JP2017191662A - 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具及び電子機器 - Google Patents

二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電池特性を有する二次電池を提供すること。【解決手段】正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有し、1サイクル目で充電した後の、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、負極活物質が、少なくとも、SiOX(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池を提供する。【選択図】なし

Description

本技術は二次電池に関する。より詳しくは、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具及び電子機器に関する。
近年、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応としてリチウムイオンの吸蔵放出を利用するリチウムイオン二次電池や、リチウム金属の析出溶解を利用するリチウム金属二次電池などは、大いに期待されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるからである。
最近では、軽量かつ高エネルギー密度であるという利点が電気自動車およびハイブリッド電気自動車などの自動車用途に適していることから、二次電池の大型化および高出力化を目指した研究も盛んに行われている。
例えば、負極活物質としてのケイ素を含む負極と、正極活物質を含む正極と、非水電解質とを有するリチウム二次電池であって、上記正極活物質には、リチウム遷移金属複合酸化物と、金属リチウム電位に対して3.5Vより卑な電位に充電電位を有するリチウム含有材料と、が含まれることを特徴とするリチウム二次電池が提案されている(特許文献1を参照)。
また、正極および負極と共に電解液を備え、前記正極は、正極活物質として、第1リチウム複合酸化物と、第2リチウム複合酸化物とを含み、1サイクル目の充放電時における単位体積当たりの充電容量(対リチウム金属)は、前記第1リチウム複合酸化物よりも前記第2リチウム複合酸化物において大きいと共に、1サイクル目の充放電時における放電電圧(対リチウム金属)は、前記第1リチウム複合酸化物よりも前記第2リチウム複合酸化物において低い、リチウムイオン二次電池が提案されている(特許文献2)。ここで、第2リチウム複合酸化物は、Li1+a (Mnb Coc Ni1-b-c 1-a 2 (aは0<a≦0.25、bは0.5≦b<0.7、cは0≦c<1−bである。)の式で表される化合物である。
特開2007−207490号公報 特開2012−142157号公報
しかしながら、特許文献1で提案された技術は、低電位であって、充填性が低い正極活物質を使用しているため、通常のポータブル機器に対しては使用できないことがあり、電池容量が低下し、サイクル特性が悪化して、電池特性の向上につながらない。また、特許文献2で提案された技術は、放電電圧が低く、正極活物質の充填性が低いため、電池容量が低下し、サイクル特性が悪化して、電池特性の向上につながらない。
そこで、本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、優れた電池特性を有する二次電池及びその二次電池を備える電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具及び電子機器を提供することを主目的とする。
本発明者らは、上述の目的を解決するために、電池性能、正極活物質の充填性等について鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、電池特性を飛躍的に向上させることに成功し、本技術を完成するに至った。
すなわち、本技術では、正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、該正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有し、1サイクル目で充電した後の、該リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、該負極活物質が、少なくとも、SiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池を提供する。
また、本技術では、正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、該正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、下記式(3)で表される平均組成を有するリチウム含有化合物とを含有し、
リチウム基準極に対して1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、該リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、該負極活物質が、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池をも提供する。
Li1+a(CoNiMn1−a2−f (3)
(該式(3)中、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)およびニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素である。aは0.05<a<0.2であり、bは0.45≦b<0.7であり、cは0<c≦0.1であり、dは0≦d≦0.1であり、e≦bを満たし、b+c+d+e=1を満たし、fは−0.1≦f≦0.2である。)
前記リチウムコバルト複合酸化物が、下記式(1)で表される平均組成を有する化合物でよい。
LiCo1−n (1)
(該式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1であり、
Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。)
また、前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が、下記式(2)で表される平均組成を有する化合物でよい。
LiNi1−y−zCoMn (2)
(該式(2)中、xは0.9<x<1.1であり、yは0.1<y<0.4であり、
zは0.15<z<0.4)である。)
さらに、前記リチウムコバルト複合酸化物と前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合比率(質量比)が70:30〜95:5でよい。
またさらに、前記負極活物質が炭素材料を更に含有し、前記SiO(0.2<X<1.4)又は前記Si合金と該炭素材料との混合比率(質量比)が、5:95〜30:70でよい。
本技術では、本技術に係る二次電池と、該二次電池の使用状態を制御する制御部と、該制御部の指示に応じて該多価イオン二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パックを提供する。
また、本技術では、本技術に係る二次電池と、該二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、該駆動力に応じて駆動する駆動部と、該二次電池の使用状態を制御する制御部と、を備える、電動車両を提供する。
さらに、本技術では、本技術に係る二次電池と、該二次電池から電力が供給される1または2以上の電気機器と、該二次電池からの該電気機器に対する電力供給を制御する制御部と、を備える、電力貯蔵システムを提供する。
本技術では、本技術に係る二次電池と、該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具を提供する。
また、本技術では、本技術に係る二次電池を電力供給源として備える、電子機器を提供する。
本技術によれば、電池特性を向上させることができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術に係る二次電池の例(円筒型)の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す図である。 本技術に係る二次電池の例(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。 図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。 本技術に係る二次電池の適用例(電池パック)の構成を表すブロック図である。 本技術に係る二次電池の適用例(電動車両)の構成を表すブロック図である。 本技術に係る二次電池の適用例(電力貯蔵システム)の構成を表すブロック図である。 本技術に係る二次電池の適用例(電動工具)の構成を表すブロック図である。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.二次電池の概要
2.第1の実施形態(二次電池)
3.第2の実施形態(二次電池)
4.二次電池の例
4−1.二次電池の例(円筒型のリチウムイオン二次電池)
4−2.二次電池の例(ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池)
5.二次電池の用途
5−1.二次電池の用途の概要
5−2.第3の実施形態(電池パック)
5−3.第4の実施形態(電動車両)
5−4.第5の実施形態(電力貯蔵システム)
5−5.第6の実施形態(電動工具)
5−6.第7の実施形態(電子機器)
<1.二次電池の概要>
一般的に、二次電池の一つであるリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池、リチウム金属二次電池等)は、正極および負極と共に電解液を備えている。この正極は、正極集電体上に正極活物質層を有しており、その正極活物質層は、充放電反応に寄与する正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、一般的に、LiCoO、LiNiOまたはLi(Ni0.0.5Co0.2Mn0.3)Oなどの化合物が広く用いられている。
一方、負極活物質としては、一般的に、炭素材料が広く用いられているが、高エネルギー密度の電池とするためには、質量容量密度の高い電池材料を用いることが有効であり、その点でSiは優れている。しかし、ケイ素はリチウムイオンの挿入脱離反応における体積膨張収縮が大きく、これを負極材料として用いた電池はサイクル特性が著しく悪化する。このため、負極活物質として、Siよりも質量容量密度が小さいものの、体積変化が小さい材料としてSiOx及びSi合金が検討されている。SiOx及びSi合金はSiに比較し体積変化が抑制されているものの、依然としてその変化は大きく、黒鉛との混合系も検討されている。
しかしながら、このSiOx及びSi合金と黒鉛の混合系を活物質とする負極においてもサイクル劣化が生じ、リチウム二次電池用負極材料として使用し得ないということがある。
このような事情を鑑みて、正極活物質にLiに対し3.5Vより卑な電位に充電電位を有するリチウム含有材料を用いることが考えられるが、SiOx及びSi合金と黒鉛の混合系を活物質とする負極において、正極の3.5V以下の容量は、実質的に初期の電池容量が低下してしまう。また低電位材料として最適とされているオリビン構造のリン酸鉄リチウムは充填性が悪く、同じ体積内に多くの材料を充填することができず、さらに初期の電池容量が低下してしまうため、高エネルギー密度との両立をすることができない。さらにSi粉末負極を使用しているため、さらなるサイクル特性の改善が必要である。
また、一方のリチウム複合酸化物よりも他方のリチウム複合酸化物の方が大きな充電容量を有し、一方のリチウム複合酸化物よりも他方のリチウム複合酸化物の方が低い放電電圧を有する2種以上のリチウム複合酸化物を用いることが考えられるが、単純に放電電圧が低い場合には、初期の電池容量が低下してしまう。また、高エネルギー密度を得るために、リチウムリッチ複合酸化物を用いることが考えられるが。このような遷移金属組成のリチウムリッチ複合酸化物は、真密度が低く、従来のLiCoO2と比べて、充填性が悪い。そのため、同じ体積内に多くの材料を充填することができず、結果として初期の電池容量が低下してしまうため、高エネルギー密度との両立をすることができない。
本技術は、以上の状況に基づくものであり、本技術では、正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、電解質及び溶媒を含む電解液と、を備え、正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有し、1サイクル目で充電した後の、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、負極活物質が、少なくとも、SiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池を用いることによって、電池特性の向上、特には、サイクル特性の向上や、高エネルギー密度の向上や、サイクル特性と高エネルギー密度との両方の向上を達成することができる。
また、本技術では、正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、電解質及び溶媒を含む電解液と、を備え、正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、下記式(3)で表される平均組成を有するリチウム含有化合物とを含有し、リチウム基準極に対して1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、負極活物質が、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池を用いることによって、電池特性の向上、特には、サイクル特性の向上や、高エネルギー密度の向上や、サイクル特性と高エネルギー密度との両方の向上を達成することができる。
Li1+a(CoNiMn1−a2−f (3)
式(3)中、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)およびニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素である。aは0.05<a<0.2であり、bは0.45≦b<0.7であり、cは0<c≦0.1であり、dは0≦d≦0.1であり、e≦bを満たし、b+c+d+e=1を満たし、fは−0.1≦f≦0.2である。
