JP2017193794A - 起毛状組織を有する複層不織布 - Google Patents
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Abstract
Description
前記短繊維の前記繊維端末が、短繊維相互が交絡している状態にある交絡繊維端末と、前記フィラメント繊維主成分層に浸透して交絡している交絡繊維端末と、前記フィラメント繊維主成分層を貫通して前記フィラメント繊維主成分層の面から露出している状態にある露出繊維端末と、を有する複層不織布である。
本発明においては、複層不織布の各層を構成する素材の選択とその一体化の方法が重要である。
1.繊維端末
本実施形態の複層不織布は短繊維層とフィラメント繊維(長繊維ともいう)成分層からなり、多数の繊維端末が短繊維層に含まれる。短繊維とは長さの長短はあるが、切断操作により長繊維から切断された短繊維と、自然状態で収穫される、あるいは抽出される初めから短い状態で存在する短繊維との2種類に分けられる。本願ではこの2種類の短繊維を、ともに切断繊維と定義する。一本の切断繊維は頭部(前端部)と尾部(後端部)の2か所の端末部を有する。これを繊維端末と称することにする。
本実施形態の複層不織布は、短繊維層とフィラメント繊維主成分層と単に両層を重ねたものではなく、短繊維層を構成する短繊維の繊維端末が、フィラメント繊維主成分層側に移動・浸透し、一部がフィラメント繊維主成分層に交絡し、一部がフィラメント繊維主成分層を貫通してフィラメント繊維主成分層の面(裏面)から起毛状(毛羽状)に突出し、露出している状態にある複層不織布である。本願では図1に示すように、短繊維層を上層として、その表面あるいは上面を、複層不織布の表面あるいは上面と呼称し、フィラメント繊維主成分層を下層として、その裏面あるいは下面を、複層不織布の裏面あるいは下面と呼称することにする。ただし、上面、下面、表面、裏面の用語は、本願での説明の便宜上により用いる用語であり、用途によっては、上面と下面、表面と裏面は逆に呼称される場合があり、また複層不織布が水平面に対して垂直に配置されるときなどは上面、下面と呼称されない場合がある。
図1を参照して本実施形態の複層不織布の上面から下面への繊維層の分布状態を説明する。
本実施形態の複層不織布を、更に繊維端末の交絡繊維端末と未交絡繊維端末の存在状態に着目して図1(D)を用いて説明すると、表面から、繊維端末の大部分が交絡繊維端末で、一部が未交絡繊維端末の存在領域(領域1C)、繊維端末がフィラメント繊維に交絡した一部の交絡繊維端末と、フィラメント繊維主成分層を貫通する未交絡繊維端末の存在領域(領域2C)、繊維端末が貫通して露出する未交絡繊維端末(露出繊維端末)の存在領域(領域3C)の3存在領域から構成される複層状態が形成される。なお露出繊維端末とは裏面に突出する未交絡繊維端末であると定義できる。
複層とは複数の層を意味するが、本実施形態では上層部と下層部を重ねた2層構成からなる複層シートを原料ウェブとして採用するのが望ましい。なお上層部と下層部の2層構成としているが、上層部がその構成過程において複数の層から構成されていてもよい。例えば、短繊維層を厚くするため、複数層のカードウェブやサーマルボンド不織布を重ねて構成するような例である。また下層部が複数の層から構成されていてもよい。例えば、フィラメント繊維主成分層を厚くするため、SBを重ねたり、SBとSMSとを複数枚重ねて使用するような場合である。また上下層の一体化方法として受けプレートを利用した流体交絡法を採用する場合には、上層とは流体噴出装置に近接する面側をいい、下層とは吸引ユニットと受けプレートに近接する面側をいう。
上層部には繊維端末を多く持った短繊維層が採用されるが、流体交絡法として水流交絡法を採用する場合には、WJ(Water Jet)により変形・移動し絡み付きやすい繊維ウェブや不織布が選択される。短繊維層に求められる第一の特性は、構成繊維を短く、しかも細くして繊維の本数を増加させることであり、それにより繊維の自由端末(Free Tail)を多く存在させることができる。短繊維層としては例えばPE(ポリエチレン)系、PP(ポリプロピレン)系、PET(ポリエチレンテレフタレート)系、ナイロン系、アクリル系、及びこれらの複合繊維等の合成繊維ステープル(短繊維);コットン、麻、レーヨン、リヨセル、アセテート等のセルロース系の天然繊維や化学繊維ステープル;をウェブ状としたもの、例えばカード機を用いてウェブ化した未結合カードウェブ、あるいはすでに構成繊維間を部分結合し不織布化したウェブ、例えばカードウェブをスポット状に熱処理で不織布化したスポット結合カードウェブ等が選択される。