JP2017124611A - 記録素子基板および液体吐出ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】気泡を大気に連通させて液体吐出する方式の液体吐出ヘッドにおいて、サテライトをより低減することが可能な記録素子基板および液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】記録素子基板10は、液体を吐出する吐出口13と、吐出口13と連通する圧力室23と、圧力室23内に吐出口13と面して設けられた、液体を発泡させる記録素子15と、記録素子15が形成された基板11と、を備え、圧力室の高さは7μm以下であって、記録素子15が駆動されて圧力室23内の液体が吐出されるとき、発生する気泡は大気と連通し、吐出口13を基板11に投影した吐出口投影領域13Pは、記録素子15の発熱領域を基板11に投影した発熱領域投影領域15Pからはみ出した領域を含むか、または、吐出口投影領域13Pの外形線が発熱領域投影領域15Pの外形線に内接することを特徴とする。【選択図】図23

Description

本発明は、インク等の液体を吐出するために用いられる記録素子基板と、この記録素子基板を備える液体吐出ヘッドに関する。
液体吐出ヘッド、例えばインクジェット記録ヘッドが液体を吐出する方法としては、液体に熱を加えて膜沸騰させ、その発泡の力を利用したサーマルインクジェット方式が挙げられる。サーマルインクジェット方式に用いられる液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口と、吐出口と連通する圧力室と、圧力室に液体を供給する流路と、流路に液体を供給する供給口とが形成された記録素子基板を有する。記録素子基板の圧力室内には、発熱抵抗素子(ヒータ)が形成されており、発熱抵抗素子が発生させた吐出エネルギーによって液体が吐出口から吐出される。
このような液体吐出ヘッドで液体を吐出すると、吐出された液体は、主滴と、主滴の後方に繋がるように伸びた細長い尾引きとを含む柱状となる。この尾引きは、飛翔中に液体の表面張力および液柱の先端と後端との速度差により主滴から切り離されて、サテライトと呼ばれる微小な液滴となることが多い。サテライトが記録媒体上で主滴とずれた位置に着弾すると、画質の低下をもたらすことがある。
このようなサテライトの発生を低減する方法として、発熱抵抗素子により液体に熱エネルギーを与えて発生させた気泡により圧力室内の液体を流路内の液体から分離して吐出する際に、気泡を大気に連通させる方式が知られている。この方式を用いると、吐出される液体の後方部が発熱抵抗素子方面へ向かう速度成分を持つため、サテライトとなり得る部分が吐出口から出る前に主滴から切り離されやすくなり、吐出口の外でサテライトとなって飛翔する液体を低減することができる。
さらに特許文献1には、主滴と尾引きのうち主滴に含まれる液体量が多くなるように圧力室の高さや吐出口の大きさなどの寸法を調整して、サテライトを低減する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、発熱抵抗素子のサイズは吐出口の開口よりも大きい。
国際公開第2010/044775号
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、気泡が大気に連通するタイミングが遅くなることがある。このため、液滴の後方部が主滴の部分から切り離されてサテライトが発生する場合が依然としてあった。
そこで本発明は、気泡を大気に連通させて液体を吐出する方式の液体吐出ヘッドにおいて、サテライトをより低減することが可能な記録素子基板および液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
本発明による液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口と、前記吐出口と連通する圧力室と、前記圧力室内に設けられた、前記液体を発泡させる熱エネルギーを発生させる記録素子と、前記圧力室に連通する流路と、前記記録素子が形成された基板と、を備え、前記基板と垂直な方向における前記圧力室の高さは7μm以下であって、前記基板に垂直な方向からみて、前記吐出口を前記基板に投影した吐出口投影領域の外形線に外接する長方形は、前記記録素子の発熱領域を前記基板に投影した発熱領域投影領域を包含することを特徴とする。
本発明によれば、気泡が大気に連通するタイミングを早くすることができるため、主滴の後方に繋がるように伸びた細長い尾引きが短くなり、主滴から切り離されるサテライトを低減することができ、記録画質を向上させることが可能である。
本発明の第1の適用例に係る記録装置1000の概略構成を示す図である。 記録装置1000の液体が循環する第1の循環経路を示す図である。 記録装置1000の第2の循環経路を示す図である。 本発明の第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の斜視図である。 図4の液体吐出ヘッド3の分解斜視図である。 図4の液体吐出ヘッド3が有する流路部材210を構成する第1〜第3流路部材の構成を示す図である。 流路部材210内の各流路の接続関係を説明するための図である。 図7のE−E線断面図である。 吐出モジュール200の斜視図および分解図である。 記録素子基板10の構成を示す図である。 図10のB−B断面を含む記録素子基板10および蓋部材20の構成を示す斜視図である。 隣り合う2つの吐出モジュールにおける記録素子基板10の隣接部分を部分的に拡大して示す平面図である。 本発明の第2の適用例に係る記録装置1000の構成を示す図である。 本発明の第2の適用例に係る液体吐出ヘッド3の斜視図である。 図14の液体吐出ヘッド3の分解斜視図である。 図14の液体吐出ヘッド3が有する流路部材210を構成する第1および第2流路部材の構成を示す図である。 記録素子基板10および流路部材210における液体の接続関係を説明するための図である。 図17のF−F線断面図である。 吐出モジュール200の斜視図および分解図である。 記録素子基板10の構成を示す図である。 記録素子基板10の第1の実施形態を説明するための図である。 本発明の比較例の寸法とインク吐出過程を説明するための図である。 図21の記録素子基板10の寸法とインク吐出過程を説明するための図である。 記録素子基板10の第2の実施形態を説明するための上面図である。 第2の実施形態に係る記録素子基板10の断面図とインク吐出過程を説明するための図である。 本発明の比較例と第2の実施形態とにおけるインク吐出過程を示す連続図である。 吐出口と記録素子の距離Cと、気泡が大気に連通するまでの時間との関係を示す図である。 記録素子基板10の第3の実施形態を説明するための図である。 記録素子基板10の第4の実施形態を説明するための図である。 記録装置1000の第3の循環経路を示す図である。 本発明の第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の変形例を示す図である。 本発明の第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の変形例の概略構成を示す図である。 本発明の第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の変形例を示す図である。 本発明の第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の変形例を示す図である。 本発明の第3の適用例に係る記録装置1000の概略構成を示す図である。 本発明の第4の循環経路を示す図である。 本発明の第3の適用例に係る液体吐出ヘッド3を示す図である。 本発明の第3の適用例に係る液体吐出ヘッド3を示す図である。
以下、本発明の適用例及び実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、同一の機能を有する構成要素については同じ符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態の例を説明する。ただし、以下の記載は本発明の範囲を限定するものではない。
本適用例及び実施形態は、インク等の液体をタンクと液体吐出ヘッド間で循環させる形態のインクジェット記録装置(記録装置)であるが、その他の形態であっても良い。例えばインクを循環せずに、液体吐出ヘッド上流側と下流側に2つのタンクを設け、一方のタンクから他方のタンクへインクを流すことで、圧力室内のインクを流動させる形態であっても良い。
また本適用例及び実施形態は被記録媒体の幅に対応した長さを有する、所謂ライン型ヘッドであるが、被記録媒体に対してスキャンを行いながら記録を行う、所謂シリアル型の液体吐出ヘッドにも本発明を適用できる。シリアル型の液体吐出ヘッドとしては、例えばブラックインク用、およびカラーインク用記録素子基板を各1つずつ搭載する構成があげられるが、これに限らない。例えばシリアル型の液体吐出ヘッドは、数個の記録素子基板を吐出口列方向に吐出口をオーバーラップさせるよう配置した、被記録媒体の幅よりも短い、短尺のラインヘッドを作成し、それを被記録媒体に対してスキャンさせる形態のものであっても良い。
以下に本発明を好適に適用可能な適用例について説明する。
(第1の適用例)
(インクジェット記録装置の説明)
本発明の、液体を吐出する装置、特にはインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置1000(以下、記録装置とも称す)の概略構成を図1に示す。記録装置1000は被記録媒体2を搬送する搬送部1と、被記録媒体の搬送方向と略直交して配置されるライン型(ページワイド型)の液体吐出ヘッド3とを備える。記録装置1000は複数の被記録媒体2を連続もしくは間欠的に搬送しながら1パスで連続記録を行う。被記録媒体2はカット紙に限らず、連続したロール紙であってもよい。液体吐出ヘッド3はCMYKインクによる(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)フルカラー印刷が可能である。液体吐出ヘッド3は、後述するようにインクを液体吐出ヘッドへ供給する供給路である液体供給手段と、メインタンクと、バッファタンクと(図2参照)が流体的に接続される。また、液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力及び吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。吐出ヘッド3内における液体経路及び電気信号経路については後述する。
(第1の循環経路の説明)
図2は、本適用例の記録装置に適用される循環経路の1形態である第1の循環経路を示す模式図である。この図2は、液体吐出ヘッド3を、第1循環ポンプ(高圧側)1001、第1循環ポンプ(低圧側)1002、及びバッファタンク1003等に流体的に接続した図である。なお図2では、説明を簡略化するためにCMYKインクの内の一色のインクが流動する経路のみを示しているが、実際には4色分の循環経路が、液体吐出ヘッド3及び記録装置本体に設けられる。メインタンク1006と接続される、サブタンクとしてのバッファタンク1003はタンク内部と外部とを連通する大気連通口(不図示)を有し、インク中の気泡を外部に排出することが可能である。バッファタンク1003は、補充ポンプ1005とも接続されている。補充ポンプ1005は、液体吐出ヘッド3でインクが消費された際に、消費されたインク分をメインタンク1006からバッファタンク1003へ移送する。インクは、例えば、インクを吐出しての記録や吸引回復等、液体吐出ヘッドの吐出口からインクを吐出(排出)する場合に液体吐出ヘッド3で消費される。
