JP2017193283A - 乗員保護装置 - Google Patents

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孝典 榊原
Takanori Sakakibara
孝典 榊原
大見 正宣
Masanori Omi
正宣 大見
山本 誠二
Seiji Yamamoto
誠二 山本
善昭 松村
Yoshiaki Matsumura
善昭 松村
和紀 杉江
Kazuki Sugie
和紀 杉江
美里 木下
Misato Kinoshita
美里 木下
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Abstract

【課題】ヘッドレスト又はシートバックにエアバッグが収納された構成において、エアバッグの膨張展開時にシートバックがシート後方側へ変位するのを抑制することができる乗員保護装置を得る。【解決手段】乗員保護装置10は、車両用シート12のヘッドレスト18又はシートバック16に収納され、ガス供給を受けてシート前方側へ膨張展開されると共に、乗員Dの頭部Hに対するシート前方で膨張される前膨張部42と、頭部Hに対するシート側方で膨張される左右一対の横膨張部44とを含んで頭部Hを覆う一体の袋体として構成された第1エアバッグ30と、シートバック16に収納され、第1エアバッグ30と同じタイミングで又は第1エアバッグ30の膨張展開開始直後にシート後方側へ膨張展開される第2エアバッグ68と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、乗員保護装置に関する。
特許文献1には、衝突時にシートバックに固定したガス供給パイプを通じて該ガス供給パイプに取付けられたバッグにインフレータのガスを供給し、該バッグを乗員の前方と側方を覆うように膨張させるエアバッグ装置が開示されている。また、特許文献2には、ヘッドレストの左右の端部から前方へエアバッグが膨出し、乗員の頭部の前面で互いに接合する一方、副エアバッグがシートのヘッドレストの中央部から前方に膨出し、一対のエアバッグに接合するエアバッグ装置が開示されている。さらに、特許文献3には、シートバックの上部に設けられたカバーの内部にフードが収納された構成が開示されており、インフレータからのガス供給を受けてフードが展開されることで乗員の上体が覆われるようになっている。
特開2000−344044号公報 特開2013−018378号公報 米国特許公開2013/0015642号公報
特許文献1の構成では、ガス供給パイプがシートバック上に設けられているので、見栄えが悪い。同様に、特許文献3の構成では、インフレータやカバーが露出しており、見栄えが悪い。一方、特許文献2の構成では、膨張展開後に互いに接合される一対の頭部用のエアバッグ同士の接合強度、一対の頭部用のエアバッグに対する頭部用の副エアバッグの接合強度の確保が難しい。
これらの対策として、車両用シートのヘッドレストやシートバックにエアバッグを収納し、このエアバッグをシート前方側へ膨張展開させることで、乗員の頭部に対してシート前方及び左右両側方から覆う構成を採用することが考えられる。ここで、エアバッグの膨張展開時には、ヘッドレスト又はシートバックからエアバッグへ反力が付与されることでエアバッグがシート前方側へ膨張展開される。このため、前席の車両用シートや三列シートにおける二列目の車両用シートなどのように車両用シートの後方に空間がある場合、エアバッグの膨張展開時にシートバックがシート後方側へ変位する可能性があり、改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、ヘッドレスト又はシートバックにエアバッグが収納された構成において、エアバッグの膨張展開時にシートバックがシート後方側へ変位するのを抑制することができる乗員保護装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の本発明に係る乗員保護装置は、車両用シートのヘッドレスト又はシートバックに収納され、ガス供給を受けてシート前方側へ膨張展開されると共に、乗員の頭部に対するシート前方で膨張される前膨張部と、前記前膨張部に接続され前記頭部に対するシート側方で膨張される左右一対の横膨張部とを含んで前記頭部を覆う一体の袋体として構成された第1エアバッグと、前記シートバックに収納され、ガス供給を受けて、前記第1エアバッグと同じタイミングで又は前記第1エアバッグの膨張展開開始直後にシート後方側へ膨張展開される第2エアバッグと、を有する。
請求項1に記載の本発明に係る乗員保護装置では、車両用シートのヘッドレスト又はシートバックに第1エアバッグが収納されている。そして、この第1エアバッグは、ガス供給を受けてヘッドレスト又はシートバックからシート前方側へ膨張展開される。また、第1エアバッグは、前膨張部と左右一対の横膨張部とを含んで乗員の頭部を覆う一体の袋体として構成されているため、各種の衝突形態に対し第1エアバッグにて乗員の移動を制限(乗員を拘束)し、乗員を保護する。
また、シートバックには、第2エアバッグが収納されており、この第2エアバッグは、ガス供給を受けて第1エアバッグとは反対方向となるシート後方側へ膨張展開される。ここで、第2エアバッグは、第1エアバッグと同じタイミングで又は第1エアバッグの膨張展開開始直後にシート後方側へ膨張展開される。これにより、第1エアバッグからヘッドレスト又はシートバックにシート後方側への力が作用するのに対して、第2エアバッグからヘッドレスト又はシートバックにシート前方側への力が作用する。この結果、シートバックがシート後方側へ変位するのを抑制することができる。なお、ここでいう「同じタイミング」とは、第1エアバッグ及び第2エアバッグに対して同じタイミングでガスが供給される構成に限定されず、第1エアバッグがヘッドレスト又はシートバックから展開されるタイミングと第2エアバッグがシートバックから展開されるタイミングとが同じタイミングとなる構成を含む。また、「第1エアバッグの膨張展開開始直後」とは、第1エアバッグがヘッドレスト又はシートバックから展開された直後に第2エアバッグがシートバックから展開される構成に限定されない。第1エアバッグがヘッドレスト又はシートバックの内部で膨張を開始した直後に、第2エアバッグがシートバック内で膨張を開始する構成を含む。このため、第1エアバッグの膨張展開によってヘッドレスト又はシートバックにシート後方側への力が作用している間に、第2エアバッグの膨張展開が開始される構成が含まれる。
