JP2017201863A - モータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】デューティ比が大きい場合であっても、モータの回転を円滑に制御可能なモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】PI制御部66は、回転数指令値と実回転数とからデューティ比を算出して出力する。電圧補正部68は、PI制御部66から出力されたデューティ比が90%以下の場合に、電源電圧に応じてデューティ比を補正し、PI制御部66から出力されたデューティ比が90%よりも大きくかつ電源電圧が閾値電圧以下の場合に85%にしたデューティ比を電源電圧に応じて補正し、各々補正したデューティ比に従った電圧をインバータ回路40に生成させる。
【選択図】図3
【解決手段】PI制御部66は、回転数指令値と実回転数とからデューティ比を算出して出力する。電圧補正部68は、PI制御部66から出力されたデューティ比が90%以下の場合に、電源電圧に応じてデューティ比を補正し、PI制御部66から出力されたデューティ比が90%よりも大きくかつ電源電圧が閾値電圧以下の場合に85%にしたデューティ比を電源電圧に応じて補正し、各々補正したデューティ比に従った電圧をインバータ回路40に生成させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、モータ駆動装置に関する。
車両用エアコンの送風に用いられるブロアモータ(以下、「モータ」と略記)及びモータを制御する回路の電源は車載のバッテリが用いられるが、バッテリにはエンジンの点火系及びオルタネータ等の機器も接続されている。さらには、電動パワーステアリング等の電力負荷も接続されている。バッテリに接続されたこれらの機器及び電力負荷の影響により、バッテリの電圧が変動する場合がある。
電源であるバッテリの電圧変動は、モータの回転速度に影響する。モータに供給される電力は、バッテリの電圧を指令値に基づいたデューティ比に従ってスイッチング素子をオンオフさせてパルス状の波形の電圧を生成するPWM(Pulse Width Modulation)によって生成される。PWMのデューティ比が一定の状態、すなわちモータを一定速度で回転させる場合に、バッテリの電圧が変動すると、モータに供給される電力の実効電圧が変動する。デューティ比がバッテリの電圧の変動の前後で一定であれば、PWMによって生成される電圧は、バッテリの電圧の変動に応じて変化するからである。その結果、モータの回転速度を一定に維持することが困難となる。
PWMによるモータの回転速度の制御では、モータの巻線の端子に印加される電圧のデューティ比を、電源の電圧の変動に応じて制御する電圧補正が行われる。電圧補正では、バッテリの電圧が高くなった場合にはデューティ比を下げ、バッテリの電圧が低くなった場合にはデューティ比を上げる制御が実行される。
しかしながら、モータを高速回転させる等で、デューティ比が90%を超える場合に電圧補正を実行すると、制御ハンチングが生じ、モータの回転が不整となる現象が観測される。例えば、指令値に従ったデューティ比が90%を超える場合で、かつバッテリの電圧が低い場合には、電圧補正によりデューティ比をさらに上げる必要があるが。デューティ比が極めて大きくなると、スイッチング素子をオンオフさせる間隔が極めて短くなる。かかる場合には、スイッチング素子が電圧補正されたデューティ比に従ったパルスを出力できず、モータの回転速度の制御に支障を来すおそれがあった。
