JP2017171701A - 被膜形成用組成物及びその製造方法、並びに被膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体蓄積性や環境適応性の点で問題となる炭素数8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル基を含有することなく、高い撥水性及び優れた防汚性を有する被膜を形成することが可能な被膜形成用組成物を提供する。【解決手段】ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、ケイ素アルコキシドの加水分解物と、有機溶媒と、を含む、被膜形成用組成物を選択する。【選択図】なし

Description

本発明は、被膜形成用組成物及びその製造方法、並びに被膜に関するものである。
透明性を有する材料(例えば、ガラス、プラスチック等)は、光学特性、軽量性や加工性に優れるため、液晶関連部材等の光学関連市場やフィルム市場において多くの需要が存在する。特に、液晶ディスプレイ等の表示画面では、主要材料として用いられている。
一方、液晶ディスプレイ等の表示画面には、反射防止効果や防汚効果等の各種機能を有することが望まれている。そのため、ディスプレイ等に用いる材料として、各種機能を有した膜を組み合わせて基材上に積層したものが知られている。
また、基材に防汚効果を付与する技術としては、例えば、特許文献1が知られている。この特許文献1には、反射防止フィルムのような透明樹脂基材の表面に撥水性被膜からなる防汚層が設けられた防汚膜被覆樹脂物品が開示されている。具体的には、特許文献1には、ケイ素アルコキシド、炭素数8の直鎖状ペルフルオロアルキル基を含有するシラン化合物及び酸を混合し、12時間程度の時間をかけて作製した塗布液を、少なくとも表面がシリカ質の樹脂又は無機化合物の下地層の上に塗布し、乾燥して得られた撥水性被膜からなる防汚層が開示されている。
特許第3342170号公報
ところで、従来から、有機材料と無機材料との界面においてその接着性を改善するため、種々のシラン化合物がシランカップリング剤として使用されている。また、シランカップリング剤は、有機材料あるいは無機材料の表面処理剤としても利用されており、材料表面に種々の機能を付与することができることが知られている。
その中でも、フルオロアルキル基含有シラン化合物等のフッ素系シランカップリング剤は、撥水性や撥油性等の付与剤として様々な分野で使用され、とくに炭素数が8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル基を含有するものが利用されてきた。
ところが、近年、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、安定な構造をしているために環境中で分解されにくく(難分解性)、毒性および環境・生体蓄積性が高いことが明らかとなった。そのため、炭素数が8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル基を有する化合物は、その使用が制限されつつあるという課題があった。したがって、市場では、PFOSやPFOA構造を有しない、炭素数が6以下で可能な限り短鎖長のペルフルオロアルキル基を有する構造の材料が望まれているのが実情であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生体蓄積性や環境適応性の点で問題となる炭素数8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル基を含有することなく、高い撥水性及び優れた防汚性を有する被膜を形成することが可能な被膜形成用組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記被膜形成用組成物を簡便かつ安全に調製することが可能な被膜形成用組成物の製造方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、高い撥水性及び優れた防汚性を有する被膜を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] 下記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、
平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、
ケイ素アルコキシドの加水分解物と、
有機溶媒と、を含む、被膜形成用組成物。
上記式(1)中、m及びnは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
また、上記式(1)中、Xは、2価の有機基である連結基である。
さらに、上記式(1)中、Rは低級アルキル基またはフェニル基、Zは加水分解性基である(ただし、aは0〜2の整数)。
[2] 前記加水分解性基Zが、アルコキシ基である、前項1に記載の被膜形成用組成物。
[3] 前記ケイ素アルコキシドの加水分解物の平均分子量が、5×10以上4×10以下である、前項1又は2に記載の被膜形成用組成物。
[4] 前記酸化物微粒子が、シリカ、ITO、及び、In、Sn、Zn、Ti又はWの酸化物から選ばれた群のうち、1種又は2種以上の混合物である、前項1乃至3のいずれか一項に記載の被膜形成用組成物。
[5] 前項1に記載の皮膜形成用組成物の製造方法であって、
ケイ素アルコキシドから当該ケイ素アルコキシドの加水分解物を生成した後、
上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物を含む第1の有機溶媒に、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子を分散させた第2の有機溶媒と、生成した前記ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を添加して混合する、被膜形成用組成物の製造方法。
[6] 前項1に記載の皮膜形成用組成物の製造方法であって、
有機溶媒に、ケイ素アルコキシドと、上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、を同時に添加して混合した後、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子を添加する、被膜形成用組成物の製造方法。
[7] 上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、
平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、
ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を含む、被膜。
[8] 当該被膜の表面を原子間力顕微鏡によって測定して得られた平均面粗さ(Ra)が、0.01〜0.5μmの範囲である、前項7に記載の被膜。
本発明の被膜形成用組成物は、生体蓄積性や環境適応性の点で問題となる炭素数8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル基を含有することなく、高い撥水性及び優れた防汚性を有する被膜を形成することが可能である。
本発明の被膜形成用組成物の製造方法は、上記被膜形成用組成物を簡便かつ安全に調製することが可能である。
本発明の皮膜は、高い撥水性及び優れた防汚性を有する。
以下、本発明を適用した一実施形態である被膜形成用組成物について、その製造方法及びこれを用いて形成した被膜ともに詳細に説明する。
<被膜形成用組成物>
先ず、本実施形態の被膜形成用組成物(以下、単に、「組成物」ということもある)の構成について説明する。
本実施形態の組成物は、(A)ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(以下、単に、「含フッ素シラン化合物」又は「成分(A)」ということもある)と、(B)平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子(以下、単に、「酸化物微粒子」又は「成分(B)」ということもある)と、(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(以下、「成分(C)」ということもある)と、(D)有機溶媒(以下、「成分(D)」ということもある)と、を含んで概略構成されている。
[(A)含フッ素シラン化合物]
本実施形態の組成物に適用可能な(A)ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物としては、分子内に含窒素ペルフルオロアルキル基とアルコキシシリル基とをそれぞれ1以上有する構造であれば、特に限定されるものではない。このような含フッ素シラン化合物の構成としては、具体的には、下記一般式(1)で表すことができる。
ここで、上記式(1)中、m及びnは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
また、上記式(1)中、Xは、2価の有機基である連結基である。ここで、前記Xは、直鎖状又は分岐状の有機基であってもよい。また、前記Xは、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