2つの第1循環ポンプ1001,1002は、液体吐出ヘッド3の液体接続部111からインクを引き出してバッファタンク1003へ流す役割を有する。第1循環ポンプとしては定量的な送液能力を有する容積型ポンプが好ましい。具体的にはチューブポンプ、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等が挙げられるが、例えば一般的な定流量弁やリリーフ弁をポンプ出口に配して一定流量を確保する形態であっても用いることが出来る。液体吐出ヘッド300の駆動時には第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002によって、それぞれ共通供給経路211、共通回収流路212内をある一定量のインクが流れる。この流量としては、液体吐出ヘッド3内の各記録素子基板10間の温度差が、記録画質に影響しない程度以上に設定することが好ましい。もっとも、あまりに大きな流量を設定すると、液体吐出ユニット300内の流路の圧損の影響により、各記録素子基板10で負圧差が大きくなり過ぎて画像の濃度ムラが生じてしまう。このため、各記録素子基板10間の温度差と負圧差を考慮しながら、流量を設定することが好ましい。
負圧制御ユニット230は、第2循環ポンプ1004と液体吐出ユニット300との経路の間に設けられている。このため負圧制御ユニット230は、記録を行うDutyの差によって循環系の流量が変動した場合でも負圧制御ユニット230よりも下流側(即ち液体吐出ユニット300側)の圧力を予め設定した一定圧力に維持するように動作する機能を有する。負圧制御ユニット230を構成する2つの圧力調整機構としては、それ自身よりも下流の圧力を、所望の設定圧を中心として一定の範囲以下の変動で制御できるものであれば、どのような機構を用いても良い。一例としては所謂「減圧レギュレーター」と同様の機構を採用することができる。減圧レギュレーターを用いた場合には、図2に示したように、第2循環ポンプ1004によって、液体供給ユニット220を介して負圧制御ユニット230の上流側を加圧するようにすることが好ましい。このようにするとバッファタンク1003の液体吐出ヘッド3に対する水頭圧の影響を抑制できるので、記録装置1000におけるバッファタンク1003のレイアウトの自由度を広げることができる。第2循環ポンプ1004としては液体吐出ヘッド3の駆動時に使用するインク循環流量の範囲において、一定圧以上の揚程圧を有するものであればよく、ターボ型ポンプや容積型ポンプなどを使用できる。具体的には、ダイヤフラムポンプ等が適用可能である。また第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば負圧制御ユニット230に対してある一定の水頭差をもって配置された水頭タンクでも適用可能である。
図2に示したように負圧制御ユニット230は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備えている。2つの負圧調整機構の内、相対的に高圧設定側(図2でHと記載)、相対的に低圧設定側(図2でLと記載)は、それぞれ、液体供給ユニット220内を経由して、液体吐出ユニット300内の共通供給経路211、共通回収流路212に接続されている。液体吐出ユニット300には、共通供給経路211、共通回収流路212、及び各記録素子基板10と連通する個別供給流路213aおよび個別回収流路213bが設けられている。個別供給流路213aおよび213bは共通供給経路211及び共通回収流路212と連通しているので、インクの一部が、共通供給流路211から記録素子基板10の内部流路を通過して共通回収流路212へと流れる流れ(図2の矢印)が発生する。共通供給流路211には圧力調整機構Hが、共通回収流路212には圧力調整機構Lが接続されているため、2つの共通流路間に差圧が生じているからである。
このようにして、液体吐出ユニット300では、共通供給流路211及び共通回収流路212内をそれぞれ通過するようにインクを流しつつ、一部のインクが各記録素子基板10内を通過するような流れが発生する。このため、各記録素子基板10で発生する熱を共通供給流路211および共通回収流路212の流れで記録素子基板10の外部へ排出することが出来る。またこのような構成により、液体吐出ヘッド3による記録を行っている際に、記録を行っていない吐出口や圧力室においてもインクの流れを生じさせることが出来るので、その部位におけるインクの増粘を抑制できる。また増粘したインクやインク中の異物を共通回収流路212へと排出することができる。このため、本適用例の液体吐出ヘッド3は、高速で高画質な記録が可能となる。
(第2の循環経路の説明)
図3は、本適用例の記録装置に適用される循環経路のうち、上述した第1の循環経路とは異なる循環形態である第2の循環経路を示す模式図である。前述の第1の循環経路との主な相違点は、以下の通りである。まず、負圧制御ユニット230を構成する2つの圧力調整機構が共に、負圧制御ユニット230よりも上流側の圧力を、所望の設定圧を中心として一定範囲内の変動で制御する機構(所謂「背圧レギュレーター」と同作用の機構部品)を有している。次に、第2循環ポンプ1004が負圧制御ユニット230の下流側を減圧する負圧源として作用するものである。さらに、第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002が液体吐出ヘッド上流側に配置され、負圧制御ユニット230が液体吐出ヘッド下流側に配置されている。
第2の適用例において負圧制御ユニット230は、液体吐出ヘッド3により記録を行う際に記録Dutyの変化によって流量の変動が生じても、自身の上流側(即ち液体吐出ユニット300側)の圧力変動が一定範囲内となるように作動する。圧力変動は、例えば、予め設定された圧力を中心として一定範囲内にされる。図3に示すように、第2循環ポンプ1004によって、液体供給ユニット220を介して負圧制御ユニット230の下流側を加圧することが好ましい。このようにすると液体吐出ヘッド3に対するバッファタンク1003の水頭圧の影響を抑制できるので、記録装置1000におけるバッファタンク1003のレイアウトの選択幅を広げることができる。第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば負圧制御ユニット230に対して所定の水頭差をもって配置された水頭タンクであっても適用可能である。
第1の適用例と同様に、図3に示す負圧制御ユニット230は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備えている。2つの負圧調整機構の内、高圧設定側(図3でHと記載)、低圧設定側(図3でLと記載)はそれぞれ、液体供給ユニット220内を経由して、液体吐出ユニット300内の共通供給経路211、および共通回収流路212に接続されている。2つの負圧調整機構により共通供給流路211の圧力を共通回収流路212の圧力より相対的に高くしている。この構成により、共通供給流路211から個別流路213及び各記録素子基板10の内部流路を介して共通回収流路212へと流れるインク流れが発生する(図3)の矢印)。このように、第2の循環経路では、液体吐出ユニット300内に第1の循環経路と同様のインク流れ状態が得られるが、第1の循環経路の場合とは異なる2つの利点がある。
1つ目の利点は、第2の循環経路では負圧制御ユニット230が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されているので、負圧制御ユニット230から発生するゴミや異物がヘッドへ流入する懸念が少ないことである。2つ目の利点は、第2の循環経路では、バッファタンク1003から液体吐出ヘッド3へ供給する必要流量の最大値が、第1の循環経路の場合よりも少なくて済むことである。その理由は次の通りである。記録待機時に循環している場合の、共通供給流路211及び共通回収流路212内の流量の合計をAとする。Aの値は、記録待機中に液体吐出ヘッド3の温度調整を行う場合に、液体吐出ユニット300内の温度差を所望の範囲内にするために必要な、最小限の流量として定義される。また液体吐出ユニット300の全ての吐出口からインクを吐出する場合(全吐時)の吐出流量をFと定義する。そうすると、第1の循環経路の場合(図2)では、第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002の設定流量がAとなるので、全吐時に必要な液体吐出ヘッド3への液体供給量の最大値はA+Fとなる。
一方で第2の循環経路(図3)の場合、記録待機時に必要な液体吐出ヘッド3への液体供給量は流量Aである。そして、全吐時に必要な液体吐出ヘッド3への供給量は流量Fとなる。そうすると、第2の循環経路の場合、第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002の設定流量の合計値、即ち必要供給流量の最大値はA又はFの大きい方の値となる。このため、同一構成の液体吐出ユニット300を使用する限り、第2の循環経路における必要供給量の最大値(A又はF)は、第1の循環経路における必要供給流量の最大値(A+F)よりも必ず小さくなる。そのため第2の循環経路の場合、適用可能な循環ポンプの自由度が高まる。このため、例えば構成の簡便な低コストの循環ポンプを使用したり、本体側経路に設置される冷却器(不図示)の負荷を低減したりすることができ、記録装置本体のコストを低減できるという利点がある。この利点は、A又はFの値が比較的大きくなるラインヘッドであるほど大きくなり、ラインヘッドの中でも長手方向の長さが長いラインヘッドほど有益である。
しかしながら一方で、第1の循環経路の方が、第2の循環経路に対して有利になる点もある。すなわち、第2の循環経路では、記録待機時に液体吐出ユニット300内を流れる流量が最大となるため、記録Dutyの低い画像であるほど、各ノズルに高い負圧が印加された状態となる。このため、特に共通供給流路211及び共通回収流路212の流路幅(インクの流れ方向と直交する方向の長さ)を小さくしてヘッド幅(液体吐出ヘッドの短手方向の長さ)を小さくした場合、ムラの見えやすい低Duty画像でノズルに高い負圧が印加される。このためにサテライト滴の影響が大きくなる虞がある。一方、第1の循環経路の場合、高い負圧がノズルに印加されるのは高Duty画像形成時であるため、仮にサテライトが発生しても視認されにくく、画像への影響は小さいという利点がある。2つの循環経路の選択は、液体吐出ヘッドおよび記録装置本体の仕様(吐出流量F、最小循環流量A、及びヘッド内流路抵抗)に照らして、好ましい選択を採ることができる。
(第3の循環経路の説明)
図30は、本適用例の記録装置に適用される循環経路の1形態である第3の循環経路を示す模式図である。上記第1および第2の循環経路と同様な機能、構成については説明を省略し、異なる点について主体的に説明する。
本循環経路では、液体吐出ヘッド3の中央部の2か所と、液体吐出ヘッド3の一端部の1か所の計3か所から液体吐出ヘッド3内に液体が供給される。液体は、共通供給流路211から各圧力室23を経た後に共通回収流路212に回収され、液体吐出ヘッド3の他端部にある回収開口から外部へ回収される。個別流路213は共通供給経路211及び共通回収流路212と連通しており、各個別流路213の経路中に記録素子基板10およびその記録素子基板内に配される圧力室23が設けられている。よって、第1循環ポンプ1002で流す液体の一部は、共通供給流路211から記録素子基板10の圧力室23内を通過して、共通回収流路212へと流れる(図30の矢印)。これは、共通供給流路211に接続された圧力調整機構Hと、共通回収流路212に接続された圧力調整機構Lとの間に圧力差が設けられ、第1循環ポンプ1002が共通回収流路212のみに接続されているからである。
このようにして、液体吐出ユニット300では、共通回収流路212内を通過するような液体の流れと、共通供給流路211から各記録素子基板10内の圧力室23を通過し共通回収流路212に流れが発生する。このため、圧力損失の増大を抑制しつつ、各記録素子基板10で発生する熱を共通供給流路211から共通回収流路212への流れで記録素子基板10の外部へ排出することが出来る。また、本循環経路によれば、上記第1および第2の循環経路に比べて液体の輸送手段であるポンプの数を少なくすることが可能となる。
(液体吐出ヘッド構成の説明)
