JP2017194244A - 冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過熱度SHの変化に対して装置の運転を速やかに安定させる。【解決手段】制御手段は、過熱度制御として、過熱度SHが設定過熱度範囲の範囲内にあるときは、膨張弁の開度EVをその時の開度に保持し、過熱度SHが設定過熱度範囲の上限値SHoより大きいときは、膨張弁の開度EVを開き側の細分開度差ΔEV1だけ増大させる開き側の細分開度調整を所定時間t1ごとに繰り返し、過熱度SHが設定過熱度範囲の下限値SHuより小さいときは、膨張弁の開度EVを閉じ側の細分開度差ΔEV2だけ減少させる閉じ側の細分開度調整を所定時間t3ごとに繰り返す構成にする。【選択図】図5

Description

本発明は、冷却対象の空気や水などの流体を蒸気圧縮式の冷凍回路における蒸発器において冷媒と熱交換させることで冷却する冷却装置に関する。
さらに詳しくは、蒸発器での冷却量を調整することで流体の温度を設定流体温度に調整する流体温度制御と、冷凍回路における膨張弁の開度を調整することで蒸発器における冷媒出口での冷媒の過熱度を調整する過熱度制御とを実行する制御手段を備える冷却装置に関する。
従来、この種の冷却装置では、過熱度制御として、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じてPID制御により膨張弁の開度EVを調整することで、過熱度SHを設定過熱度SHsに調整するようにしていた。
しかし、このPID制御による過熱度制御では(図16,図17参照)、冷却負荷の変動や設定流体温度の変更など何らかの原因で過熱度SHが急激に変化(X)したとき、過熱度SHを設定過熱度SHsに復帰させる膨張弁開度EVの調整でオーバーシュートが発生して、ハンチング的な制御状態を招き、それが原因で、過熱度SH及び膨張弁の開度EVが安定して装置の運転が安定するまでに長時間を要してしまい、それに伴い、流体Aの冷却後の温度である蒸発器出口空気Ta2が安定するまでに要する時間の長時間になるなど、流体Aの温度を設定流体温度Tasに調整する流体温度制御の制御性も低下してしまう問題があった。
また、下記の特許文献1では、設定過熱度SHsを含む第1過熱度範囲、及び、第1過熱度範囲を含む第2過熱度範囲を設定して、過熱度SHが第1過熱度範囲の範囲内にあるとき、及び、第1過熱度範囲を逸脱した過熱度SHが第2過熱度範囲を逸脱するまでは、膨張弁の開度EVをその時の開度に保持し、そして、過熱度SHが第2過熱度範囲を逸脱したとき、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御による膨張弁開度EVの調整を開始して、過熱度SHを第1過熱度範囲の範囲内に復帰させるようにした冷却装置が提案されている。
特開2009−8305号公報
しかし、特許文献1の提案装置にしても、冷却負荷の変動や設定流体温度の変更など何らかの原因で過熱度SHが急激に変化して第2過熱度範囲を逸脱してしまうと、従前の装置と同様、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御により膨張弁の開度EVが調整されるため、過熱度SHを第1過熱度範囲の範囲内に復帰させる膨張弁開度EVの調整において、やはりオーバーシュートが発生し易くてハンチング的な制御状態を招き易く、この点、過熱度SH及び膨張弁の開度EVを早期に安定させて流体温度制御の制御性を高めるには未だ不十分な装置であった。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、膨張弁開度の調整により過熱度を制御するのに合理的な制御形態を採ることで上記の問題を効果的に解消する点にある。
本発明の特徴構成は次の通りである。
なお、理解を容易にするため、後記の〔発明を実施するための形態〕の項で用いた符号を参考として該当箇所に付記する。
本発明の第1特徴構成は冷却装置に係り、その特徴は、
冷却対象の流体Aを蒸気圧縮式の冷凍回路Cにおける蒸発器14において冷媒rと熱交換させることで冷却し、
前記蒸発器14での冷却量を調整することで前記流体Aの温度を設定流体温度Tasに調整する流体温度制御と、
前記冷凍回路Cにおける膨張弁13の開度EVを調整することで前記蒸発器14における冷媒出口での冷媒rの過熱度SHを調整する過熱度制御とを実行する制御手段24を備える冷却装置であって、
前記制御手段24は、前記過熱度制御として、
前記過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内にあるときは、前記膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持し、
前記過熱度SHが前記設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きいときは、前記膨張弁13の開度EVを開き側の細分開度差ΔEV1だけ増大させる開き側の細分開度調整を、所定時間t1ごとに繰り返し、
前記過熱度SHが前記設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さいときは、前記膨張弁13の開度EVを閉じ側の細分開度差ΔEV2だけ減少させる閉じ側の細分開度調整を、所定時間t3ごとに繰り返す構成にしてある点にある。
一般に、この種の冷却装置では装置が定常状態にある状況でも過熱度SHが微妙に揺れ動き、それに伴い、過熱度SHの偏差に応じて調整される膨張弁13の開度EVも微妙に揺れ動く。
これに対し、上記構成では(図5〜図7参照)、先述した特許文献1の提案装置と基本的には同様に、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内にあるときは膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持することで、装置が定常状態にある状況での膨張弁開度EVの揺れ動きを防止し、これにより、装置の運転をより安定化して、流体Aの温度を設定流体温度Tasに調整する流体温度制御の制御性を高める。
そして、何らかの原因で過熱度SHが設定過熱度範囲Rshを上限側に逸脱して設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きくなったときは、上記開き側の細分開度調整を所定時間t1ごとに繰り返す(即ち、膨張弁13の開度EVを開き側の細分開度差ΔEV1ずつ漸次的かつ段階的に増大させる)ことで、過熱度SHを設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させる膨張弁開度EVの調整においてオーバーシュートが発生するのを回避し、これにより、安定的な制御状態を保ちながら、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させる。
また、何らかの原因で過熱度SHが設定過熱度範囲Rshを下限側に逸脱して設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さくなったときは、上記閉じ側の細分開度調整を所定時間t3ごとに繰り返す(即ち、膨張弁13の開度EVを閉じ側の細分開度差ΔEV2ずつ漸次的かつ段階的に減少させる)ことで、同様にオーバーシュートの発生を回避して安定的な制御状態を保ちながら、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させる。
したがって、この構成であれば、従前の如く設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御により膨張弁13の開度EVを調整するのに比べ、設定過熱度範囲Rshを逸脱した過熱度SHを一層安定的かつ速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させて、装置の運転を一層短い時間で安定させることができ、また、そのことで、流体Aの温度を設定流体温度Tasに調整する流体温度制御の制御性も高めることができる。
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段24は、前記過熱度SHが前記設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きい状態で増大過程にあるとき、前記開き側の細分開度調整を所定時間t1ごとに繰り返し、
前記過熱度SHが前記設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きい状態で減少過程にあるときは、前記膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持する構成にしてある点にある。
この構成では、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きい状態で増大過程にある(即ち、設定過熱度範囲Rshからさらに離れる側へ変化している)ときは、前述の如く、開き側の細分開度調整を所定時間t1ごとに繰り返すことで、過熱度SHが変化する方向を早期に増大方向から設定過熱度範囲Rshに向う減少方向に反転させ、これにより、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させる。
これに対し、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きい状態で減少過程にある(即ち、既に設定過熱度範囲Rshに向う側へ変化している)ときは、未だ過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きいにしても、開き側の細分開度調整は行わず膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持することで、減少過程にある過熱度SHをそのまま成り行き的に設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させるようにし、これにより、オーバーシュートの発生を一層確実に防止する。
