JP2017130538A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリスの移動を抑制しつつ、体格を小型化することができる半導体装置及びその製造方法を提供すること。【解決手段】半導体装置10は、半導体チップと、半導体チップを封止する封止樹脂体28と、半導体チップの生じた熱を放熱するために、半導体チップ側の面と反対の放熱面20b,22bが封止樹脂体の裏面28bから露出され、側面が封止樹脂体によって封止されたヒートシンク20,22を備える。封止樹脂体の裏面及び放熱面がなす面に、グリスを堰き止める堰き止め部28e及びグリスを堰き止め部に誘導する溝部42が形成されている。堰き止め部は、放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに形成されている。溝部は、堰き止め部を端点として、放熱面を含むように形成されている。【選択図】図2
Description
この明細書における開示は、半導体チップの熱が、放熱部材の放熱面からグリス及び絶縁板を介して冷却器に伝達される樹脂封止型の半導体装置及びその製造方法に関する。
特許文献1には、半導体チップの熱が、放熱板(放熱部材)の放熱面からグリス及び絶縁シート(絶縁板)を介して熱吸収部材(冷却器)に伝達されるように構成された半導体モジュール実装構造が開示されている。
半導体モジュール(半導体装置)は、半導体チップと、半導体チップを封止する樹脂封止部(封止樹脂体)と、半導体チップの熱を放熱するための放熱部材と、を備えている。放熱部材と冷却器との間には、電気絶縁性の絶縁板が介在し、絶縁板と放熱部材との間にグリスが介在している。そして、半導体チップの熱が、グリス及び絶縁板を介して冷却器に伝達されるようになっている。
ところで、使用環境下において、半導体チップの発熱、冷却により、半導体装置は膨張と収縮を繰り返す。なかでも放熱部材は、放熱のために熱伝導性の高い材料(たとえば銅などの金属)を用いて形成されており、熱膨張率が大きい。放熱部材が高温になると、放熱部材は膨張する。放熱部材の側面は、封止樹脂体によって覆われている。このため、封止樹脂体により、半導体チップの厚み方向に直交する方向への放熱部材の膨張が規制される。したがって、放熱部材は厚み方向に膨張せざるを得ず、膨張挙動が厚み方向に集中する。この膨張によって、放熱面と絶縁板との対向距離が狭まり、放熱面上のグリスが放熱面の周囲に押し出される。一方、放熱部材が低温になると、放熱部材は収縮する。この収縮によって、放熱面と絶縁板との対向距離が広がり、放熱面の周囲から放熱面上にグリスが戻る。
しかしながら、上記したように膨張挙動が厚み方向に集中するため、たとえば、グリスの移動の繰り返しが生じると、冷却時にグリスが放熱面上に戻りきらなくなり、放熱面と絶縁板との間に空気が巻き込まれる虞がある。この場合、放熱性が低下してしまう。
特許文献1には、グリスの移動を防ぐために、放熱板の周縁に沿って封止樹脂体に凸状部分としての阻止部が形成された半導体装置が示されている。しかしながら、阻止部は、放熱面を取り囲むように環状に形成されている。このため、全周において阻止部の配置領域が必要となり、半導体装置の体格を小型化するのが困難となる。
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、グリスの移動を抑制しつつ、体格を小型化することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、技術的範囲を限定するものではない。
本開示のひとつは、半導体チップ(12,14)と、半導体チップを封止する封止樹脂体(28)と、半導体チップの生じた熱を放熱するために、半導体チップ側の面と反対の放熱面(16b,18b,20b,22b)が封止樹脂体の表面(28a,28b)から露出され、側面が封止樹脂体によって封止された放熱部材(16,18,20,22)と、を備え、表面及び該表面から露出する放熱面と、電気絶縁性を有する絶縁板(52)との間に放熱用のグリス(54)が介在し、半導体チップの熱が、グリス及び絶縁板を介して冷却器(56)に伝達される樹脂封止型の半導体装置であって、表面及び放熱面がなす一面に、放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに形成され、グリスの移動を抑制する凸条の堰き止め部(28e,44)と、堰き止め部を端点として、放熱面を含むように形成された溝部(42,46)と、を有している。
これによれば、一面に溝部を有するため、溝部に沿ってグリスが移動する。しかしながら、溝部の端点として凸条の堰き止め部が形成されている。したがって、半導体チップの発熱により放熱部材が膨張し、放熱部材と絶縁板との対向距離が狭まったときに、堰き止め部によりグリスの移動を抑制することができる。
また、溝部によってグリスを堰き止め部の方向へ誘導することができる。このため、一面における外周領域の一部のみに堰き止め部を設けておけばよい。したがって、放熱面を取り囲むように環状に堰き止め部を設ける構成に較べて、半導体装置の体格を小型化することができる。
本開示の他のひとつは、半導体チップ(12,14)と、半導体チップを封止する封止樹脂体(28)と、半導体チップの生じた熱を放熱するために、半導体チップ側の面と反対の放熱面(16b,18b,20b,22b)が封止樹脂体の表面(28a,28b)から露出され、側面が封止樹脂体によって封止された放熱部材(16,18,20,22)と、を備え、表面及び該表面から露出する放熱面と、電気絶縁性を有する絶縁板(52)との間に放熱用のグリス(54)が介在し、半導体チップの熱が、グリス及び絶縁板を介して冷却器(56)に伝達される樹脂封止型の半導体装置の製造方法であって、熱的に接続された半導体チップ及び放熱部材を放熱面ごと覆うように、封止樹脂体を成形し、放熱面が封止樹脂体の表面から露出して表面と一面をなすように、放熱部材ごと封止樹脂体を切削するとともに、一面において放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに封止樹脂体を残して、グリスの移動を抑制する凸条の堰き止め部(28e)を形成し、堰き止め部の形成後、放熱面を含むように一面に堰き止め部を端点とする溝部(42)を形成する。
