JP2017168198A - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子径のバラつきが抑制された正極活物質の製造方法の提供。【解決手段】遷移金属元素を含む水性溶液をアルカリ条件に調整した反応液から遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階S12と、該遷移金属水酸化物が析出された反応液を粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物を含む沈降部分と上澄み部分とに分離する沈降分離段階S14と、上記沈降部分に含まれる上記遷移金属水酸化物を核生成段階S12よりもpHの低いアルカリ性条件下において成長させる粒子成長段階S16と、上記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合する工程S20と、その混合物を焼成して正極活物質粒子を得る工程S30と、を含む中空構造の正極活物質の製造方法。沈降分離段階S14において分離した上澄み部分を、核生成段階S12の反応液中に供給する正極活物質の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質の製造方法に関する。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)は、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の駆動用高出力電源として、その重要性がますます高まっている。
リチウム二次電池に用いられる正極活物質の代表例として、リチウム(Li)と少なくとも一種の遷移金属元素とを含む複合酸化物(以下、リチウム遷移金属酸化物ともいう。)が挙げられる。また、このような正極活物質の形態の一例として、殻部と、その内部に形成された中空部とを有する中空構造の正極活物質が挙げられる。
このような中空構造の正極活物質の製造方法の一例として、特許文献1には、リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む水性溶液から遷移金属水酸化物を生成する水酸化物生成工程と、得られた遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合する工程と、該混合物を焼成する工程と、を含む製造方法であって、上記水酸化物生成工程が、上記水性溶液から遷移金属水酸化物粒子を析出させる核生成段階と、該析出した遷移金属水酸化物粒子を成長させる粒子成長段階とを含む方法が記載されている。
特開2011−119092号公報
ところで、上記特許文献1に例示される中空構造の正極活物質の製造方法において、上記核生成段階および粒子成長段階の条件によっては、上記水酸化物生成工程によって得られる遷移金属水酸化物の粒子径にばらつきが生じる(即ち、粒度分布が広い)場合があった。粒子径のばらつきが大きい遷移金属水酸化物と上記リン酸化合物とを混合して焼成すると、得られる焼成物(典型的には正極活物質)の粒子径にばらつきが生じやすいだけでなく、粒子径の異なる複数の正極活物質が凝集した凝集体が形成される場合があった。
ここで、粒子径が不均一な正極活物質は、該正極活物質を用いた電池の電池特性が低下しがち(例えば反応抵抗が増大しがち)である。このため、粒子径のばらつきが少ない正極活物質の提供が求められる。
なお、正極活物質の粒子径を調整する目的で、上記焼成工程により得られた焼成物に対して解砕や篩い分けを行うことが考えられる。しかし、上記凝集体を含む焼成物に対して解砕を行うと、該解砕によって該凝集物が不規則に砕けてしまい、解砕後の粒子径がより不均一になる場合があった。また、上記粒子径がばらついた焼成物に対して篩い分けを行うと、所定の粒子径の範囲外に篩い分けられた焼成物(正極活物質)の存在により歩留りが低下しがちであった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、粒子径のばらつきが少ない正極活物質の製造方法であって、該正極活物質を高い歩留りで製造し得る方法を提供することである。
上記の目的を実現すべく、本発明によると、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が複数集合した二次粒子と、その内側に形成された中空部とを有する中空構造の正極活物質の製造方法が提供される。かかる正極活物質の製造方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を包含する。即ち、ここに開示される正極活物質の製造方法は、
(i)上記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む水性溶液から、遷移金属水酸化物を生成させる水酸化物生成工程;
(ii)上記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程;および、
