JP2017168856A - 保護膜形成用フィルム - Google Patents

保護膜形成用フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2017168856A
JP2017168856A JP2017092337A JP2017092337A JP2017168856A JP 2017168856 A JP2017168856 A JP 2017168856A JP 2017092337 A JP2017092337 A JP 2017092337A JP 2017092337 A JP2017092337 A JP 2017092337A JP 2017168856 A JP2017168856 A JP 2017168856A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
protective film
forming
component
semiconductor wafer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017092337A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6666875B2 (ja
Inventor
田 完 二
Yutaka Nita
田 完 二
藤 和 也 佐
Kazuya Sato
藤 和 也 佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Holdings Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Ink Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Ink Mfg Co Ltd filed Critical Taiyo Ink Mfg Co Ltd
Publication of JP2017168856A publication Critical patent/JP2017168856A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6666875B2 publication Critical patent/JP6666875B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/58Structural electrical arrangements for semiconductor devices not otherwise provided for, e.g. in combination with batteries
    • H01L23/60Protection against electrostatic charges or discharges, e.g. Faraday shields
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/28Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/562Protection against mechanical damage

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Dicing (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】表面保護フィルムを剥離する工程を経てチップをピックアップした場合であっても、表面保護フィルムの種類によらず、半導体チップが静電破壊されるのを抑制でき、品質信頼性の高い半導体チップを得ることができる保護膜形成用フィルムを提供する。
【解決手段】保護膜形成用フィルムは、半導体ウエハの回路形成面の裏面に設けられる保護膜を形成するためのフィルムであって、半導体ウエハおよび前記フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率が下記式(1):|ε−ε|≦9(式中、εは測定周波数10Hzにおける半導体ウエハの比誘電率を示し、εは測定周波数10Hzにおける保護膜形成用フィルムの比誘電率を示す。)を満足することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハの回路形成面の裏面に設けられる保護膜を形成するためのフィルムに関し、特に、いわゆるフェースダウン方式で実装される半導体チップの製造に用いられる保護膜形成用フィルムに関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプなどの電極を有する半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう。)が用いられ、該電極が基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の面(チップ裏面)は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなったチップ裏面は、有機膜により保護されることがある。従来、この有機膜からなる保護膜を有するチップは、液状の樹脂をスピンコート法によりウエハ裏面に塗布し、乾燥し、硬化してウエハとともに保護膜を切断して得られていた。しかしながら、このようにして形成される保護膜の厚み精度は充分でないため、製品の歩留まりが低下することがあった。
熱またはエネルギー線硬化性成分を含む硬化性保護膜形成層を有するチップ用保護膜形成用フィルムが開示されている(特許文献1)。また、裏側保護フィルムで保護したチップをダイシングテープからピックアップすると静電破壊が発生し、歩留まりが低下する課題があり、裏側保護フィルムを帯電防止処理する方法が開示されている(特許文献2および3等)。
特開2004−214288号公報 特開2014−133858号公報 特開2014−135469号公報
ところで、フェースダウン方式によるチップの実装においては、ダイシング工程前に半導体ウエハの回路形成面の裏側を研磨して薄板化することが行われることがあり、この場合、研磨工程前に回路形成面を保護するため一時的に表面保護フィルム(バックグラウンドフィルムともいう。)をウエハの回路形成面に設け、ダイシングの際に表面保護フィルムを剥離することが行われている。使用する表面保護フィルムの種類によっては、後工程で剥離する際に半導体ウエハが帯電し、ダイシング後のチップのピックアップによりさらに帯電して、チップが静電破壊される恐れがあることが分かった。
したがって、本発明の目的は、フェースダウン方式による半導体チップの実装において、表面保護フィルムを剥離する工程を経てチップをピックアップした場合であっても、半導体チップが静電破壊されるのを抑制でき、その結果、品質信頼性の高い半導体チップを得ることができる保護膜形成用フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率を、半導体ウエハの測定周波数10Hzにおける比誘電率と所定の範囲内とすれば、表面保護フィルムを剥離する工程を経てチップをピックアップした場合であっても、チップが静電破壊されるのを抑制でき、その結果、チップの品質信頼性を向上させることができるとの知見を得た。本発明によれば、以下の保護膜形成用フィルムが提供される。
本発明による保護膜形成用フィルムは、半導体ウエハの回路形成面の裏面に設けられる保護膜を形成するためのフィルムであって、
前記半導体ウエハおよび前記フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率が下記式(1):
|ε−ε|≦9 (1)
(式中、εは測定周波数10Hzにおける半導体ウエハの比誘電率を示し、εは測定周波数10Hzにおける保護膜形成用フィルムの比誘電率を示す。)
を満足することを特徴とするものである。
本発明の態様においては、前記半導体ウエハがシリコンウエハであってもよい。
本発明の態様においては、前記保護膜形成用フィルムが、前記半導体ウエハの回路形成面の裏面に直接接触して設けられるものであってもよい。
本発明の態様においては、前記保護膜形成用フィルムが、剥離可能な支持体をさらに備えていてもよい。
本発明によれば、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率を、半導体ウエハの測定周波数10Hzにおける比誘電率と所定の範囲内とすることにより、表面保護フィルムを剥離する工程を経てチップをピックアップした場合であっても、表面保護フィルムの種類によらず、半導体チップが静電破壊されるのを抑制でき、その結果、品質信頼性の高い半導体チップを得ることができる。
[保護膜形成用フィルム]
本発明による保護膜形成用フィルムについて説明する。本発明による保護膜形成用フィルムは、半導体ウエハの回路形成面の裏面に設けられる保護膜を形成するためのフィルムであって、前記半導体ウエハおよび前記フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率が下記式(1):
|ε−ε|≦9 (1)
(式中、εは測定周波数10Hzにおける半導体ウエハの比誘電率を示し、εは測定周波数10Hzにおける保護膜形成用フィルムの比誘電率を示す。)
を満足することを特徴とするものである。ダイシングを行った後に半導体チップをピックアップする際に発生する静電気によるチップの静電破壊を防ぐために、これまでにも、特許文献2および3等に提案されているようにダイシングテープと半導体チップとの間に、カチオン型帯電防止剤や導電性物質を含む粘着剤層を設けることが行われていた。しかしながら、上記したように半導体チップの製造においては、半導体ウエハの研磨工程前に回路形成面に設けた表面保護フィルムを剥離してからダイシング工程が行われるが、その表面保護フィルムを剥離する際の影響については、今まで考慮されていなかった。そこで、本発明においては、表面保護テープ剥離前に設けられる半導体ウエハの回路形成面の裏面の保護膜を所定の比誘電率を有する材料で形成することにより、表面保護フィルムを剥離する工程を経てチップをピックアップした場合であっても、表面保護フィルムの種類によらず、半導体チップが静電破壊されるのを抑制でき、その結果、品質信頼性の高い半導体チップを得ることができるものである。
本発明においては、剥離する際に発生する静電気が、一般的に測定対象物の界面分極が反映される周波数10Hz程度の低周波数域での、半導体ウエハおよび保護膜形成用フィルムの比誘電率差と関係があることを見出したものであり、両者が上記式(1)の関係を満たすような保護膜形成用フィルムとすることにより、表面保護フィルムの種類によらず、半導体チップが静電破壊されるのを抑制することができる。ここで、本明細書において「比誘電率」とは、測定対象物の片面にドーナツ状ガード電極を外周に有する38mmφの銀ペースト電極を形成し、反対面には前面の電極と対向する位置に、より面積が大きい電極を形成し、測定環境23℃、50%RHに試料を一日放置した後、LCRメーター(例えば、日置電機製 LCRメーター IM3536)を用いて試験電圧(信号電圧)0.5V、測定周波数10Hzで、比誘電率を256回連続して測定し、その平均した値を意味するものとする。測定周波数10Hzでの比誘電率をより正確に測定するために、試料をコンデンサ形状に形成して測定する平行平板法により行うことが好ましい。
上記した界面分極は、誘電体が複数の異なる成分からなる不均一分散体である場合、その不均一部分の界面(即ち、異種物質の境界面)に電荷が蓄積する現象であり、特に、1×10Hz以下の低周波数域で観測される現象である。また、比誘電率とは、媒質の誘電率(ε)と真空の誘電率(ε)との比(ε)であり、媒質の誘電率(ε)は、媒質の誘電分極の仕方によって定まる媒質固有の物性値であるが、比誘電率は媒質によっては測定周波数に依存する場合がある。このような低周波数域での保護膜形成用フィルムの比誘電率を、半導体ウエハの比誘電率に近づけることによって、半導体ウエハから保護膜形成用フィルムを剥離する際に発生する静電気(剥離耐電圧)を低減できることは、予想外のことであった。
本発明において、半導体ウエハおよび保護膜形成用フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率の差の絶対値が9を超えると、半導体チップをピックアップする際などに発生する静電気によって半導体チップが静電破壊されてしまうのを有効に防止できない。好ましい比誘電率差の絶対値は8.9以下であり、より好ましくは8.8以下、さらに好ましくは8.7である。
