JP2017180249A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンのトルク変動に起因する車両の加速度変動を事前に適切に抑制することができるエンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンの制御装置としてのPCM60は、エンジン10の運転状態に基づいて、エンジン10から出力されるトルクの変動に起因する車両の加速度変動が発生する可能性を判定し、その結果、加速度変動が発生する可能性があると判定された場合に、エンジン回転数及び/又はエンジン負荷に基づいて、アクセルペダルの操作に応じて設定される燃料噴射量を増量側に補正し、こうして増量側に補正された燃料噴射量を噴射させるように燃料噴射弁13を制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、エンジンのトルク変動に起因する車両の加速度変動を抑制する制御を行うエンジンの制御装置に関する。
従来から、エンジンからの動力伝達経路(例えばドライブシャフト)においてねじれ共振が生じて、車両に加速度変動(前後方向における振動)が発生することが知られている。例えば、特許文献1には、このようなねじれ共振の起点を検出したときに、エンジンの点火時期を遅角させたり燃料噴射量を調整したりしてエンジントルクを補正することで、ねじれ共振の振動を抑制する技術が開示されている。
特開2006−275060号公報
ところで、エンジンの高負荷域においては、筒内圧が高くなって燃料の沸点が上がり、燃料の気化率が低下する傾向にある。詳しくは、筒内において、圧力上昇に伴って温度上昇した場合には燃料の気化率が確保されるが、温度上昇に先立って圧力上昇すると(つまり温度上昇が圧力上昇に追い付かない場合)、燃料の気化率が低下する傾向にある。このように燃料の気化率が低下すると、筒内での燃焼が不安定になってトルク変動が生じて、車両に加速度変動が発生することがある。特に、このトルク変動が車体などの共振周波数と重なると、比較的大きな加速度変動が発生する。この場合、トルク変動に起因するドライブシャフトなどのねじれにより、比較的大きな加速度変動が車両の挙動として発生する。なお、上記した燃料の気化率は、筒内に噴射された全燃料量に対する気化した燃料量の割合を意味し、この気化には、燃料の霧化も含まれるものとする。
上記した特許文献1に記載された技術では、ねじれ共振による加速度変動が実際に発生した場合に、この加速度変動を抑制するようにエンジントルク制御を行っているため、加速度変動が頻発するような状況では、加速度変動を抑制するためのエンジントルク制御が頻繁に実行されて、ドライバビリティや燃費やエミッションなどが悪化してしまう。したがって、加速度変動が実際に発生したときに対処するよりも、加速度変動が発生する前に、これを未然に抑制するような制御を行うのが望ましいと考えられる。特に、上記したような燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下に起因する車両の加速度変動は、所定の運転状態において比較的頻繁に発生する傾向にあるので、この加速度変動を前もって抑制するための制御を行うのが望ましいと考えられる。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、エンジンのトルク変動に起因する車両の加速度変動を事前に適切に抑制することができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンの制御装置であって、エンジンの運転状態に基づいて、エンジンから出力されるトルクの変動に起因する車両の加速度変動が発生する可能性を判定する加速度変動判定手段と、加速度変動判定手段によって加速度変動が発生する可能性があると判定された場合に、エンジン回転数及び/又はエンジン負荷に基づいて、アクセルペダルの操作に応じて設定される燃料噴射量を増量側に補正する燃料噴射量補正手段と、燃料噴射量増量手段によって増量側に補正された燃料噴射量を噴射させるように燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、エンジンのトルク変動に起因する加速度変動(サージング)が発生する可能性がある場合に、エンジンの運転状態に基づいて燃料噴射量を増量するので、筒内で気化する燃料量を適切に確保して燃焼安定性を改善することができる。よって、燃焼安定性の低下によるトルク変動に起因する加速度変動を適切に抑制することができる。その結果、本発明によれば、未然に加速度変動を適切に抑制することができるので、上記した特許文献1に記載された技術のように加速度変動が実際に発生した場合に対処する方法と比較して、ドライバビリティや燃費やエミッションなどの悪化を抑制することが可能となる。
本発明において、好ましくは、燃料噴射量補正手段は、エンジン負荷が所定値以上である場合にのみ、燃料噴射量を増量側に補正する。
このように構成された本発明によれば、高負荷域でのみ燃料噴射量を増量するので、つまり低負荷域では燃料噴射量を増量しないので、筒内圧が高い高負荷域での燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下を適切に改善しつつ、筒内圧が比較的低いために燃料の気化率が確保された低負荷域での無駄な燃料噴射量の増量を抑制することができる。つまり、低負荷域では、燃料の気化率が確保され燃焼が安定しているので、燃料噴射量の増量を禁止するようにして、燃費やエミッションなどの悪化を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、燃料噴射量補正手段は、エンジン負荷が所定値以上である場合において、エンジン負荷が高くなるほど、燃料噴射量を増量側に補正する量を大きくする。
このように構成された本発明によれば、高負荷域では、エンジン負荷が高くなるほど筒内圧が高くなって燃料の気化率の低下度合いが大きくなるため、エンジン負荷が高くなるほど燃料噴射量を増量する量を大きくする。これにより、エンジン負荷に応じた適量の燃料を増量することができる。したがって、本発明によれば、高負荷域での燃焼を効果的に安定化させつつ、無駄な燃料の増量を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、過給機を備えるエンジンに適用され、エンジン負荷が所定値以上である領域は、過給機により過給が行われる過給域である。
