JP2017201589A - 蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な出力耐久性を有する蓄電素子を提供する。【解決手段】フッ素を含有する電解質塩を含む電解液と、電極とを含み、電極は、アルミニウム製の電極基材と、該電極基材の表面に沿って配置された活物質層と、電極基材と活物質層との間に配置された多孔質な中間層と、を有し、電極基材の表面をXPS測定したときの、Al2O3を表すピークの極大強度Aと、AlF3を表すピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす、蓄電素子。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電素子に関する。
従来、蓄電素子としては、水銀圧入法により得られる細孔径0.01〜5μmの総容積が0.5ml/g以上のカーボンを負極材料(負極活物質)として用いたポリマー電池が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載の電池では、アルミニウム箔が電極の集電体として採用され、LiPFなどのフッ素を含有する電解質塩が電解質塩として採用されると、アルミニウム箔の表面の酸化物(Al)がLiPFなどのフッ素分によって腐食されることから、出力耐久性が必ずしも十分でない場合がある。
特開2004−335302号公報
本実施形態は、十分な出力耐久性を有する蓄電素子を提供することを課題とする。
本実施形態の蓄電素子は、フッ素を含有する電解質塩を含む電解液と、電極とを含み、電極は、アルミニウム製の電極基材と、該電極基材の表面に沿って配置された活物質層と、電極基材と活物質層との間に配置された多孔質な中間層と、を有し、電極基材の表面における、単位体積あたりのAlに対するAlFの存在比は、0.7以上1.0以下である。
即ち、本実施形態の蓄電素子は、フッ素を含有する電解質塩を含む電解液と、電極とを含み、電極は、アルミニウム製の電極基材と、該電極基材の表面に沿って配置された活物質層と、電極基材と活物質層との間に配置された多孔質な中間層と、を有し、電極基材の表面をXPS測定したときの、Alを表すピークの極大強度Aと、AlFを表すピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす。
上記構成の蓄電素子では、製造される前の電極基材の表面全体に酸化アルミニウム(Al)が生じている。一般的に、酸化アルミニウム(Al)は、フッ素を含有する電解質塩のフッ素によって腐食されやすい。ところで、製造時には、電極基材の表面の一部は、多孔質な中間層の細孔に入った電解液と直接的に接触することとなる。電極基材の表面が電解液と接触すると、電極基材の表面がフッ素によって腐食され、フッ化アルミニウム(AlF)やAlOなどのフッ化物が生じ得る。AlOが生じると、腐食がさらに進行して、電極基材と活物質層との間の抵抗が高くなり、電極基材と活物質層との間で集電性が低下する。ところが、電解液が細孔に入った状態では、電解液中の電解質塩のフッ素によって、酸化アルミニウム(Al)の酸素(O)の一部だけがフッ化物化してAlOへ変化することが抑制される一方、酸化アルミニウム(Al)がフッ化アルミニウム(AlF)へと変化する。即ち、細孔に入った電解液と電極基材の表面とが接触した部分では、酸化アルミニウム(Al)の酸素(O)の一部だけがフッ素に置き換わる反応よりも、酸化アルミニウム(Al)の酸素(O)の全てがフッ素に置き換わる反応が優位となる。このように、電極基材の表面の一部と、中間層の細孔に入った電解液とが接触することで、電極基材の表面の一部が腐食してAlFが生じている。AlFは、電解質塩のフッ素によってアルミニウム製の電極基材の内部へ腐食がさらに進行することを抑制できる。一方で、電極基材の表面において、中間層の細孔に入り込んだ電解液と直接接していない部分には、フッ化物化しないAlが存在する。Alは、上述のごとく、フッ素によって腐食されやすいものの、Alが存在する部分は、電解液と直接には接触しない。よって、Alが存在する部分は、電解質塩のフッ素によって腐食されにくい。アルミニウム製の電極基材と中間層とを含む電極を備えた上記蓄電素子にて、Alのピークの極大値を表す極大強度Aと、AlFのピークの極大値を表す極大強度Bとの関係が0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たすことにより、アルミニウム製の電極基材の表面付近にて腐食が内部へと進行することをAlFによって十分に抑制できる。これにより、腐食の進行によって電極基材と活物質層との間の抵抗が高くなって、電極基材と活物質層との間で集電性が低下してしまうことを抑制できる。従って、上記の蓄電素子は、十分な出力耐久性を有することができる。
上記の蓄電素子は、中間層の細孔分布測定によるピーク細孔径は、0.5μm以上2.5μm以下であってもよい。斯かる構成により、上記の蓄電素子では、中間層の細孔に入り込んだフッ素含有の電解質塩によって、アルミニウム製の電極基材の表面にAlFがより確実に生成される。これにより、アルミニウム製の電極基材の表面付近で腐食が内部へ進行することをより十分に抑制できる。従って、上記の蓄電素子は、より十分な出力耐久性を有することができる。
上記の蓄電素子では、中間層の細孔分布測定による0.5μm以上20μm以下の細孔径の容積の合計は、中間層の単位質量あたり0.5mL/g以上2.0mL/g以下であってもよい。斯かる構成により、上記の蓄電素子では、中間層の細孔に入り込んだフッ素含有の電解質塩によって、アルミニウム製の電極基材の表面にAlFがより確実に生成される。これにより、アルミニウム製の電極基材が腐食されることをより十分に抑制できる。従って、上記の蓄電素子は、より十分な出力耐久性を有することができる。
本実施形態によれば、十分な出力耐久性を有する蓄電素子を提供できる。