保護膜形成用フィルムを使用する半導体ウエハとしては、特に制限されるものではなく、半導体材料として公知のウエハを使用することができる。例えば、シリコンウエハ、GaAsウエハ、SiCウエハ、GaNウエハ等の種々の半導体ウエハが挙げられるが、汎用性が高いシリコンウエハであることが好ましい。
以下、上記した式(1)を満足する保護膜形成用フィルムを構成する各成分について詳述する。半導体チップの保護膜形成用フィルムに要求される特性として、少なくとも(i)フィルム(ないしシート)形状を維持できること、(ii)初期粘着性があり、研磨された半導体裏面に密着させることができること、さらに(iii)保護膜形成用フィルムを半導体チップ裏面に密着させた後に硬化して保護膜を形成できること、が要求される。これらの要求を満たすため、保護膜形成用フィルムを構成する成分としては、フィルム性付与ポリマー成分または反応性のフィルム付与性ポリマー成分、硬化性成分、硬化促進成分、無機フィラー成分、着色剤成分、カップリング剤成分等が挙げられるが、これら成分に限定されるものではなく、半導体チップ用途に応じて適宜成分を補充等することができる。
一方、半導体ウエハおよび保護膜形成用フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率の差の絶対値が9以下とするために、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)を調整する必要がある。保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)は、後記する各成分の種類や配合量を適宜調整することにより、所望の範囲とすることができる。例えば、後記するポリマー成分や硬化性成分等のような有機材料成分の測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)が、半導体ウエハの測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)よりもかなり小さな値であり、|ε−ε|>9となってしまう場合であっても、無機フィラー等の有機材料成分には溶解しない成分の種類や形状、サイズ、その配合量などを調整することにより、半導体ウエハおよび保護膜形成用フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率の差の絶対値(|ε−ε|)を9以下とすることができる。また、有機材料成分の測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)が、および有機材料成分には溶解しない成分の測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)のいずれもが、|ε−ε|≦9、および|ε−ε|≦9を満たすような材料選択を行うことにより、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率(ε)を、|ε−ε|≦9を満たすように調整することが容易となる。
<フィルム性付与ポリマー成分>
本発明による保護膜形成用フィルムは、半導体裏面の保護膜として機能するためにフィルム(ないしシート)形状を維持できる成分が含まれていることが必要である。なお、本明細書において、フィルム性付与ポリマー成分は、後記する反応性のフィルム付与性ポリマー成分と区別するため、反応性官能基を有していないポリマー成分を意味するものとする。このようなフィルム性付与ポリマー成分としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂またはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリマーは1種を単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。フィルム(ないしシート)形状を維持できるためには、これらポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常、2×10以上であり、2×10〜3×10であることが好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により、下記測定装置、測定条件にて測定できる。
測定装置:Waters製「Waters 2695」
検出器:Waters製「Waters2414」、RI(示差屈折率計)
カラム:Waters製「HSPgel Column,HR MB−L,3μm,6mm×150mm」×2+Waters製「HSPgel Column,HR1.3μm,6mm×150mm」×2
測定条件:
カラム温度:40℃
RI検出器設定温度:35℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/分
サンプル量:10μl
サンプル濃度:0.7wt%
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドでアセタール化することで得られる。上記アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。
フェノキシ樹脂の具体例としては東都化成社製FX280、FX293、三菱化学社製YX8100、YL6954、YL6974等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、積水化学工業社製エスレックKSシリーズ、ポリアミド樹脂としては日立化成社製KS5000シリーズ、日本化薬社製BPシリーズ、
ポリアミドイミド樹脂としては日立化成社製KS9000シリーズ等が挙げられる。
熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、フルオレン骨格を有する場合、高いガラス転移点を有し耐熱性に優れるため、半固形または固形エポキシ樹脂による低い熱膨張率を維持すると共にそのガラス転移点を維持し、得られる硬化皮膜は低い熱膨張率と高いガラス転移点をバランス良く併せ有するものとなる。また、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は水酸基を有するため、半導体ウエハに対して良好な密着性を示す。
フィルム性付与ポリマー成分は、上記した成分を構成するモノマーがブロック共重合したものであってもよい。ブロック共重合体とは、性質の異なる二種類以上のポリマーが、共有結合で繋がり長い連鎖になった分子構造の共重合体のことである。ブロック共重合体としてはX−Y−X型またはX−Y−X’型ブロック共重合体が好ましい。X−Y−X型およびX−Y−X’型ブロック共重合体のうち、中央のYがソフトブロックでありガラス転移温度(Tg)が低く、その両外側AまたはX’がハードブロックでありガラス転移温度(Tg)が中央のYブロックよりも高いポリマー単位により構成されているものが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
また、X−Y−X型およびX−Y−X’型ブロック共重合体のうち、XまたはX’が、Tgが50℃以上のポリマー単位からなり、Bのガラス転移温度(Tg)が、XまたはX’のTg以下であるポリマー単位からなるブロック共重合体がさらに好ましい。また、X−Y−X型およびX−Y−X’型ブロック共重合体のうち、XまたはX’が、後記する硬化性成分との相溶性が高いものが好ましく、Yが硬化性成分との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックス(硬化性成分)に相溶であり、中央のブロックがマトリックス(硬化性成分)に不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
上記した種々のポリマーのなかでも、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体が好ましい。
保護膜形成用フィルムを構成する全成分占めるフィルム性付与ポリマー成分の割合は、特に限定されるものではなく、全成分の合計を100質量部としたときに10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜45質量部である。
<反応性フィルム性付与ポリマー成分>
保護膜形成用フィルムを構成する成分として、後記する硬化性成分と反応し得るフィルム性付与ポリマー成分が含まれていてもよい。このような反応性フィルム性付与ポリマーとしては、カルボキシル基含有樹脂またはフェノール樹脂を用いると好ましい。特に、カルボキシル基含有樹脂を用いると、硬化性成分としてエポキシ樹脂が含まれる場合にエポキシ樹脂と反応し易く、フィルム形成性を付与しつつ半導体保護膜としての特性が向上するため好ましい。
カルボキシル基含有樹脂としては、以下の(1)〜(7)の樹脂を好適に使用することができる。
(1)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基を含有する、ジアルコール化合物、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂、
(2)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂、
(3)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂、
(4)2官能エポキシ樹脂または2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、
(5)エポキシ樹脂またはオキセタン樹脂を開環させ、生成した水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
(6)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちポリフェノール化合物を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドと反応させて得られるポリアルコール樹脂等の反応生成物に、多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、および
(7)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちポリフェノール化合物を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドと反応させて得られるポリアルコール樹脂等の反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に、更に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
等の樹脂を好適に使用することができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を意味する。
上記した樹脂のなかで、上記(1)、(2)、(6)および(7)は塩素を含有していないことから、非感光性カルボキシル基含有樹脂として使用することができる。これらの中でも(6)および(7)の樹脂が全ての特性におけるバランスがよいことから好ましい。
反応性フィルム性付与ポリマーの重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的には2×10〜1.5×10の範囲であることが好ましく、より好ましくは3×10〜1×10の範囲であるが、これら範囲に限定されるものではない。
保護膜形成用フィルムを構成する全成分占める反応性フィルム性付与ポリマー成分の割合は、特に限定されるものではなく、例えば上記したフィルム性付与ポリマー100質量部のうち20〜60質量部を反応性フィルム性付与ポリマーに置き換えることが好ましい。
<硬化性成分>
硬化性成分としては、熱により硬化する成分および紫外線や電子線等の電離放射線により硬化する成分のいずれを用いてもよいが、熱により硬化する成分であることが好ましい。以下、熱硬化性成分について説明するが、電離放射線により硬化する成分を排除することを意図するものではない。