このように構成された本発明によれば、筒内圧が高くなる傾向にある過給域において燃料噴射量を増量するので、そのような過給域での燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下を効果的に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、燃料噴射量補正手段は、エンジン回転数に応じて燃料噴射量を増量側に補正する量を、エンジン負荷に応じて燃料噴射量を増量側に補正する量よりも小さくする。
このように構成された本発明によれば、燃料の気化率の改善(つまり燃焼安定性の改善)にはほとんど効果がない、エンジン回転数に応じた燃料の増量を抑制することで、無駄な燃料の増量を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、排気系の部品の温度上昇を抑制するために燃料噴射量を増量する温度上昇抑制用燃料増量手段を更に備え、燃料噴射量補正手段は、加速度変動判定手段によって加速度変動が発生する可能性があると判定された場合であっても、温度上昇抑制用燃料増量手段により燃料噴射量が増量される場合には、燃料噴射量を増量側に補正することを禁止する。
このように構成された本発明によれば、排気系の部品の温度上昇を抑制するために燃料噴射量が増量されている場合には、加速度変動抑制のための燃料増量を禁止するので、燃料増量が重複して実行されることを防止して、燃費やエミッションなどの悪化を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、加速度変動判定手段は、エンジン回転数が所定値以上で、且つエンジン負荷が所定値以上で、尚且つ車両の変速機がロックアップしている場合に、加速度変動が発生する可能性があると判定する。
このように構成された本発明によれば、エンジン回転数及びエンジン負荷の条件に加えて、車両の変速機のロックアップ状態に基づき、加速度変動が発生する可能性を判定する。具体的には、エンジン回転数及びエンジン負荷が所定値以上であり、且つ変速機がロックアップしている場合にのみ、加速度変動が発生する可能性があると判定し、変速機がロックアップしていない場合には、エンジンのトルク変動が変速機によって吸収されるため加速度変動が発生する可能性はないと判定する。これにより、加速度変動の発生する可能性を適切に判断して、無駄な燃料の増量を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、燃料噴射量補正手段は、加速度変動判定手段によって加速度変動が発生する可能性があると判定された場合において、アクセルペダルの操作に応じて出力させるべきエンジントルクを低下させることで加速度変動を抑制可能である場合にのみ、燃料噴射量を増量側に補正する。
このように構成された本発明によれば、エンジントルクを低下させることで加速度変動を抑制可能である場合にのみ、燃料噴射量を増量するので、加速度変動を抑制困難な状況での無駄な燃料噴射量の増量を抑制することができる。
本発明のエンジンの制御装置によれば、エンジンのトルク変動に起因する車両の加速度変動を事前に適切に抑制することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジン制御処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による目標トルク補正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による燃料噴射量決定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による目標当量比マップに関して、同一のエンジン回転数で見たときのエンジン負荷と目標当量比との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態による目標当量比マップに関して、同一のエンジン負荷で見たときのエンジン回転数と目標当量比との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態による燃料噴射量決定処理を実行した場合のタイムチャートの一例である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置について説明する。
<システム構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、エンジンシステム100は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路1と、この吸気通路1から供給された吸気と、後述する燃料噴射弁13から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン10(具体的にはガソリンエンジン)と、このエンジン10内の燃焼により発生した排気ガスを排出する排気通路25と、エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ40〜53と、エンジンシステム100全体を制御するPCM60(エンジンの制御装置)と、を有する。なお、図1では、1つの気筒のみを示しているが、実際にはエンジン10は複数の気筒(2以上の気筒)を有する。
吸気通路1には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を昇圧させる、ターボ過給機4のコンプレッサ4aと、外気や冷却水により吸気を冷却するインタークーラ5と、通過する吸気の量(吸入空気量)を調整するスロットルバルブ6と、エンジン10に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク7と、が設けられている。
また、吸気通路1には、コンプレッサ4aによって過給された吸気の一部を、コンプレッサ4aの上流側に還流するためのエアバイパス通路8が設けられている。具体的には、エアバイパス通路8の一端は、コンプレッサ4aの下流側で且つスロットルバルブ6の上流側の吸気通路1に接続され、エアバイパス通路8の他端は、エアクリーナ3の下流側で且つコンプレッサ4aの上流側の吸気通路1に接続されている。
このエアバイパス通路8には、エアバイパス通路8を流れる吸気の流量を開閉動作により調節するエアバイパスバルブ9が設けられている。エアバイパスバルブ9は、エアバイパス通路8を完全に閉じる閉状態と完全に開く開状態とに切り換え可能な、いわゆるオンオフバルブである。
