JP2017127253A - ノンフライ揚げ物用粉末油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、調味料の風味が和らげられた、ジューシーでやわらかい食感を有する揚げ物食品を製造するためのノンフライ揚げ物用プレミックスに用いる粉末油脂組成物を提供することである。【解決手段】次の(a)の条件を満たす粉末状の油脂組成物を含有する、ノンフライ揚げ物用粉末油脂組成物とする。(a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である。【選択図】なし

Description

本発明は、油ちょうせず、電子レンジ又はオーブン等で加熱調理するためのノンフライ揚げ物用プレミックスに用いる粉末油脂組成物に関する。より詳細には、調味料の風味が和らげられた、ジューシーでやわらかい食感を有する揚げ物食品を製造するためのノンフライ揚げ物用プレミックスに用いる粉末油脂組成物に関する。また、前記のごときプレミックスの製造方法や前記プレミックスを具材に付着させて加熱調理するノンフライ揚げ物食品の製造方法にも関する。
フライ類、天ぷら、唐揚げ等の揚げ物食品は、一般に、具材に小麦粉、澱粉、調味料等の衣材を付着させ、次いで油ちょうすることにより製造されるものである。近年、具材に衣材を付着させて油ちょうするだけの簡単な揚げ物用プレミックスがよく用いられている。このようなプレミックスは、小麦粉や澱粉に食塩、調味料、香辛料等を予め配合して製造されている。
さらに最近では、食事のカロリーを制限するため、又は、油ちょう後の後片付け等の面倒さを解消するために、油ちょうをしないで、電子レンジ又はオーブン等で加熱調理するだけで食べられるようになる揚げ物食品が好まれている。すなわち、いわゆるノンフライ揚げ物食品に対する需要はますます高まっている。したがって、油ちょうをしない、加熱調理に対応するノンフライ揚げ物用プレミックスの開発が強く望まれていた。
このようなノンフライ揚げ物用プレミックス及びその製造法については、これまで粉末油脂を用いた方法がいくつか提案されている。例えば、穀物加熱処理物又はその粉砕物と、融点が45℃以上の粉末油脂とを含有するノンフライ揚げ物用プレミックスが知られている(特許文献1)。また、小麦粉由来の焼成粉砕物と、熱凝固性素材と、粉末油脂とを含有するノンフライ揚げ物用プレミックスが知られている(特許文献2)。
しかし、このようなプレミックスを用いてノンフライ調理された揚げ物食品は、外観、食感及び風味において、通常の油ちょう調理により製造された揚げ物食品と比べて未だ十分に満足いくものが得られているとはいいがたく、依然として改良の余地があった。特に最近の傾向としては、揚げ物食品の素材の風味が良く感じられるように、薄味のものがよく好まれており、プレミックスに含まれる調味料の風味を和らげることが必要であった。また、一般的な消費者はやわらかい食感を好む傾向があり、具材がジューシーでやわらかくなることも必要であった。
特開2013−21971号公報 特開2013−179880号公報
本発明の課題は、調味料の風味が和らげられた、ジューシーでやわらかい食感を有する揚げ物食品を製造するためのノンフライ揚げ物用プレミックスに用いる粉末油脂組成物を提供することである。
本発明者らは、様々な粉末油脂を添加したノンフライ揚げ物用プレミックスについて鋭意研究を行った結果、特定の条件を満たす粉末油脂組成物を用いることによって、調味料の風味が和らげられた、ジューシーでやわらかい食感を有する揚げ物食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様によれば、以下の(a)の条件を満たす粉末状の油脂組成物を含有する、ノンフライ揚げ物用粉末油脂組成物を提供することができる。
(a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記XXX型トリグリセリドが80〜99質量%と、前記1種以上のX2Y型トリグリセリドの合計が20〜1質量%とを含有する、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記xが10〜18から選択される整数であり、前記yが、それぞれ独立して、x+2〜x+10から選択される整数でありかつy≦22である、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記xが10〜12から選択される整数であり、前記yが、それぞれ独立して、x+4〜x+8から選択される整数でありかつy≦22である、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、ゆるめ嵩密度が0.1〜0.6g/cm3である、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記粉末油脂組成物を含有してなる、ノンフライ揚げ物用プレミックスを提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記粉末油脂組成物を、対粉ベースで1〜40質量%含有してなる、ノンフライ揚げ物用プレミックスを提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記プレミックスを衣とした、揚げ物食品を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記粉末油脂組成物を配合する、ノンフライ揚げ物用プレミックスの製造法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記粉末油脂組成物を対粉ベースで1〜40質量%配合する、ノンフライ揚げ物用プレミックスの製造法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記プレミックスを衣として加熱調理する、揚げ物食品の製造法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記粉末油脂組成物を有効成分とする、ノンフライ揚げ物食品の食感改良剤を提供することができる。