熱硬化性成分として、特に制限なく従来公知の樹脂を用いることができるが、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂には反応前の形状から固形、半固形、液状のエポキシ樹脂がある。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
固形エポキシ樹脂としては、DIC社製HP−4700(ナフタレン型エポキシ樹脂)、DIC社製EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬社製NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000L等のビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN660、エピクロンN690、日本化薬社製EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製YX−4000等のビフェニル型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製TX0712等のリン含有エポキシ樹脂;日産化学工業社製TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
半固形エポキシ樹脂としては、DIC社製エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ社製アラルダイトAER280、東都化成社製エポトートYD−134、三菱化学社製jER834、jER872、住友化学工業社製ELA−134等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記した硬化性成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化性成分の配合量は、フィルム性付与ポリマーと反応性のフィルム性付与ポリマーの合計を100重量部としたとき、10〜50重量部であることが好ましく、20〜40重量部であることがより好ましく、20〜35質量部がさらにより好ましい。また、液状エポキシ樹脂を配合すると、硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下し、クラック耐性が悪くなる場合があるため、液状エポキシ樹脂の配合量は、硬化性成分全体に対して、0〜45重量部であることが好ましく、0〜30重量部であることがより好ましく、0〜5重量部であることが特に好ましい。
<硬化剤成分>
本発明による保護膜形成用フィルムを構成する成分として、硬化剤成分が含まれていてもよい。硬化剤成分は、上記した硬化性成分と反応する官能基を有するものである。このような硬化剤成分としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂等が挙げられ、これらのうち1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
シアネートエステル樹脂は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物である。シアネートエステル樹脂は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
活性エステル樹脂は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂である。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
硬化剤成分として、上記した以外にも脂環式オレフィン重合体を用いることができる。好適に使用できる脂環式オレフィン重合体としては、(1)カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基(以下、「カルボキシル基等」と称する)を有する脂環式オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合したもの、(2)カルボキシル基等を有する芳香族オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合して得られる(共)重合体の芳香環部分を水素化したもの、(3)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合したもの、(4)カルボキシル基等を有しない芳香族オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合して得られる共重合体の芳香環部分を水素化したもの、(5)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィン重合体にカルボキシル基等を有する化合物を変性反応により導入したもの、または(6)前記(1)〜(5)のようにして得られるカルボン酸エステル基を有する脂環式オレフィン重合体のカルボン酸エステル基を、例えば加水分解等によりカルボキシル基に変換したもの等が挙げられる。
上記した硬化剤成分のなかでも、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂、脂環式オレフィン重合体が好ましい。特に、極性が高く、比誘電率を調整しやすいことより、フェノール樹脂を用いることがより好ましい。
硬化剤成分は、硬化性成分のエポキシ基等の官能基(硬化反応可能な官能基)と、当該官能基と反応し得る硬化剤成分の官能基との割合(硬化剤成分の官能基の数/硬化性成分の官能基の数:当量比)が0.2〜5となるような割合で含まれることが好ましい。当量比を上記の範囲とすることにより、より一層、保護特性に優れた保護膜形成用フィルムを得ることができる。
<硬化促進剤成分>
本発明による保護膜形成用フィルムを構成する成分として、硬化促進剤成分が含まれていてもよい。硬化促進剤成分は硬化性成分の硬化反応を促進させるものであり、保護膜の半導体ウエハへの密着性および耐熱性をより一層向上させることができる。硬化促進剤成分としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられ、これら1種を単独または2種以上混合して用いることができる。
硬化促進剤成分は必須ではないが、特に硬化反応を促進したい場合には、上記した硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部の範囲で用いることができる。硬化促進剤成分として金属触媒を使用する場合、その含有量は、硬化性成分100質量部に対して金属換算で10〜550ppmが好ましく、25〜200ppmが好ましい。
<無機フィラー成分>
本発明による保護膜形成用フィルムには、無機フィラー成分が含まれていてもよい。無機フィラー成分が含有されることによりダイシング時の半導体チップの保護が容易となる。また、保護膜にレーザーマーキングを施すことにより、レーザー光により削り取られた部分に無機フィラー成分が露出して、反射光が拡散するために白色に近い色を呈する。これにより、保護膜形成用フィルムが後述する着色剤成分を含有する場合、レーザーマーキング部分と他の部分とでコントラスト差が得られ、マーキング(印字)が明瞭になるという効果がある。
上記した無機フィラーは、保護膜形成用フィルムを構成する上記したような有機材料成分には溶解はせず、該有機材料成分中に分散する。そのため、有機材料成分と溶解しない成分との界面の存在により、界面分極が生じる。保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率は、界面分極を制御することにより調整することができるが、有機材料成分および該有機材料成分には溶解しない成分(例えば無機フィラー成分)の両方を、半導体ウエハの測定周波数10Hzにおける比誘電率に近いものから選択することによって、保護膜形成用フィルムの比誘電率を所定の範囲内に調整し易くなる。
無機フィラー成分としては、従来公知のものを制限なく使用することができ、例えばシリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。但し、無機フィラー成分等のように有機材料成分には溶解しない成分が保護膜形成用フィルムに含まれる場合、溶解しない成分の種類が増えると、測定周波数10Hzにおける比誘電率が大きくなる場合がある。有機材料成分に溶解しない成分の種類のみによって保護膜形成用フィルムの比誘電率が一義的に決まるものではないが、溶解しない成分の種類は少ない方が好ましく、5種類以内の成分とすることが好ましく、3種類以内とすることがより好ましい。上記した無機フィラー成分の中でも、フィルムの中の比誘電率を制御するためにシリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましい。
無機フィラー成分は有機材料成分には溶解はせずに分散して、不均一な分散状態となっている。測定周波数10Hzにおける、半導体ウエハと保護膜形成用フィルムとの比誘電率差が9以下となるようにするためには、有機材料成分と無機フィラー成分との界面を小さくし、界面分極の影響を限定的とすると比誘電率が制御しやすくなるため好ましい。したがって、同一の平均粒子径を有する無機フィラーであれば、粒子形状は不定形のものよりも球形に近いものの方が好ましい。また、保護膜形成用フィルムに有機材料成分と無機フィラー成分とが含まれる場合は、無機フィラーの平均粒子径やその配合量等によって、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率を調整することができる。
無機フィラー成分は、平均粒子径は、好ましくは0.01〜15μm、より好ましくは0.02〜12μm、特に好ましくは0.03〜10μmのものを使用することが好ましい。なお、本明細書中、平均粒子径は、電子顕微鏡で無作為に選んだ無機フィラー20個の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径とする。
無機フィラー成分の含有量は、保護膜形成用フィルムを構成する不揮発性である全有物機成分100質量部に対して、好ましくは10〜400質量部、より好ましくは30〜350質量部、特に好ましくは60〜300質量部である。
また、無機フィラー成分等の有機材料成分には溶解しない成分が保護膜形成用フィルムに含まれる場合、無機フィラー成分と有機材料成分との界面での界面分極の影響を限定的とし比誘電率を制御しやすくする観点から、無機フィラー成分の表面積は小さい方が好ましい。例えば、無機フィラー成分が保護膜形成用フィルム中に20質量%以上の割合で含まれる場合、比表面積が10m/g以下であるような無機フィラー成分を選択することにより、界面分極を調整しやすくなる。
一方、無機フィラー成分等の有機材料成分には溶解しない成分の比表面積が10m/gを超える場合、このような成分が有機材料成分中に分散した状態であると、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率が大きく変化することがある。したがって、比表面積が10m/gを超えるような無機フィラー成分等は、保護膜形成用フィルム中に10質量%以下の割合で含まれていることが好ましい。また、有機材料成分には溶解しない成分の比表面積の大きさによって、当該成分の保護膜形成用フィルム中の配合量を適宜調整し、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率を所望の値とすることができる。
<着色剤成分>
本発明による保護膜形成用フィルムには、着色剤成分が含まれていてもよい。着色剤成分が含まれることにより、保護膜を備えた半導体チップを機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等による半導体装置の誤作動を防止することができる。また、レーザーマーキング等の手段により保護膜に刻印を行った場合に、文字、記号等のマークが認識しやすくなる。すなわち、保護膜が形成された半導体チップでは、保護膜の表面に品番等が通常レーザーマーキング法(レーザー光により保護膜表面を削り取り印字を行う方法)により印字されるが、保護膜が着色剤を含有することで、保護膜のレーザー光により削り取られた部分とそうでない部分のコントラスト差が充分に得られ、視認性が向上する。
