JP2017178233A - 車両用空気流制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した車両姿勢を維持できるように、早い段階で空気流を制御し、車両の空力性能を向上させることができる車両用空気流制御装置を提供すること。
【解決手段】車両用空気流制御装置1は、車両用ホイール10に設けられ、該車両用ホイールのスポーク13間の開口部14を開状態にする開位置と、前記開口部を閉状態にする閉位置との間で移動可能なシャッタ20と、車両の外部環境を検知する検知手段33と、前記検知手段の検知情報に基づいて、前記シャッタを開位置又は閉位置に移動させるように制御する制御手段34とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用空気流制御装置に関し、特に、車両用ホイールの開口部を開状態と閉状態とに制御可能な車両用空気流制御装置に関する。
従来、車両用ホイールの開口部を制御手段によって開状態又は閉状態に制御し、車両用ホイールの開口部を流れる空気流を変化させることによって、車両姿勢を安定させる車両用空気流制御装置が開発されている。
例えば、特許文献1には、車両用ホイールに設けられ、車両用ホイールの開口部を開状態にする開位置と、該開口部を閉状態にする閉位置とに移動可能なシャッタを備えた車両用空気流制御装置が記載されている。この装置では、車両のピッチやロール等、車両自身の走行状態を検出して、この検出結果に基づいて、シャッタを移動させて車両用ホイールの開口部を開状態又は閉状態に切り替え、これにより、空気流の流れを変更して車両姿勢を安定させている。
特開2007−126088号公報
しかし、特許文献1の車両用空気流制御装置は、車両自身の走行状態を検出してから、シャッタを開移動又は閉移動させている、つまり、車両姿勢が不安定になった後に、ホイールの開口部を開状態又は閉状態にして、車用姿勢を安定させるものであるため、車用姿勢が不安定に変化する前に、これを抑制するような空気流の制御を行うことができなかった。そのため、より早い段階で、空気流を制御し、安定した車両姿勢を維持できるように車両の空力性能を向上することが望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、安定した車両姿勢を維持できるように、早い段階で空気流を制御し、車両の空力性能を向上させることができる車両用空気流制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用空気流制御装置は、車両用ホイールに設けられ、該車両用ホイールのスポーク間の開口部を開状態にする開位置と、前記開口部を閉状態にする閉位置との間で移動可能なシャッタと、車両の外部環境を検知する検知手段と、前記検知手段の検知情報に基づいて、前記シャッタを開位置又は閉位置に移動させるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、車両の外部環境を検知する検知手段によって、車両に姿勢変更を与える要因を検知し、この検知情報に基づいて、車両用ホイールに設けられたシャッタを開位置又は閉位置に移動させて、開口部を開状態や閉状態に変化させることができるので、車両姿勢が不安定になっていない状態で、安定した車両姿勢が維持できるように、空気流を制御することができる。これにより、空気流を制御する段階を早めて、車両の空力性能を向上することできる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用空気流制御装置において、前記検知手段の検知情報は、外部環境において、車両に風圧の変化を与える対象物であり、前記制御手段は、前記対象物による風圧の変化によって車両に生じるモーメントを打ち消すモーメントが発生するように、前記シャッタを移動させることを特徴とする。
この構成によれば、外部環境において、車両に風圧の変化を与える対象物を検知し、該対象物による風圧の変化によって車両に生じるモーメントを打ち消すモーメントが発生するように、シャッタを移動させるため、対象物による風圧の変化によって車両姿勢が不安定になるのをモーメントの打ち消しによって抑制することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用空気流制御装置において、前記制御手段は、車両が所定の速度以上の場合に、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記車両の左側及び右側のうち、いずれか一方側の前記車両用ホイールの前記シャッタを開位置に移動させ、いずれか他方側の前記車両用ホイールの前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、車両が所定の速度以上の場合に、車両の左側と右側とで、車両用ホイールの開口部の開閉状態が異なるように制御することで、車両の左側と右側とに発生する抗力の大きさを変えることができる。車両が所定の速度以上の比較的速いスピードである場合、走行風による抗力の影響が大きくなり、この場合に車両用ホイールの開口部の開閉状態を制御し、車両の左側と右側とに発生する抗力の大きさを変えることによって、車両に発生するモーメントをコントロールすることができる。これにより、車両の傾きを抑えるモーメントが発生するように、開口部の開閉状態によってモーメントをコントロールすることで、車両姿勢を安定させることができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用空気流制御装置において、前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する同一方向への走行車線を走行する前記他の車両よりも後方側であって、該他の車両の風圧影響範囲内に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを閉位置に移動させ、反対側の前記シャッタを開位置に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、隣接する同一方向への走行車線を走行する他の車両よりも後方側であって、該他の車両の風圧影響範囲内に位置する場合に、自身の車両の左側及び右側のうち、他の車両側のシャッタを閉位置に移動させ、反対側のシャッタを開位置に移動させることで、他の車両による風圧の変化によって自身の車両に発生するモーメントを打ち消して、安定した車両姿勢を維持させることができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