<2.第1の実施形態(二次電池)>
[二次電池]
本技術に係る第1の実施形態の二次電池は、正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有し、1サイクル目で充電した後の、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、負極活物質が、少なくとも、SiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池である。
本技術に係る第1の実施形態の二次電池によれば、電池特性を向上させることができる。特には、本技術に係る第1の実施形態の二次電池によれば、優れたサイクル特性や、優れた高エネルギー密度や、優れたサイクル特性と優れた高エネルギー密度との両方が得られる。そして、本技術に係る第1の実施形態の二次電池によって、優れたサイクル特性と優れた高エネルギー密度との両立が可能となる。
[正極]
本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられる正極は、少なくとも正極活物質を含む。
[正極活物質]
正極活物質は、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有する。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、1サイクル目で充電した後の、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上である化合物である。
本技術に係る第1の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質によれば、正極活物質の充填性を含めたエネルギー密度の向上、サイクル特性の向上、又はエネルギー密度とサイクル特性との両方の向上をさせながら、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われる。よって、優れた電池特性を得ることができる。
[リチウムコバルト複合酸化物]
リチウムコバルト複合酸化物は、リチウムとコバルトとを含む複合酸化物であれば、特に限定されないが、下記の式(1)で表される平均組成を有する化合物であることが好ましい。
式(1)は以下のとおりである。
LiCo1−n (1)
式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1である。Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。
Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素であるが、正極活物質内に固溶しやすい元素であることが好ましく、AlとMgとの2種であることがより好ましい。
式(1)中のnが上記した範囲内である理由は、以下のとおりである。
n≧0であるのは、n=0である場合、最も容量が大きくなるが、サイクル特性や熱安定性を保つためには一定量の他元素で固溶させることが必要だからである。一方、n<0.1であるのは、他元素で固溶させる量が多くなりすぎて容量が少なくなるからである。
[リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物]
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、リチウムとニッケルとコバルトとマンガンとを含む複合酸化物であり、1サイクル目で充電した後の、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上である化合物であれば、特に限定されないが、下記の式(2)で表される平均組成を有する化合物であることが好ましい。
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物において、1サイクル目で充電した後の、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線における、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差は30mAh/g以上である。なお、1サイクル目の充電電圧は、特に限定されないが、4.4V以上が好ましい。
式(2)は以下のとおりである。
LiNi1−y−zCoMn (2)
式(2)中、xは0.9<x<1.1であり、yは0.1<y<0.4である。また、zは0.15<z<0.4である。
リチウムコバルト複合酸化物とリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合比率(質量比)は、任意の混合比率でよいが、70:30〜95:5であることが好ましく、75:25〜90:10であることがより好ましく、80:20〜90:10であることが更に好ましい。この好ましい態様、より好ましい態様及び更に好ましい態様により、正極活物質の充填性を含めたエネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせることができる。
(正極活物質の分析方法)
本技術に係る第1の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質の組成(モル比)を調べるためには、各種の分析法を用いて、リチウムコバルト複合酸化物粒子1及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子1を分析すればよい。この分析法は、例えば、X線回折(XRD)法、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、ラマン分光分析法およびエネルギー分散X線分光法(EDX)などのいずれか1種類または2種類以上である。
なお、二次電池において実質的に充放電が行われる領域(正極と負極とが対向する領域)では、充放電反応に起因して、リチウムコバルト複合酸化物又はリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の組成が変化し得る。このため、X線回折法などを用いて充放電後に組成を調べても、当初(充放電前)の組成を正確に確認できない可能性がある。しかしながら、充放電が行われない領域(未充放電領域)が正極に存在する場合には、その未充放電領域において組成を調べることが好ましい。この未充放電領域では充放電前の状態が維持されているため、充放電の有無に関係せずに組成を事後的に確認できるからである。この「未充放電領域」は、例えば、安全性確保のために正極(正極活物質層)の端部表面に絶縁性の保護テープが貼り付けられているため、その絶縁性の保護テープの存在に起因して充放電を行うことができない領域などである。
(正極活物質の使用方法)
この正極活物質を用いた二次電池を充放電させる場合には、充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)を高電圧にすることが好ましく、具体的には4.4V以上にすることが好ましい。ただし、活物質の分解反応を抑制するために、初回充電時の充電電圧は、極端に高すぎないことが好ましく、具体的には4.7V以下にすることが好ましい。
なお、初回以降の充電時の充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)は、特に限定されない。但し、電解液の分解反応及びセパレータの溶解反応などが問題となる場合には、反応を抑制できる充電電圧で使用することが好ましい。
(正極活物質の製造方法)
この正極活物質は、例えば、以下の手順により製造される。
正極活物質を製造する場合には、最初に、原料として、リチウムコバルト複合酸化物の一連の構成元素を含む2種類以上の化合物及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の一連の構成元素を含む2種類以上の化合物を準備する。各原料は、一連の構成元素のうちの1種類だけを含んでいてもよいし、2種類以上を含んでいてもよい。この原料の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩および硝酸塩などのいずれか1種類または2種類以上である。
続いて、原料を混合する。この場合には、所望の組成のリチウムコバルト複合酸化物及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のそれぞれが得られるように、混合比を調整する。
続いて、原料の混合物を焼成する。焼成温度および焼成時間などの条件は、任意に設定可能である。この焼成処理により、Liと他の元素(Co等)とを構成元素として含有する複合酸化物が得られる。これにより、正極活物質が得られる。
[負極]
本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられる負極は、少なくとも負極活物質を含む。
[負極活物質]
負極活物質は、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する。SiO(0.2<X<1.4)及びSi合金は、Li(リチウム)と合金を形成することができる。
この負極活物質によれば、エネルギー密度の向上、サイクル特性の向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の向上をさせながら、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われる。よって、優れた電池特性を得ることができる。
SiO(0.2<X<1.4)において、0.2<X<1.4であれば、Xは任意の値でよい。
Si合金は、例えば、Si以外の構成元素として、Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbおよびCrなどのいずれか1種類または2種類以上の元素を含んでいる。Siの合金は、例えば、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi等が挙げられる。
負極活物質は炭素材料を更に含有することが好ましい。負極活物質に炭素材料が更に含まれることによって、エネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせながら、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われる。よって、更に優れた電池特性を得ることができる。
炭素材料は、Liの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性を得ることができる。また、炭素材料は負極導電剤としても機能することができる。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素における(002)面の面間隔は0.37nm以上であると共に、黒鉛における(002)面の面間隔は0.34nm以下であることが好ましい。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類は、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状および鱗片状のいずれでもよい。
SiO(0.2<X<1.4)と炭素材料との混合比率(質量比)は、任意の混合比率でよいが、5:95〜30:70であることが好ましく、10:90〜30:70であることがより好ましい。この好ましい態様やより好ましい態様により、エネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせることができる。
Si合金と炭素材料との混合比率(質量比)は、任意の混合比率でよいが、5:95〜30:70であることが好ましく、10:90〜30:70であることがより好ましい。この好ましい態様やより好ましい態様により、エネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせることができる。
[電解液]
本技術に係る第1の実施形態の二次電池は、電解液を備えていてもよい。電解液は電解質及び溶媒を含む。電解質及び溶媒の詳細については、下記の<4.二次電池の例>の欄にて説明をする。
<3.第2の実施形態(二次電池)>
[二次電池]
本技術に係る第2の実施形態の二次電池は、正極活物質を少なくとも含む正極と、負極活物質を少なくとも含む負極と、電解質及び溶媒を含む電解液と、を備え、正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、下記式(3)で表される平均組成を有するリチウム含有化合物とを含有し、リチウム基準極に対して1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、負極活物質が、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池である。
Li1+a(CoNiMn1−a2−f (3)
式(3)中、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)およびニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素である。aは0.05<a<0.2であり、bは0.45≦b<0.7であり、cは0<c≦0.1であり、dは0≦d≦0.1であり、e≦bを満たし、b+c+d+e=1を満たし、fは−0.1≦f≦0.2である。
本技術に係る第2の実施形態の二次電池によれば、電池特性を向上させることができる。特には、本技術に係る第2の実施形態の二次電池によれば、優れたサイクル特性や、優れた高エネルギー密度や、優れたサイクル特性と優れた高エネルギー密度との両方が得られる。そして、本技術に係る第2の実施形態の二次電池によって、優れたサイクル特性と優れた高エネルギー密度との両立が可能となる。
[正極]
本技術に係る第2の実施形態の二次電池に備えられる正極は、少なくとも正極活物質を含む。
[正極活物質]
本技術に係る第2の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質は、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、上記の式(3)で表される平均組成を有するリチウム含有化合物とを含有する。リチウム含有化合物は、リチウム基準極に対して1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上である化合物である。