本発明によれば、特定の条件を満たす粉末油脂組成物をノンフライ揚げ物用プレミックスに用いることにより、調味料の風味が和らげられた、ジューシーでやわらかい食感を有するノンフライ揚げ物食品を簡単に製造することができる。これにより、従来のノンフライ揚げ物食品では満足できなかった人々の需要に応えることができる。
以下、本発明の「ノンフライ揚げ物用プレミックス」について順を追って記述する。
本発明において「ノンフライ揚げ物用プレミックス」とは、油ちょう調理されるか又は揚げ焼き調理されることなく製造された揚げ物食品(すなわち、ノンフライ揚げ物食品)を製造するためのプレミックスである。例えば、小麦粉などの穀粉に、砂糖などの糖類、油脂(粉末油脂)、粉乳、乾燥卵、膨張剤、乳化剤、調味料、香辛料、香料、着色料などの全部又は一部を混合したものであり、適宜水その他の液体と混ぜて、これにより具材をコーティングして、ノンフライの加熱調理(例えば、焼き調理)をするだけで、簡単に揚げ物食品が作れるように調整した粉を総称したものである。このようなプレミックスを使用するメリットは、例えば、(1)高品質の製品が簡単にできる、(2)品質の均一性が確保できる、(3)煩雑な作業が軽減でき、時間、場所、労力の節減が図れる、などが挙げられる。本発明の粉末油脂組成物は、このようなノンフライ揚げ物用プレミックスを作るための材料の一部(油脂分)として利用される。
なお、本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスは、上記各原料をVブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、流動層ミキサーなどの機械で混合すれば、製造することができる。
<油脂組成物>
本発明は、全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種類又はそれ以上のXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である条件から選ばれる、油脂組成物に関する。上記2種類のトリグリセリドを上記質量%にて含む当該油脂組成物は、乳化剤、賦形剤等の添加剤を含めることなく、容易に粉末状の油脂組成物となる。本発明の油脂組成物及び粉末油脂組成物については、先に出願したPCT/JP2015/070850(特願2014−149168号)において詳しく説明されているので、ここでは詳細を割愛する。なお、前記出願の内容は、本明細書の中に取り込まれる。以下、本発明の油脂組成物及び粉末油脂組成物の特徴を要約して説明する。
<XXX型トリグリセリド>
本発明の油脂組成物は、全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、その含有量が65〜99質量%である、単一種又は複数種、好ましくは単一種(1種類)のXXX型トリグリセリドを含む。当該XXX型トリグリセリドは、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するトリグリセリドであり、各脂肪酸残基Xは互いに同一である。ここで、当該炭素数xは8〜20から選択される整数であり、好ましくは10〜18から選択される整数、より好ましくは10〜16から選択される整数、更に好ましくは10〜12から選択される整数である。
脂肪酸残基Xは、飽和あるいは不飽和の脂肪酸残基であってもよい。具体的な脂肪酸残基Xとしては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びアラキジン酸等の残基が挙げられるがこれに限定するものではない。脂肪酸としてより好ましくは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸であり、さらに好ましくは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸であり、殊更好ましくは、カプリン酸及びラウリン酸である。
XXX型トリグリセリドは、油脂組成物中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、65〜99質量%含まれる。XXX型トリグリセリドの含有量として好ましくは、75〜99質量%であり、より好ましくは80〜99質量%であり、更に好ましくは83〜98質量%であり、特に好ましくは85〜98質量%であり、殊更好ましくは90〜98質量%である。
<X2Y型トリグリセリド>
本発明の油脂組成物は、上記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換したX2Y型トリグリセリドを1種以上含む。ここで、1つのX2Y型トリグリセリドに含まれる各脂肪酸残基Xは互いに同一であり、かつXXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xとも同一である。当該1つのX2Y型トリグリセリドに含まれる脂肪酸残基Yの炭素数yはx+2〜x+12でありかつy≦22である条件から選ばれる整数である。炭素数yは、好ましくはy=x+2〜x+10を満たし、より好ましくはy=x+4〜x+8を満たす条件から選ばれる整数である。また、炭素数yの上限値は、好ましくはy≦20であり、より好ましくはy≦18である。本発明の油脂組成物は複数、例えば、2種類〜5種類、好ましくは3〜4種類のX2Y型トリグリセリドを含んでいてもよく、その場合の各X2Y型トリグリセリドの定義は上述の通りである。各X2Y型トリグリセリドの脂肪酸残基Yの炭素数yは、上述の範囲内から、各X2Y型トリグリセリドごとにそれぞれ独立して選択される。例えば、本発明の油脂組成物を、トリカプリンとパーム核ステアリン極度硬化油とをエステル交換して製造する場合は、xは共通してx=10であるが、yはそれぞれy=12、14、16及び18である4種類のX2Y型トリグリセリドを含む。
