JP2017115224A - アルミニウム合金硬質箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、圧延性に優れたアルミニウム合金硬質箔を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、Fe:0.70〜1.40質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、表面において、傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率は0.60以上であるとともに、前記結晶粒の平均結晶粒径は2.1μm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム合金硬質箔(以下、適宜「硬質箔」という)に関するものであり、詳細には、圧延性に優れたアルミニウム合金硬質箔に関するものである。
アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔は、日用品、食料品、薬品等の包装用途、建築材、車両、船舶等の断熱用途、コンデンサ、基板等の電気機器用途といった非常に広い用途に使用されている。また、これらの用途に使用するアルミニウム箔及びアルミニウム合金箔は、通常、5〜100μm程度の厚みを呈する。
そして、このようなアルミニウム箔及びアルミニウム合金箔について、引張強さや伸びといった機械的性質、成形性等を良好なものとするため、材料のサブグレイン組織に着目した技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、化学成分が、質量%で、Si:0.1%以上0.6%以下、Fe:0.2%以上1.0%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、箔厚が20μm以下であり、隣接する結晶方位測定点間の方位差が5°±0.2°である境界を結晶粒界と規定した場合、結晶粒径2μm以下のサブグレインの面積率が40%以上であり、引張強さが210MPa以上であり、液体窒素中で測定した比抵抗が0.45μΩ・cm以上0.7μΩ・cm以下であることを特徴とするアルミニウム合金箔が提案されている。
また、特許文献2には、Si:0.04〜0.2重量%、Fe:1.0〜2.0重量%、Cu:0.01重量%以下、Mg:0.01重量%以下、残りがAl及びその他不可避不純物からなり、平均結晶粒径が5〜20μmで且つサブグレインの平均粒径が0.5〜3.0μmであると共に、粒径が0.1〜2.0μmのAl−Fe化合物の分散密度が3×10〜20×10個/mmで且つ粒径が2.0μmを超えるAl−Fe化合物の分散密度が1×10〜10×10個/mmであることを特徴とするアルミニウム合金箔が提案されている。
特開2014−88598号公報 特許第4015518号公報
特許文献1、2に提案された技術は、隣接する結晶粒同士の傾角が15°以下の組織ある亜結晶粒(subgrain)組織に着目し、加工硬化特性の制御やピンホールの発生の抑制等を図る技術である。そして、特許文献1、2には、各技術によると一定の効果が得られると記載されている。
ところで、箔は、前記のとおり5〜100μm程度の薄い製品であることから、薄くするために高い冷間圧延率で圧延する必要がある。しかし、箔は高い圧延率の圧延によって加工硬化し伸びが減少する結果、重合圧延時に、箔にピンホールが発生してしまう、箔のマット面の粗度が大きくなってしまう、といった事態が起こり易い。
このような事態の発生を考慮し、箔の圧延性に対する要求は高い。
そこで、本発明は、圧延性に優れたアルミニウム合金硬質箔を提供することを課題とする。
実験室レベルにおいては、HPT(High‐Pressure Torsion)加工、ARB(Accumulative Roll Bonding)加工等といった加工法を用いて、巨大なひずみを純アルミニウムに導入することにより、転位が蓄積し、結晶粒界の高角化が進むことになる結果、組織が亜結晶粒組織になり、さらには傾角が大きく微細な結晶粒組織の状態になること、また、その結果として高強度となることが知られている。加えて、HPT加工による1GPa(1000N/mm)程度の極めて高い圧力負荷状態において、純アルミニウムに強加工を施すと、高い強度で定常状態となることが知られている。
しかしながら、これらの事実は、あくまで実験室レベルの特殊加工に関するものであり、工業的には適用することが困難であると考えられていた。
一方、箔については、前記のとおり、材料組織を亜結晶粒組織とすることにより、優れた圧延性を得るという技術が提案されていたが、箔の薄肉化の進展により、更なる技術の改善が望まれてきた。
本発明者は、合金成分や箔に付与する塑性ひずみの量を制御することにより、従来の亜結晶粒組織を、傾角が15°を超える微細な結晶粒組織(以下、適宜「分断結晶粒(grain subdivision)」という)とすることができ、その結果、重合圧延における圧延性を更に向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、Fe:0.70〜1.40質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、表面において、傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率は0.60以上であるとともに、前記結晶粒の平均結晶粒径は2.1μm以下であることを特徴とする。