本技術に係る第2の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質によれば、正極活物質の充填性を含めたエネルギー密度の向上、サイクル特性の向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の向上をさせながら、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われる。よって、優れた電池特性を得ることができる。
[リチウムコバルト複合酸化物]
リチウムコバルト複合酸化物は、リチウムとコバルトとを含む複合酸化物であれば、特に限定されないが、下記の式(1)で表される平均組成を有する化合物であることが好ましい。
式(1)は以下のとおりである。
LiCo1−n (1)
式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1である。Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。
Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素であるが、正極活物質内に固溶しやすい元素であることが好ましく、AlとMgとの2種であることがより好ましい。
式(1)中のnが上記した範囲内である理由は、以下のとおりである。
n≧0であるのは、n=0である場合、最も容量が大きくなるが、サイクル特性や熱安定性を保つためには一定量の他元素で固溶させることが必要だからである。一方、n<0.1であるのは、他元素で固溶させる量が多くなりすぎて容量が少なくなるからである。
[リチウム含有化合物]
リチウム含有化合物は、上記の式(3)で表される平均組成を有する化合物であり、1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上である化合物である。
上記式(3)において、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)及びニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素であれば、特に限定されないが、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、及びビスマス(Bi)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
リチウム含有化合物において、1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上である。なお、1サイクル目の充電電圧が、4.5V以上であれば特に限定されない。
aが取り得る値の範囲(a>0.05)から明らかなように、Liのモル比1+aは必ず1よりも大きくなるため、この活物質中のリチウム含有化合物は、いわゆるリチウムリッチである。また、bおよびcが取り得る値の範囲(b≧0.45、c>0)から明らかなように、リチウム含有化合物は、CoおよびNiを構成元素として必ず含んでいる。これに対し、dが取り得る値の範囲(d≧0)から明らかなように、リチウム含有化合物は、金属元素Mを含んでいてもいなくてもよい。
リチウム含有化合物がリチウムリッチであるのは、多量のリチウム(Li)を構成元素として含んでいるのでより多くのリチウム(Li)及び/又はリチウムイオン(Li等)を放出することができ、その結果、高い電池容量を得ることができるからである。
式(3)中のa〜eがそれぞれ上記した範囲内である理由は、以下の通りである。
a>0.05であるのは、a≦0.050の場合、吸蔵放出するLi量が不足するため、十分な電池容量が得られなくなるからである。一方、a<0.2であるのは、a≧0.2の場合、Li量が過剰となり構造が安定化せず、吸蔵放出されるLiの量が減るうえ真密度も小さくなる。このため、大きなエネルギー密度が得られず、結果として電池容量が不十分となるからである。
b≧0.45であるのは、b<0.45であると真密度が小さくなってしまい、十分なエネルギー密度が得られないからである。また、b≦0.7であるのは、b>0.7であると活物質の重量当たりの放電容量が小さくなってしまい、やはり十分なエネルギー密度が得られないからである。さらに、e≦bであるのは、e>bであるとCoの絶対量よりもMnの絶対量が多くなることでLiの吸蔵放出がスムーズに行われず、負荷特性維持率(後述)が低下してしまうからである。
c>0であるのは、c=0であると、充電過程において大量のガスが発生してしまうからである。また、c>0.1であると過剰なNiがLiサイトを占有してしまい、吸蔵放出されるLiの量が減少するので、取出せる放電容量が小さくなるからである。
d≦0.1であるのは、d>0.1であると、価数補償の面からリチウムリッチのリチウム含有化合物から取り出せるLi量が減ってしまい、十分な電・BR>R容量が得られないからである。
なお、リチウム含有化合物は、上記したように、Mを構成元素として含んでいてもいなくてもよいが、中でも、Mを含んでいることが好ましい。リチウム含有化合物の結晶構造が安定化するからである。また、高電圧条件下における電解液の分解反応に起因してフッ酸(フッ化水素)が生じても、そのフッ酸によりリチウム含有化合物の表面が劣化されにくくなるからである。
また、リチウム含有化合物の真密度は、4.4g/cm3以上5.0g/cm3以下であることが好ましい。4.4g/cm3以上であれば、更に十分なエネルギー密度が得られるからである。
さらに、リチウム含有化合物は、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において下記の式(4)を満たす層状構造を含むものであるとよい。式(4)を満たすことで、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われ、負荷特性維持率がより向上するからである。なお、一般式Li1+a[Mn1−b1−a2−cで表される従来のリチウムリッチのリチウム含有化合物では、LiMnOの3bサイトが規則化した構造を有している。このため、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、回折角2θ=20.8°付近に空間群C2/mに帰属する(020)の超格子回折ピークが見られる。これに対し、本実施の形態の活物質ではその回折ピークは見られない。
FWHM003/FWHM<0.1…(4)
(FWHM003は、18.8°付近の回折角2θにおける(003)面に起因する回折ピークの半値全幅(full width at half maximum)であり、FWHMは、20°〜23°の回折角2θにおける最大の回折ピークの半値全幅である。)
さらに、リチウム含有化合物は、空間群R3−mの層状構造を含み、下記の式(5)を満たすことが望ましい。式(5)を満たすことで、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われ、負荷特性維持率がより向上するからである。
X<Y…(5)
(Xは、リチウム基準で電圧4.6V、電流レート0.2Cの定電流定電圧条件で電流値が0.01Cとなるまで充電を行ったときの上記層状構造におけるc軸の格子定数である。Yは、この充電ののちリチウム基準で電圧2.0Vに至るまで電流レート0.2Cでの定電流放電を行ったときの上記層状構造におけるc軸の格子定数である。)
(正極活物質の分析方法)
本技術に係る第2の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質の組成(モル比)を調べるためには、各種の分析法を用いて、リチウムコバルト複合酸化物粒子1及びリチウム含有化合物1を分析すればよい。この分析法は、例えば、X線回折(XRD)法、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、ラマン分光分析法およびエネルギー分散X線分光法(EDX)などのいずれか1種類または2種類以上である。
なお、二次電池において実質的に充放電が行われる領域(正極と負極とが対向する領域)では、充放電反応に起因して、リチウムコバルト複合酸化物又はリチウム含有化合物の組成が変化し得る。このため、X線回折法などを用いて充放電後に組成を調べても、当初(充放電前)の組成を正確に確認できない可能性がある。しかしながら、充放電が行われない領域(未充放電領域)が正極に存在する場合には、その未充放電領域において組成を調べることが好ましい。この未充放電領域では充放電前の状態が維持されているため、充放電の有無に関係せずに組成を事後的に確認できるからである。この「未充放電領域」は、例えば、安全性確保のために正極(正極活物質層)の端部表面に絶縁性の保護テープが貼り付けられているため、その絶縁性の保護テープの存在に起因して充放電を行うことができない領域などである。
(正極活物質の使用方法)
この正極活物質を用いた二次電池を充放電させる場合には、充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)を高電圧にすることが好ましく、具体的には4.5V以上にすることが好ましい。ただし、活物質の分解反応を抑制するために、初回充電時の充電電圧は、極端に高すぎないことが好ましく、具体的には4.7V以下にすることが好ましい。
なお、初回以降の充電時の充電電圧(正極電位:対リチウム金属標準電位)は、特に限定されない。但し、電解液の分解反応及びセパレータの溶解反応などが問題となる場合には、初回充電時の充電電圧よりも低く使用することが好ましい。
[正極活物質の製造方法]
この正極活物質は、例えば、以下の手順により製造される。
正極活物質を製造する場合には、最初に、原料として、リチウムコバルト複合酸化物の一連の構成元素を含む2種類以上の化合物及びリチウム含有化合物の一連の構成元素を含む2種類以上の化合物を準備する。各原料は、一連の構成元素のうちの1種類だけを含んでいてもよいし、2種類以上を含んでいてもよい。この原料の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩および硝酸塩などのいずれか1種類または2種類以上である。
続いて、原料を混合する。この場合には、所望の組成のリチウムコバルト複合酸化物及びリチウム含有化合物のそれぞれが得られるように、混合比を調整する。
続いて、原料の混合物を焼成する。焼成温度および焼成時間などの条件は、任意に設定可能である。この焼成処理により、Liと他の元素(Co等)とを構成元素として含有する複合酸化物が得られる。これにより、正極活物質が得られる。
リチウムコバルト複合酸化物とリチウム含有化合物との混合比率(質量比)は、任意の混合比率でよいが、70:30〜95:5であることが好ましく、75:25〜90:10であることがより好ましく、80:20〜90:10であることが更に好ましい。この好ましい態様、より好ましい態様及び更に好ましい態様により、正極活物質の充填性を含めたエネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせることができる。
[負極]
本技術に係る第2の実施形態の二次電池に備えられる負極は、少なくとも負極活物質を含む。
[負極活物質]
負極活物質は、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する。SiO(0.2<X<1.4)及びSi合金は、Li(リチウム)と合金を形成することができる。
この負極活物質によれば、エネルギー密度の向上、サイクル特性の向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の向上をさせながら、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われる。よって、優れた電池特性を得ることができる。
SiO(0.2<X<1.4)において、0.2<X<1.4であれば、Xは任意の値でよい。
Si合金は、例えば、Si以外の構成元素として、Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbおよびCrなどのいずれか1種類または2種類以上の元素を含んでいる。Siの合金は、例えば、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi等が挙げられる。
負極活物質は炭素材料を更に含有することが好ましい。負極活物質に炭素材料が更に含まれることによって、エネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせながら、Liの吸蔵放出がよりスムーズに行われる。よって、更に優れた電池特性を得ることができる。
炭素材料は、Liの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性を得ることができる。また、炭素材料は負極導電剤としても機能することができる。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素における(002)面の面間隔は0.37nm以上であると共に、黒鉛における(002)面の面間隔は0.34nm以下であることが好ましい。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類は、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状および鱗片状のいずれでもよい。
SiO(0.2<X<1.4)と炭素材料との混合比率(質量比)は、任意の混合比率でよいが、5:95〜30:70であることが好ましく、10:90〜30:70であることがより好ましい。この好ましい態様やより好ましい態様により、エネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせることができる。
Si合金と炭素材料との混合比率(質量比)は、任意の混合比率でよいが、5:95〜30:70であることが好ましく、10:90〜30:70であることがより好ましい。この好ましい態様やより好ましい態様により、エネルギー密度の更なる向上、サイクル特性の更なる向上、又はエネルギー密度及びサイクル特性の両方の更なる向上をさせることができる。
[電解液]
本技術に係る第2の実施形態の二次電池は、電解液を備えていてもよい。電解液は電解質及び溶媒を含む。電解質及び溶媒の詳細については、下記の<4.二次電池の例>の欄にて説明をする。
<4.二次電池の例>
次に、本技術に係る第1の実施形態及び第2の実施形態の二次電池について、図1〜図4に記載されている二次電池を例にして説明する。
<4−1.二次電池の例(円筒型のリチウムイオン二次電池)>
図1および図2は、二次電池の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。ここでは、例えば、二次電池用電極を正極21に適用している。