これによれば、上記した効果を奏する半導体装置を形成することができる。特に、切削により放熱部材の放熱面を露出させる際に、堰き止め部も合わせて形成するため、製造工程を簡素化することができる。
本開示の他のひとつは、半導体チップ(12,14)と、半導体チップを封止する封止樹脂体(28)と、半導体チップの生じた熱を放熱するために、半導体チップ側の面と反対の放熱面(16b,18b,20b,22b)が封止樹脂体の表面(28a,28b)から露出され、側面が封止樹脂体によって封止された放熱部材(16,18,20,22)と、を備え、表面及び該表面から露出する放熱面と、電気絶縁性を有する絶縁板(52)との間に放熱用のグリス(54)が介在し、半導体チップの熱が、グリス及び絶縁板を介して冷却器(56)に伝達される樹脂封止型の半導体装置の製造方法であって、熱的に接続された半導体チップ及び放熱部材を放熱面ごと覆うように、封止樹脂体を成形し、放熱面が封止樹脂体の表面から露出して表面と一面をなすように、放熱部材ごと封止樹脂体を切削するとともに、該切削の痕として、放熱面を含むように一面に溝部(46)を形成し、溝部の形成の後、溝部の端部に連結されるように、一面において放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに、グリスの移動を抑制する凸条の堰き止め部(44)を形成する。
これによれば、上記した効果を奏する半導体装置を形成することができる。特に、切削により放熱部材の放熱面を露出させる際に、溝部も合わせて形成するため、製造工程を簡素化することができる。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。以下において、半導体チップの厚み方向をZ方向、Z方向に直交し、上アームを構成する半導体チップと下アームを構成する半導体チップの並び方向をX方向と示す。また、Z方向及びX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。上記したX方向及びY方向により規定されるXY面が、Z方向に直交する面であり、特に断わりのない限り、XY面に沿う形状を平面形状とする。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、半導体装置が適用される電力変換装置の一例について説明する。
先ず、図1に基づき、半導体装置が適用される電力変換装置の一例について説明する。
図1に示す電力変換装置100は、直流電源102から供給される直流電圧を、3相交流に変換して、三相交流方式のモータ104に出力するように構成されている。このような電力変換装置100は、例えば電気自動車やハイブリッド車に搭載される。なお、電力変換装置100は、モータ104により発電された電力を、直流に変換して直流電源102(バッテリ)に充電することもできる。図2に示す符号106は、平滑コンデンサである。
電力変換装置100は、三相インバータを有している。三相インバータは、直流電源102の正極(高電位側)に接続された高電位電源ライン108と、負極(低電位側)に接続された低電位電源ライン110との間に設けられた三相分の上下アームを有している。そして、各相の上下アームが、それぞれ半導体装置10によって構成されている。
半導体装置10は、IGBT素子と、該IGBT素子に逆並列に接続された還流用のFWD素子と、を備えている。本実施形態では、後述するように、半導体チップ12,14に、IGBT素子及びFWD素子がそれぞれ構成されている。しかしながら、IGBT素子とFWD素子が別チップに構成されても良い。本実施形態では、nチャネル型のIGBT素子を採用している。FWD素子のカソード電極はコレクタ電極と共通化され、アノード電極はエミッタ電極と共通化されている。
半導体装置10において、上アーム側のIGBT素子のコレクタ電極は高電位電源ライン108と電気的に接続され、エミッタ電極はモータ104への出力ライン112に接続されている。一方、下アーム側のIGBT素子のコレクタ電極はモータ104への出力ライン112に接続され、エミッタ電極は低電位電源ライン110と電気的に接続されている。
なお、電力変換装置100は、上記した三相インバータに加えて、直流電源102から供給される直流電圧を昇圧する昇圧コンバータ、三相インバータや昇圧コンバータを構成するスイッチング素子の動作を制御する制御部を有してもよい。
次に、図2〜図4に基づき、半導体装置10の構成について説明する。図3では、後述する溝部42が形成されない部分における封止樹脂体28及びヒートシンク16,18,20,22がなす面を、二点鎖線で示している。
図2〜図4に示すように、半導体装置10は、2つの半導体チップ12,14、ヒートシンク16,18,20,22、ターミナル24,26、封止樹脂体28を備えている。加えて、本実施形態の半導体装置10は、外部接続用の端子として、高電位電源端子30、低電位電源端子32、出力端子34、及び信号端子36を備えている。以下、高電位電源端子30をP端子、低電位電源端子32をN端子、出力端子34をO端子と称する。また、これらP端子30、N端子32、O端子34を、主端子30,32,34とも称する。
各半導体チップ12,14は、シリコンやシリコンカーバイドなどの半導体基板に、縦型のIGBT素子及びFWD素子がそれぞれ形成されてなる。これら半導体チップ12,14により、一相分の上下アームが形成されており、本実施形態では、半導体チップ12が高電位側の上アーム、半導体チップ14が低電位側の下アームを構成している。半導体チップ12,14のZ方向における同じ側の面に、図示しないコレクタ電極が形成され、コレクタ電極形成面と反対の面に、図示しないエミッタ電極が形成されている。なお、エミッタ電極形成面のうち、エミッタ電極が形成されたアクティブ領域とは異なる周辺領域には、ゲート電極用のパッドを含む複数のパッドが設けられている。これら半導体チップ12,14は、互いにほぼ同じ形状(平面略矩形状)及び大きさを有するとともに、Z方向においてほぼ同じ高さに位置し、X方向において横並びで配置されている。
