JP2017142431A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー中にポリ乳酸を導入した場合において、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制性に優れ、かつ低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーの製造方法を提供する。【解決手段】下記工程1〜工程4を含む電子写真用トナーの製造方法。工程1:ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、水酸基価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L1と、結晶性ポリ乳酸と、を140℃以上230℃以下で溶融混練する工程工程2:工程1で得られた溶融混練物と、軟化点が122℃以上150℃以下である非晶質樹脂Hと、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L2と、着色剤と、離型剤とを混合する工程工程3:工程2で得られた混合物を溶融混練する工程工程4:工程3で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、さまざまな環境下においてもトナー性能が損なわれない高信頼性の観点から、電子写真方式の印刷に用いられるトナーには、低温定着性と耐久性の向上が強く求められている。
一方で、電子写真方式用現像剤であるトナーには環境負荷低減を目的に植物由来原料であるポリ乳酸の使用の検討が行われている。
特許文献1では、耐久性、耐熱保存性及び耐高温オフセット性に優れる静電荷像現像用トナーの製造方法として、少なくとも非晶質ポリエステルと結晶性ポリ乳酸を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、非晶質ポリエステルと結晶性ポリ乳酸を140〜250℃で混合する工程1、工程1で得られた混合物を溶融混練する工程2、及び工程2で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程3を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。
特開2014−112207号公報
しかしながら、ポリ乳酸はトナー帯電性が必ずしも満足に得られるわけではない。特に高温度高湿度環境下では帯電性不良に起因するカブリ等の課題が生じやすくなる。高温度高湿度環境下ではトナーの現像ローラへの静電気的付着力が弱くなり、現像ローラの表面に担持されたトナーが、担持体上の本来白地となるべき部分に付着して、印刷画像の白地部分にトナーが転写されてしまう。
したがって、本発明は、トナー中にポリ乳酸を導入した場合において、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制性に優れ、かつ低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーの製造方法を提供する。
すなわち本発明は、下記工程1〜工程4を含む電子写真用トナーの製造方法に関する。
工程1:ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、水酸基価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L1と、結晶性ポリ乳酸と、を140℃以上230℃以下で溶融混練する工程
工程2:工程1で得られた溶融混練物と、軟化点が122℃以上150℃以下である非晶質樹脂Hと、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L2と、着色剤と、離型剤とを混合する工程
工程3:工程2で得られた混合物を溶融混練する工程
工程4:工程3で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程
また、本発明は、上記工程1〜4を含む工程で得られた電子写真用トナーに関する。
本発明によれば、トナー中にポリ乳酸を導入した場合において、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制性に優れ、かつ低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、下記工程1〜工程4を含む。
工程1:ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、水酸基価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L1と、結晶性ポリ乳酸と、を140℃以上230℃以下で溶融混練する工程
工程2:工程1で得られた溶融混練物と、軟化点が122℃以上150℃以下である非晶質樹脂Hと、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L2と、着色剤と、離型剤とを混合する工程
工程3:工程2で得られた混合物を溶融混練する工程
工程4:工程3で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程
本発明によれば、トナー中にポリ乳酸を導入した場合において、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制性に優れ、かつ低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明がこのような効果を奏する理由は、定かではないが次のように考えられる。結晶性ポリ乳酸は、脂肪族モノマーより構成されているため、分子構造中に芳香環を有しない。そのため、電子写真用トナーに結晶性ポリ乳酸を用いた場合、トナー中の芳香環濃度が低くなる傾向にある。そこで、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとを有する、非晶質複合樹脂を導入することで、電子写真用トナー中の芳香環濃度が上昇し帯電性が向上し、カブリ抑制性の効果が得られたと考えられる。
加えて、工程1において、所定の水酸基価を有するポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとを有する複合樹脂を用いることによって、複合樹脂とポリ乳酸がエステル交換反応し、これらの樹脂の複合体が形成され、他の結着樹脂との相溶性が高くなり、低温定着性と耐久性の両方が向上したものと考えられる。
本発明において、各用語の意味は以下のとおりである。
「結着樹脂」とは、非晶質複合樹脂L1、結晶性ポリ乳酸、及びこれらの反応物、非晶質樹脂H、非晶質複合樹脂L2の総称であり、含有量等において「結着樹脂に対して」とは、前述の樹脂の合計量に対する数値を意味する。
結晶性ポリ乳酸以外の結着樹脂に関して、「結晶性」とは、示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最高ピーク温度(℃)に対する軟化点(℃)の比、すなわち[(軟化点)/(吸熱の最高ピーク温度)]で定義される結晶性指数の値が0.6以上、好ましくは0.8以上であり、そして、1.4未満、好ましくは1.2以下であることを意味する。
結晶性ポリ乳酸以外の結着樹脂に関して、「非晶質」とは、前記結晶性指数の値が1.4以上、又は0.6未満であることを意味する。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば結晶性樹脂の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質樹脂のガラス転移に起因するピークとする。
ポリ乳酸に関して、「結晶性」とは、結晶化度が20%以上であることを意味する。
なお、上記結晶化度は、実施例に記載の方法により求めることができる。
