JP2017116954A - 液晶装置の駆動方法、液晶装置、電子機器 - Google Patents

液晶装置の駆動方法、液晶装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶中のイオン性不純物を確実にトラップして表示品質を向上させることが可能な液晶装置の駆動方法、液晶装置、該液晶装置を備えた電子機器を提供すること。【解決手段】液晶装置100の駆動方法は、イオントラップ用の第1電極131、第2電極132、第3電極133を有し、第1電極131、第2電極132、第3電極133の間に生ずる電界の分布が、第1電極131から第3電極133へと時間的にスクロールされるように、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに対して、同じ周波数であって、1周期に相当する時間内で互いに位相がずれた交流信号を印加する。【選択図】図5

Description

本発明は、液晶装置の駆動方法、液晶装置、該液晶装置を備えた電子機器に関する。
液晶装置は、一対の基板の間に液晶層が挟持された液晶パネルを備えている。このような液晶装置に光が入射すると、液晶パネルを構成する液晶材料や配向膜などと入射光とが光化学反応を起こし、反応生成物としてイオン性不純物が発生することがある。また、液晶パネルの製造過程で、シール材や封止材などから液晶層に拡散するイオン性不純物もあることが知られている。特に、投射型表示装置(プロジェクター)の光変調手段(ライトバルブ)に用いられる液晶装置では、入射光の光束密度が直視型の液晶装置に比べて高くなるので、イオン性不純物が表示に影響を及ぼすことを抑制する必要がある。
イオン性不純物の表示に対する影響を抑制する手段として、例えば、特許文献1には、液晶層を挟持する一対の基板のうち少なくとも一方の基板において、画素領域の周辺領域に、隣接する複数の電極からなる周辺電極を有し、周辺電極の隣り合う電極間で印加する駆動電圧の電圧値が異なる液晶表示装置の駆動方法が開示されている。
特許文献1の液晶表示装置の駆動方法によれば、周辺電極の隣り合う電極間に横方向の電界が生じ、液晶の微小な揺らぎによる流れに加えて、イオン性不純物を移動させる力が働いて、画素領域から移動してくるイオン性不純物をすばやく、画素領域外へ移動させることができ、イオン性不純物に起因する焼き付きなどの表示不良を防止できるとしている。
特開2008−58497号公報
しかしながら、上記特許文献1の液晶表示装置及びその駆動方法では、周辺電極の隣り合う電極A,B間に交流電圧を印加して生ずる電気力線の方向は、画素領域に近い電極Aから電極Bへ向う方向と画素領域から遠い電極Bから電極Aに向う方向とになる。イオン性不純物は、正又は負の極性を有していることから、隣り合う電極A,B間に生じさせた電界でイオン性不純物を引き付けることは可能だが、常に画素領域から外側にイオン性不純物を掃き出させる効果は十分とは言えない。つまり、液晶層中に含まれるイオン性不純物の表示に対する影響を十分に抑制できるとは限らないという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係わる液晶装置の駆動方法は、対向配置されシール材を介して貼り合わされた第1基板及び第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、を含み、前記第1基板の表示領域に設けられた画素電極と、前記第1基板又は前記第2基板において、前記画素電極に対向して設けられた対向電極と、前記第1基板又は前記第2基板において、平面視で、前記表示領域と前記シール材との間に設けられ、第1電位が供給される第1電極と、前記第1電極と前記シール材との間に設けられ、第2電位が供給される第2電極と、前記第2電極と前記シール材との間に設けられ、第3電位が供給される第3電極と、を有する液晶装置の駆動方法であって、前記第1電位が正極性又は基準電位から負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第2電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、前記第2電位が負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第3電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、前記第1電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移し、前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第3電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移するように、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれに同じ周波数の交流信号を印加することを特徴とする。
本適用例に係わる液晶装置の駆動方法によれば、第1電位が基準電位から正極性と負極性とに遷移する1周期に相当する時間内において、第1電極、第2電極、第3電極の順に位相がずれた交流信号が第1電極、第2電極、第3電極に印加される。したがって、これらの電極間に生ずる電界(電気力線)の方向が、時間の経過に伴って表示領域に近い第1電極から第2電極へ、そして、第2電極から第3電極に向って変化してゆく。イオン性不純物は、当該電界方向の移動に伴って、まず第1電極に引き寄せられ、続いて第2電極、第3電極に引き寄せられる。つまり、液晶層中のイオン性不純物を表示領域から外側に効果的に掃き寄せることが可能な液晶装置の駆動方法を提供できる。
上記適用例に係わる液晶装置の駆動方法において、前記交流信号の周波数f(Hz)は、以下の数式を満たすことが好ましい。
f≦2μVE/np2 μは液晶層中のイオン性不純物の移動度(m2/V・s)、VEは交流信号の実効電圧(V)、nは交流信号が与えられる電極の数、pは交流信号が与えられる電極の配置ピッチ(m)である。
交流信号が与えられた電極間を移動するイオン性不純物の移動速度、つまり移動に係わる時間は、イオン性不純物の移動度と電極間における実質的な電位差とに依存し、電極間の距離に反比例する。したがって、イオン性不純物の移動速度に対応して電極間における電界の発生のさせ方を適合させることが好ましい。
この方法によれば、イオン性不純物が電極の配置ピッチに相当する距離を移動する速度(時間)に対して、交流信号の周波数f(Hz)が同じまたは小さくなるので、液晶層中のイオン性不純物を表示領域から外側に確実に掃き寄せることができる。
上記適用例に係わる液晶装置の駆動方法において、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれに同じ波形の前記交流信号を印加することが好ましい。
同じ波形とは、位相が異なるものの、波形が略同一である波形のことである。
この方法によれば、異なる波形の交流信号を発生させる必要がないので、駆動回路の構成を簡略化できる。
上記適用例に係わる液晶装置の駆動方法において、前記交流信号は、3値以上の電位を有するとしてもよい。
この方法によれば、第1電極、第2電極、第3電極のそれぞれに印加される電位を3値以上とすることで電極間において電界を滑らかに移動させることができる。
上記適用例に係わる液晶装置の駆動方法において、前記交流信号が矩形波であることがより好ましい。
この方法によれば、第1電極、第2電極、第3電極の隣り合う電極間に強度が安定した電界を生じさせ、イオン性不純物をより効果的に掃き寄せることができる。また、交流信号の生成が例えば正弦波のようなアナログ信号に比べて容易である。
[適用例]本適用例に係わる液晶装置は、対向配置されシール材を介して貼り合わされた第1基板及び第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、を含み、前記第1基板の表示領域に設けられた画素電極と、前記第1基板又は前記第2基板において、前記画素電極に対向して設けられた対向電極と、前記第1基板又は前記第2基板において、平面視で、前記表示領域と前記シール材との間に設けられ、第1電位が供給される第1電極と、前記第1電極と前記シール材との間に設けられ、第2電位が供給される第2電極と、前記第2電極と前記シール材との間に設けられ、第3電位が供給される第3電極と、を備え、前記第1電位が正極性又は基準電位から負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第2電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、前記第2電位が負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第3電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、前記第1電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移し、前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第3電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移するように、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれに同じ周波数の交流信号が印加されることを特徴とする。
本適用例に係わる液晶装置によれば、第1電位が基準電位から正極性と負極性とに遷移する1周期に相当する時間内において、第1電極、第2電極、第3電極の順に位相がずれた交流信号が第1電極、第2電極、第3電極に印加される。したがって、これらの電極間に生ずる電界(電気力線)の方向が、時間の経過に伴って表示領域に近い第1電極から第2電極へ、そして、第2電極から第3電極に向って移動してゆく。イオン性不純物は、当該電界方向の移動に伴って、まず第1電極に引き寄せられ、続いて第2電極、第3電極に引き寄せられる。つまり、液晶層中のイオン性不純物を表示領域から外側に効果的に掃き寄せることが可能な液晶装置を提供できる。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記交流信号としての第1交流信号が入力され、前記第1交流信号に対して位相がずれた第2交流信号と、前記第1交流信号及び前記第2交流信号に対して位相がずれた第3交流信号と、が出力される遅延回路をさらに備えるとしてもよい。
この構成によれば、位相が互いに異なる第1交流信号、第2交流信号、第3交流信号のすべてを外部から入力せずに、第1交流信号だけを遅延回路に入力すればよいので、外部駆動回路の構成が複雑にならずに済む。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極は、前記第1基板に前記表示領域を囲んで設けられていることが好ましい。