[二次電池の全体構成]
ここで説明する二次電池は、電極反応物質であるLi(リチウムイオン)の吸蔵放出により負極22の容量が得られるリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)であり、いわゆる円筒型である。
この二次電池では、例えば、図1に示したように、中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13と、巻回電極体20とが収納されている。この巻回電極体20は、例えば、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層されてから巻回されたものである。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、例えば、鉄、アルミニウムおよびそれらの合金などのいずれか1種類または2種類以上により形成されている。この電池缶11の表面には、ニッケルなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟むように配置されていると共に、その巻回電極体20の巻回周面に対して垂直に延在している。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられているため、その電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、大電流に起因する異常な発熱を防止するものであり、その熱感抵抗素子16の抵抗は、温度の上昇に応じて増加するようになっている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、そのガスケット17の表面には、アスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の巻回中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。正極21には、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、例えば、ニッケルなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、例えば、安全弁機構15に溶接されていると共に、電池蓋14と電気的に接続されている。負極リード26は、例えば、電池缶11に溶接されており、その電池缶11と電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、正極集電体21Aの片面または両面に正極活物質層21Bを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のいずれか1種類または2種類以上により形成されている。正極活物質層21Bに含まれる正極活物質に、Liを吸蔵放出可能である、上記した第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質が含まれていてもよい。また、正極活物質層21Bに含まれる正極活物質が、上記した第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池に含まれる正極活物質から構成されていてもよい。また、正極活物質層21Bは、さらに正極結着剤および正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケチェンブラックなどである。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料および導電性高分子などでもよい。
なお、正極活物質層21Bは、正極材料として上記した正極活物質を含んでいれば、さらに他の正極材料を含んでいてもよい。この他の正極材料は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物およびリチウム遷移金属リン酸化合物などのいずれか1種類または2種類以上(上記した正極活物質に該当するものを除く)である。リチウム遷移金属複合酸化物とは、Liと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物であると共に、リチウム遷移金属リン酸化合物とは、Liと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物である。
リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoOおよびLiNiOなどであり、下記の式(4)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物でもよい。リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiFePOおよびLiFe1−uMn PO(u<1)などである。高い電池容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。
LiNi1−z・・・(4)
(Mは、Co、Mn、Fe、Al、V、Sn、Mg、Ti、Sr、Ca、Zr、Mo、Tc、Ru、Ta、W、Re、Yb、Cu、Zn、Ba、B、Cr、Si、Ga、P、SbおよびNbのうちの少なくとも1種である。zは、0.005<z<0.5を満たす。)
この他、正極材料は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物および導電性高分子などのいずれか1種類または2種類以上でもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンおよび硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンおよびポリチオフェンなどである。ただし、正極材料は、上記した一連の材料に限られず、他の材料でもよい。
[負極]
負極22は、負極集電体22Aの片面または両面に負極活物質層22Bを有している。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のいずれか1種類または2種類以上により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域において、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理を利用して微粒子を形成する方法などである。この電解処理とは、電解槽中において電解法を用いて負極集電体22Aの表面に微粒子を形成することで、その負極集電体22Aの表面に凹凸を設ける方法である。電解法により作製された銅箔は、一般的に、電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bに含まれる負極活物質に、Liを吸蔵放出可能である、上記した第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池に含まれる負極活物質が含まれていてもよい。また、負極活物質層22Bに含まれる負極活物質が、上記した第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池に含まれる負極活物質から構成されていてもよい。さらに負極結着剤および負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤および正極導電剤と同様である。ただし、充電途中において負極22にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は、一般的には正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、Liを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は、正極21の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。
この他、負極材料は、例えば、金属酸化物および高分子化合物などのいずれか1種類または2種類以上でもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムおよび酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンおよびポリピロールなどである。ただし、負極材料は、上記した一連の材料に限られず、他の材料でもよい。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのいずれか1種類または2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質を負極結着剤などと混合したのち、有機溶剤などの溶媒に分散させてから負極集電体22Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などである。より具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。溶射法とは、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体22Aに噴き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法を用いて負極集電体22Aに塗布したのち、負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。この焼成法としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法などを用いることができる。
この二次電池では、上記したように、充電途中において負極22にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、Liを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は正極の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。また、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、4.2Vである場合と比較して、同じ正極活物質を用いても単位質量当たりのリチウムイオンの放出量が多くなるため、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより、高いエネルギー密度が得られるようになっている。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離することで、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどの多孔質膜であり、2種類以上の多孔質膜が積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどである。
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)の片面または両面に高分子化合物層を有していてもよい。正極21および負極22に対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20の歪みが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制されるため、充放電を繰り返しても抵抗が上昇しにくくなると共に、電池膨れが抑制される。
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。ただし、高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン以外の他の高分子材料でもよい。この高分子化合物層を形成する場合には、例えば、高分子材料が溶解された溶液を準備したのち、その溶液を基材層に塗布してから乾燥させる。なお、溶液中に基材層を浸漬させてから乾燥させてもよい。
[電解液]
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒および電解質塩を含んでおり、さらに添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
溶媒は、有機溶媒などの非水溶媒のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この非水溶媒は、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステルおよびニトリルなどである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよび炭酸ブチレンなどであり、鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸メチルプロピルなどである。ラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどである。カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。ニトリルは、例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリルおよび3−メトキシプロピオニトリルなどである。
この他、非水溶媒は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルおよびジメチルスルホキシドなどでもよい。同様の利点が得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのいずれか1種類または2種類以上が好ましい。より優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルトン(環状スルホン酸エステル)および酸無水物のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。不飽和環状炭酸エステルとは、1または2以上の不飽和結合(炭素間二重結合)を有する環状炭酸エステルであり、例えば、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化炭酸エステルとは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む環状または鎖状の炭酸エステルである。環状のハロゲン化炭酸エステルは、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。鎖状のハロゲン化炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)および炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。スルトンは、例えば、プロパンスルトンおよびプロペンスルトンなどである。酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水エタンジスルホン酸および無水スルホ安息香酸などである。ただし、溶媒は、上記した一連の材料に限られず、他の材料でもよい。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの塩のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の他の塩を含んでいてもよい。この他の塩とは、例えば、リチウム塩以外の軽金属塩などである。