Z方向において、半導体チップ12,14におけるコレクタ電極形成面側には、ヒートシンク16,18が配置され、エミッタ電極形成面側には、ヒートシンク20,22が配置されている。すなわち、ヒートシンク16,20の間に上アーム側の半導体チップ12が配置され、ヒートシンク18,22の間に下アーム側の半導体チップ14が配置されている。
これらヒートシンク16,18,20,22は、対応する半導体チップ12,14の熱を半導体装置10の外部に放熱する機能を果たすとともに、配線としての機能も果たす。このため、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料(たとえば銅)を用いて形成される。本実施形態では、各ヒートシンク16,18,20,22が平面略矩形状をなしており、Z方向からの投影視において、対応する半導体チップ12,14を内包するように設けられている。ヒートシンク16,18,20,22が放熱部材に相当する。
ヒートシンク16は、半導体チップ12のコレクタ電極形成面に対向配置され、ヒートシンク16の対向面16aと半導体チップ12のコレクタ電極とが、はんだなどの接合部材38を介して電気的に接続されている。なお、対向面16aと反対の面が、封止樹脂体28の一面28aから露出される放熱面16bとされ、この放熱面16bと対向面16aが側面16cによって連結されている。側面16cは、Z方向に略平行とされている。
P端子30は、上記した高電位電源ライン108と電気的に接続される。このP端子30は、ヒートシンク16と電気的に接続されており、Y方向に延設されて、封止樹脂体28の一面28a及び該一面28aと反対の裏面28bを連結する側面28cのひとつから外部に突出している。なお、一面28a及び裏面28bのそれぞれが、表面に相当する。
ヒートシンク18は、X方向においてヒートシンク16と並設されている。このヒートシンク18は、半導体チップ14のコレクタ電極形成面に対向配置され、ヒートシンク18の対向面18aと半導体チップ14のコレクタ電極とが、接合部材38を介して電気的に接続されている。なお、対向面18aと反対の面が、放熱面16bと同じ一面28aから露出される放熱面18bとされ、この放熱面18bと対向面18aが側面18cによって連結されている。側面18cは、Z方向に略平行とされている。
ヒートシンク18は、図3に示すように、継ぎ手部18dを有している。継ぎ手部18dは、ヒートシンク18の他の部分(本体部)よりも薄く設けられている。また、継ぎ手部18dは、Y方向において、ヒートシンク18の一部分から、屈曲部を2箇所有してヒートシンク20側に延設されている。
O端子34は、上記した出力ライン112と電気的に接続される。このO端子34は、ヒートシンク18と電気的に接続されており、Y方向に延設されて、封止樹脂体28におけるP端子30と同じ側面28cから外部に突出している。
一方、半導体チップ12のエミッタ電極形成面には、ヒートシンク20が対向配置されている。半導体チップ12とヒートシンク20の間には、ターミナル24が介在している。
ターミナル24により、信号端子36と半導体チップ12のエミッタ形成面に形成されたパッドとを、図示しないボンディングワイヤにより接続するための高さが確保される。このターミナル24は、半導体チップ12のエミッタ電極とヒートシンク20とを熱的及び電気的に中継するために、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料(たとえば銅)を用いて形成される。ターミナル24は、半導体チップ12のエミッタ電極形成面のうち、エミッタ電極に対向配置され、接合部材38を介して、エミッタ電極と電気的に接続されている。
ヒートシンク20は、Z方向からの投影視において、その大部分がヒートシンク16と重なるように設けられている。このヒートシンク20は、ターミナル24における半導体チップ12と反対の面に対向配置されており、ヒートシンク20の対向面20aとターミナル24とが、接合部材38を介して電気的に接続されている。なお、対向面20aと反対の面が、封止樹脂体28の裏面28bから露出される放熱面20bとされ、この放熱面20bと対向面20aが側面20cによって連結されている。側面20cは、Z方向に略平行とされている。
ヒートシンク20は、継ぎ手部20dを有している。継ぎ手部20dは、ヒートシンク20の他の部分(本体部)よりも薄く設けられている。また、継ぎ手部20dは、Y方向において、ヒートシンク20の一部分からX方向に延設されている。そして、継ぎ手部20dの先端部分と継ぎ手部18dの先端部分とがZ方向において対向し、接合部材38を介して電気的に接続されている。
同様に、半導体チップ14のエミッタ電極形成面には、ヒートシンク22が対向配置されている。半導体チップ14とヒートシンク22の間には、ターミナル26が介在している。
ターミナル26により、信号端子36と半導体チップ14のエミッタ形成面に形成されたパッドとを、図示しないボンディングワイヤにより接続するための高さが確保される。このターミナル24は、半導体チップ14のエミッタ電極とヒートシンク22とを熱的及び電気的に中継するために、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料(たとえば銅)を用いて形成される。ターミナル26は、半導体チップ14のエミッタ電極形成面のうち、エミッタ電極に対向配置され、接合部材38を介して、エミッタ電極と電気的に接続されている。
ヒートシンク22は、Z方向からの投影視において、その大部分がヒートシンク18と重なるように設けられている。このヒートシンク22は、ターミナル26における半導体チップ14と反対の面に対向配置されており、ヒートシンク22の対向面22aとターミナル26とが、接合部材38を介して電気的に接続されている。なお、対向面22aと反対の面が、裏面28bから露出される放熱面22bとされ、この放熱面22bと対向面22aが側面22cによって連結されている。側面22cは、Z方向に略平行とされている。
N端子32は、上記した低電位電源ライン110と電気的に接続される。このN端子32は、ヒートシンク22と電気的に接続されており、Y方向に延設されて、封止樹脂体28におけるP端子30及びO端子34と同じ側面28cから外部に突出している。ヒートシンク22は、X方向に延設された図示しない継ぎ手部を有しており、この継ぎ手部にN端子32が接続されている。なお、主端子30,32,34における封止樹脂体28からの突出部分は、Z方向において互いにほぼ同じ位置に配置されている。また、X方向において、P端子30、N端子32、O端子34の順に並んで配置されている。
