JP2017177534A - フイルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】テンター装置内でのオリゴマの析出、及びオリゴマの付着による欠点の発生を軽減することができるフイルムの製造方法を提供することにある。
【解決手段】入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いるフイルムの製造方法であって、前記熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることを特徴とする、フイルムの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いるフイルムの製造方法であって、前記熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることを特徴とする、フイルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、オリゴマの付着による欠点の発生を軽減することができる二軸配向フイルムの製造方法に関する。
二軸配向フイルムは、未延伸フイルムを長手方向に延伸して得られた一軸配向フイルムを、テンター装置を用いて幅方向に延伸し、高温で熱処理することにより製造することができる。また、長手方向及び幅方向への延伸は、テンター装置を用いて同時に行うこともできる。
テンター装置は一般に、フイルムを延伸温度に加熱する予熱室、フイルムを延伸する延伸室、延伸されたフイルムを熱処理する熱固定室、及び熱処理後のフイルムを冷却する冷却室に内部が区画されている。各室は通常、熱風循環経路を有しており、ゾーン毎に循環熱風の温度をコントロールすることができる。
熱風循環経路が、フイルムに噴き付けられた空気がゾーンの幅方向の両端に回流する構造である場合、幅方向端部付近の空気は幅方向両端部に回流するが、幅方向中央部付近の空気は幅方向両端部に回流できず、フイルムの搬送方向に流れることがある。そして、この傾向はフイルムの幅方向長さが長くなるほど強くなり、フイルムの搬送速度が大きくなるほど強くなる。
また、熱固定室ではフイルムからオリゴマ等の低分子量物(以下、単にオリゴマということがある。)が揮発するため、熱固定室の空気はオリゴマを大量に含有する。そして、熱固定室の空気がフイルムの搬送方向に流れて隣接する冷却室に入ると、空気の温度低下に伴いオリゴマの飽和量が下がり、やがて析出する。析出したオリゴマは、テンター装置内の汚染やフイルムへの異物付着の原因となる。
オリゴマの析出を軽減するために、熱固定室の熱風を循環させずに排出する処置が考えられる。しかしながら、膨大な熱風加熱用エネルギーが必要となるため、循環熱風の一部を排出してオリゴマの濃度を低下させることは考えられるものの、熱風全体を排出することは現実的でない。そのため、オリゴマの析出に対して種々の対策が検討されている。
例えば、熱風循環経路にフィルターを設けることにより循環熱風中のオリゴマ濃度を下げることが一般に行われている(特許文献1)。また、熱固定室と冷却室の間にエアーナイフを導入し、熱固定室の空気が冷却室へ流入するのを軽減することにより、冷却室のオリゴマ濃度を下げる方法も提案されている(特許文献2)。
しかしながら、オリゴマの粒径は非常に小さいため、特許文献1の方法のように単にフィルターを設けるだけでは、循環熱風中のオリゴマ濃度を所望の水準にまで低下させることはできない。また、循環熱風中のオリゴマ濃度を下げるために精度の高いフィルターを設置すると、熱風の流路の圧力損失が大きくなる。そのため、所定の熱風循環量を得ようとすると、熱風循環用ファンに容量の大きなものが要求されるとともにその消費エネルギーも急激に大きくなるという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法では、熱固定室の空気が冷却室へ流入せず、熱固定室でオリゴマが揮発し続けるため、熱固定室の空気のオリゴマ濃度が過度に上昇し、熱固定室でオリゴマ析出が起こることが問題となる。
本発明は、係る従来技術の欠点を解消し、テンター装置内でのオリゴマの析出、及びオリゴマの付着による欠点の発生を軽減することができるフイルムの製造方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のフイルムの製造方法は下記の構成からなる。
(1) 入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いるフイルムの製造方法であって、前記熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることを特徴とする、フイルムの製造方法。