第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の構成について説明する。図4(a)及び図4(b)は本適用例に係る液体吐出ヘッド3の斜視図である。液体吐出ヘッド3はそれぞれがC/M/Y/Kの4色のインクを吐出可能な記録素子基板10が直線上に15個配列(インラインに配置)されたライン型の液体吐出ヘッドである。図4(a)に示すように、液体吐出ヘッド3には各記録素子基板10と、フレキシブル配線基板40および電気配線基板90を介して電気的に接続された信号入力端子91と電力供給端子92を備える。信号入力端子91及び電力供給端子92は記録装置1000の制御部と電気的に接続され、それぞれ、吐出駆動信号及び吐出に必要な電力を記録素子基板10に供給する。電気配線基板90内の電気回路によって配線を集約することで、信号出力端子91及び電力供給端子92の数を記録素子基板10の数に比べて少なくできる。これにより、記録装置1000に対して液体吐出ヘッド3を組み付ける時又は液体吐出ヘッドの交換時に取り外しが必要な電気接続部数が少なくて済む。図4(b)に示すように、液体吐出ヘッド3の両端部に設けられた液体接続部111は、記録装置1000の液体供給系と接続される。これによりCMYK4色のインクが記録装置1000の供給系から液体吐出ヘッド3に供給され、また液体吐出ヘッド3内を通ったインクが記録装置1000の供給系へ回収されるようになっている。このように各色のインクは、記録装置1000の経路と液体吐出ヘッド3の経路を介して循環可能である。
図5に液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットの分解斜視図を示す。液体吐出ユニット300、液体供給ユニット220、及び電気配線基板90が筺体80に取り付けられている。液体供給ユニット220には液体接続部111(図3)が設けられるとともに、液体供給ユニット220の内部には、供給されるインク中の異物を取り除くため、液体接続部111の各開口と連通する各色別のフィルタ221(図2、図3)が設けられている。2つの液体供給ユニット220は、それぞれに2色分ずつのフィルタ221が設けられている。フィルタ221を通過したインクはそれぞれの色に対応して供給ユニット220上に配置された負圧制御ユニット230へ供給される。負圧制御ユニット230は各色別の圧力調整弁からなるユニットである。負圧制御ユニット230は、それぞれの内部に設けられる弁やバネ部材などの働きによって、インクの流量の変動に伴って生じる記録装置1000の供給系内(液体吐出ヘッド3の上流側の供給系)の圧損変化を大幅に減衰させる。このため負圧制御ユニット230は、圧力制御ユニットよりも下流側(液体吐出ユニット300側)の負圧変化をある一定範囲内で安定化させることが可能である。各色の負圧制御ユニット230内には、図2で記述したように、各色2つの圧力調整弁が内蔵されている。これらの圧力調整弁は、それぞれ異なる制御圧力に設定され、高圧側が液体吐出ユニット300内の共通供給流路211、低圧側が共通回収流路212と、液体供給ユニット220を介して連通している。
筐体80は、液体吐出ユニット支持部81と電気配線基板支持部82とから構成され、液体吐出ユニット300及び電気配線基板90を支持するとともに、液体吐出ヘッド3の剛性を確保している。電気配線基板支持部82は電気配線基板90を支持する為のものであって、液体吐出ユニット支持部81にネジ止めによって固定されている。液体吐出ユニット支持部81は液体吐出ユニット300の反りや変形を矯正して、複数の記録素子基板10の相対位置精度を確保する役割を有し、それにより記録物におけるスジやムラを抑制する。そのため液体吐出ユニット支持部81は、十分な剛性を有することが好ましく、材質としてはSUSやアルミなどの金属材料、もしくはアルミナなどのセラミックが好適である。液体吐出ユニット支持部81には、ジョイントゴム100が挿入される開口83、84が設けられている。液体供給ユニット220から供給されるインクはジョイントゴムを介して液体吐出ユニット300を構成する第3流路部材70へと導かれる。
液体吐出ユニット300は、複数の吐出モジュール200、流路部材210からなり、液体吐出ユニット300の被記録媒体側の面にはカバー部材130が取り付けられる。ここで、カバー部材130は図5に示したように、長尺の開口131が設けられた額縁状の表面を持つ部材であり、開口131からは吐出モジュール200に含まれる記録素子基板10及び封止材110(図9)が露出している。開口131の周囲の枠部は、記録待機時に液体吐出ヘッド3をキャップするキャップ部材の当接面としての機能を有する。このため、開口131の周囲に沿って接着剤、封止材、充填材等を塗布し、液体吐出ユニット300の吐出口面上の凹凸や隙間を埋めることで、キャップ時に閉空間が形成されるようにすることが好ましい。
次に液体吐出ユニット300に含まれる流路部材210の構成について説明する。図5に示したように、流路部材210は、第1流路部材50、第2流路部材60、第3流路部材70を積層したものである。流路部材210は、液体供給ユニット220から供給されたインクを各吐出モジュール200へと分配し、また吐出モジュール200から環流するインクを液体供給ユニット220へと戻す。流路部材210は液体吐出ユニット支持部81にネジ止めで固定されており、それにより流路部材210の反りや変形が抑制されている。
図6(a)〜(f)は第1〜第3流路部材の各流路部材の表面と裏面を示した図である。図6(a)は、第1流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される側の面を示し、図6(f)は、第3流路部材70の、液体吐出ユニット支持部81と当接する側の面を示す。第1流路部材50と第2流路部材60とは、夫々の流路部材の当接面である図6(b)と図6(c)が対向するように接合し、第2流路部材と第3流路部材とは、夫々の流路部材の当接面である図6(d)と図6(e)が対向するように接合する。第2流路部材60と第3流路部材70を接合することにより、夫々の流路部材に形成される共通流路溝62と71とによって、流路部材の長手方向に延在する8本の共通流路が形成される。これにより色毎に共通供給流路211と共通回収流路212のセットが流路部材210内に形成される(図7)。第3流路部材70の連通口72はジョイントゴム100の各穴と連通しており、液体供給ユニット220と流体的に流通している。第2流路部材60の共通流路溝62の底面には連通口61が複数形成されており、第1流路部材50の個別流路溝52の一端部と連通している。第1流路部材50の個別流路溝52の他端部には連通口51が形成されており、連通口51を介して、複数の吐出モジュール200と流体的に連通している。この個別流路溝52により流路部材の中央側へ流路を集約することが可能となる。
第1〜第3流路部材は、インクに対して耐腐食性を有するとともに、線膨張率の低い材質からなることが好ましい。材質としては例えば、アルミナや、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニルサルファイド)やPSF(ポリサルフォン)を母材としてシリカ微粒子やファイバーなどの無機フィラーを添加した複合材料(樹脂材料)を好適に用いることができる。上記母材としては、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)を用いることもできる。流路部材210の形成方法としては、3つの流路部材を積層させて互いに接着しても良いし、材質として樹脂複合樹脂材料を選択した場合には、溶着による接合方法を用いても良い。
次に図7を用いて流路部材210内の各流路の接続関係について説明する。図7は、第1〜第3流路部材を接合して形成される流路部材210内の流路を第1の流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される面側から一部を拡大してみた透視図である。流路部材210には、色毎に液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる共通供給流路211(211a、211b、211c、211d)、及び共通回収流路212(212a、212b、212c、212d)が設けられている。各色の共通供給流路211には、個別流路溝52によって形成される複数の個別供給流路(213a、213b、213c、213d)が連通口61を介して接続されている。また、各色の共通回収流路212には、個別流路溝52によって形成される複数の個別回収流路(214a、214b、214c、214d)が連通口61を介して接続されている。このような流路構成により各共通供給流路211から個別供給流路213を介して、流路部材の中央部に位置する記録素子基板10にインクを集約することが出来る。また記録素子基板10から個別回収流路214を介して、各共通回収流路212にインクを回収することが出来る。
図8は、図7のE−E線における断面を示した図である。この図に示すように、それぞれの個別回収流路(214a、214c)は連通口51を介して、吐出モジュール200と連通している。図8では個別回収流路(214a、214c)のみ図示しているが、別の断面においては、図7に示すように個別供給流路213と吐出モジュール200とが連通している。各吐出モジュール200に含まれる支持部材30及び記録素子基板10には、第1流路部材50からのインクを記録素子基板10に設けられる記録素子15(図10)に供給するための流路が形成されている。また支持部材30及び記録素子基板10には、記録素子15に供給したインクの1部または全部を第1流路部材50に回収(環流)するための流路が形成されている。ここで、各色の共通供給流路211は対応する色の負圧制御ユニット230(高圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されており、また共通回収流路212は負圧制御ユニット230(低圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されている。この負圧制御ユニット230により、共通供給流路211と共通回収流路212間に差圧(圧力差)を生じさせるようになっている。このため、図7及び8に示したように各流路を接続した本適用例の液体吐出ヘッド内では、各色で共通供給流路211〜個別供給流路213a〜記録素子基板10〜個別回収流路213b〜共通回収流路212へと順に流れる流れが発生する。
(吐出モジュールの説明)
図9(a)に1つの吐出モジュール200の斜視図を、図9(b)にその分解図を示す。吐出モジュール200の製造方法としては、まず記録素子基板10及びフレキシブル配線基板40を、予め液体連通口31が設けられた支持部材30上に接着する。その後、記録素子基板10上の端子16と、フレキシブル配線基板40上の端子41とをワイヤーボンディングによって電気接続し、その後にワイヤーボンディング部(電気接続部)を封止材110で覆って封止する。フレキシブル配線基板40の記録素子基板10と反対側の端子42は、電気配線基板90の接続端子93(図5参照)と電気接続される。支持部材30は、記録素子基板10を支持する支持体であるとともに、記録素子基板10と流路部材210とを流体的に連通させる流路部材である為、平面度が高く、また十分に高い信頼性をもって記録素子基板と接合できるものが好ましい。材質としては例えばアルミナや樹脂材料が好ましい。
(記録素子基板の構造の説明)
本適用例における記録素子基板10の構成について説明する。図10(a)は記録素子基板10の吐出口13が形成される側の面の平面図を示し、図10(b)は図10(a)のAで示した部分の拡大図を示し、図10(c)は図10(a)の裏面の平面図を示す。図10(a)に示すように、記録素子基板10の吐出口形成部材12に、各インク色に対応する4列の吐出口列が形成されている。なお、以後、複数の吐出口13が配列される吐出口列が延びる方向を「吐出口列方向」と呼称する。