特許文献1、2には、デューティ比が大きい場合に電圧補正を実行しないモータ制御装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の発明のように、デューティ比が大きい場合に電圧補正を実行しないと、電源電圧が急に高くなった場合に、過大な電流がモータに流れるおそれがある。モータ電流が過大になると過電流保護が実行されてモータの回転が停止され、モータを駆動源とするエアコン等の機器の動作に支障を来す。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、デューティ比が大きい場合であっても、モータの回転を円滑に制御可能なモータ駆動装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載のモータ駆動装置は、パルス幅変調によりモータを駆動する電圧を生成する駆動部と、電源電圧を検出する電圧検出部と、パルス幅変調の出力デューティ比が第1閾値を超え、かつ前記電圧検出部で検出された電圧が所定値以下の場合に、前記出力デューティ比を前記第1閾値より低い第2閾値に低下させるパルス幅変調が行われ、かつ前記電源電圧が変動した場合に前記モータの回転変動を抑制する電圧補償制御が行われるように前記駆動部を制御する制御部と、を含んでいる。
このモータ駆動装置は、パルス幅変調の出力デューティ比が前記第1閾値を超え、かつ電源電圧が所定値以下の場合に、出力デューティ比が第1閾値より低い第2閾値以下に低下させるパルス幅変調が行われる、出力デューティ比を低下させることにより、駆動部のスイッチング素子の動作に余裕が生じ、モータの回転を円滑に制御できる。
また、このモータ駆動装置は、電源電圧が変動した場合にモータの回転変動を抑制する電圧補償制御を実行することにより、モータの回転を円滑に制御できる。
請求項2記載のモータ駆動装置は、請求項1記載のモータ駆動装置において、前記制御部は、前記出力デューティ比が前記第1閾値以下の場合に、前記出力デューティ比によるパルス幅変調が行われ、かつ前記電圧補償制御が行われるように前記駆動部を制御する。
このモータ駆動装置によれば、出力デューティ比が第1閾値以下の場合に電圧補償制御を実行することにより、電源電圧が変動した場合にモータの回転変動を抑制して、モータの回転を円滑に制御できる。
請求項3記載のモータ駆動装置は、請求項1又は2記載のモータ駆動装置において、前記制御部は、前記出力デューティ比が前記第1閾値を超え、かつ前記電圧検出部で検出された電圧が前記所定値を超えた場合に、前記電圧補償制御を停止し、前記出力デューティ比が前記第2閾値未満になった場合に、前記電圧補償制御を再開する。
このモータ駆動装置は、出力デューティ比が第1閾値を超えかつ電源電圧が閾値電圧を超えた場合に、電圧補償制御を停止させることにより、デューティ比が大きな場合に生じやすい制御ハンチングを抑制する。また、このモータ駆動装置は、出力デューティ比が第2閾値未満になった場合に、電圧補償制御を再開することにより、電源電圧が変動した場合にモータの回転変動を抑制して、モータの回転を円滑に制御できる。
請求項4記載のモータ駆動装置は、請求項1〜3のいずれか1項記載のモータ駆動装置において、前記電圧補償制御は、前記電圧検出部で検出された電圧が上昇した場合は前記出力デューティ比を電圧の上昇に応じて低下させ、前記電圧検出部で検出された電圧が低下した場合は前記出力デューティ比を電圧の低下に応じて増大させる。
このモータ駆動装置によれば、出力デューティ比を電源の電圧に応じて補正することにより、電圧変動時の回転数変動を抑制することができる。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のモータ駆動装置において、前記モータの回転速度を検出する回転速度検出部を含み、前記制御部は、指令値が示す目標回転速度と前記回転速度検出部によって検出された前記モータの実回転速度との偏差を解消するように前記出力デューティ比を算出する。
このモータ駆動装置によれば、指令値が示す回転速度とモータの実際の回転速度との偏差を解消するPI制御によって、指令値に基づくデューティ比を算出することにより、モータの実際の回転速度を鑑みたモータの回転速度の制御が可能になる。
図1は、本実施の形態に係るモータ駆動装置20を用いたモータユニット10の構成の一例を示す概略図である。図1の本実施の形態に係るモータユニット10は、一例として車両用エアコンの送風に用いられる、いわゆるブロアモータのユニットである。
本実施の形態に係るモータユニット10は、ステータ14の外側にロータ12が設けられた、アウターロータ構造の三相モータに係るものである。ステータ14はコア部材に導線が巻かれた電磁石であって、U相、V相、W相の三相を構成している。