(2) 前記熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段が、白金触媒であることを特徴とする、(1)に記載のフイルムの製造方法。
(3) 前記白金触媒が、前記熱風循環経路に少なくとも一つ配置されていることを特徴とする、(2)に記載のフイルムの製造方法。
(4) 前記MD方向への熱風の流動を抑制する手段が、以下の特徴1及び2を備える噴き付けノズルであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
特徴1:フイルム面の上下に位置し、かつフイルムの幅方向に延在する。
特徴2:前記噴き付けノズルの噴出孔とフイルムとの距離をH、前記噴き付けノズルの噴出孔の長径をBとしたときに、Bが5mm以上40mm以下、かつH/Bが4以上20以下である。
(5) 熱固定室において、入口から出口に向かって流れる空気の速度が、0.2m/s以上5.0m/s以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
(6) 熱固定室内のオリゴマ濃度が、0.2mg/m3以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
(1) 入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いるフイルムの製造方法であって、前記熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることを特徴とする、フイルムの製造方法。
(2) 前記熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段が、白金触媒であることを特徴とする、(1)に記載のフイルムの製造方法。
(3) 前記白金触媒が、前記熱風循環経路に少なくとも一つ配置されていることを特徴とする、(2)に記載のフイルムの製造方法。
(4) 前記MD方向への熱風の流動を抑制する手段が、以下の特徴1及び2を備える噴き付けノズルであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
特徴1:フイルム面の上下に位置し、かつフイルムの幅方向に延在する。
特徴2:前記噴き付けノズルの噴出孔とフイルムとの距離をH、前記噴き付けノズルの噴出孔の長径をBとしたときに、Bが5mm以上40mm以下、かつH/Bが4以上20以下である。
(5) 熱固定室において、入口から出口に向かって流れる空気の速度が、0.2m/s以上5.0m/s以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
(6) 熱固定室内のオリゴマ濃度が、0.2mg/m3以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
本発明により、テンター装置内でのオリゴマの析出、及びオリゴマの付着による欠点の発生を軽減することができる二軸配向フイルムの製造方法を提供することができる。
本発明のフイルムの製造方法は、入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いるフイルムの製造方法であって、前記熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることを特徴とする。
本発明のフイルムの製造方法は、入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いることが重要である。ここで、予熱とは、無配向又は一軸配向フイルムを延伸温度にまで加熱することをいい、延伸とは、フイルムを長手方向及び/又は幅方向に延伸することをいい、熱固定とは、フイルムに延伸張力を与えたまま高温で加熱することをいい、冷却とは、加熱されたフイルムを冷却することをいう。ここで、長手方向とはフイルム製造時にフイルムが進行する方向をいい、幅方向とはフイルム面に平行かつ長手方向と垂直な方向をいう。
入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いることにより、予熱、延伸、熱固定、及び冷却を連続して行うことができる。
本発明のフイルムの製造方法は、少ないエネルギーで熱固定室内の温度を高温に保つ観点から、熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有することが重要である。熱固定室は、前述の通りフイルムに延伸張力を与えたまま高温で加熱する場所であるため、室内温度を常に高温に保つ必要がある。熱固定室が少なくとも一つの熱風循環経路を有することにより、室内温度を高温に保つことができるだけでなく、空気を加熱するためのエネルギーを節約することもできる。