信号端子36は、対応する半導体チップ12,14のパッドに、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。信号端子36は、Y方向に延設されており、封止樹脂体28の側面28cのひとつから外部に突出している。
封止樹脂体28は、半導体チップ12,14、ヒートシンク16,18,20,22の一部、ターミナル24,26、及び各主端子30,32,34,36の一部を一体的に封止している。この封止樹脂体28は、たとえば、エポキシ系樹脂からなり、トランスファモールド法により成形されている。図2に示すように、封止樹脂体28は平面矩形状をなしており、X方向に略平行な側面28cの一方から、主端子であるP端子30、N端子32、及びO端子34が引き出されている。また、X方向に略平行な側面28cの他方から、信号端子36が引き出されている。
後述するように、ヒートシンク16,18,20,22は、封止樹脂体28とともに切削加工されている。そして、ヒートシンク16,18の放熱面16b,18bが、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体28の一面28aと略面一となっている。同じく、ヒートシンク20,22の放熱面22b,22bが、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体28の裏面28bと略面一となっている。なお、半導体装置10において、半導体チップ12,14に形成された素子が駆動していない、すなわち発熱していない冷却状態において、放熱面16b、18bが一面28aと略面一とされ、放熱面20b、22bが裏面28bと略面一とされる。
さらに封止樹脂体28は、切り欠き28dと堰き止め部28eを有している。図2に示すように、切り欠き28dは、封止樹脂体28において、側面28cに開口しつつ一面28aから裏面28bにわたって設けられている。切り欠き28dは、主端子30,32,34が引き出された側面28cと、信号端子36が引き出された側面28cに設けられている。切り欠き28dは、P端子30とN端子32の間の位置、N端子32とO端子34の間の位置にそれぞれ設けられている。また、信号端子36と吊りリード40との間の位置に、切り欠き28dが設けられている。なお、吊りリード40は、リードフレームのうち、ヒートシンク16,18を、外周リードに固定するため部分である。
堰き止め部28eは、図2及び図3に示すように、封止樹脂体28の一部分として構成されている。堰き止め部28eは、後述するグリス54を堰き止めて、グリス54の移動を抑制(規制)すべく、裏面28b及び放熱面20b,22bがなす面に対して突出している。また、堰き止め部28eは、2つの放熱面20b,22bを取り囲む外周領域の一部のみに形成されている。
より具体的には、図2に示すように、堰き止め部28eが、2つの放熱面20b,22bを取り囲む略矩形環状の外周領域のうち、X方向において相対する2辺(1組の辺)にそれぞれ形成されている。すなわち、堰き止め部28eは、主端子30,32,34が引き出された側面28cに対応する辺、及び、信号端子36が引き出された側面28cに対応する辺とは異なる辺に形成されている。本実施形態では、堰き止め部28eが、X方向における封止樹脂体28の両端にそれぞれ形成されている。堰き止め部28eは、X方向において相対する2辺の全長にわたって、Y方向に延設されている。堰き止め部28eの突出高さは、後述する絶縁板52の厚さの1/2以上であって、後述するパワーモジュール50において冷却器56に接触しない長さとされている。同様に、一面28a及び放熱面16b,18bがなす面にも、堰き止め部28eが形成されている。
また、裏面28b及び放熱面20b,22bがなす面には、溝部42が形成されている。溝部42は、グリス54が堰き止め部28eに向けて移動するように、グリス54の移動方向を規定する。換言すれば、溝部42は、グリス54が移動する際に堰き止め部28eの方向に誘導する。溝部42は、裏面28b及び放熱面20b,22bがなす面において、放熱面20b,22bを含むように形成されている。また、堰き止め部28eを端点とするように形成されている。
本実施形態では、複数の溝部42が、切削により形成されている。溝部42は、堰き止め部28eの一方から他方にわたって形成されている。溝部42は、X方向に沿って形成されている。複数の溝部42はY方向において並設されている。複数の溝部42のうち、Y方向における一端の溝部42が、放熱面20b,22bのY方向の一端に略一致しており、Y方向における他端の溝部42が、放熱面20b,22bのY方向の他端に略一致している。すなわち、複数の溝部42は、放熱面20b,22bのほぼ全面に形成されている。溝部42の深さは十数μm〜数百μm程度とされている。また、隣り合う溝部42のピッチは、50〜200μm程度とされている。同様に、一面28a及び放熱面16b,18bがなす面にも、溝部42が形成されている。
このように構成される半導体装置10は、2つの半導体チップ12,14(IGBT素子)を備える所謂2in1パッケージとなっている。また、半導体チップ12,14のZ方向両側にヒートシンク16,18,20,22が存在し、半導体チップ12,14の熱を両側に放熱できるようになっている。
また、上アームを構成する部分において、Z方向の配置が、一面28a側から、ヒートシンク16、接合部材38、半導体チップ12、接合部材38、ターミナル24、接合部材38、ヒートシンク20の順となっている。一方、下アームを構成する部分において、Z方向の配置が、一面28a側から、ヒートシンク18、接合部材38、半導体チップ14、接合部材38、ターミナル26、接合部材38、ヒートシンク22の順となっている。すなわち、上アームと下アームとで、Z方向の並びが同じとなっている。
次に、図5(a)〜(c)に基づき、上記した半導体装置10の製造方法の一例について簡単に説明する。
