JP2017161940A - 偏光板の製造方法 - Google Patents

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寿和 松本
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Abstract

【課題】偏光フィルムの両面にエポキシ系接着剤を介して貼合される透明保護フィルムが薄肉の場合でも、生産効率を損なうことなく、表面凹凸の残りにくい偏光板が製造できるようにする。【解決手段】ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に透明保護フィルムを貼合して偏光板を製造する方法であって;偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムのそれぞれに対し、片面に表面保護フィルムを貼り合わせて複合保護フィルムを作製する保護フィルム複合化工程;保護フィルム複合化工程で得られるそれぞれの複合保護フィルムの表面保護フィルムとは反対側の面を、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を介して偏光フィルムの両面に貼り合わせる貼合工程;及び、エポキシ系接着剤を硬化させる硬化工程をこの順に備える、偏光板の製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に好適に用いられる偏光板の製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、消費電力が少なく、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シートなど、多くの光学部材から構成されている。そこで、これらの光学部材を構成するフィルム又はシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上、さらには軽量・薄型化等を図ることが可能であり、このような研究が盛んに行われている。
偏光板は、液晶表示装置における偏光の供給及び検出素子として広く用いられている。
一般的に偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムに、表示モードや要求特性に応じて、光学特性を有する透明保護フィルムを貼り合せた形態で液晶表示装置に用いられることが多い。
液晶表示装置の表示品位の向上に伴い、偏光板の外観品質についても要求が高くなってきており、表面外観を向上させるための提案がなされている。例えば、特開 2008-89725 号公報(特許文献1)には、偏光フィルムに透明保護フィルムを貼り合わせる際、異物の混入による表面欠陥(同文献では「クニック欠陥」と呼称)を避けるために、透明保護フィルムの一方の面に予め表面保護フィルムを貼り合わせて積層フィルムとし、その積層フィルムの透明保護フィルム側を偏光フィルムに貼り合わせる技術が開示されている。この文献では、偏光フィルムと透明保護フィルムとの貼り合わせに、ポリビニルアルコール系接着剤、具体的にはポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤が用いられ、透明保護フィルムの片面に表面保護フィルムが貼り合わされた積層フィルムの表面保護フィルムとは反対側に上の接着剤を塗工し、偏光フィルムの両面に当該接着剤を介して2枚の積層フィルム(透明保護フィルム)を貼り合わせている。ところが、透明保護フィルムの片面に表面保護フィルムが貼り合わされた積層フィルムを、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して偏光フィルムの両面に貼り合わせた場合、その後の接着剤の乾燥が困難になるなどの問題があった。
一方、液晶表示装置の普及に伴って、偏光板の生産効率の向上も求められている。そこで、偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着時間の短縮などを目的に、両者を貼り合わせる接着剤として、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を用いる技術も知られている。例えば、特開 2004-245925号公報(特許文献2)には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムに、芳香環を含まないエポキシ化合物を主成分とする組成物からなる接着剤を介して透明保護フィルムを貼合し、偏光板とする技術が開示されている。特開 2009-251284号公報(特許文献3)には、偏光フィルムと、オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとを、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を用いて貼り合わせる技術が開示されている。また特開 2010-139703号公報(特許文献4)には、スチレン系樹脂からなるコア層と、その両面に積層されたゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層との3層構造を有する位相差フィルムに、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を用いて、偏光フィルムを貼り合わせる技術が開示されている。
このようなエポキシ系接着剤を用いることにより、乾燥工程が不要となり、偏光板の生産効率を高めることができる。しかしながら、透明保護フィルムの薄膜化に伴い、厚さが50μm 以下の透明保護フィルムを用いた場合には、エポキシ系接着剤を用いて偏光フィルムにこのような薄肉の透明保護フィルムを貼合し、接着剤を硬化させた後の偏光板に、不均一な表面凹凸が残り、外観不良となることがあった。
特に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を接着剤として、偏光フィルムに貼り合わせた場合には、問題が生じない厚さの透明保護フィルムであっても、エポキシ系の硬化性接着剤を用いて偏光フィルムに貼り合わせた場合には、顕著な外観不良を生じることがあった。
特開2008−89725号公報 特開2004−245925号公報 特開2009−251284号公報 特開2010−139703号公報
本発明の目的は、薄肉の透明保護フィルムを用いる場合であっても、生産効率を損なうことなく、表面凹凸の残りにくい偏光板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、偏光フィルムに貼り合わされる透明保護フィルムの片面に、予め表面保護フィルムを貼り合せて複合保護フィルムとし、この複合保護フィルムを用いて偏光板を製造することで、透明保護フィルムの厚さが50μm 以下と薄い場合であっても、得られる偏光板の表面に凹凸が残りにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの両面に透明保護フィルムを貼合して偏光板を製造する方法であって;上記偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムのそれぞれに対し、片面に表面保護フィルムを貼り合わせて複合保護フィルムを作製する保護フィルム複合化工程;上記の保護フィルム複合化工程で得られるそれぞれの複合保護フィルムの表面保護フィルムとは反対側の面を、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を介して、上記偏光フィルムの両面に貼り合わせる貼合工程;及び、上記エポキシ系接着剤を硬化させる硬化工程をこの順に備える、偏光板の製造方法が提供される。
上記の保護フィルム複合化工程は、得られる複合保護フィルムが40μm以上150μm以下の厚さとなるように行われることが好ましい。また、上記の貼合工程で用いるエポキシ系接着剤は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有するエポキシ化合物を含有することが好ましい。