構成繊維の繊度は0.5dtex〜10dtexの広範囲で使用可能であるが、繊維端末の個数と交絡のし易さから1.0dtex〜7.0dtexの範囲のものが好んで使用される。中空の嵩高繊維と細繊度繊維との組み合わせ、例えば1.5dtexと7dtexの混合繊維ウェブ等も好んで使用される。繊維長は均一に層形成しやすい観点から3mm〜75mmのものが好んで使用される。交絡性の観点から特に好ましくは10mm〜50mmの範囲のものが選択される。繊維端末の個数からいえば100個/cm2以上が望ましく、200個/cm2以上がさらに望ましい。本発明に使用される例の一つには、繊維長50mm以下、繊度3dtex以下で繊維端末個数が500個/cm2前後の化・合成繊維のカードウェブがある。また特に繊維端末個数が多く、1,000個/cm2を超える例としては、木材パルプを主成分とするティシュペーパー;レーヨン、リヨセル、PE繊維、PP繊維、PET繊維、PE/PP複合繊維、PE/PET複合繊維を含む製紙プロセスを応用した湿式不織布類がある。これらは層形成の均一性の観点から、繊度は0.1dtex〜5.0dtexの範囲、繊維長1mm〜20mmのものが殆どで、水分散したスラリー状態からネット上でシート形成して得られる。
一体化とは上層と下層が元の構造や形状、性質を消失して新しい構造を創出するという意味であり、更に具体的に本実施形態の一体化とは、上層の短繊維層に存在する繊維端末がフィラメント繊維層を主体とする下層に一部は絡み付き、一部は下層の下面まで貫通して、下層の下面に起毛状の露出繊維端末層を形成する図1の(B)、(C)、(D)で説明したような状態を称する。
本実施形態の複層不織布は図1で説明したように上面から下面への異なった繊維層分布を持ち、裏面に起毛状露出繊維端末を持っている。図2は本実施形態の複層不織布の表面が滑らかな短繊維相互が交絡している短繊維層1−1と、SBとSBに交絡した短代表的な断面構造例を模式的に示した図である。図2(A)は短繊維層としてレーヨンとPETのステープル繊維の混合層を、フィラメント繊維主成分層としてPP製のSB不織布を使用し、無孔の受けプレート上で交絡処理をした例である。上面から下面へ、水流交絡され繊維と貫通する短繊維とが共存する層が一体化して構成され、SB層の裏面に比較的長めに露出繊維端末が突出している例である。この例では露出繊維端末は2〜4mmの範囲の比較的長いもので、全面に起毛状に存在する。図2(B)は短繊維層として中空の比較的繊度の大きいPETのステープル繊維層をフィラメント繊維主成分層としてPE/PP複合繊維製のSB不織布を使用し、開口の受けプレート上で交絡処理をした例である。上面から下面へ、短繊維相互が交絡され畝状に連なる短繊維層1−2と、SBとSBに交絡した短繊維と貫通する短繊維とが共存する層が一体化させて構成され、SB層の裏面に3mm〜5mmの長めに、畝状に連なる露出繊維端末が突出している例である。この例では厚みを持つ嵩高の不織布で、露出繊維端末は畝状に連なって存在する。図2(C)は短繊維層としてTCF不織布をフィラメント繊維主成分層としてPP製のSB不織布を使用し、無孔の受けプレート上で交絡処理をした例である。上面から下面へ、短繊維相互が交絡され表面が織物状に滑らかになった短繊維層1−3と、SBとSBに交絡した短繊維と貫通する短繊維とが共存する層が一体化させて構成され、SB層の裏面に0.5〜1.5mm程度の多数の短い露出繊維端末が突出している例である。この例では露出繊維端末は全面に短い起毛状に存在する。
本実施形態の複層不織布は短繊維層を構成する短繊維の繊維端末が、一部は短繊維相互の交絡とフィラメント繊維主成分層に交絡して固定されるが、多くの繊維端末はフィラメント繊維主成分層を貫通してフィラメント繊維主成分層側(裏面)に突出して、起毛状(毛羽状)に露出している繊維端末(露出繊維端末)を有している。その露出状態は選択される短繊維層と受けプレートの組み合わせによって大きく左右されるが、露出繊維端末の分布状態を平面的に観察すると、図3(A)、(B)の模式図に示す全面起毛状、図3(C)、(D)の模式図に示すスポット状、図3(E)、(F)の模式図に示す畝状に大別される。図3(A)、(C)、(E)はそれぞれの平面図、図3(B)、(D)、(F)は断面図である。図3(A)は図18(A)〜(F)のような無孔の受けプレートで処理する例で、裏面ほぼ全面にわたって短い繊維端末が突出し、起毛状、毛羽状あるいはビロード状を呈する例である。ノズル間隔が例えば2mm程度と狭く、しかも多段で処理する場合は細い線状起毛の集合体となり、肉眼的には図3(A)のようにほぼ全面に処理されたような外観を呈する。