JP2017196660A - 連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法および熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法および熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幅端部の加熱にのみ用いる装置を必要とせず、簡便に、後工程の仕上圧延にて接合部の破断を防止できる、連続熱間圧延における鋼片の接合方法を提供する。【解決手段】連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置し、先行鋼片S1の尾端と後行鋼片S2の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された先行鋼片S1の尾端と後行鋼片S2の先端とを突き合わせて押圧接合する接合工程とを含み、加熱工程で先行鋼片S1の尾端及び後行鋼片S2の先端の各接合面の全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱し、かつ、接合工程におけるアップセット量を、先行鋼片S1の最大溶融深さと後行鋼片S2の最大溶融深さとの和に対して最大溶融深さの1.1〜7.0倍とする連続熱間圧延における鋼片の接合方法。【選択図】図12

Description

本発明は、連続熱間圧延において、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片と後行鋼片とを接合する方法に関する。
従来、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片と後行鋼片とを接合する方法としては、例えば、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置して、この状態で誘導加熱装置によって先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを急速加熱し、次いで、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを突き合わせて押圧(アップセット)接合する方法が知られている。
しかしながら、大気雰囲気中で接合を行う際に、鋼中にCr、Ti、Mn、Al、Si等のように鋼の融点(1400〜1600℃)よりも高い融点の酸化物(例えば、Cr酸化物:融点約2000℃)を生成する成分を含むステンレス鋼や高張力鋼等については、誘導加熱時に接合面に生成されるこれらの酸化物が、アップセット後も接合部に固相として残って接合強度を著しく低下させ、後工程の仕上圧延にて接合部が破断する等の問題が生じる。
この問題に対し、加熱工程で、誘導加熱装置を用いて先行鋼片及び後行鋼片の各接合面の温度を鋼片の液相線温度以上にする方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、誘導加熱装置による加熱では、発生する誘導電流が鋼片のコーナー部(幅端部)においては流れにくいために、接合予定部の温度(鋼片の幅方向の温度)が幅端部に近いほど昇温度合いが小さくなり、鋼片の押圧に際して接合予定部を全域にわたって接合できないという問題がある。ここで幅方向とは、水平面内で圧延方向に直角の方向のことである。
この問題に対し、幅端部から所定の範囲に磁性体を配置して鋼片を加熱・昇温し、幅端部の昇温を促進する方法(特許文献2参照)や、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを急速加熱し、次いで、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを突き合わせた後、誘導コイルを接合部の板幅方向最端部に設置し、この板幅方向最端部を周回する渦電流によって加熱しながら再度加圧して接合することを特徴とする板材の接合方法(特許文献3参照)や、先行する鋼片の後端部と後行する鋼片の先端部の少なくともいずれか一方の端部を凸形状として、両鋼片をその幅方向中央部にて接触させると共に、該幅方向中央部にて鋼片の厚み方向に貫く交番磁界を印加し、この交番磁界によって誘起された誘導電流により加熱しつつ、鋼片同士を押圧することにより、鋼片中央部から幅端部へ向かって順次接合する方法(特許文献4参照)が提案されている。
これらの幅端部の昇温量を促進する方法と、各接合面の温度を鋼片の液相線温度以上にする方法とを併用することにより、たとえ鋼の融点より高い融点の酸化物を生成する成分を含む鋼片であっても、幅端部の接合強度を向上できると考えられる。