請求項2に記載の本発明に係る乗員保護装置は、請求項1の構成において、前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグはそれぞれ、単一のインフレータからガス供給を受けて膨張展開される。
請求項2に記載の本発明に係る乗員保護装置では、単一のインフレータを作動させて第1エアバッグ及び第2エアバッグへガスが供給される。これにより、それぞれのエアバッグに対して別々のインフレータからガスを供給する構成と比較して、簡易な構成で第1エアバッグと第2エアバッグとを連動して膨張展開させることができる。また、複数のインフレータを用いた場合と比較して部品点数を削減することができる。
請求項3に記載の本発明に係る乗員保護装置は、請求項1又は2の構成において、前記車両用シートは、平面視で回転可能に構成されており、前記車両用シートのシート前方が車両前方に一致した状態を基準として、前記車両用シートの回転角度が所定の角度以内であれば、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限せず、前記回転角度が所定の角度よりも大きい場合には、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限する。
請求項3に記載の本発明に係る乗員保護装置では、車両用シートの回転角度が所定の回転角度よりも大きい場合には、第2エアバッグへのガス供給量を制限される。これにより、例えば、車両用シートの回転角度が所定の回転角度よりも大きい状態で車両の衝突が予知又は検知された場合に、第2エアバッグが他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができる。なお、ここでいう「第2エアバッグへのガス供給量を制限する」とは、車両用シートの回転角度が所定の角度以内の場合よりもガス供給量を少なくする構成に限定されず、第2エアバッグへのガス供給を途中で停止する構成も含む概念である。以下の説明でも同様の概念で用いる。
請求項4に記載の本発明に係る乗員保護装置は、請求項1〜3の何れか1項の構成において、前記シートバックは、シート後方へ傾倒可能に構成されており、前記シートバックのシートクッションに対する傾倒角度が所定の角度以内であれば、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限せず、前記傾倒角度が所定の角度よりも大きい場合には、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限する。
請求項4に記載の本発明に係る乗員保護装置では、シートクッションに対するシートバックの傾倒角度が所定の角度よりも大きい場合には、第2エアバッグへのガス供給量が制限される。これにより、例えば、シートバックが所定の傾倒角度よりもシート後方へ傾倒された状態で車両の衝突が予知又は検知された場合に、第2エアバッグが他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができる。
請求項5に記載の本発明に係る乗員保護装置は、請求項1〜4の何れか1項の構成において、前記第1エアバッグは、前記ヘッドレストに収納されており、前記ヘッドレストにおける前記第1エアバッグのシート後方側には、後席に着座した乗員に対して映像を表示させるモニタが設けられている。
請求項5に記載の本発明に係る乗員保護装置では、第1エアバッグのシート後方側にモニタが設けられているため、第1エアバッグの膨張展開時にモニタから第1エアバッグへ反力が付与される。すなわち、モニタを第1エアバッグに反力を付与する反力板として機能させることができる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る乗員保護装置によれば、ヘッドレスト又はシートバックにエアバッグが収納された構成において、エアバッグの膨張展開時にシートバックがシート後方側へ変位するのを抑制することができるという優れた効果を奏する。
請求項2に記載の本発明に係る乗員保護装置によれば、部品点数を削減しつつ、簡易な構成でエアバッグの膨張展開時にシートバックがシート後方側へ変位するのを抑制することができるという優れた効果を奏する。
請求項3に記載の本発明に係る乗員保護装置によれば、車両用シートの回転角度が所定の角度以内の場合にシートバックがシート後方側へ変位するのを抑制しつつ、車両用シートの回転角度が所定の角度よりも大きい場合に第2エアバッグが他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができるという優れた効果を奏する。
請求項4に記載の本発明に係る乗員保護装置によれば、シートバックの傾倒角度が所定の角度以内の場合にシートバックがシート後方側へ変位するのを抑制しつつ、シートバックを所定の角度よりもシート後方へ傾倒させた場合に第2エアバッグが他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができるという優れた効果を奏する。
請求項5に記載の本発明に係る乗員保護装置によれば、専用の反力板を設けずに済むという優れた効果を奏する。
第1実施形態に係る乗員保護装置による着座者の保護態様を模式的に示す側面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置による着座者の保護態様を模式的に示す正面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置を構成する多方位エアバッグの膨張展開状態を示す図であって、(A)は図1の3A−3A線に沿った断面図、(B)は図1の3B−3B線に沿った断面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置の作動前の概略全体構成を示す図であって、(A)は側面図、(B)は正面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置を構成する多方位エアバッグの膨張展開過程を説明するための一部切り欠いて見た模式的な拡大側面図である。 第2実施形態に係る乗員保護装置による着座者の保護態様を模式的に示す側面図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置10について、図面を参照して説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UPは、車両用シート12の前方向(着座者の向く方向)、上方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート前後方向の前方を向いた場合の左右を示すものとする。なお、各図に適宜記す矢印INは、車両用シート12が搭載された車両としての自動車における車幅方向の車両中央側を示している。
