JP2017108733A - ジンセノサイドグリコシダーゼを用いたマイナージンセノサイドの製造方法 - Google Patents

ジンセノサイドグリコシダーゼを用いたマイナージンセノサイドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高麗人参のサポニンであるジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することによって、ジンセノサイドを体内吸収が容易な形態のマイナージンセノサイドに変換する、マイナージンセノサイドの製造方法。
【解決手段】ミクロバクテリウム属微生物由来のジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質を用いたマイナージンセノサイドの製造方法、前記タンパク質を含むマイナージンセノサイドへの変換用組成物。前記タンパク質、前記タンパク質をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、前記ベクターが導入された形質転換体。メジャージンセノサイドのマイナージンセノサイドの変換がRgからFへ、RhからPPTへ、ReからFへ、RgからPPTへ及びRfからFへの変換であるマイナージンセノサイドの製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、ミクロバクテリウム属(Microbacterium sp.)微生物由来のジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質を用いた、マイナージンセノサイドの製造方法、及び前記タンパク質を含むマイナージンセノサイドへの変換用組成物に関する。
サポニンとは、植物界に広く存在する配糖体において糖でない部分が様々な環式化合物からなる物質を意味する。高麗人参又は紅参に主要生理活性成分として含まれるサポニン成分であるトリテルペンサポニン(triterpene saponin)は、他の植物において見られるサポニンとは化学構造が異なるので、この高麗人参サポニンを他の植物系サポニンと区別するために、高麗人参(Ginseng)配糖体(Glycoside)という意味でジンセノサイド(Ginsenoside)と呼ぶ。
ジンセノサイドは、アグリコン(aglycone)の構造によってプロトパナキサジオール系(Protopanaxadiol-type, PPDタイプ)ジンセノサイド、プロトパナキサトリオール系(Protopanaxatriol-type, PPTタイプ)ジンセノサイド、及びオレアノール酸系(Oleanolic acidタイプ)ジンセノサイドの3種類に分類される。これら3つのグループは、さらに化合物構造中の環の3位の炭素、6位の炭素及び20位の炭素位置にグリコシド結合(glycosicid bond)により付着する糖部分(アグリコン)(sugar moieties(aglycones))の位置及び数によって分類される。PPDタイプのジンセノサイドには、Rb、Rb、Rb、Rc、Rd、ギペノシド(gypenoside, Gyp)XVII、Compound O、Compound Mc1、F、Compound Y、Compound MC、Rg、Rh及びC−Kなどが含まれる。PPTタイプのジンセノサイドには、Re、Rg、Rf、Rg、Rh及びFなどが含まれる。
また、乾参におけるジンセノサイドの90%以上を占めるのはメジャージンセノサイドであるが、これは1,000ダルトン付近の大きなサイズであるため生体内での吸収率が非常に低い(非特許文献1)。よって、ジンセノサイドの薬効を増大させるために、メジャージンセノサイドを相対的に吸収が容易で薬効もより優れたマイナージンセノサイドに変換する過程を必要とする(Akao, Kida et al. 1998, Tawab, Bahr et al.2003)。すなわち、メジャージンセノサイドはインビボ(in vivo)で効果的に生理活性を生じさせるために、糖を構成するグルコース、アラビノース、ラムノース、キシロースなどを除去する変換過程(deglycosylated)が求められる。メジャージンセノサイドには、Rg、Re、Rb、Rb、Rc及びRdなどが含まれ、微量で存在するマイナージンセノサイド(希少なジンセノサイド)には、F、Rg、Rh、Rh、ギペノシド(gypenoside, Gyp)XVII、ギペノシドLXXV、Compound K、C−K、Compound Mc、Compound Mc1などが含まれる。
希少なジンセノサイドFは抗老化及び抗酸化効能を有することが知られており、HaCaT角質細胞をUVBにより誘導されるアポトーシス(apoptosis)から保護する効果を示し(Lee, Cho et al. 2003)、皮膚美白効能と抗癌活性を有することが報告されている(Han, Lee et al. 2014, Kim, Baek et al. 2015)。しかし、ジンセノサイドFは、このような有用性にもかかわらず、1976年に発見されて以来、最近になってようやくその薬理学的活性が報告された。これは、ジンセノサイドFは高麗人参の葉に少量で存在するので、ジンセノサイドFの生物学的活性をテストするために十分な量を得るのが困難であったからである。