熱風循環経路は、本発明の効果を損なわない限り、テンター装置の熱固定室に対し一つの経路のみとすることも可能であるが、複数の経路を設け、経路毎にそれぞれ最適な温度に制御できるようにしておくことが好ましい。
本発明における循環熱風の温度(熱固定室内の温度)は、製造するフイルムを構成する樹脂の種類によるが、例えば、フイルムを構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合は、200℃以上300℃以下であることが好ましく、210℃以上300℃以下であることがより好ましく、220℃以上300℃以下であることがさらに好ましい。また、循環熱風の温度は、例えば、熱風循環経路に配置されているヒータによって制御することができる。
熱風循環経路は、熱風の全量を外部に排出することなく循環させることもできるし、一部を外部に排出し、その分外部からフレッシュエアを取り入れるようにしてもよい。また、給排気を同時に行うようにしてもよい。
本発明のフイルムの製造方法は、フイルムの異物を減らす観点から、熱固定室が、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段を備えることが重要である。熱固定室が熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段を備えることにより、オリゴマが析出するリスクを軽減することができるため、オリゴマ由来の異物の発生が軽減される。
本発明における熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、白金触媒等が挙げられる。白金触媒は、高温下でオリゴマを燃焼処理することができるため、熱固定室に配置することにより熱風中のオリゴマ濃度を低減させることができる。
白金触媒は、本発明の効果を損なわない限り熱固定室のどの位置に配置されていてもよいが、その効果を向上させる観点から、熱風循環経路に少なくとも一つ配置されていることが好ましい。このような態様とすることにより、オリゴマを豊富に含む熱風と白金触媒が接触しやすくなるため、熱風中のオリゴマ含有量を低減する効果も大きくなる。
白金触媒は、本発明の効果を損なわない限り一箇所に配置しても、複数個所に配置してもよい。白金触媒を熱風循環経路に配置する場合、熱風中のオリゴマ含有量を低減する効果を向上させる観点から、一つの熱風循環経路に複数の白金触媒を配置することが好ましい。このような態様とすることにより、オリゴマが多段階に燃焼処理されるため、熱風中のオリゴマ含有量を低減する効果が向上する。
白金触媒の温度は、熱固定室内の温度にもよるが、オリゴマ分解効率を向上させる観点から、250℃以上400℃以下であることが好ましく、270℃以上400℃以下であることがより好ましく、300以上400℃以下であることがさらに好ましい。
白金触媒を加熱する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。例えば、加熱手段を白金触媒に対向配置して外部から加熱する方法や、加熱手段を白金触媒内部に配置して加熱する方法が挙げられる。また、加熱手段としては、例えば、電気ヒータやバーナ等を用いることができる。
本発明のフイルムの製造方法は、フイルムの異物発生を軽減する観点から、MD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることが重要である。ここで、MD方向とはテンター装置内でフイルムが走行する方向をいう。なお、以下、MD方向への熱風の流動を、MD流ということがある。
熱固定室ではフイルムを高温処理するため、フイルムより大量のオリゴマが揮発し、熱固定室内の熱風はオリゴマを豊富に含む。そして、通常、冷却室は熱固定室よりも室内の温度が低いため、冷却室では空気中に含むことができるオリゴマの量は熱固定室よりも少なくなる。そのため、MD流により熱固定室の熱風が冷却室に流入すると、オリゴマが析出することがある。
熱固定室がMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることにより、熱固定室から冷却室への熱風流入が軽減され、冷却室内でのオリゴマ析出を抑えることができる。その結果、フイルムに発生するオリゴマ由来の異物が減少する。
本発明のフイルムの製造方法においては、MD方向への熱風の流動を抑制する手段が、以下の特徴1及び2を備える噴き付けノズルであることが好ましい。
特徴1:フイルム面の上下に位置し、かつフイルムの幅方向に延在する。
特徴2:前記噴き付けノズルの噴出孔とフイルムとの距離をH、前記噴き付けノズルの噴出孔の長径をBとしたときに、Bが5mm以上40mm以下、かつH/Bが4以上20以下である。
特徴1:フイルム面の上下に位置し、かつフイルムの幅方向に延在する。