このアルミニウム合金硬質箔によれば、所定量のFeを含有し、傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率を所定値以上とするとともに、前記結晶粒の平均結晶粒径を所定値以下としていることから、優れた圧延性を発揮することができる。
本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、合金成分の含有量を所定範囲とし、傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率を所定値以上とし、さらに、前記結晶粒の平均結晶粒径を所定値以下とすることによって、優れた圧延性を発揮することができる。
以下、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔を実施するための形態について、詳細に説明する。
[アルミニウム合金硬質箔]
本実施形態に係る硬質箔は、所定量のFeを含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、表面において、傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率が所定値以上であるとともに、分断結晶粒の平均結晶粒径が所定値以下となる。
なお、本実施形態に係る硬質箔の厚さは特に限定されないものの、例えば、5〜100μmであり、好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。また、本実施形態に係る硬質箔は、後記のとおり中間焼鈍を行わずに製造する直通材である。
以下、本実施形態に係る硬質箔の合金成分の含有量、分断結晶粒の個数存在率、分断結晶粒の平均結晶粒径について、数値限定した理由を説明する。
(Fe:0.70〜1.40質量%)
Feは、硬質箔の強度及び加工硬化挙動を制御するための成分であって、Al−Fe系金属間化合物を形成させるとともに、分断結晶粒を形成させ、且つ微細にするために添加する。Feの含有量が0.70質量%未満では、分断結晶粒の個数存在率が小さくなったり、分断結晶粒の平均結晶粒径が大きくなったりしてしまい、十分な圧延性が得られない。一方、Feの含有量が1.40質量%を超えると、加工硬化が停滞したとしても、強度の絶対値が高くなりすぎて重合圧延が困難になる可能性が高くなったり、Al−Fe系金属間化合物が粗大となり、圧延割れの原因になったりしてしまう。
したがって、Feの含有量は0.70〜1.40質量%である。
なお、Feの含有量は、分断結晶粒の個数存在率をより大きくする観点から、好ましくは0.80質量%以上であり、より好ましくは0.90質量%以上である。また、Feの含有量は、箔圧延をより行い易くする観点から、好ましくは1.30質量%以下である。
(残部:Al及び不可避的不純物)
本実施形態に係る硬質箔は、JISH4000:2014の合金番号8079や8021に規定される範囲内で、Fe以外の元素を不可避的不純物として含んでもよい。この不可避的不純物の元素として、具体的には、Si、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti、Zr、V、Ni、Sn、In、Ga等が挙げられる。これらの元素の含有量は個々に、Si:0.2質量%以下、Cu:0.03質量%以下、Mg:0.01質量%以下(好ましくはMg:0.005質量%以下)、前記Si、Cu、Mg以外の元素の含有量は個々に0.05質量%以下、それら合計で0.15質量%以下に規制されることが好ましく、この範囲内であれば、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加された場合であっても、本発明の効果を妨げない。
(傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率:0.60以上)
本実施形態に係る硬質箔の重合圧延時における圧延性を優れたものとするためには、箔の表面における分断結晶粒の個数存在率を大きくする必要がある。ここで、箔の表面における分断結晶粒の個数存在率が0.60未満であると、箔のピンホール数が増加したり、箔のマット面の粗度を大きくしてしまったりする。
したがって、本実施形態に係る硬質箔は、表面における分断結晶粒の個数存在率が0.60以上である。
なお、分断結晶粒の個数存在率とは、箔の表面において、傾角(隣接する結晶粒同士の結晶方位差)が15°を超える粒界で囲まれた結晶粒の個数の比率(単位面積あたりに存在する全結晶粒の個数に占める分断結晶粒の個数の割合、分断結晶粒の個数/全結晶粒の個数)である。
そして、分断結晶粒の個数存在率の測定は、硬質箔の表面を研磨仕上げやエッチングにより処理した後、走査型電子顕微鏡を用いて硬質箔の表面を確認し、EBSD法(Electron Back Scatter Diffraction)によって算出することができる。
