以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
以下の実施形態に係るシンチレータパネルは、X線等の放射線を可視光等のシンチレーション光に変換するためのものである。以下の実施形態に係るシンチレータパネルは、例えば、マンモグラフィー装置、胸部検査装置、CT装置、歯科口内撮影装置、及び、放射線カメラ等において、放射線イメージング用のデバイスとして用いることができる。
図1は、本実施形態に係るシンチレータパネルの断面図である。図2は、図1に示されたシンチレータパネルの一部を拡大して示す模式的な断面図である。図2においては、各部のハッチングが省略されている。図1,2に示されるように、シンチレータパネル1は、基板2、シンチレータ層3、第1保護膜4、反射層5、第2保護膜6、を備える。
基板2は、主面2sを有する。基板2は、例えば矩形板状である。基板2は、例えば、シンチレータ層3で生じるシンチレーション光に対して透過性を有していてもよい。基板2の厚さは、例えば2.0mm程度である。基板2は、例えば、FOP(ファイバオプティックプレート:多数の光ファイバを束ねて構成される光学デバイス(例えば、浜松ホトニクス(株)製J5734))等から構成される。
シンチレータ層3は、X線等の放射線Rの入射に応じて、可視光等のシンチレーション光を生じさせる。シンチレータ層3は、基板2の主面2s上に設けられている。シンチレータ層3は、例えば、主面2sに交差(例えば直交)する方向からみて、主面2sの矩形状のエリアに形成されている。
シンチレータ層3は、複数のシンチレータ部7を含む。シンチレータ部7は、主面2s上に2次元状に所定のピッチで配列されている。シンチレータ部7は、例えば主面2sに接触している。一例として、シンチレータ部7同士は、互いに連続していない(互いに分離している)。換言すれば、シンチレータ部7は、例えばイメージセンサの画素単位で形成されている(すなわち、シンチレータ層3はピクセル化されている)。シンチレータ部7の断面形状は、例えば、主面2sから離れるにつれて縮小する台形状である。すなわち、シンチレータ部7は、主面2sの反対側から主面2sに向けて断面積が増加するテーパ状である。
シンチレータ部7は、例えば、シンチレータ材料の単結晶からなる。或いは、シンチレータ部7は、例えばシンチレータ材料の複数の柱状結晶からなる。シンチレータ材料の一例としては、CsI:TlやCsI:NaといったCsI(ヨウ化セシウム)を主成分とする材料、NaI:TlといったNaI(ヨウ化ナトリウム)を主成分とする材料、SrI3(ヨウ化ストロンチウム)、LuI3(ヨウ化ルテチウム)、BaF2(フッ化バリウム)、及び、GOS等が挙げられる。
シンチレータ部7は、主面2sに交差する方向(例えば柱状結晶の成長の方向)に延びる側面7sを含む。シンチレータ部7は、主面2sに沿った方向に延びる頂面7tを含む。頂面7tは、側面7s同士を接続している。シンチレータ部7の高さHは、例えば、150μm以上1000μm以下程度である。シンチレータ部7の高さHは、頂面7tと主面2sとの間の距離であり、シンチレータ層3の厚さである。
互いに隣り合うシンチレータ部7の側面7s同士の間隔Gは、シンチレータ部7の形状に応じて、主面2sに向かうにつれて狭くなっている。間隔Gのうち、頂面7t側の上部間隔G1は、例えば、5μm以上50μm以下程度である。間隔Gのうち、頂面7tと主面2sとの中間部分の中間部間隔G2は、例えば、3μm以上30μm以下程度である。間隔Gのうち、主面2s側の下部間隔G3は、例えば、2μm以上15μm以下程度である。シンチレータ層3の加工ピッチ(例えば上記の所定のピッチ)は、例えば200μm程度である。加工ピッチは、シンチレータ部7同士の間隙のピッチである。