図1は、本実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。 図2は、同実施形態に係る蓄電素子の正面図である。 図3は、図1のIII−III線位置の断面図である。 図4は、図1のIV−IV線位置の断面図である。 図5は、同実施形態に係る蓄電素子の一部を組み立てた状態の斜視図であって、注液栓、電極体、集電体、及び外部端子を蓋板に組み付けた状態の斜視図である。 図6は、同実施形態に係る蓄電素子の電極体の構成を説明するための図である。 図7は、重ね合わされた正極、負極、及びセパレータの断面図(図6のVII−VII断面)である。 図8は、同実施形態に係る蓄電素子を含む蓄電装置の斜視図である。 図9は、正極の金属箔表面をXPS測定した結果を模式的に表すチャート図である。
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、図1〜図7を参照しつつ説明する。蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
本実施形態の蓄電素子1は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子1は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子1は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子1は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子1と組み合わされて蓄電装置100に用いられる。前記蓄電装置100では、該蓄電装置100に用いられる蓄電素子1が電気エネルギーを供給する。
蓄電素子1は、図1〜図7に示すように、正極11と負極12とを含む電極体2と、電極体2を収容するケース3と、ケース3の外側に配置される外部端子7であって電極体2と導通する外部端子7と、を備える。また、蓄電素子1は、電極体2、ケース3、及び外部端子7の他に、電極体2と外部端子7とを導通させる集電体5等を有する。
電極体2は、正極11と負極12とがセパレータ4によって互いに絶縁された状態で積層された積層体22が巻回されることによって形成される。
正極11は、金属箔111(正極基材)と、金属箔111の表面を覆うように配置され且つ活物質を含む活物質層112と、金属箔111(正極基材)及び活物質層112の間に配置された多孔質な中間層113と、を有する。本実施形態では、中間層113は、金属箔111の両方の面にそれぞれ重なる。活物質層112は、各中間層113の一方の面にそれぞれ重なる。活物質層112は、金属箔111の厚み方向の両側にそれぞれ配置され、同様に、中間層113は、金属箔111の厚み方向の両側にそれぞれ配置される。なお、正極11の厚みは、通常、40μm以上150μm以下である。
金属箔111は帯状である。本実施形態の正極11の金属箔111は、アルミニウム製である。本実施形態では、金属箔111は、アルミニウム箔である。正極11は、帯形状の短手方向である幅方向の一方の端縁部に、正極活物質層112の非被覆部(正極活物質層が形成されていない部位)115を有する。
金属箔111の表面の少なくとも一部には、酸化アルミニウム(Al)が生じている。斯かる酸化アルミニウムは、空気中の酸素によって、表面のアルミニウムが酸化されることによって生じている。
金属箔111の表面における、単位体積あたりのAlに対するAlFの存在比は、0.7以上1.0以下である。即ち、金属箔111の表面をXPS測定したときの、Alを表すピークの極大強度Aと、AlFを表すピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす。詳しくは、74.3eVから75.3eVの間に極大値を有するピークの極大強度Aと、76.0eVから78.0eVの間に極大値を有するピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす。なお、極大強度Aは、Alのピークの極大値を表し、極大強度Bは、AlFのピークの極大値を表す。XPS測定は、実施例に記載された測定条件によって行われる。B/Aの値は、0.75≦B/A≦0.85であってもよい。B/Aの値は、例えば、中間層113の細孔分布測定によるピーク細孔径を大きくすることによって、大きくすることができる。一方、B/Aの値は、例えば、中間層113の細孔分布測定によるピーク細孔径を小さくすることによって、小さくすることができる。金属箔111の表面には、Alが連続的に広がり、AlFが点在する、いわゆる海島構造が存在すると考えられる。
正極活物質層112は、粒子状の活物質と、粒子状の導電助剤と、バインダとを含む。正極活物質層112では、通常、活物質の含有量が88質量%以上95質量%以下であり、導電助剤の含有量が2.5質量%以上6.0質量%以下であり、バインダの含有量が2.5質量%以上6.0質量%以下である。正極活物質層112の厚みは、通常、10μm以上50μm以下である。
正極活物質層112の目付量は、通常、5mg/cm以上15mg/cm 以下である。正極活物質層112の密度は、通常、1.9g/cm以上2.8g/cm 以下である。目付量及び密度は、金属箔111の一方の面を覆うように配置された1層分における密度である。正極活物質層112の多孔度は、通常、33%以上55%以下である。
正極11の活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物である。正極11の活物質の平均粒子径D50は、通常、3μm以上8μm以下である。