これらの方法は、偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムが同じ樹脂で構成される場合にも適用できるが、それぞれ別の樹脂で構成される場合にも有効である。例えば、偏光フィルムの一方の面に貼合される透明保護フィルムが、セルロース系樹脂で構成され、偏光フィルムの他方の面に貼合される透明保護フィルムが、環状オレフィン系樹脂で構成される場合にも、効果的に適用することができる。
本発明によれば、偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムが薄くなっても、表面凹凸の少ない偏光板を、効率よく生産することができる。
本発明は、偏光板の生産効率を向上させるために、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を用いて、偏光フィルムと透明保護フィルムとを接着する方法を採用しながら、偏光フィルムに貼り合わされる透明保護フィルムの薄膜化に伴い、生産された偏光板の表面に凹凸が残りやすくなるという課題に対して、透明保護フィルムに予め表面保護フィルムを貼り合わせることで偏光板の表面平滑性を高めることに成功したものである。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本明細書では、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムに直接貼り合わされ、偏光フィルムの表面を保護し、偏光板としての使用時もそのまま維持されるフィルムを「透明保護フィルム」と呼び、当該透明保護フィルムの片面に貼り合わされ、偏光フィルムへの貼り合わせ時に当該透明保護フィルムを補強する役割を果たし、偏光板としての使用時には剥離除去されるフィルムを「表面保護フィルム」と呼び、両者を区別する。まず、偏光板を構成する各部材について説明し、引き続き、偏光板の製造方法を構成する各工程について説明していくこととする。
[偏光板を構成する各部材]
〈偏光フィルム〉
偏光フィルムは、通常、公知の方法により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども、用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常 1,000〜10,000程度であり、好ましくは 1,500以上、また好ましくは5,000以下である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、特に制限されないが、例えば、10〜150μm 程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行うことができる。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。
なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常 0.01〜1重量部程度である。またヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常 0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10-3〜1重量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法によって行うことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度であり、好ましくは5重量部以上、また好ましくは12重量部以下である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常 0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5重量部以上、また好ましくは12重量部以下である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常 60〜1,200秒程度であり、好ましくは150秒以上、さらには200秒以上であり、また好ましくは600秒以下、さらには400秒以下である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは60℃以上、また好ましくは85℃以下、さらには80℃以下である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法によって行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度である。また浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、好ましくは50℃以上、また好ましくは80℃以下である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒である。
乾燥処理により、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5〜20重量%であり、好ましくは8重量%以上、また好ましくは15重量%以下である。偏光フィルムの水分率が5重量%を下回ると、可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりすることがある。また、その水分率が20重量%を上回ると、熱安定性に劣るものとなることがある。
こうして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて得られる偏光フィルムは、その厚さを例えば、5〜40μm 程度とすることができる。
〈偏光フィルムの両面に配置する透明保護フィルム〉
偏光フィルムの両面に貼り合わされる透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れる熱可塑性樹脂で構成することが好ましい。このような透明保護フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂を代表例とする(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を代表例とするポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、例えば、共重合、架橋、分子末端、立体規則性制御、異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
偏光フィルムの両面に貼り合わされる透明保護フィルムの組合せは、両面とも同じ材料であってもよいし、両面が異なる材料であってもよい。上に例示した樹脂の中でも、透明保護フィルムの材料としては、環状オレフィン系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂を代表例とする(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びセルロース系樹脂が好ましく用いられる。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンとオレフィン類からディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネン又はその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、ジシクロペンタジエンとオレフィン類又はメタクリル酸エステル類からディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセン又はその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体、又はその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用い、同様に開環メタセシス共重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、上記したノルボルネン、テトラシクロドデセン又はそれらの誘導体と、ビニル基を有する芳香族化合物等の他の重合性単量体とを付加重合により共重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