この構成によれば、表示領域におけるイオン性不純物の偏在傾向によらずイオン性不純物を表示領域から外側に掃き寄せることができる。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記表示領域は、複数の前記画素電極を囲んで設けられた複数のダミー画素電極を有する電子見切り部を含み、前記電子見切り部と前記第1電極との間隔は、前記第1電極と前記第2電極との間隔よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、イオン性不純物の掃き寄せに係わる第1電極と電子見切り部との間に生ずる横電界の影響を小さくすることができる。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記対向電極は前記第2基板に設けられ、平面視で前記対向電極の外縁が前記第1電極と前記表示領域との間に位置していることが好ましい。
この構成によれば、第1電極、第2電極及び第3電極のそれぞれと対向電極とは液晶層を介して対向しておらず、第1電極、第2電極及び第3電極のそれぞれと対向電極との間に電界が生じ難くなる。つまり、第1電極、第2電極及び第3電極の隣り合う電極間に生ずる電界によって効果的にイオン性不純物を表示領域の外側に掃き寄せることができる。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記第1基板に、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極が設けられ、前記対向電極は、前記第2基板において、平面視で前記表示領域を含み、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極と対向する領域まで設けられ、前記基準電位が与えられるとしてもよい。
この構成によれば、対向電極が前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極と対向しないように、対向電極をパターニングする必要がないので、対向電極に繋がる配線などの構成を簡略化できる。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記画素電極、前記対向電極、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれは、無機配向膜で覆われていることを特徴とする。
この構成によれば、イオン性不純物を吸着し易い無機配向膜を採用しても、イオン性不純物が表示に与える影響が抑制された液晶装置を提供できる。
上記適用例に係わる液晶装置において、前記画素電極は光反射性を有する導電膜により形成され、前記対向電極は透光性を有する導電膜により形成され、前記画素電極と前記無機配向膜との間に無機絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1電極、第2電極及び第3電極のそれぞれに直流信号を印加する場合に比べて、交流信号は画素電極と無機配向膜との間に無機絶縁膜が形成されていても電位の低下が生じないので、イオン性不純物を表示領域の外側に掃き寄せることが可能な反射型の液晶装置を提供できる。また、画素電極と無機配向膜との間に無機絶縁膜が形成されることで、画素電極と対向電極との仕事関数が異なることに起因する基準電位の変動を抑えることができる。つまり、優れた表示品質を有する反射型の液晶装置を提供できる。
[適用例]本適用例に係わる電子機器は、上記適用例の液晶装置の駆動方法を用いて駆動される液晶装置を備えたことを特徴とする。
[適用例]本適用例に係わる電子機器は、上記適用例の液晶装置を備えたことを特徴とする。
これらの適用例によれば、イオン性不純物に起因する表示不具合が改善され、優れた表示品質を有する電子機器を提供することができる。
(a)は第1実施形態の液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)に示すH−H’線に沿う概略断面図。 第1実施形態の液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。 第1実施形態の液晶装置の画素の構造を示す概略断面図。 無機材料の斜め蒸着方向とイオン性不純物に起因する表示不具合との関係を示す概略平面図。 (a)は表示に寄与する画素及びダミー画素の配置を示す概略平面図、(b)は電子見切り部及びイオントラップ機構の配線図。 図5(a)のA−A’線に沿った液晶パネルの構造を示す概略断面図。 イオントラップ機構の第1電極、第2電極、第3電極に与えられる交流信号の一例である矩形波の交流信号を示すタイミングチャート。 イオントラップ機構の第1電極、第2電極、第3電極に与えられる交流信号の一例である矩形波の交流信号を示すタイミングチャート。 イオントラップ機構の第1電極、第2電極、第3電極に与えられる交流信号の一例である正弦波の交流信号を示すタイミングチャート。 液晶層中におけるイオン性不純物の移動度と温度との関係を示すグラフ。 遅延回路の構成を示す回路図。 第2実施形態の液晶装置の構造を示す概略断面図。 第3実施形態の液晶装置の構造を示す概略断面図。 第4実施形態の投射型表示装置の構成を示す概略図。 第5実施形態の投射型表示装置の構成を示す概略図。 変形例1の液晶装置の構造を示す概略断面図。 変形例2の液晶装置の構造を示す概略断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大又は縮小して表示している。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、又は基板の上に他の構成物を介して配置される場合、又は基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調手段(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
<液晶装置>
まず、本実施形態の液晶装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1(a)は第1実施形態の液晶装置の構成を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)に示すH−H’線に沿う概略断面図である。図2は第1実施形態の液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10の基材10s及び対向基板20の基材20sは、それぞれ透明な例えば石英基板やガラス基板が用いられている。素子基板10が本発明の第1基板に相当し、対向基板20が本発明の第2基板に相当するものである。
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板は、対向基板20の外縁に沿って配置されたシール材40を介して間隔を置いて貼り合わされ、その間隔に正又は負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50が構成されている。シール材40は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の上記間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
シール材40の内側には、マトリックス状に配列した複数の画素Pを含む表示領域Eが設けられている。また、シール材40と表示領域Eとの間に表示領域Eを取り囲んで見切り部21が設けられている。見切り部21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなる。なお、表示領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pに加えて、複数の画素Pを囲むように配置されたダミー画素を含むとしてもよい。また、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいて複数の画素Pをそれぞれ平面的に区分する遮光部(ブラックマトリックス;BM)が対向基板20に設けられている。
素子基板10には、複数の外部接続端子104が配列した端子部が設けられている。該端子部に沿った第1の辺部とシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、第1の辺部に対向する第2の辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に検査回路103が設けられている。さらに、第1の辺部と直交し互いに対向する第3及び第4の辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に走査線駆動回路102が設けられている。第2の辺部のシール材40と検査回路103との間に、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、第1の辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。以降、第1の辺部に沿った方向をX方向とし、第3の辺部に沿った方向をY方向として説明する。なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と表示領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極15及びスイッチング素子である薄膜トランジスター(以降、TFTと呼称する)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。素子基板10は、基材10sと、基材10s上に形成された画素電極15、TFT30、信号配線、配向膜18を含むものである。
素子基板10に対向配置される対向基板20は、基材20sと、基材20s上に形成された見切り部21と、これを覆うように成膜された平坦化層22と、平坦化層22を覆い、表示領域Eに亘って設けられた共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とを含むものである。共通電極23は本発明における対向電極に相当するものである。
見切り部21は、図1(a)に示すように表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの回路に入射する光を遮蔽して、これらの回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
平坦化層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して見切り部21を覆うように設けられている。このような平坦化層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
共通電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、平坦化層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の下方側の隅に設けられた上下導通部106に電気的に接続されている。上下導通部106は、素子基板10側の配線に電気的に接続している。
画素電極15を覆う配向膜18及び共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。配向膜18,24は、例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、正の誘電異方性を有する液晶分子に対して略水平配向処理が施された有機配向膜や、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