正極11の活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極の活物質は、例えば、LiMeO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiCo、LiNi、LiMn、LiNiCoMn等)、又は、LiMe(XO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)によって表されるポリアニオン化合物(LiFePO、LiMnPO、LiMnSiO、LiCoPOF等)である。
本実施形態では、正極11の活物質は、LiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物(ただし、0<p≦1.3であり、q+r+s=1であり、0≦q≦1であり、0≦r≦1であり、0≦s≦1であり、1.7≦t≦2.3である)である。なお、0<q<1であり、0<r<1であり、0<s<1であってもよい。
上記のごときLiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物は、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi1/6Co1/6Mn2/3、LiCoO などである。
正極活物質層112に用いられるバインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
正極活物質層112の導電助剤は、炭素を98質量%以上含む炭素質材料である。炭素質材料は、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等である。本実施形態の正極活物質層112は、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。
中間層113は、粒子状の導電助剤と、バインダ(結着剤)とを含む。なお、中間層113は、正極活物質を含まない。中間層113は、導電助剤の間の間隙によって多孔質に形成されている。中間層113は、導電助剤を含むことから、導電性を有する。中間層113は、金属箔111と正極活物質層112との間における電子の経路となり、これらの間の導電性を保つ。中間層113の導電性は、通常、活物質層112の導電性よりも高い。
中間層113は、金属箔111及び正極活物質層112の間に配置される。バインダ(結着剤)を含む中間層113は、金属箔111に対して十分な密着性を有する。中間層113は、正極活物質層112に対しても十分な密着性を有する。
中間層113の厚みは、通常、0.1μm以上2.0μm以下である。中間層113の目付量は、通常、0.02mg/cm以上0.20mg/cm 以下である。斯かる目付量は、0.03mg/cm 以上0.14mg/cm以下であってもよい。
中間層113の細孔分布測定によるピーク細孔径は、0.5μm以上2.5μm以下である。斯かるピーク細孔径は、0.67μm以上2.20μm以下であってもよい。細孔分布測定は、水銀圧入法(JIS R1655:2003)によって行う。ピーク細孔径は、得られた細孔分布においてピークが最も高い部位の細孔径である。
中間層113の細孔分布測定による0.5μm以上20μm以下の細孔径の容積の合計は、中間層の単位質量あたり0.5mL/g以上2.0mL/g以下である。斯かる細孔径の容積の合計は、0.78mL/g以上1.61mL/g以下であってもよい。細孔径の容積の合計は、水銀圧入法(JIS R1655:2003)によって細孔分布を求め、0.5μm以上20μm以下の範囲の細孔径の容積の合計を読み取ることによって決定される。
中間層113の導電助剤は、炭素を98質量%以上含む炭素質材料である。炭素質材料の電気伝導率は、通常、10−6 S/m以上である。炭素質材料は、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等である。本実施形態の中間層113は、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。導電助剤の平均粒子径D50は、通常、20nm以上150nm以下である。導電助剤の平均粒子径D50は、レーザ回折式の粒子径測定装置を用いて測定することができる。
中間層113のバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオキサイド(ポリプロピレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリオレフィン、ニトリル−ブタジエンゴムなどの合成高分子化合物が挙げられる。また、中間層113のバインダとしては、例えば、キトサンやキトサン誘導体(例えばヒドロキシエチルキトサン)、セルロースやセルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース)などの天然高分子化合物が挙げられる。
中間層113は、通常、導電助剤として炭素質材料を20質量%以上50質量%以下含み、バインダを50質量%以上80質量%以下含む。中間層113は、ピロメリット酸などの硬化剤を含んでもよい。
負極12は、金属箔121(負極基材)と、金属箔121の上に形成された負極活物質層122と、を有する。本実施形態では、負極活物質層122は、金属箔121の両面にそれぞれ重ねられる。金属箔121は帯状である。本実施形態の負極の金属箔121は、例えば、銅箔である。負極12は、帯形状の短手方向である幅方向の一方の端縁部に、負極活物質層122の非被覆部(負極活物質層が形成されていない部位)125を有する。なお、負極12の厚みは、通常、40μm以上150μm以下である。
負極活物質層122は、粒子状の活物質と、バインダと、を含む。負極活物質層122は、セパレータ4を介して正極11と向き合うように配置される。負極活物質層122の幅は、正極活物質層112の幅よりも大きい。負極活物質層122の厚みは、通常、10μm以上50μm以下である。
負極活物質層122では、バインダの比率は、負極の活物質とバインダとの合計質量に対して、5質量%以上10質量%以下であってもよい。