エンジン10は、主に、吸気通路1から供給された吸気を燃焼室11内に導入する吸気バルブ12と、燃焼室11に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁13と、燃焼室11内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ14と、燃焼室11内での混合気の燃焼により往復運動するピストン15と、ピストン15の往復運動により回転されるクランクシャフト16と、燃焼室11内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路25へ排出する排気バルブ17と、を有する。
また、エンジン10は、吸気バルブ12及び排気バルブ17のそれぞれの動作タイミング(つまり開閉時期)を、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing Mechanism)としての可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19によって可変に構成されている。可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19としては、公知の種々の形式を適用可能であるが、例えば電磁式又は油圧式に構成された機構を用いて、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを変化させることができる。
排気通路25には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によってコンプレッサ4aを駆動するターボ過給機4のタービン4bと、例えばNOx触媒や三元触媒や酸化触媒などの、排気ガスの浄化機能を有する2つの触媒装置35(35a、35b)が設けられている。
また、排気通路25上には、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路1に還流させるEGR装置26が設けられている。EGR装置26は、一端がタービン4bの上流側の排気通路25に接続され、他端がコンプレッサ4aの下流側で且つスロットルバルブ11の下流側の吸気通路1に接続されたEGR通路27と、EGRガスを冷却するEGRクーラ28と、EGR通路27を流れるEGRガス量(流量)を制御するEGRバルブ29と、を有する。このEGR装置26は、いわゆる高圧EGR装置(HPL(High Pressure Loop)EGR装置)に相当する。
また、排気通路25には、排気ガスをターボ過給機4のタービン4bに通過させずに迂回させるタービンバイパス通路30が設けられている。このタービンバイパス通路30には、タービンバイパス通路30を流れる排気ガスの流量を制御するウェイストゲートバルブ(以下「WGバルブ」と称する)31が設けられている。
また、排気通路25においては、EGR通路27の上流側の接続部分とタービンバイパス通路30の上流側の接続部分との間の通路が、第1通路25aと第2通路25bとに分岐されている。第1通路25aは第2通路25bよりも径が大きく、換言すると第2通路25bは第1通路25aよりも径が小さく、第1通路25aには開閉バルブ25cが設けられている。開閉バルブ25cが開いている場合には、排気ガスは基本的には第1通路25aに流れ、開閉バルブ25cが閉じている場合には、排気ガスは第2通路25bにのみ流れる。そのため、開閉バルブ25cが閉じている場合には、開閉バルブ25cが開いている場合よりも、排気ガスの流速が大きくなる。開閉バルブ25cは低回転域において閉じられ、流速が上昇された排気ガスをターボ過給機4のタービン4bに供給して、低回転域でもターボ過給機4による過給が行えるようになっている。
エンジンシステム100には、当該エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ40〜53が設けられている。これらセンサ40〜53は、具体的には以下の通りである。アクセル開度センサ40は、アクセルペダルの開度(ドライバがアクセルペダルを踏み込んだ量に相当する)であるアクセル開度を検出する。エアフローセンサ41は、エアクリーナ3とコンプレッサ4aとの間の吸気通路1を通過する吸気の流量に相当する吸入空気量を検出する。温度センサ42は、エアクリーナ3とコンプレッサ4aとの間の吸気通路1を通過する吸気の温度を検出する。圧力センサ43は、過給圧を検出する。スロットル開度センサ44は、スロットルバルブ6の開度であるスロットル開度を検出する。圧力センサ45は、エンジン10に供給される吸気の圧力であるインマニ圧力を検出する。クランク角センサ46は、クランクシャフト16におけるクランク角を検出する。吸気側カム角センサ47は、吸気カムシャフトのカム角を検出する。排気側カム角センサ48は、排気カムシャフトのカム角を検出する。温度センサ49は、エンジン10の冷却水の温度(水温)を検出する。WG開度センサ50は、WGバルブ31の開度を検出する。O2センサ51は、触媒装置35aの上流側の排気ガス中の酸素濃度を検出し、O2センサ52は、触媒装置35aと触媒装置35bとの間の排気ガス中の酸素濃度を検出する。車速センサ53は、車両の速度(車速)を検出する。これら各種センサ40〜53は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S140〜S153をPCM60に出力する。
PCM60は、上述した各種センサ40〜53から入力された検出信号S140〜S153に基づいて、エンジンシステム100内の構成要素に対する制御を行う。具体的には、図2に示すように、PCM60は、スロットルバルブ6に制御信号S106を供給して、スロットルバルブ6の開閉時期やスロットル開度を制御し、エアバイパスバルブ9に制御信号S109を供給して、エアバイパスバルブ9の開閉を制御し、WGバルブ31に制御信号S131を供給して、WGバルブ31の開度を制御し、燃料噴射弁13に制御信号S113を供給して、燃料噴射量や燃料噴射タイミングを制御し、点火プラグ14に制御信号S114を供給して、点火時期を制御し、可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19のそれぞれに制御信号S118、S119を供給して、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを制御し、EGRバルブ29に制御信号S129を供給して、EGRバルブ29の開度を制御する。