メタクリル酸メチル系樹脂は、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含む重合体である。メタクリル酸メチル単位の含有量は、好ましくは70重量%以上であり、100重量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100重量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体となる。メタクリル酸メチル系樹脂は通常、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤の共存下、必要に応じてさらに多官能単量体を共存させて重合を行うことにより、得られる。
メタクリル酸メチルと共重合し得る単官能単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸エステル類;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、及び2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチルのような2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル類;アクリル酸及びメタクリル酸のような不飽和酸類;スチレン;クロロスチレン及びブロモスチレンのようなハロゲン化スチレン類;ビニルトルエン及びα−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレン類;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルのような不飽和ニトリル類;無水マレイン酸及び無水シトラコン酸のような不飽和酸無水物;フェニルマレイミド及びシクロヘキシルマレイミドのような不飽和イミド類などを挙げることができる。これら共重合される単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びテトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような、エチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;プロピレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの; ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びブタンジオールジ(メタ)アクリレートのような、2価アルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、又はこれらのハロゲン置換体の両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールのような多価アルコールをアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;これら多価アルコールの末端水酸基にグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; コハク酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、及びこれらのハロゲン置換体のような二塩基酸、又はこれら二塩基酸のアルキレンオキサイド付加物にグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの;(メタ)アクリル酸アリル;ジビニルベンゼンのようなジアルケニル化合物などが挙げられる。多官能単量体を共重合させる場合は、中でも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
メタクリル酸メチル系樹脂は、さらに、共重合されている官能基間の反応により変性されたものであってもよい。その反応としては、例えば、アクリル酸メチルのメチルエステル部位と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基との間の高分子鎖内脱メタノール縮合反応や、アクリル酸のカルボキシル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基との間の高分子鎖内脱水縮合反応などが挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分や他のジオール成分を含んでいてもよい。他のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、4,4′−ジカルボキシジフェニール、4,4′−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサンなどが挙げられる。他のジオール成分としては、例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、p−ヒドロキシ安息香酸や、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸のような、ヒドロキシカルボン酸を併用することもできる。さらに、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、若しくはカーボネート結合を有するジカルボン酸成分又はジオール成分を少量共重合させてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコール(さらに必要に応じて他のジカルボン酸又は他のジオール)を直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステルとエチレングリコール(さらに必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステル又は他のジオール)をエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、テレフタル酸(さらに必要に応じて他のジカルボン酸)のエチレングリコールエステル(さらに必要に応じて他のジオールエステル)を触媒の存在下で重縮合させる方法などにより製造される。また、必要に応じて固相重合を行い、分子量を向上させたり、低分子量成分を低減させたりすることもできる。
ポリプロピレン系樹脂は、鎖状オレフィン系樹脂の中でも、繰り返し単位の80重量%以上がプロピレンである鎖状オレフィン単量体が、重合用触媒を用いて重合されたものである。中でも、プロピレンの単独重合体や、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、1〜20重量%の割合で、とりわけ3〜10重量%の割合で共重合させた共重合体が好ましい。プロピレンの単独重合体の中では、20℃のキシレンに可溶な成分〔CXS(cold xylene soluble )成分〕が1重量%以下であるプロピレンホモポリマーがより好ましく、CXS成分が0.5%以下のものがさらに好ましい。
プロピレン共重合体を用いる場合、プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、及び1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性に比較的優れることから、エチレンを3〜10重量%の割合で共重合させたものが好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性を上げる効果が現れる。一方で、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、透明保護フィルムに要求される耐熱性が損なわれることがある。
セルロース系樹脂は、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部又は全部が、アセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステル又はセルロース混合有機酸エステルである。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、及びそれらの混合エステルなどが挙げられる。中でも好ましいものは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどである。
