JP2017179300A - ポリエチレン樹脂組成物、並びにその成形体及び容器 - Google Patents

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Maki Fukuda
真樹 福田
安田 薫
Kaoru Yasuda
薫 安田
由之 石濱
Yoshiyuki Ishihama
由之 石濱
山本 和弘
Kazuhiro Yamamoto
和弘 山本
福田 哲朗
Tetsuro Fukuda
哲朗 福田
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Abstract

【課題】中空成形性、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、外観に優れた成形品を製造することができるポリエチレン樹脂組成物、並びに、それよりなる成形体及び容器。【解決手段】特定のポリエチレン成分(A)を10〜40質量%、特定のポリエチレン成分(B)を10〜80質量%、特定のポリエチレン成分(C)を10〜80質量%含有し、特性(1)〜(5)を満足するポリエチレン樹脂組成物。特性(1):MFRが0.1〜1g/10分である。特性(2):HLMFRが10〜50g/10分である。特性(3):HLMFR/MFRが40〜140である。特性(4):密度が0.940〜0.965g/cm3である。特性(5):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測される。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン樹脂組成物、並びに、それよりなる成形体及び容器に関する。
ポリエチレンの中空成形、射出成形、インフレーション成形、押出成形においては、一般に成形加工性、及び物性の良好な材料が求められている。特に化粧品容器、洗剤、シャンプー及びリンス用容器、或いは食用油等の食品用容器等として一般的に使用されている中空ボトルには、成形加工性、物理的特性及び化学的特性に優れたポリエチレン樹脂が広く用いられている。
更に、近年ではコストダウンを図るため中空ボトルの軽量化、薄肉化が求められており、これらの中空ボトル用途においては、特に優れた耐環境応力亀裂性、耐衝撃強度等の特性が要求されている。このような要求を満たすポリエチレンとしては、分子量が比較的高く、かつ分子量分布が広いものが適している。
クロム系触媒を用いて重合されたポリエチレンは、比較的分子量分布が広く、かつ長鎖の分岐構造を有する分子構造から、中空成形し易い特性、具体的には溶融張力やスウェル比が大きいといった特徴を有しており、また、中空ボトルのピンチオフ部を均一に厚肉化し易いため、中空成形用材料として、一般的に広く利用されている。
また、チタン系触媒を用いて二段重合されたポリエチレンは、高分子量の成分に選択的にコモノマーを共重合させることにより、優れた耐環境応力亀裂性を付与することが可能であり、かつ低分子量成分の制御により分子量及び分子量分布を調節することも可能なことから、中空成形に適した高環境応力亀裂性グレードとして、一般的に広く利用されている。
そして、チタン系触媒を用いて二段重合したポリエチレンと、クロム系触媒を用いて重合したポリエチレンとを混合し、相互の長所を生かしたポリエチレン重合体組成物が開示されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
しかしながら、容器の軽量化及び意匠の多様化が益々進む中で、容器を薄肉化したまま容器の剛性を確保しようとすると、ポリエチレンの密度を高くする必要が生じ、即ちコモノマー共重合量を抑制する必要が生じ、耐環境応力亀裂性の維持とは相反するため、依然として、剛性と耐環境応力亀裂性のバランスに優れ、薄肉化に対応できる材料が求められている。
そのため、メタロセン系触媒を用いたポリエチレンを含み、剛性と耐環境応力亀裂性バランスを向上させた、多成分から成るポリエチレン樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献8〜13参照。)。
しかしながら、メタロセン系触媒を用いたポリエチレンは、比較的分子量分布が狭く、かつ均一なコモノマー分布を有する分子構造から、耐環境応力亀裂性に関しては極めて優れるものの、中空成形性に乏しく、具体的には溶融張力やスウェル比が小さいといった特徴を有していることから、特定の内容液を貯蔵する目的や、特定形状の容器としての利用に留まっている。
更には、特許文献8にも記載されるように、メタロセン系触媒を用いたポリエチレンは、同一密度見合いの融点や結晶化温度が低く、即ち、剛性見合いで溶けやすく、結晶化しにくいため、結晶化速度が遅くなるという現象が認められており、高速成形化のために、更に結晶化速度を早くする必要性を有している。
そして、メタロセン系触媒を用いたポリエチレンを含み、更にクロム系触媒を用いて重合したポリエチレンを混合し、互いの長所を生かし剛性と耐環境応力亀裂性のバランスに優れ中空成形性にも適することを目的としたポリエチレン重合体組成物が開示されている(例えば、特許文献14〜16)。
しかしながら、特許文献14には、高分子量のメタロセン系触媒を用いたポリエチレンとクロム系触媒を用いて重合したポリエチレンとを混合することにより機械強度と成形性、各成分の相溶性が良好で低ゲル性をも両立した組成物が開示されているが、当該組成物は、粘度が非常に高く、高速成形性には適さず、大型の中空成形容器などに用途が限定される。
また、特許文献15、16には、高分子量のメタロセン系触媒を用いたポリエチレンを含む組成物とクロム系触媒を用いて重合したポリエチレンとを混合することにより、機械強度と成形性を両立した組成物が開示されているが、当該組成物は、各成分の相溶性に関する検討は十分になされておらず、高分子量のメタロセン系触媒を用いたポリエチレンの分子量が高過ぎるたり、相溶性に寄与するクロム系触媒を用いて重合したポリエチレンの配合量が少ないため、十分な相溶性が得られず、成形品の外観などが必ずしも十分でない。
他方、メタロセン系触媒を用いたポリエチレンの耐環境応力亀裂性を更に高める目的として、分子量の増加は極めて有効である一方、他のポリエチレンとの相溶性は悪化するため、メタロセン系触媒を用いたポリエチレンを含むポリエチレン樹脂組成物においては相溶性と耐環境応力亀裂性を両立させる樹脂設計が重要にある。
このような事情に鑑み、従来の容器用ポリエチレン樹脂組成物に求められた中空成形性、高剛性、耐衝撃性等を有しながら、結晶化速度が速く、高速成形ハイサイクル化を達成でき、更には、成形品の外観に特に優れるポリエチレン材料が求められている。
そのため、本出願人は、中空成形性、高剛性、耐衝撃性等を有しながら、更なる高速成形ハイサイクル化を達成できる結晶化速度の速いポリエチレン材料等を見出し、先に、出願を行った(特許文献17〜19)。
特許文献17〜19には、特定のポリエチレン60〜90質量%に対し、Ti、Zr又はHfを含有するメタロセン系触媒を用いて重合され、HLMFR及び密度がそれぞれ特定の値であり、長鎖分岐構造を有する特定のエチレン系重合体10〜40質量%を含有してなり、かつ、特定の特性を満足する容器用ポリエチレン樹脂組成物が開示されている。
また、本出願人は、特許文献20において、特定の特性を満足するポリエチレン系樹脂と特定のエチレン・α−オレフィン共重合体とをそれぞれ特定量含有するポリエチレン樹脂組成物及びそれよりなる成形体を開示している。
しかしながら、製品に求められる要求性能は日々高まっており、上記従来技術の問題点において更なる性能改善が求められている。
特開昭59−196345号公報 特開昭59−196346号公報 特開昭60−036547号公報 特開2004−059650号公報 特開2004−091739号公報 特開2004−168817号公報 特開2005−298811号公報 特開平08−283476号公報 特開平08−283477号公報 特開2006−83370号公報 特開平11−106574号公報 特開平11−199719号公報 特開2009−7579号公報 特開2003−213053号公報 特開平11−138618号公報 特表2009−506163号公報 特開2013−204015号公報 特開2014−208749号公報 特開2014−208750号公報 特開2014−208817号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点等に鑑み、中空成形性、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、より薄く、軽量にて成形することができ、溶融張力が高く耐ドローダウン性に優れ、ピンチオフ特性も良好で、複雑形状の中空成形が可能である上に、樹脂成分の相溶性が高く、成形体の外観に特に優れるポリエチレン樹脂組成物及びそれよりなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)を特定量含有し、特定の特性を満足するポリエチレン樹脂組成物により、中空成形性、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、より薄く、軽量にて成形することができ、溶融張力が高く耐ドローダウン性に優れ、ピンチオフ特性も良好で、複雑形状の中空成形が可能である上に、樹脂成分の相溶性が高く、成形体の外観に優れるポリエチレン樹脂組成物及びそれよりなる成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、下記ポリエチレン成分(A)を10質量%以上40質量%以下、下記ポリエチレン成分(B)を10質量%以上80質量%以下、及び下記ポリエチレン成分(C)を10質量%以上80質量%以下含有し、下記の特性(1)〜(5)を満足することを特徴とする。
ポリエチレン成分(A);特性(a1):温度190℃、荷重21.6Kgにおけるメルトフローレート(HLMFR)が0.2g/10分以上、5g/10分未満であり、特性(a2):密度が0.915g/cm以上0.945g/cm以下であるポリエチレン。
ポリエチレン成分(B);特性(b1):HLMFRが2g/10分以上、400g/10分未満であり、特性(b2):密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であり、特性(b3):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレン。
ポリエチレン成分(C);特性(c1):温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が10g/10分以上、200g/10分以下であり、特性(c2):密度が0.960g/cm以上0.980g/cm以下であるポリエチレン。
特性(1):MFRが0.1g/10分以上、1g/10分以下である。
特性(2):HLMFRが10g/10分以上、50g/10分以下である。
特性(3):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が40以上140以下である。
特性(4):密度が0.940g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(5):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測される。
本発明のポリエチレン樹脂組成物において、ポリエチレン成分(A)は下記の特性(a3)を満足することが好ましい。
特性(a3):温度190℃において周波数ωが0.01rad/秒のとき測定される動的溶融粘度ηH・0.01(単位:Pa・秒)が100,000超過、1,000,000未満。
本発明のポリエチレン樹脂組成物において、ポリエチレン成分(A)は下記の特性(a4)を満足することが好ましい。
特性(a4):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が10以上35以下である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物において、ポリエチレン成分(C)は下記の特性(c3)及び(c4)を満足することが好ましい。
特性(c3):温度190℃、荷重11.1Kgにおけるメルトフローレート(MLMFR)が50g/10分以上、2,000g/10分以下である。
特性(c4):MFRに対するMLMFRの比であるメルトフローレート比(MLMFR/MFR)が3以上15以下である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物において、更に、下記の特性(6)を満足することが好ましい。
特性(6):190℃で測定される溶融張力(MT)が、60mN以上である。
本発明の成形体は、上記ポリエチレン樹脂組成物を用いて作成されることを特徴とする。
本発明の容器は、上記ポリエチレン樹脂組成物を用いて作成されることを特徴とする。
本発明によれば、中空成形性、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、より薄く、軽量にて成形することができ、溶融張力が高く耐ドローダウン性に優れ、ピンチオフ特性も良好で、複雑形状の中空成形が可能である上に、樹脂成分の相溶性が高く、成形体の外観に優れるポリエチレン樹脂組成物を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、表面性状が優れ、外観が良好である成形体及び容器を提供することができるという効果を奏する。
図1は典型的な伸長粘度のプロット図であり、伸長粘度の変曲点が観測される場合を説明する図である。 図2は典型的な伸長粘度のプロット図であり、伸長粘度の変曲点が観測されない場合を説明する図である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、下記ポリエチレン成分(A)を10質量%以上40質量%以下、下記ポリエチレン成分(B)を10質量%以上80質量%以下、及び下記ポリエチレン成分(C)を10質量%以上80質量%以下含有し、下記の特性(1)〜(5)を満足することを特徴とする。
ポリエチレン成分(A);特性(a1):温度190℃、荷重21.6Kgにおけるメルトフローレート(HLMFR)が0.2g/10分以上、5g/10分未満であり、特性(a2):密度が0.915g/cm以上0.945g/cm以下であるポリエチレン。
ポリエチレン成分(B);特性(b1):HLMFRが2g/10分以上、400g/10分未満であり、特性(b2):密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であり、特性(b3):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレン。
ポリエチレン成分(C);特性(c1):温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が10g/10分以上、200g/10分以下であり、特性(c2):密度が0.960g/cm以上0.980g/cm以下であるポリエチレン。
特性(1):MFRが0.1g/10分以上、1g/10分以下である。
特性(2):HLMFRが10g/10分以上、50g/10分以下である。
特性(3):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が40以上140以下である。
特性(4):密度が0.940g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(5):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測される。
以下、本発明を、項目毎に、詳細に説明する。
1.ポリエチレン成分(A)
特性(a1)
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、本発明の効果を奏する点から、HLMFRが0.2g/10分以上、5g/10分未満であるものを選択する。ポリエチレン成分(A)のHLMFRは、好ましくは0.3g/10分以上、1.0g/10分以下、更に好ましくは0.4g/10分以上、0.7g/10分以下の範囲である。このHLMFRが0.2g/10分未満であれば、最終の樹脂組成物において、HLMFRが規定の範囲内を達成できず、流動性が低下するおそれや、相溶性が低下するため、成形品の外観を損なうおそれがある。一方、このHLMFRが5g/10分以上であれば、最終樹脂組成物において、耐環境応力亀裂性が達成できず、成形品の長期耐久性が低下するおそれがある。
HLMFRは、JIS K6922−2:1997に準拠して測定することができる。
HLMFRは、主にポリエチレン成分(A)の重合時の水素量及び重合温度により調整することができる。
特性(a2)
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、本発明の効果を奏する点から、密度が0.915g/cm以上0.945g/cm以下であるものを選択する。ポリエチレン成分(A)の密度は、好ましくは0.920g/cm以上0.935g/cm以下、更に好ましくは0.924g/cm以上0.930g/cm以下である。密度が0.915g/cm未満であれば、最終の樹脂組成物における密度範囲を達成できず、剛性が不足し、かつ結晶化速度が低下し、その結果、成形サイクルが低下するおそれがある。一方、密度が0.945g/cmを超えた場合には、最終樹脂組成物において耐環境応力亀裂性能が低下するおそれがある。
密度は、JIS K6922−1,2:1997に準拠して測定することができる。
密度は、主にポリエチレン成分(A)の重合時のα−オレフィンの量により調整することができる。
特性(a3)
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、下記の特性(a3)を満足することが好ましい。
特性(a3):温度190℃において周波数ωが0.01rad/秒で測定される動的溶融粘度ηH・0.01(単位:Pa・秒)が100,000超過、1,000,000未満。
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、特性(a3)において、周波数ωが0.01rad/秒の動的溶融粘度ηH・0.01(単位:Pa・秒)が、1,000,000未満が好ましいが、800,000未満がより好ましく、600,000未満がより更に好ましい。一方、下限は、特に限定されないが、好ましくは、最終樹脂組成物において高い耐環境応力亀裂性能を維持するため適度な分子量が求められる理由により、100,000超過が好ましく、200,000以上がより好ましく、300,000以上がより更に好ましい。上記動的溶融粘度が1,000,000未満だと、ポリエチレン成分(A)の粘度が低く抑えられ、低分子量成分のポリエチレン成分(C)と高分子量成分のポリエチレン成分(A)との粘度比とを小さく抑えることができ、相溶性に優れた組成物とすることができる。そのため、成形品の外観を良好にしやすく、耐衝撃性などの物性の低下を抑制しやすい。
動的溶融粘度は、試料に酸化防止剤(BASFジャパン社製IRGANOX B225)2000ppmを配合し溶融混練したものを熱プレスにより厚さ1.0mmのシートに成形し、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、パラレルプレートを用いて試料をプレートに密着させて溶融した後、温度210〜220℃で応力を緩和させて、試料をプレート間に隙間ができないようプレート間隔を調整しながら温度190℃まで降温させ、プレート間隔約1.0mm、歪み0.2ないし1%の範囲で測定を行い、周波数ωが0.01rad/秒で測定することができる。
ポリエチレン成分(A)の動的溶融粘度は、一般的に分子量、分子量分布及び長鎖分岐構造などにより制御することができる。従って、該動的溶融粘度が特定範囲であるポリエチレン成分(A)を得るためには、特定の分子量及び分子量分布を有し適度の長鎖分岐構造のポリエチレンとすることにより、また、特定の触媒を用いて重合することにより、好適に得ることができる。
特性(a4)
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、下記の特性(a4)を満足することが好ましい。