(iii)上記混合物を焼成して上記正極活物質粒子を得る焼成工程;
を包含する。そして、ここで開示される正極活物質の製造方法において、上記(i)水酸化物生成工程は、(1)上記水性溶液をアルカリ性条件に調整した反応液から上記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、(2)上記核生成段階において析出した遷移金属水酸化物を含む反応液を、粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物を含む沈降部分と、上澄み部分とに分離する沈降分離段階と、(3)上記沈降部分に含まれる上記遷移金属水酸化物を、上記核生成段階よりもpHの低いアルカリ性条件下において成長させる粒子成長段階と、を含み、上記(2)沈降分離段階において分離した上澄み部分は、上記(1)の核生成段階の上記反応液中に供給される。
本発明者らの検討によると、上記粒子成長段階に持ち込まれる遷移金属水酸化物の粒子径のばらつきを少なくすることで、上記水酸化物生成工程において生成される遷移金属水酸化物(即ち、上記粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物)の粒子径のばらつきを少なくし得ることを確認した。即ち、上記正極活物質の製造方法によると、粒子径のばらつきが少ない正極活物質を製造することができる。
ここで、上記核生成段階において遷移金属水酸化物の析出反応を継続する時間が長いほど、大きな粒子径の遷移金属水酸化物を得ることができる。即ち、上記沈降分離段階において分離した上澄み液を上記核生成段階の上記反応液中に供給することで、該上澄み部分に含まれていた遷移金属水酸化物(典型的には粒子径が所定の大きさに満たない遷移金属水酸化物)から所定の粒子径以上の遷移金属水酸化物(典型的には、上記沈降部分に含まれ得る粒子径の遷移金属水酸化物)を生成することができる。これにより、高い歩留りで、粒子径のばらつきが少ない正極活物質を製造することができる。
本発明の一実施態様に係る正極活物質の製造方法を示すフロー図である。 一実施例に係る正極活物質の製造過程で得られる遷移金属水酸化物の粒度分布を示すグラフであって、核生成段階を経た後の反応液中の遷移金属水酸化物の粒度分布(図中の反応液)と上記沈降分離段階で分離した沈降部分に存在する遷移金属水酸化物の粒度分布(図中の沈降部分)を重ねて示すグラフである。 一実施例に係る正極活物質の製造過程において、粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物の粒度分布を示すグラフである。 一実施例に係る正極活物質の粒度分布を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される正極活物質は、各種のリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)用の正極、該正極を構成要素とする種々のリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)等に適用され得る。液状の非水電解質(すなわち非水電解液)を備えたリチウム二次電池への適用が特に好ましい。
ここに開示される正極活物質の材質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出可能な各種のリチウム遷移金属酸化物であり得る。例えば、一般的なリチウム二次電池の正極に用いられる層状構造のリチウム遷移金属酸化物、スピネル構造のリチウム遷移金属酸化物等であり得る。層状構造のリチウム遷移金属酸化物としては、上記遷移金属として少なくともニッケルを含む酸化物(ニッケル含有リチウム複合酸化物)、少なくともコバルトを含む酸化物、少なくともマンガンを含む酸化物等が例示される。
ここに開示される正極活物質の好ましい組成として、下記一般式(I):
Li1+mNipCoqMnr s2 (I);
で表される層状Ni含有Li酸化物が例示される。ここで、上記式(I)において、例えば、Mは、Al,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,Ta,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上であり、0≦m≦0.2、0.1≦p≦0.9、0≦q≦0.5、0≦r≦0.5、0≦s≦0.02、p+q+r+s=1であり得る。好ましい一態様では、0≦s<pであり、sが実質的に0(すなわち、Mを実質的に含有しない酸化物)であってもよい。また、より好ましい一態様として、p×q×r≠0であるLiNiCoMn酸化物が挙げられる。