高麗人参に微量で存在するマイナージンセノサイドFを生産する方法として、化学的分解法、酵素的方法及び配糖体合成を用いた方法などが提示されているが、これらの方法は、1)製造工程上、複数のステップを経なければならないこと、2)製造過程において目的とする成分が消失すること、3)食用に適さない触媒を用いること、4)低い収率を示すことから、依然として大量生産には限界があった。特に、酵素的方法においては、様々な微生物から得た助酵素を用いる方法や、微生物のメジャージンセノサイドの生体変換(biotransformation)について多くの研究が行われた。しかし、これらも大量生産の方法としては効果的でなく、多くのコストが発生するという問題がある。
現在までF生産に関して報告された方法は、グリコシダーゼ(glycosidase)を用いて0.5gのPPTタイプの混合物から数百mgのF、Rh、Rg及びRgを生物学的に生産する方法や、真菌類から分離したβ−グルコシダーゼを用いてRgからFを生産する方法であった。また、ジンセノサイドFの大量生産に関する最近の技術としては、テラバクター属(Terrabacter sp.)微生物由来のβ−グルコシダーゼ(β-glucosidase)を用いてFをグラム単位で大量生産することに成功した事例(特許文献1)が報告されている。
そこで、本発明者らは、高麗人参などの植物体に微量で存在する形態であるマイナージンセノサイドを得る方法を開発すべく鋭意努力した結果、ミクロバクテリウム属(Microbacterium sp.)菌株由来のジンセノサイドグリコシダーゼMT619がテラバクター属由来のβ−グルコシダーゼより、メジャー形態のジンセノサイドからマイナー形態のジンセノサイドに非常に優秀に生体変換されることを確認し、本発明を完成するに至った。
韓国登録特許第10-1340079号公報
Park, J. H., Food Ind. Nutr., 2004, 9:23-27
本発明は、ジンセノサイドグリコシダーゼ(ginsenoside glycosidase)タンパク質と、前記タンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体と、前記形質転換体の培養物とからなる群から選択される少なくとも1つを用いて、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより脱グリコシル化した形態に変換するステップを含む、マイナージンセノサイドの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ジンセノサイドグリコシダーゼ(ginsenoside glycosidase)タンパク質と、前記タンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体と、前記形質転換体の培養物とからなる群から選択される少なくとも1つを用いて、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより脱グリコシル化した形態に変換するステップを含む、マイナージンセノサイドの変換用組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、ジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記タンパク質をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、及び前記ベクターが導入された形質転換体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、ジンセノサイドグリコシダーゼ(ginsenoside glycosidase)タンパク質と、前記タンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体と、前記形質転換体の培養物とからなる群から選択される少なくとも1つを用いて、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより脱グリコシル化した形態に変換するステップを含む、マイナージンセノサイドの製造方法を提供する。
本発明における「ジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginesenoside glycosidase)」とは、グルコシド結合を加水分解する酵素であり、具体的にはジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解する酵素を意味する。同じグリコシダーゼに属する酵素であっても、その酵素活性がグルコシダーゼ、セルラーゼのように様々な酵素活性を示し得るので、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解する活性を有する適切な酵素を見出す必要性がある。よって、本発明者らは、このような活性を有するジンセノサイドグリコシダーゼをスクリーニングすることによりその機能を確認した。本発明の目的上、前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を加水分解する酵素であれば限定されず、具体的には配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むジンセノサイドグリコシダーゼであってもよい。前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質だけでなく、上記配列と70%以上、具体的には80%以上、より具体的には90%以上、さらに具体的には95%以上、最も具体的には98%以上の相同性を示すアミノ酸配列であって、実質的に配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むジンセノサイドグリコシダーゼの活性を有するタンパク質であれば、本発明に含まれる。また、このような相同性を有する配列であって、本発明のジンセノサイドグリコシダーゼと実質的に同一又は対応する生物学的活性を有するアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、改変、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質変異体も本発明に含まれることは言うまでもない。