また、分断結晶粒の個数存在率は、前記したように、合金成分の含有量を所定範囲とするとともに、後記するように、冷間圧延工程、箔圧延工程において、大きな塑性ひずみを箔に付与することによって制御することができる。
(傾角が15°を超える結晶粒の平均結晶粒径:2.1μm以下)
本実施形態に係る硬質箔の重合圧延時における圧延性を優れたものとするためには、箔の表面に存在する分断結晶粒の平均結晶粒径を小さくする必要がある。ここで、分断結晶粒の平均結晶粒径が2.1μmを超えると、重合圧延時の変形挙動が十分に均一なものとならず、箔のピンホール数が増加したり、箔のマット面の粗度を大きくしてしまったりする。
したがって、本実施形態に係る硬質箔は、表面における分断結晶粒の平均結晶粒径が2.1μm以下である。
なお、分断結晶粒の平均結晶粒径とは、箔の表面における各分断結晶粒の面積の平方根を結晶粒径とした場合の各結晶粒径の平均値である。
そして、分断結晶粒の平均結晶粒径の測定は、分断結晶粒の個数存在率と同一の方法で算出することができる。具体的には、硬質箔の表面を処理し、EBSD法により各分断結晶粒の面積を算出するとともに、その面積の平均値を算出し、その平均値の平方根をとることで算出することができる。よって、分断結晶粒の平均結晶粒径は、分断結晶粒の平均面積の平方根の値と言い換えることもできる。
なお、分断結晶粒の平均結晶粒径は、前記したように、合金成分の含有量を所定範囲とするとともに、後記するように、冷間圧延工程、箔圧延工程において、大きな塑性ひずみを箔に付与することによって制御することができる。
本実施形態に係る硬質箔は、以上説明したとおりであるが、その他の明示していない特性等については、従来公知のものであればよく、前記特性によって得られる効果を奏する限りにおいて、限定されないことは言うまでもない。
[アルミニウム合金硬質箔の製造方法]
次に、本実施形態に係る硬質箔の製造方法を説明する。
本実施形態に係る硬質箔は、鋳造工程と、均質化熱処理工程と、熱間圧延工程と、冷間圧延工程と、箔圧延工程と、を含み、この順に行う。ただし、中間焼鈍は行わない。
以下、各工程について説明する。
(鋳造工程)
鋳造工程は、前記の成分組成であるアルミニウム合金を定法により溶解、鋳造して、アルミニウム合金鋳塊を作製する工程である。
(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程は、アルミニウム合金鋳塊を均質化熱処理する工程である。均質化熱処理は、鋳塊に熱間圧延を実施するために施されるものである。
均質化熱処理の均熱温度が400℃未満では、熱間圧延が困難となるとともに、微細な金属間化合物が形成され難く適正な密度となり難い。一方、均熱温度が500℃を超えると、冷間圧延工程にて亜結晶粒組織の状態に留まり分断結晶粒が形成され難く、且つ分断結晶粒の平均結晶粒径が小さくならないため、500℃以下が好ましい。
均質化熱処理の保持時間は短い方が好ましい。しかし、保持時間が2時間末満では、鋳塊の幅方向及び長さ方向の組織の均一性に欠けるとともに、微細な金属間化合物が形成され難く適正な密度となり難い。一方、保持時間が24時間を超えると、経済性の観点から好ましくないとともに、微細な金属間化合物が成長し、サイズが大きく且つ密度が減少してしまう。
したがって、均質化熱処理は、400〜500℃の均熱温度で2〜24時間保特することが好ましい。
なお、均質化熱処理の保持時間は、経済性の観点から20時間以下とするのが好ましく、鋳塊の幅方向及び長さ方向の組織の均一性をより向上させる観点から、4時間以上とするのが好ましい。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程は、均質化熱処理したアルミニウム鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板とする工程であり、熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を含む。
熱間圧延の条件は特に限定されないが、例えば、開始温度が400〜500℃とし、終了温度を390〜440℃とする熱間粗圧延と、終了温度が300℃以上であって、板厚を3mm以下(好ましくは2.5mm以下)とする熱間仕上げ圧延と、を施すという条件とすればよい。
(冷間圧延工程、箔圧延工程)
冷間圧延工程、及び箔圧延工程は、熱間圧延板を焼鈍することなく、冷間圧延、及び箔圧延を施して硬質箔とする工程である。そして、この冷間圧延工程、及び箔圧延工程では、熱間圧延板に大きな塑性ひずみを付与することによって、結晶粒界の高角化を促進し、分断結晶粒を増加させる。冷間圧延工程、及び箔圧延工程において施す圧延処理について、熱間圧延後の板厚をtmmとし、箔圧延後(言い換えると重合圧延前)の箔厚をtmmとした場合、ln(t/t)の値が4.0未満であると、材料中に十分な塑性ひずみを付与することができず、箔表面において所望の分断結晶の組織とすることができない。
したがって、冷間圧延工程、及び箔圧延工程において施す圧延処理は、熱間圧延後の板厚をtmmとし、箔圧延後の箔厚をtmmとした場合、ln(t/t)の値が4.0以上となる条件で行うのが好ましい。
(その他の工程)
本実施形態に係る硬質箔の製造方法は、以上に説明したとおりであるが、通常、箔圧延工程の後に重合圧延工程を設ける。