図10(b)に示すように、各吐出口13に対応した位置にはインクを熱エネルギーにより発泡させるための発熱素子である記録素子15が配置されている。隔壁22により、記録素子15を内部に備える圧力室23が区画されている。記録素子15は記録素子基板10に設けられる電気配線(不図示)によって、図10(a)の端子16と電気的に接続されている。記録素子15は、記録装置1000の制御回路から、電気配線基板90(図5)及びフレキシブル配線基板40(図9)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱してインクを沸騰させる。この沸騰による発泡の力でインクを吐出口13から吐出する。図10(b)に示すように、各吐出口列に沿って、一方側には液体供給路18が、他方側には液体回収路19が延在している。液体供給路18及び液体回収路19は記録素子基板10に設けられた吐出口列方向に伸びた流路であり、それぞれ供給路17a、回収路17bを介して吐出口13と連通している。供給路17aと回収路17bは基板11に交差する方向に延在しており、夫々、液体供給路18、液体回収路19に連通している。
図10(c)および図11に示すように、記録素子基板10の、吐出口13が形成される面の裏面にはシート状の蓋部材20が積層されており、蓋部材20には、後述する液体供給路18及び液体回収路19に連通する開口21が複数設けられている。本適用例においては、液体供給路18の1本に対して3個、液体回収路19の1本に対して2個の開口21が蓋部材20に設けられている。図10(b)に示すように蓋部材20の夫々の開口21は、図6(a)に示した複数の連通口51と連通している。図11に示すように蓋部材20は、記録素子基板10の基板11に形成される液体供給路18及び液体回収路19の壁の一部を形成する蓋としての機能を有する。蓋部材20は、インクに対して十分な耐食性を有している物が好ましく、また、混色防止の観点から、開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。このため蓋部材20の材質として、感光性樹脂材料やシリコン板を用い、フォトリソプロセスによって開口21を設けることが好ましい。このように蓋部材は開口21により流路のピッチを変換するものであり、圧力損失を考慮すると厚みは薄いことが望ましく、フィルム状の部材で構成されることが好ましい。
次に、記録素子基板10内でのインクの流れについて説明する。図11は図10(a)におけるB−B面での記録素子基板10および蓋部材20の断面を示す斜視図である。記録素子基板10はSiにより形成される基板11と感光性の樹脂により形成される吐出口形成部材12とが積層されており、基板11の裏面には蓋部材20が接合されている。基板11の一方の面側には記録素子15が形成されており(図10)、その裏面側には、吐出口列に沿って延在する液体供給路18および液体回収路19を構成する溝が形成されている。基板11と蓋部材20によって形成される液体供給路18及び液体回収路19はそれぞれ、流路部材210内の共通供給流路211と共通回収流路212と接続されており、液体供給路18と液体回収路19との間には差圧が生じている。液体吐出ヘッド3の複数の吐出口13からインクを吐出し記録を行っている際に、吐出動作を行っていない吐出口においては、この差圧によって、基板11内に設けられた液体供給路18内のインクは、図10の矢印Cで示した流れとなる。すなわちインクは、供給路17a、圧力室23、回収路17bを経由して液体回収路19へ流れる。この流れによって、記録を休止している吐出口13や圧力室23において、吐出口13からの蒸発によって生じる増粘インクや、泡・異物などを液体回収路19へ回収することができる。また吐出口13や圧力室23のインクの増粘を抑制することが出来る。液体回収路19へ回収されたインクは、蓋部材20の開口21及び支持部材30の液体連通口31(図9b参照)を通じて、流路部材210内の連通口51、個別回収流路214、共通回収流路212の順に回収される。このインクは、最終的には記録装置1000の供給経路へと回収される。
つまり記録装置本体から液体吐出ヘッド3へ供給されるインクは下記の順に流動し、供給および回収される。インクは、まず液体供給ユニット220の液体接続部111から液体吐出ヘッド3の内部に流入する。そしてインクは、ジョイントゴム100、第3流路部材に設けられた連通口72および共通流路溝71、第2流路部材に設けられた共通流路溝62および連通口61、第1流路部材に設けられた個別流路溝52および連通口51の順に供給される。その後、支持部材30に設けられた液体連通口31、蓋部材に設けられた開口21、基板11に設けられた液体供給路18および供給路17aを順に介して圧力室23に供給される。圧力室23に供給されたインクのうち、吐出口13から吐出されなかったインクは、基板11に設けられた回収路17bおよび液体回収路19、蓋部材に設けられた開口21、支持部材30に設けられた液体連通口31を順に流れる。その後、インクは、第1流路部材に設けられた連通口51および個別流路溝52、第2流路部材に設けられた連通口61および共通流路溝62、第3流路部材70に設けられた共通流路溝71および連通口72、ジョイントゴム100を順に流れる。さらに、液体供給ユニットに設けられた液体接続部111から液体吐出ヘッド3の外部へインクが流動する。図2に示す第1の循環経路の形態においては、液体接続部111から流入したインクは負圧制御ユニット230を経由した後にジョイントゴム100に供給さる。図3に示す第2の循環経路の形態においては、圧力室23から回収されたインクは、ジョイントゴム100を通過した後、負圧制御ユニット230を介して液体接続部111から液体吐出ヘッドの外部へ流動する。
また図2および図3に示すように、液体吐出ユニット300の共通供給流路211の一端から流入した全てのインクが個別供給流路213aを経由して圧力室23に供給されるわけではない。個別供給流路213aに流入することなく、共通供給流路211の他端から液体供給ユニット220に流動するインクもある。このように、記録素子基板10を経由することなく流動する経路を備えることで、本適用例のような微細で流抵抗の大きい流路を備える記録素子基板10を備える場合であっても、インクの循環流の逆流を抑制することができる。このようにして、本適用例の液体吐出ヘッドでは、圧力室や吐出口近傍部のインクの増粘を抑制できるので吐出の方向の正常な方向からのずれや不吐を抑制でき、結果として高画質な記録を行うことができる。
(記録素子基板間の位置関係の説明)
図12は、隣り合う2つの吐出モジュールにおける、記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示す平面図である。図10に示すように、本適用例では略平行四辺形の記録素子基板を用いている。図12に示すように各記録素子基板10における吐出口13が配列される各吐出口列(14a〜14d)は、被記録媒体の搬送方向に対し一定角度傾くように配置されている。それによって記録素子基板10同士の隣接部における吐出口列は、少なくとも1つの吐出口が被記録媒体の搬送方向にオーバーラップするようになっている。図12では、D線上の2つの吐出口が互いにオーバーラップ関係にある。このような配置によって、仮に記録素子基板10の位置が所定位置から多少ずれた場合でも、オーバーラップする吐出口の駆動制御によって、記録画像の黒スジや白抜けを目立たなくするようにすることができる。複数の記録素子基板10を千鳥配置ではなく、直線上(インライン)に配置した場合においても、図12のような構成とすることができる。これにより液体吐出ヘッド3の被記録媒体の搬送方向の長さの増大を抑えつつ、記録素子基板10同士のつなぎ部における黒スジや白抜け対策を行うことが出来る。なお、本適用例では記録素子基板の主平面は平行四辺形であるが、本発明はこれに限るものではなく、例えば長方形、台形、その他形状の記録素子基板を用いた場合でも、本発明の構成を好ましく適用することができる。
(液体吐出ヘッド構成の変形例の説明)
図31〜図34を用いて上述した液体吐出ヘッド構成の変形例について説明する。上述した例と同様な構成、機能については説明を省略し、異なる点について主体的に説明する。本変形例では、図31、図32に示すように、液体吐出ヘッド3と外部との液体の接続部である複数の液体接続部111は、液体吐出ヘッド3の長手方向の一端側に集約して配置されている。液体吐出ヘッド3の他端側には複数の負圧制御ユニット230を集約して配置している(図33)。液体吐出ヘッド3に含まれる液体供給ユニット220は、液体吐出ヘッド3の長さに対応した長尺状のユニットとして構成され、供給する4色の液体に対応した流路およびフィルタ221を備える。図33に示すように、液体吐出ユニット支持部81に設けられる開口83〜86も上述した液体吐出ヘッド3とは異なる位置に設けられている。
図34に流路部材50,60,70の積層状態を示す。複数の流路部材50,60、70の最上層である第1流路部材50の上面に複数の記録素子基板10が直線状に配列される。各記録素子基板10の裏面側に形成される開口21(図19)に連通する流路は、液体の色ごとに、個別供給流路213が2つ、個別回収流路214が1つとなっている。これに対応して、記録素子基板10の裏面に設けられる蓋部材20に形成される開口21も、液体の色ごとに供給開口21が2つ、回収開口21が1つとなっている。図34に示すように、液体吐出ヘッド3の長手方向に沿って延在する共通供給流路211と共通回収流路212とが交互に並列されている。
(第2の適用例)
本発明の第2の適用例によるインクジェット記録装置1000及び液体吐出ヘッド3の構成を説明する。なお以降の説明においては、主として第1適用例と異なる部分のみを説明し、第1適用例と同様の部分については説明を省略する。
(インクジェット記録装置の説明)
本発明の第2の適用例によるインクジェット記録装置を図13に示す。第2適用例の記録装置1000はCMYKのインクごとに対応した単色用の液体吐出ヘッド3を4つ並列配置させることで被記録媒体へフルカラー記録を行う点が第1適用例とは異なる。第1の適用例において1色あたりに使用できる吐出口列数が1列だったのに対し、本適用例2において1色あたりに使用できる吐出口列数は20列となっている(図20(a))。このため、記録データを複数の吐出口列に適宜振り分けて記録を行うことで、非常に高速な記録が可能となる。更に、不吐になる吐出口があったとしても、その吐出口に対して被記録媒体の搬送方向に対応する位置にある、他列の吐出口から補間的に吐出を行うことで信頼性が向上し、商業印刷などに好適である。第1の適用例と同様に、各液体吐出ヘッド3に対して、記録装置1000の供給系、バッファタンク1003及びメインタンク1006(図2)が流体的に接続される。また、それぞれの液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力及び吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。
(循環経路の説明)
記録装置1000及び液体吐出ヘッド3間の液体循環経路としては、第1の適用例と同様、図2又は図3に示した第1および第2の循環経路を用いることができる。
(液体吐出ヘッド構造の説明)
本発明の第2の適用例に係る液体吐出ヘッド3の構造について説明する。図13(a)及び(b)は本適用例に係る液体吐出ヘッド3の斜視図である。液体吐出ヘッド3は液体吐出ヘッド3の長手方向に直線上に配列される16個の記録素子基板10を備え、1色のインクで記録が可能なインクジェット式のライン型記録ヘッドである。液体吐出ヘッド3は、第1の適用例同様、液体接続部111、信号入力端子91及び電力供給端子92を備える。しかしながら本適用例の液体吐出ヘッド3は、第1の適用例に比べて吐出口列が多いため、液体吐出ヘッド3の両側に信号出力端子91及び電力供給端子92が配置されている。これは記録素子基板10に設けられる配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れの低減のためである。