さらに、上記式(1)中、Rは低級アルキル基またはフェニル基、Zは加水分解性基である(ただし、aは0〜2の整数)。
ここで、上記式(1)中の含窒素ペルフルオロアルキル基としては、より具体的には、下記式(2)〜(13)で示されるペルフルオロアミン構造を挙げることができる。
また、上記式(1)中のXとしては、下記式(14)〜(17)で示される構造を挙げることができる。なお、下記式(14)はエーテル結合、下記式(15)はエステル結合、下記式(16)はアミド結合、下記式(17)はウレタン結合を含む例を示している。
ここで、上記式(14)〜(17)中、RおよびRは炭素数が0から10の炭化水素基、Rは水素原子または炭素数1から6の炭化水素基である。
また、上記式(1)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基またはフェニル基であるが、これらの中でもメチル基とすることがより好ましい。
また、上記式(1)中、Zは、加水分解されてSi−O−Si結合を形成可能な加水分解性基であれば特に限定されるものではない。このような加水分解性基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアラルキルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基を適用することが好ましい。
ここで、上記式(1)で表されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物の具体例としては、例えば、下記式(18)〜(65)で表される構造が挙げられる。
なお、下記式(18)〜(65)中、Rはメチル基またはエチル基である。
上述したように、本実施形態の組成物に適用可能な含フッ素シラン化合物によれば、分子内に含窒素ペルフルオロアルキル基とアルコキシシリル基とをそれぞれ1以上有する構造となっている。より具体的には、窒素原子に炭素数が6以下の短鎖長のペルフルオロアルキル基が複数結合した含窒素ペルフルオロアルキル基を有しており、分子内のフッ素含有率が高いため、優れた撥水・撥油性を付与することができる。一方で、分子内に炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を含有していないため、生体蓄積性や環境適応性の点で問題がない化学構造となっている。このように、本実施形態の組成物に用いる含フッ素シラン化合物は、優れた特性を備えた新規な化合物である。すなわち、本実施形態の組成物に用いる含フッ素シラン化合物は、優れた撥水撥油性と環境適応性とを両立するように設計したものであり、従来の化合物からは容易に想到できるものではない。
また、本実施形態の組成物に適用可能な含フッ素シラン化合物は、含窒素ペルフルオロアルキル基として、窒素原子上で分枝する複数の短鎖長構造のペルフルオロアルキル基、つまりペルフルオロアミン構造を有する。このペルフルオロアミン構造は嵩高いため、短鎖長構造のペルフルオロアルキル基しか有しないにもかかわらず、炭素数の短い直鎖状ペルフルオロアルキル構造を有する含フッ素シラン化合物と比べて、高い撥水撥油性、防汚性、耐指紋性、離型性、耐湿性、耐水性、耐熱性などのフッ素基に起因する高い特性を付与することができる。
[(A)含フッ素シラン化合物の製造方法]
次に、上述した(A)含フッ素シラン化合物の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の用組成物に用いることが可能な含フッ素シラン化合物の製造方法は、下記一般式(66)で示される含窒素ペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸ハロゲン化物をアルコールに還元した後、金属触媒の存在下でイソシアネートと反応させることによって得られる。
なお、上記式(66)中、m及びnは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数である。また、Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であって、直鎖状又は分枝状であってもよい。さらに、Yは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されるいずれか1のハロゲン原子である。
上記式(66)で示される含窒素ペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸ハロゲン化物は、例えば、対応するカルボン酸エステル又はハロゲン化物をフッ化水素中で電解フッ素化することにより得ることができる。また、上記Yがフッ素原子以外のハロゲン原子であるものを用いる場合には、例えば、前記電解フッ素化により得られたペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸フルオリドを加水分解処理して、対応するカルボン酸を生成させた後、適当なハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、三臭化リン、五臭化リン、臭化水素、ヨウ化水素等)を反応させて、対応するカルボン酸ハロゲン化物に誘導することにより得ることができる。
以下、上記一般式(1)において、Xがエーテル結合、アミド結合およびウレタン結合を有する化合物の場合について、それぞれ説明する。
「Xがウレタン結合を有する化合物の場合」
この場合には、例えば、以下の2段階の反応によって合成することが可能である。
(カルボン酸ハロゲン化物の還元反応)
上記式(66)に示すカルボン酸ハロゲン化物を、例えば、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)や水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)等に代表される還元剤を溶解または分散させた有機溶媒中に滴下して、還元反応させる。この還元反応によって、下記式(67)に示すアルコールを得る。
なお、上記式(67)中、m及びnは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数である。また、Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であって、直鎖状又は分枝状であってもよい。
(イソシアネートとの反応)
上述の還元反応により得られた上記式(67)に示すアルコールと、イソシアネート基を有するシランカップリング剤であるトリアルコキシシランとを有機溶媒中で反応させることにより、上記式(1)に示す含フッ素シラン化合物が得られる。
なお、イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート等が挙げられる。
また、上記反応では、反応を促進させるために触媒を添加してもよい。具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸ビスマス、デカン酸ビスマス、ナフテン酸鉛、酢酸カリウムなどの金属触媒、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系触媒、トリアルキルホスフィン触媒等が挙げられる。
「Xがエーテル結合を有する化合物の場合」
(アリルエーテル体の生成)
この場合には、先ず、上記ウレタン結合を有する化合物の場合と同様に、フルオロアルキル基を有するカルボン酸ハロゲン化物を還元して得られる上記式(67)に示すアルコールと、ハロゲン化アリル(例えば、臭化アリル、塩化アリル等)とを反応させることにより、下記一般式(68)に示すアリルエーテル体を得る。
(ヒドロシリル化反応)
次に、得られたアリルエーテル体とシラン化合物(例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリクロロシラン等)とを反応(白金触媒を用いるヒドロシリル化反応)させることにより、上記式(1)に示す含フッ素シラン化合物が得られる。
「Xがアミド結合を有する化合物の場合」
(アリルアミド体の生成)
この場合には、先ず、上記式(66)で示される含窒素ペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸ハロゲン化物とアリルアミン(例えば、アリルアミン、N−メチルアリルアミン等)とを反応させることにより、下記一般式(69)に示すアリルアミド体を得る。なお、下記一般式(69)中に示されるRは、(Rは水素原子または炭素数1から6の炭化水素基等)である。
(ヒドロシリル化反応)
次に、得られたアリルアミド体とシラン化合物(例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリクロロシラン等)とを反応(白金触媒を用いるヒドロシリル化反応)させることにより、上記式(1)に示す含フッ素シラン化合物が得られる。
[(B)酸化物微粒子]
本実施形態の組成物に適用可能な(B)酸化物微粒子としては、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子(酸化物ナノ粒子)であれば、特に限定されるものではない。このような酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、シリカ、ITO(Indium Tin Oxide)、及び、In、Sn、Zn、Ti又はWの酸化物等が挙げられる。より具体的には、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO,SnO,SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化タングステン(WO)等が挙げられる。