(乗員保護装置の概略全体構成)
図1及び図2に示されるように、本実施形態の乗員保護装置10は、車両用シート12に搭載されている。車両用シート12は、図示しない自動車の車体における車幅方向中央に対し左右何れか(本実施形態では左側)にオフセットして配置されている。また、本実施形態の車両用シート12は運転席用のシートであり、シート前後方向が車両の前後方向に一致され、シート幅方向が車幅方向に一致されている。さらに、車両用シート12は、シートクッション14と、シートクッション14の後端に下端が連結されたシートバック16と、シートバック16の上端に設けられたヘッドレスト18とを含んで構成されている。
なお、各図では、保護すべき乗員のモデルとして衝突試験用のダミー(人形)Dが車両用シート12のシートクッション14に着座した状態を図示している。ダミーDは、例えばWorldSID(国際統一側面衝突ダミー:World Side Impact Dummy)のAM50(米国人成人男性の50パーセンタイル)である。このダミーDは、衝突試験法で定められた標準的な着座姿勢で着座しており、車両用シート12は、着座姿勢に対応した基準設定位置に位置している。以下、説明を分かり易くするために、ダミーDを「着座者D」と称する。
乗員保護装置10は、着座者Dを各種態様の衝突から保護するための多方位エアバッグ装置20と、サイドエアバッグ装置22と、シートベルト装置24と、後席用エアバッグ装置66と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)60とを含んで構成されている。以下、シートベルト装置24、サイドエアバッグ装置22について概略構成を説明し、その後、多方位エアバッグ装置20及び後席用エアバッグ装置66について説明する。
シートベルト装置24は、三点式のシートベルト装置とされており、一端がリトラクタ26に引き出し可能に巻き取られたベルト(ウエビング)28の他端がアンカ24Aに固定されている。ベルト28にはタングプレート24Tがスライド可能に設けられており、このタングプレート24Tをバックル24Bに係止させることで、ベルト28が着座者Dに装着されるようになっている。そして、ベルト28は、着座者Dへの装着状態で、リトラクタ26からタングプレート24Tまで延在されて着座者Dの上体を拘束するショルダベルト28Sと、タングプレート24Tからアンカ24Aまで延在されて着座者Dの腰部Pを拘束するラップベルト28Lとを含んで構成されている。
本実施形態では、シートベルト装置24は、リトラクタ26、アンカ24A、及びバックル24Bが車両用シート12に設けられている、所謂シート付のシートベルト装置とされている。また、本実施形態のリトラクタ26は、作動されることで強制的にベルト28に張力を付与するベルト巻取機構としてのプリテンショナを備えている。プリテンショナは、後述するECU60によって作動されるようになっている。
サイドエアバッグ装置22は、インフレータ22Aと、サイドエアバッグ22Bとを含んで構成されており、サイドエアバッグ22Bは、折り畳まれた状態でシートバック16における車幅方向外側の側部に収納されている。インフレータ22Aは、作動されるとサイドエアバッグ22B内でガスを発生するようになっている。このガスによってサイドエアバッグ22Bは、シートバック16の側部から前方に突出され着座者Dに対する車幅方向外側で膨張展開する構成とされている。本実施形態では、サイドエアバッグ22Bは、着座者Dの腰部P、腹部A、胸部B、肩部Sに対する車幅方向外側で膨張展開する構成とされている。
(多方位エアバッグ装置の構成)
図1に示されるように、多方位エアバッグ装置20は、第1エアバッグとしての多方位エアバッグ30と、インフレータ32と、ヘッドレスト18を構成するモジュールケース34とを含んで構成されている。多方位エアバッグ30は、インフレータ32からガス供給可能に接続された状態で折り畳まれ、モジュールケース34内に収納されている。以下、具体的に説明する。
(多方位エアバッグ)
多方位エアバッグ30は、平断面視で図3(A)に示されるように、着座者Dの頭部H(以下、単に「頭部H」という場合がある)を前方及び左右両側方から覆うように膨張展開される一体の袋体として構成されている。より具体的には、図1〜図3に示されるように、多方位エアバッグ30は、頭部Hに対する前方で展開される前展開部36と、頭部Hに対する左右両側方で展開される一対の横展開部38とを含んで構成されている。
前展開部36は、頭部Hの正面で展開される可視構造としてのメッシュ部40と、正面視でメッシュ部40を囲んで膨張展開される前膨張部42とを含んで構成されている。メッシュ部40は、正面視で略矩形状を成しており、前膨張部42は内周縁がメッシュ部40に接合された略矩形枠状を成している。前膨張部42は、ガス供給を受けて膨張展開されるようになっている。
図2に示されるように、前膨張部42のうち主にシートバック16の上方でメッシュ部40を囲む部分は、頭部Hの前方で膨張展開される第1膨張部42Aとされている。また、前膨張部42のうち第1膨張部42Aの下方に位置する(正面視でシートバック16にラップする)部分は、着座者Dの胸部B及び肩部Sの前方で膨張展開される第2膨張部42Bとされている。第2膨張部42Bは、第1膨張部42Aを通じてガスが供給されるようになっている。なお、本実施形態では、第1膨張部42Aにおけるメッシュ部40の下方に位置する部分は、シーム42Sにて第1膨張部42Aにおける他の部分と区画されており、第2膨張部42Bを通じてガスが供給されるようになっている。
