JP2017177766A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロール縦延伸時等の一軸方向への延伸時に、幅方向に関するフィルム温度の分布を所望する分布に調節し、その結果として所望する物性のフィルムを得ること。
【解決手段】延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法において、延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限するか、延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせるか、延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板から、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、幅方向に関する端部への輻射量を引いた差を制限する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
偏光子を保護するための偏光子保護フィルムや、液晶表示装置用のフィルム基板等に代表される光学フィルムには、機械的強度、外観、透明性に優れ、位相差精度および厚み精度が高いことが要求される。
このようなフィルムの製造方法としては、溶融押出法等で成形し得られたフィルム原反を、二軸延伸する方法がある。この場合の二軸延伸としては、縦横の逐次延伸からなる逐次二軸延伸が一般的である。ここで、逐次二軸延伸における一軸目の縦延伸の方法として、ロール縦延伸法が用いられる。近接した低周速ロールおよび高周速ロールによって、フィルムを所定の温度に加熱しながら進行方向に延伸する方法であるロール延伸により、傷なく外観美麗なフィルムを容易に製造する方法が報告されている(特許文献1を参照)。また、ロール縦延伸の際に、延伸時のフィルム温度を制御するために、延伸ロール間に赤外線ヒーター等のフィルムを加熱する媒体を設ける方法が報告されている(特許文献2を参照)。
特開2006−130884号公報 特開2000−181015号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、従来知られる方法により縦延伸を行う場合、縦延伸時の赤外線ヒーターのフィルムへの伝熱効果および輻射効果が幅方向に一定でなく、フィルムの温度ばらつきが生じ、結果として、縦延伸後フィルムのヘイズ、厚み、位相差等の物性のばらつきが大きくなる問題が生じやすいことが分かった。
本発明は、上記現状に鑑み、ロール縦延伸時等の一軸方向への延伸時に、幅方向に関するフィルム温度の分布を所望する分布に調節し、その結果として所望する物性のフィルムを得ることを目的とする。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、本発明に至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(i)延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限することで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法。
(ii)延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、
反射板と、延伸時フィルムの側方を囲む壁との隙間を介した雰囲気温度の低下を抑制する構造と、を用いる(i)に記載の方法。
(iii)延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせることで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法。
(iv)延伸時フィルムの幅方向端部における距離d1が、幅方向中央部における距離d2よりも小さい(iii)に記載の方法。
(v)反射板は、延伸時フィルムの幅方向に関する複数領域ごとに距離を可変な構造を有し、
方法は、延伸時フィルムの温度分布を検知し、それに基づいて複数領域ごとに距離を変化させる制御を行う工程をさらに含む(iii)または(iv)に記載の方法。
(vi)延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板から、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、幅方向に関する端部への輻射量を引いた差を制限することで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法。
(vii)反射板は、延伸時フィルムの幅方向に関する最端部よりも、幅方向に50mm以上延在する(vi)に記載の方法。
(viii)端部の位置の反射板表面の反射率λ1は、中央部の位置の反射板表面の反射率λ2よりも高い(vi)または(vii)に記載の方法。
(ix)反射板と延伸時フィルムの端部との距離は、300mm以下である(viii)に記載の方法。
(x)端部の位置の反射板表面の表面粗さΘ1は、中央部の位置の反射板表面の表面粗さΘ2よりも低い(vi)から(ix)いずれか記載の方法。
本発明によれば、ロール縦延伸時等の一軸方向への延伸時に、幅方向に関するフィルム温度の分布を所望する分布に調節し、その結果として所望する物性のフィルムを得ることができる。
ロール縦延伸方法の一例を模式的に示す図である。 延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限する方法、または延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板から、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、幅方向に関する端部への輻射量を引いた差を制限する方法の好ましい一例を模式的に示す図である。 延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限する方法の好ましい一例を模式的に示す図である。 延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限する方法の好ましい一例を模式的に示す図である。 延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限する方法の好ましい一例を模式的に示す図である。 延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせる方法の好ましい一例を模式的に示す図である。 延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせる方法の好ましい一例を模式的に示す図である。
≪第一の製造方法≫
以下、延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限することで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法を、第一の製造方法と記す。
<縦延伸方法>
第一の製造方法に関して、「延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法」について、図1を参照しつつ、具体的に説明する。
図1(a)は、延伸装置について、延伸時フィルム10の進行方向に平行であって、延伸時フィルム10に対して垂直な側面を示す図である。図1(b)は、図1中、赤外線ヒーター5と延伸時フィルム10との位置関係について、赤外線ヒーター5側を上方、延伸時フィルム10側を下方とする場合に、延伸装置を上方から見た図である。
まず、延伸前の原反フィルム11を、数本の予熱ロール1により加熱する。
その後、延伸前ロール2にて、延伸可能な温度領域までフィルム温度をさらに上げ、低周速の延伸前ロール2と高周速の延伸後ロール3間で縦延伸を行う。
なお、延伸時フィルム10の温度は、延伸前ロール2と延伸後ロール3との間に設置した赤外線ヒーター5により、所望の温度に制御される。
その後、冷却ロール4によりフィルムを冷却固化し縦延伸後フィルム12を得る。
延伸時フィルム10を加熱する赤外線ヒーター5は、特に限定されない。赤外線ヒーターとしては、最大エネルギー波長域が1.2〜1.7μmの短波長であり、幅1mmあたり2.0W以上の出力が可能なヒーターが好ましい。
ヒーター管内のコイルの温度は1000℃以上と高温になるため、ヒーターユニットは、空冷や水冷による冷却機構を備えていることが好ましい。特に、厚み精度の観点からフィルムの搬送に影響を及ばさない水冷による冷却機構が好ましい。
赤外線ヒーター5の幅方向の長さは特に限定されない。赤外線ヒーター5の有効加熱長は、延伸時フィルム10の幅より充分に長いことが好ましい。赤外線ヒーター5の有効加熱長と延伸時フィルム10の幅との差異の好ましい範囲は、100mm以上600mm以下が好ましく、200mm以上400mm以下がより好ましい。