先ず、図5(a)に示すように、封止樹脂体28の成形までを行う。はじめに、半導体チップ12,14、ヒートシンク16,18,20,22、ターミナル24,26をそれぞれ準備する。この準備工程では、P端子30が連結されたヒートシンク16を準備する。また、継ぎ手部18dを備えるとともに、O端子34が連結されたヒートシンク18を準備する。また、継ぎ手部20dを備えたヒートシンク20を準備する。また、ヒートシンク22とN端子32をそれぞれ準備する。
次いで、封止樹脂体28を成形する前の接続工程を実施する。この接続工程では、上アームを構成する各要素を電気的に接続し、下アームを構成する各要素を電気的に接続し、上アームと下アームとを、継ぎ手部18d,20dにて接続する。具体的には、2段階での接合部材38(はんだ)のリフローを実施する。このような接続工程としては、たとえば特開2012−235081号公報の記載を参照することができる。なお、ヒートシンク22とN端子32も、この接続工程で接続する。
次いで、接続工程を経て形成された構造体を、金型に配置し、金型のキャビティ内に樹脂を注入して、封止樹脂体28を成形する。この成形工程では、エポキシ樹脂を用いたトランスファモールド法により、封止樹脂体28を成形する。このとき、各ヒートシンク16,18,20,22が放熱面16b,18b,20b,22bも含めて完全に被覆されるように、封止樹脂体28を成形する。
次いで、図5(b)に示すように、切削工程を実施する。この切削工程では、封止樹脂体28の側面28cを、図示しない押さえ治具により真空チャックしつつ、X方向両側から封止樹脂体28を押圧する。そして、この状態で、封止樹脂体28の一面28a側を、ヒートシンク16,18とともに切削する。次いで、裏面28b側を、ヒートシンク20,22とともに切削する。以上により、半導体装置10において、一面28a側(放熱面16b,18b)と裏面28b側(20b,22b)とを略平行とする。
この切削により、ヒートシンク16,18,20,22の放熱面16b,18b,20b,22bが封止樹脂体28から露出される。また、本実施形態では、放熱面16b,18bが周囲の一面28aと略面一となり、放熱面20b,22bが周囲の裏面28bと略面一となる。なお、金属材料を用いて形成されたヒートシンク16,18,20,22と封止樹脂体28とでは、構成材料の硬さが異なるため、切削量に多少の差ができ、実際には、放熱面16b,18bと一面28aとの間、及び、放熱面20b,22bと裏面28bとの間に、数μm以下(たとえば2μm以下)の段差がそれぞれ生じる。しかしながら、数μm以下であり、このような極微小な段差のある状態については、略面一にあるとする。
また、上記切削の際に、封止樹脂体28の一面28a及び裏面28bにおいて、X方向両端の部分を残し、凸条の堰き止め部28eを形成する。切削工具としてたとえばフライスを用い、堰き止め部28eにより挟まれる中央部分を平面加工する。そして、加工されずに残る封止樹脂体28の部分が、堰き止め部28eとなる。
次いで、図5(c)に示すように、溝部42を形成する。本実施形態では、封止樹脂体28のX方向両端に形成された堰き止め部28eの一方から他方にわたって、所定深さの溝部42を形成する。このとき、一面28a側において、放熱面16b,18bを跨ぐように、溝部42を形成する。同じく裏面28b側において、放熱面20b,22bを跨ぐように、溝部42を形成する。溝部42の一端は一方の堰き止め部28eに連なり、溝部42の他端は他方の堰き止め部28eに連なる。溝部42は、エンドミル、ドリルなどの切削工具を用いて形成することができる。切削以外にも、レーザ照射などにより、溝部42を形成することもできる。
以上により、半導体装置10を得ることができる。なお、図5(a)〜(c)では、便宜上、リードフレームのうち、タイバーなどの半導体装置10として不要な部分の図示を省略している。封止樹脂体28の形成後に、リードフレームにおける不要部分の除去を行う。たとえば封止樹脂体28の形成後でも良いし、溝部42の形成後でも良い。
次に、図6に基づき、上記した半導体装置10を備えるパワーモジュールの構成について説明する。
図6に示すように、パワーモジュール50は、上記した半導体装置10に加え、絶縁板52、グリス54,58、冷却器56を備えている。
絶縁板52は、半導体装置10と冷却器56とを電気的に絶縁する絶縁性を有するとともに、半導体装置10から冷却器56へ良好に熱を伝達する熱伝導性を有している。このような絶縁板52は、たとえば窒化ケイ素やアルミナなどのセラミックスを用いて形成され、上記した絶縁性、熱伝導性を確保すべく、所定厚さを有している。絶縁板52は、封止樹脂体28の一面28aと対向するように、Z方向において一面28a側に配置されるとともに、裏面28bと対向するように、Z方向において裏面28b側にも配置されている。
グリス54,58は、半導体装置10と冷却器56との間の接触熱抵抗の低減のために、半導体装置10と冷却器56との間に介在している。このようなグリス54,58としては、電気絶縁性と良好な熱伝導性を有するものが好ましく、たとえば、シリコーングリスを採用することができる。
グリス54は、主として放熱面16b,18b,20b,22b上に配置されている。グリス54は、一面28a側において、一面28a及び放熱面16b,18bと絶縁板52との間に介在し、放熱面16b,18b及び絶縁板52に密着している。また、グリス54は、裏面28b側において、裏面28b及び放熱面20b,22bと絶縁板52との間に介在し、放熱面20b,22b及び絶縁板52に密着している。一方、グリス58は、絶縁板52と冷却器56の間に介在し、絶縁板52及び冷却器56に密着している。
冷却器56は、たとえば内部に冷媒が流通されるものであり、半導体装置10からの熱を効果的に放熱するようにした一般的なものを採用できる。
次に、本実施形態に係る半導体装置10の効果について説明する。
本実施形態によれば、半導体装置10における絶縁板52との対向面、すなわちグリス54の配置面に、堰き止め部28e及び溝部42が形成されている。一面28a側において、堰き止め部28eは、2つの放熱面16b,18bを取り囲む略矩形環状の外周領域の一部のみに形成されている。溝部42は、堰き止め部28eを端点として、放熱面16b,18bを含むように形成されている。また、裏面28b側において、堰き止め部28eは、2つの放熱面20b,22bを取り囲む略矩形環状の外周領域の一部のみに形成されている。そして、溝部42は、堰き止め部28eを端点として、放熱面20b,22bを含むように形成されている。
