JP2017145239A - ムチンの製造方法及びムチン - Google Patents

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Abstract

【課題】クラゲから純度の高いムチンを製造する方法を提供する。
【解決手段】破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程と、前記液体成分からムチンを抽出する工程と、を備える、ムチンの製造方法であって、前記クラゲが、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させたクラゲである、ムチンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ムチンの製造方法及びムチンに関する。より具体的には、ムチンの製造方法、ムチン、界面活性剤、イオン交換樹脂及び潤滑剤に関する。
ムチンとは、単純な繰り返し構造を持つペプチド鎖に、1〜10個程度の単糖単位からなる糖鎖が、ペプチド鎖のトレオニン(Thr)残基又はセリン(Ser)残基にO−グリコシド結合で密に結合した高分子糖タンパク質である。ムチンは、細胞や動物の粘液の成分として自然界に多種存在し、細胞組織の保湿、保護、潤滑等の物理的作用や、細菌・ウイルス等の感染を抑制する抗菌作用等を有することが知られている。このため、ムチンを、医薬品、化粧品、健康食品・サプリメント等として利用することが検討されている。
ところで、クラゲは毎年大量発生し、定常的に港湾、漁業施設、発電所等に被害を与えている。陸上に引き上げられたクラゲは、産業廃棄物として取り扱われるため、大部分が水分であるにもかかわらず莫大な処理費用がかかっている。このため、クラゲを有効利用する技術の開発が求められている。例えば、特許文献1には、クラゲからムチンを抽出する方法が記載されている。
特許第5057383号公報
しかしながら、発明者は、特許文献1に記載された方法でクラゲからムチンを抽出すると、ムチンの純度が著しく低下する場合があることを見出した。そこで、本発明は、クラゲから純度の高いムチンを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
(1)破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程と、前記液体成分からムチンを抽出する工程と、を備える、ムチンの製造方法であって、前記クラゲが、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させたクラゲである、ムチンの製造方法。
(2)前記クラゲが、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させ、更にpHを6〜8に調整したクラゲである、(1)に記載のムチンの製造方法。
(3)前記コラーゲン分解酵素阻害剤がエチレンジアミン四酢酸塩である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)糖鎖が硫酸基を有するムチン。
(5)糖鎖を構成する単糖単位の30モル%以上が1つ以上の硫酸基を有する、(4)に記載のムチン。
(6)(4)又は(5)に記載のムチンを有効成分として含有する界面活性剤。
(7)(4)又は(5)に記載のムチンを有効成分として含有するイオン交換樹脂。
(8)(4)又は(5)に記載のムチンを有効成分として含有する潤滑剤。
本発明により、クラゲから純度の高いムチンを製造する方法を提供することができる。
実験例1の結果を示すグラフである。 実験例2の結果を示すグラフである。 実験例3の結果を示すグラフである。 実験例4の結果を示すグラフである。 実験例5の結果を示すグラフである。 実験例8の結果を示すグラフである。 (a)は、実験例10で測定した、pH4で抽出したムチンのイオンクロマトグラムである。(b)は、実験例10で測定した、pH7で抽出したムチンのイオンクロマトグラムである。 実験例11の結果を示すグラフである。 実験例12の結果を示すグラフである。
[ムチンの製造方法]
1実施形態において、本発明は、破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程と、前記液体成分からムチンを抽出する工程と、を備える、ムチンの製造方法であって、前記クラゲが、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させたクラゲである、ムチンの製造方法を提供する。本実施形態の製造方法により、クラゲから純度の高いムチンを容易に製造することができる。
本実施形態のムチンの製造方法は、採取直後のクラゲにコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させる工程と、破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程と、前記液体成分からムチンを抽出する工程と、を備える、製造方法であってもよい。
発明者は、クラゲ由来ムチンの製造において、ムチンの純度が著しく低下する理由の1つとして、クラゲの自己分解により低分子コラーゲンが生成し、これがムチンの精製時にムチンに混入し、ムチンの純度を低下させることを見出した。実施例において後述するように、クラゲの自己分解は、クラゲの採取後数分から数時間程度で著しく進行し、−80℃で凍結しても完全には停止せず、凍結保存状態でもコラーゲンの低分子化が進行した。
発明者はまた、クラゲの自己分解が、クラゲ自身が有するコラーゲン分解酵素及びクラゲに共存する微生物により行われることを見出した。発明者は更に、採取後のクラゲの自己分解による低分子コラーゲンの生成を抑制するために、採取後のクラゲに速やかにコラーゲン分解酵素阻害剤を添加することが有効であることを見出した。
(クラゲ)
クラゲとしては特に制限されず、例えば、ミズクラゲ、エチゼンクラゲ、アカクラゲ、スナイロクラゲ、ハブクラゲ、カミクラゲ等の、ヒドロ虫綱、鉢虫綱、箱虫綱に属する刺胞動物のいずれも用いることができる。また、クラゲは、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させたものであれば、採取直後のものであってもよく、冷凍保存を経たものであってもよい。