したがって、この構成によれば、オーバーシュートの発生を一層効果的に回避しながら、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させることができ、これにより、装置の運転をさらに短い時間で安定させることができて、流体温度制御の制御性をさらに高めることができる。
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さい設定液バック閾値SHu1を設け、
前記制御手段24は、前記過熱度SHが前記設定過熱度範囲Rshの下限値SHuと前記設定液バック閾値SHu1との間で減少過程にあるとき、前記閉じ側の細分開度調整を所定時間t3ごとに繰り返し、
前記過熱度SHが前記液バック閾値SHu1より小さい状態で減少過程にあるときは、前記膨張弁13の開度EVを液バック回避用の設定開度差ΔEV3だけ減少させ、
前記過熱度SHが前記設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さい状態で増大過程にあるときは、前記膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持する構成にしてある点にある。
この構成では、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuと、それより小さい設定液バック閾値SHu1との間で減少過程にある(即ち、設定過熱度範囲Rshからさらに離れる側へ変化している)ときは、前述の如く、閉じ側の細分開度調整を所定時間t3ごとに繰り返すことで、過熱度SHが変化する方向を早期に減少方向から設定過熱度範囲Rshに向う増大方向に反転させ、これにより、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させる。
これに対し、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さい状態で増大過程にある(即ち、既に設定過熱度範囲Rshに向う側へ変化している)ときは、未だ過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さいにしても、閉じ側の細分開度調整は行わず膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持することで、増大過程にある過熱度SHをそのまま成り行き的に設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させるようにし、これにより、オーバーシュートの発生を一層確実に防止する。
そしてまた、過熱度SHが液バック閾値SHu1より小さい状態で減少過程にあるときは、膨張弁13の開度EVを液バック回避用の設定開度差ΔEV3だけ減少させることで、過熱度SHがマイナス値になること(即ち、冷媒rの一部が未蒸発のままで蒸発器14から圧縮機11に戻るいわゆる液バックの発生)を回避する。
したがって、この構成によれば、オーバーシュートの発生を一層効果的に回避しながら、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させることができ、これにより、装置の運転をさらに短い時間で安定させることができて、流体温度制御の制御性をさらに高めることができる。
また、液バック閾値SHu1及び液バック回避用の設定開度差ΔEV3として、それぞれ適当値を選定しておくことで、液バックの発生も効果的に防止することができる。
本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段24は、前記設定過熱度範囲Rshの上限値SHoに対する前記過熱度SHの偏差を独立変数とし、かつ、前記開き側の細分開度差ΔEV1を従属変数とする開き側の設定一次式(式1)に従って、前記開き側の細分開度差ΔEV1を決定し、
前記設定過熱度範囲Rshの下限値SHuに対する前記過熱度SHの偏差を独立変数とし、かつ、前記閉じ側の細分開度差ΔEV2を従属変数とする閉じ側の設定一次式(式2)に従って、前記閉じ側の細分開度差ΔEV2を決定する構成にしてある点にある。
この構成では、設定過熱度範囲Rshの上限値SHoに対する過熱度SHの偏差を独立変数とする開き側の設定一次式(式1)に従って開き側の細分開度差ΔEV1を決定し、また同様に、設定過熱度範囲Rshの下限値SHuに対する過熱度SHの偏差を独立変数とする閉じ側の設定一次式(式2)に従って閉じ側の細分開度差ΔEV2を決定するから、開き側及び閉じ側の細分開度調整の夫々における一回当たりの開度調整幅である開き側の細分開度差ΔEV1及び閉じ側の細分開度差ΔEV2の夫々を、設定過熱度範囲Rshからの過熱度SHの逸脱幅が大きいほど大きくし、また、設定過熱度範囲Rshからの過熱度SHの逸脱幅が小さいほど小さくすることができる。
即ち、設定過熱度範囲Rshからの過熱度SHの逸脱幅が大きい状態では、過熱度SHを迅速に設定過熱度範囲Rshに向かわせる状態にし、また、設定過熱度範囲Rshからの過熱度SHの逸脱幅が小さい状態では、過熱度SHを緩やかに設定過熱度範囲Rshに向かわせる状態にすることができる。
したがって、この構成によれば、開き側の細分開度差ΔEV1及び閉じ側の細分開度差ΔEV2の夫々を一定値に固定するのに比べ、オーバーシュートの発生を一層効果的に回避しながら、過熱度SHを速やかに設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰させることができ、これにより、装置の運転を一層短い時間で安定させることができて、流体温度制御の制御性を一層効果的に高めることができる。
本発明の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段24は、装置運転状態と前記過熱度SHを適正値にする前記膨張弁13の開度EVとの相関を示す負荷変動対処用の相関情報を備え、
単位時間当たりの冷却負荷変動量ΔTa1/Δtが設定閾変動量dTa1より大きいとき、前記過熱度制御として、
前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁13の開度EVを前記負荷変動対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁13の開度EVを調整する負荷変動対処用の開度調整を優先的に実行する構成にしてある点にある。
この構成では、単位時間当たりの変動量ΔTa1/Δtが設定閾変動量dTa1より大きい冷却負荷の変動があったとき、流体Aの温度を設定流体温度Tasに再調整する流体温度制御により装置の運転状態が調整されるのに対し、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを負荷変動対処用の相関情報に基づき決定して、膨張弁13の開度EVをその決定開度に調整するから、流体温度制御による装置運転状態の調整に伴う過熱度SHの変化を監視して、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御による膨張弁開度EVの調整で過熱度SHを調整するのに比べ、過熱度SHを流体温度制御により調整される装置運転状態に対する適正値に一層速やかに、また一層的確に調整することができる。
したがって、この構成によれば、冷却負荷の変動に対して装置の運転を短時間で安定させることを一層効果的に達成することができ、それに伴い、流体温度制御の制御性も一層効果的に高めることができる。
本発明の第6特徴構成は、第5特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御装置24は、前記単位時間当たりの冷却負荷変動量ΔTa1/Δtが前記設定閾変動量dTa1より小さくなるまで、前記負荷変動対処用の開度調整を所定時間t4ごとに繰り返す構成にしてある点にある。
この構成によれば、冷却負荷の変動に対して流体温度制御により装置運転状態が調整される過程において、前記負荷変動対処用の相関情報に基づく負荷変動対処用の開度調整を繰り返し実施し、その都度、過熱度SHを各時点における過渡的な装置運転状態に対する適正値に調整することができる。
したがって、この構成によれば、負荷変動対処用の開度調整を冷却負荷の変動が収束した時点でのみ実施するのに比べ、膨張弁13の開度EVを一回の調整操作で大巾に調整することを回避でき、これにより、装置の運転をさらに短時間で安定させることができて、流体温度制御の制御性もさらに高めることができる。
本発明の第7特徴構成は、第5又は第6特徴構成の実施に好適に実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記負荷変動対処用の相関情報が、前記設定流体温度Tasと前記流体Aの冷却前の温度Ta1と前記冷凍回路Cにおける冷媒rの凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、前記過熱度SHを適正値にする前記膨張弁13の開度EVを従属変数とする負荷変動対処用の設定関数式(式3)である点にある。
この構成によれば、上記負荷変動対処用の設定関数式(式3)に、設定流体温度Tasと流体Aの冷却前の温度Ta1と冷凍回路Cにおける冷媒rの凝縮圧力Pcとを代入するだけで、冷却負荷の変動に対する流体温度制御により調整される装置運転状態に対して過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度を簡単に得ることができる。
また、負荷変動対処用の相関情報として、種々の装置運転状態と、各々の装置運転状態において過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVとを羅列した表形式のテーブルを用いるのに比べ、制御手段に付随させて負荷変動対処用の相関情報を記憶させておく記憶手段も小容量のもので済ませることができる。
本発明の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段24は、装置運転状態と前記過熱度SHを適正値にする前記膨張弁13の開度EVと相関を示す設定変更対処用の相関情報を備え、
前記設定流体温度Tasが変更されたとき、前記過熱度制御として、