しかしながら、特許文献2〜4に記載の方法では、幅端部の加熱のための装置を必要としており、より簡便に接合部の破断を防止できる方法が希求されていた。
特開2000−271605号公報 特開平8−001202号公報 特開平7−001006号公報 特開平8−141602号公報
本発明は、前述した問題点を解消するためになされたものであり、幅端部の加熱にのみ用いる装置を必要とせず、簡便に、後工程の仕上圧延にて接合部の破断を防止できる、連続熱間圧延における鋼片の接合方法、該接合方法を用いた連続熱間圧延方法および該連続熱間圧延方法を用いた熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
[1]連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置し、前記先行鋼片の尾端と前記後行鋼片の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された前記先行鋼片の尾端と前記後行鋼片の先端とを突き合わせて押圧接合する接合工程とを含む、連続熱間圧延における鋼片の接合方法において、
前記加熱工程で前記先行鋼片の尾端及び前記後行鋼片の先端の各接合面の全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱し、
かつ、前記接合工程におけるアップセット量を、前記先行鋼片の最大溶融深さと前記後行鋼片の最大溶融深さとの和に対して1.1〜7.0倍とすることを特徴とする連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
[2]前記[1]に記載の接合方法を用いることを特徴とする連続熱間圧延方法。
[3]前記[2]に記載の連続熱間圧延方法を用いることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
ここで、溶融深さとは、図7に示すように、各鋼片における、加熱により液相線温度以上となった範囲の圧延方向長さのことであり、最大溶融深さとは、図8に示すように、接合面内全体(全幅・全厚)での溶融深さの最大値のことである。最大溶融深さは、加熱条件により、板厚中心が最大になる場合もあるし、上面あるいは下面の方が最大になる場合もある。
また、アップセット量とは、接合工程における圧延方向の鋼片の押し込み量(接合する先行鋼片の尾端の接合面と後行鋼片の先端の接合面との距離がゼロになった状態(2つの面がぴったり合わさった状態)からの押し込み量)のことである。
アップセット量は、先行鋼片と後行鋼片との相対的な距離によるので、先行鋼片と後行鋼片とのそれぞれの押し込み量の和とする。そのアップセット量の範囲内の値となる条件であれば、先行鋼片と後行鋼片のそれぞれの押し込み量は任意に決めることが出来る。例えば、先行鋼片は押し込まず(動かさず)に、後行鋼片のみを所望のアップセット量で押し込んでもよい。
本発明によれば、幅端部の加熱にのみ用いる装置を必要とせず、簡便に、後工程の仕上圧延にて接合部が破断することを防止できる。
連続熱間圧延ラインのコイルボックスから仕上圧延機の第1スタンドまでの設備配列を示す概略図である。 接合装置の概略断面図である。 誘導加熱装置の概略図である。 交番磁界と誘導電流の流れを説明するための説明図である。 接合界面の温度分布を示すグラフ図である。 投入電力が5200kWである場合において、全幅の50%の溶融に必要な加熱時間が誘導加熱周波数(kHz)に応じて変化する様子の一例を示すグラフである。 溶融深さの定義を説明するための図である。 最大溶融深さの定義を説明するための図である。 溶融深さの分布を示すグラフ図である。 接合部の接合部熱間引張強度の分布を示すグラフ図である。 アップセット量/最大溶融深さと接合部強度との関係を示すグラフ図である。 鋼の液相線温度以上に加熱する領域の接合面における全幅に対する割合とアップセット量/最大溶融深さとの関係を示すグラフ図である。
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は、連続熱間圧延ラインのコイルボックスから仕上圧延機の第1スタンドまでの設備配列を示す概略図である。図1において、符号1は粗圧延機から出た板材を巻き取るコイルボックス、符号2はコイルボックス1から巻き出された先行鋼片S1の尾端及び後行鋼片S2の先端を切断するクロップシャー、符号3は先行鋼片S1及び後行鋼片S2の切断面(接合面)同士を接合する接合装置、符号4はレベラー、符号5a〜5cはピンチロール、符号6は脱スケール装置、符号7は仕上圧延機の第1スタンドである。