以下「電子写真用トナー」を単に「トナー」ともいう。
[工程1]
工程1では、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、水酸基価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L1と、結晶性ポリ乳酸と、を140℃以上230℃以下で溶融混練する。
<非晶質複合樹脂L1>
非晶質複合樹脂L1は、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する。
非晶質複合樹脂L1は、結晶性ポリ乳酸との複合体を形成し、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、水酸基価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であり、好ましくは15mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは25mgKOH/g以上、更に好ましくは30mgKOH/g以上である。そして、当該水酸基価は、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下である。
非晶質複合樹脂L1は、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、軟化点が80℃以上120℃以下であり、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは105℃以上であり、そして、好ましくは115℃以下、より好ましくは113℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
本発明において、軟化点の測定方法は、実施例に記載の方法による。
〔ポリエステル系樹脂セグメント〕
非晶質複合樹脂L1において、ポリエステル系樹脂セグメントは、アルコール成分と、カルボン酸成分とを重縮合させて得られるポリエステル系樹脂よりなる。
(アルコール成分)
アルコール成分としては、芳香族ポリオール化合物であっても、脂肪族ポリオール化合物であってもよい。
芳香族ポリオール化合物としては、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは芳香族ジオールであり、より好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、更に好ましくは式(I):

〔式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。〕で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物の組合せが好ましい。
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物と2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物とのモル比[2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物/2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物]は、好ましくは40/60以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは75/25以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
脂肪族ポリオール化合物としては、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられ、これらの中でも、上記脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ポリオール化合物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは15モル%以下であり、そして、0モル%以上である。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、耐久性の観点から芳香族ジカルボン酸化合物が好ましく、低温定着性の観点から脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下であり、そして、好ましくは0モル%以上である。
また、カルボン酸成分は、生産性の観点から、3価以上のカルボン酸化合物を含有していることが好ましく、3価のカルボン酸化合物を含有していることがより好ましい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸又はこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸及びその無水物(以下、トリメリット酸及びその無水物を総称して、単に「トリメリット酸等」ともいう。)が好ましい。
3価以上のカルボン酸化合物の含有量、好ましくはトリメリット酸等の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸が、分子量調整の観点から、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、末端基を調整する観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
〔スチレン系樹脂セグメント〕
スチレン系樹脂セグメントとしては、スチレン化合物を含む原料モノマーの付加重合により得られるものが好ましい。
スチレン化合物としては、少なくとも、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体が用いられる。
スチレン化合物の含有量は、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー中、カブリ抑制及び耐久性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましく90質量%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下である。
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類等が挙げられる。
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーは、単独又は2種以上を使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーの中では、トナーの低温定着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、上記の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは8以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの接頭辞が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの接頭辞が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー中、低温定着性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
なお、スチレン化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む原料モノマーを付加重合させて得られる樹脂をスチレン−(メタ)アクリル樹脂ともいう。