着色剤成分として、有機または無機の顔料および染料を1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、ペリレンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の誤作動防止の観点からはカーボンブラックが特に好ましい。また、カーボンブラックに代えて、赤、青、緑、黄色などの顔料または染料を混合し、黒色またはそれに近い黒色系の色とすることもできる。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。Pigment Red 1, 2, 3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等のモノアゾ系赤色着色剤、PigmentRed37,38,41等のジスアゾ系赤色着色剤、PigmentRed48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等のモノアゾレーキ系赤色着色剤、PigmentRed171、PigmentRed175、PigmentRed176、PigmentRed185、PigmentRed208等のベンズイミダゾロン系赤色着色剤、SolventRed135、SolventRed179、PigmentRed123、PigmentRed149、PigmentRed166、PigmentRed178、PigmentRed179、PigmentRed190、PigmentRed194、PigmentRed224等のぺリレン系赤色着色剤、PigmentRed254、PigmentRed255、PigmentRed264、PigmentRed270、PigmentRed272等のジケトピロロピロール系赤色着色剤、PigmentRed220、PigmentRed144、PigmentRed166、PigmentRed214、PigmentRed220、PigmentRed221、PigmentRed242等の縮合アゾ系赤色着色剤、PigmentRed168、PigmentRed177、PigmentRed216、SolventRed149、SolventRed150、SolventRed52、SolventRed207等のアンスラキノン系赤色着色剤、PigmentRed122、PigmentRed202、PigmentRed206、PigmentRed207、PigmentRed209等のキナクリドン系赤色着色剤が挙げられる。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には:PigmentBlue15、PigmentBlue15:1、PigmentBlue15:2、PigmentBlue15:3、PigmentBlue15:4、PigmentBlue15:6、PigmentBlue16、PigmentBlue60等が挙げられる。染料系としては、SolventBlue35、SolventBlue63、SolventBlue68、SolventBlue70、SolventBlue83、SolventBlue87、SolventBlue94、SolventBlue97、SolventBlue122、SolventBlue136、SolventBlue67、SolventBlue70等を使用することができる。また、これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系などがあり、具体的にはPigmentGreen7、PigmentGreen36、SolventGreen3、SolventGreen5、SolventGreen20、SolventGreen28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。SolventYellow163、PigmentYellow24、PigmentYellow108、PigmentYellow193、PigmentYellow147、PigmentYellow199、PigmentYellow202等のアントラキノン系黄色着色剤、PigmentYellow110、PigmentYellow109、PigmentYellow139、PigmentYellow179、PigmentYellow185等のイソインドリノン系黄色着色剤、PigmentYellow93、PigmentYellow94、PigmentYellow95、PigmentYellow128、PigmentYellow155、PigmentYellow166、PigmentYellow180等の縮合アゾ系黄色着色剤、PigmentYellow120、PigmentYellow151、PigmentYellow154、PigmentYellow156、PigmentYellow175、PigmentYellow181等のベンズイミダゾロン系黄色着色剤、PigmentYellow1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等のモノアゾ系黄色着色剤、PigmentYellow12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等のジスアゾ系黄色着色剤等を使用することができる。
また、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。具体的に例示すれば、PigmentViolet19、23、29、32、36、38、42、SolventViolet13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
上記の着色剤成分においても、顔料などは、有機材料成分には溶解はせずに分散して、不均一な分散状態となっている。したがって、無機フィラー成分と同様に、着色剤成分の種類や配合量だけでなく、着色剤成分の形状や比表面積によっても、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率を制御することができる。
着色剤成分は、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜35質量部、さらに好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜15質量部の割合で含有される。
<カップリング剤成分>
保護膜形成用フィルムの被着体(半導体ウエハ)に対する接着性、密着性および/または保護膜の凝集性を向上させるため、無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤成分が含まれていてもよい。また、カップリング剤成分が含まれることにより、保護膜形成用フィルムを硬化して得られる保護膜の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上させることができる。このようなカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのうちでも、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤に含有される有機基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、ポリスルフィド基、イソシアネート基などが挙げられる。シランカップリング剤として市販されているものを使用することができ、例えば、KA−1003、KBM−1003、KBE−1003、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−6123、KBE−585、KBM−703、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007(いずれも商品名;信越シリコーン社製)などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<その他の成分>
本発明による保護膜形成用フィルムには、上記した成分以外に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤、剥離剤などが挙げられる。
保護膜形成用フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜250μm、特に好ましくは7〜200μmである。
本発明による保護膜形成用フィルムは、初期接着性と熱硬化性とを有し、未硬化状態では半導体ウエハやチップ等に押圧することで容易に接着する。また押圧する際に保護膜形成用フィルムに対して、加熱および加圧の何れかの手段を実施してもよい。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い保護膜を形成することができる。本発明による保護膜形成用フィルムを用いて形成された保護膜は、接着強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な保護機能を保持し得る。なお、保護膜形成用フィルムは単層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
本発明による保護膜形成用フィルムは、可視光線および/または赤外線と紫外線の透過性を示す尺度である、波長300〜1200nmにおける最大透過率は20%以下であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0%を超え10%以下であることがさらに好ましく、0.001〜8%であることが特に好ましい。波長300〜1200nmにおける保護膜形成用フィルムの最大透過率を上記範囲とすることで、可視光波長領域および/または赤外波長領域の透過性の低下が生じ、半導体装置の赤外線起因の誤作動の防止や、印字の視認性向上といった効果が得られる。波長300〜1200nmにおける保護膜形成用フィルムの最大透過率は、上記した着色剤成分の種類および含有量により調整できる。なお、本明細書において、保護膜形成用フィルムの最大透過率は、UV−visスペクトル検査装置((株)島津製作所製)を用いて、硬化後の保護膜形成用フィルム(厚み25μm)の300〜1200nmでの全光線透過率を測定し、透過率の最も高い値(最大透過率)をいうものとする。
[保護膜形成用フィルムの製造方法]
本発明による保護膜形成用フィルムは、上記各成分を割合で混合して得られる組成物(保護膜形成用組成物)を用いて得られるが、組成物を調製する際は、上記した式(1)を満たす比誘電率となるように各成分を配合することが必要である。保護膜形成用組成物は予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒に加えてもよい。また、保護膜形成用組成物の使用時に、溶媒で希釈してもよい。溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ヘプタンなどが挙げられる。
上記のようにして調製された保護膜形成用組成物を支持体上に塗布して製膜することにより保護膜形成用フィルムとすることができる。製膜方法としては、従来公知の方法を適用することができ、ロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどの公知の手段により保護膜形成用組成物を支持体上に塗工し、乾燥することにより保護膜形成用フィルムを得ることができる。また、保護膜形成用組成物の塗工量を調整することにより、上記したような厚みの保護膜形成用フィルムを得ることができる。
支持体としては、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の従来公知のものを好適に使用できる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムからなる離型紙用基材の片面または両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
[半導体装置の製造方法]
本発明による保護膜形成用フィルムの利用方法について、半導体装置の製造に適用した場合を一例に説明する。
先ず、半導体ウエハを準備し、一方の面に回路形成を行う。半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素(GaAs)などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。