の車両用空気流制御装置において、前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する同一方向への走行車線を走行する前記他の車両の側方に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを開位置に移動させ、反対側の前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、自身の車両が、隣接する同一方向への走行車線を走行する他の車両の側方に位置する場合に、自身の車両の左側及び右側のうち、他の車両側のシャッタを開位置に移動させ、反対側のシャッタを閉位置に移動させることで、他の車両による風圧の変化によって自身の車両に発生するモーメントを打ち消して、安定した車両姿勢を維持させることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両用空気流制御装置において、前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する対向車線を走行する前記他の車両よりも前方側であって、該他の車両の風圧影響範囲内に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを開位置に移動させ、反対側の前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、自身の車両が、隣接する対向車線を走行する他の車両よりも前方側であって、該他の車両の風圧影響範囲内に位置する場合に、自身の車両の左側及び右側のうち、他の車両側のシャッタを開位置に移動させ、反対側のシャッタを閉位置に移動させることで、他の車両による風圧の変化によって自身の車両に発生するモーメントを打ち消して、安定した車両姿勢を維持させることができる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか1項に記載の車両用空気流制御装置において、前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する対向車線を走行する前記他の車両の側方に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを閉位置に移動させ、反対側の前記シャッタを開位置に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、自身の車両が、隣接する対向車線を走行する他の車両の側方に位置する場合に、自身の車両の左側及び右側のうち、他の車両側のシャッタを閉位置に移動させ、反対側のシャッタを開位置に移動させることで、他の車両による風圧の変化によって自身の車両に発生するモーメントを打ち消して、安定した車両姿勢を維持させることができる。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用空気流制御装置において、前記検知手段の検知情報は、外部環境の風向きであり、前記制御手段は、車両が所定の速度以上であって、かつ横風を受ける場合に、前記車両の左側及び右側のうち、前記横風を受けている側の前記車両用ホイールの前記シャッタを開位置に移動させ、反対側の前記車両用ホイールの前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、車両が所定の速度以上であって、かつ横風を受ける場合に、車両の左側及び右側のうち、横風を受けている側の車両用ホイールのシャッタを開位置に移動させ、反対側の車両用ホイールのシャッタを閉位置に移動させることで、横風によって自身の車両に発生するモーメントを打ち消して、安定した車両姿勢を維持させることができる。
本発明に係る車両用空気流制御装置によれば、安定した車両姿勢を維持できるように、早い段階で空気流を制御し、車両の空力性能を向上させることができる。
本発明の一実施形態である車両用空気流制御装置の構成を示すブロック図。 (a)は、車両用ホイールの開口部の閉状態を示す図。(b)は、車両用ホイールの開口部の開状態を示す図。 (a)は、図2のIII(a)で示す領域の拡大一部断面図。(b)は、図2のIII(b)で示す領域の拡大一部断面図。 (a)は、車両用ホイールの開口部が閉状態の場合の空気流を説明する模式的な一部断面斜視図。(b)は、車両用ホイールの開口部が開状態の場合の空気流を説明する模式的な一部断面斜視図。 車両の走行状態において、開口部の開閉状態によるモーメントの発生を説明する平面図であり、(a)は、車両の右側を開状態、左側を閉状態とした図、(b)は、車両の右側を閉状態、左側を開状態とした図。 車両が隣接する同一方向への走行車線を走行する他の車両を追い越す場合の概略説明図。 コントロールユニットが行う処理を示すフローチャート図。 車両が隣接する同一方向への走行車線を走行する他の車両に追い越される場合の概略説明図。 コントロールユニットが行う処理を示すフローチャート図。 車両が隣接する対向車線の他の車両とすれ違う場合の概略説明図。 コントロールユニットが行う処理を示すフローチャート図。 車両が横風帯を通過する場合の概略説明図。 コントロールユニットが行う処理を示すフローチャート図。
図1は、本発明の一実施形態である車両用空気流制御装置1の構成を示すブロック図であり、図2は、車両用空気流制御装置1による空気流の制御対象である車両用ホイール10を示す図であり、図2(a)は、車両用ホイール10の開口部14の閉状態を示し、図2(b)は、車両用ホイール10の開口部14の開状態を示す。車両用空気流制御装置1は、自身の車両Xの速度を検出する車速センサ31と、切替スイッチ32と、外部環境検知センサ(検知手段)33と、コントロールユニット(制御手段)34と、アクチュエータ(駆動部)35とを有する。アクチュエータ35は、車両用ホイール10に設けられたシャッタ20を作動させる。
切替スイッチ32は、シャッタ20による車両用ホイール10の開口部14の開閉状態を手動で制御する手動制御と、外部環境検知センサ32の検知情報に基づいてコントロールユニット34が制御する自動制御とに切り替えるスイッチである。
外部環境検知センサ33は、自身の車両Xの周囲の外部環境、例えば、周囲の車両や、建築物、地形、風向き等と検知するものであり、少なくとも、自身の車両Xに風圧の変化を与える対象物、例えば、大型の車両や、周辺の風向きや風速等、を検知する。このような外部環境検知センサ33としては、例えば、車載カメラ、風向き及び風速センサ等を用いることができ、また、これら組み合わせて用いることも可能である。