このため、使用環境下において、半導体チップ12,14の発熱によりヒートシンク16,18,20,22がZ方向に膨張し、放熱面16b,18b,20b,22bと絶縁板52との距離が狭まって、放熱面16b,18b,20b,22b上のグリス54が押されると、グリス54は溝部42に沿って移動する。しかしながら、溝部42の端点には堰き止め部28eが形成されており、堰き止め部28eによってグリス54が堰き止められる。このように、堰き止め部28eによって、グリス54の移動を抑制することができる。
また、溝部42によってグリス54を所定方向に誘導することができる。このため、溝部42の端点に堰き止め部28eを形成すればよい。すなわち、外周領域の一部のみに堰き止め部28eを形成すればよい。したがって、グリス54の移動を抑制しつつ、環状に堰き止め部を設ける構成に較べて、半導体装置10の体格を小型化することができる。
なお、ヒートシンク16,18,20,22が低温になり、収縮した場合には、堰き止め部28eにより堰き止められていたグリス54が、溝部42に沿って放熱面16b,18b,20b,22b上に戻る。したがって、グリス54の移動の繰り返しが生じても、放熱面16b,18b,20b,22bと絶縁板52との間に空気が巻き込まれるのを防ぐことができる。
また、本実施形態では、堰き止め部28eが、封止樹脂体28の一部分として形成されている。このため、半導体装置10の構成を簡素化することができる。このような堰き止め部28eは、切削により放熱面16b,18b,20b,22bを露出させる際に、合わせて形成することができる。したがって、製造工程も簡素化することができる。
また、本実施形態では、溝部42の両端に堰き止め部28eが形成されている。したがって、溝部42の一端のみに堰き止め部28eが形成される構成に較べて、より効果的にグリス54の移動を抑制することができる。
また、本実施形態では、封止樹脂体28におけるX方向の両端に堰き止め部28eがそれぞれ形成されている。平面加工の際、Y方向に切削してX方向両端の封止樹脂体28を残し、堰き止め部28eとすればよいので、堰き止め部28eを形成しやすい。また、溝部42がX方向に沿って形成されている。エンドミルなどにより、一直線に加工して溝部42を形成すればよいので、溝部42を形成しやすい。
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、封止樹脂体28とは別部材として堰き止め部44が形成されている。そして、堰き止め部44を端点として、溝部42が形成されている。図7に示す例では、堰き止め部44が、樹脂をポッティングすることで形成されている。具体的には、一面28a及び裏面28bの全面を切削し、放熱面16b,18b,20b,22bを露出させた後、エンドミルなどにより溝部42を形成する。そして、溝部42のX方向両端を覆うように、樹脂をポッティングして堰き止め部44を形成する。図7でも、溝部42が形成されない部分における封止樹脂体28及びヒートシンク16,18,20,22がなす面を、二点鎖線で示している。
このように、別部材の堰き止め部44によっても、堰き止め部28e同様、グリス54の移動を抑制することができる。
なお、堰き止め部44を形成してから、溝部42を形成することもできる。また、堰き止め部44の構成材料は樹脂に限定されない。電気絶縁性材料であればよい。たとえば、封止樹脂体28に樹脂板を貼り付けて堰き止め部44としてもよい。また、ゴム製の堰き止め部44を用いることもできる。
(第3実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、図8に示すように、堰き止め部28eが、主端子30,32,34が引き出された側面28cに対応する辺に形成されている。堰き止め部28eは、平面略矩形状をなす封止樹脂体28において、Y方向の両端部にそれぞれ形成されている。堰き止め部28eは、X方向に延設され、Y方向において相対する2辺の全長にわたって形成されている。すなわち、堰き止め部28eが、信号端子36が引き出された側面28cに対応する辺にも形成されている。
複数の溝部42は、封止樹脂体28におけるY方向の両端にそれぞれ形成された堰き止め部28eの一方から他方にわたり、Y方向に沿って形成されている。このような半導体装置10は、第1実施形態に記載の製造方法により、形成することができる。
これによれば、主端子30,32,34側に設けた堰き止め部28eにより、電位差の大きい主端子30,32,34間において、沿面距離を稼ぐことができる。
また、封止樹脂体28におけるY方向の両端に堰き止め部28eがそれぞれ形成されている。平面加工の際、X方向に切削してY方向両端の封止樹脂体28を残し、堰き止め部28eとすればよいので、堰き止め部28eを形成しやすい。また、溝部42がY方向に沿って形成されており、一直線に加工して溝部42を形成すればよいので、溝部42を形成しやすい。
本実施形態の堰き止め部28eに代えて、第2実施形態に示した堰き止め部44を適用することもできる。
(第4実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、平面略矩形状をなす封止樹脂体28の一辺のみに、堰き止め部28eが形成されている。図9に示す例では、主端子30,32,34及び信号端子36が引き出された側面28cに対応する辺とは異なる辺のひとつに、堰き止め部28eが形成されている。そして、溝部42の両端が、同じ堰き止め部28eの互いに異なる部分に連結されている。複数の溝部42は、平面略U字状をなしている。このような半導体装置10は、第1実施形態に記載の製造方法により、形成することができる。
これによれば、平面略矩形状をなす封止樹脂体28の一辺のみに堰き止め部28eが形成されているため、半導体装置10の体格をより小型化することができる。