脂肪酸残基Yは、飽和あるいは不飽和の脂肪酸残基であってもよい。具体的な脂肪酸残基Yとしては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸等の残基が挙げられるがこれに限定するものではない。脂肪酸としてより好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸であり、さらに好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸である。
このX2Y型トリグリセリドの脂肪酸残基Yは、1位〜3位の何れに配置していてもよい。
X2Y型トリグリセリドは、油脂組成物中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、35〜1質量%含まれる。X2Y型トリグリセリドの含有量としては、例えば、25〜1質量%であり、好ましくは20〜1質量%であり、より好ましくは17〜1質量%であり、更に好ましくは15〜2質量%であり、殊更好ましくは10〜2質量%である。本発明の油脂組成物に複数のX2Y型トリグリセリドが含まれる場合、上記X2Y型トリグリセリドの量は、含まれるX2Y型トリグリセリドの合計量である。
<その他のトリグリセリド>
本発明の油脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上記XXX型トリグリセリド及びX2Y型トリグリセリド以外の、その他のトリグリセリドを含んでいてもよい。その他のトリグリセリドは、複数の種類のトリグリセリドであってもよく、合成油脂であっても天然油脂であってもよい。合成油脂としては、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル等が挙げられる。天然油脂としては、例えば、ココアバター、ヒマワリ油、菜種油、大豆油、綿実油等が挙げられる。本発明の油脂組成物中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、その他のトリグリセリドは、1質量%以上、例えば、5〜30質量%程度含まれていても問題はない。その他のトリグリセリドの含有量は、例えば、0〜30質量%、好ましくは0〜18質量%、より好ましくは0〜15質量%、更に好ましくは0〜8質量%である。
<その他の成分>
本発明の油脂組成物は、上記トリグリセリドの他、任意に乳化剤、香料、脱脂粉乳、全脂粉乳、砂糖、デキストリン等のその他の成分を含んでいてもよい。これらその他の成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜70質量%、好ましくは0〜65質量%、より好ましくは0〜30質量%である。その他成分は、その90質量%以上が、平均粒径が1000μm以下である紛体であることが好ましく、平均粒径が500μm以下の紛体であることがより好ましい。なお、ここでいう平均粒径は、レーザー回折散乱法(ISO133201及びISO9276-1)によって測定した値である。
但し、本発明の好ましい油脂組成物は、実質的に油脂のみからなることが好ましい。ここで油脂とは、実質的にトリグリセリドのみからなるものである。また、「実質的に」とは、油脂組成物中に含まれる油脂以外の成分または油脂中に含まれるトリグリセリド以外の成分が、油脂組成物または油脂を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。
<粉末油脂組成物>
本発明の粉末油脂組成物は、上記油脂組成物中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の上記油脂組成物を得、この油脂組成物を冷却することにより、噴霧やミル等の粉砕機による機械粉砕等特別の加工手段を採らなくても、粉末状の油脂組成物(粉末油脂組成物)を得ることができる。より具体的には、上記XXX型トリグリセリドと上記X2Y型トリグリセリドを含有する油脂組成物を任意に加熱・融解して溶融状態の油脂組成物を得、その後冷却して溶融状態の油脂組成物よりも体積が増加した空隙を有する固形物を形成する。得られた該固形物を篩にかける等により外部より軽く衝撃を加えて粉砕する(ほぐす)ことで容易に粉末油脂組成物を得ることができる。
<粉末油脂組成物の物性>
本発明の粉末油脂組成物は、常温(20℃)で粉末状の固体である。
本発明の粉末油脂組成物のゆるめ嵩密度は、例えば実質的に油脂のみからなる場合、0.1〜0.6g/cm3、好ましくは0.15〜0.5g/cm3であり、より好ましくは0.2〜0.4g/cm3である。ここで「ゆるめ嵩密度」とは、粉体を自然落下させた状態の充填密度である。ゆるめ嵩密度(g/cm3)の測定は、例えば、内径15mm×25mLのメスシリンダーに、当該メスシリンダーの上部開口端から2cm程度上方から粉末油脂組成物の適量を落下させて疎充填し、充填された質量(g)の測定と容量(mL)の読み取りを行い、mL当たりの当該粉末油脂組成物の質量(g)を算出することで求めることができる。また、ゆるめ嵩密度は、(株)蔵持科学器械製作所のカサ比重測定器を使用し、JIS K-6720(又はISO 1060-1及び2)に基づいて測定したカサ比重から算出することもできる。具体的には、試料120mLを、受器(内径40mm×高さ85mmの100mL円柱形容器)の上部開口部から38mmの高さの位置から、該受器に落とす。受器から盛り上がった試料はすり落とし、受器の内容積(100mL)分の試料の質量(Ag)を秤量し、以下の式からゆるめ嵩密度を求めることができる。