特徴2:前記噴き付けノズルの噴出孔とフイルムとの距離をH、前記噴き付けノズルの噴出孔の長径をBとしたときに、Bが5mm以上40mm以下、かつH/Bが4以上20以下である。
このような態様とすることにより、噴出孔の形状がスリット状ではなく点状となるため、MD流を軽減させることができる。その結果、熱固定室から冷却室へオリゴマを豊富に含む熱風が進入するのが抑制されるため、オリゴマ析出およびそれに起因する異物が減少する。加えて、空気の流動により、フイルムにかかる熱量のバランスが不均一になることも軽減することができる。
ここで、噴出孔とフイルムとの距離とは、噴出孔の重心に相当する位置からフイルム面に引いた垂線の長さをいい、噴出孔の長径とは、噴出孔の輪郭線上の任意の2点をその間の長さが最大になるように選んだ時の長さをいう。
また、噴き付けノズルが噴出孔を複数有する場合においては、噴出孔とフイルムとの距離は全ての噴出孔について測定した平均値とし、H/Bが4以上20以下であるとは、全ての噴出孔においてH/Bが4以上20以下であることをいう。
MD流の発生を抑える観点から、噴出孔とフイルムとの距離Hは75mm以上260mm以下であることが好ましく、140mm以上200mm以下であることがより好ましい。また、同様の観点から、噴出孔の長径Bは10mm以上35mm以下であることがより好ましく、H/Bは8以上15以下であることがより好ましい。
本発明のフイルムの製造方法は、熱固定室において、入口から出口に向かって流れる空気の速度が、0.2m/s以上5.0m/s以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、オリゴマを豊富に含む熱風の冷却室への進入が抑制されるため、オリゴマ析出およびそれに起因する異物が減少する。
熱固定室において、入口から出口に向かって流れる空気の速度を0.2m/s以上5.0m/s以下とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、前述の噴き付けノズルを使用する方法が挙げられる。
本発明のフイルムの製造方法は、熱固定室内のオリゴマ濃度が、0.2mg/m3以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、熱固定室を循環する熱風に含まれるオリゴマが少なくなるため、熱固定室から冷却室へ熱風が進入することによるオリゴマの析出が軽減できる。
熱固定室内のオリゴマ濃度を0.2mg/m3以下とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、前述の白金触媒によりオリゴマを分解する方法が挙げられる。
本発明のフイルムの製造方法は、熱固定室が、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を有することにより、熱固定室内を循環する熱風中のオリゴマ量を減らし、かつ熱固定室内の熱風の冷却室への侵入を抑制することができる。この2つの効果により、冷却室内でのオリゴマ析出及びそれに伴う異物の発生を抑えることができる。
次に、本発明のフイルムの製造方法について、逐次二軸延伸法によるポリエチレンテレフタレートフイルムの製造を例に挙げて以下に説明する。
まず、樹脂ペレットを押出機の原料投入部に供給し、樹脂を加熱溶融する。その後、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化して、加熱溶融された樹脂を押出し、フィルター等を介して異物やゲル化物などを取り除く。このとき、押出機は1台であっても複数台であってもよく、複数台の押出機を用いる場合は、フィルターを通過した熱可塑性樹脂を積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができ、これらを任意に組み合わせてもよい。
このようにして得られた樹脂の溶融体を、口金からシート状溶融物として吐出し、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出して冷却固化することにより、無配向フイルムを得る。シート状溶融物から無配向フイルムを得る具体的な方法としては、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、シート状溶融物を静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。他には、スリット状、スポット状または面状の装置からエアを吹き出して、シート状溶融物をキャスティングドラム等の冷却体に密着させて急冷固化させる方法や、ニップロールにてシート状溶融物を冷却体に密着させて急冷固化させる方法も好ましい。