図1に示されるように、横展開部38は、ガス供給を受けて頭部Hの側方で膨張展開される横膨張部44と、上下方向に沿って延び横膨張部44を前後に区画する非膨張部としてのシーム部46とを含んで構成されている。横膨張部44は、側面視で頭部Hの全体にラップする大きさ(面積)を有しており、シーム部46は、横膨張部44における頭部Hとラップする部分で横膨張部44を前後に区画している。
左右の横膨張部44は、それぞれの前端が前膨張部42における第1膨張部42Aの下端(第2膨張部42Bとの境界付近)に連通状態で繋がっている。これにより、左右の横膨張部44は、前膨張部42を介してインフレータ32からのガスが供給されることで膨張展開されるようになっている。一方、前膨張部42の第1膨張部と横膨張部44との間は、上記した連通部分の上方部分が非膨張部としてのシーム部47にて仕切られている。
左右の横展開部38は、多方位エアバッグ30の膨張展開状態で、それぞれの横膨張部44の下端44Lが着座者Dの肩部S上に接触するようになっている。この横膨張部44の下端44Lの肩部Sに対する接触によって、膨張展開状態の多方位エアバッグ30の着座者(の頭部H)に対する上下方向の位置が決まる構成である。
この位置決め状態で多方位エアバッグ30は、通常の着座姿勢をとる着座者Dに対して、前展開部36、左右の横展開部38、及び後述する上展開部48の何れも頭部Hと接触しない(隙間が形成される)構成とされている。
また、多方位エアバッグ30は、前展開部36、左右の横展開部38の各上縁を繋ぎ着座者Dの頭部Hに対する上方で展開される上展開部48を有する。上展開部48は、ガス供給を受けて膨張展開される上膨張部50を主要部として構成されている。図3(B)に示されるように、上膨張部50は、頭部Hの上方で膨張展開される中央膨張部50Cと、中央膨張部50Cの左右で前後方向に沿って延びるダクト部としての一対の上ダクト部50Dとを含んで構成されている。
さらに、多方位エアバッグ30は、上展開部48の後方で展開される後展開部52を有する。図3(A)に示されるように、後展開部52は、膨張部である後ダクト部54と、非膨張部56とを含んで構成されている。後ダクト部54は、左右に分離されてそれぞれの上端が左右対応する上ダクト部50Dに連通状態で繋がっている。左右の後ダクト部54は、前縁が中央膨張部50Cの後縁に接合されている非膨張部56にて互いに連結されている。
着座者Dを拘束しない無拘束の膨張展開状態の多方位エアバッグ30は、図1に示されるように、着座者Dを拘束しない無拘束の膨張展開状態のサイドエアバッグ22Bに側面視で重ならない(ラップしない)構成とされている。換言すれば、多方位エアバッグ30とサイドエアバッグ22Bとは、互いの無拘束の膨張展開状態で、少なくとも側面視でラップする膨張展開部分を互いに有しない構成とされている。また、図2に示されるように、無拘束の膨張展開状態の多方位エアバッグ30は、着座者Dを拘束しない無拘束の膨張展開状態のサイドエアバッグ22Bに正面視で重ならない構成とされている。
以上説明したように膨張展開される多方位エアバッグ30は、折り畳み前には展開形状(フラットパターン)とされている。この展開形状の多方位エアバッグ30は、OPW(One Piece Wovenの略)により一体の袋体として形成されている。なお、2枚の織物の周縁を縫い合わせる方法(Cut & Sew)にて多方位エアバッグ30を一体の袋体として形成してもよい。
(インフレータ)
インフレータ32は、燃焼式又はコールドガス式のものが採用され、作動されることで発生したガスを多方位エアバッグ30内に供給するようになっている。本実施形態では、インフレータ32は、シリンダ型のインフレータとされ、シートバック16の上部に収納されて図示しないシートバックフレームに固定されている。また、インフレータ32は、シート幅方向を長手方向として配置されている。
ここで、図5に示されるように、インフレータ32からシート上方側へ上側ガス供給管32Aが延出されており、この上側ガス供給管32Aに多方位エアバッグ30が接続されている。また、インフレータ32からシート下方側へ下側ガス供給管32Bが延出されており、この下側ガス供給管32Bに後述する後席用エアバッグ68が接続されている。すなわち、インフレータ32は、多方位エアバッグ装置20を構成すると共に後席用エアバッグ装置66を構成している。このようにして、多方位エアバッグ30及び後席用エアバッグ68は、単一のインフレータ32からガス供給を受けて膨張展開される構成となっている。また、インフレータ32は、後述するECU60によって作動が制御されるようになっている。
(モジュールケース)
図1に示されるように、ヘッドレスト18は、ヘッドレスト本体19と、このヘッドレスト本体19のシート後方側に配置されたモジュールケース34とを含んで構成されている。ヘッドレスト本体19は、ヘッドレスト18の前部を構成しており、着座者Dの頭部Hのシート後方側に配置されている。また、ヘッドレスト本体19は、ヘッドレストステーを介してシートバック16に取り付けられている。
図5に示されるように、ヘッドレスト本体19は、ヘッドレストステー18Sを介してシートバック16に取り付けられている。ヘッドレストステー18Sは、ヘッドレスト本体19とシートバック16とをシート上下方向に連結しており、シートバック16に支持された下部18SLに対し上部18SUが前方に位置している。また、下部18SLと上部18SUとが傾斜した中間部18SCにて連結されてヘッドレストステー18Sが構成されている。
一方、ヘッドレスト本体19のシート後方側に配置されたモジュールケース34は、ヘッドレスト18(の後部意匠)を構成するバックボードとされている。したがって、多方位エアバッグ30は、ヘッドレスト18の後部に収納されていることとなる。
図4(B)に示されるように、モジュールケース34は、正面視ではヘッドレスト本体19の上端よりも上方に突出すると共に、ヘッドレスト本体19に対しシート幅方向の両側に張り出している。すなわち、モジュールケース34は、ヘッドレスト本体19を後方から覆っている。本実施形態では、モジュールケース34は、ヘッドレスト本体19の後部を上方及び左右両側方から覆っており、上記の通りヘッドレスト18の後部意匠を構成している。
より具体的には、図1に示されるように、モジュールケース34は、ベース部34Bと、主壁34Mと、左右一対の側壁34Sとを主要部として構成されている。ベース部34Bは、シートバック16の上端に接している。