負極12の活物質は、負極12において充電反応及び放電反応の電極反応に寄与し得るものである。例えば、負極12の活物質は、グラファイト、非晶質炭素(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素)などの炭素材料、又は、ケイ素(Si)及び錫(Sn)などリチウムイオンと合金化反応を生じる材料である。本実施形態の負極の活物質は、非晶質炭素である。より具体的には、負極の活物質は、難黒鉛化炭素である。負極12の活物質の平均粒子径D50は、通常、1μm以上10μm以下である。
負極活物質層122の目付量(1層分)は、通常、2.5mg/cm以上5.0mg/cm 以下である。
負極活物質層122に用いられるバインダは、正極活物質層112に用いられたバインダと同様のものである。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
負極活物質層122は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。
本実施形態の電極体2では、以上のように構成される正極11と負極12とがセパレータ4によって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極体2では、正極11、負極12、及びセパレータ4の積層体22が巻回される。セパレータ4は、絶縁性を有する部材である。セパレータ4は、正極11と負極12との間に配置される。これにより、電極体2(詳しくは、積層体22)において、正極11と負極12とが互いに絶縁される。また、セパレータ4は、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、リチウムイオンが、セパレータ4を挟んで交互に積層される正極11と負極12との間を移動する。
セパレータ4は、帯状である。セパレータ4は、多孔質なセパレータ基材を有する。本実施形態のセパレータ4は、セパレータ基材のみを有する。セパレータ4は、正極11及び負極12間の短絡を防ぐために正極11及び負極12の間に配置されている。
セパレータ4のセパレータ基材は、例えば、織物、不織布、又は多孔膜によって多孔質に構成される。セパレータ基材の材質としては、高分子化合物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)、又は、セルロースが挙げられる。
セパレータ4の幅(帯形状の短手方向の寸法)は、負極活物質層122の幅より僅かに大きい。セパレータ4は、正極活物質層112及び負極活物質層122が重なるように幅方向に位置ずれした状態で重ね合わされた正極11と負極12との間に配置される。このとき、図6に示すように、正極11の非被覆部115と負極12の非被覆部125とは重なっていない。即ち、正極11の非被覆部115が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向に突出し、且つ、負極12の非被覆部125が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向(正極11の非被覆部115の突出方向と反対の方向)に突出する。積層された状態の正極11、負極12、及びセパレータ4、即ち、積層体22が巻回されることによって、電極体2が形成される。正極11の非被覆部115又は負極12の非被覆部125のみが積層された部位によって、電極体2における非被覆積層部26が構成される。
非被覆積層部26は、電極体2における集電体5と導通される部位である。非被覆積層部26は、巻回された正極11、負極12、及びセパレータ4の巻回中心方向視において、中空部27(図6参照)を挟んで二つの部位(二分された非被覆積層部)261に区分けされる。
以上のように構成される非被覆積層部26は、電極体2の各極に設けられる。即ち、正極11の非被覆部115のみが積層された非被覆積層部26が電極体2における正極11の非被覆積層部を構成し、負極12の非被覆部125のみが積層された非被覆積層部26が電極体2における負極12の非被覆積層部を構成する。
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。ケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。ケース3は、ステンレス鋼及びニッケル等の金属材料、又は、アルミニウムにナイロン等の樹脂を接着した複合材料等によって形成されてもよい。
電解液は、非水溶液系電解液である。電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。電解質塩は、LiClO、LiBF、及びLiPF等である。本実施形態の電解液は、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートを所定の割合で混合した混合溶媒に、0.5〜1.5mol/LのLiPFを溶解させたものである。
電解質塩は、フッ素を含有する。詳しくは、電解質塩のアニオン成分は、フッ素を含有する。アニオン成分は、電池中のわずかな水分と反応し、わずかにフッ酸を生じさせ得る。このフッ酸によって、金属箔111の表面が腐食され、腐食が進行し得る。斯かる腐食の進行は、フッ化アルミニウムによって抑制される。
ケース3は、ケース本体31の開口周縁部と、長方形状の蓋板32の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。また、ケース3は、ケース本体31と蓋板32とによって画定される内部空間を有する。本実施形態では、ケース本体31の開口周縁部と蓋板32の周縁部とは、溶接によって接合される。
以下では、図1に示すように、蓋板32の長辺方向をX軸方向とし、蓋板32の短辺方向をY軸方向とし、蓋板32の法線方向をZ軸方向とする。
ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ板状の部材である。