スチレン系樹脂セグメントの原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは235℃以下、更に好ましくは220℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下程度が好ましい。
(両反応性モノマー)
非晶質複合樹脂L1は、低温定着性及び耐久性の観点から、
(a)ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーとスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーに加えて、更にポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー及びスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る、両反応性モノマーを用いて得られる複合樹脂であることが好ましく、
(b)芳香族ジオールを含むアルコール成分とカルボン酸成分とを含む、ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー、及び両セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを用いて得られる複合樹脂であることが更に好ましい。
ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー及びスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、重縮合反応及び/又は付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことが好ましい。これにより、複合樹脂は、両反応性モノマー由来の構成単位を介してポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとが結合した複合樹脂となり、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとがより微細に、かつ均一に分散したものとなる。
すなわち、非晶質複合樹脂L1は、トナーの耐久性及び低温定着性を向上させる観点から、
(i)式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを含む、ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー、(ii)スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー、及び(iii)ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー及びスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを重合させることにより得られる樹脂であることが好ましい。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基、より好ましくはカルボキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより向上させることができる。両反応性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸がより好ましい。但し、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸は、ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーである。
両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、ポリエステル系樹脂セグメントのアルコール成分の合計100モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは2モル以上、更に好ましくは3モル以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは20モル以下、より好ましくは10モル以下、更に好ましくは7モル以下である。
非晶質複合樹脂L1における、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/スチレン系樹脂セグメント)は、低温定着性の観点から、好ましくは70/30以上、より好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル系樹脂セグメントの質量は、用いられるポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂セグメントの量は、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー量であるが、重合開始剤の量はスチレン系樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。
〔非晶質複合樹脂L1の物性〕
非晶質複合樹脂L1のガラス転移温度は、耐久性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
非晶質複合樹脂L1の酸価は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上である。
本発明において、ガラス転移温度及び酸価は、実施例に記載の方法により測定される。
〔非晶質複合樹脂L1の配合量〕
工程1において、非晶質複合樹脂L1の配合量は、溶融混練物の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
<結晶性ポリ乳酸>
結晶性ポリ乳酸の結晶化度は、低温定着性、及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であり、そして、100%以下である。
結晶性ポリ乳酸は、乳酸のホモポリマーであっても、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーであってもよい。
結晶性ポリ乳酸のモノマーである乳酸は、L−乳酸、D−乳酸のいずれであってもよい。
他のヒドロキシカルボン酸としては、炭素数3以上8以下のヒドロキシカルボン酸が挙げられ、具体的には、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。
結晶性ポリ乳酸を構成するモノマー中の乳酸の含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは実質的に100モル%である。したがって、ポリ乳酸は、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーよりも、乳酸のホモポリマーであることが好ましい。
結晶性ポリ乳酸は、乳酸の重縮合、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との重縮合により、常法に従って製造することができるが、本発明では、市販されている結晶性ポリ乳酸、例えば、「N-3000」(ガラス転移温度:63℃)、「N-4000」(ガラス転移温度:61℃)(以上、乳酸のホモポリマー、Nature Works社製)を使用することもできる。
結晶性ポリ乳酸の数平均分子量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは60,000以上、より好ましくは100,000以上、更に好ましくは150,000以上、更に好ましくは180,000以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは300,000以下、より好ましくは250,000以下、更に好ましくは200,000以下である。
