方向(X方向)に沿って平行に配置された一対のガイドシャフト213a,213b間に架け渡されている。一対のガイドシャフト213a,213bは、基台211の四隅に配設された柱状のスタンド214a〜214dで支持されている。移動架台212は、リニアモーター部215a,215bによって、各ガイドシャフト213a,213bに沿ってX方向に駆動できるようになっている。
移動架台212にはL字形の台座216が取り付けられ、この台座216に上記のヘッド部220が取り付けられている。
従って、リニアモーター部215a,215b及びサーボモーター部217の駆動によってヘッド部220は、X方向及びY方向に駆動可能である。
ヘッド部220において、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222が互いに間隔をあけて設けられている。
これら第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222は、ヘッド制御部223を介して台座216に取り付けられている。
ヘッド制御部223は、各ノズルの吐出機構を個別に駆動する駆動回路を備え、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222をX−Y面に沿って回転させることができ、その回転角度を調整することにより、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222の吐出対象物に対するノズルピッチを調整できるようになっている。
リニアモーター部215a,215b、サーボモーター部217、ヘッド制御部223は、通信ケーブル201,202、203を介して駆動制御部に接続されている。
ヘッド部220の詳細:
ヘッド部220には、第1ノズルヘッド221および第2ノズルヘッド222がX方向に間隔をあけて設けられている。第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222は、それぞれ、Y方向に伸長する長尺状の部材であって、輸液チューブ204、205を介して外部からインクが供給される。
図6には示さないが、第1ノズルヘッド221の下面側には第1ノズル群を構成する複数のノズル225が主にY方向に沿って分布して設けられ、第2ノズルヘッド222の下面側には第2ノズル群を構成する複数のノズル226が主にY方向に沿って分布して設けられている(図7参照)。
そして、各ノズル225,226には、圧電素子、液室等を構成要素とするインクを吐出する機構(不図示)が設けられている。
なお、図7(a),(b)に示される例では、複数個のノズル225及び複数個のノズル226は、それぞれY方向に沿って一列に配置されているが、複数のノズル225,226が列状に配置される形態については一列には限定されず、複数列で列設されていても良い。また、複数個のノズル225及び複数個のノズル226の配列方向は、Y方向に対して傾斜していてもよい。
このようなインク塗布装置200において、作業テーブル210上の塗布対象物に対してヘッド部220をX−Y面に沿って相対的に移動させることができる。
詳しくは後述するが、このインク塗布装置200を用いて、図7に示すように、ノズルヘッド221、222をX方向に走査させながら、塗布対象となるバンク付基板150の着弾位置に各ノズル225、226から所定のタイミングでインクを吐出する。
第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222に設けられた複数のノズル225,226は、個別に使用/不使用の設定をすることができ、使用に設定されたノズルだけからインクが吐出されるようになっている。
なお、このインク塗布装置200においては、ヘッド部220がX方向に移動するようになっているが、基台211をX方向に移動できるようにしてもよく、同様にバンク付基板150に対して第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222を相対的にX方向に走査することができる。
このようなインク塗布装置200を用いて、バンク付基板150にホール輸送層又はホール注入兼輸送層用のインクを塗布する方法を以下に説明する。
(インク塗布装置200によるインク塗布)
図6に示すように、インク塗布装置200における基台211上にバンク付基板150を載置する。このとき、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222の伸長方向が、バンク付基板150における第1バンク115の伸長方向(Y方向)に沿うように載置する。