このような液晶装置100は透過型であって、電圧無印加状態で画素Pの透過率が最大となるノーマリーホワイトモードや、電圧無印加状態で画素Pの透過率が最小となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。素子基板10と対向基板20とを含む液晶パネル110の光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
本実施形態では、以降、配向膜18,24として前述した無機配向膜と、負の誘電異方性を有する液晶とを用い、ノーマリーブラックモードの光学設計が適用された例について説明する。
次に図2を参照して、液晶装置100の電気的な構成について説明する。液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号配線としての複数の走査線3a及び複数のデータ線6aと、データ線6aに沿って平行に配置された容量線3bとを有する。走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
走査線3a、データ線6a及び容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、蓄積容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを画素Pに供給する。
データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。画像信号D1〜Dnの周波数は例えば60Hzである。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量16が接続されている。蓄積容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では図示を省略している。
本実施形態における画素回路を駆動制御する周辺回路は、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103を含んでいる。また、周辺回路は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を上記画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
次に、本実施形態の液晶装置100(液晶パネル110)における画素Pの構造について説明する。図3は、第1実施形態の液晶装置の画素の構造を示す概略断面図である。
図3に示すように、素子基板10の基材10s上には、まず走査線3aが形成される。走査線3aは、例えばAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)などの金属のうちの少なくとも1つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらが積層されたものを用いることができ、遮光性を有している。
走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる第1絶縁膜(下地絶縁膜)11aが形成され、第1絶縁膜11a上に島状に半導体層30aが形成される。半導体層30aは例えば多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが注入されて、第1ソース・ドレイン領域、接合領域、チャネル領域、接合領域、第2ソース・ドレイン領域を有するLDD(Lightly Doped Drain)構造が形成されている。
半導体層30aを覆うように第2絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。さらに第2絶縁膜11bを挟んでチャネル領域に対向する位置にゲート電極30gが形成される。
ゲート電極30gと第2絶縁膜11bとを覆うようにして第3絶縁膜11cが形成され、半導体層30aのそれぞれの端部と重なる位置に第2絶縁膜11b、第3絶縁膜11cを貫通する2つのコンタクトホールCNT1,CNT2が形成される。
そして、2つのコンタクトホールCNT1,CNT2を埋めると共に第3絶縁膜11cを覆うようにAl(アルミニウム)やその合金などの遮光性の導電材料を用いて導電膜を成膜し、これをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT1を介して第1ソース・ドレイン領域に繋がるソース電極31及びデータ線6aが形成される。同時にコンタクトホールCNT2を介して第2ソース・ドレイン領域に繋がるドレイン電極32(第1中継電極6b)が形成される。
次に、データ線6a及び第1中継電極6bと第3絶縁膜11cを覆って第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物からなる。そして、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えば化学的機械的研磨処理(Chemical Mechanical Polishing:CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。
第1中継電極6bと重なる位置に第1層間絶縁膜12を貫通するコンタクトホールCNT3が形成される。このコンタクトホールCNT3を被覆すると共に第1層間絶縁膜12を覆うように例えばAl(アルミニウム)やその合金などの遮光性の金属からなる導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、配線7aと、コンタクトホールCNT3を介して第1中継電極6bに電気的に接続される第2中継電極7bとが形成される。
配線7aは、平面的にTFT30の半導体層30aやデータ線6aと重なるように形成され、固定電位が与えられてシールド層として機能するものである。
配線7aと第2中継電極7bとを覆うように第2層間絶縁膜13aが形成される。第2層間絶縁膜13aも、例えばシリコンの酸化物や窒化物あるいは酸窒化物を用いて形成することができ、CMP処理などの平坦化処理が施される。
第2層間絶縁膜13aの第2中継電極7bと重なる位置にコンタクトホールCNT4が形成される。このコンタクトホールCNT4を被覆すると共に第2層間絶縁膜13aを覆うように例えばAl(アルミニウム)やその合金などの遮光性の金属からなる導電膜が形成され、これをパターニングすることにより、第1容量電極16aと第3中継電極16dとが形成される。
第1容量電極16aのうち、後に形成される誘電体層16bを介して第2容量電極16cと対向する部分の外縁を覆うように絶縁膜13bがパターニング形成される。また、第3中継電極16dのうちコンタクトホールCNT5と重なる部分を除いた外縁を覆うように絶縁膜13bがパターニング形成される。
絶縁膜13bと第1容量電極16aを覆って誘電体層16bが成膜される。誘電体層16bとしては、シリコン窒化膜や、酸化ハウニュウム(HfO2)、アルミナ(Al23)、酸化タンタル(Ta25)などの単層膜、又はこれらの単層膜のうち少なくとも2種の単層膜を積層した多層膜を用いてもよい。平面的に第3中継電極16dと重なる部分の誘電体層16bはエッチング等により除かれる。誘電体層16bを覆うように例えばTiN(窒化チタン)などの導電膜が形成され、これをパターニングすることにより、第1容量電極16aに対向配置され、第3中継電極16dに繋がる第2容量電極16cが形成される。誘電体層16bと、誘電体層16bを挟んで対向配置された第1容量電極16aと第2容量電極16cとにより蓄積容量16が構成される。
次に、第2容量電極16cと誘電体層16bとを覆う第3層間絶縁膜14が形成される。第3層間絶縁膜14も例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、CMP処理などの平坦化処理が施される。第2容量電極16cが第3中継電極16dと接するように第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT5が形成される。
このコンタクトホールCNT5を被覆し、第3層間絶縁膜14を覆うようにITOなどの透明導電膜(電極膜)が成膜される。この透明導電膜(電極膜)をパターニングしてコンタクトホールCNT5を介して第2容量電極16c及び第3中継電極16dと電気的に繋がる画素電極15が形成される。
第2容量電極16cは第3中継電極16d、コンタクトホールCNT4、第2中継電極7b、コンタクトホールCNT3、第1中継電極6bを介してTFT30のドレイン電極32と電気的に接続すると共に、コンタクトホールCNT5を介して画素電極15と電気的に接続している。
第1容量電極16aは複数の画素Pに跨るように形成され、等価回路(図2参照)における容量線3bとして機能している。第1容量電極16aには固定電位が与えられる。これにより、TFT30のドレイン電極32を介して画素電極15に与えられた電位を第1容量電極16aと第2容量電極16cとの間において保持することができる。
このように素子基板10の基材10s上には、複数の配線が形成されており、配線間を絶縁する絶縁膜や層間絶縁膜の符号を用いて配線層を表すこととする。すなわち、第1絶縁膜11a、第2絶縁膜11b、第3絶縁膜11cを括って配線層11と呼ぶ。配線層11の代表的な配線は走査線3aである。配線層12の代表的な配線はデータ線6aである。第2層間絶縁膜13a、絶縁膜13b、誘電体層16bを括って配線層13と呼び、代表的な配線は配線7aである。同じく、配線層14の代表的な配線は、第1容量電極16a(容量線3b)である。
画素電極15を覆うように配向膜18が形成され、液晶層50を介して素子基板10に対向配置される対向基板20の共通電極23を覆うように配向膜24が形成される。前述したように、配向膜18,24は無機配向膜であって、酸化シリコンなどの無機材料を所定の方向から例えば斜め蒸着して柱状に成長させたカラム18a,24aの集合体からなる。このような配向膜18,24に対して負の誘電異方性を有する液晶分子LCは、配向膜面の法線方向に対してカラム18a,24aの傾斜方向に3度〜5度のプレチルト角度θpを有して略垂直配向(VA;Vertical Alignment)する。画素電極15と共通電極23との間に交流電圧(駆動信号)を印加して液晶層50を駆動することによって液晶分子LCは画素電極15と共通電極23との間に生ずる電界方向に傾くように挙動(振動)する。
図4は無機材料の斜め蒸着方向とイオン性不純物に起因する表示不具合との関係を示す概略平面図である。カラム18a,24aを形成するところの無機材料の斜め蒸着方向は、図4に示すように、例えば素子基板10側では、破線の矢印で示したように右上から左下に向かって所定の方位角度θaでY方向と交差する方向である。素子基板10に対して対向配置される対向基板20側では、実線の矢印で示したように左下から右上に向かって所定の方位角度θaでY方向と交差する方向である。所定の角度θaは例えば45度である。なお、図4に示した斜め蒸着方向は、液晶装置100を対向基板20側から見たときの方向である。