特性(a4):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が10以上35以下である。
特性(a4)によれば、HLMFR/MFRは、好ましくは、30以下、更に好ましくは、25以下、一方、好ましくは、15以上、更に好ましくは、20以上である。
HLMFR/MFRは、分子量分布との相関が強く、HLMFR/MFRが大きな値をとる場合、分子量分布は広くなり、HLMFR/MFR小さな値をとる場合、分子量分布は狭くなる。HLMFR/MFRが35を超えると、長鎖分岐構造による影響が強く表れることを示唆しており、HLMFR/MFRが35以下であれば、各成分の相溶性が良好になり易い。即ち、ポリエチレン成分(C)との相溶性がが良好になり易く、成形体の表面性状が平滑になり易く外観に優れ、成形品の耐衝撃性などの物性の低下を抑制しやすい。一方、下限は、特に限定されないが、好ましくは、耐衝撃性や耐環境応力亀裂性(ESCR)が求められる理由により、10以上が好ましい。
MFRは、JIS K6922−2:1997に準拠して測定することができる。
また、HLMFR/MFRの制御方法は、主に分子量分布の制御方法に準じて行うことができる。
特性(a5)
更に、本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、長鎖分岐構造を有することが好ましい。ポリエチレン成分(A)が長鎖分岐構造を有すると、ポリエチレン樹脂組成物において歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されることが容易となる。即ち、本発明のポリエチレン成分(A)が長鎖分岐構造を有する場合、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されることが容易となる。該変曲点が観測されることにより、ポリエチレン樹脂組成物において、結晶化速度を極めて有効に速くすることができる、成形サイクルが向上する等の効果がある。
ポリエチレン成分(A)の長鎖分岐構造とHLMFR/MFRとの関係は、以下のように考えられる。一般に、ポリエチレンが長鎖分岐構造を有する場合、長鎖分岐の絡み合いに由来する緩和時間の長い成分が増大する。そのことにより、同じ分子量及び分子量分布を有しても、低剪断速度領域における粘度が増大するため、η(ゼロ剪断粘度)が大きな値を示し、MFRが小さくなり、HLMFR/MFRが増大する。即ち、HLMFR/MFRが大きな値をとることは、長鎖分岐の絡み合いの増加を示唆する指標の一つとしてとらえられる。よって、ポリエチレン樹脂組成物において伸長粘度の変曲点が観測され、かつポリエチレン成分(A)においてHLMFR/MFRが10以上35以下であることは、ポリエチレン成分(A)が制御された特定の長鎖分岐構造を有することを示唆している。
本明細書において、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点の有無は、歪硬化度の測定において観察できるものである。
上記歪硬化度の測定方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られ、例えば、公知文献:Polymer 42(2001)8663に測定方法及び測定機器の詳細が記載されている。
本発明に係るポリエチレンの測定に当り、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法:
・装置:Rheometrics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:170℃
・歪み速度:0.1/秒
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
算出方法:
170℃、歪み速度0.1/秒における伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(t)(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義する。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断される。
図1、図2は典型的な伸長粘度のプロット図である。図1は伸長粘度の変曲点が観測される場合であり、図中にηMax(t1)、ηLinear(t1)を示した。図2は伸長粘度の変曲点が観測されない場合である。
ポリエチレン成分(A)が、長鎖分岐構造を有するためには、適当な重合触媒を適用して重合することが好ましく、後述するような重合触媒の中から選択することが好ましい。
特性(a6)
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、下記の特性(a6)を満足することが好ましい。
特性(a6):温度190℃において周波数ωが100rad/秒〜0.01rad/秒の範囲で測定した動的溶融粘度η(Pa・秒)を下記の関係式(2)で近似したときのゼロ剪断粘度η(Pa・秒)が100,000以上1,000,000以下である。
η/η=1/{1+(τω)} 関係式(2)
(関係式(2)中、τは緩和時間を表すパラメーター、nは高剪断速度領域における溶融粘度の剪断速度依存性を示すパラメーターである。)
本発明に用いられるポリエチレン成分(A)は、特性(a6)において、ゼロ剪断粘度η(単位:Pa・秒)が1,000,000以下であることが好ましいが、800,000未満がより好ましく、600,000未満がより更に好ましい。一方、下限は、特に限定されないが、好ましくは、最終樹脂組成物において高い耐環境応力亀裂性能を維持するため適度な分子量が求められる理由により、100,000以上が好ましい。より好ましくは200,000以上、更に好ましくは400,000以上である。上記ゼロ剪断粘度が1,000,000以下であると、ポリエチレン成分(A)の粘度が低く抑えられ、低分子量成分のポリエチレン成分(C)と高分子量成分のポリエチレン成分(A)との粘度比とを小さく抑えることができ、相溶性に優れた組成物とすることができる点から好ましい。そのため、成形品の外観を良好にしやすく、耐衝撃性などの物性の低下を抑制しやすい。
ゼロ剪断粘度η(単位:Pa・秒)は、剪断流動ゼロにおける剪断粘度として定義され、本明細書においては、緩和時間τ(秒)と共に、ANTEC’94(The Society of Plastics Engineers, 1994), 1814ページ(S. Lai等著)に従って、動的溶融粘度η(単位:Pa・秒)をクロスの粘度式(下記の関係式(2))で近似して求められる値をいう。ここで動的溶融粘度ηは、190℃においてパラレルプレートを用いてプレート間隔1.0mm、歪み0.2ないし1%で、周波数ωが100〜0.01(単位:rad/秒)の範囲で測定した際に得られる値であって、レオメータ(Rheometrics社製Ares)で得ることができ、その結果の下記の関係式(2)への近似は回帰法により市販されているコンピュータープログラムを用いて計算することができる。
η/η=1/{1+(τω)} 関係式(2)
上記の関係式(2)中、nは高剪断速度領域における溶融粘度の剪断速度依存性を示すパラメーターであり、τは緩和時間を表すパラメーターである。
なお、一般的に、分子量の異なるポリエチレン同士、言い換えれば、粘度の異なるポリエチレン同士を溶融混合する場合、両者の粘度比が小さいほうが混ざりやすく、粘度比が大きくなり過ぎると、粘度の高い高分子量の成分が分散不良により偏在化、ゲルとなり、外観不良の原因となることが知られている。例えば、ニュートン流体においてはより詳細な研究が行われており、粘度比の異なる液体同士を混合する場合において、高粘度液体が分散するための条件:キャピラリー数が、混練様式と両者の粘度比によって整理できることが報告されている(H.P.Grace: Chem. Eng. Commun., 14, 225(1982))。また、粘度比が異なる液体同士が混在する系に同じ歪を加えた場合、粘度比が大きい系ほど、高粘度液体の歪速度は小さくなり、分散不良の要因のとなることも報告されている(A.Biswas et al.:SPE−ANTEC, 336(1994))。
一方、ポリエチレン樹脂等は、非ニュートン流体であるため、粘度が剪断速度に依存するため上記知見を単純に適用することはできないが、上記知見を参考にすることができると考えられ、これらの知見からも、粘度比の大きなポリエチレン同士の分散においては、高粘度成分の歪速度の小さな領域の粘度が重要な因子であると考えられ、樹脂の歪速度の小さな領域の粘度が本発明の範囲内であると、ポリエチレン成分(A)がポリエチレン樹脂組成物中に高度に分散されることになるものと推測される。
また、上記のポリエチレン成分(A)のゼロ剪断粘度ηの値は、一般的に分子量、分子量分布及び長鎖分岐などにより調整することができる。従って、該ゼロ剪断粘度ηが特定の範囲のものを得るには特定の分子量及び分子量分布を有し、適度に制御された長鎖分岐構造とすればよいが、以下に説明するとおり、特定の触媒を用いることにより、好適に製造することができる。
なお、上述より、長鎖分岐構造を有する成分を含有する樹脂組成物においては、相溶性が劣るおそれがあると考えられている。ところが、長鎖分岐構造を有していても、特定のメルトフローレート比(HLMFR/MFR)、更には、特定の粘度特性を持つ成分を用いることによって、長鎖分岐の長さ及び/又は数が制御されていると推測され、樹脂組成物において、上記の相溶性が改善されつつ、長鎖分岐構造を有することによる効果も発揮され、上記したとおりの本発明の効果が発揮されることが見出された。
本発明に用いられる長鎖分岐構造を有するポリエチレン成分(A)は、製造方法としては特に限定されないが、好ましくは、重合触媒として、特定のメタロセン系触媒、即ち、特定構造のメタロセン錯体を有する触媒を使用して、重合することにより製造することができる。
また、長鎖分岐構造を有するポリエチレン成分(A)は、エチレンへの連鎖移動によって末端ビニル基を有するポリエチレン(マクロモノマー)を生成させ、マクロモノマーとエチレンの共重合を経て得ることができる。
メタロセン系触媒の中では、特定構造のメタロセン錯体を有する触媒が好ましく、特にシクロペンタジエニル環及び複素環式芳香族基を有するメタロセン錯体、又はシクロペンタジエニル環及びフルオレニル環を有するメタロセン錯体が好ましい。
ポリエチレン成分(A)は、Ti、Zr又はHfを含有するメタロセン系触媒により重合されることが重要である。メタロセン系触媒としては、メタロセン錯体と呼ばれる、シクロペンタジエン骨格を有する配位子が遷移金属に配位してなる錯体と助触媒とを組み合わせたものが例示される。具体的なメタロセン系触媒としては、Ti、Zr、Hfなどを含む遷移金属に、メチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、インデン等のシクロペンタジエン骨格を有する配位子が配位してなるメタロセン錯体と、助触媒として、アルミノキサン等の周期表第1族〜第3族元素の有機金属化合物とを、組み合わせたものや、これらの錯体触媒をシリカ等の担体に担持させた担持型のものが挙げられる。
本発明で用いられるメタロセン系触媒は、以下の触媒成分(i)及び触媒成分(ii)を含むものであり、必要に応じて触媒成分(iii)と組み合わせてなる触媒である。
触媒成分(i):メタロセン錯体
触媒成分(ii):触媒成分(i)と反応して、カチオン性メタロセン化合物を形成する化合物
触媒成分(iii):微粒子担体
(1)触媒成分(i)
触媒成分(i)は、周期表第4族遷移金属のメタロセン化合物が用いられる。具体的には、下記の一般式(I)〜(VII)で表される化合物が使用される。
(C5−a )(C5−b )MXY 一般式(I)
(C4−c )(C4−d )MXY 一般式(II)
(C4−e )ZMXY 一般式(III)
(C5−f )ZMXY 一般式(IV)
(C5−f )MXYW 一般式(V)
(C5−g )(C5−h )MXY 一般式(VI)
(C3−i )(C3−j )MXY 一般式(VII)
ここで、Q、Q、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、Qは共役五員環配位子とZ基を架橋する結合性基を、QはRとRを架橋する結合性基を、Mは周期表第3〜12族遷移金属を、X、Y及びWはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を、Zは酸素、イオウを含む配位子、炭素数1〜40の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜40の窒素含有炭化水素基又は炭素数1〜40のリン含有炭化水素基を示す。Mは、好ましくはTi、Zr、Hf等の第4族遷移金属である。
〜Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、酸素含有炭化水素基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。これらの中で、R〜Rの少なくとも1つが複素環式芳香族基であることが好ましい。複素環式芳香族基の中でも、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基が好ましく、更には、フリル基、ベンゾフリル基が好ましい。これらの複素環式芳香族基は、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を有していても良いが、その場合、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基が好ましい。また、隣接する2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、又は2個のRが、それぞれ結合して炭素数4〜10個の環を形成していてもよい。a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、それぞれ0≦a≦5、0≦b≦5、0≦c≦4、0≦d≦4、0≦e≦4、0≦f≦5、0≦g≦5、0≦h≦5、0≦i≦3、0≦j≦3を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Q、Q、Q、共役五員環配位子とZ基とを架橋する結合性基Q、及び、RとRを架橋するQは、具体的には下記のようなものが挙げられる。メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のような珪素含有架橋基、ゲルマニウム含有架橋基、アルキルフォスフィン、アミン等である。これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、珪素含有架橋基、及びゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
上述の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される具体的なZr錯体を下記に例示するが、ZrをHf又はTiに置き換えた化合物も同様に使用可能である。また、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で示されるメタロセン錯体は、同一の一般式で示される化合物、又は異なる一般式で示される化合物の二種以上の混合物として用いることができる。
一般式(I)の化合物
ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスフルオレニルジルコニウムジクロリド、ビス(4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4H−アズレニル)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−フリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−フリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−フリル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド。
一般式(II)の化合物
ジメチルシリレンビス(1,1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4−フェニル−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド。
ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−フリルシクロペンタジエニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−{2−[2−(5−トリメチルシリル)フリル]−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル}}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−(5−メチル)フリル)−4−フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(4−イソプロピル)フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(4−t−ブチル)フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド。
一般式(III)の化合物
(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)−(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル−ジルコニウムジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−メチレンジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(フエニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
一般式(IV)の化合物
(シクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド。
一般式(V)の化合物
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド。
一般式(VI)の化合物
エチレンビス(7,7’−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−メチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7,7’−(1−エチル−3−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−イソプロピル−3−(4−クロロフェニル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド。
一般式(VII)の化合物
(i)2級炭素を含む錯体の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH
meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(CH、である。
(ii)3級炭素を含む化合物の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(CH、である。
(iii)アルキルシリル基を含む化合物の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、である。
これらの中で好ましいのは、2級炭素と1級炭素の組み合わせの化合物であり、更に好ましいのは、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、である。
なお、これら具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。
メタロセン錯体の特殊な例として、特開平7−188335号公報やJounal of American Chemical Society,1996、Vol.11 8,2291に開示されている5員環あるいは6員環に炭素以外の元素を一つ以上含む配位子を有する遷移金属化合物も使用可能である。