次に、得られた無配向フイルムを、長手方向に延伸(縦延伸)して一軸配向フイルムを得る。縦延伸は、一本または周速の等しい複数本の延伸ロールを使用して1段階で行うことも、周速の異なる複数本の延伸ロールを使用して多段階に行うことも可能であり、その倍率は2〜7倍が好ましい。なお、縦延伸では、予熱ロールにて無配向フイルムを加熱した後に、赤外線ヒータ等により無配向フイルムをさらに加熱することも可能である。
また、縦延伸後、得られた一軸配向フイルムの両面もしくは片面に、易接着層を塗布する工程を設けることも可能である。易接着層を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
縦延伸により得られた一軸配向フイルムを、テンター装置に導き、幅方向に延伸(横延伸)することにより二軸配向フイルムを得る。
横延伸を行う際に用いられるテンター装置は、入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有し、熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備える。このような態様であることにより、オリゴマ析出による異物の発生を軽減することができる。
また、テンター装置は、エア排気機構やエア給気機構が設けられていてもよい。これらは、テンター装置オーブン内の換気による塵埃度低減やオリゴマ等の昇華物除去に寄与する。一般的に、エア排気機構は、吸引部から吸引されたエアを噴き出し部に送るエア循環機構とは分離し、内部のエアを外部へ排出されるように構成されている。また、エア給気機構は、吸引部から吸引されたエアを熱交換器にて所望の温度に調節して内部に供給する。
テンター装置は、その内部を走行するクリップによりフイルム幅方向両端部を把持し、フイルムを予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室の順に走行させることにより、フイルムを延伸温度に加熱して横延伸し、その後、熱固定して冷却する。こうして二軸配向フイルムを得ることができる。なお、テンター装置における予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室は、一つのゾーンのみで構成されていても、ゾーン毎に温度の設定を変更できる複数のゾーンで構成されていてもよい。
延伸室の温度は、フイルムの厚み、延伸の速度、インラインコーティング有無等にもよるが、80℃よりも低いとフイルムが破断し易く、160℃よりも高いと十分な強度が得られないことから、80〜160℃が好ましく、85〜130℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましい。
横延伸の倍率は、フイルムの厚み、延伸の速度、インラインコーティング有無等にもよるが、延伸ムラやフイルム破断などを防止する観点から、2.5〜6.0倍が好ましく、3.0〜5.5倍がより好ましく、3.5〜5.0倍がさらに好ましい。
熱固室の温度は、結晶化によりポリエチレンテレフタレートの構造を安定させる観点及び白金触媒を活性化させる観点から、200〜240℃が好ましく、205〜235℃がより好ましく、210〜230℃がさらに好ましい。
本発明のフイルムの製造方法においては、横延伸工程後、フイルムの厚みが大きいエッジ部分を、エンボス加工部分とともに切断し除去する工程を有していることが好ましい。
本発明により得られる二軸配向フイルムは、フイルムのキズや粘着等の欠点が少ないため、各種光学用フイルムとして用いることができ、特に、プリズムシート用ベースフイルム、ハードコート用ベースフイルム、反射防止(AR)フイルム用ベースフイルム、光拡散用ベースフイルム、透明導電性フイルムなどとして好適に用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において使用したテンター装置、及び測定方法は次の通りである。
[テンター装置]
テンター装置は熱固定室が4つのゾーンに区画されており、冷却室が3つのゾーンに区画されているものを用いた。熱固定室の温度条件は全てのゾーンで均一とし、白金触媒(日揮ユニバーサル社製 商品名:NM−12)を配置する場合は、熱固体室の熱風循環経路に配置して電気ヒータ(シーズヒータ)で加熱して温度を300℃に制御した(後述する実施例1及び比較例2)。また、フイルムにエアを噴き付けるノズルとしては、ホールノズル(H:170mm B:13mm H/B:13 後述する実施例1及び比較例1)、又はスリットノズル(H:170mm B:2,700mm H/B:0.063 後述する比較例2、3)を用いた。図1は実施例1で用いたテンター装置の熱固定室の一ゾーンを、フイルム面及びフイルムの進行方向と垂直な面で切断したときの概略断面図である。テンター装置1では、その内部を走行する二軸配向フイルム3の上下に対向して配置されたノズル4a、4bから熱風が噴出される。噴出された熱風は、熱風循環ファン6により熱風循環経路5内を循環し、スチームヒータ7で温度制御されて、再びノズル4a、4bから噴出される。熱風循環経路5内(スチームヒータ7の上流)にあるフィルター8の上流側に白金触媒9が設けられており、白金触媒9に対向させて電気ヒータ10(シーズヒータ:1.7kW×10本)が配置されており、白金触媒9を所望の温度に加熱できる構成となっている。