ゆるめ嵩密度(g/mL)=A(g)/100(mL)
測定は3回行ってその平均値を取ることが好ましい。
<粉末油脂組成物の製造方法>
本発明の粉末油脂組成物は、以下の工程、
(a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換したX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である、油脂組成物を調製する工程、
(b)前記油脂組成物を加熱し、前記油脂組成物中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の前記油脂組成物を得る任意の工程、
(d)溶融状態の前記油脂組成物を冷却して粉末油脂組成物を得る工程、
を含む方法によって製造することができる。
また、上記工程(b)と(d)の間に、工程(c)として粉末生成を促進するための任意工程、例えば(c1)シーディング工程、(c2)テンパリング工程、及び/又は(c3)予備冷却工程を含んでいてもよい。さらに上記工程(d)で得られる粉末油脂組成物は、工程(d)の冷却後に得られる固形物を粉砕して粉末状の油脂組成物を得る工程(e)によって得られるものであってもよい。
(a)油脂組成物の調製工程I
工程(a)で調製される油脂組成物は、上述したとおりのXXX型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)とX2Y型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)とを、上述した質量%で含有するものである。具体的には、例えば、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)と、1位〜3位に炭素数yの脂肪酸残基Yを有するYYY型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)とを別々に入手し、XXX型トリグリセリド/YYY型トリグリセリドの質量比で90/10〜99/1にて混合して反応基質を得(ここで、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yはx+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である)、前記反応基質を加熱し、触媒の存在下でエステル交換反応する工程を経て得られる。
(a)油脂組成物の調製工程II
本発明の工程(a)で調製される油脂組成物の製造方法としては、さらに以下に示すようなXXX型トリグリセリドとX2Y型トリグリセリドを同時かつ直接合成する方法を挙げることができる。すなわち、本調製工程IIは、XXX型トリグリセリドとX2Y型トリグリセリドを得るために、XXX型トリグリセリドとYYY型トリグリセリドとを別々に合成してエステル交換するということはせず、双方のトリグリセリドを製造するための原料(脂肪酸または脂肪酸誘導体とグリセリン)を、例えば単一の反応容器に投入し、同時かつ直接合成する。
(a)油脂組成物の調製工程III
油脂組成物は、さらに65〜99質量%の範囲外にあるXXX型トリグリセリド及び/または35〜1質量%の範囲外にあるX2Y型トリグリセリドを含む油脂組成物を調製した後、XXX型トリグリセリド又はX2Y型トリグリセリドを更に添加することによって65〜99質量%のXXX型トリグリセリドと35〜1質量%のX2Y型トリグリセリドとを含む油脂組成物を得てもよい(希釈による油脂組成物の調製)。例えば、50〜70質量%のXXX型トリグリセリドと50〜30質量%のX2Y型トリグリセリドとを含む油脂組成物を得た後、所望量のXXX型トリグリセリドを添加して65〜99質量%のXXX型トリグリセリドと35〜1質量%のX2Y型トリグリセリドとを含む油脂組成物を得てもよい。
(b)溶融状態の前記油脂組成物を得る工程
上記(d)工程の前に、上記工程(a)で得られた油脂組成物は、調製された時点で溶融状態にある場合、加熱せずにそのまま冷却されるが、得られた時点で溶融状態にない場合は、任意に加熱され、該油脂組成物中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の油脂組成物を得る。
ここで、油脂組成物の加熱は、上記油脂組成物中に含まれるトリグリセリドの融点以上の温度、特にXXX型トリグリセリド及びX2Y型トリグリセリドを融解できる温度、例えば、70〜200℃、好ましくは、75〜150℃、より好ましくは80〜100℃であることが適当である。また、加熱は、例えば、0.5〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間、より好ましくは0.5〜1時間継続することが適当である。
(d)溶融状態の油脂組成物を冷却して粉末油脂組成物を得る工程
上記工程(a)又は(b)で得られた溶融状態の油脂組成物は、さらに冷却されて粉末油脂組成物を形成する。