結晶性ポリ乳酸の重量平均分子量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは60,000以上、より好ましくは100,000以上、更に好ましくは250,000以上、更に好ましくは400,000以上、更に好ましくは450,000以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは700,000以下、より好ましくは550,000以下、更に好ましくは500,000以下である。
結晶性ポリ乳酸の融点は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは155℃以上、より好ましくは160℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは175℃以下である。
工程1で配合する、非晶質複合樹脂L1と結晶性ポリ乳酸との質量比(非晶質複合樹脂L1/結晶性ポリ乳酸)は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは30/70以上、より好ましくは35/65以上、更に好ましくは40/60以上、更に好ましくは45/55以上であり、そして、耐久性を向上させる観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下である。
結着樹脂は、前記の如く、非晶質複合樹脂L1のポリエステル系樹脂セグメントとポリ乳酸との間でエステル交換反応させることによって、ポリ乳酸の一部が置換したポリスチレン‐ポリエステル‐ポリ乳酸ブロック共重合体を含む。
<工程1の条件>
工程1では、溶融混練は、低温定着性、及び耐久性の観点から、好ましくは連続式多軸混練機を用いて行う。連続式多軸混練機としては、例えば、押出し流れによる横型重合槽、強制押出反応装置が挙げられる。
連続式多軸混練機は、好ましくは連続式二軸混練機である。
連続式多軸混練機は、例えば、内部の温度調節機構を有するトラフと、パドルを有する長軸スクリューを2以上有する。前記長軸スクリューは、前記トラフ内の長軸方向に沿って互いに平行に配される。パドル径に対するトラフ長の比(以下単に「L/D比」ともいう)は、溶融混練の条件を調整しやすくする観点から、好ましくは5以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは13以下である。
連続式多軸混練機の例としては、KRCニーダ(株式会社栗本鐵工所製、商品名「S1KRCニーダ」)が挙げられる。
工程1における滞留時間は、低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは2分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは4分以上、更に好ましくは5分以上であり、そして、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは90分以下、より好ましくは70分以下、更に好ましくは60分以下、更に好ましくは50分以下、更に好ましくは40分以下、更に好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下である。なお、滞留時間とは、樹脂を連続式多軸混練機に供給してから排出されるまでの時間のことをいう。
工程1のエステル交換反応において、ポリ乳酸を基準とするエステル交換率は、ポリ乳酸中の全エステル結合中、トナーの低温定着性、及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、更に好ましくは5%以上、更に好ましくは6%以上、更に好ましくは8%以上、更に好ましくは10%以上であり、そして、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下、更に好ましくは18%以下、更に好ましくは16%以下、更に好ましくは15%以下である。
ポリ乳酸を基準とするエステル交換率は、13C-NMR法によりポリ乳酸エステル結合のカルボニル炭素由来のピークとエステル交換後に出現するカルボニル炭素由来のピークとの積分強度の変化量から見積もることができ、実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明におけるエステル交換反応とは、ポリ乳酸由来の成分とポリエステル由来の成分との間で生じたエステル交換反応を指し、ポリ乳酸由来の成分間、及びポリエステル由来の成分間でのエステル交換反応は含まない。
工程1において、溶融混練温度は、ポリエステルとポリ乳酸とのエステル交換率を高めて、低温定着性、耐久性に優れる観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは190℃以上、更に好ましくは195℃以上であり、そして、耐久性に優れる観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
本発明は、トナーの原料混合物の調製において工程1を含むものであるが、工程1で得られた樹脂組成物は、冷却して、0.01〜3mm程度の粒径に粉砕した後、トナー原料として、続く工程に供することが好ましい。
[工程2]
工程2では、工程1で得られた溶融混練物と、軟化点が122℃以上150℃以下である非晶質樹脂Hと、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L2と、着色剤と、離型剤とを混合する。
工程2において、工程1で得られた溶融混練物の配合量は、結着樹脂の総量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
<非晶質樹脂H>
非晶質樹脂Hは、耐久性を得る観点から、軟化点が、122℃以上150℃以下であり、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは132℃以上であり、そして、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは138℃以下である。
非晶質樹脂Hは、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、好ましくはポリエステル系樹脂を少なくとも一部に含む樹脂(以下、単に「ポリエステル系樹脂」ともいう)であり、より好ましくはポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する複合樹脂である。
ポリエステル系樹脂及び複合樹脂のポリエステル系樹脂セグメントは、アルコール成分と、カルボン酸成分とを重縮合させて得られるポリエステル系樹脂よりなる。
アルコール成分、カルボン酸成分及びそれぞれの配合量等は、上述の非晶質複合樹脂L1の例示と同様のものが好適例として挙げられる。
複合樹脂のポリエステル系樹脂セグメントは、上述の非晶質複合樹脂L1の例示と同様のものが好適例として挙げられる。
複合樹脂においても、両反応性モノマーが使用されることが好ましく、上述の非晶質複合樹脂L1の例示と同様のものが好適例として挙げられる。
非晶質樹脂Hとしての複合樹脂における、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/スチレン系樹脂セグメント)も、上述の非晶質複合樹脂L1と同様の範囲が好適例として挙げられる。
〔非晶質樹脂Hの物性〕
非晶質樹脂Hのガラス転移温度は、耐久性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
非晶質樹脂Hの酸価は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上である。
非晶質樹脂Hの水酸基価は、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
〔非晶質樹脂Hの配合量〕
工程2において、非晶質樹脂Hの配合量は、結着樹脂の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