具体的には、本実施形態では、PCM60は、エンジン10の運転状態などに基づいて、エンジン10のトルク変動に起因する車両の加速度変動(以下では適宜「サージング」と呼ぶ。)が発生する可能性を判定する。このサージングを引き起こすトルク変動には、エンジン10での燃焼安定性の低下に起因するものや、エンジン10での各気筒から出力されるトルクのばらつきなどを含むものとする。特に、本実施形態では、PCM60は、筒内での燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下に起因するサージングが発生する可能性を判定する。そして、PCM60は、このようなサージングが発生する可能性があると判定した場合に、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、アクセル開度などに応じて噴射すべき燃料噴射量を増量側に補正して、この増量側に補正された燃料噴射量を噴射させるように燃料噴射弁13を制御することで、サージングを未然に抑制するようにする。他方で、PCM60は、サージングが発生した場合には、エンジン10のトルク変動を抑制するように、点火プラグ14による点火時期を遅角させる制御を行う。
このように、PCM60は、本発明における「エンジンの制御装置」に相当し、本発明における「加速度変動判定手段」、「燃料噴射量補正手段」、「燃料噴射制御手段」及び「温度上昇抑制用燃料増量手段」として機能する。
なお、これらのPCM60の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
<エンジン制御処理>
次に、図3を参照して、本発明の実施形態において行われるエンジン10の基本制御について説明する。図3は、本発明の実施形態によるエンジン制御処理を示すフローチャートである。このフローは、車両のイグニッションがオンにされ、PCM60に電源が投入された場合に起動され、所定の周期で繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、ステップS101において、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、アクセル開度センサ40によって検出されたアクセル開度や、車速センサ53によって検出された車速や、クランク角センサ46によって検出されたクランク角に対応するエンジン回転数や、車両の変速機に現在設定されているギヤ段などを取得する。
次いで、ステップS102では、PCM60は、ステップS101において取得された車両の運転状態に基づき、目標加速度を設定する。具体的には、PCM60は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して、アクセル開度センサ40によって検出されたアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次いで、ステップS103では、PCM60は、ステップS102で決定した目標加速度を実現するためのエンジン10の目標トルクを決定する。この場合、PCM60は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン10が出力可能なトルクの範囲内で目標トルクを決定する。
次いで、ステップS104では、PCM60は、ステップS103で決定した目標トルクを補正する処理(目標トルク補正処理)を実行する。具体的には、PCM60は、この目標トルク補正処理においては、上記したようなサージング発生する可能性がある場合に、サージングの発生を未然に抑制すべく、ステップS103で決定した目標トルクを低下する補正を行う。なお、目標トルク補正処理については、後のセクションにおいて図4を参照して詳述する。
次いで、ステップS105では、PCM60は、ステップS101で取得した現在のエンジン回転数及びステップS103で決定した目標トルク(ステップS104で補正した目標トルクも含む。以下同様とする。)を含むエンジン10の運転状態に応じて、点火プラグ14による目標点火時期を設定する。具体的には、PCM60は、目標トルクにフリクションロスやポンピングロスによる損失トルクを加味した目標図示トルクを算出し、種々の充填効率及び種々のエンジン回転数について点火時期と図示トルクとの関係を規定した点火時期マップの中から、現在のエンジン回転数に対応し且つMBT近傍で目標図示トルクが得られる点火時期マップを選択し、選択した点火時期マップを参照して、目標図示トルクに対応する目標点火時期を設定する。なお、PCM60は、ノッキングが生じている場合には、このように設定した目標点火時期を遅角側に補正するのがよい。
次いで、ステップS106では、PCM60は、目標トルクをエンジン10に出力させるための目標充填効率を設定する。具体的には、PCM60は、上記した目標図示トルクを出力するために必要な要求平均有効圧力を求めると共に、この要求平均有効圧力に相当する熱量(要求熱量)を求め、上記した目標点火時期に設定された条件での熱効率(基準熱効率)と、エンジン10の実際の運転条件による熱効率(実熱効率)との大小関係に応じて、基準熱効率及び実熱効率のいずれかと要求熱量とに基づき目標充填効率を求める。なお、PCM60は、要求平均有効圧力などに応じて、こうして求めた目標充填効率を適宜制限してもよい。
次いで、ステップS107では、PCM60は、ステップS106で設定した目標充填効率に相当する空気がエンジン10に導入されるように、エアフローセンサ41が検出した空気量を考慮して、スロットルバルブ6の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期とを決定する。
次いで、ステップS108では、PCM60は、ステップS106で設定した目標充填効率に基づいて燃料噴射量を決定する処理(燃料噴射量決定処理)を行う。原則、PCM60は、目標充填効率に基づいて、理論空燃比(λ=1)となるような燃料噴射量を決定する。特に、本実施形態では、PCM60は、上記したようなサージング発生する可能性がある場合には、サージングの発生を未然に抑制すべく、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づき、理論空燃比となる燃料噴射量を増量側に補正する。なお、燃料噴射量決定処理については、後のセクションにおいて図5を参照して詳述する。
次いで、ステップS109では、PCM60は、ステップS107で決定したスロットル開度及び吸気バルブ12の開閉時期に基づき、スロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18を制御するとともに、ステップS108で決定した燃料噴射量(増量側に補正された燃料噴射量も含む)に基づき、燃料噴射弁13を制御する。