ステータ14のU相、V相、W相の各々は、後述するモータ駆動装置20の制御により、電磁石で発生する磁界の極性が切り替えられることにより、いわゆる回転磁界を発生する。
ロータ12の内側(図示せず)にはロータマグネットが設けられており、ロータマグネットは、ステータ14で生じた回転磁界に対応することにより、ロータ12を回転させる。
ロータ12にはシャフト16が設けられており、ロータ12と一体になって回転する。図1には示していないが、本実施の形態ではシャフト16には、いわゆるシロッコファン等の多翼ファンが設けられ、当該多翼ファンがシャフト16と共に回転することにより、車両用エアコンにおける送風が可能となる。
ステータ14は、上ケース18を介して、モータ駆動装置20に取り付けられる。モータ駆動装置20は、モータ駆動装置20の基板22と、基板22上の素子から生じる熱を放散するヒートシンク24とを備えている。
ロータ12、ステータ14及びモータ駆動装置20を含んで構成されるモータユニット10には、下ケース28が取り付けられる。
図2は、本実施の形態に係るモータ駆動装置20の概略を示す図である。図2に記載のインバータ回路40は、FETによってモータ52のステータ14のコイルに供給する電力をスイッチングする。例えば、インバータFET44A、44DはU相のコイル14Uに、インバータFET44B、44EはV相のコイル14Vに、インバータFET44C、44FはW相のコイル14Wに、各々供給する電力のスイッチングを行う。
インバータFET44A、44B、44Cの各々のドレインは、チョークコイル82を介して車載のバッテリ80の正極に接続されている。また、インバータFET44D、44E、44Fの各々のソースはバッテリ80の負極に接続されている。
また、本実施の形態のモータ駆動装置20の基板上には、前述のインバータ回路40に加え、コンパレータ54、実回転数算出部56、指令回転数算出部58、スタンバイ回路60、メイン電源通電部62、通電制御駆動波形決定部64、PI制御部66、電圧補正部68及びFETドライバ70等が実装されている。
また、本実施の形態のモータ駆動装置20の基板上には、チョークコイル82及び平滑コンデンサ84A、84B等が実装され、さらにエアコンECU(Electronic Control Unit)78及びバッテリ80が接続されている。チョークコイル82及び平滑コンデンサ84A、84Bはバッテリ80と共に略直流電源を構成している。また、エアコンECU78は、車両用エアコンの電子制御ユニットであり、ユーザがエアコンECU78によりエアコンをオンにすると、モータ駆動装置20の制御により、モータ52が作動する。また、ユーザが車両用エアコンの風量を調節する場合は、エアコンECU78を介してモータ52(ロータ12)の回転速度を指示するための信号が入力される。
本実施の形態では、シャフト16と同軸に設けられたセンサマグネット12Aの磁界をホール素子12Bが検出する。コンパレータ54は、ホール素子12Bのアナログ出力をデジタル信号に変換する装置であり、実回転数算出部は、コンパレータ54が出力したデジタル信号に基づいてロータ12の実回転速度を算出する。指令回転数算出部58はエアコンECU78等からの指示に基づいた目標回転速度を算出する。本実施の形態では、目標回転速度は、略1000〜5000rpmである。
PI制御部66は、指令回転数算出部58が算出した目標回転速度と実回転数算出部56が算出した実回転速度とから、実回転速度を目標回転速度に変化させる場合にステータ14のコイルに印加する電圧をいわゆるPI制御によって算出する。PI制御部66は、目標回転速度と実回転速度との偏差と目標回転速度における電圧と実回転速度における電圧との偏差との比例関係基づいて目標回転速度における電圧を算出する偏差比例部66Pを含む。また、PI制御部66は、上記の比例関係のみでは残留偏差が生じる場合に、かかる残留偏差を偏差積分によって解消する偏差積分部66Iを含む。電圧補正部68は、PI制御部66による算出結果に基づくデューティ比を、電源であるバッテリ80の電圧に応じて補正する。かかる補正により、電源電圧の変動時のモータ52の回転数変動を抑制する。