ここで、例えば、酸化物微粒子として、シリカを用いた場合、本実施形態の組成物を用いて形成した被膜は、塗膜の硬さや透明性が高く、膜が低屈折率となり光の透過性が向上する。
また、酸化チタン(チタニア)を用いた場合、本実施形態の組成物を用いて形成した被膜は、光触媒機能によるセルフクリーニング機能を有し、高屈折率の膜となる。
また、ITOを用いた場合、本実施形態の組成物を用いて形成した被膜に、導電性による帯電防止機能を付与することができる。
なお、本明細書において、酸化物微粒子の平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)で観察した粒子形状の内、200点の粒子サイズを画像解析により測定したものの平均値をいう。
また、酸化物微粒子の形状は、球状、異方性のある扁平形状、数珠状に繋がった形状、球状粒子が不定型に繋がった形状等であってもよい。その際、酸化物微粒子の平均一次粒子径は、上述したTEM観察の際の画像解析により、球状に近似した際の大きさをいうものとする。
酸化物微粒子の平均一次粒子径は、2〜50nmの範囲が好ましく、5〜35nmの範囲がより好ましい。酸化物微粒子の平均一次粒子径が2nm以上であると、安定に存在する酸化物微粒子を入手することができるために好ましい。また、酸化物微粒子の平均一次粒子径が50nm以下であると、組成物を成膜した際の膜の透明性が高くなるために好ましい。
これに対して、酸化物微粒子の平均一次粒子径が50nmを超えると、凝集粒子が出来た際の二次粒子径が容易に200nmを超えてしまうため、可視光領域のサイズに入り、曇りとして観察されるために好ましくない。
また、酸化物微粒子としては、上述に列挙された群から選ばれる一種又は二種以上を含む混合物を、(B)酸化物微粒子(酸化物ナノ粒子)として用いてもよい。
[(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物]
本実施形態の組成物に適用可能な(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物としては、被膜形成用組成物を用いた膜形成の際の反応性の速さと、得られる被膜の硬度を保持することができるものであれば、特に限定されるものではない。このようなケイ素アルコキシドの加水分解物としては、具体的には、下記一般式(70)に示すケイ素アルコキシドの加水分解(縮合)によって生成したものが挙げられる。なお、下記式(70)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。
Si(OR ・・・(70)
ここで、本実施形態の組成物において、(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物を用いる理由は、上述したように膜形成時の反応性の速さと、この組成物から得られる被膜の硬度を保持するためである。例えば、炭素原子数が6以上のアルキル基を有するケイ素アルコキシドの加水分解物では、加水分解反応が遅く、製造に時間がかかり、また得られた組成物を塗布して得られる膜の硬度が下がる場合があるため、好ましくない。
上記式(70)に示すケイ素アルコキシドとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、被膜を形成した際に、硬度が高い膜が得られることから、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
また、本実施形態の組成物においては、(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の平均分子量が、5×10以上4×10以下であることが好ましい。ここで、上記平均分子量が5×10未満であると、当該組成物を用いて基材の表面に被膜を形成する際に膜厚が得られにくく、基材との密着力が得られないために好ましくない。一方、上記平均分子量が4×10を超えると、当該組成物が高い粘度となり、塗膜形成の用途に適さないために好ましくない。これに対して、ケイ素アルコキシドの加水分解物の平均分子量が上記範囲内であると、被膜の膜厚の調整が容易であり、基材と被膜との間に十分な密着力が得られるとともに、塗布性に優れ、塗膜形成の際に取扱いが容易となるために好ましい。
なお、ケイ素アルコキシドの加水分解物の平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)によって分子量を測定することにより、確認することができる。具体的には、LC10AD(島津製作所社製)を用い、測定カラムには、ガードカラム及び、LF804(昭和電工社製)を利用するとともに、測定温度は40℃、移動相にはTHF、分子量測定の標準物質にはポリスチレン(PS)の各分子量(5.0×10、1.99×10、5.97×10、9.11×10、3.79×10、9.64×10)を使用して、分子量を測定する。
[(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の製造方法]
次に、上述した(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の製造方法の一例について説明する。上記式(70)に示すケイ素アルコキシドの加水分解物を生成させるには、有機溶媒中において、これらを加水分解(縮合)させる。具体的には、ケイ素アルコキシドの加水分解物の場合、ケイ素アルコキシド1質量部に対して、好ましくは水を0.5〜2.0質量部、無機酸又は有機酸を0.005〜0.5質量部、有機溶媒を1.0〜5.0質量部の割合で混合し、ケイ素アルコキシドの加水分解反応を進行させることで得られる。
ここで、水の割合を上記範囲とすることが好ましい理由は、水の割合が下限値未満では加水分解反応が十分に進行しにくい場合があり、被膜の硬度が下がるためである。一方、上限値を超えると、加水分解反応中に反応液がゲル化する等の不具合が生じる場合があるためである。また、基板との密着性が低下する場合がある。このうち、水の割合は、0.8〜3.0質量部とすることが特に好ましい。また、水としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用することが望ましい。
無機酸又は有機酸としては、塩酸、硝酸又はリン酸等の無機酸、ギ酸、シュウ酸又は酢酸等の有機酸が挙げられる。このうち、ギ酸を使用することが特に好ましい。無機酸又は有機酸は、ケイ素アルコキシドの加水分解反応を促進させるための酸性触媒として機能するが、触媒としてギ酸を用いることによって、透明性に優れた膜を形成しやすいからである。また、触媒としてギ酸を用いた場合、他の触媒を使用した用いた場合に比べて、成膜後の膜中において不均一なゲル化の促進を防止する効果がより高い。
また、無機酸又は有機酸の割合を上記範囲とすることが好ましい理由は、無機酸又は有機酸の割合が下限値未満では反応性に乏しいために、硬度の高い膜が形成されにくく、一方、上限値を超えても反応性に影響はないが、残留する酸による塗布基材の腐食等の不具合が生じる場合があるからである。このうち、無機酸又は有機酸の割合は、0.008〜0.2質量部とすることが特に好ましい。
有機溶媒としては、アルコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、又はケトンを使用することが好ましい。有機溶媒として、これらのアルコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、又はケトンを使用することが好ましい理由は、組成物の塗布性向上のためであり、また、例えばケイ素アルコキドとの混合がしやすいためである。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。また、グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。また、グリコールエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。また、ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン等が挙げられる。
これらのうち、加水分解反応の制御がしやすく、また膜形成時に良好な塗布性が得られることから、エタノール、IPA、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が、特に好ましい。
有機溶媒の割合を上記範囲とすることが好ましい理由は、有機溶媒の割合が下限値未満では加水分解反応中に反応液がゲル化する不具合が生じやすく、透明性に優れた膜が得られにくいためである。また、基板との密着性も低下する場合がある。一方、上限値を超えると加水分解の反応性が低下する等の不具合が生じることで、十分な硬度の膜が得られないためである。このうち、有機溶媒の割合は、1.5〜3.5質量部とすることが特に好ましい。
[(D)有機溶媒]