第1保護膜4は、シンチレータ層3及び基板2の主面2s上に設けられている。第1保護膜4は、放射線Rを透過する。より具体的には、第1保護膜4は、シンチレータ部7の表面(側面7s及び頂面7t)と、シンチレータ部7同士の間においてシンチレータ層3から露出した主面2sと、を覆うように設けられている。第1保護膜4は、例えば、シンチレータ部7の柱状結晶間に有機溶剤が浸透することを防止する。第1保護膜4の厚さTは、例えば、1μm以上10μm以下程度である。第1保護膜4は、例えばパリレン(ポリパラキシレン)等から形成される。
反射層5は、シンチレータ層3及び第1保護膜4上に設けられている。より具体的には、反射層5は、例えば、シンチレータ部7の表面(側面7s及び頂面7t)の全体を覆うように、第1保護膜4を介してシンチレータ部7上に設けられている。反射層5は、シンチレータ層3で生じたシンチレーション光を反射する。反射層5は、放射線Rを透過する。反射層5は、複数の金属粒子8を含む。したがって、金属粒子8は、シンチレーション光を反射すると共に放射線Rを透過する。
金属粒子8は、シンチレータ部7の表面(側面7s及び頂面7t)上に配置されている。金属粒子8は、シンチレータ部7の表面に沿って延びる箔状(例えば鱗片状、フレーク状、リーフ状)である。つまり、金属粒子8は、シンチレータ部7の側面7s上においては、側面7sに沿って延びる(側面7sに沿って並んでいる)。金属粒子8は、少なくとも部分的に、別の金属粒子8と重なって接触している。これにより、複数の金属粒子8は、全体として、シンチレータ部7の表面を隙間なく覆っている。
なお、金属粒子8が箔状であるとは、金属粒子8が球状や針状等でないことを意味する。より具体的には、金属粒子8が箔状であるとは、例えば金属粒子8が側面7s上に配置されているとき、金属粒子8の側面7sに沿った方向の寸法(幅)が、金属粒子8の側面7sに交差する方向の寸法(厚さ)よりも大きいことを意味する。
金属粒子8の平均寸法は、例えば、1μm以上20μm以下程度であり、より好ましくは、3μm以上10μm以下程度である。特に、金属粒子8の平均寸法は、例えば、互いに隣り合うシンチレータ部7の側面7s同士の間隔G(特に上部間隔G1)の半分以下とすることができる。なお、側面7s上に第1保護膜4が形成されている場合には、金属粒子8の平均寸法を、第1保護膜4の厚さの2倍を間隔Gから減じた値の半分以下としてもよい。
金属粒子8の平均寸法とは、一例として、金属粒子8の最大寸法を複数の金属粒子8について平均した寸法である。金属粒子8は、例えば、Al、Ag、Au、又は、Pt等からなる。なお、金属粒子8の粒度分布は、例えば、メディアン径(d50)又は算術的平均値(粒子の直径の合計/粒子の個数)により定義することができる。
第2保護膜6は、反射層5上に設けられている。より具体的には、第2保護膜6は、シンチレータ層3、第1保護膜4、及び、反射層5の全体を覆うように、反射層5上に形成されている。第2保護膜6は、放射線Rを透過する。第2保護膜6は、例えばパリレン(ポリパラキシレン)等から形成される。
引き続いて、シンチレータパネル1の製造方法の一例について説明する。この製造方法では、まず、例えば真空蒸着法によって、基板2の主面2s上にシンチレータ材料の柱状結晶を成長させることにより、主面2s上にシンチレータ層を形成する。続いて、例えばレーザ光の照射等によって、シンチレータ層を複数の部分に切断するようにシンチレータ層の加工を行う(シンチレータ層をピクセル化する)。これにより、複数のシンチレータ部7を含むシンチレータ層3が主面2s上に形成される。
続いて、シンチレータ層3及び主面2s上に第1保護膜4を成膜する。より具体的には、シンチレータ部7の表面(側面7s及び頂面7t)とシンチレータ部7同士の間において露出する主面2sとを覆うように、第1保護膜4を成膜する。これにより、後の工程において、シンチレータ層3の柱状結晶の間に有機溶剤が浸透することが防止される。また、シンチレータ層3に対して金属粒子8が直接的に接触することが避けられる。以上の工程により、基板2、シンチレータ層3、及び、第1保護膜4からなるシンチレータパネルが得られる。