前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁13の開度EVを前記設定変更対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁13の開度EVを調整する設定変更対処用の開度調整を優先的に実行する構成にしてある点にある。
この構成では、設定流体温度Tasが変更されたとき、流体Aの温度を変更後の設定流体温度Tasに調整する流体温度制御により装置の運転状態が調整されるのに対し、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度を設定変更対処用の相関情報に基づき決定して、膨張弁13の開度をその決定開度に調整するから、流体温度制御による装置運転状態の調整に伴う過熱度SHの変化を監視して、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御による膨張弁開度EVの調整で過熱度SHを調整するのに比べ、過熱度SHを流体温度制御により調整される装置運転状態に対する適正値に一層速やかに、また一層的確に調整することができる。
したがって、この構成によれば、設定流体温度Tasの変更に対して装置の運転を短時間で安定させることを一層効果的に達成することができ、それに伴い、流体温度制御の制御性も一層効果的に高めることができる。
本発明の第9特徴構成は、第8特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御装置24は、前記流体Aの冷却後の温度Ta2が、前記設定流体温度Tasを中心とする設定流体温度範囲Ra1(又はRa2)の範囲内に収束して安定するまで、前記設定変更対処用の開度調整を所定時間t6(又はt9)ごとに繰り返す構成にしてある点にある。
この構成によれば、設定流体温度Tasの変更に対して流体温度制御により装置運転状態が調整される過程において、前記設定変更対処用の相関情報に基づく設定変更対処用の開度調整を繰り返し実施し、その都度、過熱度SHを各時点における過渡的な装置運転状態に対する適正値に調整することができる。
したがって、この構成によれば、設定変更対処用の開度調整を設定流体温度Tasの変更後における流体温度制御が収束した時点でのみ実施するのに比べ、膨張弁13の開度EVを一回の調整操作で大巾に調整することを回避でき、これにより、装置の運転をさらに短時間で安定させることができて、流体温度制御の制御性もさらに高めることができる。
本発明の第10特徴構成は、第9特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段24は、前記設定変更対処用の相関情報として、前記流体Aの冷却後の温度Ta2と前記流体Aの冷却前の温度Ta1と前記冷凍回路Cにおける冷媒rの凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、前記過熱度SHを適正値にする前記膨張弁13の開度EVを従属変数とする前半調整用の設定関数式(式4)と、
前記設定流体温度Tasと前記流体Aの冷却前の温度Ta1と前記冷凍回路Cにおける冷媒rの凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、前記過熱度SHを適正値にする前記膨張弁13の開度EVを従属変数とする後半調整用の設定関数式(式5)とを備え、
前記流体Aの冷却後の温度Ta2と前記設定流体温度Tasとの差が設定予備閾流体温度差dTas1より大きいときは、前記設定変更対処用の開度調整において前記前半調整用の設定関数式(式4)に基づき前記膨張弁13の開度EVを決定し、
前記流体Aの冷却後の温度Ta2と前記設定流体温度Tasとの差が前記設定予備閾流体温度差dTas1より小さいときは、前記設定変更対処用の開度調整において前記後半調整用の設定関数式(式5)に基づき前記膨張弁13の開度EVを決定する構成にしてある点にある。
この構成では、設定変更対処用の開度調整を所定時間t6ごとに繰り返すことにおいて、設定変更対処用の相関情報として常に前半調整用の設定関数式(式4)又は後半調整用の設定関数式(式5)のいずれか一方のみを用いるのに比べ、各時点の装置運転状態に対して過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVをより正確に決定することができ、その分、装置の運転を短時間で安定させること、及び、流体温度制御の制御性を高めることを一層効果的に達成することができる。
即ち、設定変更対処用の相関情報として、設定流体温度Tasを独立変数とする後半調整用の設定関数式(式5)を常に用いるのでは、設定流体温度Tasの変更後、しばらくの間は、変更後の設定流体温度Tasに対して流体Aの冷却後の温度Ta2が大きくかけ離れているため、後半調整用の設定関数式(式5)に基づいて決定する各回の膨張弁開度EVが、各時点の装置運転状態に対して過熱度SHを適正値にする真の膨張弁開度から大きく外れた開度になり、その分、最終的に装置の運転が安定するまでに要する時間が長くなる。
また逆に、設定変更対処用の相関情報として、流体Aの冷却後の温度Ta2を独立変数とする前半調整用の設定関数式(式4)を常に用いるのでは、設定流体温度Tasの変更後、しばらくの間は、前半調整用の設定関数式(式4)に基づいて決定する各回の膨張弁開度EVが、各時点の装置運転状態に対して過熱度SHを適正値にする真の膨張弁開度に精度良く合致する反面、流体Aの冷却後の温度Ta2が変更後の設定流体温度Tasに達してしか、変更後の設定流体温度Tasでの装置運転状態に対して過熱度SHを適正値する真の膨張弁開度を決定することができず、その分、やはり最終的に装置の運転が安定するまでに要する時間が長くなる。
これに対し、上記構成では、流体Aの冷却後の温度Ta2と設定流体温度Tasとの差が設定予備閾流体温度差dTas1より大きいときは、流体Aの冷却後の温度Ta2を独立変数とする前半調整用の設定関数式(式4)に基づき膨張弁13の開度EVを決定し、また、流体Aの冷却後の温度Ta2と設定流体温度Tasとの差が設定予備閾流体温度差dTas1より小さいときは、設定流体温度Tasを独立変数とする後半調整用の設定関数式(式5)に基づき膨張弁13の開度EVを決定するから、上記の如く、設定変更対処用の相関情報として常に前半調整用の設定関数式(式4)又は後半調整用の設定関数式(式5)のいずれか一方のみを用いるのに比べ、装置の運転を短時間で安定させること、及び、流体温度制御の制御性を高めることを一層効果的に達成することができる。
そしてまた、この構成によれば、設定変更対処用の相関情報として、種々の装置運転状態と、各々の装置運転状態において過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVとを羅列した表形式のテーブルを用いるのに比べ、制御手段に付随させて設定変更対処用の相関情報を記憶させておく記憶手段も小容量のもので済ませることができる。
本発明の第11特徴構成は冷却装置に係り、その特徴は、
冷却対象の流体を蒸気圧縮式の冷凍回路における蒸発器において冷媒と熱交換させることで冷却し、
前記蒸発器での冷却量を調整することで前記流体の温度を設定流体温度に調整する流体温度制御と、
前記冷凍回路における膨張弁の開度を調整することで前記蒸発器における冷媒出口での冷媒の過熱度を調整する過熱度制御とを実行する制御手段を備える冷却装置であって、
前記制御手段は、装置運転状態と前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度との相関を示す負荷変動対処用の相関情報を有し、
単位時間当たりの冷却負荷変動量が設定閾変動量より大きいとき、前記過熱度制御として、
前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁の開度を前記負荷変動対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁の開度に調整する負荷変動対処用の開度調整を実行する構成にしてある点にある。
この構成では、前記第5特徴構成と同様、単位時間当たりの変動量ΔTa1/Δtが設定閾変動量dTa1より大きい冷却負荷の変動があったとき、流体Aの温度を設定流体温度Tasに再調整する流体温度制御により装置の運転状態が調整されるのに対し、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを負荷変動対処用の相関情報に基づき決定して、膨張弁13の開度EVをその決定開度に調整するから、流体温度制御による装置運転状態の調整に伴う過熱度SHの変化を監視して、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御による膨張弁開度EVの調整で過熱度SHを調整するのに比べ、過熱度SHを流体温度制御により調整される装置運転状態に対する適正値に一層速やかに、また一層的確に調整することができる。
したがって、この構成によれば、冷却負荷の変動に対して装置の運転を短時間で安定させることを一層効果的に達成することができ、それに伴い、流体温度制御の制御性も一層効果的に高めることができる。
なお、この第11特徴構成の実施においては、前記第6特徴構成や前記第7特徴構成と同様の構成を併用してもよい。
本発明の第12特徴構成は冷却装置に係り、その特徴は、
前記制御手段は、装置運転状態と前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度との相関を示す設定変更対処用の相関情報を備え、
前記設定流体温度が変更されたとき、前記過熱度制御として、
前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁の開度を前記設定変更対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁の開度を調整する設定変更対処用の開度調整を実行する構成にしてある点にある。