上記正極活物質は、殻部とその内部に形成された中空部(空洞部)とを有する中空構造の粒子形態をなす。このような中空構造の粒子と対比されるものとして、一般的な多孔質構造の粒子が挙げられる。ここで多孔質構造とは、実体のある部分と空隙部分とが粒子全体にわたって混在している構造(スポンジ状構造)を指す。ここに開示される中空構造の正極活物質粒子は、実体のある部分が殻部に偏っており、上記中空部にまとまった空間が確保されているという点で、上記多孔質構造の正極活物質粒子とは、構造上、明らかに区別されるものである。
このような正極活物質の平均粒径(二次粒径)は特に限定されないが、例えば、2μm〜20μm(好ましくは2μm〜10μm、より好ましくは4μm〜8μm)程度とすることができる。
なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない場合、レーザ散乱・回折法に
基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布から導き出せるメジアン径(50%
体積平均粒子径;以下「D50」と表記することもある。)をいう。
ここで開示する正極活物質の製造方法は、図1に示すように、水酸化物生成工程(S10)、混合工程(S20)、焼成工程(S30)を包含する。以下に各工程について説明する。
なお、以下の説明では、かかる正極活物質の製造方法の一実施態様について、層状のLiNiCoMn酸化物からなる中空構造の正極活物質を製造する場合を例として詳しく説明するが、この製造方法の適用対象をかかる組成の正極活物質に限定する意図ではない。
まず、水酸化物生成工程(S10)について説明する。かかる工程は、上記リチウム遷移金属酸化物(ここではLiNiCoMn酸化物)を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む水性溶液から、遷移金属水酸化物を生成させることを包含する。具体的には、上記水性溶液をアルカリ性条件に調整した反応液から上記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階(S12)と、上記核生成段階において析出した遷移金属水酸化物を含む反応液を、粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物を含む沈降部分と、上澄み部分とに分離する沈降分離段階(S14)と、上記沈降部分に含まれる上記遷移金属水酸化物を、上記核生成段階よりもpHの低いアルカリ性条件下において成長させる粒子成長段階(S16)と、を含む。
上記核生成段階(S12)において、上記遷移金属を含む水性溶液を構成する溶媒(水性溶媒)は、典型的には水であり、水を主成分とする混合溶媒(例えば水と低級アルコールとの混合溶媒)であってもよい。上記遷移金属化合物を含む水性溶液(以下、「遷移金属溶液」ともいう。)は、製造目的たる活物質を構成するリチウム遷移金属酸化物の組成に応じて、該リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素(ここではNi,CoおよびMn)の少なくとも一つ(好ましくは全部)を含む。例えば、水性溶媒中にNiイオン,CoイオンおよびMnイオンを供給し得る一種または二種以上の化合物を含む遷移金属溶液を使用する。これらの金属イオン源となる化合物としては、該金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を適宜採用することができる。例えば、水性溶媒(好ましくは水)に硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンが溶解した組成の遷移金属溶液を使用し得る。
また、上記核生成段階(S12)において、上記アルカリ性条件は、適当なアルカリ性水溶液を上記遷移金属溶液と混合することで実現し得る。ここで、アルカリ性水溶液は、典型的に、水性溶媒にアルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア、アミン等)が溶解した水溶液である。少なくともアンモニアを含むアルカリ性水溶液の使用が好ましく、例えばアンモニアと水酸化ナトリウムとを含むアルカリ性水溶液を使用し得る。組成の異なる複数のアルカリ性水溶液(例えば、アンモニア水と、水酸化ナトリウム水溶液との二種類)を、あらかじめ混合して、あるいはそれぞれ独立した溶液として使用(典型的には、反応容器に供給)することができる。
上記核生成段階(S12)は、例えば、初期pHが12.0より大きい(例えば12.5以上13以下)程度のアルカリ性水溶液を反応槽内に用意し、この初期pHを維持しつつ、該反応槽に遷移金属溶液を適切な速度で供給して撹拌混合する態様で好ましく実施することができる。このとき、上記初期pHを維持するために、必要に応じて上記反応槽にアルカリ性水溶液を追加供給するとよい。
なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。また、反応液のアンモニア濃度は、例えば、イオンクロマト法、イオン電極法等により測定することができる。測定には、市販のイオンクロマトグラフ装置、電極式アンモニア計等を用いることができる。