以上説明した環状オレフィン系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はセルロース系樹脂を製膜して、偏光フィルムに貼り合わされる透明保護フィルムとすることができる。製膜方法は、それぞれの樹脂に応じた方法を適宜選択すればよい。例えば、溶媒に溶解させた樹脂を金属製のバンド又はドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、樹脂をその溶融温度以上に加熱し、溶融混練してダイより押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法などが好適に採用される。溶融押出法では、単層フィルムとして押し出すこともできるし、多層フィルムを同時に押し出すこともできる。後者は共押出とも呼ばれる。
また、所定の特性を持たせるために、これらの透明保護フィルムは延伸されたものであってもよい。
これらの樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、環状オレフィン系樹脂なら、それぞれ商品名で、 TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH にて製造され、日本ではポリプラスチックス(株)から販売されている“TOPAS ”、JSR(株)から販売されている“アートン”、日本ゼオン(株)から販売されている“ゼオノア”及び“ゼオネックス”、三井化学(株)から販売されている“アペル”などがある。メタクリル酸メチル系樹脂なら、それぞれ商品名で、住友化学(株)から販売されている“スミペックス”、三菱レイヨン(株)から販売されている“アクリペット”、旭化成(株)から販売されている“デルペット”、(株)クラレから販売されている“パラペット”、(株)日本触媒から販売されている“アクリビュア”などがある。
これらの樹脂を製膜したフィルムも販売されており、上の環状オレフィン系樹脂の中でも、JSR(株)の“アートン”は“アートンフィルム”の商品名で、また、日本ゼオン(株)の“ゼオノア”は“ゼオノアフィルム”の商品名でも販売されている。さらに、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、三菱化学(株)から販売されている“ノバクリアー”、帝人化成(株)から販売されている“帝人 A-PETシート”などがある。ポリプロピレン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、FILMAX 社から販売されている“FILMAX CPP フィルム”、サン・トックス(株)から販売されている“サントックス”、東セロ(株)から販売されている“トーセロ”、東洋紡績(株)から販売されている“東洋紡パイレンフィルム”、東レフィルム加工(株)から販売されている“トレファン”、日本ポリエース(株)から販売されている“ニホンポリエース”、フタムラ化学(株)から販売されている“太閤FC”などがある。セルロース系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、富士フイルム(株)から販売されている“フジタックTD”シリーズ、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)から販売されている“コニカミノルタTACフィルムKC”シリーズなどがある。
透明保護フィルムには、防眩性(ヘーズ)を付与することもできる。防眩性を付与する方法としては、例えば、原料樹脂中に無機又は有機の微粒子を混合してフィルム化する方法、多層押出法(共押出法)を用いて、一方に微粒子が混合された樹脂ともう一方に微粒子が混合されていない樹脂とから二層フィルム化するか、又は微粒子が混合された樹脂を外側にして三層フィルム化する方法、フィルムの片側に、無機又は有機の微粒子が硬化性バインダー樹脂に混合された塗布液をコートし、バインダー樹脂を硬化させて防眩層を設ける方法などが採用できる。
防眩性を付与するための無機微粒子としては、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどが用いられる。また、有機微粒子としては、例えば、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などが用いられる。
防眩性が付与された透明保護フィルムは、そのヘーズ値が6〜45%の範囲内にあることが好ましい。防眩性保護フィルムのヘーズ値が6%を下回ると、十分な防眩効果が現れないことがある。また、そのヘーズ値が45%を越えると、このフィルムが適用された液晶表示装置の画面が白ちゃけて、画質の低下を招くことがある。
ヘーズ値は、JIS K7136:2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠して求められる値である。この規格に準拠した市販のヘーズ・透過率計の例を挙げると、(株)村上色彩技術研究所から販売されている“HM-150”などがある。ヘーズ値の測定に際しては、フィルムの反りを防止するために、例えば、光学的に透明な粘着剤を用いて防眩性付与面が表面となるようにフィルム面をガラス基板に貼合した測定サンプルを用いることが好ましい。
透明保護フィルム上には、さらに、導電層、ハードコート層、及び低反射層のような機能層を形成することができる。先に述べた防眩性を付与するために用いるバインダー樹脂として、これらの機能を有する樹脂組成物を選択することもできる。
また、透明保護フィルムには、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、及びプラズマ処理のような易接着処理を施しておくことが好ましい。
透明保護フィルムは、1〜50μmの厚さを有することが好ましく、さらには10μm以上、とりわけ20μm以上であること、また45μm以下、とりわけ40μm 以下であることがより好ましい。この範囲内の厚さであれば、その片面に後述する表面保護フィルムを貼ることによって、接着剤を介して偏光フィルムに貼り合わせるときに不都合を生じず、また偏光フィルムを機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルムが収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
〈表面保護フィルム〉
表面保護フィルムは通常、透明な基材樹脂フィルムの表面に粘着剤層を設けたもので構成される。透明な基材樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステルからなるフィルムなどを用いることができる。
表面保護フィルムに用いられる粘着剤は、アクリル系、ウレタン系、ゴム系などのポリマーを用いて構成される。中でもアクリル系の粘着剤が、透明性に優れることから好ましく用いられる。アクリル系の粘着剤は一般に、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソオクチル、又はアクリル酸2−エチルヘキシルのようなアクリル酸エステルの1種又は2種以上をベースとし、これに極性モノマーが共重合されたポリマーで構成される。極性モノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などを官能基とするモノマーを挙げることができる。また粘着剤には、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤が配合されている。
[偏光板の製造方法]
本発明では、上で説明した偏光フィルムの両面に、やはり上で説明した透明保護フィルムを貼り合わせて、偏光板を製造する。それぞれの透明保護フィルムは、偏光フィルムに貼り合わせる前に、片面に上で説明した表面保護フィルムを貼り合わせて複合保護フィルムを作製する保護フィルム複合化工程に供される。保護フィルム複合化工程で得られるそれぞれの複合保護フィルムは、その表面保護フィルムとは反対側の面、すなわち透明保護フィルム側の面を、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を介して、偏光フィルムの両面に貼り合わせる貼合工程に供される。その後、そのエポキシ系接着剤を硬化させる硬化工程を経て、偏光フィルムと、その両面に配置された透明保護フィルムとが接着され、偏光板が製造される。透明保護フィルムに貼り合わされた表面保護フィルムは、通常その後剥離除去されるが、一方の表面保護フィルム、特に液晶セルなどの他の部材に貼合するために設ける粘着剤層とは反対側の表面保護フィルムは、そのまま保持して、使用時まで表面を保護することもできる。