図2は、接合装置3の概略断面図である。接合装置3は、図2に示すように、クロップシャー2によって後端のクロップが切り落とされた先行鋼片S1及び先端のクロップが切り落とされた後行鋼片S2の各切断端を接合面同士が互いに非接触で対向配置されるように把持する左右のクランプ装置8、9と、該クランプ装置8、9によって把持された先行鋼片S1及び後行鋼片S2の各切断端を加熱する誘導加熱装置10と、クランプ装置8をクランプ装置9側に押圧移動させて誘導加熱装置10によって加熱された先行鋼片S1及び後行鋼片S2の各切断端の接合面同士を突き合わせてアップセット接合して接合部αを形成する押圧シリンダ11と、該アップセット接合時に先行鋼片S1と後行鋼片S2とが上下方向にずれることを防止する目違い防止板20とを有する。
なお、接合装置3は、ライン方向に沿って所定長さだけ延在するレール19(図1も参照)上を走行可能な台車17上に設置されている。また、台車17の走行可能範囲に設置される鋼片搬送用テーブルローラ18は昇降式のテーブルローラとなっており、接合装置3の位置に相当する搬送用テーブルローラ18は台車17により押し下げられるようになっている。接合装置3をこのような構成とすることにより、鋼片の搬送を停止させることなく先行鋼片S1と後行鋼片S2との接合を行うことができる。
図3は、誘導加熱装置10の概略図である。誘導加熱装置(高周波誘導加熱装置)10は、先行鋼片S1及び後行鋼片S2の各切断端の板厚方向に交番磁界を貫通させるためのものである。図3に示すように、誘導加熱装置10は、先行鋼片S1及び後行鋼片S2の各切断端の上下に配設された一対の磁極芯13と、これらの磁極芯13に上下方向に連続して巻回されたコイル14と、電源15とを備える。
図4は、交番磁界と誘導電流の流れを説明するための説明図である。上記の構成の誘導加熱装置10を用いて、図4に示すように、先行鋼片S1及び後行鋼片S2の各切断端の板厚方向に交番磁界を貫通させることにより、各切断端に渦電流が発生して接合面同士が優先的に加熱されるようになっている。なお、本実施形態では、加熱・接合処理を鋼片の走行と同期させるいわゆるトランスバース方式の接合装置3を採用したが、接合装置3を停止した状態で加熱・接合処理を行う場合には、図1に破線で示すルーパ16を用いる。
ここで、本実施形態では、先行鋼片S1及び後行鋼片S2の鋼種については特に限定されず、例えば、先行鋼片S1及び後行鋼片S2の内の少なくとも一方が鋼の融点(1400〜1600℃)よりも高い融点の酸化物を生成する元素を1質量%以上含有する鋼種とすることができる。鋼の融点よりも高い融点の酸化物とは、Cr、Ti、Mn、Al、Si等の酸化物(具体的には、Cr酸化物:融点約2000℃、その他TiO、MnO、Al、SiO等)のことを指す。
本実施形態の鋼片の接合方法は、上述した連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片S1の尾端と後行鋼片S2の先端とを互いに非接触で対向配置し、先行鋼片S1の尾端と後行鋼片S2の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された先行鋼片S1の尾端と後行鋼片S2の先端とを突き合わせて押圧接合する接合工程とを含む。
上記加熱工程では、誘導加熱装置10を用い、先行鋼片S1及び後行鋼片S2の各接合面の全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱することを特徴とする。そして、接合工程では、アップセット量を、先行鋼片S1の最大溶融深さと後行鋼片S2の最大溶融深さとの和に対して1.1〜7.0倍とすることを特徴とする。
以下、加熱工程と接合工程におけるこれらの特徴を詳細に説明する。
まず、加熱工程の特徴について説明する。
図5は、加熱時間を3秒、4秒、5秒または6秒とし、他の条件(入熱量)は同一にして加熱した場合の1.7%Si鋼の加熱完了時の鋼片長手方向の温度分布を示す。
ここで、図5に示す温度分布は、鋼板(鋼片)全厚をtとしたとき、板厚方向に鋼板表面からt/2位置での温度分布である。また、板幅は1000mmである。図5に示すように、接合界面の温度について、幅中央付近は液相線温度以上となりやすいが、幅端部は液相線温度未満である。接合界面の温度が液相線温度未満である部分は、アップセット後に接合界面に鋼の融点よりも高い融点のSi酸化物が固相として残って接合強度を著しく低下させ未接合部となる。
図5中の加熱時間が3秒の場合のように、全幅に対する幅端部の未接合部(液相線温度以上になっていない部分)の割合が大きい場合(鋼の液相線温度以上に加熱する領域を板幅に対し50%未満とした場合)は、後工程の仕上圧延において接合部(液相線温度以上に加熱されていた部分)に張力が集中し、接合部が分離する可能性がある。これに対し、例えば加熱時間をより長くし、鋼の液相線温度以上に加熱する領域を全幅に対し50%以上とした場合は、未接合部の割合が低いため、後述するように接合工程においてアップセット量を最大溶融深さの1.1〜7.0倍とすることで、例えば、7スタンドからなる仕上圧延機により板厚2mmまで圧延を施しても、接合部が分離することなく良好な連続圧延を継続できる。