主壁34Mは、ベース部34Bの後端から上方に延出されており、下端に対し上端が前方に位置するように前傾され、かつ側面視で後上向きに凸となる湾曲形状を成している。また、主壁34Mは、正面視でヘッドレスト本体19の上端よりも上方に突出すると共に、ヘッドレスト本体19に対しシート幅方向の両側に張り出している。
主壁34Mとヘッドレスト本体19との間には、折り畳み状態の多方位エアバッグ30を収納する空間が形成されている。また、主壁34Mの上端は、ヘッドレスト18の上方まで至っている。この主壁34Mの上端部とヘッドレスト本体19との間を、膨張展開過程の多方位エアバッグ30が通過する構成とされている。膨張展開状態の多方位エアバッグ30では、主壁34Mの上端部とヘッドレスト本体19との間を後展開部52が通るようになっている。そして、このとき、主壁34Mから多方位エアバッグ30へ反力が付与される。すなわち、モジュールケース34の主壁34Mは、反力板として機能する。
一対の側壁34Sは、主壁34Mのシート幅方向両端から前方に延出されており、側面視でヘッドレスト本体19の後部を覆っている。また、図3(A)に示されるように、一対の側壁34Sとヘッドレスト本体19との間を、膨張展開状態の多方位エアバッグ30における横展開部38(後展開部52との境界付近の部分)が通る構成とされている。
以上説明したモジュールケース34は、ヘッドレスト本体19との間に折り畳み状態の多方位エアバッグ30を収納している。また、インフレータ32は、多方位エアバッグ30及びモジュールケース34のベース部34Bと共に、スタッドボルトによってシートバックフレームに締結されている。
ここで、多方位エアバッグ30は、外ロール折りされてモジュールケース34内に収納されている。外ロール折りとは、展開過程を逆向きに折り畳むように前端側から上方側かつ後方側に向けたロール状の折り態様とされている。換言すれば、外ロール折りは、図5に想像線にて示されるように、多方位エアバッグ30の展開過程でロール折り部分30Rが外側(頭部H側とは反対側)に位置する折り態様とされる。上記の通り横展開部38が上展開部48及び後展開部52に縫合されている多方位エアバッグ30は、前展開部36及び上展開部48が外ロール折りされる段階で横展開部38がロール内に折り込まれている。
図4(B)に示されるように、モジュールケース34とヘッドレスト本体19との間はエアバッグドア35にて閉止されている。このエアバッグドア35は、多方位エアバッグ30の展開圧によって脆弱部であるティアライン35Tをきっかけに開裂されることで、多方位エアバッグ30の前方への膨張展開を許容する構成とされている。
(後席用エアバッグ装置の構成)
図1に示されるように、後席用エアバッグ装置66は、第2エアバッグとしての後席用エアバッグ68と、インフレータ32と、反力板70とを含んで構成されている。
(後席用エアバッグ)
図5に示されるように、後席用エアバッグ68は、インフレータ32からガス供給可能に接続された状態で折り畳まれ、シートバック16内に収納されている。また、後席用エアバッグ68の一端部がインフレータ32の下側ガス供給管32Bに接続されている。さらに、シートバック16における後席用エアバッグ68のシート後方に位置する表皮には、図示しない縫製部が設けられている。そして、後席用エアバッグ68の展開圧によって縫製部が破断されることで、シートバック16の背面が上下に開かれ、後席用エアバッグ68の後方への膨張展開を許容する構成とされている。
反力板70は、シート前後方向を板厚方向としてシートバック16内に配置されており、図示しないシートバックフレームに固定されている。また、反力板70は、後席用エアバッグ68のシート前方側に位置している。そして、後席用エアバッグ68が膨張展開する際に反力板70から後席用エアバッグ68へ反力が付与される。
ここで、後席用エアバッグ68は、多方位エアバッグ30と同じタイミングで又は多方位エアバッグ30の膨張展開開始直後に膨張展開されるように構成されている。本実施形態では、後席用エアバッグ68と多方位エアバッグ30とが同じタイミングで膨張展開される。なお、インフレータ32における下側ガス供給管32Bの長さを長くするなどして、多方位エアバッグ30の膨張展開開始直後に後席用エアバッグ68を膨張展開させる構成としてもよい。
(ECUの構成)
図4(A)に示されるように、乗員保護装置10を構成する多方位エアバッグ装置20、サイドエアバッグ装置22及びシートベルト装置24は、制御装置としてのECU60によって制御されるようになっている。具体的には、ECU60は、多方位エアバッグ装置20のインフレータ32、サイドエアバッグ装置22のインフレータ22A、及びシートベルト装置24のリトラクタ26と電気的に接続されている。また、ECU60は、プリクラッシュセンサ等の衝突予知センサ62及び衝突センサ64(又はセンサ群)と電気的に接続されている。
ECU60は、衝突予知センサ62からの信号に基づいて、適用された自動車に対する各種形態の前面衝突(の発生又は不可避であること)を後述する衝突形態毎に予知可能とされている。また、ECU60は、衝突予知センサ62からの信号に基づいて、適用された自動車に対する側面衝突(の発生又は不可避であること)を予知可能とされている。
ECU60は、衝突予知センサ62からの信号に基づいて前面衝突が予知された際又は衝突センサ64からの信号に基づいて前面衝突が検知された際には、プリテンショナを作動させると共にインフレータ32を作動させる。プリテンショナを作動させることで、ベルト28に張力が付与され、着座者Dをシートバック16に拘束させる。一方、インフレータ32が作動されることにより、多方位エアバッグ30がシート前方へ膨張展開される。また、多方位エアバッグ30と同じタイミングで後席用エアバッグ68がシート後方へ膨張展開される。なお、ECU60がインフレータ32を作動させる前面衝突の形態は、フルラップ前面衝突、オフセット前面衝突等とされる。