蓋板32は、ケース3内のガスを外部に排出可能なガス排出弁321を有する。ガス排出弁321は、ケース3の内部圧力が所定の圧力まで上昇したときに、該ケース3内から外部にガスを排出する。ガス排出弁321は、X軸方向における蓋板32の中央部に設けられる。
ケース3には、電解液を注入するための注液孔が設けられる。注液孔は、ケース3の内部と外部とを連通する。注液孔は、蓋板32に設けられる。注液孔は、注液栓326によって密閉される(塞がれる)。注液栓326は、溶接によってケース3(本実施形態の例では蓋板32)に固定される。
外部端子7は、他の蓄電素子1の外部端子7又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子7は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、外部端子7は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、銅又は銅合金等の銅系金属材料等の溶接性の高い金属材料によって形成される。
外部端子7は、バスバ等が溶接可能な面71を有する。面71は、平面である。外部端子7は、蓋板32に沿って拡がる板状である。詳しくは、外部端子7は、Z軸方向視において矩形状の板状である。
集電体5は、ケース3内に配置され、電極体2と通電可能に直接又は間接に接続される。本実施形態の集電体5は、クリップ部材50を介して電極体2と通電可能に接続される。即ち、蓄電素子1は、電極体2と集電体5とを通電可能に接続するクリップ部材50を備える。
集電体5は、導電性を有する部材によって形成される。図3に示すように、集電体5は、ケース3の内面に沿って配置される。集電体5は、蓄電素子1の正極11と負極12とにそれぞれ配置される。本実施形態の蓄電素子1では、ケース3内において、電極体2の正極11の非被覆積層部26と、負極12の非被覆積層部26とにそれぞれ配置される。
正極11の集電体5と負極12の集電体5とは、異なる材料によって形成される。具体的に、正極11の集電体5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、負極12の集電体5は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
本実施形態の蓄電素子1では、電極体2とケース3とを絶縁する袋状の絶縁カバー6に収容された状態の電極体2(詳しくは、電極体2及び集電体5)がケース3内に収容される。
次に、上記実施形態の蓄電素子1の製造方法について説明する。
蓄電素子1の製造方法では、金属箔(電極基材)に活物質を含む合剤を塗布し、活物質層を形成し、電極(正極11及び負極12)を作製する。なお、正極11の作製では、導電助剤を含む中間層113を金属箔111上に形成してから、活物質層112を形成する。次に、正極11、セパレータ4、及び負極12を重ね合わせて電極体2を形成する。続いて、電極体2をケース3に入れ、ケース3に電解液を入れることによって蓄電素子1を組み立てる。
電極(正極11)の作製では、金属箔の両面に、導電助剤とバインダと溶媒とを含む中間層用の組成物をそれぞれ塗布し、例えば100〜160度で組成物を乾燥させることによって、中間層113を形成する。さらに、活物質とバインダと溶媒とを含む合剤を各中間層に塗布することによって正極活物質層112を形成する。塗布量を調整することによって、中間層113や正極活物質層112の目付量を調整できる。中間層113や正極活物質層112を形成するための塗布方法としては、一般的な方法が採用される。塗布された中間層113や正極活物質層112を、所定の温度(例えば80〜150℃)及び所定の圧力でロールプレスする。プレス圧を調整することにより、中間層113や正極活物質層112の密度を調整できる。プレス後に、80〜140℃にて12〜24時間の真空乾燥を行う。なお、中間層を形成せずに負極も同様にして作製する。
電極体2の形成では、正極11と負極12との間にセパレータ4を挟み込んだ積層体22を巻回することにより、電極体2を形成する。詳しくは、正極活物質層112と負極活物質層122とがセパレータ4を介して互いに向き合うように、正極11とセパレータ4と負極12とを重ね合わせ、積層体22を作る。続いて、積層体22を巻回して、電極体2を形成する。
蓄電素子1の組み立てでは、ケース3のケース本体31に電極体2を入れ、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぎ、電解液をケース3内に注入する。ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐときには、ケース本体31の内部に電極体2を入れ、正極11と一方の外部端子7とを導通させ、且つ、負極12と他方の外部端子7とを導通させた状態で、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐ。電解液をケース3内へ注入するときには、ケース3の蓋板32の注入孔から電解液をケース3内に注入する。
さらに、所定の電流値で設計容量の40〜50%となる電気量を通電することにより、組み立てた蓄電素子1を充電する。充電によって、金属箔111の表面にフッ化アルミニウムを生じさせる。充電した後、注入孔を塞ぐ。
上記のように構成された本実施形態の蓄電素子1では、正極11の金属箔111の表面をXPS測定したときの、Alを表すピークの極大強度Aと、AlFを表すピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす。即ち、74.3eVから75.3eVの間に極大値を有するピークの極大強度Aと、76.0eVから78.0eVの間に極大値を有するピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす。極大強度Aは、Alのピークの極大値を表し、極大強度Bは、AlFのピークの極大値を表す。即ち、正極11の金属箔111の表面近傍における、単位体積あたりのAlに対するAlFの存在比は、0.7以上1.0以下である。