また、複素環式炭化水素基を置換基として有するメタロセン錯体の例としては、特許第3674509号公報に開示されている。
以上において記載した触媒成分(i)の中で、ポリエチレン成分(A)を製造するための好ましいメタロセン錯体としては、一般式(I)又は一般式(II)で表されるメタロセン錯体が好ましく、なかでも、シクロペンタジエニル環及び複素環式芳香族基を有するメタロセン錯体が好ましく、更には、インデニル環骨格を有するメタロセン錯体が好ましい。高分子量のポリマーを生成可能であり、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合において共重合性に優れるという観点から、一般式(II)で表されるメタロセン錯体が好ましく、一般式(II)で表されインデニル環骨格を有するメタロセン錯体が最も好ましい。高分子量体を製造可能ということは、後述するような種々のポリマーの分子量の調整手法により、様々な分子量のポリマーの設計が行えるという利点がある。
更に、高分子量でかつ長鎖分岐を有するポリエチレンを製造可能という観点から、一般式(II)で表されるメタロセン錯体の中でも、以下の化合物群が好ましい。
好ましい態様の一例として、化合物群は、R〜Rとして、化合物内に少なくとも一つ、複素環式芳香族基を含有している架橋メタロセン錯体である。好ましい複素環式芳香族基としては、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基よりなる群が挙げられる。これらの置換基は、更に珪素含有基等の置換基を有していてもよい。フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基よりなる群から選択される置換基の中で、フリル基、ベンゾフリル基が更に好ましい。更には、これらの置換基が、置換シクロペンタジエニル基又は置換インデニル基の2位に導入されていることが好ましく、少なくとも1つ、他に縮環構造を有しない置換シクロペンタジエニル基を有している化合物であることが特に好ましい。
これらの化合物をメタロセン錯体として用いることにより、更には、特定の重合条件を採用することにより、本発明において好ましいポリエチレン成分(A)を容易に製造することができる。
これらのメタロセン錯体は、後述するような担持触媒として用いることが好ましい。第一の化合物群においては、フリル基やチエニル基に含有されるいわゆるヘテロ原子と担体上の固体酸などの相互作用により、活性点構造に不均一性が生じ、長鎖分岐が生成しやすくなったものと考えている。また、第二の化合物群においても、担持触媒にすることで、活性点まわりの空間が変化するため、長鎖分岐が生成しやすくなったものと考えている。
(2)触媒成分(ii)
本発明に係るポリエチレン成分(A)の製造方法は、オレフィン重合用触媒の必須成分として、上記触媒成分(i)以外に、触媒成分(i)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(触媒成分(ii))、必要に応じて微粒子担体(触媒成分(iii))を含むことに、特徴がある。
触媒成分(ii)の一つとして、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100個、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いる有機アルミニウム化合物は、下記の一般式(VIII)で表される化合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
AlX 3−t 一般式(VIII)
(一般式(VIII)中、Rは、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、Xは、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のいずれでも差し支えないが、メチル基であることが特に好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1〜1.2/1、特に、0.5/1〜1/1であることが好ましく、反応温度は、通常−70〜100℃、好ましくは−20〜20℃の範囲にある。反応時間は、通常5分〜24時間、好ましくは10分〜5時間の範囲で選ばれる。反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等に含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。
なお、上記した有機アルミニウムオキシ化合物のうち、アルキルアルミニウムと水とを反応させて得られるものは、通常、アルミノキサンと呼ばれ、特にメチルアルミノキサン(実質的にメチルアルミノキサン(MAO)からなるものを含む)は、有機アルミニウムオキシ化合物として、好適である。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶液又は分散させた溶液としたものを用いても良い。
また、触媒成分(ii)の他の具体例として、ボラン化合物やボレート化合物が挙げられる。
上記ボラン化合物をより具体的に表すと、トリフェニルボラン、トリ(o−トリル)ボラン、トリ(p−トリル)ボラン、トリ(m−トリル)ボラン、トリ(o−フルオロフェニル)ボラン、トリス(p−フルオロフェニル)ボラン、トリス(m−フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
これらの中でも、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランがより好ましく、更に好ましくはトリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボランが好ましい化合物として例示される。
また、ボレート化合物を具体的に表すと、第1の例は、次の一般式(IX)で示される化合物である。
[L−H][BR 一般式(IX)
一般式(IX)中、Lは、中性ルイス塩基であり、Hは、水素原子であり、[L−H]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウム等のブレンステッド酸である。
アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。
また、アニリニウムとしては、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムなどのN,N−ジアルキルアニリニウムが例示できる。
更に、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
また、一般式(IX)中、R及びRは、6〜20、好ましくは6〜16の炭素原子を含む、同じか又は異なる芳香族又は置換芳香族炭化水素基で、架橋基によって互いに連結されていてもよく、置換芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等に代表されるアルキル基やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンが好ましい。
更に、X及びXは、ハイドライド基、ハライド基、1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された1〜20の炭素原子を含む置換炭化水素基である。
上記一般式(IX)で表される化合物の具体例としては、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
これらの中でも、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレートが好ましい。
また、ボレート化合物の第2の例は、次の一般式(X)で表される。
[L[BR 一般式(X)
一般式(X)中、Lは、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、tert−ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトン等が挙げられる。また、R、R、X及びXは、前記一般式(IX)における定義と同じである。
上記化合物の具体例としては、トリチルテトラフェニルボレート、トリチルテトラ(o−トリル)ボレート、トリチルテトラ(p−トリル)ボレート、トリチルテトラ(m−トリル)ボレート、トリチルテトラ(o−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(p−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(m−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラフェニルボレート、トロピニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(m−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(o−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(p−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(m−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaBPh、NaB(o−CH−Ph)、NaB(p−CH−Ph)、NaB(m−CH−Ph)、NaB(o−F−Ph)、NaB(p−F−Ph)、NaB(m−F−Ph)、NaB(3,5−F−Ph)、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、NaB(3,5−(CF−Ph)、NaB(C10、HBPh・2ジエチルエーテル、HB(3,5−F−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C ・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルを例示することができる。
これらの中でも、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジトフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、NaB(3,5−(CF−Ph)、NaB(C10、HB(C ・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが好ましい。
更に好ましくは、これらの中でもトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、HB(C ・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが挙げられる。
更に特に好ましい触媒成分(ii)としては、有機アルミニウムオキシ化合物である。
これらの化合物を触媒成分(ii)として用いることにより、更には、特定の重合条件を採用することにより、本発明において好ましいポリエチレン成分(A)を容易に製造することができる。
(3)触媒成分(iii)
触媒成分(iii)である微粒子担体としては、無機物担体、粒子状ポリマー担体又はこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、又はこれらの混合物が使用可能である。
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
また、金属酸化物としては、周期表1〜14族の元素の単独酸化物又は複合酸化物が挙げられ、例えば、SiO、Al、MgO、CaO、B、TiO、ZrO、Fe、Al・MgO、Al・CaO、Al・SiO、Al・MgO・CaO、Al・MgO・SiO、Al・CuO、Al・Fe、Al・NiO、SiO・MgOなどの天然又は合成の各種単独酸化物又は複合酸化物を例示することができる。
ここで、上記の式は、分子式ではなく、組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複合酸化物の構造及び触媒成分比率は特に限定されるものではない。
また、本発明において用いる金属酸化物は、少量の水分を吸収していても差し支えなく、少量の不純物を含有していても差し支えない。
金属塩化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物が好ましく、具体的にはMgCl、CaClなどが特に好適である。
金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
炭素質物としては、例えば、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
以上の無機物担体は、いずれも本発明に好適に用いることができるが、特に金属酸化物、シリカ、アルミナなどの使用が好ましい。
これら無機物担体は、通常、200〜800℃、好ましくは400〜600℃で空気中又は窒素、アルゴン等の不活性ガス中で焼成して、表面水酸基の量を0.8〜1.5mmol/gに調節して用いるのが好ましい。
これら無機物担体の性状としては、特に制限はないが、通常、平均粒径は5〜200μm、好ましくは10〜150μm、平均細孔径は20〜1000Å、好ましくは50〜500Å、比表面積は150〜1000m/g、好ましくは200〜700m/g、細孔容積は0.3〜2.5cm/g、好ましくは0.5〜2.0cm/g、見掛け比重は0.10〜0.50g/cmを有する無機物担体を用いるのが好ましい。
上記した無機物担体は、もちろんそのまま用いることもできるが、予備処理としてこれらの担体をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物に接触させた後、用いることができる。
更に特に好ましい触媒成分(iii)としては、SiO、Al、Al・SiOが挙げられる。
これらの化合物を触媒成分(iii)として用いることにより、更には、特定の重合条件を採用することにより、本発明において好ましいポリエチレン成分(A)を容易に製造することができる。
(4)接触方法等
本発明に係るメタロセン系触媒は、触媒成分(i)と、触媒成分(ii)、及び必要に応じて触媒成分(iii)からなる触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
接触方法(1):触媒成分(i)と、触媒成分(ii)とを接触させた後、触媒成分(iii)を接触させる。
接触方法(2):触媒成分(i)と、触媒成分(iii)とを接触させた後、触媒成分(ii)を接触させる。
接触方法(3):触媒成分(ii)と、触媒成分(iii)とを接触させた後、触媒成分(i)を接触させる。
これらの接触方法の中で接触方法(1)及び(3)が好ましく、更に接触方法(1)が最も好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下又は非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
この接触は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜100℃、更に好ましくは0℃〜50℃の温度にて、5分〜50時間、好ましくは30分〜24時間、更に好ましくは30分〜12時間で行うことが望ましい。
また、触媒成分(i)、触媒成分(ii)と触媒成分(iii)の接触に際しては、上記した通り、ある種の成分が可溶ないしは難溶な芳香族炭化水素溶媒と、ある種の成分が不溶ないしは難溶な脂肪族又は脂環族炭化水素溶媒とがいずれも使用可能である。
各成分同士の接触反応を段階的に行う場合にあっては、前段で用いた溶媒などを除去することなく、これをそのまま後段の接触反応の溶媒に用いてもよい。また、可溶性溶媒を使用した前段の接触反応後、ある種の成分が不溶もしくは難溶な液状不活性炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素あるいは芳香族炭化水素)を添加して、所望生成物を固形物として回収した後に、あるいは一旦可溶性溶媒の一部又は全部を、乾燥等の手段により除去して所望生成物を固形物として取り出した後に、この所望生成物の後段の接触反応を、上記した不活性炭化水素溶媒のいずれかを使用して実施することもできる。本発明では、各成分の接触反応を複数回行うことを妨げない。
本発明において、触媒成分(i)と、触媒成分(ii)と、触媒成分(iii)の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
触媒成分(ii)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、触媒成分(i)中の遷移金属(M)に対する有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウムの原子比(Al/M)は、通常、1〜100,000、好ましくは5〜1,000、更に好ましくは50〜200の範囲が望ましく、また、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、メタロセン化合物中の遷移金属(M)に対する、ホウ素の原子比(B/M)は、通常、0.01〜100、好ましくは0.1〜50、更に好ましくは0.2〜10の範囲で選択することが望ましい。
更に、触媒成分(ii)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物、ボレート化合物との混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、遷移金属(M)に対して上記と同様な使用割合で選択することが望ましい。
触媒成分(iii)の使用量は、触媒成分(i)中の遷移金属0.0001〜5mmol当たり、好ましくは0.001〜0.5mmol当たり、更に好ましくは0.01〜0.1mmol当たり、1gである。
触媒成分(i)と、触媒成分(ii)と、触媒成分(iii)とを、前記接触方法(1)〜(3)のいずれかで相互に接触させ、しかる後、溶媒を除去することで、オレフィン重合用触媒を固体触媒として得ることができる。溶媒の除去は、常圧下又は減圧下、0〜200℃、好ましくは20〜150℃で1分〜50時間、好ましくは10分〜10時間で行うことが望ましい。
なお、メタロセン系触媒は、以下の方法によっても得ることができる。
接触方法(4):触媒成分(i)と触媒成分(iii)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と接触させる。
接触方法(5):有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と触媒成分(iii)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で触媒成分(i)と接触させる。
上記接触方法(4)、(5)の場合も、成分比、接触条件及び溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
また、本発明に係るポリエチレン成分(A)の製造方法の必須成分である触媒成分(ii)と触媒成分(iii)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いることもできる。
層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物である。
大部分の層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
一般に、天然品は、非イオン交換性(非膨潤性)であることが多く、その場合は好ましいイオン交換性(ないし膨潤性)を有するものとするために、イオン交換性(ないし膨潤性)を付与するための処理を行うことが好ましい。そのような処理のうちで特に好ましいものとしては、次のような化学処理が挙げられる。
ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