スタンバイ回路60は、バッテリ80から各部への電源供給を制御する回路である。また、メイン電源通電部62は、スタンバイ回路60の制御に従って、モータ駆動装置20への電源をオンにする。また、メイン電源通電部62は、モータ52の始動時、すなわちモータ52を回転速度0rpmから回転させる場合に、論理和回路86を介して強制500rpm指令部88に指令を出す。強制500rpm指令部88は、モータ52の始動時には目標回転速度が所定の時間において500rpmとなるように指令回転数算出部58を制御し、指令回転数算出部58は、500rpmに係る信号をPI制御部66に出力する。なお、所定の時間は、一例として、500〜1000m秒である。
所定の時間が経過後は、強制500rpm指令部による指令回転数算出部58への制御は終了し、指令回転数算出部58はエアコンECU78からの指示に基づいて算出した目標回転速度に係る信号をPI制御部66に出力する。
通電制御駆動波形決定部64は、スタンバイ回路60とメイン電源通電部62を介して電源が供給されると、電圧補正部68からの信号に基づいて、ステータ14のコイルに印加する電圧の駆動波形を決定する。
FETドライバ70は、通電制御駆動波形決定部64が決定した駆動波形に基づいて、インバータ回路40のスイッチングを制御するためのPWM信号を生成してインバータ回路40に出力する。
本実施の形態に係るモータ駆動装置20の基板上には、基板の温度を抵抗値として検知するチップサーミスタRTが実装されている。本実施の形態に用いられるチップサーミスタRTは、一例として、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC (Negative Temperature Coefficient)サーミスタである。なお、反転回路を併用することで、温度が上昇するにつれて抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタを使用してもよい。
チップサーミスタRTは一種の分圧回路を構成しており、チップサーミスタRTによって構成される分圧回路の出力端からは、チップサーミスタRTの抵抗値に基づいて変化する電圧が出力される。チップサーミスタRTによって構成される分圧回路の出力端から出力された電圧は過熱状態判定部106において過熱判定値出力部104が出力する過熱判定値と比較され、出力された電圧が過熱判定値以下の場合には、目標回転速度を強制的に0rpmとするように指令回転数算出部58を制御する。前述のように、本実施の形態に係るチップサーミスタRTは、温度の上昇に対して抵抗が減少するタイプなので、チップサーミスタRTによって構成される分圧回路の出力端から出力される電圧は、温度の上昇に応じて低下するものとする。過熱状態判定部106は、チップサーミスタRTの一端から出力された電圧が過熱判定値以下の場合に回路が過熱していると判定する。過熱判定値は基板に実装される素子及びチップサーミスタRTの位置等によって変化するが、一例として145℃においてチップサーミスタRTによって構成される分圧回路が出力する電圧である。
また、インバータFET44D、44E、44Fの各々のソースとバッテリ80との間にはインバータ回路40の電流を検知するための電流検知部94が設けられている。電流検知部94は、抵抗値が0.2mΩ〜数Ω程度のシャント抵抗94Aと、インバータ回路40の電流に応じて変化するシャント抵抗94Aの両端の電位差を検知すると共に検知した電位差の信号を増幅するアンプ94Bとを含む。そして、アンプ94Bが出力した信号は、過負荷判定部98と過電流判定部102とに各々入力される。過電流判定部102では、アンプ94Bが出力した信号と過電流判定値出力部100が出力した過電流判定値とを比較し、アンプ94Bが出力した信号が過電流判定値以上の場合には、過電流検出信号を保護優先順位判定部112に出力する。また、過負荷判定部98は、アンプ94Bが出力した信号と過負荷判定値出力部96が出力した過負荷判定値とを比較し、アンプ94Bが出力した信号が過負荷判定値以上の場合には、論理和回路86を介して強制500rpm指令部88に指令し、モータ52の回転速度を強制的に所定の回転速度である500rpmに低下させる制御をする。