ここで、「溶融状態の油脂組成物を冷却」とは、溶融状態の油脂組成物を、当該油脂組成物の融点より低い温度に保つことを意味する。「油脂組成物の融点より低い温度」とは、例えば、当該融点より1〜30℃低い温度、好ましくは当該融点より1〜20℃低い温度、より好ましくは当該融点より1〜15℃低い温度である。溶融状態にある油脂組成物の冷却は、例えばxが8〜10のときは最終温度が、好ましくは10〜30℃、より好ましくは15〜25℃、更に好ましくは18〜22℃の温度になるように冷却することによって行われる。冷却における最終温度は、例えばxが11又は12のときは、好ましくは30〜40℃、より好ましくは32〜38℃、更に好ましくは33〜37℃であり、xが13又は14のときは、好ましくは40〜50℃、より好ましくは42〜48℃、更に好ましくは44〜47℃であり、xが15又は16のときは、好ましくは50〜60℃、より好ましくは52〜58℃、更に好ましくは54〜57℃であり、xが17又は18のときは、好ましくは60〜70℃、より好ましくは62〜68℃、更に好ましくは64〜67℃であり、xが19又は20のときは、好ましくは70〜80℃、より好ましくは72〜78℃、更に好ましくは74〜77℃である。上記最終温度において、例えば、好ましくは2時間以上、より好ましくは4時間以上、更に好ましくは6時間〜2日間静置することが適当である。場合によっては、例えばXXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの炭素数xが8〜12の場合など、比較的粉体化に時間を要するものは、特に以下の(c)工程を使用しない場合、例えば2〜8日間、具体的には3〜7日間、より具体的には約6日間静置しなければならない場合もある。
(c)粉末生成促進工程
さらに、上記工程(a)又は(b)と(d)との間に、(c)粉末生成を促進するための任意工程として、工程(d)で使用する溶融状態の油脂組成物に対し、シーディング法(c1)、テンパリング法(c2)及び/又は(c3)予備冷却法による処理を行ってもよい。
ここで、(c1)シーディング法とは、粉末の核(種)となる成分を溶融状態にある油脂組成物の冷却時に少量添加して、粉末化を促進する方法である。具体的には、例えば、工程(b)で得られた溶融状態にある油脂組成物に、当該油脂組成物中のXXX型トリグリセリドと炭素数が同じXXX型トリグリセリドを好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含む油脂粉末を核(種)となる成分として準備する。この核となる油脂粉末を、溶融状態にある油脂組成物の冷却時、当該油脂組成物の温度が、例えば、最終冷却温度±0〜+10℃、好ましくは+5〜+10℃の温度に到達した時点で、当該溶融状態にある油脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加することにより、油脂組成物の粉末化を促進する方法である。
(c2)テンパリング法とは、溶融状態にある油脂組成物の冷却において、最終冷却温度で静置する前に一度、工程(d)の冷却温度よりも低い温度、例えば5〜20℃低い温度、好ましくは7〜15℃低い温度、より好ましくは10℃程度低い温度に、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間程度冷却することにより、油脂組成物の粉末化を促進する方法である。
(c3)予備冷却法とは、前記工程(a)又は(b)で得られた溶融状態の油脂組成物を、工程(d)にて冷却する前に、工程(a)又は(b)の溶融状態の温度よりも低く、工程(d)の冷却温度よりも高い温度で一旦予備冷却する方法である。工程(d)の冷却温度より高い温度とは、例えば、工程(d)の冷却温度よりも2〜40℃高い温度、好ましくは3〜30℃高い温度、より好ましくは4〜30℃高い温度、さらに好ましくは5〜10℃程度高い温度であり得る。前記予備冷却する温度を低く設定すればするほど、工程(d)の冷却温度における本冷却時間を短くすることができる。すなわち、予備冷却法とは、シーディング法やテンパリング法と異なり、冷却温度を段階的に下げるだけで油脂組成物の粉末化を促進できる方法であり、工業的に製造する場合に利点が大きい。
(e)固形物を粉砕して粉末油脂組成物を得る工程
上記工程(d)の冷却によって粉末油脂組成物を得る工程は、より具体的には、工程(d)の冷却によって得られる固形物を粉砕して粉末油脂組成物を得る工程(e)によって行われてもよい。
詳細に説明すると、まず、上記XXX型トリグリセリドと上記X2Y型トリグリセリドを含有する油脂組成物を融解して溶融状態の油脂組成物を得、その後冷却して溶融状態の油脂組成物よりも体積が増加した空隙を有する固形物を形成する。空隙を有する固形物となった油脂組成物は、軽い衝撃を加えることで粉砕でき、固形物が容易に崩壊して粉末状となる。
ここで、軽い衝撃を加える手段は特に特定されないが、振る、篩に掛ける等により、軽く振動(衝撃)を与えて粉砕する(ほぐす)方法が、簡便で好ましい。
<粉末油脂組成物に含まれるその他の成分>
本発明の粉末油脂組成物は、任意に乳化剤、タンパク質、澱粉、酸化防止剤等のその他の成分を含んでいてもよい。例えば、粉末油脂組成物に対し、乳化作用のあるものを加えることによって、粉末油脂組成物の水系への分散性を向上させることができる。これらその他の成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜70質量%、好ましくは0〜65質量%、より好ましくは0〜30質量%である。
但し、本発明の好ましい粉末油脂組成物は、実質的に油脂のみからなることが好ましい。ここで油脂とは、実質的にトリグリセリドのみからなるものである。また、「実質的に」とは、粉末油脂組成物中に含まれる油脂以外の成分または油脂中に含まれるトリグリセリド以外の成分が、油脂組成物または油脂を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。
<粉末油脂組成物の含有量>