次いで、半導体ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護フィルム(バックグラウンドフィルム)を貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護フィルム(バックグラウンドフィルム)側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は50〜500μm程度である。
続いて、必要に応じて裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
その後、半導体ウエハの裏面に、支持体付き保護膜形成用フィルムを貼着し、保護膜形成用フィルムから支持体フィルムを剥離し、半導体ウエハと保護膜形成用フィルムとの積層体を得る。この際、半導体ウエハと保護膜形成用フィルムは、剥離帯電圧の上昇を抑制するため、直接接触していることが好ましい。半導体ウエハと保護膜形成用フィルムとの間に他の層が存在する場合、他の層の比誘電率は半導体ウエハの比誘電率と保護膜形成用フィルムの比誘電率との間の値を有することが好ましい。
次いで、保護膜形成用フィルムを硬化させてウエハの全面に保護膜を形成する。具体的には、熱硬化により保護膜形成用フィルムを硬化する。この結果、ウエハ裏面に上記した樹脂組成物からなる保護膜が形成され、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するため、研磨により薄板化したウエハの取扱い時の破損を低減できる。また、ウエハやチップの裏面に直接保護膜用の塗布液を塗布・被膜化するコーティング法と比較して、保護膜の厚さの均一性に優れる。
ここでは、保護膜形成用フィルムから支持体フィルムを剥離した後に保護膜形成用フィルムを硬化させてウエハの全面に保護膜を形成する方法を例示したが、支持体の剥離工程と硬化工程の順番を逆にしてもよい。すなわち、半導体ウエハの裏面に、支持体付き保護膜形成用フィルムを貼着し、次いで保護膜形成用フィルムを硬化させてウエハの全面に保護膜を形成した後に、保護膜面から支持体フィルムを剥離してもよい。
保護膜を形成した後、保護膜にレーザー印字することが好ましい。レーザー印字はレーザーマーキング法により行われ、レーザー光の照射により保護膜の表面を削り取ることで保護膜に品番等をマーキングする。
続いて、半導体ウエハの裏面側にダイシングテープを張り付けてウエハを固定した後、ウエハを研削する際に貼着した表面保護フィルムを剥離する。この剥離の際には、剥離用テープを表面保護フィルムに熱圧着等で貼り合わせて、剥離用テープを引き上げて表面保護フィルムを剥離する方法、あらかじめ表面保護フィルムに紫外線等により粘着力を変化させることができる機能を付与しておき、紫外線照射により表面保護フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法等がある。
半導体ウエハの回路側の表面保護フィルムを剥離した後、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングする。ダイシングは、ウエハと保護膜をともに切断するように行われる。ウエハのダイシングは、ダイシングシートを用いた常法により行われる。この結果、ダイシングシート上に個片化された、裏面に保護膜を有する半導体チップ群が得られる。
最後に、裏面に保護膜を設けた半導体チップ(保護膜付チップ)をコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、保護膜付チップが得られる。そして、保護膜付チップをフェースダウン方式で所定の基台上に実装することで半導体装置を製造することができる。また、保護膜付チップを、ダイパッド部または別の半導体チップなどの他の部材上(チップ搭載部上)に接着することで、半導体装置を製造することもできる。本発明によれば、保護膜形成用フィルムの測定周波数10Hzにおける比誘電率を、半導体ウエハの測定周波数10Hzにおける比誘電率と所定の範囲内とすることにより、表面保護フィルムを剥離する工程を経てチップをピックアップした場合であっても、表面保護フィルムの種類によらず、半導体チップが静電破壊されるのを抑制でき、その結果、品質信頼性の高い半導体チップを得ることができる。なお、静電破壊されるかどうかは、剥離帯電圧を測定することにより評価することができる。
本発明における剥離帯電圧の測定方法について説明する。先ず、表面保護フィルムを貼着した半導体ウエハの裏面を研磨して所定の厚みとする。その研磨面に除電した保護膜形成用フィルムを、ハンドローラーを用いて貼り合わせる。支持体を保護膜形成用フィルムから剥離した後に所定の熱処理を行い、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜を形成する。次いで、得られた保護膜フィルム付チップの保護膜側に、あらかじめ除電しておいたダイシングテープを、ハンドローラーを用いて貼り合わせる。このようにして得られた試料を所定の時間放置した後、表面保護フィルムを試料から剥離する。その次のダイシングテープの剥離は、ダイシングテープを自動巻取り装置に固定し、剥離角度170±5°、剥離速度10mm/secとなるように行う。このときに発生する保護膜形成用フィルム側の面の電位を、保護膜形成用フィルムの表面から50mmの位置に固定してある電位測定機にて測定する。測定は、23℃、50%RHの環境下で行なうものとする。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのないかぎり、「部」とは質量部を意味するものとする。
<反応性フィルム付与ポリマーの合成>
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ビスフェノールA-ホルムアルデヒド型フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名「BPA−D」、OH当量:120)120.0g、水酸化カリウム1.20gおよびトルエン120.0gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm2で16時間反応させた。
その後、反応溶液を室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるビスフェノールA-ホルムアルデヒド型フェノール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18gおよびトルエン252.9gを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。
反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として12.6g留出した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルホスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、固形物の酸価88mgKOH/g、不揮発分71%のカルボキシル基含有樹脂を得た。これを樹脂溶液Aとする。樹脂溶液Aに含まれる反応性フィルム性付与ポリマー(カルボキシル基含有樹脂)成分の重量平均分子量は4×10であった。
なお、重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により、下記測定装置、測定条件にて測定した。
測定装置:Waters製「Waters 2695」
検出器:Waters製「Waters2414」、RI(示差屈折率計)
カラム:Waters製「HSPgel Column,HR MB−L,3μm,6mm×150mm」×2+Waters製「HSPgel Column,HR 1.3μm,6mm×150mm」×2
測定条件:
カラム温度:40℃
RI検出器設定温度:35℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/分
サンプル量:10μl
サンプル濃度:0.7wt%
<保護膜形成用フィルム1の作製>
以下の成分を、メチルエチルケトンに、溶解・分散させて、固形分質量濃度20%の保護膜形成用組成溶液1を調製した。
・フェノキシ樹脂(東都化成社製FX293) 50部
・樹脂溶液A 70.4部
・ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製NC−7000) 30部
・ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX−4000)10部
・フェノール樹脂
(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・C.I.Pigment Blue 15:3 0.8部
・C.I.Pigment Yellow 147 0.55部
・Paliogen Red K3580 1.5部
・球状シリカ(アドマテックス社製 アドマファインSO−E2)100部
・水酸化アルミニウム
(昭和電工(株)製ハイジライトH−42M) 150部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
保護膜形成用組成溶液1を表面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に塗布し、100℃で5分乾燥させて厚み20μmの保護膜形成用フィルム1を作製した。
<保護膜形成用フィルム2の作製>
以下の成分を、メチルエチルケトンに、溶解・分散させて、固形分質量濃度20%の保護膜形成用組成溶液2を調製した。
・フェノキシ樹脂(東都化成社製FX293) 50部
・樹脂溶液A 70.4部
・エポキシ樹脂(商品名エピコート1001;JER社製) 30部
・フェノール樹脂
(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・C.I.Pigment Blue 15:3 0.8部
・C.I.Pigment Yellow 147 0.55部
・Paliogen Red K3580 1.5部
・球状シリカ(アドマテックス社製 アドマファインSO−E2)300部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
保護膜形成用組成溶液2を表面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に塗布し、100℃で5分乾燥させて厚み20μmの保護膜形成用フィルム2を作製した。
<保護膜形成用フィルム3の作製>
以下の成分を、メチルエチルケトンに、溶解・分散させて、固形分質量濃度20%の保護膜形成用組成溶液3を調製した。
・フェノキシ樹脂(東都化成社製FX293) 50部
・樹脂溶液A 70.4部
・ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製NC−7000) 30部
・ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX−4000)10部
・フェノール樹脂
(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・カーボンブラック(カーボンMA−100) 10部
・球状シリカ(アドマテックス社製 アドマファインSO−E2)200部
・酸化チタン(石原産業(株)製 CR−90) 15部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
保護膜形成用組成溶液3を表面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に塗布し、100℃で5分乾燥させて厚み20μmの保護膜形成用フィルム3を作製した。
<保護膜形成用フィルム4の作製>
以下の成分を、メチルエチルケトンに、溶解・分散させて、固形分質量濃度20%の保護膜形成用組成溶液4を調製した。
・ポリスチレン樹脂(和光純薬工業 試薬グレート) 100部
・エポキシ樹脂(JER社製 エピコート1001) 30部
・フェノール樹脂
(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・水酸化アルミニウム(和光純薬工業 試薬グレート) 100部
・炭酸カルシウム
(日東粉加工業 株式会社製NITOREX#23P) 100部
・C.I.Pigment Blue 15:3 0.8部
・C.I.Pigment Yellow 147 0.55部