赤外線ヒーター5の有効加熱長と延伸時フィルム10の幅との差異が、100mm以上600mm以下であると、コンパクトな延伸装置を用いつつ、延伸時フィルム10の端部での著しい熱量不足の発生が抑制される。
赤外線ヒーター5の流れ方向の長さについても特に限定されない。速いラインスピードにおいても十分な赤外線の照射時間を確保できる長さ(本数)のヒーターを用いることが好ましい。
特に、照射時間Tについては、赤外線ヒーター5の流れ方向の長さをLhとし、延伸前ロール2の周速をVとし、延伸後ロール3の周速をVとした場合に、0.05秒≦T≦1秒であることが好ましく、0.1秒≦T≦0.5秒であることがより好ましく、0.15秒≦T≦0.3秒であることがさらに好ましい。
赤外線ヒーター5による延伸時フィルム10の温度の制御の具体例としては、短波長赤外線ヒーター(ヘレウス製:ZKB2400/340G)を用いた際、フィルムとヒーター管との距離が40mmで照射時間0.2秒とした場合フィルム温度を約20℃、フィルムとヒーター管との距離が20mmで照射時間0.2秒とした場合フィルム温度を約30℃上昇させることが可能である。
赤外線ヒーター5の設置位置としては、延伸時フィルム10の上面、もしくは延伸時フィルム10の下面が好ましい。また流れ方向の位置は、延伸前ロール2と延伸後ロール3との間であれば、特に限定されない。
延伸時フィルム10と、赤外線ヒーター5が備えるヒーター管との距離は、特に限定されず、20mm以上100mm以下が好ましい。
延伸時フィルム10と、赤外線ヒーター5が備えるヒーター管との距離が20mm以上100mm以下の範囲内であることにより、延伸時フィルム10を搬送する際の延伸時フィルム10の振れによる延伸時フィルム10のヒーター管への接触の発生を抑制しつつ、延伸時フィルム10を十分に加熱することができる。
ヒーター管内壁のうち、延伸時フィルム10へ照射する方向と逆側の管の内壁には、反射率の高い金属めっきをほどこすことが好ましい。特に、金膜を付与することが好ましい。この場合、ヒーターエレメントから生じる光を効率的にフィルム方向に照射することができる。
赤外線ヒーター5に近接する部位には、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部の加熱を補うための、一対の補助赤外線ヒーター6を設けてもよい。
ロール延伸機は、延伸時フィルム10に対して赤外線ヒーター5と反対側に、反射板7を備えていてもよい。反射板7は、延伸時フィルム10を透過した赤外線ヒーター5の輻射を反射させることで、延伸時フィルム10の加熱を高効率化させる。
反射板7の材質については、SUS304、アルミニウム等の材料を挙げることができるが、特に限定されない。また、反射板の反射率については、材料、研磨精度、表面処理によって制御可能である。また、ヒーター使用時、熱膨張による反射板の反りを防止するため、残留ひずみの少ない金属板を使用したり、熱膨張変形を逃がす機構を備えていることが好ましい。
原反フィルム11(縦延伸に供されるフィルム)の幅は、900mm以上2000mm以下が好ましく、1000mm以上2000mm以下がより好ましい。
典型的なロール延伸機は、予熱ロール1、延伸前ロール2、延伸後ロール3、および冷却ロール4を、フィルムの流れ方向上流から下流に向けてこの順で備える。
予熱ロール1は、原反フィルム11を加熱するため、50℃以上、好ましくは原反フィルム11の材質のガラス転移温度以上の温度に設定される。原反フィルム11が予熱ロール1の設定温度まで加熱されるための充分な加熱時間を確保できる構成であれば、予熱ロール1の径や本数には特に制限はない。
延伸前ロール2の温度は、原反フィルム11を延伸可能な温度、即ち原反フィルム11の材質のガラス転移温度より高い温度に設定される。延伸前ロール2の温度は、原反フィルム11の材質のガラス転移温度+30℃以下であるのが好ましい。
この範囲に設定することで、破断がなく延伸可能であるとともに、原反フィルム11が延伸前ロール2に粘着することによって生じる剥離紋が発生しにくい。
延伸前ロール2、および延伸後ロール3の表面処理は、特に限定されないが、ハードクロムメッキ、セラミック溶射ロール等が好ましい。
延伸前ロール2、および延伸後ロール3の温調方法についても特に限定されないが、ロール幅方向の温度精度に優れる、誘電加熱式が好ましく、誘電加熱式であり冷却能力を付与したものがさらに好ましい。
延伸後ロール3および冷却ロール4の温度は、縦延伸後フィルム12を冷却するため、フィルムの材質のガラス転移温度以下に設定される。
縦延伸後フィルム12が冷却ロール4の設定温度まで冷却されるための充分な冷却時間を確保できる構成であれば、冷却ロール4の径や本数に特に制限はない。
ロール延伸は、フィルムを近接した低周速ロールおよび高周速ロールによって所定の温度に加熱しながら進行方向に延伸する方法である。ロール縦延伸の方法としては、特に制限されないが、周速差の異なる一組のロールによって延伸を行う一段延伸と、二組以上の延伸ロールによって延伸を行う多段延伸等が挙げられ、前者の一段延伸により延伸を行うことが好ましい。
一段延伸には、例えば、延伸前ロール2、延伸後ロール3とそれぞれ近接するニップロール8によって延伸時フィルム10が挟持される間において延伸時フィルム10が各ロールに接触するような方法と、図1のように挟持部間9において延伸時フィルム10が各ロールに接触しないような方法が挙げられる。
第一の製造方法では、これらの方法のうち、後者に示すような挟持部間9において延伸時フィルム10が各ロールに接触しないような方法、即ち、低周速ロールおよび高周速ロールによる挟持部間9において、延伸時フィルム10が各ロールに接触することなく縦延伸される方法を用いる。
なかでも、図1に示すように、延伸前ロール2と延伸後ロール3の回転軸を含む面と延伸時フィルム10の搬送面が平行であり、且つ、延伸前ロール2と延伸後ロール3の回転方向が同一方向である延伸方法が好ましい。
延伸時フィルム10の幅方向の中央部の温度は、延伸時フィルム10の材質のガラス転移温度Tg−10℃以上Tg+40℃以下が好ましく、Tg−5℃以上Tg+10℃以下がより好ましい。
延伸時フィルム10の中央部の温度が、Tg−10℃以上であると、延伸時フィルム10が塑性変形しやすく破断の発生を抑制しやすい。また、延伸時フィルム10の中央部の温度が、Tg+40℃以下である場合、延伸後ロール3から縦延伸後フィルム12を剥離する際の、剥離紋の発生を抑制しやすい。
フィルム温度の計測方法については、特に限定されないが、赤外線ヒーター5の上方からフィルム中央部方向に放射式温度計を向けることで非接触にて測定することができる。
縦延伸工程における延伸倍率は、特に限定されないが、1.8倍以上3.0倍以下が好ましく、2.0倍以上2.7倍以下がより好ましい。延伸倍率が1.8倍以上である場合、十分なフィルム長手方向(即ち、延伸方向)の機械的強度を付与しやすい。また、延伸倍率が3.0倍以下である場合、ネックイン量が増えにくく、極端に端部が厚くなりにくい。
<フィルムの材質>
次いで、フィルムの材質について説明する。
フィルムは、通常、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂組成物を用いて製造される。フィルムの製造に使用される熱可塑性樹脂としては、特に限定されない。
好適な熱可塑性樹脂としては、例えば、セルロース樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、およびポリエーテルスルホン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、二種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、透明性の観点からアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、特に制限されないが、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂が使用でき、メタクリル酸メチル由来の構成単位が30〜100重量%含有されたものが好ましい。アクリル系樹脂の中でも、耐熱性のアクリル系樹脂が好ましい。耐熱性のアクリル樹脂のガラス転移温度は110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
耐熱性のアクリル系樹脂としては、例えば、
1)共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、
2)ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、
3)グルタルイミドアクリル系樹脂、
4)水酸基および/またはカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、