液晶層50を駆動することにより、液晶分子LCの挙動(振動)が生じ、液晶層50と配向膜18,24との界面近傍に図4に示した破線あるいは実線の矢印で示した斜め蒸着方向に液晶分子LCのフロー(流れ)が生ずる。仮に液晶層50に極性が正又は負のイオン性不純物が含まれていると、イオン性不純物は液晶分子LCのフロー(流れ)に沿って表示領域Eの角部に向かって移動し偏在するおそれがある。イオン性不純物の偏在により角部に位置する画素Pにおいて液晶層50の絶縁抵抗が低下すると、当該画素Pにおいて駆動電位の低下を招き、図4に示すような表示ムラや通電による焼き付き現象が顕著となる。特に、配向膜18,24に無機配向膜を用いた場合には、無機配向膜がイオン性不純物を吸着し易いので、有機配向膜に比べて表示ムラや焼き付き現象が目立ち易い。
本実施形態の液晶装置100では、図4に示すような表示ムラや焼き付き現象を改善するため、シール材40と表示領域Eとの間に、表示領域Eからイオン性不純物を掃き出させるイオントラップ機構を設けている。以降、本実施形態におけるイオントラップ機構について、図5及び図6を参照して説明する。
図5(a)は表示に寄与する画素及びダミー画素の配置を示す概略平面図、図5(b)は電子見切り部及びイオントラップ機構の配線図、図6は図5(a)のA−A’線に沿った液晶パネルの構造を示す概略断面図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の液晶装置100の表示領域Eは、表示に寄与する画素Pが配置された実表示領域E1と、実表示領域E1を取り囲んで配置された複数のダミー画素DPを有するダミー画素領域E2とを含んでいる。額縁状にシール材40が配置された領域とダミー画素領域E2との間に、前述した遮光性を有する見切り部21が設けられており、見切り部21が設けられた領域が液晶装置100のON・OFFに依存しない見切り領域E3となっている。
ダミー画素領域E2には、X方向において実表示領域E1を挟んで2個ずつ、Y方向において実表示領域E1を挟んで2個ずつのダミー画素DPが配置されている。なお、ダミー画素領域E2におけるダミー画素DPの配置数はこれに限定されるものではなく、X方向、Y方向のそれぞれにおいて、実表示領域E1を挟んで少なくとも1個ずつのダミー画素DPが配置されていればよい。また、3個ずつ以上でもよく、X方向とY方向とにおける配置数が異なっていてもよい。本実施形態では、ダミー画素DPを電子見切り部として機能させるので、複数のダミー画素DPに符号120を与えて、電子見切り部120と呼ぶこともある。
図5(b)に示すように、実表示領域E1の縁に沿って実表示領域E1を囲むように配置された複数のダミー画素DPのそれぞれは、ダミー画素電極122を有している。ダミー画素電極122を有する複数のダミー画素DPをさらに取り囲むように配置された複数のダミー画素DPのそれぞれは、ダミー画素電極121を有している。X方向に沿って配列された複数のダミー画素電極121と複数のダミー画素電極122とは、Y方向に隣り合って配置され、Y方向に沿って配列された複数のダミー画素電極121と複数のダミー画素電極122とは、X方向に隣り合って配置されている。つまり、電子見切り部120は、X方向とY方向とにそれぞれ配列された複数のダミー画素電極121,122を有している。
本実施形態のイオントラップ機構130は、電子見切り部120を囲むように設けられた第1電極131、第2電極132、第3電極133を有している。第1電極131、第2電極132、第3電極133の形状は、それぞれ平面視で四角形の枠状をなしており、第1電極131が電子見切り部120に最も近い位置に配置され、第3電極133が電子見切り部120から最も遠い位置に配置され、第2電極132は第1電極131と第3電極133との間に配置されている。
平面視で四角形をなす第1電極131のX方向に延在する下側の辺部の両端側に、Y方向に延在する一対の引き回し配線135の一方の端が電気的に接続されている。一対の引き回し配線135の他方の端は、素子基板10において外部接続端子104に接続されている。一対の引き回し配線135が接続された外部接続端子104を他の外部接続端子104と区別するため、外部接続端子104(It1)と表すこととする。
同様に、平面視で四角形をなす第2電極132のX方向に延在する下側の辺部の両端側に、Y方向に延在する一対の引き回し配線136の一方の端が電気的に接続されている。一対の引き回し配線136の他方の端は、素子基板10において外部接続端子104に接続されている。一対の引き回し配線136が接続された外部接続端子104を他の外部接続端子104と区別するため、外部接続端子104(It2)と表すこととする。
同じく、平面視で四角形をなす第3電極133のX方向に延在する下側の辺部の両端側に、Y方向に延在する一対の引き回し配線137の一方の端が電気的に接続されている。一対の引き回し配線137の他方の端は、素子基板10において外部接続端子104に接続されている。一対の引き回し配線137が接続された外部接続端子104を他の外部接続端子104と区別するため、外部接続端子104(It3)と表すこととする。
イオントラップ機構130は、第1電極131、第2電極132、第3電極133、及び外部接続端子104(It1,It2,It3)から供給される電位を第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに伝達する引き回し配線135,136,137を含むものである。
共通電極23は、実表示領域E1を含み、電子見切り部120の複数のダミー画素電極121,122と平面視で重なるように設けられている。つまり、共通電極23は表示領域Eに亘って設けられており、イオントラップ機構130の第1電極131、第2電極132、第3電極133とは、平面視で重なっていない。
複数の外部接続端子104の両端側に上下導通部106が設けられている。上下導通部106と前記両端側の外部接続端子104とは、引き回し配線107を介して電気的に接続されている。また、共通電極23には、上下導通部106に接続される引き出し配線23aが設けられている。前記両端側の外部接続端子104には共通電位(LCCOM)が与えられる。したがって、共通電極23に電気的に接続された外部接続端子104を外部接続端子104(LCCOM)と表すこととする。すなわち、共通電極23には共通電位(LCCOM)が印加される。
なお、本実施形態では、第1電極131、第2電極132、第3電極133に与えられる電位が、素子基板10上の第1電極131、第2電極132、第3電極133の位置によってばらつくことを抑制するために、それぞれ2つの外部接続端子104(It1,It2,It3)から電位を供給する構成としたが、これに限定されるものではない。外部接続端子104(It1,It2,It3)はそれぞれ1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
また、第1電極131は、平面視で電気的に閉じられた四角形の電極であることに限定されない。一方の端に引き回し配線135が接続され、他方の端が開放された状態(オープン)であってもよい。第2電極132、第3電極133も同様に、一方の端に引き回し配線が接続され、他方の端が開放された状態(オープン)であってもよい。
また、本実施形態では、図4に示したように、表示領域Eの角部に偏在するイオン性不純物をイオントラップ機構130によって表示領域Eの外側に掃き寄せている。それゆえに、詳しくは後述するが、イオントラップ機構130と重ならないように共通電極23を配置している。したがって、共通電極23の引き出し配線23aと、第1電極131、第2電極132、第3電極133とが平面視で重なる位置、すなわち、共通電極23における引き出し配線23aの引き出し位置は、第1電極131、第2電極132、第3電極133の角部と重ならない位置が好ましい。
図6に示すように、液晶装置100の素子基板10は、基材10s上に複数の配線層11〜配線層14を有している。画素Pの画素電極15、ダミー画素DP(電子見切り部120)のダミー画素電極121,122、及びイオントラップ機構130の第1電極131、第2電極132、第3電極133は、それぞれ第3層間絶縁膜14上に形成されている。ダミー画素電極121,122、第1電極131、第2電極132、第3電極133は、画素電極15を形成する工程で、画素電極15と同じ透明導電膜(例えばITO膜)を用いて形成されている。ダミー画素電極121,122の平面的な形状及び大きさや配置ピッチは、画素電極15と同じである。
第1電極131、第2電極132、第3電極133は、X方向に等間隔で配置されている。なお、図6には現していないが、第1電極131、第2電極132、第3電極133は、Y方向においても等間隔で配置されている。第1電極131、第2電極132、第3電極133は、下層の配線層に設けられた配線と接続されて、それぞれ外部接続端子104(It1,It2,It3)に導かれている。第1電極131、第2電極132、第3電極133の電極部分の幅は、例えば4μmであり、第1電極131、第2電極132、第3電極133の配置ピッチは例えば8μmである。つまり、第1電極131と第2電極132との間隔、及び第2電極132と第3電極133との間隔は4μmである。
また、X方向において第1電極131と隣り合うダミー画素電極121との間隔は、第1電極131と第2電極132とのX方向の間隔よりも大きい。なお、図6には現していないが、Y方向において第1電極131と隣り合うダミー画素電極121との間隔は、第1電極131と第2電極132とのY方向の間隔よりも大きい。第1電極131とダミー画素電極121とのX方向及びY方向の間隔は例えば10μm以上である。
ダミー画素電極121,122のそれぞれは、下層に設けられたTFT30に電気的に接続されている。液晶装置100がノーマリーブラックモードの場合、実表示領域E1の画素Pの表示状態に関わらず、常に電子見切り部120を「ブラックモード(黒表示)」とするため、TFT30を介して複数のダミー画素電極121,122に、例えばダミー画素DPの透過率が変化しない程度の交流電位が印加される。
図3及び図4を用いて説明したように、液晶装置100の駆動中(表示期間中)は、液晶分子LCの挙動によるフロー(流れ)に沿って正極性(+)又は負極性(−)のイオン性不純物が実表示領域E1の角部からダミー画素領域E2へと移動してくる。
一方、イオントラップ機構130の第1電極131、第2電極132、第3電極133には、隣り合う電極間に生ずる電界(電気力線)の方向が電子見切り部120(あるいは表示領域E)に近い第1電極131から第3電極133の方向に移動するように交流信号が与えられる。交流信号は、共通電極23に与えられる共通電位(LCCOM)を基準電位として、高電位と低電位とに遷移する信号である。正極性(+)又は負極性(−)のイオン性不純物は、上記電界方向の第1電極131から第3電極133への移動に伴ってダミー画素領域E2から見切り領域E3に掃き寄せられる。