<非晶質複合樹脂L2>
非晶質複合樹脂L2は、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する。
非晶質複合樹脂L2は、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、軟化点が80℃以上120℃以下であり、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは105℃以上であり、そして、好ましくは115℃以下、より好ましくは113℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
非晶質複合樹脂L2のポリエステル系樹脂セグメントは、アルコール成分と、カルボン酸成分とを重縮合させて得られるポリエステル系樹脂よりなる。
アルコール成分、カルボン酸成分及びそれぞれの配合量等は、上述の非晶質複合樹脂L1の例示と同様のものが好適例として挙げられる。
非晶質複合樹脂L2のポリエステル系樹脂セグメントは、上述の非晶質複合樹脂L1の例示と同様のものが好適例として挙げられる。
非晶質複合樹脂L2においても、両反応性モノマーが使用されることが好ましく、上述の非晶質複合樹脂L1の例示と同様のものが好適例として挙げられる。
非晶質複合樹脂L2における、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/スチレン系樹脂セグメント)も、上述の非晶質複合樹脂L1と同様の範囲が好適例として挙げられる。
工程2で用いられる非晶質複合樹脂L2は、低温定着性、及び耐久性を向上させる観点から、工程1で用いられた非晶質複合樹脂L1と同じ樹脂が用いられることが好ましい。
〔非晶質複合樹脂L2の物性〕
非晶質複合樹脂L2のガラス転移温度は、耐久性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
非晶質複合樹脂L2の酸価は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上である。
非晶質複合樹脂L2の水酸基価は、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは25mgKOH/g以上、更に好ましくは30mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは80mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下である。
〔非晶質複合樹脂L2の配合量〕
工程2において、非晶質複合樹脂L2の配合量は、結着樹脂の総量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
<着色剤>
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、ピグメントレッド57;1、ジスアゾイエロー等が用いることができ、得られるトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の配合量は、低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
<離型剤>
離型剤としては、ワックスが挙げられ、より具体的には、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制、低温定着性、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、エステル系ワックスが好ましい。
離型剤の融点は、耐久性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
離型剤の配合量は、結着樹脂100質量部に対して、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。
<荷電制御剤>
工程2では、荷電制御剤を更に混合してもよい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを使用してもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN-105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
荷電制御剤の配合量は、低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
工程2では、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を混合してもよい。
<工程2の条件>
工程2の混合は、例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機を用いて行われる。これらの中でもヘンシェルミキサーを用いて行うことが好適である。
[工程3]
工程3では、工程2で得られた混合物を溶融混練する。
溶融混練は、密閉式ニーダ、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、トナー中に着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤を効率よく高分散させる観点から、オープンロール型混練機を用いることが好ましく、該オープンロール型混練機には、ロールの軸方向に沿って供給口と混練物排出口が設けられていることが好ましい。
オープンロール型混練機とは、混練部が密閉されておらず解放されているものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが好ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。離型剤、着色剤、荷電制御剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び溶融混練時の温度を低減させる観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが好ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができる。
ロール内の加熱温度は、添加剤の分散性の観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。
高回転側ロールのロール回転周速度は、ワックス、着色剤、荷電制御剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点から、好ましくは20m/min以上、より好ましくは25m/min以上、更に好ましくは30m/min以上であり、そして、好ましくは50m/min以下、より好ましくは45m/min以下、更に好ましくは40m/min以下である。
低回転側ロールのロール回転周速度は、同様の観点から、好ましくは10m/min以上、より好ましくは15m/min以上、更に好ましくは20m/min以上であり、そして、好ましくは40m/min以下、より好ましくは36m/min以下、更に好ましくは33m/min以下である。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高め、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点から、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝を有することが好ましい。
[工程4]
工程4では、工程3で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する。