図14は液体吐出ヘッド3の斜視図、図15はその斜視分解図であり、液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットがその機能毎に分割されて表示されている。各ユニット及び部材の役割や液体吐出ヘッド内の液体流通の順は基本的に第1の適用例と同様であるが、液体吐出ヘッドの剛性を担保する機能が異なる。第1の適用例では主として液体吐出ユニット支持部81によって液体吐出ヘッド剛性を担保していたが、第2の適用例の液体吐出ヘッドでは、液体吐出ユニット300に含まれる第2流路部材60によって液体吐出ヘッドの剛性を担保している。本適用例における液体吐出ユニット支持部81は第2流路部材60の両端部に接続されており、この液体吐出ユニット300は記録装置1000のキャリッジと機械的に結合されて、液体吐出ヘッド3の位置決めを行う。負圧制御ユニット230を備える液体供給ユニット220と、電気配線基板90は、液体吐出ユニット支持部81に結合される。2つの液体供給ユニット220内にはそれぞれフィルタ(不図示)が内蔵されている。2つの負圧制御ユニット230は、それぞれ異なる、相対的に高低の負圧で圧力を制御するように設定されている。また、この図のように液体吐出ヘッド3の両端部にそれぞれ、高圧側と低圧側の負圧制御ユニット230を設置した場合、液体吐出ヘッド3の長手方向に延在する共通供給流路211と共通回収流路212におけるインクの流れが互いに対向する。このようにすると、共通供給流路211と共通回収流路212の間で熱交換が促進されて、2つの共通流路内における温度差が低減される。このため、共通流路に沿って複数設けられる各記録素子基板10における温度差が付きにくく、温度差による記録ムラが生じにくくなるという利点がある。
次に液体吐出ユニット300の流路部材210の詳細について説明する。図15に示すように流路部材210は、第1流路部材50、第2流路部材60を積層したものであり、液体供給ユニット220から供給されたインクを各吐出モジュール200へと分配する。また流路部材210は、吐出モジュール200から環流するインクを液体供給ユニット220へと戻すための流路部材として機能する。流路部材210の第2流路部材60は、内部に共通供給流路211及び共通回収流路212が形成された流路部材であるとともに、液体吐出ヘッド3の剛性を主に担うという機能を有する。このため、第2流路部材60の材質としては、インクに対する十分な耐食性と高い機械強度を有するものが好ましい。具体的にはSUSやTi、アルミナなどを好ましく用いることができる。
図16(a)は第1流路部材50の、吐出モジュール200がマウントされる側の面を示し、図16(b)はその裏面である、第2流路部材60と当接される側の面を示した図である。第1の適用例とは異なり、第2適用例における第1流路部材50は、各吐出モジュール200毎に対応した複数の部材を隣接して配列したものである。このように分割した構造を採ることで、複数のモジュールを配列させることで、液体吐出ヘッドの長さに対応することが出来るので、例えばB2サイズおよびそれ以上の長さに対応した比較的ロングスケールの液体吐出ヘッドに特に好適に適用できる。図16(a)に示すように、第1流路部材50の連通口51は吐出モジュール200と流体的に連通し、図16(b)に示すように、第1流路部材50の個別連通口53は第2流路部材60の連通口61と流体的に連通する。図16(c)は第2流路部材60の、第1流路部材50と当接される側の面を示し、図16(d)は第2流路部材60の厚み方向中央部の断面を示し、図16(e)は第2流路部材60の、液体供給ユニット220と当接する側の面を示す図である。第2流路部材60の流路や連通口の機能は、第1適用例の1色分と同様である。第2流路部材60の共通流路溝71は、その一方が図17に示す共通供給流路211であり、他方が共通回収流路212であり、夫々、液体吐出ヘッド3長手方向に沿って、一端側から他端側にインクが供給される。本適用例においては、第1の適用例と異なり、共通供給流路211と共通回収流路212のインクの長手方向は互いに反対方向である。
図17は、記録素子基板10と流路部材210とのインクの接続関係を示した透視図である。図17に示したように、流路部材210内には、液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる一組の共通供給流路211及び共通回収流路212が設けられている。第2流路部材60の連通口61は、各々の第1流路部材50の個別連通口53と位置を合わせて接続されており、第2流路部材60の連通口72から共通供給流路211を介して第1流路部材50の連通口51へと連通する液体供給経路が形成されている。同様に、第2流路部材60の連通口72から共通回収流路212を介して第1流路部材50の連通口51へと連通する液体供給経路も形成されている。
図18は、図17のF−F線における断面を示した図である。この図に示したように、共通供給流路は、連通口61、個別連通口53、連通口51を介して、吐出モジュール200へ接続されている。図8では不図示であるが、別の断面においては、個別回収流路が同様の経路で吐出モジュール200へ接続されていることは、図17を参照すれば明らかである。第1の適用例と同様に、各吐出モジュール200及び記録素子基板10には、各吐出口13に連通する流路が形成されており、供給したインクの一部または全部が、吐出動作を休止している吐出口13(圧力室23)を通過して、環流できるようになっている。また第1の適用例と同様に、共通供給流路211は負圧制御ユニット230(高圧側)と、共通回収流路212は負圧制御ユニット230(低圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されている。このため、その差圧によって、共通供給流路211から記録素子基板10の吐出口13(圧力室23)を通過して共通回収流路212へと流れる流れが発生する。
(吐出モジュールの説明)
図19(a)に、1つの吐出モジュール200の斜視図を、図19(b)にその分解図を示す。第1適用例との差異は、記録素子基板10の複数の吐出口列方向に沿った両辺部(記録素子基板10の各長辺部)に複数の端子16がそれぞれ配置されている点である。さらに、端子16に電気接続されるフレキシブル配線基板40も、1つの記録素子基板10に対して2枚配置される点である。これは記録素子基板10に設けられる吐出口列数が20列あり、第1の適用例の8列よりも大幅に増加しているためである。即ち、端子16から、吐出口列に対応して設けられる記録素子15までの最大距離を短く抑制して、記録素子基板10内の配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れを低減することを目的としている。また支持部材30の液体連通口31は記録素子基板10に設けられR全吐出口列を跨るように開口している。その他の点は、第1の適用例と同様である。
(記録素子基板の構造の説明)
図20(a)は記録素子基板10の吐出口13が配される側の面の模式図、図20(c)は図20(a)の面の裏面を示す模式図である。図10(b)は図10(c)において、記録素子基板10の裏面側に設けられている蓋部材20を除去した場合の記録素子基板10の面を示す模式図である。図10(b)に示すように、記録素子基板10の裏面には吐出口列方向に沿って、液体供給路18と液体回収路19とが交互に設けられている。吐出口列数は第1適用例よりも大幅に増加しているものの、第1適用例との本質的な差異は、前述のように端子16が記録素子基板の吐出口列方向に沿った両辺部に配置されていることである。各吐出口列毎に一組の液体供給路18と液体回収路19が設けられていること、蓋部材20に、支持部材30の液体連通口31と連通する開口21が設けられていることなど、基本的な構成は第1の適用例と同様である。
以上、第1の適用例および第2の適用例を用いて、本発明の液体吐出ヘッド3の一例について説明した。ここで説明した液体吐出ヘッド3の有する記録素子基板10は、以下に第1〜第4の実施形態として示す構成とすることができる。
(第3の適用例)
本発明の第3の適用例によるインクジェット記録装置1000及び液体吐出ヘッド3の構成を説明する。第3の適用例の液体吐出ヘッドは、B2サイズの被記録媒体に対して1スキャンで記録を行うページワイド型である。第3の適用例は第2の適用例と類似している点が多いため、以降の説明においては、主として第2の適用例と異なる部分を説明し、第2の適用例と同様の部分については説明を省略する。
(インクジェット記録装置の説明)
図35に本適用例のインクジェット記録装置の模式図を示す。記録装置1000は、液体吐出ヘッド3から被記録媒体2に直接記録を行わず、一度、中間転写体(中間転写ドラム1007)に液体を吐出し画像を形成した後に、その画像を被記録媒体2に転写する構成である。記録装置1000では、CMYKの4種類のインクに夫々対応した4つの単色用の液体吐出ヘッド3が、中間転写ドラム1007に沿って円弧状に配置されている。これによって中間転写体上にフルカラー記録が行われ、その記録画像は、中間転写体上で適切な乾燥状態にされた後、紙搬送ローラー1009によって搬送される被記録媒体2へ、転写部1008で転写される。第2の適用例の紙搬送系は主にカット紙を意図した水平搬送であったのに対し、本適用例においては本体ロール(不図示)から供給される連続紙にも対応可能である。このようなドラム搬送系では、紙に一定の張力をかけながら搬送することが容易なため、高速記録時においても搬送ジャムが少ない。このため装置の信頼性が向上し、商業印刷などに好適である。第1及び第2の適用例と同様、各液体吐出ヘッド3に対して、記録装置1000の供給系、バッファタンク1003及びメインタンク1006が流体的に接続される。また、それぞれの液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力及び吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。
(第4の循環経路の説明)
第2の適用例と同様に、記録装置1000のタンクと液体吐出ヘッド3との間における液体循環経路としては、図2又は図3に示した第1および第2の循環経路も適用可能であるが、図36に示す循環経路が好適である。図3の第2の循環経路との主な差異は、第1循環ポンプ1001,1002及び第2循環ポンプ1004各々の流路の流路に連通するバイパス弁1010が付加されていることである。このバイパス弁1010は予め設定された圧力を超過すると弁が開くことで、バイパス弁1010上流側の圧力を下げるという機能(第1の機能)を有する。また記録装置本体の制御基板からの信号によって、任意のタイミングで弁を開閉する機能(第2の機能)も有する。
第1の機能により、第1循環ポンプ1001,1002の下流側または第2循環ポンプ1004の上流側の流路に、過剰または過小な圧力が掛かることを抑制することができる。例えば、第1循環ポンプ1001,1002の機能に支障が発生した場合、過剰な流量や圧力が液体吐出ヘッド3に加わる場合がある。それにより液体吐出ヘッド3の吐出口から液体の漏洩が生じたり、液体吐出ヘッド3内の各接合部に破断が生じたりする虞がある。しかし本適用例のように、第1循環ポンプ1001、1002にバイパス弁が追加されている場合、過剰な圧力が発生した場合でも、バイパス弁1010が開くことで各循環ポンプ上流側へと液体経路が開放されるため、上記のようなトラブルを抑制できる。
また第2の機能により、循環駆動停止時には、第1循環ポンプ1001,1002及び第2循環ポンプ1004の停止後に、本体側からの制御信号に基づいて、速やかに全てのバイパス弁1010を開放する。これにより、液体吐出ヘッド3の下流部(負圧制御ユニット230から第2循環ポンプ1004までの間)の高負圧(例えば、数〜数十kPa)を短時間に開放することができる。循環ポンプとしてダイヤフラムポンプなど容積型ポンプを使用した場合には、通常、ポンプ内に逆止弁が内蔵されている。しかしながら、バイパス弁を開くことで、下流側のバッファタンク1003側からも液体吐出ヘッド3の下流部の圧力解放を行える。上流側からだけでも液体吐出ヘッド3の下流部の圧力解放は行えるが、液体吐出ヘッドの上流側流路と液体吐出ヘッド内流路には圧力損失がある。そのため、圧力開放に時間が掛かり、過渡的に液体吐出ヘッド3内の共通流路内の圧力が下がり過ぎて、吐出口のメニスカスが破壊される虞がある。液体吐出ヘッド3の下流側のバイパス弁1010を開くことで、液体吐出ヘッドの下流側の圧力解放が促進されるため、吐出口のメニスカス破壊のリスクが軽減される。
(液体吐出ヘッド構造の説明)