5)芳香族ビニル単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体)、
6)上記5)の樹脂の芳香族環を部分的にまたは全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン含有アクリル系重合体)、および、
7)環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体(例えば、無水グルタル酸アクリル系樹脂等)等を挙げることができる。
耐熱性および光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。
グルタルイミドアクリル系樹脂について、以下に詳述する。グルタルイミドアクリル系樹脂としては具体的には、例えば、下記一般式(1):
Figure 2017177766
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「グルタルイミド単位」ともいう)と、
下記一般式(2):
Figure 2017177766
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう)とを含むグルタルイミドアクリル系樹脂を好適に用いることができる。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3):
Figure 2017177766
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
上記一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。Rは水素原子、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であることが好ましい。Rはメチル基であり、Rは水素原子であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位が連続している場合に、当該連続した(メタ)アクリル酸エステル単位に含まれる隣接した2つのアルコキシカルボニル基(カルボン酸エステル基)をイミド化することにより、形成することができる。
また、無水マレイン酸等の酸無水物、または、このような酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、上記グルタルイミド単位を形成させることができる。
上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子またはメチル基であることが好ましく、Rは水素原子であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル構成単位として、スチレン、α−メチルスチレン等を含むことが好ましく、スチレンを含むことがより好ましい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、芳香族ビニル構成単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、Rの構造等に依存して変化させることが好ましい。
一般的には、上記グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミドアクリル系樹脂の1重量%以上が好ましく、1重量%〜95重量%がより好ましく、2重量%〜90重量%がさらに好ましく、3重量%〜80重量%が特に好ましい。
グルタルイミド単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性および透明性が低下したり、成形加工性、およびフィルムに加工したときの機械的強度が低下したりしにくい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、特に限定されるものではなく、求められる物性に応じて適宜設定することが可能である。使用される用途によっては、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は0重量%であってもよい。
一般式(3)で表される芳香族ビニル単位を含む場合は、グルタルイミドアクリル系樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上とすることが好ましく、10重量%〜40重量%とすることがより好ましく、15重量%〜30重量%とすることがさらに好ましく、15重量%〜25重量%とすることが特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、フィルム加工時の機械的強度が低下したりしにくい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の単位がさらに共重合されていてもよい。
その他の単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を挙げることができる。
これらのその他の単位は、上記グルタルイミドアクリル系樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、1×10〜5×10であることが好ましい。上記範囲内であれば、溶融押出時の粘度が高くなったり、成形加工性が低下したり、成形品の生産性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりしにくい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の適用範囲を広げることができる。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の製造方法は特に制限されないが、例えば、特開2008−273140号公報に記載されている方法等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物は、機械的強度を向上させる観点からゴム粒子を含んでもよい。
<雰囲気の温度差制限によるフィルムの温度分布調節>
以上の説明により例示されるような赤外線ヒーターを用いる縦延伸方法において、縦延伸時のフィルムの加熱には、フィルム近傍の雰囲気温度からの伝熱が大きく寄与している。
しかしながら、従来の方法では、フィルム近傍の雰囲気温度について特段の調節がなされていない。このため、従来の方法における、フィルム近傍の雰囲気温度は、不均一である場合が多い。
例えば、延伸時フィルムの幅方向端部では、冷たい空気の流入の影響により延伸時フィルムの幅方向中央部よりも温度が低下する場合が多い。
そして、延伸時フィルムが単一の材質からなる場合、延伸時フィルムの幅方向の温度分布は均一であることが理想的であるにもかかわらず、従来の方法では、フィルム近傍の雰囲気温度が不均一であることが一因となり、延伸時フィルムの幅方向の温度分布が不均一である場合が多い。
上記の点に鑑み、第一の製造方法では、延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法において、
延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度(ATc)から端部側における温度(ATs)を引いた差(ΔAT=ATc−ATs)を制限する。これにより、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布が調節される。
ΔATの制限は、ΔATの増大であっても、ΔATの減少であってもよい。ΔATを制限するためには、通常、上記ATcおよび上記ATsの少なくとも一方を上下させる操作が行われる。
前述の通り、延伸時フィルムの幅方向端部では、冷たい空気の流入の影響により延伸時フィルムの幅方向中央部よりも温度が低下する場合が多い。
このため、通常は、ATsを高めることによりΔATを減少させ、その結果として、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を均一化させることが多い。
他方で、なんらかの要因によってATsが、ATcよりも過度に高くなった場合、ATcからATsを引いたΔATの値が負の値となる。この場合には、ATsを低下させてΔATの値を増大させる制限を行い、その結果として、延伸時フィルムの幅方向端部の温度分布を均一化させる。
なお、ΔATの制限は、上記ATcおよび上記ATsを実測したうえで、得られる実測データに基づいて延伸装置が備える各部材の配置や運転条件を最適化するフィードバック制御であってもよく、例えば、制限がなされていない状態の試運転時に取得されたデータに基づいて、延伸装置が備える各部材の配置や運転条件を最適化する調整であってもよい。