上記の蓄電素子1では、製造される前の金属箔111の表面全体に酸化アルミニウム(Al)が生じている。一般的に、酸化アルミニウム(Al)は、フッ素を含有する電解質塩のフッ素によって腐食されやすい。ところで、製造時には、金属箔111の表面の一部は、多孔質な中間層113の細孔に入った電解液と直接的に接触することとなる。金属箔111の表面が電解液と接触すると、金属箔111の表面がフッ素によって腐食され、フッ化アルミニウム(AlF)やAlOなどのフッ化物が生じ得る。AlOが生じると、腐食がさらに進行して、電極基材と活物質層との間の抵抗が高くなり、電極基材と活物質層との間で集電性が低下する。ところが、電解液が細孔に入った状態では、電解液中の電解質塩のフッ素によって、酸化アルミニウム(Al)の酸素(O)の一部だけがフッ化物化してAlOへ変化することが抑制される一方、酸化アルミニウム(Al)がフッ化アルミニウム(AlF)へと変化する。即ち、細孔に入った電解液と金属箔111の表面とが接触した部分では、酸化アルミニウム(Al)の酸素(O)の一部だけがフッ素に置き換わる反応よりも、酸化アルミニウム(Al)の酸素(O)の全てがフッ素に置き換わる反応が優位となる。このように、金属箔111の表面の一部と、中間層113の細孔に入った電解液とが接触することで、金属箔111の表面の一部が腐食してAlFが生じている。AlFは、電解質塩のフッ素によってアルミニウム製の金属箔111の内部へ腐食がさらに進行することを抑制できる。一方で、金属箔111の表面において、中間層113の細孔に入り込んだ電解液と直接接していない部分には、フッ化物化しないAlが存在する。Alは、上述のごとく、フッ素によって腐食されやすいものの、Alが存在する部分は、電解液と直接には接触しない。よって、Alが存在する部分は、電解質塩のフッ素によって腐食されにくい。アルミニウム製の金属箔111と中間層113とを含む正極11を備えた上記蓄電素子1にて、Alのピークの極大値を表す極大強度Aと、AlFのピークの極大値を表す極大強度Bとの関係が0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たすことにより、アルミニウム製の金属箔111の表面付近にて腐食が内部へと進行することをAlFによって十分に抑制できる。これにより、腐食の進行によって電極基材と活物質層との間の抵抗が高くなって、電極基材と活物質層との間で集電性が低下してしまうことを抑制できる。従って、上記の蓄電素子1は、比較的高温で放置された場合でも、十分な出力耐久性を有することができる。
即ち、腐食によって金属箔111の表面に上記AlOが生成してしまうと、内部への腐食の進行がAlOによって抑えられない。これにより、金属箔111の表面付近に導電性に乏しい層が形成され得る。このような層が形成されると、金属箔111の集電性が低くなり、蓄電素子の出力耐久性が不十分になり得る。
上記の蓄電素子1では、正極11の中間層113の細孔分布測定によるピーク細孔径は、0.5μm以上2.5μm以下である。斯かる構成により、中間層113の細孔に入り込んだフッ素含有の電解質塩によって、アルミニウム製の金属箔111の表面にAlFがより確実に生成される。これにより、アルミニウム製の金属箔111が腐食されることをより十分に抑制できる。従って、上記の蓄電素子1は、十分な出力耐久性を有することができる。
詳しくは、ピーク細孔径が0.5μm以上であることにより、電解液が中間層113により浸透しやすくなる。電解液が浸透しやすくなる分、電池における異常反応によって電解液が分解した場合に、ガスが発生しやすくなる。これにより、中間層113の体積が膨張しやすくなり、中間層113が金属箔111から剥離しやすくなる。従って、異常反応をより止めやすくなり、電池の安全性をより向上させることができる。一方、ピーク細孔径が2.5μm以下であることにより、中間層113に浸透した電解液中のフッ素含有電解質塩によって、金属箔111の表面にフッ化アルミニウム(AlF)をより確実に生じさせることができる。
上記の蓄電素子1では、中間層113の細孔分布測定による0.5μm以上20μm以下の細孔径の容積の合計は、中間層113の単位質量あたり0.5mL/g以上2.0mL/g以下である。斯かる構成により、中間層113の細孔に入り込んだフッ素含有の電解質塩によって、アルミニウム製の金属箔111の表面にAlFがより確実に生成される。これにより、アルミニウム製の金属箔111が腐食されることをより十分に抑制できる。従って、上記の蓄電素子1は、十分な出力耐久性を有することができる。
詳しくは、上記の細孔径の容積の合計が0.5mL/g以上であることにより、電解液が中間層113により浸透しやすくなる。電解液が浸透しやすくなる分、電池における異常反応によって電解液が分解した場合に、ガスが発生しやすくなる。これにより、中間層113の体積が膨張しやすくなり、中間層113が金属箔111から剥離しやすくなる。従って、異常反応をより止めやすくなり、電池の安全性をより向上させることができる。一方、上記の細孔径の容積の合計が2.0mL/g以下であることにより、中間層113に浸透した電解液中のフッ素含有電解質塩によって、金属箔111の表面にフッ化アルミニウム(AlF)をより確実に生じさせることができる。なお、細孔の大きさが適度に小さいことにより、酸化アルミニウムから、より確実にフッ化アルミニウムが生じる。即ち、部分的にフッ素化された酸化アルミニウム(例えばAlOxFyで示される化合物)が生じることが抑制される。部分的にフッ素化された酸化アルミニウムは、アルミニウム製の金属箔111の具色の進行を止めることが困難なものである。
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記の実施形態では、活物質を含む活物質層が金属箔に直接接した負極について詳しく説明したが、本発明では、負極が、バインダと導電助剤とを含む中間層を有してもよい。