リチウム塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6H5)4)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)および臭化リチウム(LiBr)などである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6のうちの少なくとも1種類が好ましく、LiPF6がより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。ただし、電解質塩は、上記した一連の材料に限られず、他の材料でもよい。
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、中でも、溶媒に対して0.3mol/kg〜3.0mol/kgであることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[二次電池の動作]
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極21から放出されたリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電時には、負極22から放出されたリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
この場合には、上記したように、充電電圧は、より多くのリチウムを放出させるために高くすることが望ましい。より具体的には、4.4V(対リチウム金属標準電位)以上の電圧(例えば4.6V)まで二次電池を充電することが好ましい。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、正極21を作製する。正極活物質である上記した二次電池用活物質と、正極結着剤および正極導電剤などとを混合して、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。続いて、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、加熱しながら圧縮成型してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
また、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。負極活物質と、負極結着剤および負極導電剤などとが混合された負極合剤を有機溶剤などに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、その負極活物質層22Bを圧縮成型する。
最後に、正極21および負極22を用いて二次電池を組み立てる。溶接法などを用いて正極集電体21Aに正極リード25を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体22Aに負極リード26を取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層してから巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて正極リード25の先端部を安全弁機構15に取り付けると共に、溶接法などを用いて負極リード26の先端部を電池缶11に取り付ける。続いて、溶媒に電解質塩が分散された電解液を電池缶11の内部に注入してセパレータ23に含浸させる。続いて、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。
[二次電池の作用および効果]
この円筒型の二次電池によれば、正極21の正極活物質層21Bが正極活物質として上記した二次電池用活物質を含んでいる。したがって、エネルギー密度を向上させつつ、Liの吸蔵放出をよりスムーズに行うことができる。よって、より高い電池容量を得ることができる。
<4−2.二次電池の例(ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池)>
図3は、他の二次電池の分解斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面を拡大している。ただし、図3では、巻回電極体30と2枚の外装部材40とを離間させた状態を示している。以下では、既に説明した円筒型の二次電池の構成要素を随時引用する。
[二次電池の全体構成]
ここで説明する二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池であり、例えば、図3に示したように、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30が収納されている。この巻回電極体30は、例えば、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層されてから巻回されたものである。正極33には正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には負極リード32が取り付けられている。巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成されていると共に、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。これらの導電性材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、融着層と、金属層と、表面保護層とがこの順に積層されたラミネートフィルムである。この外装部材40は、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように2枚のラミネートフィルムが重ねられたのち、各融着層の外周縁部同士が融着されたものである。ただし、2枚のラミネートフィルムは、接着剤などを介して貼り合わされていてもよい。融着層は、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材40は、ポリエチレンフィルムと、アルミニウム箔と、ナイロンフィルムとがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムであることが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムでもよいし、金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、例えば、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。この密着性の材料は、例えば、ポリオレフィン樹脂などであり、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどである。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを有していると共に、負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを有している。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。すなわち、二次電池用電極である正極33の正極活物質層33Bは、正極活物質として上記した二次電池用活物質を含んでいる。セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
[電解質層]
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、いわゆるゲル状の電解質である。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。この電解質層36は、さらに添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
高分子化合物は、高分子材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この高分子材料は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどである。この他、高分子材料は、共重合体でもよい。この共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。中でも、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、例えば、円筒型の場合と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
[二次電池の動作]
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極33から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵される。一方、放電時には、負極34から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。この場合においても、より多くのリチウムを放出させるために充電電圧を高くすることが望ましい。より具体的には、充電電圧を4.4V(対リチウム金属標準電位)以上の電圧(例えば4.6V)とすることが好ましい。
[二次電池の製造方法]
ゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。この場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などの溶媒とを含む前駆溶液を調製したのち、その前駆溶液を正極33および負極34に塗布して、ゲル状の電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層してから巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を接着させて、その外装部材40の内部に巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード52を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層してから巻回させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を配置したのち、熱融着法などを用いて一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、さらに重合禁止剤などの他の材料とを混合して、電解質用組成物を調製する。続いて、袋状の外装部材40の内部に電解質用組成物を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。続いて、モノマーを熱重合させて、高分子化合物を形成する。これにより、高分子化合物に電解液が含浸され、その高分子化合物がゲル化するため、電解質層36が形成される。
第3手順では、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物は、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体および多元共重合体)などである。具体的には、単独重合体は、例えば、ポリフッ化ビニリデンである。共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを成分とする二元系の共重合体などである。多元共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとクロロトリフルオロエチレンとを成分とする三元系の共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種類または2種類以上の高分子化合物を用いてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。続いて、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、高分子化合物に電解液が含浸され、その高分子化合物がゲル化するため、電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間で十分な密着性が得られる。
[二次電池の作用および効果]
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極33の正極活物質層33Bが正極活物質として上記した二次電池用活物質を含んでいるので、円筒型の場合と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型の場合と同様である。
<5.二次電池の用途>
二次電池の用途について詳細に説明する。
<5−1.二次電池の用途の概要>
二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能な機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として使用されるイオン二次電池は、主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。イオン二次電池を補助電源として利用する場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに用いられる電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、上記以外の用途でもよい。