ΔATを制限する際には、延伸時フィルムの温度を、連続的または断続的にモニタリングしたうえで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布が所望する分布となるように、ΔATを制限する手段に関するフィードバック制御を行うが好ましい。
延伸時フィルムの温度をモニタリングする方法は特に限定されない。例えば、放射式温度計をヒーター上方から、ヒーター照射区間における流れ方向中央位置に向けるように設置し、幅方向に移動させながら計測し、幅方向のフィルム温度プロファイルを取得する方法がある。
また、延伸時フィルムの雰囲気の温度を測定する方法は特に限定されない。例えば、測温抵抗体や、熱電対等の温度センサーを雰囲気中に挿入して温度を測定してもよく、サーモグラフィー等の方法により温度を測定してもよい。
ΔATの制限の結果、調節される延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布の状態は特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。
延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布は、通常、均一化されるように調整されるのが好ましい。この場合、位相差、ヘイズ、厚み等のフィルムの物性が均一なフィルムを製造しやすい。
また、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を不均一に調節されるのが好ましい場合もある。
例えば、延伸時フィルムが、延伸時フィルムの進行方向に平行な2本の仮想直線により3つのセグメントに分けられており、幅方向における中央部のセグメントの材料と、幅方向における端部のセグメントの材質とについて、ガラス転移温度(Tg)や軟化点等との熱的特性が異なる場合、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布は、延伸時フィルムを構成する複数の材料の熱的特性を考慮したうえで、不均一に調節されてもよい。
このようなケースとしては、2以上の材料を共押出しして得られる、幅方向中央部の材質と、幅方向端部の材質とが異なる原反フィルムを延伸する場合が挙げられる。
また、他のケースとして、破断防止目的で、延伸時フィルム端部の配向を抑制するために、延伸時フィルムの端部の温度を中央部に比べて高くする場合が挙げられる。
また、延伸時フィルムの端部は2箇所あるため、上記ATsには、延伸時フィルムの一方の端部側における雰囲気の温度ATs1と、他方の端部側における雰囲気の温度ATs2とが存在する。
このため、上記ΔATについても、ATcからATs1を引いた差であるΔAT1と、ATcからATs2を引いた差であるΔAT2とが存在する。
従って、ΔATを制限する場合には、必要に応じて、ΔAT1とΔAT2との一方、または双方が制限される。ΔAT1とΔAT2との双方を制限する場合、両者の制限は、同一であっても異なっていてもよい。
例えば、延伸装置は、通常、延伸時フィルムの進行方向に平行であって、且つ、延伸時フィルムに対して垂直であり、延伸時フィルムの幅方向の中央部を通る面(基準面)を基準として、対称であることが多い。このような延伸装置では、ATs1とATs2とが、同一、または略同一であることが多い。
ATs1とATs2とが、同一、または略同一である場合は、ΔAT1とΔAT2との制限を同様に行うのが好ましい。
ATs1とATs2とが、同一、または略同一である場合、ΔAT1とΔAT2とを制限する操作は、例えば、ATcの上下や、ATs1およびATs2の上下である。ATcと、ATs1およびATs2との双方を上下させてもよい。
対して、延伸装置が、前述の基準面を基準として、対称でない場合、ATs1とATs2とが異なる場合がある。ATs1とATs2とが異なる場合、ΔAT1とΔAT2とを制限する操作は、ATcの上下であっても、ATs1および/またはATs2の上下であっても、ATcと、ATs1および/またはATs2との双方の上下であってもよい。
ATs1とATs2とが異なる場合、ATcを上下させる操作では、ΔAT1と、ΔAT2との値に差が生じやすい。
このため、ΔATの制限により、延伸時フィルムの幅方向の温度分布を均一化する場合であって、且つATs1とATs2とが異なる場合、ΔAT1と、ΔAT2とを制限する操作としては、ATs1およびATs2を独立に上下させるか、ATs1およびATs2のいずれか一方を上下させるのが好ましい。
ΔATを制限する、好ましい方法としては、以下1)〜4)に記載の方法が挙げられる。1)〜4)の方法は、可能であれば、2つ以上を組み合わせて実施されてもよい。ΔATを制限する方法は、以下の1)〜4)の方法に限定されない。
1)延伸時フィルムに関して、赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板を設け、延伸時フィルムの幅方向に関する最端部の位置と、反射板の幅方向に関する最端部の位置との関係を調整する方法。
2)延伸時フィルムの幅方向の最端部の近傍に壁を設け、壁と延伸時フィルムの最端部との距離を調整する方法。
3)延伸時フィルムに関して、赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムの幅方向の最端部の近傍に位置する壁とを設け、反射板の幅方向の最端部を延伸時フィルムの幅方向に関する最端部よりも延在させるとともに、壁と反射板の最端部との距離を調整する方法。
4)延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側であって、少なくとも延伸時フィルムの幅方向の最端部の近傍に邪魔板を設け、邪魔板と、延伸時フィルムの幅方向の最端部との位置関係を調整する方法。
1)の方法では、延伸時フィルムに関して、赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板を設け、延伸時フィルムの幅方向に関する最端部の位置と、反射板の幅方向に関する最端部の位置との関係を調整することで、ΔATを制限する。
1)の方法の好適な態様を、図2に図示する。図2は、延伸時フィルム10が進行する方向から見た延伸装置の断面を模式的に示す図である。
1)の方法では、図2に示されるように、延伸時フィルム10に関して、赤外線ヒーター5と反対側に位置する反射板7が設けられる。
そして延伸時フィルム10の幅方向に関する最端部の位置と、反射板の幅方向に関する最端部の位置との関係を調整することで、ΔATが制限される。
反射板7と延伸時フィルム10との距離は、特に限定されないが、100mm以上400mm以下が好ましく、130mm以上300mm以下がより好ましい。
なお、反射板7の材質は特に限定されないが、反射板は、反射板7の延伸時フィルム10と対向する面とは反対の面に、低熱伝導率の部材を備えていてもよい。
この場合、反射板7を介する放熱が抑制され、延伸時フィルム10の雰囲気の温度の低下が抑制される。
反射板7は、延伸時フィルム10において雰囲気の温度の低下を抑制したい箇所に対応する箇所にのみ、反射板7の延伸時フィルム10と対向する面とは反対の面に、低熱伝導率の部材を備えていてもよい。例えば、反射板7は、幅方向における端部付近にのみ低熱伝導率の部材を備えていてもよい。
低熱伝導率の部材としては、広く用いられている断熱性の材料から適宜選択でき、中空の板状部材や、多孔質板であってもよい。
図2(a)に示されるように、反射板7の幅方向の最端部が、延伸時フィルム10の幅方向の最端部に対して延在する場合、反射板7の最端部の位置が、延伸時フィルム10の最端部の位置から外側(延伸時フィルムの幅方向中央部とは逆側)に離れるほど、反射板7側から延伸時フィルム10に向けて冷たい空気が流入しにくく、その結果、ATs1および/またはATs2の低下が抑制される。
他方、図2(b)に示されるように、反射板7の最端部の位置が、延伸時フィルム10の最端部の位置に近いか、延伸時フィルム10の最端部の位置よりも延伸時フィルム10の幅方向中央部側である場合、反射板7の最端部の位置が延伸時フィルム10の幅方向中央部に近づくほど、反射板7側から延伸時フィルム10に向けて冷たい空気が流入しやすく、ATs1および/またはATs2が低下する。
以上の理由により、延伸時フィルム10の幅方向に関する最端部の位置と、反射板の幅方向に関する最端部の位置との関係を調整することで、ΔATが制限され、その結果、延伸時フィルム10の幅方向に関する温度分布が調節される。
2)の方法では、図3に示されるように、延伸時フィルム10の幅方向の最端部の近傍に壁13が設けられる。そして、壁13と延伸時フィルム10の最端部との距離を調整することで、ΔATが制限される。
なお、壁13の材質は、延伸時の加熱により劣化したり変形したりしない材質であって、十分な機械的強度を有する材質であれば特に限定されない。壁13の材質としては、種々の鋼板や、耐熱性樹脂が挙げられる。