核生成段階(S12)でアンモニアを含むアルカリ性水溶液を用いる態様において、反応液中のアンモニア濃度は特に限定されないが、例えば3g/L〜25g/L(好ましくは10g/L〜15g/L)程度とするとよい。上記pHおよびアンモニア濃度は、上記アンモニア水の使用量と、他のアルカリ剤(典型的には他のアルカリ剤を含むアルカリ性水溶液)の使用量とを、適切にバランスさせることにより調整することができる。
次に、上記沈降分離段階(S14)では、上記核生成段階(S12)で遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)が析出した後の反応液から、粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物を含む沈降部分を分離する。粒子径が大きい遷移金属水酸化物粒子は粒子径が小さい遷移金属水酸化物粒子と比較して、上記反応液中での沈降速度が速い。このため、上記核生成段階で遷移金属水酸化物の核が析出した後の反応液を沈降槽内に所定時間静置した後で、該反応液の上澄み部分と沈降部分とを分離することにより、粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物を含む沈降部分を好適に分離することができる。これにより、粒子径のバラつきが小さい遷移金属水酸化物粒子を得ることができる。
上記沈降部分に含まれる遷移金属水酸化物の粒子径は、特に限定されず、目的の正極活物質の粒子径に応じて適宜設定すればよい。例えば、1μm以上(好ましくは3μm以上)とし得る。
上記沈降分離段階(S14)において上記核生成段階後の反応液を静置する時間は、粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物が沈降する(好ましくは所定の大きさよりも小さい遷移金属水酸化物は沈降しない)ことを実現し得る時間であればよい。例えば、5分以上(好ましくは5分以上15分以下)静置することが好ましい。
上記沈降分離段階(S14)において、上記反応液から沈降部分と上澄み部分を分離する手法は特に限定されない。典型的には、所定の時間静置した反応液が収容された容器(沈降槽)を転動(所謂、デカンテーション)して上澄み部分を除去することにより、上記沈降部分を残渣として分離することができる。上記反応液から分離(除去)される上澄み部分の割合は、沈降部分に所定の粒子径以上の遷移金属水酸化物が含まれることを実現し得る限りにおいて、特に限定されない。例えば、反応液の体積を100体積%とした場合に、30体積%以上80体積%以下(好ましくは40体積%以上70体積%以下、例えば凡そ50体積%)に相当する部分を上澄み部分として分離することが好ましい。
なお、上記沈降分離段階(S14)において分離された上澄み部分は、上記核生成段階の反応液に供給される。これにより、該上澄み部分に含まれていた遷移金属水酸化物(典型的には粒子径が所定の大きさに満たない遷移金属水酸化物)から所定の粒子径以上の遷移金属水酸化物(典型的には、沈降分離段階において沈降部分に含有される粒子径の遷移金属水酸化物)を生成することができる。なお、上記上澄み部分は、上記核生成段階の反応液中に一度に供給してもよいが、適切な速度で一定量ずつ供給することが好ましい。
上記粒子成長段階(S16)では、上記沈降分離段階(S14)で分離した沈降部分に含まれる遷移金属水酸化物を、好ましくは該核生成段階よりも低pH域(例えば0.1以上、典型的には0.5〜1.5程度低いpH域)のアルカリ性条件下で成長させる。例えば、pH12.0以下(典型的にはpH10.0以上12.0以下、例えばpH11.5以上12.0以下)で粒子成長させるとよい。この粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物(前駆体水酸化物)は、典型的には、該水酸化物粒子の外表面部の密度に比べて、該粒子の内部の密度が低い構造を有する。アンモニアを含むアルカリ性水溶液を用いる態様において、かかる構造の遷移金属水酸化物を安定して得るためには、該粒子成長段階における液中アンモニア濃度を高くしすぎない(低く抑える)ことが肝要である。このことによって、上記遷移金属水酸化物の析出速度が速くなり、中空構造の正極活物質粒子の形成に適した前駆体水酸化物を効果的に生成させ得る。なお、遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、反応液に供給される遷移金属溶液に含まれる遷移金属イオンの合計モル数に対して、反応液の液相中に含まれる遷移金属イオンの合計モル数(合計イオン濃度)の推移を調べることにより把握され得る。
粒子成長段階におけるアンモニア濃度は、例えば3g/L〜25g/L(好ましくは10g/L〜15g/L)程度とするとよい。粒子成長段階における液中アンモニア濃度は、核生成段階におけるアンモニア濃度と概ね同程度としてもよく、核生成段階におけるアンモニア濃度より低くしてもよい。上記pHおよびNH 濃度は、核生成段階と同様にして調整することができる。