過負荷状態と判定してモータ52の回転速度を500rpmにした場合は、電流検知部94によって検知された電流値(に従って変化するシャント抵抗94Aの両端の電位差の増幅値)が過負荷判定値を下回るまでモータ52の回転速度を500rpmに制御する。電流検知部94が検知した電流値が過負荷判定値を下回った後は、指令回転数算出部58が算出した目標回転速度でモータ52が回転するように、ステータ14のコイルに印加する電圧を制御する。
本実施の形態では、過電流判定値は過負荷判定値を超える値であり、回路保護のためにインバータ回路40による電圧の生成を停止させることによりモータ52への通電を停止しなければならない電流値である。過電流判定値及び過負荷判定値の具体的な数値は、モータ52の仕様に左右されるので、設計時のシミュレーション及び実験を通じてモータの仕様ごとに個別具体的に決定する。
チョークコイル82とインバータ回路40との間には、電源電圧を検知すると共に、電源電圧の値と過電圧判定値出力部108が出力した過電圧判定値とを比較する過電圧判定部110が接続されている。過電圧判定部110は、電源電圧が過電圧判定値以上の場合には、過電圧検出信号を保護優先順位判定部112に出力する。
保護優先順位判定部112は、過電圧判定部110が出力した過電圧検出信号と、過電流判定部102が出力した過電流検出信号と、に基づいて、モータ52を回転させる又はモータ52の回転を停止させるようにFETドライバ70を制御する。
例えば、過電流検出信号が出力されず、過電圧検出信号が出力されている場合には、保護優先順位判定部112は、高すぎる電源電圧を緩和するために、モータ52を所定の回転速度で回転させる強制ONの状態を、プロセッサの一種である保護優先順位判定部112の制御の単位周期である1制御周期(一例として10ms)の間継続する。
また、過電流検出信号が出力された場合には、過電圧検出信号が出力されていても、モータ52の回転を停止させるためにモータ52への通電を停止させるようにFETドライバ70を制御し、インバータ回路40等を構成する素子を保護する。即時に通電停止させるには、一例として割り込み処理等を用いる。過電流検出信号が出力された後は、モータ52の回転を停止させる過電流OFFの状態を、前述の1制御周期又は1制御周期よりも長い所定時間継続する。所定時間は、1制御周期の所定の正の整数倍である。
図3は、本実施の形態に係るモータ駆動装置20のPI制御部66及び電圧補正部68を中心とした制御部30の機能ブロック図である。図2と異なり、過電流保護及び過電圧保護に係る構成は除外して、PI制御及び電圧補正によるデューティ比の算出に係る構成をクローズアップしている。
PI制御部66は、ホール素子12Bの回転信号に基づいて指令回転数算出部58が算出した目標回転速度と実回転数算出部56が算出した実回転速度とから、実回転速度を目標回転速度に変化させる場合にステータ14のコイルに印加する電圧のデューティ比をPI制御によって算出する。電圧補正部68は、PI制御部66による算出結果に基づくデューティ比を、電源電圧検出部32が検出した電源であるバッテリ80の電圧に応じて補正して最終的なデューティ比をFETドライバ70に出力する。FETドライバは、電圧補正部68が出力したデューティ比と、図2に示した通電制御駆動波形決定部64が決定した駆動波形とに基づいて、インバータ回路40のスイッチングを制御するためのPWM信号を生成してインバータ回路40に出力する。そして、インバータ回路40は、FETドライバ70が出力したPWM信号に従ってインバータFET44A〜44Fをスイッチングさせてモータ52に印加する電圧を生成する。