本実施形態の組成物は、塗布にふさわしい粘度への調整のため、及び、(A)含フッ素シラン化合物と(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物との反応を抑制するために、(D)有機溶媒を含んで構成されている。なお、被膜形成用組成物中に(D)有機溶媒が含まれない系では、ケイ素アルコキシドの加水分解速度が速く、直ぐにゲル化による固形物が生成してしまう。
本実施形態の組成物に適用する(D)有機溶媒としては、(C)ケイ素アルコキドの加水分解物や(A)含フッ素シラン化合物との相溶性が高く、被膜形成用の組成物として取扱がし易いため、上述した(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物を作製する際に使用する有機溶媒と同じもの、または、上記列記した有機溶媒を用いることが好ましい。
上述した有機溶媒の中でも、エタノール、IPA、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が特に好ましい。
ここで、本実施形態の組成物において、被膜形成成分である(A)含フッ素シラン化合物、(B)酸化物微粒子及び(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の各固形成分比は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の固形成分の全量(全固形成分)に対して、それぞれ所要の範囲であることが好ましい。換言すると、本実施形態の組成物を用いて被膜を形成した際に、当該被膜(全固形成分)中の成分(A)〜(C)の含有量がそれぞれ所要の範囲となることが好ましい。
全固形成分中の(A)含フッ素シラン化合物の固形成分比は、下限値が2質量%以上であればよく、20質量%以上であってもよい。
ところで、被膜形成成分中に(A)成分を含まない場合(すなわち、被膜形成成分中に(B)成分及び(C)成分のみを含む場合)、形成された被膜は親水親油性であり、水、油(n−ヘキサデカン)の静的接触角はいずれも5°以下となる。
ここで、(A)成分の固形成分比が固形成分の全量に対して2質量%以上であると、被膜に対して撥水撥油性を付与することができるために好ましい。また、20質量%以上であると、形成した被膜に対する水の静的接触角が130°以上となるとともに、油(n−ヘキサデカン)の静的接触角が70°以上となり、被膜に超撥水性及び撥油性を付与することができるために好ましい。
一方、(A)成分の固形成分比は、上限値が75質量%以下であればよく、70質量%以下であってもよい。ここで、(A)成分の固形成分比が70質量%以下であると、被膜の膜強度が向上するとともに、基材との密着が十分になるために好ましい。
また、固形成分中の(B)酸化物微粒子の固形成分比は、固形成分の全量に対して15質量%以上であることが好ましく、75質量%以下であることが好ましい。ここで、(B)成分の固形成分比が20質量%以上であると、撥油性がより向上するために好ましい。一方、B成分の固形成分比が70質量%以下であると、被膜の膜強度や基材との密着性が十分に得られるために好ましい。
また、固形成分中の(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の固形成分比は、固形成分の全量に対して4質量%以上であることが好ましく、45質量%以下であることが好ましい。ここで、(C)成分の固形成分比が10質量%以上であると、被膜の膜強度や基材との密着が向上するために好ましい。一方、(C)成分の固形成分比が40質量%以下であると、被膜の撥油性がより向上するために好ましい。これに対して、(C)成分の固形成分比が45質量%を超えると、(B)成分の粒子凹凸効果(すなわち、親水性を示す膜はより親水性に、撥油性を示す膜はより撥油性になる効果)を低下させてしまうために好ましくない。
なお、固形成分中の(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の固形成分比は、ケイ素アルコキシドの質量によって決定される。また、固形成分中の(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の固形分濃度を確認する方法としては、昇温試験等が挙げられる。具体的には、例えば、ケイ素アルコキシドの加水分解物を650℃にて2時間焼成した後の重量を、焼成炉投入前のケイ素アルコキシドの加水分解物の重量で割った値で確認する。
また、本実施形態の組成物において、(D)有機溶媒中の全固形成分(すなわち、成分(A)+成分(B)+成分(C))の濃度は、特に限定されるものではなく、基材への塗布方法によって適宜選択することができる。上記全固形成分の濃度としては、具体的には、例えば、1〜50質量%であればよく、2〜20質量%の範囲とすることが好ましい。
<被膜形成用組成物の製造方法>
次に、本実施形態の被膜形成用組成物の製造方法について、以下に詳細に説明する。
本実施形態の被膜形成用組成物の製造方法の一例として、ケイ素アルコキシドから(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物を生成した後、(D)有機溶媒に、(A)含フッ素シラン化合物及び(B)酸化物微粒子と、生成した(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を添加して混合する方法(第1の方法)が挙げられる。
「第1の方法」
具体的には、上記第1の方法は、ケイ素アルコキシドと有機溶媒とを混合して、第1液を調製する工程(第1工程)と、ケイ素アルコキシドと、水と、無機酸と、を混合して、第2液を調製する工程(第2工程)と、所要の温度に保持された上記第1液に上記第2液を添加し、温度を保持しながら混合して、ケイ素アルコキシドの加水分解物を得る工程(第3工程)と、有機溶媒に含フッ素シラン化合物及び酸化物微粒子を添加した後、得られた上記ケイ素アルコキシドの加水分解物を添加する工程(第4工程)と、を含んで、概略構成されている。
(第1工程)
先ず、第1工程では、ケイ素アルコキシドと有機溶媒とを混合して、第1液を調製する。具体的には、反応容器にケイ素アルコキシドを投入し、このケイ素アルコキシドの1とした際に、1質量部に対して1.0質量部となる量の有機溶媒を添加する。そして、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第1液を調製する。
(第2工程)
次に、第2工程では、ケイ素アルコキシドと、水と、無機酸と、を混合して、第2液を調製する。具体的には、先ず、ケイ素アルコキシド1質量部に対して1.0質量部となる量のイオン交換水と、0.01質量部となる量の無機酸と、を容器内に投入して混合する。次いで、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第2液を調製する。
(第3工程)
次に、第3工程では、所要の温度に保持された上記第1液に上記第2液を添加し、温度を保持しながら混合して、ケイ素アルコキシドの加水分解物を得る。具体的には、第1工程にて調製した第1液を、恒温液槽(ウォーターバス)等を用いて、例えば、約55℃の温度に保持した後、この第1液に上述した第2液を添加し、上記温度を保持した状態で約60分間撹拌する。これにより、ケイ素アルコキシドの加水分解物が得られる。
(第4工程)
次に、第4工程では、有機溶媒に含フッ素シラン化合物及び酸化物微粒子を添加した後、第3工程にて得られたケイ素アルコキシドの加水分解物を添加する。具体的には、所要量の有機溶媒を準備し、この有機溶媒中に所要量のペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物及び酸化物微粒子を添加する。次いで、この有機溶媒中に、第3工程にて事前に調製したケイ素アルコキシドの加水分解物を所要量添加する。これにより、本実施形態の被膜形成用組成物が得られる。なお、酸化物微粒子を溶媒に分散させた酸化物微粒子の分散液を事前に調整し、この分散液中に所要量のペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物を添加しても良い。
また、本実施形態の被膜形成用組成物の製造方法の他の例として、(D)有機溶媒に、ケイ素アルコキシドと、(A)含フッ素シラン化合物及び(B)酸化物微粒子と、を同時に添加して混合する方法(第2の方法)が挙げられる。
ここで、上述した第1の方法が(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物を事前に調整する方法であるのに対して、第2の方法は、ケイ素アルコキシドの加水分解と同時にペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物及び酸化物微粒子を混合して、被膜形成用組成物を得る方法である。
「第2の方法」
具体的には、上記第2の方法は、ケイ素アルコキシドと、(A)含フッ素シラン化合物及び(B)酸化物微粒子と、(D)有機溶媒と、を混合して、第1’液を調製する工程(第1’工程)と、水と無機酸とを混合して、第2’液を調製する工程(第2’工程)と、所要の温度に保持された第1’液に第2’液を添加し、上記温度を保持しながら混合する工程(第3’工程)と、を含んで、概略構成されている。
(第1’工程)