また、ステップS107〜S109の処理と並行して、ステップS110において、PCM60は、ターボ過給機4による目標過給圧を取得する。例えば、エンジン回転数やエンジン負荷や目標トルクなどに対して設定すべき目標過給圧が対応付けられたマップが予めメモリ等に記憶されており、PCM60は、そのマップを参照して、現時点でのエンジン回転数やエンジン負荷や目標トルクなどに対応する目標過給圧を取得する。このような目標過給圧のマップでは、少なくともエンジン10の高負荷域において、ターボ過給機4による過給が実施されるように目標過給圧が規定されている。
次いで、ステップS111において、PCM60は、ステップS110において取得した目標過給圧を実現するための、WGバルブ31の開度を決定する。
次いで、ステップS112において、PCM60は、ステップS111において設定した開度に基づき、WGバルブ31のアクチュエータを制御する。この場合、PCM10は、ステップS111において設定した開度に応じてWGバルブ31のアクチュエータを制御すると共に、圧力センサ43により検出される過給圧を、ステップS110において取得した目標過給圧に近づけるようにアクチュエータをフィードバック制御する。
また、ステップS107〜S109及びステップS110〜S112の処理と並行して、ステップS113において、PCM60は、ステップS105において設定した目標点火時期にて点火が行われるように、点火プラグ14を制御する。
<目標トルク補正処理>
次に、図4を参照して、本発明の実施形態による目標トルク補正処理について説明する。図4は、本発明の実施形態による目標トルク補正処理を示すフローチャートである。この目標トルク補正処理は、図3に示したエンジン制御処理でのステップS104においてPCM60によって実行される。
まず、ステップS201では、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、圧力センサ43によって検出された圧力(過給圧)や、車速センサ53によって検出された車速や、クランク角センサ46によって検出されたクランク角に対応するエンジン回転数などを取得する。
次いで、ステップS202では、PCM60は、現在のエンジン10等の運転領域がサージング発生領域であり、且つサージングを抑制可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、PCM60は、エンジン回転数が所定値以上で且つエンジン負荷が所定値以上であり、つまりエンジン10の運転領域が比較的に高回転域且つ高負荷域であり、尚且つ、車両の変速機がロックアップしている場合、つまりトルクコンバータのロックアップ機構がロックアップ状態(即ちエンジントルクがトルクコンバータを介さずに直接的に伝達される状態)である場合に、現在の運転領域がサージング発生領域であると判定する。
このような判定を行っているのは、比較的に高回転域且つ高負荷域では、筒内圧が高くなって燃料の気化率が低下して、筒内での燃焼が不安定になってトルク変動が生じることで、車両にサージングが発生する可能性が高いからである。他方で、トルクコンバータがロックアップしていない場合には(即ちエンジントルクがトルクコンバータを介して伝達される状態)、たとえサージングが発生したとしてもトルク変動がトルクコンバータによって吸収されるので、PCM60は、現在の運転領域がサージング発生領域でないと判定する。つまり、PCM60は、比較的に高回転域且つ高負荷域において、トルクコンバータがロックアップしている場合にのみ、現在の運転領域がサージング発生領域であると判定する。
また、ステップS202において、PCM60は、上記のサージング発生領域の判定に加えて、エンジントルクを低下させることでサージングを抑制可能な状態であるか否かを判定している。このような判定を行うことで、サージングを抑制可能な状態でない場合におけるエンジントルクの無駄な低下を抑制して、ドライバビリティや燃費の悪化を抑制している。具体的には、PCM60は、アクセル開度等に応じた目標トルクを低下させることで、エンジン10のトルク変動に起因するドライブシャフトのねじれ共振を抑制可能であるか否かを判定する。例えば、PCM60は、ドライブシャフトのねじれ共振が発生したときのエンジントルクの低下量と、点火時期をできるだけ遅角させたときのエンジントルクの低下量とを比較して、サージングを抑制可能な状態であるか否かを判定する。
ステップS202の判定の結果、現在の運転領域がサージング発生領域であり且つサージングを抑制可能な状態であると判定された場合(ステップS202:Yes)、ステップS203に進み、PCM60は、サージングを未然に抑制するためのサージング抑制フラグをオンにする。そして、処理はステップS204に進む。他方で、現在の運転領域がサージング発生領域であり且つサージングを抑制可能な状態であると判定されなかった場合(ステップS202:No)、つまり現在の運転領域がサージング発生領域でない場合若しくはサージングを抑制可能な状態でない場合、ステップS206に進み、PCM60は、サージング抑制フラグをオフにする。そして、PCM60は、目標トルク補正処理を終了する。この場合には、図3のステップS103で決定された目標トルクがそのまま適用されることとなる。
次いで、ステップS204では、PCM60は、車速センサ53によって検出された車速(車輪速に相当)やギヤ比などからエンジン回転数を算出し、このエンジン回転数と、クランク角センサ46によって検出されたクランク角に対応するエンジン回転数(実エンジン回転数)との偏差に基づき、ドライブシャフトのねじれに因るトルク低下量を算出する。これらのエンジン回転数の偏差は、ドライブシャフトのねじれに相当するものであり、PCM60は、このエンジン回転数の偏差に一義的に対応するトルク低下量(つまりドライブシャフトがねじれることで車輪にまで伝達されなかったトルク)を求める。
次いで、ステップS205では、PCM60は、図3のステップS103で決定された目標トルクを、ステップS204で算出したトルク低下量によって補正する。具体的には、PCM60は、図3のステップS103で決定された目標トルクから、ステップS204で算出したトルク低下量を減算したトルクを、新たな目標トルクとして設定する。このような目標トルクを適用することで、ドライブシャフトのねじれを元に戻すようにする、換言するとドライブシャフトのねじれを弱めるようにする。
以上述べた目標トルク補正処理の終了後、PCM60は、図3のステップS105以降の処理を行う。