図3(C)は図19(A)〜(F)のような有孔の受けプレート(開口プレート)を前後に摺動させて処理する例で、裏面全体に受けプレートの平面部に応じた短い起毛と、受けプレートの有孔部に応じて生成するスポット状に密集したパイル状繊維端末の集団が突出し、短い起毛状と長いパイル状が併せて存在する例である。図3(E)は図19(A)〜(F)のような有孔の受けプレートを固定して処理する例で、裏面に一定間隔で畝状に連続して比較的長い繊維端末の帯状体が突出し、起毛状、パイル状あるいはコーデュロイ状を呈する例である。なお本実施形態では裏面への繊維端末の突出状態を形状の違いで、起毛状、パイル状、ビロード状、コーデュロイ状等で表現しているがそれらを代表して、以下では原則として「露出繊維端末が起毛状に存在する」と表現することにする。突出状態を露出繊維端末の長さで説明するとその形状を理解しやすいが、単に長い、短いではなく定量的に説明するには繊維の立った状態や、加圧されて寝た状態、端末がフリーの状態(1本1本の端末が独立している状態)とループしている状態(自由端が繊維層内に留まり、繋がった部分がそのまま露出している状態)、等でその都度長さが違ってくるのでその測定が難しい。図4に露出繊維端末の存在状態を横断面図で模式的に図示する。図では露出繊維端末を起立状態にして(ここでは衣料用ブラシで2往復ブラッシングして、寝ている繊維を立たせた状態で)、側面切片を作成し、100倍程度に拡大検鏡下で長さや形状を観察、測定する。
実施例1
図8は本発明になる複層不織布の製造プロセスフローシート例を示す図である。
図8において、プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、下層不織布巻出し機1001、2台の直列に配置されたカード機1002及び1003、繊維層搬送コンベアー1004、第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007、吸引ユニットと受けプレートの第1の組み合わせ(第1の吸引ユニット/受けプレート)1008、吸引ユニットと受けプレートの第2の組み合わせ(第2の吸引ユニット/受けプレート)1009、吸引ユニットと受けプレートの第3の組み合わせ(第3の吸引ユニット/受けプレート)1010、ニップロール1011、乾燥機1012、製品巻取機1013、となっている。なお第1のWJユニット1005と、第1の吸引ユニット/受けプレート1008とは第1の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第1の組み合わせ)を構成し、第2のWJユニット1006と、第2の吸引ユニット/受けプレート1009とは第2の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第2の組み合わせ)を構成し、第3のWJユニット1007と、第3の吸引ユニット/受けプレート1010とは第3の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第3の組み合わせ)を構成する。第1から第3の交絡セットを水流交絡装置と呼ぶ。また図8においては、WJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部位(点線で囲んだ部位)については、詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
前記2層積層体は受けプレート上を60m/min.の速度で滑走させつつ、第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007による7MPaの高圧水流噴射を受けつつ、上記15mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。こうして得られた複層不織布は、ニップロールで更に脱水し熱風乾燥器を経て巻き取られて複層不織布製品とする。
図8のプロセスを用い、実施例1と同じ条件で得られた2層積層体(全繊維端末数は約500個/cm2)を、第1から第3の交絡セットからなる水流交絡装置へとガイドする。水流交絡装置のWJユニットも吸引ユニットと受けプレートの配置も全く実施例1と同じであるが、水流の圧力条件を下記のようにA条件とB条件に変更している。
・A条件
第1のWJユニット1005:水圧7.0MPa
第2のWJユニット1006:水圧5.0MPa
第3のWJユニット1007:水圧3.0MPa
・B条件
第1のWJユニット1005:水圧3.0MPa
第2のWJユニット1006:水圧5.0MPa
第3のWJユニット1007:水圧7.0MPa