続いて、以上の工程により得られたシンチレータパネルを真空槽内に配置する。そして、真空槽内を真空引きした状態において、金属粒子8を含む金属ペーストを第1保護膜4上に塗布する。このとき、金属ペーストは、シンチレータ部7の側面7s同士の間の間隙を充填していない場合がある。その後、真空槽内を大気開放することにより、側面7s同士の間隙内と大気との差圧を利用して、金属ペーストを当該間隙内に充填する。金属ペーストの充填後に、例えば常温硬化、加熱硬化、UV硬化等を行うことにより金属ペーストを硬化する。これらの工程により、第1保護膜4を介してシンチレータ層3を覆うように、反射層5が形成される。
続いて、反射層5上に第2保護膜6を成膜する。より具体的には、この工程では、シンチレータ層3、第1保護膜4、及び、反射層5の全体を覆うように、反射層5上に第2保護膜6を形成する。これにより、反射層5を保護すると共にシンチレータ層3の耐湿性が向上する。以上の工程により、シンチレータパネル1が製造される。
なお、上記の金属ペーストは、例えば以下のように製造することができる。すなわち、まず、金属粉(金属箔等)と有機溶剤と粉砕助剤との混合物をボールミルで混ぜる(展延粉砕工程)。続いて、その混合物を篩にかける(篩分け工程)。これにより、平均寸法が制御された金属粒子8が得られる。続いて、混合物を固体(金属粒子8)と液体とに分離する(濾過工程)。そして、金属粒子8と有機溶剤とバインダー樹脂とを混合する。これにより、金属ペーストが製造される。
引き続いて、図1〜4を参照してシンチレータパネル1の奏する効果について説明する。図3は、図1に示されたシンチレータパネルの反射層の一例を示す写真である。シンチレータパネル1においては、シンチレータ層3が、基板2の主面2s上に所定のピッチで配列された複数のシンチレータ部7を含む。また、シンチレーション光を反射する反射層5が、シンチレータ部7の少なくとも側面7sを覆うように設けられている。そして、反射層5は、シンチレータ部7の側面7sに沿って延びる複数の箔状の金属粒子8を含む。
ここで、例えば、シンチレーション光を吸収する吸収層(例えばカーボンブラックを含む吸収層)をシンチレータ層3上に設ける場合には、吸収層を設けない場合と比較して、解像度の向上が望めるものの光出力が低下するおそれがある。これに対して、シンチレータパネル1によれば、箔状の金属粒子8を含む反射層5を用いることによって、光出力の低下を抑制しつつ解像度を向上可能である。これは、図2,3に示されるように、シンチレーション光を反射する箔状の金属粒子8が、少なくとも部分的に互いに重なることによって、複数の金属粒子8の全体としてシンチレータ層3の表面(側面7s及び頂面7t)を隙間なく覆うことができる(すなわち、連続的な反射面を形成できる)ことが一因と考えられる。
なお、例えば、球状の金属粒子を含む反射層を設ける場合には、解像度の向上が望めないおそれがある。これは、以下のような原因があると考えられる。すなわち、球状の金属粒子では、シンチレータ部7の側面7s同士の微小な間隙内において、隙間なく側面7sを覆うことが困難である。したがって、シンチレーション光の透過を防止してクロストークを低減することが困難である。
ここで、図4は、シンチレータパネルの解像度(MTF)と光出力(Light Output)との評価結果を示すグラフである。図4のグラフでは、「反射層あり」は、シンチレータパネル1の一実施例に対応している。シンチレータパネル1の一実施例は、シンチレータ層3のシンチレータ材料をCsI:Tlとし、シンチレータ層3の厚さ(シンチレータ部7の高さH)を150μmとし、シンチレータ層3の加工深さ(シンチレータ部7同士の隙間の深さ)を150μmとし、反射層5の金属粒子8をAlからなるものとした。
また、図4のグラフの「吸収層あり」は、第1比較例に係るシンチレータパネルに対応する。第1比較例では、反射層5に代えてカーボンを含む吸収層を設けている。さらに、図4のグラフの「反射層なし」は、第2比較例に係るシンチレータパネルに対応する。第2比較例では、反射層5及び吸収層を設けていない。なお、図4のグラフでは、この第2比較例の解像度及び光出力の値を基準(100%)とし、実施例及び第1比較例の解像度及び光出力の値を相対的に示している。