前記相同性とは、野生型(wild type)タンパク質のアミノ酸配列又はそれをコードする核酸配列と類似する程度を示すものであり、本発明のアミノ酸配列又は核酸配列と上記パーセント以上同一である配列を含む。このような相同性の比較は、肉眼で行うか、購入が容易な比較プログラムを用いて行う。
配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むジンセノサイドグリコシダーゼは、ミクロバクテリウム属(Microbacterium. sp.)微生物、具体的にはミクロバクテリウム・テスタセウム由来の酵素であり、これは本願発明においてMT619と混用される。前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、β−グルコシダーゼ(β-glucosidase)活性を有し、グルコース、Glc(1→2)Glc、又はrha(1→2)Glcを分解することができるので、6位の炭素に糖が結合されたジンセノサイドをマイナージンセノサイドであるF及びPPTに変換することができる。
本発明の一実施例においては、ミクロバクテリウム・テスタセウムから配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するジンセノサイドグリコシダーゼをスクリーニングし、これをMT619と命名した(実施例1)。前記MT619をコードするポリヌクレオチドは、1857bp長のポリヌクレオチドを含み、619個のアミノ酸で構成されたポリペプチドをコードする。
前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、ジンセノサイドの6位の炭素に位置する糖に対して、外側及び内側のグルコース、Glc(1→2)Glc、又はrha(1→2)Glcの選択的加水分解能を有する。
本発明の一実施例においては、ジンセノサイドRgからFへの変換を確認することにより、本発明のジンセノサイドグリコシダーゼがジンセノサイドの6位の炭素のグルコースに対する選択的加水分解によりジンセノサイドFを製造できることが確認された(図4)。
本発明のジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質は、6位の炭素に糖が結合されたジンセノサイドを体内吸収が容易な形態である可溶性のマイナージンセノサイドに変換することができ、このタンパク質は、活性及び安定性が維持されるものであれば様々な温度及びpH条件で用いることができ、CaCl、CoCl、DTT、EDTA、KCl、MgCl、MnCl、NaCl、SDS及びメルカプトエタノールからなる群から選択される少なくとも1つの金属及び化学物質を共に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施例において、pHがMT619の活性及び安定性に及ぼす影響を分析した結果、MT619はpH5〜8.0の範囲で安定性を示し、具体的にはpH7.0で最も安定性を示すことが確認された(実施例3−2,図2)。
本発明の他の実施例において、温度がMT619の活性及び安定性に及ぼす影響を分析した結果、MT619の活性は30〜55℃で高くなり、最適温度は45℃であった。また、MT619の温度安定性については、0〜45℃で安定性を示し、具体的には0〜30℃で優れた安定性を示した(実施例3−3,図3)。
本発明のさらに他の実施例において、金属及び他の化学試薬がMT619の活性に及ぼす影響を分析した結果、酵素活性はCu2+、Co2+、Hg2+及びZn2+などのイオンの存在下では強く阻害されたが、Ca2+、Na及びKは酵素活性をそれほど増加させなかった(実施例3−4,表1)。
本発明のさらに他の実施例において、MT619の基質特異性を分析した結果、MT619はpNP−β−D−グルコピラノシドに対して最も高い基質特異性を示し、oNP−β−D−グルコピラノシドに対しても基質特異性を示した(実施例4,表2)。
また、前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、Fを大量生産することが知られているテラバクター属(Terrabacter. sp)微生物由来のβ−グルコシダーゼよりジンセノサイドの6位の炭素に結合された糖に対する加水分解活性が非常に高いので、マイナージンセノサイドの大量生産に有用である。