(コラーゲン分解酵素阻害剤)
コラーゲン分解酵素阻害剤としては、キレート剤、コラーゲン分解酵素の阻害効果が高い化合物(キレート剤を除く。)等が挙げられる。
《キレート剤》
発明者は、コラーゲン分解酵素阻害剤としてキレート剤が有効であることを見出した。これは、クラゲの体内に存在するコラーゲン分解酵素が、主にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)であるためであると推測している。
キレート剤としては、Mg2+、Ca2+、Zn2+等の金属イオンとの安定化平衡定数pKが約5以上のものが挙げられる。具体的には、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチレンジアミン、β,β’,β’’−トリアミノトリエチルアミン、プオピレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、o−フェナントロリン、α,α’ジピリジル、アラニン、アスパラギン、グリシン、ヒスチジン、トリプトファン、ジヨードチロシン、バリン、システイン、イミノジ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、1,3−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、1,4−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミンジプロピオン酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、グリシン−N−プロピオン酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、テトラメチレンジアミンテトラ酢酸、ペンタメチレンジアミンテトラ酢酸、テトラメタリン酸、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、チオベンゾイルメタン、β−オキシキノリン、エリオクロムブラック−T、エリオクロムブラック−A、エリオクロムブラック−B、エリオクロムブラック−R、o−アミノベンゼンチオール、o−アミノフェノール、グリコールエーテルジアミン四酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、ニトリロトリスメチルホスホン酸、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−5酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラアミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−6酢酸、8−ヒドロキシキノリン−5硫酸等が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩が好適である。エチレンジアミン四酢酸塩としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム等が挙げられる。キレート剤の濃度は、終濃度で、例えば5〜100mMであってもよく、例えば5〜20mMであってもよく、例えば5〜10mMであってもよい。キレート剤は、必要濃度の10〜100倍濃度の水溶液を調製し、クラゲの質量又は体積の1/10〜1/100質量又は体積程度添加して混和すると簡便である。クラゲの身体は寒天状のゲルであり、拡散係数が大きいため、キレート剤の添加時にクラゲを破砕する必要はない。
キレート剤は、クラゲの採取後5時間以内に添加することが好ましく、3時間以内に添加することがより好ましく、1時間以内に添加することが更に好ましい。
《コラーゲン分解酵素の阻害効果が高い化合物》
コラーゲン分解酵素の阻害効果が高い化合物(キレート剤を除く。)としては、例えば、Cd2+、Cu2+、Fe3+、Hg2+、Mn2+、Pb2+、Zn2+、青酸化合物、β1−アンチコラゲナーゼ、DFP(ジイソプロピルフルオロリン酸)、PMSF(フェニルメタンスルホニルフルオリド)、SBTI(ダイズトリプシンインヒビター)、TLCK(Tos−Lys−クロロメチルケトン)、TPCK(Tos−Phe−クロロメチルケトン)、N−[1(R,S)−カルボキシ−n−ブチル]−Leu−Phe−AlaNH、[N−1(r)−カルボキシエチル−α(s)(フェニルエチル)Gly−(S)−Leu−N−フェニルアミド、[N−1(R)−カルボキシエチル−α(s)(2−フェニルエチル)Gly−Leu−N−フェニルアミド、Nα−(nデシルホスホニル)Gly−Pro−Ala、nデシルPOGly−Pro−Ala、2,3−ジメルカプトプロパノール、Nα(エチルホスホニル)Gly−Pro−Ala、N(2R)2[2’ヒドロキシアミノ2’オキソエチル]6フェノキシヘキサノイル−LフェニルアラニルNメチルアミド、N2−(2(5)−[(ヒドロキシカルバモイル)メチル−4−メチルバレリル]−N−1,3一ジメチルバリンアミド、Nα−(イソアミルホスホニル)−Gly−Pro−Ala、(S,S)−3−メルカプト−6−メチル−4−[[[1(S)−[(メチルアミノ)カルボニル]2(3−インドリル)エチル]アミノ]カルボニル]ヘプタン酸メチルエステル、ミノサイクリン、NN((R)−1−ホスホノプロピル)(S)Leu−(S)−3インドイルアラニン−N−メチルアミド、ホスホラミドン、Nαホスホリル−Gly−Pro−Ala−アミド、Nαホスホリル−Gly−Pro−Ala、Nαホスホリル−Gly−Pro−アミド、Z−Phe−psi−(POCH)Gly−Pro−AHX、Z−Phe−psi−(POCH)Gly−Pro−NLE、N−Z−Pro−Leu−Glyヒドロキマート、5−シアナミド−4−オキソ−6−フェニルヘキサノイル−Pro−Pro、ジイソプロピルフロロリン酸、N−(エトキシヒドロキシホスフィニル)−L−Ile−N−メチル−L−トリプトファンアミド、還元型グルタチオン、HS−C−CO−Pro−ホモアルギニン、HS−C−CO−Pro