なお、堰き止め部28eの形成位置は、上記例に限定されない。主端子30,32,34が引き出された側面28cに対応する辺や、信号端子36が引き出された側面28cに対応する辺、図9とは反対の辺に形成することもできる。
本実施形態の堰き止め部28eに代えて、第2実施形態に示した堰き止め部44を適用することもできる。
(第5実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、放熱面16b,18b,20b,22bを露出させる切削の痕として複数の溝部46が形成されている。図10に示す例では、第2実施形態同様、封止樹脂体28におけるX方向の両端に、堰き止め部44がそれぞれ形成されている。そして、堰き止め部44の一方から他方にわたり、複数の溝部46が形成されている。
各溝部46は、両端に対して中央部分が主端子30,32,34側に凸の、弧状をなしている。また、弧状をなす複数の溝部46が、Y方向に並んで形成されている。溝部46は、図11に示すように、断面略楔形状となっている。
次に、図12(a)〜(c)に基づき、上記した半導体装置10の製造方法の一例について簡単に説明する。
図12(a)に示すように、封止樹脂体28の成形までは、第1実施形態と同じである。
封止樹脂体28の成形後、図12(b)に示すように切削工程を実施する。この切削工程では、フライスをZ軸周りに回転させながらY方向に移動させることで、ヒートシンク16,18ごと封止樹脂体28の一面28a全面を切削する。同様にして、ヒートシンク20,22ごと封止樹脂体28の裏面28b全面を切削する。この切削により、フライスの刃による切削痕として、溝部46が形成される。溝部46は、一面28a側において、一面28a及び放熱面16b,18bの全体に形成される。また、裏面28b側において、裏面28b及び放熱面20b,22bの全体に形成される。
次いで、図12(c)に示すように、堰き止め部44を形成する。本実施形態でも、第2実施形態同様、封止樹脂体28のX方向両端に、樹脂のポッティングにより堰き止め部44を形成する。このとき、溝部46の両端付近を覆うように、堰き止め部44を形成する。以上により、半導体装置10を得ることができる。なお、図12(a)〜(c)でも、便宜上、リードフレームのうち、タイバーなどの半導体装置10として不要な部分の図示を省略している。
本実施形態では、ヒートシンク16,18,20,22及び封止樹脂体28の切削する際に、溝部46を形成する。したがって、製造工程を簡素化することができる。
(第6実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した半導体装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、図13及び図14に示すように、半導体装置10が、グリス54を貯留するための貯留溝部48を有している。図13及び図14に示す半導体装置10は、第1実施形態に示した構成(図2参照)に貯留溝部48を付け加えたものとなっている。
貯留溝部48は、堰き止め部28eに隣接し、複数の溝部42の端部を含んで形成されている。このため、図13に示す例では、貯留溝部48もY方向に沿って形成されている。貯留溝部48は、溝部42の端部と、端部間を連結する連結部とにより構成されている。貯留溝部48は、Y方向全長に形成されるのではなく、溝部42の形成範囲、換言すれば放熱面16b,18b,20b,22bに対応するY方向の中央付近のみに形成されている。
本実施形態では、溝部42のうち、貯留溝部48の形成された部分の深さが、貯留溝部48以外の部分の深さよりも深くなっている。貯留溝部48は、ヒートシンク16,18,20,22の厚みよりも浅く形成されている。貯留溝部48は、溝部42と同じ工程で形成することができる。また、溝部42の前に形成することもできる。さらには、溝部42の形成後に形成することもできる。
以上によれば、堰き止め部28eにて堰き止められたグリス54を、貯留溝部48にて貯留することができる。したがって、堰き止めたグリス54が、堰き止め部28eのない方向に移動するのを抑制することができる。
また、貯留溝部48が、溝部42の他の部分よりも深いので、グリス54を効果的に貯留することができる。しかしながら、貯留溝部48の深さを、溝部42の他の部分の深さと同じ深さとすることもできる。
本実施形態では、貯留溝部48が、ヒートシンク16,18,20,22の側面16c,18c,20c,22cとは離れた位置に形成される例を示した。しかしながら、側面16c,18c,20c,22cに隣接する貯留溝部48を採用することもできる。
本実施形態の堰き止め部28eに代えて、第2実施形態に示した堰き止め部44を適用することもできる。また、溝部42に代えて、溝部46を適用することもできる。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
半導体装置10の構成は上記例に限定されるものではない。一相分のアームを有する2in1パッケージの例を示したが、上下アームを三相分有する6in1パッケージ、上下アームの一方のみ、たとえば、半導体チップ12のみ有する1in1パッケージにも適用することができる。
半導体装置10としては、ターミナル24,26を備える構成に限定されない。ターミナル24,26を備えない構成の場合、半導体チップ12,14に対してエミッタ電極側に配置されるヒートシンク20,22が、ターミナルの機能を備えるべく、たとえば凸部を有することとなる。
溝部42,46の両端に堰き止め部28e,44が形成される例を示した。しかしながら、溝部42,46の一端のみに堰き止め部28e,44が形成された構成を採用することもできる。
堰き止め部28e,44は、平面略矩形状をなす封止樹脂体28において、任意の一辺の一部のみに形成されてもよい。堰き止め部28e,44は、環状の外周領域の一部のみに形成されればよい。
半導体装置10として、半導体チップ12,14の両側にヒートシンク16,18,20,22が配置される例を示した。しかしながら、半導体チップ12,14の片側のみにヒートシンクが配置される片面放熱構造の半導体装置にも適用することが可能である。