本発明の一実施例においては、MT619を用いてジンセノサイドRgからFを生産する能力を評価した。ジンセノサイドRgを基質として用いてFを生産することが知られているテラバクター・ジンセノサイジミュータンス(Terrabacter ginsenosidimutans)由来のBgpAを比較対照群として用いると、MT619がRgを基質としてFを生産する能力に非常に優れることが確認された。具体的には、MT619は反応開始から1時間〜3時間で優れた生産能力を示し、より具体的には、2時間で最も優れた生産能力を示し、0.1mg/mlの酵素濃度においてBgpAが0.18mgのFを生産するのに対して、MT619は1.3mgのFを生産し、MT619がBgpAに比べて実に7倍以上となる多量のFを生産することが確認された(図6)。
これらの結果から、ジンセノサイドグリコシダーゼMT619は、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解する能力が、公知のジンセノサイドグリコシダーゼBgpAより非常に優れていることが分かる。
本発明において、6位の炭素に糖が結合されたジンセノサイドは、PPD(protopanazadiol)系のジンセノサイドであってもよい。前記「PPT(protopanaxatriol)系のジンセノサイド」とは、ダンマラン系サポニンであり、3位、6位、12位及び20位の炭素位置に−OH基を有するPPT又は前記PPTの前記−OH基がグリコシル化されたジンセノサイドを意味する。その例として、ジンセノサイドRe、Rg、Rf、F、Rg、PPT又はRhが挙げられる。特に、本発明の目的上、前記PPT系のジンセノサイドには、前記ジンセノサイドグリコシダーゼの活性によりジンセノサイドF又はPPTに変換されるジンセノサイドが全て含まれる。
本発明の一実施例においては、代表的にRgが本発明のジンセノサイドグリコシダーゼの活性によりFに変換されることが確認された(図4)。前記PPTタイプのジンセノサイドは、具体的にはRg、Rh、Re、Rg及びRfであるが、これらに限定されるものではない。
前記PPT系のジンセノサイドは、分離及び精製された形態のジンセノサイドを用いることもでき、高麗人参又は紅参の粉末又は抽出物に含まれるジンセノサイドを用いることもできる。すなわち、ジンセノサイドを含む高麗人参又は紅参の粉末又は抽出物を直接出発物質として用いて本発明の方法を実施することもできる。本発明において用いられる高麗人参としては、公知の様々な高麗人参を用いることができ、オタネニンジン(Panax ginseng)、アメリカニンジン(P. quiquefolius)、サンシチニンジン(P. notoginseng)、トチバニンジン(P. japonicus)、ミツバニンジン(P. trifolium)、ヒマラヤニンジン(P. pseudoginseng)及びベトナムニンジン(P. vietnamensis)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における「マイナージンセノサイド」とは、体内吸収が困難なメジャー(major)形態のジンセノサイドの6位の炭素に位置する糖を加水分解することにより生成された、相対的に体内吸収が容易なマイナー(minor)形態のジンセノサイドを意味する。具体的には、前記マイナージンセノサイドはF又はPPTであるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、ジンセノサイドRg及びRhの場合、ジンセノサイドRg及びRhの6位の炭素に対する選択的加水分解能を有するので、6位の炭素に位置する1つのグルコース部分(glucose moiety)を加水分解することにより、それぞれジンセノサイドF及びPPTに変換することができる。
また、前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、ジンセノサイドRe及びRgの場合、Re及びRgの6位の炭素に位置するrha(1→2)Glcを加水分解することにより、F及びPPTに変換することができ、ジンセノサイドRfの場合、Rfの6位の炭素に位置するGlc(1→2)Glcを加水分解することにより、Fに変換することができる。
本発明における「Glc(1→2)Glc」とは、グルコース(glucose, Glc)の1位の炭素と他のグルコースの2位の炭素がα又はβ結合により連結された二糖類を意味し、具体的にはグルコースの1位の炭素と他のグルコースの2位の炭素がα結合により連結された二糖類であるが、これらに限定されるものではない。
本発明における「rha(1→2)Glc」とは、ラムノース(rhamnose, rha)の1位の炭素とグルコースの2位の炭素がα又はβ結合により連結された二糖類を意味し、具体的にはラムノースの1位の炭素とグルコースの2位の炭素がα結合により連結された二糖類であるが、これらに限定されるものではない。
本発明のマイナージンセノサイドの製造方法は、具体的にはジンセノサイドRgからジンセノサイドFへの変換過程、RhからPPTへの変換過程、ReからFへの変換過程、RgからPPTへの変換過程、RfからFへの変換過程、及びRfからFへの変換過程からなる群から選択される少なくとも1つの変換過程を含むが、これらに限定されるものではない。このようなジンセノサイドグリコシダーゼの変換活性を図4に示す。
本発明のマイナージンセノサイドを製造する方法は、前記ジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体又は前記形質転換体の培養物と、6位の炭素に糖が結合されたジンセノサイドとを反応させるステップを含んでもよい。
本発明における「ベクター」とは、好適な宿主細胞において標的タンパク質を発現する発現ベクターであり、核酸挿入物が発現するように作動可能に連結された必須の調節因子を含む核酸調製物を意味する。