なかでも、二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器などに適用されることが有効である。優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることで、有効に性能向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源であり、いわゆる組電池などである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などが使用可能になる。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
ここで、二次電池のいくつかの適用例について具体的に説明する。なお、以下で説明する各適用例の構成はあくまで一例であるため、適宜変更可能である。
<5−2.第3の実施形態(電池パック)>
本技術に係る第3の実施形態の電池パックは、本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池と、二次電池の使用状態を制御する制御部と、制御部の指示に応じて、二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パックである。本技術に係る第3の実施形態の電池パックは、優れた電池特性を有する本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池を備えているので、電池パックの性能向上につながる。
以下に、本技術に係る第3の実施形態の電池パックについて、図面を参照しながら説明する。
図5は、電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、プラスチック材料などにより形成された筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。
制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。電源62は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源62は、例えば、2以上の二次電池を含む組電池であり、それらの二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6つの二次電池を含んでいる。
スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオード(いずれも図示せず)などを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものである。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力するようになっている。この温度測定結果は、例えば、異常発熱時において制御部61が充放電制御を行う場合や、制御部61が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定して、その測定電圧をアナログ−デジタル変換して制御部61に供給するものである。
スイッチ制御部67は、電流測定部64および電圧検出部66から入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御するものである。
このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(充電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に充電電流が流れないように制御する。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れた場合に、充電電流を遮断するようになっている。
また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(放電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に放電電流が流れないようにする。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れた場合に、放電電流を遮断するようになっている。
なお、二次電池では、例えば、過充電検出電圧は4.2V±0.05Vであり、過放電検出電圧は2.4V±0.1Vである。
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどである。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値や、製造工程段階において測定された二次電池の情報(例えば初期状態の内部抵抗)などが記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量を記憶させておけば、制御部61が残容量などの情報を把握可能になる。
温度検出素子69は、電源62の温度を測定すると共にその測定結果を制御部61に出力するものであり、例えば、サーミスタなどである。
正極端子71および負極端子72は、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えばノート型のパーソナルコンピュータなど)や、電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)などに接続される端子である。電源62の充放電は、正極端子71および負極端子72を介して行われる。
<5−3.第4の実施形態(電動車両)>
本技術に係る第4の実施形態の電動車両は、本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池と、二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、駆動力に応じて駆動する駆動部と、多価イオン二次電池の使用状態を制御する制御部と、を備える、電動車両である。本技術に係る第4の実施形態の電動車両は、優れた電池特性を有する本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池を備えているので、電動車両の性能向上につながる。
以下に、本技術に係る第4の実施形態の電動車両について、図面を参照しながら説明する。
図6は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。この電動車両は、例えば、金属製の筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、電動車両は、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
この電動車両は、例えば、エンジン75またはモータ77のいずれか一方を駆動源として走行可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合、そのエンジン75の駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力は発電機79にも伝達され、その回転力を利用して発電機79が交流電力を発生させると共に、その交流電力はインバータ83を介して直流電力に変換され、電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換され、その交流電力を利用してモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。
なお、図示しない制動機構を介して電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達され、その回転力を利用してモータ77が交流電力を発生させるようにしてもよい。この交流電力はインバータ82を介して直流電力に変換され、その直流回生電力は電源76に蓄積されることが好ましい。
制御部74は、電動車両全体の動作を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源76は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源76は、外部電源と接続され、その外部電源から電力供給を受けることで電力を蓄積可能になっていてもよい。各種センサ84は、例えば、エンジン75の回転数を制御したりして、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどを含んでいる。
なお、電動車両がハイブリッド自動車である場合について説明したが、その電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
<5−4.第5の実施形態(電力貯蔵システム)>
本技術に係る第5の実施形態の電力貯蔵システムは、本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池と、二次電池から電力が供給される1または2以上の電気機器と、二次電池からの該電気機器に対する電力供給を制御する制御部と、を備える、電力貯蔵システムである。本技術に係る第5の実施形態の電力貯蔵システムは、優れた電池特性を有する本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池を備えているので、電力貯蔵の性能向上につながる。
以下に、本技術に係る第5の実施形態の電力貯蔵システムについて、図面を参照しながら説明する。
図7は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。この電力貯蔵システムは、例えば、一般住宅および商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。
ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車された電動車両96に接続可能になっている。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能になっている。
なお、電気機器94は、例えば、1または2以上の家電製品を含んでおり、その家電製品は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビおよび給湯器などである。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機および風力発電機などのいずれか1種類または2種類以上である。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクおよびハイブリッド自動車などの1種類または2種類以上である。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所および風力発電所などの1種類または2種類以上である。
制御部90は、電力貯蔵システム全体の動作(電源91の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源91は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要者の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給者と通信可能になっている。これに伴い、スマートメータ92は、例えば、外部と通信しながら、家屋89における需要・供給のバランスを制御することで、効率的で安定したエネルギー供給を可能とする。
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である太陽光発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部90の指示に応じて電気機器94および電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、電動車両96が充電可能になる。すなわち、電力貯蔵システムは、電源91を用いて、家屋89内における電力の蓄積および供給を可能にするシステムである。
電源91に蓄積された電力は、任意に利用可能である。このため、例えば、電気使用量が安い深夜において集中型電力系統97から電源91に電力を蓄積しておき、その電源91に蓄積しておいた電力を電気使用量が高い日中に用いることができる。
なお、上記した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
<5−5.第6の実施形態(電動工具)>
本技術に係る第6の実施形態の電動工具は、本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池と、二次電池から電力が供給される可動部とを備える、電動工具である。本技術に係る第6の実施形態の電動工具は、優れた電池特性を有する本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池を備えているので、電動工具の性能向上につながる。
以下に、本技術に係る第6の実施形態の電動工具について、図面を参照しながら説明する。
図8は、電動工具のブロック構成を表している。この電動工具は、例えば、電動ドリルであり、プラスチック材料などにより形成された工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この制御部99は、図示しない動作スイッチの操作に応じて、電源100からドリル部101に電力を供給するようになっている。
<5−6.第7の実施形態(電子機器)>
本技術に係る第7の実施形態の電子機器は、本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池を電力供給源として備える、電子機器である。上述したように、本技術に係る第10の実施形態の電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。本技術に係る第7の実施形態の電子機器は、優れた電池特性を有する本技術に係る第1及び第2の実施形態の二次電池を備えているので、電子機器の性能向上につながる。
なお、本技術の効果は、二次電池に用いられる電極反応物質であれば電極反応物質の種類に依存せずに得られるはずであるため、その電極反応物質の種類を変更しても同様の効果を得ることができる。
また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
また、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
[1]
正極活物質を少なくとも含む正極と、
負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、