この構成では、前記第8特徴構成と同様、設定流体温度Tasが変更されたとき、流体Aの温度を変更後の設定流体温度Tasに調整する流体温度制御により装置の運転状態が調整されるのに対し、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを設定変更対処用の相関情報に基づき決定して、膨張弁13の開度EVをその決定開度に調整するから、流体温度制御による装置運転状態の調整に伴う過熱度SHの変化を監視して、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御による膨張弁開度EVの調整で過熱度SHを調整するのに比べ、過熱度SHを流体温度制御により調整される装置運転状態に対する適正値に一層速やかに、また一層的確に調整することができる。
したがって、この構成によれば、設定流体温度Tasの変更に対して装置の運転を短時間で安定させることを一層効果的に達成することができ、それに伴い、流体温度制御の制御性も一層効果的に高めることができる。
なお、この第12特徴構成の実施においては、前記第9特徴構成や前記第10特徴構成と同様の構成を併用してもよい。
また、上記した第11特徴構成や第12特徴構成の実施において、冷却負荷の変動や設定流体温度の変更がない状態での過熱度制御としては、前記第1特徴構成で示した制御に限らず、種々の形態の制御を採用することができ、例えば、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内にある状態では膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持し、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshを逸脱した状態では、設定過熱度範囲Rshに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御により膨張弁13の開度EVを調整するようにしてもよい。
環境試験室に装備した冷却装置の構成図 各制御操作端の操作因子を示す表 蒸発圧力Peが圧縮機吸込圧力Psの上限値Psoより低い場合の冷凍サイクルを示す圧力−比エンタルピ線図 蒸発圧力Peが圧縮機吸込圧力Psの上限値Psoより高い場合の冷凍サイクルを示す圧力−比エンタルピ線図 過熱度制御における通常モードのフローチャート 過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きいときの通常モードにおける各値の変化形態を示すタイムチャート 過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さいときの通常モードにおける各値の変化形態を示すタイムチャート 過熱度制御における負荷変動モードのフローチャート 負荷変動モードにおける各値の変化形態を示すタイムチャート 過熱度制御における設定変更(低下側)モードのフローチャート 設定変更(低下側)モードにおける各値の変化形態を示すタイムチャート 過熱度制御における設定変更(上昇側)モードのフローチャート 設定変更(上昇側)モードにおける各値の変化形態を示すタイムチャート 本発明による冷却装置を採用した場合の冷却前温度Ta1及び冷却後温度Ta2の経時変化を示すグラフ 本発明による冷却装置を採用した場合の過熱度SH及び膨張弁開度EVの経時変化を示すグラフ 従来の冷却装置を採用した場合の冷却前温度Ta1及び冷却後温度Ta2の経時変化を示すグラフ 従来の冷却装置を採用した場合の過熱度SH及び膨張弁開度EVの経時変化を示すグラフ
図1は環境試験室1に装備した直膨式の冷却装置2を示し、この冷却装置2は環境試験室1における室内の空気Aを冷却して室内の温度を調整する。
環境試験室1では、室内に設置したシャーシ・ダイナモ3上に試験対象の車両Wを載置し、その状態で、室内における種々の環境条件(温度、湿度、圧力等)を調整するとともに、調整した室内の空気Aを用いて、車両Wの走行速度に相当する風速で車両Wに向う空気流FAを気流形成ファン4により発生させる。
そして、車両Wの周りにおける空気流FAの流れや種々の環境下における車両Wの状態を観測することで、車両Wの空気抵抗特性や各種性能などを試験する。
5は室内用の除湿機であり、還気口6から吸い込んだ室内の空気Aと、外気導入口7から導入した外気OAとの混合空気MAを、除湿機5により除湿して吹出口8から室内に吹き出し、これにより室内を換気するとともに室内の湿度を調整する。
また、室内の空気Aは、外気OAの導入風量に相当する風量を排気ファン9により排気口10から吸入して室外に排出する。
冷却装置2は蒸気圧縮式の冷凍回路Cを備え、この冷凍回路Cにおいて圧縮機11の運転により、圧縮機11→凝縮器12→膨張弁13→蒸発器14→蒸発圧力調整弁15→アキュムレータ16→圧縮機11の順に冷媒rを循環させることで、蒸発器14での冷媒rの蒸発に伴う気化熱の奪取により蒸発器14を冷却対象流体に対して吸熱作用させる。
また、これに併行して、凝縮器12での冷媒rの凝縮に伴い発生する凝縮熱(即ち、冷却排熱)を凝縮器12において外部に放熱する。
冷却装置2は室内機2Aを備え、この室内機2Aには、通過する冷却対象流体としての空気Aから吸熱する上記蒸発器14、通過する空気Aを加熱する電気ヒータなどのアフターヒータ17、並びに、循環ファン18を装備してあり、この循環ファン18の運転により、室内の空気Aを冷却対象流体として室内機2に吸い込んで蒸発器14とアフターヒータ17とに対しその順に通風し、この通風により温度調整した空気Aを室内機2Aから室内に吹き出す。
D1は、蒸発器14の入口空気温度Ta1(換言すれば、室内機2Aの吸込空気温度)を検出する空気温度センサである。
D2は、蒸発器14の出口空気温度Ta2を検出する空気温度センサである。
D3は、アフターヒータ17の出口空気温度Ta3を検出する空気温度センサである。
なお、アフターヒータ17は室内機2Aの吹出空気温度を迅速に昇温させる必要がある場合に補助的に運転されるものであり、したがって、アフターヒータ17を停止した通常状態では、蒸発器14の出口空気温度Ta2が室内機2Aの吹出空気温度になる。
冷却装置2における凝縮器12、圧縮機11、アキュムレータ16は、コンデンシング・ユニット2Bとしてユニット化した状態で室外に設置してあり、凝縮器12は、冷却水循環路の往路19aを通じて冷却水ポンプ20により冷却塔(図示省略)から供給される冷却水wに対して放熱する水冷式の凝縮器にしてある。
凝縮器12から冷却水循環路の復路19bに送出される返り側の冷却水wの一部は、冷却塔から供給される往き側の冷却水wに対し、冷却水バイパス路19cを通じ合流させて短絡的に凝縮器12に戻すようにしてある。
冷却塔から凝縮器12に供給する冷却水wの流量と、冷却水バイパス路19cを通じて短絡的に凝縮器12に戻す冷却水wの流量とは、凝縮器12の放熱状態に応じて冷却水量調整弁21(三方弁)によりを背反的に調整する。
22aは、圧縮機11から吐出された高温・高圧の冷媒rの一部をアキュムレータ16の冷媒入口へ短絡的に戻す容量調整用の冷媒バイパス路であり、冷却負荷が小さくて圧縮機11のモータ回転数が下限値まで低下した状態では、この容量調整用の冷媒バイパス路22aを通じてアキュムレータ16の冷媒入口へ戻す冷媒r(いわゆるホットガス)の流量を容量調整弁22により調整することで、圧縮機11の出力は一定に保ったままで冷却装置2の冷却能力を調整する。
23aは、凝縮器12から送出される液相冷媒rの一部をアキュムレータ16の冷媒入口へ短絡的に戻す液冷却用の冷媒バイパス路であり、この液冷却用の冷媒バイパス路23aを通じてアキュムレータ16の冷媒入口へ戻す液相冷媒rの流量を液冷却弁23により調整することで、アキュムレータ16の冷媒入口における冷媒rの温度(換言すれば、圧縮機11における冷媒rの吸込温度Ts)を調整する。
D4,D5は、蒸発器14における冷媒rの蒸発温度Te及び蒸発圧力Peを検出する冷媒温度センサ及び冷媒圧力センサである。
D6,D7は、圧縮機11における冷媒rの吸込温度Ts及び吸込圧力Psを検出する冷媒温度センサ及び冷媒圧力センサである。
D8は、凝縮器12における冷媒rの凝縮圧力Pcを検出する冷媒圧力センサである。
24は冷却装置2の制御装置であり、この制御装置24は各センサの検出情報に基づいて次の(a)〜(g)の各制御を実行する(図2参照)。
(a)蒸発圧力Peが圧縮機吸込圧力Psの設定上限値Pso以下の状況(Pe≦Pso)では、冷凍回路Cでの冷媒rの循環により、図3に示す形態の冷凍サイクルが形成される。
これに対し、室内機2Aの吹出空気温度を設定空気温度Tasに調整する空気温度制御(流体温度制御)として、蒸発器14の出口空気温度Ta2に応じ圧縮機11の出力を調整して蒸発器14での冷却量を調整することで、蒸発器14の出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)を設定空気温度Tasに調整する。(Ta2⇒Tas)
また、このとき蒸発圧力調整弁15は全開に保持する。
(b)一方、蒸発圧力Peが圧縮機吸込圧力Psの設定上限値Psoより大きい状況(Pe>Pso)では、冷凍回路Cでの冷媒rの循環により、図4に示す形態の冷凍サイクルが形成される。
これに対し、上記空気温度制御(流体温度制御)として、蒸発器14の出口空気温度Ta2に応じて蒸発圧力調整弁15の開度を調整することで、蒸発器14の出口空気温度Ta2を設定空気温度Tasに調整する。(Ta2⇒Tas)
また、このとき、圧縮機吸込圧力Psに応じて圧縮機11の出力を調整することで、圧縮機吸込圧力Psを設定上限値Psoに調整する。(Ps⇒Pso)
(c)上記(a),(b)のいずれの場合も、凝縮圧力Pcに応じて冷却水量調整弁21を調整することで、凝縮圧力Pcを適正圧力に保つ。
また、上記(a),(b)のいずれの場合も、モータ回転数の調整による圧縮機11の出力調整で低負荷時に圧縮機11のモータ回転数が下限値まで低下した状態では、圧縮機吸込圧力Psに応じて容量調整弁22の開度を調整する。
さらに上記(a),(b)のいずれの場合も、圧縮機吸込温度Tsに応じて液冷却弁23の開度を調整する。
(d)上記(a),(b)のいずれの場合も、空気温度制御に併行する過熱度制御として、膨張弁13の開度EVを調整することで、蒸発器14の冷媒出口における冷媒rの過熱度SH(=圧縮機吸込温度Ts−蒸発温度Te)を適正過熱度に調整する。
具体的には、この過熱度制御は、次の3つの制御モード(通常モード、負荷変動モード、設定変更モード)からなる。
(e)通常モード(図5〜図7参照)