本発明における「形質転換」とは、DNAを宿主に導入してDNAが染色体の因子として又は染色体への組込みにより複製可能になることであり、外部のDNAを細胞に導入して人為的に遺伝的な変化を起こす現象を意味する。
本発明の形質転換方法は、任意の形質転換方法を用いることができ、当業界の通常の方法により容易に行うことができる。
上記方法で形質転換された、本発明のジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体は、PPT系のジンセノサイドを変換することによりジンセノサイドFに変換する活性を有し、PPT系のジンセノサイドであるジンセノサイドReとRgからジンセノサイドFへの変換活性、ジンセノサイドRhからPPTへの変換活性、ReからFへの変換活性、RgからPPTへの変換活性、又はRfからFへの変換活性を有する形質転換体を意味することが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、前記形質転換体は、PPT系のジンセノサイドを変換することによりジンセノサイドFに変換する活性を有するが、これに限定されるものではない。
本発明における宿主は、本発明の核酸を発現するものであれば、特に限定されるものではない。本発明に用いられる宿主の例としては、大腸菌(E. coli)などのエシェリキア(Escherichia)属細菌、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属細菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などのシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などの酵母、動物細胞及び昆虫細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記形質転換体を培養して得られた培養物を用いることにより、6位の炭素に糖が結合されたジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することができる。具体的には、ジンセノサイドRg、Rh、Re、Rg及びRfを変換することにより、ジンセノサイドF又はPPTを製造することができる。
本発明における「培養物」とは、前記形質転換体を公知の微生物培養方法により培養して得られた産物を意味する。前記培養物には、培養上清や細胞破砕液が全て含まれ、細胞が含まれてもよく、含まれなくてもよい。前記ジンセノサイドグリコシダーゼをコードする核酸を含む発現ベクターが導入された形質転換体の培養物は、PPT系のジンセノサイドであるジンセノサイドRg、Rh、Re、Rg及びRfからF又はPPTへの変換活性を有するが、これらに限定されるものではない。
本発明の他の態様は、配列番号1で表されるアミノ酸配列で規定されるジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質と、前記タンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体と、前記形質転換体の培養物とからなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより脱グリコシル化した形態のマイナージンセノサイドへの変換用組成物を提供する。
前記ジンセノサイド、ジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質、マイナージンセノサイド、形質転換体及び培養物については前述した通りである。
前記ジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質は、高麗人参のジンセノサイドの6位の炭素に対して非常に選択的加水分解能が高いので、マイナージンセノサイドを大量生産するのに有用である。
本発明のさらに他の態様は、配列番号1で表されるアミノ酸配列で規定されるジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質、前記タンパク質をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、及び前記ベクターが導入された形質転換体を提供する。
前記ジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質、前記タンパク質をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、及び前記ベクターが導入された形質転換体については前述した通りである。
前記ジンセノサイドグリコシダーゼタンパク質をコードする核酸は、具体的には配列番号2で表される核酸を意味するが、これに限定されるものではない。前記ジンセノサイドグリコシダーゼをコードする核酸は、ジンセノサイドグルコシダーゼの活性を有するタンパク質をコードする核酸であればこれに限定されず、配列番号2で表される核酸配列だけでなく、上記配列と70%以上、具体的には80%以上、より具体的には90%以上、さらに具体的には95%以上、最も具体的には98%以上の相同性を示す配列であって、実質的にジンセノサイドグリコシダーゼの活性を有するタンパク質をコードする配列が挙げられる。前記相同性は前述した通りである。