図4に示されるように、「吸収層あり」の第1比較例によれば、「反射層なし」の第2比較例と比較して、解像度が140%程度に向上しているものの、光出力が30%程度に低下している。これに対して、実施例によれば、第2比較例と比較して、第1比較例と同程度まで解像度が向上しており、且つ、第1比較例と比較して光出力の低下が抑制されている。この評価結果からも、シンチレータパネル1によれば、光出力の低下を抑制しつつ解像度を向上可能であること認められる。
引き続き、シンチレータパネル1の奏する効果について説明する。シンチレータパネル1においては、金属粒子8の平均寸法が、互いに隣り合うシンチレータ部7の側面7s同士の間隔Gの半分以下である。このため、反射層5の形成時に、シンチレータ部7の側面7s同士の隙間に対して、容易且つ確実に箔状の金属粒子8を進入させ、シンチレータ部7の側面7sを覆うように金属粒子8を配置可能である。したがって、光出力の低下を確実に抑制すると共に解像度をより向上可能である。
さらに、シンチレータパネル1においては、シンチレータ層3上に第1保護膜4が形成されている。このため、反射層5の形成時に、金属ペーストに含まれる有機溶剤がシンチレータ部7の柱状結晶間に浸透することが避けられる。また、シンチレータ層3と金属粒子8とが直接的に接触しないので、シンチレータ材料と金属との反応が悪影響をおよぼすことが避けられる。
以上の実施形態は、本発明に係るシンチレータパネルの一実施形態について説明したものである。したがって、本発明に係るシンチレータパネルは、上記のシンチレータパネル1に限定されない。本発明に係るシンチレータパネルは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上記のシンチレータパネル1を任意に変更すること、又は、他のものに適用することができる。
図5は、変形例に係るシンチレータパネルの断面図である。図5に示されるように、シンチレータパネル1Aは、シンチレータ層3に代えてシンチレータ層3Aを備える点において、シンチレータパネル1と相違している。シンチレータ層3Aは、X線等の放射線Rの入射に応じて、可視光等のシンチレーション光を生じさせる。シンチレータ層3Aは、基板2の主面2s上に設けられている。シンチレータ層3Aは、例えば、主面2sに交差(例えば直交)する方向からみて、主面2sの矩形状のエリアに形成されている。
シンチレータ層3Aは、単一のベース部71と、複数のシンチレータ部72と、を含む。ベース部71及びシンチレータ部72は、例えば、シンチレータ材料の単結晶からなる。或いは、ベース部71及びシンチレータ部72は、例えばシンチレータ材料の複数の柱状結晶からなる。シンチレータ材料は、上記と同様である。
ベース部71は、主面2s上に設けられている。ベース部71は、主面2sに沿って延在している。ベース部71は、例えば主面2sに接触している。シンチレータ部72は、主面2s及びベース部71上に2次元状に配列されている。シンチレータ部72同士は、互いに直接的に連続していない。換言すれば、シンチレータ部72は、例えばイメージセンサの画素単位で形成されている(すなわち、シンチレータ層3Aはピクセル化されている)。シンチレータ部72同士は、ベース部71を介して連続している。換言すれば、ベース部71は、シンチレータ部72同士を互いに接続している。
シンチレータ部72の断面形状は、例えば、主面2s及びベース部71から離れるにつれて縮小する台形状である。すなわち、シンチレータ部72は、主面2s及びベース部71の反対側から主面2s及びベース部71に向けて断面積が増加するテーパ状である。シンチレータ部72は、主面2sに交差する方向(例えば柱状結晶の成長の方向)に延びる側面72sを含む。シンチレータ部72は、主面2sに沿った方向に延びる頂面72tを含む。頂面72tは、側面72s同士を接続している。