−NH−(4ニトロベンジル)、HS−C−CO−Pro−4ニトロベンジルアミド、8−ヒドロキソキノリン、イソプロピルアルコール、2−メルカプトエタノール、メルカプトトリペプチド、N−(4−ニトロフェニルエチルホスホニル)Gly−L−Pro−L−2−アミノ−ヘキサン酸、N−(3フェニルプロピルホスホニル)Gly−Pro−L−2−アミノ−ヘキサン酸、トリグリコール酸、N−(4−トリフルオロメチルフェニルエチルホスホニル)−Gly−Pro−L−2−アミノヘキサン酸、Z−Gly−Leu−OH、Z−Gly−Pro−Leu−NHOH、Z−Gly−Pro−Leu−OH、Z−Gly−Pro−NHOH、シナモイル(5R,S)−5−アミノ−7−メチル−4−オキソオクタノイル−Pro−Pro、N−ベンジルオキシカルボニル−システイントリプトアミド、4−デジメチルアミノテトラサイクリン、(2R,S)−HONH−Mal(iBu)NH(CHCH、3−(N−ヒドロキシカルバモイル)−2−(R)−イソブチルプロピオニル−L−トリプトファン−N[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]アミド、HSCH(CHCH(CH)CO−Ala−Gly−D−Arg−NH、2−アミノベンジル−Gln−Gly−Pro−2−ナフチルアミド、ドキシサイクリン、ロイペプチン、キモスタチン、マトリルスタチン(Matlystatins)、マリマスタット(Marimastat)、バチマスタット(Batimastat)、セアフラビン(Theaflavin)、アクチノニン(Actinonin)、クロドロネート(Clodronate)、リファンピシン(rifampicin)、カプトプリル(Captopril)、シラシタチン(Cilastatin)、コプチシン(Coptisine)、グリチルレチン酸(Glycyrrhetinic acid)、ベツリン酸、TIMP−2、TIMP−4、AG3340、BB1101、BB1909、BB2014、CGS27023A、CT1166、FN439、FOY305、FUT175、FUT187、GM6001、RO31−4724、RO31−7467、RO31−9790、RO32−3555、RS39066、RS130830、SC40827、SE205、WS79089A、WS79089B、WS79089C等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
採取後のクラゲに速やかにこれらの化合物を添加することにより、クラゲ自身が有するコラーゲン分解酵素や、クラゲに共存する微生物が有するコラーゲン分解酵素を阻害し、クラゲの自己分解による低分子コラーゲンの生成を抑制することができる。
《殺菌剤》
クラゲに共存する微生物による低分子コラーゲンの生成を抑制するためには、採取後のクラゲに殺菌剤を添加することも有効である。
殺菌剤としては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素系殺菌剤、アジ化ナトリウム等を用いることができる。例えば、5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、クラゲの質量又は体積の1/10〜1/100質量又は体積程度添加して混和するとよい。
《pHの調製》
本実施形態のムチンの製造方法において、材料に用いるクラゲは、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させ、更にpHを6〜8に調整したクラゲであることが好ましい。すなわち、本実施形態のムチンの製造方法は、採取直後のクラゲにコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させる工程と、コラーゲン分解酵素阻害剤を接触させたクラゲのpHを6〜8に調整する工程と、破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程と、前記液体成分からムチンを抽出する工程と、を備える、製造方法であってもよい。
実施例において後述するように、発明者らは、コラーゲン分解酵素阻害剤を接触させた後、直ちにpHを6〜8、好ましくはpH約7に調整することにより、製造されるムチンの硫酸基の減少を抑制することができることを明らかにした。つまり、クラゲのpHを調製することにより、硫酸基の含有量がより高いムチンを製造することが可能になる。これは、液体成分のpHを中性に調整したことにより、ムチンを構成するペプチド鎖や糖鎖の加水分解が抑制されるためであると推測される。
実施例において後述するように、発明者らは、硫酸基の含有量がより高いムチンは、界面活性剤としての性能がより高く、潤滑剤としての性能もより高いことを明らかにした。
クラゲのpHの調整は、採取直後のクラゲにコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させた後速やかに行うことが好ましい。特に、コラーゲン分解酵素阻害剤としてキレート剤を使用した場合、クラゲから分離される液体成分のpHが4程度の酸性を示すことがある。これは、キレート剤の添加により、結合していた金属イオンを放出した硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基等が酸性を示すためであると考えられる。
pHを調整するためには、具体的には、クラゲへのキレート剤の添加と同時に、あるいは、キレート剤の添加の直後に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を添加すればよい。
(破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程)
まず、破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する。クラゲの破砕方法は特に制限されず、裁断機、ミキサー等を用いて破砕されたクラゲであってもよい。破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する方法は特に制限されず、例えば、遠心分離によって行ってもよいし、圧搾によって行ってもよいし、ろ過によって行ってもよい。