そして、ヘッド部220をX方向(バンク付基板150の基板面に沿ってY方向と直交する方向)に走査しながら、或いは、ヘッド部220を固定して基台211をX方向に走査しながら、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222からバンク付基板150の各溝空間125にホール輸送層又はホール注入兼輸送層用のインクを塗布する。図5において、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222がバンク付基板150の上を走査される様子を模式的に示している。
このようにバンク付基板150の上を、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222をバンク付基板150に対して相対的に走査させながら、第1ノズルヘッド221及び第2ノズルヘッド222から各溝空間125にインクを吐出させることによって塗布を行う。
図7(a)は第1ノズルヘッド221から溝空間125にインクを塗布する様子、図7(b)は第2ノズルヘッド222から溝空間125にインクを塗布する様子を示す平面図である。図8(a),(b)は、第1ノズルヘッド221から第2バンク114上にインクが塗布される様子を示す断面模式図である。図9(a)〜(c)は、第2ノズルヘッド222から溝空間125にインクが塗布される様子を示す断面模式図である。
各溝空間125において、インクを着弾させる位置(着弾位置)を、図7(a),(b)においては丸印で示し、図8(a),図9(a)においては矢印で示している。
第1ノズルヘッド221から吐出するインク(第1インク)は、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の材料を溶剤に溶解した溶液である。
各溝空間125から見ると、最初に第1ノズルヘッド221が溝空間125の上を通過しながら第1インクを吐出し、所定時間をおいて、第2ノズルヘッド222がその溝空間125の上を通過しながら第2インクを吐出することになる。上記の所定時間は、例えば0.5秒である。この時間は第1ノズルヘッド221と第2ノズルヘッド222との間隔が大きいほど、また走査速度が遅いほど長くなる。
ここで、第1ノズルヘッド221は、各溝空間125の中で、第2バンク114の上に選択的にインクを塗布する。すなわち、第1ノズルヘッド221からは、溝空間125全体の領域の中で、第2バンク114の上にインクを塗布し、第2バンク114以外の領域(サブピクセル領域12)には、インクを塗布しないか、塗布したとしてもその塗布量は少なくする。
図7(a)に示す例では、第1ノズルヘッド221が備える複数のノズル225(第1ノズル群)の中、バツ(×)を付けたノズル225は使用せず、第2バンク114上を通過するノズル225だけを使用して、第2バンク114上にインクを着弾させている。
さらに詳しく述べると、溝空間125中において各第2バンク114上に塗布するインクは1滴以上である。各第2バンク114上に複数の液滴を滴下する場合、滴下位置は1列でもよいし、図7(a)のように2列でもよい。
インク層116aは、溝空間125に露出する第2バンク114の表面の一部だけを覆ってもよいし、図8(b)に示す例のように、インク層116aは、溝空間125に露出する第2バンク114の表面全体を覆ってもよい。
図8(b)に示す例では、インク層116aは、第2バンク114の上だけではなく、サブピクセル領域12の周辺部にまたがって形成されている。このようにインク層116aは、サブピクセル領域12の周辺部にまたがってもよいが、Y方向に隣接する第2バンクの上に塗布されるインク層116a同士は、互いに分離されていて、つながらないようにする。
一方、第2ノズルヘッド222は、第2ノズル群(複数のノズル226)から、各溝空間125の全体に第2インクを塗布する。
図7(b)には、各溝空間125に対して第2ノズルヘッド222からインク液滴を着弾させる着弾位置を例示している。
この図7(b)に示すように、第2ノズルヘッド222が備える複数のノズル226を全体的に用いて、溝空間125内の全体領域に第2インクを塗布する。
ここで用いる第2インクも、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の材料を溶剤に溶解した溶液である。この第2インクは、第1ノズルヘッド221から吐出させる第1インクと同じ組成(すなわち、溶剤の種類が同じ)であってもよいし、溶剤の種類が異なっていてもよい。
なお、第1インク及び第2インクとして、同じ組成のインクを用いる場合、共通のインクタンクから輸液チューブ204、205を介して、第1ノズルヘッド221、第2ノズルヘッド222にインクを供給してもよい。
図9(a)〜(c)は第2ノズルヘッド222から溝空間125全体にインクが塗布され、塗布されたインク層が乾燥されることによってホール輸送層又はホール注入兼輸送層116が形成される様子を示す断面模式図である。
図9(b)は、第2ノズルヘッド222からインク層116aの上からインクが塗布された結果、溝空間125に、Y方向に連続するインク層116bが形成された様子を示している。塗布した直後のインク層116bの高さは例えば20μm程度である。