具体的には、(イ)塩酸、硫酸等を用いて行う酸処理、(ロ)NaOH、KOH、NH等を用いて行うアルカリ処理、(ハ)周期表第2族〜第14族から選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンとハロゲン原子又は無機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンからなる塩類を用いた塩類処理、(ニ)アルコール、炭化水素化合物、ホルムアミド、アニリン等の有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
前記層状珪酸塩は、全ての工程の前、間、後のいずれの時点においても、粉砕、造粒、分粒、分別等によって、粒子性状を制御することができる。その方法は、合目的的な任意のものであり得る。特に、造粒法について示せば、例えば、噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法及び液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法及び圧縮造粒法である。
上記した層状珪酸塩は、もちろんそのまま用いることもできるが、これらの層状珪酸塩をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明に係るメタロセン系触媒において、触媒成分(i)を、層状珪酸塩に担持するには、触媒成分(i)と層状珪酸塩を相互に接触させる、あるいは触媒成分(i)、有機アルミニウム化合物、層状珪酸塩を相互に接触させてもよい。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
接触方法(6):触媒成分(i)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
接触方法(7):触媒成分(i)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
接触方法(8):有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、触媒成分(i)と接触させる。
これらの接触方法の中で接触方法(6)と(8)が好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下又は非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
触媒成分(i)と、有機アルミニウム化合物、層状珪酸塩担体の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
触媒成分(i)の担持量は、層状珪酸塩担体1gあたり、0.0001〜5mmol、好ましくは0.001〜0.5mmol、更に好ましくは0.01〜0.1mmolである。
また、有機アルミニウム化合物を用いる場合のAl担持量は、0.01〜100mol、好ましくは0.1〜50mol、更に好ましくは0.2〜10molの範囲であることが望ましい。
担持及び溶媒除去の方法は、前記の無機物担体と同様の条件が使用できる。
触媒成分(ii)と触媒成分(iii)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いると、重合活性が高く、長鎖分岐を有するエチレン系重合体の生産性が向上する。
こうして得られるオレフィン重合用触媒は、必要に応じてモノマーの予備重合を行った後に使用しても差し支えない。
メタロセン系触媒の製造例として、例えば、特表2002−535339号公報や特開2004−189869号公報に記載の「触媒」及び「原料の配合比や条件」を参酌することにより、製造することができる。また、重合体のインデックスは、各種重合条件により制御することができ、例えば、特開平2−269705号公報や特開平3−21607号公報記載の方法により制御することができる。
ポリエチレン成分(A)は、エチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等との共重合により得られる。また、改質を目的とする場合のジエンとの共重合も可能である。このとき使用されるジエン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。なお、重合の際のコモノマー含有率は、任意に選択することができるが、例えば、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合の場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜40mol%、好ましくは0〜30mol%である。
なお、本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられる各ポリエチレン成分に使用されるエチレンは、通常の化石原料由来の原油から製造されるエチレンであってもよいし、植物由来のエチレンであってもよい。植物由来のエチレン及びポリエチレンとしては、例えば、特表2010−511634号公報に記載のエチレンやそのポリマーが挙げられる。植物由来のエチレンやそのポリマーは、カーボンニュートラル(化石原料を使わず大気中の二酸化炭素の増加につながらない)の性質を持ち、環境に配慮した製品の提供が可能である。
生成重合体の分子量は、重合温度、触媒のモル比等の重合条件を変えることによってもある程度調節可能であるが、重合反応系に水素を添加することで、より効果的に分子量調節を行うことができる。
また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。
なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
ポリエチレン成分(A)は、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの製造プロセスにより製造することができ、好ましくはスラリー重合法が望ましい。ポリエチレン成分(A)の重合条件のうち重合温度としては、0〜200℃の範囲から選択することができる。スラリー重合においては、生成ポリマーの融点より低い温度で重合を行う。重合圧力は、大気圧〜約10MPaの範囲から選択することができる。実質的に酸素、水等を断った状態で、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下でエチレン及びα−オレフィンのスラリー重合を行うことにより製造することができる。
ポリエチレン成分(A)は、本発明で規定の範囲を満たせば、単一の重合器、直列もしくは並列に接続した複数の反応器で順次連続して重合、及び複数のエチレン重合体を別々に重合した後に混合したものでもよい。
2.ポリエチレン成分(B)
特性(b1)
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、本発明の効果を奏する点から、HLMFRが2g/10分以上、400g/10分未満であるものを選択する。ポリエチレン成分(B)のHLMFRは、好ましくは10g/10分以上、370g/10分以下の範囲である。
このHLMFRが2g/10分未満であれば、分子量が増大し、流動性及び成形性が確保できなくなるおそれがある。また、最終の樹脂組成物において、HLMFRが規定の範囲内を達成できず、流動性が低下するおそれや、相溶性が低下するため、成形品の外観を損なうおそれがある。
一方、このHLMFRが400g/10分以上であれば、低分子量の成分量が増加する影響により、耐衝撃性が確保できなくなるおそれがある。
HLMFRは、前記と同様に測定することができる。
HLMFRは、主にポリエチレン成分(B)の重合時の水素量及び重合温度により調整することができる。
特性(b2)
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、本発明の効果を奏する点から、密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であるものを選択する。
ポリエチレン成分(B)の密度が0.940g/cm未満であると、最終の樹脂組成物における密度範囲を達成できず、剛性が不足し、かつ結晶化速度が低下し、その結果、成形サイクルが低下するおそれがある。また、容器の剛性が劣り高温時に変形しやすくなり、容器内圧等の影響により、容器が変形し漏れの原因となるおそれがある。
一方、密度が0.970g/cmを超えた場合には、最終樹脂組成物において衝撃性能が低下するおそれがあり、容器の耐衝撃性が劣るおそれがある。
密度は、前記と同様に測定することができる。
密度は、主にポリエチレン成分(B)の重合時のα−オレフィンの量により調整することができる。
特性(b3)
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、本発明の効果を奏する点から、温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレンを選択する。
歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点の有無は、歪硬化度の測定において観察できるものであり、上記したポリエチレン成分(A)の歪硬化度の測定方法と同様の方法で測定することができる。
ポリエチレン成分(B)が、長鎖分岐構造を有するためには、適当な重合触媒を適用して重合することが好ましく、後述するようなメタロセン系触媒を使用することが好ましい。
特性(b4)
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、下記の特性(b4)を満足することが好ましい。
特性(b4):温度170℃、伸長歪速度2(単位:1/秒)で測定される歪硬化度[λmax(2.0)]が、1.2〜10.0である。
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、温度170℃、伸長歪速度2(単位1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、歪硬化後の最大伸長粘度をηMax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度[λmax(2.0)]が1.2〜10.0、好ましくは1.7〜8.0、より好ましくは2.4〜6.0であり、更に好ましくは3.0〜5.0である。
[λmax(2.0)]が1.2未満では、ポリエチレン樹脂組成物や該成形体の流動性や溶融張力が不十分となり、成形加工特性が悪くなる。[λmax(2.0)]が10.0より大きいと、流動性や溶融張力には優れるものの、ポリエチレン樹脂組成物や該成形体の衝撃強度が低下するおそれがあるため好ましくない。
このようにポリエチレンの伸長流動特性がもたらす成形加工面での向上および成形体の機械的特性面での不都合の克服を、該伸長粘度特性の主な支配因子である長鎖分岐構造を工夫することで解決すべくポリエチレン樹脂組成物について鋭意検討を行なった結果、長鎖分岐構造の少ないポリエチレン成分(A)を該樹脂組成物の高MFR主成分すなわち低分子量側主成分として使用するとともに、上記特性(b4)で定義された伸長歪硬化度[λmax(2.0)]で代表される長鎖分岐構造の多いポリエチレン成分(B)を該樹脂組成物の低MFR主成分すなわち高分子量側主成分として使用すると、成形加工特性の向上はもちろんのこと、機械的特性、特に剛性や衝撃強度に優れることがわかり、更に、該ポリエチレン成分(B)の長鎖分岐構造が、伸長歪硬化度の歪速度依存性が従来使用されていたものとは異なる下記特性(b5)で表わされる特性を有する時、上記ポリエチレン樹脂組成物の成形加工特性、機械的特性のいずれにおいても向上効果に極めて優れることがわかった。
特性(b5)
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、下記の特性(b5)を満足することが好ましい。
特性(b5):温度170℃、伸長歪速度2(単位:1/秒)で測定される歪硬化度[λmax(2.0)]と、伸長歪速度を0.1(単位:1/秒)で測定される歪硬化度[λmax(0.1)]との比[λmax(2.0)]/[λmax(0.1)]が、1.2〜10.0である。
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)は、上記(b4)で定義された[λmax(2.0)]と、伸長歪速度を0.1(単位1/秒)として同様に測定された[λmax(0.1)]との比[λmax(2.0)/λmax(0.1)]が1.2〜10.0、好ましくは1.3〜5.0、より好ましくは1.4〜4.0であり、更に好ましくは1.5〜3.0である。
[λmax(2.0)/λmax(0.1)]が1.2未満では、ポリエチレン樹脂組成物や該成形体の溶融状態が均一でなかったり、熱的に不安定な構造である可能性があったり、非常に長い長鎖分岐構造の存在に起因する成形体の強度異方性による衝撃強度の低下が生じるおそれがあるため好ましくない。[λmax(2.0)/λmax(0.1)]が10.0より大きいと、成形時の溶融張力と流動性には優れるものの、ポリエチレン樹脂組成物や該成形体の衝撃強度が低下するおそれがあるため好ましくない。
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、4以上10以下であることが好ましい。
GPCにより測定される分子量分布(Mw/Mn)は、重合体の各種物性、成形性の改良に関わり、成形品の外観等の改良にも関係する。
本発明に用いられるポリエチレン成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)が前記範囲内にあると、より優れた中空成形加工性を発揮することができる。また、前記分子量分布(Mw/Mn)が4以上であると、ポリエチレン成分(A)及びポリエチレン成分(C)との相溶性がより良好になって製品外観が優れる点、押出成形時の樹脂圧力が適切になって、シャークスキンやメルトフラクチャーなどの流動不安定現象を生じ難くなり、外観不良を抑制しやすい点から好ましい。一方、前記分子量分布(Mw/Mn)が10以下であると、成形品のピンチオフ形状が悪化することを抑制し易く、中空成形品としての衝撃強度を良好にしやすい。
分子量分布を所定の範囲とするには、分子量分布を制御できる触媒や適当な重合条件を採用することにより達成することができる。また、バイモーダル又はマルチモーダルの重合体の場合は、各成分の分子量を調整することにより制御することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量及び分子量分布の測定は、下記の条件により測定することができる。
[測定条件]
使用機種:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同 HT−G
流速:1.0mL/分
注入量:0.3mL
[試料の調製]
4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学社製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行う。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認する。
[較正曲線の作成]
4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(1)〜(4)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学社製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行う。
(1)Shodex S−1460,同S−66.0,n−エイコサン
(2)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(3)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(4)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1秒でクロマトグラム(保持時間と示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録する。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットする。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1200とする。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とする。
[分子量の計算]
前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1秒でクロマトグラムを記録する。
このクロマトグラムから、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)第4章p.51〜60に記載の方法で微分分子量分布曲線及び平均分子量値(Mn、Mw及びMz)を算出する。但し、dn/dcの分子量依存性を補正するため、クロマトグラムにおけるベースラインからの高さHを下記の式にて補正する。クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS Windows(登録商標)XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行う。
H’=H/[1.032+189.2/M(PE)]
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記の式を用いる。
M(PE)=0.468×M(PS)
本発明のポリエチレン成分(B)のエチレン系重合体は、オレフィン重合用触媒、好ましくは特定のメタロセン系触媒を用いてエチレンなどを重合する方法によって製造することができる。
オレフィン重合用触媒としては、今日様々な種類のものが知られており、該触媒成分の構成及び重合条件や後処理条件の工夫の範囲内において上記条件を満足するエチレン系重合体が準備可能であれば何ら制限されるものではないが、本発明のエチレン系重合体が有する特定の長鎖分岐構造、組成分布構造、MFR、密度を同時に実現するための好適な製造方法例として、以下に説明する特定の触媒成分(A)、(B)及び(C)を含むオレフィン重合用触媒を用いる方法を挙げることができる。
触媒成分(A):遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物
触媒成分(B):触媒成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
触媒成分(C):無機化合物担体
[触媒成分(A)]
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに好ましい触媒成分(A)は、インデニル環上に五員環構造置換基を有する、遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物であり、より好ましくは下記の一般式[1]で表されるメタロセン化合物であり、更に好ましくは下記の一般式[2]
で表されるメタロセン化合物である。
本発明においては、特に式[2]更には、(1−c)で表される配位子を重合用触媒成分として使用することにより、本発明の特定のエチレン系重合体を、専らかつ効率よく製造することができる。そして、本発明のエチレン系重合体は、かかる特定の重合用触媒を使用する重合方法によって製造されることを一つの特徴とする。
[1]
[但し、式[1]中、MはTi、Zr又はHfのいずれかの遷移金属を示す。Aはシクロペンタジエニル環(共役五員環)構造を有する配位子を、Aは五員環構造置換基の付いたインデニル環構造を有する配位子を、QはAとAを任意の位置で架橋する結合性基を示す。X及びYは、σ結合性基であり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。]
[2]
[但し、式[2]中、MはTi、Zr又はHfのいずれかの遷移金属を示す。Qはシクロペンタジエニル環とインデニル環を架橋する結合性基を示す。X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。10個のRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示すが、インデニル環側に付いた少なくとも1個のRは五員環構造を有する。]