コントロールユニット34は、切替スイッチ32により自動制御が選択された場合に、車速センサ33によって検出された車速と、外部環境検知センサ33の検知情報にもとづいて、アクチュエータ35を作動させる。コントロールユニット34には、自身の車両Xが、所定の速度以上となる高速走行であるか否かを判断するための速度閾値Vが設定されている。また、後述するターゲット車両Yの車速が、所定の速度以上であるか否かを判断するための速度閾値Vが設定されている。また、コントロールユニット34には、車両Xの周囲の風速が所定の風速以上であるか否かを判断するための風速閾値Sが設定される。
車両用ホイール10は、ホイールセンタ部11と、タイヤ18が装着されるリム部12と、ホイールセンタ部11とリム部12とを接続する複数のスポーク13とを有する。ホイールセンタ部11は、車両Xのドライブシャフト19の端部に連結されたハブに接続、固定される(図4参照)。複数のスポーク13は、ホイールセンタ部11から放射状に延在しており、先端部がリム部12の内周面に接続される。車両用ホイール10には、シャッタ20が設けられる。
シャッタ20は、車両用空気流制御装置1のアクチュエータ35によって、スポーク13の間の開口部14を開状態にする開位置と、開口部14を閉状態にする閉位置との間で移動可能となるように構成される。シャッタ20とアクチュエータ35とは、各車輪に設けられている。シャッタ20は、車両用ホイール10の裏面側(車両の内側)又は表面側(車両の外側)に設けることが可能であり、本実施形態では、裏面側に設けており、図2は裏面側から見た状態を示している。シャッタ20は、ホイールセンタ部11に装着される環状部21と、環状部から放射状に延在する複数のシャッタ部22とを有する。
シャッタ20は、ホイールセンタ部11に取付けられたアクチュエータ35の作動によって、回動可能に構成される。図3に示すように、ホイールセンタ部11には、外周面から中心部に向かって延在する凹状のシリンダ部11aが形成されており、シリンダ部11aには、ピストン23と、ピストン23を作動するアクチュエータ35とが配置される。ピストン23は、アクチュエータ35によって、シリンダ部11aの延在方向(すなわち、ホイールセンタ部11の径方向)に沿って往復移動可能に構成される。ホイールセンタ部11は、さらに、回転中心を挟んでシリンダ部11aとほぼ反対側の位置の外周面に形成された凹部11bと、凹部11bに配置されたスプリング24とを有する。なお、図3では、シリンダ部11a及び凹部11b、並びに後述する第1溝部26及び第2溝部27を断面状態で示している。
シャッタ20の環状部21は、ホイールセンタ部11の外周に装着されており、内周面に、周方向に延びる略円弧状の第1溝部26及び第2溝部27を有する。第1溝部26及び第2溝部27のそれぞれは、ホイールセンタ部11のピストン23及びスプリング24のそれぞれと対応する位置に形成される。シャッタ部22は、車両用ホイール10の開口14を閉鎖可能な大きさであって、開位置に移動した際に、スポーク13の裏面に格納可能な大きさに形成される。
上述したシャッタ20では、図3(a)に示すように、アクチュエータ35の作動によってピストン23が径方向外側へ移動すると、ピストン23によって第1溝部26の円弧状の底面が押圧され、シャッタ20が第1方向(図3(a)の反時計回り方向)へ回動する。ピストン23が第1溝部26の最底面26aまで移動して壁面26bに当接すると、シャッタ20の移動が停止し、シャッタ20は閉位置となる。このとき、車両用ホイール10は、シャッタ部22によって開口部14が閉鎖された閉状態となる。
一方、図3(b)に示すように、アクチュエータ35の作動によってピストン23が径方向内側へ移動すると、ピストン23の反対側に位置するスプリング24の付勢力によって第2溝部27の円弧状の底面が押圧され、シャッタ20が第1方向と反対の第2方向(図3(b)の時計回り方向)へ回動する。ピストン23が第2溝部27の最底面27aまで移動して壁面27bに当接すると、シャッタ20の移動が停止し、シャッタ20は開位置となる。このとき、シャッタ部22はスポーク13の裏面に格納された状態となり、車両用ホイール10の開口部14は、開状態となる。
図4(a)は、走行状態において車両用ホイール10の開口部14が閉状態の場合の空気流を説明する模式的な一部断面斜視図である。開口部14が閉状態の場合には、開口部14を介して車両Xの内側から外側へ流出する空気流が、シャッタ20により遮断される。従って、車両X側面を流れる空気流は、車両用ホイール10を通過する空気流による干渉を受けず、車両X側面は、空気抵抗が低減された低抗力状態となる。これにより、抗力を低くして燃費を向上させることができる。
図4(b)は、走行状態において車両用ホイール10の開口部14が開状態の場合の空気流を説明する模式的な一部断面斜視図である。開口部14が開状態の場合には、車両用ホイール10を通過する空気流によって、ブレーキ冷却作用を得ることができる。一方、開口部14を介して車両Xの内側から外側へ流出する乱れた空気流によって、車両X側面を流れる空気流が干渉を受けることとなる。これにより、車両X側面は、空気抵抗が高くなる高抗力状態となる。なお、図4(a)(b)では、一つの車輪(左前輪)における空気流を説明しているが、他の各車輪についても同様である。
図5は、車両Xの走行状態において、開口部14の開閉状態によるモーメントの発生を説明する平面図である。車両Xが前進する走行状態において、車両Xの右側における前輪及び後輪の車両用ホイール10の開口部14を開状態とし、車両Xの左側における前輪及び後輪の車両用ホイール10の開口部14を閉状態とする。すると、図5(a)に示すように、車両Xの右側面は高抗力状態、左側面は低抗力状態となり、右側面の抗力Fが、左側面の抗力Fよりも大きくなる。このとき、車両Xには、平面視において、車両Xの回転軸(ロール軸)を中心Qとして時計回りのモーメントMが発生する。
車両Xが前進する走行状態において、車両Xの右側における前輪及び後輪の車両用ホイール10の開口部14を閉状態とし、車両Xの左側における前輪及び後輪の車両用ホイール10の開口部14を開状態とする。すると、図5(b)に示すように、車両Xの左側面は低抗力状態となり、右側面は低抗力状態となり、左側面の抗力Fが、右側面の抗力Fよりも大きくなる。このとき、車両Xには、平面視において、車両Xの回転軸を中心Qとして反時計回りのモーメントMが発生する。