(高分子コラーゲンを除去する工程)
続いて、任意選択で本工程を実施してもよい。すなわち、破砕されたクラゲから得られた上記の液体成分は、そのまま、後述する金属塩を添加する工程に用いてもよい。あるいは、本工程を実施して高分子コラーゲンを除去した後に、金属塩を添加する工程に用いてもよい。本工程を実施することにより、より純度が高いムチンを製造することが容易になる。また、破砕されたクラゲには浮遊成分が発生する場合があり、この浮遊成分に高分子コラーゲンが多く含まれる場合がある。したがって、浮遊成分が発生した場合には浮遊成分も除去することが好ましい。
本工程では、破砕されたクラゲから分離した液体成分にアルコールを添加し、アルコールの濃度を50容量%程度に調整する。これにより、液体成分中の高分子コラーゲン類が沈殿する。沈殿した高分子コラーゲンは遠心分離等により除去することができる。アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール等を用いることができる。
(液体成分からムチンを抽出する工程)
続いて、上述した液体成分からムチンを抽出する。ムチンの抽出方法は特に制限されず、例えば、上述した液体成分に、アルコールを添加し、アルコール濃度を75容量%程度以上に調整することによりムチンを沈殿させることができる。
ここで、上述した高分子コラーゲンを除去する工程を実施し、アルコール濃度が既に50容量%程度に調整されている場合には、アルコール濃度が75容量%程度以上となるようにアルコールを添加すればよい。ここで得られた沈殿に対して、塩を含まない蒸留水を添加してムチンを再抽出し、残った沈殿を除去する。多くの場合、抽出液はpH=4前後の酸性を示すため、ムチンの加水分解を抑制するために、適当なアルカリ溶液(水酸化ナトリウム溶液が最も好ましい。)を加えてpHを7前後に調整することが適当である。回収したムチンの溶液に対して透析等の脱塩処理を行ない、凍結乾燥することにより、純度の高いムチンを得ることができる。
上述した液体成分からムチンを抽出する別の方法としては、液体成分に金属イオンを添加してムチンを沈殿させることが挙げられる。金属イオンは、水中で電離して金属イオンを生じる金属塩の形態で添加することが簡便である。金属イオンとしては、Ca2+、Sc3+、Ti3+、Ti4+、Ti6+、VO2+、VO3+、V3+、V4+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu、Cu2+、Zn2+、Ga2+、Ga3+、Ge2+、Ge4+、Sr2+、Y3+、ZrO2+、Zr4+、Nb4+、Nb5+、Mo3+、Mo5+、Tb4+、Ru3+、Rh3+、Rh4+、Rh5+、Pd2+、Ag、Cd2+、In3+、Sn2+、Sn4+、Sb3+、Sb5+、Ba2+、La3+、Ce3+、Ce4+、Pr3+、Nd3+等が挙げられる。
金属塩としては、上記のいずれかの金属イオンと陰イオンとのイオン結合により形成された塩が挙げられる。金属塩は水和物であってもよい。陰イオンとしては、無機アニオン及び有機アニオンが挙げられる。無機アニオンとしては、例えば、塩化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。なお、用いた金属イオンとの結合定数が大きく水に溶けにくい難溶性塩を形成する陰イオンは選択することができない。有機アニオンとしては、メシレートイオン、ベシレートイオン、トシレートイオン、トリフレートイオン等のスルホン酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、フマル酸イオン等のカルボン酸イオン等が挙げられる。有機アニオンについても上述した無機アニオンと同様に、用いた金属イオンとの結合定数が大きく水に溶けにくい難溶性塩を形成する陰イオンは選択することができない。
金属塩としては、ほとんどの金属イオンと水に溶けやすい塩をつくり、酸化力の低い塩化物が好適である。また、従来から医薬品や食品添加物として用いられており、安全性が高く、価格も安いことから、金属塩の中でも塩化カルシウムが好適である。
液体成分に金属イオンを添加してムチンを沈殿させる場合には、上述した液体成分に金属塩を投入し撹拌して速やかに溶解させる。金属塩添加時の温度は、溶解を促進するために常温でもよいが、生体分子の分解を抑えるためには低温であることが好ましい。
液体成分に金属塩を添加すると、数秒〜数10秒で沈殿が生成しはじめる。添加する金属塩の量は、ムチンを沈殿させるのに十分な量であれば特に制限されない。但し、大量の金属塩を用いて、過剰に金属イオンをムチン成分に結合させて沈殿させると、後述する、金属イオンを剥離する工程の収率が下がり支障をきたす場合がある。金属塩の添加開始からムチンの沈殿生成の完了までの時間は特に制限されないが、液体成分と金属イオンを長時間反応させると、より多数のイオンが反応して、後に沈殿から金属イオンを除去することが困難になる傾向にあることから、例えば、1時間以内であってもよい。生成した沈殿は、遠心分離、ろ過等により液体成分から回収する。
液体成分に金属イオンを添加して沈殿させたムチンは、そのまま粗精製ムチンとして使用してもよく、更に精製して純度を高めてもよい。例えば、得られた沈殿から金属イオンを剥離することが挙げられる。
沈殿から金属イオンを剥離する方法としては、例えば、沈殿に上述したキレート剤を添加する方法が挙げられる。この場合、ムチンを沈殿させるのに用いた金属イオンとの結合定数がより高いキレート剤を使用することが好適である。
沈殿から金属イオンを剥離する他の方法としては、例えば、ムチンを沈殿させるのに用いた金属イオンと結合して難溶性塩を生じる陰イオンを作用させる方法が挙げられる。
陰イオンは、水中で電離して陰イオンを生じる塩の形態で添加することが簡便である。例えば、ムチンを沈殿させるのにカルシウムイオンを用いた場合には、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウムナトリウム水溶液等を添加すればよい。これにより、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の難溶性塩が形成され、ムチンの沈殿から金属イオンが剥離される。