重合圧延工程は、箔圧延後の硬質箔を重合圧延する工程である。そして、重合圧延とは、箔圧延の最終パスにおいて箔を2枚重ねてロールに供給し、圧延するものである。
重合圧延の条件は特に規定されるものでなく、硬質箔が所望の箔厚になるまで圧延を行えばよい。重合圧延は、一例として、圧延率が30〜60%となる条件で行う。また、重合圧延後の箔厚は、一例として、5〜40μmである。
さらに、本実施形態に係る硬質箔の製造を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、鋳塊を面削する表面平滑化工程や、板や箔の表面の異物を除去する異物除去工程や、各工程で発生した不良品を除去する不良品除去工程等を含めてもよい。
また、前記各工程において、明示していない条件については、従来公知の条件を用いればよく、前記各工程での処理によって得られる効果を奏する限りにおいて、その条件を適宜変更できることは言うまでもない。
次に、本発明に係る硬質箔について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[供試材作製]
表1に示す組成のアルミニウム合金を溶解し、500mm厚に半連続鋳造にて鋳造して表1に示す組成の鋳塊とした。この鋳塊に面削を施した後、均質化熱処理(温度:表1に示す、時間:4hr)を施し、表1に示す厚さまで熱間圧延を実施した。その後、表1に示す加工率となるように冷間圧延、及び箔圧延を施し、供試材(硬質箔)を製造した。
なお、表1に「直通」と示しているものは中間焼鈍を施しておらず、これらの熱間圧延の終了温度は300〜330℃であった。一方、表1に「中鈍」と示しているものは冷間圧延の途中で中間焼鈍(420℃×4hr)を施しており、これらの熱間圧延の終了温度は270℃であった。そして、表1のln(t/t)の「t」については、「直通」と示しているものは熱間圧延終了時の板厚であり、「中鈍」と示しているものは中間焼鈍時の板厚であった。
[測定項目、評価項目]
(傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率)
傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率の測定は、以下の手順で行った。
(1)供試材である箔を有機溶剤に浸漬することにより表面の油分を軽く除去した。
(2)日本電子株式会社製、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis、型式JPS−9010MC)を用い、加速電圧600V、電流13mAにて500秒間のイオンエッチングを箔の表面に施した。
(3)日本電子株式会社製、FESEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、型式JSM−700F)を用い、加速電圧20KVの条件の下、株式会社TSLソリューションズ製の測定ソフトであるTSL−OIM(Orientation Imaging Microscope)−Data Collectionバージョン5にて箔表面を測定した。測定は、2000倍(0.1μmステップ、40μm×40μm)で行った。
(4)測定データを、株式会社TSLソリューションズ製の解析ソフトであるTSL−OIM(Orientation Imaging Microscope)−Analysisバージョン6.2にて解析を行った。
(5)まず、結晶粒の定義として、Grain Tolerance Angle:2°、ピクセル(ステップ):5と規定し、5ピクセル間で方位差が2°以下の場合は、それらのピクセルは同一結晶粒であるとした(4ピクセル以下はノイズと認識し、連続して5ピクセル以上が同一方位の場合、結晶粒と認識した)。
(6)MisorientationAngleのNumber Fractionの解析に当たっては、“Use only boundary between identified grains”モードにより、前記にて定義した結晶粒につき、傾角が2°を超え65°(Al結晶では65°が最大)以下までカウントし、傾角が15°を超える分断結晶粒の個数存在率(=分断結晶粒の個数/傾角が2°を超える全結晶粒の個数)を算出した。
(傾角が15°を超える結晶粒の平均結晶粒径)
前記の分断結晶粒の個数存在率の測定方法の(5)において、Grain Tolerance Angle: 15°として、傾角が15°以下である亜結晶粒組織を除外し、結晶粒解析ソフトにて、分断結晶粒の平均結晶粒面積(μm)を求め、その平方根を平均結晶粒径(μm)とした。
(引張強さ、及び伸び)
引張強さ、及び伸びの測定は、軽金属協会規格LIS AT5に準じてB型試験片を用いて実施した。すなわち、硬質箔である供試材から、引張方向が圧延方向と平行になるように15mm幅×約200mm長さの短冊型試験片を切り出し、チャック間距離100mmを標点距離として実施した。試験には、Instron社製 5965 デュアルコラム卓上型試験システム(荷重容量5kN)を用い1kNレンジにて試験を行い、付属ソフトであるBluehillにて測定・解析を行った。
(重合圧延:条件)
硬質箔である供試材を2枚重ねた状態で、表1の厚さになるように重合圧延を施した。
(重合圧延の圧延性:マット面粗度の評価)