本実施形態の対向基板20において、液晶層50を介して第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに対向する部分には共通電極23が設けられていない。したがって、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれと共通電極23との間で電界が生じ難い。つまり、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれと共通電極23との間で生じる電界によってイオン性不純物の移動が妨げられることなく、イオン性不純物が見切り領域E3へ掃き寄せられる。
<液晶装置100の駆動方法>
次に、外部接続端子104(It1、It2、It3)を介して第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに印加される具体的な交流信号の例を挙げて液晶装置100の駆動方法について図7及び図8を参照して説明する。図7及び図8はイオントラップ機構の第1電極、第2電極、第3電極に与えられる交流信号の一例を示すタイミングチャートである。図7及び図8は矩形波の交流信号の例を示すものである。
本実施形態の液晶装置100の駆動方法は、例えば図7に示すように、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに矩形波の交流信号を印加する。具体的には、第1電極131の第1電位が正極性(+)又は基準電位から負極性(−)に遷移してから、基準電位又は正極性(+)に遷移する前に、第2電極132の第2電位が正極性(+)又は基準電位から負極性(−)に遷移し、第2電位が負極性(−)に遷移してから、基準電位又は正極性(+)に遷移する前に、第3電極133の第3電位が正極性(+)又は基準電位から負極性(−)に遷移する。また、第1電極131の第1電位が負極性(−)又は基準電位から正極性(+)に遷移してから、基準電位又は負極性(−)に遷移する前に、第2電極132の第2電位が負極性(−)又は基準電位から正極性(+)に遷移し、第2電位が負極性(−)又は基準電位から正極性(+)に遷移してから、基準電位又は負極性(−)に遷移する前に、第3電極133の第3電位が負極性(−)又は基準電位から正極性(+)に遷移するように、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに同じ周波数の交流信号を印加する。
第1電極131に与えられた交流信号に対して、第2電極132に与えられた交流信号は、時間軸tにおいてΔt時間だけ遅れている。同様に、第2電極132に与えられた交流信号に対して、第3電極133に与えられた交流信号は、時間軸tにおいてΔt時間だけ遅れている。例えば、Δt時間を1/3周期とすれば、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに与えられた交流信号は、互いに1/3周期だけ位相がずれることとなる。言い換えれば、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれの電位が互いに位相がずれた状態となる最大の位相のずれ量Δtは、交流信号の1周期を電極の数nで除した値となる。
なお、図7に示した矩形波の交流信号は、基準電位を0Vとして、高電位(5V)と低電位(−5V)とに遷移するものであるが、基準電位、高電位、低電位の設定は、これに限定されるものではない。
図7のタイミングチャートの時間t0から時間t1において、第1電極131の第1電位が5Vの正極性(+)のときには、第1電極131に隣り合う第2電極132の第2電位は、−5Vの負極性となる。したがって、第1電極131と第2電極132との間には、図6に示すように、第1電極131から第2電極132に向う電界(実線で示した電気力線)が生ずる。
また、時間t1から時間t2において、第2電極132の第2電位が5Vの正極性(+)のときには、第2電極132に隣り合う第3電極133の第3電位が−5Vの負極性(−)となる。したがって、第2電極132と第3電極133との間には、図6に示すように、第2電極132から第3電極133に向う電界が生ずる。
また、時間t2から時間t3において、第3電極133の第3電位が5Vの正極性(+)のときには、第3電極133に隣り合う第2電極132の第2電位が5Vの正極性(+)から−5の負極性(−)に遷移する。したがって、第2電極132と第3電極133との間には、一定の方向に電界が生じ難い。つまり、時間t0から時間t3の交流信号における1周期に相当する時間内において、第1電極131、第2電極132、第3電極133の電極間における電界の分布が、第1電極131から第3電極133へ時間的にスクロールされる。このような交流信号による電界の発生のさせ方を「電界のスクロール」と呼ぶこととする。
イオン性不純物は、正極性(+)を有するものと、負極性(−)を有するものとが存在する可能性がある。したがって、第1電極131の第1電位の極性に対応して正極性(+)又は負極性(−)のイオン性不純物が第1電極131に引き寄せられることになる。第1電極131に引き寄せられたイオン性不純物をそのまま滞留させておくと、次第にイオン性不純物が蓄積されて、電子見切り部120や実表示領域E1の表示に影響を及ぼすおそれがあるので、第1電極131に引き寄せられたイオン性不純物を逐次、第2電極132や第3電極133に移動させることが好ましい。
本実施形態では、上述したように、第1電極131、第2電極132、第3電極133に互いに位相がずれた交流信号を印加することで、電極間に生ずる電界の分布を第1電極131から第3電極133へスクロールさせている。これによって、第1電極131に引き寄せられた正極性(+)又は負極性(−)のイオン性不純物を第3電極133へ移動させることができる。それゆえに、第1電極131、第2電極132、第3電極133を総称してイオントラップ電極131,132,133と呼ぶこともある。
電界のスクロールに伴って確実にイオン性不純物を第3電極133に掃き寄せるためには、イオン性不純物の移動速度を考慮して交流信号の周波数を決める必要がある。イオン性不純物の移動速度よりも電界のスクロールの速度が速いと、イオン性不純物が電界のスクロールに付いて行けずに、イオン性不純物を掃き寄せる効果が低下するおそれがある。
発明者は、イオントラップ機構130における好ましい交流信号の周波数f(Hz)を以下のように導き出した。
イオン性不純物の液晶層中の移動速度v(m/s)は、数式(1)に示すように、隣り合うイオントラップ電極間の電界強度e(V/m)と、イオン性不純物の移動度μ(m2/V・s)との積で与えられる。
つまり、v=e・μ・・・(1)である。
電界強度e(V/m)は、数式(2)で示すように、隣り合うイオントラップ電極間の電位差Vnをイオントラップ電極の配置ピッチp(m)で除した値となる。
つまり、e=Vn/p・・・(2)である。
隣り合うイオントラップ電極間の電位差Vnは、交流信号における実効電圧VEの2倍に相当することから、次の数式(3)が導かれる。
つまり、e=2VE/p・・・(3)となる。なお、図7に示すように、矩形波の交流信号における実効電圧VEは、矩形波の基準電位に対する電位に相当し、本実施形態では5Vである。
数式(3)を数式(1)に当てはめることにより、イオン性不純物の移動速度v(m/s)は、数式(4)となる。
つまり、v=2μVE/p・・・(4)である。
隣り合うイオントラップ電極間をイオン性不純物が移動する時間tdは、数式(5)に示すように、隣り合うイオントラップ電極の配置ピッチpをイオン性不純物の移動速度vで除した値となる。
つまり、td=p/v=p2/2μVE・・・(5)である。
したがって、好ましい周波数f(Hz)は、隣り合うイオントラップ電極間をイオン性不純物が移動する時間tdに合わせて電界をスクロールすることで求められる。電界のスクロール時間は交流信号の位相差Δtに相当するので、前述したようにΔtを1/n周期とすると、好ましい周波数f(Hz)は次の数式(6)によって導かれる。nはイオントラップ電極の数である。
すなわち、f=1/n/td=2μVE/np2・・・(6)となる。
前述したように、隣り合うイオントラップ電極に印加される交流信号の位相差Δtを1/3周期とすると、イオントラップ機構130における隣り合うイオントラップ電極間の電位差Vnは、0Vを基準電位として5Vと−5Vとに遷移する矩形波の交流信号の場合、10Vとなる。また、イオントラップ機構130におけるイオントラップ電極の配置ピッチpを8μmとし、イオン性不純物の移動度μを2.2×10-10(m2/V・s)すると、好ましい周波数fは、数式(6)によれば、およそ12Hzとなる。
なお、イオン性不純物の移動度μの値は、例えば、A.Sawada,A.Manabe and S.Naemura,“ A Comparative Study on the Attributes of Ions in Nematic and Isotropic Phases”,Jpn.J.Appl Phys Vol.40,p220−p224(2001)に記載されている。
交流信号の周波数fを12Hzよりも大きくすると電界のスクロールにイオン性不純物が付いて行けなくなるので、周波数fは12Hzと同じか12Hzよりも小さいことが好ましい。また、周波数fをあまりに小さくするとイオントラップ電極間に直流が印加される状態となって、例えば液晶の分解や、焼き付き、シミなどの表示不良が起るなど好ましくない。イオントラップ電極131,132,133の配置ピッチを8μmよりも小さくすると、好ましい周波数fを大きくすることができる。その上で、イオン性不純物を表示領域Eからより遠くに掃き寄せるには、イオントラップ電極の数を3本からさらに増やすことが好ましい。
また、イオントラップ電極131,132,133の幅をL、イオントラップ電極131,132,133の隙間をSとするとき、幅Lは隙間Sと同じ又は隙間Sよりも小さいことが好ましい。幅Lを隙間Sよりも大きくすると、イオン性不純物が電界の移動が生ずるイオントラップ電極間を移動する時間よりも、電界の移動が生じ難いイオントラップ電極上で移動する時間のほうが大きくなるため、イオン性不純物の掃き寄せ効果が低下するおそれがあるからである。
イオントラップ電極131,132,133に印加する交流信号は、図7に示した矩形波の交流信号に限定されない。例えば、図8に示すような矩形波としてもよい。
図7の矩形波の交流信号は、電位が正極性(+)である時間と負極性(−)である時間が同じであるが、例えば、図8に示すように、電位が正極性(+)である時間t4よりも電位が負極性(−)である時間t5の方が長い設定の交流信号としてもよい。液晶装置100の製造工程によれば、液晶層50に正極性(+)及び負極性(−)のイオン性不純物が含まれるおそれがあり、正極性(+)のイオン性不純物のほうが負極性(−)のイオン性不純物に比べて、表示品位を低下させることが知られている。したがって、イオントラップ電極131,132,133のそれぞれに電位が負極性(−)である時間t5が長い設定の交流信号を印加することで、正極性(+)のイオン性不純物を効果的に掃き寄せることが可能となる。
また、矩形波の交流信号は、図7及び図8に示したように、例えば0Vを基準電位として、5Vと−5Vの2値の電位間で振幅させてもよいが、異なる3値以上の電位を遷移するように波形を設定してもよい。これによれば、イオントラップ機構130の第1電極131から第2電極132を経て第3電極133へ円滑にイオン性不純物を移動させることが可能である。また、図7及び図8に示した矩形波の交流信号だけでなく、三角波の交流信号も採用することができる。また、図9に示すように、イオントラップ電極131,132,133のそれぞれに印加される交流信号を1周期の時間内において互いに位相が異なる正弦波としてもよい。なお、正弦波のようなアナログ信号を生成するアナログ回路に比べて、矩形波を生成するデジタル回路の方が回路構成を簡略化できる。