反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの合計モル数(合計イオン濃度)は、核生成段階および粒子成長段階を通じて、例えば凡そ0.5モル/L〜2.5モル/L(通常は凡そ1.0モル/L〜2.2モル/L)とすることが好ましい。かかる濃度が維持されるように、遷移金属水酸化物の析出速度に合わせて遷移金属溶液を補充(典型的には連続供給)するとよい。反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの量は、目的物たる正極活物質の組成(すなわち、該正極活物質を構成するLiNiCoMn酸化物におけるNi,Co,Mnのモル比)に対応する量比とすることが好ましい。
好適な一形態では、このようにして生成した遷移金属水酸化物粒子(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物粒子)は、晶析終了後、反応液から分離し、洗浄(典型的には水洗)して乾燥させる。
次に、混合工程(S20)について説明する。かかる工程は、上記水酸化物生成工程(S10)において生成された遷移金属水酸化物と、リチウム化合物とを所望の量比で混合して未焼成の混合物を調製することを包含する。この混合工程では、典型的には、目的物たる正極活物質の組成(すなわち、該正極活物質を構成するLiNiCoMn酸化物におけるLi,Ni,Co,Mnのモル比)に対応する量比で、Li化合物と遷移金属水酸化物とを混合する。上記リチウム化合物としては、加熱により溶解し、酸化物となり得るLi化合物、例えば炭酸リチウム,水酸化リチウム等を好ましく用いることができる。
次に、焼成工程(S30)について説明する。かかる工程は、上記混合工程(S20)にて得られた混合物を焼成してリチウム遷移金属酸化物(即ち、正極活物質)を生成することを包含する。この焼成工程における焼成温度は、例えば、最高焼成温度が700℃〜1100℃(好ましくは800℃〜1100℃、より好ましくは900℃〜1000℃)の範囲とすればよい。
ここで開示される正極活物質の製造方法によると、粒子径のばらつきが少ない正極活物質を高い歩留りで製造することができる。このため、かかる製造方法により得られる正極活物質によると、正極活物質の粒子径のバラつきに起因した電池特性の低下(典型的には、反応抵抗の増大)を低減することができる。従って、かかる正極活物質は、各種用途の非水電解質二次電池(典型的にはリチウム二次電池)の正極活物質として利用可能であるが、このような性質を活かして、例えば、車両に搭載される駆動用電源に用いられる非水電解質二次電池の正極活物質として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。
また、かかる正極活物質を用いることで、優れた電池性能の非水電解質二次電池、或いは当該非水電解質二次電池を好ましくは動力源として備えた車両を提供することが可能である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1>
反応槽内にイオン交換水を入れ、攪拌しつつ窒素ガスを流通させて、反応槽内を非酸化性雰囲気に調整した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水とを、液温25℃を基準として測定するpHがpH12.5〜pH13.0となり且つ液中NH 濃度が10g/L〜15g/Lとなるように加えた。
また、硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、Ni:Co:Mnのモル比が0.33:0.33:0.33となり且つこれら金属元素の合計モル濃度が1.5モル/L〜3.0モル/Lとなるように水に溶解させて、混合水溶液を調整した。
上記混合水溶液を4mL/min〜6mL/minの速度で上記反応槽内に供給するとともに、NaOH水溶液とアンモニア水とを供給し、反応液をpH12.5〜pH13.0、NH 濃度10g/L〜15g/Lに制御した。このとき、上記反応槽中の反応液は500〜600rpmの回転数で攪拌した。上記混合水溶液、NaOH水溶液およびアンモニア水の反応槽への供給と攪拌を、上記混合水溶液の供給開始から最大2時間継続し、上記反応液からNiCoMn複合水酸化物を晶析させた(核生成段階)。
次いで、上記攪拌を中止し、反応液を5分〜15分静置した。そして、かかる静置後の反応液の40体積%〜70体積%に相当する上澄み部分をデカンテーションにより除去し、沈降部分と上澄み部分とを分離した(沈降分離段階)。なお、分離した上澄み液は、上記核生成段階の反応槽中に供給した。