A条件以外は全て実施例1と同じ条件で調製した複層不織布を変更例とし、B条件以外は全て実施例1と同じ条件で調製した複層不織布を比較例として、その物性値の測定結果を表3に示した。
表3で示すように、乾燥強度、湿潤強度もA、Bとも実施例1と比較して、いずれも若干の低下は有るが殆ど変わりがなく、水流交絡は充分行われていることを示している。しかし、上層と下層との剥離テストの結果を比較すると、実施例1と変更例は共に界面破壊を起こしているが、比較例のみは層間剥離を起こすことがわかる。比較例の条件は通常のWJ法で採用されている方法であって、第1段では原料ウェブが乱れないように表面を交絡してまず安定化し、第2段ではより交絡深度を高め、第3段で交絡を完結させる方式である。このように、比較例では水流交絡は短繊維層内で大部分生起し、下層を貫通する繊維端末が少なくなり、下層には充分交絡が及んでいないことを示唆している。
・下面の突出繊維の長さの比較
変更例:1mm〜3mmで全面に起毛状、実施例1とほとんど同じ。
比較例:肉眼的に起毛状の存在がわからない。顕微鏡でみると所々にパラパラと存在しているものが観察される。
・下面の露出繊維端末の数
変更例:約230個/cm2で実施例1と殆ど変らない。
比較例:50〜80個/cm2程度で殆どないに近い。
・手触り感
変更例:下面全面にビロード状の産毛の様なソフトな感触で、実施例1と殆ど同じ。
比較例:下面が少しザラザラして、SBの表面と殆ど変らない。
・上面と下面の水濡れ性
変更例:上面、下面共に実施例1と殆ど変らず、水滴を添加すると瞬時に拡散する。
比較例:上面は水滴の添加で瞬時に拡散するが、下面は、最初は球状に水滴が留まり、5〜6sec程すると吸収されて拡散する。染色液の場合は、その着色度合いは変更例と比較してかなり薄く感じられる。
(厚さ及び強度測定は、JIS-L-1096及びL-1913に準じて行った)
図9は本発明になる複層不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、下層不織布巻出し機2001、2台の直列に配置されたカード機2002及び2003、繊維層搬送コンベアー2004、第1のWJユニット2005、第2のWJユニット2006、第3のWJユニット2007、長い吸引ユニット2011の中に嵌め込まれた、第1の受けプレート2008、第2の受けプレート2009、第3の受けプレート2010、エアーブロワー2012、エアーサクション2013、スウィングピドラー2014、ウェブ収容コンテナー2015、となっている。なお図9においてはWJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
図9で使用している吸引ユニット2011と受けプレート2008〜2010は、吸引ユニットをカバーする天板の中央に受けプレートが埋め込まれている構造を持っている。特に図9の配置の特徴は、長い吸引ユニット2011の中に、第1の受けプレート2008、第2のプレート2009、第3の受けプレート2010の3枚の受けプレートが嵌め込まれた点であり、図5(C)で説明した配置状態に相当する。
得られた不織布は目付35g/m2で、厚みのある突起部は厚み3mm(無加重下)、薄くなった平滑部は厚み0.3mmであった。突起部ではPE/PP製SBのフィラメント繊維主成分層側にも起毛状にPET繊維がループ状に突出し、高さhが2mm〜4mm前後に飛出し、手指や掌で触ると畝状に長手方向に続くふわふわした繊維脈が観察された。
図10は本発明になる複層不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、上層不織布巻出し機3001、下層不織布巻出し機3002、プレスロール3003、第1のWJユニット3004、第2のWJユニット3005、貫通孔を持つ広幅受けプレート3006、受けプレート3006を埋め込み支える吸引ユニット3007、ニップロール3008、乾燥機3009、製品巻取機3010、となっている。なお図10においてはWJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
なおWJノズル3004、3005の下面と受けプレート3006の上面との距離は、この間隙を2層積層体が通過するためこの例では15mmに設定している。またパイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmH2Oの減圧状態に保たれている。