本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスは、対粉ベースで、上記粉末油脂組成物を1〜40質量%、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%含有する。1質量%未満では、所望の効果が得られないし、40質量%を超える場合は、好ましい食感にならない。なお、粉末油脂組成物を加えた後のノンフライ揚げ物用プレミックスの全質量を100質量%とした場合に、ノンフライ揚げ物用プレミックス中に上記粉末油脂組成物を0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは3〜8質量%含有する。
また、本発明の粉末油脂組成物は、穀粉量をベースに添加されるだけでなく、従来のノンフライ揚げ物用プレミックス粉(唐揚げ粉等)に対して添加されることもある。そこで、計算を簡略化するため、本発明における「対粉ベース」とは、穀粉を含む粉体に対する粉末油脂組成物の含有量として定義する。すなわち、穀粉100質量%に対する、粉末油脂組成物の含有量を指すだけでなく、従来の唐揚げ粉(穀粉以外も含む)100質量%に対する、粉末油脂組成物の含有量を指すこともある。発明の態様によって異なるが、本発明では後者を意味することが多い。繰り返しになるが、後者の場合には、穀粉以外にプレミックスに含まれるその他の成分も含めて、本発明の粉末油脂組成物の含有量が計算される。
<ノンフライ揚げ物用プレミックスに含まれる食用油脂>
本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスは、上記粉末油脂組成物のほか、任意の食用油脂を含むことができる。このような食用油脂としては、食用油、マーガリン、ファットスプレッド、及びショートニングなどが挙げられ、これらの一種又は2種以上を併用することができる。前記食用油脂の原料としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、加工油脂等を使用することができる。これら食用油脂の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜100質量%、好ましくは0〜75質量%、より好ましくは0〜50質量%である。
<ノンフライ揚げ物用プレミックスに含まれる穀粉>
本発明に用いられる穀粉は、主には小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)を意味するが、これ以外にも、大麦粉、米粉、ハトムギ粉、トウモロコシ粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、ポテトフラワー、澱粉などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、これら穀粉を加熱処理したもの(例えば、クラッカー、春雨等を砕いたもの)も、穀粉に含まれる。本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスに含まれる穀粉の含有量は、プレミックス100質量%に対して、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜80質量%であり、さらに好ましくは30〜70質量%である。
<ノンフライ揚げ物用プレミックスに含まれるその他の成分>
本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスにおいては、揚げ物用プレミックスに一般的に配合される原材料をあわせて使用することができる。具体的には、例えば、粉乳、乾燥卵、植物蛋白、小麦グルテン粉末、色素、香料、食塩、乳化剤、増粘剤、カルシウム、酵素、呈味剤、香辛料などを、所望の揚げ物食品の品質に応じて適宜使用することができる。本発明のプレミックスの形態は、粉末、顆粒状など、(適宜水その他の液を加えて)具材にまぶすことができる形態であれば、特に制限されない。
<ノンフライ揚げ物食品の製造法>
本発明の「揚げ物食品」は、通常油ちょう調理で製造され得る食品はすべて含まれ、例えば、唐揚げ、フライ類、天ぷら、フリッター等が挙げられる。本発明では、特に唐揚げが好ましい。
本発明の揚げ物食品の製造法としては、上記粉末油脂組成物を含むプレミックスを具材に直接、又は必要に応じて水その他の液体を予め付着させた具材にまぶし、これを加熱調理することによって、本発明のノンフライ揚げ物食品を製造することができる。さらに、プレミックスに水その他の液体を加えて液状とした衣材を具材に付着させて、これを加熱調理することによって、ノンフライ揚げ物食品を製造することができる。
本発明のプレミックス付着させる具材としては、特に制限はなく、肉類、魚介類、野菜類等が挙げられる。具材は必要に応じて予め下味が付けられていてもよい。具材に予め付着させる液体としては、水や調味液が挙げられる。調味液にはリン酸塩などの食肉改良剤を加えてもよい。具材表面にこれらの液体を付着させるか、あるいはこれらの液体に具材を浸漬又はタンブリングし、具材全体に当該液体を浸透させる。次いで、この液体が付着した状態の具材に、本発明のプレミックスをまぶして使用すればよい。また、まぶす際には、液体を付着させた具材にプレミックスをしっかりともみ込みながら付着させることが好ましい。
また、プレミックスに水その他の液体を加え、得られた衣材(バッター液)に具材を浸漬又はタンブリングして、具材全体にプレミックスからなる衣をまとわせても良い。