粉砕前に、工程3で得られた溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却することが好ましい。冷却は、冷却装置を用いて冷却してもよいが、自然冷却であってもよい。
粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を硬化させて得られた樹脂混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、更に所望の粒径に微粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。
微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。これらの中でも、粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、流動層式ジェットミルを用いることがより好ましい。
分級に用いられる分級機としては、ロータ式分級機、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕に供してもよく、必要に応じて粉砕と分級を繰り返してもよい。
[工程5]
本発明の製造方法は、下記工程5を更に含んでいてもよい。
工程5:工程4で分級し得られたトナー粒子と外添剤を混合する工程
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
本発明の製造方法により得られる電子写真用トナーの体積中位粒径(D50)は、トナーの低温定着性と耐久性の観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
体積中位粒径(D50)の測定方法は、実施例に記載の方法による。
樹脂等の各物性値等については次の方法により測定、評価した。
[測定方法]
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(株式会社島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q―100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間保持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂及びポリ乳酸のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔ポリ乳酸の結晶化度〕
粉末X線回折(XRD)測定装置「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」(株式会社リガク製)を用いて、X線源:Cu/Kα-radiation、管電圧:40kV、管電流:120mA、測定範囲:回折角(2θ)5〜40°、走査速度は5.0°/分で連続スキャン法によりピーク強度を測定する。なお、試料は、粉砕した後、測定に供する。得られたX線回折より、下記式より算出される値をポリ乳酸の結晶化度とする。
〔ポリ乳酸の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/分で20℃から200℃まで昇温する。得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度をポリ乳酸の融点とする。
〔ポリ乳酸の平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、試料を、クロロホルムに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(ADVANTEC社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量である。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー株式会社製)
〔トナーの体積中位粒径D50
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
[評価方法]
〔低温定着性〕
未定着画像を取れる様に改造した、プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、3×4cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。「OKI MICROLINE 3010」(株式会社沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度120mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から200℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。各定着温度で得られた画像に、「Scotch(登録商標)メンディングテープ 810」(住友スリーエム株式会社製、幅:18mm)を貼り付け、500gの重りで上から3往復擦った後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の画像濃度を画像濃度測定器「GREGSPM50」(Gretag社製)を用いて測定し、擦り前後の画像濃度比率([擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度]×100)が最初に90%を超える温度を最低定着温度とし、低温定着性の指標とした。値が小さいほど低温定着性に優れることを示すが、好ましくは150℃以下である。
〔耐久性〕
現像ローラを目視で見ることができるように改造した株式会社沖データ製のIDカートリッジ「ML-5400用、イメージドラム」にトナーを実装し、温度30℃、湿度50%の条件下で、70r/min(36ppm相当)で空回し運転を行い、現像ローラフィルミングを目視にて観察した。フィルミング発生までの時間を耐久性の指標とした。耐久性は現像ローラフィルミング発生までの時間が長いほど、耐久性に優れることを示すが、好ましくは9時間以上、より好ましくは10時間以上である。
〔カブリ抑制性〕
非磁性一成分現像装置「MicroLine 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを実装し、温度40℃、相対湿度80%環境下で12時間放置した後で白紙(印字率0%)印字を行った。その後、有機感光体(OPC)ドラム上に残存しているトナーを「Scotchメンディングテープ」(住友スリーエム株式会社、幅:18mm)を貼り付け採取した。メンディングテープ自身との画像濃度を画像濃度測定器「GREGSPM50」(Gretag社製)を用い、ΔE(ΔE=√(L*2+a*2+b*2))を測定し、カブリ抑制を評価した。
[樹脂製造例]
製造例H1,L1〜5:樹脂H-1, L-1〜5
表に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー、エステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。160℃に降温し、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂セグメントの原料モノマーの除去を行った。さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質複合樹脂を得た。
製造例L6:樹脂L-6
表に示すフマル酸及び無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー、2-エチルヘキサン酸錫(II)40g及び没食子酸1gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて8時間反応を行った。反応後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃に降温して、無水トリメリット酸、フマル酸及びターシャリーブチルカテコール5gを添加し、非晶質ポリエステル樹脂を得た。