テンター装置は熱固定室が4つのゾーンに区画されており、冷却室が3つのゾーンに区画されているものを用いた。熱固定室の温度条件は全てのゾーンで均一とし、白金触媒(日揮ユニバーサル社製 商品名:NM−12)を配置する場合は、熱固体室の熱風循環経路に配置して電気ヒータ(シーズヒータ)で加熱して温度を300℃に制御した(後述する実施例1及び比較例2)。また、フイルムにエアを噴き付けるノズルとしては、ホールノズル(H:170mm B:13mm H/B:13 後述する実施例1及び比較例1)、又はスリットノズル(H:170mm B:2,700mm H/B:0.063 後述する比較例2、3)を用いた。図1は実施例1で用いたテンター装置の熱固定室の一ゾーンを、フイルム面及びフイルムの進行方向と垂直な面で切断したときの概略断面図である。テンター装置1では、その内部を走行する二軸配向フイルム3の上下に対向して配置されたノズル4a、4bから熱風が噴出される。噴出された熱風は、熱風循環ファン6により熱風循環経路5内を循環し、スチームヒータ7で温度制御されて、再びノズル4a、4bから噴出される。熱風循環経路5内(スチームヒータ7の上流)にあるフィルター8の上流側に白金触媒9が設けられており、白金触媒9に対向させて電気ヒータ10(シーズヒータ:1.7kW×10本)が配置されており、白金触媒9を所望の温度に加熱できる構成となっている。
[熱固定室及び冷却室におけるオリゴマ量の測定]
熱固定室及び冷却室におけるオリゴマ量の測定は、以下の(1)〜(5)に示す手順により行った(図2)。
(1)テンター装置1におけるサンプリング用の穴にステンレス製パイプ11を通し、その一端がノズル4a及び4bの端に位置するようにセットした。なお、ステンレス製パイプ11の他端はテンター装置1の外でガラスサンプラー12に接続し、ステンレス製パイプ11は冷却を防ぐためヒータ13で昇温させた。
(2)吸引ポンプ14によるガスメーター15への流量を規定の流量x(ml/min)とし、ガラスサンプラー12にT(hr)エアを通過させた。また、エア通過中、ガラスサンプラー12にオリゴマを析出させるために、ガラスサンプラー12を氷水で冷却した。なお、実施例ではx(ml/min)は3以上6以下、T(hr)は16以上20以下とした。
(3)ガラスサンプラー12を外し、その内部をメタノールy(g)で洗浄した。なお、実施例ではy(g)は10以上20以下とした。
(4)洗浄後のメタノールを回収し、UV分光光度計により波長285nmにおける吸光度Aを測定した。
(5)吸光度を検量線により濃度Z(mg/m3)に換算し、得られた値をオリゴマ濃度とした。その際に使用した式は以下の通りである。
Z(mg/m3)=A×y/(118.13×6×x×T)
なお、熱固定室におけるオリゴマ量の測定は最も冷却室に近いゾーンで実施し、冷却室におけるオリゴマ量の測定は最も熱固定室に近いゾーンで実施した。
熱固定室及び冷却室におけるオリゴマ量の測定は、以下の(1)〜(5)に示す手順により行った(図2)。
(1)テンター装置1におけるサンプリング用の穴にステンレス製パイプ11を通し、その一端がノズル4a及び4bの端に位置するようにセットした。なお、ステンレス製パイプ11の他端はテンター装置1の外でガラスサンプラー12に接続し、ステンレス製パイプ11は冷却を防ぐためヒータ13で昇温させた。
(2)吸引ポンプ14によるガスメーター15への流量を規定の流量x(ml/min)とし、ガラスサンプラー12にT(hr)エアを通過させた。また、エア通過中、ガラスサンプラー12にオリゴマを析出させるために、ガラスサンプラー12を氷水で冷却した。なお、実施例ではx(ml/min)は3以上6以下、T(hr)は16以上20以下とした。
(3)ガラスサンプラー12を外し、その内部をメタノールy(g)で洗浄した。なお、実施例ではy(g)は10以上20以下とした。
(4)洗浄後のメタノールを回収し、UV分光光度計により波長285nmにおける吸光度Aを測定した。
(5)吸光度を検量線により濃度Z(mg/m3)に換算し、得られた値をオリゴマ濃度とした。その際に使用した式は以下の通りである。
Z(mg/m3)=A×y/(118.13×6×x×T)
なお、熱固定室におけるオリゴマ量の測定は最も冷却室に近いゾーンで実施し、冷却室におけるオリゴマ量の測定は最も熱固定室に近いゾーンで実施した。
(実施例1)