この通常モードでは、現在の過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHo以下である(SH≦SHo)か否かの判定(♯1)、及び、現在の過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHu以上である(SH≧SHu)か否かの判定(♯2)を繰り返す。
♯1の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHo以下であり、かつ、♯2の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHu以上である状態、即ち、現在の過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内にある状態(SHu≦SH≦SHo)では、膨張弁13の開度EVを現在の開度に保持(♯3)する。
一方、♯1の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きいとき(SH>SHo)は、膨張弁13の開度EVを、次の(式1)により演算する開き側の細分開度差ΔEV1だけ増大(♯4)させる。(EV=EV+ΔEV1)
ΔEV1=A1×(SH−SHo)+B1 ……(式1)
A1:定数
B1:定数
続いて、t1時間の待機(♯5)を経て、至近のΔt時間(=t2)における単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtがゼロ未満である(ΔSH/Δt<0)か否かを判定(♯6)する。
ここで、Δt時間(=t2)はt1時間より短い時間(t2<t1)であり、至近のΔt時間における過熱度変化量ΔSHは、現在の過熱度SHからΔt(=t2)時間前の過熱度SHを減じたものである。
♯6の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtがゼロ以上である間(ΔSH/Δt≧0)は、過熱度SHが未だ増大過程にある可能性が高いとして、膨張弁13の開度EVを開き側の細分開度差ΔEV1だけ増大(♯4)させる開き側の細分開度調整を、t1時間(♯5)ごとに繰り返す。
また、♯6の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtがゼロ未満になる(ΔSH/Δt<0)と、過熱度SHが減少過程にあるかほぼ安定したとして、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtの絶対値が設定閾過熱度差dSH未満である(|ΔSH/Δt|<dSH)か否かを判定(♯7)する。
♯7の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtの絶対値が設定閾過熱度差dSH未満のとき(|ΔSH/Δt|<dSH)は、過熱度SHがほぼ安定したとして、♯1の判定に戻る。
また、♯7の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtの絶対値が設定閾過熱度差dSH以上のとき(|ΔSH/Δt|≧dSH)は、過熱度SHが減少過程にあるとして、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHo以上である(SH≧SHo)か否かを再度判定(♯8)する。
♯8の判定において、過熱度SHが未だ設定過熱度範囲Rshの上限値SHo以上のとき(SH≧SHo)は、t1時間の待機(♯5)を経て、再び♯6の判定に戻る。
また、この♯8の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHo未満に復帰しているとき(SH<SHo)は、♯2の判定に戻る。
なお、図5及び図6の夫々に付した丸付き数字1〜5は、図5のフローチャート上における各制御動作と、図6のタイムチャート上における各時点の制御状態との対応関係を示す。
♯2の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHu未満のとき(SH<SHu)は、膨張弁13の開度EVを、次の(式2)により演算する閉じ側の細分開度差ΔEV2だけ減少(♯9)させる。(EV=EV−ΔEV2)
ΔEV2=A2×(SHu−SH)+B2 ……(式2)
A2:定数
B2:定数
続いて、t3時間の待機(♯10)を経て、至近のΔt時間(=t2)における単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtがゼロより大きい(ΔSH/Δt>0)か否かを判定(♯11)する。
ここで、Δt時間(=t2)はt3時間より短い時間(t2<t3)であり、至近のΔt時間における過熱度変化量ΔSHは、前述と同様、現在の過熱度SHからΔt(=t2)時間前の過熱度SHを減じたものである。
♯11の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtがゼロ以下のとき(ΔSH/Δt≦0)は、過熱度SHが未だ減少過程にある可能性が高いとして、過熱度SHが、設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さい設定液バック閾値SHu1以上である(SH≧SHu1)か否かを判定(♯12)する。
♯12の判定において、過熱度SHが設定液バック閾値SHu1以上である間(即ち、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuと設定液バック閾値SHu1との間において減少過程にある間)は、膨張弁13の開度EVを閉じ側の細分開度差ΔEV2だけ減少(♯9)させる閉じ側の細分開度調整を、t3時間(♯10)ごとに繰り返す。
また、♯12の判定において、過熱度SHが設定液バック閾値SHu1未満になる(SH<SHu1)と、液バック発生の可能性が高いとして、閉じ側の細分開度差ΔEV2より大きい液バック回避用の設定開度差ΔEV3だけ膨張弁13の開度EVを一気に減少(♯13)させる液バック回避用の開度調整を実施して、t3時間の待機(♯10)に戻る。
なお、この液バック回避用の開度調整も、♯12の判定において過熱度SHが設定液バック閾値SHu1未満の状態(SH<SHu1)が続く場合は、t3時間(♯10)ごとに繰り返す。
♯11の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtがゼロより大きくなる(ΔSH/Δt>0)と、過熱度SHが増大過程にあるかほぼ安定したとして、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtが設定閾過熱度差dSH未満である(ΔSH/Δt<dSH)か否かを判定(♯14)する。
♯14の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtが設定閾過熱度差dSH未満のとき(ΔSH/Δt<dSH)は、過熱度SHがほぼ安定したとして、♯2の判定に戻る。
また、♯14の判定において、単位時間当たりの過熱度変化量ΔSH/Δtが設定閾過熱度差dSH以上のとき(ΔSH/Δt≧dSH)は、過熱度SHが増大過程にあるとして、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHu以下である(SH≦SHu)か否かを再度判定(♯15)する。
♯15の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHu以下のとき(SH≦SHu)は、t3時間の待機(♯10)を経て、♯11の判定に戻る。
また、♯15の判定において、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより大きい値に復帰しているとき(SH>SHu)は、♯1の判定に戻る。
図5及び図7の夫々に付した丸付き数字6〜11は、図5のフローチャート上における各制御動作と、図7のタイムチャート上における各時点の制御状態との対応関係を示す。
つまり、制御装置24は、通常モードの過熱度制御として、
過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内にある状態では、膨張弁13の開度EVをその時の開度に保持(固定)する。
これに対し、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きい状態では、
過熱度SHが増大過程にあるとき、膨張弁13の開度EVを開き側の細分過熱度差ΔEV1だけ増大させる開き側の細分開度調整を、t1時間ごとに繰り返し、
過熱度SHが減少過程にあるときには、膨張弁13の開度EVをその時の開度に保った状態で、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰するのを待つ。
また、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さい状態では、
過熱度SHが、設定過熱度範囲Rshの下限値SHuとそれより小さい設定液バック閾値SHu1との間で減少過程にあるとき、膨張弁13の開度EVを閉じ側の細分過熱度差ΔEV2だけ減少させる閉じ側の細分開度調整を、t3時間ごとに繰り返し、
過熱度SHが設定液バック閾値SHu1より小さくなると、膨張弁13の開度EVを液バック回避用の設定開度差ΔEV3だけ減少させる液バック回避用の開度調整を行い、
過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuと設定液バック閾値SHu1との間で増大過程にあるときには、膨張弁13の開度EVをその時の開度に保った状態で、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの範囲内に復帰するのを待つ。
そして、開き側の細分開度調整における開き側の細分開度差ΔEV1は、設定過熱度範囲Rshの上限値SHoに対する過熱度SHの偏差(SH−SHo)を独立変数とし、かつ、開き側の細分開度差ΔEV1を従属変数とする開き側の設定一次式(式1)に従って決定し、
同様に、閉じ側の細分開度調整における閉じ側の細分開度差ΔEV2は、設定過熱度範囲Rshの下限値SHuに対する過熱度SHの偏差(SHu−SH)を独立変数とし、かつ、閉じ側の細分開度差ΔEV2を従属変数とする閉じ側の設定一次式(式2)に従って決定する。