また、同じ周波数の交流信号であれば、第1電極131、第2電極132、第3電極133に印加される交流信号の振幅の大きさ、つまり基準電位に対して正極性の最大電位と、負極性の最大電位とを必ずしも同じにしなくてもよい。例えば、第1電極131には、前述したように、0Vを基準電位として、5Vと−5Vとの間で振幅する交流信号を与える。これに対して、第2電極132には、0Vを基準電位として、7.5Vと−7.5Vとの間で振幅する交流信号を与え、第3電極133には、0Vを基準電位として、10Vと−10Vとの間で振幅する交流信号を与える。このように3つのイオントラップ電極131,132,133に印加される交流信号の振幅の大きさを表示領域Eからイオントラップ電極131,132,133が遠ざかるほど大きくすることで、イオン性不純物を効果的に掃き寄せることが可能である。
また、画素Pを駆動することによって前述したように液晶層50中に液晶分子LCのフロー(流れ)が生じ、イオン性不純物は、このフロー(流れ)によって表示領域Eを移動する。フロー(流れ)の速度は画素Pを駆動する駆動信号の周波数に依存すると考えられる。このフロー(流れ)によって移動するイオン性不純物を表示領域Eからイオントラップ電極131,132,133に確実に引き寄せるには、イオントラップ電極131,132,133間に生ずる電界の移動をゆっくりとしたほうがよい。つまり、イオントラップ電極131,132,133に印加される交流信号の周波数f(Hz)は、画素Pを駆動する駆動信号の周波数よりも小さいことが好ましい。
一方、イオン性不純物の移動度μ(移動速度v)は温度に依存する。それゆえに、液晶装置100が実際に駆動されるときの温度が常温よりも高ければ、周波数fを12Hzよりも大きく設定してもイオン性不純物を掃き寄せる効果が得られる。
図10はイオン性不純物の移動度μと温度との関係を示すグラフである。なお、図10のグラフは、前述した、A.Sawada,A.Manabe and S.Naemura,“ A Comparative Study on the Attributes of Ions in Nematic and Isotropic Phases”,Jpn.J.Appl Phys Vol.40,p220−p224(2001)に記載されたイオン性不純物の移動度μの値を参照して得られたものである。
図10に示すように、温度が25℃のときのイオン性不純物の移動度μの値は、およそ2.2×10-10(m2/V・s)であり、logμの値は、−9.6となる。これに対して、温度が60℃のときのイオン性不純物の移動度μの値は、およそ2.2×10-9(m2/V・s)であり、logμの値は−8.7となる。つまり、25℃に対して60℃のイオン性不純物の移動度μはおよそ10倍になる。60℃の温度に着目するのは、液晶装置100を後述する投射型表示装置のライトバルブとして使用するときの温度を考慮したものである。
前述した数式(6)に、n=3、VE=5V、p=8μm、温度が60℃のμ=2.2×10-9(m2/V・s)を当てはめると、最適な周波数fは、およそ113Hzとなる。この状態では、イオントラップ電極131,132,133に印加される交流信号の最適な周波数fが、本実施形態の駆動周波数である60Hzよりも大きくなるがイオン性不純物の掃き寄せ効果を得ることができると考えられる。言い換えれば、駆動周波数を交流信号の最適周波数fよりも大きな例えば120Hzとすれば、より効果的にイオン性不純物を掃き寄せられると考えられる。
次に、交流信号の印加の方法(手段)について、説明する。本実施形態では、図5(b)に示すように、外部から3つの外部接続端子104(It1,It2,It3)を介してイオントラップ機構130の第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれに周波数が同じで位相がずれた交流信号を印加したが、周波数が同じで位相がずれた交流信号を印加する方法(手段)は、これに限定されない。
図11は遅延回路の構成を示す回路図である。図11に示すように、液晶装置100は、引き回し配線135と引き回し配線136との間に設けられた遅延素子151と、引き回し配線136と引き回し配線137との間に設けられた遅延素子151とを含む遅延回路150を備える構成としてもよい。遅延素子151は、例えば容量素子(C)とインダクタ素子(L)とを含む回路構成や、抵抗(R)と容量素子(C)とを含む回路構成が挙げられる。このような遅延回路150によれば、外部接続端子104(It1)に第1交流信号を供給することにより、引き回し配線135を経由して第1電極131に第1交流信号が印加される。また、第1交流信号が遅延素子151を経由して引き回し配線136に伝わることにより、第1交流信号の位相がずれた第2交流信号が引き回し配線136を経由して第2電極132に印加される。また、第2交流信号が遅延素子151を経由して引き回し配線137に伝わることにより、第2交流信号の位相がずれた第3交流信号が引き回し配線137を経由して第3電極133に印加される。
ゆえに、第1交流信号だけを外部回路で生成して、外部接続端子104(It1)に供給すればよいので、装置全体の回路構成を簡略化できる。
上記第1実施形態の液晶装置100及びその駆動方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)電子見切り部120とシール材40との間に、イオントラップ機構130が設けられ、第1電極131、第2電極132、第3電極133のそれぞれには、同じ周波数であって、1周期に相当する時間内で互いに位相がずれた交流信号が印加される。これにより、イオントラップ電極131,132,133の間に生ずる電界の分布が第1電極131から第3電極133へスクロールされ、当該電界のスクロールによって液晶層50中のイオン性不純物が表示領域Eからイオントラップ電極131,132,133が配置された見切り領域E3へ掃き寄せられる。
(2)イオントラップ電極131,132,133のそれぞれに印加される交流信号の周波数fは、上記数式(6)によって導かれ、常温の場合、画素Pにおける画像信号(駆動信号)の周波数(例えば60Hz)より低い12Hz以下に設定される。また、液晶層50中のイオン性不純物の移動速度vと実際に使用されるときの温度60℃とを考慮した場合、およそ113Hz以下に設定される。したがって、イオン性不純物を確実に見切り領域E3へ掃き寄せることができる。
(3)イオントラップ機構130の第1電極131と電子見切り部120のダミー画素電極121との間隔は、第1電極131と第2電極132との間隔よりも大きい。したがって、第1電極131とダミー画素電極121との間に生ずる電界でイオン性不純物の移動が阻害され難く、第1電極131から第2電極132にイオン性不純物を円滑に移動させることができる。
(4)液晶層50を介してイオントラップ電極131,132,133に対応する部分には共通電極23が設けられていない。したがって、イオントラップ電極131,132,133と共通電極23との間に電界が生じ難いので、イオントラップ電極131,132,133の間に生ずる電界のスクロールによって、イオン性不純物を見切り領域E3に確実に掃き寄せることができる。
(5)見切り領域E3には遮光性の見切り部21が設けられているので、見切り領域E3にイオン性不純物が掃き寄せられ蓄積して、見切り領域E3の液晶層50の光学特性が変化したとしても、電子見切り部120を含む表示領域Eの表示に影響を及ぼさない。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の液晶装置について、図12を参照して説明する。図12は第2実施形態の液晶装置の構造を示す概略断面図である。なお、図12は第1実施形態における図6に対応する概略断面図である。第1実施形態の液晶装置100に対して、第2実施形態の液晶装置は対向基板20における共通電極23の配置が異なっている。第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して詳細の説明は省略する。
図12に示すように、第2実施形態の液晶装置200は、シール材40を介して貼り合わされた素子基板210と対向基板220との隙間に挟持された液晶層50を有している。
素子基板210の第3層間絶縁膜14上に画素電極15、ダミー画素電極121,122、イオントラップ電極131,132,133がそれぞれ配置されている。
対向基板220において、共通電極23は、表示領域Eと見切り領域E3とに亘って形成されている。つまり、見切り領域E3では、液晶層50を挟んでイオントラップ電極131,132,133と共通電極23とが対向配置されている。
第1実施形態と同様に、イオントラップ電極131,132,133のそれぞれに対して、同じ周波数であって、1周期の時間内に互いに位相が異なる交流信号(例えば、図7に示した矩形波)が印加される。そうすると、第1電極131と共通電極23との間に、第1電極131の第1電位の極性に応じて、実線又は破線の矢印で示した電界が生ずる。第2電極132や第3電極133と共通電極23との間においても第1電極131の場合と同様に実線又は破線の矢印で示した電界が生ずる。実線又は破線の矢印で示したこれらの電界は、イオントラップ電極131,132,133のそれぞれに位相が異なる交流信号が印加されることから、表示領域Eに近い第1電極131から第3電極133に向って時間的にスクロールされる。
第2実施形態の液晶装置200は、第1実施形態の液晶装置100に比べて、液晶層50の厚みによる電界の強さの影響を受けるものの、第1実施形態と同様に、表示領域Eにおけるイオン性不純物をイオントラップ機構130によって見切り領域E3に掃き寄せることができる。
また、第1実施形態の液晶装置100のように、共通電極23を表示領域Eに対応させ、且つ引き出し配線23aを有するようにパターニングする必要がないので、液晶装置200の構成を簡略化できるという利点がある。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の液晶装置について、図13を参照して説明する。図13は第3実施形態の液晶装置の構造を示す概略断面図である。第1実施形態の液晶装置100が透過型であるのに対して、第3実施形態の液晶装置は反射型である点が異なっている。第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して詳細の説明は省略する。
第3実施形態の液晶装置300は、第1実施形態の液晶装置100と同様に、複数の画素Pが配置された実表示領域E1と、複数のダミー画素DPが配置されたダミー画素領域E2と、見切り部21及びイオントラップ機構130が配置された見切り領域E3とを有している。
図13に示すように、素子基板310の画素電極15Rは、例えば光反射性を有するAl(アルミニウム)やAlを含む合金などによって第3層間絶縁膜14上に形成されている。また、第3層間絶縁膜14に設けられたコンタクトホールCNT5を介して、蓄積容量16の第2容量電極16cに電気的に接続されている。