[電子写真用トナーの製造]
実施例1〜4、比較例1〜3
〔工程1〕
非晶質樹脂L1 50質量部とポリ乳酸(ネイチャーワークス社製、商品名:N-3000、数平均分子量Mn:188,000、重量平均分子量Mw:472,000、融点:170℃、結晶化度92%)50質量部を、連続式二軸混練機「S1KRCニーダ」(株式会社栗本鐵工所製、軸の直径25mm、軸の長さ255mm、L/D比10.2)を用いて溶融混練した。二軸連続式混練機の運転条件は、ロール周速度15m/min、混練物排出温度200℃であった。原料混合物の供給速度は5kg/hr、平均滞留時間は約5分間であった。工程1で得られた混練物を冷却した後、ロートプレックス(ホソカワミクロン株式会社製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて体積粒径が2mm以下の粗粉砕物として溶融混練物Aを得た。
なお、比較例3では、工程1を行っていない。
〔工程2〕
工程1で得られた溶融混練物A 20質量部と、非晶質樹脂H 50質量部、非晶質複合樹脂L2 30質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製、フタロシアニンブルー(P.B.15:3))3質量部、離型剤「WEP-9」(日油株式会社製、合成エステルワックス、融点 72℃)3質量部、及び負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリヱント化学工業株式会社製)1質量部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて1分間混合した。
〔工程3〕
工程2で得られた混合物を連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業株式会社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:80cm)を使用し溶融混練することで溶融混練物Bを得た。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度32.4m/min、低回転側ロール(バックロール)周速度21.7m/min、ロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が145℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が75℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の供給速度は10kg/hr、平均滞留時間は約3分間であった。
〔工程4〕
工程3で得られた溶融混練物Bを冷却した後、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン株式会社製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて体積粒径が2mm以下の粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物をDS2型気流分級機(衝突板式、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて体積中位粒径が8.0μmになるように粉砕圧を調整して微粉砕を行なった。得られた微粉砕物をDSX2型気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて体積中位粒径が8.5μmになるように静圧(内部圧力)を調整して分級を行い、トナー母粒子を得た。
〔工程5〕
得られたトナー母粒子100質量部と、外添剤として疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル株式会社製、平均粒子径:16nm) 1質量部、疎水性シリカ「NAX50」(日本アエロジル株式会社製、平均粒子径:30nm) 1質量部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)にて2100r/min(周速度29m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。
上記実施例1〜4のトナーと、比較例1〜2のトナーとを対比することで、本発明の製造方法によれば、トナー中にポリ乳酸を導入した場合において、高温度高湿度環境下でのカブリ抑制に優れ、かつ低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーが得られることが理解できる。

Claims (9)

  1. 下記工程1〜工程4を含む電子写真用トナーの製造方法。
    工程1:ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、水酸基価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L1と、結晶性ポリ乳酸と、を140℃以上230℃以下で溶融混練する工程
    工程2:工程1で得られた溶融混練物と、軟化点が122℃以上150℃以下である非晶質樹脂Hと、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する、軟化点が80℃以上120℃以下である非晶質複合樹脂L2と、着色剤と、離型剤とを混合する工程
    工程3:工程2で得られた混合物を溶融混練する工程
    工程4:工程3で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程
  2. 非晶質複合樹脂L1が、芳香族ジオールを含むアルコール成分とカルボン酸成分とを含む、ポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマー、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー、及び両セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを用いて得られる複合樹脂である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 非晶質複合樹脂L1のポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントとの質量比〔ポリエステル系樹脂セグメント/スチレン系樹脂セグメント〕が、70/30以上95/5以下である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 非晶質複合樹脂L1の軟化点が、100℃以上115℃以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. 非晶質樹脂Hの軟化点が、125℃以上140℃以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. 非晶質樹脂Hが、ポリエステル系樹脂セグメントとスチレン系樹脂セグメントを有する複合樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  7. 結晶性ポリ乳酸の結晶化度が30%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  8. 工程1における溶融混練温度が180℃以上200℃以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  9. 上記工程1〜工程4を含む工程で得られた電子写真用トナー。
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