上記実施形態では、活物質層が各電極の金属箔の両面側にそれぞれ配置された電極について説明したが、本発明の蓄電素子では、正極11又は負極12は、活物質層を金属箔の片面側にのみ備えてもよい。
上記実施形態では、積層体22が巻回されてなる電極体2を備えた蓄電素子1について詳しく説明したが、本発明の蓄電素子は、巻回されない積層体22を備えてもよい。詳しくは、それぞれ矩形状に形成された正極、セパレータ、負極、及びセパレータが、この順序で複数回積み重ねられてなる電極体を蓄電素子が備えてもよい。
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態では、蓄電素子1の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
蓄電素子1(例えば電池)は、図8に示すような蓄電装置100(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置100は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材91と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子に適用されていればよい。
以下に示すようにして、非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
(実施例1)
(1)正極の作製
溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(ヒドロキシエチルキトサン)と、硬化剤(ピロメリット酸)とを、混合し、混練することで、中間層用の組成物を調製した。中間層を形成した後(塗布、乾燥後)の組成が、導電助剤33質量%、バインダ34質量%、硬化剤33質量%となるように、それぞれ配合した。調製した中間層用の組成物を、アルミニウム箔(15μm厚み)の両面に、乾燥後の塗布量(目付量)が0.14mg/cmとなるようにそれぞれ塗布し、乾燥させた。
次に、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(PVdF)と、平均粒子径D50が5μmの活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)の粒子とを、混合し、混練することで、正極用の合剤を調製した。導電助剤、バインダ、活物質の配合量は、それぞれ4.5質量%、4.5質量%、91質量%とした。調製した正極用の合剤を、中間層に、乾燥後の塗布量(目付量)が9.0mg/cmとなるようにそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行った。その後、真空乾燥して、水分等を除去した。プレス後の活物質層(1層分)の厚みは、35μmであった。活物質層の密度は、2.57g/cmであった。プレス後の中間層の厚みは、約1μmであった。
(2)負極の作製
活物質としては、平均粒子径D50が4μmの粒子状の非晶質炭素(難黒鉛化炭素)を用いた。また、バインダとしては、PVdFを用いた。負極用の合剤は、溶剤としてNMPと、バインダと、活物質とを混合、混練することで調製した。バインダは、7質量%となるように配合し、活物質は、93質量%となるように配合した。調製した負極用の合剤を、乾燥後の塗布量(目付量)が4.0mg/cmとなるように、銅箔(10μm厚み)の両面にそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行い、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚みは、35μmであった。活物質層の密度は、1.14g/cmであった。
(3)セパレータ
基材層として厚みが22μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。ポリエチレン製微多孔膜の透気度は、100秒/100ccであった。
(4)電解液の調製
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。非水溶媒として、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、いずれも1容量部ずつ混合した溶媒を用い、この非水溶媒に、塩濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させ、電解液を調製した。
(5)ケース内への電極体の配置
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極および負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。次に、巻回されてなる電極体を、ケースとしてのアルミニウム製の角形電槽缶のケース本体内に配置した。続いて、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた。さらに、ケース本体に蓋板を取り付けた。上記の電解液を、ケースの蓋板に形成された注液口からケース内に注入した。さらに、0.5Cの電流値で設計容量の50%となる電気量を通電することにより、組み立てた電池を充電した。最後に、ケースの注液口を封止することにより、ケースを密閉した。
(実施例2〜4)
表1に示す構成となるように中間層を作製した点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例1〜4)
表1に示す構成となるように正極を作製した点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
<電池の正極の金属箔表面のXPS測定>