本発明は、ミクロバクテリウム属(Microbacterium testaceum)微生物由来のジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質を用いた、マイナージンセノサイドの製造方法、及び前記タンパク質を含むマイナージンセノサイドへの変換用組成物に関するものであり、前記ジンセノサイドグリコシダーゼは、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより、ジンセノサイドを体内吸収が容易な形態であるマイナージンセノサイドに変換する非常に優れた活性を示すので、ジンセノサイドの大量生産に有用である。
GST結合アガロース樹脂を用いて精製した後の組換えMT619のSDS−PAGE分析を示す図である(M:サイズマーカー,レーン1:タンパク質の発現が誘導されない粗抽出物,レーン2:GST結合アガロース樹脂で精製した後のGST−MT619)。 各pHにおける組換えタンパク質の活性と安定性を示す図である。 各温度における組換えタンパク質の活性と安定性を示す図である。 組換えMT619によるジンセノサイドFへの変換を薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析した結果を示す図である(S:ジンセノサイド標準物質)。 組換えMT619によるジンセノサイドRe、Rg及びRgの各変換経路を示す図である。 組換えMT619のF生産能力を示す図である(BgpA:テラバクター・ジンセノサイジミュータンス(Terrabacter ginsenosidimutans)由来のグリコシダーゼ)。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:新規なジンセノサイドグリコシダーゼを含む組換え発現ベクター及び形質転換微生物の作製
本発明においては、メジャージンセノサイドをマイナージンセノサイドに変換する新規なジンセノサイドグリコシダーゼを作製するために、まずミクロバクテリウム・テスタセウム(Microbacterium testaceum)から配列番号1のジンセノサイドグリコシダーゼ(gincenoside glycosidase)をスクリーニングし、これをMT619と命名した。前記MT619をミュータジェネックス(mutagenex, 米国)に依頼して、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)から発現させるために、MT619の塩基配列を最適化した(配列番号2)。
実施例2:ジンセノサイドグリコシダーゼ(ginsenoside glycosidase)の作製
実施例1のジンセノサイドグリコシダーゼを大量生産するために、前記形質転換された菌株をアンピシリン(Ampicillin)が添加されたLB培地100mlの入った三角フラスコに接種し、600nmにおける吸光度が0.6になるまで37℃の振盪培養器にて200rpmで種菌培養を行った。可溶性タンパク質が発現するか否かを各温度(18,22,25,30,37℃)で確認し、これにIPTG(isopropyl-beta-D-thiogalactoside)を最終濃度が0.1mMとなるように添加することにより、本発明のジンセノサイドグリコシダーゼの大量発現を誘導した。菌株が静止期(stationary phase)に入ったら、菌株の培養液を6,000×gで4℃にて10分間遠心分離し、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(Sodium phosphate buffer, pH7.0)を添加して懸濁し、その後前記細胞溶液を破砕機(sonicator)で破砕した。前記細胞破砕物を再度13,000×gで4℃にて15分間遠心分離し、次いで可溶性のジンセノサイドグリコシダーゼMT619の上清を得た。前記上清を分離精製し、MT619をSDS−PAGEで分析した。
その結果、前記ジンセノサイドグリコシダーゼMT619のアミノ酸の数は619であった。前記MT619のアミノ酸配列番号を1とした。また、GST−MT619の分子量はアミノ酸配列で計算した約94.4kDaと同等になることが確認された(図1)。
実施例3:ジンセノサイドグリコシダーゼMT619酵素の特性分析
実施例3−1:MT619の活性の分析方法
基質であるPNPG(p-nitrophenyl-β-D-glucopyranoside)を含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を用いて、37℃で前記精製されたMT619の特異活性を測定した。1MのNaCO 0.1mlで5分間処理して反応を終了させ、405nmでp−ニトロフェノール(p-nitrophenol)の分泌を直ちに測定した。活性の1ユニット(one unit of activity)を1分当たりp−ニトロフェノール1μmolの分泌量と定義した。特異活性はタンパク質1ミリグラム(milligram)当たり1ユニットであった。タンパク質濃度はビシンコニン酸(BCA)タンパク質分析法(Pierce, Rockford, IL)を用いて、牛血清アルブミン(Sigma)のBio−Rを基準に測定し、全ての分析法を3回繰り返した。
実施例3−2:pH変化による活性評価
pHが前記MT619の酵素活性に及ぼす効果を測定するために、基質として2.0mMのpNPGlc(p-nitrophenyl-D-glucopyranoside; Sigma)を用いると共に、下記の緩衝液(50mM)を用いてpHを調節した。