なお、上記した実施形態では、エンジン回転数の偏差に応じたトルク低下量を算出して、このトルク低下量だけ目標トルクを低下させる補正を行っていたが、これは、ドライブシャフトが車両の推進方向にねじれることを想定したものであった(この場合、実エンジン回転数が車速から算出されたエンジン回転数よりも大きくなる)。しかしながら、例えば車両が坂道を下る場合などには、ドライブシャフトが車両の推進方向とは反対方向にねじれることがあり(実エンジン回転数が車速から算出されたエンジン回転数よりも小さくなる)、この場合には、エンジン回転数の偏差に応じたトルク増加量を算出して、このトルク増加量だけ目標トルクを増加させる補正を行うのがよい。
<燃料噴射量決定処理>
次に、図5を参照して、本発明の実施形態による燃料噴射量決定処理について説明する。図5は、本発明の実施形態による燃料噴射量決定処理を示すフローチャートである。この燃料噴射量決定処理は、図3に示したエンジン制御処理でのステップS108においてPCM60によって実行される。
まず、ステップS301では、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、圧力センサ43によって検出された圧力(過給圧)や、車速センサ53によって検出された車速や、クランク角センサ46によって検出されたクランク角に対応するエンジン回転数や、図3のステップS106で設定された目標充填効率などを取得する。
次いで、ステップS302では、PCM60は、図3のステップS106で設定された目標充填効率に基づいて、理論空燃比(λ=1)となるような燃料噴射量を決定する。
次いで、ステップS303では、PCM60は、図4のステップS202と同様にして、現在のエンジン10等の運転領域がサージング発生領域であり、且つサージングを抑制可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、PCM60は、エンジン回転数と、エンジン負荷と、車両の変速機のロックアップ状態とに基づき、現在の運転領域がサージング発生領域であるか否かを判定すると共に、アクセル開度などに応じた目標トルクを低下させることでサージングを抑制可能な状態であるか否かを判定する。
ステップS303の判定の結果、現在の運転領域がサージング発生領域であり且つサージングを抑制可能な状態であると判定された場合(ステップS303:Yes)、ステップS304に進む。これに対して、現在の運転領域がサージング発生領域であり且つサージングを抑制可能な状態であると判定されなかった場合(ステップS303:No)、つまり現在の運転領域がサージング発生領域でない場合若しくはサージングを抑制可能な状態でない場合、PCM60は、燃料噴射量決定処理を終了する。この場合には、ステップS302で決定された燃料噴射量が適用されることとなる。
次いで、ステップS304では、PCM60は、サージングを未然に抑制すべく、ステップS302で決定した燃料噴射量を増量するための目標当量比(燃料増量率に相当する)を設定する。こうすることで、筒内での燃料の気化率の低下分だけ筒内に噴射する燃料を増量して、筒内での所望の量(燃焼を安定化するのに十分な量)の燃料の気化を確保することで、燃焼を安定化させてサージングを抑制するようにしている。具体的には、エンジン回転数及びエンジン負荷に対して設定すべき目標当量比が規定されたマップ(目標当量比マップ)を事前に規定しておき、PCM60は、そのような目標当量比マップを参照して、現在のエンジン回転数及びエンジン負荷に対応する目標当量比を設定する。この目標当量比マップについては、後のセクションにおいて図6及び図7を参照して詳述する。なお、目標当量比は、元の燃料噴射量(ステップS302で決定した燃料噴射量)に対する増量後の燃料噴射量の比率であり、基本的には1以上の値に設定される。
次いで、ステップS305では、PCM60は、ステップS302で決定した燃料噴射量を、ステップS304で設定した目標当量比に基づき補正する。具体的には、PCM60は、ステップS302で決定した燃料噴射量に対してステップS304で設定した目標当量比(1以上の値)を乗算することで、補正した燃料噴射量(基本的には増量した燃料噴射量)を決定する。
以上述べた燃料噴射量決定処理の終了後、PCM60は、図3のステップS109以降の処理を行う。
<目標当量比設定マップ>
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施形態による目標当量比マップについて具体的に説明する。上述したように、目標当量比マップは、エンジン回転数及びエンジン負荷に対して設定すべき目標当量比(燃料増量率)が事前に規定されたマップである。このように目標当量比マップを規定するエンジン回転数及びエンジン負荷は、それぞれ、上記したサージング発生領域を判定するために用いたエンジン回転数の所定値及びエンジン負荷の所定値よりも高いものとする(図4のステップS202及び図5のステップS303参照)。
図6は、本発明の実施形態による目標当量比マップに規定された、エンジン負荷と目標当量比との関係を示している。具体的には、図6は、目標当量比マップに関して、同一のエンジン回転数で見たときのエンジン負荷(横軸)と目標当量比(縦軸)との関係を示すグラフである。
図6に示すように、本実施形態では、同一のエンジン回転数で見たときに、エンジン負荷L1未満の低負荷域R11では、エンジン負荷の大きさによらずに一定の目標当量比に設定されるように、具体的には「1」に設定されように、目標当量比設定マップが規定されている。また、本実施形態では、エンジン負荷L1以上の高負荷域R12では、エンジン負荷が高くなるほど目標当量比が大きくなるように、目標当量比設定マップが規定されている。つまり、低負荷域R11では、燃料噴射量が増量されず(理論空燃比となるような燃料噴射量がそのまま適用される)、高負荷域R12では、燃料噴射量が増量され、この燃料噴射量を増量する量が、エンジン負荷が高くなるほど大きくなるように、目標当量比設定マップが規定されている。
なお、例えば、低負荷域R11はターボ過給機4による過給が行われない非過給域に相当し、高負荷域R12はターボ過給機4による過給が行われる過給域に相当する。