図11は本発明になる複層不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から上層不織布巻出し機4001、下層不織布巻出し機4002、プレスロール4003、WJユニット4004、無孔の狭幅で台形の受けプレート4005、受けプレート4005の一部で受けプレート4005の下部を支える支持体(支え板)4006、前部吸引ユニット4007、後部吸引ユニット4008、ニップロール4009、乾燥機4010、製品巻取機4011、となっている。なお図11においては、WJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
得られた複層不織布の外観表面は、多数の細い線が長さ方向に走り織物のような外観を呈する。得られた複層不織布製品の代表的な物性値を原料であるTCFとPP・SMMSとの比較で示すと表5のような結果が得られた。乾燥強度も湿潤強度も高く、縦と横の強度バランスもよい。特に横強度の上昇による縦と横のバランスの改善が目立つ。十分な水流交絡効果とともにTCFとPP製のSMMSとの複合効果が働いて、物性が向上していることがわかる。更に受けプレートを使用した不織布の特徴は、感触・風合いの改善効果である。上層のTCFの短繊維の自由端末(Free Tail)がフィラメント繊維主成分層であるPP製SMMSを貫通して、その下面に突き出て、図2(C)の模式図と同様に、下層の表面全体が平均1mm前後の短い起毛状を呈していることである。これによって下層を指や掌でなでると、下層不織布であるPP製SMMS特有の硬い、引っかかるような感触が消え、赤ちゃんの産毛のようなソフトな感蝕が賦与される。また上層のTCFの表面もTCF特有の横じわが殆ど観察されず、細い織物状の線状模様が表われていた。起毛状に突出した繊維端末数を顕微鏡で拡大して計数すると約1,500個/cm2で、全繊維端末(約2700個/cm2)の約56%前後が露出繊維端末となっていることが分かった。
図13は本発明になる複層不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から上層不織布巻出し機5001、下層不織布巻出し機5002、プレスロール5003、ガイドロール5004−1〜504−3、第1のWJユニット5005、第2のWJユニット5006、吸収ユニットと受けプレートの両機能を持つ第1の管状体(パイプ状)装置5007と第2の管状体(パイプ状)装置5008、ニップロール5009、乾燥機5010、製品巻取機5011、となっている。なお図13においては、WJユニット、吸収ユニットと受けプレートの両機能を持つ管状体の配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
図14は本発明になる複層不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から上層不織布巻出し機6001、下層不織布巻出し機6002、プレスロール6003、WJユニット6004、狭幅で角柱状の受けプレート6005、取り付けボルト6006、スペーサー6007、天板6008、吸引ユニット6009、ニップロール6010、乾燥機6011、製品巻取機6012、となっている。なお図14においては、WJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
得られた複層不織布の外観は図3(E)、(F)に類似した形状をもち、上層のTCFが縦縞状にふっくらと盛り上がり、見掛け上嵩高な不織布製品となる。更に上層のTCFの短繊維の自由端末(Free Tail)がフィラメント繊維主成分層であるPP製SBを貫通して、線状にその下面に突き出ているため、下層不織布であるPP製SB特有の硬い、引っかかるような感触が感じられないようになっている。ただし下面への起毛が5mmピッチの線状部分だけであるため、上面と下面の水分に対する濡れ性の差が維持され、上面がしっとり濡れても下面のドライタッチは残したままにすることができる。起毛状に突出した繊維端末数を顕微鏡で拡大して計数すると約400個/cm2で、全繊維端末(約4000個/cm2)の約10%前後が露出繊維端末となっていることが分かった。
2−1〜2−3 フィラメント繊維主成分層
11−1〜11−4 受けプレート
12−1 吸引ユニット
13−1 スリット
20、22 管状体
24 WJユニット
25 ウェブ状繊維層
1001、2001、3002、4002,5002、6002 基材(不織布)巻出し機
1002、1003、2002、2003 カード機
1004、2004 ウェブ搬送コンベアー
1005〜1007、2005〜2007、3004〜3005、4004、5005〜5006、6004 WJユニット
1008〜1010、5007〜5008 吸引ユニット/受けプレート