先ず、第1’工程では、ケイ素アルコキシドと、ペルフルオロアルキルアミン構造を有する含フッ素シラン化合物及び酸化物微粒子と、有機溶媒と、を混合して、第1’液を調製する。具体的には、先ず、反応容器にケイ素アルコキシドを投入し、このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、0.4質量部となる有機溶媒を添加する。さらに、先に投入したケイ素アルコキシド1質量部に対して、例えば0.2〜1質量部となるように上記含フッ素シラン化合物と、例えば0.2〜5質量部となるように上記酸化物微粒子と、をそれぞれ添加し、そして、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第1’液を調製する。
(第2’工程)
次に、第2’工程では、水と無機酸とを混合して、第2’液を調製する。具体的には、先ず、ケイ素アルコキシド1質量部に対して0.85質量部となる量のイオン交換水と、0.01質量部となる量の無機酸と、を容器内に投入して混合する。次いで、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第2’液を調製する。
(第3’工程)
次に、第3’工程では、所要の温度に保持された第1’液に第2’液を添加し、上記温度を保持しながら混合する。具体的には、第1’工程にて調製した第1’液を、恒温液槽(ウォーターバス)等を用いて、例えば、約60℃の温度に保持した後、この第1’液に第2’液を添加し、上記温度を保持した状態で約60分間撹拌する。これにより、有機溶媒中にペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物、酸化物微粒子及びケイ素アルコキシドの加水分解物を含む、本実施形態の被膜形成用組成物が得られる。
<被膜形成用組成物の使用方法>
次に、本実施形態の被膜形成用組成物の使用方法、すなわち、被膜の形成方法について説明する。本実施形態の被膜形成用組成物は、そのまま、基材等の被処理物上に塗布することが可能である。
被膜の形成方法としては、具体的には、例えば、基材の表面に本実施形態の被膜形成用組成物を塗布した後、焼成して硬化することにより、基材の表面に被膜を形成することができる。
基材としては、特に限定されないが、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、ステンレス、アルミニウム、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、紙、皮革、それらの組合せ、それらの構造体、積層体等を用いることができる。
塗布工程において、基材の表面への塗布方法としては、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、被膜形成用組成物中に基材を浸漬する浸漬法、スプレー、スピンコート、刷毛、ローラなど塗布手段を使用する、あるいは印刷手法を用いる方法などが挙げられる。
焼成条件としては、被膜形成用組成物に含まれる有機溶媒の種類や含有量などによって適宜選択することができる。焼成温度としては、例えば、60〜200℃とすることができる。また、焼成時間としては、例えば、5〜60分とすることができる。なお、焼成条件の選択の際、焼成温度が低温では長時間、高温では短時間とすることで、同程度の硬度の膜を得ることができる。
<被膜>
本実施形態の被膜は、上述した皮膜形成用組成物を用いて形成されたものである。具体的には、上述したように、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、ケイ素アルコキシドの加水分解物と、有機溶媒とを含有した塗布液を基板に塗布した後に、焼成して硬化させることにより得られる。すなわち、本実施形態の被膜は、固形成分として、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を含むものである。
本実施形態の被膜は、新規な、環境負荷の小さいフッ素材料であるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、ケイ素アルコキシドの加水分解物と、有機溶媒と、を含む組成物を塗布し、焼成して硬化させて得られた被膜であるため、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物単体から得られた被膜よりも高い撥水性を有する。したがって、本実施形態の被膜は、基材の表面に汚れが付着することを防止するともに、付着した場合であっても容易に拭き取ることが可能な、優れた防汚性を有する。
特に、本実施形態の被膜は、成分中に平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子が含まれている。この酸化物微粒子が粒子凹凸効果、すなわち、親水性を示す膜はより親水性に、撥油性を示す膜はより撥油性になる効果を奏するため、本実施形態の被膜は、より高い(優れた)撥水性を有する。
また、本実施形態の被膜は、成分中に硬化に寄与するケイ素アルコキシドの加水分解物が含まれるため、高い耐擦傷性、高い硬度を有するとともに、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物単体から得られた被膜よりも基材との密着性に優れる。
さらに、本実施形態の被膜は、原料のケイ素アルコキシドとしてTEOSを用い、酸性触媒としてギ酸を用いた加水分解物の硬化膜である場合に、透過率が93〜98%、ヘイズ0.4以下となり、優れた透明性を有する。したがって、透明な基材に被膜を形成した場合であっても、視認性を維持したまま、優れた防汚性を付与することが出来る。
なお、本実施形態の被膜の撥水性及び撥油性は、接触角測定(液滴法)によって評価することができる。接触角は、市販の測定装置(例えば、協和界面科学社製、「Drop Master DM−700」)を用いて測定することができる。具体的には、シリンジにイオン交換水を準備し、静止状態で水が被膜の表面に触れた後の1000msec後の接触角をθ/2法により解析した値を水の接触角(静的接触角、単位:°(度)、1°=(π/180)rad)とすることができる。また、シリンジにn−ヘキサデカンを準備し、接触角を測定し、同様に解析した値を油の接触角とすることができる。
接触角測定の結果、被膜に対する水の静的接触角が110°以上である場合に、本実施形態の被膜が撥水性を有するということができる。さらに、135°以上である場合に、本実施形態の被膜が超撥水性を有するということができる。一方、被膜に対するn−ヘキサデカンの静的接触角が70°以上である場合に、本実施形態の被膜が撥油性を有するということができる。
なお、接触角測定(液滴法)において、水及びn−ヘキサデカンの滴下方法としては、下記の条件を用いて行う。
(接触角測定)
滴下容量:2μL/滴(水)
滴下容量:2μL/滴(n−ヘキサデカン)
測定温度:室温(22±4℃)
本実施形態の被膜の防汚性は、例えば、油性ペンのはじき性によって評価することができる。具体的には、被膜形成用組成物を用いて基材上に被膜を形成し、油性ペンを用いて被膜の表面に長さ1cmの直線を書き、そのはじきやすさを所定の基準に従って目視により評価することができる。
本実施形態の被膜の透過率は、ガラス基材上に形成した被膜について、市販の測定装置(例えば、日立ハイテク社製、分光光度計「U−4100」)を用いて測定することができる。具体的には、ガラス基材を含む被膜の透過率を240〜2600nmの範囲で測定する。透過率については、可視光範囲である550nmでの値を確認する。
本実施形態の被膜のヘイズは、ガラス基材上に形成した被膜について、市販の測定装置(例えば、スガ試験機社製、ヘイズメーター「HZ−2」)を用いて測定することができる。なお、ヘイズとは、膜の拡散透過率/全光線透過率×100であらわされる数値であり、膜が曇っている程、ヘイズ値が高くなる。
本実施形態の被膜の密着性は、ガラス基材上に形成した被膜について、市販の粘着テープ(例えば、ニチバン社製、「セロテープ(登録商標)CT−24」)を用いて、JIS−K5600の付着性(クロスカット法)試験法に基づき測定することが出来る。なお、被膜の透明性が高く、剥離状態が確認し難い際には、密着性試験前の透過率及びヘイズの値に比べて、密着性試験後の値が変化したか否かで、剥離の有無を確認することが出来る。
ところで、一般的なケイ素アルコキシドにはアルコキシ基が4箇所存在するため、ガラス等の基材との反応性が高く、基材表面のヒドロキシ基との間で加水分解反応を起こす。これにより、基材表面にケイ素アルコキシドの加水分解物が被膜として容易に形成できることが知られている。しかしながら、ケイ素アルコキシドが有する4つのアルコキシ基のうち、他の官能基(例えば、アルキル基)などに置換されたシランカップリング剤では、アルコキシ基の反応性が低下することが知られており、アルコキシ基の数が減少するほど、反応性が低下すると考えられる。
ここで、上述した本実施形態の被膜形成用組成物に含まれるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物は、3つのアルコキシ基に対して、1つのペルフルオロアミン基を有している。このため、(A)含フッ素シラン化合物とガラス等の基材との反応性は、一般的なアルコキシ基を4つ持つケイ素アルコキシドよりも低いものと考えられる。また、上記(A)含フッ素シラン化合物は、ガラス等の基材と反応性が高いアルコキシ基に対して、分子内の対局に(反対側に)非常に嵩高いペルフルオロアミン基を有してしるため、基材への接触の機会及び基材との反応の機会がさらに減少すると考えられる。