不活性ガスが充填された気体雰囲気下で、各電池(4時間の2V、CCCV放電後)を解体して、正極を取り出した。正極活物質層及び中間層をNMP又はアセトンを含浸させたウエスで取り除いた。アルミニウム金属箔を1〜4cmの大きさで切り出し、DMCで洗浄した後、乾燥させた。このようにして作製した測定用試料を大気に暴露しないように保管し、XPS測定した。
XPS測定は、下記のようにして行った。C1sスペクトルにおけるC−C結合ピーク位置(284.8eV)を基にして、結合エネルギーを補正した。測定条件については、単色化AlKα線源、エミッション電流1mA、加速電圧15kVであった。なお、Al2pスペクトルをXPS測定したチャートの模式図を図9に示す。
<中間層の細孔分布測定>
JIS R1655:2003に従い、水銀圧入法によって細孔分布測定を行った。詳しくは、低湿度の大気中(露点−20℃以下)で各電池(4時間の2V、CCCV放電後)を解体して、正極を取り出した。正極をNMPに浸漬させ、活物質層を取り除き、中間層と中間層に付いた金属箔とを取り出した。その後、質量変化がなくなるまで80℃で乾燥処理を行った。乾燥処理後のサンプルを用いて、細孔分布測定装置(マイクロメリティクス社製「AutoPore IV 9500」)で細孔分布測定をおこなった。
得られた細孔分布から、ピーク細孔径を読み取った。また、中間層の0.5〜20μmの細孔径の容積の合計を求めた。即ち、取得した測定データから0.5〜20μmの範囲の積算細孔容積を読み取った。
<電池の出力耐久性の評価>
・高温放置試験
電池SOCを85%に調整(電流値1C、CCCV充電3時間)した後、65℃の恒温槽に電池を入れて、放置した。60日経過後に電池を取り出し、25℃でDCR(出力)測定を実施した。
・DCR(出力)測定
電池の温度を25℃に調整した後、55%SOCまで充電した。12Cの電流値で10秒間放電をおこない、1秒目の電圧を読み取った。同様に、55%SOC状態で、18C、24C、30C、40Cでの10秒放電を実施し、各電流値で1秒目の電圧を読み取った。得られた5点でI−Vプロットを作成し、傾きからDCRを求めた。
DCR増加率[%]=(放置試験後DCR/放置試験前DCR)×100―100
電極基材(アルミニウム箔)の表面をXPS測定したときの、74.3eVから75.3eVの間に極大値を有するピークの極大強度Aと、76.0eVから78.0eVの間に極大値を有するピークの極大強度Bとが、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす実施例の電池は、十分な出力耐久性を有していた。一方、上記の関係式を満たさない比較例の電池は、必ずしも十分な出力耐久性を有しなかった。
中間層の目付量が減ると、ピーク細孔径が低下する傾向があった。目付量が比較的多いときは、ピーク細孔径が比較的大きくなり、しかも、中間層の構成材料がアルミニウム箔に接する部分の割合が割と大きくなると考えられる。例えば目付量が所定量以上であれば、アルミニウム箔の表面で、電解液の電解質塩のフッ素によって、酸化アルミニウム(Al)が適度にフッ化アルミニウム(AlF)に変わると考えられる。
上記B/Aの値を上記のごとき所定範囲内にするためには、例えば、中間層におけるバインダの配合比率を調整することが考えられる。バインダの配合比率を上げるとピーク細孔径が上がり、バインダの配合比率を下げるとピーク細孔径が下がると考えられる。バインダの配合比率を調整することにより、B/Aの値を調整できると考えられる。
中間層の0.5〜20μmの細孔径の容積の合計が、所定範囲内であることにより、より確実に、酸化アルミニウム(Al)が適度にフッ化アルミニウム(AlF)に変わると考えられる。細孔径の容積の合計を小さくするためには、例えば中間層のバインダの配合比率を下げることが考えられるものの、アルミニウム箔と中間層との密着性を十分に確保する点、密着不良によって酸化アルミニウム(Al)から上記AlOが生じることを抑える点では、バインダの配合比率は、所定率以上であることが好ましい。
1:蓄電素子(非水電解質二次電池)、
2:電極体、
26:非被覆積層部、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋板、
4:セパレータ、
5:集電体、 50:クリップ部材、
6:絶縁カバー、
7:外部端子、 71:面、
11:正極、
111:正極の金属箔(正極基材)、 112:正極活物質層、
113:中間層、
12:負極、
121:負極の金属箔(負極基材)、 122:負極活物質層、
91:バスバ部材、
100:蓄電装置。

Claims (4)

  1. フッ素を含有する電解質塩を含む電解液と、電極とを含み、
    前記電極は、アルミニウム製の電極基材と、該電極基材の表面に沿って配置された活物質層と、前記電極基材と前記活物質層との間に配置された多孔質な中間層と、を有し、
    前記電極基材の表面における、単位体積あたりのAlに対するAlFの存在比は、0.7以上1.0以下である、蓄電素子。
  2. フッ素を含有する電解質塩を含む電解液と、電極とを含み、
    前記電極は、アルミニウム製の電極基材と、該電極基材の表面に沿って配置された活物質層と、前記電極基材と前記活物質層との間に配置された多孔質な中間層と、を有し、
    前記電極基材の前記表面をXPS測定したときの、Alを表すピークの極大強度Aと、AlFを表すピークの極大強度Bとは、0.7≦B/A≦1.0の関係式を満たす、蓄電素子。
  3. 前記中間層の細孔分布測定によるピーク細孔径は、0.5μm以上2.5μm以下である、請求項2に記載の蓄電素子。
  4. 前記中間層の細孔分布測定による0.5μm以上20μm以下の細孔径の容積の合計は、前記中間層の単位質量あたり0.5mL/g以上2.0mL/g以下である、請求項2又は3に記載の蓄電素子。
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