(f)負荷変動モード(図8,図9参照)
上記通常モードの実行下では、至近のΔt時間(=t4)における単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が、設定閾入口空気温度差dTa1以下である(|ΔTa1/Δt|≦dTa1)か否かの判定(♯21)を繰り返す。
ここで、至近のΔt時間における入口空気温度変化量ΔTa1は、蒸発器14における現在の入口空気温度Ta1からΔt(=t4)時間前の入口空気温度Ta1を減じたものである。
♯21の判定において、単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が、設定閾入口空気温度差dTa1以下のとき(|ΔTa1/Δt|≦dTa1)は、冷却負荷の急激な変動は無かったとして、通常モードに復帰する。
これに対し、♯21の判定において、単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が、設定閾入口空気温度差dTa1より大きいとき(|ΔTa1/Δt|>dTa1)は、冷却負荷の急激な変動があったとして、膨張弁13の開度EVを、次の(式3)により演算する負荷変動対処用の開度EV4に調整(♯22)する。(EV⇒EV4)
EV4=f(Tas,Ta1,Pc)
=Cc×C×ΔTa+D ……(式3)
ここで、ΔTa=入口空気温度Ta1−設定空気温度Tas
Pc:凝縮圧力
Cc:補正係数
D:定数
C=E×Tas+F×Tas+G×Tas+H
E=E1×Pc×E2×Pc+E3
F=F1×Pc×F2×Pc+F3
G=G1×Pc×G2×Pc+G3
H=H1×Pc×H2×Pc+H3
E1〜E3,F1〜F3,G1〜G3,H1〜H3の夫々は係数
この調整後、t4時間の待機(♯23)を経て、♯21の判定と同じく、至近のΔt時間(=t4)における単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が、設定閾入口空気温度差dTa1以下である(|ΔTa1/Δt|≦dTa1)か否かの判定(♯24)を行う。
そして、♯24の判定において、単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が、設定閾入口空気温度差dTa1以下のとき(|ΔTa1/Δt|≦dTa1)は、もはや冷却負荷の急激な変動は無いとして、t5時間の待機(♯25)を経て通常モードに復帰する。
また、♯24の判定において、単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が、設定閾入口空気温度差dTa1より大きいとき(|ΔTa1/Δt|>dTa1)は、冷却負荷の急激な変動が未だある可能性が高いとして、♯21の判定に戻る。
したがって、♯22の調整の後も単位時間当たりの入口時間空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が設定閾入口空気温度差dTa1より大きい状態(|ΔTa1/Δt|>dTa1)がt4時間を超えて続く場合は、単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値が設定閾入口空気温度差dTa1以下になる(|ΔTa1/Δt|≦dTa1)まで、♯22の調整をt4時間(♯23)ごとに繰り返す。
図8及び図9の夫々に付した丸付き数字1〜3は、図8のフローチャート上における各制御動作と、図9のタイムチャート上における各時点の制御状態との対応関係を示す。
つまり、制御装置24は、負荷変動モードの過熱度制御として、
単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値(単位時間当たりの冷却負荷変動量)が設定閾入口空気温度差dTa1(設定閾変動量)より大きいとき、
空気温度制御(流体温度制御)により調整される装置運転状態に対応する膨張弁13の開度EVを負荷変動対処用の相関情報である(式3)に基づき決定して、その決定開度EV4に膨張弁13の開度EVを調整する負荷変動対処用の開度調整を実行する。
また、単位時間当たりの入口空気温度変化量ΔTa1/Δtの絶対値(単位時間当たりの冷却負荷変動量)が設定閾入口空気温度差dTa1(設定閾変動量)より小さくなるまで、この負荷変動対処用の開度調整をt4時間ごとに繰り返す。
ここで、負荷変動対処用の相関情報は、装置運転状態と過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVとの相関を示すものであり、この負荷変動対処用相関情報としての(式3)は、設定空気温度Tas(設定流体温度)と入口空気温度Ta1(冷却対象流体の冷却前の温度)と冷凍回路Cにおける冷媒rの凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを従属変数とする負荷変動対処用の設定関数式である。
(g)設定変更モード
この設定変更モードは、設定空気温度Tas(設定流体温度)が低下側に変更されたことに対して実行する設定変更(低下側)モードと、設定空気温度Tasが上昇側に変更されたことに対して実行する設定変更(上昇側)モードとからなる。
先ず、設定変更(低下側)モードについて説明すると(図10,図11参照)、通常モードの実行下において、設定空気温度Tasの低下側への変更があったか否かの判定(♯31)を繰り返す。
♯31の判定において、設定空気温度Tasの低下側への変更が無かったときは、通常モードへ復帰する。
これに対し、♯31の判定において、設定空気温度Tasの低下側への変更があったときは、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasに低下側変更用の設定予備閾空気温度差dTas1を加えた値以上である(Ta2≧Tas+dTas1)か否かを判定(♯32)する。
♯32の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasに低下側変更用の設定予備閾空気温度差dTas1を加えた値以上のとき(Ta2≧Tas+dTas1)は、膨張弁13の開度EVを、次の(式4)により演算する低下側変更対処用の開度EV5に調整(♯33)する。(EV⇒EV5)
EV5=f(Ta2,Ta1,Pc)
=Cc×C×ΔTa′+D ……(式4)
ここで、ΔTa′=入口空気温度Ta1−出口空気温度Ta2
Pc:凝縮圧力の現在値
Cc:補正係数
D:定数
C=E×Ta2+F×Ta2+G×Ta2+H
E=E1×Pc×E2×Pc+E3
F=F1×Pc×F2×Pc+F3
G=G1×Pc×G2×Pc+G3
H=H1×Pc×H2×Pc+H3
E1〜E3,F1〜F3,G1〜G3,H1〜H3の夫々は係数
また、♯32の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasに低下側変更用の設定予備閾空気温度差dTas1を加えた値未満のとき(Ta2<Tas+dTas1)は、膨張弁13の開度EVを、次の(式5)により演算する低下側変更対処用の開度EV6に調整(♯34)する。(EV⇒EV6)
EV6=f(Tas,Ta1,Pc)
=Cc×C×ΔTa+D ……(式5)
ここで、ΔTa=入口空気温度Ta1−設定空気温度Tas
Pc:凝縮圧力
Cc:補正係数
D:定数
C=E×Tas+F×Tas+G×Tas+H
E=E1×Pc×E2×Pc+E3
F=F1×Pc×F2×Pc+F3
G=G1×Pc×G2×Pc+G3
H=H1×Pc×H2×Pc+H3
E1〜E3,F1〜F3,G1〜G3,H1〜H3の夫々は係数
♯33又は♯34の調整の後は、t6時間の待機(♯35)を経て、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasを含む低下側変更用の設定空気温度範囲Ra1の範囲内にある(Tas−dTas2≦Ta2≦Tas+dTas2)か否かを判定(♯36)する。
ここで、dTas2はdTas1より小さい値である(dTas2<dTas1)。
♯36の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が低下側変更用の設定空気温度範囲Ra1の範囲外にあるとき(Ta2<Tas−dTas2,Ta2>Tas+dTas2)は、蒸発器4の出口空気温度Ta2が未だ充分に調整されていないとして、♯32の判定に戻る。
また、♯36の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が低下側変更用の設定空気温度範囲Ra1の範囲内にあるとき(Tas−dTas2≦Ta2≦Tas+dTas2)は、蒸発器14の出口空気温度Ta2が低下側変更用の設定空気温度範囲Ra1の範囲内にある状態がt7時間にわたり継続したか否かを判定(♯37)する。
♯37の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が低下側変更用の設定空気温度範囲Ra1の範囲内にある状態が未だt7時間にわたって継続していないときは、蒸発器14の出口空気温度Ta2が未だ安定していないとして、♯32の判定に戻る。
また、♯37の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が低下側変更用の設定空気温度範囲Ra1の範囲内にある状態がt7時間にわたって継続したときは、蒸発器14の出口空気温度Ta2が安定したとして、t8時間の待機(♯38)を経て、通常モードに復帰する。
図10及び図11の夫々に付した丸付き数字1〜7は、図10のフローチャート上の各制御動作と、図11のタイムチャート上における各時点の制御状態との対応関係を示す。
次に、設定変更(上昇側)モードについて説明すると(図12,図13参照)、通常モードの実行下において、前記した♯31の判定とともに、設定空気温度Tasの上昇側への変更があったか否かの判定(♯41)を繰り返す。
♯41の判定において、設定空気温度Tasの上昇側への変更がなかったときは、通常モードへ復帰する。
これに対し、♯41の判定において、設定空気温度Tasの上昇側への変更があったときは、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasから上昇側変更用の設定予備閾空気温度差dTas3を減じた値以上である(Ta2≧Tas−dTas3)か否かを判定(♯42)する。