・Paliogen Red K3580 1.5部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
保護膜形成用組成溶液4を表面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に塗布し、80℃で5分乾燥させて厚み20μmの保護膜形成用フィルム4を作製した。
<保護膜形成用フィルム5の作製>
以下の成分を、メチルエチルケトンに、溶解・分散させて、固形分質量濃度20%の保護膜形成用組成溶液5を調製した。
・フェノキシ樹脂(東都化成社製FX293) 50部
・樹脂溶液A 70.4部
・ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製NC−7000) 30部
・ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX−4000)10部
・フェノール樹脂
(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・カーボンブラック(カーボンMA−100) 10部
・球状シリカ(アドマテックス社製 アドマファインSO−E2)200部
・沈殿法シリカ
(東ソー・シリカ(株)製 Nipsil L300) 15部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
保護膜形成用組成溶液5を表面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に塗布し、100℃で5分乾燥させて厚み20μmの保護膜形成用フィルム5を作製した。
<保護膜形成用フィルム6の作製>
以下の成分を、メチルエチルケトンに、溶解・分散させて、固形分質量濃度20%の保護膜形成用組成溶液6を調製した。
・フェノキシ樹脂(東都化成社製FX293) 50部
・樹脂溶液A 70.4部
・ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製NC−7000) 30部
・ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX−4000)10部
・フェノール樹脂
(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・カーボンブラック(カーボンMA−100) 10部
・球状シリカ(アドマテックス社製 アドマファインSO−E2)180部
・沈殿法シリカ
(東ソー・シリカ(株)製 Nipsil L300) 15部
・球状アルミナ(電気化学工業(株)製 DAW0525) 20部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
保護膜形成用組成溶液6を表面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に塗布し、100℃で5分乾燥させて厚み20μmの保護膜形成用フィルム6を作製した。
<表面保護フィルムの作製>
厚さ100μmのポリオレフィンフィルムを基材フィルムとして用い、この基材フィルムの一方の主面上にポリエチレンジオキシチオフェンの水溶液(商品名:コニソルF−205、インスコンテック(株)製)をグラビア塗工して0.1μm厚の帯電防止層を形成させた。その後、ベースポリマーが分子内に光硬化性不飽和炭素結合を0.5meq/gの割合で含有するアクリル系共重合体100部と硬化剤であるポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名コロネートL)1部と光開始剤であるα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2部を配合し、粘着剤塗布液を調製した。コンマコーターを用いて片面にシリコン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)の前記離型処理の反対面上に調製した粘着剤塗布液を線速2m/分で塗工し、110℃に設定した温風乾燥炉を通して、粘着剤層を形成し、帯電防止処理基材フィルムと貼り合わせて、乾燥後の塗布厚が30μmである表面保護フィルムAを作製した。また、粘着剤層の厚みを300μmにした以外は表面保護フィルムAと同様にして、帯電防止層からの距離を広げて静電破壊のリスクを高めた表面保護フィルムBを作製した。
<ダイシングテープの作製>
粘着剤層形成材料として、商品名「WINTEC WFX4M」(日本ポリプロピレン社製)80部と、商品名「タフセレンH5002」(住友化学社製)20部との混合物を用いた。また、基材層形成材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井デュポン社製、商品名「エバフレックスP−1007」)を用いた。粘着剤形成材料および基材層形成材料をそれぞれ、押出機に投入し、Tダイ溶融共押し出しを行い、粘着剤層の厚みが40μm、基材層の厚みが80μmのダイシングテープを得た。
<半導体ウエハの準備>
半導体ウエハとして、キャノシス社製の4インチ、厚み525μmのP型シリコンウエハ、および4インチ、厚み625μmのノンドープGaAsウエハの2種類を準備した。
<保護膜形成用フィルムの比誘電率の測定>
上記のようにして得られた保護膜形成用フィルム1〜6について、以下のようにして比誘電率を測定した。先ず、厚み20μmの保護膜形成用フィルムを銅張積層板の上にハンドローラーを用いて積層し、PETフィルムを剥離してから150℃で30分加熱して硬化させた。積層体を室温まで冷却した。保護膜形成用フィルムの厚みは、小坂研究所 サーフコータSE−2300を用いて測定した。厚みは5回測定した平均値とした。次いで、この保護膜形成用フィルム積層体の保護膜形成用フィルム側に銀ペースト(太陽インキ製造(株)製AF−5000)を用い、スクリーン印刷で直径38mmφの円形電極を形成した。この時に38mmφ円形電極の同心円状の外周に、内径40mmφ、外形50mmφのドーナツ形状のガード電極も併せて形成した。銀ペーストを印刷した後に、80℃で30分乾燥させて、銀電極を形成することにより、比誘電率測定用サンプル1〜6を得た。
得られた比誘電率測定用サンプル1〜6を23℃50%RHで1日放置した。日置電機製LCRメーターIM3536を用い、38mmφ円形銀電極と銅張積層版の銅箔をそれぞれLCRメーターに結線し、保護膜形成用フィルム積層体を遮蔽箱に入れて23℃50%RHの環境下で、試験電圧(信号電圧)0.5V、測定周波数10Hzで256回連続して比誘電率を測定し、その平均値を算出した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<半導体ウエハの比誘電率の測定>
半導体ウエハの片面に上記で作製した表面保護フィルムAを貼り合わせた後、その反対側を、ウエハ厚みが300μmとなるまで研磨した。次いで、表面保護フィルムA側から、高圧水銀灯を200mJ/cm照射エネルギーで1分間照射した後、自動巻取り装置に固定し、剥離角度170±5°、剥離速度10mm/secとなるように、表面保護フィルムAを剥離した。
得られた300μm厚の半導体ウエハの片面には銀ペースト(太陽インキ製造(株)製AF−5000)を用い、半導体ウエハのほぼ中央に、スクリーン印刷で直径80mmφの円形電極を形成し、80℃30分乾燥して銀電極を形成した。反対の面には半導体ウエハのほぼ中央に、スクリーン印刷で直径38mmφの円形電極を形成した。この時に38mmφ円形電極の同心円状の外周に、内径40mmφ、外形50mmφのドーナツ形状のガード電極も併せて形成した。銀ペーストを印刷した後に、80℃で30分乾燥させて、銀電極を形成することにより、半導体ウエハの比誘電率測定用サンプルを得た。
得られた半導体ウエハの比誘電率測定用サンプルを23℃50%RHで1日放置した。日置電機製LCRメーターIM3536を用い、38mmφ円形銀電極と80mmφ円形銀電極をそれぞれLCRメーターに結線し、半導体ウエハの比誘電率測定用サンプルを遮蔽箱に入れて23℃50%RHの環境下で、試験電圧(信号電圧)0.5V、測定周波数10Hzで256回連続して比誘電率を測定し、その平均値を算出した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<実施例1>
シリコンウエハの片面に上記で作製した表面保護フィルムAを貼り合わせた後、その反対側を、ウエハ厚みが300μmとなるまで研磨した。次いで、その研磨面に保護膜形成用フィルム1をハンドローラーを用いて貼り合わせ、保護膜形成用フィルム1からPETフィルムを剥離した後、150℃、30分加熱することにより保護膜を形成した。続いて、保護膜側に、予め除電しておいたダイシングテープの粘着剤層側をハンドローラーを用いて貼り合わせることによりサンプル1を作製した。
上記のようにして得られたサンプル1を23℃ 50%RHの環境下で1日放置した後、その測定環境のまま表面保護フィルムA側から、高圧水銀灯を200mJ/cm照射エネルギーで1分間照射した後、自動巻取り装置に固定し、剥離角度170±5°、剥離速度10mm/secとなるように、表面保護フィルムAを剥離した。
表面保護フィルムAを剥離してから10分間経過した後に、ダイシングテープ側を上にして電位測定器のセンサーの直下50mmの位置にサンプルをセットした。ダイシングテープを自動巻取り装置に固定して、剥離角度170±5°、剥離速度10mm/secとなるように、ダイシングテープを剥離した。
この時に発生する保護膜形成用フィルム側の面の電位を所定の位置に固定してある電位測定器(春日電機社製 KSD−2000)で測定した。剥離帯電圧が±0.2kv以内の場合を○、+0.2kvを超えるとき、または−0.2kvよりもマイナスの値が大きくなる場合を×と判定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<実施例2>
実施例1において、保護膜形成用フィルム1に代えて保護膜形成用フィルム2を使用した以外は実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<実施例3>
実施例1において、保護膜形成用フィルム1に代えて保護膜形成用フィルム3を使用した以外は実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<実施例4>
実施例3において、シリコンウエハに代えてGaAsウエハを使用した以外は実施例3と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<実施例5>
実施例1において、保護膜形成用フィルム1に代えて保護膜形成用フィルム5を使用した以外は実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<比較例1>
実施例1において、保護膜形成用フィルム1に代えて保護膜形成用フィルム4を使用した以外は実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<比較例2>
実施例1において、シリコンウエハに代えてGaAsウエハを使用した以外は実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<比較例3>
実施例1において、保護膜形成用フィルム1に代えて保護膜形成用フィルム6を使用した以外は実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。判定結果は、下記の表1に示される通りであった。
Figure 2017168856
表1に示された評価結果からも明らかなように、保護膜形成用フィルムが、半導体ウエハとの関係で、上記した式(1)を満たす比誘電率である場合(実施例1〜5)は、いずれも良好な剥離帯電圧の評価結果を示した。一方、保護膜形成用フィルムの比誘電率が半導体ウエハとの関係で、上記した式(1)を満たさない場合(比較例1〜3)は、剥離帯電圧が高かった。
<実施例5>
実施例1において、表面保護フィルムAに代えて、粘着層の厚みが10倍厚く、帯電防止層からの距離を広げて静電破壊のリスクを高めた表面保護フィルムBを使用した以外は、実施例1と同様にして剥離帯電圧を測定した。その結果、実施例1と同様に、剥離帯電圧の評価結果は○であった。以上の結果から、表面保護フィルムによらず、式(1)を満足するような保護膜形成用フィルムとすることにより、剥離帯電圧を小さく抑えることができることがわかる。