沈殿から金属イオンを剥離する他の方法としては、例えば、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を用いて金属イオンを剥離する方法が挙げられる。例えば、ムチンの沈殿に、陽イオン交換樹脂及び蒸留水を適量混合して、激しく振とうすることにより、ムチンを液相に溶出させることができる。
あるいは、ムチンの沈殿(ムチン−金属イオン複合体)を、陰イオン交換樹脂に一旦保持させ、ムチンが保持される範囲で適当なイオン濃度のナトリウムイオンを含んだ溶液(例えば塩化ナトリウム溶液)を大量に流して洗浄した後、更に高濃度のナトリウムイオンを含んだ溶液(例えば塩化ナトリウム溶液)で溶出させることにより、ムチンの沈殿に用いた金属イオンをナトリウムイオンに交換することが挙げられる。
ムチンの沈殿から金属イオンを剥離するためには、上述した方法のいずれかを単独で行ってもよいし、複数を組み合わせて行ってもよい。上述した方法のいずれの場合においても、ムチンが溶液中に溶出される。この溶液を回収し、透析等の脱塩処理を行ない、凍結乾燥することにより、純度の高いムチンを得ることができる。但し、得られるムチンには後述する硫酸基の影響で、金属イオンがカウンターイオンとして残留する。これは上述したいずれの剥離方法においても、ムチンそのものを分解しないよう平衡過程を用いているためである。回収した溶液は、この段階でpHを中性程度に中和しておくことが望ましい。
[糖鎖が硫酸基を有するムチン]
1実施形態において、本発明は、糖鎖が硫酸基を有するムチンを提供する。発明者は、クラゲから製造したムチンが、糖鎖に硫酸基を有することを見出した。
上述したように、ムチンは、単純な繰り返し構造を持つペプチド鎖に、1〜10個程度の単糖単位からなる糖鎖が、ペプチド鎖のトレオニン(Thr)残基又はセリン(Ser)残基にO−グリコシド結合で密に結合した高分子糖タンパク質である。
本実施形態のムチンを構成する糖鎖は、糖鎖を構成する単糖単位の30モル%以上が1つ以上の硫酸基を有するものであってもよい。本明細書において、単糖とは、それ以上加水分解されない糖類を意味し、多糖を形成する際の構成要素となる化合物を意味する。単糖は、糖類の最小構成単位であるということもできる。また、本明細書において、「単糖単位」とは、単糖に相当する化学構造を意味する。「単糖単位」は、単糖に由来する化学構造であるということもできる。
本実施形態のムチンは、例えば、上述した製造方法によりクラゲから製造したものであってもよく、人工的に合成したものであってもよい。
本実施形態のムチンは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる繰り返し単位が3〜2000回繰り返したアミノ酸配列を有し、前記アミノ酸配列における1以上のアミノ酸残基に1以上の単糖単位からなる糖鎖が結合しており、前記糖鎖が硫酸基を有しているムチンであってもよい。
ここで、ムチンにおける硫酸基は、6単糖から構成される糖鎖においては、単糖同士のエーテル結合又はO−グリコシド結合部位(1位)の結合にあずかっていない部位の水酸基にエステル結合している。
例えば、N−アセチルガラクトサミンにおいては、糖鎖のエーテル結合又はO−グリコシド結合を形成する1位を除いて、3位、4位、6位に結合する可能性があるが、このうち糖鎖の隣の糖とエーテル結合をしている部位は除かれる。
硫酸基が結合している糖鎖においては、硫酸が強い酸性を示すことから、pH=1程度の強酸性の時以外は、硫酸基は常に解離し負電荷を帯びている。そのため、ムチンの高分子が常時電荷を帯びた状態になる。これは、同様に糖鎖に結合している2−アミノエチルホスホン酸(中程度の酸)のホスホン酸基とアミノ基(弱塩基)、またペプチド主鎖に存在しているグルタミン酸のカルボキシル基(弱酸)とが中性付近でわずかに解離するのと大きく異なっている。
これらの電荷が糖鎖に存在することで、ムチンは巨大な高分子であるにもかかわらず水に溶けやすい。また極性基がペプチド鎖に隣接するため、著しい両親媒性(界面活性能)を示す。したがって、硫酸基の多いムチンは界面活性剤や潤滑剤として働く。
また、解離状態にある硫酸基は、2価以上の金属陽イオンと効果的に結合し、結合定数の大きな陽イオン(たとえばCa2+)を効果的に吸着捕集することができる。また、これらの吸着捕集は平衡過程であるため、結合定数の大きな他の陽イオン、濃度の大きな他の陽イオン、酸、キレート剤等と接触させることで、イオン交換反応を起こすことができる。このイオン交換反応は、他のホスホン酸基、アミノ基、カルボキシル基においても部分的に起きるが、解離度の大きな硫酸基を持つムチンにおいて著しく強力に働く。
すなわち、糖鎖が硫酸基を有するムチンは、他の、硫酸基を有する強酸性イオン交換樹脂(例えば、ベンゼンスルホン酸を側鎖に有するものが挙げられる。)と同様に、イオン交換樹脂として用いることができる。ただし、ペプチド鎖や糖鎖が加水分解されないpH範囲でしか使用することはできない。
ムチンに含まれる硫酸基は、日本薬局方(第十四日本薬局方22)、JIS(JIS K6233、JIS K7229)等に記載されている酸素フラスコ燃焼法を応用した方法により定量することができる。
より具体的には、酸素フラスコを用いて固体ムチンを燃焼させ、生成したガスを過酸化水素水に吸収させる。続いて、ガスを吸収した過酸化水素水をイオンクロマトグラフィーで解析し、硫酸イオンとして定量するとよい。
この場合、炭素由来の炭酸水素イオン(HCO )、窒素由来の硝酸イオン(NO )は、実験誤差内でほぼ一定であるので、それらに対する相対的な硫酸イオン(SO 2−)量が硫黄含有量に相当する。ムチンには、メチオニン、シスチン、システイン等の含硫アミノ酸がほとんど含まれていないため、硫酸として検出される硫黄は全て糖鎖の硫酸エステルであると考えられる。
クラゲから抽出したムチンは、ペプチド鎖のほとんどが、配列番号1に示す8つのアミノ酸の繰り返し構造からなり、糖鎖のほとんどがGalNAcの単糖である場合が多い。そこで、単糖2つを含んだ繰り返し構造1つあたりの分子量はおよそ1200となる。この値を利用して、硫黄含有量の重量パーセントから糖鎖1個あたりの硫酸基の量を見積もることができる。
[界面活性剤]