図6に示すように目標当量比設定マップを規定している理由は、以下の通りである。高負荷域R12では、筒内圧が高くなって燃料の沸点が上がり、燃料の気化率が低下することで、筒内での燃焼が不安定になってサージングが発生する傾向にある。そのため、本実施形態では、高負荷域R12では、筒内での所望の量の燃料の気化を確保して燃焼安定性を改善すべく、燃料の気化率の低下分だけ筒内に噴射する燃料を増量するように、1よりも大きな目標当量比に設定している。特に、高負荷域R12では、エンジン負荷が高くなるほど筒内圧が高くなって燃料の気化率の低下度合いが大きくなるので、エンジン負荷が高くなるほど目標当量比を大きくして、燃料噴射量を増量する量を大きくしている。一方で、低負荷域R11では、基本的には、筒内圧が比較的低いため、燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下に起因するサージングは発生しない。そのため、低負荷域R11で発生するサージングに対しては、燃料噴射量を増量してもほとんど効果がない。したがって、本実施形態では、低負荷域R11では、燃料噴射量を増量しないように、目標当量比を1に設定している。
次に、図7は、本発明の実施形態による目標当量比マップに規定された、エンジン回転数と目標当量比との関係を示している。具体的には、図7は、目標当量比マップに関して、上記したエンジン負荷L1以上の高負荷域R12における同一のエンジン負荷で見たときの、エンジン回転数(横軸)と目標当量比(縦軸)との関係を示すグラフである。
図7に示すように、本実施形態では、同一のエンジン負荷で見たときに、エンジン回転数N1未満の低回転域R21では、エンジン回転数の大きさによらずに、1よりも大きな一定の目標当量比に設定され、エンジン回転数N1以上の高回転域R22では、エンジン回転数の大きさによらずに目標当量比が1に設定されるように、目標当量比設定マップが規定されている。つまり、低回転域R21では、基本的には燃料噴射量が増量され、高回転域R22では、燃料噴射量が増量されないように(理論空燃比となるような燃料噴射量がそのまま適用される)、目標当量比設定マップが規定されている。
図7に示すように目標当量比設定マップを規定している理由は、以下の通りである。燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下に起因するサージングは、エンジン回転数の影響をほとんど受けない。具体的には、エンジン回転数の変化に応じて燃料の気化率はほとんど変化しない。即ち、エンジン回転数に応じて燃料噴射量を増量させる量を変化させても、燃焼安定性の改善(サージング抑制)にはほとんど効果がない。そのため、本実施形態では、基本的には、上記したようにエンジン負荷のみに応じて目標当量比を変化させることとし、エンジン回転数に応じては目標当量比を変化させないようにしている。
他方で、エンジン回転数N1以上の高回転域R22且つエンジン負荷L1以上の高負荷域R12では、PCM60は、排気系の部品(例えば触媒装置35など)の温度上昇を抑制するために燃料噴射量を増量する制御(温度上昇抑制用燃料増量)を実行する。このように燃料噴射量を増量することで、増量した燃料が気化するときの気化熱を利用して、排気系の部品を冷却(熱害防止)するようにしている。したがって、本実施形態では、温度上昇抑制用燃料増量が実行されている場合には、つまり高回転域R22且つ高負荷域R12においては、燃料増量が重複して実行されないようにすべく、サージング抑制のための燃料増量を禁止するように目標当量比を1に設定している。このように、本実施形態では、低回転域R21でのみ燃料増量を行うように1よりも大きな一定の目標当量比に設定し、高回転域R22では燃料増量を行わないように目標当量比を1に設定している。
なお、以上述べた目標当量比設定マップに規定する目標当量比の値は、サージングが許容範囲内となる燃焼安定性が得られる燃料噴射量を増量する量を実験などにより計測し、この計測結果を踏まえて、エンジン10の過渡時における実際の空燃比変動分を考慮して設定するのがよい。
<タイムチャート>
次に、図8を参照して、上記した本発明の実施形態による燃料噴射量決定処理(図5参照)を実行した場合の結果について説明する。図8は、本発明の実施形態による燃料噴射量決定処理を実行した場合のタイムチャートの一例を示す。具体的には、図8では、上から順に、エンジン回転数、車両加速度、充填効率、目標当量比、実際の当量比(実当量比)、サージング抑制フラグ、のそれぞれの時間変化を示している。また、図8において、実線のグラフは、本実施形態による燃料噴射量決定処理を実行した場合の結果を示している。また、破線のグラフは、本実施形態による燃料噴射量決定処理を実行しなかった場合(つまりサージング抑制のための燃料増量を実行しなかった場合)の結果を、比較例として示している。
図8に示すように、現在の運転領域がサージング発生領域であり且つサージングを抑制可能な状態であると判定されて、サージング抑制フラグがオンにされた後に、本実施形態による燃料噴射量決定処理を実行した場合には、燃料噴射量を増量するように目標当量比が1よりも大きな値に設定される。具体的には、本実施形態によれば、目標当量比設定マップ(図6参照)に基づき、エンジン負荷の上昇(つまり充填効率の上昇)に伴って、目標当量比が徐々に増加される。他方で、比較例では、目標当量比が1に維持され、燃料噴射量は増量されない。
このような本実施形態によれば、比較例と比較して、車両の加速度の変動(サージング)が効果的に抑制されていることがわかる。具体的には、加速度変動の振幅の大きさが、比較例よりも本実施形態のほうが小さくなっていることがわかる。こうなったのは、本実施形態によれば、目標当量比を1よりも大きな値に設定して燃料噴射量を増量したことで、筒内で気化する燃料量が適切に確保されて燃焼安定性が改善したからである。
<作用効果>
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、エンジン10のトルク変動に起因するサージング(加速度変動)が発生する可能性がある場合に、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて燃料噴射量を増量するので、筒内で気化する燃料量を適切に確保して燃焼安定性を改善することができる。よって、燃焼安定性の低下によるトルク変動に起因するサージングを適切に抑制することができる。その結果、本実施形態によれば、未然にサージングを適切に抑制することができるので、上記した特許文献1に記載された技術のようにサージングが実際に発生した場合に対処する方法と比較して、ドライバビリティや燃費やエミッションなどの悪化を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、高負荷域R12でのみ燃料噴射量を増量するので、つまり低負荷域R11では燃料噴射量を増量しないので、筒内圧が高い高負荷域R12での燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下に起因するサージングを適切に抑制しつつ、筒内圧が比較的低いために燃料の気化率が確保された低負荷域R11での無駄な燃料噴射量の増量を抑制することができる。つまり、低負荷域R11では、燃料の気化率が確保され燃焼が安定しているので、燃料噴射量の増量を禁止するようにして、燃費やエミッションなどの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、高負荷域R12では、エンジン負荷が高くなるほど筒内圧が高くなって燃料の気化率の低下度合いが大きくなるため、エンジン負荷が高くなるほど燃料噴射量を増量する量を大きくする。これにより、エンジン負荷に応じた適量の燃料を増量することができる。したがって、無駄な燃料の増量を抑制しつつ、高負荷域R12での燃焼を効果的に安定化させることができる。