Claims (4)

  1. 半導体ウエハの回路形成面の裏面に設けられる保護膜を形成するためのフィルムであって、
    前記半導体ウエハおよび前記フィルムの、測定周波数10Hzにおける比誘電率が下記式(1):
    |ε−ε|≦9 (1)
    (式中、εは測定周波数10Hzにおける半導体ウエハの比誘電率を示し、εは測定周波数10Hzにおける保護膜形成用フィルムの比誘電率を示す。)
    を満足することを特徴とする、保護膜形成用フィルム。
  2. 前記半導体ウエハがシリコンウエハである、請求項1に記載の保護膜形成用フィルム。
  3. 前記保護膜形成用フィルムが、前記半導体ウエハの回路形成面の裏面に直接接触して設けられるものである、請求項1または2に記載の保護膜形成用フィルム。
  4. 前記保護膜形成用フィルムが、剥離可能な支持体をさらに備えてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護膜形成用フィルム。
JP2017092337A 2015-09-29 2017-05-08 保護膜形成用フィルム Active JP6666875B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015191892 2015-09-29
JP2015191892 2015-09-29

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017505269A Division JP6142101B1 (ja) 2015-09-29 2016-09-15 保護膜形成用フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017168856A true JP2017168856A (ja) 2017-09-21
JP6666875B2 JP6666875B2 (ja) 2020-03-18