1011、3008、4009、5009、6010 ニップロール
1012、3009、4010、5010、6011 乾燥機
1013、3010、4011、5011、6012 製品巻取機
2008〜2010、3006,4005、6005 受けプレート
2011、3007、4007、4008、6009 吸引ユニット
2012 エアーブロワー
2013 エアーサクション
2014 スウィングピドラー
2015 ウェブ収容コンテナー
3001、4001、5001 上層不織布巻出し機
3003、4003,5003 プレスロール
4006 支持体
5004−1〜5004−3 ガイドロール
6006 取り付けボルト
6007 スペーサー
Claims (16)
- 繊維端末が存在する短繊維からなる短繊維層と、繊維端末が殆ど存在しないフィラメント繊維を主成分とするフィラメント繊維主成分層とが交絡一体化した複層不織布において、
前記短繊維の前記繊維端末が、短繊維相互が交絡している状態にある交絡繊維端末と、前記フィラメント繊維主成分層に浸透して交絡している交絡繊維端末と、前記フィラメント繊維主成分層を貫通して前記フィラメント繊維主成分層の面から露出している状態にある露出繊維端末と、を有する複層不織布。 - 前記露出繊維端末の数が100個/cm2以上存在する請求項1に記載の複層不織布。
- 前記露出繊維端末の、前記フィラメント繊維主成分層の面から露出している長さが0.5mm〜5.0mmである請求項1又は2に記載の複層不織布。
- 前記露出繊維端末の、前記フィラメント繊維主成分層の面から露出している長さが0.5mm〜3.0mmで、前記露出繊維端末の数が200〜4000個/cm2である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層不織布。
- 前記露出繊維端末の存在数が全繊維端末数に対して少なくとも10%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層の面に、前記露出繊維端末が畝状になって部分的に存在している請求項1〜5のいずれか1項に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層の面に、前記露出繊維端末が全面にわたって起毛状に存在している請求項1〜6のいずれか1項に記載の複層不織布。
- 前記短繊維層が、天然繊維、化学繊維、合成繊維のいずれか又は少なくとも2つの繊維成分の組合せからなり、且つ繊維長が1mm〜75mmの範囲で、繊維径が0.1dtex〜7.0dtexの範囲の切断繊維から構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層不織布。
- 前記短繊維層が、繊維長20mm〜75mm、繊維径0.5dtex〜7dtexの切断繊維から構成され、目付10g/m2〜60g/m2のカードウェブである請求項8に記載の複層不織布。
- 前記短繊維層が、繊維長1mm〜20mm、繊維径0.1dtex〜5.0dtexの切断繊維から構成され、目付10g/m2〜60g/m2の湿式不織布である請求項8に記載の複層不織布。
- 前記短繊維層が、繊維長3mm〜20mm、繊維径0.5dtex〜5.0dtexのセルロース切断繊維から構成され、目付5g/m2〜60g/m2のセルロース系のスパンボンド不織布である請求項8に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層が、熱可塑性合成樹脂を主成分とするスパンメルト不織布である請求項1〜11のいずれか1項に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層が、フィラメント繊維のみで構成されているスパンボンド(SB)不織布である請求項12に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層が、PE、PP、PET、PE/PP、PE/PET、のいずれかで、目付8〜30g/m2のスパンボンド(SB)不織布である請求項13に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層が、スパンボンド(SB)不織布とメルトブローン(MB)不織布の複合体である請求項14に記載の複層不織布。
- 前記フィラメント繊維主成分層がPPで、目付8〜30g/m2のスパンボンド(SB)不織布とメルトブローン(MB)不織布の複合体である請求項15に記載の複層不織布。
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