本発明の第3の適用例に係る液体吐出ヘッド3の構造について説明する。図37(a)は本適用例に係る液体吐出ヘッド3の斜視図、図37(b)はその分解斜視図である。液体吐出ヘッド3は液体吐出ヘッド3の長手方向に直線状(インライン)に配列される36個の記録素子基板10を備え、1色の液体で記録を行うインクジェット式のページワイド型の記録ヘッドである。液体吐出ヘッド3は、第2の適用例同様、信号入力端子91及び電力供給端子92を備える他、ヘッドの長手側面を保護するシールド板132を備える。
図37(b)には、液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットがその機能毎に分割されて表示されている(シールド板132は不図示)。各ユニット及び各部材の役割や、液体吐出ヘッド3内の液体流通の順は第2の適用例と同様である。第2の適用例との主な相違点は、複数分割されて配置された電気配線基板90、負圧制御ユニット230の位置、および第1流路部材50の形状である。本適用例のように、例えばB2サイズの被記録媒体に対応した長さを有する液体吐出ヘッド3の場合、液体吐出ヘッド3の使用電力が大きいため、8枚の電気配線基板90が設けられる。各々の電気配線基板90は、液体吐出ユニット支持部81に取り付けられた長尺の電気配線基板支持部82の両側面に4枚ずつ取り付けられる。
図38(a)は、液体吐出ユニット300、液体供給ユニット220及び負圧制御ユニット230を備える液体吐出ヘッド3の側面図である。図38(b)は、液体吐出ヘッド3内部の記録液体の流れを示す模式図である。図38(c)は、図38(a)のG−G線での断面を示す斜視図である。理解を容易にするために、一部の構成は簡略化している。
液体供給ユニット220内には液体接続部111とフィルタ221が設けられるとともに、負圧制御ユニット230が液体供給ユニット220の下方に一体化して形成されている。これによって負圧制御ユニット230と記録素子基板10との高さ方向の距離が、第2の適用例に比べて短くなっている。この構成により、本適用例には、液体供給ユニット220内の流路接続部の数が減り、記録液体の漏洩に対する信頼性が向上するだけでなく、部品点数や組み立て工程数も低減できるという利点がある。
また負圧制御ユニット230と吐出口が形成される面とにおける水頭差が相対的に小さくなるので、本適用例は、図35に示すような、液体吐出ヘッド3の傾斜角度が、各液体吐出ヘッドごとに異なるような記録装置へ好適に適応できる。これは、水等差が小さくできるため、複数の液体吐出ヘッド3を異なる傾斜角で用いても、それぞれの記録素子基板の吐出口に加わる負圧差を低減できるためである。また、本適用例は、負圧制御ユニット230から記録素子基板10間の距離が小さくなることでその間の流抵抗が小さくなるので、液体の流量変化による圧損差も小さくなり、より安定な負圧制御が行える点でも好ましい。
図38(b)では、図36に示した循環経路と比べ、回路的には同じではあるが、実際の液体吐出ヘッド3の各構成部品内での液体の流れを示している。長尺状の第2流路部材60内には、液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる一組の共通供給流路211及び共通回収流路212が設けられている。共通供給流路211及び共通回収流路212は互いに対向する方向に液体が流れるように構成されており、夫々の流路の上流側にはフィルタ221が設けられ、液体接続部111等から侵入する異物をトラップする。このように共通供給流路211及び共通回収流路212が互いに対向する方向に液体を流すことは、液体吐出ヘッド3内の長手方向における温度勾配が軽減される点で好ましい。尚、図36においては、説明を簡略化するために共通供給流路211と共通回収流路212との流れを同じ方向で示している。
共通供給流路211及び共通回収流路212の下流側には、それぞれ負圧制御ユニット230が接続される。また、共通供給流路211の途中には複数の個別供給流路213aへの分岐部があり、共通回収流路212の途中には複数の個別回収流路213bへの分岐部がある。個別供給流路213a及び個別回収流路213bは複数の第1流路部材50内に形成されており、夫々の個別流路は、記録素子基板10の裏面に設けられた蓋部材20の開口21(図19(c)参照)と連通している。
図38(b)にHとLで示した負圧制御ユニット230は、高圧側(H)と、低圧側(L)とを合わせたユニットである。それぞれの負圧制御ユニット230は、相対的に高(H)または低(L)の負圧で、負圧制御ユニット230よりも上流側の圧力を制御するように設定された背圧型圧力調整機構である。共通供給流路211は負圧制御ユニット230(高圧側)と接続され、共通回収流路212は負圧制御ユニット230(低圧側)と接続されており、それにより共通供給流路211と共通回収流路212の間には差圧が発生する。その差圧によって、液体が、共通供給流路211から個別供給流路213a、記録素子基板10内の吐出口13(圧力室23)、個別回収流路213bを順に通過して共通回収流路212へと流れる。
本適用例において個々の吐出モジュール200は、第1流路部材50、記録素子基板10、フレキシブル配線基板40から構成されている。本適用例においては、第2の適用例で説明した支持部材30(図18)がなく、蓋部材20を備える記録素子基板10が直接第1流路部材50に接合される。図38(c)に示すように、第2流路部材60に設けられる共通供給流路211は、その上面に形成される連通口61から、第1流路部材50の下面に形成される個別連通口53を介して、個別供給流路213aに供給される。その後液体は、圧力室23に供給され、個別回収流路213b、個別連通口53、連通口61を順に経由して共通回収流路212へと回収される。
ここで、図15に示した第2の適用例とは異なり、第1流路部材50の下面(第2流路部材60側の面)にある個別連通口53は、第2流路部材50の上面に形成される連通口61に対して十分大きな開口となっている。この構成により、吐出モジュール200を第2流路部材60上にマウントする際に位置がズレた場合でも、第1流路部材50と第2流路部材60の間で確実に流体連通が行われるようになっている。そのため、ヘッド製造時の歩留まりが向上しコストダウンが図れるようになっている。
以下に本発明の各実施形態について説明する。各実施形態は上述した各適用例の構成を適用可能である。
(第1の実施形態)
図21は、本発明の液体吐出ヘッド3の有する記録素子基板10の第1の実施形態を説明するための図である。図21(a)は、第1の実施形態に係る記録素子基板10の外観を示す斜視図である。記録素子基板10は、基板11と吐出口形成部材12とを有する。吐出口形成部材12には、複数の吐出口13が形成されている。
図21(b)は、図21(a)のA−A断面図である。記録素子基板10は、液体吐出路(ノズル)25と、圧力室23と、流路24と、記録素子15とをさらに有する。液体吐出路25は、吐出口13と連通する空間であり、圧力室23および記録素子15と対向する位置で、吐出口形成部材12を貫通している。液体吐出路25の外側端部、すなわち記録素子15と反対側の端部はインクを吐出するための孔である吐出口13を形成している。本明細書では、吐出口13は、吐出口形成部材12の被記録媒体と対向する外面に位置する開口であり、液体吐出路25は、吐出口形成部材12を貫通する貫通孔を意味する。
圧力室23は、吐出口13および液体吐出路25と連通する空間であり、基板11と吐出口形成部材12との間に形成される。記録素子15は、発熱抵抗素子であり、基板11上の圧力室23内に吐出口13と面して設けられている。流路24は、圧力室23と連通する空間であり、基板11と吐出口形成部材12との間に形成される。基板11には、流路24と連通する貫通孔である供給路17aが設けられている。この構成により、供給路17aからインクを流入させると、インクは、流路24を介して圧力室23に供給される。圧力室23内のインクは、記録素子15により与えられる吐出エネルギーによって吐出口13から外に吐出される。この実施形態では、それぞれの記録素子15から見て片側に供給路17aが設けられている。
図21(c)は、記録素子基板10を吐出口13の開口側から見た拡大図である。供給路17aを挟んで両側にそれぞれ複数の圧力室23が形成されており、各圧力室23の入口には、ノズルフィルタFが設けられている。圧力室23内の記録素子15のそれぞれは、吐出口13の開口側から見て、各吐出口13と重なる位置に設けられている。
ここで本発明の比較例を用いて、本願発明が解決する課題について説明する。図22は、本発明の比較例に係る記録素子基板について説明するための図である。
図22(a)は、基板11に垂直な方向から見た際の、記録素子15と吐出口13との外形を基板11に投影した状態を示す図である。この比較例においては、吐出口13を基板11に投影した吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sは、記録素子15の発熱領域を基板に投影した発熱領域投影領域15Pの外形線の内側に存在している。ここで発熱領域投影領域15Pの面積は記録素子15の面積よりも若干小さい。これは、記録素子15を駆動した場合、記録素子15の外周領域は実質的な発熱領域とはならないためである。本実施形態においては、記録素子15の外周から内側に2μmの領域は実質的な発熱領域とはならない。
図22(b)〜(f)は、図22(a)に示した外形の吐出口13および記録素子15を備える、本発明の比較例に係る記録素子基板を用いてインクを吐出した場合の状態を説明するための図である。
図22(b)は、この記録素子基板において、流路24および圧力室23にインクが満たされた状態で、記録素子15を駆動した状態を示している。記録素子15を駆動すると、熱エネルギーが発生してこの熱エネルギーが圧力室23内のインクに与えられる。インクに熱エネルギーが与えられると、記録素子15上で気泡Bが発生する。その後気泡Bの体積が大きくなると、これに伴って、図22(c)に示すように、圧力室23内のインクが液体吐出路25を通って吐出口13から外に向かう方向に押し出される。さらに気泡Bが大きくなると、図22(d)に示すように、気泡Bが液体吐出路25の中に入り込んで、吐出インク滴Dと流路24内のインクIとが気泡Bで分断された状態となる。ここで、吐出口13端部の真下の記録素子15で発生する気泡Bの流れは、矢印で示すように、流路24では基板11と垂直な方向、すなわち吐出方向となる。この気泡Bの流れは、液体吐出路25の壁に当たって、液体吐出路25内では吐出口13の中央に向かう方向の流れとなる。気泡Bは、最大の体積となるまで成長した後、その体積は減少し始める。この気泡Bの収縮に伴い、図22(e)に示すように、吐出インク滴Dの後方部が記録素子15に向かって移動する。このとき吐出インク滴Dの先端部と後方部との間には、インクが吐出する方向に関して、矢印で示すような逆方向の速度差が生じており、これにより吐出インク滴Dには細長い尾引きが形成される。その後、図22(f)に示すように、吐出インク滴Dは、流路内のインクIと分離して吐出口13の外へと飛翔し、やがて尾引きはその速度差とインクの表面張力から主滴とサテライトにさらに分離する。
上述の通り、吐出口13の端部直下の記録素子15上で発生する気泡Bの流れは、インクを吐出するとき、圧力室23内では基板11と垂直な方向、すなわち吐出方向となる。その後、この気泡Bの流れは、液体吐出路25の壁に当たって、液体吐出路25内では吐出口13の中央に向かう方向の流れとなる。このため、吐出インク滴Dと流路内インクIとの間には、比較的厚い液膜Imが形成される。液膜Imが厚くなることで、気泡Bが大気と連通する位置は、記録素子15に近い位置となり、気泡Bが大気に連通するタイミングは遅くなる。このため、吐出インク滴Dの尾引きは長くなる。吐出インク滴Dの尾引きが長くなることで、飛翔中に吐出インク滴Dが主滴とサテライトとに分離しやすくなる。サテライトが発生すると、狙った位置に着弾しないインクが増えて画像品位の低下を招くという虞がある。