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに特に好ましい触媒成分(A)は、特開2013−227271号公報の段落0007以下に記載された一般式(1c)で表されるメタロセン化合物である。
[但し、式(1c)中、略号の説明は全て特開2013−227271号公報の記載に従う。すなわち、M1cは、Ti、Zr又はHfのいずれかの遷移金属を示す。X1c及びX2cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1cとQ2cは、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子を示す。R1cは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1cのうち少なくとも2つが結合してQ1c及びQ2cと一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1cは、R2cを含む共役5員環と直接結合している。R2c及びR4cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。R3cは、下記一般式(1−ac)で示される置換アリール基を示す。]
[但し、式(1−ac)中、Y1cは、周期表14族、15族又は16族の原子を示す。R5c、R6c、R7c、R8c及びR9cは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し、R5c、R6c、R7c、R8c及びR9cは隣接する基同士で結合して、それらに結合している原子と一緒に環を形成していてもよい。nは、0または1であり、nが0の場合、Y1cに置換基R5cが存在しない。pは、0または1であり、pが0の場合、R7cが結合する炭素原子とR9cが結合する炭素原子は直接結合している。Y1cが炭素原子の場合、R5c、R6c、R7c、R8c、R9cのうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2cが五員環構造置換基でない場合、pは0である。]
上記一般式(1c)中の略号の更なる具体的な例示は、以下に特別な説明の無い限りにおいて、全て特開2013−227271号公報の記載に従う。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに最も好ましい触媒成分(A)は、特開2013−227271号公報の段落0013に記載された一般式(3c)で表されるメタロセン化合物である。
(3c)
上記の一般式(3c)で示されるメタロセン化合物において、M1c、X1c、X2c、Q1c、R1c、R2c及びR4cは、前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示した原子及び基と同様な構造を好ましい態様も含め選択することができるが、R2cは水素原子、メチル基が最も好ましく、4つのR4cのうち、架橋基Q1cが付いた炭素原子の両隣の炭素に付いた2つのR4cは水素原子が最も好ましく、残りのR4cは水素原子又はメチル基が最も好ましい。また、R12c、R13c及びR14cは、前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示したR5c、R6c、R7c、R8c、R9cの原子及び基と同様な構造を選択することができる。そしてZ1cは、酸素原子又は硫黄原子を示す。
上記のメタロセン化合物の具体例として、特開2013−227271号公報の表1cに記載された化合物のうち、55c〜94c、224c〜303cが好ましいが、これらに限定するものではない。
また、上記に例示した具体的化合物の中にあって、より好ましいものを以下に示す。
該表1c中の、55c〜72c、81c〜86c、224c〜231c、などが挙げられる。
また、上記の化合物のジルコニウムを、チタニウム又はハフニウムに代えた化合物などが、好ましいものとして挙げられる。
更に、上記に例示した具体的化合物の中にあって、更に好ましいものを以下に示す。該表1c中の、55c〜66c、81c、82c、224c〜227cなどが挙げられる。
また、上記の化合物のジルコニウムを、チタニウム又はハフニウムに代えた化合物が、好ましいものとして挙げられる。
上記の具体例の化合物はジルコニウム化合物又はハフニウム化合物であることが好ましく、ジルコニウム化合物であることが更に好ましい。
本発明のエチレン系重合体を製造するのに好ましい触媒成分(A)として、上述の架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物を2種以上用いることもできるが、その場合は分子量分布や共重合組成分布が広がり過ぎないように注意することはいうまでもない。
[触媒成分(B)]
本発明のエチレン系重合体を製造するのに好ましい触媒成分(B)は、成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物であり、汎用されている有機アルミニウムオキシ化合物やボラン化合物及びボレート化合物が挙げられる。
より好ましくは特開2013−227271号公報[0064]〜[0083]に記載された成分(B)であり、更に好ましくは同[0065]〜[0069]に記載された有機アルミニウムオキシ化合物である。
[触媒成分(C)]
触媒成分(C)としては、汎用されている、無機物担体、粒子状ポリマー担体又はこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、又はこれらの混合物が使用可能である。
本発明のエチレン系重合体を製造するのに好ましい触媒成分(C)は、無機化合物担体であり、より好ましくは特開2013−227271号公報[0084]〜[0088]に記載された無機化合物である。この時、無機化合物として好ましいのは該公報[0085]に記載された金属酸化物である。
[オレフィン重合用触媒の製法]
本発明のエチレン系重合体は、上記触媒成分(A)〜(C)を含むオレフィン重合用触媒を用いてエチレンを重合する方法によって好適に製造される。本発明の上記触媒成分(A)〜(C)からオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下に示す(I)〜(III)の方法が任意に採用可能である。
(I)上記の遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物である触媒成分(A)と、上記触媒成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物である触媒成分(B)とを接触させた後、無機化合物担体である触媒成分(C)を接触させる。
(II)触媒成分(A)と触媒成分(C)とを接触させた後、触媒成分(B)を接触させる。
(III)触媒成分(B)と触媒成分(C)とを接触させた後、触媒成分(A)を接触させる。
これらの接触方法の中で(I)と(III)が好ましく、更に(I)が最も好ましい。
いずれの接触方法においても、通常は窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族或いは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)などの液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下又は非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。この接触は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜100℃、更に好ましくは0℃〜50℃の温度にて、5分〜50時間、好ましくは30分〜24時間、更に好ましくは30分〜12時間で行うことが望ましい。
また、触媒成分(A)、触媒成分(B)及び触媒成分(C)の接触に際しては、上記した通り、ある種の成分が可溶ないしは難溶な芳香族炭化水素溶媒と、ある種の成分が不溶ないしは難溶な脂肪族又は脂環族炭化水素溶媒とがいずれも使用可能である。
各成分同士の接触反応を段階的に行う場合にあっては、前段で用いた溶媒などを除去することなく、これをそのまま後段の接触反応の溶媒に用いてもよい。また、可溶性溶媒を使用した前段の接触反応後、ある種の成分が不溶もしくは難溶な液状不活性炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素或いは芳香族炭化水素)を添加して、所望生成物を固形物として回収した後に、或いは一旦可溶性溶媒の一部または全部を、乾燥などの手段により除去して所望生成物を固形物として取り出した後に、この所望生成物の後段の接触反応を、上記した不活性炭化水素溶媒のいずれかを使用して実施することもできる。本発明では、各成分の接触反応を複数回行うことを妨げない。
本発明において、触媒成分(A)、触媒成分(B)及び触媒成分(C)の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
触媒成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、触媒成分(A)中の遷移金属(M)に対する有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウムの原子比(Al/M)は、通常、1〜100,000、好ましくは5〜1,000、更に好ましくは50〜500、特に好ましくは100〜400の範囲が望ましく、また、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、触媒成分(A)中の遷移金属(M)に対する、ホウ素の原子比(B/M)は、通常、0.01〜100、好ましくは0.1〜50、更に好ましくは0.2〜10の範囲で選択することが望ましい。更に、触媒成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物、ボレート化合物との混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、遷移金属(M)に対して上記と同様な使用割合で選択することが望ましい。
触媒成分(C)の使用量は、触媒成分(A)中の遷移金属0.0001〜5ミリモル当たり、好ましくは0.001〜0.5ミリモル当たり、更に好ましくは0.01〜0.1ミリモル当たり1gである。
また、本発明において、触媒成分(C)1gに対する触媒成分(B)の金属のモル数の割合は、好ましくは、0.001〜0.020(モル/g)、より好ましくは、0.003〜0.012(モル/g)、更に好ましくは、0.004〜0.010(モル/g)である。
触媒成分(A)、触媒成分(B)及び触媒成分(C)を、前記した接触方法(I)〜(III)を適宜選択して相互に接触させ、しかる後、溶媒を除去することで、オレフィン重合用触媒を固体触媒として得ることができる。溶媒の除去は、常圧下又は減圧下、0〜200℃、好ましくは20〜150℃、更に好ましくは20〜100℃で1分〜100時間、好ましくは10分〜50時間、更に好ましくは30分〜20時間で行うことが望ましい。
なお、オレフィン重合用触媒は、以下に示す(IV)、(V)の方法によっても得ることができる。
(IV)触媒成分(A)と触媒成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と接触させる。
(V)触媒成分(B)である有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と触媒成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で触媒成分(A)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件及び溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
また、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を得るのに好適なオレフィン重合用触媒として、触媒成分(A)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる触媒成分(B)と触媒成分(C)とを兼ねる成分として、特開平05−301917号公報、同08−127613号公報などに記載されてよく知られている層状珪酸塩を用いることもできる。層状珪酸塩とは、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物である。大部分の層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。これらの層状珪酸塩は、酸やアルカリなどによる化学処理を施してもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
触媒成分(A)と層状珪酸塩担体の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。触媒成分(A)の担持量は、層状珪酸塩担体1gあたり、0.0001〜5ミリモル、好ましくは0.001〜0.5ミリモル、更に好ましくは0.01〜0.1ミリモルである。
こうして得られるオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、エチレン又は/及び適宜なα−オレフィンモノマーの予備重合を行った後に使用しても差し支えない。
エチレン系重合体の重合方法
本発明のエチレン系重合体は、好適には上記の製法により準備されたオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを重合又はエチレンをα−オレフィンと共重合して製造される。
コモノマーであるα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンが使用可能であり、2種類以上のα−オレフィンをエチレンと共重合させることも可能であり、該α−オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能である。
本発明において、上記の重合反応は、好ましくは気相連続重合装置又はスラリー連続重合装置を使用して行うことができる。連続重合装置とは、触媒、モノマーなど、重合に必要な原料などを連続的に供給可能な装置と生成重合体を連続的に排出可能な装置を有する重合反応装置のことをいう。気相連続重合の場合、実質的に酸素、水などを断った状態で、エチレンやコモノマーのガス流を導入、流通、又は循環した反応器内においてエチレンなどを重合させる。また、スラリー連続重合の場合、イソブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素などから選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で、エチレンなどを連続重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレンなどの液体モノマーも溶媒として使用できることはいうまでもない。本発明において、更に好ましい重合は、気相連続重合である。
重合温度は通常0〜250℃、好ましくは60〜110℃、更に好ましくは65〜95℃であり、気相重合やスラリー重合の場合、生成する重合体粒子の流動が軟化や溶融によって妨げられない範囲において、より高い温度で重合を行うことでより小さなg値を有するエチレン系重合体を得ることができる。
また、エチレン分圧は通常、常圧〜10MPa、好ましくは0.2〜1.9MPa、更に好ましくは0.3〜1.8MPa、特に好ましくは0.4〜1.6MPaの範囲にあり、重合時間としては平均滞留時間が通常5分〜20時間、好ましくは1〜15時間、より好ましくは3〜12時間が採用されるのが普通である。
生成共重合体の分子量は、触媒成分(A)や触媒成分(B)の種類、触媒のモル比、重合温度などの重合条件を変えることによってもある程度調節可能であるが、重合反応系に水素を添加することで、より効果的に分子量調節を行うことができる。
また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。
なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。
これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
生成共重合体の長鎖分岐構造(すなわちg、g)やコモノマー共重合組成分布は、触媒成分(A)や触媒成分(B)の種類、触媒のモル比、重合温度や圧力、時間などの重合条件や重合プロセスを変えることによって調節可能である。
長鎖分岐構造を形成しやすい触媒成分種を選択しても、例えば重合温度を下げたりエチレン分圧を上げたりして長鎖分岐構造の少ない重合体を製造することも可能である。また、分子量分布や共重合組成分布の広い触媒成分種を選択しても、例えば触媒成分モル比、重合条件や重合プロセスを変えることによって分子量分布や共重合組成分布の狭い共重合体が製造することがあるので注意を要する。
水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度などの重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式においても、重合条件を適切に設定するならば、本発明のエチレン系重合体を製造することが可能であり得るだろうが、本発明のエチレン系重合体は、一段階重合反応により製造される場合、複雑な重合運転条件を設定することなく、より経済的に製造できるので好ましい。
3.ポリエチレン成分(C)
特性(c1)
本発明に用いられるポリエチレン成分(C)は、本発明の効果を奏する点から、温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が10g/10分以上200g/10分以下であるものを選択する。ポリエチレン成分(C)のMFRは、好ましくは11g/10分以上198g/10分以下、更に好ましくは11g/10分以上195g/10分以下の範囲である。
このMFRが10g/10分未満であれば、分子量が増大し、流動性及び成形性が確保できなくなるおそれがある。また、最終の樹脂組成物において、HLMFRが規定の範囲内を達成できず、流動性が低下することにより、シャークスキンやメルトフラクチャーなどの流動不安定現象が発生しやすくなるため、成形品の外観を損なうおそれがある。
一方、このMFRが200g/10分を超えると、低分子量の成分量が増加する影響により、耐衝撃性が確保できなくなるおそれがある。また、最終樹脂組成物において、耐衝撃性が達成できず、成形品の落下衝撃耐性が低下するおそれがある。
MFRは、前記と同様にして測定することができる。
MFRは、主にポリエチレン成分(C)の重合時の水素量及び重合温度により調整することができる。
特性(c2)
本発明に用いられるポリエチレン成分(C)は、本発明の効果を奏する点から、密度が0.960g/cm以上0.980g/cm以下であるものを選択する。ポリエチレン成分(C)の密度は、好ましくは0.961g/cm以上0.975g/cm以下、更に好ましくは0.963g/cm以上0.970g/cm以下である。
密度が0.960g/cm未満であれば、最終の樹脂組成物における密度範囲を達成できず、剛性が不足し、容器の剛性が劣り高温時に変形しやすくなり、容器内圧等の影響により、容器が変形し漏れの原因となるおそれがある。
一方、密度が0.980g/cmを超えた場合には、最終樹脂組成物において耐衝撃性能が低下するおそれがあり、容器の落下衝撃耐性が劣るおそれがある。
密度は、前記と同様にして測定することができる。
密度は、主にポリエチレン成分(C)の重合時のα−オレフィンの量により調整することができる。
特性(c3)及び特性(c4)
ポリエチレン成分(C)は、更に、下記の特性(c3)及び(c4)を満足することが好ましい。
特性(c3):温度190℃、荷重11.1Kgにおけるメルトフローレート(MLMFR)が50g/10分以上、2,000g/10分以下である。
ポリエチレン成分(C)のMLMFRは更に好ましくは、70g/10分以上、1,700g/10分以下である。