1実施形態において、本発明は、上述したムチンを有効成分として含有する界面活性剤を提供する。
発明者は、糖鎖が硫酸基を有するムチンが、界面活性剤としての性質を有することを見出した。本実施形態の界面活性剤は、生体由来界面活性剤であるため、例えば目の粘膜の保護等に安全に利用することができる。また、生分解性を有するため環境に放出されても環境負荷は著しく小さい。
例えば、硫酸糖が結合したムチンを、ドライアイの治療又は予防用目薬に添加したり、コンタクトレンズの保存液に添加する等の利用が考えられる。
本実施形態の界面活性剤は、例えばクラゲ等から抽出した抽出物であってもよいが、医薬品等としての安全性を確保する観点からは、化学合成されたものであることがより好ましい。
[イオン交換樹脂]
1実施形態において、本発明は、上述したムチンを有効成分として含有するイオン交換樹脂を提供する。
上述したように、糖鎖が硫酸基を有するムチンは、カチオン交換樹脂としての機能を有している。これは、上述した、沈殿したムチンから金属イオンを剥離する工程において、ムチン上に存在するカルシウムイオンが、他のイオンに置き換わることからも明らかである。
カルシウム吸着量の多いムチンは水に不溶であるため、樹脂として水中に配置することができる。この樹脂には、カルシウムイオンが吸着していない硫酸基が残っており、それらが陽イオン吸着活性を持つため、ムチン分子全体がイオン交換樹脂としての機能を有する。但し、一般的なイオン交換樹脂と異なり、中性付近以外では糖鎖やペプチド鎖が加水分解されやすいため長期間用いることができない場合がある。一方、ムチンを有効成分として含有するイオン交換樹脂は、環境中では生分解性を有するため、自然の環境中においても分解しやすく、環境負荷を与えないという利点を有する。
[潤滑剤]
1実施形態において、本発明は、上述したムチンを有効成分として含有する潤滑剤を提供する。
発明者は、糖鎖が硫酸基を有するムチンが、潤滑剤としての性質を有することを見出した。本実施形態の潤滑剤は、生体由来潤滑剤であるため、例えば関節における軟骨の保護等に安全に利用することができる。具体的には、糖鎖が硫酸基を有するムチンを、変形性膝関節症の治療のために関節に注射する等の利用が考えられる。
ムチンの潤滑剤としての機能の発現は、ムチンの界面活性剤としての機能(界面活性能)に密接に関係する。すなわち、界面活性能は、固体界面等におけるムチン水溶液の濡れ性を増大させ、接触面の間に欠陥なく液膜を覆わせることができる能力でも有り、硫酸基の含有量が高いムチンでは更にその機能が増大する。
本実施形態の潤滑剤は、例えばクラゲ等から抽出した抽出物であってもよいが、医薬品等としての安全性を確保する観点からは、化学合成されたものであることがより好ましい。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
(クラゲの自己分解の検討1)
採取したクラゲを、そのまま−20℃、−50℃又は−80℃で凍結保存した。凍結から図1の横軸に示す日数後に解凍し、網目2mmのザルに入れて固体成分及び液体成分に分離し、固体成分の割合(質量%)を測定した。
図1は、固体成分の割合(質量%)の変化を示すグラフである。その結果、−20℃で保存したクラゲは、約3ヶ月後にほぼ完全に自己分解し液化してしまうことが明らかとなった。一方、−50℃及び−80℃で保存したクラゲは、最初の約1週間で固体成分が約40質量%に減少するが、それ以降は自己分解がほぼ停止することが明らかになった。
[実験例2]
(クラゲの自己分解の検討2)
採取したクラゲに終濃度0.01、0.1、1及び10mMのEDTAを添加し、室温及び4℃で保存した。EDTAの添加は、採取後のクラゲに終濃度の10倍の濃度のEDTA水溶液を添加し、混和することにより行った。保存開始から図2の横軸に示す日数後に、網目2mmのザルに入れて固体成分及び液体成分に分離し、固体成分の割合(質量%)を測定した。
図2は、固体成分の割合(質量%)の変化を示すグラフである。その結果、室温保存では約3〜4日で固体成分が分解した。室温保存における固体成分の分解速度は、EDTA濃度が高い方が遅かった。一方、4℃では最大10日程度固体成分が残留した。4℃における固体成分の分解速度は、EDTA濃度が高い方が遅かった。
本実験例の結果から、EDTAの終濃度10mMにおいて、最もクラゲの自己分解を抑制する効果が高いことが示された。
[実施例3]
(クラゲの自己分解の検討3)
採取したクラゲに終濃度0、0.01、0.1、1及び10mMのEDTAを添加し、−20℃で保存した。EDTAの添加は、採取後のクラゲに終濃度の10倍の濃度のEDTA水溶液を添加し、混和することにより行った。保存開始から図3の横軸に示す日数後に、網目2mmのザルに入れて固体成分及び液体成分に分離し、固体成分の割合(質量%)を測定した。
図3は、固体成分の割合(質量%)の変化を示すグラフである。その結果、EDTAの終濃度が1mM及び10mMの試料において、保存開始から2〜3ヶ月後に、EDTA無添加の試料と比較して、固体成分の割合に有意な差が生じたことが明らかとなった。また、クラゲの分解速度は、EDTA濃度が高い方が遅かった。
本実験例においても、EDTAの終濃度10mMにおいて、最もクラゲの自己分解を抑制する効果が高いことが示された。
[実施例4]
(クラゲの自己分解の検討4)
採取したクラゲから、そのまま何も添加しなかった群(対照)、殺菌剤のみ添加した群、終濃度10mMのEDTAのみ添加した群、終濃度1mMのEDTA及び殺菌剤を添加した群、終濃度10mMのEDTA及び殺菌剤を添加した群を調製した。殺菌剤としては、終濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用した。
その後、各群の試料を室温で保存した。保存開始から図4の横軸に示す日数後に、網目2mmのザルに入れて固体成分及び液体成分に分離し、固体成分の割合(質量%)を測定した。
図4は、固体成分の割合(質量%)の変化を示すグラフである。その結果、終濃度10mMのEDTA及び殺菌剤を添加した群において、最もクラゲの自己分解を抑制する効果が高いことが示された。
[実施例5]
(クラゲの自己分解の検討5)