なお、本実施形態では、鋼の液相線温度以上となる領域については、電磁−熱伝導連成有限要素法解析により計算することができる。この電磁−熱伝導連成有限要素法解析は、汎用計算ソフトJMAGを使用し、対象とするシートバー、コイル、磁極芯をモデル化し、シートバーの寸法及び接合面間隙、鋼の電気抵抗、比熱、熱伝導率、密度及び比透磁率、コイル・磁極芯の寸法及びシートバーとの相対的な位置関係、並びに加熱条件(加熱時間、投入電力及び周波数)を適宜設定して行うことができる。
また、本実施形態では、先行鋼片の尾端及び後行鋼片の先端の各接合面の全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度を鋼片の液相線温度以上になるまで加熱するために、加熱条件として加熱時間を調整する例を示したが、かかる例に限定されず、投入電力、周波数等を調整する方法を採用してもよい。
図6は、投入電力が5200kWである場合において、全幅の50%の溶融に必要な加熱時間が誘導加熱周波数(kHz)に応じて変化する様子の一例を示すグラフである。例えば、投入電力が5200kWである場合、各誘導加熱周波数(kHz)において、図6のグラフに示す加熱時間以上の加熱時間を確保すれば、全幅に対する液相線以上の温度になる幅範囲が50〜100%になる。
以上、本発明では、加熱工程において、先行鋼片S1の尾端及び後行鋼片S2の先端の各接合面の全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱する。好ましくは、上記幅範囲は、70〜100%であり、より好ましくは、85〜100%である。
次に、接合工程の特徴について説明する。
ここで、図7および図8を参照する。図7は、溶融深さの定義を説明するための図であり、図8は、最大溶融深さの定義を説明するための図である。溶融深さとは、図7に示すように、各鋼片における、加熱により液相線温度以上となった範囲の圧延方向長さのことであり、最大溶融深さとは、図8に示すように、接合面内全体(全幅・全厚)での溶融深さの最大値のことである。最大溶融深さは、加熱条件により、板厚中心が最大になる場合もあるし、上面あるいは下面の方が最大になる場合もある。
また、このアップセット量とは、接合工程における圧延方向の鋼片の押し込み量(接合する先行鋼片の尾端の接合面と後行鋼片の先端の接合面との距離がゼロになった状態(2つの面がぴったり合わさった状態)からの押し込み量)のことである。アップセット量は、先行鋼片と後行鋼片との相対的な距離によるので、先行鋼片と後行鋼片とのそれぞれの押し込み量の和とする。そのアップセット量の範囲内の値となる条件であれば、先行鋼片と後行鋼片のそれぞれの押し込み量は任意に決めることが出来る。例えば、先行鋼片は押し込まず(動かさず)に、後行鋼片のみを所望のアップセット量で押し込んでもよい。
このアップセット量と、先行鋼片S1の最大溶融深さと後行鋼片S2の最大溶融深さとの和との関係について詳細に説明する。図9は、図5に示した条件と同様の条件で加熱した場合の加熱完了時の溶融深さの分布を示した図である。
図9に示すように、加熱時間の増加に伴い、溶融深さは大きくなり、加熱時間を6秒としたときの最大溶融深さは12.4mmである。そして、図10では、このように加熱時間を6秒として加熱した後に、アップセット量を12.4mm(最大溶融深さの和の1.0倍)として鋼片を接合した場合、及びアップセット量を13.7mm(最大溶融深さの和の約1.1倍)として鋼片を接合した場合の板幅方向の各位置での接合部強度を示す。本発明者らは、図10に示すように、アップセット量の増加に伴い、接合部強度が大きく増加する点に着目し、鋭意検討した。
図11では、板幅1200mmの接合部において、板幅中央から幅方向350mmの箇所における接合部熱間引張強度(加熱温度:1000℃)を示す。図11から明らかなように、アップセット量を最大溶融深さの和の1.1倍以上にすることにより、接合部強度が急激に向上し、母材の強度の80%以上の接合部強度が得られることを、本発明者らは知見した。一方、アップセット量が最大溶融深さの和の7.0倍を超えると、その強度は飽和し、かえって座屈が発生しやすくなることも知見した。
よって、本発明では、接合工程において、アップセット量を、先行鋼片S1の最大溶融深さと後行鋼片S2の最大溶融深さとの和の1.1〜7.0倍とする。好ましくは、1.3〜7.0倍である。