以下、偏光板の製造方法を構成する保護フィルム複合化工程、貼合工程、及び硬化工程について、順を追って説明する。
〈保護フィルム複合化工程〉
保護フィルム複合化工程では、偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムのそれぞれに対し、片面に表面保護フィルムを貼り合わせて複合保護フィルムを作製する。この工程は、偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムの片面に、表面保護フィルムが貼り合わされるように行えばよく、その方法自体は適宜選択すればよい。中でも、透明保護フィルムを長尺ロールから繰り出し、別の長尺ロールから表面保護フィルムを繰り出し、両者の長辺方向を合わせて重ね、貼合ロール等を用いて連続的に貼合する方法は、生産性よく複合保護フィルムを製造することができるため、好ましく採用される。
この工程で得られる複合保護フィルムは、その厚さが40μm以上150μm以下となるようにすることが好ましい。より好ましくは70μm以上、また120μm以下である。その厚さが40μm を下回ると、ハンドリング不良によりシワが発生することがある。またその厚さが150μm を超えると、複合保護フィルムを構成するフィルム間の膜厚差が大きくなり、フィルムが反るため、複合保護フィルムと偏光フィルムを貼り合せるとき、層間に気泡を生じやすくなる。
〈貼合工程〉
保護フィルム複合化工程で得られる複合保護フィルムは、それぞれの表面保護フィルムとは反対側の面、すなわち透明保護フィルム側の面を、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を介して、偏光フィルムの両面に貼り合わせる貼合工程に供される。接着剤を構成するエポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものである。
この接着剤を構成するエポキシ化合物は、耐候性、屈折率、カチオン重合性などの観点から、分子内に芳香環を含まないものであることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、水素化エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。接着剤に好適に用いられるエポキシ化合物は、例えば、先に挙げた特許文献2〜4(特開 2004-245925号公報、特開 2009-251284号公報及び特開 2010-139703号公報)で詳細に説明されているが、ここでも概略を説明することとする。
水素化エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物に触媒の存在下及び加圧下で選択的に核水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物を、グリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェールF及びビスフェノールSのようなビスフェノール類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂のようなノボラック型の樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン及びポリビニルフェノールのような多官能型の化合物などが挙げられる。このような芳香族ポリヒドロキシ化合物に核水素化反応を行い、得られる核水添ポリヒドロキシ化合物にエピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテル化することができる。好適な水素化エポキシ化合物として、水素化されたビスフェノールAのグリシジルエーテルが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。ここで「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、次式に示される構造における橋かけの酸素原子−O−を意味し、この式中、mは2〜5の整数である。
Figure 2017161940
この式における (CH2)m 中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する (CH2)m 中の1個又は複数個の水素原子は、メチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ化合物のなかでも、オキサビシクロヘキサン環(上式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(上式においてm=4のもの)を有するエポキシ化合物は、優れた接着性を示すことから好ましく用いられる。以下に、脂環式エポキシ化合物の具体的な例を掲げる。ここでは、まず化合物名を挙げ、その後、それぞれに対応する化学式を示すこととし、化合物名とそれに対応する化学式には同じ符号を付す。
A:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
B:3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
C:エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
D:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
E:ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
F:ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、 G:エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
H:2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、
I:3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
J:4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
K:リモネンジオキサイド、
L:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
M:ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
Figure 2017161940
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルであることができる。より具体的には、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル;1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンのような脂肪族多価アルコールにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル(例えばポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル)などが挙げられる。
エポキシ化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でもこのエポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する脂環式エポキシ化合物を含むことが好ましい。