また、本実施形態によれば、筒内圧が高くなる傾向にある過給域としての高負荷域R12において燃料噴射量を増量するので、そのような過給域での燃料の気化率の低下による燃焼安定性の低下を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン負荷のみに応じて燃料噴射量を増量する量を変化させることとし、エンジン回転数に応じては燃料噴射量を増量する量を変化させないようにする。つまり、燃料の気化率の改善(つまり燃焼安定性の改善)にはほとんど効果がない、エンジン回転数に応じた燃料の増量を禁止するので、無駄な燃料の増量を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、排気系の部品の温度上昇を抑制するために燃料噴射量を増量する制御(温度上昇抑制用燃料増量)が実行されている場合には、サージング抑制のための燃料増量を禁止するので、燃料増量が重複して実行されることを防止して、燃費やエミッションなどの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン回転数及びエンジン負荷の条件に加えて、車両の変速機のロックアップ状態に基づき、サージングが発生する可能性を判定する。具体的には、エンジン回転数及びエンジン負荷が所定値以上であり、且つ変速機がロックアップしている場合にのみ、サージングが発生する可能性があると判定し、変速機がロックアップしていない場合には、エンジン10のトルク変動が変速機によって吸収されるためサージングが発生する可能性はないと判定する。これにより、サージングの発生する可能性を適切に判断して、無駄な燃料の増量を抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジントルクを低下させることでサージングを抑制可能である場合にのみ、燃料噴射量を増量するので、サージングを抑制困難な状況での無駄な燃料噴射量の増量を抑制することができる。
1 吸気通路
4 ターボ過給機
4a コンプレッサ
4b タービン
6 スロットルバルブ
10 エンジン
11 燃焼室
12 吸気バルブ
13 燃料噴射弁
14 点火プラグ
17 排気バルブ
25 排気通路
26 EGR装置
35a、35b 触媒装置
60 PCM
100 エンジンシステム

Claims (8)

  1. エンジンの制御装置であって、
    エンジンの運転状態に基づいて、エンジンから出力されるトルクの変動に起因する車両の加速度変動が発生する可能性を判定する加速度変動判定手段と、
    上記加速度変動判定手段によって加速度変動が発生する可能性があると判定された場合に、エンジン回転数及び/又はエンジン負荷に基づいて、アクセルペダルの操作に応じて設定される燃料噴射量を増量側に補正する燃料噴射量補正手段と、
    上記燃料噴射量増量手段によって増量側に補正された燃料噴射量を噴射させるように燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、
    を有することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 上記燃料噴射量補正手段は、エンジン負荷が所定値以上である場合にのみ、燃料噴射量を増量側に補正する、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 上記燃料噴射量補正手段は、エンジン負荷が上記所定値以上である場合において、エンジン負荷が高くなるほど、燃料噴射量を増量側に補正する量を大きくする、請求項2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 過給機を備えるエンジンに適用され、
    エンジン負荷が上記所定値以上である領域は、上記過給機により過給が行われる過給域である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 上記燃料噴射量補正手段は、エンジン回転数に応じて燃料噴射量を増量側に補正する量を、エンジン負荷に応じて燃料噴射量を増量側に補正する量よりも小さくする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 排気系の部品の温度上昇を抑制するために燃料噴射量を増量する温度上昇抑制用燃料増量手段を更に備え、
    上記燃料噴射量補正手段は、上記加速度変動判定手段によって加速度変動が発生する可能性があると判定された場合であっても、上記温度上昇抑制用燃料増量手段により燃料噴射量が増量される場合には、燃料噴射量を増量側に補正することを禁止する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  7. 上記加速度変動判定手段は、エンジン回転数が所定値以上で、且つエンジン負荷が所定値以上で、尚且つ車両の変速機がロックアップしている場合に、上記加速度変動が発生する可能性があると判定する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  8. 上記燃料噴射量補正手段は、上記加速度変動判定手段によって加速度変動が発生する可能性があると判定された場合において、アクセルペダルの操作に応じて出力させるべきエンジントルクを低下させることで上記加速度変動を抑制可能である場合にのみ、燃料噴射量を増量側に補正する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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