♯42の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasから上昇側変更用の設定予備閾空気温度差dTas3を減じた値以上のとき(Ta2≧Tas−dTas3)は、膨張弁13の開度EVを、次の(式6)により演算する上昇側変更対処用の開度EV7に調整(♯43)する。(EV⇒EV7)
EV7=f(Tas,Ta1,Pc)
=Cc×C×ΔTa+D ……(式6)
ここで、ΔTa=入口空気温度Ta1−設定空気温度Tas
Pc:凝縮圧力
Cc:補正係数
D:定数
C=E×Tas+F×Tas+G×Tas+H
E=E1×Pc×E2×Pc+E3
F=F1×Pc×F2×Pc+F3
G=G1×Pc×G2×Pc+G3
H=H1×Pc×H2×Pc+H3
E1〜E3,F1〜F3,G1〜G3,H1〜H3の夫々は係数
また、♯42の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasから上昇側変更用の設定予備閾空気温度差dTas3を減じた値未満のとき(Ta2<Tas−dTas3)は、膨張弁13の開度EVをゼロ(又は、開度下限値)に調整(♯44)する。(EV=0又は開度下限値)
♯42又は♯44の調整の後は、t9時間の待機(♯45)を経て、蒸発器14の出口空気温度Ta2が、設定空気温度Tasを含む上昇側変更用の設定空気温度範囲Ra2の範囲内にある(Tas−dTas4≦Ta2≦Tas+dTas4)か否かを判定(♯46)する。
ここで、dTas4はdTas3より小さい値である(dTas4<dTas3)
♯46の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が上昇側変更用の設定空気温度範囲Ra2の範囲外にあるとき(Ta2<Tas−dTas4,Ta2>Tas+dTas4)は、蒸発器14の出口空気温度Ta2が未だ充分に調整されていないとして、♯42の判定に戻る。
また、♯46の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が上昇側変更用の設定空気温度範囲Ra2の範囲内にあるとき(Tas−dTas4≦Ta2≦Tas+dTas4)は、蒸発器14の出口空気温度Ta2が上昇側変更用の設定空気温度範囲Ra2の範囲内にある状態がt10時間にわたり継続したか否かを判定(♯47)する。
♯47の判定において、蒸発器14の出口空気温度Ta2が上昇側変更用の設定空気温度範囲Ra2の範囲内にある状態が未だt10時間にわたって継続していないときは、蒸発器14の出口空気温度Ta2が未だ安定していないとして、♯42の判定に戻る。
また、♯47の判定において、出口空気温度Ta2が上昇側変更用の設定空気温度範囲Ra2の範囲内にある状態がt10時間にわたって継続したときは、出口空気温度Ta2が安定したとして、t11時間の待機(♯48)の上で、通常モードに復帰する。
図12及び図13の夫々に付した丸付き数字1〜7は、図12のフローチャート上の各制御動作と、図13のタイムチャート上における各時点の制御状態との対応関係を示す。
なお、アフターヒータ17の出力はヒータ出口空気温度Ta3と設定空気温度Tasとの差に応じて調整することから、図11において細かい破線のグラフで示すように、アフターヒータ17は、設定空気温度Tasが上昇側に変更されたときにONとなり、その後、上記した膨張弁開度EVの調整により蒸発器14の出口空気温度Ta2が設定空気温度Tasに上昇するのに伴い、アフターヒータ17の出力はゼロになる。
つまり、制御装置24は、設定変更モードでの過熱度制御として、
設定空気温度Tas(設定流体温度)が変更されたとき、
空気温度制御(流体温度制御)により調整される装置運転状態に対応する膨張弁13の開度EVを設定変更対処用の相関情報としての(式4)又は(式5)又は(式6)に基づき決定して、その決定開度EV5又はEV6又はEV7に膨張弁13の開度EVを調整する設定変更対処用の開度調整を実行する。
また、出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)が、設定空気温度Tas(設定流体温度)を中心とする設定空気温度範囲Ra1又はRa2(設定流体温度範囲)の範囲内に収束して安定するまで、設定変更対処用の開度調整をt6時間又はt9時間ごとに繰り返す。
ここで、設定変更対処用の相関情報は、装置運転状態と過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVとの相関を示すものであり、この設定変更対処用の相関情報としての(式4),(式5),(式6)は、設定空気温度Tas(設定流体温度)又は出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)と、入口空気温度Ta1(冷却対象流体の冷却前の温度)と、冷凍回路Cにおける冷媒rの凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを従属変数とする設定関数式である。
そしてまた、制御装置24は、設定変更(低下側)モードでの過熱度制御では、
出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)と設定空気温度Tas(設定流体温度)との差が低下側変更用の設定予備閾空気温度差dTas1(設定予備閾流体温度差)より大きいときは、設定変更対処用の開度調整において前半調整用の設定関数式(式4)に基づき膨張弁13の開度EVを決定し、
出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)と設定空気温度Tas(設定流体温度)との差が低下側変更用の設定予備閾空気温度差dTas1(設定予備閾流体温度差)より小さいときは、設定変更対処用の開度調整において後半調整用の設定関数式(式5)に基づき膨張弁13の開度EVを決定する。
前半調整用の設定関数式(式4)は、出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)と、入口空気温度Ta1(冷却対象流体の冷却前の温度)と、冷凍回路Cにおける凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを従属変数とする関数式であり、
後半調整用の設定関数式(式5)は、設定空気温度Tas(設定流体温度)と、入口空気温度Ta1(冷却対象流体の冷却前の温度)と、冷凍回路Cにおける凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを従属変数とする関数式である。
さらに、制御装置24は、設定変更(上昇側)モードでの過熱度制御では、
出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)と設定空気温度Tas(設定流体温度)との差が上昇側変更用の設定予備閾空気温度差dTas3(設定予備閾流体温度差)より大きいときは、設定変更対処用の開度調整において設定関数式(式6)に基づき膨張弁13の開度EVを決定し、
出口空気温度Ta2(冷却対象流体の冷却後の温度)と設定空気温度Tas(設定流体温度)との差が上昇側変更用の設定予備閾空気温度差dTas3(設定予備閾流体温度差)より小さいときは、設定変更対処用の開度調整において膨張弁13の開度をゼロ又は開度下限値に調整する。
設定関数式(式6)は、設定空気温度Tas(設定流体温度)と、入口空気温度Ta1(冷却対象流体の冷却前の温度)と、冷凍回路Cにおける凝縮圧力Pcとの夫々を独立変数とし、かつ、過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVを従属変数とする関数式である。
図14,図15は上記した直膨式の冷却装置2において、冷却負荷の急激な変動X(具体的には蒸発器入口空気温度Ta1の急変)があった場合の各値の経時変化を示す。
また、図16,図17は、設定過熱度SHsに対する過熱度SHの偏差に応じたPID制御により膨張弁13の開度EVを調整する従来の直膨式冷却装置において、同様の負荷変動Xがあった場合の各値の経時変化を示す。
これら図14,図15と図16,図17との比較から判るように、本発明による上記の直膨式冷却装置2であれば、PID制御による膨張弁開度EVの調整で過熱度SHを調整する従来の直膨式冷却装置に比べ、冷却負荷の変動Xに原因する膨張弁開度EVのオーバーシュートやアンダーシュートによるハンチング的な変化が効果的に抑止され、負荷変動Xの発生後、装置の運転が早期に安定して過熱度SHや蒸発器出口空気温度Ta2が早期に安定している。
また、これと同様に、本発明による上記の直膨式冷却装置2であれば、設定空気温度Tasが変更されたときも、膨張弁開度EVのオーバーシュートやアンダーシュートによるハンチング的な変化を効果的に抑止することができて、設定空気温度Tasの変更後、装置の運転を早期に安定化して過熱度SHや蒸発器出口空気温度Ta2を早期に安定化することができる。
〔別実施形態〕
次の本発明の別の実施形態を列記する。
冷却対象の流体は、空気Aなどの気体に限らず水などの液体であってもよい。
開き側の細分開度差ΔEV1及び閉じ側の細分開度差ΔEV2は夫々、固定値にしてもよい。
過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの上限値SHoより大きい状態において、過熱度SHが増大過程にあるとき、及び、過熱度SHが減少過程にあるときのいずれも開き側の細分開度調整を繰り返すようにしてもよく、また、その場合、過熱度SHが増大過程にあるときの開き側の細分開度差ΔEV1と、過熱度SHが減少過程にあるときの開き側の細分開度差ΔEV1とを異ならせるようにしてもよい。
同様に、過熱度SHが設定過熱度範囲Rshの下限値SHuより小さい状態において、過熱度SHが減少過程にあるとき、及び、過熱度SHが増大過程にあるときのいずれも閉じ側の細分開度調整を繰り返すようにしてもよく、また、その場合、過熱度SHが減少過程にあるときの閉じ側の細分開度差ΔEV2と、過熱度SHが増大過程にあるときの閉じ側の細分開度差ΔEV2とを異ならせるようにしてもよい。