該正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有し、
1サイクル目で充電した後の、該リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、
該負極活物質が、少なくとも、SiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池。
[2]
前記リチウムコバルト複合酸化物が、下記式(1)で表される平均組成を有する化合物である、[1]に記載の二次電池。
LiCo1−n (1)
(該式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1であり、
Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。)
[3]
前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が、下記式(2)で表される平均組成を有する化合物である、[1]又は[2]に記載の二次電池。
LiNi1−y−zCoMn (2)
(該式(2)中、xは0.9<x<1.1であり、yは0.1<y<0.4であり、
zは0.15<z<0.4)である。)
[4]
前記リチウムコバルト複合酸化物と前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合比率(質量比)が、70:30〜95:5である、[1]から[3]のいずれか1つに記載の二次電池。
[5]
前記負極活物質が炭素材料を更に含有し、
前記SiO(0.2<X<1.4)又は前記Si合金と該炭素材料との混合比率(質量比)が、5:95〜30:70である、[1]から[4]のいずれか1つに記載の二次電池。
[6]
正極活物質を少なくとも含む正極と、
負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、
該正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、下記式(3)で表される平均組成を有するリチウム含有化合物とを含有し、
リチウム基準極に対して1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、該リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、
該負極活物質が、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池。
Li1+a(CoNiMn1−a2−f (3)
(該式(3)中、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)およびニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素である。aは0.05<a<0.2であり、bは0.45≦b<0.7であり、cは0<c≦0.1であり、dは0≦d≦0.1であり、e≦bを満たし、b+c+d+e=1を満たし、fは−0.1≦f≦0.2である。)
[7]
前記リチウムコバルト複合酸化物が、下記式(1)で表される平均組成を有する化合物である、[6]に記載の二次電池。
LiCo1−n (1)
(該式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1であり、
Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、
Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。)
[8]
前記リチウムコバルト複合酸化物と前記リチウム含有化合物との混合比率(質量比)が、70:30〜95:5である、[6]又は[7]に記載の二次電池。
[9]
前記負極活物質が炭素材料を更に含有し、
前記SiO(0.2<X<1.4)又は前記Si合金と該炭素材料との混合比率(質量比)が、5:95〜30:70である、[6]から[8]のいずれか1つに記載の二次電池。
[10]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池の使用状態を制御する制御部と、
該制御部の指示に応じて該二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パック。
[11]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
該駆動力に応じて駆動する駆動部と、
該二次電池の使用状態を制御する制御部と、を備える、電動車両。
[12]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池から電力が供給される1または2以上の電気機器と、
該二次電池からの該電気機器に対する電力供給を制御する制御部と、を備える、電力貯蔵システム。
[13]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具。
[14]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池を電力供給源として備える、電子機器。
以下に、実施例を挙げて、本技術の効果について具体的に説明をする。なお、本技術の範囲は実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜30及び比較例1〜5>
以下のように実施例1〜30及び比較例1〜5を実施して評価をした。
[3.5−3.8Vの放電容量算出方法]
(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)
実施例1〜14及び比較例2で用いられるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn、xは0.9<x<1.1であり、yは0.1<y<0.4であり、zは0.15<z<0.4である。)と、アモルファス性炭素粉(ケッチェンブラック)とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを95:2:3の重量比率で混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを作製した後、この正極合剤スラリーを帯状15μm厚のアルミニウム箔よりなる正極集電体の片面に均一に塗布した。得られた塗布物を温風乾燥した後、コインサイズに打ち抜き、プレス機で圧縮成型し、正極電極とした。上記正極電極を用い、対極をLiとしてコインセルを作製し、評価を実施した。初回充電電圧4.4Vまで0.1Cの定電流で充電し、電流値0.01Cに達するまで定電圧充電を行った後、放電深度(DOD)1%分の容量を0.1Cの定電流で放電し、その後1時間休止を行い、1時間後の電圧を放電深度(DOD)1%の開路電圧(OCV)とした。この操作を繰り返し、放電深度(DOD)100%となる3Vまで放電を行い、それぞれの開路電圧(OCV)をつなぎ合わせることで、開路電圧(OCV)放電曲線とした。この開路電圧(OCV)放電曲線を用いて3.5Vの放電容量から3.8Vの放電容量を差し引いた容量を3.5−3.8Vの放電容量とした。
(リチウム含有化合物)
実施例15〜30及び比較例4〜5で用いられるリチウム含有化合物(Li1+a(CoNiMn1−a2−f、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)およびニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素である。aは0.05<a<0.2であり、bは0.45≦b<0.7であり、cは0<c≦0.1であり、dは0≦d≦0.1であり、e≦bを満たし、b+c+d+e=1を満たし、fは−0.1≦f≦0.2である。)と、アモルファス性炭素粉(ケッチェンブラック)とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを95:2:3の重量比率で混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを作製した後、この正極合剤スラリーを帯状15μm厚のアルミニウム箔よりなる正極集電体の片面に均一に塗布した。得られた塗布物を温風乾燥した後、コインサイズに打ち抜き、プレス機で圧縮成型し、正極電極とした。上記正極電極を用い、対極をLiとしてコインセルを作製し、評価を実施した。初回充電電圧4.5Vまで0.1Cの定電流で充電し、電流値0.01Cに達するまで定電圧充電を行った後、上記と同様に開路電圧(OCV)放電曲線を取得し、その後も同様に3.5−3.8Vの放電容量を算出した。
[正極活物質の合成]
以下の手順により、正極活物質であるリチウムコバルト複合酸化物(LiCo1−n)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn)及びリチウム含有化合物(Li1+a(CoNiMn1−a2−f)を得た。
リチウムコバルト複合酸化物は、原料である炭酸リチウム(LiCO)、炭酸コバルト(CoCO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)粉末をLi:Co:Al:Mg=1:0.98:0.01:0.01のモル比となるように混合したのち、大気中で900℃5時間焼成して、LiCo0.98Al0.01Mg0.01を得た(実施例1)
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、原料である炭酸リチウム(LiCO)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、水酸化コバルト(Co(OH))、炭酸マンガン(MnCO)の粉末をLi:Ni:Co:Mn=1:0.5:0.2:0.3のモル比となるように混合したのち、大気中で850℃10時間焼成して、LiNi0.5Co0.2Mn0.3を得た。(実施例1)
その他の実施例2〜14、及び比較例1〜2についても原料の種類および混合比などの条件を変更して、表1に示した、リチウムコバルト複合酸化物(LiCo1−n)及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn)を得た。
リチウム含有化合物は、最初に、原料である硫酸マンガン(MnSO)と、硫酸コバルト(CoSO)と、硫酸ニッケル(NiSO)とを混合したのち、共沈法を用いて混合物を処理して混合水酸化物を得た。続いて、混合水酸化物と水酸化リチウム(LiOH)とを混合したのち、大気中においてその混合物を850℃で10時間に亘って焼成した。これにより、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウムリッチのリチウム含有化合物Li1.15Co0.6Ni0.05Mn0.35が得られた(実施例15)。
その他の実施例16〜30、及び比較例3〜5についても原料の種類および混合比などの条件を変更して、表2に示したリチウムコバルト複合酸化物(LiCo1−n)及びリチウム含有化合物(Li1+a(CoNiMn1−a2−f)を得た。
[正極の作製]
正極活物質として上記リチウムコバルト複合酸化物とリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを80質量%と20質量%とで混合したものを用い(実施例1)、この混合物とアモルファス性炭素粉(ケッチェンブラック)とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを95:2:3の質量比率で混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを作製した後、この正極合剤スラリーを帯状15μm厚のアルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布した。得られた塗布物を温風乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成型し、正極シートを形成した。この正極シートを48mm×300mmの帯状に切り出して正極を作製した。続いて、正極の正極集電体露出部分に正極リードを取り付けた。
その他の実施例2〜30、及び比較例1〜5についても、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、及びリチウム含有化合物を表1および表2に示した質量比率で混合し、正極活物質として用いた。
[負極の作製]
負極は、次のようにして作製した。Si合金粒子と黒鉛との混合物を負極活物質として90質量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量%とを混合して負極合剤を調製した。Si合金粒子と黒鉛の混合比は、質量比で90質量%と10質量%とした(実施例1)。この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極合剤スラリーを作製した後、この負極合剤スラリーを帯状15μm厚の銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布した。得られた塗布物を温風乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成型し、負極シートを形成した。この負極シートを50mm×310mmの帯状に切り出して負極を作製した。続いて、負極の負極集電体露出部分に負極リードを取り付けた。
その他の実施例2〜31、及び比較例1〜4についてもSi合金又はSiOx(0.2<X<1.4)と黒鉛とを表1および表2に示した質量比率で混合し、負極活物質として用いた。
[ラミネートセルの作製]
次に、作製した正極および負極を、厚み25μmの微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータを介して密着させ、長手方向に巻回して、最外周部に保護テープを貼り付けることにより、巻回電極体を作製した。続いて、図1に示すように、この巻回電極体を外装部材の間に装填し、外装部材の3辺を熱融着し、一辺は熱融着せずに開口を有するようにした。外装部材には、最外層から順に25μm厚のナイロンフィルムと、40μm厚のアルミニウム箔と、30μm厚のポリプロピレンフィルムとが積層されてなる防湿性のアルミラミネートフィルムを用いた。図2は図1のIV〜VIのラインの断面図であり、巻回電極体の断面を示している。
[電解液の作製及び注液法]