次いで、上記沈降部分を水(脱イオン水)で希釈し、上記核生成段階を実施した反応槽とは別の反応槽内に入れた。かかる反応槽内に、上記混合水溶液を4mL/min〜6mL/minの速度で供給するとともに、NaOH水溶液およびアンモニア水を供給し、反応液をpH11.5〜pH12.0且つNH 濃度10g/L〜15g/Lに制御する操作を2時間〜4時間継続してNiCoMn複合水酸化物粒子を成長させた(粒子成長段階)。このとき、上記反応槽中の反応液は500〜600rpmの回転数で攪拌した。
その後、生成物を反応槽から取り出し、水洗して乾燥(24時間の真空乾燥、または大気雰囲気下での120℃12時間以上の乾燥)させた。このようにして、Ni0.33Co0.33Mn0.33(OH)2+α(ここで、式中のαは0≦α≦0.5である。)で表わされる組成のNiCoMn複合水酸化物粒子を得た。
次いで、リチウム源としてのLi2CO3と上記NiCoMn複合水酸化物粒子とを、リチウムのモル数(MLi)と上記複合水酸化物を構成するNi,CoおよびMnの総モル数(MMe)との比(MLi:MMe)が1.14:1〜1.20:1となるように混合した。この混合物を900℃〜1000℃で12時間焼成した。その後、焼成物を解砕し、篩分けを行った。このようにして、LiNiCoMn酸化物からなる中空構造の正極活物質を得た。
<例2>
上記沈降分離段階を行わない以外は上記例1と同様の材料およびプロセスにて、例2に係る正極活物質を作製した。
なお、例1および例2に係る正極活物質について、上記核生成段階を行った後の反応液中のNiCoMn複合水酸化物、上記沈降分離段階で分離した沈降部分に存在するNiCoMn複合水酸化物(例1のみ)、上記粒子成長段階を実施した後の反応液中のNiCoMn複合水酸化物、および、上記LiNiCoMn酸化物の粒度分布をレーザ回析・散乱式粒度分布測定装置(Shimazu SALD−7500、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
結果を図2〜4に示す。図2は、上記核生成段階を行った後の反応液中のNiCoMn複合水酸化物の粒度分布(図中の反応液)と上記沈降分離段階で分離した沈降部分に存在するNiCoMn複合水酸化物の粒度分布(図中の沈降部分)を重ねて示すグラフである。図3は、上記粒子成長段階を実施した後の例1および例2に係るNiCoMn複合水酸化物の粒度分布を重ねて示すグラフである。図4は、上記例1および例2に係るLiNiCoMn酸化物の粒度分布を重ねて示すグラフである。
図2に示すように、上記核生成段階を行った後に上記沈降分離段階を行うことで、沈降部分に含まれるNiCoMn複合水酸化物(遷移金属水酸化物)の粒子径のバラつきを小さくすることができることを確認した。そして、図3および図4に示すように、上記沈降分離段階で分離した沈降部分に含まれるNiCoMn複合水酸化物(遷移金属水酸化物)をその後の反応に供することで、粒子径のバラつきの小さいLiNiCoMn酸化物(正極活物質)を得られることを確認した。
また、上記沈降分離段階で分離した上澄み部分に含まれるNiCoMn複合水酸化物を核生成段階に供給した以外は上記例1と同様の材料およびプロセスで作製したLiNiCoMn酸化物(正極活物質)についても、上記例1に係る正極活物質と同様に粒子径のバラつきが小さいことを確認した。
即ち、ここで開示する技術によると、粒子径のバラつきが抑制された正極活物質を高い歩留りで(少ない原料のロスで)提供し得ることが明らかとなった。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (1)

  1. リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が複数集合した二次粒子と、その内側に形成された中空部とを有する中空構造の正極活物質を製造する方法であって:
    前記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む水性溶液から、遷移金属水酸化物を生成させる水酸化物生成工程;
    前記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程;および、
    前記混合物を焼成して前記正極活物質の粒子を得る焼成工程;
    を包含し、
    ここで、前記水酸化物生成工程は、
    前記水性溶液をアルカリ条件に調整した反応液から前記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、
    前記核生成段階において析出した遷移金属水酸化物を含む前記反応液を、粒子径が所定の大きさ以上の遷移金属水酸化物を含む沈降部分と、上澄み部分とに分離する沈降分離段階と、
    前記沈降部分に含まれる前記遷移金属水酸化物を、前記核生成段階よりもpHの低いアルカリ性条件下において成長させる粒子成長段階と、
    を含み、
    前記沈降分離段階において分離した上澄み部分は、前記核生成段階の前記反応液に供給される、正極活物質の製造方法。
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