開き側の細分開度差ΔEV1及び閉じ側の細分開度差ΔEV2を、数式の演算により決定するのに代えて、表形式の記憶テーブルに基づいて決定するようにしてもよい。
単位時間当たりの冷却負荷変動量としては、蒸発器14における単位時間当たりの入口空気温度差ΔTa1/Δtを採用するのに代え、蒸発器14における単位時間当たりの空気流量差を採用するなど、単位時間当たりの冷却負荷の変動量を指標するものであれば、種々の数値を単位時間当たりの冷却負荷変動量として採用することができる。
負荷変動対処用の相関情報は、装置運転状態と過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVとを相関を示すものであれば、式形式のものに限らず、表形式のものであってもよい。
同様に、設定変更対処用の相関情報も、装置運転状態と過熱度SHを適正値にする膨張弁13の開度EVとを相関を示すものであれば、式形式のものに限らず、表形式のものであってもよい。
本発明による冷却装置は、室内空気冷却の用途(冷房用途)に限らず、気体や液体を冷却する種々の冷却用途に使用することができる。
本発明は、蒸気圧縮式の冷凍回路を備える各種用途の冷却装置に適用することができる。
A 空気(流体)
C 冷凍回路
14 蒸発器
r 冷媒
Tas 設定空気温度(設定流体温度)
EV 膨張弁の開度
SH 過熱度
24 制御装置(制御手段)
Rsh 設定過熱度範囲
SHo 設定過熱度範囲の上限値
ΔEV1 開き側の細分開度差
t1 所定時間
SHu 設定過熱度範囲の下限値
ΔEV2 閉じ側の細分開度差
t3 所定時間
SHu1 設定液バック閾値
ΔEV3 液バック回避用の設定開度差
dTa1 設定閾入口空気温度差(設定閾変動量)
t4 所定時間
Ta1 蒸発器の入口空気温度(流体の冷却前の温度)
Pc 凝縮圧力
Ta2 蒸発器の出口空気温度(流体の冷却後の温度)
Ra1 設定空気温度範囲(設定流体温度範囲)
Ra2 設定空気温度範囲(設定流体温度範囲)
dTas1 設定予備閾空気温度差(設定予備閾流体温度差)

Claims (12)

  1. 冷却対象の流体を蒸気圧縮式の冷凍回路における蒸発器において冷媒と熱交換させることで冷却し、
    前記蒸発器での冷却量を調整することで前記流体の温度を設定流体温度に調整する流体温度制御と、
    前記冷凍回路における膨張弁の開度を調整することで前記蒸発器における冷媒出口での冷媒の過熱度を調整する過熱度制御とを実行する制御手段を備える冷却装置であって、
    前記制御手段は、前記過熱度制御として、
    前記過熱度が設定過熱度範囲の範囲内にあるときは、前記膨張弁の開度をその時の開度に保持し、
    前記過熱度が前記設定過熱度範囲の上限値より大きいときは、前記膨張弁の開度を開き側の細分開度差だけ増大させる開き側の細分開度調整を、所定時間ごとに繰り返し、
    前記過熱度が前記設定過熱度範囲の下限値より小さいときは、前記膨張弁の開度を閉じ側の細分開度差だけ減少させる閉じ側の細分開度調整を、所定時間ごとに繰り返す構成にしてある冷却装置。
  2. 前記制御手段は、前記過熱度が前記設定過熱度範囲の上限値より大きい状態で増大過程にあるとき、前記開き側の細分開度調整を所定時間ごとに繰り返し、
    前記過熱度が前記設定過熱度範囲の上限値より大きい状態で減少過程にあるときは、前記膨張弁の開度をその時の開度に保持する構成にしてある請求項1記載の冷却装置。
  3. 前記設定過熱度範囲の下限値より小さい設定液バック閾値を設け、
    前記制御手段は、前記過熱度が前記設定過熱度範囲の下限値と前記設定液バック閾値との間で減少過程にあるとき、前記閉じ側の細分開度調整を所定時間ごとに繰り返し、
    前記過熱度が前記液バック閾値より小さい状態で減少過程にあるときは、前記膨張弁の開度を液バック回避用の設定開度差だけ減少させ、
    前記過熱度が前記設定過熱度範囲の下限値より小さい状態で増大過程にあるときは、前記膨張弁の開度をその時の開度に保持する構成にしてある請求項1又は2記載の冷却装置。
  4. 前記制御手段は、前記設定過熱度範囲の上限値に対する前記過熱度の偏差を独立変数とし、かつ、前記開き側の細分開度差を従属変数とする開き側の設定一次式に従って、前記開き側の細分開度差を決定し、
    前記設定過熱度範囲の下限値に対する前記過熱度の偏差を独立変数とし、かつ、前記閉じ側の細分開度差を従属変数とする閉じ側の設定一次式に従って、前記閉じ側の細分開度差を決定する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置。
  5. 前記制御手段は、装置運転状態と前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度との相関を示す負荷変動対処用の相関情報を備え、
    単位時間当たりの冷却負荷変動量が設定閾変動量より大きいとき、前記過熱度制御として、
    前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁の開度を前記負荷変動対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁の開度を調整する負荷変動対処用の開度調整を優先的に実行する構成にしてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却装置。
  6. 前記制御装置は、前記単位時間当たりの冷却負荷変動量が前記設定閾変動量より小さくなるまで、前記負荷変動対処用の開度調整を所定時間ごとに繰り返す構成にしてある請求項5記載の冷却装置。
  7. 前記負荷変動対処用の相関情報が、前記設定流体温度と前記流体の冷却前の温度と前記冷凍回路における冷媒の凝縮圧力との夫々を独立変数とし、かつ、前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度を従属変数とする負荷変動対処用の設定関数式である請求項5又は6記載の冷却装置。
  8. 前記制御手段は、装置運転状態と前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度との相関を示す設定変更対処用の相関情報を備え、
    前記設定流体温度が変更されたとき、前記過熱度制御として、
    前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁の開度を前記設定変更対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁の開度を調整する設定変更対処用の開度調整を優先的に実行する構成にしてある請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷却装置。
  9. 前記制御装置は、前記流体の冷却後の温度が、前記設定流体温度を中心とする設定流体温度範囲の範囲内に収束して安定するまで、前記設定変更対処用の開度調整を所定時間ごとに繰り返す構成にしてある請求項8記載の冷却装置。
  10. 前記制御手段は、前記設定変更対処用の相関情報として、前記流体の冷却後の温度と前記流体の冷却前の温度と前記冷凍回路における冷媒の凝縮圧力との夫々を独立変数とし、かつ、前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度を従属変数とする前半調整用の設定関数式と、
    前記設定流体温度と前記流体の冷却前の温度と前記冷凍回路における冷媒の凝縮圧力との夫々を独立変数とし、かつ、前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度を従属変数とする後半調整用の設定関数式とを備え、
    前記流体の冷却後の温度と前記設定流体温度との差が設定予備閾流体温度差より大きいときは、前記設定変更対処用の開度調整において前記前半調整用の設定関数式に基づき前記膨張弁の開度を決定し、
    前記流体の冷却後の温度と前記設定流体温度との差が前記設定予備閾流体温度差より小さいときは、前記設定変更対処用の開度調整において前記後半調整用の設定関数式に基づき前記膨張弁の開度を決定する構成にしてある請求項9記載の冷却装置。
  11. 冷却対象の流体を蒸気圧縮式の冷凍回路における蒸発器において冷媒と熱交換させることで冷却し、
    前記蒸発器での冷却量を調整することで前記流体の温度を設定流体温度に調整する流体温度制御と、
    前記冷凍回路における膨張弁の開度を調整することで前記蒸発器における冷媒出口での冷媒の過熱度を調整する過熱度制御とを実行する制御手段を備える冷却装置であって、
    前記制御手段は、装置運転状態と前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度との相関を示す負荷変動対処用の相関情報を有し、
    単位時間当たりの冷却負荷変動量が設定閾変動量より大きいとき、前記過熱度制御として、
    前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁の開度を前記負荷変動対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁の開度に調整する負荷変動対処用の開度調整を実行する構成にしてある冷却装置。
  12. 冷却対象の流体を蒸気圧縮式の冷凍回路における蒸発器において冷媒と熱交換させることで冷却し、
    前記蒸発器での冷却量を調整することで前記流体の温度を設定流体温度に調整する流体温度制御と、
    前記冷凍回路における膨張弁の開度を調整することで前記蒸発器における冷媒出口での冷媒の過熱度を調整する過熱度制御とを実行する制御手段を備える冷却装置であって、
    前記制御手段は、装置運転状態と前記過熱度を適正値にする前記膨張弁の開度との相関を示す設定変更対処用の相関情報を有し、
    前記設定流体温度が変更されたとき、前記過熱度制御として、
    前記流体温度制御により調整される装置運転状態に対応する前記膨張弁の開度を前記設定変更対処用の相関情報に基づき決定して、その決定開度に前記膨張弁の開度を調整する設定変更対処用の開度調整を実行する構成にしてある冷却装置。
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