シンチレータ層3Aの各部の寸法、及び、金属粒子8の平均寸法との関係は、シンチレータパネル1と同様の範囲で規定することができる。例えば、シンチレータ層3Aの厚さ(ベース部71の高さとシンチレータ部72の高さとの合計)は、600μm程度とすることができる。そして、シンチレータ層3Aの加工深さ(シンチレータ部72同士の隙間の深さ)は、例えば300μmとすることができる。この場合、ベース部71の高さ及びシンチレータ部72の高さは、共に300μm程度となる。
このようなシンチレータ層3Aは、例えば、上述したシンチレータパネル1の製造方法のシンチレータ層のレーザ加工の際に、主面2sに至らないような加工深さによりシンチレータ層に溝を形成することにより製造することができる。以上のシンチレータパネル1Aによれば、シンチレータパネル1と同様の効果を奏することができる。
図6は、別の変形例に係るシンチレータパネルの断面図である。図6に示されるように、シンチレータパネル1Bは、シンチレータ層3に代えてシンチレータ層3Bを備える点において、シンチレータパネル1と相違している。シンチレータ層3Bは、X線等の放射線Rの入射に応じて、可視光等のシンチレーション光を生じさせる。シンチレータ層3Bは、基板2の主面2s上に設けられている。シンチレータ層3Bは、例えば、主面2sに交差(例えば直交)する方向からみて、主面2sの矩形状のエリアに形成されている。
シンチレータ層3Bは、複数のシンチレータ部73を含む。シンチレータ部73は、例えば、シンチレータ材料の単結晶からなる。或いは、シンチレータ部73は、例えばシンチレータ材料の複数の柱状結晶からなる。シンチレータ材料は、上記と同様である。シンチレータ部73は、主面2sに所定のピッチで2次元状に配列されている。シンチレータ部73同士は、互いに連続していない。換言すれば、シンチレータ部73は、例えばイメージセンサの画素単位で形成されている(すなわち、シンチレータ層3Aはピクセル化されている)。
シンチレータ部73の断面形状は、長方形状である。すなわち、シンチレータ部73は、シンチレータ部7と比較して、テーパ形状を実質的に有していない。シンチレータ部73は、主面2sに交差する方向(例えば柱状結晶の成長の方向)に延びる側面73sを含む。シンチレータ部73は、主面2sに沿った方向に延びる頂面73tを含む。頂面73tは、側面73s同士を接続している。シンチレータ部73の2次元の配列方向のうちの一方に沿って配列された側面73s同士は、互いに略平行である。
シンチレータ層3Bの各部の寸法、及び、金属粒子8の平均寸法との関係は、シンチレータパネル1と同様の範囲で規定することができる。ただし、シンチレータ層3Bにおいては、一方向に沿って互いに隣り合う側面73s同士が互いに略平行であるので、側面73s同士の間隔Gは、頂面73tから主面2sに向かう方向に沿って略一定である。なお、シンチレータパネル1Bにおいては、シンチレータ部73の長方形状に倣うように、第1保護膜4、反射層5、及び、第2保護膜6が形成されている。
このようなシンチレータ層3Bは、例えば、上述したシンチレータパネル1の製造方法のシンチレータ層のレーザ加工の際に、長方形状のシンチレータ部73が形成されるように加工条件等を制御することにより、製造することができる。以上のシンチレータパネル1Bによれば、シンチレータパネル1と同様の効果を奏することができる。
なお、図5に示されたシンチレータパネル1Aにおいても、シンチレータ部72の断面形状を長方形状としてもよい。
ここで、上記実施形態においては、本発明をシンチレータパネル(例えばシンチレータパネル1,1A,1B)に適用した場合について説明した。このようなシンチレータパネルにおいては、光電変換素子を有するセンサパネル(例えばTFTパネルやCOMSイメージセンサパネル)を基板として用いることにより、放射線検出器を構成することができる。引き続いて、放射線検出器の一実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る放射線検出器の断面図である。図7に示されるように、放射線検出器1Cは、基板2に代えて、センサパネルとしての基板2Cを備える点において、シンチレータパネル1と相違している。基板(センサパネル)2Cは、主面2sと、主面2s上に形成された複数の光電変換素子10と、を有する。より具体的には、基板2Cは、主面2sを含む板状の基部2pを有している。また、光電変換素子10は、主面2sに沿って2次元状に配列されている。