このよう塗布されたインク層116bを乾燥することによって、図9(c)に示すように、溝空間125内にY方向に連続するホール輸送層又はホール注入兼輸送層116が形成される。
インク層116bの乾燥も、減圧乾燥で行うことが好ましい。
乾燥後のホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の厚みは、数十nm(例えば20nm)である。
6.上記ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法による効果
上記ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法によれば、各溝空間125において、第1ノズルヘッド221からのインク塗布によって、第2バンク114上にインク層116aが形成され、続いて、第2ノズルヘッド222からのインク塗布によって各溝空間125全体に、インク層116bが形成される。すなわち、各溝空間125において、第2バンク114の上に対して2度にわたってインクが塗布されるので、第2バンク114付近でのインクの未濡れが防止される。従って、画素内で輝度ムラを防止できる。
この効果について、以下に比較例と対比しながら説明する。
比較例にかかるホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法においては、溝空間125全体にホール輸送層又はホール注入兼輸送層116形成用のインクが一度に塗布されることとする。
図10(a)は、その比較例にかかるホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法によって溝空間125にインク層が形成された様子を示す平面図である。
第2バンク114は溝空間125内で突出して形成されている(図8参照)ので、第2バンク114の縁に段差が存在する。この段差部分はインクが塗れにくいので、溝空間125にインクを一度だけ塗布して形成されたインク層においては、図10(a)に示すように第2バンク114の縁付近で未濡れ領域が発生することがある。
そして、溝空間125内において、未濡れ領域が発生した箇所では、未濡れ領域が発生しない箇所と比べて、塗布量が少なくなるので、その結果、サブピクセル間で、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の膜厚にばらつきが生じることになる。
このようにホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の膜厚にばらつきが生じたものを用いて表示パネル10を作製すると、サブピクセル間において輝度のばらつきが生じる。
また、サブピクセルの周辺部領域においてホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の膜厚がかなり薄い部分が発生した場合、それを用いて表示パネル10を作製すると、膜厚が薄い部分において発光が異常となり輝度ムラの原因となる。
これに対して、実施の形態にかかるホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法によれば、第1ノズルヘッド221から溝空間125中における第2バンク114上に、選択的にインクが塗布されることによって、図10(b)に示すように、第2バンク114上にインク層116aが形成される。そして、第2ノズルヘッド222から溝空間125全体にインクが塗布されることによって、図10(c)に示すように、溝空間125全体にインク層116bが形成される。
このとき、各溝空間125の中の第2バンク114に対して、2度にわたってインクが塗布されるので、第2バンク114付近でのインクの未濡れが防止される。
インク層116bにおけるピクセル周辺部で第2バンク114上にインク層が存在しない未濡れ領域が発生することもなく、ピクセルの周辺部領域においてホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の膜厚が薄くなる現象も抑えられる。
よって、表示パネル10を作製したときに画素内で輝度ムラが発生するのが抑えられる。
なお、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116において、第2バンクの上に存在する部分は発光に寄与しないが、発光特性に悪影響を与えることもない。
7.変形例など
(1)図11は、変形例にかかるインク塗布方法を示す図である。
上記実施の形態においては、インク塗布装置が走査方向(X方向)前方に第1ノズルヘッド221、後方に第2ノズルヘッド222を設けられ、第1ノズルヘッド221にノズル225からなる第1ノズル群が設けられ、第2ノズルヘッド222にノズル226からなる第2ノズル群が設けられていたが、本変形例では、ヘッド部において複数のノズルヘッド224A〜224EがY方向に並べて設けられ、各ノズルヘッド224A〜224Eにおける走査方向(X方向)前方に第1ノズル群を構成するノズル225が設けられ、後方にからなる第2ノズル群を構成するノズル226が設けられている。