壁13が、延伸時フィルム10の最端部に近い程、延伸時フィルム10とヒーター5との間の空間に冷たい空気が流入しにくく、その結果、ATs1および/またはATs2の低下が抑制される。
壁13が、延伸時フィルム10の最端部に遠い程、延伸時フィルム10とヒーター5との間の空間に冷たい空気が流入しやすく、その結果、ATs1および/またはATs2が低下しやすい。
以上の理由により、壁13と延伸時フィルム10の最端部との距離を調整することで、ΔATが制限され、その結果、延伸時フィルム10の幅方向に関する温度分布が調節される。
3)の方法では、図4に示されるように、赤外線ヒーター5と反対側に位置する反射板7と、延伸時フィルム10の幅方向の最端部の近傍に位置する壁13とが設けられる。
そして、反射板7の幅方向の最端部を延伸時フィルム10の幅方向に関する最端部よりも延在させるとともに、壁13と反射板7の最端部との距離を調整することで、ΔATが制限される。
3)の方法では、壁13が、反射板7の最端部に近い程、反射板7側から延伸時フィルム10に向けて冷たい空気が流入しにくく、その結果、ATs1および/またはATs2の低下が抑制される。
なお、反射板7は、壁13に直接接続されてもよい。また、反射板7は、ブラケット等の支持具を介して壁13に接続されてもよい。
図4に示されるような反射板7と壁13との組み合わせ構造は、「反射板と壁との隙間を介した延伸時フィルムの雰囲気温度の低下を抑制する構造」に該当する。
図4に示される態様による、ATs1および/またはATs2の低下の抑制の効果は、壁13がもたらす効果と、反射板7がもたらす効果とがあいまって、図2(a)に示される態様による効果よりも高い。
他方、3)の方法では、壁13が、反射板7の最端部から遠い程、反射板7側から延伸時フィルム10に向けて冷たい空気が流入しやすく、その結果、ATs1および/またはATs2が低下しやすい。
以上の理由により、壁13と反射板7の最端部との距離を調整することで、ΔATが制限され、その結果、延伸時フィルム10の幅方向に関する温度分布が調節される。
4)の方法では、図5に示されるように、延伸時フィルム10に関して赤外線ヒーター5と反対側であって、少なくとも延伸時フィルム10の幅方向の最端部の近傍に邪魔板14が設けられる。
邪魔板14は、反射板7としての機能を有してもよいが、通常、反射板7としての機能を持たない。
そして、邪魔板14と、延伸時フィルム10の幅方向の最端部との位置関係を調整することで、ΔATが制限される。
なお、図5に示される態様において、さらに、図4に示されるような壁13を設けて、邪魔板14と壁13との組み合わせ構造を、「反射板と壁との隙間を介した延伸時フィルムの雰囲気温度の低下を抑制する構造」としてもよい。
この場合、邪魔板14は、壁13に接続されてもよい。
また、図5では、2つの邪魔板14を用いる態様を示したが、邪魔板14は、図2や図4に示される反射板と同様の形状であってもよい。
図5(a)では、比較的大きな邪魔板14が延伸時フィルム10の幅方向の最端部の近傍に設けられている。このため、図5(a)に示される態様では、邪魔板14側から延伸時フィルム10に向けて冷たい空気が流入しにくく、その結果、ATs1および/またはATs2の低下が抑制される。
他方、図5(b)では、比較的小さな邪魔板14が延伸時フィルム10の幅方向の最端部の近傍に設けられている。このため、図5(b)に示される態様では、邪魔板14側から延伸時フィルム10に向けて冷たい空気が流入しやすく、その結果、ATs1および/またはATs2が低下しやすい。
以上の理由により、邪魔板14と、延伸時フィルム10の幅方向の最端部との位置関係を調整することで、ΔATが制限され、その結果、延伸時フィルム10の幅方向に関する温度分布が調節される。
≪第二の製造方法≫
以下、延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせることで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法を、第二の製造方法と記す。
<縦延伸方法>
第二の製造方法に関して、「延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法」は、第一の製造方法と同様である。
<フィルムの材質>
第二の製造方法に関して、フィルムの材質も、第一の製造方法と同様である。
<延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程>
前述の説明により例示されるような赤外線ヒーターと反射板とを用いる縦延伸方法において、縦延伸時のフィルムの加熱には、フィルム近傍の雰囲気温度からの伝熱に加えて、反射板からの赤外線の輻射が大きく寄与している。
しかしながら、従来の方法では、延伸時フィルムの幅方向中央部付近では、反射板からの輻射量がほぼ均一である一方で、延伸時フィルムの幅方向端部ではやや輻射量が少ないにも関わらず、延伸時フィルムの幅方向における各部位での輻射量は特に制限されていなかった。このため、従来の方法では、輻射量が不均一であることに起因して、延伸時フィルムの幅方向の温度分布が不均一である場合が多い。
上記の点に鑑み、第二の製造方法では、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程において、延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせる。
反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせる結果、調節される延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布の状態は特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。
延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布は、通常、均一化されるように調整されるのが好ましい。この場合、位相差、ヘイズ、厚み等のフィルムの物性が均一なフィルムを製造しやすい。
また、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布が不均一に調節されるのが好ましい場合もある。この場合については、第一の方法について説明した通りである。
一般的に、延伸時フィルムの幅方向端部では、冷たい空気の影響や、反射板からの輻射量の不足により温度が低下することが多い。このため、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を均一化させる場合には、延伸時フィルムの幅方向端部における延伸時フィルムと反射板との距離d1が、幅方向中央部における延伸時フィルムと反射板との距離d2よりも小さいことが好ましい。
そうすることで、延伸時フィルムが幅方向端部において受け取る輻射熱量が増加し、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布が均一化する。
他方で、何らかの要因により、延伸時フィルムの幅方向端部の温度が過度に上昇した場合、上記d1を上記d2よりも小さくして、延伸時フィルムが幅方向端部において受け取る輻射熱量を低減させることで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を均一化させる場合もある。
延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、延伸時フィルムとの距離を、延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせる方法としては、図6に示されるように、反射板7の厚さを幅方向における任意の箇所において異ならせる方法が挙げられる。
また、図7に示されるように、反射板7を幅方向における複数領域ごとにセグメント化し、反射板7の各セグメントを、延伸時フィルム10に対して近づけたり離したりする方法が挙げられる。
なお、反射板7と、延伸時フィルム10との距離は、縦延伸が良好に行われる限り特に限定されない。反射板7と、延伸時フィルム10との距離は、好ましくは100mm以上400mm以下の範囲内、より好ましくは130mm以上300mm以下の範囲内で調整される。
反射板7と、延伸時フィルム10との距離が、100mm以上である場合、延伸時フィルム10へ輻射される熱量について、延伸時フィルムの幅方向において不均一になりにくい。反射板7と、延伸時フィルム10との距離が、400mm以下である場合、反射板7による保温や輻射の効果が充分に発揮されやすい。
上記の方法の中では、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布をきめこまかく調整しやすいことから、図7に示されるように、延伸時に、延伸時フィルム10の幅方向に関する複数領域にごとに、反射板7と延伸時フィルム10との距離を可変な構造を有する反射板7を用いる方法が好ましい。