続いて、本発明の第1の実施形態に係る記録素子基板10について説明する。図23は、本発明の第1の実施形態に係る記録素子基板の構成について説明するための図である。図23(a)は、記録素子15と吐出口13とを基板11の記録素子15が設けられた面と垂直な方向に投影した状態を示す図である。第1の実施形態に係る記録素子基板10においては、吐出口13を基板11に投影した吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sは、記録素子15の発熱領域を基板11に投影した発熱領域投影領域15Pを包含する。ここで、包含されるとは、発熱領域投影領域15Pの外形線が、長方形Sと同一である場合(重なる場合)を含む。また、ここでの発熱領域投影領域15Pの面積は上述した比較例と同様に、記録素子15の面積よりも若干小さい。この長方形Sは、対向する二辺が、流路24内において液体が流れる方向と略平行である。或いはこの長方形Sは、対向する二辺が、吐出口13が並んだ吐出口列の方向と略平行である。
図23(b)〜(f)は、図23(a)に示した外形の吐出口13および記録素子15を備える、本発明の第1の実施形態に係る記録素子基板を用いてインクを吐出した場合の状態を説明するための図である。
本発明の第1の実施形態に係る記録素子基板10のように、発熱領域投影領域15Pが吐出口投影領域13Pに外接する長方形Sに包含されている場合の気泡Bの流れが図23(b)〜(f)に示される。記録素子15を駆動してインクに熱エネルギーが加えられると、図23(b)に示すように、気泡Bが発生する。図23(c)に示すように、この気泡Bの体積は増大する。そして、この気泡Bの流れは、図23(d)矢印を用いて示すように、圧力室23内では、液体吐出路25の壁面に向かう速度成分を有する流れとなる。そのため、気泡Bが液体吐出路25の内部に進入すると、進入した部分の気泡の流れは、液体吐出路25の外縁に沿った方向の流れとなり、つまり気泡の流れは液体吐出路25の外縁(液体吐出路25の内壁面)と実質的に平行の流れとなる。この流れの方向は、記録素子15の大きさなどにより異なり、比較例においては、図23の例に比べて相対的に吐出口13の中心に向かう方向であった。発熱領域投影領域15Pが長方形Sと同一または長方形Sに包含されている場合、比較例よりも相対的に液体吐出路25の壁面に沿った方向に近い流れとなる。すなわち、比較例よりも吐出口13の外周に向かう方向に近くなる。この気泡Bの流れが吐出口13の外縁に向かう方向に近づくことで、吐出インク滴Dと流路内のインクIとの間の液膜Imの薄膜化がより促進される。このため、比較例よりも気泡Bが大気と連通するタイミングが早くなり、吐出インク滴Dの尾引きが短くなる。吐出インク滴Dの尾引きが短くなることで、飛翔中に滴がまとまりやすくなり、サテライトが発生しにくくなる。サテライトが発生しにくくなることで、印字品質が向上する。このように本実施形態においては、圧力室23から液体吐出路25内に進入した気泡の流れが、吐出口13の中心方向への成分を抑制しつつ、液体吐出路25の外縁(内壁面)に沿った流れの成分が大きくなるようにすることがポイントとなる。このような気泡の流れとするために、後述するように液体吐出ヘッドのディメンジョンを適宜設定すれば良い。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る記録素子基板10について説明する。図24は、本実施形態に係る記録素子基板10の上面図である。図25は、同実施形態に係る記録素子基板10の断面構成を模式的に示す図である。第2の実施形態では、それぞれの記録素子15に対して、記録素子15の両側に供給路17aが形成されている。インクは、記録素子15を挟んで圧力室23の両側に対称な位置に配置された2つの供給路17aを通じて、圧力室23内に供給される。
図25(b)〜(f)は、本発明の第2の実施形態に係る記録素子基板10を用いてインクを吐出したときの状態を説明するための図である。第1の実施形態では、記録素子15から見た場合、片側にのみ供給路17aが形成されていたため、発泡時の気泡Bの広がり方は左右非対称となっていた。
これに対して、第2の実施形態では、記録素子15から見たときに、両側に供給路17aが形成されており、実質的に左右対称に圧力室23および流路24が形成されているため、左右対称に気泡Bが広がる。気泡Bが左右対称に広がることで、液膜Imの薄膜化も左右対称に促進されやすくなる。このため、吐出インク滴Dの吐出方向が、基板11に対して垂直な方向になりやすい。したがって、記録媒体の所望の位置にインク滴が着弾する可能性が高まり、第1の実施形態よりもさらに印字品質の向上が期待できる。
図26は、本発明の第2の実施形態に係る記録素子基板10を用いてインクを吐出したときの吐出状態を示す連続図であり、図26(a)〜(g)は比較例、図26(h)〜(n)は本発明の実施形態を示す。比較例である図26(a)〜(g)では、吐出口13の外形は直径が18μmの円形状とし、記録素子15の発熱領域投影領域は一辺が19μmの正方形とした。この例では、発熱領域投影領域15Pの外形線は、吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sと同一となる。次に、本発明の実施形態を示す図26(h)〜(n)では、吐出口13の外形は直径が18μmの円形状とし、記録素子15は一辺が15μmの正方形とした。この例では、発熱領域投影領域15Pの外形線は、吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sに包含される。図26に示す例はいずれも、圧力室23の高さ、すなわち、圧力室23における基板11と、吐出口形成部材12の裏面との距離H1は7μmであり、吐出口13(吐出口の表面)から記録素子15までの間の距離H2は12μmである。図26(a)〜(g)と、図26(h)〜(n)とを比較すると、吐出インク滴Dの尾引き長さは、図26(a)〜(g)よりも図26(h)〜(n)の方が短くなっている。これにより、サテライトの発生を低減することができる。
図27は、本実施形態に係る記録素子基板10を用いた場合の、記録素子15に吐出エネルギーを与えてから気泡Bが大気と連通するまでの時間と、吐出口13と比較した相対的な記録素子15のサイズとの関係を示している。相対的な記録素子15のサイズは、図27(a)に示されるように、発熱領域投影領域15Pと吐出口投影領域13Pとの距離Cで示される。距離Cは、発熱領域投影領域15Pの一辺から吐出口投影領域13Pに外接する長方形Sの一辺までの距離である。ここでは、発熱領域投影領域15Pが、長方形Sよりも内側にあるとき、距離Cの値はマイナスとしている。ここで、吐出口13は、直径が18μmの円形状であり、記録素子15の発泡有効領域の外形は正方形とする。また、基板11と垂直な方向において、圧力室23の高さH1は、7μmであり、吐出口13から記録素子15までの距離H2は12μmとする。吐出口13から記録素子15までの距離は、吐出口13が形成された面の表面から記録素子15が形成された基板11の表面までの距離である。
図27(b)を参照すると、距離Cの値が小さくなるほど、つまりクリアランスの値が大きくなるほど記録素子15を駆動してから気泡Bが大気と連通するまでの時間が短くなっていることが分かる。言い換えると、発熱領域投影領域15Pの外形線が吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sよりも小さいほど、気泡Bが大気と連通するまでの時間は短くなっている。気泡Bが大気と連通するまでの時間が短くなることで、吐出インク滴Dの尾引きが相対的に短くなり、飛翔中に滴がまとまりやすくなることから、サテライトが発生し難くなる。サテライトが発生しにくくなることで、吐出インク滴Dが所望の位置に着弾する可能性が高まり、印字品質が向上する。
気泡Bが大気と連通するまでの時間が短縮する効果は、距離Cが大きくなる(間隔が大きくなる)ほど大きくなる傾向にあるため、距離Cが−2μm以下の領域も好適に適用できる。
さらに、本実施形態の効果を高めるためには、圧力室23の高さが低い方が好ましい。これは、記録素子15により吐出口13近傍における吐出口13の外縁へと向かう方向の流れは、圧力室23の高さが低い方がより強まるためである。また、流路24の高さを低くすることにより、流路内への異物の混入を抑制できる。これにより供給路17aの出口部でノズルフィルタFと同様の効果を持たせることができるため、ノズルフィルタFを用いない構成とすることができる。また、流路24の高さを低くすることにより、供給路17aから圧力室23までの流抵抗も十分に大きくなることから、供給路17aから圧力室23に至るまでの経路中に存在する絞り抵抗部(図示せず)が不要となる。
例えば、吐出口13から記録素子15までの距離を9.5μm、吐出口13の直径を20μm、記録素子15が一辺14μmの正方形、圧力室23の幅を35μmとしたとき、圧力室23の高さおよび流路24の高さを5μmとすることができる。この場合、供給路17aより先には、流路24の高さ5μmより大きい異物は流入することができない。したがって、流路24の高さが低い場合にはノズルフィルタFが不要となる。また供給路17aから圧力室23までの距離を60μmとすると、流抵抗が十分に大きくなる。このため、記録素子15が発生するエネルギーを吐出液滴Dに十分与えることができ、隣接する圧力室23への圧力の影響も小さくなることから、絞り抵抗部が不要となる。ここで、記録素子15が発生するエネルギーを吐出液滴Dに十分与えるためには、少なくとも吐出口13から記録素子15までの距離が、流路24の高さの2倍よりも小さいことが好ましい。これによりエネルギー効率の良い吐出が可能となる。
印字の速度を高めるためには、インクのリフィル周波数を上げる必要がある。このために、供給路17aから圧力室23までの距離を短くしたり、供給路17aから圧力室23までの流路24の一部の高さを高くしたりすることが望ましい。この場合、隣接する圧力室23への圧力波の影響(クロストークの影響)が大きくなることから、図24(b)に示すように、供給路17aの間に壁101を設けることが好ましい。供給路17aの間に壁101を設ける場合、液体吐出ヘッドの製造工程や液体吐出ヘッドの使用中に、供給路17aが異物等で塞がれて、特定の圧力室23へインクの供給が行われなくなるという虞がある。そこで、この壁101は、圧力室23の壁102とは分離して隙間部を設けておき、万一、ある供給路17aが塞がれても、インクの供給が停止しないようにしておくことが好ましい。この隙間部は、壁101の両端部、具体的には、供給路17aよりも圧力室23側と、その反対側との2箇所あるのがより好ましい。壁101の両端部のうち、圧力室23から近い端部に設けられた前者の隙間部101aは、圧力波の影響を抑えつつインク供給を行うために、圧力室23から遠い後者の隙間部101bよりも狭いことが好ましい。例えば、前者の隙間部101aは、3〜7μm程度、後者の隙間部101bは、15〜30μm程度であることが好ましい。
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、吐出口13の形状は円形状であることとしたが、本発明において吐出口13の形状は円形状に限らない。例えば、吐出口13は、吐出口13の周縁部の一部を形成する複数の円弧部13aと、複数の円弧部13aから吐出口13の中心に向かって突出し、複数の円弧部13aを接続する突出部13bとを含む形状であってもよい。図28(a)および図28(b)には、このような形状の吐出口13の例がそれぞれ示されている。このような形状の吐出口13を有する記録素子基板10は、吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sが発熱領域投影領域15Pを包含するとき、液膜Imの薄膜化を促進する効果をさらに強めることができる。このため、気泡Bが大気と連通するまでの時間をさらに短くすることができ、サテライトの発生を低減することができる。このとき、図28(a)および図28(b)に示す突出部13bの幅Wは、広すぎると、液膜Imの薄膜化を促進する効果が小さくなり、狭すぎると液滴が2つに割れる虞がある。このため、突出部13bの幅Wは、2〜8μm程度であることが好ましい。