pH2〜10の範囲:KCl−HCl(pH2),グリシン−HCl(pH3),酢酸ナトリウム(pH4及びpH5),リン酸ナトリウム(pH6及びpH7),Tris−HCl(pH8及びpH9),グリシン−水酸化ナトリウム(pH10)
また、pHが酵素安定性に及ぼす効果を測定した。4℃の温度にて上記各緩衝液で酵素を24時間インキュベートし、その後50mMのカリウム(potassium)緩衝液中でpNPGlcを分析することにより、pHの変動による酵素安定性を測定した。標準分析方法により残基の活性を分析し、最適pHにおいて得られた活性の百分率でその結果を図2に示す。
その結果、図2に示すように、ジンセノサイドグリコシダーゼMT619は、pH6〜pH8の範囲で活性及び安定性を示し、具体的にはpH7.0で最も高い活性及び安定性を示すことが確認された。また、pH6.0以下及びpH8.0以上においては酵素活性及び安定性が急速に減少することが分かった。
実施例3−3:温度変化による活性評価
温度が前記MT619の酵素活性に及ぼす効果を測定するために、4〜65℃の様々な温度にて2.0mMのpNPGlc(p-nitrophenyl-β-Dglucopyranoside; Sigma)を用いて、10分間最適pHで50mMのリン酸カリウム緩衝液中の温度依存的な活性を分析した。
また、温度がMT619の酵素安定性に及ぼす効果を測定するために、同一温度範囲内で30分間リン酸カリウム緩衝液50mM中で当量の酵素をインキュベートした。具体的には、氷でサンプルを10分間冷却し、その後標準分析方法で測定された残存活性を確認することにより、温度安定性の分析を行った。その結果を図3に示す。
その結果、図3に示すように、ジンセノサイドグリコシダーゼMT619の活性は30〜55℃で高くなり、具体的には45℃で最高の活性となった。また、MT619の温度安定性は0〜45℃の範囲で安定性を示し、具体的には0〜30℃で優れた安定性を示した。
実施例3−4:金属及び化学試薬による活性評価
金属及び他の化学試薬がジンセノサイドグリコシダーゼMT169の活性に及ぼす影響を分析するために、MT169を37℃で30分間10mMのβ−メルカプトエタノール、CaCl、CoCl、CuCl、ジチオトレイトール(DTT)、EDTA、HgCl、KCl、MgCl、MnCl、NaCl、SDS又はZnCl2と共にインキュベートし、その後pNPGを基質として残存活性を測定し、化合物を含まない場合に対する百分率で活性を下記表1に示す。
その結果、表1に示すように、ジンセノサイドグリコシダーゼMT619の酵素活性はCu2+、Co2+、Hg2+、Zn2+などのイオンの存在下では強く阻害されたが、Ca2+、Na及びKは酵素活性をそれほど増加させなかった。
実施例4:MT619の基質特異性分析
前記MT619の基質特異性を分析するために、2.0mMの発色するo−ニトロフェニル(ONP)とp−ニトロフェニル(PNP)を基質として用いて、37℃で5分間測定した。1活性単位は1分当たり1μmolのo−ニトロフェノール又はp−ニトロフェノールの放出と定義した。分析に用いた基質は、pNP−α−L−アラビノフラノシド(pNP-α-L-arabinofuranoside)、pNP−β−L−アラビノピラノシド(pNP-β-L-arabinopyranoside)、pNP−α−L−D−フコピラノシド(pNP-α-L-D-fucopyranoside)、pNP−α−L−ラムノピラノシド(pNP-α-L-rhamnopyranoside)、pNP−α−D−グルコピラノシド(pNP-α-D-glucopyranoside)、pNP−α−D−マンノピラノシド(pNP-α-D-mannopyranoside)、pNP−β−D−ガラクトピラノシド(pNP-β-D-galactopyranoside)、oNP−β−D−グルコピラノシド(oNP-β-D-glucopyranoside)、oNP−β−D−フコピラノシド(oNP-β-D-fucopyranoside)、pNP−β−D−キシロピラノシド(pNP-β-D-xylopyranoside)、pNP−β−L−アラビノフラノシド(pNP-β-L-arabinofuranoside)、oNP−β−D−フコピラノシド(oNP-β-D-fucopyranoside)、oNP−α−D−ガラクトピラノシド(oNP-α-D-galactopyranoside)及びpNP−β−D−グルコピラノシド(pNP-β-D-glucopyranoside)であり、シグマから購入した。
a:最終基質濃度2.0mM
b:pNP−β−D−グルコピラノシドに対する酵素活性を基準とする
その結果、表2に示すように、ジンセノサイドグリコシダーゼMT619はpNP−β−D−グルコピラノシドに対して最も高い基質特異性を示し、oNP−β−D−グルコピラノシドに対しても基質特異性を示した。他の基質に対しては活性を示さなかった。
実施例5:MT619のジンセノサイド変換能力評価
ジンセノサイドの6位の炭素(C−6)部位に付着した糖の加水分解に対する酵素の特異性及び選択性を分析するために、ジンセノサイドRe、Rg及びRgを基質として用いた。