かかる方法では、延伸時フィルム10の温度分布を、連続的または断続的に検知し、検知された温度分布の結果に基づいて、反射板7の複数領域ごとに、反射板7と延伸時フィルム10との距離を変化させるように、フィードバック制御が行われるのが好ましい。
なお、反射板7と延伸時フィルム10との距離の変化は、延伸時フィルム10の温度が所望する温度より低下した場合には、反射板7と延伸時フィルム10との距離を短縮させる変化であり、延伸時フィルム10の温度が所望する温度より上昇した場合には、反射板7と延伸時フィルム10との距離を延長させる変化である。
≪第三の製造方法≫
以下、延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板から、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、幅方向に関する端部への輻射量を引いた差を制限することで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法を、第三の製造方法と記す。
<縦延伸方法>
第三の製造方法に関して、「延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法」は、第一の製造方法と同様である。
<フィルムの材質>
第三の製造方法に関して、フィルムの材質も、第一の製造方法と同様である。
<延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する工程>
第二の製造方法について説明した通り、従来の方法では、輻射量が不均一であることに起因して、延伸時フィルムの幅方向の温度分布が不均一である場合が多い。
この点に鑑み、第三の製造方法では、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量(RHc)から、幅方向に関する端部への輻射量(RHs)を引いた差(ΔRH=RHc−RHs)を制限することで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を調節する。
ΔRHの制限は、ΔRHの増大であっても、ΔRHの減少であってもよい。ΔRHを制限するためには、通常、上記RHcおよび上記RHsの少なくとも一方を増減させる操作が行われる。
前述の通り、延伸時フィルムの幅方向端部では、冷たい空気の流入等の影響により延伸時フィルムの幅方向中央部よりも温度が低下する場合が多い。
このため、通常は、RHsを高めることによりΔRHを減少させ、その結果として、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を均一化させることが多い。
他方で、なんらかの要因によってRHsが、RHcよりも過度に高くなった場合、RHcからRHsを引いたΔRHの値が負の値となる。この場合には、RHsを低下させてΔRHの値を増大させる制限を行い、その結果として、延伸時フィルムの幅方向端部の温度分布を均一化させる。
なおΔRHの制限は、上記RHcおよび上記RHsを、公知の輻射熱量測定装置を用いて実測したうえで、得られる実測データに基づいて延伸装置が備える各部材の配置や運転条件を最適化するフィードバック制御であってもよく、例えば、制限がなされていない状態の試運転時に取得されたデータに基づいて、延伸装置が備える各部材の配置や運転条件を最適化する調整であってもよい。
また、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を、実測したうえで、延伸時フィルムの幅方向において温度が所望する値から外れている位置に対応する、反射板の位置において、輻射量を増加、または低減されるような改変を行ってもよい。
ΔRHを制限する際には、延伸時フィルム近傍での反射板からの輻射量を、連続的または断続的にモニタリングしたうえで、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布が所望する分布となるように、ΔATを制限する手段に関するフィードバック制御を行うことが好ましい。
延伸時フィルムの端部は2箇所あるため、上記RHsには、延伸時フィルムの一方の端部側における雰囲気の温度RHs1と、他方の端部側における雰囲気の温度RHs2とが存在する。
このため、上記ΔRHについても、RHcからRHs1を引いた差であるΔRH1と、RHcからRHs2を引いた差であるΔRH2とが存在する。
従って、ΔRHを制限する場合には、必要に応じて、ΔRH1とΔRH2との一方、または双方が制限される。ΔRH1とΔRH2との双方を制限する場合、両者の制限は、同一であっても異なっていてもよい。
通常、反射板は、延伸時フィルムの進行方向に平行であって、且つ、延伸時フィルムに対して垂直であり、延伸時フィルムの幅方向の中央部を通る面(基準面)を基準として、対称に設けられる。このためでは、RHs1とRHs2とは、通常、同一、または略同一であることが多い。
RHs1とRHs2とが、同一、または略同一である場合は、ΔRH1とΔRH2との制限を同様に行うのが好ましい。
RHs1とRHs2とが、同一、または略同一である場合、ΔRH1とΔRH2とを制限する操作は、例えば、RHcの増減や、RHs1およびRHs2の増減である。RHcと、RHs1およびRHs2との双方を増減させてもよい。
ΔRHを制限する好ましい方法としては、図2に示されるように、反射板7を、延伸時フィルム10の幅方向に関する最端部よりも延在させる方法が挙げられる。
反射板7は、延伸時フィルム10の幅方向に関する最端部よりも、幅方向に50mm以上延在するのが好ましい。反射板7が、幅方向に50mm以上延在することにより、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部が受ける輻射熱を十分に高めやすい。
反射板7の幅方向に関する端部が、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部とほぼ同じ位置である場合、延伸時フィルム10の幅方向に関する中央部とは反対方向に向かって反射板7から輻射される熱は、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部に供給されない。
しかし、図2に示される態様では、反射板7の、延伸時フィルム10に対して延在する箇所から輻射される熱が、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部へ供給される。これにより、RHsが増大する。
また、反射板7の幅方向に関する端部における反射率λ1を、反射板7の幅方向に関する中央部における反射率λ2よりも高くすることも好ましい。反射板7について、反射率が高いほど、輻射熱の量は増加する。
よって、λ1をλ2より高くすることで、RHsがRHcに対して相対的に高くなりΔRHが減少する。その結果、延伸時フィルム10の幅方向に関する温度分布が均一化されやすい。
反射板7の反射率については、材料、研磨精度、表面処理によって制御可能である。
波長1.0μmに対する反射率について、例えば、材質について、鏡面仕上げの場合、鋼は0.65、アルミニウムは0.8〜0.9であり、表面が酸化した場合、鋼は0.1〜0.2、アルミニウムは0.6である。
接着剤による接着や、溶接等が可能である場合、反射率の異なる複数の材料を接合したり、メッキや溶射等の表面処理を施し、反射板7を形成してもよい。
反射板7の反射率は、例えば、公知の放射式温度計を用いて表面温度を測定し、熱伝対により測定した温度と合致するよう、適当な放射率を設定した上で、式(反射率)=1−(放射率)を用いて算出することができる。
反射板7の幅方向関する位置ごとの反射率の調整は、前述の、反射板7の延伸時フィルム10の幅方向に関する端部に対する延在と同時に行われるのが好ましい。
λ1をλ2より高くする場合、反射板7と、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部との距離は300mm以下が好ましく、200mm以下がより好ましい。
反射板7には、反射率が高い材料が使用されているため、反射板7は輻射熱が吸収されにくく反射板自体の温度が上がりにくい。λ1がλ2よりも高いと、反射板7の幅方向の端部では反射板温度が上がりにくい。
このため、λ1をλ2よりも高めることで、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部への輻射熱量の供給が増えたとしても、端部の反射板7自体の温度が低い影響で、延伸時フィルム10の端部の温度が十分に高まらない場合がある。
しかし、反射板7と、延伸時フィルム10の幅方向に関する端部との距離は、300mm以下であると、反射板7の端部が低温であることの影響を緩和でき、延伸時フィルム10の端部の温度を十分に高めやすい。