従って、第1ノズル群は、複数のノズルヘッド224A〜224Eに存在する複数のノズル225で構成され、第2ノズル群も、複数のノズルヘッド224A〜224Eに存在する複数のノズル226で構成されている。
このような複数のノズルヘッド224A〜224Eを備えるヘッド部を走査することによって、或いは、ヘッド部を固定して基台211を走査することによっても、上記実施形態で説明したホール輸送層又はホール注入兼輸送層のインク塗布方法を実施することができる。
すなわち、ノズルヘッド224A〜224Eを走査しながら、各溝空間125に対して、まず、第1ノズル群の中で、第2バンク114上を通過するノズル225(図11において、大きい丸印で表示している。)から第2バンク114上にインクを塗布する。続いて、第2ノズル群のノズル226から溝空間125全体にインクを塗布する。
これによって、上記実施の形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
(2)上記実施の形態にかかるホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法によれば、第2ノズルヘッド222よりも第1ノズルヘッド221を走査方向前方に位置させて、まず、第1ノズルヘッド221から溝空間125中における第2バンク114上に、選択的にインクを塗布した後に、第2ノズルヘッド222から溝空間125全体にインクを塗布したが、その順序を入れ替えてもよい。
すなわち、第2ノズルヘッド222を第1ノズルヘッド221よりも走査方向前方に配置して、第2ノズルヘッド222から溝空間125全体にインクを塗布した後に、第1ノズルヘッド221から溝空間125中における第2バンク114上に、選択的にインクを塗布してもよい。この場合も、各溝空間125において、第2バンクの上に2度にわたってインクが塗布されるので、1回目のインク塗布で第2バンク上が未塗れになっても、2回目のインク塗布で未濡れが解消される可能性がある。従って、インクの未濡れ発生を低減する効果が得られる。
ただし、上記実施形態のように、先に第2バンク114上に、選択的にインクを塗布した方が、第2バンク114上の未濡れを防止する効果がより大きいと考えられる。
(3)上記実施の形態にかかるホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の形成方法において、第1ノズルヘッド221から第2バンク114上に吐出するインクとして、速乾性のインクを用いれば、
第2ノズルヘッド222から塗付されるまでの間(例えば0.5秒)に、インクがある程度乾燥して、塗膜になることがある。そして、第2バンク114上にインクの塗膜が形成された後に、第2ノズルヘッド222から溝空間125全体にインクが塗布されることになる。
この場合、以下のような作用・効果も期待できる。
各溝空間125に機能層用のインクを塗布して機能性を形成するときに、形成した機能層の膜厚が画素間でばらつく要因として、次のようなものもある。
第1バンク同士の間の溝空間全体にインクを塗布すると、塗布されたインク層は第2バンク上も覆うが、インク層を乾燥する過程においてインクの体積が減少するので、乾燥がある程度進んだ段階で、第2バンクの上のインク層は、当該第2バンクを挟んだ両隣の画素領域内のインク層に引き込まれる形で分配される。
このとき両隣の画素領域にうまく半分ずつ分配されればよいが、不均一に分配されることもある。その場合、両隣の画素領域におけるインク量が不均一となり、形成される機能層の膜厚が異なることになる。
これに対して、第2バンク114上に速乾性のインクが塗布された場合、第2バンク上に機能層の一部である下層が形成され、その上に、第2ノズルヘッド222から溝空間125全体にインクが塗布されることになる。
第2ノズルヘッド222から塗布されたインク層が乾燥するときに、当該インク層が収縮しようとしても、下層が当該インク層に対する親和性を有しているので、下層上にインク層が付着した状態が維持され、下層の上にも機能層が残った状態となる。
それによって、第2バンクを挟んで互いに隣接する画素領域間で機能層の膜厚がばらつくのが抑えられ、膜厚の均一性が良好なものとなる。
(4)第1バンクと第2バンクに使用するバンク材料を変えることによって、あるいは、第1バンク及び第2バンクに対するUV処理条件を変えることによって、第1バンクと比べても第2バンクのインクに対する撥液性が低くなるように調整してもよい。これによって、第2バンク上でのインクの濡れがよくなるので。ホール輸送層又はホール注入兼輸送層116の膜厚ばらつきを抑える効果をより高めることができる。