このMLMFRが50g/10分未満であれば、分子量が増大し、流動性及び成形性が確保できなくなるおそれがある。また、最終の樹脂組成物において、HLMFRが規定の範囲内を達成できず、流動性が低下することにより、シャークスキンやメルトフラクチャーなどの流動不安定現象が発生しやくすなり成形品の外観を損なうおそれがある。
一方、このMLMFRが2000g/10分を超えると、低分子量の成分量が増加する影響により、耐衝撃性が確保できなくなるおそれがある。また、最終樹脂組成物において、耐衝撃性が達成できず、成形品の落下衝撃性が低下するおそれがある。
特性(c4):MFRに対するMLMFRの比であるメルトフローレート比(MLMFR/MFR)が3以上15以下である。
ポリエチレン成分(C)のMLMFR/MFRが当該範囲内であると、流動性と耐衝撃性のバランスが向上する。ポリエチレン成分(C)のMLMFR/MFRは更に好ましくは、5以上10以下である。
本発明に用いられるポリエチレン成分(C)は、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体であり、上記の特定を満たすことができれば、各種の重合触媒を用いて重合することができる。本発明に用いられるポリエチレン成分(C)は、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合することにより製造することができ、好ましくはチーグラーナッタ触媒由来のポリエチレンであり、ポリエチレン成分(A)又はポリエチレン成分(B)の重合方法に準じて製造することができる。チーグラーナッタ触媒としては、従来公知の触媒を適宜選択して用いることができる。
4.ポリエチレン樹脂組成物
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、前記ポリエチレン成分(A)を10質量%以上40質量%以下、前記ポリエチレン成分(B)を10質量%以上80質量%以下、及び前記ポリエチレン成分(C)を10質量%以上80質量%以下含有するポリエチレン樹脂組成物である。好ましくは、ポリエチレン成分(A)を15質量%以上40質量%以下、ポリエチレン成分(B)を10質量%以上45質量%以下、ポリエチレン成分(C)を30質量%以上70質量%以下含有する組成物である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、以下の特性(1)〜(5)を満足することが重要である。
特性(1):MFRが0.1g/10分以上、1g/10分以下である。
特性(2):HLMFRが10g/10分以上、50g/10分以下である。
特性(3):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が40以上140以下である。
特性(4):密度が0.940g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(5):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測される。
前記特性(1)〜(5)は、前記と同様にして測定することができる。
特性(1)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、MFRが0.1g/10分以上、1g/10分以下である。当該MFRは、好ましくは0.15g/10分以上0.8g/10分以下、更に好ましくは0.25g/10分以上0.7g/10分以下の範囲である。
このMFRが0.1g/10分未満であれば、流動性が低下することにより、成形時における押出機モーター負荷やせん断による樹脂発熱量が増大するおそれや、シャークスキンなどの流動不安定現象が発生しやすくなるため成形品の外観を損なうおそれがある。
一方、このMFRが1g/10分を超えると、耐衝撃性や耐環境応力亀裂性が達成できず、成形品の落下衝撃耐性や長期耐久性が低下するおそれがある。
ポリエチレン樹脂組成物のMFRは、ポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)の重合時のそれぞれの水素量及び温度、並びに各成分の配合量により調整することができる。
特性(2)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、HLMFRが10g/10分以上、50g/10分以下である。当該HLMFRは、好ましくは12g/10分以上、48g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以上、46g/10分以下の範囲である。
このHLMFRが10g/10分未満であれば、流動性が低下することにより、成形時における押出機モーター負荷やせん断による樹脂発熱量が増大するおそれや、シャークスキンやメルトフラクチャーなどの流動不安定現象が発生しやすくなるため成形品の外観を損なうおそれがある。
一方、このHLMFRが50g/10分を超えると、耐衝撃性や耐環境応力亀裂性が達成できず、成形品の落下衝撃耐性や長期耐久性が低下するおそれがある。
ポリエチレン樹脂組成物のHLMFRは、ポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)の重合時のそれぞれの水素量及び温度、並びに各成分の配合量により調整することができる。
特性(3)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が40以上140以下である。当該メルトフローレート比は、好ましくは50以上139以下の範囲である。
HLMFR/MFRは、分子量分布との相関が強く、HLMFR/MFRが大きな値をとる場合、分子量分布が広くなり、HLMFR/MFRが小さな値をとる場合、分子量分布が狭くなる。HLMFR/MFRが140を超えると各成分の相溶性の悪化や耐衝撃性の低下、メルトフラクチャーなどの流動不安定現象が発生しやすくなるおそれがあり、HLMFR/MFRが40未満では溶融張力の低下やESCRが低下するおそれがある。
HLMFR/MFRの制御方法は、主に分子量分布の制御方法に準じて行うことができる。
特性(4)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、密度が0.940g/cm以上0.965g/cm以下である。当該密度は、好ましくは0.942g/cm以上0.963g/cm以下、更に好ましくは0.945g/cm以上0.960g/cm以下の範囲である。
密度が0.940g/cm未満であれば、剛性が不足し、かつ結晶化速度が低下し、その結果、成形サイクルが低下するおそれがある。一方、密度が0.965g/cmを超えた場合には、耐環境応力亀裂性能が低下するおそれがある。
密度は、主にポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)の重合時のα−オレフィンの量により調整することができ、また、各成分の配合量により調整することができる。
特性(5)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレン樹脂組成物である。
歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点の有無は、歪硬化度の測定において観察できるものであり、上記したポリエチレン成分(A)の歪硬化度の測定方法と同様の方法で測定することができる。
ポリエチレン樹脂組成物が、長鎖分岐構造を有するためには、長鎖分岐構造を有するポリエチレン成分(B)を所定量使用することが好ましく、更に長鎖分岐構造を有するポリエチレン成分(A)と長鎖分岐構造を有するポリエチレン成分(B)とを所定量併用することが好ましい。
特性(6)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(6)を満足することが、耐ドローダウン性などの中空成形性の点から好ましい。
特性(6):190℃で測定される溶融張力(MT)が、60mN以上である。溶融張力は、更に好ましくは65mN以上である。また、HLMFR見合いの溶融張力が高く、下記の関係式(3)を満足するものが好ましく、更に下記の関係式(4)を満足するものが好適である。
MT>−22.45×ln(HLMFR)+137.82 関係式(3)
MT>−22.45×ln(HLMFR)+157.82 関係式(4)
ここで、MT(mN)は溶融張力、HLMFR(g/10分)は温度190℃、荷重21.6Kgにおけるメルトフローレートである。
本発明において、横軸にHLMFR、縦軸に溶融張力をとり、本発明の実施例データをプロットした場合、関係式(3)は、本発明の好ましい範囲を従来技術と区別するための数式であり、関係式(4)は、本発明の更に好ましい範囲を規定するための数式である。
溶融張力は、溶融させたエチレン系重合体を一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定され、下記条件により測定することができる。
[測定条件]
使用機種:東洋精機製作所社製、キャピログラフ1B
ノズル径:2.095mm
ノズル長さ:8.0mm
流入角度:180°(flat)
押出速度:15mm/分
引き取り速度:6.5m/分
測定温度:190℃
本発明のポリエチレン樹脂組成物が特性(6)を満足するためには、特定の物性を有するポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)を所定の配合割合で混合することが好ましい。
特性(7)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(7)を満足することが耐衝撃性を向上する点から好ましい。
特性(7):JIS K6922−2に準拠して、1.5mmの圧縮成形シートを作成し、ASTM D1822に準拠して、S型ダンベルで打ち抜いた試験片を作成し、23℃、50%RHの条件で測定を行った引張衝撃試験値が、70KJ/m以上である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物が特性(7)を満足するためには、特定の物性を有するポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)を所定の配合割合で混合することが好ましい。
特性(8)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(8)を満足することが、ポリエチレン成分(A)の良好な分散の点から好ましい。ポリエチレン成分(A)のポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)への高度な分散が可能となると、成形品において、表面性状が平滑になり、外観に特に優れるものとなる。
特性(8):温度190℃において周波数ωが0.01rad/秒で測定される動的溶融粘度ηW・0.01(単位:Pa・秒)が20,000超過、100,000未満。
動的溶融粘度ηW・0.01は、熱プレスにより厚さ2.0mmのシートに成形した試料を用い、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、温度190℃においてパラレルプレートを用いてプレート間隔1.7mm、歪み10%、周波数ωが0.01rad/秒で測定したたときの動的溶融粘度を(単位:Pa・秒)を、低歪速度における動的溶融粘度(ηW・0.01)とした。
[測定条件]
装置:Rheometrics社製Ares
冶具:直径25mmパラレルプレート、プレート間隔約1.7mm
測定温度:190℃
周波数範囲:0.01〜100(単位:rad/秒)
歪み:10%
本発明のポリエチレン樹脂組成物が特性(8)を満足するためには、特定の物性を有するポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)を所定の配合割合で混合することが好ましい。
特性(9)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(9)を満足することが、ポリエチレン成分(A)の良好な分散の点から好ましい。
特性(9):温度190℃において周波数ωが0.01rad/秒のときに測定されるポリエチレン樹脂組成物の動的溶融粘度ηW・0.01に対するポリエチレン成分(A)の動的溶融粘度ηH・0.01の比ηH・0.01/ηW・0.01が1超過、15未満、より好ましくは1超過、14.6未満。
本発明のポリエチレン樹脂組成物が特性(9)を満足するためには、特定の物性を有するポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)を所定の配合割合で混合することが好ましい。
特性(10)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に下記の関係式(1)を満足することが、剛性(密度)と耐環境応力亀裂性のような長期耐久性のバランスに特に優れる点から好ましい。
log(FNCT) ≧ −257.5×(密度)+247.9 関係式(1)
ここで、FNCT(時間)は下記に示す全ノッチ付クリープ試験の破断時間、Dは密度(g/cm)である。全ノッチ付クリープ試験(FNCT)の時間が長いほど、耐環境応力亀裂性のような長期耐久性が優れている。
本発明において、横軸に密度(g/cm)、縦軸にFNCT(時間)をとり、本発明の実施例データをプロットした場合、関係式(1)は、本発明の好ましい範囲を従来技術と区別するための数式である。
全ノッチ付クリープ試験は、ISO DIS 16770に準拠して行うことができる。試料は、6mm×6mm×11mmの大きさの角柱の全周囲にカミソリ刃にて1mmのノッチが付けられ、4mm×4mmの大きさの断面を有した試験片を用意し、80℃の純水中で、3.7MPaに相当する引張応力を検体に与え、検体が破断するまでの時間を計測して、FNCTの破断時間とする。
本発明のポリエチレン樹脂組成物が特性(10)を満足するためには、特定の物性を有するポリエチレン成分(A)、ポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)を所定の配合割合で混合することが好ましい。
特性(11)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(11)を満足することが好ましい。
特性(11):昇温溶出分別(TREF)による0℃以下で溶出する成分の割合(Y)が0.8重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.6重量%未満である。なお、、昇温溶出分別(TREF)は、非結晶性と結晶性などに応じてポリマーを分別する慣用手段である。
低温溶出成分量Y値が0.8重量%以上であると、エチレン系重合体に含まれる低分子量成分や低密度成分が多くなって、フィルムなど成形体表面がべとつき易くなったり、製品が容器や袋の場合、内包物に該成分が混入して内包物を汚染したり、更には衝撃強度などの機械強度が悪化するおそれがあるので好ましくない。なお、Y値は0重量%以上である。
[TREFの測定条件]
試料を140℃でオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却し、更に続いて1℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、20分間保持する。
その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。この時、85℃から140℃までの間に溶出する成分量をX(単位wt%)とする。
使用装置は、下記のとおりである。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー・デジタルプログラム調節計KP1000
(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ・4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製・MIRAN・1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル・光路長1.5mm・窓形状2φ×4mm長丸・合成サファイア窓板
測定時温:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製・SSC−3461ポンプ
(測定条件)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
特性(12)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(12)を満足することが好ましい。
特性(12):示差屈折計、粘度検出器、及び光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’における、分子量10万から100万の間での最低値(g)が、0.30〜0.70、好ましくは0.0.35〜0.0.65、より好ましくは0.40〜0.60、更に好ましくは0.45〜0.55である。
なお、分岐指数g’は長鎖分岐の存在度合いの尺度であり、(g)を上記範囲とするには、ある程度の長鎖分岐をポリエチレン樹脂組成物に導入させることにより達成することができる。
値が0.70より大きいと成形加工性や流動性の改善効果が小さくなるおそれがあるので好ましくない。g値が0.30より小さいと、成形加工性や流動性は向上するが、衝撃強度が低下したり、透明性が悪化したりするおそれがあるので好ましくない。
なお、本発明で、ポリエチレン樹脂組成物のg値は、下記のGPC−VIS測定から算出する分子量分布曲線や分岐指数(g’)を用いた長鎖分岐量の評価手法である。
[GPC−VISによる分岐構造解析]
示差屈折計(RI)及び粘度検出器(Viscometer)及び光散乱検出器を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance・GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)であるWyatt・Technology社のDAWN−Eを用いた。
検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S)・HTを2本連結して用いた。
カラム、試料注入部及び各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)及びViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
参考文献:
1.Developments in polymer characterization,vol.4.Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
[分岐指数(g’)の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。
したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万から100万における上記g’の最低値を、gとして算出する。
ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
特性(13)
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、更に、下記の特性(13)を満足することが好ましい。
特性(13):前述のgと同様にして測定される分岐指数g’の分子量10万での値(g)が0.50〜0.90、好ましくは0.55〜0.85、より好ましくは0.60〜0.80、更に好ましくは0.65〜0.79である。
この範囲であると、溶融加工性や流動性が更によくなり、従来よりも低い温度で成形加工が可能となって電力量削減効果が増大するので好適な条件である。g値が0.75より大きいと成形加工性や流動性の改善効果が小さくなるので好ましくない場合がある。
値が0.50より小さいと、成形加工性や流動性は向上するが、衝撃強度が低下したりするので好ましくない場合がある。