採取したクラゲから、そのまま何も添加しなかった群(対照)、殺菌剤のみ添加した群、終濃度10mMのEDTAのみ添加した群、終濃度1mMのEDTA及び殺菌剤を添加した群、終濃度10mMのEDTA及び殺菌剤を添加した群を調製した。殺菌剤としては、終濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用した。
その後、各群の試料を4℃で保存した。保存開始から図5の横軸に示す日数後に、網目2mmのザルに入れて固体成分及び液体成分に分離し、固体成分の割合(質量%)を測定した。
図5は、固体成分の割合(質量%)の変化を示すグラフである。その結果、4℃で保存した場合には、終濃度10mMのEDTA及び殺菌剤を添加した群と、終濃度10mMのEDTAのみ添加した群において、クラゲの自己分解を抑制する効果が同等であることが示された。
[実施例6]
(ムチンの製造)
同時期に採取したミズクラゲを等量の2つのグループA及びBに分けた。グループAには、終濃度10mMのEDTA及び終濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを添加した。グループBには何も添加しなかった。なお、グループAでは、pHの調整は行わなかった。続いて、各グループのクラゲをそれぞれジッパー付きビニール袋に入れ、空気を追い出してジッパーを閉じ、数回揉んだ後−20℃で凍結保存した。
1ヶ月後に各グループのクラゲをそれぞれ解凍して破砕し、それぞれ10000×gで遠心分離した。下記表1において、ここで得られた沈殿を「はじめの残さ」として示す。
この過程で、グループAの試料においてのみ浮遊成分が生じた。下記表1において、この浮遊成分を「浮遊成分」として示す。そこで、この浮遊成分を回収しアミノ酸分析した。その結果、この浮遊成分の主成分はコラーゲンであると考えられた。
続いて、グループA及びBの試料の遠心分離後の上清をそれぞれ回収し、4℃で上清の3倍容量のアルコールを徐々に添加して沈殿を生成させた。続いて、グループA及びBの試料に生じた沈殿を10000×gで遠心分離してそれぞれ回収した。
続いて、上記の沈殿に、沈殿の2倍質量の純水を添加して2時間撹拌した後、再び10000×gで遠心分離し、上清をムチン含有液としてそれぞれ回収した。また、遠心分離後に残った沈殿をアミノ酸分析した。下記表1において、この沈殿を「エタ沈残留物」として示す。その結果、この沈殿の主成分はコラーゲンであると考えられた。また、沈殿にはムチンも一部混入していると考えられた。
続いて、遠心分離後の上清として回収したムチンを脱塩、凍結乾燥した。下記表1において、得られたムチンを「精製ムチン」として示す。
下記表1に、上記の精製過程における試料の質量及び収率を示す。収率は、材料に用いたクラゲの湿質量に対する百分率で示す。その結果、グループAの方が、グループBよりもムチンの収率が高かった。また、グループA及びグループBの試料から精製したムチンをイオン交換クロマトグラフィーにより解析した結果、グループAの試料から精製したムチンは、グループBの試料から精製したムチンと比較して、コラーゲンの混入量が有意に少なく、より純度が高いことが明らかとなった。
Figure 2017145239
[実験例7]
(ムチンの糖鎖構造の解析)
実験例6のグループAと同様にして調製したムチンの糖鎖構造を詳細に解析した。具体的には、ムチンからヒドラジン分解及びβ脱離反応により糖鎖を切り離し、HPLCを装着したエレクトロンスプレーイオン化高分解能質量分析器(ESI−MS)で分析した。
その結果、HPLCのいくつかのクロマトピークにおいて、SO −HexNAc(301.0468)、SO Hex−HexNAc(462.0996)、SO HexNAc−HexNAc(504.1261)、SO Hex−HexNAc−HexNAc(666.1789)の高分解能質量に対応するMSピークが存在することが確認された。ここで、Hexは6単糖を意味する。これは、本解析方法では、構成単糖が6単糖である限り、それが如何なる糖であるかを識別することが困難であるためである。
また、本解析方法では、糖鎖の脱離時に多くの硫酸基が副反応として脱離している可能性があるため、硫酸基の定量はできない。そこで、アミノ酸分析、NMR、ラマン分光により、ムチン内にシスチン及びシステインが多量に存在しないことを確認して、燃焼フラスコで燃焼させた灰を過酸化水素水溶液に吸収し、この中に含まれる硫酸イオンをイオンクロマトグラフィーで定量して、含有量を求めた。
その結果、試料によって異なるが、どの試料においても全質量の約3〜5質量%が硫酸イオンであることが明らかとなった。この量を用いて概算する。2つの糖鎖が単糖GalNAcであり、1繰り返しユニットの分子量を1200と仮定すると、3%は36にあたり、硫黄原子約1個となる。この結果は、糖鎖を構成する糖鎖の約30〜50モル%が、1つは硫酸基を有することを示している。
[実験例8]
(ムチン水溶液の表面張力の測定1)
ムチンの界面活性剤としての性質を解析した。具体的には、ムチン水溶液の界面活性能(両親媒性)を、その表面張力を測定することにより検討した。ムチンとしては、実験例6のグループAと同様にして調製したムチンを使用した。
ムチン水溶液を接触角計(型式「DMs−401」、協和界面化学社製)の垂直に立てたシリンジに充填し、容量8μLの液滴をテフロン(登録商標)コート針から懸垂させ、その形状から表面張力を求めた。
図6は、測定結果を示すグラフである。その結果、ムチンの濃度が増加するにつれて、表面張力が約71mN/mから次第に低下し、ムチン濃度10mg/mLでは、表面張力が約58mN/mにまで低下した。
ムチンのような高分子化合物は、濃度増加に伴い粘度が増大するため、通常は、濃度が増加しても表面張力が変化しないか、わずかに増大するはずである。これに対し、濃度増加に伴って表面張力が低下したという結果は、ムチン水溶液に界面活性能があることを示す。図6に示すように、ムチンで見られた上記の結果は、ムチンと同等の条件で表面張力を測定した、ポリアニオンであるヒアルロン酸と大きく異なっていた。
[実験例9]
(クラゲ由来ムチンの沈殿の調製)