(5)上記実施の形態では、表示パネル10のホール輸送層又はホール注入兼輸送層116をウェット方式形成する場合について説明したが、ホール輸送層又はホール注入兼輸送層以外の機能層をウェット方式で形成する場合、例えば、発光層、ホール注入層、電子輸送層、電子注入層をウェット方式で形成する場合にも、同様に実施することができ、同様の効果を得ることができる。
また、有機EL表示パネルに限らず、例えば、有機EL照明における機能層を形成する場合にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
(6)上記実施の形態では、トップエミッション型の表示パネル10の機能層を形成する場合を例にとって説明したが、ボトムエミッション型の表示パネルの機能層を形成するのに適用することもでき、同様の効果を得ることができる。
本発明に係る機能層の形成方法は、有機EL表示装置をはじめとする有機発光デバイスを製造するのに有用である。
1 有機EL表示装置
10 表示パネル
11 サブピクセル
12 サブピクセル領域
100 基板
102 層間絶縁層
103 アノード
104 ホール注入層
110 TFT基板
114 第2バンク
115 第1バンク
116a,116b インク層
116 ホール輸送層又はホール注入兼輸送層
117 有機発光層
118 電子輸送層
119 カソード
125 溝空間
150 バンク付基板
200 インク塗布装置
211 基台220 ヘッド部
221 第1ノズルヘッド
222 第2ノズルヘッド
224A〜224E ノズルヘッド
225 第1ノズル群のノズル
226 第2ノズル群のノズル

Claims (10)

  1. 下地基板と、当該下地基板の表面に沿った第1方向に伸長する複数本の第1バンクと、前記複数本の第1バンクによって区画された各溝空間内に前記第1方向に間隔をあけて形成された複数の第2バンクとを有するバンク付基板を準備し、前記各溝空間に有機発光デバイスの機能層を形成する形成方法であって、
    前記第1方向に沿って分布する複数のノズルで構成される第1ノズル群と前記第1方向に分布する複数のノズルで構成される第2ノズル群とが併設されたヘッド部を、前記下地基板の表面に沿い前記第1方向と交差する第2方向に走査しながら、
    前記第1ノズル群を用いて、前記バンク付基板の各溝空間の中、複数の第2バンクの上に選択的に前記機能層の材料を含む第1インクを塗布すると共に、第2ノズル群を用いて、前記バンク付基板の各溝空間の全体に、前記機能層の材料を含む第2インクを塗布し、
    前記各溝空間に塗布された第1インク及び第2インクを乾燥させることによって前記機能層を形成する、
    機能層の形成方法。
  2. 前記ヘッド部には、
    前記第1ノズル群を備えるノズルヘッドと、前記第2ノズル群を備えるノズルヘッドとが、
    前記第2方向に互いに間隔をあけて設けられている、
    請求項1記載の機能層の形成方法。
  3. 前記ヘッド部には、
    複数のノズルヘッドが前記第1方向に並べて設けられていて、
    各ノズルヘッドに設けられた一部のノズルが前記第1ノズル群を構成し、
    残りのノズルが前記第2ノズル群を構成する、
    請求項1記載の機能層の形成方法。
  4. 前記ヘッド部において、前記第1ノズル群は第2ノズル群より走査方向前方に存在し、
    前記各溝空間に対して、
    前記第1ノズル群を用いて前記複数の第2バンクの上に選択的に前記第1インクを塗布した後に、
    前記第2ノズル群を用いて前記各溝空間の全体に前記第2インクを塗布する、
    請求項1〜3のいずれかに記載の機能層の形成方法。
  5. 前記各溝空間に前記第1インクを塗布するときに
    互いに隣接する前記第2バンク上に塗布された前記第1インク同士が接触しないように塗布する、
    請求項4に記載の機能層の形成方法。
  6. 前記各溝空間に前記第2インクを塗布するときに、
    塗布された前記第2インクが前記第1方向に連続するよう塗布する、
    請求項1〜3のいずれかに記載の機能層の形成方法。
  7. 前記第1インク及び前記第2インクは、組成が同じである、
    請求項1〜6のいずれかに記載の機能層の形成方法。
  8. 前記第2バンクは、前記第1バンクよりも前記下地基板の表面からの高さが低い、
    請求項1〜7のいずれかに記載の機能層の形成方法。
  9. 前記第2バンクは、前記第1バンクよりも、前記第1インクに対する撥液性が小さい、
    請求項1〜8のいずれかに記載の機能層の形成方法。
  10. 下地基板上に機能層を形成することによって有機発光デバイスを製造する方法であって、
    前記機能層を形成する際に、請求項1〜9のいずれかに記載の機能層の形成方法を用いる、
    有機発光デバイスの製造方法。
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