前記した条件で重合圧延を施して得られた箔につき、幅方向のほぼ中央部から試験片をマット面粗度測定用に切出し、マット面粗度を圧延方向に平行に測定した。マット面粗度の測定は、株式会社小坂研究所製の表面粗さ測定機(サーフコーダSE−30D)を用い、触針装置部にPU−DJ2Sを用い、箔をシートサンプル台DA−41に貼り付けて行った。
なお、マット面粗度(JISB0601:1982に準拠した中心線平均粗さRa)の評価としては、0.30μm未満を合格とした。
詳細な表面粗さ測定機の条件は以下のとおりである。なお、先端スキッドをワークに触れないように針のみで測定した。
送り速さ:0.1mm/s
カットオフ値λc:0.25mm
基準長さ(測定長さ):0.8mm
(重合圧延の圧延性:ピンホール評価)
前記した条件で重合圧延を施して得られた箔を、暗室にてライトボックスのガラス板上に置き、ガラスの下から800ルクス以上の光を当て、目視にて、1m当たりのピンホール数をカウントした。また、ピンホール数が100個/mを超える場合は、0.316m角(0.1m)当たりのピンホール数をカウントし10倍とした。
なお、ピンホール評価としては、50個/m以下を合格とした。
(重合圧延の圧延性:総合評価)
前記した「マット面粗度の評価」、「ピンホール評価」の両方の項目について、合格基準に達したものを「○」と評価し、1つでも合格基準に達しなかったものを「×」と評価した。
アルミニウム合金の成分、及び、測定項目、評価項目の結果を表1に示す。
Figure 2017115224
[結果の検討]
供試材1〜4については、本発明の規定する要件を満たしていることから、マット面粗度の評価、ピンホール評価のいずれもが合格基準に到達した。
一方、供試材5〜13については、本発明の規定する要件を満たしていないことから、以下の結果となった。
供試材5については、Feの含有量が少なく、且つ、均熱温度が高かったことから、分断結晶粒の個数存在率が少なくなるとともに、平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材6については、Feの含有量が少なかったことから、分断結晶粒の平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材7については、均熱温度が高く、且つ、冷間加工率(ln(t/t))が小さかったために材料に大きなひずみを与えることができなかったことから、亜結晶粒組織が多く、分断結晶粒の個数存在率が少ない組織状態となるとともに、平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材8については、冷間加工率(ln(t/t))が小さかったために材料に大きなひずみを与えることができなかったことから、分断結晶粒の個数存在率が少なくなるとともに、平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材9については、均熱温度が高かったことから、分断結晶粒の個数存在率が少なくなるとともに、平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材10については、均熱温度が高く、且つ、冷間加工率(ln(t/t))が小さかったために材料に大きなひずみを与えることができなかったことから、亜結晶粒組織を主体とした組織状態となり、分断結晶粒の個数存在率は少なく、平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材11については、均熱温度が高く、且つ、冷間加工率(ln(t/t))が小さかったために材料に大きなひずみを与えることができなかったことから、亜結晶粒組織が多く、分断結晶粒の個数存在率が少ない組織状態となるとともに、平均結晶粒径が大きくなってしまった。その結果、マット面粗度の評価、及びピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材12については、Feの含有量が多かったが、中間焼鈍を施したために、重合圧延を施すことはできた。しかしながら、均熱温度が高く、且つ、冷間加工率(ln(t/t))が小さかったために材料に大きなひずみを与えることができなかったことから、分断結晶粒の個数存在率が少なくなってしまった。その結果、ピンホール評価が合格基準に達せず、圧延性が「×」との結果となった。
供試材13については、Feの含有量が多かったために、圧延割れが発生してしまい、各評価を実施できなかった。
以上の結果より、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、重合圧延時において、箔にピンホールが発生してしまう、箔のマット面の粗度が大きくなってしまう、といった事態の発生を抑制可能な圧延性に優れた硬質箔であることが確認できた。

Claims (1)

  1. Fe:0.70〜1.40質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、
    表面において、傾角が15°を超える結晶粒の個数存在率は0.60以上であるとともに、前記結晶粒の平均結晶粒径は2.1μm以下であることを特徴とするアルミニウム合金硬質箔。
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