車両Xが所定の速度以上の比較的速いスピードである場合、走行風による抗力の影響が大きくなる。この場合に、図5(a)(b)に示すように、開口部14の開閉状態を制御することで、車両Xに発生するモーメントをコントロールすることができる。
次に、上述した車両用空気流制御装置1による車両用ホイール10の制御について説明する。
車両Xが走行している場合、その後方及び側方(左側及び右側)には、低圧領域が発生し、その前方には高圧領域が発生する。車両が大型車両(例えば、大型トラック等)の場合、この低圧領域及び高圧領域は比較的大きな範囲となり、また、車速が高速の場合には高圧領域と低圧領域との圧力差が大きくなる。つまり、自身の車両Xが所定の速度V以上となる高速走行の場合には、自身の車両Xの周囲に発生する高圧領域と低圧領域との圧力差が大きくなり、自身の車両Xが、走行する他の大型の車両の低圧領域や高圧領域の範囲内に入ると、大型車両による風圧の影響を受けて、自身の車両Xの車両姿勢が不安定になる。そこで、本実施形態では、外部環境検知センサ33によって、自身の車両Xに風圧の変化を与える対象物である他の車両(特に大型の車両)を検知し、自身の車両Xの車両姿勢が安定するように、シャッタ20を移動させて車両用ホイール10の開口部14を開閉制御する。
図6は、車両Xが隣接する同一方向への走行車線を走行する他の車両を追い越す場合の概略説明図であり、図7は、他の車両の追い越す際に、コントロールユニット34が行う処理を示すフローチャート図である。以下、ステップ毎に順を追ってコントロールユニット34の処理を説明する。
まず、コントロールユニット34は、切替スイッチ32からの信号により、車両用ホイール10の開口部14の開閉制御が、自動制御モードであるか判別する(ステップS101)。自動制御モードではない場合(手動制御モードの場合)(ステップS101:No)、処理を終了(リターン)する。
自動制御モードである場合(ステップS101:Yes)、コントロールユニット34は、車速センサ31の検出値に基づき、自身の車両Xの車速V(t)が閾値V以上であるか判別する。閾値V未満の場合(ステップS102:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が開状態となるように、シャッタ20を開位置に移動させ(ステップS103)、処理を終了(リターン)する。このように、低車速の場合に開口部14を開状態とすることで、空気流によるブレーキ冷却作用を得ることができる。
車両Xの車速が閾値V以上の場合(ステップS102:Yes)、外部環境検知センサ33の検出情報に基づいて、隣接する同一方向への走行車線であって、かつ隣接車線の前方に、大型の他の車両が存在するか判別する。他の車両が大型であるか否かは、例えば、外部環境検知センサ33である車載カメラの画像情報により、他の車両の後部面積から、該車両の大きさを推算して判別することができる。他の車両が存在しない場合(ステップS104:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS105)、処理を終了(リターン)する。このように、高車速の場合であって、他の車両による風圧の影響がない場合には、開口部14を閉状態とすることで、燃費を向上することができる。
他の車両が存在する場合(ステップS104:Yes)、他の車両のうち自身の車両Xに最も近い車両をターゲット車両Yとして認定する(ステップS106)。次に、外部環境検知センサ33の検知情報によって、ターゲット車両Yの車速V(t)を算出し、車速V(t)が、予め設定されている車速の閾値Vよりも速く、かつ、自身の車両Xの車速V(t)よりも遅い範囲にあるか(すなわち、閾値V<車速V(t)<車速V(t)であるか)を判別する。車速V(t)が、この範囲にない場合、すなわち、車速V(t)が閾値V以下、又は、車速V(t)が車速V(t)以上である場合(ステップS107:No)、処理を終了(リターン)する。
ターゲット車両Yの車速V(t)が、閾値V<車速V(t)<車速V(t)の範囲である場合(ステップS107:Yes)、自身の車両Xが走行する車線と隣接する左側車線及び右側車線のうち、ターゲット車両Yが走行する車線を特定する(ステップS108)。なお、図6は、ターゲット車両Yが隣接する左側車線を走行する場合を示しており、この場合において、コントロールユニット34は、左側車線をターゲット車両Yの走行車線と特定する。
次に、外部環境検知センサ33の検知情報に基づき、ターゲット車両Yの後端と自身の車両Xの前端との距離L(t)を算出し、距離L(t)が、ターゲット車両Yによる風圧影響範囲内となる距離L以下であるか判別する(ステップS109)。距離L(t)が距離Lより大きい場合(ステップS109:No)、処理を終了(リターン)する。本実施形態において、距離Lは、ターゲット車両Yの車両長さ(前後方向の長さ)の約2倍の長さとしており、外部環境検知センサ33によって取得した情報に基づいて、算出することができる。例えば、ターゲット車両Yが大型トラックの場合、車載カメラ(外部環境検知センサ33)の画像情報により、ターゲット車両Yの後部面積から、車両長さを推算して距離Lを決定することができる。距離L(t)が距離L以下である場合(ステップS109:Yes)、距離L(t)が零以上であるか判別する(ステップS110)。
距離L(t)が、零以上、すなわち、0≦距離L(t)≦距離Lである場合(ステップS110:Yes)、アクチュエータ35を作動させて、自身の車両Xの左側及び右側のうち、ターゲット車両Y側の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となり、反対側の開口部14が開状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させ(ステップS111)、処理を終了(リターン)する。図6に示す例では、ターゲット車両Y側となる、車両Xの左側の前輪及び後輪のシャッタ20を閉位置に移動させ、その反対側となる車両Xの右側の前輪及び後輪のシャッタ20を開位置に移動させている。