上述の手順で本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスを付着させた具材は、直ちに加熱調理してもよいが、冷蔵又は冷凍保存された後に加熱調理してもよい。あるいは、本発明のプレミックスを付着させた具材を加熱調理した後、冷蔵又は冷凍保存してもよい。本発明のノンフライ揚げ物用プレミックスを付着させた具材は、加熱調理した後に食されるノンフライ揚げ物食品として、好ましくは冷蔵又は冷凍保存された状態で、流通される。また、加熱調理後に冷蔵又は冷凍下において流通され、喫食前に、再加熱、自然解凍又はそれらの組合せにより食されてもよい。
加熱調理(特に焼き調理)の手段としては、油ちょうを除き、特に制限されないが、例えば、オーブン、スチームコンベクションオーブン、オーブントースター、グリル、フライパン等が用いられる。加熱調理の条件は、具材の種類やその大きさによって変わるものであり、また、使用する調理機器の種類に応じて当業者が適宜設定することができる。
<ノンフライ揚げ物食品用食感改良剤>
ところで、以上述べたように、本発明に用いる粉末油脂組成物は、ノンフライ揚げ物食品をジューシーでやわらかい食感のものへ改変するから、本発明は、上記粉末油脂組成物を有効成分とする、ノンフライ揚げ物食品用食感改質剤にも関する。以下に示すように、本発明のノンフライ揚げ物食品用食感改良剤をノンフライ揚げ物用プレミックスに配合することにより、揚げ物食品をジューシーでやわらかい食感のものとする食感改良効果を達成することができる。
本発明のノンフライ揚げ物食品用食感改良剤は、上述の粉末油脂組成物を含有する。本発明のノンフライ揚げ物食品用食感改良剤は、少量で効果を発揮するため、上記の粉末油脂組成物を、好ましくは60質量%以上含有し、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは100質量%以上含有する。
また、本発明のノンフライ揚げ物食品用食感改良剤は、有効成分であると上述した粉末油脂組成物を含有したものであればよく、この他に本発明の効果を損なわない範囲で、大豆油、菜種油などの油脂、デキストリン、澱粉等の賦形剤、品質改良剤等の他の成分を含有させたものであってもよい。
但し、本発明の好ましいノンフライ揚げ物食品用食感改良剤は、実質的に当該粉末油脂組成物のみからなることが好ましい。また「実質的に」とは、ノンフライ揚げ物食品用食感改良剤中に含まれる粉末油脂組成物以外の成分が、ノンフライ揚げ物食品用食感改良剤を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
<原料油脂>
(1)粉末油脂組成物A(融点約28℃):
〔x=10、y=18、テンパリング法〕
攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離機を備えた500mLの四つ口フラスコに、グリセリン(阪本薬品工業社製)44.1g(0.479mol)と、ステアリン酸(Palmac98−18(アシッドケム社製))25.9g(0.091mol)とカプリン酸(Palmac99−10(アシッドケム社製))266.0g(1.544mol)を仕込み、窒素気流下、250℃の温度で15時間反応させた。過剰のカプリン酸を190℃、減圧下にて留去した後、脱色・濾過、脱臭を行い、50℃において淡黄色液状の反応物を245g得た(XXX型:80.6質量%、X2Y型:17.3質量%)。得られた反応物60gとトリカプリン(日清オイリオグループ(株)製)140gを混合し原料油脂とした(XXX型:94.0質量%、X2Y型:5.2質量%)。原料油脂を80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、10℃恒温槽にて1時間冷却した後、20℃恒温槽にて12時間静置し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させた後、ほぐすことで粉末状の結晶組成物を得た(ゆるめ嵩密度:0.3g/cm3、平均粒径116μm)。このようにして製造した粉末油脂組成物を以下の実施例で用いた。
(2)粉末油脂組成物B(融点約44℃)
〔x=12、y=18、テンパリング法〕
攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離機を備えた500mLの四つ口フラスコに、グリセリン(阪本薬品工業社製)38.8g(0.421mol)と、ステアリン酸(Palmac98−18(アシッドケム社製))26.2g(0.092mol)とラウリン酸(Palmac99−10(アシッドケム社製))271.3g(1.354mol)を仕込み、窒素気流下、250℃の温度で15時間反応させた。過剰のラウリン酸を220℃、減圧下にて留去した後、脱色・濾過、脱臭を行い、50℃において淡黄色液状の反応物を242g得た(XXX型:78.3質量%、X2Y型:19.2質量%)。得られた反応物60gとトリラウリン(日清オイリオグループ(株)製)140gを混合し原料油脂とした(XXX型:93.1質量%、X2Y型:5.8質量%)。原料油脂を80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、28℃恒温槽にて0.5時間冷却した後、35℃恒温槽にて12時間静置し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させた後、ほぐすことで粉末状の結晶組成物を得た(ゆるめ嵩密度:0.3g/cm3、平均粒径130μm)。このようにして製造した粉末油脂組成物を以下の実施例で用いた。
ここで、ゆるめ嵩密度は、(株)蔵持科学器械製作所のカサ比重測定器を使用し、JIS K-6720(又はISO 1060-1及び2)に基づいて測定したカサ比重から算出した。具体的には、試料120mLを、受器(内径40mm×高さ85mmの100mL円柱形容器)の上部開口部から38mmの高さの位置から、該受器に落とした。続いて、受器から盛り上がった試料をすり落とし、受器の内容積(100mL)分の試料の質量(Ag)を秤量し、以下の式からゆるめ嵩密度を求めた。