続いて、質量比がエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)=5:5となるようにして混合した溶媒に、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/lとなるように溶解させて電解液を作製した。この電解液を外装部材の開口から注入し、外装部材の残りの1辺を減圧下において熱融着し、密封して二次電池を作製した。
[二次電池の作製]
以上のようにして、実施例1〜30及び比較例1〜5について、図3及び図4に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池のそれぞれを作製した。
[準備実験]
電池特性の評価を実施する前に、次のような準備実験を実施した。上記正極及び負極の片面塗布試料を別途作成し、各電極の対極Liコインセルにより評価を実施した。正極の場合は、表1の実施例1〜14及び比較例1〜2については、初回充電電圧4.4Vまで充電し、表2の実施例15〜30及び比較例3〜5については、初回充電電圧4.5Vまで充電し、負極の場合は定電流で0V後、電流値が定電流値の1/10となるまで定電圧充電をかけた場合の電気容量を測定し、各電極の合剤厚みあたりの充電容量を求めた。この値を用いて、正極の充電容量/負極の充電容量が0.9となるよう、各電極の厚みを電極スラリーの固形分、塗布速度等で調整した。
[電池特性の評価方法及び評価結果]
電池特性(放電エネルギー密度及びサイクル寿命)の評価を以下のように実施した。
実施例1〜30及び比較例1〜5の二次電池を、23℃の環境下において0.2Cの定電流で電池電圧が表1の実施例及び比較例については4.35Vに達するまで、表2の実施例及び比較例については、4.45Vに達するまで定電流充電を行ったのち、表1の実施例及び比較例については4.35Vの定電圧で、表2の実施例及び比較例については4.45Vの定電圧で電流値が0.01Cに達するまで定電圧充電を行った。この後、0.2Cの定電流で、電池電圧が3.0Vに達するまで放電を行った。このとき、正極活物質量あたりの放電容量と正極の電極密度の積を放電エネルギー密度とし、比較例1を100とした指数で表したとき、実施例1は102.1であった(表2については比較例3を100とした指数で表す)。
続いて、上記の二次電池を、0.5Cの定電流で上記と同様の電圧において、電流値0.03Cに達するまで定電圧充電を行い、0.5Cの定電流で、電池電圧が3.0Vに達するまで放電を行った。このときの放電容量を1サイクル目の放電容量とし、同様の操作を200サイクル行い、1サイクル目に対する200サイクル目の放電容量をサイクル寿命とし、比較例1を100とした指数で表したとき、実施例1は106であった(表2については比較例3を100とした指数で表す)。
実施例2〜30、及び比較例2〜5についても、放電エネルギー密度およびサイクル寿命の結果を表1及び表2に併せて示す。
Figure 2017191662
Figure 2017191662
表1を参照すると、実施例1〜12の二次電池は、活物質量あたりの放電容量と電極の密度の積である放電エネルギー密度とサイクル寿命が、比較例1の二次電池に対して大きかった。実施例13の二次電池は、比較例1に二次電池に対して、放電エネルギー密度は小さいものの、サイクル寿命は大きかった。実施例14の二次電池は、比較例1の二次電池に対して、サイクル寿命は小さいものの、放電エネルギー密度は大きかった。
表2を参照すると、実施例15〜28の二次電池は、活物質量あたりの放電容量と電極の密度の積である放電エネルギー密度とサイクル寿命が、比較例3の二次電池に対して大きかった。実施例29の二次電池は、比較例3の二次電池に対して、放電エネルギー密度は小さいものの、サイクル寿命は大きかった。実施例30の二次電池は、比較例3の二次電池に対して、サイクル寿命は小さいものの、放電エネルギー密度は大きかった。
[電池特性の評価結果に対する考察]
実施例1〜30においては、3.5〜3.8Vの放電容量が30mAh/g以上である実施例1〜30のそれぞれに記載の組成のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn)(表1に記載)又はリチウム含有化合物(Li1+a(CoNiMn1−a2−f)(表2に記載)を混合することで、初回充電時において負極で生じる不可逆容量を補填すると共に、初回の放電時において高い放電エネルギー密度を得ることができ、また放電末期において、負極電位を低電位に抑えることができるため、Si合金及びSiOx(0.2<X<1.4)の負極の膨張の影響は小さくなることが確認できた。
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn)(表1に記載)又はリチウム含有化合物(Li1+a(CoNiMn1−a2−f)(表2に記載)の混合比が多くなった場合には、リチウムコバルト複合酸化物(LiCo1−n)の真密度より、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物又はリチウム含有化合物の真密度は小さいため、負極の不可逆容量を補填する容量よりも密度の影響が大きくなるため、放電エネルギー密度は低下傾向であることが理解できた。
また、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn)又はリチウム含有化合物(Li1+a(CoNiMn1−a2−f)の3.5〜3.8Vの放電容量が30mAh/g未満の組成の場合には、負極の不可逆容量を補填する容量よりも密度の影響が大きくなるとともに、サイクル寿命に対する効果も得られないことが確認された。
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1−y−zCoMn)の3.5〜3.8Vの放電容量が大きくなる組成として、表1において、Niのモル比が0.75以上の場合は、放電エネルギー密度、サイクル寿命等の電池特性とは別に安全性に対する特性が急激に悪化するおそれがある。
表2においては、Mnのモル比がCoのモル比よりも大きくなる場合は、急激に真密度が低下するおそれがあるため、放電エネルギー密度が低下するおそれがある。負極のSi合金またはSiOxの混合比が30質量%を超える場合、放電エネルギー密度は高くなるものの、サイクル寿命は、Si合金またはSiOxの劣化が促進される方向であるため、低下傾向である。
本実施例ではラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池(ラミネートセル)を用いて評価を行ったが、図1に示す円筒型等の形態の異なるセルについても同様に適用することができる。また電極は巻回電極体を用いているが、積層した電極体でも同様に適用することができる。正極、負極、電解液に含まれる添加剤等についても特定されず種々の材料を用いることができる。
以上説明したように、本実施例によれば、高エネルギー密度である二次電池や、高寿命である二次電池や、高エネルギー密度であって高寿命である二次電池を提供することが可能である。
以上、実施形態および実施例を挙げながら本技術を説明したが、本技術は実施形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、電池構造が円筒型およびラミネートフィルム型である場合を例に挙げると共に、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これらに限られない。本技術の二次電池は、角型、コイン型およびボタン型などの他の電池構造を有する場合に関しても適用可能であると共に、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合に関しても適用可能である。
また、例えば、電極反応物質は、リチウム(Li)以外に、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)などの他の1族元素でもよいし、マグネシウム(Mg)およびカルシウム(Ca)などの2族元素でもよいし、アルミニウム(Al)などの他の軽金属、硫黄(S)でもよい。本技術の効果は、電極反応物質の種類に依存せずに得られるはずであるため、その電極反応物質の種類を変更しても同様の効果を得ることができる。
11…電池缶、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、36…電解質層、40…外装部材。

Claims (19)

  1. 正極活物質を少なくとも含む正極と、
    負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、
    該正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とを含有し、
    1サイクル目で充電した後の、該リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3.5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、
    該負極活物質が、少なくとも、SiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池。
  2. 前記リチウムコバルト複合酸化物が、下記式(1)で表される平均組成を有する化合物である、請求項1に記載の二次電池。
    LiCo1−n (1)
    (該式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1であり、
    Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。)
  3. 前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が、下記式(2)で表される平均組成を有する化合物である、請求項1に記載の二次電池。
    LiNi1−y−zCoMn (2)
    (該式(2)中、xは0.9<x<1.1であり、yは0.1<y<0.4であり、
    zは0.15<z<0.4)である。)
  4. 前記リチウムコバルト複合酸化物と前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合比率(質量比)が、70:30〜95:5である、請求項1に記載の二次電池。
  5. 前記負極活物質が炭素材料を更に含有し、
    前記SiO(0.2<X<1.4)又は前記Si合金と該炭素材料との混合比率(質量比)が、5:95〜30:70である、請求項1に記載の二次電池。
  6. 正極活物質を少なくとも含む正極と、
    負極活物質を少なくとも含む負極と、を備え、
    該正極活物質が、少なくとも、リチウムコバルト複合酸化物と、下記式(3)で表される平均組成を有するリチウム含有化合物とを含有し、
    リチウム基準極に対して1サイクル目を4.5V以上で充電した後の、該リチウム含有化合物のリチウム基準極に対する1サイクル目の放電時の開路電圧曲線において、3、5Vの放電容量と3.8Vの放電容量との差が30mAh/g以上であり、
    該負極活物質が、少なくともSiO(0.2<X<1.4)又はSi合金を含有する、二次電池。
    Li1+a(CoNiMn1−a2−f (3)
    (該式(3)中、Mは、マンガン(Mn),コバルト(Co)およびニッケル(Ni)のいずれとも異なる1種以上の金属元素である。aは0.05<a<0.2であり、bは0.45≦b<0.7であり、cは0<c≦0.1であり、dは0≦d≦0.1であり、e≦bを満たし、b+c+d+e=1を満たし、fは−0.1≦f≦0.2である。)
  7. 前記リチウムコバルト複合酸化物が、下記式(1)で表される平均組成を有する化合物である、請求項6に記載の二次電池。
    LiCo1−n (1)
    (該式(1)中、mは0.9<m<1.1であり、nは0≦n<0.1であり、
    Mは、Ni、Mn、Al、Mg、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、
    Ca、Sr、W、Bi、Nb、及びBaから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。)
  8. 前記リチウムコバルト複合酸化物と前記リチウム含有化合物との混合比率(質量比)が、70:30〜95:5である、請求項6に記載の二次電池。
  9. 前記負極活物質が炭素材料を更に含有し、
    前記SiO(0.2<X<1.4)又は前記Si合金と該炭素材料との混合比率(質量比)が、5:95〜30:70である、請求項6に記載の二次電池。
  10. 請求項1に記載の二次電池と、
    該二次電池の使用状態を制御する制御部と、
    該制御部の指示に応じて該二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パック。
  11. 請求項1に記載の二次電池と、
    該二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
    該駆動力に応じて駆動する駆動部と、
    該二次電池の使用状態を制御する制御部と、を備える、電動車両。
  12. 請求項1に記載の二次電池と、
    該二次電池から電力が供給される1または2以上の電気機器と、
    該二次電池からの該電気機器に対する電力供給を制御する制御部と、を備える、電力貯蔵システム。
  13. 請求項1に記載の二次電池と、
    該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具。
  14. 請求項1に記載の二次電池を電力供給源として備える、電子機器。
  15. 請求項6に記載の二次電池と、
    該二次電池の使用状態を制御する制御部と、
    該制御部の指示に応じて該二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パック。
  16. 請求項6に記載の二次電池と、
    該二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
    該駆動力に応じて駆動する駆動部と、
    該二次電池の使用状態を制御する制御部と、を備える、電動車両。
  17. 請求項6に記載の二次電池と、
    該二次電池から電力が供給される1または2以上の電気機器と、
    該二次電池からの該電気機器に対する電力供給を制御する制御部と、を備える、電力貯蔵システム。
  18. 請求項6に記載の二次電池と、
    該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具。
  19. 請求項6に記載の二次電池を電力供給源として備える、電子機器。
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