アップセット量は、本実施形態では、主に上述したように、先行鋼片S1の尾端と後行鋼片S2の先端それぞれで最大溶融深さに対して1.1〜7.0倍とし、そのアップセット量で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端をそれぞれ移動させる場合について説明した。しかし、アップセットは先行鋼片と後行鋼片の相対的な距離によるので、先行鋼片S1の最大溶融深さと後行鋼片S2の最大溶融深さの和の1.1〜7.0倍のアップセット量であれば、例えば、先行鋼片S1を固定させたままで後行鋼片S2のみを移動させても良い。
なお、本実施形態では、接合工程における押圧力については特に限定されない。
以上説明したように、本発明では、加熱工程で先行鋼片及び後行鋼片の各接合面における全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱し、接合工程におけるアップセット量を、前記先行鋼片の最大溶融深さと前記後行鋼片の最大溶融深さとの和に対して1.1〜7.0倍とすることで、幅端部の加熱にのみ用いる装置を必要とせず、簡便に、後工程の仕上圧延にて接合部が破断することを防止できる。
また、本発明の連続熱間圧延方法では、上述した連続熱間圧延における接合方法を用いれば、他の条件については、従来公知の条件を採用し、鋼種や鋼の形状に応じて適宜設定することができる。さらに、本発明の熱延鋼板の製造方法は、この連続熱間圧延方法を用いれば、他の条件については、従来公知の条件を採用することができる。
なお、上記説明では、1.7%Si鋼のみを例に挙げたが、鋼組成として、Cの場合最大1.2質量%、Siの場合最大4.0質量%、Mnの場合最大6.2質量%、Crの場合最大35.0質量%、Tiの場合最大0.5質量%、Alの場合最大0.5質量%、Pの場合最大0.5質量%、Sの場合最大0.4質量%、Niの場合最大25.0質量%、Moの場合最大1.0質量%、Vの場合最大0.5質量%含有していても、同様の条件で、接合部が分離することなく仕上げ板厚2mmまで良好な連続圧延を継続可能である。
以下、実施例に基づき、本発明について説明する。
先行鋼片、後行鋼片としてそれぞれ幅1200mm、厚み30mmになるシートバーを図1に示した連続熱間圧延ラインに供した。
表1に示すNo.1〜44では、先行鋼片および後行鋼片としては、共に質量%で、Si:1.7%、C:0.12%、Mn:2.0%、Cr:0.1%を有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有するものを用いた。
また、表2に示すNo.45〜55では、先行鋼片は上記No.1〜44と同様にして、後行鋼片に異なる成分を持つ鋼を用いた。後行鋼片としては、質量%で、Si:0.5%、C:0.12%、Mn:2.0%、Cr:0.1%を有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有するものを用いた。
そして、接合装置3内で先行シートバーと後行シートバーの各接合面を5mmの間隙を隔てて対向配置した後、誘導加熱装置10(幅方向の寸法1300mm、長手方向の寸法240mm)によって各接合面を加熱した。このときの加熱条件は投入電力が1000kW、周波数1000Hzである。
加熱時間、アップセット量について数条件実施した結果を表1、表2に示す。鋼の液相線温度以上となる領域については、電磁−熱伝導連成有限要素法解析により計算した結果を表1に示す。
表1に示すNo.1〜44では、最大溶融深さ、アップセット量は、先行鋼材の尾端と後行鋼材の先端とで同じ値であり、片側の値を示した。
表2に示すNo.45〜55では、最大溶融深さ、アップセット量は、先行鋼材の尾端と後行鋼材の先端とで異なる場合があり、夫々の値を示した。
電磁−熱伝導連成有限要素法解析では汎用計算ソフトJMAGを使用しており、シートバー、コイル、磁極芯をモデル化している。当モデルにおいて、シートバーの寸法および接合面間隙は前述の当実施例と同等の寸法とし、物性値については、表1に示すNo.1〜44の先行鋼片および後行鋼片、表2に示すNo.45〜55の先行鋼片では、電気抵抗:125μΩ・cm、比熱:350J/kg/degC、熱伝導率:30W/m/degC、密度:7850kg/m、比透磁率:8とした。また、表2に示すNo.45〜55の後行鋼片では、電気抵抗:110μΩ・cm、比熱:350J/kg/degC、熱伝導率:32W/m/degC、密度:7850kg/m、比透磁率:8とした。コイル・磁極芯の寸法及びシートバーとの相対的な位置関係は、当実施例にて使用の接合機と同等としており、加熱条件(投入電力・周波数)は当実施例と同等としている。
引き続き接合面同士を突き合わせて押圧シリンダ11によって押圧力3.4kg/mmで押圧して接合を完了させた。