生成共重合体の長鎖分岐構造(すなわちg、g)やコモノマー共重合組成分布は、触媒の種類、触媒のモル比、重合温度や圧力、時間などの重合条件や重合プロセスを変えることによって調節可能である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物によれば、上記特性(1)〜(5)を備えたポリエチレン材料であるため、中空成形性、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、より薄く、軽量にて成形することが可能であることができ、ピンチオフ特性が良好である上に、樹脂成分の相溶性が高く、成形体の外観に優れる成形体とすることが可能である。
更に、好ましくは、上記特性(1)〜(5)に加え、上記特性(6)〜(13)のうち一つ以上を備えたポリエチレン樹脂組成物は、上記効果を更に良く奏するものとなる。
上記効果について、以下に更に説明する。
前記特定のポリエチレン成分(A)を前記特定のポリエチレン成分(B)及び前記特定のポリエチレン成分(C)とともに使用することにより、従来のクロム系触媒を用いたエチレン系重合体組成物や、チーグラー系触媒を用いたエチレン系重合体組成物、またそれらが混合されたエチレン系重合体組成物より、更に溶融張力が高く、成形時における耐ドローダウン性を向上させることができる。
一般に、ポリエチレンは、フィルム成形、ブロー成形、発泡成形等の溶融状態を経由する附型方法により工業製品へと加工されるが、この際、上記伸長粘度や歪硬化度に代表される伸長流動特性が成形のし易さに大きな影響を与えることはよく知られている。
即ち、分子量分布が狭く、長鎖分岐を持たないポリエチレンは、溶融強度が低いので成形性が悪く、一方、超高分子量成分や長鎖分岐成分を有するポリエチレンは、溶融伸長時に歪硬化(ストレイン・ハードニング)、即ち、高歪み側で伸長粘度が急激に上昇する特性を有し、この特性を顕著に示すポリエチレンは、成形性に優れると言われている。このような伸長流動特性を有するポリエチレン樹脂は、例えば、フィルム成形や中空成形における製品の偏肉や吹き破れを防止したり、高速成形が可能となったり、発泡成形時の独立気泡率を高くできる効果があり、成形品の強度向上、意匠性向上、軽量化、成形サイクルの向上、断熱性向上等のメリットが得られるが、一方で、ポリエチレンの伸長流動特性が強過ぎると、成形時の分子配向が原因と推定される強度異方性によって成形体の衝撃強度の低下が生じたりする等の不都合が発生する。
それに対して、ポリエチレンの伸長流動特性がもたらす成形加工面での向上及び成形体の機械的特性面での不都合の克服を、該伸長粘度特性の主な支配因子である長鎖分岐構造を工夫することで解決すべくポリエチレン樹脂組成物について鋭意検討を行なった。本発明によれば、上述のように、前記特定の物性バランスを満足し、中分子量成分であって歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレン成分(B)を高分子量成分と低分子量成分の相溶化剤として使用し、特定の物性を有するポリエチレン成分(A)を該組成物の低メルトフロー成分即ち高分子量成分と、特定の物性を有するポリエチレン成分(C)を該組成物の高メルトフロー成分即ち低分子量成分且つ高密度成分とを組み合わせて使用することにより、剛性と耐環境応力亀裂性、耐衝撃性向上への寄与に優れるとともに、成型加工特性、特に耐ドローダウン性やピンチオフ成形性などの中空成形性にも優れ、より薄く、軽量にて成形することが可能であり、溶融張力が高く耐ドローダウン性に優れ、複雑形状の中空成形が可能であることが考えられる。特に、中分子量成分であって歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレン成分(B)として、HLMFR、gm、およびgが前記特定の値を満足するものを選択して適宜含有させることにより、伸長粘度特性と流動性見合いの溶融張力に優れるという特徴があり、成形時に例えば、ドローダウン耐性に優れ、成形品の肉厚バランスを均一にしやすいというメリットがある。
前記特定の物性バランスを満足するポリエチレン成分(B)を高分子量成分と低分子量成分の相溶化剤として使用していることから、樹脂組成物中の各樹脂成分の相溶性に優れ、成形体の外観に優れるポリエチレン樹脂組成物となる。また、前記特定の物性バランスを満足するポリエチレン成分(B)は、伸長粘度が高いことから、シャークスキンなどの外観不良を抑制しやすく成形体の外観に特に優れると推定される。
中でも、ポリエチレン成分(A)が適度な長鎖分岐構造を有する場合、メルトフローレート比が特定のものとなり、これにより、ポリエチレン成分(A)のポリエチレン成分(B)及びポリエチレン成分(C)への高度な分散が可能であることから、相溶性が良好となる。そのため、成形品において、表面性状が平滑になり、外観に特に優れるものとなる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、前記物性を有するものであるポリエチレン樹脂組成物であることから、成形性、高流動性、匂い、食品安全性、剛性、耐熱性などにも優れる。
5.ポリエチレン樹脂組成物の製造方法
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、前記ポリエチレン成分(A)を前記ポリエチレン成分(B)及び前記ポリエチレン成分(C)を所定の配合割合で溶融混合することにより、また必要に応じて他の成分を添加して溶融混合することにより製造することができる。
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物は、その必須成分である前記ポリエチレン成分(A)を前記ポリエチレン成分(B)及び前記ポリエチレン成分(C)以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、下記物質を任意成分として配合することができる。
例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、極性モノマーグラフト変性ポリエチレン、エチレン系ワックス、超高分子量ポリエチレン、エチレン系エラストマー等の各種エチレン系重合体及びその変性体を使用できる。高密度ポリエチレンの添加は、剛性、耐熱性、衝撃強度等を向上するのに好ましい。低密度ポリエチレンの添加は、柔軟性、衝撃強度、易接着性、透明性、低温強度等を向上するのに好ましい。高圧法ポリエチレンの添加は、柔軟性、易接着性、透明性、低温強度、成形加工性等を向上するのに好ましい。マレイン酸変性ポリエチレンやエチレン・アクリル酸誘導体共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の極性モノマーグラフト変性ポリエチレンの添加は、柔軟性、易接着性、着色性、各種材料親和性、ガスバリア性等を向上するのに好ましい。エチレン系ワックスの添加は、着色性、各種材料親和性、成形加工性等を向上するのに好ましい。超高分子量ポリエチレンの添加は、機械的強度、耐摩耗性等を向上するのに好ましい。エチレン系エラストマーの添加は、柔軟性、機械的強度、衝撃強度等を向上するのに好ましい。
また、上記の重合体以外に、各種樹脂を使用できる。具体的には、各種ナイロン樹脂、各種ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、各種ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、EVOH、EVA、PMMA、PMA、各種エンジニアリングプラスチック、ポリ乳酸等、セルロース類、天然ゴム類、ポリウレタン、塩ビ、テフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂、シリコン樹脂等の無機系重合体、等である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、常法に従い、ペレタイザーやホモジナイザー等による機械的な溶融混合によりペレット化した後、各種成形機により成形を行って所望の成形品とすることができる。
また、上記の方法により得られるポリエチレン樹脂組成物には、常法に従い、他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、架橋剤、発泡剤、無機又は有機充填剤、難燃剤等の公知の添加剤を配合することができる。
添加剤として、例えば、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を1種又は2種以上、適宜併用することができる。充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、金属粉(アルミニウム、銅、鉄、鉛など)、珪石、珪藻土、アルミナ、石膏、マイカ、クレー、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、酸化チタン等が使用可能であり、なかでも炭酸カルシウム、タルク及びマイカ等を用いるのが好ましい。いずれの場合でも、上記ポリエチレン樹脂組成物に、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物の結晶化速度を更に促進するために、核剤を用いることも、有効な手法である。
該核剤としては、一般に知られているものを使用することができ、一般的な有機系又は無機系の造核剤を用いることができる。例えば、ジベンジリデンソルビトールもしくはその誘導体、有機リン酸化合物もしくはその金属塩、芳香族スルホン酸塩もしくはその金属塩、有機カルボン酸もしくはその金属塩、ロジン酸部分金属塩、タルク等の無機微粒子、イミド類、アミド類、キナクリドンキノン類、又はこれらの混合物が挙げられる。
中でもジベンジリデンソルビトール誘導体、有機リン酸金属塩、有機カルボン酸金属塩等は、透明性に優れるなど好適である。
ジベンジリデンソルビトール誘導体の具体例としては、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−クロロベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトールが挙げられ、安息香酸金属塩の具体例としては、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム等が挙げられる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物に核剤を配合する場合、核剤の配合量は、該組成物100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量部、更に好ましくは0.01〜1質量部、特に好ましくは0.01〜0.5質量部である。核剤が0.01質量部未満では、高速成形性の改良効果が十分でなく、一方、5質量部を超えると、核剤が凝集してブツになり易いといった問題が生じる。
6.成形体、及び容器
本発明の成形体は、前記本発明に係るポリエチレン樹脂組成物を用いて作成された成形体である。
また、本発明の容器は、前記本発明に係るポリエチレン樹脂組成物を用いて作成された容器である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を原料として、各種成形法により成形体を製造することができる。好ましくは、主に中空成形法等により成形され、好適には中空容器などの各種成形品が得られる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、上記特性を満足するものであるので、これを用いた本発明の成形体は、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、匂い、食品安全性、剛性、耐熱性にも優れる上に、樹脂成分の相溶性が高く、成形体の表面性状が優れ、外観が良好である。また、より薄く、軽量にて成形することができ、ピンチオフ特性が良好である。
従って、このような特性を必要とする容器などの用途に適し、特に、外観が良好であることが求められる、化粧品容器、洗剤、シャンプー及びリンス用容器、或いは食用油等の食品用容器等の用途に好適に用いることができる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は上記特性を満足するものであるので、中でも、小型の前記各種容器に好適に用いることができる。
特に、本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いた成形体である容器は、製品特性が優れる上に、経済的に有利な、洗剤、シャンプー及びリンス等の容器として好適である。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
1.測定方法
実施例で用いた測定方法は以下の通りである。
(1)温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR):
JIS K6922−2:1997に準拠して測定した。
(2)温度190℃、荷重11.1kgにおけるメルトフローレート(MLMFR):
JIS K6922−2:1997に準拠して測定した。
(3)温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(HLMFR):
JIS K6922−2:1997に準拠して測定した。
(4)密度:
JIS K6922−1,2:1997に準拠して測定した。
(5)溶融張力:
溶融張力(MT)は、溶融させたエチレン系重合体を一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定され、下記条件により測定した。
[測定条件]
使用機種:東洋精機製作所社製、キャピログラフ1B
ノズル径:2.095mm
ノズル長さ:8.0mm
流入角度:180°(flat)
押出速度:15mm/分
引き取り速度:6.5m/分
測定温度:190℃
(6)耐環境応力亀裂性(FNCT):
全ノッチ付クリープ試験を、ISO DIS 16770に準拠して行った。試料は、6mm×6mm×11mmの大きさの角柱の全周囲にカミソリ刃にて1mmのノッチが付けられ、4mm×4mmの大きさの断面を有した試験片を用意し、80℃の純水中で、3.7MPaに相当する引張応力を検体に与え、検体が破断するまでの時間を計測して、FNCTの破断時間とした。
(7)引張衝撃強さ:
JIS K6922−2に準拠して、1.5mmの圧縮成形シートを作成し、ASTM D1822に準拠して、S型ダンベルで打ち抜いた試験片を作成し、23℃、50%RHの条件で測定を行った。
(8)融点、及び、結晶化時間(結晶化速度):
融点及び結晶化温度は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7)にて測定した。即ち、0.2mmの厚さのプレスシートを円形に切り出した試料約5mgをアルミパンに詰め、窒素雰囲気下、200℃まで昇温後、5分間同温度で保持し、10℃/分で30℃まで冷却し、その後同温度で5分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温し、融解に伴う熱量の変化が極大となる温度を融点(Tm)とした。
また、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7)にて、試料を190℃にて5分放置後、120℃/分の速度にて121.5℃まで冷却し、保持とした。121.5℃の等温下にて結晶化が終了した時点にてピークトップを検出し、測定し、結晶化時間とした。
(9)長鎖分岐構造の有無:
プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成した試験片を用い、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、170℃、歪み速度0.1/秒における伸長粘度の測定を行い、歪硬化の有無(伸長粘度の立ち上がりの有無)により、長鎖分岐構造の有無の確認を行った。
[測定条件]
装置:Rheometrics社製Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:170℃
歪み速度:0.1/秒
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成した。
[算出方法]
170℃、歪み速度0.1/秒における伸長粘度を、横軸に時間t(単位:秒)、縦軸に伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)を両対数グラフでプロットした。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義した。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断した。
図1、図2は典型的な伸長粘度のプロット図である。図1は伸長粘度の変曲点が観測される場合であり、図中にηMax(t1)、ηLinear(t1)を示した。図2は伸長粘度の変曲点が観測されない場合である。
(10)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量及び分子量分布の測定:
下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[測定条件]
使用機種:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同 HT−G
流速:1.0mL/分
注入量:0.3mL
[試料の調製]
4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
[較正曲線の作成]
4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(1)〜(4)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。
(1)Shodex S−1460,同S−66.0,n−エイコサン
(2)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(3)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(4)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラム(保持時間とび示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録した。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットした。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1200とした。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とした。
[分子量の計算]
前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラムを記録した。このクロマトグラム森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)第4章p.51〜60に記載の方法で微分分子量分布曲線及び平均分子量値(Mn、Mw及びMz)を算出した。ただし、dn/dcの分子量依存性を補正するため、クロマトグラムにおけるベースラインからの高さHを下記の式にて補正した。クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS Windows(登録商標)XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行った。
H′=H/[1.032+189.2/M(PE)]
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記の式を用いた。
M(PE)=0.468×M(PS)
(11)動的溶融粘度(ηH・0.01):
試料に酸化防止剤(BASFジャパン社製IRGANOX B225)2000ppmを配合し溶融混練したものを熱プレスにより厚さ1.0mmのシートに成形し、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、パラレルプレートを用いて試料をプレートに密着させて溶融した後、温度210〜220℃で応力を緩和させて、試料をプレート間に隙間ができないようプレート間隔を調整しながら温度190℃まで降温させ、プレート間隔約1.0mm、歪み0.2ないし1%の範囲で測定を行った。周波数ωが0.01rad/秒で測定したときの動的溶融粘度(単位:Pa・秒)を、低歪速度における動的溶融粘度(ηH・0.01)とした。