50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に2.0mg/mlの濃度で存在するMT619を、前述した3種の基質が2.0mg/mlの濃度で存在する50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)と同量の体積で37℃にて反応させた。MT619の分解活性を測定するために、前記サンプルを反応1.5時間後に回収し、水溶液で飽和したブタノールを同量の体積で添加することにより反応を終了させた。n−ブタノール分画を乾燥及び蒸発させ、残基をCHOHに溶解させてTLC(thin layer chromatography)で分析した。その結果を図4にそれぞれ示す。
その結果、図4に示すように、ジンセノサイドReとRgがジンセノサイドFに変換されることが確認された。これらの結果は、ジンセノサイドRgの6位の炭素位置に存在する糖が切断されることによりジンセノサイドFに変換されることを示すものである(図5)。
これらの結果は、本発明の配列番号1で表されるジンセノサイドグリコシダーゼがマイナーサポニンに効率的に変換させ、可溶性サポニンであるジンセノサイドFを効率的に製造できることを裏付けるものである。
実施例6:MT619のF生産能力評価
前記MT619がRgを基質として用いてFを生産する能力を評価するために、ミクロバクテリウム・テスタセウム由来のジンセノサイドグルコシダーゼとF生産能を比較した。
ジンセノサイドRgを基質として用いてFを生産することが知られているテラバクター・ジンセノサイジミュータンス(Terrabacter ginsenosidimutans)由来のBgpAを比較対照群として用いた。
その結果、図6に示すように、精製された酵素濃度0.1mg/mlにおいて、MT619はRg(2.0mg/ml)を基質として用いてFを生産する能力が非常に優れていることが分かった。BgpAが反応初期にFの生産能力が低調であるのに対して、MT619は反応初期からFを早く生産した。MT619は反応開始から1時間〜3時間で優れた生産能力を示し、具体的には2時間で最も優れた生産能力を示し、BgpAが0.18mgのFを生産するのに対して、MT619は1.3mgのFを生産し、MT619がBgpAに比べて実に7倍以上となる多量のFを生産することが確認された。
これらの結果から、ジンセノサイドグリコシダーゼMT619はジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解する能力が公知のジンセノサイドグリコシダーゼBgpAより非常に優れていることが分かった。
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は、明細書ではなく特許請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態を含むものであると解釈すべきである。

Claims (9)

  1. 配列番号1で表されるアミノ酸配列で規定されるジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質と、前記タンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体と、前記形質転換体の培養物とからなる群から選択される少なくとも1つを用いて、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより脱グリコシル化した形態に変換するステップを含む、マイナージンセノサイドの製造方法。
  2. 前記ジンセノサイドは、Rg、Rh、Re、Rg及びRfからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記糖は、グルコース、Glc(1→2)Glc、又はrha(1→2)Glcである、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記マイナージンセノサイドの製造は、RgからFへの変換過程、RhからPPTへの変換過程、ReからFへの変換過程、RgからPPTへの変換過程、及びRfからFへの変換過程からなる群から選択される少なくとも1つの変換過程を含む、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記変換は、pH5〜8.5又は10〜50℃の温度で行われる、請求項1に記載の製造方法。
  6. 配列番号1で表されるアミノ酸配列で規定されるジンセノサイドグリコシダーゼ(Ginsenoside glycosidase)タンパク質と、前記タンパク質をコードする核酸を含むベクターが導入された形質転換体と、前記形質転換体の培養物とからなる群から選択される少なくとも1つを有効成分として含む、ジンセノサイドの6位の炭素の糖を特異的に加水分解することにより脱グリコシル化した形態のマイナージンセノサイドへの変換用組成物。
  7. 前記ジンセノサイドは、Rg、Rh、Re、Rg及びRfからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記糖は、グルコース、Glc(1→2)Glc、又はrha(1→2)Glcである、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記マイナージンセノサイドの変換は、RgからFへの変換、RhからPPTへの変換、ReからFへの変換、RgからPPTへの変換、及びRfからFへの変換からなる群から選択される少なくとも1つの変換を含む、請求項6に記載の組成物。
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