距離L(t)が、零より小さい、すなわち、距離L(t)<0の場合(ステップS110:No)、アクチュエータ35を作動させて、自身の車両Xの左側及び右側のうち、ターゲット車両Y側の車両用ホイール10の開口部14が開状態となり、反対側の開口部14が閉状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させる(ステップS112)。図6に示す例では、ターゲット車両Y側となる、車両Xの左側の前輪及び後輪のシャッタ20を開位置に移動させ、その反対側となる車両Xの右側の前輪及び後輪のシャッタ20を閉位置に移動させている。そして、車両Xの車速V(t)と、ターゲット車両Yの車速V(t)との相対速度から、車両Xがターゲット車両Yを追い越すのに必要な距離Lを走行する時間Tを算出し(ステップS113)、追い越すまでの時間Tの間、処理を待機する(ステップS114)。コントロールユニット34は、追い越し時間Tを経過した後、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS115)、処理を終了(リターン)する。なお、ステップS113において、時間Tを算出する代わりに、外部環境検知センサ33によって、車両Xによるターゲット車両Yの追い越しを検知する構成とし、その間、コントロールユニット34が処理を待機する(ステップS114)構成としてもよい。また、Sステップ107及びステップS109のそれぞれにおいて、Noと判別された場合に、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させた後、処理を終了(リターン)する構成としてもよい。
上述した制御処理では、高速走行において、走行する他の車両(すなわち、ターゲット車両)Yを追い越す際に、車両Yによって風圧の変化が生じる、風圧影響範囲内に車両Xが進入した場合に、車両Xの車両姿勢が変化するのを抑制することができる。
具体的には、図6に示す例において、車両Xがターゲット車両Yの後方の風圧影響範囲内を走行している場合(ステップS110:Yes)(図6の距離Lの範囲)、ターゲット車両Yの風圧によって、車両Xには、平面視において反時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより(図5参照)、モーメントMを打ち消す、時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。
また、車両Xがターゲット車両Yの側方の風圧影響範囲内を走行している場合(ステップS110:No)(図6の距離Lの範囲)、ターゲット車両Yの風圧によって、車両Xには、平面視において時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、反時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。なお、図6及び後述する図8,10,12において、モーメントM、Mを示す矢印の大きさは、各モーメントの大きさを示すものではなく、モーメントMとモーメントMとを区別するために大きさを変えて記載したものである。
このような制御は、外部環境検知センサ33によってターゲット車両Yを検知し、これに基づいて風圧影響範囲を算出することによって自身の車両姿勢が変更する前に行うことができるので、従来の制御に比べて、早い段階で空気流を制御し、車両Xの空力性能を向上させることができる。
次に、車両用空気流制御装置1による車両用ホイール10の他の制御について説明する。図8は、車両Xが隣接する同一方向への走行車線を走行する他の車両に追い越される場合の概略説明図であり、図9は、他の車両に追い越される際に、コントロールユニット34が行う処理を示すフローチャート図である。以下、ステップ毎に順を追ってコントロールユニット34の処理を説明する。
まず、コントロールユニット34は、切替スイッチ32からの信号により、車両用ホイール10の開口部14の開閉制御が、自動制御モードであるか判別する(ステップS201)。自動制御モードではない場合(手動制御モードの場合)(ステップS201:No)、処理を終了(リターン)する。
自動制御モードである場合(ステップS201:Yes)、コントロールユニット34は、車速センサ31の検出値に基づき、車両Xの車速V(t)が所定の車速閾値V以上であるか判別する。閾値V未満の場合(ステップS202:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が開状態となるように、シャッタ20を開位置に移動させ(ステップS203)、処理を終了(リターン)する。
車両Xの車速が閾値V以上の場合(ステップS202:Yes)、外部環境検知センサ33の検出情報に基づいて、同一方向への走行車線であって、かつ隣接車線の後方に、大型の他の車両が存在するか判別する。他の車両が大型であるか否かは、例えば、外部環境検知センサ33である車載カメラの画像情報により、他の車両の前部面積から、該車両の大きさを推算して判別することができる。他の車両が存在しない場合(ステップS204:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS205)、処理を終了(リターン)する。
他の車両が存在する場合(ステップS204:Yes)、他の車両のうち自身の車両Xに最も近い車両をターゲット車両Yとして認定する(ステップS206)。次に、外部環境検知センサ33の検知情報によって、ターゲット車両Yの車速V(t)を算出し、車速V(t)が、自身の車両Xの車速V(t)よりも大きいか(すなわち、車速V(t)>車速V(t)であるか)を判別する。車速V(t)が車速V(t)以下の場合、(ステップS207:No)、処理を終了(リターン)する。
ターゲット車両Yの車速V(t)が、車速V(t)より大きい場合(ステップS207:Yes)、自身の車両Xが走行する車線と隣接する左側車線及び右側車線のうち、ターゲット車両Yが走行する車線を特定する(ステップS208)。なお、図8は、ターゲット車両Yが隣接する左側車線を走行する場合を示しており、この場合において、コントロールユニット34は、左側車線をターゲット車両Yの走行車線と特定する。
次に、外部環境検知センサ33の検知情報に基づき、ターゲット車両Yの後端と自身の車両Xの前端との距離L(t)を算出し、距離L(t)が、ターゲット車両Yによる風圧影響範囲内となる距離L以下であるか判別する(ステップS209)。ここで、距離Lは、ターゲット車両Yの後端から前方側にある風圧影響範囲の距離であり、ターゲット車両Yの車速V(t)と、ターゲット車両Yの前部面積から算出したターゲット車両Yの大きさとに基づいて算出することができる。距離L(t)が距離Lより大きい場合(ステップS209:No)、処理を終了(リターン)する。距離L(t)が距離L以下である場合(ステップS209:Yes)、距離L(t)が零以上であるか判別する(ステップS110)。