以下、本実施の形態に係るモータ駆動装置20の作用及び効果について説明する。図4は、本実施の形態に係るモータ駆動装置20における電圧補正制御の一例を示したフローチャートである。ステップ400では、PI制御部66から出力されたデューティ比が第1閾値である90%を超えたか否かを判定し、否定判定の場合には、ステップ402でバッテリ80の電圧に従ってデューティ比を補正する電圧補正を行ってバッテリ80の電圧の変動時のモータ52の回転数変動を抑制し、処理をリターンする。第1閾値を90%としたのは一例であり、具体的な数値は、モータ駆動装置20及びモータ52の仕様に応じて、実機等の試験等により、具体的に決定する。
ステップ400で肯定判定の場合には、ステップ404で、バッテリ80の電圧が閾値電圧以下の低電圧状態か否かを判定する。閾値電圧は、一例として、バッテリ80の公称電圧の70〜75%である。
ステップ404で否定判定の場合には、ステップ406で、後述するステップ414において既にデューティ比を第2閾値である85%に設定済みか否かを判定する。第2閾値は前述の第1閾値よりも低い値であり、電圧補正後でもインバータ回路40が余裕をもってスイッチング素子を動作させる事が可能なデューティ比である。本実施の形態で第2閾値を85%としたのは一例であり、具体的な数値は、モータ駆動装置20及びモータ52の仕様に応じて、実機等の試験等により、具体的に決定する。なお、既にデューティ比を第2閾値である85%に設定済みか否かの判定は、例えば、ステップ414において、デューティ比を第2閾値である85%に設定した際にオンになったフラグの有無によって判定する。
ステップ406で肯定判定の場合には、ステップ408で、デューティ比85%の設定を解除して、手順をステップ410に移行させる。ステップ406で否定判定の場合には、手順をステップ410に移行させる。
ステップ410では、電源補正をオフにし、ステップ412で、PI制御部66から出力されたデューティ比が第2閾値である85%未満か否かを判定する。
ステップ412で肯定判定の場合には、ステップ402でバッテリ80の電圧に従ってデューティ比を補正する電圧補正を行って処理をリターンする。ステップ412で否定判定の場合には、手順をステップ404に戻し、バッテリ80の電圧が低電圧状態か否かを判定する。
ステップ404で肯定判定の場合には、ステップ414でデューティ比を第2閾値である85%に設定する。ステップ414では、デューティ比を第2閾値である85%に設定した際には、当該設定済みであることを示すフラグをオンにする。また、ステップ414ではデューティ比を第2閾値以下に設定してもよい。
ステップ416では、第2閾値相当の85%にしたデューティ比をバッテリ80の電圧に従って補正する電圧補正を行い、バッテリ80の電圧の変動時のモータ52の回転数変動を抑制する。ステップ418では、PI制御部66から出力されたデューティ比が第2閾値である85%未満か否かを判定する。
ステップ418で否定判定の場合には、手順をステップ404に戻し、バッテリ80の電圧が低電圧状態か否かを判定する。ステップ418で肯定判定の場合には、ステップ420でデューティ比85%の設定を解除し、PI制御部66から出力されたデューティ比に基づいてモータ52に印加する電圧を生成する制御に戻す。そして、ステップ402でバッテリ80の電圧に従ってデューティ比を補正する電圧補正を行って処理をリターンする。
以上説明したように、本実施の形態では、PI制御部66から出力されたデューティ比が第1閾値を超え、かつバッテリ80が低電圧状態の場合には、モータ52に印加する電圧のデューティ比を第1閾値よりも低い第2閾値に設定して、電圧補正をオンにする。第1閾値よりも低い第2閾値に相当するデューティ比では、スイッチング素子であるインバータFET44A〜44Fをスイッチングさせる間隔は、デューティ比が第1閾値の場合よりも長いので、スイッチング素子を動作させる時間的余裕が、デューティ比が第1閾値を超えた場合よりも存在する。バッテリ80が低電圧状態の場合に電圧補正によりデューティ比を第2閾値相当よりも大きくする場合でも、インバータ回路40は、電圧補正後のデューティ比に従ったパルスの出力が容易になり、モータ52の制御ハンチングを防止できる。