接着剤に用いるエポキシ化合物は、そのエポキシ当量が通常は 30〜3,000g/当量の範囲にあるが、このエポキシ当量は、好ましくは50g/当量以上、また好ましくは1,500g/当量以下である。 そのエポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後に得られる偏光板の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、そのエポキシ当量が 3,000g/当量を超えると、接着剤に含有される他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
反応性の観点から、エポキシ化合物の硬化反応として、カチオン重合が好ましく用いられる。そのためには、エポキシ系接着剤はカチオン重合開始剤を含有するのが好ましい。
カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射又は加熱によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるものである。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「光カチオン重合開始剤」といい、熱によりカチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「熱カチオン重合開始剤」という。
光カチオン重合開始剤を用い、活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う方法は、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性又は膨張による歪を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着できるため、有利である。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄−アレーン錯体などを用いることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなど。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、
4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロアンチモネート)、
4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど。
また、鉄−アレーン錯体としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなど。
これらの光カチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能である。市販されている光カチオン重合開始剤の例を挙げると、それぞれ商品名で、日本化薬(株)から販売されている“カヤラッド PCI-220”及び“カヤラッド PCI-620”、ユニオンカーバイド社から販売されている“UVI-6990”、(株)ADEKAから販売されている“アデカオプトマー SP-150”及び“アデカオプトマー SP-170”、日本曹達(株)から販売されている“CI-5102”、“CIT-1370”、“CIT-1682”、“CIP-1866S”、“CIP-2048S”及び
“CIP-2064S”、みどり化学(株)から販売されている“DPI-101”、“DPI-102”、
“DPI-103”、“DPI-105”、“MPI-103”、“MPI-105”、“BBI-101”、“BBI-102”、
“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、“TPS-102”、“TPS-103”、“TPS-105”、
“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”、“DTS-103”、ローディア社から販売されている“PI-2074”などがある。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常 0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。
光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ化合物100重量部に対して 0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、機械的強度や接着強度が低下する傾向にある。また、光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ化合物100重量部に対して20重量部を越えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する可能性がある。
光カチオン重合開始剤を用いる場合、エポキシ系接着剤は、必要に応じてさらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、カチオン重合の反応性が向上し、硬化物の機械的強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。
光増感剤のより具体的な例を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、及び4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン及び2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン及び2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン及びN−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などがある。これらの光増感剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。光増感剤は、エポキシ系接着剤を構成する全ての固形分100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲内で含有されることが好ましい。
一方、熱カチオン重合開始剤としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品を容易に入手することが可能である。市販されている熱カチオン重合開始剤の例を挙げると、いずれも商品名で、(株)ADEKAから販売されている“アデカオプトン CP77”及び“アデカオプトン CP66”、日本曹達(株)から販売されている“CI-2639”及び“CI-2624”、三新化学工業(株)から販売されている“サンエイド SI-60L”、“サンエイド SI-80L”及び“サンエイド SI-100L”などがある。
接着剤を構成するエポキシ化合物は、光カチオン重合又は熱カチオン重合のいずれかにより硬化させてもよいし、光カチオン重合及び熱カチオン重合を組み合わせることにより硬化させてもよい。後者の場合、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤とを併用することが好ましい。
また、エポキシ系接着剤は、オキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物をさらに含有してもよい。
オキセタン類は、分子内に4員環エーテルを有する化合物であり、具体例として、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどを挙げることができる。これらのオキセタン類は、市販品を容易に入手することが可能である。市販されているオキセタン類の例を挙げると、いずれも東亞合成(株)から販売されている商品名で、“アロンオキセタン OXT-101”、“アロンオキセタン OXT-121”、“アロンオキセタン OXT-211”、“アロンオキセタン OXT-221”、“アロンオキセタン OXT-212”などがある。これらのオキセタン類は、エポキシ系接着剤を構成する全固形分量を基準に、通常5〜95重量%、好ましくは30重量%以上、また好ましくは70重量%以下の割合で含有される。