[測定条件]
装置:Rheometrics社製Ares
冶具:直径25mmパラレルプレート、プレート間隔約1.0mm
測定温度:190℃
周波数範囲:0.01〜100(単位:rad/秒)
歪範囲:0.2〜1%
(12)ポリエチレン樹脂組成物の動的溶融粘度(ηW・0.01):
熱プレスにより厚さ2.0mmのシートに成形した試料を用い、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、温度190℃においてパラレルプレートを用いてプレート間隔1.7mm、歪み10%で、周波数ωが0.01rad/秒で測定したときの動的溶融粘度(単位:Pa・秒)を、低歪速度における動的溶融粘度(ηW・0.01)とした。
[測定条件]
装置:Rheometrics社製Ares
冶具:直径25mmパラレルプレート、プレート間隔約1.7mm
測定温度:190℃
周波数範囲:0.01〜100(単位:rad/秒)
歪み:10%
(13)表面性状:
以下の混ざり性評価法によってフィッシュアイの面積率を測定し、これを以って表面性状の評価とした。
[混ざり性評価法]
測定するサンプルを、厚さ0.35mmのモールドと、圧縮加工用及び冷却用の2つのプレス成形機により、第1の工程で180℃の温度、100kgf/cmの圧力にて圧縮加工し、第2の工程で30℃の温度、50kgf/cmの圧力で冷却して厚さ0.4mmのプレスシートを成形する。このプレスシートをカットし、50×50×0.4mmの試験片とした。
次に、当該試験片を、二軸延伸装置で延伸した。二軸延伸装置は、柴山科学器械製作所社製二軸延伸装置SS−60型を使用し、温度150℃、延伸速度60mm/分にて当該試験片を2倍に延伸した。延伸の手順は、当該試験片の端四方1cm部分を二軸延伸装置の4点のチャック部でチャックし、プレスシートのチャックしていない中央部分が30×30mmの正方形となるようにセットした。その後、この試験片を130〜170℃の温度に加熱し、対角し合うチャック間の距離が60mmとなるまで二軸延伸し、チャックをしていない中央部が約2倍に延伸したシートを作成した。
二軸延伸されたシートのほぼ中央に位置する30×30mmの正方形の範囲の表面を、反射式の3D顕微鏡を用いて画像撮影を行なった。3D顕微鏡の倍率は、10倍であり、撮影されるシートの範囲(一視野)は、10×10mmである。測定の信頼性を高めるため、当該測定は、1つのサンプルに対し、上記シート中央に位置する30×30mmの正方形の範囲で、各撮影視野が重ならないように、4回撮影を行なった。撮影された画像をフィッシュアイ部分、及び非フィッシュアイ部分(均一なマトリックス部分)に2値化処理した。2値化処理の条件は、測定者が設定し、その条件を全ての測定に用いた。
2値化処理された画像をスキャナーで読み込んでデジタル化し、画像データとした。
スキャナーの解像度は、600dpi以上であり、好ましくは900dpi以上である。スキャナーは、スキャナーGT−F670(EPSON社製、解像度:4800dpi)を用いた。
画像データの解析は、パーソナルコンピュータとその上で実行されるソフトウェアプログラムにより実現され、画像データは、パーソナルコンピュータで処理することにより、粒子個々の面積、周囲長、長短径比、粒径、円形度などの特徴パラメーターの算出を行った。この場合の特徴パラメーターの算出は、一般に市販されている画像処理ソフトウェアなどを利用でき、市販の画像解析ソフトウェアとして、三谷商事社製のWinROOF等を用いた。
画像データは、画像の黒色部分及び白色部分の配色のしきい値を定め、ある適当なレベルで2値化され処理される。2値化処理の条件は、測定者が設定し、その条件を全ての測定に用いた。
画像解析は、公知の手段により、各粒子の面積、周囲長、最大長、最大長垂直長(最大長に垂直な方向における長さ)などを算出し、それらから粒子の各種のパラメーターを粒子ごとに算出することができ、算出されるパラメーターには、粒子の円相当径(粒子の画像の面積に等しい面積の円の直径)、円形度(粒子の画像の面積に等しい面積の円の周囲長と画像の周囲長の比)、アスペクト比(粒子の画像の最大長と最大長垂直長の比)などとした。
なお、円相当径は、円相当径=(粒子の画像の面積値/π)1/2×2、円形度は、円形度=(粒子の画像の面積値を持つ円の周囲長)/(粒子の画像の周囲長)、アスペクト比は、(粒子の画像の最大長)/(粒子の画像の最大長垂直長)により算出される。
本発明においては、フィッシュアイの測定として、画像中に占めるフィッシュアイの面積率を求めた。1サンプルのフィッシュアイの面積率は、1つの試験片上で撮影された4視野で、それぞれ得られた測定値の平均値を算出した。
そして、画像中に占めるフィッシュアイの面積率が0.2%以下の場合を「1」、0.2超〜0.5%の場合を「2」、0.5超〜3.0%の場合を「3」、3.0超〜5.0%の場合を「4」、5%超の場合を「5」として、評価した。評価結果を表1に記載した。
(14)総合評価:
ポリエチレン樹脂組成物としての中空成形性の適性を評価し、以下のいずれの項目も良好なものを「○」、それ以外のものを「×」とした。
即ち、以下のピンチオフ特性、耐ドローダウン性及び伸長粘度を測定した。
1)ピンチオフ特性:レオメータにて測定される150℃、100rad/秒におけるtanδの測定は、熱プレスにより調整した試料を用い、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、150℃、角速度100rad/秒における貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”の測定を行い、tanδ(=G”/G’)を算出した。測定時の条件は下記に記す。tanδが0.50〜0.80のものをピンチオフ特性が良好とした。
[測定条件]
装置:Rheometrics社製Ares
冶具:直径25mmパラレルプレート、プレート間隔約1.7mm
測定温度:150℃
歪み:10%
2)耐ドローダウン特性:溶融張力(MT)が60mN以上のものを良好とした。
3)伸長粘度の立ち上がりが確認されたものを良好とした。
2.実施例及び比較例
<メタロセン系触媒の合成>
十分に窒素置換した、誘導撹拌機を装着した円筒状フラスコに、シリカ(平均粒径11μm、表面積313m/g、細孔容積1.6cm/g)を3g充填し、トルエンを75ml添加し、オイルバスにより75℃に加熱した。別のフラスコにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルベマール社製、3.0mol−Al/L)を8.0ml分取した。ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(p−イソプロピルフェニル)−インデニル}]ジルコニウムジクロリド(63.4mg、75μmol)のトルエン溶液(15ml)をメチルアルモキサンのトルエン溶液に室温で添加し、75℃に昇温した後、1時間撹拌した。次いで、75℃に加熱したシリカのトルエンスラリーに、このトルエン溶液を、撹拌しながら添加し1時間保持した。その後、23℃において攪拌しながらn−ヘキサンを175ml添加し、10分後、攪拌を停止し静置した。触媒を十分沈降させた後、上澄みを除去し、n−ヘキサンを200ml添加した。一旦攪拌した後、再度、静置し上澄みを除去した。この操作を3回繰り返して、n−ヘキサンに遊離してくる成分を除去した。更に、40℃加熱した状態で、減圧により溶媒を留去した。減圧度が0.8mmHg以下となってから、更に15分間減圧乾燥を継続しメタロセン系触媒(i)を得た。
<ファウリング防止成分の製造>
100mLのキシレンに、ポリエチレンイミン(分子量10,000)から誘導されたn−オクチル化ポリエチレンイミン(ポリエチレンイミンのモノマー単位当たり0.5個のn−オクチル基が導入されたもの)3gとリン酸エステル化合物であるフィチン酸1gを室温で混合、撹拌し、塩を形成させた。その後、ジオクチルスルホコハク酸エステルマグネシウム塩6gを混合し、ファウリング防止成分を得た。
<ポリエチレン成分(A1)の製造>
上記メタロセン系触媒によるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン成分(A1)を製造した。即ち、内容積290Lのループ型スラリー反応器に、脱水精製イソブタン115L/h、トリイソブチルアルミニウムを0.13mol/h、ファウリング防止成分Bを6ml/h供給し、反応器内の温度を70℃として、圧力を4.2MPaGに保つように反応器から間欠的に排出しながら、エチレン、1−ヘキセン、水素を供給して、重合中の液中の1−ヘキセンとエチレンのモル比が0.007、水素とエチレンのモル比が3.2×10−4になるように調節した。次に、ヘキサンで0.3g/Lに希釈した触媒Aのヘキサンスラリーを3L/hで反応器に供給して重合を開始し、反応器内のエチレン濃度が10vol%になるようにエチレンを供給した。生成したポリエチレンはイソブタンとともに間欠的に排出され、フラッシュさせた後、製品サイロに送った。この時得られたポリエチレン成分(A1)のHLMFRは0.57g/10分であり、密度は0.9242g/cm、HLMFR/MFRは23であった。ポリエチレン成分(A1)は、分子量分布見合いで比較的大きなHLMFR/MFRを示すことから、長鎖分岐構造を有していた。
<ポリエチレン成分(B1)>
特開2015−63515号公報の実施例に準じて製造されたメタロセン系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のHLMFRは360g/10分、密度は0.9605g/cm、Mwは61,000、Mw/Mnは7.2であった。
<ポリエチレン成分(B2)>
メタロセン系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のHLMFRは16.9g/10分、密度は0.9495g/cm、Mwは108,000、Mw/Mnは4.7であった。
<ポリエチレン成分(B3)>
メタロセン系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のMFRは240g/10分、密度は0.9699g/cm、Mwは29,000、Mw/Mnは5.7であった。
<ポリエチレン成分(C1)>
チーグラー系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のMFRは192g/10分、密度は0.9694g/cm、Mwは37,000、Mw/Mnは7.7であった。
<ポリエチレン成分(C2)>
チーグラー系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のMFRは50g/10分、密度は0.9660g/cm、Mwは49,000、Mw/Mnは6.8であった。
<ポリエチレン成分(C3)>
チーグラー系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のMFRは11g/10分、密度は0.9632g/cm、Mwは73,000、Mw/Mnは6.5であった。
<ポリエチレン成分(C4)>
チーグラー系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のMFRは33g/10分、密度は0.9644g/cm、Mwは63,000、Mw/Mnは6.5であった。
<ポリエチレン成分(C5)>
チーグラー系触媒により重合されたエチレン重合体を使用した。当該重合体のMFRは17g/10分、密度は0.9640g/cm、Mwは63,000、Mw/Mnは6.5であった。
[実施例1]
<ポリエチレン樹脂組成物の製造>
上記ポリエチレン成分(A)である(A1)、ポリエチレン成分(B)であるポリエチレン成分(B1)及びポリエチレン成分(C)であるポリエチレン成分(C3)を下記の混練条件において表1に示す割合で溶融混合し、ポリエチレン樹脂組成物を製造した。
[混練条件]
使用機器:東洋精機製作所社製ラボプラストミル ローラミキサ(ミキサ型式:R100/ブレード形状:ローラ型R100B)
添加剤配合:BASFジャパン社製IRGANOX B225を2,000ppm及び 淡南化学工業社製ステアリン酸カルシウムを1,000ppm使用
充填量:70g/batch
混練温度:190℃
ブレード回転速度:40rpm
予熱時間:5分
混練時間:2分
当該ポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られた組成物は、各成分の相溶性が極めて良好で、結晶化時間が短く、成形ハイサイクル性に優れ、適切な流動性と高い溶融張力により、中空成形性にも優れ、なおかつ密度と耐環境応力亀裂性バランス、耐衝撃性などの機械物性に優れていた。
[実施例2〜8]
表1に示す組成物となるように条件設定した以外は、実施例1と同様にポリエチレン樹脂組成物を製造した。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られたポリエチレン樹脂組成物は、各成分の相溶性が良好で、溶融張力が高く、成形ハイサイクル性に優れ、かつ、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性などの機械物性に優れていた。
[比較例1]
表1に示す組成物となるように条件設定した以外は、実施例1と同様にポリエチレン樹脂組成物を製造した。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られたポリエチレン樹脂組成物は、二成分系の組成物であり、溶融張力が低く、伸長粘度の立ち上がりがなく、混ざりが良好でなかった。
[比較例2]
表1に示す組成物となるように条件設定した以外は、実施例1と同様にポリエチレン樹脂組成物を製造した。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られたポリエチレン樹脂組成物は、二成分系の組成物であり、溶融張力が低く、伸長粘度の立ち上がりがなく、混ざりが良好でなかった。
[比較例3]
表1に示す組成物となるように条件設定した以外は、実施例1と同様にポリエチレン樹脂組成物を製造した。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られたポリエチレン樹脂組成物は、HLMFRが大きく、組成物の溶融張力が低く、混ざりが良好でなかった。
[比較例4]
表1に示す組成物となるように条件設定した以外は、実施例1と同様にポリエチレン樹脂組成物を製造した。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られたポリエチレン樹脂組成物は、組成物の溶融張力が低かった。
[比較例5]
表1に示す組成物となるように条件設定した以外は、実施例1と同様にポリエチレン樹脂組成物を製造した。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。得られたポリエチレン樹脂組成物は、組成物の溶融張力が低かった。
本発明によれば、中空成形性、耐環境応力亀裂性、耐衝撃性に優れ、より薄く、軽量にて成形することができ、高速成形性に優れ、ピンチオフ特性が良好である上に、樹脂成分の相溶性が高く、成形体の外観に優れるポリエチレン樹脂組成物及びそれよりなる成形体を提供できる。
更に、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、成形時の高流動性に優れ、本発明の成形体は、匂い、食品安全性、剛性、耐熱性などにも優れる。
従って、本発明のポリエチレン樹脂組成物及びその成形体は、このような特性を必要とする容器などの用途に適し、特に、外観に優れる化粧品容器、洗剤、シャンプー及びリンス用容器、或いは食用油等の食品用容器等の用途に好適に用いることができる。
更に、本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いた容器は、高速成形化が可能であり、製品特性が優れる上に、経済的に有利な、化粧品容器、洗剤、シャンプー及びリンス等の容器として好適である。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、上記のように、性能が優れているので、上記容器以外に、このような特性を必要とする灯油缶、薬品容器等にも、好適に用いることができるため、産業上大いに有用である。

Claims (7)

  1. 下記ポリエチレン成分(A)を10質量%以上40質量%以下、下記ポリエチレン成分(B)を10質量%以上80質量%以下、及び下記ポリエチレン成分(C)を10質量%以上80質量%以下含有し、下記の特性(1)〜(5)を満足するポリエチレン樹脂組成物。
    ポリエチレン成分(A);特性(a1):温度190℃、荷重21.6Kgにおけるメルトフローレート(HLMFR)が0.2g/10分以上、5g/10分未満であり、特性(a2):密度が0.915g/cm以上0.945g/cm以下であるポリエチレン。
    ポリエチレン成分(B);特性(b1):HLMFRが2g/10分以上、400g/10分未満であり、特性(b2):密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であり、特性(b3):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測されるポリエチレン。
    ポリエチレン成分(C);特性(c1):温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が10g/10分以上、200g/10分以下であり、特性(c2):密度が0.960g/cm以上0.980g/cm以下であるポリエチレン。
    特性(1):MFRが0.1g/10分以上、1g/10分以下である。
    特性(2):HLMFRが10g/10分以上、50g/10分以下である。
    特性(3):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が40以上140以下である。
    特性(4):密度が0.940g/cm以上0.965g/cm以下である。
    特性(5):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測される。
  2. ポリエチレン成分(A)は下記の特性(a3)を満足する請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
    特性(a3):温度190℃において周波数ωが0.01rad/秒のとき測定される動的溶融粘度ηH・0.01(単位:Pa・秒)が100,000超過、1,000,000未満。
  3. ポリエチレン成分(A)は下記の特性(a4)を満足する請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物。
    特性(a4):MFRに対するHLMFRの比であるメルトフローレート比(HLMFR/MFR)が10以上35以下である。
  4. ポリエチレン成分(C)は下記の特性(c3)及び(c4)を満足する請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
    特性(c3):温度190℃、荷重11.1Kgにおけるメルトフローレート(MLMFR)が50g/10分以上、2,000g/10分以下である。
    特性(c4):MFRに対するMLMFRの比であるメルトフローレート比(MLMFR/MFR)が3以上15以下である。
  5. 更に、下記の特性(6)を満足する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
    特性(6):190℃で測定される溶融張力(MT)が、60mN以上である。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物を用いて作成された成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物を用いて作成された容器。
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