第三の製造方法において、反射板7の幅方向に関する端部における表面粗さΘ1を、反射板7の幅方向に関する中央部における表面粗さΘ2よりも低くすることも好ましい。
そうすることにより、反射板7の幅方向に関する端部における赤外線の乱反射が、反射板7の幅方向に関する中央部よりも相対的に抑制される。その結果、RHsがRHcに対して相対的に高くなることでΔRHが減少し、延伸時フィルム10の幅方向に関する温度分布が均一化されやすい。
以上説明した製造方法によれば、延伸時フィルムの幅方向に関する温度分布を、所望する分布に調節でき、その結果として所望する物性のフィルムを得ることができる。
本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下「部」および「%」は、特記がない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
(製造例1)
<グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
この製造においては、押出反応機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いた。
タンデム型反応押出機に関しては、第1押出機、第2押出機共に直径が75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の噛合い型同方向二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機の原料供給口に原料樹脂を供給した。
第1押出機、第2押出機における各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。さらに、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。
第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力調整、または押出変動を見極めるために、第1押出機の吐出口、第1押出機と第2押出機間の接続部品の中央部、および、第2押出機の吐出口に樹脂圧力計を設けた。
第1押出機において、原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機の最高温部の温度は280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して2.0部とした。定流圧力弁は第2押出機の原料供給口直前に設置し、第1押出機のモノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
第2押出機において、リアベントおよび真空ベントで残存しているイミド化剤および副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルを添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機の各バレル温度は260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部とした。さらに、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化することで、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を得た。
得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)は、グルタミルイミド単位と、(メタ)アクリル酸エステル単位が共重合したアクリル系樹脂である。
(製造例2)
<ゴム含有グラフト共重合体(B2)の製造>
以下の組成の混合物をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹持しながら80℃に昇温したのち、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物とtーブチルハイドロパーオキサイド0.1部との混合液のうち25%を一括して仕込み45分間の重合を行った。
脱イオン水 220部
ホウ酸 0.3部
炭酸ナトリウム 0.03部
Nーラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.09部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.09部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
硫酸第1鉄 0.002部
続いてこの混合液の残り75%を1時間にわたって連続添加した。添加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させた。また、この間に0.2部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた架橋メタクリル系重合体ラテックスの重合転化率(重合生成量/モノマー仕込量)は98%であった。
得られた架橋メタクリル系重合体ラテックスを窒素気流中で80℃に保ち、過硫酸カリウム0.1部を添加したのち、アクリル酸n−ブチル41部、スチレン9部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続添加した。この間にオレイン酸カリウム0.1部を3回に分けて添加した。単量体混合物の添加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05部添加し2時間保持し、ゴム粒子ラテックスを得た。
得られたゴム粒子の重合転化率は99%であった。
得られたゴム粒子ラテックスを80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02部を添加したのちメタクリル酸メチル14部、アクリル酸n−ブチル1部の単量体混合物を1時間にわたって連続添加した。単量体混合物の追加終了後1時間保持した。重合転化率は99%であった。
さらに、メタクリル酸メチル5部、アクリル酸n−ブチル5部の単量体混合物を0.5時間にわたって連続添加した。単量体混合物の追加終了後1時間保持しゴム含有グラフト共重合体ラテックスを得た。重合転化率は99%であった。
得られたゴム含有グラフ卜共重合体ラテックスを塩化カルシウムで塩析凝固、熱処理、乾燥を行い、白色粉末状のゴム含有グラフト共重合体を得た。なお、平均粒子径は250nmであった。
(製造例3)
<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)95重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)5重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
(実施例1)
<原反フィルム製造>
押出製造装置を使用しフィルム化を行った。押出機としては、直径65mmの単軸押出機を使用し、窒素ラインを設置したホッパーから、製造例3で製造したペレットを供給した。吐出量が一定となるように、ギアポンプを用いた。Tダイとしては、フィルム幅方向のダイ出口の幅が1850mmで、手動偏肉ボルトによりリップクリアランス(フィルム厚み方向におけるダイ吐出口の高さ)の調整が可能であるものを用いた。Tダイのリップ(吐出口を構成する部材)はフィルム幅方向に7つの領域に分割され、各領域ごとに温度調節が可能である。吐出後には、キャストロールとタッチロールで挟み込みつつ引き取ることでフィルムを冷却固化した。キャストロールは直径200mmの剛体ロールを用い、オイル温調を用いてロール温度100℃とし、速度(引き取り速度)20m/分で回転させ厚み100μmの原反フィルムを得た。なお、フィルムのガラス転移温度TgはDSCによる中点法で評価したところ、122℃であった。
<延伸>
図1に示されるロール延伸機を用いた。予熱ロール径は250mm、延伸前ロール径は180mm、延伸後ロール180mm、冷却ロール250mm径とした。図1に記載するように、フィルムの搬送経路が両延伸ロールの回転軸を含む面と平行になるように、ニップロールを配置して、両延伸ロールと両延伸ロールに個々近接したニップロールとによってそれぞれフィルムを挟持することで、フィルムの搬送と縦延伸を行った。そして、両延伸ロールを、共にフィルムの搬送方向であり、互いに同方向に回転させた。また挟持部間隔Lを465mmとした。フィルム幅1000mm全体を加熱する、有効加熱長幅1300mm3本組(フィルム流れ方向の照射長さは160mm)の赤外線ヒーターをフィルム上面から中央部に向けて、フィルムから50mmの高さ、挟持部間の中央位置に設置した。幅方向のフィルム温度計測のために、フィルム上面500mmの位置からヒーター照射部のフィルム中央に向けて、放射式温度計(フルーク株式会社、Raytek XR)を設置し、幅方向に測定が可能なように移動手段を設けた。なお、フィルム中央の温度が134℃となるように、ヒーター出力を調整した。また、延伸時の延伸前ロールの周速20m/min、延伸後ロールの周速40m/min、延伸倍率2.0倍として縦延伸を行った。また、縦延伸後、延伸温度130℃、倍率2.0倍にて幅方向に横延伸を行った。