ECU60は、衝突予知センサ62からの信号に基づいて前面衝突のうち車幅方向一方側に所定値以上オフセットした位置への前面衝突が予知された際、又は衝突センサ64からの信号に基づいて前面衝突が検知された際には、プリテンショナを作動させると共にインフレータ22A及びインフレータ32を作動させる。プリテンショナを作動させることで、ベルト28に張力が付与され、着座者Dをシートバック16に拘束させる。一方、インフレータ22A及びインフレータ32を作動させることで、サイドエアバッグ22Bが着座者Dに対する車幅方向外側で膨張展開されると共に多方位エアバッグ30がシート前方へ膨張展開される。また、多方位エアバッグ30と同じタイミングで後席用エアバッグ68がシート後方へ膨張展開される。なお、車幅方向一方側に所定値以上オフセットした位置への前面衝突には、斜め衝突や微小ラップ衝突等が含まれる。
ここで、斜め衝突(MDB斜突、オブリーク衝突)とは、例えばNHTSAにて規定される斜め前方からの衝突(一例として、衝突相手方との相対角15°、車幅方向のラップ量35%程度の衝突)とされる。本実施形態では、一例として相対速度90km/hrでの斜め衝突が想定されている。また、微小ラップ衝突とは、自動車の前面衝突のうち、例えばIIHSにて規定される衝突相手方との車幅方向のラップ量が25%以下の衝突とされる。例えば車体骨格であるフロントサイドメンバに対する車幅方向外側への衝突が微小ラップ衝突に該当する。本実施形態では、一例として相対速度64km/hrでの微小ラップ衝突が想定されている。なお、NHTSAとは、米国の国家道路交通***(National Highway Traffic Safety Administration)の略称である。また、IIHSとは、米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety)の略称である。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の実施形態の作用について説明する。
本実施形態の乗員保護装置10は、シートバック16に後席用エアバッグ68が収納されており、この後席用エアバッグ68は、インフレータ32からガス供給を受けて多方位エアバッグ30とは反対方向となるシート後方側へ膨張展開される。ここで、後席用エアバッグ68は、多方位エアバッグ30と同じタイミングでシート後方側へ膨張展開される。これにより、多方位エアバッグ30から車両用シート12(ヘッドレスト18)にシート後方側への力が作用するのに対して、後席用エアバッグ68から車両用シート12(シートバック16)にシート前方側への力が作用する。この結果、シートバック16がシート後方側へ変位するのを抑制することができる。
なお、着座者Dを迅速に保護するために多方位エアバッグ30を優先して膨張展開させ、この多方位エアバッグ30の膨張展開開始直後に後席用エアバッグ68を膨張展開させてもよい。この場合であっても、同様にしてシートバック16がシート後方側へ変位するのを抑制することができる。
また、後席用エアバッグ68は、シート後方側へ膨張展開されるため、前面衝突などの衝突時に後席用エアバッグ68にて後席の乗員のシート前方側への慣性移動を制限することができ、後席の乗員を保護することができる。
また、本実施形態では、図5に示されるように、単一のインフレータ32を作動させて多方位エアバッグ30及び後席用エアバッグ68へガスが供給される構成とされている。これにより、それぞれのエアバッグに対して別々のインフレータからガスを供給する構成と比較して、簡易な構成で多方位エアバッグ30と後席用エアバッグ68とを連動して膨張展開させることができる。すなわち、別々のインフレータから多方位エアバッグ30及び後席用エアバッグ68へガスを供給する構成では、多方位エアバッグ30を膨張展開させるインフレータと、後席用エアバッグ68を膨張展開させるインフレータとを独立してECU60で制御する必要がある。本実施形態では、このような制御が不要となり、インフレータ32を作動させるだけでよいため、簡易な構成で多方位エアバッグ30の膨張展開時にシートバック16がシート後方側へ変位するのを抑制することができる。また、複数のインフレータを用いた場合と比較して、部品点数を削減することができる。
さらに、本実施形態では、多方位エアバッグ30は、着座者Dの頭部Hの前方を含む領域及び左右両側方を含む領域に展開して着座者Dの頭部Hを覆う一体の袋体として構成されている。これにより、車両の衝突時に多方位エアバッグ30によって着座者Dの頭部Hが覆われることで、各種の衝突形態に対して着座者Dの頭部Hを拘束して保護することができる。
さらにまた、本実施形態の多方位エアバッグ30は、ヘッドレスト18を構成するモジュールケース34内に収納されている。このため、乗員保護装置10は、例えば、乗員の頭部を上方から囲むように配置されたガス供給パイプが常時車室内に突出している構成と比較して、同等以上の乗員保護性を確保しつつ作動前における見栄えが良好である。また、乗員保護装置10(主に多方位エアバッグ装置20)は、車両用シート12の前後位置調整、高さ調整、リクライニング動作等を妨げることがない。
さらに、乗員保護装置10を構成する多方位エアバッグ装置20では、多方位エアバッグ30の横展開部38を構成する横膨張部44の下端44Lが着座者Dの肩部S上に接触することで、着座者Dに対する多方位エアバッグ30の上下方向の位置が決まる。これにより、例えば着座者Dの体格や着座姿勢の個人差によらず、多方位エアバッグ30を適切な上下方向の位置で膨張展開させることができる。これにより、多方位エアバッグ30による乗員の拘束(移動制限)性能が向上される。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る乗員保護装置72について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態の乗員保護装置72を構成する多方位エアバッグ装置74は、多方位エアバッグ30と、インフレータ32とを含んで構成されており、第1実施形態のモジュールケース34は備えていない。また、本実施形態のヘッドレスト18には、後席に着座した乗員に対して映像を表示させるためのモニタ76が設けられている。
モニタ76は、ヘッドレスト本体19の後部に設けられており、ヘッドレスト本体19の内部に設けられた図示しないブラケットを介してヘッドレストステー18S(図5参照)に固定されている。