距離L(t)が、零以上、すなわち、0≦距離L(t)≦距離Lである場合(ステップS210:Yes)、アクチュエータ35を作動させて、自身の車両Xの左側及び右側のうち、ターゲット車両Y側の車両用ホイール10の開口部14が開状態となり、反対側の開口部14が閉状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させ(ステップS111)、処理を終了(リターン)する。図8に示す例では、ターゲット車両Y側となる、車両Xの左側の前輪及び後輪のシャッタ20を開位置に移動させ、その反対側となる車両Xの右側の前輪及び後輪のシャッタ20を閉位置に移動させている。
距離L(t)が、零より小さい、すなわち、距離L(t)<0の場合(ステップS210:No)、アクチュエータ35を作動させて、自身の車両Xの左側及び右側のうち、ターゲット車両Y側の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となり、反対側の開口部14が開状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させる(ステップS212)。図8に示す例では、ターゲット車両Y側となる、車両Xの左側の前輪及び後輪のシャッタ20を閉位置に移動させ、その反対側となる車両Xの右側の前輪及び後輪のシャッタ20を開位置に移動させている。そして、車両Xの車速V(t)と、ターゲット車両Yの車速V(t)との相対速度から、車両Xがターゲット車両Yの後方側にある風圧影響範囲から離脱するまでの時間T、すなわち、風圧影響を受ける最遠距離Lに到達するまでの走行時間Tを算出し(ステップS213)、時間Tを経過するまでの間、処理を待機する(ステップS214)。本実施形態において、距離Lは、ターゲット車両Yの車両長さ(前後方向の長さ)の約2倍の長さとしており、距離Lは、外部環境検知センサ33によって取得した情報に基づいて、算出することができる。コントロールユニット34は、時間Tを経過した後、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS215)、処理を終了(リターン)する。なお、ステップS207及びステップS209のそれぞれにおいて、Noと判別された場合に、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させた後、処理を終了(リターン)する構成としてもよい。
上述した制御処理では、高速走行において、走行する他の車両(すなわち、ターゲット車両)Yに追い越される際に、車両Yによって風圧の変化が生じる、風圧影響範囲内に車両Xが進入した場合に、車両Xの車両姿勢が変化するのを抑制することができる。
具体的には、図8に示す例において、車両Xがターゲット車両Yの前方及び側方の風圧影響範囲内を走行している場合(ステップS210:Yes)(図8の距離Lの範囲)、ターゲット車両Yの風圧によって、車両Xには、平面視において時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、反時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。
また、車両Xがターゲット車両Yの後方の風圧影響範囲内を走行している場合(ステップS210:No)(図8の距離Lの範囲)、ターゲット車両Yの風圧によって、車両Xには、平面視において反時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。
次に、車両用空気流制御装置1による車両用ホイール10のさらに他の制御について説明する。図10は、車両Xが隣接する対向車線の他の車両とすれ違う場合の概略説明図であり、図11は、他の車両とすれ違う際に、コントロールユニット34が行う処理を示すフローチャート図である。以下、ステップ毎に順を追ってコントロールユニット34の処理を説明する。
まず、コントロールユニット34は、切替スイッチ32からの信号により、車両用ホイール10の開口部14の開閉制御が、自動制御モードであるか判別する(ステップS301)。自動制御モードではない場合(手動制御モードの場合)(ステップS301:No)、処理を終了(リターン)する。
自動制御モードである場合(ステップS301:Yes)、コントロールユニット34は、車速センサ31の検出値に基づき、自身の車両Xの車速V(t)が所定の車速閾値V以上であるか判別する。閾値V未満の場合(ステップS302:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が開状態となるように、シャッタ20を開位置に移動させ(ステップS303)、処理を終了(リターン)する。
車両Xの車速が閾値V以上の場合(ステップS302:Yes)、外部環境検知センサ33の検出情報に基づいて、対向車線であって、かつ隣接車線の前方に、大型の他の車両が存在するか判別する。他の車両が存在しない場合(ステップS304:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS305)、処理を終了(リターン)する。
他の車両が存在する場合(ステップS304:Yes)、他の車両のうち自身の車両Xに最も近い車両をターゲット車両Yとして認定する(ステップS306)。次に、外部環境検知センサ33の検知情報によって、ターゲット車両Yの車速V(t)を算出し、車速V(t)が、設定された閾値Vよりも速いか判別する。車速V(t)が閾値V以下の場合、(ステップS307:No)、処理を終了(リターン)する。
ターゲット車両Yの車速V(t)が、閾値Vより大きい場合(ステップS307:Yes)、自身の車両Xが走行する車線と隣接する左側車線及び右側車線のうち、ターゲット車両Yが走行する車線を特定する(ステップS308)。
次に、外部環境検知センサ33の検知情報に基づき、ターゲット車両Yの前端と自身の車両Xの前端との距離L(t)を算出し、距離L(t)が、ターゲット車両Yによる風圧影響範囲内となる距離L以下であるか判別する(ステップS309)。ここで、距離Lは、ターゲット車両Yの前端から前方側にある風圧影響範囲の距離であり、ターゲット車両Yの車速V(t)と、ターゲット車両Yの前部面積から算出したターゲット車両Yの大きさとに基づいて算出することができる。距離L(t)が距離Lより大きい場合(ステップS309:No)、処理を終了(リターン)する。距離L(t)が距離L以下である場合(ステップS209:Yes)、距離L(t)が零以上であるか判別する(ステップS310)。