画素電極15Rを覆って無機絶縁膜19が形成されている。無機絶縁膜19の表面に酸化シリコンなどを斜め蒸着することによって成長したカラム18aの集合体からなる配向膜18が形成されている。
対向基板320のITO膜などの透明導電膜を用いて形成された共通電極23を覆って無機絶縁膜25が形成されている。無機絶縁膜25の表面に酸化シリコンなどを斜め蒸着することによって成長したカラム24aの集合体からなる配向膜24が形成されている。
配向膜18が形成された素子基板310と、配向膜24が形成された対向基板320との間に負の誘電異方性を有する液晶分子LCからなる液晶層50が挟持されている。
無機絶縁膜19,25は、例えば酸化シリコンを蒸着して成膜される。共通電極23に対して仕事関数が異なる画素電極15Rの表面を無機絶縁膜19で覆い、また共通電極23の表面を無機絶縁膜25で覆うことにより、無機絶縁膜19,25が無い場合に仕事関数の違いに起因して共通電位(LCCOM)が変動(シフト)するといった不具合を改善できる。
イオントラップ電極131,132,133は、画素電極15Rと同層において形成される。したがって、イオントラップ電極131,132,133もまた無機絶縁膜19によって覆われる。イオントラップ電極131,132,133のそれぞれには、第1実施形態と同様に、共通電極23の共通電位(LCCOM)を基準電位として、高電位と低電位とに遷移すると共に、1周期に相当する時間内において互いに位相が異なる交流信号が印加されるので、イオントラップ電極131,132,133に直流電位が印加される場合に比べて、無機絶縁膜19,25が介在することに起因する電位の低下が起こり難い。したがって、イオン性不純物を表示領域Eから見切り領域E3へ確実に掃き寄せることが可能な反射型の液晶装置300を提供できる。なお、対向基板320の共通電極23は、第1実施形態の液晶装置100と同様に、表示領域Eに亘って形成されており、見切り領域E3には形成されていない。つまり、液晶層50を挟んでイオントラップ電極131,132,133と共通電極23とは対向配置されていない。
(第4実施形態)
<電子機器>
次に、第4実施形態である電子機器としての投射型表示装置について、図14を参照して説明する。図14は第4実施形態の投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図14に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上述したイオントラップ機構130を有する第1実施形態の液晶装置100又は第2実施形態の液晶装置200が適用されたものである。液晶パネル110の色光の入射側と射出側とにクロスニコルに配置された一対の偏光素子が隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
このような投射型表示装置1000によれば、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、上記液晶装置100又は上記液晶装置200が用いられているので、イオン性不純物に起因する表示不具合が改善され、優れた表示品質を有する投射型表示装置1000を提供することができる。
(第5実施形態)
<電子機器>
次に、第5実施形態の電子機器としての投射型表示装置について、図15を参照して説明する。図15は第5実施形態の投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図15に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置2000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置2100と、3つのダイクロイックミラー2111,2112,2115と、2つの反射ミラー2113,2114と、3つの光変調手段としての反射型の液晶ライトバルブ2250,2260,2270と、クロスダイクロイックプリズム2206と、投射レンズ2207とを備えている。
偏光照明装置2100は、ハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット2101と、インテグレーターレンズ2102と、偏光変換素子2103とから概略構成されている。
偏光照明装置2100から射出された偏光光束は、互いに直交して配置されたダイクロイックミラー2111とダイクロイックミラー2112とに入射する。光分離素子としてのダイクロイックミラー2111は、入射した偏光光束のうち赤色光(R)を反射する。もう一方の光分離素子としてのダイクロイックミラー2112は、入射した偏光光束のうち緑色光(G)と青色光(B)とを反射する。
反射した赤色光(R)は反射ミラー2113により再び反射され、液晶ライトバルブ2250に入射する。一方、反射した緑色光(G)と青色光(B)とは反射ミラー2114により再び反射して光分離素子としてのダイクロイックミラー2115に入射する。ダイクロイックミラー2115は緑色光(G)を反射し、青色光(B)を透過する。反射した緑色光(G)は液晶ライトバルブ2260に入射する。透過した青色光(B)は液晶ライトバルブ2270に入射する。
液晶ライトバルブ2250は、反射型の液晶パネル2251と、反射型偏光素子としてのワイヤーグリッド偏光板2253とを備えている。
液晶ライトバルブ2250は、ワイヤーグリッド偏光板2253によって反射した赤色光(R)がクロスダイクロイックプリズム2206の入射面に垂直に入射するように配置されている。また、ワイヤーグリッド偏光板2253の偏光度を補う補助偏光板2254が液晶ライトバルブ2250における赤色光(R)の入射側に配置され、もう1つの補助偏光板2255が赤色光(R)の射出側においてクロスダイクロイックプリズム2206の入射面に沿って配置されている。なお、反射型偏光素子として偏光ビームスプリッターを用いた場合には、一対の補助偏光板2254,2255を省略することも可能である。
このような反射型の液晶ライトバルブ2250の構成と各構成の配置は、他の反射型の液晶ライトバルブ2260,2270においても同じである。つまり、液晶ライトバルブ2260は、反射型の液晶パネル2261と、ワイヤーグリッド偏光板2263とを有し、ワイヤーグリッド偏光板2263に対する緑色光(G)の入射側に補助偏光板2264が配置され、ワイヤーグリッド偏光板2263の緑色光(G)の射出側においてクロスダイクロイックプリズム2206の入射面に沿ってもう1つの補助偏光板2265が配置されている。
液晶ライトバルブ2270は、反射型の液晶パネル2271と、ワイヤーグリッド偏光板2273とを有し、ワイヤーグリッド偏光板2273に対する青色光(B)の入射側に補助偏光板2274が配置され、ワイヤーグリッド偏光板2273の青色光(B)の射出側においてクロスダイクロイックプリズム2206の入射面に沿ってもう1つの補助偏光板2275が配置されている。
液晶ライトバルブ2250,2260,2270に入射した各色光は、画像情報に基づいて変調され、再びワイヤーグリッド偏光板2253,2263,2273を経由してクロスダイクロイックプリズム2206に入射する。クロスダイクロイックプリズム2206では、各色光が合成され、合成された光は投射レンズ2207によってスクリーン2300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
本実施形態では、液晶ライトバルブ2250,2260,2270として上記第3実施形態における反射型の液晶装置300が適用されている。
このような投射型表示装置2000によれば、反射型の液晶装置300を液晶ライトバルブ2250,2260,2270に用いているので、明るい画像を投射可能であると共に、イオン性不純物に起因する表示不具合が改善され、優れた表示品質を有する反射型の投射型表示装置2000を提供できる。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置の駆動方法、及び該液晶装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記第1実施形態の液晶装置100におけるイオントラップ電極131,132,133の配置は、これに限定されない。図16は変形例1の液晶装置の構造を示す概略断面図である。なお、図16は、第1実施形態における図6に相当するものである。第1実施形態の液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図16に示すように、変形例1の液晶装置400は、素子基板410と対向基板420との間に正の誘電異方性を有する液晶層450が挟持されている。
素子基板410の実表示領域E1に配置された画素は、第3層間絶縁膜14上に設けられ、且つTFT30に接続された第1画素電極15aと、第1画素電極15aより下層に設けられ、共通電位(LCCOM)が供給される第2画素電極15bとを有している。
素子基板410のダミー画素領域E2に配置されたダミー画素は、第3層間絶縁膜14上に設けられ、且つTFT30に接続された第1ダミー画素電極421aと、第1ダミー画素電極421aより下層に設けられ、共通電位(LCCOM)が供給される第2ダミー画素電極421bとを有している。第1ダミー画素電極421a及び第2ダミー画素電極421bは電子見切り部420として機能している。
素子基板410の見切り領域E3に配置されたイオントラップ機構430は、第1画素電極15aや第1ダミー画素電極421aと同層に設けられた第1電極431、第2電極432、第3電極433と、これらのイオントラップ電極431,432,433より下層において、イオントラップ電極431,432,433と対向するように設けられ、共通電位(LCCOM)が供給される第4電極434とを有している。
対向基板420の液晶層450に面する側には、電極は設けられていない。
図16では図示を省略したが、第1画素電極15a、第1ダミー画素電極421a、イオントラップ電極431,432,433、及び対向基板420の液晶層450に面する表面は、有機配向膜で覆われている。正の誘電異方性を有する液晶分子は有機配向膜に対して略水平配向している。
液晶装置400は、第1画素電極15aと第2画素電極15bとの間に生ずる略横電界により、液晶層450における液晶分子の配向方向を変化させることにより、画素に入射した光を変調する、所謂FFS(Fringe Field Switching)方式が採用されている。
イオントラップ電極431,432,433のそれぞれには、イオントラップ電極431,432,433と第4電極434との間に生ずる略横電界が第1ダミー画素電極421aに近い第1電極431から第3電極433へスクロールされるように、同じ周波数で互いに位相がずれた交流信号が印加される。表示領域Eの液晶層450中の正極性(+)又は負極性(−)のイオン性不純物は、イオントラップ電極431,432,433に引き寄せられると共に、該電界のスクロールによって見切り領域E3に掃き寄せられる。