ここで、モニタ76は、ヘッドレスト本体19の内部に収納された多方位エアバッグ30のシート後方側に位置している。このため、多方位エアバッグ30は、モニタ76から反力が付与されることで、シート前方側へ膨張展開される。すなわち、本実施形態のモニタ76は、後席の乗員に対して映像を表示させる機能に加え、第1実施形態のモジュールケース34の主壁34Mと同様に反力板としての機能を備えている。
また、モニタ76にはワイヤハーネス76Aが接続されており、このワイヤハーネス76Aは、シートバック16の内部を通ってインフレータ32のワイヤハーネスと束ねられている。なお、後席用エアバッグ装置66は、第1実施形態と同様の構成である。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、多方位エアバッグ30の膨張展開時にモニタ76から多方位エアバッグ30へ反力が付与させるため、専用の反力板を設けずに済む。また、モニタ76のワイヤハーネス76Aをインフレータ32のワイヤハーネスと共に配線することができるため、モニタ76及びインフレータ32に対して別々にワイヤハーネスを配線する構成と比較して、配線の手間を省くことができる。
(その他の実施例)
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明は、上記の構成に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記の構成以外にも種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態において、車両用シート12の回転角度に応じて後席用エアバッグ68へ供給するガスの流量を制限してもよい。以下、この実施例について具体的に説明する。
本実施例では、図4に示された車両用シート12を平面視で回転可能に構成し、この車両用シート12の回転角度をECU60によって取得できるようにする。例えば、車両用シート12のシート前方が車両前方に一致した図4の状態を基準として、この基準位置に対する車両用シート12の回転角度をセンサなどによって検知させる。
ECU60は、センサなどによって検知された車両用シート12の回転角度を取得し、この回転角度が所定の角度以内であれば、後席用エアバッグ68へのガス供給量を制限しない。一方、車両用シート12の回転角度が所定の角度よりも大きい場合には、インフレータ32から後席用エアバッグ68へのガス供給量を制限する。ここでいう制限とは、ガス供給量を少なくする構成に限定されず、ガス供給を途中で停止する構成も含む。このため、後席用エアバッグ68へのガス供給量を制限した場合には、後席用エアバッグ68が通常よりも小さく膨張展開される。
後席用エアバッグ68へのガス供給量を制限する方法としては、インフレータ32から後席用エアバッグ68へガスが供給されるガス流路を絞る又は閉塞する方法などがある。例えば、図5に示される構成において、下側ガス供給管32Bを閉塞するシャッタ又は弁などの機構を設け、ECU60からの信号に基づいてシャッタ又は弁を作動させることでガス流路を絞る又は閉塞してもよい。後述する他の実施例についても同様である。
以上説明した実施例では、例えば、車両用シート12の回転角度が所定の回転角度よりも大きい状態で車両の衝突が予知又は検知された場合に、後席用エアバッグ68が他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができる。すなわち、車両用シート12の回転角度が所定の角度以内の場合にシートバック16がシート後方側へ変位するのを抑制しつつ、車両用シート12の回転角度が所定の角度よりも大きい場合に後席用エアバッグ68が他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができる。
なお、車両用シート12の回転角度が所定の角度よりも大きい場合は、シートバック16が他の車両用シートや内装材と接触しているか、あるいは他の車両用シートや内装材に近づいた状態となる。このため、後席用エアバッグ68が通常よりも小さく膨張展開された場合であっても、シートバック16が他の車両用シートや内装材に支持されることで、シートバック16が変位するのを抑制することができる。また、多くのガスが多方位エアバッグ30へ供給されるため、予め多方位エアバッグ30にベントホールなどを設けておき、所定の内圧を維持できる構成としてもよい。
また、他の実施例として、シートバック16の傾倒角度に応じて後席用エアバッグ68へ供給するガスの流量を制限してもよい。以下、この実施例について具体的に説明する。
本実施例では、図4に示された車両用シート12のシートバック16をシート前後方向へ傾倒可能に構成し、このシートバック16のシートクッション14に対する傾倒角度をECU60によって取得できるようにする。例えば、シートクッション14とシートバック16との角度が90度となる角度を基準として、この基準位置に対するシートバック16の傾倒角度をセンサなどによって検知させる。
ECU60は、センサなどによって検知されたシートバック16の傾倒角度を取得し、この傾倒角度が所定の角度以内であれば、後席用エアバッグ68へのガス供給量を制限しない。一方、シートバック16の傾倒角度が所定の角度よりも大きい場合には、インフレータ32から後席用エアバッグ68へのガス供給量を制限する。
以上説明した実施例では、例えば、シートバック16が所定の傾倒角度よりもシート後方へ傾倒された状態で車両の衝突が予知又は検知された場合に、後席用エアバッグ68が他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができる。すなわち、シートバック16の傾倒角度が所定の角度以内の場合にシートバック16がシート後方側へ変位するのを抑制しつつ、シートバック16を所定の角度よりも傾倒させた場合に後席用エアバッグ68が他の車両用シートや内装材などに干渉するのを抑制することができる。
なお、上記実施例において、シートバック16の傾倒角度に応じて後席用エアバッグ68へのガス供給量を可変させてもよい。例えば、予め設定したシートバック16の傾倒角度に対して、シートバック16が5度シート後方側へ傾倒する毎に、ガス供給量を減らす(ガス供給の制限量を大きくする)構成としてもよい。