距離L(t)が、零以上、すなわち、0≦距離L(t)≦距離Lである場合(ステップS310:Yes)、アクチュエータ35を作動させて、自身の車両Xの左側及び右側のうち、ターゲット車両Y側の車両用ホイール10の開口部14が開状態となり、反対側の開口部14が閉状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させ(ステップS311)、処理を終了(リターン)する。図10に示す例では、ターゲット車両Y側となる、車両Xの右側の前輪及び後輪のシャッタ20を開位置に移動させ、その反対側となる車両Xの左側の前輪及び後輪のシャッタ20を閉位置に移動させている。
距離L(t)が、零より小さい、すなわち、距離L(t)<0の場合(ステップS310:No)、アクチュエータ35を作動させて、自身の車両Xの左側及び右側のうち、ターゲット車両Y側の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となり、反対側の開口部14が開状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させる(ステップS312)。図10に示す例では、ターゲット車両Y側となる、車両Xの右側の前輪及び後輪のシャッタ20を閉位置に移動させ、その反対側となる車両Xの左側の前輪及び後輪のシャッタ20を開位置に移動させている。そして、車両Xの車速V1(t)と、ターゲット車両Yの車速V2(t)との相対速度から、車両Xがターゲット車両Yの後方側にある風圧影響範囲から離脱するまでの時間T、すなわち、風圧影響を受ける最遠距離Lに到達するまでの走行時間Tを算出し(ステップS313)、時間Tを経過するまでの間、処理を待機する(ステップS314)。本実施形態において、距離Lは、ターゲット車両Yの前端からターゲット車両Yの車両長さの約3倍の長さとしており、距離Lは、外部環境検知センサ33によって取得した情報に基づいて、算出することができる。コントロールユニット34は、時間Tを経過した後、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS315)、処理を終了(リターン)する。なお、ステップS307及びステップS309のそれぞれにおいて、Noと判別された場合に、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させた後、処理を終了(リターン)する構成としてもよい。
上述した制御処理では、高速走行において、走行する他の車両(すなわち、ターゲット車両)Yとすれ違う際に、車両Yによって風圧の変化が生じる、風圧影響範囲内に車両Xが進入した場合に、車両Xの車両姿勢が変化するのを抑制することができる。
具体的には、図10に示す例において、車両Xがターゲット車両Yの前方の風圧影響範囲内を走行している場合(ステップS310:Yes)(図10の距離Lの範囲)、ターゲット車両Yの風圧によって、車両Xには、平面視において反時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。
また、車両Xがターゲット車両Yの側方及び後方の風圧影響範囲内を走行している場合(ステップS310:No)(図8の距離Lの範囲)、ターゲット車両Yの風圧によって、車両Xには、平面視において時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、反時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。
なお、上述したすれ違いの際の制御処理において、対向車線を走行するターゲット車両Yとすれ違った直後に、後続する大型の車両とすれ違う場合には、ターゲット車両Yの前端を通過した後、外部環境検知センサ33が後続する大型車両を検知した際に、該大型車両をターゲット車両Yとして、すれ違い制御処理を行う構成としてもよい。
次に、車両用空気流制御装置1による車両用ホイール10のさらに他の制御について説明する。図12は、車両Xが横風帯を通過する場合の概略説明図であり、図13は、横風帯を通過する際に、コントロールユニット34が行う処理を示すフローチャート図である。以下、ステップ毎に順を追ってコントロールユニット34の処理を説明する。
まず、コントロールユニット34は、切替スイッチ32からの信号により、車両用ホイール10の開口部14の開閉制御が、自動制御モードであるか判別する(ステップS401)。自動制御モードではない場合(手動制御モードの場合)(ステップS401:No)、処理を終了(リターン)する。
自動制御モードである場合(ステップS401:Yes)、コントロールユニット34は、車速センサ31の検出値に基づき、自身の車両の車速V(t)が閾値V以上であるか判別する。閾値V未満の場合(ステップS402:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が開状態となるように、シャッタ20を開位置に移動させ(ステップS403)、処理を終了(リターン)する。
車両Xの車速が閾値V以上の場合(ステップS402:Yes)、外部環境検知センサ33の検出情報に基づいて、車両Xの周囲の風速Sが所定の風速閾値Sより高いか判別する。風速Sが閾値S以下の場合(ステップS404:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS405)、処理を終了(リターン)する。このように、高車速の場合であって、周囲の風の影響がない場合には、開口部14を閉状態とすることで、燃費を向上することができる。
風速Sが閾値Sより高い場合(ステップS404:Yes)、外部環境検知センサ33の検知情報に基づき、横風であるか否かを判別する(ステップS406)。横風であるかは、車体正面に対して設定角度以上、車体左斜め側又は右斜め側であるかによって判定することができる。横風ではない場合(ステップS406:No)、アクチュエータ35を作動させ、全車輪の車両用ホイール10の開口部14が閉状態となるように、シャッタ20を閉位置に移動させ(ステップS407)、処理を終了(リターン)する。
周囲の風が横風である場合(ステップS406:Yes)、風向きが左側であるかを判別する(ステップS408)。風向きが右側である場合(ステップS408:No)、アクチュエータ35を作動させ、自身の車両Xの右側の車両用ホイール10の開口部14が開状態となり、左側の開口部14が閉状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させ(ステップS409)、処理を終了(リターン)する。
一方、図12に示すように、風向きが左側である場合(ステップS408:Yes)、アクチュエータ35を作動させ、自身の車両Xの左側の車両用ホイール10の開口部14が開状態となり、右側の開口部14が閉状態となるように、各車輪のシャッタ20を移動させ(ステップS410)、処理を終了(リターン)する。