(変形例2)上記第1実施形態の液晶装置100におけるイオントラップ電極131,132,133の配置は、これに限定されない。図17は変形例2の液晶装置の構造を示す概略断面図である。なお、図17は、第1実施形態における図6に相当するものである。第1実施形態の液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図17に示すように、変形例2の液晶装置500は、電子見切り部120が配置されたダミー画素領域E2とシール材40との間の見切り領域E3にイオントラップ機構530が設けられている。イオントラップ機構530は、対向基板520の共通電極23と同層に設けられた第1電極531、第2電極532、第3電極533を有している。
イオントラップ電極531,532,533のそれぞれには、同じ周波数であって、1周期に相当する時間内において互いに位相がずれた交流信号が印加される。表示領域Eの液晶層50中の正極性(+)又は負極性(−)のイオン性不純物は、イオントラップ電極531,532,533に引き寄せられると共に、イオントラップ電極531,532,533の間に生じた電界のスクロールによって見切り領域E3に掃き寄せられる。
なお、図17では図示を省略したが、画素電極15、ダミー画素電極121,122は、配向膜18で覆われている。共通電極23、第1電極531、第2電極532、第3電極533は、配向膜24で覆われている。液晶層50は負の誘電異方性を有する。
共通電極23、イオントラップ電極531,532,533のそれぞれは、素子基板510と対向基板520の間に設けられた上限導通部を介して、素子基板510の端子部に設けられた外部接続端子に電気的に接続されている。
(変形例3)上記第1実施形態の液晶装置100において、イオントラップ電極131,132,133は、表示領域Eを囲むように配置されることに限定されない。図4に示したように、イオン性不純物の偏在に起因して表示不具合が生ずる箇所が特定される場合、該表示不具合が生ずる箇所に対応させてイオントラップ電極131,132,133を配置してもよい。
(変形例4)上記実施形態のイオントラップ機構130,330,430を適用可能な液晶装置は、VA方式、あるいはFFS方式に限定されず、IPS(In Plane Switching)方式やOCB(Optically Compensated Birefringence)方式にも適用することができる。
(変形例5)上記第1実施形態の液晶装置100又は上記第2実施形態の液晶装置200を適用可能な電子機器は、上記第4実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。また、上記第3実施形態の液晶装置300を適用可能な電子機器は、上記第5実施形態の投射型表示装置2000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
10,210,310,410,510…第1基板としての素子基板、15…画素電極、15R…光反射性を有する画素電極、18,24…無機配向膜としての配向膜、19,25…無機絶縁膜、20,220,320,420,520…第2基板としての対向基板、23…対向電極としての共通電極,40…シール材、50,450…液晶層、100,200,300,400,500…液晶装置、130,430,530…イオントラップ機構、131,331,431,531…第1電極、132,332,432,532…第2電極、133,333,433,533…第3電極、434…第4電極、1000,2000…電子機器としての投射型表示装置、E…表示領域、E1…実表示領域、E2…ダミー画素領域、E3…見切り領域、P…画素。

Claims (15)

  1. 対向配置されシール材を介して貼り合わされた第1基板及び第2基板と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、を含み、
    前記第1基板の表示領域に設けられた画素電極と、
    前記第1基板又は前記第2基板において、前記画素電極に対向して設けられた対向電極と、
    前記第1基板又は前記第2基板において、平面視で、前記表示領域と前記シール材との間に設けられ、第1電位が供給される第1電極と、前記第1電極と前記シール材との間に設けられ、第2電位が供給される第2電極と、前記第2電極と前記シール材との間に設けられ、第3電位が供給される第3電極と、を有する液晶装置の駆動方法であって、
    前記第1電位が正極性又は基準電位から負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第2電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、
    前記第2電位が負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第3電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、
    前記第1電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移し、
    前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第3電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移するように、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれに同じ周波数の交流信号を印加することを特徴とする液晶装置の駆動方法。
  2. 前記交流信号の周波数f(Hz)は、以下の数式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の駆動方法。
    f≦2μVE/np2
    μは液晶層中のイオン性不純物の移動度(m2/V・s)、VEは交流信号の実効電圧(V)、nは交流信号が与えられる電極の数、pは交流信号が与えられる電極の配置ピッチ(m)である。
  3. 前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれに同じ波形の前記交流信号を印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置の駆動方法。
  4. 前記交流信号は、3値以上の電位を有することを特徴とする請求項3に記載の液晶装置の駆動方法。
  5. 前記交流信号が矩形波であることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置の駆動方法。
  6. 対向配置されシール材を介して貼り合わされた第1基板及び第2基板と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、を含み、
    前記第1基板の表示領域に設けられた画素電極と、
    前記第1基板又は前記第2基板において、前記画素電極に対向して設けられた対向電極と、
    前記第1基板又は前記第2基板において、平面視で、前記表示領域と前記シール材との間に設けられ、第1電位が供給される第1電極と、前記第1電極と前記シール材との間に設けられ、第2電位が供給される第2電極と、前記第2電極と前記シール材との間に設けられ、第3電位が供給される第3電極と、を備え、
    前記第1電位が正極性又は基準電位から負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第2電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、
    前記第2電位が負極性に遷移してから、前記基準電位又は正極性に遷移する前に、前記第3電位が正極性又は前記基準電位から負極性に遷移し、
    前記第1電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移し、
    前記第2電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移してから、前記基準電位又は負極性に遷移する前に、前記第3電位が負極性又は前記基準電位から正極性に遷移するように、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれに同じ周波数の交流信号が印加されることを特徴とする液晶装置。
  7. 前記交流信号としての第1交流信号が入力され、前記第1交流信号に対して位相がずれた第2交流信号と、前記第1交流信号及び前記第2交流信号に対して位相がずれた第3交流信号と、が出力される遅延回路をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
  8. 前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極は、前記第1基板に前記表示領域を囲んで設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶装置。
  9. 前記表示領域は、複数の前記画素電極を囲んで設けられた複数のダミー画素電極を有する電子見切り部を含み、
    前記電子見切り部と前記第1電極との間隔は、前記第1電極と前記第2電極との間隔よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の液晶装置。
  10. 前記対向電極は前記第2基板に設けられ、平面視で前記対向電極の外縁が前記第1電極と前記表示領域との間に位置していることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の液晶装置。
  11. 前記第1基板に、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極が設けられ、
    前記対向電極は、前記第2基板において、平面視で前記表示領域を含み、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極と対向する領域まで設けられ、前記基準電位が与えられることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の液晶装置。
  12. 前記画素電極、前記対向電極、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極のそれぞれは、無機配向膜で覆われていることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか一項に記載の液晶装置。
  13. 前記画素電極は光反射性を有する導電膜により形成され、
    前記対向電極は透光性を有する導電膜により形成され、
    前記画素電極と前記無機配向膜との間に無機絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の液晶装置。
  14. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶装置の駆動方法を用いて駆動される液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  15. 請求項6乃至13のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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