接合完了後、仕上圧延機の7スタンドミルにより板厚2mmまで圧延を施した。
Figure 2017196660
本発明例(No.1〜25)では、板厚2mmまでの圧延後、接合部が分離することなく良好な連続圧延を継続することができた。
一方、比較例(No.34〜43)では、加熱工程で鋼片の液相線温度以上に加熱された幅範囲の全幅にする割合が50%未満のため、上記の連続圧延中に接合部が分離した。
また、比較例(No.26〜34、40)では、接合工程で、アップセット量/(最大溶融深さの和)が1.1未満のため、上記の連続圧延中に接合部が分離した。
また、比較例(No.44)では、接合工程で、アップセット量/(最大溶融深さの和)が7.0超のため、上記の連続圧延中に座屈が発生した。
以上の結果を図12に示す。図12は、鋼の液相線温度以上に加熱する領域の全幅にする割合と、液相線温度以上となった範囲の圧延方向長さとアップセット量の比に対する、仕上げ圧延可否を示したものである。図12中、「○」「◎」「×」は下記をしめす。
○:仕上圧延機の7スタンドミルにより板厚2mmまで圧延を施して10回以上連続して接合および仕上げ圧延を行っても破断が起きなかった。
◎:○の条件を満たし、さらに、接合部が評価部の中央となるようにし、試験片の軸方向が圧延方向と位置するように、幅中央板厚中央から採取したJIS14A号の引張試験での破断伸びが通常部と比較して80%以上であったことを意味している。
(もしくは、外見上接合部に欠陥がなかったことを意味している。)
×:仕上圧延機の7スタンドミルにより板厚2mmまで圧延を施して10回以上連続して接合および仕上げ圧延を行うと1回以上破断が生じた。
図12に示すように、加熱工程で先行鋼片及び後行鋼片の各接合面における全幅にして50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱し、接合工程におけるアップセット量を、先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さとの和に対して1.1〜7.0倍とすることで、後工程の仕上圧延にて接合部が破断することを防止できることが分かった。
Figure 2017196660
本発明例(No.45〜50)では、板厚2mmまでの圧延後、接合部が分離することなく良好な連続圧延を継続することができた。
一方、比較例(No.51、52)では、加熱工程で鋼片の液相線温度以上に加熱された全幅にする割合が先行鋼片と後行鋼片のどちらか、もしくは先行鋼片と後行鋼片の両方で50%未満のため、上記の連続圧延中に接合部が分離した。
また、比較例(No.53、54)では、接合工程で、アップセット量/(最大溶融深さの和)が1.1未満のため、上記の連続圧延中に接合部が分離した。
また、比較例(No.55)では、接合工程で、アップセット量/(最大溶融深さの和)が7.0超のため、上記の連続圧延中に座屈が発生した。
1 コイルボックス
2 クロップシャー
3 接合装置
4 レベラー
5 ピンチロール
6 脱スケール装置
7 仕上圧延機の第1スタンド
8、9 クランプ装置
10 誘導加熱装置
11 押圧シリンダ
13 磁極芯
14 コイル
15 電源
16 ルーパ
17 台車
18 鋼片搬送用テーブルローラ
19 レール
20 目違い防止板
S1 先行鋼板
S2 後行鋼片

Claims (3)

  1. 連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置し、前記先行鋼片の尾端と前記後行鋼片の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された前記先行鋼片の尾端と前記後行鋼片の先端とを突き合わせて押圧接合する接合工程とを含む、連続熱間圧延における鋼片の接合方法において、
    前記加熱工程で前記先行鋼片の尾端及び前記後行鋼片の先端の各接合面の全幅に対して50〜100%の幅範囲の温度が鋼片の液相線温度以上になるまで加熱し、
    かつ、前記接合工程におけるアップセット量を、前記先行鋼片の最大溶融深さと前記後行鋼片の最大溶融深さとの和に対して1.1〜7.0倍とすることを特徴とする連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
  2. 請求項1に記載の接合方法を用いることを特徴とする連続熱間圧延方法。
  3. 請求項2に記載の連続熱間圧延方法を用いることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
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