したがって、固形成分としてペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物のみを含む被膜形成用組成物から得られた被膜(すなわち、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物単体から得られた被膜)では、上記含フッ素シラン化合物と基材との反応性が不十分であることにより、十分なペルフルオロアミン基が被膜表面に存在しない状況となり、高い撥水性が得られないと推察される。さらには、形成される被膜の基材への密着性が低くなると推察される。
これに対して、本実施形態の被膜は、固形成分としてペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、ケイ素アルコキシドの加水分解物とを含む、上述した本実施形態の被膜形成用組成物から得られた被膜である。ここで、被膜形成用組成物中に固形成分として含まれるケイ素アルコキシドの加水分解物は、基材等との反応性を高めるように機能すると考えられる。
具体的には、基材の表面に被膜を形成する際に、ケイ素アルコキシドの加水分解物が、基材側に存在し、反応性の高いアルコキシ基とペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物の持つアルコキシ基とが反応することから、基材への密着性が高くなると推察される。さらには、本実施形態の被膜形成用組成物を用いて形成した被膜では、ケイ素アルコキシドが基材との間に存在してペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物との反応点を増やしていることから、上記含フッ素シラン化合物単体から得られた被膜よりも高い撥水性を有すると推察される。
さらに、本実施形態の被膜は、さらに平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子を含む、上述した被膜形成用組成物から得られた被膜である。ここで、被膜形成用組成物中に固形成分として含まれる上記酸化物微粒子は、その粒子凹凸効果により、より高い撥水性を発現するように機能すると考えられる。
以上説明したように、本実施形態の被膜形成用組成物によれば、生体蓄積性や環境適応性の点で問題となる炭素数8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル基を含有することなく、高い撥水性及び優れた防汚性を有する被膜を形成することが可能である。
特に、本実施形態の被膜形成用組成物には、含窒素ペルフルオロアルキル基として、窒素原子上で分枝する複数の短鎖長構造のペルフルオロアルキル基、つまりペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物が含まれている。このペルフルオロアミン構造は嵩高いため、短鎖長構造のペルフルオロアルキル基しか有しないにもかかわらず、炭素数が8以上の直鎖状ペルフルオロアルキル構造を有する含フッ素シラン化合物と比べても、高い撥水撥油性などの上述したフッ素基に起因する高い特性を付与することが可能となる。
本実施形態の被膜形成用組成物の製造方法によれば、上記被膜形成用組成物を簡便かつ安全に調製することが可能である。
本実施形態の皮膜は、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物単体及び平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子を含む相乗効果により、非常に高い撥水性及び優れた防汚性を有する。また、優れた透明性、基材との密着性も備える。
また、本実施形態の被膜は、水の静的接触角が高い材料であるが、転落角も同時に高いローズペタル構造を取り、花弁効果により撥水状態のままの水滴が落ちにくい状態が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。具体的には、上述した実施形態では、被膜形成用組成物中に、含フッ素シラン化合物およびケイ素アルコキシドとして、それぞれ一種類のみ含まれる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、被膜形成用組成物中に、2種以上の含フッ素シラン化合物を含有していてもよいし、2種以上のケイ素アルコキシドの加水分解物が含まれていてもよい。
以下、実施例によって本発明の効果をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって、なんら限定されるものではない。
<合成例>
(含フッ素シラン化合物1)
滴下ロートを備えた三口フラスコに、水素化ホウ素ナトリウム(14.1g)(東京化成社製)とテトラヒドロフラン(310ml)とを投入した。滴下ロートに、(CHCHCHCHNCHCHCOCHの電解フッ素化によって得られる、(CFCFCFCFNCFCFCOF(371.0g、純度70%)を入れ、室温で徐々に滴下した。
滴下終了後、室温で1時間攪拌した後、水、塩酸水溶液で反応液をクエンチし、クロロホルムを加えて分液した。得られたクロロホルム層を塩酸水溶液および水による洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、得られた溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮した。さらに、得られた溶液を減圧蒸留することでアルコール体(171.0g、収率68%)を得た。
滴下ロートを備えた三口フラスコに、得られたアルコール体(129.1g)と、t−ブタノール(129.0g)(東京化成社製)、カリウムt−ブトキシド(32.3g)(和光純薬株式会社製)を投入した。滴下ロートに臭化アリル(53.6g)(和光純薬社製)を入れ、0℃で徐々に滴下した。
滴下終了後、室温で1時間攪拌した。反応液を濾過後、得られた濾液にクロロホルムを投入し、水で洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、得られた溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮した。さらに、得られた溶液を減圧蒸留することでアリルエーテル(56.5g、収率41%)体を得た。
次に得られたアリルエーテル体(23.9g)とトルエン(50ml)、1、3−ジビニル−1、1、3、3−テトラメチルジシロキサン白金錯体キシレン溶液(0.3ml)(シグマアルドリッチ社製)、トリメトキシシラン(5.6g)(東京化成社製)を混合し、60℃で4時間反応させた。得られた溶液をエバポレータで濃縮し、減圧蒸留することで、下記一般式(71)で示される含フッ素シラン化合物(A)(15.0g、収率53%)を得た。
(含フッ素シラン化合物2)
滴下ロートを備えた三口フラスコに、上記含フッ素シラン化合物1と同様にして得られるアルコール体(200.0g)と、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(70.7g)(東京化成社製)、アセトニトリル(300ml)、ジブチル錫ジラウレート(3滴)(和光純薬社製)を混合し、70℃で4時間攪拌した。得られた溶液をエバポレータで濃縮し、減圧下(2Torr)、140℃で乾燥させることにより、下記一般式(72)で示される含フッ素シラン化合物(A)(233.5g、収率98%)を得た。
(含フッ素シラン化合物3)
滴下ロートを備えた三口フラスコに、アリルアミン(19.4g)(和光純薬社製)とジイソプロピルエーテル(200ml)とを投入した。滴下ロートに、(CHNCHCH(CH)COCHの電解フッ素化によって得られる、(CFNCFCF(CF)COF(63.3g、純度50%)を入れ、0℃で徐々に滴下した。
滴下終了後、室温で1時間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液、水で反応液を洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、得られた溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮した。さらに、得られた溶液を減圧蒸留することでアリルアミド体(21.0g、収率60%)を得た。
次に得られたアリルアミド体(14.7g)とトルエン(50ml)、1、3−ジビニル−1、1、3、3−テトラメチルジシロキサン白金錯体キシレン溶液(0.3ml)(シグマアルドリッチ社製)、トリメトキシシラン(5.6g)(東京化成社製)を混合し、60℃で4時間反応させた。得られた溶液をエバポレータで濃縮し、減圧蒸留することで、下記一般式(73)で示される含フッ素シラン化合物(A)(15.1g、収率78%)を得た。
<酸化物微粒子、酸化物微粒子の分散液>
酸化物微粒子の一例として、下記(1)〜(8)を酸化物微粒子又は酸化物微粒子の分散液を用いた。
(1)平均一次粒子径が約15nmのシリカ粒子
(2)平均一次粒子径が約12nmのコロイダルシリカ粒子がIPA溶媒中に分散された分散液
(3)平均一次粒子径が約10nmのコロイダルシリカ粒子がプロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒中に分散された分散液