第1および第2の実施形態や、図28(a),(b)に示す本実施形態では、発熱領域投影領域15Pの形状は、正方形としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図28(c)に示すように、記録素子15の形状や発熱領域投影領域15Pの形状は、隣り合う辺の長さが異なる長方形であってもよい。長方形状の記録素子15は、例えば、記録素子15を高密度に配置したい場合に好適である。
図28(d)および図28(e)は、本実施形態に係る記録素子基板10の上面図である。これらの図に示すように、吐出口13は、2つの円弧部13aが吐出口列の方向に並ぶように配置されることが好ましい。これは、吐出口13の形状が対称でなくバラつきが生じた場合に発生する液滴の着弾位置のずれによる、印字品質への影響を低減するためである。
(第4の実施形態)
第1〜第3の実施形態では、記録素子15の片側に供給路17aが設けられた例、または記録素子15の両側に供給路17aが設けられた例を示したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の第4の実施形態に係る記録素子基板10は、圧力室23と連通する供給路17aおよび回収路17bを有する。図29は、本発明の第4の実施形態に係る記録素子基板10について説明するための図である。
本実施形態では、圧力室23と連通する供給路17aと回収路17bとを有する。供給路17aは、圧力室23にインクを流入させる流路として機能し、回収路17bは、圧力室23からインクを回収する流路として機能する。供給路17aと回収路17bは共に、基板11を貫通する貫通孔として設けられている。これにより、圧力室23内のインクが循環する。インクを循環させない場合、吐出口13からインクが蒸発することで、吐出口13近傍のインクの粘度が徐々に上昇する。このため、インクを吐出し難くなる。特に、図29(b)に示すように、吐出口13の縁部から近いほど、インクのインク粘度は高くなる。
本実施形態においても、発熱領域投影領域15Pの外形線は、吐出口投影領域13Pの外形線に外接する長方形Sに包含されるものとする。ここで、包含されるとは、発熱領域投影領域15Pの外形線が、長方形Sと同一である場合を含むことを意味する。さらに本実施形態においても、この場合、上述の通り、気泡Bの流れが、吐出口13の外縁へと向かう方向となることが重要であるが、インクの粘度が上がるとこの流れが弱くなってしまう。そこで、本実施形態のようにインクを循環させる構成をとることで、吐出口13近傍のインクを常にリフレッシュすることができるため、図29(c)に示すように、吐出口13の近傍におけるインク粘度の上昇を抑制することが可能となる。この場合、図29(d)に示すように、気泡Bが吐出口13の壁に当たると、吐出口13の外縁へと向かう流れの低下を抑制することができ、吐出インク滴Dと流路内のインクIとの間の液膜Imの薄膜化を促進することができる。このため、第1〜第3の実施形態よりもさらに印字品質を向上させることができる。
上述したように本発明の各実施形態においては、圧力室23から液体吐出路25内に進入した気泡の流れが、吐出口13の中心方向への成分を抑制しつつ、液体吐出路25の外縁(内壁面)に沿った流れの成分が大きくなるようにすることがポイントとなる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上記実施形態では、吐出口13の形状として複数の例を挙げたが、その形状は図に示したものに限られず、本発明の技術的思想の範囲内で様々な形状とすることができる。
例えば、上記実施形態では、吐出口13、圧力室23および流路24は1つの吐出口形成部材12で形成されているが、本発明はかかる例に限定されない。吐出口13、圧力室23および流路24は、複数の部材を組合せて形成されてもよい。
例えば、上記実施形態では、基板11と垂直な方向において、流路24の高さや吐出口13と記録素子15との間の距離の一例を挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。圧力室23から液体吐出路25内に進入した気泡の流れが、液体吐出路25の外縁(内壁面)に沿った流れの成分が大きくなるようにするには、(1)圧力室23の高さと、(2)吐出口13と記録素子15との間の距離と、を適切に設定することが有効である。圧力室23の高さは、7μm以下であることが好ましく、吐出口13と記録素子15との間の距離は、12μm以下であることが好ましい。圧力室の高さが8μmもしくはそれ以上の高さであると、液体吐出部25に進入した気泡の流れが、吐出口の中心方向へ向かう成分が多くなるため好ましくない。さらに、吐出口13から記録素子15までの間の距離は、流路24の高さの2倍以下であることが好ましい。このような液体吐出ヘッドのディメンジョン以外にも、各部の液体吐出ヘッドのディメンジョンや液体の物性等も上記気泡の流れには影響はするが、上記(1)、(2)のディメンジョンが支配的に影響する。
本実施形態で用いられる液体吐出ヘッドは、一般的なインクジェット記録装置を例として説明したが、本発明の液体吐出ヘッドは、液体吐出装置全般に用いることができる。
なお、本明細書において、「記録」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が知覚し得るように顕在化したものであるか否かは問わない。さらに、「記録」とは、広く記録媒体上に画像、模様、パターンなどを形成する場合、または媒体の加工を行う場合をも包含する概念である。
本明細書において、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様に広く解釈されるべきである。記録媒体に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成または記録媒体の加工或いはインクの処理に供され得る液体を含む。したがって、記録に関して用いることが可能なあらゆる液体を包含する概念である。
10 記録素子基板
11 基板
12 吐出口形成部材
13 吐出口
15 記録素子
17 供給口
23 圧力室
24 流路
S 吐出口の外形線に外接する長方形
F ノズルフィルタ
I 流路内のインク
Im 液膜

Claims (20)

  1. 液体を吐出する吐出口と、
    前記吐出口と連通する圧力室と、
    前記圧力室内に前記吐出口と対向して設けられた、前記液体を発泡させる熱エネルギーを発生させる記録素子と、
    前記圧力室と連通する流路と、
    前記記録素子が形成された基板と、を備え、
    前記基板と垂直な方向における前記圧力室の高さは7μm以下であって、
    前記記録素子の駆動により前記圧力室内に発生する気泡は大気と連通し、
    前記基板に垂直な方向からみて、前記吐出口を前記基板に投影した吐出口投影領域の外形線に外接する長方形は、前記記録素子の発熱領域を前記基板に投影した発熱領域投影領域を包含することを特徴とする、記録素子基板。
  2. 液体を吐出する吐出口と、
    前記吐出口と対向して設けられた、前記液体を発泡させる熱エネルギーを発生させる記録素子と、
    前記記録素子を内部に備える圧力室と、
    前記吐出口と前記圧力室とを連通する液体吐出路と、
    前記圧力室と連通する流路と、
    前記記録素子が形成された基板と、を備え、
    前記記録素子の駆動により前記圧力室内に発生した気泡は、前記液体吐出路の内部に進入した後に大気と連通し、前記吐出口から液体を吐出するものであって、
    前記液体吐出路の内部に進入した気泡の流れは、前記液体吐出路の壁面に沿った流れとなることを特徴とする、記録素子基板。
  3. 前記基板に垂直な方向からみて、前記吐出口を前記基板に投影した吐出口投影領域の外形線に外接する長方形は、前記記録素子の発熱領域を前記基板に投影した発熱領域投影領域を包含することを特徴とする、請求項2に記載の記録素子基板。
  4. 前記基板と垂直な方向における前記圧力室の高さは7μm以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の記録素子基板。
  5. 前記基板と垂直な方向において、前記吐出口と前記記録素子との距離は12μm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の記録素子基板。
  6. 前記基板と垂直な方向において、前記吐出口と前記記録素子との距離は、前記流路の高さの2倍以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の記録素子基板。
  7. 前記基板は、前記圧力室に液体を供給する供給路と、前記圧力室から液体を回収する回収路とを備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の記録素子基板。
  8. 前記供給路と前記回収路は、前記基板に交差する方向に延在していることを特徴とする、請求項7に記載の記録素子基板。
  9. 前記供給路は前記圧力室の一方側に形成され、前記回収路は前記圧力室の他方側に形成されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の記録素子基板。
  10. 前記吐出口は、該吐出口の周縁部の一部を形成する複数の円弧部と、前記複数の円弧部の端部から前記吐出口の中心に向けて突出し前記複数の円弧部を接続する突出部とを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の記録素子基板。
  11. 複数の前記圧力室が配列されており、互いに隣接する前記圧力室の間には、壁が設けられていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の記録素子基板。
  12. 前記壁には、隣接する圧力室の間で液体を流通させる隙間部が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の記録素子基板。
  13. 前記壁には前記隙間部が複数設けられており、前記複数の隙間部のうち、前記圧力室から近い側に設けられた隙間部は、前記圧力室から遠い側に設けられた隙間部よりも狭いことを特徴とする、請求項12に記載の記録素子基板。
  14. 前記圧力室から遠い側に設けられた隙間部は、前記壁の端部と、前記吐出口が設けられた吐出口形成部材との間に形成されていることを特徴とする、請求項13に記載の記録素子基板。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の記録素子基板を備えることを特徴とする、液体吐出ヘッド。
  16. 前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環されることを特徴とする、請求項15に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 前記圧力室内の液体が循環している状態で前記記録素子を駆動して前記吐出口から液体を吐出することを特徴とする、請求項15または16に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 液体を吐出する吐出口と、
    前記吐出口と連通する圧力室と、
    前記圧力室内に設けられた、前記液体を発泡させる熱エネルギーを発生させる記録素子と、
    前記圧力室に連通する流路と、
    前記記録素子が形成された基板と、を備え、
    前記基板と垂直な方向における前記圧力室の高さは7μm以下であって、
    前記基板に垂直な方向からみて、前記吐出口を前記基板に投影した吐出口投影領域の外形線に外接する長方形は、前記記録素子の発熱領域を前記基板に投影した発熱領域投影領域を包含することを特徴とする、液体吐出ヘッド。
  19. 前記基板と垂直な方向における前記吐出口と前記記録素子との距離は12μm以下であることを特徴とする、請求項18に記載の液体吐出ヘッド。
  20. 前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環されることを特徴とする、請求項18または19に記載の液体吐出ヘッド。
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