また、上記実施例において、シートバック16が所定の傾倒角度よりもシート前方へ傾倒されて折り畳まれた場合には、インフレータ32を作動させないように制御してもよい。シートバック16が折り畳まれた状態では、乗員が着座していないため、車両の衝突が予知又は検知された場合であっても、インフレータ32を作動させず多方位エアバッグ30及び後席用エアバッグ68が膨張展開しない構成となる。
さらに、上記実施形態では、単一のインフレータ32を用いて多方位エアバッグ30及び後席用エアバッグ68を膨張展開させたが、これに限定されない。例えば、多方位エアバッグ30へガスを供給するインフレータをヘッドレスト内に配置し、後席用エアバッグ68へガスを供給するインフレータをシートバック16内に配置した構成としてもよい。この場合、多方位エアバッグ30を膨張展開させるタイミングと、後席用エアバッグ68を膨張展開させるタイミングとを微調整しやすい。
さらにまた、上記実施形態では、インフレータ32から多方位エアバッグ30へ流れるガス流量と、インフレータ32から後席用エアバッグ68へ流れるガス流量とが同程度となっているが、これに限定されない。多方位エアバッグ30は、着座者Dの頭部Hを越えてシート前方へ膨張展開させる必要があるため、図5における上側ガス供給管32Aを下側ガス供給管32Bよりも大径にするなどして多方位エアバッグ30へより多くのガスを流すように構成してもよい。
また、上記実施形態では、多方位エアバッグ30がヘッドレスト18に収納された例を示したが、これに限定されず、ヘッドレスト18とシートバック16とが一体とされた車両用シートの内部に多方位エアバッグ30が収納された構成としてもよい。この場合、車両用シートにおいて乗員の頭部を支持する部位が本発明の「ヘッドレスト」に相当し、乗員の背部を支持する部位が本発明の「シートバック」に相当する。そして、車両用シートにおける乗員の頭部を支持する部位と乗員の背部を支持する部位とに跨って多方位エアバッグが収納された構成としてもよい。
また、上記実施形態では、乗員保護装置がサイドエアバッグ装置22を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、乗員保護装置がサイドエアバッグ装置22を備えない構成としてもよい。また、乗員保護装置がサイドエアバッグ装置22を備える構成において、サイドエアバッグ装置22が車両用シート12に設けられる構成には限定されない。例えば、サイドドア等に設けられたサイドエアバッグ装置を備えて乗員保護装置が構成されてもよい。また、乗員保護装置が車幅方向外側のサイドエアバッグ装置22を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、乗員保護装置は、車幅方向外側のサイドエアバッグ装置22に代えて又は加えて、車幅方向中央側に配置されるサイドエアバッグ装置を備える構成としてもよい。
さらに、上記実施形態及び変形例では、多方位エアバッグ30を構成する前展開部がメッシュ部40を含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、メッシュ部40に代えて可視構造としての透明シートを設けた構成としてもよく、可視構造を含まない構成としてもよい。
さらにまた、上記実施形態及び変形例では、多方位エアバッグ30が外ロール折りされた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、多方位エアバッグ30が蛇腹折り等の他の折り畳み態様でヘッドレストやシートバック16等に収納されてもよい。
10 乗員保護装置
12 車両用シート
14 シートクッション
16 シートバック
18 ヘッドレスト
30 多方位エアバッグ(第1エアバッグ)
32 インフレータ
42 前膨張部
44 横膨張部
68 後席用エアバッグ(第2エアバッグ)
72 乗員保護装置
76 モニタ

Claims (5)

  1. 車両用シートのヘッドレスト又はシートバックに収納され、ガス供給を受けてシート前方側へ膨張展開されると共に、乗員の頭部に対するシート前方で膨張される前膨張部と、前記前膨張部に接続され前記頭部に対するシート側方で膨張される左右一対の横膨張部とを含んで前記頭部を覆う一体の袋体として構成された第1エアバッグと、
    前記シートバックに収納され、ガス供給を受けて、前記第1エアバッグと同じタイミングで又は前記第1エアバッグの膨張展開開始直後にシート後方側へ膨張展開される第2エアバッグと、
    を有する乗員保護装置。
  2. 前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグはそれぞれ、単一のインフレータからガス供給を受けて膨張展開される請求項1に記載の乗員保護装置。
  3. 前記車両用シートは、平面視で回転可能に構成されており、
    前記車両用シートのシート前方が車両前方に一致した状態を基準として、前記車両用シートの回転角度が所定の角度以内であれば、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限せず、前記回転角度が所定の角度よりも大きい場合には、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限する請求項1又は2に記載の乗員保護装置。
  4. 前記シートバックは、シート後方へ傾倒可能に構成されており、
    前記シートバックのシートクッションに対する傾倒角度が所定の角度以内であれば、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限せず、前記傾倒角度が所定の角度よりも大きい場合には、前記第2エアバッグへのガス供給量を制限する請求項1〜3の何れか1項に記載の乗員保護装置。
  5. 前記第1エアバッグは、前記ヘッドレストに収納されており、
    前記ヘッドレストにおける前記第1エアバッグのシート後方側には、後席に着座した乗員に対して映像を表示させるモニタが設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の乗員保護装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114620002A (zh) * 2022-04-21 2022-06-14 上汽通用汽车有限公司 安全气囊、安全气囊总成与车辆

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