ポリオール類は、分子内に複数のアルコール性水酸基を有する化合物であるが、特に、フェノール性水酸基以外の酸性基が存在しないものが好ましく、例えば、水酸基以外の官能基を有しないポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物、フェノール性水酸基を有するポリオール化合物、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。ポリオール類の分子量は、通常48以上、好ましくは62以上、さらに好ましくは100以上、また好ましくは 1,000以下である。これらのポリオール類は、エポキシ系接着剤を構成する全固形分量を基準に、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で含有される。
さらに、エポキシ系接着剤は、本発明の効果を損なわない限り、他の添加剤、例えば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などを含有することができる。イオントラップ剤としては、例えば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系及びこれらの混合系のような無機化合物が挙げられ、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
以上のようなエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を、偏光フィルム又は複合保護フィルムの接着面、もしくはこれら双方の接着面に塗工した後、接着剤の塗工された面で両フィルムを貼合し、活性エネルギー線を照射するか又は加熱することにより、この未硬化の接着剤層を硬化させて、偏光フィルムと透明保護フィルムとをエポキシ系接着剤の硬化物からなる接着剤層を介して、接着することができる。接着剤の塗工は、用いる接着剤の組成や物性などを考慮して適切な方法で行えばよく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が採用できる。
偏光フィルムと複合保護フィルムとの接着に用いるエポキシ系接着剤は、基本的には、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型接着剤として用いることができるが、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、粘度調整のために溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、接着剤を構成するエポキシ化合物を含む各成分を良好に溶解するものを用いることが好ましく、その例として、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤を挙げることができる。
〈硬化工程〉
偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着は、これらフィルム間に介在する接着剤の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ化合物を硬化させることにより行われる。本発明において、活性エネルギー線の照射又は熱によるエポキシ化合物の硬化は、好ましくは、エポキシ化合物のカチオン重合によって行われる。
活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う場合、光源は、接着剤の硬化に有効な活性エネルギー線を発生するものを用いればよく、例えば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプなどが挙げられる。エポキシ系接着剤への光照射強度は、その組成ごとに異なり得るが、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2となるようにすることが好ましい。光照射強度があまりに小さいと、反応時間が長くなりすぎ、一方でその強度を大きくすると、ランプから輻射される熱及び接着剤の重合時の発熱により、接着剤の黄変や偏光フィルムの劣化を生じることがある。エポキシ系接着剤への光照射時間も、その組成ごとに制御されるものであるが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。積算光量があまりに小さいと、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分になることがある。また、積算光量を大きくすると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利になることがある。
熱により接着剤の硬化を行う場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、適切な硬化が生じる条件を採用すればよい。通常は、エポキシ系接着剤に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種又はルイス酸を発生する温度以上で加熱が行われ、具体的な加熱温度は、例えば、50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射又は加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、偏光フィルムの偏光度、透過率及び色相、また透明保護フィルムの透明性及び位相差特性、さらには得られる偏光板の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。
硬化後の接着剤層は、その厚さが0.1〜35μmの範囲にあることが好ましく、さらには0.5μm以上、また15μm 以下の厚さとなるようにすることがより好ましい。この範囲であれば、偏光フィルムとその両面に貼合される透明保護フィルムとの間に浮きや剥がれが生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
先述したとおり、偏光フィルムの両面に張り合わされる透明保護フィルムは、両面とも同じ材料で構成してもよいし、両面を異なる材料で構成してもよい。近年では特に、液晶セルに貼るときに液晶セル側となる透明保護フィルムには、位相差特性又は光学補償特性を持たせ、反対側(液晶セルから遠い側)には、別の樹脂からなる透明保護フィルムを適用することも多い。このように、偏光フィルムの両面に異なる種類の樹脂からなる透明保護フィルムを貼る場合も、本発明は有効に機能する。例えば、偏光フィルムの一方の面に貼合される透明保護フィルムは、セルロース系樹脂で構成し、偏光フィルムの他方の面に貼合される前記透明保護フィルムは、環状オレフィン系樹脂で構成する形態は、好ましいものの一つである。
[偏光板に関するその他の説明]
本発明においては、両面に表面保護フィルムが付いた状態で偏光板が製造されるが、これらの表面保護フィルムは通常、その後に剥離除去される。特に、液晶セルに貼るときに液晶セル側となる透明保護フィルム上には、粘着剤層を設けることが多いが、この場合には、表面保護フィルムを剥離した後、粘着剤層が設けられる。この粘着剤層は、光学透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性、接着性等の粘着特性を示すものであればよいが、特に耐久性に優れるものが好ましく用いられる。具体的には、例えば、アクリル系樹脂からなる感圧性接着剤(アクリル系粘着剤ともいう)が挙げられる。
このアクリル系粘着剤は、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルを1種又は2種以上用いた重合体であるアクリル系樹脂を主成分とする。このアクリル系樹脂には、極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレートといった、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、及びエポキシ基のような極性官能基を有するモノマーが挙げられる。通常はこのようなアクリル系樹脂に架橋剤が配合されて、アクリル系粘着剤とされる。