10…半導体装置、12,14…半導体チップ、16,18,20,22…ヒートシンク、16a,18a,20a,22a…対向面、16b,18b,20b,22b…放熱面、16c,18c,20c,22c…側面、18d,20d…継ぎ手部、24,26…ターミナル、28…封止樹脂体、28a…一面、28b…裏面、28c…側面、28d…切り欠き、28e…堰き止め部、30…高電位電源端子、32…低電位電源端子、34…出力端子、36…信号端子、38…接合部材、40…吊りリード、42,46…溝部、44…堰き止め部、48…貯留溝部、50…パワーモジュール、52…絶縁板、54,58…グリス、56…冷却器、100…電力変換装置、102…直流電源、104…モータ、106…平滑コンデンサ、108…高電位電源ライン、110…低電位電源ライン、112…出力ライン
Claims (10)
- 半導体チップ(12,14)と、
前記半導体チップを封止する封止樹脂体(28)と、
前記半導体チップの生じた熱を放熱するために、前記半導体チップ側の面と反対の放熱面(16b,18b,20b,22b)が前記封止樹脂体の表面(28a,28b)から露出され、側面が前記封止樹脂体によって封止された放熱部材(16,18,20,22)と、を備え、
前記表面及び該表面から露出する前記放熱面と、電気絶縁性を有する絶縁板(52)との間に放熱用のグリス(54)が介在し、前記半導体チップの熱が、前記グリス及び前記絶縁板を介して冷却器(56)に伝達される樹脂封止型の半導体装置であって、
前記表面及び前記放熱面がなす一面に、
前記放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに形成され、前記グリスの移動を抑制する凸条の堰き止め部(28e,44)と、
前記堰き止め部を端点として、前記放熱面を含むように形成された溝部(42,46)と、を有している半導体装置。 - 前記堰き止め部は、前記封止樹脂体の一部分である請求項1に記載の半導体装置。
- 前記溝部は、切削痕である請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
- 前記溝部の両端に、前記堰き止め部が設けられている請求項1〜3いずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記一面が平面矩形状をなしており、
前記堰き止め部は、前記一面の相対する2辺にそれぞれ形成され、
前記堰き止め部の一方から他方にわたって、前記溝部が形成されている請求項4に記載の半導体装置。 - 前記一面が平面矩形状をなしており、
前記堰き止め部は、前記一面の一辺のみに形成され、
前記溝部の両端は、同じ前記堰き止め部の互いに異なる部分に連結されている請求項4に記載の半導体装置。 - 前記一面が平面矩形状をなしており、
前記放熱部材は、金属を構成材料として形成されるとともに、前記半導体チップと電気的に接続され、
前記放熱部材から延び、前記封止樹脂体の側面から外部に引き出された主端子(30,32,34)をさらに備え
前記主端子が引き出された前記側面に対応する辺に、前記堰き止め部が形成されている請求項1〜6いずれか1項に記載の半導体装置。 - 前記溝部は、同じ前記堰き止め部を端点として複数形成されており、
前記グリスを貯留するために、前記堰き止め部に隣接し、複数の前記溝部の端部を含んで形成された貯留溝部(48)を有する請求項1〜7いずれか1項に記載の半導体装置。 - 半導体チップ(12,14)と、
前記半導体チップを封止する封止樹脂体(28)と、
前記半導体チップの生じた熱を放熱するために、前記半導体チップ側の面と反対の放熱面(16b,18b,20b,22b)が前記封止樹脂体の表面(28a,28b)から露出され、側面が前記封止樹脂体によって封止された放熱部材(16,18,20,22)と、を備え、
前記表面及び該表面から露出する前記放熱面と、電気絶縁性を有する絶縁板(52)との間に放熱用のグリス(54)が介在し、前記半導体チップの熱が、前記グリス及び前記絶縁板を介して冷却器(56)に伝達される樹脂封止型の半導体装置の製造方法であって、
熱的に接続された前記半導体チップ及び前記放熱部材を前記放熱面ごと覆うように、前記封止樹脂体を成形し、
前記放熱面が前記封止樹脂体の表面から露出して前記表面と一面をなすように、前記放熱部材ごと前記封止樹脂体を切削するとともに、前記一面において前記放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに前記封止樹脂体を残して、前記グリスの移動を抑制する凸条の堰き止め部(28e)を形成し、
前記堰き止め部の形成後、前記放熱面を含むように前記一面に前記堰き止め部を端点とする溝部(42)を形成する半導体装置の製造方法。 - 半導体チップ(12,14)と、
前記半導体チップを封止する封止樹脂体(28)と、
前記半導体チップの生じた熱を放熱するために、前記半導体チップ側の面と反対の放熱面(16b,18b,20b,22b)が前記封止樹脂体の表面(28a,28b)から露出され、側面が前記封止樹脂体によって封止された放熱部材(16,18,20,22)と、を備え、
前記表面及び該表面から露出する前記放熱面と、電気絶縁性を有する絶縁板(52)との間に放熱用のグリス(54)が介在し、前記半導体チップの熱が、前記グリス及び前記絶縁板を介して冷却器(56)に伝達される樹脂封止型の半導体装置の製造方法であって、
熱的に接続された前記半導体チップ及び前記放熱部材を前記放熱面ごと覆うように、前記封止樹脂体を成形し、
前記放熱面が前記封止樹脂体の表面から露出して前記表面と一面をなすように、前記放熱部材ごと前記封止樹脂体を切削するとともに、該切削の痕として、前記放熱面を含むように前記一面に溝部(46)を形成し、
前記溝部の形成の後、前記溝部の端部に連結されるように、前記一面において前記放熱面を取り囲む環状の外周領域の一部のみに、前記グリスの移動を抑制する凸条の堰き止め部(44)を形成する半導体装置の製造方法。
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WO2019225273A1 (ja) * | 2018-05-23 | 2019-11-28 | 住友ベークライト株式会社 | 回路基板の製造方法 |
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