また、本実施の形態では、PI制御部66から出力されたデューティ比が第1閾値を超え、かつバッテリ80が低電圧状態の場合には、PI制御部66から出力されたデューティ比が第2閾値未満に低下しないかぎり、スイッチング素子の動作に係るデューティ比を第2閾値相当とし、第2閾値相当のデューティ比をバッテリ80の電圧に応じて補正する電圧補正を継続する。
バッテリ80が低電圧状態の場合に、サージ等により、電源であるバッテリ80の電圧が急に高くなった際にも、電圧補正を実行することにより、モータ電流が過大になることを防止できる。その結果、過電流保護が実行されてモータ52の回転が停止される状況を回避でき、モータ52の回転の円滑な制御を継続できる。
10…モータユニット、12…ロータ、12A…センサマグネット、12B…ホール素子、14…ステータ、14U,14V,14W…コイル、16…シャフト、18…上ケース、20…モータ駆動装置、22…基板、24…ヒートシンク、28…下ケース、30…制御部、32…電源電圧検出部、40…インバータ回路、44A,44B,44C,44D,44E,44F…インバータFET、52…モータ、54…コンパレータ、56…実回転数算出部、58…指令回転数算出部、60…スタンバイ回路、62…メイン電源通電部、64…通電制御駆動波形決定部、66…PI制御部、66I…偏差積分部、66P…偏差比例部、68…電圧補正部、70…FETドライバ、78…エアコンECU、80…バッテリ、82…チョークコイル、84A…平滑コンデンサ、86…論理和回路、88…強制500rpm指令部、94…電流検知部、94A…シャント抵抗、94B…アンプ、96…過負荷判定値出力部、98…過負荷判定部、100…過電流判定値出力部、102…過電流判定部、104…過熱判定値出力部、106…過熱状態判定部、108…過電圧判定値出力部、110…過電圧判定部、112…保護優先順位判定部、RT…チップサーミスタ
Claims (5)
- パルス幅変調によりモータを駆動する電圧を生成する駆動部と、
電源電圧を検出する電圧検出部と、
パルス幅変調の出力デューティ比が第1閾値を超え、かつ前記電圧検出部で検出された電圧が所定値以下の場合に、前記出力デューティ比を前記第1閾値より低い第2閾値に低下させるパルス幅変調が行われ、かつ前記電源電圧が変動した場合に前記モータの回転変動を抑制する電圧補償制御が行われるように前記駆動部を制御する制御部と、
を含むモータ駆動装置。 - 前記制御部は、前記出力デューティ比が前記第1閾値以下の場合に、前記出力デューティ比によるパルス幅変調が行われ、かつ前記電圧補償制御が行われるように前記駆動部を制御する請求項1記載のモータ駆動装置。
- 前記制御部は、前記出力デューティ比が前記第1閾値を超え、かつ前記電圧検出部で検出された電圧が前記所定値を超えた場合に、前記電圧補償制御を停止し、前記出力デューティ比が前記第2閾値未満になった場合に、前記電圧補償制御を再開する請求項1又は2記載のモータ駆動装置。
- 前記電圧補償制御は、前記電圧検出部で検出された電圧が上昇した場合は前記出力デューティ比を電圧の上昇に応じて低下させ、前記電圧検出部で検出された電圧が低下した場合は前記出力デューティ比を電圧の低下に応じて増大させる請求項1〜3のいずれか1項記載のモータ駆動装置。
- 前記モータの回転速度を検出する回転速度検出部を含み、
前記制御部は、指令値が示す目標回転速度と前記回転速度検出部によって検出された前記モータの実回転速度との偏差を解消するように前記出力デューティ比を算出する請求項1〜4のいずれか1項記載のモータ駆動装置。
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CN109142938A (zh) * | 2018-07-17 | 2019-01-04 | 格力电器(武汉)有限公司 | 一种检测空调质量的方法和设备 |
JP2020072523A (ja) * | 2018-10-30 | 2020-05-07 | 株式会社デンソー | モータ制御装置 |
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