(4)平均一次粒子径が約20nmのジルコニア粒子がプロピレングリコールモノメチルエーテル中に分散された分散液
(5)平均一次粒子径が10nmのチタニア粒子がエタノール中に分散された分散液
(6)平均一次粒子径が約30nmのITO粒子がエタノール中に分散された分散液
(7)平均一次粒子径が約20nmのATO粒子がプロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒中に分散された分散液
(8)平均一次粒子径が約100nmのコロイダルシリカ粒子がIPA溶媒中に分散された分散液
(ケイ素アルコキシドの加水分解物)
被膜形成用組成物のうち、ケイ素アルコキシドの加水分解物を下記に示す方法によって調整した。
具体的には、先ず、ケイ素アルコキシドとして、テトラエトキシシラン(TEOS)を用意し、セパラブルフラスコに投入した。このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、1質量部に対して、1.0質量部となる量のエタノールを有機溶媒として添加し、30℃の温度で15分撹拌することにより、第1液を調製した。
また、この第1液とは別に、ケイ素アルコキシド1質量部に対して1.0質量部となる量のイオン交換水と、0.01質量部となる量の硝酸とを無機酸としてビーカー内に投入して混合し、30℃の温度で15分間撹拌することにより第2液を調製した。
次に、調製した上記第1液を、ウォーターバスにて55℃の温度に保持し、この第1液に上記第2液を添加し、上記温度を保持した状態で60分間撹拌した。これにより、SiO換算で固形分10質量%の、ケイ素アルコキシドの加水分解物(C)(平均分子量:4×10)を得た。
また、同様にして、SiO換算で固形分10質量%の、異なる平均分子量のケイ素アルコキシドの加水分解物(C)(平均分子量:1×10,2×10)をそれぞれ調整した。
(実施例1)
有機溶媒として、エタノールを47.0g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上述した合成例2に記載の式(72)に示す化合物を0.7g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるIPA分散液を1.3gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×10)を1.0g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(実施例2)
有機溶媒として、IPAを41.3g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上述の合成例1に記載した一般式(71)に示す化合物を0.5g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が10nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を3.3gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×10)を4.9g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(実施例3)
有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルを42.2g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上記式(73)に示す化合物を0.3g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が20nmのジルコニア粒子が固形分40質量%で含まれるプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を1.5gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×10)を6.0g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(実施例4)
有機溶媒として、エタノールを41.8g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上述した合成例1に記載の式(71)に示す化合物を0.2g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が10nmのチタニア粒子が固形分10質量%で含まれるエタノール分散液を5.6gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×10)を2.4g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(実施例5)
有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルを46.3g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上述の合成例2に記載した一般式(72)に示す化合物を1.1g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が20nmのATO粒子が固形分20質量%で含まれるプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を1.8gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:2×10)を0.8g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(実施例6)
まず、ケイ素アルコキシドとして、テトラエトキシシラン(TEOS)を用意し、セパラブルフラスコに投入する。このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、1質量部に対して、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上記一般式(73)に示す化合物を0.5質量部となるように添加し、さらに1.1質量部となる量のエタノールを有機溶媒として添加し、30℃の温度で15分撹拌することにより、第1液を調製した。さらに、このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、1質量部となる量の酸化物微粒子(平均一次粒子径が約15nmのシリカ粒子)を添加した。表1に成分組成を示す。
また、この第1液とは別に、ケイ素アルコキシド1質量部に対して0.85質量部となる量のイオン交換水と、0.01質量部となる量の硝酸を無機酸としてビーカー内に投入して混合し、30℃の温度で15分間撹拌することにより第2液を調製した。次に、上記調製した第1液を、ウォーターバスにて60℃の温度に保持してから、この第1液に第2液を添加し、上記温度を保持した状態で60分間撹拌した。これにより、上記式(73)に示すペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素シラン化合物(A)を含む、ケイ素アルコキシドの加水分解物(C)を得た。
次に、有機溶媒として、エタノールを40g準備し、上記式(73)に示す含窒素フッ素系化合物(A)を含むケイ素アルコキシドの加水分解物(C)を10g秤量添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(実施例7)
有機溶媒として、IPAを46.4g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物(A)として、上述の合成例1に記載した一般式(71)に示す化合物を0.6g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が30nmのITO粒子が固形分20質量%で含まれるエタノール分散液を1.0gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:1×10)を2.0g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(比較例1)
有機溶媒として、エタノールを47g準備し、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるIPA分散液を1.8gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×10)を1.2g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(比較例2)
有機溶媒として、エタノールを46.9g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(71)に示す含窒素フッ素系化合物を0.1g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が100nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるエタノール分散液を1.8gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×10)を1.2g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