ゆるめ嵩密度(g/mL)=A(g)/100(mL)
測定は3回行って、その平均値を測定値とした。
ここで、平均粒径は、日機装株式会社製 Microtrac MT3300ExII)でレーザー回折散乱法(ISO133201、ISO9276-1)に基づいて測定した。
(3)油脂粉末
油脂粉末(日清オイリオグループ株式会社:ジュピターP1)
<その他の原材料>
(1)唐揚げ粉
唐揚げ粉(昭和産業株式会社製:レンジでチンするから揚げ粉;香ばしおしょうゆ味)
原材料として、コーングリッツ、粉末醤油、脱脂大豆粉、パン粉、食塩、砂糖、卵白粉、ぶどう糖、香辛料、酵母エキス、脱脂粉乳、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、着色料(カラメル、カロテノイド)が含まれている。また、80g当たり、エネルギーは256kcal、タンパク質は13.5g、脂質は0.5g、炭水化物は49.4g、ナトリウムは3.8g、食塩相当量は9.7gである。
[実施例1〜2]
<唐揚げの製造>
下記表1〜2の配合に従って、実施例1〜2、比較例1〜2の唐揚げを製造した。具体的には、まず、唐揚げ粉20gに粉末油脂1g(対粉ベースで5%)で加えてよく混ぜた。これに解凍した鶏モモ肉(30〜40g/個)5個を一緒にビニール袋に入れてよくまぶした。唐揚げ粉が付着した鶏モモ肉をキッチンペーパーの上に並べて、電子レンジ500Wで4.5分間加熱調理を行い、唐揚げ(ノンフライ揚げ物食品)を製造した。
Figure 2017127253
Figure 2017127253
<唐揚げの評価>
上記で製造した、実施例1〜2と比較例1〜2の唐揚げについて、以下の評価方法に従って評価した。
<揚げ物食品の評価方法>
(1)調味料の風味の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
○:調味料の風味が和らいでおり、適度な濃さの味が感じられる
△:調味料の風味が若干和らいでいるが、味がやや濃く感じられる
×:調味料の風味が強く感じられ、濃い味に感じられる
(2)食感の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した
○:ジューシーでやわらかい食感がする
△:ややジューシー感にかけ、やわらかい食感も乏しい
×:ジューシー感がなく、硬い食感がする
(3)油性感の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した
○:バランスのよい油性感があり、揚げ物として好ましい
△:ややバランスにかけた油性感がある
×:バランスを欠いた油性感があり、揚げ物として好ましくない
表1〜2の結果から明らかであるように、本発明の粉末油脂組成物を用いて製造した唐揚げは、それを含まないで製造した従来のもの(比較例1)と比較して、調味料の風味が和らいでおり、適度な濃さの味が感じられた。また、鶏モモ肉の食感もジューシーでやわらかくなっており、好ましいことがわかった。さらに、バランスのよい油性感があり、油っぽくなく、揚げ物として好ましいこともわかった。
一方、本発明の粉末油脂組成物に代えて、市販の油脂粉末を用いた場合には、調味料の風味や食感については実施例1又は2と比較して顕著な差は見られなかったが、ややバランスを欠いた油性感が感じられ、本発明の粉末油脂組成物の方が好ましいことがわかった。

Claims (12)

  1. 以下の(a)の条件を満たす粉末状の油脂組成物を含有する、ノンフライ揚げ物用粉末油脂組成物。
    (a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である。
  2. 前記XXX型トリグリセリドが80〜99質量%と、前記1種以上のX2Y型トリグリセリドの合計が20〜1質量%とを含有する、請求項1に記載の粉末油脂組成物。
  3. 前記xが10〜18から選択される整数であり、前記yが、それぞれ独立して、x+2〜x+10から選択される整数でありかつy≦22である、請求項1または2に記載の粉末油脂組成物。
  4. 前記xが10〜12から選択される整数であり、前記yが、それぞれ独立して、x+4〜x+8から選択される整数でありかつy≦22である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物。
  5. ゆるめ嵩密度が0.1〜0.6g/cm3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物を含有してなる、ノンフライ揚げ物用プレミックス。
  7. 前記粉末油脂組成物を対粉ベースで1〜40質量%含有してなる、請求項6に記載のノンフライ揚げ物用プレミックス。
  8. 請求項6又は7に記載のプレミックスで具材を被覆してなる、ノンフライ揚げ物食品。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物を配合する、ノンフライ揚げ物用プレミックスの製造法。
  10. 前記粉末油脂組成物を対粉ベースで1〜40質量%配合する、請求項9に記載のノンフライ揚げ物用プレミックスの製造法。
  11. 請求項6又は7に記載のプレミックスで具材を被覆した後に加熱調理する、ノンフライ揚げ物食品の製造法。
  12. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物を有効成分とする、ノンフライ揚げ物食品の食感改質剤。
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