固有粘度0.6のポリエチレンテレフタレートを押出機により285℃で溶融押出し、口金よりシート状に吐出した。得られたシート状物を、表面温度30℃の冷却ドラムで冷却固化して無配向フイルムとし、複数のロールを有する縦延伸機を用いて温度90℃、倍率3.5倍の条件で長手方向に延伸した。得られた一軸配向フイルムを熱固定室の熱風循環経路に白金触媒を配置したテンター装置に導入し、温度115℃、倍率3.5倍の条件で幅方向に延伸して二軸配向フイルムとした後、熱固定室のホールノズルが噴出する熱風の温度を230℃に制御した環境下で熱固定処理を施した。その後、二軸配向フイルムを70℃以下に冷却して、巻取機で150m/分の速度で巻き取り厚み12μmの二軸配向フイルムを得た。テンター装置が稼動してから少なくとも16時間が経過した段階で、前述の方法により、熱固定室及び冷却室におけるオリゴマ量を測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
熱固定室のノズルおよび白金触媒を表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様フイルムを製造し、熱固定室及び冷却室におけるオリゴマ量を測定した。測定結果を表1に示す。
熱固定室のノズルおよび白金触媒を表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様フイルムを製造し、熱固定室及び冷却室におけるオリゴマ量を測定した。測定結果を表1に示す。
本発明により、テンター装置内でのオリゴマの析出、及びオリゴマの付着による欠点の発生を軽減することができるフイルムの製造方法を提供することができる。
1 テンター装置
2 熱固定室
3 フイルム
4a、4b ノズル
5 熱風循環経路
6 熱風循環ファン
7 スチームヒータ(熱風温度制御用)
8 フィルター
9 白金触媒
10 電気ヒータ(白金触媒温度制御用)
11 ステンレスパイプ
12 ガラスサンプラー
13 ヒータ
14 吸引ポンプ
15 ガスメーター
2 熱固定室
3 フイルム
4a、4b ノズル
5 熱風循環経路
6 熱風循環ファン
7 スチームヒータ(熱風温度制御用)
8 フィルター
9 白金触媒
10 電気ヒータ(白金触媒温度制御用)
11 ステンレスパイプ
12 ガラスサンプラー
13 ヒータ
14 吸引ポンプ
15 ガスメーター
Claims (6)
- 入り口から、予熱室、延伸室、熱固定室、及び冷却室をこの順に有するテンター装置を用いるフイルムの製造方法であって、
前記熱固定室が、少なくとも一つの熱風循環経路を有し、
かつ、熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段、及びMD方向への熱風の流動を抑制する手段を備えることを特徴とする、フイルムの製造方法。 - 前記熱風中のオリゴマ含有量を低減する手段が、白金触媒であることを特徴とする、請求項1に記載のフイルムの製造方法。
- 前記白金触媒が、前記熱風循環経路に少なくとも一つ配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のフイルムの製造方法。
- 前記MD方向への熱風の流動を抑制する手段が、以下の特徴1及び2を備える噴き付けノズルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
特徴1:フイルム面の上下に位置し、かつフイルムの幅方向に延在する。
特徴2:前記噴き付けノズルの噴出孔とフイルムとの距離をH、前記噴き付けノズルの噴出孔の長径をBとしたときに、Bが5mm以上40mm以下、かつH/Bが4以上20以下である。 - 熱固定室において、入口から出口に向かって流れる空気の速度が、0.2m/s以上5.0m/s以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
- 熱固定室内のオリゴマ濃度が、0.2mg/m3以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフイルムの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016068086A JP2017177534A (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | フイルムの製造方法 |
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- 2016-03-30 JP JP2016068086A patent/JP2017177534A/ja active Pending
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