Family

ID=58427622

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017505269A Active JP6142101B1 (ja) 2015-09-29 2016-09-15 保護膜形成用フィルム
JP2017092337A Active JP6666875B2 (ja) 2015-09-29 2017-05-08 保護膜形成用フィルム

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017505269A Active JP6142101B1 (ja) 2015-09-29 2016-09-15 保護膜形成用フィルム

Country Status (4)

Country Link
JP (2) JP6142101B1 (ja)
KR (1) KR102053554B1 (ja)
TW (1) TWI689024B (ja)
WO (1) WO2017057009A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019082959A1 (ja) * 2017-10-27 2019-05-02 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、及び半導体チップの製造方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019076698A1 (en) 2017-10-19 2019-04-25 Koninklijke Philips N.V. PORTABLE MEDICAL INTERFACE FOR INTRALUMINAL DEVICE AND ASSOCIATED DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS
KR102587133B1 (ko) 2018-07-19 2023-10-10 삼성디스플레이 주식회사 표시 장치
JP2021040099A (ja) * 2019-09-05 2021-03-11 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、及び保護膜付きワーク加工物の製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004214288A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Lintec Corp チップ用保護膜形成用シート
JP2009147277A (ja) * 2007-12-18 2009-07-02 Furukawa Electric Co Ltd:The チップ保護用フィルム
WO2011089664A1 (ja) * 2010-01-20 2011-07-28 住友ベークライト株式会社 半導体保護膜形成用フィルム及び半導体装置
US20120028416A1 (en) * 2010-07-29 2012-02-02 Nitto Denko Corporation Film for flip chip type semiconductor back surface and its use
US20120126380A1 (en) * 2010-11-18 2012-05-24 Daisuke Uenda Film for the backside of flip-chip type semiconductor, dicing tape-integrated film for the backside of semiconductor, method of manufacturing film for the backside of flip-chip type semiconductor, and semiconductor device
JP2013021105A (ja) * 2011-07-11 2013-01-31 Nitto Denko Corp ダイシング用粘着シート、及び、ダイシング用粘着シートを用いた半導体装置の製造方法
JP2015099825A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 リンテック株式会社 チップの製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110291300A1 (en) * 2009-02-12 2011-12-01 Takashi Hirano Dicing sheet-attached film for forming semiconductor protection film, method for producing semiconductor device using the same, and semiconductor device
JP2014135469A (ja) 2012-12-10 2014-07-24 Nitto Denko Corp 接着シート、ダイシングテープ一体型接着シート、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置
JP6129629B2 (ja) 2012-12-10 2017-05-17 日東電工株式会社 ダイシングテープ一体型接着シート、及び、ダイシングテープ一体型接着シートを用いた半導体装置の製造方法

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004214288A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Lintec Corp チップ用保護膜形成用シート
JP2009147277A (ja) * 2007-12-18 2009-07-02 Furukawa Electric Co Ltd:The チップ保護用フィルム
WO2011089664A1 (ja) * 2010-01-20 2011-07-28 住友ベークライト株式会社 半導体保護膜形成用フィルム及び半導体装置
US20120028416A1 (en) * 2010-07-29 2012-02-02 Nitto Denko Corporation Film for flip chip type semiconductor back surface and its use
JP2012033626A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Nitto Denko Corp フリップチップ型半導体裏面用フィルム及びその用途
KR20120024386A (ko) * 2010-07-29 2012-03-14 닛토덴코 가부시키가이샤 플립 칩형 반도체 이면용 필름 및 그의 용도
CN102382587A (zh) * 2010-07-29 2012-03-21 日东电工株式会社 倒装芯片型半导体背面用膜及其用途
US20120126380A1 (en) * 2010-11-18 2012-05-24 Daisuke Uenda Film for the backside of flip-chip type semiconductor, dicing tape-integrated film for the backside of semiconductor, method of manufacturing film for the backside of flip-chip type semiconductor, and semiconductor device
KR20120053966A (ko) * 2010-11-18 2012-05-29 닛토덴코 가부시키가이샤 플립 칩형 반도체 이면용 필름, 다이싱 테이프 일체형 반도체 이면용 필름, 플립 칩형 반도체 이면용 필름의 제조 방법 및 반도체 장치
JP2012124465A (ja) * 2010-11-18 2012-06-28 Nitto Denko Corp フリップチップ型半導体裏面用フィルム、ダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルム、フリップチップ型半導体裏面用フィルムの製造方法、及び、半導体装置
CN102559085A (zh) * 2010-11-18 2012-07-11 日东电工株式会社 倒装芯片型半导体背面用薄膜、切割带一体型半导体背面用薄膜、倒装芯片型半导体背面用薄膜的制造方法以及半导体装置
JP2013021105A (ja) * 2011-07-11 2013-01-31 Nitto Denko Corp ダイシング用粘着シート、及び、ダイシング用粘着シートを用いた半導体装置の製造方法
JP2015099825A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 リンテック株式会社 チップの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019082959A1 (ja) * 2017-10-27 2019-05-02 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、及び半導体チップの製造方法
JPWO2019082959A1 (ja) * 2017-10-27 2020-11-19 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、及び半導体チップの製造方法
JP7241022B2 (ja) 2017-10-27 2023-03-16 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、及び半導体チップの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6142101B1 (ja) 2017-06-07
KR102053554B1 (ko) 2019-12-06
JP6666875B2 (ja) 2020-03-18
WO2017057009A1 (ja) 2017-04-06
KR20180059801A (ko) 2018-06-05
TW201729320A (zh) 2017-08-16
JPWO2017057009A1 (ja) 2017-10-05
TWI689024B (zh) 2020-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6666875B2 (ja) 保護膜形成用フィルム
TWI666298B (zh) Protective film forming film, protective film forming sheet, and inspection method
US9890293B2 (en) Protective film forming composition, protective film forming sheet, and chip provided with protective film
US20070026572A1 (en) Dicing/die bonding sheet
KR102103660B1 (ko) 경화성 수지 조성물 및 팬아웃형의 웨이퍼 레벨 패키지
JP5180507B2 (ja) チップ用保護膜形成用シートおよび保護膜付半導体チップ
KR102126174B1 (ko) 보호막 형성용 조성물, 보호막 형성용 시트, 및 경화 보호막을 구비한 칩
KR20150133171A (ko) 보호막 형성용 필름
CN109135594A (zh) 切割带一体型背面保护薄膜
CN108369928B (zh) 半导体用密封材料
CN109111871A (zh) 切割带一体型粘接性片
JP5344802B2 (ja) チップ用保護膜形成用シートおよび保護膜付半導体チップ
KR102313172B1 (ko) 드라이 필름, 경화물 및 전자 부품
WO2014142151A1 (ja) 保護膜形成用複合シート、保護膜形成用複合シートの製造方法および保護膜付チップの製造方法
JP6199451B2 (ja) 半導体用封止材
CN108778721B (zh) 保护膜形成用复合片
JP2021141261A (ja) 電子素子封止用フィルム、それを用いた電子部品、および電子部品の製造方法
CN117656639A (zh) 保护膜形成用复合片
KR20210145772A (ko) 드라이 필름, 경화물 및 전자 부품
JP2022032554A (ja) 保護膜形成用シートおよび保護膜形成用シートの加工方法
WO2024005071A1 (ja) エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤、これを含むデバイス及び該デバイスの製造方法
CN108701597B (zh) 保护膜形成用复合片
JP2022032572A (ja) 保護膜形成用シートロールの製造方法
CN115109531A (zh) 支撑片、保护膜形成用复合片及装置的制造方法
TW201818515A (zh) 半導體用封裝材

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170509

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190408

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6666875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250