<評価方法>
(被膜の撥水性評価)
上記実施例1〜7及び上記比較例1〜2において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、水を付着させた際の接触角測定を行い、撥水性を評価した。なお、被処理物(基材)にはスライドガラスを用い、上記被膜形成用組成物をスピンコート法により塗布し、得られた膜を120℃で30分焼成させることにより、評価用部材を得た。また、接触角測定は、協和界面科学社製、DM−700型接触角計を用い、水の液滴量は2μlとし、表面処理部材上の任意5点で静的接触角を測定し、その平均値を算出した。評価結果を表2に表わす。
(被膜の透明性評価)
上記実施例1〜7及び上記比較例1〜2において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、透過率及びヘイズの測定を行い、透明性を評価した。
「透過率」
評価部材を上記撥水性評価部材と同様にして調整し、日立ハイテク社製の分光光度計U−4100を用いて、評価部材(基材を含む被膜)の透過率を240〜2600nmの範囲で測定した。透過率については、可視光範囲である550nmでの値を確認した。評価結果を下記表2に示す。
「ヘイズ」
評価部材を上記撥水性評価部材と同様にして調整し、スガ試験機社製のヘイズメーターHZ−2を用いて、評価部材(基材を含む被膜)のヘイズ測定を行った。評価結果を下記表2に示す。なお、ヘイズは、膜の拡散透過率/全光線透過率×100であらわされる数値である。
(被膜の強度評価)
上記実施例1〜7及び上記比較例1〜2において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、密着性の測定を行い、被膜の強度を評価した。
「密着性」
評価部材を上記撥水性評価部材と同様にして調整し、粘着テープ(ニチバン社製、「セロテープ(登録商標)CT−24」)を用いて、評価部材の表面に粘着テープを接触させ、押しつけた後に引き剥がし、被膜の剥がれの程度を以下の基準に従って目視により評価した。評価結果を下記表3に示す。
◎:被膜の密着性が高く、テープ側に付着が無かった場合
○:基材の端面や角の位置でのみテープ側に付着が確認された場合
△:試験範囲の1/2以下でテープ側に付着が確認された場合
×:試験範囲のほぼ全面でテープ側に付着が確認された場合
(被膜の防汚性評価)
「油性ペンのはじき性評価」
上記実施例1〜7及び上記比較例1〜2において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、油性ペン(内田洋行社製、「マジックインキ」)を付着させた際のはじき性の評価(油性ペンのはじき性評価)を行い、被膜の防汚性を評価した。なお、評価部材は上記撥水性評価部材と同様にして調整し、油性ペンを用いて部材表面に長さ1cmの直線を書き、そのはじきやすさを以下の基準に従って目視により評価した。評価結果を下記表3に示す。
○:はじきが見られる
△:部分的にはじく
×:全くはじかない
(被膜の表面粗さ(高低差))
評価部材を上記撥水撥油性評価部材と同様にして調整し、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー製「Nanocute」)を用いて、評価部材表面の凹凸形状を測定した。表面処理部材上の任意5点で高低差を測定し、その平均面粗さ(Ra)を算出した。算出結果を下記表2に示す。
表2及び表3に示すように、本発明の被膜形成用組成物(実施例1〜7)を用いて形成した被膜は、炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を含有しないにもかかわらず、優れた水の静的接触角(130°以上)、平均面粗さ(Ra)および油性ペンのはじき性(評価:○)を示していることから、優れた特性(高い撥水性及び優れた防汚性)を有していることがわかった。
ここで、本発明の被膜形成用組成物を用いて形成した被膜は、粒子1個〜いくつかの凝集単位の範囲内であることが望ましいと推察される。具体的には、本発明の被膜形成用組成物を用いて形成した被膜における平均表面粗さ(Ra)が、0.05〜0.4μmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.35μmの範囲であることがより好ましい。
なお、粒子径15nm程度の粒子が、上記凝集単位の範囲内で凝集体となり、(約50nm程度の凝集体となる。)当該凝集体が作る高低差が200nm程度であるとき、膜の透過率も高い状態が維持されるとともに、撥水性も高い値となることがわかった。
また、本発明の被膜形成用組成物(実施例1〜7)を用いて形成した被膜は、被膜形成用組成物中にケイ素アルコキシドの加水分解物を含んでいるため、優れた透明性(透過率及びヘイズ)と優れた膜強度(密着性)を有していることがわかった。
これに対して、比較例1の被膜形成用組成物を用いて形成した被膜では、透明性及び密着性には優れていることがわかった。しかしながら、被膜形成用組成物中にペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物を含まないため、水の静的接触角が9°であり撥油性が低く、油性ペンのはじき性の評価も「×」であることがわかった。
また、比較例2の被膜形成用組成物は、(B)成分である酸化物微粒子の粒径が100nmであり、50nmを超えている。このため、形成した被膜の評価において、撥水性及び撥油性のいずれも中程度であった。これにより、形成した被膜の防汚性の評価において、油性ペンのはじき性が「△」となり、防汚性が十分でないことがわかった。また、透明性の評価においても、「透過率」が低く、同時に「ヘイズ」が高いため、透明性が十分でないことがかわった。
本発明の被膜形成用組成物は、防汚性、耐指紋性、撥水撥油性、離型性、耐湿性、耐水性、潤滑性、耐熱性等の各種特性を付与するコーティング剤や、耐熱性付与する塗料の添加剤等の表面処理剤などの広範な用途において有用である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、
    平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、
    ケイ素アルコキシドの加水分解物と、
    有機溶媒と、を含む、被膜形成用組成物。
    上記式(1)中、m及びnは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数である。また、Rfは、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
    また、上記式(1)中、Xは、2価の有機基である連結基である。
    さらに、上記式(1)中、Rは低級アルキル基またはフェニル基、Zは加水分解性基である(ただし、aは0〜2の整数)。
  2. 前記加水分解性基Zが、アルコキシ基である、請求項1に記載の被膜形成用組成物。
  3. 前記ケイ素アルコキシドの加水分解物の平均分子量が、5×10以上4×10以下である、請求項1又は2に記載の被膜形成用組成物。
  4. 前記酸化物微粒子が、シリカ、ITO、及び、In、Sn、Zn、Ti又はWの酸化物から選ばれた群のうち、1種又は2種以上の混合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の被膜形成用組成物。
  5. 請求項1に記載の皮膜形成用組成物の製造方法であって、
    ケイ素アルコキシドから当該ケイ素アルコキシドの加水分解物を生成した後、
    上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物を含む第1の有機溶媒に、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子を分散させた第2の有機溶媒と、生成した前記ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を添加して混合する、被膜形成用組成物の製造方法。
  6. 請求項1に記載の皮膜形成用組成物の製造方法であって、
    有機溶媒に、ケイ素アルコキシドと、上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、を同時に添加して混合した後、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子を添加する、被膜形成用組成物の製造方法。
  7. 上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造を有する含フッ素シラン化合物と、
    平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、
    ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を含む、被膜。
  8. 当該被膜の表面を原子間力顕微鏡によって測定して得られた平均面粗さ(Ra)が、0.01〜0.5μmの範囲である、請求項7に記載の被膜。
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