粘着剤にはこの他、各種の添加剤が配合されていてもよい。好適な添加剤として、シランカップリング剤や帯電防止剤がある。シランカップリング剤は、ガラスとの接着力を高めるうえで有効である。帯電防止剤は、静電気の発生を低減又は防止するうえで有効である。すなわち、粘着剤層を介して偏光板を液晶セルに貼るとき、それまで粘着剤層を覆って仮着保護していた剥離フィルム(セパレータ)を剥がしてから液晶セルに貼り合わされるが、その剥離フィルムを剥がすときに発生する静電気によって、セル内の液晶に配向不良を生じ、液晶表示装置の表示不良をもたらすことがある。このような静電気の発生を低減又は防止するうえで、帯電防止剤の配合が有効である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量又は使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
[実施例1]
(エポキシ系接着剤の調製)
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、及び光カチオン重合開始剤として4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)2.2部を混合した後、脱泡して、エポキシ系接着剤を調製した。 なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合した。ここに示した配合量は、固形分基準である。
(保護フィルム複合化工程)
ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に粘着剤層が形成されており、粘着剤層を含む合計厚さがさ53μmの表面保護フィルム〔藤森工業(株)製の“NBO-D0415”〕を用意した。
トリアセチルセルロースからなる厚さ40μm の透明保護フィルム〔コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製の“KC4UYW”〕に、上記の表面保護フィルム“NBO-D0415” の粘着剤層側を貼合し、トリアセチルセルロース系複合保護フィルムを作製した。また、環状オレフィン系樹脂からなる厚さ23μm の透明保護フィルム〔日本ゼオン(株)製の“ゼオノアフィルム ZF14-023”〕に、上記の表面保護フィルム“NBO-D0415”の粘着剤層側を貼合し、環状オレフィン系複合保護フィルムを作製した。
(貼合工程)
上で作製したトリアセチルセルロース系複合保護フィルムのトリアセチルセルロースフィルム面、及び環状オレフィン系複合保護フィルムの環状オレフィン系樹脂フィルム面にそれぞれ、16.8kJ/m2 の出力でコロナ処理を施した。ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの片面に、上のトリアセチルセルロース系複合保護フィルムのコロナ処理面を、偏光フィルムのもう一方の面には、上の環状オレフィン系複合保護フィルムのコロナ処理面を、それぞれ上で調製したエポキシ系接着剤を介して重ね合わせた。この状態で、両面の複合保護フィルム側からラミネートロールで挟んで貼り合わせた。
(硬化工程)
その後、紫外線照射装置を用いて、波長315〜380nmの範囲にあるUV−A光の積算光量が1,500mJ/cm2となるよう、上の積層フィルムに紫外線を照射し、接着剤を硬化させて偏光フィルムと両面の透明保護フィルムとを接着させ、偏光板を作製した。
(評価)
得られた偏光板の両面から、それぞれ表面保護フィルムを剥離し、その表面を観察したところ、表面凹凸のピッチは細かく、良好な状態であった。
[実施例2]
実施例1において、トリアセチルセルロース系複合保護フィルムを構成する透明保護フィルムを、トリアセチルセルロースからなる厚さ25μm のフィルム〔コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製の“KC2UAW”〕に変更し、その他は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
得られた偏光板の両面から、それぞれ表面保護フィルムを剥離し、その表面を観察したところ、やはり表面凹凸のピッチは細かく、良好な状態であった。
[比較例1]
実施例1において、偏光フィルムの片面に貼り合わせる透明保護フィルムは、表面保護フィルムが貼り合わされていないトリアセチルセルロースからなる厚さ40μm のフィルム“KC4UYW”とし、偏光フィルムの他方の面に貼り合わせる透明保護フィルムは、実施例1と同じ表面保護フィルムが貼り合わされた環状オレフィン系複合保護フィルムとし、その他は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
得られた偏光板から、環状オレフィン系複合保護フィルム側の表面保護フィルムを剥離し、偏光板の表面を観察したところ、表面凹凸のピッチは1〜2mmと不均一であり、良好な状態ではなかった。
[比較例2]
実施例2において、偏光フィルムの片面に貼り合わせる透明保護フィルムは、表面保護フィルムが貼り合わされていないトリアセチルセルロースからなる厚さ25μm のフィルム“KC2UAW”とし、偏光フィルムの他方の面に貼り合わせる透明保護フィルムは、実施例2と同じ表面保護フィルムが貼り合わされた環状オレフィン系複合保護フィルムとし、その他は実施例2と同様にして偏光板を作製した。
得られた偏光板から、環状オレフィン系複合保護フィルム側の表面保護フィルムを剥離し、偏光板の表面を観察したところ、表面凹凸のピッチは1〜2mmと不均一であり、良好な状態ではなかった。
[比較例3]
実施例1において、偏光フィルムの両面に貼り合わせる透明保護フィルムをそれぞれ、表面保護フィルムが貼り合わされていないトリアセチルセルロースからなる厚さ40μm のフィルム“KC4UYW”、及び、表面保護フィルムが貼り合わされていない環状オレフィン系樹脂からなる厚さ23μmのフィルム“ゼオノアフィルム ZF14-023”とし、その他は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
得られた偏光板の表面を観察したところ、表面凹凸のピッチは1〜2mmと不均一であり、良好な状態ではなかった。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの両面に透明保護フィルムを貼合して偏光板を製造する方法であって、
    前記偏光フィルムの両面に貼合される透明保護フィルムのそれぞれに対し、片面に表面保護フィルムを貼り合わせて複合保護フィルムを作製する保護フィルム複合化工程、
    前記保護フィルム複合化工程で得られるそれぞれの複合保護フィルムの表面保護フィルムとは反対側の面を、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有するエポキシ系接着剤を介して、前記偏光フィルムの両面に貼り合わせる貼合工程、 前記エポキシ系接着剤を硬化させる硬化工程、
    及び液晶セル側となる表面保護フィルムを剥離除去し、透明保護フィルム上に粘着剤層を設ける工程をこの順に備え、
    前記エポキシ系接着剤が硬化した接着剤層の厚みが0.5μm以上であることを特徴とする、偏光板の製造方法。
  2. 前記保護フィルム複合化工程は、得られる複合保護フィルムが40μm以上150μm以下の厚さとなるように行われる請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記貼合工程で用いる前記エポキシ系接着剤は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有するエポキシ化合物を含有する請求項1又は2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記偏光フィルムの両面に貼合される前記透明保護フィルムは、それぞれ別の樹脂で構成される請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  5. 前記偏光フィルムの一方の面に貼合される前記透明保護フィルムは、セルロース系樹脂で構成され、前記偏光フィルムの他方の面に貼合される前記透明保護フィルムは、環状オレフィン系樹脂で構成される請求項4に記載の偏光板の製造方法。
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