湿重量2kgのクラゲをミキサーで破砕して破砕液を調製した。続いて破砕液を遠心分離して上清を回収し、ガラス製の容器に入れた。続いて、回収した上清を激しく撹拌しながら、4℃で2Lのエタノールを30分間かけて添加した。その結果、高分子コラーゲンの沈殿が形成された。約半日静置した後、遠心分離して高分子コラーゲンの沈殿を除去し、上清を回収した。回収した上清に、塩化カルシウム粉末(CaCl・2HO)を10g添加し、撹拌して溶解させた。その結果、ムチンの沈殿が形成され、数分で溶液が濁り始めた。30分後、遠心分離を行って、カルシウム化したムチンの沈殿を回収した。沈殿の量は700mgであった。
[実験例10]
(ムチンの硫酸基の解析)
実験例6のグループAと同様にして調製したムチン、及び、ミズクラゲに終濃度10mMのEDTA及び終濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを添加し、その直後にpHを7に調整した点以外は実験例6のグループAと同様にして調製したムチンを用意した。
なお、実験例6のグループAでは、終濃度10mMのEDTA及び終濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを添加したミズクラゲのpHは約4であった。
以下、実験例6のグループAと同様にして調製したムチンを「pH4で抽出したムチン」という場合がある。また、pHを7に調整して調製したムチンを「pH7で抽出したムチン」という場合がある。
続いて、イオンクロマトグラフィーにより各ムチンを解析した。イオンクロマトグラフィーでは、TSKgel Anion−PWカラム(東ソー製)及びTSKgel IC−ASガードカラム(東ソー製)を用いた。また、L−3730電導度検出器(日立製)、L−5025カラムオーブン(日立製)、CCPDポンプ(東ソー製)を用いた。また、移動相には、アニオン標準液(TSKgel eluent IC−Anion−A、東ソー製)を用いた。
図7(a)はpH4で抽出したムチンのイオンクロマトグラムである。また、図7(b)はpH7で抽出したムチンのイオンクロマトグラムである。図7(a)及び(b)において、炭素由来の炭酸水素イオン(HCO )、窒素由来の硝酸イオン(NO )は、実験誤差内でほぼ一定であるので、それらに対する相対的な硫酸イオン(SO 2−)量がムチンの硫黄含有量に相当する。
ここで、クラゲ由来のムチンには含硫アミノ酸がほとんど含まれていないため、検出された硫黄は、ムチンの硫酸基に由来するとみなすことができる。
その結果、pH7で抽出したムチンは、pH4で抽出したムチンよりも硫酸基の含有量が高いことが明らかとなった。
[実験例11]
(ムチン水溶液の表面張力の測定2)
実験例6のグループAと同様にして調製したムチン(pH4で抽出したムチン)、及び、ミズクラゲに終濃度10mMのEDTA及び終濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを添加し、その直後にpHを7に調整した点以外は実験例6のグループAと同様にして調製したムチン(pH7で抽出したムチン)を用意した。
続いて、各ムチンを用いて様々な濃度の水溶液を作製し、それぞれ接触角計(型式「DMs−401」、協和界面化学社製)の垂直に立てたシリンジに充填し、容量8μLの液滴をテフロン(登録商標)コート針から懸垂させ、その形状から表面張力を求めた。
図8は、測定結果を示すグラフである。その結果、ムチンの濃度が増加するにつれて、表面張力が約71mN/mから次第に低下した。ムチン濃度10mg/mLにおいて、pH4で抽出したムチンの表面張力は約59(mN/m)にまで低下した。また、ムチン濃度10mg/mLにおいて、pH7で抽出したムチンの表面張力は約54(mN/m)にまで低下した。
上述したように、ムチンのような高分子化合物は、濃度増加に伴い粘度が増大するため、通常は、濃度が増加しても表面張力が変化しないか、わずかに増大するはずである。これに対し、濃度増加に伴って表面張力が低下したという結果は、ムチン水溶液に界面活性能があることを示す。更に、pH7で抽出したムチンは、pH4で抽出したムチンよりも界面活性剤としての性能が高いことが明らかとなった。
[実施例12]
(ムチン水溶液の潤滑性の検討)
表面性測定器(型式「TRIBOGEAR TYPE:38」、新東科学株式会社)を用いて、1mg/mL及び10mg/mLのムチン水溶液の存在下で、100gの荷重をかけた直径10mmのステンレス球とステンレス平面板の間の動摩擦係数を測定した。また、対照として水を用いて同様の測定を行った。
図9は、動摩擦係数の測定結果を示すグラフである。図9中、矢印の時点(100ストローク目)に、各濃度のムチン水溶液又は水を、ステンレス球とステンレス平面板との接触面に添加した。
その結果、ムチン水溶液の添加後に、動摩擦係数が低下したことが明らかとなった。動摩擦係数の低下は、水を添加した場合よりもムチン水溶液を添加した場合の方が大きかった。また、ムチン濃度が高い方がより動摩擦係数の低下が大きいことが明らかとなった。
本発明により、クラゲから純度の高いムチンを製造する方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 破砕されたクラゲを液体成分及び固体成分に分離する工程と、前記液体成分からムチンを抽出する工程と、を備える、ムチンの製造方法であって、
    前記クラゲが、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させたクラゲである、ムチンの製造方法。
  2. 前記クラゲが、採取直後にコラーゲン分解酵素阻害剤を接触させ、更にpHを6〜8に調整したクラゲである、請求項1に記載のムチンの製造方法。
  3. 前記コラーゲン分解酵素阻害剤がエチレンジアミン四酢酸塩である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 糖鎖が硫酸基を有するムチン。
  5. 糖鎖を構成する単糖単位の30モル%以上が1つ以上の硫酸基を有する、請求項4に記載のムチン。
  6. 請求項4又は5に記載のムチンを有効成分として含有する界面活性剤。
  7. 請求項4又は5に記載のムチンを有効成分として含有するイオン交換樹脂。
  8. 請求項4又は5に記載のムチンを有効成分として含有する潤滑剤。
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