<フィルム温度むら評価方法>
放射式温度計にて、フィルム中央部を0mm位置とした場合に、0mmおよびフィルム幅方向に±100mm、±200mm、±300mm、±400mmの位置にてフィルム温度を測定し、全9点の測定点のうち、最大値と最小値の差異をフィルム温度むらとした。
<ヘイズむらの評価方法>
縦・横延伸後にて得られたフィルムの全ヘイズを35mmピッチでヘイズメーターにて計測し、最大値と最小値の差異をヘイズむらとした。
<位相差むらの評価方法>
縦・横延伸後にて得られたフィルムの正面位相差を35mmピッチで位相差測定装置にて計測し、最大値と最小値の差異が、3nm未満である場合を○、3nm以上である場合を×とした。
ロール縦延伸工程において、フィルムに対し赤外線ヒーターと反対側に1500mm幅の反射板を設置し、フィルム中央部の位置に該当する反射板の幅方向位置を0mmとした場合、−250mmから+250mm位置の反射板とフィルムの距離を220mm、−750mmから−250mmおよび+250mmから+750mm位置の反射板とフィルムの距離を130mmとし、材質は幅方向にわたって全てSUS304の表面研磨無しで反射率0.25とした。この結果、縦延伸時の温度むらは3℃、ヘイズむら0.3%であった。
(実施例2)
実施例1において溶融押出製膜によって得られた原反フィルムに対し、ロール縦延伸工程において、フィルムに対し赤外線ヒーターと反対側に1800mm幅の反射板を設置し、フィルム中央部の位置に該当する反射板の幅方向位置を0mmとした場合、−250mmから+250mm位置の反射板とフィルムの距離を220mm、−900mmから−250mmおよび+250mmから+900mm位置の反射板とフィルムの距離を130mmとし、反射板の材質は幅方向にわたって全てSUS304の表面研磨無しで反射率0.25とした。この結果、縦延伸時の温度むらは2℃、ヘイズむら0.2%であった。
(実施例3)
実施例1において溶融押出製膜によって得られた原反フィルムに対し、ロール縦延伸工程において、フィルムに対し赤外線ヒーターと反対側に1500mm幅の反射板を設置し、フィルム中央部の位置に該当する反射板の幅方向位置を0mmとした場合、−750mmから+750mm位置の全幅の反射板とフィルムの距離を220mmとした。また、−250mmから+250mm位置の反射板を、SUS304の表面処理無しで反射率を0.25とし、−750mmから−250mmおよび+250mmから+750mm位置の反射板をアルミニウムにバフ研磨♯400を施し、反射率0.7とした。この結果、縦延伸時の温度むらは3℃、ヘイズむら0.3%であった。
(比較例1)
実施例1において溶融押出製膜によって得られた原反フィルムに対し、ロール縦延伸工程において、フィルムに対し赤外線ヒーターと反対側に1500mm幅の反射板を設置し、フィルム中央部の位置に該当する反射板の幅方向位置を0mmとした場合、−750mmから+750mm位置の全幅の反射板とフィルムの距離を220mmで、材質はSUS304の表面研磨無で反射率0.25とした。この結果、縦延伸時の温度むらは5℃、ヘイズむら0.5%であった。
(比較例2)
実施例1において溶融押出製膜によって得られた原反フィルムに対し、ロール縦延伸工程において、フィルムに対し赤外線ヒーターと反対側に1500mm幅の反射板を設置し、フィルム中央部の位置に該当する反射板の幅方向位置を0mmとした場合、−750mmから+750mm位置の反射板とフィルムの距離を130mmで、材質はアルミニウムにバフ研磨♯400を施し反射率0.7とした。この結果、縦延伸時の温度むらは15℃、ヘイズむら1.5%であった。
Figure 2017177766
実施例1は、反射板とフィルムとの距離を、両端部と中央部とで異ならせた例である。
実施例1からは、フィルムの両端部における反射板とフィルムとの距離を、フィルムの中央部における反射板とフィルムとの距離よりも短くすることにより、延伸時フィルムの温度むらが低減され、その結果ヘイズむらおよび位相差むらが低減されることが分かる。
実施例2は、反射板とフィルムとの距離を、両端部と中央部とで異ならせ、さらに、反射板を、延伸時フィルムの端部に対して延在させた例である。
このため、実施例2では、延伸時フィルムの雰囲気の、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差が小さくなるように制限されており、また、反射板からの延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、幅方向に関する端部への輻射量を引いた差が小さくなるように制限された。
その結果、実施例2では、延伸時フィルムの温度むらが低減され、その結果ヘイズむらおよび位相差むらが低減されることが分かる。
実施例3では、反射板の両端部の反射率を中央部の反射率よりも高めることにより、延伸時フィルムに関して赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板から、延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、幅方向に関する端部への輻射量を引いた差が小さくなるように制限された。
その結果、実施例3では、延伸時フィルムの温度むらが低減され、その結果ヘイズむらおよび位相差むらが低減されることが分かる。
1:予熱ロール
2:延伸前ロール
3:延伸後ロール
4:冷却ロール
5:赤外線ヒーター
6:補助赤外線ヒーター
7:反射板
8:ニップロール
9:挟持部間隔
10:延伸時フィルム
11:原反フィルム
12:縦延伸後フィルム
13:壁
14:邪魔板

Claims (10)

  1. 延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
    前記延伸時フィルムの雰囲気の、前記延伸時フィルムの幅方向に関する中央部における温度から端部側における温度を引いた差を制限することで、前記延伸時フィルムの前記幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法。
  2. 延伸時フィルムに関して前記赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、
    前記反射板と前記延伸時フィルムの側方を囲む壁との隙間を介した前記雰囲気温度の低下を抑制する構造と、を用いる請求項1記載の方法。
  3. 延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
    延伸時フィルムに関して前記赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板と、前記延伸時フィルムとの距離を、前記延伸時フィルムの幅方向に関して異ならせることで、前記延伸時フィルムの前記幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法。
  4. 前記延伸時フィルムの前記幅方向端部における前記距離d1が、前記幅方向中央部における前記距離d2よりも小さい請求項3記載の方法。
  5. 前記反射板は、前記延伸時フィルムの幅方向に関する複数領域ごとに前記距離を可変な構造を有し、
    前記方法は、前記延伸時フィルムの温度分布を検知し、それに基づいて前記複数領域ごとに前記距離を変化させる制御を行う工程をさらに含む請求項3または4記載の方法。
  6. 延伸時フィルムを赤外線ヒーターにより加熱するロール縦延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
    延伸時フィルムに関して前記赤外線ヒーターと反対側に位置する反射板から、前記延伸時フィルムの幅方向に関する中央部への輻射量から、前記幅方向に関する端部への輻射量を引いた差を制限することで、前記延伸時フィルムの前記幅方向に関する温度分布を調節する工程を含む方法。
  7. 前記反射板は、前記延伸時フィルムの前記幅方向に関する最端部よりも、前記幅方向に50mm以上延在する請求項6記載の方法。
  8. 前記端部の位置の前記反射板表面の反射率λ1は、前記中央部の位置の前記反射板表面の反射率λ2よりも高い請求項6または7記載の方法。
  9. 前記反射板と前記延伸時フィルムの前記端部との距離は、300mm以下である請求項8記載の方法。
  10. 前記端部の位置の前記反射板表面の表面粗さΘ1は、前記中央部の位置の前記反射板表面の表面粗さΘ2よりも低い請求項6から9いずれか記載の方法。
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