上述した制御処理では、高速走行において、横風の影響により、車両Xの車両姿勢が変化するのを抑制することができる。具体的には、図12に示すように、車両Xに対して、左側から横風が吹く横風帯を通過する場合、横風による風圧によって車両Xには、平面視において時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、反時計回りのモーメントMを発生させる。これにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。また、図示していないが、車両Xが右側から横風が吹く横風帯を通過する場合、横風による風圧によって車両Xには、平面視において反時計回りのモーメントMが発生する。このとき、左右の開口部14の開閉状態を異ならせることにより、モーメントMを打ち消す、時計回りのモーメントMを発生させることにより、モーメントMの作用を低減し、車両Xの走行姿勢を安定させることができる。
なお、上述した各制御処理、すなわち、追い越し制御処理、追い越され制御処理、すれ違い制御処理、横風制御処理は、コントロールユニット34において予め設定された基準に従って、いずれかの処理を優先的に行うように構成することができる。また、図示しない選択スイッチによって、各制御処理の中のいずれか1つを選択することにより、選択した制御処理を優先させて実行させる構成としてもよい。
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、外部環境検知センサ33によって、風圧の変化が生じるトンネルの入口や出口など、車両Xに風圧の変化を与える地形を検知し、この検知情報に基づいて、コントロールユニット34が開口部14の開閉状態を制御するようにしてもよい。
1 車両用空気流制御装置
10 車両用ホイール
13 スポーク
14 開口部
20 シャッタ
31 車速センサ
32 切替スイッチ
33 外部環境検知センサ
34 コントロールユニット
35 アクチュエータ
X 自身の車両
Y ターゲット車両

Claims (8)

  1. 車両用ホイールに設けられ、該車両用ホイールのスポーク間の開口部を開状態にする開位置と、前記開口部を閉状態にする閉位置との間で移動可能なシャッタと、
    車両の外部環境を検知する検知手段と、
    前記検知手段の検知情報に基づいて、前記シャッタを開位置又は閉位置に移動させるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両用空気流制御装置。
  2. 前記検知手段の検知情報は、外部環境において、車両に風圧の変化を与える対象物であり、
    前記制御手段は、前記対象物による風圧の変化によって車両に生じるモーメントを打ち消すモーメントが発生するように、前記シャッタを移動させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気流制御装置。
  3. 前記制御手段は、車両が所定の速度以上の場合に、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記車両の左側及び右側のうち、いずれか一方側の前記車両用ホイールの前記シャッタを開位置に移動させ、いずれか他方側の前記車両用ホイールの前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空気流制御装置。
  4. 前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、
    前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する同一方向への走行車線を走行する前記他の車両よりも後方側であって、該他の車両の風圧影響範囲内に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを閉位置に移動させ、反対側の前記シャッタを開位置に移動させることを特徴とする請求項3に記載の車両用空気流制御装置。
  5. 前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、
    前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する同一方向への走行車線を走行する前記他の車両の側方に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを開位置に移動させ、反対側の前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用空気流制御装置。
  6. 前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、
    前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する対向車線を走行する前記他の車両よりも前方側であって、該他の車両の風圧影響範囲内に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを開位置に移動させ、反対側の前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両用空気流制御装置。
  7. 前記検知手段の検知情報は、自身の車両に風圧の変化を与える他の車両であり、
    前記制御手段は、前記自身の車両が、隣接する対向車線を走行する前記他の車両の側方に位置する場合に、前記自身の車両の左側及び右側のうち、前記他の車両側の前記シャッタを閉位置に移動させ、反対側の前記シャッタを開位置に移動させることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の車両用空気流制御装置。
  8. 前記検知手段の検知情報は、外部環境の風向きであり、
    前記制御手段は、車両が所定の速度以上であって、かつ横風を受ける場合に、前記車両の左側及び右側のうち、前記横風を受けている側の前記車両用ホイールの前記シャッタを開位置に移動させ、反対側の前記車両用ホイールの前記シャッタを閉位置に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用空気流制御装置。
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