シンチレータ層3は、例えば蒸着等によって、主面2s及び光電変換素子10上に設けられている。ここでは、主面2s及び光電変換素子10上には、パッシベーション膜又は平坦化膜等の膜部11が形成されている。シンチレータ層3は、膜部11を介して、主面2s及び光電変換素子10上に設けられている。シンチレータ層3は、光電変換素子10に光学的に結合されている。より具体的には、シンチレータ層3においては、1つのシンチレータ部7が、1つの光電変換素子10に対応するように設けられている。すなわち、シンチレータ部7は、主面2sに交差する方向からみて、光電変換素子10上に位置するように2次元状に配列されている。したがって、シンチレータ部7は、光電変換素子10の画素ピッチに応じて配列されている。これにより、各シンチレータ部7が、各光電変換素子10に光学的に結合されている。
これにより、光電変換素子10は、シンチレータ層3(各シンチレータ部7)において放射線Rの入射により発生したシンチレーション光を入力し、シンチレーション光に応じた電気信号を出力する。電気信号は、図示しない配線等により外部に取り出される。これにより、放射線検出器1Cは、放射線Rを検出する。
このような放射線検出器1Cは、少なくとも、上記のシンチレータパネルの奏する効果と同様の効果を奏する。より具体的には、放射線検出器1Cにおいては、シンチレータ層3が、基板2Cの光電変換素子10の画素ピッチに応じて配列された複数のシンチレータ部7を含む。また、シンチレーション光を反射する反射層5が、シンチレータ部7の少なくとも側面7sを覆うように設けられている。そして、反射層5は、シンチレータ部7の側面7sに沿って延びる複数の箔状の金属粒子8を含む。このように、箔状の金属粒子8を含む反射層5を用いれば、光出力の低下を抑制しつつ解像度を向上可能である。
また、放射線検出器1Cにおいては、金属粒子8の平均寸法が、互いに隣り合うシンチレータ部7の側面7s同士の間隔Gの半分以下である。このため、反射層5の形成時に、シンチレータ部7の側面7s同士の隙間に対して、容易且つ確実に箔状の金属粒子8を進入させ、シンチレータ部7の側面7sを覆うように金属粒子8を配置可能である。したがって、光出力の低下を確実に抑制すると共に解像度をより向上可能である。
さらに、放射線検出器1Cにおいては、シンチレータ層3上に第1保護膜4が形成されている。このため、反射層5の形成時に、金属ペーストに含まれる有機溶剤がシンチレータ部7の柱状結晶間に浸透することが避けられる。また、シンチレータ層3と金属粒子8とが直接的に接触しないので、シンチレータ材料と金属との反応が悪影響をおよぼすことが避けられる。
ここで、放射線検出器1Cによれば、次のような別の効果を奏することができる。すなわち、放射線検出器1Cは、センサパネルとしての基板2C上(及び膜部11上)に、例えば蒸着等によって直接的にシンチレータ層3を形成することにより構成されている。このため、放射線検出器を構成するに際して、互いに別体として用意したセンサパネルとシンチレータパネルとを貼り合わせる必要がない。ただし、シンチレータパネル1,1A,1Bにおいて、基板2における主面2sの反対側の裏面に対して、センサパネルを別途設けることにより放射線検出器を構成してもよい。
なお、上記の説明では、放射線検出器1Cは、シンチレータパネル1の基板2を、光電変換素子10を含む基板2Cとすることにより構成されたものとしている。しかしながら、シンチレータパネル1A,1Bの基板2を、光電変換素子10を含む基板2Cとすることにより放射線検出器を構成することもできる。